説明

緩衝体

【課題】 製造、輸送、保管のコストを削減し、組み立ても容易で、部材数も少数ですみ、十分な緩衝性を有する緩衝体を提供する。
【解決手段】 面1は梱包される製品の上下面にそれぞれ接する板部になり、面2は梱包される製品の側面に接する板部になる。長さ H1,H2,h は、 h<H1,H2 なるように設定する。このように設定された面2を辺11に沿って一方向(内側)に折り、面3は逆方向(外側)に折り、面4は面2と同じ側(内側)に折る。そうるすことによって面2,3,4は3重に折りたたまれた状態になり、それぞれの面の一部である面20,21,22も同様に折りたたまれた状態になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装箱と、包装される製品との間に装着し、当該製品を衝撃や振動から保護するための緩衝体に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、緩衝部材としてとくに精密部品などの壊れやすいにものを保護するには、プラスティックフィルムで空気を封じこめたタイプのエアクッション、あるいはウレタンフォームなどそれぞれ十分に緩衝性があるものが用いられてきた。しかしながら、地球環境保護ならびに再生利用の面から、再生可能な紙製等を用いた緩衝部材が必要とされている。しかしながら、紙あるいは段ボールを一般的に知られた方法で使用しても、十分な緩衝性をもたせようとすると複雑になってしまい、コストの増加が無視できない、合成樹脂製であるエアクッション・ウレタンフォームに代わる再生可能な材料で安価なでかつ十分な緩衝性をもったクッションの開発の重要性が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
たとえば、円筒状の紙管をボール紙などを用いて作製し、その弾力性を用いる方法があるが、緩衝性も不十分な場合もあった。さらに管状に作るためのコストも高く、その形状のため、運送・保管コストも高くなってしまっていた。製品が直方体のようなシンプルな形式の場合でも緩衝材を、製品のすべての6面をすべてスリーブなどを用いて緩衝性を持たせるやり方もあるが、梱包する際の部材の数が多くなってしまい、管理・コストの面からも問題がある。
【0004】
本発明は、このような背景のもとになされたものであり、輸送・保管をも含みコストを削減し、さらには組み立ても容易で、部材数も少数ですみ、十分な緩衝性を有する緩衝体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本願発明は、製品と外箱との間に間装され、製品を保護する緩衝体であって、製品に接する四角形の底面と、前記底面の各辺のうち少なくとも2つの辺の外側に延在する略長方形状の第1の側面であって、前記底面との間の境界線を第1の折り線とする第1の側面と、前記第1の側面の外側に延在する略長方形状の第2の側面であって、前記第1の側面との間の境界線を第2の折り線とする第2の側面と、前記第2の側面の外側に延在する略長方形状の第3の側面であって、前記第2の側面との間の境界線を第3の折り線とする第2の側面と、を含み、前記第1の折り線と前記第2の折り線の間の距離hは、前記第2の折り線と前記第3の折り線の間の距離H及び前記第3の折り線と前記第3の側面の外側の辺との距離Hのいずれよりも小さく、組み立て時に前記第2の折り線を前記第1の折り線とは反対の向きに折るとともに、前記第3の折り線を前記第2の折り線とは反対の向きに折ることを特徴とする。
【0006】
前記第1の側面の両端部の外側に折り線を介して小片を設け、組み立て時に、当該小片を隣あう第1の側面の小片と内側で接着するようにすることができる。
【0007】
前記第3の側面のさらに外側に、任意の数の側面が設けることができ、組み立て時にそれぞれの側面の境界線を交互に折りたたむようにすることができる。
【0008】
前記四角形は例えば長方形とすることができ、前記第1の側面の数は4個とすることができる。
【0009】
また、前記四角形は正方形とすることができ、前記第1の側面の数は4個とすることができる。
【0010】
製品と外箱との間に間装され、製品を保護する緩衝体であって、製品に接する四角形の底面と、前記底面の各辺のうち少なくとも2つの辺の外側に延在する略長方形状の第1の側面であって、前記底面との間の境界線を第1の折り線とする第1の側面と、前記第1の側面の外側に延在する略長方形状の第2の側面であって、前記第1の側面との間の境界線を第2の折り線とする第2の側面と、を含み、前記第1の折り線と前記第2の折り線の間の距離hは、前記第2の折り線と前記第2側面の外側の間の距離Hよりも小さく、組み立て時に前記第2の折り線を前記第1の折り線とは反対の向きに折ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上記のようにしたことによって、作製コスト、輸送コストを削減し、さらに保管スペースの削減、組み立ても容易で安価にかつ十分な緩衝性を有する緩衝体ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る緩衝体を構成する部材を示した展開平面図である。
【図2】図1に示した部材を折り込むことによってできる緩衝体の斜視図である。
【図3】図2の緩衝体を2個使用し外装箱の中で製品を上下に支える状態を示した縦断面図である。
【図4】実施形態の比較落下試験データを示したグラフである。
【図5】本発明の実施形態に係る緩衝体を構成する底面が多角形の部材を示した展開平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下で、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る緩衝体を構成する部材を示しており、段ボールからなる部材を展開して示した平面図である。
【0013】
緩衝体の素材となる段ボールは、厚さ数ミリ程度のものを適宜使用することができるが、ここでは5mm厚のものを用いている。本実施形態の緩衝体は、図1に示すように、図1の紙面に直交する中心軸の回りに90度ずつの対称性を有しているので、符号を付してある部分についてのみ説明をする。面1(特許請求の範囲にの「正方形の底面」の実施例である)は梱包される製品の上下面にそれぞれ接する板部になり、面2(特許請求の範囲の略長方形状の第2の側面の実施例である)は梱包される製品の側面に接する板部になる。組立のために辺10乃至15、17乃至19で示されるところは折り目になっており、辺10、15,18はさらに折り易いように折り目に加えて部分的にカット線を入れてある。辺16はカット部になる。
【0014】
図1に示す長さ H,H,h は、 h<H,H となるように設定する。このように設定された面2を辺11に沿って一方向(内側)に折り、面3(特許請求の範囲の略長方形状の第3の側面の実施例である)は逆方向(外側)に折り、面4は面2と同じ側(内側)に折る。そうるすことによって面2,3,4は3重に折りたたまれた状態になり、それぞれの面の一部である面20,21,22も同様に折りたたまれた状態になる。面5,6,7も面2,3,4と同様に辺17で内側、辺18で外側、辺19で内側に折り、3重にたたまれた状態にし、それぞれの面の一部である面23,24,25(特許請求の範囲の小片の実施例である)も同様に3重に折りたたまれた状態となる。その次に面22と面23がお互いに内側に接するようにすでに3重なった面20,21,22と面23,24,25をそれぞれ辺13、14に沿って外側に略45度折り曲げる。底面の形状によっては、この折り曲げる角度は30〜70度程度に調整する。他の辺も同様にすることによって、図2に示されるようなトレーの形をした緩衝体30が出来上がる。
【0015】
尚、面22と面23は接着する必要はないが、接着材、ホッチキス等で接合してもよい。また取り扱い易くするために、面20,21,22 と 面23,24,25をそれぞれまたは纏めてテープ、接着剤等で留めてもよい。
【0016】
こうしてできた緩衝体を2個一組として製品を梱包する。図3は、本実施形態の断面の説明図である。外装箱33の中に、2個の緩衝体30と30を一組として、製品32を上下に挟んだ梱包状態になっている。ただし、挟む方向は上下に限定されず、前後、左右いずれでも可能である。
【0017】
図3に示すように、製品32の上面と緩衝体30の面1、製品の底面と緩衝体30の面1はそれぞれ接している。前述のように、面1は外装箱の上面40、底面41とのそれぞれ距離dだけ離間するように図1のh,H,Hは予め調整されている。これによって製品ならびにそれに接する緩衝体の上下底面が外装箱壁面に触れないようにすることで上下の緩衝性を持たせている。 また、外箱の壁面とは距離dだけ離間するように寸法を調整してあり、このことにより製品の側面とそれに接する緩衝体の側面が外装箱壁面に触れないようにすることで横方向の緩衝性も同時にをを持たせることができる。尚、緩衝体の製品の上下面に接する面1と1のサイズは2個とも同じくする必要はなく、接する製品の面の大きさによってサイズを調整し、必要とあらば長さH,Hも調整する。
【0018】
本実施形態の緩衝体は、その段ボールの寸法、厚み、剛性などを変えることによって、緩衝性能を任意に調節することが可能である。通常抜き型などを用いて図1のような平板を作成しそのまま運搬・保管が可能である。
【0019】
緩衝性については、実際に重量約3kgの製品を梱包し図3のように75cmの高さから落下させて加速度の変化を測定した。図4(A)はその結果を示すグラフであり、図3の垂直方向、左右、前後を落下方向として落下させ、落下方向及びそれに直行する残りの2軸方向の計3方向の加速度の二乗和の平方根を加速度値として時間の変化を示してある。測定間隔は5msecである。加速度の最大値は一般的な目安である50G以内に収まっており、加速度のピークの幅も20−30msecである。図4(B)は従来の樹脂製エアクッションなどを用いた場合のデータを示しており、図4(A)の結果をこれと比較するとわかるように、本実施形態の緩衝体は、従来の樹脂製エアクッション等と同程度以上の十分な緩衝効果が得られていることが分かる。
【0020】
本実施形態の緩衝体は、上記のような4角形だけでなく、図5に示すような製品に接する底面45が多角形なるものであってもよい。また、底面45の縦、横の長さW,Lは同じでも、異なっていてもよい。
【0021】
さらに、本実施形態の緩衝体は、軽量物を梱包する場合、上記のように側面になる部分を3重にせず、2重であってもよい。逆に重量物の場合は、3重以上に折りたたむことでさらに緩衝性を持たせることができる。
【0022】
また、段ボールを使用する場合は、目の方向によって強度が異なるので、必要とあれば2枚の段ボールの目の方向を90度になるように、必要な部分もしくは全体を合紙して用いることもできる。
【0023】
本実施形態の緩衝体は、上記のように、段ボール等の板材で容易が作製でき、しかも場所を取らないため保管スペースが節約でき、さらに使用時には簡単に組み立てが可能で、部材の数も2個1組という少数ですむ。尚、上記の実施形態では素材を段ボールとして説明したが、製品に対する必要な緩衝効果があって、適度な加工性がある素材であれば、段ボール以外の素材を使用できることは、当業者であれば容易に理解できる。
【符号の説明】
1〜7、1、1、20〜25、45 板部
10〜15、17〜19 折り目
16 カット部
30、30、30 緩衝体
32 製品
33 外装箱
40、41 外装箱面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品と外箱との間に間装され、製品を保護する緩衝体であって、製品に接する四角形の底面と、前記底面の各辺のうち少なくとも2つの辺の外側に延在する略長方形状の第1の側面であって、前記底面との間の境界線を第1の折り線とする第1の側面と、前記第1の側面の外側に延在する略長方形状の第2の側面であって、前記第1の側面との間の境界線を第2の折り線とする第2の側面と、前記第2の側面の外側に延在する略長方形状の第3の側面であって、前記第2の側面との間の境界線を第3の折り線とする第2の側面と、を含み、前記第1の折り線と前記第2の折り線の間の距離hは、前記第2の折り線と前記第3の折り線の間の距離H及び前記第3の折り線と前記第3の側面の外側の辺との距離Hのいずれよりも小さく、組み立て時に前記第2の折り線を前記第1の折り線とは反対の向きに折るとともに、前記第3の折り線を前記第2の折り線とは反対の向きに折ることを特徴とする緩衝体。
【請求項2】
前記第1の側面の両端部の外側に折り線を介して小片を設け、組み立て時に、当該小片を隣あう第1の側面の小片と内側で接着するようにした、請求項1に記載の緩衝体。
【請求項3】
前記第3の側面のさらに外側に、任意の数の側面が設けられ、組み立て時にそれぞれの側面の境界線を交互に折りたたむようにした、請求項1又は2に記載の緩衝体。
【請求項4】
前記四角形はたとえば長方形とすることができ、前記第1の側面の数は4個である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の緩衝体。
【請求項5】
また、前記四角形は正方形であり、前記第1の側面の数は4個である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の緩衝体。
【請求項6】
製品と外箱との間に間装され、製品を保護する緩衝体であって、製品に接する四角形の底面と、前記底面の各辺のうち少なくとも2つの辺の外側に延在する略長方形状の第1の側面であって、前記底面との間の境界線を第1の折り線とする第1の側面と、前記第1の側面の外側に延在する略長方形状の第2の側面であって、前記第1の側面との間の境界線を第2の折り線とする第2の側面と、を含み、前記第1の折り線と前記第2の折り線の間の距離hは、前記第2の折り線と前記第2側面の外側の間の距離Hよりも小さく、組み立て時に前記第2の折り線を前記第1の折り線とは反対の向きに折ることを特徴とする緩衝体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−101849(P2012−101849A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260554(P2010−260554)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(301035600)株式会社セイコー紙業 (7)
【Fターム(参考)】