説明

緩衝包装装置

【課題】製品表面に傷を生じさせて製品の外観を損なうことなく落下衝撃から製品を保護する緩衝包装装置を得ること。
【解決手段】製品31を支持固定する内装材21と、内装材21を収容する包装箱10とを備えた緩衝包装装置1であって、内装材21は、製品31を収容する凹部26と、凹部26の周縁から凹部26の内側へ突出し、凹部26に収容された製品31の各側面中央部を支持する複数のリブ24と、包装箱10の下面と側面とがなす稜27との間に空間11が形成されるように稜27に沿って設けられた面取り部23と、包装箱10の下面側の角28に対応する位置を切り欠いて設けられた切り欠き部22とを有する成型品であり、包装箱10が変形した際に、角28が切り欠き部22に入る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送時に製品を包装することで、外的衝撃から製品を保護する緩衝包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の内装材と包装箱とからなる包装装置では、包装箱の中で製品を支持、固定するために製品を内装材によって固定していた。この内装材は成型品であって、例えば樹脂や紙(パルプモールド)で形成される。
【0003】
この内装材は、製品を固定する機能の他に、輸送時に誤って包装装置を落下させた場合に、落下衝撃を吸収する機能を兼ね備えている。落下衝撃のエネルギーが内装材を変形させるエネルギーに変換されることによって、衝撃加速度を減少させ、製品を保護する。
【0004】
このとき、内装材の変形だけではなく、包装箱の変形にも緩衝作用があるため、包装箱と内装材との両者の変形を緩衝装置として有効に作用させるために、内装材に面取りを施して包装箱との間に空間を設けたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
このような構造においては、衝撃吸収時の変形量は内装材よりも包装箱の方が大きくなる。すなわち、包装箱の緩衝効果の方が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−208659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の技術では、包装箱の緩衝効果によって衝撃を吸収しきれなかった場合、衝撃による変形が内装材にまで及ぶ。通常内装材は変形させることによって包装箱と同様に緩衝作用を期待するものであるが、衝撃から保護すべき製品の内装材と接触させるべきでは無い面(意匠面など)に変形した内装材が当たり、製品の表面を傷つける場合があり、この場合においては、内装材をできるだけ変形させない構造であることが求められる。この問題は、特に包装箱を角から落下させた場合に顕著に発生する傾向にある。
【0008】
このような角から落下させた場合の対策として、内装材の変形量を低減するために、内装材の材料又は形状を変更し、内装材の剛性を高めることが考えられ、落下時の変形量が減少することにより、意匠面などに傷が付くことは防止されやすくなる。しかし、緩衝作用が低減することによって落下衝撃加速度が上がり、製品に対して許容加速度以上の衝撃が加わって製品が破損してしまう可能性がある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、製品表面に傷を生じさせて製品の外観を損なうことなく落下衝撃から製品を保護する緩衝包装装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、製品を支持固定する内装材と、内装材を収容する包装箱とを備えた緩衝包装装置であって、内装材は、製品を収容する凹部と、凹部の周縁から凹部の内側へ突出し、凹部に収容された製品の各側面中央部を支持する複数の支持部と、包装箱の下面と側面とがなす稜との間に空間が形成されるように稜に沿って設けられた面取り部と、包装箱の下面側の角に対応する位置に設けられた切り欠き部と、を有する成型品であり、包装箱が変形しさらに変形が内装材に及んだ場合に製品の角が切り欠き部に入ることによって製品と内装材との接触を回避することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、製品表面に傷を生じさせて製品の外観を損なうことなく、製品の破損を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明にかかる緩衝包装装置の実施の形態の構成を示す断面斜視図である。
【図2】図2は、内装材を底面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる緩衝包装装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
実施の形態.
図1は、本発明にかかる緩衝包装装置の実施の形態の構成を示す断面斜視図である。図2は、内装材を底面側から見た斜視図である。
【0015】
緩衝包装装置1は、製品31を支持固定する内装材21と、内装材21を収容する包装箱10とで構成されている。内装材21には、包装箱10の下面と側面とがなす稜27に沿って面取り部23が設けられており、さらに包装箱10の下面側の角28に対応する位置が切り欠かれて、切り欠き部22が形成されている。内装材21はシェル構造の成型品であり、例えばパルプ繊維を原材料とするパルプモールド製である。内装材21は、縁の部分での外形形状が製品31よりも大きい凹部26を有している。凹部26の内壁面には、周縁から凹部26の内側へ突出するように支持部としてのリブ24が形成されている。製品31は、リブ24によって所定部分のみで内装材21に支持固定されており、所定の部分以外では凹部26の内壁面と製品31との間に隙間25が空いている。
【0016】
面取り部23を設けることによって、包装箱10の下面及び側面がなす稜27と内装材21との間に空間11が形成される。空間11を落下衝撃時の包装箱10の変形領域とすることによって、包装箱10の角28と稜27とを積極的に変形させて緩衝効果を得ることができる。
【0017】
しかしながら、さらなる落下衝撃力が加わった場合、空間11だけでは包装箱10の変形が完了せず、面取り部23が変形し、製品31と凹部26の内壁面との間の隙間25が無くなってしまうことがある。その結果、変形した内装材21が製品31の支持部以外の部分に当たることとなり、製品31の表面に傷が付く可能性がある。
【0018】
このような製品31の損傷を軽減するために、本実施の形態では切り欠き部22が設けられており、包装箱10の下面側の角28が変形し空間11さらに隙間25が消失した場合、内装材21と製品31の角が当たるが、切り欠き部22があることにより製品31への傷などの損傷を避けることが可能となる。
【0019】
本実施の形態の緩衝包装装置は、落下衝撃が加わった際に包装箱の下面側の角が内装材と干渉して内装材が変形することを、内装材の剛性を高めることなく防止できる。したがって、製品の破損だけでなく、変形した内装材が製品に当たって傷つけることを防止できる。
【0020】
内装材が、包装箱の下面側の角部に対応する部分に切り欠き部を有することにより、包装箱及び内装材を従来の構造よりも小さく設計しても、包装箱が内装材を変形させて内装材と製品との間の隙間を消失させることを防止する空間を確保できる。したがって、緩衝包装装置の小型化が可能となる。緩衝包装装置を小型化することにより、流通時に積載率を高め、効率的な輸送が可能となり、エネルギー消費を抑えることができる。また、パルプモールドで内装材を形成することにより、内装材の原材料が明確となり、再生資源としての利用や、再生材料としての使用が容易である。
【符号の説明】
【0021】
1 緩衝包装装置
10 包装箱
11 空間
21 内装材
22 切り欠き部
23 面取り部
24 リブ
25 隙間
26 凹部
27 稜
28 角
31 製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を支持固定する内装材と、該内装材を収容する包装箱とを備えた緩衝包装装置であって、
前記内装材は、
前記製品を収容する凹部と、
前記凹部の周縁から該凹部の内側へ突出し、該凹部に収容された前記製品の各側面中央部を支持する複数の支持部と、
前記包装箱の下面と側面とがなす稜との間に空間が形成されるように前記稜に沿って設けられた面取り部と、
前記包装箱の下面側の角に対応する位置に設けられた切り欠き部と、
を有する成型品であり、
前記包装箱が変形した際に、前記角が前記切り欠き部に入ることを特徴とする緩衝包装装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−18528(P2013−18528A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155053(P2011−155053)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】