説明

緩衝器の検査装置

【課題】作業者の手間や負担を軽減するとともに、減衰力特性を測定するための検査時間を大幅に短縮することが可能な緩衝器の検査装置を提供する。
【解決手段】緩衝器の一端側を固定状態で支持する固定支持部と、回転可能に支持されサーボモータ29の作動によって回転力が付与される回転ナット部35と、回転不能に取設されるとともに回転ナット部35に螺合され、回転ナット部35の回転に従って直線運動する可動ボールネジ部37と、緩衝器の他端側を保持するとともに、可動ボールネジ部37の直線運動に連動する可動保持部と、サーボモータ29の正転及び逆転を交互に繰り返すことにより、基準位置を中心に所定の振幅で可動ボールネジ部37を往復直線運動させ、可動保持部を介して緩衝器の他端側に振動を加える加振制御手段と、可動ボールネジ部37の往復直線運動を補助するアシスト機構43と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝器の検査装置、特に、緩衝器に所定の振幅の振動を与え、緩衝器の減衰力特性を評価する検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車に取付けられたサスペンションは、主に車輪の上下案内機構と、バネと、ダンパーとで構成されており、路面と車輪との間で生じた上下方向の力が車体に直接伝わることを防いでいる。つまり、サスペンションは、衝撃吸収性能を有しており、乗り心地を向上させるとともに、車両の安定性を確保している。
【0003】
このように、サスペンションは車両の走行に際して極めて重要な役割を果たすものであるため、製造の際には、その衝撃吸収性能が確実に得られるか否かについて評価する必要がある。このため、サスペンションにおける主要な構成部品であるダンパー等の緩衝器に関しては、組付け前に全数検査が行なわれ減衰力特性の評価がなされている。なお、この種の緩衝器は、シリンダ、及びシリンダ内に摺動可能に嵌挿されたロッドを備えて構成されており、その長さや形状、特に取付部分の形状には様々な種類のものがある。
【0004】
従来、緩衝器の検査装置として、本願出願人が先に提案した特許文献1に示すものが知られている。具体的には、図9に示すように、架台101に対して緩衝器Kの一端側(紙面上側)を固定状態で支持する固定支持部102と、緩衝器Kの他端側(紙面下側)を支持した状態でその他端側に所定の振幅の振動を与える振動装置103と、振動を加えた際に緩衝器Kに加わる荷重を検出する荷重検出手段104と、荷重検出手段104の出力に基づいて緩衝器Kの減衰力特性を評価するコントローラ(図示しない)とを備える検査装置100である。特に、この検査装置100では、検査対象である緩衝器Kの大きさや取付形状が異なっても容易に対応することができるように、緩衝器Kの他端側の形状に対応した可動支持部材106が可動取付部材107に取付けられるとともに、可動取付部材107がガイド部108に沿って摺動可能に装着されている。
【0005】
また、検査装置100における振動装置103は、モータ(図示しない)と、モータの回転軸に接続された減速機(図示しない)と、減速機の回転運動を直線運動に変換する変換手段112と、変換手段112を介することによって往復直線運動し、緩衝器Kの他端側に振動を加える加振部113とを備えて構成されている。つまり、モータの回転により減速機の回転軸を回転させると、変換手段112を介して加振部113が往復直線運動し、緩衝器Kに所定の振幅の振動を加えるようになっている。
【0006】
ところで、上記のように減速機の回転運動を往復直線運動に変化させるという、所謂クランク機構を用いるものでは、モータの制御によって加振速度を変化させることができても、振動の振幅(ストロークともいう)を変化させることはできなかった。
【0007】
そこで、上記の検査装置100では、変換手段112に以下の構成を具備している。すなわち、減速機のシャフトに取付けられ表面に複数の螺子孔115が穿設された回転部材116と、回転部材116の軸心に対して偏心した偏心軸117を有する偏心部材118と、一端側が偏心軸117に軸支されるとともに他端側が加振部113に軸支され、偏心軸118及び加振部113を連結する連結アーム119とを備えている。これによれば、加振部113は、軸心と偏心軸117との距離(偏心量)の二倍の振幅で振動することとなり、その偏心量は、回転部材116に対して調節ピン120を螺合させる螺子孔115の位置により決定されることになる。すなわち、調節ピン120を螺合させる螺子孔115の位置を変えることにより、加振部113の振幅が変化するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の検査装置100では、緩衝器Kに加える振動の振幅を変えるには、「調節ピン120の位置を変化させる」という、作業者の手作業による機械的な調整作業が必要となることから、作業者の手間や負担が多くなり、検査時間を短縮することが困難となっていた。
【0009】
また、緩衝器Kに加える振動の加振速度を段階的に変化させながら、それぞれの加振速度に対する減衰力を測定するという検査を連続的に行う場合のように、モータを回転させながら複数の検査を連続して行う場合には、緩衝器Kに加える振動の振幅を途中で変化させることができないため、連続して行われる複数の検査の中で最も大きな振幅を必要とする検査に合わせて、一定の振幅を設定しなければならなかった。詳しく説明すると、加振速度が極めて速い場合には、その速度に到達するまでに比較的大きな振幅(移動距離)を必要とするのに対し、加振速度が比較的遅い場合には、小さな振幅でもその速度に達することができるが、従来の検査装置100では、途中で振幅を変化させることができないため、加振速度が比較的遅い場合でも、加振速度が極めて速い場合に必要となる比較的大きな振幅で振動させなければならなかった。そして、この場合には、大きな振幅を比較的遅い速度で行うことになるため、検査時間が大幅に助長されていた。
【0010】
さらに、従来の検査装置100は、減速機及びクランク機構を介して振動を発生させるため、加振速度を目標の速度まで立ち上げたり、目標の速度に変化させたりするのに比較的時間を要していた。このため、従来の検査装置100では、実際に減衰力を測定する前に、加振部113を目標の加振速度に到達させるため(立上げるため)の往復運動を別途行わなければならず、制御が複雑になるとともに、検査時間が助長されていた。なお、単独の検査においても同様の問題を有しており、特に、単独の検査においては、測定後に、加振速度を減速させるための往復運動も必要となっていた。
【0011】
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、作業者の手間や負担を軽減するとともに、減衰力特性を測定するための検査時間を大幅に短縮することが可能な緩衝器の検査装置、を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明(第一発明)にかかる緩衝器の検査装置は、「シリンダ及びロッドを備えた緩衝器の一端側を固定状態で支持する固定支持部と、
正転及び逆転可能なモータと、
中心に雌ねじ部を有するとともに回転可能に支持され、前記モータの作動によって回転力が付与される回転ナット部と、
回転不能に取設されるとともに、前記回転ナット部の前記雌ねじ部に螺合され、前記回転ナット部の回転に従って前記ロッドの軸心方向と同一の方向に直線運動する可動ボールネジ部と、
前記緩衝器の他端側を保持するとともに、前記可動ボールネジ部の直線運動に連動する可動保持部と、
前記モータの正転及び逆転を交互に繰り返すことにより、基準位置を中心に所定の振幅で前記可動ボールネジ部を往復直線運動させ、前記可動保持部を介して前記緩衝器の他端側に振動を加える加振制御手段と、
前記可動ボールネジ部が前記往復直線運動する際、該可動ボールネジ部を前記基準位置に向かって付勢することで、前記往復直線運動を補助するアシスト機構と、
前記緩衝器に加わる荷重を検出する荷重検出手段と、
該荷重検出手段の出力に基づいて前記緩衝器の減衰力特性を評価する評価制御手段と
を具備する」ことを特徴とするものである。
【0013】
ここで、「アシスト機構」としては、弾性力を発生させるコイルバネ等の弾性体、空気圧や油圧によって付勢力を発生させるシリンダ等の圧縮器、電気エネルギーによって動力を発生させるモータ等の電動機、または磁力によって吸引力または反発力を発生させる永久磁石やソレノイド等の磁力発生手段を、例示することができる。
【0014】
本発明の緩衝器の検査装置によれば、検査対象である緩衝器の一端側を固定支持部に固定させ、他端側を可動保持部に保持した状態で、モータを回転させると、回転ナット部に回転力が付与され、回転ナット部が回転する。回転ナット部の雌ねじ部には可動ボールネジ部が螺合されているが、この可動ボールネジ部は回転不能に取設されているため、回転ナット部の回転に従って直線運動することとなる。特に、加振制御手段によってモータの回転方向が制御されており、モータの正転及び逆転が交互に繰り返されるため、可動ボールネジ部は、基準位置を中心に所定の振幅で往復直線運動する。そして、可動ボールネジ部の往復直線運動は、所定の振幅の振動として、可動保持部を介して緩衝器の他端側に加えられる。なお、この際、緩衝器に加わる荷重が検出されるとともに、検出された荷重に基づいて緩衝器の減衰力特性が評価される。
【0015】
このように、モータによって回転する回転ナット部と、回転ナット部の雌ねじ部に螺合された可動ボールネジ部とを組み合わせること(所謂「ボールネジ方式」を用いたこと)により、可動ボールネジ部の移動量、すなわち緩衝器に加える振動の振幅を、モータの制御によって自由に設定することが可能になる。このため、手作業による振幅の調整作業が不要となり、作業者の手間や負担を軽減することができる。また、例えば、緩衝器に加える振動の加振速度を段階的に変化させながら、それぞれの加振速度に対する減衰力を測定するという検査を連続的に行う場合には、それぞれの加振速度に応じた振幅を設定することにより、必要以上に大きな振幅で振動させることがなくなり、一連の検査時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0016】
また、ボールネジ方式では、可動ボールネジ部を一往復させる途中で加振速度を目標の速度に到着させることが容易となるため、従来、加振速度を変化させるために設けられていた余分の往復運動を省くことができ、検査時間をさらに短縮することが可能となる。
【0017】
ところで、上記の構成を採用した場合、検査時間を大幅に短縮させることが可能となる反面、可動ボールネジ部を一往復させるのに回転ナット部を複数回回転させる必要があることから、緩衝器に加える振動の加振速度が比較的速い場合(例えば0.6m/sの場合)には、モータを極めて高速で回転させなければならず、市販のモータでは十分なトルクを発生させることが困難となる。なお、正弦波の振動では、各死点で加振速度がゼロとなり、基準位置を通過した際に最高の加振速度となるため、それぞれの死点から基準位置に向って動き出す際、すなわちモータの回転方向が切り替わった直後に、最も大きなトルクが必要となる。
【0018】
そこで、本発明の検査装置では、さらにアシスト機構を備えており、可動ボールネジ部が往復直線運動する際、可動ボールネジ部を基準位置に向かって付勢するように構成されている。このため、各死点から基準位置に達するまでは、アシスト機構によって可動ボールネジ部の運動が促進され、ひいてはモータのトルクが比較的小さくても、基準位置において目標の加振速度に到達させることが可能になる。一方、基準位置から各死点に達するまでは、アシスト機構によって可動ボールネジ部の運動方向とは逆向きの力が加わるため、可動ボールネジ部の運動を制動すること、すなわち可動ボールネジ部の減速動作を補助することが可能になる。
【0019】
本発明(第二発明)にかかる緩衝器の検査装置は、「シリンダ及びロッドを備えた緩衝器の一端側を固定状態で支持する固定支持部と、
正転及び逆転可能なモータと、
回転可能に支持され、前記モータの作動によって回転力が付与されるボールネジ部と、
回転不能に取設されるとともに、前記ボールネジ部に螺合され、該ボールネジ部の回転に従って前記ロッドの軸心方向と同一の方向に直線運動する可動ナット部と、
前記緩衝器の他端側を保持するとともに、前記可動ナット部の直線運動に連動する可動保持部と、
前記モータの正転及び逆転を交互に繰り返すことにより、基準位置を中心に所定の振幅で前記可動ナット部を往復直線運動させ、前記可動保持部を介して前記緩衝器の他端側に振動を加える加振制御手段と、
前記可動ナット部が前記往復直線運動する際、該可動ナット部を前記基準位置に向かって付勢することで、前記往復直線運動を補助するアシスト機構と、
前記緩衝器に加わる荷重を検出する荷重検出手段と、
該荷重検出手段の出力に基づいて前記緩衝器の減衰力特性を評価する評価制御手段と
を具備する」ことを特徴とするものである。
【0020】
本発明の緩衝器の検査装置によれば、検査対象である緩衝器の一端側を固定支持部に固定させ、他端側を可動保持部に保持した状態で、モータを回転させると、ボールネジ部に回転力が付与され、ボールネジ部が回転する。ボールネジ部には可動ナット部が螺合されているが、この可動ナット部は回転不能に取設されているため、ボールネジ部の回転に従って直線運動することとなる。つまり、前述した第一発明では、回転ナット部を回転させて可動ボールネジ部を往復直線運動させるものを示したが、第二発明では、これとは逆に、ボールネジ部を回転させて可動ナット部を往復直線運動させるものであり、可動ナット部の動作が可動保持部を介して緩衝器の他端側に振動として加わるようになっている。したがって、第一発明と同様、作業者の手間や負担を軽減することができるとともに、検査時間を大幅に短縮することが可能になる。また、第二発明においても、アシスト機構によって可動ナット部の往復直線運動を補助する構成を採用しているため、モータにかかる負荷を軽減し、速やかに且つ正確に動作させることが可能である。
【0021】
また、第一発明または第二発明の緩衝器の検査装置において、「前記アシスト機構は、互いに直列に配置され、前記可動ボールネジ部または前記可動ナット部に対し互いに逆向きに弾性力を発生させる一対のコイルバネを備えて構成されている」ようにしてもよい。
【0022】
本発明の緩衝器の検査装置によれば、アシスト機構は二つのコイルバネを備えており、一方のコイルバネ(以下、「第一バネ」という)は、一方の死点(例えば上死点)側に変位した可動ボールネジ部または可動ナット部を基準位置側に戻すように付勢し、他方のコイルバネ(以下、「第二バネ」という)は、他方の死点(例えば下死点)側に変位した可動ボールネジ部または可動ナット部を基準位置側に戻すように付勢している。ここで、第一バネ及び第二バネは、直線上に配置され、力の大きさが互いに等しく、且つ逆向きに力を発生させるため、可動ボールネジ部または可動ナット部が基準位置にある場合には、互いの弾性力が打消し合い、つり合った状態となる。一方、可動ボールネジ部または可動ナット部が、いずれかの死点側に向って変位すると、第一バネまたは第二バネの一方が収縮しそのバネにエネルギーが蓄積される。そして、モータの回転方向が逆転し、一方の死点から基準位置に向う場合には、第一バネまたは第二バネに蓄えられたエネルギーが使われ、可動ボールネジ部または可動ナット部の運動エネルギーとなる。
【0023】
このように、本発明では極めて簡単な構成でアシスト機構を構築しながらも、基準位置から離れる際には、可動ボールネジ部または可動ナット部を制動しつつ、アシスト機構にエネルギーが蓄積されるようになっているため、高圧空気や電気等、外部からエネルギーを供給しなくても、アシスト機構を継続して動作させることができる。
【発明の効果】
【0024】
このように、本発明によれば、手作業による振幅の調整作業が不要となり、作業者の手間や負担を軽減することができる。また、加振速度に応じて振幅の大きさを設定することが可能になり、一連の検査時間を大幅に短縮することができる。さらに、アシスト機構を備えることにより、モータにかかる負荷を軽減するとともに、加振速度が比較的速い場合でも正確な振幅の振動を確実に生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態である緩衝器の検査装置の構成を示す右側面図である。
【図2】検査装置の構成を示す正面図である。
【図3】検査装置における要部の構成を示す拡大正面図である。
【図4】検査装置における要部の構成を示す拡大右側面図である。
【図5】検査装置における表示画面の構成を示すブロック図である。
【図6】振動波形を説明するための波形図である。
【図7】アシスト機構の効果を説明するための波形図である。
【図8】バネを備えた緩衝器の、減衰力測定に関する波形図である。
【図9】従来の検査装置の構成を示す表面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態である緩衝器の検査装置(以下、単に「検査装置」と称す)について、図1乃至図8に基づき説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態の検査装置1は、箱状のモータボックス2と、モータボックス2の後側上方に配設された縦長の制御盤3と、モータボックス2の前側上方に配設された検査装置本体4とを具備して構成されている。なお、モータボックス2は、図3に示すように、ベース板5及び上板7等を有するとともに、正面に扉8(図2参照)が開閉可能に取付けられ、内部には、振動を発生させるための機構(詳細は後述する)が収容されている。また、制御盤3は、背面に扉12が開閉可能に取付けられており、内部には、検査装置1を動作させるためのコントローラ62となるパソコンや各種制御部材が収容されている。また、制御盤3の上面には、ブースター13が載置されている。
【0027】
検査装置本体4は、主に、ベース板5から鉛直方向に立設された二本の支柱15と、各支柱15の上端部分に横架された上側固定部材16と、右側の支柱15に表示器取付部材17を介して取付けられたディスプレイ18と、二本の支柱15間に配設された検査機構部19とを備えて構成されている。なお、ディスプレイ18は、タッチパネルとしての機能を有しており、パソコンに各種設定条件を入力するための入力装置として使用されるようになっている。
【0028】
以下、検査機構部19について詳細に説明する。上側固定部材16には、スペーサー21を介して板状の固定取付部材22が設けられており、さらにその下面に固定支持部材23がボルト24によって着脱可能に取付けられている。固定支持部材23は、緩衝器Kの一端側に形成された環状の取付部Tを支持するためのものであり、この例では垂下された垂設部材25と、垂設部材25を貫通して左方向に突出した係止ピン26とを有している。また、スペーサー21,21の間には、緩衝器Kに加わる荷重を検出する荷重検出手段27が設けられている。ここで、固定支持部材23が本発明の固定支持部に相当する。
【0029】
一方、モータボックス2の内部には、緩衝器Kに所定の振幅の振動を与えるための機構として、図3及び図4に示すように、取付台28に取付けられ正転及び逆転が可能なサーボモータ29と、サーボモータ29の回転軸29aに連結された駆動プーリ30と、取付台28に対し回転可能に支持された従動プーリ33と、駆動プーリ30及び従動プーリ33を繋ぐタイミングベルト31と、ナット支持部34によって回転可能に支持され従動プーリ33と一体的に回転する回転ナット部35と、回転ナット部35の中心に形成された雌ねじ部(図示しない)に螺合されるとともに、上板7に取付けられたネジ支持部36によって回転不能に支持された可動ボールネジ部37と、可動ボールネジ部37の上端に連結され緩衝器Kの他端側に振動を加える加振部32(図2参照)と、が配設されている。ここで、サーボモータ29が本発明のモータに相当する。
【0030】
つまり、サーボモータ29を回転させると、駆動プーリ30、タイミングベルト31、及び従動プーリ33を介して、回転ナット部35に回転力が付与され、回転ナット部35が回転するようになっている。また、回転ナット部35の雌ねじ部に螺合された可動ボールネジ部37はネジ支持部36によって回転不能に取設されており、回転ナット部35の回転に従って可動ボールネジ部37は直線運動するようになっている。特に、サーボモータ29の回転方向は、コントローラ62によって制御されるようになっており、コントローラ62がサーボモータ29の正転及び逆転を交互に繰り返すように制御した場合には、可動ボールネジ部37は、基準位置を中心に所定の振幅で往復直線運動し、その往復運動が、加振部32を介して緩衝器Kの他端側に加えられるようになっている。ここで、コントローラ62が本発明の加振制御手段、及び評価制御手段に相当する。なお、コントローラ62による具体的な制御については後述する。
【0031】
また、本例の検査装置1では、第一コイルバネ41及び第二コイルバネ42からなるアシスト機構43を備えている。ここで、第一コイルバネ41は、可動ボールネジ部37の一部を囲むように設けられ、可動ボールネジ部37の略中央部分に固定された円盤状のストッパ38と取付台28に装着された下側当接部材39との間に配置されている。また、第二コイルバネ42は、第一コイルバネ41と直列になるように、上板7に装着された上側当接部材40とストッパ38との間に配設されている。これによれば、図4において、例えば可動ボールネジ部37が上方に移動すると、可動ボールネジ部37に固定されたストッパ38も上昇することから、ストッパ38と上側当接部材40との間隔が狭くなり、ストッパ38と下側当接部材39との間隔が広くなる。この結果、第二コイルバネ42は縮み、第一コイルバネ41は伸びることとなり、ストッパ38及び可動ボールネジ部37を下方に向って付勢する力(弾性力)が発生する。一方、これとは逆に、可動ボールネジ部37が下方に移動すると、ストッパ38と下側当接部材39との間隔が狭くなり、ストッパ38と上側当接部材40との間隔が広くなる。この結果、第一コイルバネ41は縮み、第二コイルバネ42は伸びることとなり、ストッパ38及び可動ボールネジ部37を上方に向って付勢する力(弾性力)が発生する。そして、可動ボールネジ部37が振動の中心である基準位置に位置したとき、第一コイルバネ41と第二コイルバネ42の弾性力がつり合い、ストッパ38及び可動ボールネジ部37に付勢力が作用しないようになっている。なお、アシスト機構43の作用効果については、詳細を後述する。
【0032】
図2に示すように、加振部32は、可動ボールネジ部37の上面に取付けられた支持板45と、支持板45の左右端部から垂設された円柱状のガイド部46と、ガイド部46が挿通された第一可動取付部材47と、第一可動取付部材47をガイド部46における所望の高さで保持する保持手段49とを備えている。なお、保持手段49は、レバー50及び固定螺子(図示しない)を有しており、レバー50の回転操作によって固定螺子に推進力を与え、ガイド部46の周面に固定螺子の先端を圧接させることにより保持状態が保たれるようになっている。ここで、加振部32が本発明の可動保持部に相当する。
【0033】
第一可動取付部材47には、シリンダ52が取付けられており、シリンダ52の動作により押え部材53が昇降するようになっている。この押え部材53は、緩衝器Kの他端を支持するためのものであり、上面が凹状に湾曲している。
【0034】
また、加振部32は、ガイド部46が挿通された可動係止部材55と、可動係止部材55をガイド部46における所望の高さで保持する保持手段57とを備えている。なお、可動係止部材55には、緩衝器KにおけるロッドPの直径より僅かに広い、溝状の切欠58が形成されている。これによれば、緩衝器KのハウジングHを二つの可動部材47,55の間に位置させた状態で、シリンダ52を動作させ、押え部材53を上昇させると、緩衝器KのハウジングHは、押え部材53と可動係止部材55とによって挟持される。この際、緩衝器KにおけるロッドPは、切欠58に挿通し、その先端に形成された環状の取付部Tが固定支持部材23の係止ピン26に係止されるようになっている。
【0035】
次に、本実施形態の検査装置1における測定方法、及び測定条件等の設定方法について説明する。測定には、ゼロ測定、予備加振、ガス測定、及び減衰力測定の四種類の動作があり順に実行される。ゼロ測定とは、緩衝器Kを装着しない状態で、機械原点復帰後に荷重検出手段27によって荷重のサンプリングを行ない、ゼロ測定値、すなわち減衰力測定荷重波形のオフセット量を設定するものである。予備加振とは、減衰力を測定する前の慣らし加振である。ガス測定とは、緩衝器Kが有するガスの反発力を差引くため、加振させることなく加振中心点での荷重をサンプリングするものである。減衰力測定とは、緩衝器Kの減衰力特性を測定するものであり、任意の速度で複数回の加振を行ない、その間に検出される荷重検出手段27の出力を連続的にサンプリングするものである。具体的には、緩衝器Kの他端側の変位と荷重検出手段27の出力との関係(以下、「第一測定項目」という)、及び緩衝器Kの他端側に加えられる振動の加振速度と荷重検出手段27の出力との関係(以下、「第二測定項目」という)が測定されるようになっている。また、バネを備えた緩衝器Kに対して、バネ特性を把握するために、緩衝器Kの他端側の変位とバネ荷重(荷重検出手段27の出力)との関係(以下、「第三測定項目」という)も測定できるようになっている。以下、第一〜第三測定項目について詳細に説明する。
【0036】
まず、第一測定項目では、サーボモータ29を制御して、可動ボールネジ部37を往復直線運動させることで、加振部32を介して緩衝器Kの他端側に正弦波の振動を加える。そして、振動を加えながら荷重検出手段27の出力を連続的にサンプリングし、サンプリングされた出力値から、荷重の最大値(圧側減衰力)及び最小値(伸側減衰力)を抽出し、各減衰力値を、規格中心値及び交差と比較することにより良否の判断を行なう。なお、複数のポイントの変位を指定し、それらの変位における圧側及び伸側の荷重を検出して良否の判定を行なうことも可能である。なお、緩衝器Kの他端側の変位を検出するにあたって、専用の変位検出センサを用いてもよいが、本例では、サーボモータ29に備えられたエンコーダから出力されるパルスをカウントすることにより変位を取得している。
【0037】
ところで、本例では、前述したように、サーボモータ29によって回転する回転ナット部35と、回転ナット部35の雌ねじ部に螺合された可動ボールネジ部37とを組合わせることにより振動を発生させるため、可動ボールネジ部37の移動量、すなわち緩衝器Kに加える振動の振幅を、サーボモータ29の制御によって自由に設定することが可能である。このため、例えば緩衝器Kの種類や検査の内容に応じて、緩衝器Kの他端側に加える振動の振幅を変更する場合があっても、手作業による調整作業を行うことなく速やかに変更することができ、ひいては、作業者の手間や負担を軽減するとともに、作業工数を大幅に低減することができる。
【0038】
次に、第二測定項目では、サーボモータ29を制御して、指定された速度で可動ボールネジ部37を往復直線運動させることで、加振部32を介して緩衝器Kの他端側に、所定の加振速度の振動(正弦波)を加える。そして、荷重検出手段27の出力を連続的にサンプリングし、サンプリングされた出力値から、荷重の最大値(目標の加振速度に達した際の減衰力値)を抽出し、この減衰力値を、規格中心値及び交差と比較することにより良否の判断を行なう。なお、この検査では、緩衝器Kの他端側に加えられる振動の加振速度と荷重検出手段27の出力との関係を評価するため、複数の加振速度に対してそれぞれ減衰力値を測定する必要がある。そこで本例では、緩衝器Kに加える振動の加振速度を段階的に順次変化させながら、それぞれの加振速度に対する減衰力値を測定するという検査が行われるようになっている。
【0039】
ところで、クランク機構を備えた検査装置(従来の検査装置)によって第二測定項目の検査を行おうとすると、緩衝器Kの他端側に対し、図6(a)に示すような正弦波の振動を加える必要がある。ここで、「1速」〜「3速」は、加振速度の大きさを示しており、「1速」が一番速く、「3速」が一番遅い速度である。具体的には、「1速」が0.6m/s、「2速」が0.3m/s、「3速」が0.1m/sに設定され、それぞれの加振速度で二回振動(二往復)させる間、荷重検出手段27の出力が連続的にサンプリングされるようになっている。この波形からわかるように、クランク機構を備える従来の検査装置では、測定用の振動とは別に、目標の加振速度まで立ち上げたり目標の加振速度に変化させたりするための振動が介在して行われるようになっている。このため、制御が複雑になるとともに、検査時間が助長されていた。
【0040】
これに対し、本例の検査装置1では、サーボモータ29によって回転する回転ナット部35と、回転ナット部35の雌ねじ部に螺合された可動ボールネジ部37とを組合わせることにより振動を発生させるため、可動ボールネジ部37を一往復させる途中で加振速度を目標の速度に到着させることができるようになる。したがって、図6(b)に示すように、加振速度を変化させるために設けられていた余分な往復運動を省くことができ、これによれば一連の検査時間を短縮することが可能となる。具体的には、従来、8.2秒かかっていた検査を、4.7秒で行うことが可能になる。
【0041】
さらに、本例の検査装置1では、本例では、前述したように、緩衝器Kに加える振動の振幅を、サーボモータ29の制御によって自由に設定することが可能であるため、図6(c)に示すように、それぞれの加振速度に応じた振幅を設定している。つまり、従来の検査装置では、途中で振幅を変化させることができないため、図6(a)に示すように、加振速度が比較的遅い場合でも、加振速度が速い場合に必要となる比較的大きな振幅(例えば±25mm)で振動させなければならならず、検査時間が長くなっていたが、本例では、「2速」の場合の振幅を±20mmとし、「3速」の場合の振幅を±15mmとしている。これにより必要以上に大きな振幅で振動させることがなくなり、一連の検査時間をさらに短縮することが可能となる。例えば、振幅が固定である場合(図6(b)の場合)に4.7秒かかっていた検査を、図6(c)の場合には、3.2秒で行うことが可能になる。
【0042】
ところで、ボールネジ方式を採用した場合、上記のように検査時間を大幅に短縮させることが可能となる反面、可動ボールネジ部37を一往復させるのに回転ナット部35を複数回回転させる必要があることから、緩衝器Kに加える振動の加振速度が比較的速い場合(例えば0.6m/sの場合)には、サーボモータ29を極めて高速で回転させなければならず、市販のサーボモータでは十分なトルクを発生させることが困難となる。詳しく説明すると、図7(a)に示すように、振幅が、例えば下死点(−25mm)から基準位置(0mm)を通って上死点(+25mm)に到達し、さらに上死点から基準位置を通って下死点に到達するという、正弦波の振動では、図7(b)に示すように、振動の加振速度は、下死点及び上死点でゼロとなり、基準位置を通過した際に最高値となる。なお、この際、サーボモータ29の回転速度は、図7(c)に示すように加振速度に対応した波形となり、それぞれの死点から基準位置に変位する間は加速され、基準位置から死点に変位する間は減速されるように制御される。また、サーボモータ29において必要となるトルク(アシスト機構43を備えないと仮定した場合のトルク)に関して言えば、図7(d)に示すように、それぞれの死点から基準位置に向って動き出す際、すなわちサーボモータ29の回転方向が切り替わった直後に、最も大きなトルクが必要となる。しかしながら、市販のモータだけでは、高速で回転させながら大きなトルクを発生させることは困難であり、ひいては、検査装置の大型化及び高価格化につながることが懸念される。
【0043】
これに対し、本例の検査装置1では、第一コイルバネ41及び第二コイルバネ42からなるアシスト機構43を備えており、可動ボールネジ部37が往復直線運動する際、可動ボールネジ部37を基準位置に向かって付勢するように構成されている。このため、各死点(上死点または下死点)から基準位置に達するまでは、アシスト機構43に蓄えられたエネルギーが放出されること(図7(e)の(イ)参照)によって可動ボールネジ部37の運動が促進され、ひいては図7(f)に示すようにサーボモータ29のトルクが比較的小さくても、基準位置において目標の加振速度に到達させることが可能になる。一方、基準位置から各死点に達するまで(基準位置から離れる際)は、アシスト機構43によって可動ボールネジ部37の運動方向とは逆向きの力が加わるため、可動ボールネジ部37の運動を制動すること、すなわち可動ボールネジ部37の減速動作を補助することが可能になる。また、この際、第一コイルバネ41または第二コイルバネ42の変形によってアシスト機構43にエネルギーが蓄積されるため(図7(e)の(ロ)参照)、その後、蓄積されたエネルギーを用いて可動ボールネジ部37の運動を促進させることが可能になる。
【0044】
次に、第三測定項目について説明する。オートバイ等では、バネが組込れた緩衝器が用いられる場合がある。そして、このような緩衝器を検査対象として、例えば第一測定項目の検査を行うと、図8(a)に示すような測定結果となる。これは、緩衝器の荷重(減衰力)にバネ荷重を加えたものが荷重検出手段27から出力されるためであり、これによれば、減衰力特性を正確に評価することができない。そこで、第三測定項目では、図8(b)に示すように、変位に対するバネ荷重(すなわちバネ特性)を予め測定し、図8(a)に示す荷重検出手段27の出力から、測定したバネ荷重による増加分を引くことにより、緩衝器の減衰力を算出している。このため、図8(a)の波形が、図8(c)に示す波形に変換され、この結果、第一測定項目と同様の方法で評価することが可能になる。
【0045】
なお、バネ荷重を測定する際には、緩衝器の減衰力特性の影響を受けないように、緩衝器の他端側に三角波または台形波の振動を加え、一定の低速度で緩衝器のロッドを変位させながら、バネ荷重を測定するようになっている。つまり、ボールネジ方式では、緩衝器に加える振動の波形も自由に設定することができるため、正確に且つ比較的速やかにバネ特性を測定することが可能になる。
【0046】
ところで、上記した各種測定を行なう際、及び測定条件等を設定する場合には、タッチパネルとしての機能を有するディスプレイ18を介して行なわれる。具体的には、図5に示すように、メインメニュー70が検査装置1におけるメインウィンドウであり、起動時に最初に表示される。そして、メインメニュー70から、設定画面71、測定画面72、機種選択画面73、及び印刷画面74に移行させることが可能である。なお、機種選択画面73では機種名を入力することが可能であるが、さらに機種一覧画面82に移行することにより、一覧表の中から機種名を選択することが可能になる。また、設定画面71には、動作別に複数のページに分かれており、ゼロ測定画面75、予備加振画面76、ガス測定画面77、及び減衰力測定画面78が存在し、減衰力測定画面78からは、第一測定画面79、第二測定画面80、及び第三測定画面81に移行することができるようになっている。なお、予備加振画面76では、予備加振の有無、予備加振の速度及び回数を設定することができ、ガス設定画面77では、ガス測定の有無、ガス測定値の中心規格値及び交差等の条件を設定することができるようになっている。また、第一測定画面79〜第三測定画面81では、減衰力測定の有無、加振速度、振幅、ピーク規格値及び交差等の条件を設定することができるようになっている。
【0047】
また、測定画面72では、検出された変位または加振速度と荷重との関係が数値及びグラフ(波形)で表示されるとともに、判定結果が表示されるようになっている。なお、操作及びデータの入力は、基本的には上記したようにタッチパネルによって行なわれるが、ポインティングデバイスやキーボードを併用することができる。そして、キーボードを利用する場合には、「矢印キー」によって所定の項目から別の項目へ移動させることを可能にしている。
【0048】
このように、本実施形態の検査装置1によれば、サーボモータ29によって回転する回転ナット部35と、回転ナット部35の雌ねじ部に螺合された可動ボールネジ部37とを備えるため、緩衝器Kに加える振動の振幅を、サーボモータ29の制御によって自由に設定することが可能である。また、比較的安価で且つ小型の検査装置でありながらも、振幅の大きさ、加振速度、及び振動の波形を自由に制御することができるため、検査時間を短縮するとともに、精度の高い検査が可能になる。例えば、緩衝器Kに加える振動の加振速度を段階的に変化させながら減衰力を測定する検査においては、それぞれの加振速度に応じて振幅を個々に設定したことにより、一連の検査時間を大幅に短縮することができる。また、バネを備えた緩衝器に対しては、三角波の振動を加えたことにより、バネ特性を容易に測定することが可能となり、バネ荷重を含まない減衰力特性を正確に評価することができる。
【0049】
また、本実施形態の検査装置1によれば、アシスト機構43を備えるため、加振速度が比較的速い場合でも、サーボモータ29にかかる負荷を軽減するとともに、正確な振幅の振動を速やかに加えることができる。特に、極めて簡単な構成でアシスト機構43を構築しながらも、基準位置から離れる際には、可動ボールネジ部37を制動しつつ、アシスト機構43にエネルギーを蓄積するため、高圧空気や電気等、外部からエネルギーを供給することなく、アシスト機構43を継続して動作させることができる。
【0050】
さらに、本実施形態の検査装置1によれば、緩衝器Kの一端側の形状に応じた固定支持部材を固定取付部材22に取付け、緩衝器Kの他端側の形状に応じた可動支持部材を第二可動取付部材47に取付けることにより、緩衝器Kの形状が変わってもその緩衝器Kを確実に支持することができる。つまり、複数の種類の緩衝器Kに応じた固定支持部材及び可動支持部材を夫々常備しておくことにより、一台の検査装置1で、多品種の緩衝器Kに対応することが可能になる。
【0051】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0052】
すなわち、上記実施形態では、回転ナット部35を回転させて可動ボールネジ部37を往復直線運動させるものを示したが、これとは逆に、ボールネジ部を回転させて可動ナット部を往復直線運動させるようにしてもよい。具体的には、回転可能に支持され、サーボモータ29の作動によって回転力が付与されるボールネジ部(図示しない)と、回転不能に取設されるとともに、ボールネジ部に螺合され、ボールネジ部の回転に従ってロッドの軸心方向と同一の方向に直線運動する可動ナット部(図示しない)と、緩衝器Kの他端側を保持するとともに、可動ナット部の直線運動に連動する可動保持部とを備えるものである。したがって、この構成を用いた場合でも、上記実施形態と同様、作業者の手間や負担を軽減することができるとともに、検査時間を大幅に短縮することが可能になる。
【0053】
また、上記実施形態では、アシスト機構43として、第一コイルバネ41及び第二コイルバネ42から構成されたものを示したが、空気圧や油圧によって付勢力を発生させるシリンダ等の圧縮器、電気エネルギーによって動力を発生させるモータ等の電動機、または磁力によって吸引力または反発力を発生させる永久磁石やソレノイド等の磁力発生手段を用いて構成することも可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 緩衝器の検査装置
23 固定支持部材(固定支持部)
27 荷重検出手段
29 サーボモータ(モータ)
32 加振部(可動保持部)
35 回転ナット部
37 可動ボールネジ部
41 第一コイルバネ
42 第二コイルバネ
43 アシスト機構
62 コントローラ(加振制御手段,評価制御手段)
K 緩衝器
H ハウジング(シリンダ)
P ロッド
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特開2003−28750号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ及びロッドを備えた緩衝器の一端側を固定状態で支持する固定支持部と、
正転及び逆転可能なモータと、
中心に雌ねじ部を有するとともに回転可能に支持され、前記モータの作動によって回転力が付与される回転ナット部と、
回転不能に取設されるとともに、前記回転ナット部の前記雌ねじ部に螺合され、前記回転ナット部の回転に従って前記ロッドの軸心方向と同一の方向に直線運動する可動ボールネジ部と、
前記緩衝器の他端側を保持するとともに、前記可動ボールネジ部の直線運動に連動する可動保持部と、
前記モータの正転及び逆転を交互に繰り返すことにより、基準位置を中心に所定の振幅で前記可動ボールネジ部を往復直線運動させ、前記可動保持部を介して前記緩衝器の他端側に振動を加える加振制御手段と、
前記可動ボールネジ部が前記往復直線運動する際、該可動ボールネジ部を前記基準位置に向かって付勢することで、前記往復直線運動を補助するアシスト機構と、
前記緩衝器に加わる荷重を検出する荷重検出手段と、
該荷重検出手段の出力に基づいて前記緩衝器の減衰力特性を評価する評価制御手段と
を具備することを特徴とする緩衝器の検査装置。
【請求項2】
シリンダ及びロッドを備えた緩衝器の一端側を固定状態で支持する固定支持部と、
正転及び逆転可能なモータと、
回転可能に支持され、前記モータの作動によって回転力が付与されるボールネジ部と、
回転不能に取設されるとともに、前記ボールネジ部に螺合され、該ボールネジ部の回転に従って前記ロッドの軸心方向と同一の方向に直線運動する可動ナット部と、
前記緩衝器の他端側を保持するとともに、前記可動ナット部の直線運動に連動する可動保持部と、
前記モータの正転及び逆転を交互に繰り返すことにより、基準位置を中心に所定の振幅で前記可動ナット部を往復直線運動させ、前記可動保持部を介して前記緩衝器の他端側に振動を加える加振制御手段と、
前記可動ナット部が前記往復直線運動する際、該可動ナット部を前記基準位置に向かって付勢することで、前記往復直線運動を補助するアシスト機構と、
前記緩衝器に加わる荷重を検出する荷重検出手段と、
該荷重検出手段の出力に基づいて前記緩衝器の減衰力特性を評価する評価制御手段と
を具備することを特徴とする緩衝器の検査装置。
【請求項3】
前記アシスト機構は、互いに直列に配置され、前記可動ボールネジ部または前記可動ナット部に対し互いに逆向きに弾性力を発生させる一対のコイルバネを備えて構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の緩衝器の検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−249636(P2010−249636A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98891(P2009−98891)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(300026203)共栄テクニカ株式会社 (3)