緩衝材ブロックの製造装置および緩衝材ブロックの製造方法
【課題】緩衝材密度を管理した緩衝材ブロックを製造する緩衝材ブロックの製造装置を提供すること。
【解決手段】円筒形の外型枠110を搭載した状態で型枠の軸心まわりに等速回転可能なテーブル装置2と、テーブル装置2の上方域に設置され、テーブル装置2に搭載された外型枠110の内部に撒き出され、外型枠110とともに等速回転する緩衝材を締め固める転圧装置とを備えた緩衝材ブロックの製造装置において、テーブル装置2の上方域に設置され、締め固めた緩衝材の積層高さを逐次計測する計測装置36と、外型枠110の内周面に取り付けられ、かつ計測装置36によって認識され、特異値となって現れるゼロ点標識ターゲット4と、計測装置36が特異値を計測してからつぎに特異値を計測するまでの間に逐次計測した緩衝材の積層高さをそれぞれ円周方向位置と関連づける管理装置5とを備えたので、緩衝材密度を管理した緩衝材ブロックを製造できる。
【解決手段】円筒形の外型枠110を搭載した状態で型枠の軸心まわりに等速回転可能なテーブル装置2と、テーブル装置2の上方域に設置され、テーブル装置2に搭載された外型枠110の内部に撒き出され、外型枠110とともに等速回転する緩衝材を締め固める転圧装置とを備えた緩衝材ブロックの製造装置において、テーブル装置2の上方域に設置され、締め固めた緩衝材の積層高さを逐次計測する計測装置36と、外型枠110の内周面に取り付けられ、かつ計測装置36によって認識され、特異値となって現れるゼロ点標識ターゲット4と、計測装置36が特異値を計測してからつぎに特異値を計測するまでの間に逐次計測した緩衝材の積層高さをそれぞれ円周方向位置と関連づける管理装置5とを備えたので、緩衝材密度を管理した緩衝材ブロックを製造できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄体を囲繞する緩衝材ブロックを製造する緩衝材ブロックの製造装置および緩衝材ブロックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所における原子力の利用に伴い発生する放射性廃棄物は、人間環境に有意な影響を及ぼすことがないよう安全に管理するために適切な方法で処理が行われた後、最終処分される。たとえば、再処理で使用済燃料からウラン、プルトニウム等の有用物を分離した後に残存する放射能レベルの高い廃棄物(高レベル放射性廃棄物)は、ガラスで固化した後、30年から50年冷却のために貯蔵され、その後、地下深く埋設処分される。
【0003】
ガラスで固化した放射性廃棄物(ガラス固化体)を埋設する埋設処分施設(地下施設)は、地上施設から廃棄体(ガラス固化体をオーバーパック(金属製の容器)に封入したもの)や建設資材などを搬送するためのアクセス坑道や連絡坑道、廃棄体を定置するための処分坑道や処分孔などから構成される。
【0004】
廃棄体の定置方法には、処分坑道から処分孔を一定間隔で掘削し、そこに廃棄体を定置する廃棄体縦置方式と、処分坑道に廃棄体を定置する廃棄体横置方式とがある。廃棄体縦置方式は、処分孔内を廃棄体と緩衝材とによって充填するように定置する方法であって、廃棄体と処分孔の内壁面との間には緩衝材が充填される。廃棄体横置方式は、廃棄体を緩衝材で囲繞した廃棄体パッケージを処分坑道内に定置する方法であって、廃棄体パッケージと処分坑道の内壁面との間には、緩衝材や埋め戻し材が充填される。
【0005】
緩衝材は、たとえば、ベントナイトと砂とを混合したベントナイト系土質材料が使用され、緩衝材を締め固めることにより、所定の弾性および遮水性を発揮する。そして、緩衝材は、地震等の外力が加わって処分孔や処分坑道が変形した場合に廃棄体に加わる外力を低減するとともに、地下水の侵入を阻止する。
【0006】
ところで、緩衝材を締め固めた緩衝材ブロックの性能は、ベントナイトと砂の混合比や乾燥密度によって評価され、締固め特性、熱的性質、水理的特性、力学的特性、膨潤特性、化学的性質、緩衝材の乾燥収縮、透気性、コロイドフィルトレーション機能、高温環境下における特性、ブロック間継ぎ目の特性、変質と流出特性に関するデータや知見を基に、Na型ベントナイト70wt%とケイ砂30wt%とを混合した乾燥密度1.6Mg/m3のケイ砂混合体が要求性能として設定されている(たとえば、非特許文献1参照)。
【0007】
また、本願出願人は、上述した要求性能に加えて、緩衝材ブロックの乾燥密度を均一とすべく、締め固めに用いる単位面積あたりのエネルギーが均一となるように、転圧板の面積を設定している(たとえば、特許文献1参照)。
【0008】
また、本願出願人は、内部に廃棄体を収容する廃棄体パッケージを構成する一対の円盤状の緩衝材ブロックと複数の円環状の緩衝材ブロックとを製造する緩衝材ブロックの製造方法を提案している。この緩衝材ブロックの製造方法は、型枠を固定する一方、緩衝材を締め固めるランマを回転移動させることにより、型枠の内部に撒き出した緩衝材を締め固める。そして、製造した一対の円盤状の緩衝ブロックと複数の円環状の緩衝材ブロックとを組み合わせることにより、内部に廃棄体を収容した廃棄体パッケージを製造することとしている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−3033号公報
【特許文献2】特開2007−69112号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】原子力発電環境整備機構、”高レベル放射性廃棄物処分の技術と安全性”、[平成23年1月20日検索]、インターネット<http://www.numo.or.jp/library/technical_report/tr0401.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、緩衝材ブロックの混合比を管理、保証することができても、緩衝材ブロックの緩衝材密度を管理することはできなかった。
【0012】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、緩衝材密度を管理した緩衝材ブロックを製造する緩衝材ブロックの製造装置および緩衝材ブロックの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、円筒形の型枠を搭載した状態で前記型枠の軸心まわりに等速回転可能なテーブル装置と、前記テーブル装置の上方域に設置され、前記テーブル装置に搭載された型枠の内部に撒き出され、前記型枠とともに等速回転する緩衝材を締め固める転圧装置とを備えた緩衝材ブロックの製造装置において、前記テーブル装置の上方域に設置され、締め固めた緩衝材の積層高さを逐次計測する計測装置と、前記型枠に取り付けられ、かつ前記計測装置によって認識され、特異値として計測されるゼロ点標識ターゲットと、前記計測装置が特異値を計測してからつぎに特異値を計測するまでの間に逐次計測した緩衝材の積層高さをそれぞれ円周方向位置と関連づけるデータ処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、あらかじめ設定した配合率と含水比で混練した緩衝材を円筒形の型枠に投入する投入工程と、前記投入工程において前記型枠に投入された緩衝材を前記型枠の軸心まわりに回転させながら締め固める転圧工程とを繰り返すことにより、緩衝材を締め固めた緩衝材ブロックを製造する緩衝材ブロックの製造方法において、前記転圧工程を終了するごとに締め固めた緩衝材の積層高さを型枠の軸心まわりに計測し、緩衝材を締め固めた後の積層高さ分布を求める計測工程を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記型枠の円周方向および半径方向において緩衝材密度が均一な緩衝材ブロックを製造する場合に、前記投入工程において緩衝材を敷き均すとともに、前記計測工程において求めた緩衝材の積層高さ分布が均一となるように、前記転圧工程において前記型枠に投入された緩衝材の回転速度および前記型枠に投入された緩衝材に対する締め固め圧力を調節することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記型枠の円周方向において緩衝材密度を異ならしめた緩衝材ブロックを製造する場合に、前記投入工程において緩衝材密度を相対的に高くする部位の緩衝材投入量をほかの部位の緩衝材投入量よりも相対的に多くし、または、前記計測工程において計測した緩衝材密度を相対的に高くする部位の積層高さがほかの部位の積層高さよりも相対的に低くなるように、前記転圧工程において緩衝材を締め固めることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記型枠の半径方向において緩衝密度を異ならしめた緩衝材ブロックを製造する場合に、前記投入工程において緩衝材密度を相対的に高くする部位の緩衝材投入量をほかの部位の緩衝材投入量よりも相対的に多くし、または、前記計測工程において計測した緩衝材密度を相対的に高くする部位の積層高さがほかの部位の積層高さよりも相対的に低くなるように、前記転圧工程において緩衝材を締め固めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる緩衝材ブロックの製造装置は、テーブル装置の上方域に設置され、締め固めた緩衝材の積層高さを逐次計測する計測装置と、型枠に取り付けられ、かつ計測装置によって認識され、特異値となって現れるゼロ点標識ターゲットと、計測装置が特異値を計測してからつぎに特異値を計測するまでの間に逐次計測した緩衝材の積層高さをそれぞれ円周方向位置と関連づけるデータ処理手段とを備えたので、ゼロ点標識ターゲットを基準にした締め固め後の緩衝材の積層高さ分布により、緩衝材ブロックの緩衝材密度を管理できる。これにより、緩衝材密度を管理した緩衝材ブロックを製造できる。
【0019】
また、本発明にかかる緩衝材ブロックの製造方法は、転圧工程を終了するごとに締め固めた緩衝材の積層高さを型枠の軸心まわりに計測し、求めた積層高さ分布により、緩衝材ブロックの緩衝材密度を管理する。これにより、緩衝材密度を管理した緩衝材ブロックを製造できる。
【0020】
また、緩衝材密度が均一な緩衝材ブロックを製造する場合に、投入工程において緩衝材を敷き均すとともに、計測工程において求めた緩衝材の積層高さ分布が均一となるように、転圧工程において型枠に投入された緩衝材の回転速度および型枠に投入された緩衝材に対する締め固め圧力を調整する。これにより、緩衝材密度が均一となるように管理した緩衝材ブロックを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造装置を示す図であって、円盤状の緩衝材ブロックの製造段階を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造装置を示す図であって、円環状の緩衝材ブロックの製造段階を示す図である。
【図3】図3は、図1および図2に示した緩衝材ブロックの製造装置の転圧体を示す概念図である。
【図4】図4は、図1および図2に示した緩衝材ブロックの製造装置の構造を示す縦断面図(模式図)であって、円盤状の緩衝材ブロックの転圧工程を示す図である。
【図5】図5は、図1および図2に示した緩衝材ブロックの製造装置の構造を示す縦断面図(模式図)であって、円盤状の緩衝材ブロックの計測工程を示す図である。
【図6】図6は、計測装置で計測した緩衝材の積層高さを管理する管理装置を示す図である。
【図7】図7は、レーザー距離計で計測された緩衝材の積層高さデータを示す図であって、緩衝材の外周領域における積層高さデータを示す図である。
【図8】図8は、レーザー距離計で計測された緩衝材の積層高さデータを示す図であって、緩衝材の中央内側領域における積層高さデータを示す図である。
【図9】図9は、円盤状の緩衝材ブロックを構成する締め固めた緩衝材を示す概念図であって、計測する緩衝材の積層高さと計測位置との関係を示す図である。
【図10】図10は、新たに締め固めた緩衝材の積層高さに基づいて、層の厚み、層の乾燥密度を算出した例を示す図である。
【図11】図11は、図10に示した層の積層高さ、層の厚み、層の乾燥密度を層ごとに整理した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明にかかる緩衝材ブロックの製造装置および緩衝材ブロックの製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0023】
まず、図1から図5に基づいて、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造装置を説明する。なお、図1および図2は、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造装置を示す図であって、図1は、円盤状の緩衝材ブロックの製造段階を示す図であり、図2は、円環状の緩衝材ブロックの製造段階を示す図である。また、図3は、図1および図2に示した緩衝材ブロックの製造装置の転圧体を示す概念図である。図4および図5は、図1および図2に示した緩衝材ブロックの製造装置の構造を示す縦断面図(模式図)であって、図4は、円盤状の緩衝材ブロックの転圧工程を示す図であり、図5は、円盤状の緩衝材ブロックの計測工程を示す図である。
【0024】
図1および図2に示す緩衝材ブロックの製造装置1は、円盤状の緩衝材ブロックと円環状の緩衝材ブロックとを製造するためのもので、この緩衝材ブロックの製造装置1により製造された一対の円盤状の緩衝材ブロックと複数の円管状の緩衝材ブロックとを組み合わせることにより、内部に廃棄体を収容する廃棄体パッケージが構成される。
【0025】
図1および図2に示すように、緩衝材ブロックの製造装置1は、搭載された型枠を回転させるテーブル装置2と、型枠の内部に撒き出された緩衝材を締め固める転圧装置3とを備えている。
【0026】
図4および図5に示すように、テーブル装置2は、駆動軸21と、駆動軸21に取り付けられ、駆動軸21を中心に回転するターンテーブル22と、ターンテーブル22の下方域に設けられ、ターンテーブル22を支持するガイドローラ23とを備えている。ターンテーブル22は、インバータ(図示せず)により速度制御され、ターンテーブル22を等速度で回転させることができる。ターンテーブル22の回転速度は、任意に設定でき、たとえば、60秒で周回(1回転)するように設定することもできれば、90秒で周回するように設定することもできる。また、45秒で周回するように設定することもできる。
【0027】
図1および図2に示すように、ターンテーブル22には、型枠が搭載可能であって、搭載した型枠の内部に撒き出された緩衝材は、ターンテーブル22の上で締め固められる。型枠は、円盤状の緩衝材ブロックを製造するのか、円環状の緩衝材ブロックを製造するのかで異なり、円盤状の緩衝材ブロックを製造する場合には、図1に示すように、円筒かつ有底の外型枠110を用い、円環状の緩衝材ブロックを製造する場合には、図2に示すように、円筒の外型枠210と円筒の内型枠220とを用いる。
【0028】
円盤状の緩衝材ブロックを製造する場合に用いる外型枠110は、金属製、より具体的には、鋼製であり、そのまま円盤状の緩衝材ブロックの外殻(鋼殻)となる。これにより、外型枠110の外周径が円盤状の緩衝材ブロックの外周径となるので、外型枠110の外周径は、廃棄体を定置する処分坑道あるいは処分孔の内周径よりも小さく設定される。そして、円盤状の緩衝材ブロックを製造する場合には、外型枠110の中心(軸心)がターンテーブル22の回転軸と一致するように、外型枠110をターンテーブル22の上に設置する。
【0029】
円環状の緩衝材ブロックを製造する場合に用いる外型枠210は、金属製、より具体的には、鋼製であり、そのまま円環状の緩衝材ブロックの外殻(鋼殻)となる。これにより、外型枠210の外周径が円環状の緩衝材ブロックの外周径となるので、外型枠210の外周径は、上述した円盤状の緩衝材ブロックを製造する場合に用いる外型枠110の外周径と同一に設定される。また、円環状の緩衝材ブロックを製造する場合に用いる内型枠220は、金属製、より具体的には、鋼製であり、そのまま円環状の緩衝材ブロックの内殻(鋼殻)としてもよい。この場合に、内型枠220の内周径が円環状の緩衝材ブロックの内周径となるので、内型枠220の内周径は、廃棄体(図示せず)の外周径よりも大きく設定される。なお、内型枠220は、緩衝材を締め固めた後に取り外すものとしてもよい。この場合に、内型枠220の外周径が円環状の緩衝材ブロックの内周径となるので、内型枠220の外周径は、廃棄体の外周径よりも大きく設定される。そして、円環状の緩衝材ブロックを製造する場合には、外型枠210の中心(軸心)と内型枠220の中心(軸心)とがターンテーブル22の回転軸と一致し、外型枠210と内型枠220とが同心円を成すように、外型枠210と内型枠220とをターンテーブル22の上に設置する。
【0030】
図1および図2に示すように、転圧装置3は、型枠の内部に撒き出された緩衝材を締め固めるもので、フレーム31と、フレーム31に昇降可能に取り付けられた支持部材32と、支持部材32に取り付けられ、複数の転圧体33(図4参照)をそれぞれ任意のタイミングで繰り出す複数のランマ34とを備えている。
【0031】
図1および図2に示すように、フレーム31は、門型に構成してあり、上述したテーブル装置2を挟むように、設置してある。フレーム31は、テーブル装置2の両脇に設置する左右一対となる基台部31Aと、各基台部31Aの上面に立設され、前後一対となる支柱31Bと、一方の基台部31Aに立設された一対の支柱31Bと他方の基台部31Aに立設された一対の支柱31Bとを相互に接続する梁部材31Cとを備えている。
【0032】
支持部材32は、ランマ34が繰り出した転圧体33が緩衝材を締め固めるのに適した位置となるように取り付けられ、積層された緩衝材の高さ位置に応じて取付位置を決定する。
【0033】
図3に示すように、複数の転圧体33は、型枠の内部に撒き出された緩衝材を均一に締め固めるように、転圧体33ごとに緩衝材に作用する転圧面の形状(転圧体の底面形状)が設定してある。たとえば、上述したテーブル装置2のように、型枠に撒き出された緩衝材をターンテーブル22の回転軸を中心に回転させる場合には、ターンテーブル22の回転軸からの距離(半径r)に比例して緩衝材の移動量(2πrωt(ω:角速度、t:時間))が大きくなる。このため、ターンテーブル22の回転軸からの距離(半径r)を考慮することなく、複数台の転圧体33の半径方向の幅r1,r2−r1,r3−r2,r4−r3を同一に設定すると、緩衝材に加えられる単位面積あたりの転圧エネルギーは、ターンテーブル22の回転軸からの距離に比例して減少することになる(反比例)。そこで、本発明の実施の形態にかかる複数の転圧体33は、全体で扇形を構成し、ターンテーブル22の回転軸からの距離(半径r)に反比例して半径方向の幅r1,r2−r1,r3−r2,r4−r3が減少するように、転圧面の形状が設定してある。
【0034】
図3に示す例では、一つの扇形の領域を七台の転圧体33で転圧しており、同時に二つの扇形の領域を転圧している。一つの扇形の領域は、中心角が20度で、ターンテーブルの回転軸からの距離により、内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域の四つの領域から構成され、内周領域は、一台の転圧体33Aで転圧し、中央内側領域、中央外側領域、外周領域は、それぞれ二台の転圧体33B,33C,33Dで転圧する。
【0035】
また、扇形の領域は、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に向けて漸次幅広となるので、ターンテーブル22の回転軸からの距離(半径r)に反比例して転圧体33の半径方向の幅r1,r2−r1,r3−r2,r4−r3が減少する。
【0036】
そして、図1に示すように、円盤状の緩衝材ブロックを製造する場合には、二つの扇形の内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域に配設した計十四台の転圧体33A,33B,33C,33Dが外型枠110の内部に撒き出された緩衝材を締め固める。
【0037】
一方、図2に示すように、円環状の緩衝材ブロックを製造する場合には、二つの扇形の中央内側領域、中央外側領域、外周領域に配設した計12台の転圧体33B,33C,33Dが外型枠210と内型枠220との間に撒き出された緩衝材を締め固める。なお、円環状の緩衝材ブロックを製造する場合には、内周領域に配設した計二台の転圧体33Aは、内型枠220の上方位置に移動させ、使うことはない。
【0038】
図4に示すように、転圧装置3は、転圧体33ごとにランマ34を備えている。ランマ34は、転圧体33を繰り出すためのもので、シリンダ341と、シリンダ341に収容され、供給された圧縮空気により繰り出されるロッド342とを備えており、供給された圧縮空気によりロッド342が繰り出されると、ロッド342に取り付けられた転圧体33が繰り出され、緩衝材を締め固める。
【0039】
また、図4に示すように、転圧装置3は、ランマ34ごとに圧力調整器35を備えている。圧力調整器35は、ランマ34に供給する圧縮空気の圧力を調整するためのもので、圧力調整器35を操作すると、ランマ34に供給する圧縮空気の圧力が調整され、圧縮空気によって繰り出されるロッド342の繰り出し力(転圧力)が調整される。
【0040】
また、図5に示すように、緩衝材ブロックの製造装置1は、締め固めた緩衝材の積層高さを計測する計測装置36を備えている。計測装置36は、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に延びる梁部材37と、梁部材37に取り付けた複数のレーザー距離計38とにより構成してあり、レーザー距離計38から締め固めた緩衝材の仕上がり面までの距離を測ることにより、締め固めた緩衝材の積層高さを計測する。複数のレーザー距離計38A,38B,38C,38Dは、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に並設してあり、それぞれ、転圧体33の重心位置で締め固めた緩衝材の積層高さを計測する。たとえば、図5に示す例では、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に、100mm離れた位置、300mm離れた位置、600mm離れた位置、900mm離れた位置に設置してあり、上述した内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域における緩衝材の積層高さを計測する。また、レーザー距離計38は、1秒間に1000回の計測が可能であって、計測により得られたデータを50個ずつグループ化して平均値を求め、保存する。これにより、本実施の形態において、レーザー距離計38は、見かけ上、1秒間に20回の計測が可能となる。これは、0.05秒間隔で緩衝材の積層高さを計測することを意味する。なお、レーザー距離計38は、グループ化するデータの数により、分解能を細かくすることもできれば、分解能を粗くすることもできる。
【0041】
また、計測装置36が締め固めた緩衝材の積層高さを計測する場合には、型枠にゼロ点標識ターゲット4が取り付けられる。ゼロ点標識ターゲット4は、緩衝材の積層高さを観察する際の基準位置を生成するためのものであり、計測装置36によって認識され、計測装置36が緩衝材の積層高さを計測した場合に特異値として計測される(図7参照)。この特異値は、計測装置36が計測した緩衝材の積層高さを観察する際の基準位置(ゼロ点)となり、この基準位置を基準にして緩衝材の積層高さ分布が観察される。そして、計測装置が特異値を計測してからつぎに特異値を計測するまでの計測データ(緩衝材の積層高さデータ)が締め固めた緩衝材がターンテーブル22の回転軸まわりに一周した際の計測データとなる。なお、上述したテーブル装置2は、ターンテーブル22を等速度で回転させるので、計測装置36が特異値を計測してからつぎに特異値を計測するまでの計測データを均等に分配することにより、緩衝材の円周方向における位置と関連づけることができる。
【0042】
図5に示す例では、ゼロ点標識ターゲット4は、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に最も離れた位置(900mm離れた位置)に配設してあるレーザー距離計38Dによって認識され、レーザー距離計38Dが緩衝材の外周領域における積層高さを計測した場合に特異値となって現れるように、型枠の内周面に取り付ける。
【0043】
ところで、レーザー距離計38Dが見かけ上、1秒間に20回の計測をするものとし、緩衝材がターンテーブル22の回転軸まわりに周回するのに60秒要するものとすると、ゼロ点標識ターゲット4の幅は、10mm程度で足りる。すなわち、ゼロ点標識ターゲット4の幅が10mm程度あれば、レーザー距離計38Dで認識され、連続した二個の特異値として現れる。
【0044】
また、本実施の形態では、ゼロ点標識ターゲット4の基部を磁石で構成し、緩衝材の積層高さを計測する場合に型枠の内周面にマークした取付位置に取り付ける一方、緩衝材を締め固める場合に転圧装置3と干渉する事態を回避すべく、型枠の内周面から取り外す。なお、ゼロ点標識ターゲット4は、締め固めた緩衝材の積層高さを計測する場合に同じ位置に位置するものであれば、本実施の形態のように簡単に取り外し可能な構成を有するものであってもよいし、伸縮可能あるいは傾倒可能な構成を有するものであってもよい。
【0045】
図6は、計測装置で計測した緩衝材の積層高さを管理する管理装置を示す図である。図7および図8は、レーザー距離計38で計測された緩衝材の積層高さデータを示す図であって、図7は、緩衝材の外周領域における積層高さデータを示す図であり、図8は、緩衝材の中央内側領域における積層高さデータを示す図である。
【0046】
図6に示すように、上述した計測装置36、すなわち、複数のレーザー距離計38A,38B,38C,38Dは、管理装置5に接続され、複数のレーザー距離計38A,38B,38C,38Dによって計測した緩衝材の積層高さデータはレーザー距離計38A,38B,38C,38Dから管理装置5に逐次出力される。管理装置5は、複数のレーザー距離計38A,38B,38C,38Dから入力された緩衝材の積層高さデータに基づいて、円周方向に複数のブロックに分け、ブロックごとに緩衝材の積層高さ(平均値)を算出する。
【0047】
図5および図6に示す例では、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に並設された四つのレーザー距離計38A,38B,38C,38Dから管理装置5に緩衝材の積層高さデータが逐次出力される。この四つのレーザー距離計38A,38B,38C,38Dから出力され、管理装置5に入力された緩衝材の積層高さデータは、管理装置5の内部時計(図示せず)を用いることにより、入力された時刻とともに管理される。これにより、積層高さデータが入力された時刻を特定すると、その時刻における緩衝材の積層高さデータが各レーザー距離計38A,38B,38C,38Dごとに特定される。
【0048】
したがって、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に最も離れたレーザー距離計38Dから出力された緩衝材の積層高さデータ群において観察する際の基準となる基準位置(基準時点)を決めれば、ほかのレーザー距離計38A,38B,38Cから出力された緩衝材の積層高さデータ群においても基準位置(基準時点)が決まる。すなわち、図7に示すように、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に最も離れたレーザー距離計38Dから出力された積層高さデータ群において、特異値となるデータが現れた時点を観察する際の基準となる基準時点(t0)に決めれば、図8に示すように、ほかのレーザー距離計38A,38B,38Cから出力された積層高さデータ群においても当該時点が基準時点(t0)に決まる。そして、図7に示すように、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に最も離れたレーザー距離計38Dから出力された積層高さデータ群において、つぎに特異値となるデータが現れる時点が、緩衝材がターンテーブル22の回転軸まわりに周回(一回転)した周回時点(t)となり、図8に示すように、ほかのレーザー距離計38A,38B,38Cから出力された積層高さデータ群においても当該時点が周回時点(t)となる。
【0049】
また、基準時点(t0)から周回時点(t)までの時間(t−t0)が、緩衝材がターンテーブル22の回転軸まわりに周回(一回転)するのに要する時間であり、基準時点(t0)から周回時点(t)までの積層高さデータ群が緩衝材の円周方向における積層高さ分布となる。
【0050】
たとえば、緩衝材を円周方向に36のブロックに分け、ブロックごとに緩衝材の平均積層高さを管理する場合には、管理装置5は、まず、緩衝材がターンテーブル22の回転軸まわりに周回するのに要する時間(t−t0)を求める。つぎに、管理装置5は、この時間に得られた積層高さデータをブロックごとに均等に分配し、ブロックごとに平均値を求める。そして、このように求めた平均値をブロックの円周方向位置と関連づけることにより、ブロックごとに緩衝材の平均積層高さを管理する(データ処理手段)。そして、管理装置5は、ブロックごとに管理する緩衝材の平均積層高さをブロックの円周方向位置と関連づけて記憶する。
【0051】
たとえば、レーザー距離計38A,38B,38C,38Dが見かけ上、1秒間に20回の計測をするものとし、緩衝材がターンテーブル22の回転軸まわりに周回するのに60秒要するものとすると、一つのレーザー距離計38A,38B,38C,38Dにより、緩衝材ブロックの円周方向に1200個のデータを得ることになる。そして、緩衝材ブロックを円周方向に36のブロックに分け、ブロックごとに緩衝材の平均積層高さを管理することとすると、ブロックごとに得られた33.3(1200/36)個のデータの平均値をブロックの円周方向位置と関連づけて管理することになる。
【0052】
なお、上述した例では、緩衝材を円周方向に36のブロックに分け、ブロックごとに緩衝材の積層高さを管理するものとしたが、ブロック数は限定されるものではなく、任意の数のブロックに分けることが可能である。
【0053】
また、計測装置36は、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に4つのレーザー距離計38A,38B,38C,38Dを有するので、内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域の四つの領域において円周方向における緩衝材の積層高さを管理することができる。
【0054】
上述した本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造装置1は、テーブル装置2の上方域に設置され、締め固めた緩衝材の積層高さを逐次計測する計測装置36と、型枠の内周面に取り付けられ、かつ計測装置36によって認識され、特異値となって現れるゼロ点標識ターゲット4とを備えたので、ゼロ点標識ターゲット4を基準にした締め固め後の緩衝材高さ分布を得ることができる。このようにして得た締め固め後の緩衝材高さ分布は、緩衝材ブロックの緩衝材密度と対応関係を有するので、締め固め後の緩衝材高さ分布を管理すれば、結果として、緩衝材ブロックの緩衝材密度を管理することになる。これにより、緩衝材密度を管理した緩衝材ブロックを製造できる。
【0055】
また、円筒形の型枠の内周面に取り付けられ、計測装置36によって認識され、特異値として検出されるゼロ点標識ターゲット4を設けたので、ターンテーブル22の基準位置(ゼロ点)を検出するセンサを設けることなく、緩衝材の積層高さを計測する計測装置36によってターンテーブル22の基準位置を検出することができる。
【0056】
つぎに本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造方法を説明する。ここで説明する緩衝材ブロックの製造方法は、上述した本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造装置1を用いたものである。
【0057】
まず、円筒形の型枠の半径方向および円周方向において均一な緩衝材密度を有する円盤状の緩衝材ブロックの製造方法を説明する。上述した緩衝材ブロックの製造装置1を用いて円筒形の型枠の半径方向および円周方向において均一な緩衝材密度を有する円盤状の緩衝材ブロックを製造する場合には、図1に示すように、外型枠110の中心がターンテーブル22の回転軸と一致するように、外型枠110をターンテーブル22の上に設置する。つぎに、あらかじめ設定した配合率と含水比で混練した緩衝材、たとえば、Na型ベントナイト70wt%とケイ砂30wt%とを混合したベントナイト系土質材料を所定量だけ外型枠110の内部に撒き出す。その後、撒き出した緩衝材を敷き均し、メジャーを用いて敷き均した緩衝材の高さを計測する(投入工程)。なお、ターンテーブル22を回転させながら、計測装置36が緩衝材までの距離(緩衝材の敷き均し高さ)を計測してもよい。
【0058】
つぎに、ターンテーブル22を回転軸まわりに回転させながら、ランマ34に圧縮空気を供給することにより、転圧体33を繰り出して緩衝材を締め固める。このとき、複数の転圧体33A,33B,33C,33Dにおいて緩衝材に加えられる単位面積当たりの転圧エネルギーは、略同一となるので、緩衝材は、緩衝材密度が略同一となるように締め固められることになる(転圧工程)。
【0059】
緩衝材を締め固めると、すべての転圧体33A,33B,33C,33Dを上昇させるとともに、外型枠110の内周面にゼロ点標識ターゲット4を取り付ける。その後、ターンテーブル22を回転させながら、計測装置36が締め固めた緩衝材(仕上がり面)までの距離(緩衝材の積層高さ)を計測する(計測工程)。上述したように、計測装置36は、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に、100mm離れた位置、300mm離れた位置、600mm離れた位置、900mm離れた位置、に配設したレーザー距離計38A,38B,38C,38Dにより、内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域において、緩衝材の積層高さを計測する。また、ターンテーブル22が60秒で周回し、レーザー距離計38A,38B,38C,38Dが見かけ上、1秒間に20回の計測をするものとすると、一つのレーザー距離計38A,38B、38C、38Dが各領域において1200カ所を計測することになる。
【0060】
そして、四つのレーザー距離計38A、38B,38C,38Dにおいて計測された緩衝材の積層高さデータは、四つのレーザー距離計38A,38B,38C,38Dから管理装置5に逐次出力される。この四つのレーザー距離計38A,38B,38C、38Dから出力され、管理装置5に入力された緩衝材の積層高さデータは、管理装置5の内部時計を用いることにより、入力された時刻とともに管理される。
【0061】
そして、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に最も離れたレーザー距離計38Dから出力された積層高さデータ群において、最初に特異値となるデータが現れた時点を基準時点(t0)にすると、つぎに特異値となるデータが現れる時点が周回時点(t)となる。そして、基準時点となる時刻から周回時点となる時刻までに計測した積層高さデータ群が緩衝材の外周領域における円周方向の積層高さ分布となる。この積層高さ分布となる積層高さデータは、ブロックごとに時系列かつ均等に分配され、ブロックごとに平均値が求められる。そして、求められた平均値をブロックの円周方向位置と関連づけることにより、ブロックごとに緩衝材の平均積層高さを管理する。
【0062】
また、基準時点となる時刻、周回時点となる時刻は、ほかのレーザー距離計38A,38B,38Cから出力された積層高さデータ群においても、基準時点となる時刻、周回時点となる時刻となり、基準時点となる時刻から周回時点となる時刻までに計測した積層高さデータ群が緩衝材の各領域(内周領域、中央内側領域、中央外側領域)における円周方向の積層高さ分布となる。この積層高さ分布となる積層高さデータは、ブロックごとに時系列かつ均等に分配され、ブロックごとに平均値が求められる。そして、求められた平均値をブロックの円周方向位置と関連づけることにより、ブロックごとに緩衝材の平均高さを管理する(データ処理)。
【0063】
そして、計測工程を終了すると、計測工程において計測した緩衝材の積層高さと、直前の計測工程において計測した緩衝材の積層高さとから新たに締め固めた緩衝材の層厚を求めるとともに、求めた緩衝材の層厚と投入工程において撒き出した緩衝材の投入量および含水比とから新たに締め固めた緩衝材の乾燥密度(見かけの乾燥密度)を求める(管理工程)。そして、内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域において、締め固めた緩衝材の積層高さに所定の管理値を超えた差が生じた場合には、締め固めた緩衝材の積層高さが同一となるように、ランマ34の繰り出し力(転圧力)を調整する。具体的には、上述したように、圧力調整器35を調整することにより、ランマ34の繰り出し力を調整する。あるいは(さらに)、ターンテーブルの回転速度を調節する。また、この管理工程において求めた緩衝材の乾燥密度が異常を示した場合には、乾燥密度が適正となるまで緩衝材を締め固める。
【0064】
そして、上述した投入工程、転圧工程、計測工程、管理工程を繰り返すことにより、締め固めた緩衝材を積層した円盤状の緩衝材ブロックを製造する。
【0065】
図9は、円盤状の緩衝材ブロックを示す概念図であって、緩衝材を締め固めた層と計測位置との関係を示す図である。円盤状の緩衝材ブロックは、投入工程、転圧工程、計測工程、管理工程を所定回数繰り返すことにより、図9に示すように、緩衝材を締め固めた層を所定層(14層)積層したものであり、計測工程ごとに新たに締め固めた緩衝材の積層高さを計測し、管理工程ごとに新たに締め固めた緩衝材の層の厚みと乾燥密度とを求める。より具体的には、層ごとにターンテーブルの回転軸から半径方向に、100mm離れた位置、300mm離れた位置、600mm離れた位置、900mm離れた位置の積層高さを計測し、各位置における緩衝材の層の厚みと乾燥密度とを求める。
【0066】
図10は、新たに締め固めた緩衝材の積層高さに基づいて、層の厚み、層の乾燥密度を算出した例を示す図である。図10に示すように、第14層の層の厚みは、第14層の積層高さと第13層の積層高さの差であり、回転軸からの距離、回転角度ごとに求められる。そして、求められた層の厚みから密度を求め、この密度を乾燥密度に換算する。乾燥密度は、絶乾状態における密度であり、緩衝材の含水比を用いて換算することにより、求められる。図10に示す例において、第14層は、平均高さが247.0mm、平均厚みが50.1、平均乾燥密度が1.611と算出される。
【0067】
図11は、図10に示した層の積層高さ、層の厚み、層の乾燥密度を層ごとに整理した図である。図11に示すように、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造方法は、緩衝材を締め固めた層(第1層〜第14層)および部位(内周領域(半径r=100mm)、中央内側領域(半径r=300mm)、中央外側領域(半径r=600mm)、外周領域(半径r=900mm))ごとに、層の積層高さ、層の厚み、層の乾燥密度を管理する。したがって、緩衝材ブロックの乾燥密度の均一度を詳細に示すことができる。このようにして求めた緩衝材ブロック全体の平均乾燥密度は、1.609となる。
【0068】
つぎに、円筒形の型枠の半径方向および円周方向において均一な緩衝材密度を有する円環上の緩衝材ブロックの製造方法を説明する。上述した緩衝材ブロックの製造装置1を用いて円筒形の型枠の半径方向および円周方向において均一な緩衝材密度を有する円環状の緩衝材ブロックを製造する場合には、まず、図2に示すように、外型枠210の中心と内型枠220の中心とがターンテーブル22の回転軸と一致し、外型枠210と内型枠220とが同心円を成すように外型枠210と内型枠220とを設置する。つぎに、あらかじめ設定した配合率と含水比で混練した緩衝材を所定量だけ外型枠210と内型枠220との間に撒き出す。そして、撒き出した緩衝材を敷き均し、メジャーを用いて敷き均した緩衝材の高さを計測する(投入工程)。なお、ターンテーブル22を回転させながら、計測装置36が緩衝材までの距離(緩衝材の敷き均し高さ)を計測してもよい。
【0069】
つぎに、ターンテーブル22を回転軸まわりに回転させながら、ランマ34に圧縮空気を供給することにより、転圧体33B,33C,33Dを繰り出して、緩衝材を締め固める。このとき、複数の転圧体33B,33C,33Dにおいて緩衝材に加えられる単位面積当たりの転圧エネルギーは、略同一となるので、緩衝材は、密度が略均一となるように締め固められることになる(転圧工程)。
【0070】
緩衝材を締め固めると、すべての転圧体33B,33C,33Dを上昇させるとともに、外型枠210の内周面にゼロ点標識ターゲット4を取り付ける。その後、ターンテーブル22を回転させながら、計測装置36が締め固めた緩衝材(仕上がり面)までの距離(緩衝材の積層高さ)を計測する(計測工程)。上述したように、計測装置36は、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に、300mm離れた位置、600mm離れた位置、900mm離れた位置に配設したレーザー距離計38B,38C,38Dにより、中央内側領域、中央外側領域、外周領域において緩衝材の積層高さを計測する。また、ターンテーブル22が60秒で周回し、レーザー距離計38B,38C,38Dが見かけ上、1秒間に20回の計測をするものとすると、一つのレーザー距離計38B,38C、38Dが各領域において1200カ所を計測することになる。
【0071】
そして、三つのレーザー距離計38B,38C,38Dにおいて計測された緩衝材の積層高さデータは、三つのレーザー距離計38B,38C,38Dから管理装置5に逐次出力される。この三つのレーザー距離計38B,38C,38Dから出力され、管理装置5に入力された緩衝材の積層高さデータは、管理装置5の内部時計を用いることにより、入力された時刻とともに管理される。
【0072】
そして、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に最も離れたレーザー距離計38Dから出力された積層高さデータ群において、最初に特異値となるデータが現れた時点を基準時点に(t0)にすると、つぎに特異値となるデータが現れる時点が周回時点(t)となる。そして、基準時点となる時刻から周回時点となる時刻までに計測した積層高さデータ群が緩衝材の外周領域における円周方向の積層高さ分布となる。この積層高さ分布となる積層高さデータは、ブロックごとに時系列に分配され、ブロックごとに平均値が求められる。そして、求められた平均値をブロックの円周方向位置と関連づけることにより、ブロックごとに緩衝材の平均積層高さを管理する。
【0073】
また、基準時点となる時刻、周回時点となる時刻は、ほかのレーザー距離計38B、38Cから出力された積層高さデータ群においても、基準時点となる時刻、周回時点となる時刻となり、基準時点となる時刻から周回時点となる時刻までに計測した積層高さデータ群が緩衝材の各領域(中央内側領域、中央外側領域)における円周方向の積層高さ分布となる。この積層高さ分布をなる積層高さデータは、ブロックごとに時系列かつ均等に分配され、ブロックごとに平均値が求められる。そして、求められた平均値をブロックの円周方向位置と関連づけることにより、ブロックごとに緩衝材の平均高さを管理する(データ処理)。
【0074】
そして、計測工程を終了すると、計測工程において計測した緩衝材の積層高さと、直前の計測工程において計測した緩衝材の積層高さとから新たに締め固めた緩衝材の層厚を求めるとともに、求めた緩衝材の層厚と投入工程において撒き出した緩衝材の投入量および含水比とから新たに締め固めた緩衝材の乾燥密度(みかけの乾燥密度)を求める(管理工程)。そして、中央内側領域、中央外側領域、外周領域において、締め固めた緩衝材の積層高さに差が生じた場合には、締め固めた緩衝材の積層高さが同一となるように、ランマ34の繰り出し力(転圧力)を調整する。具体的には、上述したように、圧力調整器35を調整することにより、ランマ34の繰り出し力を調整する。あるいは(さらに)、ターンテーブルの回転速度を調節する。また、この管理工程において求めた緩衝材の乾燥密度が異常を示した場合には、乾燥密度が適正となるまで緩衝材を締め固める。
【0075】
そして、上述した投入工程、転圧工程、計測工程、管理工程を繰り返すことにより、締め固めた緩衝材を積層した円環状の緩衝材ブロックを製造する。
【0076】
円環状の緩衝材ブロックは、投入工程、転圧工程、計測工程、管理工程を所定回数繰り返すことにより、緩衝材を締め固めた層を所定層積層したものであり、計測工程ごとに新たに締め固めた緩衝材の層の積層高さを計測し、管理工程ごとに新たに締め固めた緩衝材の層の厚みと乾燥密度とを求める。
【0077】
上述したように、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造方法は、転圧工程を終了するごとに緩衝材の積層高さを計測し、計測した緩衝材の積層高さと直前において計測した緩衝材の積層高さとから新たに締め固めた緩衝材の層厚を求めるとともに、求めた緩衝材の層厚と投入工程において投入した緩衝材の投入量および含水比とから新たに締め固めた緩衝材の乾燥密度を求めるので、締め固めた緩衝材の層ごとに乾燥密度が管理され、乾燥密度が所定の目標値以上で均一な緩衝材ブロックが製造できる。
【0078】
つぎに、円筒形の型枠の円周方向において緩衝材密度を異ならしめた緩衝材ブロックの製造方法を説明する。なお、ここでは、円盤状の緩衝材ブロックを例に説明するが、円環状の緩衝材ブロックでも同様に円周方向において緩衝材密度を異ならしめることができる。
【0079】
まず、円筒形の型枠の円周方向において緩衝材密度を異ならしめた緩衝材ブロックを製造する理由を説明する。廃棄体横置方式を採用した埋設処分施設では、処分坑道の内壁面と緩衝材ブロックの外周面との間に生じる隙間が天井域(上方域)において広く、床域(下方域)において狭くなる。これにより、緩衝材ブロックの上方域は、処分坑道の内壁面から漏出した地下水に曝され、吸水膨潤することにより、緩衝材密度の低下が予想される。しかしながら、漏出した地下水に曝される可能性の高い特定部位(円筒形の型枠の円周方向における特定部位)の緩衝材密度が高くなるように、緩衝材ブロックを製造しておけば、地下水に曝され、吸水膨潤した場合であっても緩衝材密度がほかの部位と同程度まで低下するだけで済む。そこで、円筒形の型枠の円周方向において緩衝材密度を異ならしめた緩衝材ブロックを製造することにした。
【0080】
ここでは、周方向における特定領域の緩衝材密度をほかの領域の緩衝材密度よりも高くした緩衝材ブロックの製造方法を説明する。
【0081】
上述した緩衝材ブロックの製造装置1を用いて、周方向における特定領域の緩衝材密度をほかの領域の緩衝材密度よりも高くした緩衝材ブロックを製造する場合には、転圧工程において特定領域に加える転圧エネルギーをほかの領域に加える転圧エネルギーよりも増大させる必要がある。
【0082】
周方向における特定領域に加える転圧エネルギーをほかの領域に加える転圧エネルギーよりも増大させるには、特定領域が転圧体33の下方域に移動した場合にターンテーブル22を一時停止させればよい。特定領域が転圧体33の下方域に移動した場合にターンテーブルを一時停止すると、特定領域に加えられる転圧エネルギーがほかの領域に加えられる転圧エネルギーよりも増大する。
【0083】
このように、転圧工程において、特定領域に加える転圧エネルギーをほかの領域に加える転圧エネルギーよりも増大させると、計測工程において、特定領域における緩衝材の積層高さがほかの領域における緩衝材の積層高さよりも低くなる。このため、特定領域の緩衝材密度をほかの領域の緩衝材密度より高くする場合には、投入工程において特定領域に撒き出す緩衝材の量をほかの領域に撒き出す緩衝材の量よりも多くする。
【0084】
具体的には、投入工程において、緩衝材を外型枠の内部に一様に撒き出した後、特定領域に緩衝材を追加して撒き出す。このように特定領域に緩衝材を追加して撒き出すと、特定領域における緩衝材の撒き出し高さがほかの領域における撒き出し高さよりも高くなる。
【0085】
また、転圧工程において、ターンテーブル22を回転軸まわりに回転させながら、ランマ34に圧縮空気を供給することにより、転圧体33を繰り出して緩衝材を締め固める。そして、特定領域が転圧体33の下方域に移動した場合にターンテーブルを停止することにより、特定領域にほかの領域よりも多くの転圧エネルギーを加える。
【0086】
つぎに、計測工程において、各領域の円周方向における緩衝材の積層高さ分布を求めるが、特定領域に加える転圧エネルギーは、ほかの領域に加える転圧エネルギーよりも大きくなるので、特定領域における緩衝材の積層高さとほかの領域における緩衝材の積層高さとは、略同一となる。
【0087】
このように、特定領域の緩衝材密度をほかの領域の緩衝材密度を高くした緩衝材ブロックを製造する場合にも、投入工程、転圧工程、計測工程、管理工程を繰り返す。
【0088】
上述した緩衝材ブロックの製造方法は、締め固め後の緩衝材の積層高さ分布を求めるともに、円筒形の型枠の円周方向において緩衝材密度を高くする部位にほかの部位よりも多くの緩衝材を撒き出すので、当該部位の緩衝材密度が高くなるように管理した緩衝材ブロックを製造できる。
【0089】
なお、上述した緩衝材ブロックの製造方法において、円筒形の型枠の円周方向において緩衝材密度を高くする部位にほかの部位よりも多くの緩衝材を撒き出すこととしたが、円筒形の型枠の円周方向において緩衝材密度を高くする部位がほかの部位よりも低くなるように、締め固めても良い。このように、緩衝材密度を高くする部位がほかの部位よりも低くなるように締め固めた場合には当該部位にさらに緩衝材を撒き出すことになるが、当該部位の緩衝材密度が高くなるように管理した緩衝材ブロックを製造できる。
【0090】
つぎに、円筒形の型枠の半径方向において緩衝材密度を異ならしめた緩衝材ブロックの製造方法を説明する。なお、ここでは、円盤状の緩衝材ブロックを例に説明するが、円環状の緩衝材ブロックでも同様に半径方向において緩衝材密度を異ならしめることができる。
【0091】
まず、円筒形の型枠の半径方向において緩衝材密度を異ならしめた緩衝材ブロックを製造する理由を説明する。廃棄体縦置方式を採用した埋設処分施設では、処分孔の内壁面と緩衝材ブロックの外周面との間に隙間が生じる。この隙間は、処分孔の内壁面から漏出した地下水の水みちとなり、緩衝材ブロックの外周面は、処分孔の内壁面から漏出した地下水に曝される。そして、緩衝材ブロックの外周域は吸水膨潤することにより、緩衝材密度の低下が予想される。しかしながら、漏出した地下水に曝される可能性の高い特定部位(円筒形の型枠の半径方向における特定部位、たとえば、外周領域)の緩衝材密度が高くなるように、緩衝材ブロックを製造しておけば、地下水に曝され、吸水膨潤した場合であっても緩衝材密度がほかの部位と同程度まで低下するだけですむ。そこで、円筒形の型枠の半径方向において緩衝材密度を異ならしめた緩衝材ブロックを製造することにした。
【0092】
ここでは、外周領域の緩衝材密度をほかの領域の緩衝材密度よりも高くした緩衝材ブロックの製造方法を説明する。また、ここで説明する緩衝材ブロックの製造方法において用いる円筒形の外型枠は、外周に多数の開口が設けてあり、そのまま緩衝材ブロックの外殻を構成する。
【0093】
上述した緩衝材ブロックの製造装置1を用いて、外周領域の緩衝材密度をほかの領域の緩衝材密度よりも高くした緩衝材ブロックを製造する場合には、転圧工程において外周領域に加える転圧エネルギーをほかの領域(内周領域、中央内側領域、中央外側領域)に加える転圧エネルギーよりも増大させる必要がある。
【0094】
外周領域に加える転圧エネルギーをほかの領域に加える転圧エネルギーよりも増大させるには、外周領域を締め固める転圧体33Dを繰り出すランマ34の駆動力を増大させること、外周領域を締め固める転圧体33Dと転圧体33Dを繰り出すランマ34の数を増大させること、外周領域を締め固める転圧体33Dの転圧面積をほかの領域を締め固める転圧体の面積よりも小さくすること、外周領域を締め固める転圧体33Dを繰り出すランマ34のみを稼働させた状態で、ターンテーブルを一回転または複数回転させることにより、外周領域を増し打ちすること、のうち少なくとも一つを実行する必要がある。
【0095】
外周領域を締め固める転圧体33Dを繰り出すランマ34の駆動力を増大させるには、圧力調整器35を操作することにより、外周領域を締め固める転圧体33Dを繰り出すランマ34に供給する圧縮空気の圧力を高めればよい。外周領域を締め固める転圧体33Dを繰り出すランマ34に供給する圧縮空気の圧力を高めると、圧縮空気によって繰り出されるロッド342の繰り出し力(転圧力)が高められ、その結果、外周領域に加える転圧エネルギーがほかの領域に加えられる転圧エネルギーよりも増大する。
【0096】
このように、転圧工程において、外周領域に加える転圧エネルギーをほかの領域に加える転圧エネルギーよりも増大させると、計測工程において、外周領域における緩衝材の積層高さがほかの領域における緩衝材の積層高さよりも低くなる。このため、外周領域の緩衝材密度をほかの領域の緩衝材密度より高くする場合には、投入工程において外周領域に撒き出す緩衝材の量をほかの領域に撒き出す緩衝材の量よりも多くする。
【0097】
具体的には、投入工程において、緩衝材を外型枠の内部に一様に撒き出した後、外周領域に緩衝材を追加して撒き出す。このように外周領域に緩衝材を追加して撒き出すと、外周領域における緩衝材の撒き出し高さがほかの領域における緩衝材の撒き出し高さよりも高くなる。
【0098】
また、転圧工程において、ターンテーブル22を回転軸まわりに回転させながら、ランマ34に圧縮空気を供給することにより、転圧体33を繰り出して緩衝材を締め固める。このとき、外周領域に加える転圧エネルギーは、ほかの領域に加える転圧エネルギーよりも大きく設定される。
【0099】
つぎに、計測工程において、各領域の円周方向における緩衝材の積層高さ分布が求められるが、外周領域に加える転圧エネルギーは、ほかの領域に加える転圧エネルギーよりも大きく設定されているので、外周領域における緩衝材の積層高さとほかの領域における緩衝材の積層高さとは、略同一となる。
【0100】
ここで、内周領域、中央内側領域、中央外側領域の円周方向における緩衝材の積層高さ分布が所定の分布に達していない場合には、転圧工程を繰り返すことにより、内周領域、中央内側領域、中央外側領域の円周方向における緩衝材の積層高さが所定の分布に達するまで、締め固めることになる。
【0101】
そして、内周領域、中央内側領域、中央外側領域の円周方向における緩衝材の積層高さが所定の分布に達した場合でも、外周領域の円周方向における緩衝材の積層高さが所定の高さ分布に達していない場合には、転圧工程を繰り返すことにより、外周領域の円周方向における緩衝材の積層高さが所定の高さ分布に達するまで、締め固めることになる。なお、内周領域、中央内側領域、中央外側領域の円周方向における緩衝材の積層高さが所定の分布に達し、外周領域の円周方向における緩衝材の積層高さが所定の分布に達していない場合には、外周領域のみを締め固めてもよい。
【0102】
このように、外周領域の緩衝材密度をほかの領域の緩衝材密度よりも高くした緩衝材ブロックを製造する場合にも、投入工程、転圧工程、計測工程、管理工程を繰り返す。
【0103】
上述した緩衝材ブロックの製造方法は、締め固めた後の緩衝材の積層高さ分布を求めるとともに、円筒形の型枠の半径方向において緩衝材密度を高くする部位にほかの部位よりも多くの緩衝材を撒き出すので、当該部位の緩衝材密度が高くなるように管理した緩衝材ブロックを製造できる。
【0104】
なお、上述した緩衝材ブロックの製造方法において、円筒形の型枠の半径方向において緩衝材密度を高くする部位にほかの部位よりも多くの緩衝材を撒き出すこととしたが、円筒形の型枠の半径方向において緩衝材密度を高くする部位がほかの部位よりも低くなるように、締め固めてもよい。このように、緩衝材密度を高くする部位がほかの部位よりも低くなるように締め固めた場合には当該部位にさらに緩衝材を撒き出すことになるが、当該部位の緩衝材密度が高くなるように管理した緩衝材ブロックを製造できる。
【符号の説明】
【0105】
1 緩衝材ブロックの製造装置
2 テーブル装置
21 駆動軸
22 ターンテーブル
23 ガイドローラ
3 転圧装置
31 フレーム
31A 基台部
31B 支柱
31C 梁部材
32 支持部材
33(33A,33B,33C,33D) 転圧体
34 ランマ
341 シリンダ
342 ロッド
35 圧力調整器
36 計測装置
37 梁部材
38(38A,38B,38C,38D) レーザー距離計
4 ゼロ点標識ターゲット
5 管理装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄体を囲繞する緩衝材ブロックを製造する緩衝材ブロックの製造装置および緩衝材ブロックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所における原子力の利用に伴い発生する放射性廃棄物は、人間環境に有意な影響を及ぼすことがないよう安全に管理するために適切な方法で処理が行われた後、最終処分される。たとえば、再処理で使用済燃料からウラン、プルトニウム等の有用物を分離した後に残存する放射能レベルの高い廃棄物(高レベル放射性廃棄物)は、ガラスで固化した後、30年から50年冷却のために貯蔵され、その後、地下深く埋設処分される。
【0003】
ガラスで固化した放射性廃棄物(ガラス固化体)を埋設する埋設処分施設(地下施設)は、地上施設から廃棄体(ガラス固化体をオーバーパック(金属製の容器)に封入したもの)や建設資材などを搬送するためのアクセス坑道や連絡坑道、廃棄体を定置するための処分坑道や処分孔などから構成される。
【0004】
廃棄体の定置方法には、処分坑道から処分孔を一定間隔で掘削し、そこに廃棄体を定置する廃棄体縦置方式と、処分坑道に廃棄体を定置する廃棄体横置方式とがある。廃棄体縦置方式は、処分孔内を廃棄体と緩衝材とによって充填するように定置する方法であって、廃棄体と処分孔の内壁面との間には緩衝材が充填される。廃棄体横置方式は、廃棄体を緩衝材で囲繞した廃棄体パッケージを処分坑道内に定置する方法であって、廃棄体パッケージと処分坑道の内壁面との間には、緩衝材や埋め戻し材が充填される。
【0005】
緩衝材は、たとえば、ベントナイトと砂とを混合したベントナイト系土質材料が使用され、緩衝材を締め固めることにより、所定の弾性および遮水性を発揮する。そして、緩衝材は、地震等の外力が加わって処分孔や処分坑道が変形した場合に廃棄体に加わる外力を低減するとともに、地下水の侵入を阻止する。
【0006】
ところで、緩衝材を締め固めた緩衝材ブロックの性能は、ベントナイトと砂の混合比や乾燥密度によって評価され、締固め特性、熱的性質、水理的特性、力学的特性、膨潤特性、化学的性質、緩衝材の乾燥収縮、透気性、コロイドフィルトレーション機能、高温環境下における特性、ブロック間継ぎ目の特性、変質と流出特性に関するデータや知見を基に、Na型ベントナイト70wt%とケイ砂30wt%とを混合した乾燥密度1.6Mg/m3のケイ砂混合体が要求性能として設定されている(たとえば、非特許文献1参照)。
【0007】
また、本願出願人は、上述した要求性能に加えて、緩衝材ブロックの乾燥密度を均一とすべく、締め固めに用いる単位面積あたりのエネルギーが均一となるように、転圧板の面積を設定している(たとえば、特許文献1参照)。
【0008】
また、本願出願人は、内部に廃棄体を収容する廃棄体パッケージを構成する一対の円盤状の緩衝材ブロックと複数の円環状の緩衝材ブロックとを製造する緩衝材ブロックの製造方法を提案している。この緩衝材ブロックの製造方法は、型枠を固定する一方、緩衝材を締め固めるランマを回転移動させることにより、型枠の内部に撒き出した緩衝材を締め固める。そして、製造した一対の円盤状の緩衝ブロックと複数の円環状の緩衝材ブロックとを組み合わせることにより、内部に廃棄体を収容した廃棄体パッケージを製造することとしている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−3033号公報
【特許文献2】特開2007−69112号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】原子力発電環境整備機構、”高レベル放射性廃棄物処分の技術と安全性”、[平成23年1月20日検索]、インターネット<http://www.numo.or.jp/library/technical_report/tr0401.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、緩衝材ブロックの混合比を管理、保証することができても、緩衝材ブロックの緩衝材密度を管理することはできなかった。
【0012】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、緩衝材密度を管理した緩衝材ブロックを製造する緩衝材ブロックの製造装置および緩衝材ブロックの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、円筒形の型枠を搭載した状態で前記型枠の軸心まわりに等速回転可能なテーブル装置と、前記テーブル装置の上方域に設置され、前記テーブル装置に搭載された型枠の内部に撒き出され、前記型枠とともに等速回転する緩衝材を締め固める転圧装置とを備えた緩衝材ブロックの製造装置において、前記テーブル装置の上方域に設置され、締め固めた緩衝材の積層高さを逐次計測する計測装置と、前記型枠に取り付けられ、かつ前記計測装置によって認識され、特異値として計測されるゼロ点標識ターゲットと、前記計測装置が特異値を計測してからつぎに特異値を計測するまでの間に逐次計測した緩衝材の積層高さをそれぞれ円周方向位置と関連づけるデータ処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、あらかじめ設定した配合率と含水比で混練した緩衝材を円筒形の型枠に投入する投入工程と、前記投入工程において前記型枠に投入された緩衝材を前記型枠の軸心まわりに回転させながら締め固める転圧工程とを繰り返すことにより、緩衝材を締め固めた緩衝材ブロックを製造する緩衝材ブロックの製造方法において、前記転圧工程を終了するごとに締め固めた緩衝材の積層高さを型枠の軸心まわりに計測し、緩衝材を締め固めた後の積層高さ分布を求める計測工程を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記発明において、前記型枠の円周方向および半径方向において緩衝材密度が均一な緩衝材ブロックを製造する場合に、前記投入工程において緩衝材を敷き均すとともに、前記計測工程において求めた緩衝材の積層高さ分布が均一となるように、前記転圧工程において前記型枠に投入された緩衝材の回転速度および前記型枠に投入された緩衝材に対する締め固め圧力を調節することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記発明において、前記型枠の円周方向において緩衝材密度を異ならしめた緩衝材ブロックを製造する場合に、前記投入工程において緩衝材密度を相対的に高くする部位の緩衝材投入量をほかの部位の緩衝材投入量よりも相対的に多くし、または、前記計測工程において計測した緩衝材密度を相対的に高くする部位の積層高さがほかの部位の積層高さよりも相対的に低くなるように、前記転圧工程において緩衝材を締め固めることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記発明において、前記型枠の半径方向において緩衝密度を異ならしめた緩衝材ブロックを製造する場合に、前記投入工程において緩衝材密度を相対的に高くする部位の緩衝材投入量をほかの部位の緩衝材投入量よりも相対的に多くし、または、前記計測工程において計測した緩衝材密度を相対的に高くする部位の積層高さがほかの部位の積層高さよりも相対的に低くなるように、前記転圧工程において緩衝材を締め固めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる緩衝材ブロックの製造装置は、テーブル装置の上方域に設置され、締め固めた緩衝材の積層高さを逐次計測する計測装置と、型枠に取り付けられ、かつ計測装置によって認識され、特異値となって現れるゼロ点標識ターゲットと、計測装置が特異値を計測してからつぎに特異値を計測するまでの間に逐次計測した緩衝材の積層高さをそれぞれ円周方向位置と関連づけるデータ処理手段とを備えたので、ゼロ点標識ターゲットを基準にした締め固め後の緩衝材の積層高さ分布により、緩衝材ブロックの緩衝材密度を管理できる。これにより、緩衝材密度を管理した緩衝材ブロックを製造できる。
【0019】
また、本発明にかかる緩衝材ブロックの製造方法は、転圧工程を終了するごとに締め固めた緩衝材の積層高さを型枠の軸心まわりに計測し、求めた積層高さ分布により、緩衝材ブロックの緩衝材密度を管理する。これにより、緩衝材密度を管理した緩衝材ブロックを製造できる。
【0020】
また、緩衝材密度が均一な緩衝材ブロックを製造する場合に、投入工程において緩衝材を敷き均すとともに、計測工程において求めた緩衝材の積層高さ分布が均一となるように、転圧工程において型枠に投入された緩衝材の回転速度および型枠に投入された緩衝材に対する締め固め圧力を調整する。これにより、緩衝材密度が均一となるように管理した緩衝材ブロックを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造装置を示す図であって、円盤状の緩衝材ブロックの製造段階を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造装置を示す図であって、円環状の緩衝材ブロックの製造段階を示す図である。
【図3】図3は、図1および図2に示した緩衝材ブロックの製造装置の転圧体を示す概念図である。
【図4】図4は、図1および図2に示した緩衝材ブロックの製造装置の構造を示す縦断面図(模式図)であって、円盤状の緩衝材ブロックの転圧工程を示す図である。
【図5】図5は、図1および図2に示した緩衝材ブロックの製造装置の構造を示す縦断面図(模式図)であって、円盤状の緩衝材ブロックの計測工程を示す図である。
【図6】図6は、計測装置で計測した緩衝材の積層高さを管理する管理装置を示す図である。
【図7】図7は、レーザー距離計で計測された緩衝材の積層高さデータを示す図であって、緩衝材の外周領域における積層高さデータを示す図である。
【図8】図8は、レーザー距離計で計測された緩衝材の積層高さデータを示す図であって、緩衝材の中央内側領域における積層高さデータを示す図である。
【図9】図9は、円盤状の緩衝材ブロックを構成する締め固めた緩衝材を示す概念図であって、計測する緩衝材の積層高さと計測位置との関係を示す図である。
【図10】図10は、新たに締め固めた緩衝材の積層高さに基づいて、層の厚み、層の乾燥密度を算出した例を示す図である。
【図11】図11は、図10に示した層の積層高さ、層の厚み、層の乾燥密度を層ごとに整理した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明にかかる緩衝材ブロックの製造装置および緩衝材ブロックの製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0023】
まず、図1から図5に基づいて、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造装置を説明する。なお、図1および図2は、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造装置を示す図であって、図1は、円盤状の緩衝材ブロックの製造段階を示す図であり、図2は、円環状の緩衝材ブロックの製造段階を示す図である。また、図3は、図1および図2に示した緩衝材ブロックの製造装置の転圧体を示す概念図である。図4および図5は、図1および図2に示した緩衝材ブロックの製造装置の構造を示す縦断面図(模式図)であって、図4は、円盤状の緩衝材ブロックの転圧工程を示す図であり、図5は、円盤状の緩衝材ブロックの計測工程を示す図である。
【0024】
図1および図2に示す緩衝材ブロックの製造装置1は、円盤状の緩衝材ブロックと円環状の緩衝材ブロックとを製造するためのもので、この緩衝材ブロックの製造装置1により製造された一対の円盤状の緩衝材ブロックと複数の円管状の緩衝材ブロックとを組み合わせることにより、内部に廃棄体を収容する廃棄体パッケージが構成される。
【0025】
図1および図2に示すように、緩衝材ブロックの製造装置1は、搭載された型枠を回転させるテーブル装置2と、型枠の内部に撒き出された緩衝材を締め固める転圧装置3とを備えている。
【0026】
図4および図5に示すように、テーブル装置2は、駆動軸21と、駆動軸21に取り付けられ、駆動軸21を中心に回転するターンテーブル22と、ターンテーブル22の下方域に設けられ、ターンテーブル22を支持するガイドローラ23とを備えている。ターンテーブル22は、インバータ(図示せず)により速度制御され、ターンテーブル22を等速度で回転させることができる。ターンテーブル22の回転速度は、任意に設定でき、たとえば、60秒で周回(1回転)するように設定することもできれば、90秒で周回するように設定することもできる。また、45秒で周回するように設定することもできる。
【0027】
図1および図2に示すように、ターンテーブル22には、型枠が搭載可能であって、搭載した型枠の内部に撒き出された緩衝材は、ターンテーブル22の上で締め固められる。型枠は、円盤状の緩衝材ブロックを製造するのか、円環状の緩衝材ブロックを製造するのかで異なり、円盤状の緩衝材ブロックを製造する場合には、図1に示すように、円筒かつ有底の外型枠110を用い、円環状の緩衝材ブロックを製造する場合には、図2に示すように、円筒の外型枠210と円筒の内型枠220とを用いる。
【0028】
円盤状の緩衝材ブロックを製造する場合に用いる外型枠110は、金属製、より具体的には、鋼製であり、そのまま円盤状の緩衝材ブロックの外殻(鋼殻)となる。これにより、外型枠110の外周径が円盤状の緩衝材ブロックの外周径となるので、外型枠110の外周径は、廃棄体を定置する処分坑道あるいは処分孔の内周径よりも小さく設定される。そして、円盤状の緩衝材ブロックを製造する場合には、外型枠110の中心(軸心)がターンテーブル22の回転軸と一致するように、外型枠110をターンテーブル22の上に設置する。
【0029】
円環状の緩衝材ブロックを製造する場合に用いる外型枠210は、金属製、より具体的には、鋼製であり、そのまま円環状の緩衝材ブロックの外殻(鋼殻)となる。これにより、外型枠210の外周径が円環状の緩衝材ブロックの外周径となるので、外型枠210の外周径は、上述した円盤状の緩衝材ブロックを製造する場合に用いる外型枠110の外周径と同一に設定される。また、円環状の緩衝材ブロックを製造する場合に用いる内型枠220は、金属製、より具体的には、鋼製であり、そのまま円環状の緩衝材ブロックの内殻(鋼殻)としてもよい。この場合に、内型枠220の内周径が円環状の緩衝材ブロックの内周径となるので、内型枠220の内周径は、廃棄体(図示せず)の外周径よりも大きく設定される。なお、内型枠220は、緩衝材を締め固めた後に取り外すものとしてもよい。この場合に、内型枠220の外周径が円環状の緩衝材ブロックの内周径となるので、内型枠220の外周径は、廃棄体の外周径よりも大きく設定される。そして、円環状の緩衝材ブロックを製造する場合には、外型枠210の中心(軸心)と内型枠220の中心(軸心)とがターンテーブル22の回転軸と一致し、外型枠210と内型枠220とが同心円を成すように、外型枠210と内型枠220とをターンテーブル22の上に設置する。
【0030】
図1および図2に示すように、転圧装置3は、型枠の内部に撒き出された緩衝材を締め固めるもので、フレーム31と、フレーム31に昇降可能に取り付けられた支持部材32と、支持部材32に取り付けられ、複数の転圧体33(図4参照)をそれぞれ任意のタイミングで繰り出す複数のランマ34とを備えている。
【0031】
図1および図2に示すように、フレーム31は、門型に構成してあり、上述したテーブル装置2を挟むように、設置してある。フレーム31は、テーブル装置2の両脇に設置する左右一対となる基台部31Aと、各基台部31Aの上面に立設され、前後一対となる支柱31Bと、一方の基台部31Aに立設された一対の支柱31Bと他方の基台部31Aに立設された一対の支柱31Bとを相互に接続する梁部材31Cとを備えている。
【0032】
支持部材32は、ランマ34が繰り出した転圧体33が緩衝材を締め固めるのに適した位置となるように取り付けられ、積層された緩衝材の高さ位置に応じて取付位置を決定する。
【0033】
図3に示すように、複数の転圧体33は、型枠の内部に撒き出された緩衝材を均一に締め固めるように、転圧体33ごとに緩衝材に作用する転圧面の形状(転圧体の底面形状)が設定してある。たとえば、上述したテーブル装置2のように、型枠に撒き出された緩衝材をターンテーブル22の回転軸を中心に回転させる場合には、ターンテーブル22の回転軸からの距離(半径r)に比例して緩衝材の移動量(2πrωt(ω:角速度、t:時間))が大きくなる。このため、ターンテーブル22の回転軸からの距離(半径r)を考慮することなく、複数台の転圧体33の半径方向の幅r1,r2−r1,r3−r2,r4−r3を同一に設定すると、緩衝材に加えられる単位面積あたりの転圧エネルギーは、ターンテーブル22の回転軸からの距離に比例して減少することになる(反比例)。そこで、本発明の実施の形態にかかる複数の転圧体33は、全体で扇形を構成し、ターンテーブル22の回転軸からの距離(半径r)に反比例して半径方向の幅r1,r2−r1,r3−r2,r4−r3が減少するように、転圧面の形状が設定してある。
【0034】
図3に示す例では、一つの扇形の領域を七台の転圧体33で転圧しており、同時に二つの扇形の領域を転圧している。一つの扇形の領域は、中心角が20度で、ターンテーブルの回転軸からの距離により、内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域の四つの領域から構成され、内周領域は、一台の転圧体33Aで転圧し、中央内側領域、中央外側領域、外周領域は、それぞれ二台の転圧体33B,33C,33Dで転圧する。
【0035】
また、扇形の領域は、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に向けて漸次幅広となるので、ターンテーブル22の回転軸からの距離(半径r)に反比例して転圧体33の半径方向の幅r1,r2−r1,r3−r2,r4−r3が減少する。
【0036】
そして、図1に示すように、円盤状の緩衝材ブロックを製造する場合には、二つの扇形の内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域に配設した計十四台の転圧体33A,33B,33C,33Dが外型枠110の内部に撒き出された緩衝材を締め固める。
【0037】
一方、図2に示すように、円環状の緩衝材ブロックを製造する場合には、二つの扇形の中央内側領域、中央外側領域、外周領域に配設した計12台の転圧体33B,33C,33Dが外型枠210と内型枠220との間に撒き出された緩衝材を締め固める。なお、円環状の緩衝材ブロックを製造する場合には、内周領域に配設した計二台の転圧体33Aは、内型枠220の上方位置に移動させ、使うことはない。
【0038】
図4に示すように、転圧装置3は、転圧体33ごとにランマ34を備えている。ランマ34は、転圧体33を繰り出すためのもので、シリンダ341と、シリンダ341に収容され、供給された圧縮空気により繰り出されるロッド342とを備えており、供給された圧縮空気によりロッド342が繰り出されると、ロッド342に取り付けられた転圧体33が繰り出され、緩衝材を締め固める。
【0039】
また、図4に示すように、転圧装置3は、ランマ34ごとに圧力調整器35を備えている。圧力調整器35は、ランマ34に供給する圧縮空気の圧力を調整するためのもので、圧力調整器35を操作すると、ランマ34に供給する圧縮空気の圧力が調整され、圧縮空気によって繰り出されるロッド342の繰り出し力(転圧力)が調整される。
【0040】
また、図5に示すように、緩衝材ブロックの製造装置1は、締め固めた緩衝材の積層高さを計測する計測装置36を備えている。計測装置36は、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に延びる梁部材37と、梁部材37に取り付けた複数のレーザー距離計38とにより構成してあり、レーザー距離計38から締め固めた緩衝材の仕上がり面までの距離を測ることにより、締め固めた緩衝材の積層高さを計測する。複数のレーザー距離計38A,38B,38C,38Dは、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に並設してあり、それぞれ、転圧体33の重心位置で締め固めた緩衝材の積層高さを計測する。たとえば、図5に示す例では、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に、100mm離れた位置、300mm離れた位置、600mm離れた位置、900mm離れた位置に設置してあり、上述した内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域における緩衝材の積層高さを計測する。また、レーザー距離計38は、1秒間に1000回の計測が可能であって、計測により得られたデータを50個ずつグループ化して平均値を求め、保存する。これにより、本実施の形態において、レーザー距離計38は、見かけ上、1秒間に20回の計測が可能となる。これは、0.05秒間隔で緩衝材の積層高さを計測することを意味する。なお、レーザー距離計38は、グループ化するデータの数により、分解能を細かくすることもできれば、分解能を粗くすることもできる。
【0041】
また、計測装置36が締め固めた緩衝材の積層高さを計測する場合には、型枠にゼロ点標識ターゲット4が取り付けられる。ゼロ点標識ターゲット4は、緩衝材の積層高さを観察する際の基準位置を生成するためのものであり、計測装置36によって認識され、計測装置36が緩衝材の積層高さを計測した場合に特異値として計測される(図7参照)。この特異値は、計測装置36が計測した緩衝材の積層高さを観察する際の基準位置(ゼロ点)となり、この基準位置を基準にして緩衝材の積層高さ分布が観察される。そして、計測装置が特異値を計測してからつぎに特異値を計測するまでの計測データ(緩衝材の積層高さデータ)が締め固めた緩衝材がターンテーブル22の回転軸まわりに一周した際の計測データとなる。なお、上述したテーブル装置2は、ターンテーブル22を等速度で回転させるので、計測装置36が特異値を計測してからつぎに特異値を計測するまでの計測データを均等に分配することにより、緩衝材の円周方向における位置と関連づけることができる。
【0042】
図5に示す例では、ゼロ点標識ターゲット4は、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に最も離れた位置(900mm離れた位置)に配設してあるレーザー距離計38Dによって認識され、レーザー距離計38Dが緩衝材の外周領域における積層高さを計測した場合に特異値となって現れるように、型枠の内周面に取り付ける。
【0043】
ところで、レーザー距離計38Dが見かけ上、1秒間に20回の計測をするものとし、緩衝材がターンテーブル22の回転軸まわりに周回するのに60秒要するものとすると、ゼロ点標識ターゲット4の幅は、10mm程度で足りる。すなわち、ゼロ点標識ターゲット4の幅が10mm程度あれば、レーザー距離計38Dで認識され、連続した二個の特異値として現れる。
【0044】
また、本実施の形態では、ゼロ点標識ターゲット4の基部を磁石で構成し、緩衝材の積層高さを計測する場合に型枠の内周面にマークした取付位置に取り付ける一方、緩衝材を締め固める場合に転圧装置3と干渉する事態を回避すべく、型枠の内周面から取り外す。なお、ゼロ点標識ターゲット4は、締め固めた緩衝材の積層高さを計測する場合に同じ位置に位置するものであれば、本実施の形態のように簡単に取り外し可能な構成を有するものであってもよいし、伸縮可能あるいは傾倒可能な構成を有するものであってもよい。
【0045】
図6は、計測装置で計測した緩衝材の積層高さを管理する管理装置を示す図である。図7および図8は、レーザー距離計38で計測された緩衝材の積層高さデータを示す図であって、図7は、緩衝材の外周領域における積層高さデータを示す図であり、図8は、緩衝材の中央内側領域における積層高さデータを示す図である。
【0046】
図6に示すように、上述した計測装置36、すなわち、複数のレーザー距離計38A,38B,38C,38Dは、管理装置5に接続され、複数のレーザー距離計38A,38B,38C,38Dによって計測した緩衝材の積層高さデータはレーザー距離計38A,38B,38C,38Dから管理装置5に逐次出力される。管理装置5は、複数のレーザー距離計38A,38B,38C,38Dから入力された緩衝材の積層高さデータに基づいて、円周方向に複数のブロックに分け、ブロックごとに緩衝材の積層高さ(平均値)を算出する。
【0047】
図5および図6に示す例では、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に並設された四つのレーザー距離計38A,38B,38C,38Dから管理装置5に緩衝材の積層高さデータが逐次出力される。この四つのレーザー距離計38A,38B,38C,38Dから出力され、管理装置5に入力された緩衝材の積層高さデータは、管理装置5の内部時計(図示せず)を用いることにより、入力された時刻とともに管理される。これにより、積層高さデータが入力された時刻を特定すると、その時刻における緩衝材の積層高さデータが各レーザー距離計38A,38B,38C,38Dごとに特定される。
【0048】
したがって、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に最も離れたレーザー距離計38Dから出力された緩衝材の積層高さデータ群において観察する際の基準となる基準位置(基準時点)を決めれば、ほかのレーザー距離計38A,38B,38Cから出力された緩衝材の積層高さデータ群においても基準位置(基準時点)が決まる。すなわち、図7に示すように、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に最も離れたレーザー距離計38Dから出力された積層高さデータ群において、特異値となるデータが現れた時点を観察する際の基準となる基準時点(t0)に決めれば、図8に示すように、ほかのレーザー距離計38A,38B,38Cから出力された積層高さデータ群においても当該時点が基準時点(t0)に決まる。そして、図7に示すように、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に最も離れたレーザー距離計38Dから出力された積層高さデータ群において、つぎに特異値となるデータが現れる時点が、緩衝材がターンテーブル22の回転軸まわりに周回(一回転)した周回時点(t)となり、図8に示すように、ほかのレーザー距離計38A,38B,38Cから出力された積層高さデータ群においても当該時点が周回時点(t)となる。
【0049】
また、基準時点(t0)から周回時点(t)までの時間(t−t0)が、緩衝材がターンテーブル22の回転軸まわりに周回(一回転)するのに要する時間であり、基準時点(t0)から周回時点(t)までの積層高さデータ群が緩衝材の円周方向における積層高さ分布となる。
【0050】
たとえば、緩衝材を円周方向に36のブロックに分け、ブロックごとに緩衝材の平均積層高さを管理する場合には、管理装置5は、まず、緩衝材がターンテーブル22の回転軸まわりに周回するのに要する時間(t−t0)を求める。つぎに、管理装置5は、この時間に得られた積層高さデータをブロックごとに均等に分配し、ブロックごとに平均値を求める。そして、このように求めた平均値をブロックの円周方向位置と関連づけることにより、ブロックごとに緩衝材の平均積層高さを管理する(データ処理手段)。そして、管理装置5は、ブロックごとに管理する緩衝材の平均積層高さをブロックの円周方向位置と関連づけて記憶する。
【0051】
たとえば、レーザー距離計38A,38B,38C,38Dが見かけ上、1秒間に20回の計測をするものとし、緩衝材がターンテーブル22の回転軸まわりに周回するのに60秒要するものとすると、一つのレーザー距離計38A,38B,38C,38Dにより、緩衝材ブロックの円周方向に1200個のデータを得ることになる。そして、緩衝材ブロックを円周方向に36のブロックに分け、ブロックごとに緩衝材の平均積層高さを管理することとすると、ブロックごとに得られた33.3(1200/36)個のデータの平均値をブロックの円周方向位置と関連づけて管理することになる。
【0052】
なお、上述した例では、緩衝材を円周方向に36のブロックに分け、ブロックごとに緩衝材の積層高さを管理するものとしたが、ブロック数は限定されるものではなく、任意の数のブロックに分けることが可能である。
【0053】
また、計測装置36は、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に4つのレーザー距離計38A,38B,38C,38Dを有するので、内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域の四つの領域において円周方向における緩衝材の積層高さを管理することができる。
【0054】
上述した本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造装置1は、テーブル装置2の上方域に設置され、締め固めた緩衝材の積層高さを逐次計測する計測装置36と、型枠の内周面に取り付けられ、かつ計測装置36によって認識され、特異値となって現れるゼロ点標識ターゲット4とを備えたので、ゼロ点標識ターゲット4を基準にした締め固め後の緩衝材高さ分布を得ることができる。このようにして得た締め固め後の緩衝材高さ分布は、緩衝材ブロックの緩衝材密度と対応関係を有するので、締め固め後の緩衝材高さ分布を管理すれば、結果として、緩衝材ブロックの緩衝材密度を管理することになる。これにより、緩衝材密度を管理した緩衝材ブロックを製造できる。
【0055】
また、円筒形の型枠の内周面に取り付けられ、計測装置36によって認識され、特異値として検出されるゼロ点標識ターゲット4を設けたので、ターンテーブル22の基準位置(ゼロ点)を検出するセンサを設けることなく、緩衝材の積層高さを計測する計測装置36によってターンテーブル22の基準位置を検出することができる。
【0056】
つぎに本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造方法を説明する。ここで説明する緩衝材ブロックの製造方法は、上述した本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造装置1を用いたものである。
【0057】
まず、円筒形の型枠の半径方向および円周方向において均一な緩衝材密度を有する円盤状の緩衝材ブロックの製造方法を説明する。上述した緩衝材ブロックの製造装置1を用いて円筒形の型枠の半径方向および円周方向において均一な緩衝材密度を有する円盤状の緩衝材ブロックを製造する場合には、図1に示すように、外型枠110の中心がターンテーブル22の回転軸と一致するように、外型枠110をターンテーブル22の上に設置する。つぎに、あらかじめ設定した配合率と含水比で混練した緩衝材、たとえば、Na型ベントナイト70wt%とケイ砂30wt%とを混合したベントナイト系土質材料を所定量だけ外型枠110の内部に撒き出す。その後、撒き出した緩衝材を敷き均し、メジャーを用いて敷き均した緩衝材の高さを計測する(投入工程)。なお、ターンテーブル22を回転させながら、計測装置36が緩衝材までの距離(緩衝材の敷き均し高さ)を計測してもよい。
【0058】
つぎに、ターンテーブル22を回転軸まわりに回転させながら、ランマ34に圧縮空気を供給することにより、転圧体33を繰り出して緩衝材を締め固める。このとき、複数の転圧体33A,33B,33C,33Dにおいて緩衝材に加えられる単位面積当たりの転圧エネルギーは、略同一となるので、緩衝材は、緩衝材密度が略同一となるように締め固められることになる(転圧工程)。
【0059】
緩衝材を締め固めると、すべての転圧体33A,33B,33C,33Dを上昇させるとともに、外型枠110の内周面にゼロ点標識ターゲット4を取り付ける。その後、ターンテーブル22を回転させながら、計測装置36が締め固めた緩衝材(仕上がり面)までの距離(緩衝材の積層高さ)を計測する(計測工程)。上述したように、計測装置36は、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に、100mm離れた位置、300mm離れた位置、600mm離れた位置、900mm離れた位置、に配設したレーザー距離計38A,38B,38C,38Dにより、内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域において、緩衝材の積層高さを計測する。また、ターンテーブル22が60秒で周回し、レーザー距離計38A,38B,38C,38Dが見かけ上、1秒間に20回の計測をするものとすると、一つのレーザー距離計38A,38B、38C、38Dが各領域において1200カ所を計測することになる。
【0060】
そして、四つのレーザー距離計38A、38B,38C,38Dにおいて計測された緩衝材の積層高さデータは、四つのレーザー距離計38A,38B,38C,38Dから管理装置5に逐次出力される。この四つのレーザー距離計38A,38B,38C、38Dから出力され、管理装置5に入力された緩衝材の積層高さデータは、管理装置5の内部時計を用いることにより、入力された時刻とともに管理される。
【0061】
そして、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に最も離れたレーザー距離計38Dから出力された積層高さデータ群において、最初に特異値となるデータが現れた時点を基準時点(t0)にすると、つぎに特異値となるデータが現れる時点が周回時点(t)となる。そして、基準時点となる時刻から周回時点となる時刻までに計測した積層高さデータ群が緩衝材の外周領域における円周方向の積層高さ分布となる。この積層高さ分布となる積層高さデータは、ブロックごとに時系列かつ均等に分配され、ブロックごとに平均値が求められる。そして、求められた平均値をブロックの円周方向位置と関連づけることにより、ブロックごとに緩衝材の平均積層高さを管理する。
【0062】
また、基準時点となる時刻、周回時点となる時刻は、ほかのレーザー距離計38A,38B,38Cから出力された積層高さデータ群においても、基準時点となる時刻、周回時点となる時刻となり、基準時点となる時刻から周回時点となる時刻までに計測した積層高さデータ群が緩衝材の各領域(内周領域、中央内側領域、中央外側領域)における円周方向の積層高さ分布となる。この積層高さ分布となる積層高さデータは、ブロックごとに時系列かつ均等に分配され、ブロックごとに平均値が求められる。そして、求められた平均値をブロックの円周方向位置と関連づけることにより、ブロックごとに緩衝材の平均高さを管理する(データ処理)。
【0063】
そして、計測工程を終了すると、計測工程において計測した緩衝材の積層高さと、直前の計測工程において計測した緩衝材の積層高さとから新たに締め固めた緩衝材の層厚を求めるとともに、求めた緩衝材の層厚と投入工程において撒き出した緩衝材の投入量および含水比とから新たに締め固めた緩衝材の乾燥密度(見かけの乾燥密度)を求める(管理工程)。そして、内周領域、中央内側領域、中央外側領域、外周領域において、締め固めた緩衝材の積層高さに所定の管理値を超えた差が生じた場合には、締め固めた緩衝材の積層高さが同一となるように、ランマ34の繰り出し力(転圧力)を調整する。具体的には、上述したように、圧力調整器35を調整することにより、ランマ34の繰り出し力を調整する。あるいは(さらに)、ターンテーブルの回転速度を調節する。また、この管理工程において求めた緩衝材の乾燥密度が異常を示した場合には、乾燥密度が適正となるまで緩衝材を締め固める。
【0064】
そして、上述した投入工程、転圧工程、計測工程、管理工程を繰り返すことにより、締め固めた緩衝材を積層した円盤状の緩衝材ブロックを製造する。
【0065】
図9は、円盤状の緩衝材ブロックを示す概念図であって、緩衝材を締め固めた層と計測位置との関係を示す図である。円盤状の緩衝材ブロックは、投入工程、転圧工程、計測工程、管理工程を所定回数繰り返すことにより、図9に示すように、緩衝材を締め固めた層を所定層(14層)積層したものであり、計測工程ごとに新たに締め固めた緩衝材の積層高さを計測し、管理工程ごとに新たに締め固めた緩衝材の層の厚みと乾燥密度とを求める。より具体的には、層ごとにターンテーブルの回転軸から半径方向に、100mm離れた位置、300mm離れた位置、600mm離れた位置、900mm離れた位置の積層高さを計測し、各位置における緩衝材の層の厚みと乾燥密度とを求める。
【0066】
図10は、新たに締め固めた緩衝材の積層高さに基づいて、層の厚み、層の乾燥密度を算出した例を示す図である。図10に示すように、第14層の層の厚みは、第14層の積層高さと第13層の積層高さの差であり、回転軸からの距離、回転角度ごとに求められる。そして、求められた層の厚みから密度を求め、この密度を乾燥密度に換算する。乾燥密度は、絶乾状態における密度であり、緩衝材の含水比を用いて換算することにより、求められる。図10に示す例において、第14層は、平均高さが247.0mm、平均厚みが50.1、平均乾燥密度が1.611と算出される。
【0067】
図11は、図10に示した層の積層高さ、層の厚み、層の乾燥密度を層ごとに整理した図である。図11に示すように、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造方法は、緩衝材を締め固めた層(第1層〜第14層)および部位(内周領域(半径r=100mm)、中央内側領域(半径r=300mm)、中央外側領域(半径r=600mm)、外周領域(半径r=900mm))ごとに、層の積層高さ、層の厚み、層の乾燥密度を管理する。したがって、緩衝材ブロックの乾燥密度の均一度を詳細に示すことができる。このようにして求めた緩衝材ブロック全体の平均乾燥密度は、1.609となる。
【0068】
つぎに、円筒形の型枠の半径方向および円周方向において均一な緩衝材密度を有する円環上の緩衝材ブロックの製造方法を説明する。上述した緩衝材ブロックの製造装置1を用いて円筒形の型枠の半径方向および円周方向において均一な緩衝材密度を有する円環状の緩衝材ブロックを製造する場合には、まず、図2に示すように、外型枠210の中心と内型枠220の中心とがターンテーブル22の回転軸と一致し、外型枠210と内型枠220とが同心円を成すように外型枠210と内型枠220とを設置する。つぎに、あらかじめ設定した配合率と含水比で混練した緩衝材を所定量だけ外型枠210と内型枠220との間に撒き出す。そして、撒き出した緩衝材を敷き均し、メジャーを用いて敷き均した緩衝材の高さを計測する(投入工程)。なお、ターンテーブル22を回転させながら、計測装置36が緩衝材までの距離(緩衝材の敷き均し高さ)を計測してもよい。
【0069】
つぎに、ターンテーブル22を回転軸まわりに回転させながら、ランマ34に圧縮空気を供給することにより、転圧体33B,33C,33Dを繰り出して、緩衝材を締め固める。このとき、複数の転圧体33B,33C,33Dにおいて緩衝材に加えられる単位面積当たりの転圧エネルギーは、略同一となるので、緩衝材は、密度が略均一となるように締め固められることになる(転圧工程)。
【0070】
緩衝材を締め固めると、すべての転圧体33B,33C,33Dを上昇させるとともに、外型枠210の内周面にゼロ点標識ターゲット4を取り付ける。その後、ターンテーブル22を回転させながら、計測装置36が締め固めた緩衝材(仕上がり面)までの距離(緩衝材の積層高さ)を計測する(計測工程)。上述したように、計測装置36は、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に、300mm離れた位置、600mm離れた位置、900mm離れた位置に配設したレーザー距離計38B,38C,38Dにより、中央内側領域、中央外側領域、外周領域において緩衝材の積層高さを計測する。また、ターンテーブル22が60秒で周回し、レーザー距離計38B,38C,38Dが見かけ上、1秒間に20回の計測をするものとすると、一つのレーザー距離計38B,38C、38Dが各領域において1200カ所を計測することになる。
【0071】
そして、三つのレーザー距離計38B,38C,38Dにおいて計測された緩衝材の積層高さデータは、三つのレーザー距離計38B,38C,38Dから管理装置5に逐次出力される。この三つのレーザー距離計38B,38C,38Dから出力され、管理装置5に入力された緩衝材の積層高さデータは、管理装置5の内部時計を用いることにより、入力された時刻とともに管理される。
【0072】
そして、ターンテーブル22の回転軸から半径方向に最も離れたレーザー距離計38Dから出力された積層高さデータ群において、最初に特異値となるデータが現れた時点を基準時点に(t0)にすると、つぎに特異値となるデータが現れる時点が周回時点(t)となる。そして、基準時点となる時刻から周回時点となる時刻までに計測した積層高さデータ群が緩衝材の外周領域における円周方向の積層高さ分布となる。この積層高さ分布となる積層高さデータは、ブロックごとに時系列に分配され、ブロックごとに平均値が求められる。そして、求められた平均値をブロックの円周方向位置と関連づけることにより、ブロックごとに緩衝材の平均積層高さを管理する。
【0073】
また、基準時点となる時刻、周回時点となる時刻は、ほかのレーザー距離計38B、38Cから出力された積層高さデータ群においても、基準時点となる時刻、周回時点となる時刻となり、基準時点となる時刻から周回時点となる時刻までに計測した積層高さデータ群が緩衝材の各領域(中央内側領域、中央外側領域)における円周方向の積層高さ分布となる。この積層高さ分布をなる積層高さデータは、ブロックごとに時系列かつ均等に分配され、ブロックごとに平均値が求められる。そして、求められた平均値をブロックの円周方向位置と関連づけることにより、ブロックごとに緩衝材の平均高さを管理する(データ処理)。
【0074】
そして、計測工程を終了すると、計測工程において計測した緩衝材の積層高さと、直前の計測工程において計測した緩衝材の積層高さとから新たに締め固めた緩衝材の層厚を求めるとともに、求めた緩衝材の層厚と投入工程において撒き出した緩衝材の投入量および含水比とから新たに締め固めた緩衝材の乾燥密度(みかけの乾燥密度)を求める(管理工程)。そして、中央内側領域、中央外側領域、外周領域において、締め固めた緩衝材の積層高さに差が生じた場合には、締め固めた緩衝材の積層高さが同一となるように、ランマ34の繰り出し力(転圧力)を調整する。具体的には、上述したように、圧力調整器35を調整することにより、ランマ34の繰り出し力を調整する。あるいは(さらに)、ターンテーブルの回転速度を調節する。また、この管理工程において求めた緩衝材の乾燥密度が異常を示した場合には、乾燥密度が適正となるまで緩衝材を締め固める。
【0075】
そして、上述した投入工程、転圧工程、計測工程、管理工程を繰り返すことにより、締め固めた緩衝材を積層した円環状の緩衝材ブロックを製造する。
【0076】
円環状の緩衝材ブロックは、投入工程、転圧工程、計測工程、管理工程を所定回数繰り返すことにより、緩衝材を締め固めた層を所定層積層したものであり、計測工程ごとに新たに締め固めた緩衝材の層の積層高さを計測し、管理工程ごとに新たに締め固めた緩衝材の層の厚みと乾燥密度とを求める。
【0077】
上述したように、本発明の実施の形態である緩衝材ブロックの製造方法は、転圧工程を終了するごとに緩衝材の積層高さを計測し、計測した緩衝材の積層高さと直前において計測した緩衝材の積層高さとから新たに締め固めた緩衝材の層厚を求めるとともに、求めた緩衝材の層厚と投入工程において投入した緩衝材の投入量および含水比とから新たに締め固めた緩衝材の乾燥密度を求めるので、締め固めた緩衝材の層ごとに乾燥密度が管理され、乾燥密度が所定の目標値以上で均一な緩衝材ブロックが製造できる。
【0078】
つぎに、円筒形の型枠の円周方向において緩衝材密度を異ならしめた緩衝材ブロックの製造方法を説明する。なお、ここでは、円盤状の緩衝材ブロックを例に説明するが、円環状の緩衝材ブロックでも同様に円周方向において緩衝材密度を異ならしめることができる。
【0079】
まず、円筒形の型枠の円周方向において緩衝材密度を異ならしめた緩衝材ブロックを製造する理由を説明する。廃棄体横置方式を採用した埋設処分施設では、処分坑道の内壁面と緩衝材ブロックの外周面との間に生じる隙間が天井域(上方域)において広く、床域(下方域)において狭くなる。これにより、緩衝材ブロックの上方域は、処分坑道の内壁面から漏出した地下水に曝され、吸水膨潤することにより、緩衝材密度の低下が予想される。しかしながら、漏出した地下水に曝される可能性の高い特定部位(円筒形の型枠の円周方向における特定部位)の緩衝材密度が高くなるように、緩衝材ブロックを製造しておけば、地下水に曝され、吸水膨潤した場合であっても緩衝材密度がほかの部位と同程度まで低下するだけで済む。そこで、円筒形の型枠の円周方向において緩衝材密度を異ならしめた緩衝材ブロックを製造することにした。
【0080】
ここでは、周方向における特定領域の緩衝材密度をほかの領域の緩衝材密度よりも高くした緩衝材ブロックの製造方法を説明する。
【0081】
上述した緩衝材ブロックの製造装置1を用いて、周方向における特定領域の緩衝材密度をほかの領域の緩衝材密度よりも高くした緩衝材ブロックを製造する場合には、転圧工程において特定領域に加える転圧エネルギーをほかの領域に加える転圧エネルギーよりも増大させる必要がある。
【0082】
周方向における特定領域に加える転圧エネルギーをほかの領域に加える転圧エネルギーよりも増大させるには、特定領域が転圧体33の下方域に移動した場合にターンテーブル22を一時停止させればよい。特定領域が転圧体33の下方域に移動した場合にターンテーブルを一時停止すると、特定領域に加えられる転圧エネルギーがほかの領域に加えられる転圧エネルギーよりも増大する。
【0083】
このように、転圧工程において、特定領域に加える転圧エネルギーをほかの領域に加える転圧エネルギーよりも増大させると、計測工程において、特定領域における緩衝材の積層高さがほかの領域における緩衝材の積層高さよりも低くなる。このため、特定領域の緩衝材密度をほかの領域の緩衝材密度より高くする場合には、投入工程において特定領域に撒き出す緩衝材の量をほかの領域に撒き出す緩衝材の量よりも多くする。
【0084】
具体的には、投入工程において、緩衝材を外型枠の内部に一様に撒き出した後、特定領域に緩衝材を追加して撒き出す。このように特定領域に緩衝材を追加して撒き出すと、特定領域における緩衝材の撒き出し高さがほかの領域における撒き出し高さよりも高くなる。
【0085】
また、転圧工程において、ターンテーブル22を回転軸まわりに回転させながら、ランマ34に圧縮空気を供給することにより、転圧体33を繰り出して緩衝材を締め固める。そして、特定領域が転圧体33の下方域に移動した場合にターンテーブルを停止することにより、特定領域にほかの領域よりも多くの転圧エネルギーを加える。
【0086】
つぎに、計測工程において、各領域の円周方向における緩衝材の積層高さ分布を求めるが、特定領域に加える転圧エネルギーは、ほかの領域に加える転圧エネルギーよりも大きくなるので、特定領域における緩衝材の積層高さとほかの領域における緩衝材の積層高さとは、略同一となる。
【0087】
このように、特定領域の緩衝材密度をほかの領域の緩衝材密度を高くした緩衝材ブロックを製造する場合にも、投入工程、転圧工程、計測工程、管理工程を繰り返す。
【0088】
上述した緩衝材ブロックの製造方法は、締め固め後の緩衝材の積層高さ分布を求めるともに、円筒形の型枠の円周方向において緩衝材密度を高くする部位にほかの部位よりも多くの緩衝材を撒き出すので、当該部位の緩衝材密度が高くなるように管理した緩衝材ブロックを製造できる。
【0089】
なお、上述した緩衝材ブロックの製造方法において、円筒形の型枠の円周方向において緩衝材密度を高くする部位にほかの部位よりも多くの緩衝材を撒き出すこととしたが、円筒形の型枠の円周方向において緩衝材密度を高くする部位がほかの部位よりも低くなるように、締め固めても良い。このように、緩衝材密度を高くする部位がほかの部位よりも低くなるように締め固めた場合には当該部位にさらに緩衝材を撒き出すことになるが、当該部位の緩衝材密度が高くなるように管理した緩衝材ブロックを製造できる。
【0090】
つぎに、円筒形の型枠の半径方向において緩衝材密度を異ならしめた緩衝材ブロックの製造方法を説明する。なお、ここでは、円盤状の緩衝材ブロックを例に説明するが、円環状の緩衝材ブロックでも同様に半径方向において緩衝材密度を異ならしめることができる。
【0091】
まず、円筒形の型枠の半径方向において緩衝材密度を異ならしめた緩衝材ブロックを製造する理由を説明する。廃棄体縦置方式を採用した埋設処分施設では、処分孔の内壁面と緩衝材ブロックの外周面との間に隙間が生じる。この隙間は、処分孔の内壁面から漏出した地下水の水みちとなり、緩衝材ブロックの外周面は、処分孔の内壁面から漏出した地下水に曝される。そして、緩衝材ブロックの外周域は吸水膨潤することにより、緩衝材密度の低下が予想される。しかしながら、漏出した地下水に曝される可能性の高い特定部位(円筒形の型枠の半径方向における特定部位、たとえば、外周領域)の緩衝材密度が高くなるように、緩衝材ブロックを製造しておけば、地下水に曝され、吸水膨潤した場合であっても緩衝材密度がほかの部位と同程度まで低下するだけですむ。そこで、円筒形の型枠の半径方向において緩衝材密度を異ならしめた緩衝材ブロックを製造することにした。
【0092】
ここでは、外周領域の緩衝材密度をほかの領域の緩衝材密度よりも高くした緩衝材ブロックの製造方法を説明する。また、ここで説明する緩衝材ブロックの製造方法において用いる円筒形の外型枠は、外周に多数の開口が設けてあり、そのまま緩衝材ブロックの外殻を構成する。
【0093】
上述した緩衝材ブロックの製造装置1を用いて、外周領域の緩衝材密度をほかの領域の緩衝材密度よりも高くした緩衝材ブロックを製造する場合には、転圧工程において外周領域に加える転圧エネルギーをほかの領域(内周領域、中央内側領域、中央外側領域)に加える転圧エネルギーよりも増大させる必要がある。
【0094】
外周領域に加える転圧エネルギーをほかの領域に加える転圧エネルギーよりも増大させるには、外周領域を締め固める転圧体33Dを繰り出すランマ34の駆動力を増大させること、外周領域を締め固める転圧体33Dと転圧体33Dを繰り出すランマ34の数を増大させること、外周領域を締め固める転圧体33Dの転圧面積をほかの領域を締め固める転圧体の面積よりも小さくすること、外周領域を締め固める転圧体33Dを繰り出すランマ34のみを稼働させた状態で、ターンテーブルを一回転または複数回転させることにより、外周領域を増し打ちすること、のうち少なくとも一つを実行する必要がある。
【0095】
外周領域を締め固める転圧体33Dを繰り出すランマ34の駆動力を増大させるには、圧力調整器35を操作することにより、外周領域を締め固める転圧体33Dを繰り出すランマ34に供給する圧縮空気の圧力を高めればよい。外周領域を締め固める転圧体33Dを繰り出すランマ34に供給する圧縮空気の圧力を高めると、圧縮空気によって繰り出されるロッド342の繰り出し力(転圧力)が高められ、その結果、外周領域に加える転圧エネルギーがほかの領域に加えられる転圧エネルギーよりも増大する。
【0096】
このように、転圧工程において、外周領域に加える転圧エネルギーをほかの領域に加える転圧エネルギーよりも増大させると、計測工程において、外周領域における緩衝材の積層高さがほかの領域における緩衝材の積層高さよりも低くなる。このため、外周領域の緩衝材密度をほかの領域の緩衝材密度より高くする場合には、投入工程において外周領域に撒き出す緩衝材の量をほかの領域に撒き出す緩衝材の量よりも多くする。
【0097】
具体的には、投入工程において、緩衝材を外型枠の内部に一様に撒き出した後、外周領域に緩衝材を追加して撒き出す。このように外周領域に緩衝材を追加して撒き出すと、外周領域における緩衝材の撒き出し高さがほかの領域における緩衝材の撒き出し高さよりも高くなる。
【0098】
また、転圧工程において、ターンテーブル22を回転軸まわりに回転させながら、ランマ34に圧縮空気を供給することにより、転圧体33を繰り出して緩衝材を締め固める。このとき、外周領域に加える転圧エネルギーは、ほかの領域に加える転圧エネルギーよりも大きく設定される。
【0099】
つぎに、計測工程において、各領域の円周方向における緩衝材の積層高さ分布が求められるが、外周領域に加える転圧エネルギーは、ほかの領域に加える転圧エネルギーよりも大きく設定されているので、外周領域における緩衝材の積層高さとほかの領域における緩衝材の積層高さとは、略同一となる。
【0100】
ここで、内周領域、中央内側領域、中央外側領域の円周方向における緩衝材の積層高さ分布が所定の分布に達していない場合には、転圧工程を繰り返すことにより、内周領域、中央内側領域、中央外側領域の円周方向における緩衝材の積層高さが所定の分布に達するまで、締め固めることになる。
【0101】
そして、内周領域、中央内側領域、中央外側領域の円周方向における緩衝材の積層高さが所定の分布に達した場合でも、外周領域の円周方向における緩衝材の積層高さが所定の高さ分布に達していない場合には、転圧工程を繰り返すことにより、外周領域の円周方向における緩衝材の積層高さが所定の高さ分布に達するまで、締め固めることになる。なお、内周領域、中央内側領域、中央外側領域の円周方向における緩衝材の積層高さが所定の分布に達し、外周領域の円周方向における緩衝材の積層高さが所定の分布に達していない場合には、外周領域のみを締め固めてもよい。
【0102】
このように、外周領域の緩衝材密度をほかの領域の緩衝材密度よりも高くした緩衝材ブロックを製造する場合にも、投入工程、転圧工程、計測工程、管理工程を繰り返す。
【0103】
上述した緩衝材ブロックの製造方法は、締め固めた後の緩衝材の積層高さ分布を求めるとともに、円筒形の型枠の半径方向において緩衝材密度を高くする部位にほかの部位よりも多くの緩衝材を撒き出すので、当該部位の緩衝材密度が高くなるように管理した緩衝材ブロックを製造できる。
【0104】
なお、上述した緩衝材ブロックの製造方法において、円筒形の型枠の半径方向において緩衝材密度を高くする部位にほかの部位よりも多くの緩衝材を撒き出すこととしたが、円筒形の型枠の半径方向において緩衝材密度を高くする部位がほかの部位よりも低くなるように、締め固めてもよい。このように、緩衝材密度を高くする部位がほかの部位よりも低くなるように締め固めた場合には当該部位にさらに緩衝材を撒き出すことになるが、当該部位の緩衝材密度が高くなるように管理した緩衝材ブロックを製造できる。
【符号の説明】
【0105】
1 緩衝材ブロックの製造装置
2 テーブル装置
21 駆動軸
22 ターンテーブル
23 ガイドローラ
3 転圧装置
31 フレーム
31A 基台部
31B 支柱
31C 梁部材
32 支持部材
33(33A,33B,33C,33D) 転圧体
34 ランマ
341 シリンダ
342 ロッド
35 圧力調整器
36 計測装置
37 梁部材
38(38A,38B,38C,38D) レーザー距離計
4 ゼロ点標識ターゲット
5 管理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形の型枠を搭載した状態で前記型枠の軸心まわりに等速回転可能なテーブル装置と、前記テーブル装置の上方域に設置され、前記テーブル装置に搭載された型枠の内部に撒き出され、前記型枠とともに等速回転する緩衝材を締め固める転圧装置とを備えた緩衝材ブロックの製造装置において、
前記テーブル装置の上方域に設置され、締め固めた緩衝材の積層高さを逐次計測する計測装置と、
前記型枠に取り付けられ、かつ前記計測装置によって認識され、特異値として計測されるゼロ点標識ターゲットと、
前記計測装置が特異値を計測してからつぎに特異値を計測するまでの間に逐次計測した緩衝材の積層高さをそれぞれ円周方向位置と関連づけるデータ処理手段と
を備えたことを特徴とする緩衝材ブロックの製造装置。
【請求項2】
あらかじめ設定した配合率と含水比で混練した緩衝材を円筒形の型枠に投入する投入工程と、前記投入工程において前記型枠に投入された緩衝材を前記型枠の軸心まわりに回転させながら締め固める転圧工程とを繰り返すことにより、緩衝材を締め固めた緩衝材ブロックを製造する緩衝材ブロックの製造方法において、
前記転圧工程を終了するごとに締め固めた緩衝材の積層高さを型枠の軸心まわりに計測し、緩衝材を締め固めた後の積層高さ分布を求める計測工程を有することを特徴とする緩衝材ブロックの製造方法。
【請求項3】
前記型枠の円周方向および半径方向において緩衝材密度が均一な緩衝材ブロックを製造する場合に、前記投入工程において緩衝材を敷き均すとともに、前記計測工程において求めた緩衝材の積層高さ分布が均一となるように、前記転圧工程において前記型枠に投入された緩衝材の回転速度および前記型枠に投入された緩衝材に対する締め固め圧力を調節することを特徴とする請求項2に記載の緩衝材ブロックの製造方法。
【請求項4】
前記型枠の円周方向において緩衝材密度を異ならしめた緩衝材ブロックを製造する場合に、前記投入工程において緩衝材密度を相対的に高くする部位の緩衝材投入量をほかの部位の緩衝材投入量よりも相対的に多くし、または、前記計測工程において計測した緩衝材密度を相対的に高くする部位の積層高さがほかの部位の積層高さよりも相対的に低くなるように、前記転圧工程において緩衝材を締め固めることを特徴とする請求項2に記載の緩衝材ブロックの製造方法。
【請求項5】
前記型枠の半径方向において緩衝密度を異ならしめた緩衝材ブロックを製造する場合に、前記投入工程において緩衝材密度を相対的に高くする部位の緩衝材投入量をほかの部位の緩衝材投入量よりも相対的に多くし、または、前記計測工程において計測した緩衝材密度を相対的に高くする部位の積層高さがほかの部位の積層高さよりも相対的に低くなるように、前記転圧工程において緩衝材を締め固めることを特徴とする請求項2に記載の緩衝材ブロックの製造方法。
【請求項1】
円筒形の型枠を搭載した状態で前記型枠の軸心まわりに等速回転可能なテーブル装置と、前記テーブル装置の上方域に設置され、前記テーブル装置に搭載された型枠の内部に撒き出され、前記型枠とともに等速回転する緩衝材を締め固める転圧装置とを備えた緩衝材ブロックの製造装置において、
前記テーブル装置の上方域に設置され、締め固めた緩衝材の積層高さを逐次計測する計測装置と、
前記型枠に取り付けられ、かつ前記計測装置によって認識され、特異値として計測されるゼロ点標識ターゲットと、
前記計測装置が特異値を計測してからつぎに特異値を計測するまでの間に逐次計測した緩衝材の積層高さをそれぞれ円周方向位置と関連づけるデータ処理手段と
を備えたことを特徴とする緩衝材ブロックの製造装置。
【請求項2】
あらかじめ設定した配合率と含水比で混練した緩衝材を円筒形の型枠に投入する投入工程と、前記投入工程において前記型枠に投入された緩衝材を前記型枠の軸心まわりに回転させながら締め固める転圧工程とを繰り返すことにより、緩衝材を締め固めた緩衝材ブロックを製造する緩衝材ブロックの製造方法において、
前記転圧工程を終了するごとに締め固めた緩衝材の積層高さを型枠の軸心まわりに計測し、緩衝材を締め固めた後の積層高さ分布を求める計測工程を有することを特徴とする緩衝材ブロックの製造方法。
【請求項3】
前記型枠の円周方向および半径方向において緩衝材密度が均一な緩衝材ブロックを製造する場合に、前記投入工程において緩衝材を敷き均すとともに、前記計測工程において求めた緩衝材の積層高さ分布が均一となるように、前記転圧工程において前記型枠に投入された緩衝材の回転速度および前記型枠に投入された緩衝材に対する締め固め圧力を調節することを特徴とする請求項2に記載の緩衝材ブロックの製造方法。
【請求項4】
前記型枠の円周方向において緩衝材密度を異ならしめた緩衝材ブロックを製造する場合に、前記投入工程において緩衝材密度を相対的に高くする部位の緩衝材投入量をほかの部位の緩衝材投入量よりも相対的に多くし、または、前記計測工程において計測した緩衝材密度を相対的に高くする部位の積層高さがほかの部位の積層高さよりも相対的に低くなるように、前記転圧工程において緩衝材を締め固めることを特徴とする請求項2に記載の緩衝材ブロックの製造方法。
【請求項5】
前記型枠の半径方向において緩衝密度を異ならしめた緩衝材ブロックを製造する場合に、前記投入工程において緩衝材密度を相対的に高くする部位の緩衝材投入量をほかの部位の緩衝材投入量よりも相対的に多くし、または、前記計測工程において計測した緩衝材密度を相対的に高くする部位の積層高さがほかの部位の積層高さよりも相対的に低くなるように、前記転圧工程において緩衝材を締め固めることを特徴とする請求項2に記載の緩衝材ブロックの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−220235(P2012−220235A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83436(P2011−83436)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
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