説明

練り製品用つなぎ生地及びこれを用いた練り製品

【課題】
本発明は具材を高度に含有する練り製品を提供すること、及び、このような練り製品の製造に適したつなぎ生地を提供することを目的とするを目的とする。
【解決手段】
本発明の具材を高度に含有する練り製品を得るには、具材を結着させるつなぎ生地の組成が重要であり、該つなぎ生地はすり身を20〜50重量%含み、さらに粉末状大豆蛋白素材をすり身に対して5〜40重量%含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は野菜等の具材を高度に含有する練り製品用つなぎ生地及びこれを用いた練り製品に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜揚げなどの練り製品には、食感の変化を楽しんだり、風味を改善したり、あるいは彩を良くする等の目的から、様々な具材が配合されてきた。最近は健康志向から具材として野菜がより多く含まれるものが好まれるようになり、年々その使用量が増えつつある。しかし現在流通している練り製品は具材の量が60%を超えるようなものは見られない。現に先行文献においても、例えば特許文献1〜5に開示されるような練り製品はいずれも製品中に野菜等の具材を従来よりも高度に含有させることを教えていない。その理由は、具材を製品中に高度に含有させると、具材の表面積全体につなぎ生地が均一に行き渡りにくくなってしまうためと考えられる。このような場合、成形時に具材の剥離が発生してしまい、満足に成形できなくなってしまう場合が多い。またフライ時に油の中で具材がバラバラに散ってしまい、フライ油の汚れの原因となり、製品の歩留まり低下にもつながってしまう場合もある。
【0003】
一方、具材をすり身よりも多く含有させる先行技術も散見され、例えば特許文献6では、具材とすり身が7:3の割合で含む練り製品の製造法が記載されている。この方法は具材にすり身を多量に混ぜて流動性の良い状態で所定の形状に成形し、その後すり身を絞り取り、野菜などの具材の比率を高める製造技術である。しかしながらこの技術では現在一般的に使用されている練り製品の製造機では対応できず、汎用性に欠ける。また圧搾してすり身生地を搾り出す際に具材の野菜に圧力がかかってしまい、野菜独特のシャキシャキした食感が損なわれることになる。さらに搾り出したすり身は野菜の絞り汁を多く含むと考えられるため、すり身に求められる結着力が低下し、そのまま再利用できず廃棄せざるを得ない可能性もあり、環境負荷が大きい。別の技術として、特許文献7は、具材の多い練り製品の成形機に関する技術であり、つなぎ生地に関する記載はない。
【0004】
以上のように、野菜を高含有させた練り製品について、特殊な成形方法により製造する技術が提供されているものの、従来より普及している製造機械によっても容易に製造が可能な技術は未だ知見に乏しい状況にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭52−99257号公報
【特許文献2】特公昭59−29218号公報
【特許文献3】特開平11−32733号公報
【特許文献4】特開平11−276119号公報
【特許文献5】特開2000−60497号公報
【特許文献6】特開平9−224613号公報
【特許文献7】特開2006−238775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に鑑み、本発明は一般的な練り製品の製造機械によっても容易に成形することができ、効率良く製造することが可能な、具材を高度に含有する練り製品を提供すること、及び、このような練り製品の製造に適したつなぎ生地を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題に対し、具材を高度に含有する練り製品であっても成形性が良く、フライ中に具材が散らばりにくい練り製品を得ることができないか思案する中で、具材どうしを結着させてつなぐための「つなぎ生地」に着目した。そして種々試行錯誤を重ねる中で、具材を高度に含有させるために必要とされるつなぎ生地の特性を把握した。すなわち、つなぎ生地は具材の表面全体に万遍なく行き渡るよう塗布される必要があり、そのためには生地が伸展性を具備していることが必須であることを見出した。さらに、多量に含有させる具材どうしをより少量の使用でも十分につないで成形するための成形性と、加熱時に具材がつなぎ生地により練り製品にしっかりと固定される結着性が要求されることを見出した。
【0008】
そこで上記特性を全て兼ね備えたつなぎ生地を得るべくその組成を種々検討した結果、従来の具材の少ない練り製品ではその食感へ及ぼす影響をから、つなぎ生地への使用量が低く限定されていた粉末状大豆蛋白素材を、従来よりも多く使用することを試みた結果、つなぎ生地に上述の望ましい特性が付与され、上記課題の解決が図れることを見出し、本発明を完成させるに到った。
【0009】
即ち、本発明は、
(1)具材を60〜85重量%含有し、該具材が結着し、成形された練り製品に用いるつなぎ生地であって、該つなぎ生地がすり身を20〜50重量%含み、さらに粉末状大豆蛋白素材をすり身に対して5〜40重量%含むことを特徴とするつなぎ生地、
(2)前記(1)記載のつなぎ生地と具材とを40:60〜15:85の重量比で混合し、成形後加熱して得られることを特徴とする練り製品、
(3)練り製品がフライして得られるものである前記(2)記載の練り製品、
(4)具材が野菜類である前記(2)記載の練り製品、
(5)すり身を20〜50重量%、及び予め調製した粉末状大豆蛋白素材の水和物もしくは乳化水和物を粉末状大豆蛋白素材の量としてすり身に対し5〜40重量%を混合することを特徴とする、前記(1)記載のつなぎ生地の製造法、
(6)粉末状大豆蛋白素材の水和物もしくは乳化水和物におけるの水の量が、粉末状大豆蛋白素材の4.5〜8重量倍である前記(5)記載のつなぎ生地の製造法、
(7)前記(1)記載のつなぎ生地と具材とを40:60〜15:85の重量比で混合し、成形後加熱することにより具材を結着させる、具材を60〜85重量%含有する練り製品の製造法、である。
【発明の効果】
【0010】
つなぎ生地中にすり身と、一般的な具材の少ない練り製品に使用されるよりも多くの粉末状大豆蛋白素材を特定の比率で含有させることによって、具材を高度に含有させた練り製品に特に適した特性のつなぎ生地を得ることができる。すなわち、伸展性、成形性及び結着性を兼ね備えたつなぎ生地を得ることができる。このつなぎ生地を用いることにより、具材を多く含有し、品質に優れた練り製品を容易に効率良く得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
具材の多い練り製品を製造する場合、具材どうしをつなぐ生地には具材表面に容易に万遍なく行き渡る伸展性が必要であり、さらに、単に伸展性が良くても具材どうしをつないで一定の形状に成形する成形性が重要である。また加熱時や加熱後の具材が練り製品中にしっかりと固定される結着性も必要である。なお「結着」とは具材と具材がつなぎ生地を介してつなぎ合わされ、加熱後に具材が練り製品中に固定されている状態をいう。つまりより多くの具材をつないで成形し、加熱時に結着させるためには、具材表面に均質に行き渡るような柔らかくかつ、伸びの良い性質を備えたつなぎ生地であって、またその生地は成形性に優れ、かつ結着性に優れたものでなければならない。
【0012】
(つなぎ生地)
本発明の提供する練り製品用つなぎ生地は、具材を60〜85重量%含有し、該具材が結着し、成形された練り製品に用いるつなぎ生地であって、該つなぎ生地がすり身を20〜50重量%含み、さらに粉末状大豆蛋白素材をすり身に対して5〜40重量%含むことを特徴とする。以下、本つなぎ生地について詳細に説明する。
【0013】
1.すり身
本発明におけるつなぎ生地は、多量に含まれる具材どうしを結着させ、練り製品の骨格を形成する役目を担っており、原料としてすり身が必須である。
つなぎ生地に使用するすり身としては、タラ類,ホッケ等の北方系の白身魚、ホキ,グチ,エソ,イトヨリ等の南方系の白身魚、イワシ・サバ・アジ等の青身魚といった魚肉が使用できる。なかでもホッケやタラ類等の北方系の白身魚を用いると伸展性に優れ、キメが細かく柔らかい性状のつなぎ生地ができるので、具材を多く結着させるためのつなぎ生地の一部として含有させるすり身としてより好ましい。またその中でもホッケは生地の伸展性を阻害する「坐り現象」が起こりにくく、伸展性を長時間保つ性質があるためさらに好ましい。
【0014】
すり身はつなぎ生地中に20〜50重量%含有することが重要であり、25〜40重量%がより好ましい。つなぎ生地中のすり身が少なすぎると具材の練り製品への結着性が低下してフライ時に具材が散りやすくなる。逆に多すぎると生地の伸展性が低下して具材表面に万遍なく行き渡らせることが困難となる。なお、本発明で言うすり身とは、魚肉のみを原料とするものを指すが、魚肉以外の副原料を含有するすり身製品の使用を妨げるものではない。この場合は、魚肉の量として換算して上記の範囲となるよう使用量を調整すればよい。
【0015】
2.粉末状大豆蛋白素材
本発明の練り製品において、つなぎ生地にはすり身と共に、粉末状大豆蛋白素材を併用し、これを特定量含有させることが極めて重要である。粉末状大豆蛋白素材としては分離大豆蛋白や濃縮大豆蛋白等の蛋白質含量が60重量%以上、好ましくは80重量%以上に高められた粉末素材を使用できる。また粉末状大豆蛋白素材はNSIが70以上の水溶性が高いものを使用することがより好ましい。
【0016】
つなぎ生地内に含有する粉末状大豆蛋白素材の添加方法は粉末状大豆蛋白素材を水和するに足る量の水を混合して得た水和物(以下、「カード」とも称する。)や、該水と油脂との乳化水和物(以下「エマルジョンカード」とも称する。)を予め調製してからつなぎ生地中に含有させることが重要である。粉末状大豆蛋白素材を水和させてカードを調製するための水の量は、従来の蒲鉾のような具材のない、あるいは少ない練り製品においては、粉末状大豆蛋白素材の2〜4重量倍程度が一般的であるが、本発明では4.5〜8重量倍、好ましくは5〜7重量倍、より好ましくは5.5〜7.5重量倍とすることが適当である。すなわち、従来よりも粘度の低い、柔らかい性状のカードを調製することが望ましい。これによって本発明では具材表面につなぎ生地を行き渡らせることがさらに容易になる。
【0017】
さらに油脂を加えてエマルジョンカードを調製する場合には、油脂を粉末状大豆蛋白素材の0.1〜3重量倍加えることが好ましい。使用する油脂は特に限定されず、大豆油、菜種油、コーン油、パーム油、ヤシ油、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、ひまわり油等の一般に使用される種類のものを用いればよい。ただし融点が高すぎると乳化が困難となり、エマルジョンカードを作製しにくくなるため、比較的融点の高い、練り製品の調製時におけるつなぎ生地の温度よりも融点が高い液体油を用いる。
【0018】
一方、つなぎ生地に粉末状大豆蛋白素材を粉末状態で直接添加する方法では粉末状大豆たん白素材が生地中の塩類(食塩、リン酸塩など)によって水和が阻害され、本来のキメ細かいペースト状態にならない。そのためつなぎ生地に伸展性を付与できなくなってしまうため好ましくない。
【0019】
つなぎ生地中に含有する粉末状大豆蛋白素材の量はすり身の量に対して5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%が適当である。具材の少ない従来の練り製品においては、このような範囲で粉末状大豆蛋白素材を添加すると、練り製品に特徴的なすり身のしなやかな食感が損なわれ、硬い食感となる傾向にあったため、粉末状大豆蛋白素材の練り製品への添加量は限定的であった。このような添加範囲は本発明のような具材を多く含む練り製品に特有の効果をもたらす。粉末状大豆蛋白素材をカードやエマルジョンカードにして添加する場合は、上記の量の粉末状大豆蛋白素材が含まれるようカードの量を調整してすり身に添加する。
つなぎ生地における粉末状大豆蛋白素材の含有量を従来の練り製品のように低くすると、つなぎ生地の伸展性が低下し、具材表面に万遍なく塗布することが困難となる。また逆に高すぎるとつなぎ生地の結着性が低下し、フライ時に具材がつなぎ生地から剥離して散りやすくなる傾向にある。
【0020】
3.その他の原料
本発明に用いるつなぎ生地には上記のすり身と粉末状大豆蛋白素材が特定の割合で併用されることが必須である他、通常の練り製品と同様に食塩、砂糖、グルタミン酸ソーダ等の調味料を使用することができる。また澱粉の添加やさらなる水(延ばし水)の添加によって本発明のつなぎ生地に必要とされる伸展性をより好ましい状態に調整することができる。澱粉を用いる場合、添加量はつなぎ生地中5〜15重量%、より好ましくは7〜14重量%が適当である。延ばし水はつなぎ生地中の水分含量が60〜80重量%、より好ましくは65〜75重量%となるよう添加するのが適当である。
【0021】
(具材)
本発明において「具材」とは、つなぎ生地と混合しても均質に同化しない、一定の大きさを保持する固形物を意味する。そのためつなぎ生地と混合した際に保持される具材の大きさは一辺が1mm以上、好ましくは2mm以上であることが適当である。したがって、固形物であっても芋類やカボチャ等の澱粉質の材料で、つなぎ生地と混合した際に組織が微細化され、つなぎ生地と均質化されるような場合は具材として適当ではない。適当な具材としては野菜類(ゴボウ、ニンジン、ネギ、タマネギ、キャベツ等)や魚介類(イカ、ホタテ、エビ等)、鶏肉の挽き肉等の、つなぎ生地と均質化されにくい食品材料が好ましい。ただし具材があまり大きくなりすぎると成型時に形状がいびつになって一定の成形が困難となり、また具材どうしの接着面が少なくなるため具材どうしの結着性も低下してしまうため、厚さ3mm以下、短辺10mm以下、長辺50mm以下が好ましい。また、つなぎ生地の伸展性を向上させ、具材表面につなぎ生地が万遍なく行き渡りやすくするためには、ささがきやみじん切りに予めカットしておくのが好ましい。これらの具材を使用する際は予めカットの他、ブランチング、灰汁抜き、ボイル等の下処理を行っておいてもよい。また上記処理を行った具材に調味料等で下味をつけておくことで味付けを調整することが可能である。
【0022】
本発明の練り製品は、上記つなぎ生地と具材とを混合し、得られた混合物を成形後加熱して得られる。この際のつなぎ生地と具材との混合割合は重量比で40:60〜15:85であることが重要である。より好ましくは35:65〜20:80、さらに好ましくは35:65〜25:75が適当である。具材の混合比は上限が85重量%を超えるとつなぎ生地の割合が小さくなりすぎ、具材どうしの結着が困難になる。
【0023】
上記つなぎ生地に対して、具材が上記含有量の範囲となるように混合すると、つなぎ生地は優れた伸展性を有しているため具材表面に万遍なく行き渡らせることができる。得られた混合物を成形機で所望の形状、大きさに成形し、これを加熱処理して練り製品を得る。加熱処理は焼成、フライ等で行えばよく、適宜選択することができる。特に加熱についてはフライが良好で、次に焼成である。蒸し加熱はあまり好ましくない。つなぎ生地は加熱時に昇温速度が速いほど高い結着性が得られるが、蒸し加熱は昇温速度がフライ加熱や焼成よりも昇温速度が遅く、つなぎ生地に必要な良好な結着力が得られないからである。
【実施例】
【0024】
以下に実施例を以て本発明をより詳細に説明する。なお、以下特に断りのない限り、「%」及び「部」は「重量%」及び「重量部」を意味するものとする。
【0025】
<実施例1>
分離大豆蛋白「フジプロFX」(粉末状大豆蛋白素材、フジプロテインテクノロジー(株)販)水及び大豆白絞油を1:6:1の比率でサイレントカッターで混合し、均一に乳化させてエマルジョンカードを作製した。次に、北方系白身魚であるホッケのすり身(水分約75%)100部に対して、上記エマルジョンカード140部を添加し、サイレントカッターで約5分間練り、これに食塩(1)1.6部を加えて約2分間塩摺りし、さらに食塩(2)4部を加えて約3分塩摺りを行った。その後に砂糖5.6部、MSG(グルタミン酸ソーダ)1.2部、水産用タピオカ澱粉40部、延ばし水60部を加えて練り上げ、つなぎ生地(すり身28.4%、すり身に対して粉末状大豆蛋白素材17.5%含有)を調製した。
次に、ニンジンとゴボウをそれぞれみじん切りでカットしたものを等量混合し、これを具材とした。
この具材70部につなぎ生地30部の割合で混合した混合物を25g取り、厚み10mmかつ直径40mmに成形した。
このつなぎ生地の伸展性は極めて良好であり、容易に具材表面に万遍なく行き渡らせることが可能であった。さらに、具材どうしをつなげる結着性にも優れ、具材の比率が70%であっても容易に成形することができた。
次いで、得られた成形物を145℃で1分間フライした後、さらに165℃で1分間フライし、具材を高度に含有させた練り製品を得た。この際、フライ中に具材が剥離することはなかった。
【0026】
<実施例2>
製法、調味は実施例1に従い、つなぎ生地中のすり身が46%、すり身に対する粉末状大豆蛋白素材が5.6%となるように配合を変更して練り製品を製造した。その結果、つなぎ生地は実施例1に比べるとやや硬めであるものの具材表面全体に万遍なくつなぎ生地が行き渡り、フライ中も剥離することなく良質な練り製品ができた。
【0027】
<比較例1>
製造、調味は実施例1に従い、つなぎ生地中のすり身が52.1%、すり身に対する粉末状大豆蛋白素材が3.1%となるように配合を変更して練り製品を製造した。その結果、つなぎ生地は非常に硬いつなぎ生地になってしまったため具材表面全体につなぎ生地が万遍なく行き渡らず、伸展性が非常に悪かった。この結果から、すり身のみでつなぎ生地を調製したり、粉末状大豆蛋白素材の量が少なすぎると具材を多く含有させた練り製品を得ることが困難であると考えられた。
【0028】
<実施例3>
製造、調味は実施例1に従い、つなぎ生地中のすり身が20.1%、すり身に対する粉末状大豆蛋白素材が36.2%となるように配合を変更して練り製品を製造した。その結果、つなぎ生地は非常に柔かく、具材の表面全体に万遍なくつなぎ生地が行き渡り、その伸展性はに問題はなかった。実施例1と比べると具材どうしをつなげる結着性が若干低下する傾向であったが、問題のない範囲であった。
【0029】
<比較例2>
製法、調味は実施例1に従い、つなぎ生地中のすり身が17.6%、すり身に対する粉末状大豆蛋白素材が45.0%となるように配合を変更して練り製品を製造した。その結果、つなぎ生地は具材表面全体に行き渡るものの、つなぎ生地が柔かすぎるため成形がしにくく、またフライ中につなぎ生地と具材が剥離してしまい、結着性も好ましくなかった。
【0030】
実施例1〜3及び比較例1,2の配合と得られるつなぎ生地の特性評価を表1にまとめた。
【0031】
(表1)

【0032】
(実施例4)
すり身の種類を青身魚のイワシ又は南方系白身魚のイトヨリに代える以外は、実施例1と同様にして練り製品を得た。いずれのすり身を用いても、実施例1と同様に伸展性及び結着性に優れたつなぎ生地であったが、実施例1のホッケのすり身を用いたつなぎ生地の方がキメが細かく、伸展性がより優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0033】
練り製品においては、従来多くとも60%も具材を含有させることができなったが、本発明の提供する技術によって60%以上もの多量の野菜等の具材を含有させた練り製品を製造することが可能になり、近年の健康志向によりマッチする練り製品の提供が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
具材を60〜85重量%含有し、該具材が結着し、成形された練り製品に用いるつなぎ生地であって、該つなぎ生地がすり身を20〜50重量%含み、さらに粉末状大豆蛋白素材をすり身に対して5〜40重量%含むことを特徴とするつなぎ生地。
【請求項2】
請求項1記載のつなぎ生地と具材とを40:60〜15:85の重量比で混合し、成形後加熱して得られることを特徴とする練り製品。
【請求項3】
練り製品がフライして得られるものである請求項2記載の練り製品。
【請求項4】
具材が野菜類である請求項2記載の練り製品。
【請求項5】
すり身を20〜50重量%、及び予め調製した粉末状大豆蛋白素材の水和物もしくは乳化水和物を粉末状大豆蛋白素材の量としてすり身に対し5〜40重量%を混合することを特徴とする、請求項1記載のつなぎ生地の製造法。
【請求項6】
粉末状大豆蛋白素材の水和物もしくは乳化水和物におけるの水の量が、粉末状大豆蛋白素材の4.5〜8重量倍である請求項5記載のつなぎ生地の製造法。
【請求項7】
請求項1記載のつなぎ生地と具材とを40:60〜15:85の重量比で混合し、成形後加熱することにより具材を結着させる、具材を60〜85重量%含有する練り製品の製造法。