説明

縁無畳用畳表折り曲げ機

【課題】
従来の折り曲げ機は、折曲板が移動して畳表を折り曲げたり、畳がテーブルと共に下降することによって移動して折り曲げ板で畳表を折り曲げていたため、畳床に沿うように畳表を畳床に押しつける圧力がかかった状態で、畳表の表面に折曲板との相対移動する摩擦がかかり、畳表表面の藺草の損傷や折曲板との接触跡が残ってしまういう課題を有していた。
【解決手段】
畳表を折り曲げる際に、畳端部を上記テーブルに上方から押さえつけることにより固定する畳床端押えと、框に縫着又は取付けられた畳表の畳上面から突出した部分の畳表を、畳側面に対して沿うように折り曲げて畳側面に押しつける旋回折り曲げ手段とを具備し、上記畳床端押えによって、畳端部を固定した状態で旋回折り曲げ手段によって畳表を折り曲げる折り曲げ機を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縁無畳用畳表折り曲げ機に関するものである。さらに詳しくは、縁無畳を製造する際に、畳表の表面を損傷することなく、畳床の短辺または長辺に沿って畳表をイ草(天然素材、人工素材のいずれも含む)と直交する方向に折り曲げる加工を行う縁無用畳表折り曲げ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、縁無畳用の畳表折り曲げ機が提案され、住宅に縁無畳が採用されることが増加している。例えば下記の特許文献1に示すように、框縫いの済んだ畳床をテーブルに載せ、位置決め板で畳表の折り曲げ位置を決定し、予めセットした回数だけ折曲板を畳表の外側へ摺動させながら昇降することによって、畳表が位置決板に沿って折曲板により折り癖がつけられるという構成の縁無畳用畳表折り曲げ機が知られている。
【0003】
また、下記の特許文献2に示すように、框縫いの済んだ畳を畳表を下にしてテーブルに載置して、折り曲位置決め板が下降して、折り曲げ位置を決め、畳押え手段が下降して畳を固定した後、畳押えと位置決め板とテーブルが同じ距離を下降して、テーブル上に載置された畳の床からはみ出た畳表の折り曲げ部を畳の側縁に平行に設けられた折り曲げ板によって下から押し上げられるように折り曲げる構成である機械が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−227143号公報
【特許文献2】特開2001−317190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や特許文献2のような機械では、畳表が表面となる側に当接しながら、畳表を折り曲げるのであるが、その際に、特許文献1では折曲板が移動して畳表を折り曲げ、特許文献2では畳がテーブルと共に下降することによって移動して折り曲げ板で畳表を折り曲げる構成となっている。上記のいずれの場合も畳表を折り曲げる際には、畳床に沿うように畳表を畳床に押しつける圧力がかかった状態で、畳表の表面に折曲板との相対移動する摩擦がかかるために、畳表表面の藺草を損傷してしまったり、藺草を損傷しないまでも折曲板との接触跡が残ってしまうことがあった。そうすると、畳を部屋に敷き込んだ場合でも、畳の上面の角部分には上記接触跡が見えてしまうために仕上がりに課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1は、縁無畳を製造するために、框に畳表を縫着又は取付けられた畳の畳表を折り曲げる畳表折曲げ機において、畳表を下にして畳を載置するテーブルと、上記テーブルに載置された畳を固定する畳押えと、畳表を折り曲げる際に、畳端部を上記テーブルに上方から押さえつけることにより固定する畳床端押えと、框に縫着又は取付けられた畳表の畳上面から突出した部分の畳表を、畳側面に対して沿うように折り曲げて畳側面に押しつける旋回折り曲げ手段とを具備し、上記畳押えと上記畳床端押えによって、畳及び畳端部を固定した状態で旋回折り曲げ手段によって畳表を折り曲げることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2は、テーブル側方に、畳表を畳の裏面に沿って折り曲げるための折り曲げ板を進退自在かつ高さ方向への位置調整可能に設けていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3は、畳表を折り曲げる畳側面に平行に位置する畳より幅広い位置決め板を昇降可能に設け、位置決め板を降下させて畳の側面に当接させた状態で旋回折り曲げ手段で畳表を折り曲げることによって畳表に折り筋を付ける工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、畳床端押えによって畳端部をテーブル上に固定した状態で、旋回折り曲げ手段により畳表を畳側面に対して沿うように折り曲げて、畳側面に押しつけるため、折り曲げの際に強い摩擦等で畳表表面を損傷したりすることがない状態で折り曲げができ、また、広い面積で畳側面に対して押しつけるために、その接触跡が残るようなこともない。
【0010】
また、そのときに畳床端押えで畳端部を押さえてもいるために、薄畳などの場合では、畳床が反ったり、畳の角が側面を押す力によってつぶれたりすることがなく、安定した畳表の折り曲げができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態を説明する正面図である。
【図2】本発明の実施の形態を説明する側面図である。
【図3】薄畳の製造を説明する動作説明図である。
【図4】薄畳の製造を説明する動作説明図である。
【図5】厚畳の製造を説明する動作説明図である。
【図6】畳表折り曲げ機構の別の実施形態を説明する説明図である。
【図7】別の実施形態における薄畳の製造を説明する動作説明図である。
【図8】別の実施形態における薄畳の製造を説明する動作説明図である。
【図9】別の実施形態における厚畳の製造を説明する動作説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の縁無畳用畳表折り曲げ機1の正面図を図1、側面図を図2に示す。図2においては、縁無畳用畳表折り曲げ機1の内部構造が把握できるようにフレーム等を切り欠いた状態で図示している。
【0013】
図1及び図2を用いて説明すると、畳を載置するテーブル2上に載置した畳を固定する畳押え3を昇降させるシリンダ4が設けられている。この畳押え3は2つ設置して半畳の大きさの畳を2枚セットすることができるように構成しており、図1に示すように2つのうちの1つの畳押え3が2本のシリンダ4で昇降されるように設けられている。
【0014】
そしてまた、上記畳押え3と同様に畳床端押え5が3本のシリンダ6で昇降されるように設けられている。畳床端押え5は図1に示しているように幅方向に長い1つの部材として設けている。この畳床端押え5の内部にはエアー配管が通されており、畳床端押え5の下面に複数設けられた穴部(図示せず)からエアーを噴射できる構成を内部に有している。
【0015】
次に図2に示すようにテーブル2の側方には畳表を折り込みする折込みユニット7を設けている。折込みユニット7には、畳の側面へ畳表を沿わせるように折り曲げる旋回折り曲げ部材8と畳表を畳の裏面に折り曲げる折り曲げ板9とを配設しており、その動作の詳細については後述する。
【0016】
また、折込みユニット7は、その両端部上方に設けられたハンドル10,10で昇降可能となっている。板部材11,11に取付けた旋回ピン12,12で旋回可能に設けられた旋回ボス13に昇降ネジ軸14が回転可能な状態に挿通され、ハンドル10は旋回ボス13上で回転可能に保持されている。
【0017】
下向きにハンドル10に取り付けられているネジ軸14の下端にはネジ加工が施されており、そのネジ部には、昇降ナット15が螺合している。この昇降ナット15は、折込みユニット7に取り付けられた板部材16,16に取付けた旋回ピン17,17で旋回可能に設けられている。
【0018】
上記のような構成としているため、いずれか片側のハンドル10を回転させて昇降ナット15を昇降させると、折込みユニット7は傾いた状態となるが、昇降ナット15と旋回ボス13がそれぞれ旋回ピンに支持された状態で傾きに応じて旋回するために、スムーズに高さ調整が行える構成となっている。
【0019】
また板部材11,11を設けているフレームにはメジャー18,18が左右両端付近へ設けられており、メジャー18,18から引き出されるメジャーテープ18a,18aが折込みユニット7側に取り付けられ、メジャーテープ18aの目盛りを見ながら作業をする畳の厚みに折り込みユニット7の位置を昇降させて調整できるように構成している。
【0020】
縁無畳用畳表折り曲げ機1を用いて薄畳の製作をする作業について、図3及び図4に図示して説明する。図3(a)はハンドル10,10を回転させて、折込みユニット7の高さ調整を左右のメジャーテープ18a,18aそれぞれで目盛りを見ながら行い、折込みユニット7の高さ調整を完了した状態を示している。
【0021】
図3(b)に示すように、テーブル2に畳表を下に向けて畳Tを載置する。畳表の折り曲げ位置は予め蒸気をかけたりして曲がりやすくして、折り癖を付けておくとよい。畳Tをテーブル2に載置する際には、畳Tの床端を目印として照射しているレーザー光に合わせて設置する。このレーザー光はシリンダ6が取り付けられているフレーム部に設けた可視レーザーから照射しており、図3(b)の直交方向に広がるように照射している。従って畳床端部に照射されたレーザー光は直線に見えるので畳Tが斜めにならないようにレーザー光に合わせて位置決めする。
【0022】
畳Tがセットできたら、図示しない運転スイッチ又はフットスイッチをオンする。運転スイッチのオンにより、シリンダ4が駆動されて畳押え3が下降して畳Tをテーブル2上に固定する。(図3(c)参照)
【0023】
畳Tの固定が完了すると、作業者はホットメルト等の接着剤を畳Tの側面全体へ工具で塗布する。(図3(d)参照)塗布が完了すると図示しない運転スイッチ又はフットスイッチをオンさせて、シリンダ6を駆動させて図3(e)のように畳Tの端部を畳床端押え5でテーブル2上に固定し、折込みユニット7の下部に取り付けた4つの旋回シリンダ7aを作動させフレーム7cに旋回支点7dで旋回可能に取り付けられている4つの旋回アーム7bを旋回させる。旋回した旋回アーム7bに取り付けられている旋回折り曲げ部材8が、畳Tの側面に畳表を押しつける。
【0024】
畳Tの端部はテーブル2と畳床端押え5によってずれないように固定されているので、畳Tの側面が変形しない程度で畳T側面を全面に亘って旋回折り曲げ部材8で押しつけて畳表を畳の側面に接着する。
【0025】
次に図4(a)に示すように、旋回折り曲げ部材8で畳Tの側面を押しつけた状態のままで畳床端押え5を上昇させ、畳Tの裏面にホットメルト等の接着剤を工具で塗布する。畳床端押え5の上昇は、旋回折り曲げ部材8で畳表を畳の側面に沿わせるように押しつけた状態で自動的に上昇させてもよいし、図示しない運転スイッチ又はフットスイッチをオンさせてもよい。
【0026】
ホットメルト等の接着剤の塗布が完了すると、図示しない運転スイッチ又はフットスイッチをオンさせて、折込みユニット7のフレームに設けられた4つのシリンダ9aを作動させて折り曲げ板9を畳T側へ移動させて、図4(b)に示すように畳Tの裏面より上方を突出している畳表を畳Tの裏面に沿わせるように折り曲げる。
【0027】
折り曲げ板9は、薄い板状の金属片で、素材はステンレス等の摩耗に強い素材を採用するとよい。そして、この折り曲げ板9は図1の畳床端押え5と同等の幅を有する1枚の板で構成してもよいし、幅数センチ程度の金属片を隙間無くL字型フレーム9bに複数個畳床端押え5と同等の幅になるように設置する構成としてもよい。
【0028】
L字型フレーム9bには図1に示しているようにL字型の移動ガイド9cが3箇所に取り付けられており、折込みユニットのフレームに移動ガイド9cを保持する上下1対のベアリング9d,9dを1つの移動ガイド9cに2組設けており、4本のシリンダ9aの駆動で折り込み板9の進退を駆動する構成としている。
【0029】
折り曲げ板9で畳表を畳の裏面に沿わせるように折り曲げが完了すると、図4(c)のように畳床端押え5が再度下降して折り曲げ板9と共に畳Tを押え、畳床端押え5の下面に複数設けられている穴部から冷却用のエアを噴射する。
【0030】
作業者は任意時間冷却用のエアを噴射させた後に、図示しない運転スイッチ又はフットスイッチをオンする。その信号によって、畳床端押え5が上昇し、折り曲げ板9が図4(d)の状態に戻ると共に旋回折り曲げ部材8も半時計方向に旋回して復帰する。折り曲げ板9と旋回折り曲げ部材8が復帰後に畳押え3が上昇して1辺の畳表折曲げ作業が完了する。上記の工程をもう1辺に対しても行って畳Tの畳表の折り曲げを完成させる。畳Tの裏面に固定した畳表と畳の境目にテープなどを適宜貼り付けて最終的に完成させることも製品の仕上がりを向上させる工程として採用しておいてもよい。
【0031】
次に、縁無畳用畳表折り曲げ機1を用いて厚畳の製作をする作業について、図5に図示して説明する。図3(a)と同様に図5(a)はハンドル10,10を回転させて、折込みユニット7の高さ調整を左右のメジャーテープ18a,18aそれぞれで目盛りを見ながら行い、折込みユニット7の高さ調整を完了した状態を示している。
【0032】
図5(b)に示すように、テーブル2に畳表を下に向けて畳Tを載置する。畳表の折り曲げ位置は予め蒸気をかけたりして曲がりやすくして、折り癖を付けておくとよい。畳Tをテーブル2に載置する際には、畳Tの床端を目印として照射しているレーザー光に合わせて設置する。このレーザー光はシリンダ6が取り付けられているフレーム部に設けた可視レーザーから照射しており、図5(b)の直交方向に広がるように照射している。従って畳床端部に照射されたレーザー光は直線に見えるので畳Tが斜めにならないようにレーザー光に合わせて位置決めする。
【0033】
畳Tがセットできたら、図示しない運転スイッチ又はフットスイッチをオンする。運転スイッチのオンにより、シリンダ4が駆動されて畳押え3が下降して畳Tをテーブル2上に固定する。(図5(c)参照)
【0034】
畳Tの固定が完了すると、作業者はホットメルト等の接着剤を畳Tの側面全体へ工具で塗布する。(図5(d)参照)塗布が完了すると図示しない運転スイッチ又はフットスイッチをオンさせて、シリンダ6を駆動させて図5(e)のように畳Tの端部を畳床端押え5でテーブル2上に固定し、折込みユニット7の下部に取り付けた4つの旋回シリンダ7aを作動させフレーム7cに旋回支点7dで旋回可能に取り付けられている4つの旋回アーム7bを旋回させる。旋回した旋回アーム7bに取り付けられている旋回折り曲げ部材8が、畳Tの側面に畳表を押しつける。
【0035】
畳Tの端部はテーブル2と畳床端押え5によってずれないように固定されているので、畳Tの側面が変形しない程度で畳T側面を全面に亘って旋回折り曲げ部材8で押しつけて畳表を畳の側面に接着する。(図5(f)参照)厚畳の場合は畳表は畳Tの裏面には回り込まないため以上で完了となる。図示しない運転スイッチ又はフットスイッチをオンし、その信号によって、畳床端押え5を上昇させ、旋回折り曲げ部材8を半時計方向に旋回させて復帰させる。旋回折り曲げ部材8が復帰後に畳押え3が上昇して1辺の畳表折曲げ作業が完了する。上記の工程をもう1辺に対しても行って畳Tの畳表の折り曲げを完成させる。
【0036】
上記の実施形態においては、畳表は畳Tの側面と裏面にホットメルトで固定する例で説明したが、旋回折り曲げ部材8に適宜孔又は長孔を複数設けておき、ステープル止めもできるように構成しておいてもよい。
【0037】
次に、畳表を折り曲げる機構について、別の実施形態を図6を用いて説明する。図6(a)は旋回折り曲げ部材8の動作機構を図2と同様の方向から見た状態の拡大図で、図6(b)は図6(a)のA−A断面図であり、図6(c)は旋回折り曲げ部材8を旋回させて畳表を折り曲げた状態の図である。
【0038】
折り曲げ部材8には、略半円状の旋回ガイド21が取り付けられており、この旋回ガイド21には、旋回中心が点Pである円弧状の旋回ガイド溝22が設けられており、旋回ガイド21の半円状の円弧部分にはギア23が設けられている。この旋回中心点Pは折り曲げ板8の一方の端部に一致させてもいる。
【0039】
テーブル2の下方には、フレーム部材2aが設けられており、このフレーム部材2aには、歯車24が回転可能に設けられ、またギア24の下方にはラックギア26を保持するための回転ガイド25が回転可能に設けられている。そして、歯車24にギアが噛み合うようにラックギア26が回転ガイド25で下方を支持された状態で設けられ、ラックギア26はシリンダ27のロッド27aに連結されている。
【0040】
また、フレーム部材2aには4つのベアリング28が設けられており、この4つのベアリング28が図6(b)に示すように旋回ガイド21の旋回ガイド溝22に嵌合し、旋回ガイド21が旋回中心点Pを中心に旋回可能な状態に構成されている。
【0041】
図6(a)のシリンダ27のロッド27aが突出した状態からロッド27aを戻すと、ラックギア26が歯車24を回転させるので、その歯車24の回転によって、歯車24と噛み合っているギア23に駆動がかかり、4つのベアリング28にガイドされながら、旋回ガイド溝22に沿って旋回ガイド21が旋回して畳表を畳Tの側面に折り曲げるという動作となる。
【0042】
上記の機構を使った実施形態の動作について図7及び図8を用いて薄畳の場合について説明する。図1から図5において同様の部材には同じ符号を用いて説明するが、要部の動作を開示するために、詳細の構造についてまでは図7及び図8には図示を省略する。
【0043】
図3(a)と同様に図7(a)においてはハンドル10を回転させて、折込みユニット7の高さ調整を左右のメジャーテープ18aそれぞれで目盛りを見ながら行い、折込みユニット7の高さ調整を完了し、テーブル2に畳表を下に向けて畳Tを載置した状態を示している。畳表の折り曲げ位置は予め蒸気をかけたりして曲がりやすくして、折り癖を付けておくとよい。ハンドル10、メジャーテープ18aは図示を省略している。また折込みユニット7も折り曲げ板9の進退の機構のみとなっているためフレーム等については特に図示を省略している。
【0044】
そしてまた、本実施形態においては、図1に示したシリンダ6を設けているフレーム部分をユニットとして昇降自在に設けている。図示は特にしていないが、シリンダ6を設けているフレーム部を数本のシリンダと昇降用のガイドシャフト等を用いて昇降する構成などがその具体的な構造として採用できる。そしてその昇降するフレーム部材に位置決め板29を設けてもいる。この位置決め板29も畳床端押え5と同様に幅方向に広くしており、1枚の板状体で構成している。また、図1と同様にフレーム部分は固定して位置決め板29のみをシリンダで昇降させるように構成してもよい。
【0045】
図7(b)に示すように、位置決め板29をフレーム部材と共に下降させ、位置決め板29が畳表に当接するようにする。位置決め板29が畳表に当接する力は強い圧力を特には必要としない。作業者が位置決め板29を上昇させようと手で持ち上げようとした場合に持ち上がる程度でよい。そして、位置決め板29の先端が畳表に当接した状態で、畳Tの上面が位置決め板29にぴったりと沿うように畳Tの位置決めを行い、折り曲げる畳表の位置を確認する。畳Tの位置と折り曲げる畳表の位置が良ければ図示しない運転スイッチ又はフットスイッチをオンする。
【0046】
上記のスイッチのオンにより、畳押え3と畳床端押え5がそれぞれシリンダ4とシリンダ6の作動によって下降し畳Tを及び畳Tの端部の固定を行う。(図7(c)参照)
【0047】
畳Tとその端部の固定を完了すると図6で説明したように、シリンダ27を作動させてロッド27aを戻し、ラック26を図6(a)の図中右方向へ移動させることにより旋回ガイド21を旋回させて、位置決め板29で押さえられている畳表を図7(d)に示すように旋回折り曲げ部材8で折り曲げる。このとき位置決め板29で押さえられた畳表を、位置決め板29の畳表に当接している先端に沿って折り曲げるので直線性を保った折り曲げができる。そしてまた、旋回折り曲げ部材8が旋回によって畳表を折り曲げるため、畳表表面に強い摩擦がかかったりすることなく折り曲げるので畳表を損傷したりすることがなく仕上がりよく折り曲げすることができる。そして、旋回折り曲げ部材8の旋回角度は、シリンダ27にセンサを設けてそのセンサ位置に来たときにシリンダ内の空気の流動を停止させるような制御を行うことにより約70度〜約90度程度の畳表に折り癖が付けられる程度の折り曲げを行う。折り曲げた状態をタイマー等で所定時間折り曲げた状態を保持するように制御するとよい。
【0048】
畳表に折り癖が付けられると、畳床端押え5を上昇させて、フレーム部分全体を上昇させることで位置決め板29を上昇させ、図7(e)に示すように作業者はホットメルト等の接着剤を畳Tの側面全体へ工具で塗布する。塗布が完了すると図示しない運転スイッチ又はフットスイッチをオンさせて、シリンダ6を駆動させて図7(f)のように畳Tの端部を畳床端押え5でテーブル2上に固定し、図8(a)に図示するようにシリンダ27を作動させて旋回折り曲げ部材8を旋回させ、旋回折り曲げ部材8によって畳Tの側面に畳表が押しつけられて接着される。この際にも、旋回折り曲げ部材8が旋回によって畳表を折り曲げるため、畳表表面に強い摩擦がかかったりすることなく折り曲げるので畳表を損傷したりすることがなく仕上がりよく折り曲げすることができる。また、畳Tの側面の裁断角度に沿って畳表を折り曲げるのであるが、薄畳であると畳Tの角を曲げる圧力によっては角をつぶしてしまうため図7に開示しているように、ガイド5aを畳床端押え5の幅方向にわたって設けて畳Tの側面がつぶれないようにしておくとよい。
【0049】
畳T側面への畳表の接着が完了すると、図8(b)のように旋回折り曲げ部材8をシリンダ27を作動させて水平な状態へ戻し、また、畳床端押え5を上昇させて、畳表が裏面へ折り返される部分についてホットメルト等の接着剤を塗布する。
【0050】
接着剤の塗布が完了すれば、図示しない運転スイッチ又はフットスイッチをオンさせて、図4(b)と同様にシリンダ9aを作動させて畳T側へ移動させて、畳Tの裏面より上方を突出している畳表を畳Tの裏面に沿わせるように折り曲げる。折り曲げ板9の移動の構成については図4で説明したことと同様である。
【0051】
折り曲げ板9で畳表を畳の裏面に沿わせるように折り曲げが完了すると、図4(c)と同様に図8(d)に示すように畳床端押え5が再度下降して折り曲げ板9と共に畳Tを押え、畳床端押え5の下面に複数設けられている穴部から冷却用のエアを噴射する。
【0052】
作業者は任意時間冷却用のエアを噴射させた後に、図示しない運転スイッチ又はフットスイッチをオンする。その信号によって、図8(e)に図示するように畳床端押え5が上昇し、また、畳押え3が上昇して1辺の畳表折曲げ作業が完了する。上記の工程をもう1辺に対しても行って畳Tの畳表の折り曲げを完成させる。畳Tの裏面に固定した畳表と畳の境目にテープなどを適宜貼り付けて最終的に完成させることも製品の仕上がりを向上させる工程として採用しておいてもよいことは先に説明した実施形態と同様である。
【0053】
上記の機構を使った実施形態の動作について図7及び図8を用いて薄畳の場合について説明する。図1から図5において同様の部材には同じ符号を用いて説明するが、要部の動作を開示するために、詳細の構造についてまでは図7及び図8には図示を省略する。
【0054】
図3(a)と同様に図7(a)においてはハンドル10を回転させて、折込みユニット7の高さ調整を左右のメジャーテープ18aそれぞれで目盛りを見ながら行い、折込みユニット7の高さ調整を完了し、テーブル2に畳表を下に向けて畳Tを載置した状態を示している。畳表の折り曲げ位置は予め蒸気をかけたりして曲がりやすくして、折り癖を付けておくとよい。ハンドル10、メジャーテープ18aは図示を省略している。また折込みユニット7も折り曲げ板9の進退の機構のみとなっているためフレーム等については特に図示を省略している。
【0055】
そしてまた、本実施形態においては、図1に示したシリンダ6を設けているフレーム部分をユニットとして昇降自在に設けている。図示は特にしていないが、シリンダ6を設けているフレーム部を数本のシリンダと昇降用のガイドシャフト等を用いて昇降する構成などがその具体的な構造として採用できる。そしてその昇降するフレーム部材に位置決め板29を設けてもいる。この位置決め板29も畳床端押え5と同様に幅方向に広くしており、1枚の板状体で構成している。また、図1と同様にフレーム部分は固定して位置決め板29のみをシリンダで昇降させるように構成してもよい。
【0056】
図7(b)に示すように、位置決め板29をフレーム部材と共に下降させ、位置決め板29が畳表に当接するようにする。位置決め板29が畳表に当接する力は強い圧力を特には必要としない。作業者が位置決め板29を上昇させようと手で持ち上げようとした場合に持ち上がる程度でよい。そして、位置決め板29の先端が畳表に当接した状態で、畳Tの上面が位置決め板29にぴったりと沿うように畳Tの位置決めを行い、折り曲げる畳表の位置を確認する。畳Tの位置と折り曲げる畳表の位置が良ければ図示しない運転スイッチ又はフットスイッチをオンする。
【0057】
上記のスイッチのオンにより、畳押え3と畳床端押え5がそれぞれシリンダ4とシリンダ6の作動によって下降し畳Tを及び畳Tの端部の固定を行う。(図7(c)参照)
【0058】
畳Tとその端部の固定を完了すると図6で説明したように、シリンダ27を作動させてロッド27aを戻し、ラック26を図6(a)の図中右方向へ移動させることにより旋回ガイド21を旋回させて、位置決め板29で押さえられている畳表を図7(d)に示すように旋回折り曲げ部材8で折り曲げる。このとき位置決め板29で押さえられた畳表を、位置決め板29の畳表に当接している先端に沿って折り曲げるので直線性を保った折り曲げができる。そしてまた、旋回折り曲げ部材8が旋回によって畳表を折り曲げるため、畳表表面に強い摩擦がかかったりすることなく折り曲げるので畳表を損傷したりすることがなく仕上がりよく折り曲げすることができる。そして、旋回折り曲げ部材8の旋回角度は、シリンダ27にセンサを設けてそのセンサ位置に来たときにシリンダ内の空気の流動を停止させるような制御を行うことにより約70度〜約90度程度の畳表に折り癖が付けられる程度の折り曲げを行う。折り曲げた状態をタイマー等で所定時間折り曲げた状態を保持するように制御するとよい。
【0059】
畳表に折り癖が付けられると、畳床端押え5を上昇させて、フレーム部分全体を上昇させることで位置決め板29を上昇させ、図7(e)に示すように作業者はホットメルト等の接着剤を畳Tの側面全体へ工具で塗布する。塗布が完了すると図示しない運転スイッチ又はフットスイッチをオンさせて、シリンダ6を駆動させて図7(f)のように畳Tの端部を畳床端押え5でテーブル2上に固定し、図8(a)に図示するようにシリンダ27を作動させて旋回折り曲げ部材8を旋回させ、旋回折り曲げ部材8によって畳Tの側面に畳表が押しつけられて接着される。この際にも、旋回折り曲げ部材8が旋回によって畳表を折り曲げるため、畳表表面に強い摩擦がかかったりすることなく折り曲げるので畳表を損傷したりすることがなく仕上がりよく折り曲げすることができる。また、畳Tの側面の裁断角度に沿って畳表を折り曲げるのであるが、薄畳であると畳Tの角を曲げる圧力によっては角をつぶしてしまうため図7に開示しているように、ガイド5aを畳床端押え5の幅方向にわたって設けて畳Tの側面がつぶれないようにしておくとよい。
【0060】
畳T側面への畳表の接着が完了すると、図8(b)のように旋回折り曲げ部材8をシリンダ27を作動させて水平な状態へ戻し、また、畳床端押え5を上昇させて、畳表が裏面へ折り返される部分についてホットメルト等の接着剤を塗布する。
【0061】
接着剤の塗布が完了すれば、図示しない運転スイッチ又はフットスイッチをオンさせて、図4(b)と同様にシリンダ9aを作動させて畳T側へ移動させて、畳Tの裏面より上方を突出している畳表を畳Tの裏面に沿わせるように折り曲げる。折り曲げ板9の移動の構成については図4で説明したことと同様である。
【0062】
折り曲げ板9で畳表を畳の裏面に沿わせるように折り曲げが完了すると、図4(c)と同様に図8(d)に示すように畳床端押え5が再度下降して折り曲げ板9と共に畳Tを押え、畳床端押え5の下面に複数設けられている穴部から冷却用のエアを噴射する。
【0063】
作業者は任意時間冷却用のエアを噴射させた後に、図示しない運転スイッチ又はフットスイッチをオンする。その信号によって、図8(e)に図示するように畳床端押え5が上昇し、また、畳押え3が上昇して1辺の畳表折曲げ作業が完了する。上記の工程をもう1辺に対しても行って畳Tの畳表の折り曲げを完成させる。畳Tの裏面に固定した畳表と畳の境目にテープなどを適宜貼り付けて最終的に完成させることも製品の仕上がりを向上させる工程として採用しておいてもよいことは先に説明した実施形態と同様である。
【0064】
次に、上記の機構を使った実施形態の動作について図9を用いて厚畳の場合について説明する。図1から図5において同様の部材には同じ符号を用いて説明するが、要部の動作を開示するために、詳細の構造についてまでは図9には図示を省略する。
【0065】
図9(a)において、厚畳の場合は、ハンドル10を回転させて折込みユニット7の高さ調整をする必要はないため、折込みユニットの図示も省略している。図9(a)は、テーブル2に畳表を下に向けて畳Tを載置した状態を示している。畳表の折り曲げ位置は予め蒸気をかけたりして曲がりやすくして、折り癖を付けておくとよい。
【0066】
シリンダ6を設けているフレーム部分をユニットとして昇降自在に設けているのは図7及び図8と同様である。図9(b)に示すように、位置決め板29をフレーム部材と共に下降させ、位置決め板29が畳表に当接するようにする。位置決め板29が畳表に当接する力は強い圧力を特には必要としない。作業者が位置決め板29を上昇させようと手で持ち上げようとした場合に持ち上がる程度でよい。そして、位置決め板29の先端が畳表に当接した状態で、畳Tの上面が位置決め板29にぴったりと沿うように畳Tの位置決めを行い、折り曲げる畳表の位置を確認する。畳Tの位置と折り曲げる畳表の位置が良ければ図示しない運転スイッチ又はフットスイッチをオンする。
【0067】
上記のスイッチのオンにより、畳押え3と畳床端押え5がそれぞれシリンダ4とシリンダ6の作動によって下降し畳Tを及び畳Tの端部の固定を行う。(図9(c)参照)
【0068】
畳Tとその端部の固定を完了すると図6で説明したように、シリンダ27を作動させてロッド27aを戻し、ラック26を図6(a)の図中右方向へ移動させることにより旋回ガイド21を旋回させて、位置決め板29で押さえられている畳表を図9(d)に示すように旋回折り曲げ部材8で折り曲げる。このとき位置決め板29で押さえられた畳表を、位置決め板29の畳表に当接している先端に沿って折り曲げるので直線性を保った折り曲げができる。そしてまた、旋回折り曲げ部材8が旋回によって畳表を折り曲げるため、畳表表面に強い摩擦がかかったりすることなく折り曲げるので畳表を損傷したりすることがなく仕上がりよく折り曲げすることができる。そして、旋回折り曲げ部材8の旋回角度は、シリンダ27にセンサを設けてそのセンサ位置に来たときにシリンダ内の空気の流動を停止させるような制御を行うことにより約70度〜約90度程度の畳表に折り癖が付けられる程度の折り曲げを行う。折り曲げた状態をタイマー等で所定時間折り曲げた状態を保持するように制御するとよい。
【0069】
畳表に折り癖が付けられると、畳床端押え5を上昇させて、フレーム部分全体を上昇させることで位置決め板29を上昇させ、図9(e)に示すように作業者はホットメルト等の接着剤を畳Tの側面全体へ工具で塗布する。塗布が完了すると図示しない運転スイッチ又はフットスイッチをオンさせて、シリンダ6を駆動させて図9(f)のように畳Tの端部を畳床端押え5でテーブル2上に固定し、図9(g)に図示するようにシリンダ27を作動させて旋回折り曲げ部材8を旋回させ、旋回折り曲げ部材8によって畳Tの側面に畳表が押しつけられて接着される。この際にも、旋回折り曲げ部材8が旋回によって畳表を折り曲げるため、畳表表面に強い摩擦がかかったりすることなく折り曲げるので畳表を損傷したりすることがなく仕上がりよく折り曲げすることができる。また、畳Tの側面の裁断角度に沿って畳表を折り曲げるのであるが、薄畳であると畳Tの角を曲げる圧力によっては角をつぶしてしまうため図7に開示しているように、ガイド5aを畳床端押え5の幅方向にわたって設けて畳Tの側面がつぶれないようにしておくとよい。厚畳の場合は、畳Tの裏面に畳表が回り込むことがないため以上で1端側の畳表の折り曲げが完了する。もう1端も上記のように実施して畳Tを完了させるのである。
【0070】
以上2つの実施形態についてそれぞれ薄畳と厚畳の場合の説明を行ったが、畳表を畳Tの側面に沿って折り曲げる際に、旋回しながら畳表を折り曲げる構造としているので、畳表を損傷したりすることがなく、畳の仕上がりを向上することができる縁無畳用畳表折り曲げ機が提供できる。
【0071】
また、以上の実施形態の説明では、畳表はホットメルト等の接着剤で畳Tの側面や裏面に接着する構成で説明したが、両面テープで固定するようにしても良い。また図7〜図9で説明した実施形態についても、旋回折り曲げ部材8にステープルを打つことができるような穴や長穴を設けてステープル止めできるようにしても良い。また、図3〜図5で開示した実施形態に図7〜図9で開示している位置決め板を採用しても良いし、図7〜図9においてレーザーマーカで位置を決定する構成に変更しても良いことはいうまでもない。


【符号の説明】
【0072】
1 縁無畳用畳表折り曲げ機
2 テーブル
2a フレーム部材
3 畳押え
4 シリンダ
5 畳床端押え
6 シリンダ
7 折込みユニット
7a 旋回シリンダ
7b 旋回アーム
7c フレーム
7d 旋回支点
8 旋回折り曲げ部材
9 折り曲げ板
9a シリンダ
10 ハンドル
11 板部材
12 旋回ピン
13 旋回ボス
14 ネジ軸
15 昇降ナット
16 板部材
17 旋回ピン
18 メジャー
18a メジャーテープ
21 旋回ガイド
22 旋回ガイド溝
23 ギア
24 歯車
25 回転ガイド
26 ラックギア
27 シリンダ
27a ロッド
28 ベアリング
29 位置決め板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縁無畳を製造するために、框に畳表を縫着又は取付けられた畳の畳表を折り曲げる畳表折曲げ機において、
畳表を下にして畳を載置するテーブルと、
上記テーブルに載置された畳を固定する畳押えと、
畳表を折り曲げる際に、畳端部を上記テーブルに上方から押さえつけることにより固定する畳床端押えと、
框に縫着又は取付けられた畳表の畳上面から突出した部分の畳表を、畳側面に対して沿うように折り曲げて畳側面に押しつける旋回折り曲げ手段とを具備し、
上記畳押えと上記畳床端押えによって、畳及び畳端部を固定した状態で旋回折り曲げ手段によって畳表を折り曲げることを特徴とする縁無畳用畳表折り曲げ機。
【請求項2】
テーブル側方に、畳表を畳の裏面に沿って折り曲げるための折り曲げ板を進退自在かつ高さ方向への位置調整可能に設けていることを特徴とする請求項1記載の縁無畳用畳表折り曲げ機。
【請求項3】
畳表を折り曲げる畳側面に平行に位置する畳より幅広い位置決め板を昇降可能に設け、位置決め板を降下させて畳の側面に当接させた状態で旋回折り曲げ手段で畳表を折り曲げることによって畳表に折り筋を付ける工程を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の縁無畳用畳表折り曲げ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−12429(P2011−12429A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156537(P2009−156537)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000163121)極東産機株式会社 (68)
【Fターム(参考)】