説明

縦型製袋充填包装機で製袋の形を扁平状にする方法及び装置

【課題】給袋充填包装機を使用して製造された、両側縁に折れ線があり扁平状になった袋包装体と同じ外観を持つ包装袋を、使用する包装資材のコストが低く済み、包装能力も高い縦型製袋充填包装機を使用して製造する方法及び装置を提供する。
【解決手段】縦型製袋充填包装機において、原反ロールFと製筒器9との間の位置で、帯状包装材Wfに、包装袋が形成されたときに袋の両側部の縦方向の中心線となる部分に折り癖W1を施すことにより、製袋の形を扁平状にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦型製袋充填包装機において、製袋の形を扁平状にする方法及び装置に関る。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、縦型製袋充填包装機では、原反ロールFから帯状の包装フィルムWfを製筒器9に導いて製袋充填筒2を包むように折り曲げて製袋充填筒2の前側で合わせてから縦シーラ3により縦シールして包装筒Hとするとともに、製袋充填筒2の側面に設けられたフィルム送り装置4により包装筒Hの引き下ろしを行って製袋充填筒2の下方へ垂下し、被包装品を充填し、その後横シール・カッター装置5で横シールすると共に包装筒Hをカットして包装袋Jを製造する。このようにして製造された袋包装体は、一般にピロー包装体とよばれている。ピロー包装体は、両側部が、緩やかな弧を描くようになる。図10(a)に袋の概観斜視図を、図10(b)袋の断面図を示す。
【0003】
袋包装体を製造する機械としては他に、給袋充填包装機が存在する。給袋充填包装機は、図11に示すように、積み重ねられたシート状の空袋W0を供給装置10から受け取る給袋部Aと、該給袋部から移送された空袋W0の開口部を広げて内容物を充填する充填部Bと、充填部から移送された実袋に口封処理を施す包装部Cからなる袋詰め包装機械である(例えば、特許文献1参照)。使用する空袋は別途、図12に示すような製袋機械にて製造される。製袋機械にて製造された空袋は、押圧ローラ20により押圧してシート状にしているため、両側部に折り癖W1が形成される(例えば、特許文献2参照)。これにより、給袋充填包装機で製造された袋包装体の両側縁には、エッジが形成された扁平状なものとなる。図13(a)に袋の概観斜視図を、図13(b)に袋の断面図を示す。
【0004】
上記のように、給袋充填包装機を使用して製造された袋包装体は、両側縁に折り癖によるエッジが形成されているので扁平状になっており、見栄えが良く、ある程度の剛性もあるため、商品搬送のときの箱詰め作業においても、小売するときの商品陳列を行う場合にも有利である。しかしながら、原反ロールに巻きつけられた帯状包装材から製袋すると同時に被包装品を充填し袋包装体を製造する縦型製袋充填包装機に比べて、包装資材のコストが高く、且つ袋を取り出して開口させ、被包装品を充填するという機構上包装能力が低いという欠点がある。一方、縦型製袋充填包装機は、使用する包装資材のコストが低く済み、包装能力も高いが、製造した袋包装体が、両側部が緩やかな弧を描くような軟弱なピロー包装体となってしまうという欠点を持っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−018921号公報(段落9から段落10及び図4)
【特許文献2】特開2004−001402号公報(段落40及び図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
使用する包装資材のコストが低く済み、包装能力も高い縦型製袋充填包装機を使用して、給袋充填包装機を使用して製造された、両側縁に折れ線があり扁平状になった袋包装体を製造する方法及び、装置の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、原反ロールから帯状の包装フィルムを製筒器に導いて製品充填筒を包むように折り曲げて製筒器の前側で合わせてから縦シール装置により縦シールして包装筒とするとともに、フィルム送り装置により包装筒の引き下ろしを行って前記製品充填筒の下方へ垂下し、被包装品を充填し、その後横シール・カッター装置で横シールすると共に包装筒をカットして包装袋を排出する構成の縦型製袋充填包装機において、
前記原反ロールと前記製筒器との間の位置で、前記帯状包装材に、前記包装袋が形成されたときに袋の両側部の縦方向の中心線となる部分をそれぞれ、加熱・押圧して折り癖を施すことで、縦型製袋充填包装機で製袋の形を扁平状にする方法である。
【0008】
本発明は、原反ロールから帯状の包装フィルムを製筒器に導いて製品充填筒を包むように折り曲げて製筒器の前側で合わせてから縦シール装置により縦シールして包装筒とするとともに、フィルム送り装置により包装筒の引き下ろしを行って前記製品充填筒の下方へ垂下し、被包装品を充填し、その後横シール・カッター装置で横シールすると共に包装筒をカットして包装袋を排出する構成の縦型製袋充填包装機において、
前記原反ロールと前記製筒器との間の位置で、前記帯状包装材に、前記包装袋が形成されたときに袋の両側部の縦方向の中心線となる部分をそれぞれ、加熱・押圧して折り癖を施すことで、縦型製袋充填包装機で製袋の形を扁平状にする装置である。
【0009】
本発明の縦型製袋充填包装機で製袋の形を扁平状にする装置は、包装袋が形成されたときに袋の両側部の縦方向の中心線となる部分を加熱、押圧して折り癖を施す装置が、上下一対の部材からなり、上側部材は、対向面に山型突起を有し、加熱用の電気ヒータを内蔵した角柱状のブロックであり、下降することが可能に構成されており、下側部材が山型溝を有した固定された角柱状の受け台から構成することができる。
【0010】
本発明の縦型製袋充填包装機で製袋の形を扁平状にする装置は、包装袋が形成されたときに袋の両側部の縦方向の中心線となる部分を加熱、押圧して折り癖を施す装置が、上下一対の部材からなり、上側部材は、対向面に山型突起を有し、加熱用の電気ヒータを内蔵した回転自在な円柱状のブロックであり、下降することが可能に構成されており、下側部材が山型溝を有した回転自在に固定された円柱状のブロックから構成することができる。
【0011】
前記回転自在な円柱状のブロックは、速度制御可能なモータによって、包装フィルムの送り速度に同期した駆動することができる。
【0012】
前記速度制御可能なモータは、サーボモータであるとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明を実施することで、両側縁に折り癖によるエッジが形成された扁平状で、見栄えが良く、ある程度の剛性もある袋包装体を縦型製袋充填包装機で製造できるので、使用する包装資材のコストが低く済み、包装能力も高くできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】折り癖装置を搭載した縦型製袋充填包装機の側面図である。
【図2】折り癖装置を搭載した縦型製袋充填包装機の斜視図である。
【図3】折り癖装置の上側部材の上面図と正面図である。
【図4】折り癖装置の下側部材の上面図と正面図である。
【図5】折り癖装置の正面図である。
【図6】折り癖装置の上面図である。
【図7】折り癖装置の側面図である。
【図8】連続動作型の縦型製袋充填包装機用の折り癖装置の正面から見た概略図であ
【図9】縦型製袋充填包装機の概略を示す斜視図である。
【図10】縦型製袋充填包装機で製造された通常のピロー袋の概略を示す図である。
【図11】給袋充填包装機の概略を示す斜視図である。
【図12】製袋機の概略を示す斜視図である。
【図13】給袋充填包装機で製造された袋の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について図を用いて説明する。図1に本発明を適用した縦型製袋充填包装機の側面図を示す。この縦型製袋充填包装機は、縦シール及び横シールを行うときに、包装フィルムの送りが一時停止する間欠動作型のものである。製袋の形を扁平状にするための袋の両側面に折り癖を施す折り癖装置30は、製筒器9の手前の帯状の包装フィルムWfが水平に送られる部分に設置されている。折り癖の形成は、縦シール及び横シールと同様に、包装フィルムの送りが一時停止しているときに実施される。
【0016】
図2に、この縦型製袋充填包装機の斜視図を示す。原反ロールFから引き出された帯状の包装フィルムWfは、製筒器9の手前で、折り癖装置30により折り癖W1が施される。折り癖W1が施された帯状の包装フィルムWfは、製筒器9により製袋充填筒2を包むように折り曲げて製袋充填筒2の前側で合わせてから縦シーラ3により縦シールして包装筒Hとするとともに、製袋充填筒2の側面に設けられたフィルム送り装置4により包装筒Hの引き下ろしを行って製袋充填筒2の下方へ垂下し、被包装品を充填し、その後横シール・カッター装置5で横シールすると共に包装筒Hをカットして包装袋Jが製造される。製造された包装袋Jの両側縁には、折り癖W1を施したことによる折れ線があり、扁平状になった袋包装体となっている。折り癖装置30は、上側部材31と下側部材35から構成されている。上側部材31はエアシリンダ34により下降し、下側部材35と勘合するように構成されている。帯状の包装フィルムWfは、上側部材31と下側部材35の間を通過する。上側部材31は、図3に示すように山型突起32を有し、加熱用のヒータ33を内蔵した扁平な角柱状のブロックである。下側部材35は、図4に示すように上側部材31の受け台となる部材であり、山型溝36を有した扁平な角柱状のブロックである。上側部材31の上方には、上側部材31を下側部材35に向けて押し付けるためのエアシリンダ34が備えられている。包装フィルムの送りが一時停止しているときに、エアシリンダ34が動作してピストンロッドが下方に伸びることにより上側部材31を下側部材35に押し付けられる。このとき、上側部材31の山型突起32が、下側部材35の山型溝36が勘合し、帯状の包装フィルムWfが押圧される。上側部材31には、加熱用のヒータ33が内蔵されているので、加熱も同時に行われる。帯状の包装フィルムWfは、上側部材31の加熱された山型突起32と下側部材35の山型溝36により加熱、押圧されることにより、折り癖W1が形成される。
【0017】
図5から図7を用いて、折り癖装置30の構成の詳細を説明する。図5は折り癖装置を機械背面から見た正面図、図6折り癖装置を機械上方から見た上面図、図7は折り癖装置を機械側面からみた側面図である。上側部材31は、断熱プレート(図示せず)を介して上側部材の取付けプレート39に接続される。上側部材の取付けプレート39は、中央部でエアシリンダ34のピストンロッドに接続され、エアシリンダ34が動作すると下方へ移動するように構成されている。また、上側部材の取付けプレート39は、前後2本のサポートシャフト37が備えられ、動作時の安定が保たれるよう構成されている。エアシリンダ34は、エアシリンダ取付けプレート38に設置され、上下部材接続用アングル40により下側部材取付けプレート44に接続されている。下側部材取付けプレート44は、上方に、下側部材35に接続され、下方には。折り癖装置取付けブラケット42が接続されている。折り癖装置取付けブラケット42は、両端を機械フレーム43に固定された折り癖装置取付けシャフト41が貫通している。折り癖装置取付けブラケット42と折り癖装置取付けシャフト41は摺動可能に構成されており、折り癖W1の位置を調整できるように構成されている。
【0018】
以上のように、製筒器9の手前の帯状の包装フィルムWfが水平に送られる部分で折り癖装置30により折り癖W1を施すことにより、製袋の形を扁平状にした包装体の製造ができる。本実施例は、間欠動作型の縦型製袋充填包装機での実施例で説明したが、包装フィルムの送りが連続して行われるタイプの連続動作型の縦型製袋充填包装機においても図8に示すような、上側部材を回転自在な山型突起を備えた円柱状のブロックとし、下側部材を回転自在な山型溝を備えた円柱状のブロックとした折り癖装置を用いることで実施できる。この場合、山型突起を備えた円柱状のブロック又は山型溝を備えた円柱状のブロックの一方に、或いは両方に、帯状の包装フィルムWfの送り速度に同期した回転を与えることで、帯状の包装フィルムWfの送りを阻害しないようにすることが重要である。回転を与える駆動源としては、速度制御可能なモータが必要となるが、高度な制御性を有したサーボモータを使用することが好ましい。
【符号の説明】
【0019】
2 製袋充填筒 3 縦シーラ
4 フィルム送り装置 5 横シール・カッター装置
9 製筒器
30 折り癖装置 31 折り癖装置の上側部材
32 山型突起 33 ヒータ
34 エアシリンダ 35 折り癖装置の下側部材
36 山型溝 37 サポートシャフト
38 エアシリンダ取付けプレート 39 上側部材の取付けプレート
40 上下部材接続用アングル 41 折り癖装置取付けシャフト
42 折り癖装置取付けブラケット 43 機械フレーム
44 下側部材取付けプレート
F 原反ロール Wf 帯状の包装フィルム
W0 空袋 W1 折り癖

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原反ロールから帯状の包装フィルムを製筒器に導いて製品充填筒を包むように折り曲げて製筒器の前側で合わせてから縦シール装置により縦シールして包装筒とするとともに、フィルム送り装置により包装筒の引き下ろしを行って前記製品充填筒の下方へ垂下し、被包装品を充填し、その後横シール・カッター装置で横シールすると共に包装筒をカットして包装袋を排出する構成の縦型製袋充填包装機において、
前記原反ロールと前記製筒器との間の位置で、前記帯状包装材に、前記包装袋が形成されたときに袋の両側部の縦方向の中心線となる部分をそれぞれ、加熱・押圧して折り癖を施すことで、縦型製袋充填包装機で製袋の形を扁平状にする方法。
【請求項2】
原反ロールから帯状の包装フィルムを製筒器に導いて製品充填筒を包むように折り曲げて製筒器の前側で合わせてから縦シール装置により縦シールして包装筒とするとともに、フィルム送り装置により包装筒の引き下ろしを行って前記製品充填筒の下方へ垂下し、被包装品を充填し、その後横シール・カッター装置で横シールすると共に包装筒をカットして包装袋を排出する構成の縦型製袋充填包装機において、
前記原反ロールと前記製筒器との間の位置で、前記帯状包装材に、前記包装袋が形成されたときに袋の両側部の縦方向の中心線となる部分をそれぞれ、加熱・押圧して折り癖を施すことで、縦型製袋充填包装機で製袋の形を扁平状にする装置。
【請求項3】
前記製袋の形を扁平状にする装置が、上下一対の部材からなり、上側部材は、対向面に山型突起を有し、加熱用の電気ヒータを内蔵した角柱状のブロックであり、下降することが可能に構成されており、下側部材が山型溝を有した固定された角柱状の受け台から構成されていることを特徴とする請求項2に記載の縦型製袋充填包装機で製袋の形を扁平状にする装置。
【請求項4】
前記製袋の形を扁平状にする装置が、上下一対の部材からなり、上側部材は、対向面に山型突起を有し、加熱用の電気ヒータを内蔵した回転自在な円柱状のブロックであり、下降することが可能に構成されており、下側部材が山型溝を有した回転自在に固定された円柱状のブロックから構成されていることを特徴とする請求項2に記載の縦型製袋充填包装機で製袋の形を扁平状にする装置。
【請求項5】
前記回転自在な円柱状のブロックが、速度制御可能なモータによって、包装フィルムの送りに同期して駆動されることを特徴とする請求項4に記載の縦型製袋充填包装機で製袋の形を扁平状にする装置。
【請求項6】
前記速度制御可能なモータがサーボモータであることを特徴とする請求項5に記載の縦型製袋充填包装機で製袋の形を扁平状にする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−246186(P2011−246186A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123772(P2010−123772)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000148162)株式会社川島製作所 (90)
【Fターム(参考)】