説明

縫製物

【課題】
印刷された模様の周縁に縫い目を形成して模様の輪郭を明瞭にし、模様を立体的に浮き出させて見せることができる縫製物を提供する。
【解決手段】
縫製物1は、表地11と、裏地12と、表地11と裏地12の間に設けられた弾性素材13とからなり、表地11と弾性素材13と裏地12が重ね合わされた状態で縫製されている。表地11の表面16には、所定形状の模様30が印刷されている。前記模様30の周縁には、前記表地11、前記弾性素材13及び前記裏地12を貫通して縫着させた縫い目20が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に模様が印刷された、バッグ、衣服、マフラー、手袋、帽子、靴下、靴、ワッペン等の縫製物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッグ、ティーシャツ等の衣服、手袋等の縫製物は、一枚の生地又は一枚のシートを重ね合わせ、縫製工程を経て製造される。この縫製物に装飾を施すため、表面に単色又は複色で、幾何学模様、動物模様、植物模様等の所定の模様が印刷されたものが存在する(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−339101号公報
【特許文献2】特開2003−113509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、表面に模様が印刷された縫製物は、模様の輪郭が不明瞭であるため、模様が平面的となり、模様を立体的に浮き出させて見せることができないという問題点があった。また、時間の経過や、何度も洗濯を繰り返すことにより、模様が薄れて輪郭が一層不明瞭となり、見た目が悪くなるという問題点があった。
【0005】
本願発明は、上記問題点に鑑み案出したものであって、印刷された模様の周縁に縫い目を形成して模様の輪郭を明瞭にし、模様を立体的に浮き出させて高級感を醸し出すことができる縫製物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1記載の縫製物は、上記目的を達成するため、表地と、裏地と、表地と裏地の間に設けられた弾性素材とからなり、表地と弾性素材と裏地が重ね合わされた状態で縫製された縫製物であって、表地の表面には、所定形状の模様が印刷されており、前記模様の周縁には、前記表地、前記弾性素材及び前記裏地を貫通して縫着させた縫い目が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本願発明に係る縫製物は、表地と、裏地と、表地と裏地の間に設けられた弾性素材との三層で構成されており、表地の表面に、幾何学模様、動物模様、植物模様等の所定形状の模様が印刷されている。当該模様の周縁には、前記表地、前記弾性素材及び前記裏地を貫通して縫着させた縫い目が設けられている。この縫い目によって、あたかも多数の模様パーツが縫い付けられているように見え、高級感を醸し出すことができるという効果がある。また、縫い目は、ミシン糸を互いに引っ張り合って縫着するので、この縫い目によって、弾性素材が撓んで表地と裏地が近接し、溝が形成される。従って、模様の周縁は、溝によって囲まれることになる。模様は、周縁に溝の影ができて輪郭を際立たせることができ、立体感を醸し出すことができるという効果がある。また、本願発明に係る縫製物は、時間の経過や、洗濯を繰り返しても、縫い目による溝が継続的に存在するので、模様の輪郭の明確性を維持することができ、美観・高級感を損なわないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本願発明に係る縫製物の一実施例を示す一方から視た斜視図である。
【図2】図1の縫製物を他方から視た斜視図である。
【図3】図1の縫製物の表面展開図である。
【図4】図1の縫製物の裏面展開図である。
【図5】図1の縫製物の要部説明図であって、(a)が平面図、(b)が断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
縫製物1は、表地11と、裏地12と、表地11と裏地12の間に設けられた弾性素材13とからなり、表地11と弾性素材13と裏地12が重ね合わされた状態で縫製されている。表地11の表面16には、所定形状の模様30が印刷されている。前記模様30の周縁には、前記表地11、前記弾性素材13及び前記裏地12を貫通して縫着させた縫い目20が設けられている。
【0010】
縫製物1は、表地11と、裏地12と、表地11と裏地12の間に設けられた弾性素材13との三層で構成されており、表地11の表面16に、幾何学模様、動物模様、植物模様等の所定形状の模様30が印刷されている。当該模様30の周縁には、前記表地11、前記弾性素材13及び前記裏地12を貫通して縫着させた縫い目20が設けられている。この縫い目20によって、あたかも多数の模様パーツが縫い付けられているように見え、高級感を醸し出すことができる。また、縫い目20は、ミシン糸を互いに引っ張り合って縫着するので、この縫い目20によって、弾性素材13が撓んで表地11と裏地12が近接し、溝18が形成される。従って、模様30の周縁は、溝18によって囲まれることになる。模様30は、周縁に溝18の影ができて輪郭を際立たせることができ、立体感を醸し出すことができる。また、縫製物1は、時間の経過や、洗濯を繰り返しても、縫い目20による溝18が継続的に存在するので、模様30の輪郭の明確性を維持することができ、美観・高級感を損なわない。
【0011】
さらに縫製物1について詳細に説明する。図1,2に示すように、縫製物1は、手提げバッグである。図3,4に示すように、縫製物1は、1枚のシート2を半分で折り畳むように構成し、周縁にスライド式ファスナー3が取り付けられている。図5に示すように、シート2は、三層構成となっており、表地11と、裏地12と、表地11と裏地12の間に設けられた弾性素材13とからなる。表地11と裏地12は、弾性素材13より若干大きく形成され、弾性素材13を囲むようにして縫製され、周縁に縫い目15が形成されている。表地11及び裏地12は、ポリエステル素材で形成されているが、この素材に限定されるものではない。また、弾性素材13は、低反発発泡ポリウレタンで形成されているが、これもこの素材に限定されるものではない。
【0012】
表地11の表面には、スクリーン印刷により、所定形状の模様30が印刷されている。模様30の形状は、幾何学模様、動物模様、昆虫模様、植物模様、風景模様等、特に限定されるものではない。また、印刷色は、単色のみならす複色であっても構わない。シート2は、前記模様30の輪郭に沿って縫い目20が形成されている。縫い目20は、前記表地11、前記弾性素材13及び前記裏地12を貫通しており、ミシン又は手縫いで形成される。ミシンは、制御手段による自動制御ミシン又は手動式ミシンのどちらであっても構わない。また、縫い目20は本縫いでも環縫いでも構わない。
【0013】
図5に示すように、縫い目20が形成されると、弾性素材13の弾性に抗して表地11と裏地12が内側に引き込まれ、溝18が形成される。従って、模様30の周縁には、溝18が形成されることになる。この溝18によって、模様30の周縁に影ができることになり、模様30の輪郭が明確になり、立体感が醸し出される。また、図5(b)に示すように、縫い目22,23を近接させると、縫い目21,22の間に印刷されている模様31よりも、縫い目22,23の間に印刷されている模様32の部分が内側に凹むので、より立体的となり、一層興趣溢れる外観となる。上記実施例では、バッグの縫製物について説明したが、衣服、マフラー、手袋、帽子、靴下、幼児用靴、ワッペン等の縫製物にも利用することができるのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本願発明は、衣服、マフラー、手袋、帽子、靴下、靴、ワッペン等の縫製物に利用可能である。
【符号の説明】
【0015】
1 縫製物
2 シート
3 スライド式ファスナー
11 表地
12 裏地
13 弾性素材
15 縫い目
16 表面
18 溝
20 縫い目
21 縫い目
22 縫い目
23 縫い目
30 模様
31 模様
32 模様

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表地と、裏地と、表地と裏地の間に設けられた弾性素材とからなり、表地と弾性素材と裏地が重ね合わされた状態で縫製された縫製物であって、
表地の表面には、所定形状の模様が印刷されており、
前記模様の周縁には、前記表地、前記弾性素材及び前記裏地を貫通して縫着させた縫い目が設けられていることを特徴とする縫製物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate