縫製製品端縁処理用テープの製造方法及びその方法により製造された縫製製品端縁処理用テープ
【解決手段】縫製製品の端縁処理用テープＴの基材である帯状のテープ１とホットメルト接着剤からなる帯状物２とを重ね合わせた状態で挟み込んで搬送するための一対のベルト３、３’のうち、少なくとも前記ホットメルト接着剤からなる帯状物２が直接接するベルト３の外表面に、均一かつ微細な凹凸５、５’を多数形成する。そして、前記各凹凸部分５、５’に非粘着性のコーティング材料６を固着する。前記コーティング材料６が固着されているその部分に、前記ホットメルト接着剤からなる帯状物２を位置させて熱ローラ４で前記ホットメルト接着剤を溶融させながら前記帯状のテープ１とともに送り出す。
【効果】離型紙が不要になるので、端縁処理用テープＴのコストを大幅に安くすることができる。このテープＴの加工作業を自動的かつ能率良く実施することができ、しかも、ホットメルト接着剤層２ａを帯状のテープ１に強固に接着させることができる。
【効果】離型紙が不要になるので、端縁処理用テープＴのコストを大幅に安くすることができる。このテープＴの加工作業を自動的かつ能率良く実施することができ、しかも、ホットメルト接着剤層２ａを帯状のテープ１に強固に接着させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ズボンやスカートその他の衣類あるいはカーテンなどの縫製製品の端縁処理用テープの製造方法と、その方法により製造された縫製製品端縁処理用テープに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
ズボンやスカートその他の衣類の裾上げを、あるいはカーテン生地などの縫製製品の端縁処理を簡単に行い得るようにするために、編成あるいは織成された帯状のテープにホットメルト接着剤層を形成した端縁処理用テープを、前記衣類の裾上げ部分やカーテン生地などの端縁部分に重ね合わせ、アイロンなどの加熱器具で加熱・加圧して熱接着（熱接合）することが行われている。
【０００３】
この端縁処理用テープの基材である帯状のテープの少なくとも片面の両耳付近には、ホットメルト接着剤層が形成されており、このホットメルト接着剤層の上面には離型紙が貼着されているのが普通である（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】登録実用新案第３０９１０９３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ホットメルト接着剤層の上面に離型紙を貼着するのは、端縁処理用テープの基材である帯状のテープにホットメルト接着剤層を形成するための加工作業を行うに当って、粘着性のホットメルト接着剤層を覆い隠すためであり、衣類の裾上げや縫製製品の端縁処理を行う場合には、離型紙を剥離除去して加熱・圧着する。
【０００６】
このように、端縁処理用テープに離型紙が貼着されていると、端縁処理用テープのコストがそれだけ高くなる。しかしながら、現時点では前記加工作業を行うのに無くてはならないものであるので、余り問題にされていない。
【０００７】
ところが、コスト削減が厳しく追求されるようになって来ると、離型紙の有無自体を無視できなくなって来た。従って、何とか離型紙を無くすことができないかが探求され始めた。特に、縫製製品端縁処理用テープの基材である帯状のテープとホットメルト接着剤からなる帯状物とを重ね合わせた状態で挟み込んで搬送するための一対のベルトと熱ローラとを用いて、前記加工作業を自動的に行う場合には、離型紙が無ければ熱ローラの熱でベルトの外表面にホットメルト接着剤が粘着するから、それを防止することが必須の課題である。
【０００８】
本発明では、このような場合において、縫製製品端縁処理用テープの基材である帯状のテープとホットメルト接着剤からなる帯状物とを重ね合わせた状態で挟み込んで搬送するためのベルトに注目し、このベルトの外表面に工夫を凝らすことによって、離型紙が無くても熱ローラの熱でベルトの外表面にホットメルト接着剤が粘着することを防止し得るようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
すなわち、本発明では、縫製製品端縁処理用テープの基材である帯状のテープとホットメルト接着剤からなる帯状物とを重ね合わせた状態で挟み込んで搬送し、その間に前記帯状物を溶融して前記帯状のテープにホットメルト接着剤層を形成するための一対のベルトのうち、少なくとも前記ホットメルト接着剤からなる帯状物が直接接するベルトの外表面に、微細な凹凸を多数形成し、前記各凹凸部分に非粘着性のコーティング材料を固着しておき、前記コーティング材料が固着されているその部分に、前記ホットメルト接着剤からなる帯状物を位置させて熱ローラで前記ホットメルト接着剤を溶融させながら前記帯状のテープとともに送り出す。
【００１０】
この製造方法を採用した場合には、少なくとも前記ホットメルト接着剤からなる帯状物が直接接するベルトの外表面である前記各凹凸部分に、非粘着性のコーティング材料が固着されているから、熱ローラで前記ホットメルト接着剤がたとえ溶融せしめられたとしても、前記ベルトの外表面にホットメルト接着剤が粘着することは無い。すなわち、離型紙が無くても熱ローラの熱でベルトの外表面にホットメルト接着剤が粘着するのを防止することができるから、端縁処理用テープのコストを大幅に安くすることができるという離型紙が不要になることによるメリットがある。また、端縁処理用テープの基材である帯状のテープにホットメルト接着剤層を形成する加工作業を自動的かつ能率良く実施することができ、しかも、ホットメルト接着剤層を帯状のテープに強固に接着させることができる。
【００１１】
ベルトの外表面にレーザー光を照射することにより、ベルトの外表面に均一かつ微細な凹凸を多数形成することができる。従って、前記端縁処理用テープの基材である帯状のテープにホットメルト接着剤層を形成するに当って、このベルトを用いれば、前記帯状のテープ１にホットメルト接着剤層をより均一かつより強固に形成することができる。
【００１２】
一方、本発明では、縫製製品端縁処理用テープの基材である帯状のテープとホットメルト接着剤からなる帯状物とを重ね合わせた状態で挟み込んで搬送するための一対のベルトのうち、少なくとも前記ホットメルト接着剤からなる帯状物が直接接するベルトの外表面に、微細な凹凸を多数形成し、前記各凹凸部分に非粘着性のコーティング材料を固着しておき、前記コーティング材料が固着されているその部分に、前記ホットメルト接着剤からなる帯状物を位置させて熱ローラで前記ホットメルト接着剤を溶融させながら前記帯状のテープとともに送り出すことにより、前記帯状のテープにホットメルト接着剤層が形成された縫製製品端縁処理用テープを得ることができる。
【００１３】
この縫製製品端縁処理用テープは離型紙を用いないで製造することができるので、このテープのコストを大幅に安くすることができる。また、このテープにあっては、ホットメルト接着剤層がこのテープの基材である帯状のテープに強固に接着されているので、このテープを用いて縫製製品の端縁処理を行った場合には、縫製製品の端縁処理を確実に行うことができるだけでなく、縫製製品の端縁を強固に接合することができる。
【発明の効果】
【００１４】
請求項１記載の製造方法によれば、離型紙が無くても熱ローラの熱でベルトの外表面にホットメルト接着剤が粘着することを防止することができるから、端縁処理用テープのコストを大幅に安くすることができるという離型紙が不要になることによるメリットがある。また、端縁処理用テープの基材である帯状のテープにホットメルト接着剤層を形成する加工作業を自動的かつ能率良く実施することができ、しかも、ホットメルト接着剤層を前記帯状のテープに強固に接着させることができる。
【００１５】
請求項２記載の発明によれば、端縁処理用テープにホットメルト接着剤層をより均一かつより強固に形成することができる。
【００１６】
請求項３記載の発明による縫製製品端縁処理用テープは離型紙を用いないで製造することができるので、このテープのコストを大幅に安くすることができる。また、ホットメルト接着剤層がこのテープの基材である帯状のテープに強固に接着されているので、このテープを用いて縫製製品の端縁処理を行った場合には、縫製製品の端縁処理を確実に行うことができるだけでなく、縫製製品の端縁を強固に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本発明の製造方法の一例を示す斜視図である。
【図２】本発明の製造方法に用いられる一対のベルトの外表面を示す拡大断面図である。
【図３】本発明の製造方法によって得られた縫製製品端縁処理用テープの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００１８】
本発明による縫製製品端縁処理用テープの製造方法の一例を、詳細に説明する。ここに示す縫製製品端縁処理用テープＴは、ズボンやスカートその他の衣類の裾上げを、あるいはカーテン生地などの縫製製品の端縁処理を簡単に行い得るようにするために用いられるもので、縫製製品端縁処理用テープの基材である編成あるいは織成された帯状のテープ１にホットメルト接着剤層２ａが帯状に形成されている。ここには、図１に示す帯状のテープ１の両耳部分１ａ、１ａに、図３に示すように、ホットメルト接着剤層２ａ、２ａが帯状に形成された場合が例示されている。
【００１９】
この縫製製品端縁処理用テープＴを製造するに当って、本発明の製造方法では、ホットメルト接着剤からなる帯状物２を、しかも、この帯状物２の両面には離型紙が貼着されていないものを用いる。そして、図１に示すように、前記縫製製品端縁処理用テープの基材である前記帯状のテープ１上に、ホットメルト接着剤からなる帯状物２を重ね合わせた状態で上下一対のベルト３、３で挟み込んで搬送し、その間に上下一対の熱ローラ４、４で前記帯状物２を溶融させながら前記帯状のテープ１とともに送り出し、前記帯状のテープ１にホットメルト接着剤層２ａ、２ａを形成する。
【００２０】
この場合において、前記帯状物２の少なくとも上面に離型紙が貼着されていない場合には、上側の熱ローラ４の熱で上側のベルト３の外表面にホットメルト接着剤が粘着するから、それを防止することが必要である。
【００２１】
そこで、上下一対のベルト３、３のうち、少なくとも前記ホットメルト接着剤からなる帯状物２が直接接する上側のベルト３の外表面に、微細な凹凸５、５’を多数形成し、前記微細な各凹凸部分５、５’に非粘着性のコーティング材料６を固着しておき、前記コーティング材料６が固着されているその部分に、前記ホットメルト接着剤からなる帯状物２を位置させて前記熱ローラ４で前記ホットメルト接着剤を溶融させながら前記帯状のテープ１とともに送り出す。
【００２２】
この場合には、少なくとも前記ホットメルト接着剤からなる帯状物２が直接接する上側のベルト３の外表面である微細な各凹凸部分５、５’に、非粘着性のコーティング材料６が固着されているから、熱ローラで前記ホットメルト接着剤がたとえ溶融せしめられたとしても、前記ベルトの外表面にホットメルト接着剤が粘着することは無い。すなわち、離型紙が無くても熱ローラ４、４の熱でベルト３の外表面にホットメルト接着剤が粘着することを防止することができるから、端縁処理用テープＴのコストを大幅に安くすることができるという離型紙が不要になることによるメリットがある。また、端縁処理用テープＴの基材である帯状のテープ１にホットメルト接着剤層２ａを形成する加工作業を自動的かつ能率良く行うことができ、しかも、ホットメルト接着剤層２ａを帯状のテープ１に強固に接着させることができる。
【００２３】
上記の場合において、前記ベルト３の外表面にホットメルト接着剤が粘着することが無いのは、多数の微細な凹凸部分５、５’に固着されている非粘着性のコーティング材料６により、ベルト３の外表面の表面抵抗が小さくなり、その結果、溶融せしめられているホットメルト接着剤の付着を防止することができるからである。
【００２４】
図２においては、前記ホットメルト接着剤からなる帯状物２が直接接する上側のベルト３の外表面（図２の下側の面）の多数の凹凸部分５、５’のみに、非粘着性のコーティング材料６が固着された場合を例示するが、図２の下側のベルト３’の外表面（図２の上側の面）にも、上側の場合と同様に各凹凸部分５、５’を形成しておいても良い。なお、図２においては、上下一対のベルト１、１間に隙間７が形成されている状態で示す。
【００２５】
前記ベルト３の外表面に微細な凹凸５、５’を多数形成するには、前記ベルト３の外表面にレーザー光を照射する方法を採用することができる。この方法を採ると、前記ベルト３の外表面に均一かつ微細な凹凸５、５’をほぼ一定で規則的に多数形成することができ、前記均一かつ微細な各凹凸部分５、５’に非粘着性のコーティング材料６をより均一かつより強固に固着することができる。従って、このテープＴの基材である帯状のテープ１にホットメルト接着剤層２ａを形成するに当って、このベルト３を用いれば、このテープＴのコストを大幅に安くすることができるという離型紙が不要になることによる大きなメリットがある。また、前記テープＴの基材である帯状のテープ１にホットメルト接着剤層２ａをより均一かつより強固に形成することができる。均一かつ微細な凹凸５、５’の大きさや深さは任意に設定することができる。
【００２６】
前記非粘着性のコーティング材料６としては、例えばフッ素樹脂やシリコンなどを挙げることができる。そして、図２に示すように、これらの非粘着性のコーティング材料６を均一かつ微細な凹凸５、５’が形成されている上側のベルト３の外表面に塗布した後、それらを硬化させることにより、上側のベルト３の外表面である前記各凹凸部分５、５’に、非粘着性のコーティング材料６を固着させることができる。
【００２７】
このように、上側のベルト３の外表面の所定位置には、非粘着性のコーティング材料６が固着されており、当該コーティング材料６が固着されているその部分に、前記ホットメルト接着剤からなる帯状物２を位置させて熱ローラ４で前記ホットメルト接着剤を溶融させながら前記帯状のテープ１とともに送り出すことにより、図３に示すように、前記帯状のテープ１にホットメルト接着剤層２ａが均一かつ強固に形成された縫製製品端縁処理用テープＴを得ることができる。
【００２８】
この縫製製品端縁処理用テープＴにあっては、ホットメルト接着剤層２ａが端縁処理用テープＴの基材である帯状のテープ１の両耳部分１ａ、１ａに強固に接着されている。従って、このテープＴを用いて縫製製品の端縁処理を行った場合には、縫製製品の端縁処理を確実に行うことができるだけでなく、縫製製品の端縁を強固に接合することができる。
【００２９】
なお、この縫製製品端縁処理用テープＴも、従来の場合と同様に、帯状のテープ１の両耳部分１ａ、１ａの一方の耳部１ａを、処理すべき衣類の裾上げ部分に、あるいは処理すべき縫製製品の端縁に熱接合しておき、衣類の裾上げの長さあるいは縫製製品の端縁の長さに合わせて処理すべき衣類あるいは縫製製品を折り返し、その位置で他方の耳部１ａを熱接合させれば、好みに応じた裾上げあるいは縫製製品の端縁処理を容易かつ効果的に行うことができる。
【符号の説明】
【００３０】
１…帯状のテープ、１ａ…耳部分、２…ホットメルト接着剤からなる帯状物、２ａ…ホットメルト接着剤層、３、３’…ベルト、４…熱ローラ、５…凹部、５’…凸部、６…非粘着性のコーティング材料、Ｔ…縫製製品端縁処理用テープ。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ズボンやスカートその他の衣類あるいはカーテンなどの縫製製品の端縁処理用テープの製造方法と、その方法により製造された縫製製品端縁処理用テープに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
ズボンやスカートその他の衣類の裾上げを、あるいはカーテン生地などの縫製製品の端縁処理を簡単に行い得るようにするために、編成あるいは織成された帯状のテープにホットメルト接着剤層を形成した端縁処理用テープを、前記衣類の裾上げ部分やカーテン生地などの端縁部分に重ね合わせ、アイロンなどの加熱器具で加熱・加圧して熱接着（熱接合）することが行われている。
【０００３】
この端縁処理用テープの基材である帯状のテープの少なくとも片面の両耳付近には、ホットメルト接着剤層が形成されており、このホットメルト接着剤層の上面には離型紙が貼着されているのが普通である（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】登録実用新案第３０９１０９３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ホットメルト接着剤層の上面に離型紙を貼着するのは、端縁処理用テープの基材である帯状のテープにホットメルト接着剤層を形成するための加工作業を行うに当って、粘着性のホットメルト接着剤層を覆い隠すためであり、衣類の裾上げや縫製製品の端縁処理を行う場合には、離型紙を剥離除去して加熱・圧着する。
【０００６】
このように、端縁処理用テープに離型紙が貼着されていると、端縁処理用テープのコストがそれだけ高くなる。しかしながら、現時点では前記加工作業を行うのに無くてはならないものであるので、余り問題にされていない。
【０００７】
ところが、コスト削減が厳しく追求されるようになって来ると、離型紙の有無自体を無視できなくなって来た。従って、何とか離型紙を無くすことができないかが探求され始めた。特に、縫製製品端縁処理用テープの基材である帯状のテープとホットメルト接着剤からなる帯状物とを重ね合わせた状態で挟み込んで搬送するための一対のベルトと熱ローラとを用いて、前記加工作業を自動的に行う場合には、離型紙が無ければ熱ローラの熱でベルトの外表面にホットメルト接着剤が粘着するから、それを防止することが必須の課題である。
【０００８】
本発明では、このような場合において、縫製製品端縁処理用テープの基材である帯状のテープとホットメルト接着剤からなる帯状物とを重ね合わせた状態で挟み込んで搬送するためのベルトに注目し、このベルトの外表面に工夫を凝らすことによって、離型紙が無くても熱ローラの熱でベルトの外表面にホットメルト接着剤が粘着することを防止し得るようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
すなわち、本発明では、縫製製品端縁処理用テープの基材である帯状のテープとホットメルト接着剤からなる帯状物とを重ね合わせた状態で挟み込んで搬送し、その間に前記帯状物を溶融して前記帯状のテープにホットメルト接着剤層を形成するための一対のベルトのうち、少なくとも前記ホットメルト接着剤からなる帯状物が直接接するベルトの外表面に、微細な凹凸を多数形成し、前記各凹凸部分に非粘着性のコーティング材料を固着しておき、前記コーティング材料が固着されているその部分に、前記ホットメルト接着剤からなる帯状物を位置させて熱ローラで前記ホットメルト接着剤を溶融させながら前記帯状のテープとともに送り出す。
【００１０】
この製造方法を採用した場合には、少なくとも前記ホットメルト接着剤からなる帯状物が直接接するベルトの外表面である前記各凹凸部分に、非粘着性のコーティング材料が固着されているから、熱ローラで前記ホットメルト接着剤がたとえ溶融せしめられたとしても、前記ベルトの外表面にホットメルト接着剤が粘着することは無い。すなわち、離型紙が無くても熱ローラの熱でベルトの外表面にホットメルト接着剤が粘着するのを防止することができるから、端縁処理用テープのコストを大幅に安くすることができるという離型紙が不要になることによるメリットがある。また、端縁処理用テープの基材である帯状のテープにホットメルト接着剤層を形成する加工作業を自動的かつ能率良く実施することができ、しかも、ホットメルト接着剤層を帯状のテープに強固に接着させることができる。
【００１１】
ベルトの外表面にレーザー光を照射することにより、ベルトの外表面に均一かつ微細な凹凸を多数形成することができる。従って、前記端縁処理用テープの基材である帯状のテープにホットメルト接着剤層を形成するに当って、このベルトを用いれば、前記帯状のテープ１にホットメルト接着剤層をより均一かつより強固に形成することができる。
【００１２】
一方、本発明では、縫製製品端縁処理用テープの基材である帯状のテープとホットメルト接着剤からなる帯状物とを重ね合わせた状態で挟み込んで搬送するための一対のベルトのうち、少なくとも前記ホットメルト接着剤からなる帯状物が直接接するベルトの外表面に、微細な凹凸を多数形成し、前記各凹凸部分に非粘着性のコーティング材料を固着しておき、前記コーティング材料が固着されているその部分に、前記ホットメルト接着剤からなる帯状物を位置させて熱ローラで前記ホットメルト接着剤を溶融させながら前記帯状のテープとともに送り出すことにより、前記帯状のテープにホットメルト接着剤層が形成された縫製製品端縁処理用テープを得ることができる。
【００１３】
この縫製製品端縁処理用テープは離型紙を用いないで製造することができるので、このテープのコストを大幅に安くすることができる。また、このテープにあっては、ホットメルト接着剤層がこのテープの基材である帯状のテープに強固に接着されているので、このテープを用いて縫製製品の端縁処理を行った場合には、縫製製品の端縁処理を確実に行うことができるだけでなく、縫製製品の端縁を強固に接合することができる。
【発明の効果】
【００１４】
請求項１記載の製造方法によれば、離型紙が無くても熱ローラの熱でベルトの外表面にホットメルト接着剤が粘着することを防止することができるから、端縁処理用テープのコストを大幅に安くすることができるという離型紙が不要になることによるメリットがある。また、端縁処理用テープの基材である帯状のテープにホットメルト接着剤層を形成する加工作業を自動的かつ能率良く実施することができ、しかも、ホットメルト接着剤層を前記帯状のテープに強固に接着させることができる。
【００１５】
請求項２記載の発明によれば、端縁処理用テープにホットメルト接着剤層をより均一かつより強固に形成することができる。
【００１６】
請求項３記載の発明による縫製製品端縁処理用テープは離型紙を用いないで製造することができるので、このテープのコストを大幅に安くすることができる。また、ホットメルト接着剤層がこのテープの基材である帯状のテープに強固に接着されているので、このテープを用いて縫製製品の端縁処理を行った場合には、縫製製品の端縁処理を確実に行うことができるだけでなく、縫製製品の端縁を強固に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本発明の製造方法の一例を示す斜視図である。
【図２】本発明の製造方法に用いられる一対のベルトの外表面を示す拡大断面図である。
【図３】本発明の製造方法によって得られた縫製製品端縁処理用テープの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【００１８】
本発明による縫製製品端縁処理用テープの製造方法の一例を、詳細に説明する。ここに示す縫製製品端縁処理用テープＴは、ズボンやスカートその他の衣類の裾上げを、あるいはカーテン生地などの縫製製品の端縁処理を簡単に行い得るようにするために用いられるもので、縫製製品端縁処理用テープの基材である編成あるいは織成された帯状のテープ１にホットメルト接着剤層２ａが帯状に形成されている。ここには、図１に示す帯状のテープ１の両耳部分１ａ、１ａに、図３に示すように、ホットメルト接着剤層２ａ、２ａが帯状に形成された場合が例示されている。
【００１９】
この縫製製品端縁処理用テープＴを製造するに当って、本発明の製造方法では、ホットメルト接着剤からなる帯状物２を、しかも、この帯状物２の両面には離型紙が貼着されていないものを用いる。そして、図１に示すように、前記縫製製品端縁処理用テープの基材である前記帯状のテープ１上に、ホットメルト接着剤からなる帯状物２を重ね合わせた状態で上下一対のベルト３、３で挟み込んで搬送し、その間に上下一対の熱ローラ４、４で前記帯状物２を溶融させながら前記帯状のテープ１とともに送り出し、前記帯状のテープ１にホットメルト接着剤層２ａ、２ａを形成する。
【００２０】
この場合において、前記帯状物２の少なくとも上面に離型紙が貼着されていない場合には、上側の熱ローラ４の熱で上側のベルト３の外表面にホットメルト接着剤が粘着するから、それを防止することが必要である。
【００２１】
そこで、上下一対のベルト３、３のうち、少なくとも前記ホットメルト接着剤からなる帯状物２が直接接する上側のベルト３の外表面に、微細な凹凸５、５’を多数形成し、前記微細な各凹凸部分５、５’に非粘着性のコーティング材料６を固着しておき、前記コーティング材料６が固着されているその部分に、前記ホットメルト接着剤からなる帯状物２を位置させて前記熱ローラ４で前記ホットメルト接着剤を溶融させながら前記帯状のテープ１とともに送り出す。
【００２２】
この場合には、少なくとも前記ホットメルト接着剤からなる帯状物２が直接接する上側のベルト３の外表面である微細な各凹凸部分５、５’に、非粘着性のコーティング材料６が固着されているから、熱ローラで前記ホットメルト接着剤がたとえ溶融せしめられたとしても、前記ベルトの外表面にホットメルト接着剤が粘着することは無い。すなわち、離型紙が無くても熱ローラ４、４の熱でベルト３の外表面にホットメルト接着剤が粘着することを防止することができるから、端縁処理用テープＴのコストを大幅に安くすることができるという離型紙が不要になることによるメリットがある。また、端縁処理用テープＴの基材である帯状のテープ１にホットメルト接着剤層２ａを形成する加工作業を自動的かつ能率良く行うことができ、しかも、ホットメルト接着剤層２ａを帯状のテープ１に強固に接着させることができる。
【００２３】
上記の場合において、前記ベルト３の外表面にホットメルト接着剤が粘着することが無いのは、多数の微細な凹凸部分５、５’に固着されている非粘着性のコーティング材料６により、ベルト３の外表面の表面抵抗が小さくなり、その結果、溶融せしめられているホットメルト接着剤の付着を防止することができるからである。
【００２４】
図２においては、前記ホットメルト接着剤からなる帯状物２が直接接する上側のベルト３の外表面（図２の下側の面）の多数の凹凸部分５、５’のみに、非粘着性のコーティング材料６が固着された場合を例示するが、図２の下側のベルト３’の外表面（図２の上側の面）にも、上側の場合と同様に各凹凸部分５、５’を形成しておいても良い。なお、図２においては、上下一対のベルト１、１間に隙間７が形成されている状態で示す。
【００２５】
前記ベルト３の外表面に微細な凹凸５、５’を多数形成するには、前記ベルト３の外表面にレーザー光を照射する方法を採用することができる。この方法を採ると、前記ベルト３の外表面に均一かつ微細な凹凸５、５’をほぼ一定で規則的に多数形成することができ、前記均一かつ微細な各凹凸部分５、５’に非粘着性のコーティング材料６をより均一かつより強固に固着することができる。従って、このテープＴの基材である帯状のテープ１にホットメルト接着剤層２ａを形成するに当って、このベルト３を用いれば、このテープＴのコストを大幅に安くすることができるという離型紙が不要になることによる大きなメリットがある。また、前記テープＴの基材である帯状のテープ１にホットメルト接着剤層２ａをより均一かつより強固に形成することができる。均一かつ微細な凹凸５、５’の大きさや深さは任意に設定することができる。
【００２６】
前記非粘着性のコーティング材料６としては、例えばフッ素樹脂やシリコンなどを挙げることができる。そして、図２に示すように、これらの非粘着性のコーティング材料６を均一かつ微細な凹凸５、５’が形成されている上側のベルト３の外表面に塗布した後、それらを硬化させることにより、上側のベルト３の外表面である前記各凹凸部分５、５’に、非粘着性のコーティング材料６を固着させることができる。
【００２７】
このように、上側のベルト３の外表面の所定位置には、非粘着性のコーティング材料６が固着されており、当該コーティング材料６が固着されているその部分に、前記ホットメルト接着剤からなる帯状物２を位置させて熱ローラ４で前記ホットメルト接着剤を溶融させながら前記帯状のテープ１とともに送り出すことにより、図３に示すように、前記帯状のテープ１にホットメルト接着剤層２ａが均一かつ強固に形成された縫製製品端縁処理用テープＴを得ることができる。
【００２８】
この縫製製品端縁処理用テープＴにあっては、ホットメルト接着剤層２ａが端縁処理用テープＴの基材である帯状のテープ１の両耳部分１ａ、１ａに強固に接着されている。従って、このテープＴを用いて縫製製品の端縁処理を行った場合には、縫製製品の端縁処理を確実に行うことができるだけでなく、縫製製品の端縁を強固に接合することができる。
【００２９】
なお、この縫製製品端縁処理用テープＴも、従来の場合と同様に、帯状のテープ１の両耳部分１ａ、１ａの一方の耳部１ａを、処理すべき衣類の裾上げ部分に、あるいは処理すべき縫製製品の端縁に熱接合しておき、衣類の裾上げの長さあるいは縫製製品の端縁の長さに合わせて処理すべき衣類あるいは縫製製品を折り返し、その位置で他方の耳部１ａを熱接合させれば、好みに応じた裾上げあるいは縫製製品の端縁処理を容易かつ効果的に行うことができる。
【符号の説明】
【００３０】
１…帯状のテープ、１ａ…耳部分、２…ホットメルト接着剤からなる帯状物、２ａ…ホットメルト接着剤層、３、３’…ベルト、４…熱ローラ、５…凹部、５’…凸部、６…非粘着性のコーティング材料、Ｔ…縫製製品端縁処理用テープ。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
縫製製品端縁処理用テープの基材である帯状のテープとホットメルト接着剤からなる帯状物とを重ね合わせた状態で挟み込んで搬送し、その間に前記帯状物を溶融して前記帯状のテープにホットメルト接着剤層を形成するための一対のベルトのうち、少なくとも前記ホットメルト接着剤からなる帯状物が直接接するベルトの外表面に、微細な凹凸を多数形成し、前記各凹凸部分に非粘着性のコーティング材料を固着しておき、前記コーティング材料が固着されているその部分に、前記ホットメルト接着剤からなる帯状物を位置させて熱ローラで前記ホットメルト接着剤を溶融させながら前記帯状のテープとともに送り出すことを特徴とする縫製製品端縁処理用テープの製造方法。
【請求項２】
ベルトの外表面にレーザー光を照射することにより、ベルトの外表面に均一かつ微細な凹凸を多数形成することを特徴とする請求項１記載の縫製製品端縁処理用テープの製造方法。
【請求項３】
縫製製品端縁処理用テープの基材である帯状のテープとホットメルト接着剤からなる帯状物とを重ね合わせた状態で挟み込んで搬送するための一対のベルトのうち、少なくとも前記ホットメルト接着剤からなる帯状物が直接接するベルトの外表面に、微細な凹凸を多数形成し、前記各凹凸部分に非粘着性のコーティング材料を固着しておき、前記コーティング材料が固着されているその部分に、前記ホットメルト接着剤からなる帯状物を位置させて熱ローラで前記ホットメルト接着剤を溶融させながら前記帯状のテープとともに送り出し、前記帯状のテープにホットメルト接着剤層を形成したことを特徴とする縫製製品端縁処理用テープ。
【請求項１】
縫製製品端縁処理用テープの基材である帯状のテープとホットメルト接着剤からなる帯状物とを重ね合わせた状態で挟み込んで搬送し、その間に前記帯状物を溶融して前記帯状のテープにホットメルト接着剤層を形成するための一対のベルトのうち、少なくとも前記ホットメルト接着剤からなる帯状物が直接接するベルトの外表面に、微細な凹凸を多数形成し、前記各凹凸部分に非粘着性のコーティング材料を固着しておき、前記コーティング材料が固着されているその部分に、前記ホットメルト接着剤からなる帯状物を位置させて熱ローラで前記ホットメルト接着剤を溶融させながら前記帯状のテープとともに送り出すことを特徴とする縫製製品端縁処理用テープの製造方法。
【請求項２】
ベルトの外表面にレーザー光を照射することにより、ベルトの外表面に均一かつ微細な凹凸を多数形成することを特徴とする請求項１記載の縫製製品端縁処理用テープの製造方法。
【請求項３】
縫製製品端縁処理用テープの基材である帯状のテープとホットメルト接着剤からなる帯状物とを重ね合わせた状態で挟み込んで搬送するための一対のベルトのうち、少なくとも前記ホットメルト接着剤からなる帯状物が直接接するベルトの外表面に、微細な凹凸を多数形成し、前記各凹凸部分に非粘着性のコーティング材料を固着しておき、前記コーティング材料が固着されているその部分に、前記ホットメルト接着剤からなる帯状物を位置させて熱ローラで前記ホットメルト接着剤を溶融させながら前記帯状のテープとともに送り出し、前記帯状のテープにホットメルト接着剤層を形成したことを特徴とする縫製製品端縁処理用テープ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２０１１−２１２８０（Ｐ２０１１−２１２８０Ａ）
【公開日】平成２３年２月３日（２０１１．２．３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１６４５９９（Ｐ２００９−１６４５９９）
【出願日】平成２１年７月１３日（２００９．７．１３）
【出願人】（５９２０２４０２２）八商商事株式会社 (8)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年２月３日（２０１１．２．３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年７月１３日（２００９．７．１３）
【出願人】（５９２０２４０２２）八商商事株式会社 (8)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]