説明

繁殖体コーティングのためのアントラニルジアミド組成物

殺虫組成物であって、その組成物の総重量に基づき、(a)約9〜約91重量%の1種以上のアントラニルジアミド殺虫剤と;(b)20℃にて少なくとも約5重量%の水溶性、少なくとも約5の親水親油バランス値、および約1500〜約20000ダルトンの範囲の平均分子量を有する約9〜約91重量%の非イオン性エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー構成成分とを含み、ここで、構成成分(b)と構成成分(a)の重量比は約1:10〜約10:1である、組成物が開示される。殺虫有効量の上記の組成物でコーティングされた屈地性繁殖体もまた、開示される。さらに、約5〜80重量%の上記の組成物および約20〜95重量%の揮発性水性液体キャリアからなる液体組成物、ならびに殺虫有効量の上記の液体組成物で繁殖体をコーティングする工程と、次いでその揮発性水性液体キャリアを蒸発させる工程とを包含する、屈地性繁殖体およびそれに由来する植物を植食性昆虫害虫から保護するための方法が、開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アントラニルジアミド(anthranilic diamide)殺虫剤および非イオン性エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーを含む組成物に関する。本発明はまた、これらの組成物でコーティングされた屈地性繁殖体、ならびに繁殖体をこれらの組成物と接触させることによって繁殖体およびそれに由来する植物を植食性昆虫害虫から保護することに関する。
【背景技術】
【0002】
屈地性繁殖体(例えば、種子、根茎、塊茎、鱗茎または球茎)およびそれに由来する植物への植食性昆虫害虫による被害は、重大な経済的損失を引き起こす。
【0003】
代替的にアントラニルアミドとも呼ばれるアントラニルジアミドは、経済的に重要な多くの昆虫害虫に対する活性を有する、最近発見されたクラスの殺虫剤である。特許文献1は、アントラニルジアミドでの処理が、繁殖体を植食性無脊椎害虫から保護するのに有用であることを開示している。さらに、アントラニルジアミドの植物内を移動する能力のおかげで、繁殖体だけでなく、その繁殖体から発育しつつある新たな成長物も保護され得る。
【0004】
アントラニルジアミドはそれを繁殖体および発育しつつある成長物の保護に適するものとする特性を有してはいるが、アントラニルジアミドの繁殖体への十分な吸収の達成、および保護が望まれる発育しつつある植物の諸部分に殺虫有効濃度をもたらすための根の発達は、不確実であり得る。繁殖体上のアントラニルジアミドコーティングは、繁殖体および周囲の植物成長培地(例えば、土壌)からの水分に曝露されるのであるが、アントラニルジアミド殺虫剤の低い水溶性は、水分を通じてのそれの流動化を妨げる。また、アントラニルジアミドは、繁殖体および発育しつつある根に吸収されるまで、生育培地中への吸収および四散を受けやすい。
【0005】
繁殖体を処理することによりアントラニルジアミドの茎葉中の殺虫有効濃度を達成するには、植物内での距離が増加するにつれて、より多くの量のアントラニルジアミドが輸送に利用可能であることが必要になる。生育しつつある茎葉において急速に拡大する植物組織の体積がアントラニルジアミド濃度を本質的に希釈するため、特に最初の双葉(couple leaves)を過ぎて生育期の実質的な部分の間の茎葉の保護が望ましい場合は、増加量のアントラニルジアミドの吸収が茎葉の保護に必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】PCT国際公開第03/024222号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、繁殖体および発育しつつある根へのアントラニルジアミド殺虫剤の吸収を促進する新たな組成物に対する必要性が存在する。そのような組成物がこの度発見された。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様は、殺虫組成物であって、その組成物の総重量に基づき、
(a)約9〜約91重量%の1種以上のアントラニルジアミド殺虫剤と、
(b)20℃にて少なくとも約5重量%の水溶性、少なくとも約5の親水親油バランス値、および約1500〜約20000ダルトンの範囲の平均分子量を有する約9〜約91重量%の非イオン性エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー構成成分と
を含み、ここで、構成成分(b)と構成成分(a)の重量比は約1:10〜約10:1である、組成物である。
【0009】
本発明の別の態様は、殺虫有効量の上記の組成物でコーティングされた屈地性繁殖体である。
【0010】
本発明の別の態様は、約5〜80重量%の上記の組成物および約20〜95重量%の揮発性水性液体キャリアからなる液体組成物である。
【0011】
本発明の別の態様は、屈地性繁殖体およびそれに由来する植物を植食性昆虫害虫から保護するための方法であって、殺虫有効量の上記の液体組成物で繁殖体をコーティングする工程と、次いでこの組成物の揮発性水性液体キャリアを蒸発させる工程とを包含する、方法である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有する(contains)」、「含有する(containing)」、「を特徴とする(characterized by)」またはそれらのいかなる他の変形も、明示的に示されたあらゆる限定を条件として、非排他的な包含を対象とすることが意図される。例えば、列挙された構成要素を含む組成物、混合物、プロセスまたは方法は、必ずしもそれらの構成要素だけに限定されるわけではなく、明示的に列挙されていない他の構成要素、またはそのような組成物、混合物、プロセスもしくは方法に固有の他の構成要素を包含し得る。
【0013】
移行句「からなる(consisting of)」は、一般的に、特定されていないあらゆる構成要素、工程、または成分を除外する。クレーム中にあれば、「からなる」は、記載された材料(通常それらと関連する不純物を除く)以外の材料の包含に対してクレームを閉鎖するであろう。しかしながら、用語「含む(comprising)」を用いて規定される構成成分(例えば、成分)自体を含む組成物クレームにおいて、語句「からなる」が導入部の直後に現れるならば、その場合は、前記構成成分は、前記構成成分中の全ての成分の総量が、組成物中の前記構成成分について指定されたいずれかの範囲限定量(delimiting amounts)の範囲内でなければならないという限定を条件として、明示的に列挙されていない成分をも包含し得る。さらに、語句「からなる」は、導入部の直後ではなくクレームの本体部の項目(clause)中に現れる場合、その項目に示された構成要素のみを限定し、他の構成要素がそのクレーム全体から除外されることはない。
【0014】
移行句「から実質的になる(consisting essentially of)」は、文字通り開示されているものの他にも材料、工程、特徴、成分、または構成要素を含む組成物、または方法を規定するために使用されるが、但し、これらのさらなる材料、工程、特徴、成分、または構成要素が、特許請求される発明の1つまたは複数の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないということを条件とする。用語「から実質的になる」は、「含む」と「からなる」との間の中立的立場をとる。
【0015】
出願人らが開放型の用語(例えば、「含む」)を用いて発明またはその一部を規定した場合(別段の指定がない限り)その記載はそのような発明を用語「から実質的になる」または「からなる」を用いて記載してもいると解釈されるべきであることが、容易に理解されるはずである。
【0016】
さらに、そうでないことが明示的に述べられていない限り、「または(もしくは)」は、包含的な「または」であり、排他的な「または」ではない。例えば、条件「AまたはB」は、以下のうちのいずれか1つにより満たされる:Aが真(または存在する)かつBが偽(または存在しない);Aが偽(または存在しない)かつBが真(または存在する);ならびにAおよびBの両方が真(または存在する)。
【0017】
また、本発明の構成要素または構成成分の前に置かれる不定冠詞「a」および「an」は、その構成要素または構成成分の事例(すなわち発生)の数に関して非限定的であることが意図される。したがって、「a」または「an」は、1つまたは少なくとも1つを包含するものとして解釈されるべきであり、構成要素または構成成分の単数語形は、その数が単数であることが明白に意図されていない限り、複数語形も包含する。
【0018】
本開示および特許請求の範囲において言及される場合、用語「繁殖体」とは、種子または再生可能な植物部分を意味する。用語「再生可能な植物部分」とは、その植物部分が園芸用もしくは農業用生育培地(例えば、湿潤土、ピートモス、砂、バーミキュライト、パーライト、ロックウール、ガラス繊維、ヤシ殻繊維、木生シダ繊維など)、またはさらには完全液体培地(例えば、水)に入れられた場合に、植物全体がそこから培養または再生され得る種子以外の植物の部分を意味する。用語「屈地性繁殖体(geotropic propagule)」とは、種子または生育培地の表面下に通常配置される植物の部分から得られる再生可能な植物部分を意味する。屈地性の再生可能な植物部分としては、分裂組織(例えば、幼芽)を保持する根茎、塊茎、鱗茎および球茎の生育可能な分割部分(division)が挙げられる。植物の茎葉に由来する切断または分離された茎および葉などの再生可能な植物部分は屈地性ではなく、したがって、屈地性繁殖体とは見なされない。本開示および特許請求の範囲において言及される場合、別段の指摘がない限り、用語「種子」は、1つまたは複数の未発芽の種子を特にいう。用語「茎葉」は、地上に曝される植物の部分をいう。したがって、茎葉は、葉、茎、枝、花、果実および芽を包含する。
【0019】
本開示および特許請求の範囲の文脈において、種子またはそれから成育した植物の植食性昆虫害虫からの保護とは、昆虫害虫によって引き起こされる可能性のある損傷または被害からの種子または植物の保護を意味する。この保護は、昆虫害虫の防除によって達成される。昆虫害虫の防除には、昆虫害虫を殺害すること、その成長、発達もしくは繁殖を妨害すること、および/またはその採食を阻害することが含まれ得る。本開示および特許請求の範囲において、用語「殺虫(の)」および「殺虫(に)」は、任意の形態の昆虫防除に関する。
【0020】
用語「懸濁濃厚物」および「懸濁濃厚組成物」は、有効成分の微細固体粒子を連続液相中に分散させて含む組成物をいう。前記粒子は正体を保持し、その連続液相から物理的に分離され得る。この連続液相の粘度は、低いものから高いものまで様々であり得、実際、その懸濁濃厚組成物にゲル様またはペースト様のコンシステンシーを持たせるほど高いものであり得る。
【0021】
用語「粒径」は、粒子の相当球径(equivalent spherical diameter)、すなわち、その粒子と同じ体積を囲む球体の直径をいう。「メジアン粒径」は、粒子の半分に対応する粒径であり、粒子の半分はそのメジアン粒径より大きく、半分はそれより小さい。粒径分布に関し、粒子の百分率もまた、体積に基づく(例えば、「少なくとも95%の粒子が約10ミクロン未満である」とは、粒子の総体積の少なくとも95%が約10ミクロン未満の相当球径を有する粒子によって構成されることを意味する)。粒径分析の原理は当業者には周知であり、概要を提供する技術文書については、A.Rawle,「Basic Principles of Particle Size Analysis」(Malvern Instruments Ltd.(Malvern,Worcestershire,UK)により発刊された文書MRK034)を参照されたい。粉末状の粒子の体積分布は、回折角度が粒径に逆比例するという事実に依拠する低角レーザー光散乱(Low Angle Laser Light Scattering)(LALLSおよびレーザー回折(Laser Diffraction)としても知られる)のような技術によって、好都合に測定され得る。
【0022】
本明細書中の記載において、単独でまたは複合語(例えば、「ハロアルキル」または「フルオロアルキル」)において使用される用語「アルキル」は、直鎖または分枝のアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、または種々のブチル異性体)を包含する。「アルコキシ」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、および種々のブトキシ異性体が挙げられる。単独でまたは複合語(例えば、「ハロアルキル」)において、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を包含する。さらに、複合語(例えば、「ハロアルキル」または「ハロアルコキシ」)において使用される場合、前記アルキルは、同じかまたは異なり得るハロゲン原子で、部分的に置換されていても、完全に置換されていてもよい。「ハロアルキル」の例としては、CF、CHCl、CHCFおよびCClCFが挙げられる。用語「ハロアルコキシ」などは、用語「ハロアルキル」に類似して定義される。「ハロアルコキシ」の例としては、OCF、OCHCl、OCHCHCHFおよびOCHCFが挙げられる。
【0023】
置換基中の炭素原子の総数は、頭に「C〜C」を付けることによって示され、iおよびjは、1〜4の数である。例えば、C〜Cアルキルは、メチルからブチルまでを示しており、種々の異性体を包含する。
【0024】
本開示および特許請求の範囲において、「EO/PO」は、「エチレンオキシド−プロピレンオキシド」の略語である。百分率範囲において、パーセント記号「%」が、ある範囲の限界を定める2つ目の数の後にしか示されていない場合、それは、その範囲の限界を定める両方の数に関係する。例えば、「約9〜約91%」は、「約9%〜約91%」を意味する。
【0025】
本発明の実施形態としては以下が挙げられる。
【0026】
実施形態1.発明の概要において記載された、殺虫組成物であって、その組成物の総重量に基づき、
(a)約9〜約91重量%の1種以上のアントラニルジアミド殺虫剤と;
(b)20℃にて少なくとも約5重量%の水溶性、少なくとも約5の親水親油バランス値、および約1500〜約20000ダルトンの範囲の平均分子量を有する約9〜約91重量%の非イオン性エチレンオキシド−プロピレンオキシド(EO/PO)ブロックコポリマー構成成分と
を含み、ここで、構成成分(b)と構成成分(a)の重量比は約1:10〜約10:1である、組成物。
【0027】
実施形態2.構成成分(a)(すなわち、1種以上のアントラニルジアミド殺虫剤)が、式1:
【化1】

のアントラニルジアミド、そのN−オキシドおよび塩から選択される少なくとも1種の化合物を含む実施形態1の組成物であって、式中、
Xは、N、CF、CCl、CBrまたはCIであり;
は、CH、Cl、BrまたはFであり;
は、H、F、Cl、Brまたは−CNであり;
は、F、Cl、Br、C〜CハロアルキルまたはC〜Cハロアルコキシであり;
4aは、H、C〜Cアルキル、シクロプロピルメチルまたは1−シクロプロピルエチルであり;
4bは、HまたはCHであり;
は、H、F、ClまたはBrであり;そして
は、H、F、ClまたはBrである、
組成物。
【0028】
実施形態3.構成成分(a)が、式1のアントラニルジアミド、そのN−オキシドおよび塩から選択される、実施形態2の組成物。
【0029】
実施形態3a.構成成分(a)が、式1のアントラニルジアミドおよびその塩から選択される、実施形態3の組成物。
【0030】
実施形態4.構成成分(a)が、式1のアントラニルジアミドから選択される、実施形態3aの組成物。
【0031】
実施形態5.XがNであり;RがCHであり;RがClまたは−CNであり;RがCl、BrまたはCFであり;R4aがC〜Cアルキルであり;R4bがHであり;RがClであり;そしてRがHである、実施形態2〜4のうちのいずれか1つの組成物。
【0032】
実施形態6.R4aがCHまたはCH(CHである、実施形態5の組成物。
【0033】
実施形態7.RがBrであり;そしてR4aがCHである(すなわち、式1の化合物が、クロラントラニリプロール(chlorantraniliprole)もしくはシアントラニリプロール(cyantraniliprole)、または任意選択で、そのN−オキシドもしくは塩である)、実施形態6の組成物。
【0034】
実施形態7a.構成成分(a)(すなわち、1種以上のアントラニルジアミド殺虫剤)が、クロラントラニリプロール、シアントラニリプロールまたはそれらの混合物を含む、発明の概要または実施形態1において記載された(殺虫剤)組成物。
【0035】
実施形態8.RがClである(すなわち、式1の化合物が、クロラントラニリプロール、または任意選択で、そのN−オキシドもしくは塩である)、実施形態7の組成物。
【0036】
実施形態8a.構成成分(a)が、クロラントラニリプロールを含む、発明の概要または実施形態1において記載された(殺虫剤)組成物。
【0037】
実施形態9.Rが−CNである(すなわち、式1の化合物が、シアントラニリプロール、または任意選択で、そのN−オキシドもしくは塩である)、実施形態7の組成物。
【0038】
実施形態9a.構成成分(a)が、シアントラニリプロールを含む、発明の概要または実施形態1において記載された(殺虫剤)組成物。
【0039】
実施形態10.構成成分(a)が、組成物の少なくとも約10重量%である、実施形態1〜9aのうちのいずれか1つの組成物。
【0040】
実施形態11.構成成分(a)が、組成物の少なくとも約20重量%である、実施形態10の組成物。
【0041】
実施形態12.構成成分(a)が、組成物の少なくとも約30重量%である、実施形態11の組成物。
【0042】
実施形態13.構成成分(a)が、組成物の少なくとも約40重量%である、実施形態12の組成物。
【0043】
実施形態14.構成成分(a)が、組成物の約90重量%以下である、実施形態1〜13のうちのいずれか1つの組成物。
【0044】
実施形態15.構成成分(a)が、組成物の約80重量%以下である、実施形態14の組成物。
【0045】
実施形態16.構成成分(a)が、組成物の約70重量%以下である、実施形態15の組成物。
【0046】
実施形態17.構成成分(a)の約30%以下が、約10μmより大きい粒径を有する固体粒子として組成物中に存在する、実施形態1〜16のうちのいずれか1つの組成物。
【0047】
実施形態18.構成成分(a)の約20%以下が、約10μmより大きい粒径を有する固体粒子として組成物中に存在する、実施形態17の組成物。
【0048】
実施形態19.構成成分(a)の約10%以下が、約10μmより大きい粒径を有する固体粒子として組成物中に存在する、実施形態18の組成物。
【0049】
実施形態20.構成成分(b)(すなわち、非イオン性エチレンオキシド−プロピレンオキシド(EO/PO)ブロックコポリマー構成成分)が、20℃にて少なくとも約10%の水溶性を有する、実施形態1〜19のうちのいずれか1つの組成物。
【0050】
実施形態21.構成成分(b)が、20℃にて少なくとも約25%の水溶性を有する、実施形態20の組成物。
【0051】
実施形態22.構成成分(b)が、少なくとも約6の親水親油バランス(HLB)値を有する、実施形態1〜21のうちのいずれか1つの組成物。
【0052】
実施形態23.構成成分(b)が、少なくとも約7のHLB値を有する、実施形態22の組成物。
【0053】
実施形態24.構成成分(b)が、少なくとも約8のHLB値を有する、実施形態23の組成物。
【0054】
実施形態25.構成成分(b)が、少なくとも約10のHLB値を有する、実施形態24の組成物。
【0055】
実施形態26.構成成分(b)が、少なくとも約20のHLB値を有する、実施形態25の組成物。
【0056】
実施形態27.構成成分(b)が、少なくとも約22のHLB値を有する、実施形態26の組成物。
【0057】
実施形態28.構成成分(b)が、約40以下のHLB値を有する、実施形態1〜27のうちのいずれか1つの組成物。
【0058】
実施形態29.構成成分(b)が、約35以下のHLB値を有する、実施形態28の組成物。
【0059】
実施形態30.構成成分(b)が、約31以下のHLB値を有する、実施形態29の組成物。
【0060】
実施形態31.構成成分(b)が、約20以下のHLB値を有する、実施形態1〜26のうちのいずれか1つの組成物。
【0061】
実施形態32.構成成分(b)が、約15以下のHLB値を有する、実施形態1〜25のうちのいずれか1つの組成物。
【0062】
実施形態33.(組成物から独立した)構成成分(b)が、20℃にてペーストまたは固体である、実施形態1〜32のうちのいずれか1つの組成物。
【0063】
実施形態34.(組成物から独立した)構成成分(b)が、20℃にて固体である、実施形態1〜31のうちのいずれか1つの組成物。
【0064】
実施形態35.構成成分(b)が、少なくとも約3000ダルトンの平均分子量を有する、実施形態1〜34のうちのいずれか1つの組成物。
【0065】
実施形態36.構成成分(b)が、少なくとも約5000ダルトンの平均分子量を有する、実施形態35の組成物。
【0066】
実施形態37.構成成分(b)が、少なくとも約10000ダルトンの平均分子量を有する、実施形態36の組成物。
【0067】
実施形態38.構成成分(b)が、少なくとも約15000ダルトンの平均分子量を有する、実施形態37の組成物。
【0068】
実施形態39.構成成分(b)が、約10000ダルトン以下の平均分子量を有する、実施形態1〜37のうちのいずれか1つの組成物。
【0069】
実施形態40.構成成分(b)が、約7000ダルトン以下の平均分子量を有する、実施形態36の組成物。
【0070】
実施形態41.構成成分(b)(すなわち、非イオン性EO/POブロックコポリマー構成成分)が、組成物の少なくとも約10重量%である、実施形態1〜40のうちのいずれか1つの組成物。
【0071】
実施形態42.構成成分(b)が、組成物の少なくとも約15重量%である、実施形態41の組成物。
【0072】
実施形態43.構成成分(b)が、組成物の少なくとも約20重量%である、実施形態42の組成物。
【0073】
実施形態44.構成成分(b)が、組成物の少なくとも約25重量%である、実施形態43の組成物。
【0074】
実施形態45.構成成分(b)が、組成物の少なくとも約30重量%である、実施形態44の組成物。
【0075】
実施形態46.構成成分(b)が、組成物の少なくとも約35重量%である、実施形態45の組成物。
【0076】
実施形態47.構成成分(b)が、組成物の少なくとも約40重量%である、実施形態46の組成物。
【0077】
実施形態48.構成成分(b)が、組成物の約80重量%以下である、実施形態1〜47のうちのいずれか1つの組成物。
【0078】
実施形態49.構成成分(b)が、組成物の約70重量%以下である、実施形態48の組成物。
【0079】
実施形態50.構成成分(b)が、組成物の約60重量%以下である、実施形態49の組成物。
【0080】
実施形態51.構成成分(b)が、組成物の約50重量%以下である、実施形態50の組成物。
【0081】
実施形態52.構成成分(b)が、組成物の約40重量%以下である、実施形態51の組成物。
【0082】
実施形態53.構成成分(b)と構成成分(a)の比が、少なくとも約1:8(重量による)である、実施形態1〜52のうちのいずれか1つの組成物。
【0083】
実施形態54.構成成分(b)と構成成分(a)の比が、少なくとも約1:5である、実施形態53の組成物。
【0084】
実施形態55.構成成分(b)と構成成分(a)の比が、少なくとも約1:4である、実施形態54の組成物。
【0085】
実施形態56.構成成分(b)と構成成分(a)の比が、少なくとも約1:3である、実施形態55の組成物。
【0086】
実施形態57.構成成分(b)と構成成分(a)の比が、少なくとも約1:2である、実施形態56の組成物。
【0087】
実施形態58.構成成分(b)と構成成分(a)の比が、少なくとも約1:1である、実施形態57の組成物。
【0088】
実施形態59.構成成分(b)と構成成分(a)の比が、少なくとも約2:1である、実施形態58の組成物。
【0089】
実施形態60.構成成分(b)と構成成分(a)の比が、少なくとも約3:1である、実施形態59の組成物。
【0090】
実施形態61.構成成分(b)と構成成分(a)の比が、少なくとも約4:1である、実施形態60の組成物。
【0091】
実施形態61a.構成成分(b)と構成成分(a)の比が、少なくとも約5:1である、実施形態61の組成物。
【0092】
実施形態62.構成成分(b)と構成成分(a)の比が、少なくとも約8:1である、実施形態61aの組成物。
【0093】
実施形態63.構成成分(b)と構成成分(a)の比が、約1:1以下である、実施形態1〜58のうちのいずれか1つの組成物。
【0094】
実施形態64.構成成分(b)が、ポロキサマー、逆ポロキサマー(reverse poloxamer)、ポロキサミンおよび逆ポロキサミンからなる群より選択される1種以上の非イオン性EO/POブロックコポリマーを含む、発明の概要または実施形態1〜63のうちのいずれか1つにおいて記載された(殺虫剤)組成物。
【0095】
実施形態65.構成成分(b)が、ポロキサマーおよびポロキサミンからなる群より選択される1種以上の非イオン性EO/POブロックコポリマーを含む、実施形態64の組成物。
【0096】
実施形態66.構成成分(b)が、ポロキサマーおよび逆ポロキサマーからなる群より選択される1種以上の非イオン性EO/POブロックコポリマーを含む、実施形態64の組成物。
【0097】
実施形態67.構成成分(b)が、ポロキサマーから選択される1種以上の非イオン性EO/POブロックコポリマーを含む、実施形態64〜66のうちのいずれか1つの組成物。
【0098】
実施形態68.構成成分(b)が、1種以上のポロキサマーから実質的になる、実施形態67の組成物。
【0099】
実施形態69.ポロキサマーが、少なくとも約900ダルトンの平均分子量を有するポリオキシプロピレン鎖を有する、実施形態67または68の組成物。
【0100】
実施形態70.ポリオキシプロピレン鎖が、少なくとも約1200ダルトンの平均分子量を有する、実施形態69の組成物。
【0101】
実施形態71.ポリオキシプロピレン鎖が、少なくとも約1700ダルトンの平均分子量を有する、実施形態70の組成物。
【0102】
実施形態72.ポリオキシプロピレン鎖が、少なくとも約2000ダルトンの平均分子量を有する、実施形態71の組成物。
【0103】
実施形態73.ポロキサマーが、約4000ダルトン以下の平均分子量を有するポリオキシプロピレン鎖を有する、実施形態67〜72のうちのいずれか1つの組成物。
【0104】
実施形態74.ポリオキシプロピレン鎖が、約3000ダルトン以下の平均分子量を有する、実施形態73の組成物。
【0105】
実施形態75.ポリオキシプロピレン鎖が、約2000ダルトン以下の平均分子量を有する、実施形態74の組成物。
【0106】
実施形態76.ポロキサマー、ポロキサミン、逆ポロキサマーおよび逆ポロキサミンが、少なくとも約20重量%のポリオキシエチレン含量を有する、実施形態64〜75のうちのいずれか1つの組成物。
【0107】
実施形態77.ポリオキシエチレン含量が、少なくとも約30重量%である、実施形態76の組成物。
【0108】
実施形態78.ポリオキシエチレン含量が、少なくとも約40重量%である、実施形態77の組成物。
【0109】
実施形態79.ポリオキシエチレン含量が、少なくとも約50重量%である、実施形態78の組成物。
【0110】
実施形態80.ポリオキシエチレン含量が、少なくとも約60重量%である、実施形態79の組成物。
【0111】
実施形態81.ポリオキシエチレン含量が、少なくとも約70重量%である、実施形態80の組成物。
【0112】
実施形態82.ポロキサマー、ポロキサミン、逆ポロキサマーおよび逆ポロキサミンが、約90重量%以下のポリオキシエチレン含量を有する、実施形態64〜81のうちのいずれか1つの組成物。
【0113】
実施形態83.ポリオキシエチレン含量が、約80重量%以下である、実施形態82の組成物。
【0114】
実施形態84.(c)約90重量%までのアントラニルジアミド殺虫剤以外の1種以上の生物学的に活性な薬剤をさらに含む、実施形態1〜83のうちのいずれか1つの組成物。
【0115】
実施形態85.構成成分(c)(すなわち、アントラニルジアミド殺虫剤以外の1種以上の生物学的に活性な薬剤)が、組成物の少なくとも0.1重量%である、実施形態84の組成物。
【0116】
実施形態86.構成成分(c)が、組成物の少なくとも1重量%である、実施形態85の組成物。
【0117】
実施形態87.構成成分(c)が、組成物の約60重量%以下である、実施形態84〜86のうちのいずれか1つの組成物。
【0118】
実施形態88.構成成分(c)が、組成物の約20重量%以下である、実施形態87の組成物。
【0119】
実施形態89.構成成分(c)が、少なくとも1種の殺真菌剤または殺虫剤(アントラニルジアミド殺虫剤以外)を含む、実施形態84〜88のうちのいずれか1つの組成物。
【0120】
実施形態90.構成成分(c)が、少なくとも1種の殺虫剤を含む、実施形態89の組成物。
【0121】
実施形態91.構成成分(c)が、少なくとも1種の殺真菌剤を含む、実施形態89または90の組成物。
【0122】
実施形態91a.組成物が、構成成分(a)以外の生物学的に活性な薬剤を含まない、実施形態1〜83のうちのいずれか1つの組成物。
【0123】
実施形態92.組成物が、(d)約80重量%までの非イオン性EO/POブロックコポリマー以外の1種以上の不活性配合成分をさらに含む、実施形態1〜91aのうちのいずれか1つの組成物。
【0124】
実施形態93.構成成分(d)(すなわち、非イオン性EO/POブロックコポリマー以外の1種以上の不活性配合成分)が、組成物の少なくとも約0.01重量%である、実施形態92の組成物。
【0125】
実施形態93a.構成成分(d)が、組成物の少なくとも約0.1重量%である、実施形態93の組成物。
【0126】
実施形態94.構成成分(d)が、組成物の約20重量%以下である、実施形態92〜93aのうちのいずれか1つの組成物。
【0127】
実施形態95.構成成分(d)が、接着剤、液体希釈剤、固体希釈剤、界面活性剤、不凍剤、防腐剤、増粘剤および肥料からなる群より選択される少なくとも1種の不活性配合成分を含む、実施形態92〜94のうちのいずれか1つの組成物。
【0128】
実施形態96.殺虫有効量の実施形態1〜95のうちのいずれか1つの組成物でコーティングされた、発明の概要において記載された屈地性繁殖体。
【0129】
実施形態97.種子である、実施形態96の屈地性繁殖体。
【0130】
実施形態98.ワタ、トウモロコシ、ダイズ、ナタネまたはイネの種子である、実施形態97の種子。
【0131】
実施形態99.トウモロコシまたはナタネの種子である、実施形態98の種子。
【0132】
実施形態100.トウモロコシの種子である、実施形態99の種子。
【0133】
実施形態101.ナタネの種子である、実施形態99の種子。
【0134】
実施形態102.約5〜80重量%の実施形態1〜95のうちのいずれか1つの組成物および約20〜95重量%の揮発性水性液体キャリアからなる、発明の概要において記載された液体組成物。
【0135】
実施形態103.揮発性水性液体キャリアが、(液体)組成物の少なくとも約25重量%である、実施形態102の液体組成物。
【0136】
実施形態104.揮発性水性液体キャリアが、(液体)組成物の少なくとも約30重量%である、実施形態103の液体組成物。
【0137】
実施形態105.揮発性水性液体キャリアが、(液体)組成物の約70重量%以下である、実施形態102〜104のうちのいずれか1つの液体組成物。
【0138】
実施形態106.揮発性水性液体キャリアが、少なくとも約80重量%の水を含む、実施形態102〜105のうちのいずれか1つの液体組成物。
【0139】
実施形態107.揮発性水性液体キャリアが、少なくとも約90重量%の水を含む、実施形態106の液体組成物。
【0140】
実施形態108.揮発性水性液体キャリアが、少なくとも約95重量%の水を含む、実施形態107の液体組成物。
【0141】
実施形態109.揮発性水性液体キャリアが、実質的に水からなる、実施形態108の液体組成物。
【0142】
実施形態110.揮発性水性液体キャリアが、水である、実施形態109の液体組成物。
【0143】
実施形態111.構成成分(a)の少なくとも一部が、固体粒子として液体組成物中に存在する、実施形態102〜110のうちのいずれか1つの液体組成物。
【0144】
実施形態112.構成成分(a)の少なくとも約90%が、固体粒子として組成物中に存在する、実施形態111の液体組成物。
【0145】
実施形態113.構成成分(a)の少なくとも約95%が、固体粒子として組成物中に存在する、実施形態112の液体組成物。
【0146】
実施形態114.構成成分(a)の少なくとも約98%が、固体粒子として組成物中に存在する、実施形態113の液体組成物。
【0147】
実施形態115.95重量%より多くの粒子が、約10μm未満の粒径を有する、実施形態111〜114のうちのいずれか1つの液体組成物。
【0148】
実施形態116.粒子のメジアン粒径が、約10μm以下である、実施形態111〜115のうちのいずれか1つの液体組成物。
【0149】
実施形態117.粒子のメジアン粒径が、約4μm以下である、実施形態115または116の液体組成物。
【0150】
実施形態118.粒子のメジアン粒径が、約3μm以下である、実施形態117の液体組成物。
【0151】
実施形態119.粒子のメジアン粒径が、約2μm以下である、実施形態118の液体組成物。
【0152】
実施形態120.粒子のメジアン粒径が、約1μm以下である、実施形態119の液体組成物。
【0153】
実施形態121.粒子のメジアン粒径が、少なくとも約0.1μmである、実施形態111〜120のうちのいずれか1つの液体組成物。
【0154】
実施形態122.発明の概要において記載された、屈地性繁殖体およびそれに由来する植物を植食性昆虫害虫から保護するための方法であって、殺虫有効量の実施形態102〜121のうちのいずれか1つの液体組成物でその繁殖体をコーティングする工程と、次いで揮発性水性液体キャリアを蒸発させる工程とを包含する、方法。
【0155】
実施形態123.昆虫害虫が、半翅目および鱗翅目から選択される分類学上の目に属する、実施形態122の方法。
【0156】
実施形態124.昆虫害虫が、コナジラミ科、アブラムシ科(Aphidadae)、ヨコバイ科、ウンカ科、キバガ科、ドクガ科、ヤガ科、コナガ科、メイガ科およびハマキガ科(Torticidae)から選択される分類学上の科に属する、実施形態123の方法。
【0157】
実施形態125.昆虫害虫が、ヤガ科に属する、実施形態124の方法。
【0158】
実施形態126.屈地性繁殖体が、種子である、実施形態122〜125のうちのいずれか1つの方法。
【0159】
実施形態127.種子が、ワタ、トウモロコシ、ダイズ、ナタネまたはイネの種子である、実施形態126の方法。
【0160】
実施形態128.種子が、トウモロコシまたはナタネの種子である、実施形態127の方法。
【0161】
実施形態129.種子が、トウモロコシの種子である、実施形態128の方法。
【0162】
実施形態130.種子が、ナタネの種子である、実施形態128の方法。
【0163】
本発明の実施形態は、どのようにも組み合わされ得る。そのような組合せの一例は、発明の概要において記載された殺虫組成物であって、(a)約9〜約91重量%の1種以上のアントラニルジアミド殺虫剤と、(b)20℃にて少なくとも約5重量%の水溶性、約5〜約31の範囲のHLB値、および約3000〜約15000ダルトンの範囲の平均分子量を有する約9〜約91重量%の非イオン性EO/POブロックコポリマー構成成分とを含み、ここで、構成成分(b)と構成成分(a)の重量比は約1:5〜約5:1である、組成物である。
【0164】
本発明は、屈地性繁殖体およびそれに由来する植物の、殺虫有効量の殺虫組成物で繁殖体をコーティングすることによる植食性昆虫害虫からの保護に関するものであり、この殺虫組成物は、その組成物の総重量に基づき、
(a)約9〜約91重量%の1種以上のアントラニルジアミド殺虫剤と、
(b)20℃にて少なくとも約5重量%の水溶性、少なくとも約5の親水親油バランス値、および約1500〜約20000ダルトンの範囲の平均分子量を有する約9〜約91重量%の非イオン性エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー構成成分と
を含み、ここで、構成成分(b)と構成成分(a)の重量比は約1:10〜約10:1である、組成物である。
【0165】
本発明に従うコーティング組成物中の非イオン性エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーの包含が、屈地性繁殖体(例えば、種子)および/または繁殖体(例えば、発芽種子)から発育しつつある根への殺虫剤アントラニルジアミドの吸収を著しく促進して、繁殖体およびそれに由来する屈地性植物部分だけでなく、繁殖体から発育しつつある茎葉においても、殺虫有効濃度のアントラニルジアミドの分布を可能にすることが見出された。
【0166】
アントラニルアミド殺虫剤としても知られるアントラニルジアミド殺虫剤は、アリール環(典型的にはフェニル)の炭素原子に結合した隣位のカルボキシアミド置換基を含む分子構造によって化学的に特徴づけられる殺虫化合物のクラスのメンバーであり、ここで、一方のカルボキシアミド部分は、カルボニル炭素を介して結合している部分であり、他方のカルボキシアミド部分は、窒素原子を介して結合しており、昆虫の筋細胞中のリアノジン受容体に結合してチャネルを開き、カルシウムイオンを細胞質中に放出させることによって生物学的に特徴づけられる部分である。カルシウムイオン貯蔵の枯渇は、昆虫の麻痺および死をもたらす結果となる。PCT国際公開第2004/027042号パンフレットは、リアノジン受容体リガンドについてのアッセイについて記載している。実施形態2に記載された、式1の化合物、そのN−オキシドおよび塩は、アントラニルジアミド殺虫剤の実例となる。様々なアントラニルジアミド殺虫剤およびそれらの調製方法が、文献に記載されている。例えば、式1の化合物およびその調製方法は、米国特許第6,747,047号明細書および同第7,247,647号明細書、ならびにPCT国際公開第2003/015518号パンフレット、同第2003/015519号パンフレット、同第2004/067528号パンフレット、同第2006/062978号パンフレットおよび同第2008/069990号パンフレットに報告されている。
【0167】
本組成物およびその使用方法について特に注目すべきは、XがNであり;RがCHであり;RがClまたは−CNであり;RがBrであり;R4aがCHであり;R4bがHであり;RがClであり;そしてRがHである、式1の化合物である。RがClである化合物は、ケミカルアブストラクツの体系的名称3−ブロモ−N−[4−クロロ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドおよび慣用名クロラントラニリプロールを有しており、殺虫有効成分として、DuPontによりRYNAXYPYRとして商標登録されている。Rが−CNである化合物は、ケミカルアブストラクツの体系的名称3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−
メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドおよび提唱された慣用名シアントラニリプロールを有しており、殺虫有効成分として、DuPontによりCYAZYPYRとして商標登録されている。国際公開第2006/062978号パンフレットの実施例15に開示されているように、シアントラニリプロールは、177〜181℃または217〜219℃で融解する固体(すなわち、2つの異なる多形)の形態にある。両方の多形が、本組成物および方法に好適である。
【0168】
最も一般的には、構成成分(a)は、組成物の約9〜約91重量%である。構成成分(a)は、典型的には組成物の少なくとも約20重量%であり、より典型的には少なくとも約30重量%であり、最も典型的には少なくとも40重量%である。構成成分(a)は、典型的には組成物の約80重量%以下であり、より典型的には約70重量%以下である。最適な生物学的利用能を提供するために、典型的には構成成分(a)の約30重量%以下、より典型的には構成成分(a)の約20重量%以下、最も典型的には約10重量%以下が、約10μmより大きい粒径を有する粒子として組成物中に存在する。10μm以下の粒径は、ミル粉砕のような技術によって容易に達成され得る。
【0169】
本組成物は、20℃にて少なくとも約5%の水溶性、少なくとも約5の親水親油バランス(HLB)値、および約1500〜約20000ダルトンの範囲の平均分子量を有する非イオン性エチレンオキシド−プロピレンオキシド(EO/PO)ブロックコポリマー構成成分を、構成成分(b)として含有する。この構成成分は、1種以上の非イオン性エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーから実質的になる。本発明の組成物中の、上記の水溶性、HLB値および平均分子量を有する少なくとも約9重量%の非イオン性EO/POブロックコポリマーの、構成成分(a)に対して少なくとも約1:10の比での包含は、その組成物が繁殖体にコーティングされた時に、構成成分(a)の有効成分の直接的または現れつつある根を通じてのその繁殖体への吸収を著しく促進し、それにより、発育しつつある植物(現れつつある茎葉を含む)中へのアントラニルジアミド殺虫剤のより多くの取り込みをもたらすことが見出された。アントラニルジアミド殺虫剤の取り込みが増加すると、繁殖体、根および地表近くの茎葉においてだけでなく、生育しつつある植物のより遠方にある茎葉においても殺虫有効濃度のその殺虫剤が提供される。
【0170】
非イオン性エチレンオキシド−プロピレンオキシド(EO/PO)ブロックコポリマーは、オキシエチレン単位の(−OCHCH−)単位から実質的になる1つ以上の鎖と、オキシプロピレン単位の(−OCH(CH)CH−)から実質的になる1つ以上の鎖とを含むポリマーである。より詳細には、本開示および特許請求の範囲の文脈において、非イオン性EO/POブロックコポリマーの分子は、それぞれ水素を数えずに4個以下の原子を含有する他の非イオン性分子単位によってそれらの鎖は連結および/または終結され得るが、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン鎖から実質的になるものと見なされる。構成成分(b)のEO/POブロックコポリマーは非イオン性であるので、それらは、アニオン部分も、解離によりアニオンとなり得る部分(例えば、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、ホスホン酸もしくはリン酸官能基、またはこれらの酸官能基のうちの1つの塩)も含まない。同様に、構成成分(b)の非イオン性EO/POブロックコポリマーは、カチオン部分(例えば、第四級アンモニウム塩)を含まないが、非イオン性EO/POブロックコポリマーは、オキシエチレンまたはオキシプロピレン単位以外の分子単位が水素は数えずに4個より多くの原子を含有しないという限定を条件として、第一、第二または第三アミン官能基を含有し得る。しかしながら、アミン官能基は、構成成分(b)の非イオン性EO/POブロックコポリマーに必須ではない。したがって、注目すべきは、アミン官能基を含んでいない少なくとも1種の非イオン性EO/POブロックコポリマーを含む構成成分(b)である。同様に注目すべきは、アミン官能基を含有する非イオン性EO/POブロックコポリマーを含んでいない構成成分(b)である。
【0171】
ポリオキシプロピレン鎖は親油性であるのに対し、ポリオキシエチレン鎖は親水性である。ポリオキシエチレン鎖とポリオキシプロピレン鎖とを組み合わせると、界面活性剤特性を提供する両親媒性分子構造になる。この分子中の1つ以上のポリオキシエチレン鎖は親水性部分(hydrophile)と呼ばれ得、この分子中の1つ以上のポリオキシプロピレン鎖は親油性部分(lipophile)と呼ばれ得る。オキシエチレン単位およびオキシプロピレン単位の数は、この構成成分に要求される物性(例えば、水溶性、HLB、分子量)を達成するように選択され得る。
【0172】
本組成物において、構成成分(b)(すなわち、非イオン性EO/POブロックコポリマー構成成分)は、20℃にて少なくとも約5重量%の水溶性を有していなければならない。したがって、構成成分(b)は、少なくとも約5(重量)%の程度まで、20℃の水に可溶でなければならない。これは、20℃の水中の構成成分(b)の飽和溶液または液晶相が、少なくとも約5重量%の構成成分(b)を含有することを意味する。(簡潔にするために、本開示において水溶性は、「重量」が明示的に記載されていなくても、重量パーセントとして相応に規定される。)構成成分(b)が複数の非イオン性EO/POブロックコポリマー成分を含有する場合、典型的に、各成分は、20℃にて少なくとも約5%の水溶性を有する。構成成分(b)として好適な非イオン性EO/POブロックコポリマーのほとんどがはるかに高い(例えば、10%より高い)水溶性を有し、多くは水と混和性である(例えば、あらゆる割合で水に可溶である)。土壌中の種子をコーティングする組成物中の構成成分(b)として、少なくとも約5%の水溶性を有するポロキサマーの代わりに水不溶性のPLURONIC L101またはPLURONIC L121を使用した場合に、繁殖体および/または発育しつつある根へのアントラニルジアミド殺虫剤の吸収の減少が観察される。
【0173】
本発明の文脈において、「水溶性」は、示された重量百分率量で構成成分(b)が純粋な水に完全に溶解して(すなわち、この混合物は水および構成成分(b)のみからなる)、(1)水相中に分散した別個のEO/POブロックコポリマー分子(一般にユニマー(unimer)と呼ばれる)、および/もしくは水相中にランダムに分散したクラスター(すなわち、ミセル)に集まってなり、分子の親水性構成成分がクラスターの外部を構成し、疎水性構成成分が内部を構成するEO/POブロックコポリマー分子からなる溶液、ならびに/または(2)分子の親水性構成成分がクラスター外部を構成し、疎水性構成成分がクラスター内部を構成するように集まってなるEO/POブロックコポリマー分子のクラスターであって、水の存在下で位置および/もしくは配向に関して互いに対し等方的または異方的に配列されるクラスターを含有するリオトロピック液晶相を形成し得ることを意味する。液晶相は、多くの場合、粘稠またはさらにはゲル様であるが、それにもかかわらず透明である。異方性液晶相は一般的に複屈折性であるのに対し、等方性液晶相は複屈折性ではない。特定のEO/POブロックコポリマーの液晶相が、P.Alexandridisら,Langmuir 1996,12,2690−2700およびP.Alexandridis,Macromolecules 1998,31,6935−6942に記載されている。水性媒体中のミセルの分散体は水溶性を明示するものであるが、ミセルの外部および内部秩序の両方を欠いた液滴の(例えば、油および他の水不混和性の液体の)分散体およびエマルションは、水溶性の例ではない。EO/POブロックコポリマー分子の疎水性構成成分に加えてある成分からなる内部を有することによりミセルと異なる液滴のマイクロエマルションは、本定義に従う溶液または水溶性の例ではない。EO/POブロックコポリマーの溶解性に関するさらなる記載については、Drew Myers,Surfactant Science and Technology(界面活性剤の科学および技術),第3版,John Wiley,2005の第4.1節「Surfactant Solubility(界面活性剤の溶解性)」を参照されたい。
【0174】
ポリオキシエチレン鎖およびポリオキシプロピレン鎖の包含により、明確に画定された親水性領域と親油性領域との両親媒性の組み合わせが非イオン性EO/POブロックコポリマー分子に与えられ、それにより、界面活性剤として機能する能力がもたらされる。界面活性剤の親水親油バランス(HLB)は、それがどの程度親水性または親油性であるかを測る総合的な尺度であり、界面活性剤分子中の極性基と非極性基の比によって決定される。界面活性剤のHLB値(すなわち数)は、1〜40の任意範囲で界面活性剤分子の極性を示し、この数字は親水性が高まるにつれて増加する。界面活性剤についてのHLB値は、Griffinの「emulsion comparison method」(W.C.Griffin,J.Soc.Cosmet.Chem.1949,1,311−326)によって決定され得る。代替的に、HLB値は、数値的に推定されるか、様々な実験的手法によって予測され得る。X.Guoら,Journal of Colloid and Interface Science 2006,298,441−450;G.Ben−EtおよびD.Tatarsky,Journal of the American Oil Chemists’ Society 1972,49(8),499−500;G.Trapaniら,International Journal of Pharmaceutics 1995,116,95−99;ならびにそこで引用されている文献を参照されたい。界面活性剤およびそれぞれのHLB値の一覧は、例えば、A.W.Adamson,Physical Chemistry of Surfaces,John Wiley and Sons,1982において、広く公開されている。
【0175】
本組成物の非イオン性EO/POブロックコポリマー構成成分(すなわち、構成成分(b))は、少なくとも約5の範囲内のHLB値を有する。約5未満のHLB値を有する非イオン性EO/POブロックコポリマー構成成分は、典型的に、水溶性が限られており、その水溶性は、20℃にて5%未満であり得る。1付近のHLB値を有する非イオン性EO/POブロックコポリマーは、一般に、水に不溶性であると見なされる。約5未満のHLB値を有する非イオン性EO/POブロックコポリマー構成成分は、繁殖体および発育しつつある根への構成成分(a)の有効成分の吸収を促進し得るが、土壌培地で所望の吸収を促進するするその能力は、少なくとも約5のHLB値を有する構成成分についてよりもはるかに劣ることが観察される。典型的に、構成成分(b)のHLB値は、5より高い(例えば、6、7または8)。特定の実施形態において、構成成分(b)のHLB値は、少なくとも約10である。構成成分(b)のHLB値が少なくとも約20である実施形態は、特に注目すべきである。なぜなら、少なくとも約20のHLB値を有する非イオン性EO/POブロックコポリマーは、典型的に非常に溶解し易い(すなわち、20℃にて>25%の水溶性)からである。高い水溶性は、適度な量の水から高濃度の液体組成物を調製するのを容易にし、繁殖体をコーティングした後に蒸発させる必要がある水の量を低減する。高HLB値を有する構成成分(b)は本組成物において特に有用であるが、HLB範囲は40に制限される。市販の非イオン性EO/POブロックコポリマーは、約31より高いHLB値を有さないので、一般的に、構成成分(b)は、約35以下のHLB値を有する。構成成分(b)は、約20以下または約15以下のHLB値を有し得る。
【0176】
非イオン性EO/POブロックコポリマー構成成分に対して望まれるHLB値は、所望のHLB値より高いHLB値を有するものと所望のHLB値より低いHLB値を有するものとの2種以上の非イオン性EO/POブロックコポリマーを適切な比率で混合することによって達成され得る。界面活性剤の組み合わせについてのHLB値は、一般的に、構成界面活性剤のそれらの重量パーセントに応じたHLB寄与に基づき計算された値に近い。結果として得られる構成成分(b)のHLB値が少なくとも約5となるのに十分な量の5より高いHLB値を有する1種以上の他の非イオン性EO/POブロックコポリマーをも構成成分(b)が含有する場合は、構成成分(b)は、5未満のHLB値を有する非イオン性EO/POブロックコポリマーを含有し得る。例えば、1および15のHLB値を有する2種の非イオン性EO/POブロックコポリマー(例えば、ポロキサマー331およびポロキサマー335)の1:8の重量比での混合物は、5より高いHLB値を有する。典型的に、構成成分(b)を構成する非イオン性EO/POコポリマーの混合物中の各成分のHLB値は、少なくとも約5である。
【0177】
非イオン性EO/POブロックコポリマー構成成分(b)は、約1500〜約20000ダルトンの範囲の平均分子量を有する。一部の実施形態において、構成成分(b)の平均分子量は、少なくとも約3000、5000、10000または15000ダルトンである。一部の実施形態において、構成成分(b)の平均分子量は、約15000もしくは10000ダルトンまたはそれ以下である。
【0178】
本開示および特許請求の範囲において、非イオン性EO/POブロックコポリマー構成成分の平均分子量は数平均であり、これは、(構成成分の所与の重量について)各分子量の非イオン性EO/POブロックコポリマー分子の数にその分子量を乗じ、次いでその乗算結果を合計し、最後にその算出された合計を非イオン性EO/POブロックコポリマー分子の総数で除した値に相当する。しかしながら、平均分子量の他の定義も、典型的に、同様な大きさの値を与える。非イオン性EO/POブロックコポリマーの平均分子量は、当該技術分野において知られた方法(例えば、NelsonおよびCosgrove(Langmuir 2005,21,9176−9182)により言及されたゲル透過クロマトグラフィ)によって測定され得る。さらに、非イオン性EO/POブロックコポリマー製品の製造業者らは、一般的に、本組成物の構成成分(b)として適切な非イオン性EO/POブロックコポリマーを選択するために好都合に使用され得る平均分子量情報を開示している。
【0179】
典型的に、非イオン性EO/POブロックコポリマー構成成分(すなわち、構成成分(b))を構成する分子は全てが同じ分子量を有しているわけではなく、その代わりに、それらの分子の分子量はある分布(例えば、正規ガウス分布)を構成する。一般的に、非イオン性EO/POブロックコポリマーを調製するための化学合成法は、単峰形の分子量分布を与える。しかしながら、本組成物の構成成分(b)は、様々な量のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドから異なる処理バッチで調製された非イオン性EO/POブロックコポリマーを含み得る。したがって、構成成分(b)の分子量分布は、双峰形またはさらには多峰形であり得る。EO/POブロックコポリマー分子についての約20000ダルトンの平均分子量は、それよりもかなり高い分子量を有する一部の分子を考慮している。典型的に、構成成分(b)を構成する非イオン性EO/POブロックコポリマー分子の少なくとも約90%、より典型的には少なくとも約95%、最も典型的には少なくとも約98%が、約40000ダルトンを超えない分子量を有する。
【0180】
概して、構成成分(b)と構成成分(a)の重量比の増加は、構成成分(a)および(b)を含む組成物でコーティングされた繁殖体から生育した植物の茎葉をも保護するための、繁殖体および/または発育しつつある根への構成成分(a)の吸収を増加させる。しかしながら、構成成分(b)の増加はまた、組成物中に含まれ得る構成成分(a)の量を減少させる。構成成分(b)と構成成分(a)の重量比は、一般的には少なくとも約1:10であり、典型的には少なくとも約1:8であり、より典型的には少なくとも約1:5または1:4からであり、最も典型的には少なくとも約1:3である。一部の実施形態において、構成成分(a)と構成成分(b)の重量比は、少なくとも約1:2または1:1である。構成成分(b)と構成成分(a)の重量比は、一般的には約10:1以下であり、典型的には約8:1以下であり、より典型的には約5:1もしくは4:1またはそれ以下であり、最も典型的には約3:1以下である。一部の実施形態において、構成成分(a)と構成成分(b)の重量比は、約2:1もしくは1:1またはそれ以下である。
【0181】
最も一般的には、構成成分(b)は、組成物の約9〜約91重量%である。構成成分(b)の量の増加は、構成成分(b)と構成成分(a)の比を増加させて繁殖体コーティングから繁殖体および/または発育しつつある根への構成成分(a)の吸収を促進し得るが、同時にコーティング中の構成成分(a)の濃度を低下させ、したがって、各繁殖体に所望量の構成成分(a)を提供するにはより厚いコーティングを必要とする。構成成分(b)は、典型的には組成物の少なくとも約15重量%であり、より典型的には少なくとも約20重量%であり、最も典型的には少なくとも25重量%である。一部の実施形態において、構成成分(b)は、組成物の少なくとも約30重量%、35重量%または40重量%である。構成成分(b)は、典型的には組成物の約80重量%以下であり、より典型的には約70重量%以下であり、最も典型的には約60重量%以下である。一部の実施形態において、構成成分(b)は、組成物の約50重量%もしくは40重量%またはそれ以下である。
【0182】
非イオン性エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーとしては、ポロキサマー、逆ポロキサマー、ポロキサミンおよび逆ポロキサミンが挙げられる。ポロキサマーおよびポロキサミンにおいては、その分子の中央部分は、1つ以上のポリオキシプロピレン鎖を含んで親油性となっており、その中央部分には、少なくとも2つのポリオキシエチレン鎖が結合して親水性部分を提供している。ポロキサマーおよびポロキサミンにおいて、ポリオキシエチレン鎖は、第一ヒドロキシル基で終結されている。逆ポロキサマーおよび逆ポロキサミンにおいては、その分子の中央部分は、1つ以上のポリオキシエチレン鎖を含んで親水性部分を提供しており、その中央部分には、少なくとも2つのポリオキシプロピレン鎖が結合して親油性部分(あるいは疎水性部分(hydrophobe)とも呼ばれる)を提供している。逆ポロキサマーおよび逆ポロキサミンにおいて、ポリオキシプロピレン鎖は、第二ヒドロキシル基で終結されている。
【0183】
構成成分(b)において使用されるポロキサマーおよびポロキサミンについては、外側の親水性部分(すなわち、ポリオキシエチレン鎖の組み合わせ)の総分子量は、典型的に、この分子の重量の約20%〜約90%の範囲内にある。少なくとも約20%の親水性部分含量が、20℃にて少なくとも約5%の水溶性を付与する。少なくとも約60%の親水性部分含量は、典型的に、高い水溶性(すなわち、20℃にて>25%の水溶性)を付与し、濃厚水性液体組成物の調製を容易にする。親水性部分含量は、90%またはそれよりさらに高くなり得るが、より典型的には親水性部分の総分子量は、分子の重量の約80%以下である。
【0184】
構成成分(b)において使用される逆ポロキサマーおよび逆ポロキサミンについては、中央の親水性部分(すなわち、1つまたは複数のポリオキシエチレン鎖)の総分子量は、典型的に、この分子の重量の約20%〜約90%の範囲内にある。しかしながら、中程度から高い(すなわち、約2300ダルトンより高い)平均総分子量の場合は、少なくとも約30重量%の親水性部分が、20℃にて少なくとも約5%の水溶性を確保するために使用される。親水性部分含量は、90%またはそれよりさらに高くなり得るが、より典型的には親水性部分の分子量は、分子の重量の約80%以下である。
【0185】
ポロキサマーは特に注目すべきである。なぜなら、少なくとも約5のHLB値を有するポロキサマーが、繁殖体をコーティングしている組成物からの繁殖体および/または繁殖体から発育しつつある根へのアントラニルジアミドの吸収を促進するのに予想外に効果的であることが見出されたからである。この向上した吸収は、植食性昆虫害虫から保護すべき発育しつつある茎葉への殺虫有効量濃度のアントラニルジアミドの輸送を促進する。
【0186】
用語「ポロキサマー」は、親水性部分を提供するポリオキシエチレン鎖と各末端で連結された中央の親油性部分としてのポリオキシプロピレン鎖からなる非イオン性トリブロックコポリマーをいう。ポロキサマーは、示されるような式2に相当する。
【化2】

式中、m、nおよびpは、ポリマーと一致する数値変数である。好適なm、nおよびpの値は、所望の総分子量およびパーセント親水性部分について、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドに由来するサブユニットの分子量に基づき容易に計算され得る。
【0187】
ポロキサマーのその純粋な形態での物理的コンシステンシーは、20℃にて、液体からペースト、固体(典型的にフレークと呼ばれる)に及ぶ。少なくとも約20(または、ポロキサマーの分子量が約3000ダルトン未満である場合は22)のHLB値を有するポロキサマーは、典型的に20℃にて固体であるが、それより低いHLB値を有するポロキサマーは、HLB値および分子量の両方に依存して、典型的に液体またはペーストである(より低いHLBおよびより低い分子量は、ペーストと比べて液体の方を好む)。ペーストまたは固体のポロキサマーは、組成物を繁殖体に付ける接着剤として構成成分(b)が機能するのを促進する。固体のポロキサマーは、構成成分(b)の成分として特に注目すべきである。なぜなら、それらは、組成物中にさらなる接着剤(例えば、皮膜形成剤)を含む必要なしに、耐久性のあるコーティングを与えるからである。
【0188】
Ludstedの米国特許第2,674,619号明細書には、プロピレングリコールに、プロピレンオキシド、次いでエチレンオキシドを、順次添加することによるポロキサマーの調製が記載されている。ポロキサマーは連続した一連の反応の生成物であるので、個々のポロキサマー分子の分子量は、平均分子量を中心とする統計的分布となる。NelsonおよびCosgove,Langmuir 2005,21,9176−9182は、一部の市販のポロキサマー製品は双峰形であり、ジブロックPEO−PPO(すなわち、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン)を不純物として含有し得ることを報告している。
【0189】
L.E.Reeve(Handbook of Biodegradable Polymers;A.J.Dombら編,Harward Academic Publishers,OPA:Amsterdam,1997;第12章,232〜249頁の「The Poloxamers:Their Chemistry and Medical Applications」)により記載されているように、mがpと等しい各ポロキサマーに3つの数字からなる数を割り当てる命名法が開発された。この数は、それぞれのポロキサマーの疎水性部分の分子量およびポリオキシエチレン含量を示している。疎水性ポリオキシプロピレンブロックの平均分子量は、最初の2つの数字を100倍することによって得られる。ポリオキシエチレンのおおよその重量パーセントは、3つ目の数字を10倍することによって得られる。例えば、ポロキサマー188は、約1,800ダルトンのおおよその平均分子量を有するポリオキシプロピレンの中央ブロックおよび分子全体のおおよそ80%のエチレンオキシド含量からなる。各ポリオキシエチレンブロック中のエチレンオキシド置換基の数は互いに統計的に類似しているので、ポロキサマー188は、両側の各末端に約3,600ダルトンの分子量を有するポリオキシエチレンセグメントが配置された、約1,800ダルトンの分子量を有するポリオキシプロピレンブロックからなるはずである。公称分子量およびポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンの比は、製造ロット間および供給業者間で異なる。
【0190】
ポロキサマーは、「PLURONIC」の商品名でそれらを販売しているBASF、および「SYNPERONIC」の商品名でそれらを販売しているCrodaなどの商業的供給業者から入手可能である。
【0191】
Wikipedia(2009年7月8日現在、http://en.wikipedia.org/wiki/Poloxamer)における「Poloxamer」という記事に記載されているように、mがpと等しいところのPLURONICの商品名に続く製品コードは、それの室温での物理的形態を示す文字(「L」は液体を表し、「P」はペーストを表し、「F」はフレーク(固体)を表す)で始まり、2つまたは3つの数字が後に続く。この数字表示中の最初の(左の)数字(または3桁の数においては、2つの数字)を300倍すると、ポリオキシプロピレン鎖のおおよその分子量を示し、最後の数字を10倍すると、重量パーセントのポリオキシエチレン含量が得られる。例えば、P103およびP104は、約3000の同じ分子量のポリオキシプロピレンを有するが、P103は30重量%のポリオキシエチレンを有し、P104は40重量%のポリオキシエチレンを有する。
【0192】
本組成物の構成成分(b)中の非イオン性エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマーとして有用なポロキサマーは、典型的に少なくとも約900ダルトンの平均分子量を有する中央ポリオキシプロピレン鎖を有しており、この平均分子量は、式2中の下付き変数「n」についての平均値が少なくとも約15であることに相当する。より典型的には、中央ポリオキシプロピレン鎖の平均分子量は、約1200ダルトン〜約4000ダルトンの範囲である。
【0193】
ポロキサマー分子において、2つのポリオキシエチレン鎖が、一緒に親水性部分を提供する。典型的に、式2中の下付き変数「m」および「p」の合計は、約2〜約300の範囲内にある。
【0194】
本組成物の構成成分(b)に好適なポロキサマーの例としては、188、235、237、288、334、335、338、403、および407のポロキサマー名に対応する、PLURONIC F68、P85、F87、F98、P104、P105、F108、P123、およびF127が挙げられる。
【0195】
用語「逆ポロキサマー」は、親油性部分を提供するポリオキシプロピレン鎖と各末端で連結された中央の親水性部分としてのポリオキシエチレン鎖からなる非イオン性トリブロックコポリマーをいう。逆ポロキサマーは、示されるような式3に相当する。
【化3】

式中、q、rおよびsは、ポリマーと一致する数値変数である。好適なq、rおよびsの値は、所望の総分子量およびパーセント親水性部分について、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドに由来するサブユニットの分子量に基づき容易に計算され得る。
【0196】
Lundstedの米国特許第2,674,619号明細書のポロキサマー調製方法は、ポリエチレングリコールではなくエチレングリコールから出発し、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの添加の順序を入れ替えることにより、逆ポロキサマーの調製のために適合され得る。逆ポロキサマーは、(100倍すると)ポリオキシプロピレン親油性部分の分子量を示す左の2つの数字と(10倍すると)親水性部分としてのポリオキシエチレンの重量パーセント含量を示す右側の数字との間に「R」という文字を挿入した「PLURONIC」の商品名でそれらを販売しているBASFなどの商業的供給業者から入手可能である。逆ポロキサマー用のPLURONIC製品コードは、左側の「L」、「P」および「F」という物理的形態の表示を省く。
【0197】
本組成物の構成成分(b)に好適な逆ポロキサマーの例としては、PLURONIC 10R5、12R3、17R2、17R4、17R8、22R4、25R4、25R5、25R8および31R4が挙げられる。
【0198】
ポロキサミンは、ポロキサマーに構造上関連しているが、式4に示されるように、1,2−ジアミノエタン部分に繋がれた4つの鎖を有する。
【化4】

式中、a、b、c、d、e、f、gおよびhは、ポリマーと一致する数値変数である。好適なa、b、c、d、e、f、gおよびhの値は、所望の総分子量およびパーセント親水性部分について、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドに由来するサブユニットの分子量に基づき容易に計算され得る。
【0199】
ポロキサマーは、プロピレングリコールに、プロピレンオキシド、次いでエチレンオキシドを、順次添加することによって調製されるが、ポロキサミンは、エチレンジアミンに、プロピレンオキシド、次いでエチレンオキシドを順次添加することによって調製される。ポロキサミンはBASFから市販されており、「TETRONIC」の商品名で販売されている。TETRONICナンバーの右側の数字を10倍した値は、親水性部分としてのポリオキシエチレンの重量パーセント含量を示す。
【0200】
本組成物の構成成分(b)に好適なポロキサミンの例としては、TETRONIC 304および904が挙げられる。特に注目すべきは、TETRONIC 304である。米国特許出願公開第2003/0073583号明細書は、TETRONIC 304が、1650ダルトンの平均分子量、40%の親水性部分含量および16のHLB値を有することを開示している。
【0201】
逆ポロキサミンは、ポロキサミンに構造上関連しているが、式5に示されるように、1,2−ジアミノエタン部分に繋がれたポリオキシエチレン鎖とポリオキシプロピレン鎖とを相互に入れ替えている。
【化5】

式中、a、b、c、d、e、f、gおよびhは、ポリマーと一致する数値変数である。好適なa、b、c、d、e、f、gおよびhの値は、所望の総分子量およびパーセント親水性部分について、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドに由来するサブユニットの分子量に基づき容易に計算され得る。
【0202】
ポロキサミンは、エチレンジアミンに、プロピレンオキシド、次いでエチレンオキシドを、順次添加することによって調製されるが、逆ポロキサミンは、エチレンジアミンに、エチレンオキシド、次いでプロピレンオキシドを順次添加することによって調製される。逆ポロキサミンはBASFから市販されており、(10倍すると)親水性部分としてのポリオキシエチレンの重量パーセント含量を示す右側の数字の前に「R」という文字を挿入した「TETRONIC」の商品名で販売されている。
【0203】
ポロキサマー、逆ポロキサマー、ポロキサミン、および逆ポロキサミンの物性は、よく知られている。Guoら,Journal of Colloid and Interface Science 2006,298,441−450には、PLURONICポロキサマーおよびPLURONIC逆ポロキサマーについての平均分子量および親水親油バランス(HLB)値が列挙され、さらに、構成成分(b)として好適なポロキサマー、逆ポロキサマー、ポロキサミン、および逆ポロキサミンのHLB値を計算するための一般的方法が開示されている。
【0204】
本組成物は、任意選択で、(c)約90重量%までのアントラニルジアミド殺虫剤以外の1種以上の生物学的に活性な薬剤をさらに含み得る。構成成分(c)の生物学的に活性な薬剤には、主要効果が本組成物と接触している植物の保護ではなく本組成物の保存である殺生物剤は含まれない。
【0205】
存在する場合、構成成分(c)は、典型的には、組成物の少なくとも約0.1重量%、より典型的には少なくとも約1重量%である。構成成分(c)は、典型的には、組成物の約60重量%以下、より典型的には約50重量%、40重量%もしくは30重量%またはそれ以下、最も典型的には約20重量%以下である。構成成分(c)を構成する生物学的に活性な薬剤は、構成成分(a)のアントラニルジアミド殺虫剤と異なるものであり、例えば、以下のクラスから選択される化合物または生物有機体が挙げられ得る:殺虫剤、殺真菌剤、殺線虫剤、殺菌剤、殺ダニ剤、除草剤、成長調節物質(例えば、発根刺激剤)、化学不妊薬、信号化学物質、忌避剤、誘引剤、フェロモンおよび摂食刺激剤(化学的薬剤および生物学的薬剤の両方、ならびに上記のクラスから選択される数種の化合物または有機体の混合物を含む)。
【0206】
異なる生物学的に活性な薬剤を含む組成物は、単一薬剤単独よりも多様な活性を有し得る。さらに、そうした混合物は、相乗効果を示し得る。
【0207】
構成成分(c)(すなわち、アントラニルジアミド殺虫剤以外の1種以上の生物学的に活性な薬剤)の例には、殺虫剤(例えば、アバメクチン、アセフェート、アセタミプリド、アクリナトリン、アミドフルメット(amidoflumet)(S−1955)、アベルメクチン、アザジラクチン、アジンホスメチル、ビフェントリン、ビフェナゼート、ブプロフェジン、カルボフラン、カルタップ、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、クロマフェノジド、クロチアニジン、シフルメトフェン、シフルトリン、β−シフルトリン、シハロトリン、λ−シハロトリン、シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジアフェンチウロン、ダイアジノン、ディルドリン、ジフルベンズロン、ジメフルトリン(dimefluthrin)、ジメトエート、ジノテフラン、ジオフェノラン(diofenolan)、エマメクチン(エマメクチン安息香酸塩を含む)、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フィプロニル、フロニカミド、フルベンジアミド、フルシトリネート、タウフルバリネート、フルフェネリム(flufenerim)(UR−50701)、フルフェノクスロン、ホノホス(fonophos)、ハロフェノジド(halofenozide)、ヘキサフルムロン、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、イソフェンホス、ルフェヌロン、マラチオン、メタフルミゾン、メタアルデヒド、メタミドホス、メチダチオン、メソミル、メトプレン、メトキシクロル、メトフルトリン、ミルベマイシンオキシム(milbemycin oxime)、モノクロトホス、メトキシフェノジド、ニコチン、ニテンピラム、ニチアジン(nithiazine)、ノバルロン、ノビフルムロン(noviflumuron)(XDE−007)、オキサミル、パラチオン、パラチオンメチル、ペルメトリン、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ピリミカルブ、プロフェノホス、プロフルトリン(profluthrin)、ピメトロジン、ピラフルプロール、ピレトリン、ピリダリル、ピリフルキナゾン、ピリプロール、ピリプロキシフェン、ロテノン、リアノジン、スピネトラム、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン(BSN 2060)、スピロテトラマト、スルプロホス、テブフェノジド、テフルベンズロン、テフルトリン、テルブホス、テラクロルビンホス、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタップ−ナトリウム(thiosultap−sodium)、トルフェンピラド、トラロメトリン、トリアザメート、トリクロルホンおよびトリフルムロン;ならびに生物学的薬剤(昆虫病原性バクテリア(例えば、バキッルス・トゥリンギエンシス亜種アイザワイ(Bacillus thuringiensis subsp.aizawai)、バキッルス・トゥリンギエンシス亜種クルスタキ(Bacillus thuringiensis subsp.kurstaki)、およびバキッルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)の被包化δ−エンドトキシン(例えば、Cellcap、MPV、MPVII));昆虫病原性真菌(例えば、黒きょう病菌(green muscardine fungus));および昆虫病原性ウイルス(バキュロウイルス、核多角体病ウイルス(NPV)(例えば、HzNPVおよびAfNPV)および顆粒病ウイルス(GV)(例えば、CpGV)を含む)を含む));殺真菌剤(例えば、アシベンゾラル、アルジモルフ(aldimorph)、アメトクラジン、アミスルブロム、アザコナゾール、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベノミル、ベンチアバリカルブ、ベンチアバリカルブイソプロピル、ビノミアル(binomial)、ビフェニル、ビテルタノール、ビキサフェン、ブラストサイジンS、ボルドー液(三塩基性硫酸銅)、ボスカリド/ニコビフェン(nicobifen)、ブロムコナゾール、ブピリメート、ブチオベート(buthiobate)、カルボキシン、カルプロパミド、カプタホル、キャプタン、カルベンダジム、クロロネブ、クロロタロニル、クロゾリネート、クロトリマゾール、オキシ塩化銅、銅塩(例えば、硫酸銅および水酸化銅)、シアゾファミド、シフルナミド(cyflunamid)、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ジクロフルアニド、ジクロシメット、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、1−[4−[4−[5−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,5−ジヒドロ−3−イソキサゾリル]−2−チアゾリル]−1−ピペリジニル]−2−[5−メチル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]エタノン、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、ジニコナゾール、ジニコナゾール−M、ジノカップ、ジスコストロビン(discostrobin)、ジチアノン、ドデモルフ(dodemorph)、ドジン、エコナゾール、エタコナゾール(etaconazole)、エディフェンホス、エポキシコナゾール、エタボキサム、エチリモル、エトリジアゾール(ethridiazole)、ファモキサドン、フェンアミドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンカラミド(fencaramid)、フェンフラム(fenfuram)、フェンヘキサミド、フェノキサニル、フェンピクロニル(fenpiclonil)、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェンチンアセテート、フェンチンヒドロキシド、フェルバム、フェルフラゾエート(ferfurazoate)、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルメトベル(flumetover)、フルオピコリド、フルオピラム、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルトラニル、フルトリアホール、ホルペット、ホセチルアルミニウム、フベリダゾール、フララキシル(furalaxyl)、フラメタピル(furametapyr)、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、グアザチン、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン、イオジカルブ(iodicarb)、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソコナゾール、イソプロチオラン、イソピラザム、カスガマイシン、クレソキシムメチル、マンコゼブ、マンジプロパミド、マンネブ、マパニピリン(mapanipyrin)、メフェノキサム、メプロニル、メタラキシル、メトコナゾール、メタスルホカルブ、メチラム、メトミノストロビン/フェノミノストロビン(fenominostrobin)、メパニピリム、メトラフェノン、ミコナゾール、ミクロブタニル、ネオアソジン(neo−asozin)(メタンアルソン酸鉄)、ヌアリモル、オクチリノン(octhilinone)、オフレース、オリサストロビン、オキサジキシル、オキソリン酸、オキスポコナゾール、オキシカルボキシン、パクロブトラゾール、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンフルフェン、ペンチオピラド、ペルフラゾエート(perfurazoate)、ホスホン酸、フタリド(phthalide)、ピコベンズアミド(picobenzamid)、ピコキシストロビン、ポリオキシン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロパモカルブ塩酸塩、プロピコナゾール、プロピネブ、プロキナジド、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラオキシストロビン(pyraoxystrobin)、ピラゾホス、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピリフェノックス、ピロルニトリン(pyrolnitrine)、ピロキロン、キンコナゾール(quinconazole)、キノキシフェン、キントゼン、セダキサン、シルチオファム、シメコナゾール、スピロキサミン、ストレプトマイシン、硫黄、テブコナゾール、テブフロキン、テクラゼン(techrazene)、テクロフタラム、テクナゼン、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート、チオファネートメチル、チラム、チアジニル、トルクロホスメチル、トリフルアニド(tolyfluanid)、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアリモル(triarimol)、トリアゾキシド(triazoxide)、トリデモルフ、トリモプルアミドトリシクラゾール(trimoprhamide tricyclazole)、トリフロキシストロビン、トリホリン、トリチコナゾール、ウニコナゾール、バリダマイシン、バリフェナレート、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラム、およびゾキサミド);殺線虫剤(例えば、アルジカルブ、イミシアホス、オキサミルおよびフェナミホス);殺菌剤(例えば、ストレプトマイシン);および殺ダニ剤(例えば、アミトラズ、キノメチオナート、クロルベンジレート、シヘキサチン、ジコホル、ジエノクロル(dienochlor)、エトキサゾール、フェナザキン、酸化フェンブタスズ、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、ヘキシチアゾクス、プロパルギット、ピリダベンおよびテブフェンピラド)がある。
【0208】
こうした農業保護剤(すなわち、殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤および生物学的因子)についての一般的な参考文献としては、The Pesticide Manual,第13版,C.D.S.Tomlin編,British Crop Protection Council,Farnham,Surrey,U.K.,2003およびThe BioPesticide Manual,第2版,L.G.Copping編,British Crop Protection Council,Farnham,Surrey,U.K.,2001が挙げられる。
【0209】
特に注目すべきは、殺虫剤のアバメクチン、アセタミプリド、アクリナトリン、アベルメクチン、アザジラクチン、アジンホスメチル、ビフェントリン、ブプロフェジン、カルタップ、クロルフェナピル、クロルピリホス、クロチアニジン、シフルトリン、β−シフルトリン、シハロトリン、λ−シハロトリン、シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジアフェンチウロン、ディルドリン、ジフルベンズロン、ジメトエート、ジノテフラン、エマメクチン安息香酸塩、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンバレレート、フィプロニル、フロニカミド、フルベンジアミド、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、ルフェヌロン、メタフルミゾン、メソミル、メトキシフェノジド、ミルベマイシンオキシム、ニコチン、ニテンピラム、ニチアジン、ノバルロン、オキサミル、ピメトロジン、ピレトリン、ピリダベン、ピリダリル、ピリフルキナゾン、ピリプロキシフェン、リアノジン、ピネトラム、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト、テブフェノジド、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタップ−ナトリウム、トルフェンピラド、トラロメトリン、トリアザメート、トリフルムロン、バキッルス・トゥリンギエンシス亜種アイザワイ(Bacillus thuringiensis subsp.aizawai)、バキッルス・トゥリンギエンシス亜種クルスタキ(Bacillus thuringiensis subsp.kurstaki)、核多角体病ウイルスおよびバキッルス・トゥリンギエンシスアキ(Bacillus thuringiensisaki)の被包化δ−エンドトキシン、核多角体病ウイルスおよびバキッルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)の被包化δ−エンドトキシン、ならびに殺真菌剤のアミスルブロム、アゾキシストロビン、ビテルタノール、ビキサフェン、ボスカリド/ニコビフェン、ブロムコナゾール、カルボキシン、カルプロパミド、キャプタン、カルベンダジム、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ジクロシメット、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、エチリモル、ファモキサドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェリムゾン、フルジオキソニル、フルオピコリド、フルオピラム、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトラニル、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、グアザチン、イマザリル、イプコナゾール、イソプロチオラン、マンコゼブ、メフェノキサム、メプロニル、メタラキシル、メトコナゾール、ヌアリモル、オフレース、オリサストロビン、オキサジキシル、オキシカルボキシン、パクロブトラゾール、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンフルフェン、ペンチオピラド、ペルフラゾエート、フタリド、ピコベンズアミド、ピコキシストロビン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロピコナゾール、プロキナジド、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラオキシストロビン、ピリメタニル、ピロキロン、キントゼン、セダキサン、シルチオファム、シメコナゾール、スピロキサミン、テブコナゾール、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネートメチル、チラム、チアジニル、トルクロホスメチル、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアリモル、トリデモルフ、トリフロキシストロビン、トリフルミゾール、トリホリンおよびトリチコナゾールからなる群より選択される生物学的に活性な薬剤である。
【0210】
注目すべきは、生物有機体以外の(すなわち、例えばウイルス、バクテリアおよび真菌を除く)生物学的に活性な薬剤から選択される構成成分(c)である。
【0211】
本組成物中に構成成分(c)として他の生物学的に活性な薬剤を含むことの代替として、他の生物学的に有効な成分が、繁殖体に別個に適用され得る。
【0212】
本組成物は、任意選択で、(d)約80重量%までの非イオン性EO/POブロックコポリマー以外の1種以上の不活性配合成分をさらに含み得る。本明細書で使用される場合、用語「不活性配合成分」は、目的の害虫を制御するために生物学的活性を提供する化学物質または他の薬剤(例えば、構成成分(c)について記載されたようなもの)以外の、組成物中に含まれる成分をいう。そのような不活性配合成分は、配合助剤としても知られている。存在する場合、構成成分(d)は、典型的に、組成物の少なくとも0.1重量%である。組成物が、種子をペレット成形すること(すなわち、種子にペレットコーティングを施すこと)を目的としている場合以外は、構成成分(d)の量は、典型的に、組成物の約20重量%以下である。
【0213】
構成成分(d)は、構成成分(b)の非イオン性EO/POブロックコポリマー以外の多種多様な不活性配合成分(例えば、接着剤、液体希釈剤、固体希釈剤、界面活性剤(例えば、湿潤剤、分散剤および/または消泡剤特性を有するもの)、不凍剤、防腐剤(例えば、化学安定剤または殺生物剤)、増粘剤および肥料が挙げられるが、これらに限定されない)を含み得る。構成成分(b)の非イオン性EO/POブロックコポリマーは、界面活性剤(例えば、湿潤剤、分散剤)および/または接着剤として作用し得る。実際、非イオン性EO/POブロックコポリマーは、一般的には本明細書で特定されるよりも実質的に低い濃度で配合物中に含まれるにもかかわらず、その湿潤性および分散性でよく知られている。したがって、構成成分(b)は、ある特定のさらなる不活性配合成分を構成成分(d)の成分として含むことの利点を低減または排除し得る。それにもかかわらず、界面活性剤および接着剤などの成分であってもなお、構成成分(d)中のその包含は、望ましくあり得る。
【0214】
本開示および特許請求の範囲の文脈において、用語「接着剤」は、構成成分(a)を繁殖体(例えば、種子)と結合させることができる物質をいう。接着剤としては、固着剤として知られる粘着性を示す物質(例えば、メチルセルロースまたはアラビアゴム)が挙げられる。接着剤には、表面に塗布された場合に耐久性のある均一な薄膜を与える皮膜形成剤として知られる物質も含まれる。接着質は、本組成物中に構成成分(d)の成分としてどんな場合でも含まれ得るが、多くの場合、そのような包含は有利ではない。なぜなら、構成成分(b)の非イオン性EO/POブロックコポリマーが、接着性を有するからである。しかしながら、さらなる接着質を含むことは、構成成分(b)が液体またはペーストである(すなわち、固体ではない)場合、特に構成成分(b)が液体である場合に、有利である可能性が最も高いようである。
【0215】
接着剤は、天然であっても合成であってもよく、コーティングされるべき種子に対して植物毒性作用がない接着性ポリマーを含み得る。接着剤は、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、加水分解ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルエーテル−無水マレイン酸コポリマー、ワックス、ラテックスポリマー、セルロース(エチルセルロースおよびメチルセルロースを含む)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルギナート、デキストリン、マルトデキストリン、多糖類、脂肪、油、タンパク質、カラヤゴム、ジャガーゴム(jaguar gum)、トラガカントゴム、多糖ゴム、粘漿剤、アラビアゴム、セラック、塩化ビニリデンポリマーおよびコポリマー、ダイズタンパク質ベースのポリマーおよびコポリマー、リグノスルホネート、アクリルコポリマー、デンプン、ポリビニルアクリレート、ゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、キトサン、ポリエチレンオキシド、アクリルイミドポリマーおよびコポリマー、ポリヒドロキシエチルアクリレート、メチルアクリルイミドモノマー、アルギネート、エチルセルロース、ポリクロロプレン、ならびにそれらのシロップまたは混合物からなる群より選択され得る。上記で特定されたポリマーとしては、AGRIMER VA 6およびLICOWAX KSTなどの当該技術分野において公知のものが挙げられる。接着剤として注目すべきは、ポリビニルピロリジノン−酢酸ビニルコポリマーおよび水溶性ワックス(例えば、ポリエチレングリコール)である。
【0216】
コーティングされた繁殖体に付着する組成物中の接着剤の総量(すなわち、構成成分(b)と構成成分(d)中の接着剤との合計)は、概して、繁殖体の重量の約0.001〜100%の範囲内にある。大きい種子については、接着剤の総量は典型的に種子重量の約0.05〜5%の範囲内にあり、小さい種子については、この総量は典型的に種子重量の約1〜100%の範囲内にあるが、種子がペレット成形される(すなわち、ペレットコーティングが種子に塗布される)場合は、種子重量の100%より多くなり得る。他の繁殖体については、接着剤の総量は、典型的に、繁殖体重量の0.001〜2%の範囲内にある。
【0217】
任意選択で、本組成物は、約10%(組成物の重量に基づく)までの液体希釈剤を構成成分(d)の成分として含有し得る。本開示および特許請求の範囲の文脈において、用語「液体希釈剤」は、別段の指摘がない限り、水を除外する。本組成物が1種以上の液体希釈剤を含む場合、それらは概して、合計で組成物の少なくとも0.1重量%になる。繁殖体をコーティングする組成物中の成分として、液体希釈剤は、典型的に、比較的不揮発性である(すなわち、約100℃より高い、より典型的には約160℃より高い、好ましくは約200℃より高い、標準沸点を有する)。液体希釈剤の例としては、N−アルキルピロリドン、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、炭酸プロピレン、二塩基性エステル、パラフィン、アルキルナフタレン、オリーブ油、ヒマシ油、アマニ油、キリ油、ゴマ油、トウモロコシ油、ラッカセイ油、綿実油、ダイズ油、ナタネ油、ヤシ油、脂肪酸エステル、ケトン(例えば、イソホロンおよび4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)、およびアルコール(例えば、シクロヘキサノール、デカノール、ベンジルおよびテトラヒドロフルフリルアルコール)が挙げられる。典型的な液体希釈剤は、Marsden,Solvents Guide(溶剤便覧),第2版,Interscience,New York,1950に記載されている。液体希釈剤の存在は繁殖体をコーティングする組成物を軟化させ得るので、本組成物は、典型的に、約5重量%以下の液体希釈剤を含む。
【0218】
任意選択で、本組成物は、約75%(組成物の重量に基づく)までの固体希釈剤を構成成分(d)の成分として含有し得る。本組成物が1種以上の固体希釈剤を含む場合、それらは概して、合計で組成物の少なくとも約0.01重量%、より典型的には少なくとも約0.1重量%になる。本開示および特許請求の範囲の文脈において、固体希釈剤は、他の有用な(例えば、接着剤、界面活性剤)特性ではなくバルクを主として提供する固体物質と見なされる。典型的な固体希釈剤は、Watkinsら,Handbook of Insecticide Dust Diluents and Carriers,第2版,Dorland Books,Caldwell,New Jerseyに記載されている。固体希釈剤としては、例えば、粘土(例えば、ベントナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイトおよびカオリン)、デンプン、糖、シリカ、タルク、珪藻土、尿素、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、および硫酸ナトリウムが挙げられる。高濃度(すなわち、約75%まで)の固体希釈剤が、種子をペレット成形するための本発明の組成物中に典型的に含まれる。種子をペレット成形するためには、固体希釈剤は、好ましくは不溶性であり、例えば、ベントナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイトおよびカオリン(粘土)、シリカ(例えば、粉末シリカ)、ならびに炭酸カルシウム(例えば、粉砕石灰石(ground limestone))である。本組成物が種子のペレット成形において使用するためのものでない場合、固体希釈剤の量は、典型的に、組成物の約10重量%以下である。
【0219】
構成成分(b)の非イオン性EO/POブロックコポリマーは、典型的に、さらなる界面活性剤(例えば、湿潤剤および分散剤)を含む必要性を除去するが、1種以上のそのような界面活性剤が、構成成分(d)の成分として組成物中に含まれ得る。本組成物がさらなる湿潤剤または分散剤を含む場合、それらは典型的に、組成物の少なくとも約0.1重量%の量で存在する。典型的に、本組成物は、約15重量%より多くの、より典型的には約10重量%より多くの、最も典型的には約5重量%より多くのさらなる界面活性剤は含まない。
【0220】
分散剤の例としては、アニオン性界面活性剤(例えば、トリスチリルフェノールエトキシレートのリン酸エステル(例えば、SOPROPHOR 3D33)、アルキルアリールスルホン酸およびその塩(例えば、SUPRAGIL MNS90)、リグニンスルホネート(例えば、リグノスルホン酸アンモニウムまたはリグノスルホン酸ナトリウム)、ポリフェノールスルホン酸塩、ポリアクリル酸、アクリル系グラフトコポリマー(例えば、アクリル酸/メタクリル酸メチル/ポリオキシエチレングラフトコポリマー(例えば、ATLOX 4913)))、およびポリオキシアルキレンを酸官能基と組み合わせた他のポリマー(例えば、ATLOX 4912(ポリオキシエチレンとヒドロキシステアリン酸とのブロックコポリマー))が挙げられる。
【0221】
湿潤剤の例(そのいくつかは分散剤と重複する)としては、アルキル硫酸塩(例えば、SIPON LC 98(ラウリル硫酸ナトリウム))、アルキルエーテル硫酸塩(例えば、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)、アルキルアリールスルホネート(すなわち、1つより多くのアルキル部分で置換されたアリールスルホン酸を含む、アルキルアリールスルホン酸の塩)(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムまたはカルシウム(例えば、RHODACAL DS1)およびアルキルナフタレンスルホネート(例えば、RHODACAL BX−78))、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、およびポリカルボン酸の塩が挙げられる。
【0222】
さらなる界面活性剤としては、例えば、エトキシ化アルコール、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化ソルビタン脂肪酸エステル、エトキシ化ソルビトール脂肪酸エステル、エトキシ化アミン、エトキシ化脂肪酸およびエステル(エトキシ化植物油を含む)、有機シリコーン、N,N−ジアルキルタウレート(taurate)、グリコールエステル、ホルムアルデヒド縮合物、ならびに(非イオン性エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー以外の)ブロックポリマーが挙げられる。
【0223】
構成成分(d)はまた、1種以上の消泡剤も含み得る。消泡剤は、効果的に泡の形成を妨げるか、または、泡が形成したならば、それを低減もしくは除去し得る、界面活性剤である。消泡剤の例としては、シリコーン油、鉱油、ポリジアルキルシロキサン(例えば、ポリジメチルシロキサン)、脂肪酸およびその多価カチオン(例えば、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム)との塩、アルキンジオール(例えば、SURFYNOL 104)、ならびにフルオロ脂肪族エステル、ペルフルオロアルキルホスホン酸、ペルフルオロアルキルホスフィン酸、およびそれらの塩が挙げられる。本組成物が1種以上の消泡剤を含む場合、それらは典型的に、合計で組成物の少なくとも約0.01重量%、かつ約3重量%以下になる。より典型的には、消泡剤は、組成物の約2重量%を超えず、最も典型的には、約1重量%を超えない。
【0224】
McCutcheon’s Emulsifiers and DetergentsおよびMcCutcheon’s Functional Materials,The Manufacturing Confection Publ.Co.,Glen Rock,New Jersey、ならびにSiselyおよびWood,Encyclopedia of Surface Active Agents,Chemical Publ.Co.,Inc.,New York,1964には、界面活性剤および推奨される使用が列挙されている。
【0225】
構成成分(d)は、1種以上の不凍剤を含み得る。不凍剤は、繁殖体上へのコーティング前に水性液体キャリアで希釈される本発明の組成物の凍結を防止する。不凍剤の例としては、液体希釈剤と重複し得るが、グリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、または約200〜約1000ダルトンの範囲内の分子量のポリエチレングリコール)が挙げられる。本発明の組成物のための注目すべき不凍剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−プロパンジオールおよび1,2−プロパンジオールが挙げられる。構成成分(d)が1種以上の不凍剤を含む場合、それらは典型的に、合計で組成物の少なくとも約0.1重量%、かつ約14重量%以下になる。より典型的には、不凍剤は、合計で組成物の総重量の10%より多くならず、最も典型的には、約8%より多くならない。
【0226】
構成成分(d)は、1種以上の増粘剤を含み得る。増粘剤(すなわち、粘度付与剤(thickener))は、本組成物が水性液体キャリアで希釈されたときに形成される連続液状媒体の粘度を上昇させる。粘度を上昇させることにより、固体粒子の(例えば、構成成分(a)の)沈降する傾向が低減される。構成成分(b)も粘度を上昇させるので、1種以上の増粘剤を構成成分(d)中に含むことは一般に必要ではなく、実際、組成物の粘度が既に所望される程度となっている場合は無用であり得る。構成成分(d)中に1種以上の増粘剤を含むことは、組成物が、構成成分(b)に比して多量の水性液体キャリアで希釈される場合に、特に、構成成分(b)が主として比較的低い分子量(すなわち、約3500ダルトン未満)の非イオン性EO/POブロックコポリマーを含むときに、構成成分(a)の粒子の沈降を遅らせるのに有利であり得る。本組成物に有用な増粘剤の例としては、ポリオール(例えば、グリセリン)、多糖類(ヘテロ多糖類(例えば、キサンタンガム)を含む)、および非常に小さい粒径を(例えば、2nm)を有する水和粘土(例えば、水和アルミノケイ酸マグネシウムACTI−GEL 208(Avctive Minerals))が挙げられる。グリセリンは、不凍剤特性と粘度付与剤特性を併せ持つものとして注目すべきである。粘度付与剤およびその用途の幅広い一覧が、MC Publishing Companyにより発刊されたMcCutcheon’s 2005,第2巻:Functional Materialsに見出され得る。構成成分(d)が1種以上の増粘剤を含む場合、それらは典型的に、合計で組成物の少なくとも約0.1重量%、かつ約5重量%以下になる。
【0227】
構成成分(d)は、1種以上の安定剤または殺生物剤から実質的になる防腐剤成分を含み得、この防腐剤成分の量は、典型的に組成物の約1重量%までである。防腐剤成分が存在する場合、それは典型的に、合計で組成物の少なくとも約0.01重量%になる。防腐剤成分は、典型的には組成物の総重量の約1%を上回らず、より典型的には約0.5重量%を上回らず、最も典型的には約0.3重量%を上回らない。
【0228】
安定剤(例えば、酸化防止剤(例えば、ブチルヒドロキシトルエン)またはpH調整剤(例えば、クエン酸または酢酸))は、貯蔵の間の有効成分(すなわち、構成成分(a)および/または構成成分(c))の分解を防止し得る。殺生物剤は、配合組成物内の微生物汚染を防止または低減し得る。特に好適な殺生物剤は、殺菌剤(例えば、LEGEND MK(5−クロロ−2−メチル−3(2H)−イソチアゾロンと2−メチル−3(2H)−イソチアゾロンとの混合物)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、ホルムアルデヒド、安息香酸、または1,2−ベンゾイソチアゾール−3(2H)−オンもしくはその塩(例えば、PROXEL BDまたはPROXEL GXL(Arch)))である。注目すべきは、構成成分(d)が殺生物剤を含む本組成物、特に殺菌剤(例えば、1,2−ベンゾイソチアゾール−3(2H)−オンまたはその塩の1つ)を含む本組成物である。
【0229】
構成成分(d)はまた、1種以上の肥料も含み得る。構成成分(d)に含まれる肥料は、植物栄養素(例えば、窒素、リンおよびカリウム)および/または微量栄養素(例えば、マンガン、鉄、亜鉛およびモリブデン)を供給し得る。構成成分(d)中への包含のために注目すべきは、微量栄養素(例えば、マンガン、鉄、亜鉛およびモリブデン)である。1種以上の肥料が存在する場合、それらは典型的に、合計で組成物の少なくとも約0.1重量%、かつ約20重量%以下になるが、より多くの量も含まれ得る。
【0230】
他の配合成分(例えば、レオロジー調整剤、染料など)が、構成成分(d)として本組成物中に含まれ得る。これらの成分は、当業者に知られているものであり、例えば、MC Publishing Companyにより毎年発刊されるMcCutcheon’s,第2巻:Functional Materialsに記載されているのが見出され得る。
【0231】
本発明の1つの態様は、殺虫有効量の上記の組成物でコーティングされた屈地性繁殖体である。屈地性繁殖体としては、種子が挙げられる。本発明は、実質的に全ての種子(コムギ(トリティクム・アエスティウム(Triticum aestivum L.))、マカロニコムギ(トリティクム・ドゥルム(Triticum durum Desf.))、オオムギ(ホルデウム・ウルガレ(Hordeum vulgare L.))、オートムギ(アウェナ・サティウァ(Avena sativa L.))、ライムギ(セカレ・ケレアレ(Secale cereale L.))、トウモロコシ(ゼア・マユス(Zea mays L.))、モロコシ(ソルグム・ウルガレ(Sorghum vulgare Pers.))、イネ(オリュザ・サティウァ(Oryza sativa L.))、アメリカマコモ(ジザニア・アクアティカ(Zizania aquatica L.))、ワタ(ゴッシピウム・バルバデンセ(Gossypium barbadense L.)およびG.ヒルストゥム(G.hirsutum L.))、アマ(リヌム・ウシタティッシムム(Linum usitatissimum L.))、ヒマワリ(ヘリアントゥス・アンヌウス(Helianthus annuus L.))、ダイズ(グリュキネ・マクス(Glycine max Merr.))、インゲンマメ(パセオルス・ウルガリス(Phaseolus vulgaris L.))、アオイマメ(パセオルス・リメンシス(Phaseolus limensis Macf.))、ソラマメ(ウィキア・ファバ(Vicia faba L.))、エンドウ(ピスム・サティウム(Pisum sativum L.))、ナンキンマメ(アラキス・ヒュポガエア(Arachis hypogaea L.))、ムラサキウマゴヤシ(メディカゴ・サティウァ(Medicago sativa L.))、ビート(ベタ・ウルガリス(Beta vulgaris L.))、チシャ(ラクトゥカ・サティウァ(Lactuca sativa L.))、ナタネ(ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa L.)およびB.ナプス(B.napus L.))、キャベツ、カリフラワーおよびブロッコリーなどのアブラナ科アブラナ属の作物(ブラッシカ・オレラケア(Brassica oleracea L.))、カブ(ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa L.))、カラシナ(オリエンタルマスタード)(ブラッシカ・ユンケア(Brassica juncea Coss.))、クロガラシ(ブラッシカ・ニグラ(Brassica nigra Koch))、トマト(リュコペルシコン・エスクレントゥム(Lycopersicon esculentum Mill.))、ジャガイモ(ソラヌム・トゥベロスム(Solanum tuberosum L.))、トウガラシ(カプシクム・フルテスケンス(Capsicum frutescens L.))、ナス(ソラヌム・メロンゲナ(Solanum melongena L.))、タバコ(ニコチアナ・タバクム(Nicotiana tabacum))、キュウリ(ククミス・サティウス(Cucumis sativus L.))、マスクメロン(ククミス・メロ(Cucumis melo L.))、スイカ(キトルッルス・ウルガリス(Citrullus vulgaris Schrad.))、カボチャ(クルクルビタ・ペポ(Curcurbita pepo L.)、C.モスカタ(C.moschata Duchesne)およびC.マクシマ(C.maxima Duchesne.))、ニンジン(ダウクス・カロタ(Daucus carota L.))、ヒャクニチソウ(ジンニア・エレガンス(Zinnia elegans Jacq.))、コスモス(例えば、コスモス・ビピンナトゥス(Cosmos bipinnatus Cav.))、キク(キク属種(Chrysanthemum spp.))、セイヨウマツムシソウ(スカビオサ・アトロプルプレア(Scabiosa atropurpurea L.))、キンギョウソウ(アンティッリヌム・マユス(Antirrhinum majus L.))、ガーベラ(ゲルベラ・ヤメソニイ(Gerbera jamesonii Bolus))、カスミソウ(ギュプソピラ・パニクラタ(Gypsophila paniculata L.)、G.レペンス(G.repens L.)およびG.エレガンス(G.elegans Bieb.))、イソマツ(例えば、リモニウム・シヌアトゥム(Limonium sinuatum Mill.)、L.シネンセ(L.sinense Kuntze.))、リアトリス(例えば、リアトリス・スピカタ(Liatris spicata Willd.)、L.ピュクノスタキュア(L.pycnostachya Michx.)、L.スカリオサ(L.scariosa Willd.))、リシアンサス(例えば、エウストマ・グランディフロルム(Eustoma grandiflorum (Raf.) Shinn))、ノコギリソウ(例えば、アキッレア・フィリペンドゥリナ(Achillea filipendulina Lam.)、A.ミッレフォリウム(A.millefolium L.))、マリーゴルド(例えば、タゲテス・パトゥラ(Tagetes patula L.)、T.エレクタ(T.erecta L.))、サンシキスミレ(例えば、ウィオラ・コルヌタ(Viola cornuta L.)、V.トリコロル(V.tricolor L.))、ツリフネソウ(例えば、インパティエンス・バルサミナ(Impatiens balsamina L.))、ペチュニア(ツクバネアサガオ属種(Petunia spp.))、フウロソウ(フウロソウ属種(Geranium spp.))およびコリウス(例えば、ソレノステモン・スクテッラリオイデス(Solenostemon scutellarioides (L.) Codd))の種子を含む)に適用可能である。屈地性繁殖体はまた、根茎、塊茎、鱗茎もしくは球茎、またはその生育可能な分割部分も包含する。好適な根茎、塊茎、鱗茎および球茎、またはその分割部分としては、ジャガイモ(ソラヌム・トゥベロスム(Solanum tuberosum L.))、サツマイモ(イポモエア・バタタス(Ipomoea batatas L.))、ヤマイモ(ディオスコレア・カイェネンシス(Dioscorea cayenensis Lam.)およびD.ロトゥンダタ(D.rotundata Poir.))、タマネギ(例えば、アッリウム・ケパ(Allium cepa L.))、チューリップ(チューリップ属種(Tulipa spp.))、グラジオラス(グラジオラス属種(Gladiolus spp.))、ユリ(ユリ属種(Lilium spp.))、スイセン(スイセン属種(Narcissus spp.))、ダリア(例えば、ダーリア・ピンナタ(Dahlia pinnata Cav.))、アイリス(イリス・ゲルマニカ(Iris germanica L.)および他の種)、クロッカス(クロッカス属種(Crocus spp.))、アネモネ(イチリンソウ属種(Anemone spp.))、ヒヤシンス(ヒアシンス属種(Hyacinth spp.))、ムスカリ(ムスカリ属種(Muscari spp.))、フリージア(例えば、フレエシア・レフラクタ(Freesia refracta Klatt.)、F.アルムストロンギイ(F.armstrongii W.Wats))、観賞用ネギ(ネギ属種(Allium spp.))、カタバミ(カタバミ属種(Oxalis spp.))、ツルボ(スキッラ・ペルウィアナ(Scilla peruviana L.)および他の種)、シクラメン(キュクラメン・ペルシクム(Cyclamen persicum Mill.)および他の種)、ユキゲユリ(キオノドクサ・ルキリアエ(Chionodoxa luciliae Boiss.)および他の種)、ストライプドスクィル(プシキニア・スキッロイデス(Puschkinia scilloides Adams))、オランダカイウ(ザンテデスキア・アエチオピカ(Zantedeschia aethiopica Spreng.)、Z.エッリオッティアナ(Z.elliottiana Engler)および他の種)、グロキシニア(シンニギア・スペキオサ(Sinnigia speciosa Benth.& Hook.))および球根ベゴニア(ベゴニア・トゥベリュブリダ(Begonia tuberhybrida Voss.))のものが挙げられる。上記の穀類、野菜、観賞用(花卉を含む)および果実の作物は例示するものであって、決して限定するものと見なされるべきではない。昆虫防除範囲および経済的重要性の理由から、ワタ、トウモロコシ、ダイズ、ナタネおよびイネの種子をコーティングする実施形態、ならびにジャガイモ、サツマイモ、タマネギ、チューリップ、スイセン、クロッカスおよびヒヤシンスの塊茎および鱗茎をコーティングする実施形態が、注目すべきである。同様に注目すべきは、屈地性繁殖体が(例えば、ワタ、トウモロコシ、ダイズ、ナタネまたはイネの)種子である実施形態である。
【0232】
本組成物は、遺伝子操作によって導入された遺伝物質を含有する(すなわち、トランスジェニックの)屈地性繁殖体、または有利な形質を付与する突然変異誘発によって改変された遺伝物質を含有する屈地性繁殖体に、コーティングされ得る。そのような形質の例としては、除草剤に対する耐性、植食性害虫(例えば、昆虫、ダニ、アブラムシ、クモ、線虫、カタツムリ、植物病原性の菌類、バクテリアおよびウイルス)に対する抵抗性、改善された植物成長、不利な生育条件(例えば、高いまたは低い温度、低いまたは高い土壌湿度、および高い塩分濃度)への耐性、増加した開花もしくは結実、より高い収穫収率、より速い成熟、収穫物のより高い品質および/もしくは栄養価、または収穫物の改善された貯蔵もしくは処理特性が挙げられる。トランスジェニック植物は、複数の形質を発現するように改変され得る。遺伝子操作または突然変異誘発によってもたらされた形質を有する植物の例としては、バキッルス・トゥリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)殺虫毒素を発現する種々のトウモロコシ、ワタ、ダイズおよびジャガイモ(例えば、YIELD GARD、KNOCKOUT、STARLINK、BOLLGARD、NuCOTNおよびNEWLEAF)、ならびに除草剤耐性の種々のトウモロコシ、ワタ、ダイズおよびナタネ(例えば、ROUNDUP READY、LIBERTY LINK、IMI、STSおよびCLEARFIELD)、そしてグリホサート除草剤に対する抵抗性をもたらすN−アセチルトランスフェラーゼ(GAT)を発現する作物や、アセトラクテート合成酵素(ALS)を阻害する除草剤に対する耐性を付与するHRA遺伝子を有する作物が挙げられる。本殺虫組成物は、遺伝子操作によって導入された形質または突然変異誘発によって改変された形質と相乗的に相互作用し得、したがって、形質の表現型発現もしくは有効性を向上させ得る、または本組成物の昆虫防除有効性を増加させ得る。とりわけ、本殺虫組成物は、無脊椎害虫に有毒なタンパク質または他の天然産物の表現型発現と相乗的に相互作用して、これらの害虫の相加的防除を上回る防除を提供し得る。
【0233】
屈地性繁殖体への本組成物のコーティングの厚さは、0.001mmの厚さの薄膜から約0.5〜5mmの厚さの層まで様々であり得る。一般的に、種子の重量を25%まで増加させるコーティングは、薄膜コーティングとして定義される。薄膜コーティングされた種子は、コーティングされていない種子の形状および全体寸法を保持する。種子の重量を25%より多く増加させるコーティングは、ペレットコーティングと呼ばれる。典型的に、ペレットコーティングは、種子重量を少なくとも約100%増加させる。ペレットコーティングを種子に塗布するためのプロセスは、ペレット成形と呼ばれる。屈地性繁殖体上のコーティングは、1つより多くの付着層を含み得、そのうち1つが本組成物を含みさえすればよい。一般的に、ペレットは小さい種子にとってより好ましい。なぜなら、殺虫有効量の本組成物を提供するペレットの能力は、種子の表面積によって制限されず、また、小さい種子をペレット成形すれば、種子の移動および播種作業が容易になるからである。大きい種子ならびに鱗茎、塊茎、球茎および根茎ならびにそれらの生育可能な切り取り部分(cutting)は、そのより大きい寸法および表面積のため、一般的にペレット成形されず、代わりに薄膜でコーティングされる。
【0234】
屈地性繁殖体への上記の組成物のコーティングの塗布のために、組成物は、典型的に、約5〜80重量%の上記の(未希釈の)組成物(すなわち、構成成分(a)、(b)ならびに任意選択で(c)および(d)を含む混合物)および約20〜95重量%の揮発性水性液体キャリアからなる液体組成物が得られるように、揮発性水性液体キャリアでまず希釈される。代替的かつより典型的に、最初に1種以上の組成物構成成分が揮発性水性液体キャリアと混合されてから、構成成分(a)、(b)ならびに任意選択で(c)および(d)を約20〜95重量%の揮発性水性液体キャリアと組み合わせて含有する液体組成物が得られるように構成成分が合わされる。揮発性水性液体キャリアの量は、より典型的には液体組成物の少なくとも約25重量%であり、最も典型的には少なくとも約30重量%である。さらに、揮発性水性液体キャリアの量は、より典型的に、液体組成物の約70重量%以下である。
【0235】
本開示および特許請求の範囲の文脈において、語句「揮発性水性液体キャリア」は、少なくとも約50重量%の水、および任意選択で、20℃にて液体でありかつ約100℃以下の標準沸点を有する1種以上の水溶性化合物からなる組成物をいう。この水溶性液体化合物は、コーティングされるべき屈地性繁殖体に対して非植物毒性であるべきである。そのような水溶性液体化合物の例には、アセトン、酢酸メチル、メタノールおよびエタノールがある。しかしながら、ほとんどまたは完全に水からなる揮発性水性液体キャリアが典型的に好ましい。なぜなら、水は、安価であり、非引火性であり、環境に優しく、かつ非植物毒性であるからである。典型的に、揮発性水性液体キャリアは、少なくとも約80重量%、より典型的には少なくとも約90重量%、最も典型的には少なくとも約95重量%の水を含む。一部の実施形態において、揮発性水性液体キャリアは、実質的に水からなる。一部の実施形態において、揮発性液体キャリアは、水である。
【0236】
揮発性水性液体キャリアを含む液体組成物において、揮発性水性液体キャリアは、他の構成成分(例えば、構成成分(a)、(b)ならびに任意選択で(c)および(d))を懸濁または溶解させる連続液相を構成する。液体組成物は、開放型の用語「含む」を用いて定義される殺虫組成物と共に、揮発性水性液体キャリアからなるので、特定されていない液体または固体成分が、殺虫組成物によってこの液体組成物に導入され得ることに留意されたい。さらに、構成成分(b)、(c)および(d)は、連続液相に溶解してその一部となり得る液体成分(例えば、比較的不揮発性の液体希釈剤、不凍剤)を含み得る。典型的に、構成成分(a)の少なくとも一部は、連続液相に懸濁した粒子として存在し、したがって、この液体組成物は、懸濁濃厚組成物と呼ばれ得る。一部の実施形態において、構成成分(a)の少なくとも約90%、または95%もしくは98%が、連続液相に懸濁した粒子として存在する。典型的に、95重量%より多くの粒子は、約10μm未満の粒径を有する。
【0237】
液体組成物中の非イオン性EO/POブロックコポリマー構成成分(すなわち、構成成分(b))の凝集状態は、成分、濃度、温度およびイオン強度のようなパラメータに依存する。液体組成物は、典型的に、体積に比して大きい表面積を有する構成成分(a)の懸濁粒子を含む。非イオン性EO/POブロックコポリマー分子は、一般的に、溶液中に留まるよりもむしろそうした界面に(例えば、単分子層、二分子層またはヘミミセル(hemimicelle)として)吸着され、この界面が飽和した時のみ高濃度の分子が水相中に残る。したがって、構成成分(a)の粒子の存在は、液体組成物が、水への溶解度のみに基づいて予想されるよりも多くの構成成分(b)を、別個の構成成分(b)相を形成することなく収容することを可能にする。液体組成物が、構成成分(b)を構成成分(a)の粒子へのその吸着量および水性キャリア相へのその溶解度の両方以上に含有する場合は、構成成分(b)の一部は、構成成分(b)の物性(例えば、融点)に依存して、固体粒子としてかまたは液滴として、別個の相で存在する。
【0238】
揮発性液体キャリアを含む液体組成物は、多くの場合、構成成分(a)および(b)ならびに任意選択で(c)および(d)を、揮発性水性液体キャリア(例えば、水)と混合することによって、最も好都合に調製される。上述したように、構成成分(b)は、20℃にて少なくとも5%の程度まで水に可溶である。配合物への構成成分(b)の溶解を容易にするために、他の成分との混合前に、構成成分(b)を水性液体キャリアに溶解させる方が好ましい。
【0239】
液体組成物において、構成成分(a)の粒子のメジアン粒径は、良好な懸濁性ならびに高い生物学的利用能および繁殖体コーティング被覆率をもたらすために、好ましくは約10μm未満である。より好ましくは、構成成分(a)のメジアン粒径は、4μm未満または3μmもしくは2μm未満であり、最も好ましくは、約1μm未満である。典型的に、メジアン粒径は、少なくとも約0.1μmであるが、より小さい粒径が適している。
【0240】
ミル粉砕が、構成成分(a)および他の固体構成成分の粒径を減少させるために使用され得る。ミル粉砕方法は周知であり、例えば、ボールミル粉砕、ビーズミル粉砕、サンドミル粉砕、コロイドミル粉砕およびエアミル粉砕が挙げられる。これらは、粒子の懸濁液および分散体を調製するために、典型的に高剪断が関与する、高速ブレンディングと組み合され得る。特に注目すべきは、構成成分(a)の粒径を減少させるためのボールまたはビーズミル粉砕である。他の構成成分(例えば、構成成分(b))は、ミル粉砕のための混合物中に含まれるか、またはミル粉砕された混合物と後で混合され得る。しかしながら、10μmより大きい粒径および低い水溶性を初期に有する固体粒子を含む他の構成成分は、典型的に、ミル粉砕のための混合物中に含まれる。非イオン性EO/POブロックコポリマー構成成分(b)および任意選択の構成成分(d)のさらなる界面活性剤は、構成成分(a)のミル粉砕後に加えられ得るが、典型的に、構成成分(b)の一部および/または任意選択のさらなる界面活性剤の一部は、構成成分(a)をミル粉砕して小さい粒径(すなわち、10μm未満)にするのを容易にするために、混合物中に含まれる。
【0241】
ミル粉砕は、まず有機溶媒に構成成分(a)を溶解させることによって液体組成物を調製するための方法においては、多くの場合、不要である。1つの方法において、構成成分(a)および(b)ならびに任意選択で他の構成成分は、有機溶媒に溶解され、次いで、それに対するよりも構成成分(a)および(b)がはるかに溶解し難い混和性溶媒が構成成分(a)および(b)の溶液に加えられて、沈殿物を形成する。この沈殿物は回収され、繁殖体をコーティングするための揮発性水性液体キャリア(例えば、水)に懸濁される。構成成分(b)の非イオン性EO/POブロックコポリマーが高いポリオキシエチレン含量(例えば、約80%以上)を有し、したがってジエチルエーテルに対する低溶解性をもたらす場合に、N−メチル−2−ピロリドンおよびジエチルエーテルが、それぞれ、溶解し易い方の溶媒および溶解し難い方の溶媒として好適である。
【0242】
関連する方法においては、構成成分(a)および(b)ならびに任意選択で他の構成成分は、構成成分(a)が非常に溶解し易いより低沸点の溶媒および構成成分(a)がより溶解し難いより高沸点の溶媒を含む有機溶媒系(例えば、ジクロロメタンおよびエタノールの2成分溶媒系)に溶解され、次いでその溶媒が、真空下で蒸発される。次いで、その残留物が、繁殖体をコーティングするための揮発性水性液体キャリア(例えば、水)中に懸濁される。
【0243】
別の方法においては、構成成分(a)および構成成分(b)は、水混和性有機溶媒(例えば、N−メチル−2−ピロリドン)に溶解される。次いで、この溶液は、有機溶媒と水との平衡を可能にするが、構成成分(a)および構成成分(b)を通過させないように選択される、密封された透析膜内に入れられる。次いで、この密封された透析膜は、有機溶媒の水との置換を可能にするために水中に入れられる。透析膜に入る水は、構成成分(a)を結晶させ、スラリーを形成させる。結果として生じる水性スラリーが、繁殖体をコーティングするために使用される。
【0244】
揮発性水性液体キャリアを含む液体組成物は、その調製後に、揮発性水性液体キャリアを蒸発させて繁殖体の表面に付着した構成成分(a)、(b)ならびに任意選択で(c)および(d)を含む殺虫組成物のコーティングを残すことが関与する、当該技術分野において知られているいくつかの技術のうちのいずれかによって、繁殖体の表面に塗布され得る。種々の塗布機および方法が、当業者に利用可能である。好適な方法としては、P.Kostersら,Seed Treatment:Progress and Prospects(種子処理:進歩および展望),1994 BCPC Monograph No.57およびこれに列挙されている参考文献に列挙されたものが挙げられる。コーティング方法は、米国特許第5,527,760号明細書および同第6,202,345号明細書にも記載されている。3つの周知の技術としては、ドラムコーター、流動床技術および噴流層の使用が挙げられる。種子は、コーティングに先立ってプレサイジングされ得る。コーティング後、この種子は乾燥され、次いで任意選択で、サイジング機に移動させることによりサイジングされる。こうした機械は、当該技術分野において知られている。
【0245】
1つの方法において、繁殖体は、揮発性水性液体キャリアを含む液体組成物を、直接繁殖体の回転床(tumbling bed)中に吹付け、次いでこの繁殖体を乾燥させることによってコーティングされる。種子をコーティングするための1つの実施形態において、種子およびコーティング材は、従来の種子コーティング装置で混合される。最適な回転速度およびコーティングの塗布速度は、種子によって決まる。大きい楕円形の種子(例えば、ワタの種子)にとって、申し分のない種子コーティング装置は、種子の回転動作を維持して均一な被覆を促進するのに十分な回転速度で回転される持ち上げ羽根を有する回転式槽を含むものである。種子コーティングは、種子の凝集を最小限にするために、乾燥を可能にするのに十分な時間をかけて塗布されるべきである。押込空気または加熱押込空気を使用すれば、塗布速度を上昇させることを可能にし得る。当業者であれば、この処理がバッチ処理であっても連続処理であってもよいことも理解するであろう。その名が暗示するように、連続処理は、製造連の全体を通して連続的に種子が流れることを可能にする。新たな種子が、絶え間ない流れで槽に入って、その槽を出て行くコーティングされた種子と入れ替わる。
【0246】
種子コーティングの1つの実施形態は、種子ペレット成形である。ペレット成形処理は、典型的に種子重量を2〜100倍増加させ、さらに機械播種機における使用のための種子の形状を改善するためにも使用され得る。一般的にペレット成形用組成物は、皮膜形成剤または固着剤に加えて、典型的に不溶性粒状材料(例えば、粘土、粉砕石灰、粉末シリカなど)である、バルクを提供するための固体希釈剤を含有する。コーティングの塗布程度に依存して、ペレット成形は、通常は細長いまたは不規則な形状をした種子に、球形の形状を与え得る。ペレットの製造方法は、Agrow,The Seed Treatment Market,第3章,PJB Publications Ltd.,1994に記載されている。
【0247】
本発明の1つの態様は、屈地性繁殖体およびそれに由来する植物を植食性昆虫害虫から保護するための方法であって、構成成分(a)、(b)ならびに任意選択で(c)および(d)を揮発性水性液体キャリアと一緒に含む殺虫有効量の液体組成物でその繁殖体をコーティングし、次いでこの組成物の揮発性水性液体キャリアを蒸発させることによる方法である。このコーティングプロセスは、繁殖体上に殺虫有効量の殺虫組成物のコーティングを提供することによる繁殖体の処理を構成する。繁殖体上の組成物のコーティングは、繁殖体および/または繁殖体から発育しつつある根への吸収に利用可能な殺虫有効量の構成成分(a)(すなわち、1種または複数種のアントラニルジアミド殺虫剤)を提供する。構成成分(b)の非イオン性EO/POブロックコポリマーは、繁殖体および/または発育しつつある根への構成成分(a)の吸収を顕著に増加させて、木部輸送を通して、コーティングされた繁殖体から発育しつつある茎葉中にさえも殺虫有効濃度の構成成分(a)を提供することが見出された。吸収を十分に増加させれば、下方の茎葉だけでなく中間から上方の茎葉においても構成成分(a)の濃度を殺虫有効性のための最低濃度よりも上に上昇させ、生育期のもっと後まで保護を提供し得る。殺虫有効濃度の構成成分(a)は、繁殖体およびそれに由来する植物を、植食性昆虫害虫によって引き起こされる損傷または被害から、その昆虫害虫を防除することによって保護する。この防除には、昆虫害虫を殺害すること、その成長、発達もしくは繁殖を妨害すること、および/またはその採食を阻害することが含まれ得る。典型的に、防除には、昆虫害虫の採食阻害および殺害が関与する。
【0248】
概して種子およびそれから発育しつつある茎葉を植食性昆虫害虫から保護するために、本組成物は、屈地性繁殖体上に、その繁殖体の重量の約0.001〜50%の範囲の量の構成成分(a)を提供するようにコーティングされる。種子に対しては、より多くの場合、この量は種子重量の約0.01〜50%の範囲内にあり、大きい種子に対しては、最も典型的に、種子重量の約0.01〜10%の範囲内にある。しかしながら、約100%以上までのより多くの量が、特に長期の無脊椎害虫防除保護のために小さい種子をペレット成形するのに有用である。鱗茎、塊茎、球茎および根茎ならびにそれらの生育可能な切り取り部分などの繁殖体に対しては、組成物コーティング中に含まれる構成成分(a)の量は、概して繁殖体重量の約0.001〜5%の範囲であり、より小さい繁殖体に対してより高い割合が使用される。当業者は、所望されるレベルの植食性昆虫害虫防除ならびに種子および植物保護に必要な、本組成物および構成成分(a)の殺虫有効量を容易に決定し得る。
【0249】
本開示において言及される場合、用語「植食性殺虫害虫」は、鱗翅目の幼虫(例えば、ヤガ科に属するヨトウムシ、ネキリムシ、シャクトリムシおよびタバコガ(heliothine)(例えば、フォールアーミーワーム(fall armyworm)(スポドプテラ・フギペルダ(Spodoptera fugiperda J.E.Smith))、シロイチモジヨトウ(スポドプテラ・エクシグア(Spodoptera exigua Huebner))、タマナヤガ(アグロティス・イプシロン(Agrotis ipsilon Hufnagel))、イラクサキンウワバ(トリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni Huebner))、タバコバッドワーム(tobacco budworm)(ヘリオティス・ウィレスケンス(Heliothis virescens Fabricius)));メイガ科の穿孔虫、保護繭を作る幼虫、クモの巣状の巣を作る幼虫、コーンワーム(coneworm)、アオムシおよび葉を食い荒らす幼虫(例えば、アワノメイガ(オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis Huebner))、ネーブルオレンジワーム(navel orangeworm)(アミュエロイス・トランシテッラ(Amyelois transitella Walker))、コーンルートウェブワーム(corn root webworm)(クランブス・カリギノセッルス(Crambus caliginosellus Clemens))、ソッドウェブワーム(sod webworm)(ヘルペトグランマ・リカルシサリス(Herpetogramma licarsisalis Walker)));ハマキガ科に属するハマキムシ、芽を食い荒らす幼虫、シードワーム(seed worm)、およびフルーツワーム(fruit worm)(例えば、コドリンガ(キュディア・ポモネッラ(Cydia pomonella L.(L.はLinnaeusを表す)))、グレープベリーモス(grape berry moth)(エンドピザ・ウィテアナ(Endopiza viteana Clemens))、ナシノヒメシンクイ(グラポリタ・モレスタ(Grapholita molesta Busck)));ならびに多くの他の経済的に重要な鱗翅目類(例えば、コナガ(コナガ科のプルテッラ・クシュロステッラ(Plutella xylostella L.))、ワタアカミムシガの幼虫(キバガ科のペクティノポラ・ゴッシュピエッラ(Pectinophora gossypiella Saunders))、マイマイガ(ドクガ科のリュマントリア・ディスパル(Lymantria dispar L.))));鞘翅目の葉摂食性(foliar feeding)の幼虫および成虫(ヒゲナガゾウムシ科、マメゾウムシ科、およびゾウムシ科のゾウムシ(例えば、ワタミハナゾウムシ(アントノムス・グランディス(Anthonomus grandis Boheman))、イネミズゾウムシ(リッソロプトルス・オリュゾピルス(Lissorhoptrus oryzophilus Kuschel))、ココクゾウムシ(シトピルス・オリュザエ(Sitophilus oryzae L.)));ハムシ科に属するノミハムシ、ウリハムシ、ネクイムシ、ハムシ、ジャガイモハムシ、およびハモグリムシ(例えば、コロラドハムシ(レプティノタルサ・デケンリネアタ(Leptinotarsa decemlineata Say))、ウエスタンコーンルートワーム(western corn rootworm)(ディアブロティカ・ウィルギフェラ・ウィルギフェラ(Diabrotica virgifera virgifera LeConte)));コガネムシ(Scaribaeidae)科のコガネムシおよび他の甲虫(例えば、マメコガネ(ポピッリア・ヤポニカ(Popillia japonica Newman))およびヨーロッパコガネムシ(European chafer)(リゾトログス・マヤリス(Rhizotrogus majalis Razoumowsky)));コメツキムシ科のコメツキムシの幼虫およびキクイムシ科のキクイムシを含む);革翅目の成虫および幼虫(クギヌキハサミムシ科のハサミムシ(例えば、ヨーロッパハサミムシ(フォルフィクラ・アウリクラリア(Forficula auricularia L.))、ブラックイヤウィグ(black earwig)(ケリソケス・モリオ(Chelisoches morio Fabricius)))を含む);半翅目および同翅目の成虫および若虫(例えば、カスミカメムシ科のカスミカメムシ、セミ科のセミ、ヨコバイ科のヨコバイ(例えば、エンポアスカ属種(Empoasca spp.))、ビワハゴロモ科およびウンカ科のプラントホッパー、ツノゼミ科のツノゼミ、キジラミ科のキジラミ、コナジラミ科のコナジラミ、アブラムシ科のアブラムシ、ネアブラムシ科のネアブラムシ、コナカイガラムシ科のコナカイガラムシ、カタカイガラムシ科、マルカイガラムシ科およびワタフキカイガラムシ科のカイガラムシ、グンバイムシ科のグンバイムシ、カメムシ科のカメムシ、ナガカメムシ科のシンチバグ(cinch bug)(例えば、ブリッスス属種(Blissus spp.))および他のナガカメムシ、コガシラアワフキムシ科のアワフキムシ、ヘリカメムシ科のスカッシュバグ(squash bug)、ならびにホシカメムシ科のレッドバグ(red bug)およびアカホシカメムシ);直翅目の成虫および未成熟虫(immature)(バッタ、イナゴおよびコオロギ(例えば、トビバッタ(例えば、メラノプルス・サングイニペス(Melanoplus sanguinipes Fabricius)、M.ディッフェレンティアリス(M.differentialis Thomas))、アメリカイナゴ(American grasshopper)(例えば、スキストケルカ・アメリカナ(Schistocerca americana Drury))、サバクトビバッタ(スキストケルカ・グレガリア(Schistocerca gregaria Forskal))、トノサマバッタ(ロクスタ・ミグラトリア(Locusta migratoria L.))、ケラ(グリュッロタルパ属種(Gryllotalpa spp.)))を含む);双翅目の成虫および未成熟虫(ハモグリムシ、ミジ、フルーツフライ(ミバエ科)、キモグリバエ(例えば、オスキネッラ・フリト(Oscinella frit L.))、土壌のウジ(soil maggot)および他の糸角類を含む);総翅目の成虫および未成熟虫(ネギアザミウマ(トリプス・タバキ(Thrips tabaci Lindeman))および他の葉摂食性アザミウマを含む)を包含する。注目すべきは、繁殖体またはそれに由来する植物を植食性昆虫害虫から保護するための本方法において、その昆虫害虫が、半翅目(特に、コナジラミ科、アブラムシ(Aphidadae)科、ヨコバイ科、ウンカ科)および鱗翅目(特に、キバガ科、ドクガ科、ヤガ科、コナガ科、メイガ科およびハマキガ(Torticidae)科)から選択される分類学上の目に属する方法である。特に注目すべきは、本方法において、昆虫害虫がヤガ科に属する方法である。
【0250】
さらに詳述しなくとも、上記の説明を用いる当業者は、本発明を最大限に利用し得ると考えられる。したがって、以下の実施例は、単に例示するものであって、いかなる点でも決して本開示を限定するものではないと見なされるべきである。
【実施例】
【0251】
表1に、実施例および比較例において使用された非イオン性EO/POブロックコポリマーを記載する。これらのEO/POブロックコポリマーは全て、BASF Corporationの製品である。ポロキサマーについての分子量およびHLB値は、Guoら,Journal of Colloid and Interface Science 2006,298,441−450からのものである。
【0252】
【表1】

【0253】
表2に、実施例および比較例において使用された他の成分を記載する。
【0254】
【表2】

【0255】
PCT特許公開第2006/062978号パンフレットは、3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド(すなわち、化合物1)の調製方法を開示している。この公報の実施例15は、容易に水和する多形結晶形である、177〜181℃で(明らかな分解を伴い)融解する粉末としての化合物1の調製を開示している。実施例15はまた、1−プロパノールから再結晶させて、耐水和性の無水多形結晶形である、217〜219℃で融解する結晶が得られることも開示している。本実施例および比較例において使用された化合物1の試料は、これらの2つの多形結晶形の混合物であると考えられる、約94〜98重量%の化合物1を含有すると分析された。
【0256】
また、PCT国際公開第03/015519号パンフレットは、3−ブロモ−N−[4−クロロ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル]−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド(すなわち、化合物2)の調製方法を開示している。この公報の実施例7は、239〜240℃で融解する粉末としての化合物2の調製を開示している。本実施例および比較例において使用された化合物2の試料は、約96〜97重量%の化合物2を含有すると分析された。
【0257】
本実施例において報告される化合物1または2の重量パーセントは、使用された技術的材料に含まれた化合物1または2の量に関する。技術的材料中の他の成分は、別個に列挙されてはいないが、列挙された組成物構成成分の重量パーセントに加算されると合計約100%という結果をもたらす。
【0258】
種子をコーティングするための一般的手順
流動床系を、以下の実施例に記載された組成物で種子をコーティングするために使用した。水性組成物を吹付ける間、種子を熱空気の垂直流で吹き上がらせた。この熱空気が、種子に塗布された組成物から水担体を蒸発させた。コーティング系に導入される組成物の量は、有効成分(例えば、化合物1または化合物2)の示された目標塗布量を種子に送達できるように、塗布機から出て失われた、または種子以外の領域をコーティングして失われた材料を補うように調整した。
【0259】
葉中のアントラニルジアミド濃度をアッセイするための一般的手順
植物葉は、Geno/Grinder 2000ビーズビーターホモジナイザー(SPEX CertiPrep,Metuchen,NJ,USA)を用いて細断し、次いでアセトニトリル(約5mL/g葉組織)を加えた。この混合物を、Geno/Grinderホモジナイザーを用いて1分間さらに振盪し、次いで遠心分離した。アセトニトリル抽出物の上清を、Waters(Milford,MA USA)のAlliance HT2795クロマトグラフおよびZorbax SB C18(2.1×50mm、5μm)カラムを用い、0.1%(体積/体積)のギ酸を含有する水とアセトニトリルとの混合物で溶離し、Waters Quattro Micro API質量分析器によりエレクトロスプレーイオン化(ESI+)を用いて検出する、タンデム質量分析検出を伴う高速液体クロマトグラフィ(HPLC/MS/MS)により分析した。化合物1および化合物2の標準液を、アセトニトリルまたはテトラヒドロフラン中の化合物1または化合物2の測定量の原液を、処理していない種子から生育させた植物からの葉のアセトニトリル抽出物に加えることにより調製した。
【0260】
トウモロコシ葉上のスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)の第2齢幼虫が関与する実験室試験において、葉組織1g当たり0.033μgの濃度の化合物2は、72時間以内に50%の死亡率をもたらし、組織1g当たり0.037μgの濃度が、72時間以内に100%の死亡率を達成するのに必要とされた。様々な濃度の化合物1または化合物2で処理したダイズ葉上のスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)の第2齢幼虫が関与するさらなる実験室試験において、96時間以内に50%の死亡率を達成するのに必要とされる化合物1の濃度は、化合物2の濃度よりも約4〜5倍高いことが分かった。
【0261】
実施例1〜6および比較例A
化合物1およびPLURONIC非イオン性EO/POブロックコポリマーを含む水性組成物を、表3に列挙した相対量の成分から調製した。各実施例組成物について、PLURONIC化合物を水に溶かし、この水溶液を他の成分に加え、次いで、結果として生じた混合物をミル粉砕した。実施例1〜6の組成物についてのメジアン粒径を、Malvern Mastersizer測定装置を用いて測定した。
【0262】
【表3】

【0263】
実施例1〜6および比較例Aの組成物を、(1A)殺真菌剤製品のMAXIM 4FS(40.3%フルジオキソニル)とAPRON XL(33.3%メフェノキサム)との重量で1:3の混合物、および(2)着色剤Acid Blue Dyeと混合し、次いで結果として生じた組成物を、種子100g(100gは、実施例1、5および6については約23,400個の種子に相当し、実施例2〜4および比較例Aについては25,640個の種子に相当する)当たり0.6gの化合物1、0.067mLの殺真菌剤混合物(1A)および0.033gの着色剤(2)の塗布量でカノーラ種子をコーティングするために使用した。(「カノーラ」は、食用油を生成するアブラナ種ブラッシカ・ナプス(Brassica napus.L)の一栽培品種である。)
【0264】
次いで、そのコーティングされたカノーラ種子を、種子から発育しつつある葉に化合物1を提供する能力について評価した。各処理には、4重反復を行うために、4つのポットが関与した。4個のコーティングされたカノーラ種子を、各ポット中の滅菌Matapeake砂混合土中に播種し、次いで、生育チャンバ(25℃、明18時間、暗6時間)内で18〜20日間生育させた。各ポット中3つの植物を、サンプリングのために選択した。この3つの植物のそれぞれから、第二葉を茎のところで切り取った。各ポットから採集した3枚の葉全てを、1つのバイアルに入れ、次いで、葉中のアントラニルジアミド濃度をアッセイするための上記の一般的手順に従って分析した。4つのポットのそれぞれにおける葉(合計12枚の葉)から測定された濃度を平均して、表4に報告される値を得た。
【0265】
【表4】

【0266】
比較例Aについての結果は、1:16.6の比の構成成分(b)と構成成分(a)が、第二葉中の化合物1の最低濃度をもたらしたことを示している。
【0267】
ケージに入れた昆虫に対する調査を、実施例1および2に従ってコーティングされたカノーラ種子を用いて行った。幅2cm、深さ4cmの、市販のポッティングミックス(potting mix)(カナダミズゴケピートモス、粗いグレードのパーライト、セッコウ、ドロマイト質石灰、および長期効果持続性の湿潤剤を含む、LA 4 Sunshine Mix(登録商標)(SunGro Horticulture,Vancouver,Canada))を充填したポットに、種子を個別に(すなわち、各ポットに1個の種子を)播種した。7日後に植物が子葉段階に達すると、特定の処理剤(すなわち、実施例1または実施例2)でコーティングされた種子からポットで育てた16個の植物のそれぞれに、2匹の成虫ノミハムシ(ピュッロトレタ・クルキフェラエ(Phyllotreta cruciferae Goeze))を寄生させ、一緒にケージに入れた。したがって、このケージには、合計32匹の甲虫が入っていた。植物を甲虫と共にケージに入れてから4日後、死んだ甲虫の数を記録し、パーセント死亡率を計算した。実施例1および2の組成物でコーティングされたカノーラ種子から生育させた植物と共に入れた甲虫の死亡率は、コントロール群の死亡率について調整するAbbottの式(W.S.Abbott,J.Econ.Entomol.1925,18,265−267)を用いて補正されて、それぞれ20%および62%であった。
【0268】
実施例7〜12
実施例7〜12は、化合物1および非イオン性EO/POブロックコポリマーを含む組成物を調製するためのさらなる方法を例示するものである。実施例7〜9において使用された化合物1は、微粉の形態のものであった。実施例7〜12に記載された組成物を、(1A)殺真菌剤製品のMAXIM 4FS(40.3%フルジオキソニル)とAPRON XL(33.3%メフェノキサム)との重量で1:3の混合物、および(2)着色剤Acid Blue Dyeと混合し、次いで結果として生じた組成物を、種子100g(100gは約23,400個の種子に相当)当たり0.6gの化合物1、0.067mLの殺真菌剤混合物(1A)および0.033gの着色剤(2)の塗布量でカノーラ種子をコーティングするために使用した。コーティングした種子を播種し、生育チャンバ内で生育させ、第二葉を、実施例1〜6について記載した通りに分析した。
【0269】
実施例7
化合物1(2g)を、水(14g)に溶解させたPLURONIC F108(2g)の溶液に加えた。この混合物を、250分間超音波浴に入れ、次いで16日間攪拌し、最後に14日間放置した。結果として生じた組成物を、殺真菌剤混合物(1A)および着色剤(2)と混合し、カノーラ種子をコーティングするために使用し、これを播種し、第二葉を上記の通りに分析した。分析により、カノーラ葉1g当たり0.24μgの化合物1の濃度が示された。
【0270】
実施例8
PLURONIC F108(10.0g)を、水(80g)に溶解させた。この溶液の一部(12.0g)を、化合物1(5.0g)と合わせ、したがって、約1:3.75の重量比のPLURONIC F108と化合物1を得た。この混合物を18日間攪拌し、次いで4日間放置した。結果として生じた組成物を、殺真菌剤混合物(1A)および着色剤(2)と混合し、カノーラ種子をコーティングするために使用し、これを播種し、第二葉を上記の通りに分析した。分析により、カノーラ葉1g当たり0.12μgの化合物1の濃度が示された。
【0271】
実施例9
実施例8のPLURONIC F108水溶液の一部(1.91g)を、化合物1(0.702g)と混合し、したがって、約1:3.3の重量比のPLURONIC F108と化合物1を得た。この組成物を約1分間だけ混合してから、殺真菌剤混合物(1A)および着色剤(2)とさらに混合し、カノーラ種子をコーティングするために使用し、これを播種し、第二葉を上記の通りに分析した。分析により、カノーラ葉1g当たり0.12μgの化合物1の濃度が示された。
【0272】
実施例10
化合物1(2.8g)およびPLURONIC P85(0.90g)を、30重量%のエタノールおよび70重量%のジクロロメタンからなる溶液70mLに溶解させた。溶媒を、ロータリーエバポレーションにより除去した。その残留物を水と混合し、次いで殺真菌剤混合物(1A)および着色剤(2)と混合し、カノーラ種子をコーティングするために使用し、これを播種し、第二葉を上記の通りに分析した。分析により、カノーラ葉1g当たり0.12μgの化合物1の濃度が示された。
【0273】
実施例11
化合物1(2g)およびPLURONIC F68(2g)を、N−メチル−2−ピロリドン(10mL)に溶解させた。この溶液をジエチルエーテル(200mL)に加えると、固体沈殿物の形成をもたらした。この固体を回収し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。この固体を水中に懸濁させ、この懸濁液を殺真菌剤混合物(1A)および着色剤(2)と混合し、カノーラ種子をコーティングするために使用し、これを播種し、第二葉を上記の通りに分析した。分析により、カノーラ葉1g当たり0.12μgの化合物1の濃度が示された。
【0274】
実施例12
化合物1(3.00g)およびPLURONIC P85(3.00g)を、N−メチル−2−ピロリドン(15mL)に溶解させた。この溶液を、セルロース系透析チューブ(分子量カットオフ約1000ダルトン、長さ14cm)に移した。このチューブの末端を、透析のための内容物を保持するようにクランプで締めた。このチューブを、脱イオン水(約3.8L)に浸漬させ、3日の間に3回交換した。結果として生じた水性スラリーを、殺真菌剤混合物(1A)および着色剤(2)と混合し、カノーラ種子をコーティングするために使用し、これを播種し、第二葉を上記の通りに分析した。分析により、カノーラ葉1g当たり0.28μgの化合物1の濃度が示された。
【0275】
実施例13
実施例1の組成物を、(1B)殺真菌剤製品のMAXIM 4FSとAPRON XLとの重量で1.2:3の混合物、および(2)着色剤Acid Blue Dyeと混合し、次いで結果として生じた組成物を、種子100g(100gは約442個の種子に相当)当たり0.11gの化合物1、0.02mLの殺真菌剤混合物(1B)および0.05gの着色剤(2)の塗布量でトウモロコシ種子をコーティングするために使用した。この処理剤は、化合物1およびPLURONIC F68のそれぞれを、種子1個当たり平均約0.25mg提供した。
【0276】
次いで、そのコーティングされたトウモロコシ種子を、種子から発育しつつある葉に化合物1を提供する能力について評価した。各処理には、反復を行うために、少なくとも5つのポットが関与した。4個のコーティングされたトウモロコシ種子を、各ポット中の滅菌Matapeake砂混合土中に播種し、次いで、生育チャンバ(25℃、明16時間、暗8時間)内で13〜14日間生育させた。各ポット中3つの植物を、サンプリングのために選択した。この3つの植物のそれぞれから、第三葉を稈のところで切り取った。各ポットから採集した3枚の葉全てを、1つのバイアルに入れ、次いで、葉中のアントラニルジアミド濃度をアッセイするための上記の一般的手順に従って分析した。反復ポットのそれぞれにおける葉(合計少なくとも15枚の葉)から測定された濃度を平均して、トウモロコシ葉1g当たり0.7μgの化合物1という値を得た。
【0277】
実施例14
実施例3の組成物を、殺真菌剤混合物(1B)および着色剤(2)と混合し、トウモロコシ種子をコーティングするために使用し、これを播種し、第三葉を、実施例13に記載した通りに分析した。この処理剤は、種子1個当たり平均約0.25mgの化合物1および0.075mgのPLURONIC F98を提供した。第三葉の分析により、トウモロコシ葉1g当たり1.0μgの化合物1の濃度が示された。
【0278】
実施例15
10重量%のPLURONIC F108、33.6重量%の化合物1、48.8重量%の水、0.5重量%のACTI−GEL 208、0.2重量%のRHODOPOL 23、0.3重量%のDOW 2−3101、0.05重量%のLEGEND MK、1.5重量%のプロピレングリコール、および3重量%のAGNIQUE GLY 96を含有する組成物を、実施例1〜6の方法に従って調製した。メジアン粒径は、0.56μmと測定された。この組成物を、殺真菌剤混合物(1B)および着色剤(2)と混合し、トウモロコシ種子をコーティングするために使用し、これを播種し、第三葉を、実施例13に記載した通りに分析した。この処理剤は、種子1個当たり平均約0.25mgの化合物1および0.074mgのPLURONIC F108を提供した。第三葉の分析により、トウモロコシ葉1g当たり1.0μgの化合物1の濃度が示された。
【0279】
実施例16〜20
化合物2およびPLURONIC非イオン性EO/POブロックコポリマーを含む水性組成物を、表3に列挙した相対量の成分から調製した。各実施例組成物について、PLURONIC化合物を水に溶かし、この水溶液を他の成分に加え、次いで、結果として生じた混合物をミル粉砕した。実施例18および19の組成物についてのメジアン粒径を、Malvern Mastersizer測定装置を用いて測定した。
【0280】
【表5】

【0281】
実施例16〜20の組成物を、(1B)殺真菌剤製品のMAXIM F4SとAPRON XLとの1.2:3の重量の混合物、および(2)着色剤Acid Blue Dyeと混合し、次いで結果として生じた組成物を、種子100g(100gは約442個の種子に相当)当たり0.11gの化合物2、0.02mLの殺真菌剤混合物(1B)および0.05gの着色剤(2)の塗布量でトウモロコシ種子をコーティングするために使用した。この処理剤は、種子1個当たり平均約0.25mgの化合物2を提供した。コーティングされたトウモロコシ種子を、実施例13について記載した通りに播種し、生育チャンバ内で生育させた。播種から13〜14日後、第三葉を3つのトウモロコシ植物の稈から切り取り、分析のために同じバイアルに合わせた。
【0282】
同様に、実施例18および19の組成物を、殺真菌剤混合物(1B)および着色剤(2)と混合し、次いで結果として生じた組成物を、種子100g当たり0.22gの化合物2、0.027mLの殺真菌剤混合物(1B)および0.033gの着色剤(2)の塗布量でトウモロコシ種子をコーティングするために使用した。この処理剤は、種子1個当たり平均約0.50mgの化合物2を提供した。コーティングされたトウモロコシ種子を、屋外の圃場において条幅76cm、種子間隔20cmで播種した。発芽以前に用いる除草剤を、土壌への播種の直後に施用した。播種から13〜14日後、第三葉を3つのトウモロコシ植物の稈から切り取り、分析のために同じバイアルに合わせた。圃場試験では、3つの植物からの第三葉からなる各試験単位を、少なくとも5回反復した(すなわち、少なくとも15枚の第三葉を分析した)。
【0283】
生育チャンバおよび圃場試験のトウモロコシ植物からの第三葉を、上記の方法を用いて分析した。測定された濃度を、表6に列挙する。
【0284】
【表6】

【0285】
実施例21〜23ならびに比較例AおよびB
化合物2およびPLURONIC非イオン性EO/POブロックコポリマーを含む水性組成物を、まずPLURONIC(25g)を水(75g)と混合し、次いでその水性PLURONIC混合物の一部(20g)を粉末の形態の化合物2(5g)と混合することによって調製した。実施例21、22および23の組成物におけるメジアン粒径は、それぞれ0.84、0.86および0.80μmと測定された。実施例21〜23ならびに比較例AおよびBの組成物を、(1B)殺真菌剤製品のMAXIM F4SとAPRON XLとの1.2:3の重量の混合物および(2)着色剤のAcid Blue Dyeと混合し、次いで結果として生じた組成物を、種子100g(100gは約442個の種子に相当)当たり0.11gの化合物2、0.02mLの殺真菌剤混合物(1B)および0.05gの着色剤(2)の塗布量でトウモロコシ種子をコーティングするために使用した。この処理剤は、種子1個当たり平均約0.25mgの化合物2を提供した。コーティングされたトウモロコシ種子を、実施例13について記載した通りに、各ポットに4個の種子を含有する少なくとも5つのポットに播種し、生育チャンバ内で生育させた。播種から13〜14日後、各ポットから、第三葉を3つのトウモロコシ植物の稈から切り取り、分析のために同じバイアルに合わせた。
【0286】
同様に、実施例21〜23の組成物を、殺真菌剤混合物(1B)および着色剤(2)と混合し、次いで結果として生じた組成物を、種子100g当たり0.22gの化合物2、0.027mLの殺真菌剤混合物(1B)および0.033gの着色剤(2)の塗布量でトウモロコシ種子をコーティングするために使用した。この処理剤は、種子1個当たり平均約0.50mgの化合物2を提供した。圃場試験用にコーティングされたトウモロコシ種子は湿っていたため、粉末マイカ(Kwizda Agroを介して入手、種子100g当たり約0.19g)を保護膜として塗布した。このコーティングされたトウモロコシ種子を、屋外の圃場において条幅76cm、種子間隔20cmで播種した。発芽以前に用いる除草剤を、土壌への播種の直後に施用した。播種から13〜14日後、第三葉を3つのトウモロコシ植物の稈から切り取り、分析のために同じバイアルに合わせた。圃場試験では、3つの植物からの第三葉からなる各試験単位を、少なくとも5回反復した。
【0287】
生育チャンバおよび圃場試験のトウモロコシ植物からの第三葉を、上記の方法を用いて分析した。測定された濃度を、表7に列挙する。
【0288】
【表7】

【0289】
比較例BおよびCについての結果は、(本発明に要求される20℃にて少なくとも約5%の水溶性と比べて)水に不溶性である(本発明に要求される少なくとも約5と比べて)1のHLB値を有する非イオン性EO/POブロックコポリマーの代用が、トウモロコシ植物の第三葉中の化合物2の濃度の低下をもたらしたことを示している。
【0290】
播種から28日後、実施例22および23に従ってコーティングされたトウモロコシ種子から圃場で生育させた試験植物の第六葉を、フォールアーミーワーム(スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda J.E.Smith))を用いてのバイオアッセイのために切り取った。各処理剤(すなわち、実施例22および23)について、切り取った第六葉から12試験片(長さ3.8cm)を切り分け、各試験片を1匹の第2齢幼虫と共に個別に容器に入れ、次いでこれを、生育チャンバ(25℃、明16時間、暗8時間)内に置いた。幼虫死亡率を、4日後に記録した。アントラニルジアミド殺虫剤で処理していない種子から生育させた葉試験片と共に入れた幼虫のコントロール群についての4%と比較して、実施例22および23の組成物でコーティングされたトウモロコシ種子から生育させた葉試験片と共に入れた幼虫の死亡率は、それぞれ50%および58%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺虫組成物であって、前記組成物の総質量に基づき、
(a)約9〜約91質量%の1種またはそれ以上のアントラニルジアミド殺虫剤と、
(b)20℃にて少なくとも約5質量%の水溶性、少なくとも約5の親水親油バランス値、および約1500〜約20000ダルトンの範囲の平均分子量を有する約9〜約91質量%の非イオン性エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー構成成分と
を含み、ここで、構成成分(b)と構成成分(a)の質量比は約1:10〜約10:1である、組成物。
【請求項2】
構成成分(a)が、式1:
【化1】

のアントラニルジアミド、そのN−オキシドおよび塩から選択される少なくとも1種の化合物を含む組成物であって、式中、
Xは、N、CF、CCl、CBrまたはCIであり;
は、CH、Cl、BrまたはFであり;
は、H、F、Cl、Brまたは−CNであり;
は、F、Cl、Br、C〜CハロアルキルまたはC〜Cハロアルコキシであり;
4aは、H、C〜Cアルキル、シクロプロピルメチルまたは1−シクロプロピルエチルであり;
4bは、HまたはCHであり;
は、H、F、ClまたはBrであり;そして
は、H、F、ClまたはBrである、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
構成成分(a)が、XがNであり;RがCHであり;RがClまたは−CNであり;RがBrであり;R4aがCHであり;R4bがHであり;RがClであり;そしてRがHである、式1の化合物およびその塩から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
構成成分(a)が、RがClである前記式1の化合物である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
構成成分(a)が、Rが−CNである前記式1の化合物である、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
構成成分(b)が、前記組成物の少なくとも約15質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記構成成分(b)と構成成分(a)の質量比が、少なくとも約1:5である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
構成成分(b)が、ポロキサマーおよびポロキサミンから選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
構成成分(b)が、ポロキサマーから選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1種の殺真菌剤またはアントラニルジアミド殺虫剤以外の殺虫剤をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
殺虫有効量の請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物でコーティングされた、屈地性繁殖体。
【請求項12】
種子である、請求項11に記載の屈地性繁殖体。
【請求項13】
前記種子が、ワタ、トウモロコシ、ダイズ、ナタネまたはイネの種子である、請求項12に記載の屈地性繁殖体。
【請求項14】
約5〜80質量%の請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物および約20〜95質量%の揮発性水性液体キャリアからなる、液体組成物。
【請求項15】
屈地性繁殖体およびそれに由来する植物を植食性昆虫害虫から保護するための方法であって、殺虫有効量の請求項14に記載の液体組成物で前記繁殖体をコーティングする工程と、次いで前記組成物の前記揮発性水性液体キャリアを蒸発させる工程とを包含する、方法。
【請求項16】
前記害虫が、半翅目および鱗翅目から選択される分類学上の目に属する、請求項15に記載の方法。

【公表番号】特表2013−503902(P2013−503902A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528085(P2012−528085)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/047802
【国際公開番号】WO2011/028996
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】