説明

繊維を空気により敷き詰めるための方法および繊維分配装置

繊維分配装置は、不織ウェブを製造するためのプラントにおいて、継ぎ目なしの空気透過性形成ワイヤ(9)上に繊維(4;6)を空気により敷き詰めるために使用される。繊維分配装置は、多孔ボトム(7)および回転可能なウィング(15)の列(14)有する形成ヘッド(2)を備え、この回転可能なウィングの列は、製造の間に、供給される繊維(4;6)を空気流内のウィング(15)の列(14)に沿って掃引するためのボトム(7)の上に一定の距離に取り付けられ、その後、これらは、形成ワイヤ(2)の上側部分(17)の上の層(16)内に堆積するために、多孔ボトム(7)の開口(8)を通して形成ヘッド(2)を連続して設置される。本発明に従う方法および繊維分配装置によって、ニットの形態の繊維の損失を最小にし、そしてまた同時に、非常に高い製造速度で、不織ウェブを製造することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織ウェブを生成するためのプラントにおいて、継ぎ目なしの空気透過性形成ワイヤの上で、繊維を空気により敷き詰めるための方法および繊維分配装置に関し、この不織ウェブは、例えば、以下のような用途のためのものである:
−女性用衛生物品のための吸収コア材料
−失禁症用の物品
−おむつ
−卓上ナプキン
−ベッド保護シートのような病院製品
−ティッシュ、および
−タオル。
【背景技術】
【0002】
この性質の製品に通常使用されるフラフは、比較的短いセルロース繊維のフラフ、比較的長い合成繊維のフラフ、またはこのような繊維のブレンドのフラフである。例えば、SAP(Super Absorbent Powder)様の他の材料が、フラフ内で混合され得る。
【0003】
繊維分配装置は、形成ワイヤの上に置かれた形成ヘッドを備え、多孔ボトムおよび上記ボトムの上に一定の距離で取り付けられた少なくとも1列の回転可能なウィングを有する。
【0004】
形成ヘッドに供給される繊維は、製造の間に、ボトムの全体に亘って均一に分配されるように、空気流の中で、ウィングの列により掃引(sweep)される。形成ワイヤの下に置かれた、吸引凝集物は同時に、繊維分配装置の多孔ボトム内の開口部を通り、形成ワイヤを通る第2の空気流を生成し、これにより、空気流に同調する繊維が、形成ワイヤの上側部分の層に連続的に堆積される。
【0005】
このような繊維分配装置は、本願において参考として含まれる、本出願人らの米国特許第5,527,171号から公知である。
【0006】
しかし、比較的長い合成繊維は、特に、繊維分配装置内のウィングの列により、空気流において、掃引される間に、他の類似のもしくは異なる型の繊維とニットを形成する傾向がある。
【0007】
ニットは、繊維の小さな絡まった束であり、これは、例えば、ハンマーミルに再循環される場合でさえ、かなり硬く、そして開くことが困難であり得る。このニットは、不織ウェブの容積にも品質にも強度にも寄与しない。ウェブの製造の間の、ニットの生成は、それ故、可能な限り低いレベルに維持されるべきである。
【0008】
しかし、実際には、供給される合成繊維の約25%までが、役に立たないニットまで減少され得る。このようなニットの損失は、良好な繊維の同じ品質により置き換えられる必要がある。合成繊維は特にコストが高いので、完成された繊維製品はまたコストが高い。
【0009】
この問題に対する解決策を見出すために行なわれた以前の実験は、完成された不織ウェブ(ニットまで減少されている)の単位面積あたりの繊維の含量が、空気流の速度の関数として増え、この空気流において、繊維は、ウィングの列によって掃引されることを示した。
【0010】
この実験はまた、繊維分配装置の能力、これにより、不織ウェブを製造するためのプラント全体の能力がまた、上記速度の関数として増えることを明らかにした。
【0011】
従って、このようなプラントにおける財政投資は非常に高額なので、プラントは、可能な限り高い速度のウィングの列に沿った空気流により操作されるべきである。この速度はまた、一方で、完成された不織ウェブ(ニットまで減少されている)の単位面積あたりの繊維の含量を維持するために、可能な限り低いレベルまで非常に遅いべきである。
【0012】
従って、実際には、プラントが、ウィングの列に沿った比較的低速の空気流で操作されているという妥協案に達する必要があり、従って、プラントの能力は、完全に利用されるには程遠い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
公知の技術の上記の欠点を改善することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の局面において、これまでに公知のものよりも高い製造能力を有する、序文において指定された種類の繊維分配装置が提供される。
【0015】
本発明の第2の局面において、操作の間にこれまでに公知のものよりも少ないニットを生成する、序文において指定された種類の繊維分配装置が提供される。
【0016】
本発明の第3の局面において、操作の間にこれまでに公知のものよりも少ないニットを生成し、そしてこれまでに公知のものよりも製造速度が速い、序文において指定された種類の繊維分配装置が提供される。
【0017】
本発明の第4の局面において、操作の間に、最小のニットが生成される様式のプロセスを調節するように配置された、序文において指定された種類の繊維分配装置が提供される。
【0018】
本発明の第5の局面において、これまでに公知のものよりも高い繊維分配装置の製造能力を得ることが可能な、序文において指定された種類の繊維分配装置が提供される。
【0019】
本発明の第6の局面において、これまでに公知のものよりも少ないニットが生成されるように、繊維分配装置を操作することが可能な、序文において指定された種類の繊維分配装置が提供される。
【0020】
本発明の第7の局面において、これまでに公知のものよりも少ないニットが、これまでに公知のものよりも速い製造速度で生成される、序文において指定された種類の繊維分配装置が提供される。
【0021】
本発明の第8の局面において、プロセスが、最小のニットが生成される様式で調節され得る、序文において指定された種類の繊維分配装置が提供される。
【0022】
本発明によれば、この繊維分配装置は、最適な速度周辺の速度の間隔に、ウィングの回転速度を調節するために配置され、繊維がニットを形成する傾向が、ウィングの回転速度を増加するにつれ、より少ないものからより高いものへと変化する。
【0023】
この速度の間隔は、当業者が好ましい結果をもたらし得ると従来考えていたものよりもかなり高い。なぜならば、ニットの形成に起因する繊維の損失の問題を解決するために実施された実験は、ウィングの回転速度が増加するときに、繊維の損失が増加することを示したからである。
【0024】
上記最適な速度においては、同じ時間での製造速度がまた増加し、これにより、この繊維分配装置の能力、そしてそれゆえ、プラント全体の能力が、これまでに公知のものよりも良好に、有利に利用される。
【0025】
ウィングの上記最適な回転速度は、繊維構造および繊維組成の一般的な状態、そしてまた、繊維分配装置の製造パラメータの一般的な状態に依存して、実際に変化し得る。
【0026】
この繊維分配装置はそれゆえ、ウィングの回転速度を、複数の速度を含み得る回転速度の間隔に調節するように配置され得、それゆえ、特定の条件が完全に最適ではない。
【0027】
この間隔は、平均回転速度の周辺であり得、この調節は、繊維の組成および実際の繊維分配装置の配置のみに従って実施され得る。このことは、最適な速度が、上に説明されるように変化し得るので、ウィングの回転速度が、全ての時点で最適である必要はないことを意味する。
【0028】
ウィングの回転速度は、本発明に従う別の実施形態においては、速度ごとに連続して調節することによって、全ての時点で最適であり得、この場合、所定の瞬間で最適である。これにより、ニットの形成に起因する繊維の損失が可能な限り低いという状態が有利に得られる。
【0029】
この実施形態は、形成ワイヤの上の繊維層の、または得られる不織ウェブの単位面積あたりのニットの量を検出する工程;検出結果を表す信号を入力としてコンピュータに送信する工程;この入力を使用して、コンピュータのプログラムにより、所定の瞬間のニットの数が小さいかまたは最小になる最適回転速度を表す値を計算する工程;および、この値を表す信号を出力としてコンピュータから送信して、ウィングに、上記値で表される回転速度で回転するように命令する工程を包含する。
【0030】
本発明に従う繊維分配装置は、この方法で、自己制御され、それゆえ、操作の間に、繊維の損失を最小にし、同時に、非常に高い製造速度で、不織ウェブを自動的に製造する。
【0031】
不織ウェブを形成するために使用される物質の量を減少することによってコストを抑えるためには、ニットの形成に起因する繊維の損失が低いことが重要である。この損失は、ウィングの最適な回転速度においては、もちろん最低である。
【0032】
しかし、ウィングの最適な回転速度での能力よりも高い能力で、繊維分配装置を操作することから得られる利益は、ニットの形成における繊維の損失に起因するコストとほぼ同じであり、上記利益は、完成されたウェブの単位面積あたりのニットの最小含量に代わり、プロセスを制御するために使用され得る。
【0033】
本発明は、以下にさらに詳細に説明され、以下では、さらなる有利な特性およびほんの例示的な実施形態が、図面を参照して記載される。
【0034】
以下の詳細な説明は、繊維が比較的短いセルロース繊維および比較的長い合成繊維のブレンドから構成されるとの仮定に基づいている。
【0035】
繊維分配装置1は、セルロース繊維4のための入口3および合成繊維6のための別の入口5を有する形成ヘッド2を備える。これらの入口3、5は、それぞれの繊維4、6が、矢印が示す方向の空気流に形成ヘッドを入れることを許容する。
【0036】
形成ヘッドは、開口8を備える多孔ボトム7を有する。操作の間、ボトムの下には、矢印により示される方向に、ロール10の上に継ぎ目なしの空気透過性形成ワイヤ9が配置される。上記形成ワイヤの一部のみが図1および2に示される。
【0037】
形成ワイヤの下には、吸引ボックス11が配置される。退避ポンプ12は、空気路13を介して吸引ボックス内に引圧を生じるように働く。
【0038】
この例においては、多孔ボトムの上の一定の距離に、5つの列14が設置され、この各々が、3つの回転可能なウィング15を有する。
【0039】
ウィングは、繊維分配装置の操作の間に、供給される繊維が、第1の空気流内でウィングの列に沿って掃引されるような回転速度で回転し、この繊維は、回転するウィングにより生成され、それによって、図2において矢印で例示されるように、ボトムの上全体に繊維を分配する。
【0040】
第1の空気流内の繊維は、吸引ボックスおよび退避ポンプによって、生成した第2の空気流内で同調する多孔ボトム7の開口8を通して連続的に吸引され、それによって、形成ワイヤの上側部分17の上の層16に繊維を堆積する。
【0041】
形成ワイヤは、所望の不織ウェブが形成される様式で、付随するプラント(図示せず)の後に続く部分でさらに処理されるために、矢印の方向にこの層を動かす。
【0042】
合成繊維6は通常、主要な繊維として供給されるが、セルロース繊維4は、繊維ロール(図示せず)の形態で供給され、これは、ハンマーミル(図示せず)によってフラフへと繊維離解される。
【0043】
図3は、より大きなスケールで、不織ウェブ18のフラグメントを模式的に図示し、これは、合成繊維6およびセルロース繊維4を含む。この図面からも見えるように、これは、隆起19により形成されたセルロース繊維である。この不織ウェブはまた、セルロース繊維単独から構成されるセルロースニット20、ならびにセルロース繊維4および合成繊維6の両方から構成される複合繊維21を含む。
【0044】
ニットは、小さなもつれた繊維の束であり、これは、不織ウェブの品質を低下させる。別の不利益は、ニットが、非常に緻密な形態で存在することである。それゆえ、ニット内に拘束された繊維の塊にほぼ対応する繊維の品質により、繊維の供給を増加する必要があり、それにより、ウェブの製造コストを増加させる。
【0045】
繊維ロールは、最初からすでにいくつかのニットを含む。繊維を離解する間に、これらの繊維のいくつかのプロセスは、開放され、良好な繊維を形成する。しかし、同時に、いくつかの他の繊維は、ニット内に拘束されている繊維の量よりも通常大きいスケールのニットに形成され、これが開放される。離解されたフラフ内のニットの百分率はまた、繊維を離解する速度と共に、約1%〜約1.4%へと増加する。
【0046】
ハンマーミルからの形成ワイヤ17の上のフラフ層16への途中で、より多くのセルロースニット20がフラフ内で生成され得る。セルロース繊維20は、複合ニット21を形成するための一種の核として働く。隆起19は、合成繊維を捕らえ得るという点で、この点について、重要な役割を果たす。
【0047】
このニットは、空気により敷き詰めるプロセスの間に増える傾向を示す。特定の大きさに達すると、このニットは次に、2つ以上のニットに分かれ、次いで、さらに多くのニットを形成するための新しい核として働く。
【0048】
経験によると、ニット内に拘束された完成された不織ウェブの単位面積あたりの繊維の含量が、ハンマーミルにおけるプロセスと類似する第1の空気流の速度と共に増加し、ニットの割合はまた、供給速度における繊維の離解と共に増加することが示されている。
【0049】
ニットの含量が低いことを意味する、良好な品質の不織ウェブが所望される場合、それゆえ、製造プラントは、低い製造速度で操作され、それによって、この繊維への費用をまた低くすることが必要である。
【0050】
しかし、全体の製造コストはまた、プラント全体での通常かなり大きな投資に依存する。これらの大きな投資に対して十分な関心を払うためには、プラントは、高い製造速度で操作される必要がある。
【0051】
それゆえ、実際には、このようなプラントは、製造されるウェブが比較的劣る品質を有し、プラント全体が比較的低い能力で操作される製造速度で操作され、その結果、製造において使用される繊維の消費の大きさの影響で、ウェブの製造コストが比較的高くなり、プラントにおける投資に払われる関心が低くなる。
【0052】
ウェブの製造者は、このように、製品の品質および価格、そしてまた、プラントの潜在能力の利用が、最適とは程遠いところで妥協する。
【0053】
この適切でない状況は、図4(本発明の例示的な実施形態を例示する)を参照して以下により決定的に説明される、本発明により克服される。この図面は、第1の空気流の速度v(m/秒)の関数として、完成されたウェブのmあたりのニットの数(n/m)を実線で示し、この第1の空気流は、形成ヘッドの多孔ボトムに沿って繊維を掃引するためのウィングにより生成された空気流である。1mmより大きな断面サイズを有するニットのみが、この例において数えられる。
【0054】
同じ図面において、上記速度v(m/秒)のほぼ線形の関数として、プラントの時間あたりのウィングあたりの出力(kg/w/時間)がまた、点線で示される。
【0055】
この例において製造されるウェブは、0.120kg/mの重量を有し、80%セルロース繊維および20%合成繊維から構成された。セルロース繊維の平均長さは約2mmであり、一方で、合成繊維の平均長さは、約6mmであった。
【0056】
一列のウィングは、図2の矢印で示されるように、同じ方向に回転したが、2つの隣接する列のウィングは、反対方向に回転し、それによって、繊維が、多孔ボトムに沿って掃引され、この領域全体に均等に分配された。
【0057】
多孔ボトムは、本出願人らの特許出願WO99/54537である「a shifting net for a fibre distributor」に記載される型のものであった。ネットのメッシュサイズは4であった。
【0058】
上記の明細書は、例えば、失禁用物品のために使用される不織ウェブ、また、既存の製造プラントに共通するものである。上記不織ウェブを製造するために使用される第1の空気流の通常の速度は、3m/秒であった。この速度において、mあたりのニットの数は、12kg/w/hの時間あたりのウィングあたりの出力で500n/mであることが分かった。
【0059】
これらの結果は、あまり満足できるものではない。製品の品質が劣っており、繊維のかなり高い速度が、ウェブの製造のために使用される。この事実は、得られる出力がまた、かなり低いという事実と組合せて、さらに高い製造コストを生じる。
【0060】
よりよい製品、すなわち、ニットの含量がより低い製品を得ようと試みている当業者は、速度vを通常の3m/秒から例えば、1.0m/秒へと下げることで、ウェブ内のニット含量が、500n/mからわずか67n/m2のレベルまで有利に減少するが、この改良は、わずか1.0kg/w/hの出力の支出におけるものであったことを実験から導いた。
【0061】
結果的に高い製造コストと、十分な品質の製品を顧客に供給し得るという欲求から、当業者は、まもなく、このやり方で第1の空気流の速度を低下させても、ニットの含量が低く、かつ高い製造速度が同時に求められるという問題の有用な解決策は導かれないことを認識する。この結論に達すると、第1の空気流の速度を低下させるというさらなる実験をやめる。
【0062】
一方で、当業者が、このやり方で製造コストを低下するために出力を増加しようと試みる場合、mあたりのニットの数の許容できない増加を犠牲にして、出力の改善が得られることにまもなく気づき、それにより、この場合もまた、さらなる実験をやめる。
【0063】
上記当業者は、それゆえ、通常使用される速度とはほど遠い速度で実験を行なうという考えに至らない。これは、上記の実験を実施したことによって、製造パラメータ間で最良の妥協を見出した通常の速度から速度を上下に変化したとしても、あらゆる改善を意味しないことを学んだからであった。
【0064】
本発明によれば、この技術的な先入観は、通常使用される速度とは程遠い第1の空気流の速度を生成する、高い回転速度を用いてウィングを操作することによって克服される。
【0065】
本発明による好ましい実施形態において、ウィングは、第1の空気流の速度が、9m/秒と16m/秒との間、特に、11m/秒と14m/秒との間であるような回転速度で回転される。
【0066】
本発明による別の実施形態において、ウィングは、第1の空気流の速度が、5m/秒と26m/秒との間、好ましくは、8m/秒と17m/秒との間、特に、10m/秒と15m/秒との間であるような回転速度で回転される。
【0067】
図4から明らかであるように、不織ウェブmあたりのニットの数は、3.0m/秒の速度における500n/mから、12.7m/秒の速度vにおけるわずか117n/m2+へと減少したが、同時に、出力は、60kg/w/hまで増加した。
【0068】
本発明による技術を使用することによって、出力が通常の約5倍でありながら、完成された不織ウェブ内のニットの含量が、通常のわずか約24%であったという驚くべき結果が得られた。
【0069】
図4はまた、完成された不織ウェブ内のニットの含量が、1.0m/秒の速度における67n/mから4.4m/秒の速度における583n/mの最大値まで増加することを示す。ニットの含量は、12.7m/秒の速度における60n/mの最小値まで減少した後、再び増加する。
【0070】
この場合、最適な最も低いニット含量が、非常に大きな出力の増加と同時に得られる最適速度は、12.7m/秒の速度である。他のプラント、および他の繊維組成を有するウェブについても、この例と同じか、または別のサイズを有し得る、最適な速度が存在する。
【0071】
本発明の好ましい実施形態において、2つの隣接するウィングの列の各々の間の互いの距離は、列+50mmと135mmとの間、特に、列+75mmと105mmとの間である。
【0072】
繊維の組成と構造のような製造パラメータは、不織ウェブの製造の間に変化する可能性があり得、それによって、同時に最適速度も変化する。それゆえ、繊維分配装置は、平均最適速度の周辺の間隔に、第1の空気流の速度を調節するためのレギュレーターを備え付けられる。
【0073】
上記間隔は、本発明によれば、上記平均最適速度を生成するウィングの回転速度の、0.5倍と1.5倍との間、好ましくは、0.75倍と1.25倍との間、特に、0.9倍と1.1倍との間のサイズを有する。
【0074】
第1の空気流の速度の調節は、本発明に従う制御システムによって自動的に、有利に実施され得、このシステムは、図5に示されるブロック図によって模式的に例示される。
【0075】
このシステムは、検出器22を備え、検出器22は、コンピュータ23に接続され、今度はコンピュータ23が、ウィングを回転するためにアクチュエータ24に、そしてまた、プラントの他の機能を駆動するためにアクチュエータに接続される。プラントの他の機能は、第1の空気流の速度が変化する際に、変化する可能性がある。
【0076】
図5において、セルロース繊維のロールをハンマーミルに供給し、このセルロース繊維をハンマーミルから形成ヘッドに供給し、例えば、合成繊維を形成ヘッドに供給し、形成ワイヤを駆動し、そして、他の空気流を生成する機能を駆動するためのアクチュエータ25、26、27、28および29のみが示されているが、他の機能を駆動するための他のアクチュエータ(図示せず)もまた、このシステムに接続され得る。
【0077】
図1で見られるように、検出器は、形成ヘッドの下流かつ、形成ワイヤのフラフ上に配置され、そして、任意の適切な型(例えば、デジタル写真検出器、レーザー検出器または超音波検出器)であり得る。
【0078】
この検出器は、ワイヤもしくは不織ウェブのフラフの単位面積あたりのニットの数、または、ワイヤもしくは不織ウェブのフラフの単位面積あたりのニットの数、そしてまた、これらのニットの各々のサイズを計数するために配置される。
【0079】
検出の結果は、入力としてコンピュータに絶え間なく送信され、コンピュータはまた、異なる繊維を形成ヘッドに同時に供給するための入力(図示せず)を受容する。
【0080】
コンピュータは、プログラムを搭載し、この情報に基づいて、ワイヤまたは完成された不織ウェブのフラフのmあたりの繊維の含量を計算するように適合される。
【0081】
この含量は、以前に説明したように、この例において、図4に示される実線の曲線で例示される、第1の空気流の速度の関数である。
【0082】
コンピュータプログラムはまた、この曲線の各点についての微分係数を計算し、この微分係数が曲線のある点で0になるまで、アクチュエータ24を連続的に調節するように適合される。
【0083】
ここで、プラントのオペレーターは、本発明を理解し、そしてまたそれにより、第1の空気流の最適速度が見出されることが予想されるので、プラントは、実際に、この間隔内の速度で始動され、その後、速度は、絶え間なく最適速度に調節される。この最適速度とは、所定の瞬間の微分係数が0になる曲線の点である。
【0084】
空気により敷き詰めるためのプロセスのための制御システムのコンピュータは、本発明の好ましい実施形態において、関連するデータを保存するためのメモリを有し、これらのデータは、特定のウェブの製造の間に得られる。このデータを使用することによって、プラントは、同じウェブが製造される次の機会に、容易にかつ迅速に起動され得る。
【0085】
ニット含量曲線の最大点と最小点の両方で微分係数が0であるので、本発明のある実施形態において、プログラムは、最大の0地点を拒絶するように適合され、それにより、第1の空気流の速度を最小の0地点に調節するのみである。この最小の0地点はまた曲線の最適な点である。
【0086】
これを実施するために、コンピュータには、公知の技術により使用される第1の空気流の速度についての値が搭載されており、コンピュータプログラムは、所定の生成物についての速度よりも高い、0地点を拒絶するように適合される。
【0087】
このようにして、曲線の任意の点で製造を開始することが可能である。
【0088】
このコンピュータはまた、第1の空気流の速度の調節に対応して、他のアクチュエータ(例えば、アクチュエータ25、26、27、28および29)を調節するように適合される。
【0089】
本発明によれば、繊維分配装置は、上記のやり方で自己調節し、それゆえ、操作の間に、ニットの形態の繊維の損失を最小限にし、そしてまた同時に、非常に高い製造速度で、不織ウェブを自動的に製造する。このプラントはまた、起動および操作が非常に容易である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、形成ヘッドによって継ぎ目なしのワイヤ上に、繊維を空気により敷き詰めるための本発明に従う繊維分配装置を、横から見て、模式的に示す。この形成ヘッドは、多孔ボトムおよび回転可能なウィングを有し、このウィングは、操作の間に上記ボトムに沿って繊維を掃引するためのものである。
【図2】図2は、上から見た、図1の繊維分配装置を示す。
【図3】図3は、不織ウェブのフラグメントの拡大図を示す。
【図4】図4は、不織ウェブの単位面積あたりのニットの数、そしてまた、繊維が形成ヘッドの多孔ボトムに沿って掃引される速度の関数として、単位時間あたりのウィングあたりの出力を示すグラフである。
【図5】図5は、図1および2に示す繊維分配装置によって実施される、空気により敷き詰めるプロセスのための制御システムのブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
継ぎ目なしの空気透過性形成ワイヤ(9)の上で、繊維(4;6)を空気により敷き詰める方法であって、該方法は、以下:
多孔ボトム(7)を有する形成ヘッド(2)および該ボトム(7)の上に一定の距離で取り付けられた回転可能なウィング(15)の少なくとも1列
(14)に繊維(4;6)を供給する工程、
該繊維(4;6)が傾けられて、ニット(20;21)を形成する間に、該ウィング(15)を回転させることによって、第1の空気流において、該ウィング(15)の少なくとも1列(14)に沿って、該繊維(4;6)を掃引する工程、
該ウィング(15)の回転速度を、最適な速度周辺の間隔に調節する工程であって、該繊維(4;6)がニット(20;21)を形成する傾向は、該ウィング(15)の回転速度が増加するとき、より低いものからより高いものへと変化する、工程、ならびに
第2の空気流において、該多孔ボトム(7)内の開口部(8)を通して該繊維(4;6)を吸引することによって、該形成ワイヤ(9)の上側部分(17)にある一層(16)に該繊維(4;6)を連続的に堆積する工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記ウィング(15)の回転速度を、前記繊維(4;6)の組成に従って調節する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウィング(15)の回転速度の間隔を、平均最適回転速度の周辺で選択する工程であって、該回転速度において、前記ニット(20;21)の数は、小さいか、または最小であり、該ウィング(15)の最適回転速度の0.5〜1.5倍の間のサイズ、好ましくは、0.75〜1.25倍の間のサイズ、そして特に、0.9〜1.1倍の間のサイズを有する、工程を包含する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、該方法は、以下:
前記形成ワイヤ(9)上の繊維層(16)または得られる不織ウェブ(18)におけるニット(20;21)の割合を検出する工程、
該検出する工程の結果を表す信号を、入力としてコンピュータ(23)に送信する工程、
該入力を使用して、該コンピュータ(23)のプログラムによって、最適回転速度を表す値を計算する工程であって、該最適回転速度において、所定のモーメントにおけるニット(20;21)の数は、小さいかまたは最小である、工程、および
この値を表す信号を、出力として該コンピュータ(23)から送信し、前記ウィング(15)に、該値により表される回転速度で回転するように命令する工程
を包含する、方法。
【請求項5】
継ぎ目なしの空気透過性形成ワイヤ(9)の上で、繊維(4;6)を空気により敷き詰めるための方法であって、該方法は、以下:
多孔ボトム(7)を有する形成ヘッド(2)および該ボトム(7)の上に一定の距離で取り付けられた回転可能なウィング(15)の少なくとも1列(14)に繊維(4;6)を供給する工程、
該繊維が、5m/秒と26m/秒との間の速度、好ましくは、8m/秒と17m/秒との間の速度、特に、10m/秒と15m/秒との間の速度で、該ボトムに沿って掃引されるような回転速度で該ウィングを回転させる工程、ならびに
第2の空気流において、該多孔ボトム(7)内の開口部(8)を通して該繊維(4;6)を吸引することによって、該形成ワイヤ(9)の上側部分(17)にある一層(16)に該繊維(4;6)を連続的に堆積する工程
を包含する、方法。
【請求項6】
継ぎ目なしの空気透過性形成ワイヤ(9)の上で、繊維(4;6)を空気により敷き詰めるための方法であって、該方法は、以下:
多孔ボトム(7)を有する形成ヘッド(2)および該ボトム(7)の上に一定の距離で取り付けられた回転可能なウィング(15)の少なくとも1列(14)に繊維(4;6)を供給する工程、
該繊維が、9m/秒と16m/秒との間の速度、特に、11m/秒と14m/秒との間の速度で該ボトムに沿って掃引されるような回転速度で該ウィングを回転させる工程、ならびに
第2の空気流において、多孔ボトム(7)内の開口部(8)を通して該繊維(4;6)を吸引することによって、該形成ワイヤ(9)の上側部分(17)にある一層(16)に該繊維(4;6)を連続的に堆積する工程
を包含する、方法。
【請求項7】
不織ウェブ(18)を生成するためのプラントにおいて、継ぎ目なしの空気透過性形成ワイヤ(9)の上で、繊維(4;6)を空気により敷き詰めるために使用される種類の繊維分配装置であって、該装置は、以下:
多孔ボトム(7)を有する形成ヘッド(2)および該ボトム(7)の上に一定の距離で取り付けられた回転可能なウィング(15)の少なくとも1列(14)を備え、
該装置は、生成の間に、空気流において該ウィング(15)の少なくとも1列(14)に沿って供給された繊維(4;6)を掃引するためのものであり、該繊維(4;6)は、その後、該形成ワイヤ(2)の上側部分(17)にある一層(16)に堆積されるために、該多孔ボトム(7)の開口部(8)を通って該形成ヘッド(2)を連続的に離れ、それにより、該繊維(4;6)は、このように掃引される間に傾けられて、ニット(20;21)を形成し、該ウィング(15)は、一定間隔の最適回転速度で回転され、ここで、該繊維(4;6)のニット(20;21)を形成する傾向が、該ウィングの回転速度が増加するとき、より低いものからより高いものへと変化する、
繊維分配装置。
【請求項8】
請求項7に記載の繊維分配装置であって、前記繊維(4;6)の組成および該繊維分配装置の実際の配置に従って、前記最適回転速度を調節するためのレギュレーターを備える、繊維分配装置。
【請求項9】
前記レギュレーターが、平均最適回転速度の周辺の間隔に前記最適回転速度を調節するために適合されており、該平均最適回転速度において、ニット(20;21)の数は、小さいかまたは最小であり、それによって、該間隔が、前記ウィングの最適回転速度の、0.5〜1.5倍の間のサイズ、好ましくは、0.75〜1.25倍の間のサイズ、そして特に、0.9〜1.1倍の間のサイズを有する、請求項8に記載の繊維分配装置。
【請求項10】
請求項7に記載の繊維分配装置であって、該装置は、
前記形成ワイヤ(9)上の繊維層(16)または得られた不織ウェブ(18)におけるニット(20;21)の割合を検出し、この検出結果を表す信号を、入力としてコンピュータ(23)に送信するための検出器(22)、
該入力によって、ニット(20;21)の数が小さいかまたは最小である最適回転速度を表す値を計算し、該値を表す出力を生成するためのコンピュータ(23)のプログラム、および
該出力を受容することによって、このような値により表される回転速度で前記ウィング(15)を回転させるための、1つ以上のアクチュエータ(24、25、26、27、28、29)
を備える、繊維分配装置。
【請求項11】
前記ウィング(15)の2つの隣接する列(14)の各々の間の相互距離が、列+50mmと135mmとの間、特に、列+75mmと105mmとの間の、2つのウィング(15)間の相互距離である、請求項7〜10に記載の繊維分配装置。
【請求項12】
前記ウィングと前記多孔ボトムとの間の距離が、1mmと12mmとの間、好ましくは、2mmと7mmとの間、そして特に、3mmと5mmとの間である、請求項7〜11に記載の繊維分配装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−529006(P2006−529006A)
【公表日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529640(P2006−529640)
【出願日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000370
【国際公開番号】WO2004/106604
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(503222330)
【Fターム(参考)】