説明

繊維処理剤組成物及び該組成物による繊維の処理方法

【課題】洗濯後に天日干し乾燥しても色柄物衣料の退色を防止することができる繊維処理剤組成物及び繊維の処理方法を提供すること。
【解決手段】(A)ゼオライト、(B)キレート剤、及び(C)紫外線吸収剤及び/又は有機酸化防止剤を含有し、(A)/(B)=3/2〜1/9(質量比)である繊維処理剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の繊維製品に用いる繊維処理剤組成物、該組成物を用いる繊維の処理方法に関し、より詳しくは、日光による衣類等の色あせを抑制する効果の高い繊維処理剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、色柄物衣料、特に綿繊維製品を洗濯するに当たっては、退色の問題が指摘されている。衣料が退色する原因としては、いくつか挙げられる。例えば、洗剤中に含有されている蛍光剤の吸着によるもの、また衣料を天日干しした時の紫外線の照射によるもの、あるいは洗濯に用いる水道水に含まれる遊離塩素による脱色などがある。この退色を抑制する技術について、これまで水道水中の塩素濃度を低下させる研究が中心に行われてきた。例えば、特許文献1では、洗浄液中にハロゲン化アルミニウムを添加する方法が開示されている。また、ノニオン界面活性剤とアルカノールアミンを併用した洗浄剤が特許文献2に、亜硫酸塩とポリカルボン酸重合体を併用した洗浄剤が特許文献3に開示されている。また、塩素は酵素の働きを阻害するように作用するため、市販の酵素配合洗剤においては、前記特許のアルカノールアミンや亜硫酸塩のような塩素捕捉剤が添加されており、その場合、洗濯時の退色が抑制されることは知られている。しかし洗濯工程において、通常、洗濯終了後に衣類を天日干し乾燥すると、紫外線によって退色が生じ、衣類の退色抑制には洗濯時の抑制だけでは不十分であるといった問題点があり、紫外線によって生じる退色を抑制する方法が望まれていた。
【0003】
【特許文献1】特開平10−310791号公報
【特許文献2】特開平11−241092号公報
【特許文献3】特開昭63−41596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、色柄物衣料を洗濯するに当たり、洗濯後に天日干し乾燥しても色柄物衣料の退色を防止することができる繊維処理剤組成物及び繊維の処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ゼオライトとキレート剤の比率をコントロールし、さらに紫外線吸収剤及び/又は酸化防止剤を併用することで上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)ゼオライト、(B)キレート剤、及び(C)紫外線吸収剤及び/又は有機酸化防止剤を含有し、(A)/(B)=3/2〜1/9(質量比)である繊維処理剤組成物を提供する。
本発明はまた、(A)ゼオライト、(B)キレート剤、及び(C)紫外線吸収剤及び/又は有機酸化防止剤を含有し、(A)/(B)=3/2〜1/9(質量比)である水溶液で繊維を処理する方法を提供する。
本発明はまた、(A)ゼオライト、(B)キレート剤、(C)紫外線吸収剤及び/又は有機酸化防止剤、及び(D)組成物の全量を基準にして15〜25質量%の界面活性剤を含有し、(A)/(B)=3/2〜1/9(質量比)であり、組成物の嵩密度が0.6g/ml以上であることを特徴とするリン塩を含まない繊維処理用洗剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、洗濯後に天日干し乾燥しても色柄物衣料等の退色を効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の(A)成分は、一般の衣料用洗剤に使用されているA型ゼオライトであり、平均一次粒子径0.1〜30μmの合成ゼオライトが好適に使用される。ゼオライトは粉末及び/又はゼオライトスラリー又はスラリーを乾燥して得られるゼオライト凝集乾燥粒子として用いてもよい。ゼオライトの例としては、A型ゼオライト(例えば、「シルトンB」:水澤化学(株)製、「トヨビルダー」;東ソー(株)製、「合成ゼオライト」;日本ビルダー(株)製、「VALFOR100」;PQ CHEMICALS(Thailand)Ltd、「VEGOBOND」;SASOL社製、「ZEOBUILDER」;ZEOBUILDER Ltd、商品名:「VEGOBOND A」;OMAN CHEMICAL INDUSTRIES Ltd、「Zeolite」;THAI SILICATE CHEMICALS Ltd)であり、金属イオン封鎖能及び経済性の点でも好ましい。ここで、A型ゼオライト の、JIS K 5101法による吸油能の値は40〜50mL/100gであることが好ましい。
本発明において、(A)成分の処理液濃度としては、5〜250ppmが好ましく、より好ましくは10〜100ppm、さらに好ましくは10〜50ppmである。
(A)成分中の組成物中の含有量は、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは3〜20質量%、最も好ましくは5〜10質量%である。上記範囲を超えると退色抑制が困難になり、上記範囲未満では製造上の不具合が生じる場合がある。
(A)成分の平均一次粒子径は30μm未満が好適に使用され、さらに好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.3〜7μmである。平均一次粒子径がこのような範囲にあると、洗浄後の衣類に残りにくく好ましい。なお、本明細書において、平均一次粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡を用いて測定することができる。
【0008】
本発明の(B)成分は、キレート剤であり、たとえば、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、β−アラニンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩等のアミノカルボン酸塩;セリンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩等のヒドロキシアミノカルボン酸塩;ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩;ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩、シクロペンタンテトラカルボン酸塩等のシクロカルボン酸塩;カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノ又はジサクシネート等のエーテルカルボン酸塩;ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸、、アクリル酸−アリルアルコール共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸塩、ヒドロキシアクリル酸重合体、多糖類−アクリル酸共重合体等のアクリル酸重合体及び共重合体;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン1,2−ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の重合体又は共重合体;デンプン、セルロース、アミロース、ペクチン等の多糖類酸化物やカルボキシメチルセルロース等の多糖類誘導体;ヒドロキシエタンジホスホンサン等のホスホン酸塩等が挙げられる。塩を形成する陽イオンとしてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属等があげられる。
これらの(B)成分の中では、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリアセタールカルボン酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸−4ナトリウムが好ましく、特に、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、分子量が1000〜80000のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、メチルグリシンジ酢酸ナトリウムが好適である。(B)成分の処理液濃度は10〜400ppmが好ましく、より好ましくは20〜400ppm、さらに好ましくは50〜400ppmである。(B)成分の組成物中の含有量は、組成物中に0.5〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。上記範囲未満では十分な退色抑制効果が得られない場合があり、上記範囲を超えても退色抑制の向上が見られない場合があり、不経済である。
本発明の組成物は、(A)成分と(B)成分との質量比が、3/2〜1/9であり、好ましくは1/1〜1/9である。(A)成分と(B)成分との質量比がこのような範囲にあると、退色抑制効果の点で好ましい。
【0009】
本発明の(C)成分は、紫外線吸収剤及び/又は有機酸化防止剤である。
紫外線吸収剤としては特開平07-310095号公報や特表2003-502517号公報、特開2002-363226号公報などに記載のものが使用でき、具体的にはシュウ酸アニリド、o−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ヒドロキシアリール−1、3、5−トリアジン、スルホン化−1、3、5−トリアジン、o−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、2−アリール−2H−ベンゾトリアゾール、サリチル酸エステル、置換アクリロニトリル、置換アリールアミノエチレン、ニトリロヒドラゾン、高分子紫外線吸収剤、パラアミノ安息香酸、ウロカニン酸、オキシベンゾン、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルなど、ベンゾフェノン系やベンゾトリアジン系、ベンゾトリアゾール系、安息香酸系、サリチル酸系、ケイ皮酸系、ジベンゾイルメタン系の紫外線吸収剤があげられ、退色抑制効果や衣類への着色の点からベンゾトリアゾール系、ベンゾトリアジン系のものが好ましい。入手可能な紫外線吸収剤としては、ULS−700、ULS−1700、ULS−1383MA、ULS−383MG、ULS−1635MH(一方社油脂工業(株)社製)、TinosorbFD、TinosorbFR(チバスペシャルティーケミカルズ社製)、ネオヘリオパンAV/OA(マツモト交商より入手)などが挙げられる。特にベンゾトリアゾール系高分子が好ましい。
【0010】
酸化防止剤としては、特開2003-089800や特表平09-511774に記載のラジカルトラップ剤も使用できる他に、川口化学工業(株)より入手可能なフェノール系酸化防止剤(アンテージDAH、アンテージW−300、アンテージW−400、アンテージW−500、アンテージSP)やベンズイミダゾール系酸化防止剤(アンテージMB)、チオジプロピオン酸塩系酸化防止剤(アンテージLTDP)が挙げられ、フェノール系酸化防止剤、チオジプロピオン酸塩系酸化防止剤が好ましく、中でもBHT、4−メトキシフェノール、スチレン化フェノール、チオジプロピオン酸とジラウリルアルコールの縮合物がより好ましく、スチレン化フェノールとチオジプロピオン酸とジラウリルアルコールの縮合物がさらに好ましい。
本発明の(C)成分の紫外線吸収剤と酸化防止剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることがでるが、特に2種を組み合わせるのが好ましく、より好ましい例としてはアンテージSPとアンテージLTDPの組合せである。
(C)成分の処理液濃度は、0.5〜20ppmが好ましく、より好ましくは1〜10ppmが好ましい。(C)成分の組成物中の含有量は、組成物中に0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%、更に好ましくは0.5〜1.5質量%である。上記範囲未満では、退色防止効果が見られない場合があり、上記範囲を超えると衣類が着色する場合がある。
【0011】
本発明の(D)成分は界面活性剤である。界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS又はABS)。
(2)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩。
(3)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(4)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩(AS)。
(5)炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩(AES)。
(6)炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均3〜30モル付加した炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル硫酸塩。
【0012】
(7)炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩。
(8)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸のようなアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
(9)炭素数8〜20の飽和又は不飽和α−スルホ脂肪酸塩又はそのメチル、エチルもしくはプロピルエステル(α−SF又はMES)。
(10)長鎖モノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(11)ポリオキシエチレンモノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(12)炭素数10〜20の高級脂肪酸塩(石鹸)。
【0013】
これらのアニオン界面活性剤は、ナトリウム、カリウムといったアルカリ金属塩や、アミン塩、アンモニウム塩等として用いることができる。また、これらのアニオン界面活性剤は混合物として使用してもよい。
アニオン界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩等)や、AOS、α−SF、AS、AESのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩等)、高級脂肪酸のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩等)等を好適なものとして挙げることができる。
【0014】
ノニオン界面活性剤としては、従来より洗剤に使用されているものであれば、特に限定されることなく、各種のノニオン界面活性剤を使用することができる。ノニオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均3〜30モル、好ましくは4〜20モル、さらに好ましくは5〜17モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル。この中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好適である。ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールや、第2級アルコールが挙げられる。また、そのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが好ましい。
(2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル。
【0015】
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加した、例えば下記一般式(3)で表される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
9CO(OA)nOR10 …(3)
(式中、R9COは、炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪酸残基を示し、OAは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキサイドの付加単位を示し、nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、一般に3〜30、好ましくは5〜20の数である。R10は炭素数1〜3の置換基を有してもよい低級アルキル基である。)
(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂脂酸エステル。
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油。
(8)グリセリン脂肪酸エステル。
(9)脂肪酸アルカノールアミド。
(10)ポリオキシエチレンアルキルアミン。
(11)アルキルグリコシド
(12)アルキルアミンオキサイド
【0016】
上記のノニオン界面活性剤の中でも、融点が50℃以下でHLBが9〜16のポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレート等が好適に用いられる。また、これらのノニオン界面活性剤は1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、本発明におけるノニオン界面活性剤のHLBとは、Griffinの方法により求められた値である(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」、工業図書株式会社、1991年、第234頁参照)。
また、本発明における融点とは、JIS K8001「試薬試験法通則」に記載されている凝固点測定法によって測定された値である。
【0017】
カチオン界面活性剤としては、従来より洗剤において使用されるものであれば、特に限定されることなく、各種のカチオン界面活性剤を使用することができる。カチオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
(2)モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
(3)トリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩
(上記長鎖アルキルは炭素数12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基、短鎖アルキルは炭素数1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基、ベンジル基炭素数2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基、又はポリオキシアルキレン基を示す。)
両性界面活性剤としては、従来より洗剤において使用されるものであれば、特に限定されることなく、各種の両性界面活性剤を使用することができる。
なお、本発明は上記界面活性剤に限定されるものではなく、これらを1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0018】
(D)成分の組成物中の含有量は、15〜25質量%であり、好ましくは20〜25質量%である。上記範囲未満では十分な洗浄が得られない場合があり、上記範囲を超えると退色防止効果に悪影響を与える場合がある。また、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤の合計量は、界面活性剤全量の50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
本発明の組成物が界面活性剤を含有する場合、その嵩密度は0.6g/mL以上であり、好ましくは0.8g/mL以上であり、1.5g/mL以下であるのが好ましく、1.0g/mL以下であるのがより好ましい。嵩密度がこのような範囲にあると、溶解性や使用性の点で好ましい。なお、本明細書において嵩密度は、JIS K 3362に従って測定することができる。
【0019】
本発明の組成物中には、上記(A)、(B)、(C)、(D)成分に加えて、必要に応じて各種添加剤等を加えることができる。
【0020】
本発明の組成物は、液体でも粉末や固形物のような固体でも良く、特に粉末が好ましい。これらの組成物は、常法に従って製造することができる。
本発明の繊維処理剤組成物は、洗濯前に衣類等の繊維製品に噴霧ないし塗布により適用することにより使用することができるし、洗濯時に洗剤組成物と同時に使用することもできる。また、界面活性剤と共に配合することで繊維処理用洗剤組成物として使用することも可能である。
【実施例】
【0021】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に制限されるものではない。
表1に示した成分を使用し、表2に示した配合量に従って、実施例及び比較例の繊維処理剤組成物を調製した。表面処理無機粒子は以下に記載の方法で製造した。



































【0022】
【表1】










【0023】
【表2】
























【0024】
【表3】

【0025】
<退色防止効果の評価>
・試験布の調整
市販衣料(Tシャツ(1)(黒):PK−652H 09Black ファーストリテイリング社製、Tシャツ(2)(紺):249553−06−6 0004 GAP社製、Tシャツ(3)(エンジ):115918−94−6 0004 GAP社製)各2枚を2槽式洗濯機(三菱電機株式会社製CW−C30A1−H1形)を用いて無蛍光洗剤(スーパーナチュールホワイト)標準使用量で10分間洗浄、すすぎ3分2回(各工程間に脱水1分含む)を1サイクルとし、2サイクル繰り返し2日間風乾したものを5×5cmに裁断し、25×25cmの綿ブロード布(油化協布)に各3枚ずつ、合計9枚を縫いつけ試験布とした。
・日光退色試験
洗濯機としてHaier社製全自動電気洗濯機(JW−Z23A)を用いて、水温20℃の水道水にて、表2に示した組成になるように各成分を添加し、上記で用意した試験布2枚をソフト洗濯コースで洗浄処理をおこなった。その際の浴比は30倍、浴比は前処理をおこなった綿メリヤス布で調整した。洗濯終了直後、1枚の試験布を日光を遮る障害物のない屋外に、地面に対して60度に傾斜させて、衣類が縫い付けてある面に日光が当たるように備え付けて午前10時〜午後4時までの6時間外干し乾燥させ、もう1枚を日光の当たらない室内につり干し乾燥を1晩した。この工程を5サイクル晴天時のみにおこなった。実験をおこなった5日間の午前11時におけるUV−Aの紫外線量は5〜8mW/CM2であった。紫外線量の測定はUV RADIOMETER(Eisai&TOREX製)を用いて測定した。
【0026】
・色あせ値の測定
試験布の処理前後の色変化を色差計(日本電色工業(株)社製SE-2000)を用いて測定しΔE値を算出した。
ΔE=√((処理後のa値−処理前のa値)2+(処理後のb値−処理前のb値)2
+(処理後のc値−処理前のc値)2
表2には各色の3枚の平均値を以下の基準にて示した。(表2の比較例1についてはΔE値をそのまま記載した。)
×:比較例1のΔE値の平均値を100%とした場合にΔE値の平均値が120%以上
△:比較例1のΔE値の平均値を100%とした場合にΔE値の平均値が80%より大 きく120%未満
○:比較例1のΔE値の平均値を100%とした場合にΔE値の平均値が80%以下 60%以上
◎:比較例1のΔE値の平均値を100%とした場合にΔE値の平均値が60%未満
【0027】
<表面処理無機粒子の調製>
炭酸ナトリウム85%、アクリル酸/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩3%、ラウリン酸7%、水その他残部、となるような表面処理無機粒子を以下の工程で調製した。
第1工程
炭酸ナトリウムを鋤刃状ショベルを具備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのプローシェアーミキサー(大平洋機工(株))に投入し(充填率30容積%)、主軸150rpmで撹拌を開始した(チョッパー回転数:1015rpm、ブレード先端速度(周速):6.9m/s)。撹拌開始後10秒後にアクリル酸/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩水溶液(濃度は後記の原料欄に記載のMA/AA剤参照)を噴霧角115度の加圧ノズル(フラットノズル)で180秒噴霧添加し、造粒・被覆操作を行った。また、第1工程で調製された粒子全量に対する水分量が10質量%を超えていた場合には、上記装置に熱風を導入して乾燥し、水分量を10質量%以下に調整した。
【0028】
第2工程
引き続きプローシェアーミキサーの撹拌を継続しつつ、ラウリン酸を噴霧角60度の加圧ノズル(フルコーンノズル)で180秒噴霧添加し、被覆操作を行った。30秒間撹拌を続け粒子を得た。
【0029】
第3工程
次いで、得られた粒子を、流動層(Glatt−POWREX、型番FD−WRT−20、(株)パウレックス製)に充填し、充填後15℃の風(空気)を流動層内に送り、粒子の冷却操作を行い、20℃まで冷却された粒子を得た。流動層内風速は流動化状態を確認しながら0.2〜10.0m/sの範囲で調整した。得られた粒子を目開き2000μmの篩を用いて分級し、目開き2000μmの篩を通過する表面処理無機粒子を得た。
・MA/AA剤:アクリル酸/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、アクアリックTL−400(日本触媒(株)製)(純分40%水溶液)
・ラウリン酸(日本油脂(株)製、NAA−122、融点43℃)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ゼオライト、
(B)キレート剤、及び
(C)紫外線吸収剤及び/又は有機酸化防止剤を含有し、
(A)/(B)=3/2〜1/9(質量比)である繊維処理剤組成物。
【請求項2】
(A)ゼオライト、
(B)キレート剤、及び
(C)紫外線吸収剤及び/又は有機酸化防止剤を含有し、
(A)/(B)=3/2〜1/9(質量比)である水溶液で繊維を処理する方法。
【請求項3】
(A)ゼオライト、
(B)キレート剤、
(C)紫外線吸収剤及び/又は有機酸化防止剤、及び
(D)組成物の全量を基準にして15〜25質量%の界面活性剤を含有し、
(A)/(B)=3/2〜1/9(質量比)であり、組成物の嵩密度が0.6g/ml以上であることを特徴とするリン塩を含まない繊維処理用洗剤組成物。

【公開番号】特開2007−177348(P2007−177348A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374094(P2005−374094)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】