説明

繊維機械のためのラッチニードル

【課題】ラッチが逆位置に当たる際増加した弾性を有し、汚れに対する特性が改善されたラッチニードルを提供する。
【解決手段】新規なラッチニードルが、前方及び後方の端面(18,19)の両方にファセット又は面(22,25)を具備した針溝(11)を有する。面(22,25)は好ましくは互いに平行であり、柄の長さ方向(L)と垂直に指向している。この配置のために、ラッチ(6)が開閉する際ごみを押してそれぞれの面を通り針溝(11)を通るように面が指向しており、従って前記の面へのごみクッションの蓄積・詰まりが避けられる。従って、総じて、針溝(11)は特に端面(18,19)の領域において、開閉するラッチ(6)に対する障害を表す面領域は全くない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編機又は織機などの繊維機械の使用に適するラッチニードルに関する。
【背景技術】
【0002】
ニットウェアの製造のために、端部のフックを運ぶ細長い柄を有し、さらに縦溝に回転可能に保持されたラッチを備えた従来技術のラッチニードルが知られている。ある位置では、ラッチはその端部でフックと接触する(閉位置)。ラッチはフックから離れてフックを開けるための逆位置まで回転する。
【0003】
前記のタイプの針は例えば特許文献1に開示されている。後方位置でラッチの衝撃エネルギーを減衰させるために、針裏面の方向に開いた第1縦溝は第2縦溝に隣接する。第2縦溝は逆ラッチ位置の下に配置され、針柄の高さの半分より大きい深さを有する。特許文献1に従うラッチニードル(従来ダブルスロットニードルとも呼ばれる)の構造は柄チークの弾性を増加させ、従って減衰効果を有する。
【0004】
さらに、特許文献2は、逆位置にあるラッチのための着座面の下に、針ブレストから針裏面まで延びる開口を構成する手段を具備したラッチニードルを開示する。この手段は柄チークの変形性を増加させ、従って減衰効果を生じさせる。
【0005】
ラッチが回転可能に保持された針溝に加えて、例えばスロット又は開口などの別な凹部があり、それらの製造において付加的な工程ステップを必要とすることが、前記の特許文献に記載された針の共通の特徴である。
【0006】
さらに、特許文献3は、ラッチを受けるために針ブレストから始まる針溝を有した針を開示する。針溝は柄の長さ方向に対して本質的に平行に定められたフランクを有する。フック側面の端部と斜めに配置された針溝の反対側の端部に、弧状の端面が設けられ、それで針ブレストから見て、柄の長さ方向に対する針溝の長さが内側に、すなわち針溝の深さの方に減少する。
【0007】
針溝はその下面に針裏面に向かって開いた開口を具備する。開口は平行なフランクで画定され(境界を定められ)、フック側面の端部と反対側の端部に、柄の長さ方向に垂直に指向した小さい好ましくは平坦な端面を有する。
【0008】
針裏面に通じる開口は針溝から、編工程の間にそこに集まったごみを取り除くために利用される。
【0009】
さらに、特許文献4は、針裏面に向かって漏斗のように開いた針溝を有するラッチニードルを開示する。柄の長さ方向に対して、針溝は2つのチークにより画定され、その内側面は互いに鋭角を形成する。針溝の長さは柄の長さ方向に針裏面に向かって増加する。同様に、針溝の長さも針溝の短い(柄の長さ方向に見て)、ほぼ中央領域から針ブレストに向かって増加する。
【0010】
ラッチと針ブレストに指向した側面に、柄の長さ方向に対して鋭角を形成する僅かに弧状の傾斜した面により特に針溝のフック面端部が形成される。針裏面に向かう針溝の拡大は前記の特許文献によればごみの除去を改良するが、ラッチが閉じる際、ごみを針溝の隣接する端面に押すことは除外されており、固いごみ体が形成される。
【0011】
同様の効果は、ラッチの選択された回転位置を保持するためにラッチばねを具備したラッチニードルにも現れる。このような針は特許文献5に記載されている。この針でも、フックに隣接する針溝の端面とフックの反対側の端面は上方に傾いているので、ラッチが移動するとごみクッションがこれらの面に形成される。ラッチでブロックされた針裏面に向いた通路はセルフクリーニングとごみ除去を困難にする。
【0012】
本願の出願日にはまだ公開されていない特許文献6はばね保持ラッチを有するラッチニードルを開示する。ラッチばねは針裏面から針溝に挿入されている。針裏面から見て、柄の長さ方向に測定した針溝の長さは減少するのに対し、その深さは増加する。針ブレストにおいて、針溝のフック面の端面は、柄の長さ方向に垂直又は鈍角に指向した面であって、針ブレストと反対側の小さい面で終端する。この面は、ラッチが閉じ閉位置につくとラッチがこの面の端部にちょうど接するように配置される。
【0013】
このような手段により、閉じるラッチにより針溝の端面におけるごみクッションの形成が防がれる。
【0014】
【特許文献1】独国特許出願公開第2714607号公報
【特許文献2】独国特許出願公開第4324232号公報
【特許文献3】独国特許発明第4334051号公報
【特許文献4】German Patent No.586678
【特許文献5】DE-AS 1113537
【特許文献6】Patent Application P 102004049069.9
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、ラッチが逆位置に当たる際増加した弾性を有し、汚れに対する特性が改善されたラッチニードルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の目的は、請求項1に記載のラッチニードル又は請求項6に記載のラッチニードルにより達成される。本発明は、2種類のラッチ、すなわちラッチばねを有する及び有しないラッチニードルに適用できる。ラッチばねが設けられていない場合、針溝の少なくとも1つの端部の面(柄の長さ方向に対する)は柄の長さ方向に対してほぼ垂直に指向している。このようにして、それぞれの面は、ラッチがそれぞれの端位置に達する直前にラッチの運動方向がそれぞれの端部の面にほぼ平行になるように指向している。このようにして、ラッチに押されたごみは端部の面に堆積せず、そこから押し出される。これは、ラッチの安定した閉じを連続的に保証するために、針溝を画定するフック側面の面にとって特に重要である。
【0017】
ラッチニードルの弾性を増加させるために、ラッチニードルのフックから針溝の端部の面までの距離が、柄チークの所望の弾性に依存して、ラッチの逆位置にあるフックからラッチスプーンまでの距離と少なくとも同じ大きさか、それより大きい。
【0018】
ラッチばねを具備したラッチニードルの場合、本発明によれば、針ブレストに隣接する針溝の両方の端部の面は互いに本質的に平行で、柄の長さ方向にほぼ垂直又は鈍角である。針ブレストに隣接する少なくとも1つの面の鈍角の指向の場合、面に対する法線ベクトルは針ブレストから傾いており、柄の長さ方向と鋭角を形成する。直角又は鈍角の結果、ラッチの両方の端位置において、針溝の端部の面上のごみ層の形成が防がれる。(柄の長さ方向に対する)針裏面の方向の針溝長さの増加の結果、ラッチばねがあるにもかかわらず針溝から針裏面の方へのごみ除去は容易になる。これは特にラッチばねが針溝幅の一部分だけを占めるときに当てはまり、ごみはラッチばねの傍を針裏面の方に進む。
【0019】
本発明に従うラッチニードルの有利な実施形態のさらなる詳細は以下の明細書に則した図面及び/又は従属請求項から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
個々の図に示された本発明に従うラッチニードルの実施形態はラッチばねを有する構造と有しない構造に分かれる。図1に示されたラッチニードル1はラッチばねを有しても有しなくてもよい。以下の詳細な説明はどちらの実施形態にも当てはまる。
【0021】
ラッチニードル1は、フック先端5を有するフック4で終端する細長い柄3を備えた針本体2を有する。フックに隣接して、ラッチベアリング7で回転可能に保持されたラッチ6が設けられる。前後の回転運動により、ラッチ6はフック4を閉じるためのそのスプーン8でフック先端5に接触し、又は逆位置につくことでフック4を開く。
【0022】
さらにラッチニードル1は針本体2から上方に延びる少なくとも1つの基端9を有する。必要ならば、針本体2及び/又は柄3は移送ばね10を具備する。移送ばねは例えばラッチニードル1の平坦な側面の一方に設けられ、柄3で取り上げられるループを移送する働きをする、すなわちこのループを他の針に移す働きをする。
【0023】
図2は特にラッチニードル1の構造を示す。ラッチ6は、ラッチベアリング7に隣接する端部により、細長い溝として柄に設けられ針ブレスト13まで延びる針溝11まで突出する。柄3の断面が基本的に長方形の場合、針裏面12は狭い、好ましくは実質的に平坦な面である。これによりラッチニードル1は編機の関連する針ベッドの底部上を滑る。針ブレスト13は反対側に配置された面であり、そこからラッチ6が突出する。針溝の両側はチーク14,15で画定される。図2では、観測者に面する(そして図1に見られる)チーク15が切り落とされ、従ってラッチ6の後ろにあるチーク14を観測者にあらわにしている。このようにして、ラッチホール16を通過しラッチベアリング7を構成するピン17が見えている。ピン17は好ましくはチーク14,15に垂直に指向する。これらチークは好ましくは平坦で相互に垂直に指向した向かい合う内側側面により針溝11を画定する。ゆえに、柄の長さ方向Lに平行で、チーク14,15に垂直、すなわち図面に垂直に指向した針溝11の長手部分はどの位置でも長方形であるのが好ましい。
【0024】
ラッチベアリング7の各側面で、針溝は端面18,19により画定される。端面18はラッチベアリング7とフック4の間に配置される。他方、端面19は反対側に位置した針溝の端部に配置され、端面18と向き合う。
【0025】
端面18は、弧状面21と、針ブレスト13に隣接した、面21にある角度で配置された好ましくは小さめの面22とに分かれている。針裏面12から始まる面21は好ましくは円形、すなわち円筒弧状であり、柄の長さ方向Lと鋭角を形成し、先端はフック4に指向する一方、面22は基本的に又は製造精度が許す場合柄の長さ方向Lに対して正確に垂直である。ラッチ6が閉位置Iにあるとき、ラッチ6がその内側側面23で面22の上側の針ブレスト側面の端と係合するように、面22は好ましくは位置決めされる。しかしながら、ラッチ6は面22から小さい距離を置いて位置してもよい。
【0026】
同様に、端面19は、針裏面12に隣接した大きめの弧状の好ましくは円筒面24と、製造精度が許す場合、針ブレスト13に隣接した好ましくは平坦な面25に分かれている。面25は好ましくは面22と平行であり、ゆえに製造精度が許す場合、好ましくは柄の長さ方向Lと垂直である。他方、面24は柄の長さ方向Lに対して鋭角を形成し、先端は針1のフック4から離れて指向する。
【0027】
従って、針溝11は針ブレスト13において、柄の長さ方向Lに測定される、針裏面12で測定される長さより小さい長さを有する。さらに、面21と24は末広になっている。このようにして、針溝11は少なくともその長さ方向に関して針裏面12に向かって広がっている。しかしながら、前記のようにチーク14,15は互いに平行に指向しているので、針溝11は好ましくは横方向には広がらない。
【0028】
ここまで説明したラッチニードル1は汚れにくく、優れたセルフクリーニング効果を有する。作動の際、ラッチ6は閉位置Iと逆位置IIの間を連続的に往復運動する。この際、針ブレスト13上に溜まった汚れが広がった針溝11のために面22,25を通り針裏面12に向かって移動し、そこで自由に出ることができる。
【0029】
図2bは図2のそれに似た変形例を示すが、柄チーク14,15は増加した弾性を有する。前記の図2のラッチニードル1と構造、機能及び構成の一致があるので、同じ参照番号が用いられている部分は前記の説明を参照されたい。これは、これから説明する違いを除いて当てはまる。
【0030】
図2のラッチニードル1から出発して、図2bに従うラッチニードル1は、柄の長さ3全体にわたって平面に延びる平坦な針裏面12を有する。従来技術で知られているように上がったフック位置を有する、針裏面12が平坦形状を有する針が設けられる。
【0031】
さらに、図2bに従うラッチニードル1は貫通針溝11を有する。貫通針溝は、フック先端5とラッチベアリング7の間の領域から始まり、逆位置IIにあるときのラッチスプーン8の端まで又はそれを越えて延びる。このようにして、非常に弾性的なチーク14,15を有するラッチニードル1が得られる。フック先端5から針溝11の端面19の面25までの距離Aは、先端5からラッチスプーン8の端部までの距離Bより大きいか、少なくとも同じ大きさである。この場合、ラッチスプーンの固定はもっぱらエンボスメント37により行われ、特にフレキシブルなラッチニードルになる。柄を画定する一方の又は両方のチークに設けられるエンボスメント37はそれぞれのチークから針溝11に突出し、それを締付け又は塞ぎ、ラッチスプーンの背面の形状に一致する着座面を有する。
【0032】
図3と4は、ラッチばねなしで作動するラッチニードル1の別な変形例である。前記の図2のラッチニードル1と構造、機能及び構成の一致があるので、同じ参照番号が用いられている部分は前記の説明を参照されたい。これは、これから説明する違いを除いて当てはまる。
【0033】
図3と4に記載のラッチニードル1は、針溝11のフック面の端部の端面18においてのみ図1のラッチニードル1と異なる。面22は垂直に、又は図示されるように柄の長さ方向Lに対して鈍角で指向する。この場合、面22の法線ベクトルNは柄の長さ方向Lと鋭角を形成し、針溝11に指向する。すなわち、それは針ブレスト13から離れる方に向いている。面は好ましくは、閉位置Iにおいてラッチ6の内側側面23と約90°又は正確に90°の角度を形成するように指向する。つまり、この場合ラッチ6は面22に隣接する上側エッジに当接するか、そこからある距離をおいて位置する。
【0034】
針溝11の反対側に位置した端部は異なって構成される。針裏面12から始まり、面24は、好ましくは柄の厚さの半分より小さい短い距離だけ針溝11に延びる。その位置では、面24は窪み27に隣接し、窪みは針ブレスト13の側面から柄3に設けられ、針溝11と交差する。窪み27は好ましくは弧、すなわち部分的に円筒底部28を有し、エンボスメント37と共にラッチ6の逆位置のためにラッチ6のスプーン8のシート(座面)を形成する。ラッチ6の静止部より僅かに幅の広いスプーン8は、窪み27とエンボスメント37により逆位置で部分的に受けられる。窪み27で弱まったそれぞれのチーク14,15のために(図3,4ではチーク14しか見えない)、ある弾性と従ってラッチ6の減衰した衝撃が得られる。
【0035】
クリーニング効果に関して、ラッチニードル1は従来のラッチニードルよりかなり優れている。特にフックの内側スペースに堆積したごみと埃はラッチ6により針溝11を通って針裏面12に前進し、従ってそこから放出される。ラッチが閉位置にあるとき、針溝11はフック4に対して完全に閉じているので、ごみの針溝11への導入はさらに減少する。
【0036】
図5〜8は、それぞれの場合に針溝11に配置されたラッチばね29を具備したラッチニードル1の変形例を示す。図5,6に従うラッチニードル1の実施形態は比較的短い針溝11を特徴とする。ラッチニードル1の全体の構成に関しては、この場合に当てはまる図2に従うラッチニードル1の実施形態の説明を参照されたい。
【0037】
それに加えて、端面18は、ラッチばね29のための保持ポケット又は保持シートを形成する凹部30を具備する。ラッチばねは棒形状を有し、本質的に直線である。円、楕円又は平らな断面を有する。ラッチばねは、端部31で凹部30に当接する曲げばね(flexural spring)を形成する。凹部30は針裏面12に向かって開いているが、僅かに絞られており、それで端部31は凹部30に繋ぎとめられる。
【0038】
反対側に位置する端面19も同様にラッチばね29の端部33を受ける凹部32を具備する。また、別の開いた凹部32の針裏面絞り38はラッチばね29の端部33が落ちるのを防ぐ。これにより、ラッチばね29は針溝11に繋ぎとめられている。
【0039】
端面19は面25,24に分かれている。面25は好ましくは平坦な面であるが、必ずしもそうでなくてもよい。前記のように面25は好ましくは面22と平行である。前記のように、面24は弧状であり、柄の長さ方向Lと斜め又は垂直に指向する。
【0040】
ラッチ6は閉位置Iにつくために面22の針ブレスト面の端部に当たる。これにより、面22に堆積したごみがラッチばね29の方向に移動することになる。次いで、ごみはラッチばね29を通過して、針溝11から出る。この連結では、ラッチばね29が針溝11の幅の一部分だけを占めると有利である。
【0041】
ラッチばねは、ラッチ6が様々な好ましい位置につくことを保証するために利用される。この目的のために、針溝11内に位置したラッチ6の端部は平坦部分34,35を具備している。平坦部分は選択されたラッチ位置と結合し、それぞれの選択位置でラッチばね29に当接する。ラッチばね29はバイアスによりラッチ6の端部に係合する。
【0042】
本実施例では、ラッチばね29で設定される好ましい位置がそれぞれの場合に閉位置Iと逆位置IIから少なくとも僅かに離れている配置が好ましい。しかしながら、図6に示されているように、ラッチばね29の曲がりを平坦部分34の位置に調整することも可能であり、それでラッチ6はその背面26で針ブレスト13に隣接する面25の端部に当接する逆位置の直前又は近くで動かない。
【0043】
図6bに従うラッチニードル1の実施形態は大部分は図5と6のラッチニードルと一致し、図2bに従うラッチニードルと同じ特性を有する。従って、前記の説明が同じ参照番号に当てはまる。
【0044】
それに加えて、フック先端5から針溝11の端面19の面25までの距離Aは、フック先端5からラッチスプーン8の端部までの距離Bより大きいか、少なくとも同じ大きさである。結局、ラッチスプーンのためのシートはもっぱらエンボスメント37で構成される。それにより、特にフレキシブルなラッチニードルが得られる。
【0045】
図7と8に示されたラッチニードル1の実施形態は大部分は図5と6のラッチニードル1の実施形態に対応する。従って、前記の説明が同じ参照番号に当てはまる。
【0046】
それに加えて、針溝11は前記の実施形態と比べて著しく増大した長さを有する。従って、逆位置IIでは、ラッチ6は前記の実施形態におけるよりも著しく柄3の近くまで移動する。ラッチばね29はまた針溝11の全長にまたがる長さを有する。しかしながら、平坦部分34,35はどちらもそれぞれ逆位置II又は閉位置Iから僅かに離れた安定位置でラッチ6を保持するように配置される。この目的のために、ラッチばね29は例えば平坦位置34から離れた位置36に、スプーン8がエンボスメント37に当接する直前に背面26に接触するよじれをさらに備える。
【0047】
特に長い針溝11は、ラッチニードル1の改良された動的特性をもたらす比較的フレキシブルなチーク14,15をもたらす(チーク15は切られており、よって図7及び8では見えない)。
【0048】
図7,8のラッチニードル1によっても、針裏面12に向かって広がる針溝11と、特に針裏面12に垂直に指向し、ラッチ6の近くに隣接した面22,25とにより、改良されたごみの除去が達成される。さらに、端面18,19にごみが蓄積する傾向は著しく減少する。
【0049】
新規なラッチニードルは、前方及び後方の端面18,19の両方にファセット又は面22,25を具備した針溝11を有する。面22,25は好ましくは互いに平行で、柄の長さ方向Lと垂直に指向している。この配置のために、ラッチ6が開閉する際ごみを押してそれぞれの面を通り針溝11を通るように面が指向しており、従って前記の面へのごみのクッションの蓄積・詰まりが避けられる。従って、まとめて言えば、針溝11は特に端面18,19の領域において、開閉するラッチ6に対する障害を示す面領域は全くない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ラッチニードルの概略側面正面図である。
【図2】図1に従うラッチニードルの拡大した部分断面図である。
【図2b】大きめの溝を有する、図2に従うラッチニードルの変形例の縦の部分断面図である。
【図3】閉位置のラッチを示す、図2に従うラッチニードルの変形例の縦の部分断面図である。
【図4】逆位置のラッチを示す、図3のラッチニードルの図である。
【図5】閉位置のラッチを示す、本発明に従うラッチニードルの別な実施形態の部分断面図である。
【図6】逆位置のラッチを示す、図5のラッチニードルを示す図である。
【図6b】大きめの溝を有する図5のラッチニードルの変形例の縦の部分断面図である。
【図7】閉位置のラッチを示す、本発明に従うラッチニードルの実施形態の縦の部分断面図である。
【図8】逆位置のラッチを示す、図7のラッチニードルの図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ラッチニードル
2 針本体
3 柄
4 フック
5 フック先端
6 ラッチ
7 ラッチベアリング
8 スプーン
9 基端
10 移送ばね
11 針溝
12 針裏面
13 針ブレスト
14,15 チーク
16 ラッチホール
17 ピン
18,19 端面
21,22 面
23 内側側面
24,25 面
26 背面
27 窪み
28 底部
29 ラッチばね
32,30 凹部
31,33 端部
34,35 平坦部分
36 位置
37 エンボスメント
38 絞り
I 閉位置
II 逆位置
A,B 距離
L 柄の長さ方向
N 法線方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
針ブレスト(13)及び針裏面(12)を有し、針溝(11)が形成された針柄(3)と、閉位置(I)と逆位置(II)の間の回転運動のために針溝(11)に保持されたラッチ(6)とを有する繊維機械のためのラッチニードル(1)において、
柄の長さ方向(L)に測定した針溝(11)の長さが針裏面(12)から離れる方向に内側に減少し、
針溝(11)が少なくとも1つの面(22,25)により柄の長さ方向(L)に画定され、面は針ブレスト(13)に隣接し、柄の長さ方向(L)と本質的に垂直又は鈍角で指向し、針ブレスト(13)から離れて向いており、
フック先端(5)から面(25)までの距離(A)が、ラッチが逆位置にあるときのフック先端(5)からラッチスプーン(8)の端部までの距離(B)と少なくとも同じ大きさであるラッチニードル。
【請求項2】
フック先端(5)から面(25)までの距離(A)が、フック先端(5)からラッチが逆位置にあるときのラッチスプーン(8)の端部までの距離(B)より大きいことを特徴とする請求項1に記載のラッチニードル。
【請求項3】
針ブレスト(13)及び針裏面(12)を有し、針溝(11)が形成された針柄(3)と、閉位置(I)と逆位置(II)の間の回転運動のために針溝(11)に保持されたラッチ(6)とを有する繊維機械のためのラッチニードル(1)において、
柄の長さ方向(L)に測定した針溝(11)の長さが針裏面(12)から離れる方向に内側に減少し、
針溝(11)が、針ブレスト(13)に隣接する2つの平行な面(22,25)により柄の長さ方向(L)に画定されていることを特徴とするラッチニードル。
【請求項4】
針溝(11)が針裏面(12)への自由通路を有することを特徴とする請求項1又は3に記載のラッチニードル。
【請求項5】
ラッチばね(29)が針溝(11)に配置されていることを特徴とする請求項1又は3に記載のラッチニードル。
【請求項6】
平坦な面(22,25)に隣接した面(21,24)が弧状であることを特徴とする請求項3に記載のラッチニードル。
【請求項7】
針ブレスト(13)及び針裏面(12)を有し、針溝(11)が形成された針柄(3)と、閉位置(I)と逆位置(II)の間の回転運動のために針溝(11)に保持されたラッチ(6)とを有する繊維機械のためのラッチニードル(1)において、
柄の長さ方向(L)に測定した針溝(11)の長さが針裏面(12)から離れる方向に内側に減少し、
針溝(11)が少なくとも1つの面(22,25)により柄の長さ方向(L)に画定され、面は針ブレスト(13)に隣接し、柄の長さ方向(L)と本質的に垂直又は鈍角で指向し、針ブレスト(13)から離れて向いており、
針溝(11)が針裏面(12)に向かって開いているラッチニードル。
【請求項8】
柄の長さ方向(L)に本質的に垂直に指向した少なくとも1つの面(22)の反対側に、針ブレスト(13)に隣接する、第1の面(22)と平行な第2の面(25)が配置されることを特徴とする請求項7に記載のラッチニードル。
【請求項9】
少なくとも閉位置(I)又は少なくとも逆位置(II)におけるラッチ(6)が、針ブレスト(13)に隣接した、柄の長さ方向(L)に垂直に指向した面(22,25)に接触することを特徴とする請求項1,3又は7に記載のラッチニードル。
【請求項10】
針溝(11)が平行なフランクで画定されていることを特徴とする請求項1,3又は7に記載のラッチニードル。
【請求項11】
針溝(11)に、ラッチ基部として働くエンボスメント(37)が設けられ、エンボスメント(37)は塑性変形した針溝領域の形状であることを特徴とする請求項1,3又は7に記載のラッチニードル。

【図1】
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【図2】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−342481(P2006−342481A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151649(P2006−151649)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(598132646)グロツ・ベッケルト コマンディートゲゼルシャフト (77)
【Fターム(参考)】