説明

繊維製品用液体仕上げ剤組成物

【課題】調製直後の組成物の粘度上昇を抑制でき、且つ保存安定性の良好な新規な繊維製品用液体仕上げ剤組成物を提供すること。
【解決手段】下記の(A)、(B)及び(C)成分を含有することを特徴とする繊維製品用液体仕上げ剤組成物。
(A)少なくとも1つのエステル基を含むアミン化合物、それらの中和物及びそれらの4級化物からなる群から選ばれる1種以上のカチオン性柔軟化剤
(B)水懸濁性高分子化合物
(C)シリコーン化合物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン性柔軟化剤、水懸濁性高分子化合物、及びシリコーン化合物を含有する衣料などの繊維製品用液体仕上げ剤に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料および繊維製品は、着用・使用と洗濯・乾燥を繰り返すうちに繊維処理剤が洗い落とされることにより、繊維が本来保有している柔らかさ、嵩高さなどの風合いが損なわれたり、繊維同士の摩擦力が上昇し、繊維の損傷が促進され風合いの低下を引き起こす。
かような理由から、柔軟剤を使用することにより衣料の柔軟性を回復し、衣料を使い心地よい状態に仕上げる、という洗濯習慣が定着してはいるものの、これら従来の柔軟剤には長鎖アルキル基を有する4級アンモニウム塩や3級アミンの中和塩が用いられており、少量で各種繊維に対して良好な柔軟効果を発揮する性能を有するものであるが、繊維を油っぽい仕上がりや吸水性が悪くなるといった欠点もあり、しかも洗濯時に発生するしわを充分防止するものではなかった。
【0003】
これに対して近年、分子中に1個以上のエステル基を含むアミン化合物、それらの中和物及びそれらの4級化物、からなる群から選ばれる1種以上のカチオン性界面活性剤に、ポリ酢酸ビニルのケン化物のような水溶性高分子とシリコーン化合物を併用して、特に、衣類用乾燥機で繊維製品を乾燥する際の縮みとしわの発生を防止する提案がなされている。(特許文献1)しかし、本発明と異なり(B)成分として水溶性高分子を配合している関係からか、満足なレベルのしわ防止性を付与するためには多量の(B)成分が必要となるので、配合時の粘度上昇を抑制することが難しい。さらに又、エステル結合などをその途中に有する長鎖炭化水素基を分子中に持つ水分散性柔軟化基剤に、水分散性ビニル系高分子を併用して、繊維製品に対して柔軟性と保形性を同時に付与できる柔軟剤組成物が提案されている。(特許文献2)しかし、該組成物は、柔軟性に加えて「型崩れ防止」はできるが、しわ防止性能は達成できていない。又、柔軟化基剤濃度が5質量%を超える濃縮型柔軟剤として、分子中に1〜2個の長鎖アルキル基を有する第4級アンモニウム塩に、長鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するカチオン性モノマーを必須成分とする重合体を併用した組成物が提案されている。(特許文献3)しかしながら、特許文献2、3記載の何れの組成物にも、シリコーン化合物が積極的に併用されないため、しわ防止性は明らかに不充分である。尚、特許文献3の「発明の詳細な説明」には、配合可能な任意成分の一つとして、色素、香料、非イオン活性剤、などと並んで、「シリコーン化合物」と記載されてはいるものの、該化合物が特定されず、具体的な配合目的や効果についても、「実施例」の項も含めて、一切言及されていない。
【0004】
一方、3級アミンの塩、第4級アンモニウム化合物、もしくはシリコーン化合物から選択される柔軟化剤に対して、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリスチレンスルホン酸塩並びにスチレンスルホン酸塩と他のビニルモノマーとの共重合体、N−ビニル−2−ピロリドンおよびこれと他のビニルモノマーとの共重合体、から選択される水溶性高分子と、POEアルキルエーテル、と併用した繊維製品処理剤組成物が提案されている。(特許文献4)確かに、該組成物は繊維製品の型崩れや、伸び、縮みなど劣化した繊維製品の形態を回復させる効果を訴求してはいる。しかし、引例においては本発明と異なり、高分子化合物として、「80℃の水100gに1g加えたときに液が濁らず透明になる」水溶性高分子を用いている関係上、その効果を発現させるためには相当程度の配合量を要し、組成物を得る際にかなりの粘度上昇を伴い、極端な場合はゲル化を起こす可能性がある。
又、洗濯機の柔軟剤自動供給装置内における液体柔軟剤の乾燥に伴う凝固性を改善する目的で、カチオン性柔軟化剤に、特定のアルキレンオキシド付加型ノニオン活性剤と、低級アルキレンオキシド重合体もしくは低級アルキルイミン重合体もしくはポリビニル重合体から成る水溶性高分子とを、併用する試みもなされている。(特許文献5)しかし、該組成物はカチオン性柔軟化剤に水懸濁性ではなくあくまでも水溶性高分子を併用するものであり、更にシリコーン化合物との組合せも開示されておらず、課題効果も全く異なる。
【0005】
【特許文献1】特開2005−187987(ライオン)
【特許文献2】特開平10−219566(ライオン)
【特許文献3】特開昭64−061571(花王)
【特許文献4】特開2000−129578(花王)
【特許文献5】特許第2522659号(ライオン)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、調製直後の組成物の粘度上昇を抑制でき、且つ保存安定性の良好な新規な繊維製品用液体仕上げ剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、(A)少なくとも1つのエステル基を含むアミン化合物、それらの中和物及びそれらの4級化物からなる群から選ばれる1種以上のカチオン性柔軟化剤、
(B)水懸濁性高分子化合物、及び
(C)シリコーン化合物
を含有することを特徴とする繊維製品用液体仕上げ剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、調製直後の組成物の粘度上昇を抑制できることからハンドリング性が良く、且つ長期間保存しても粘度が上昇しないことから保存安定性も良好な新規な繊維製品用液体仕上げ剤組成物を提供することができる。本発明の組成物はまた、優れた柔軟性を付与するだけでなく、洗濯時にしわの発生を防止することができる。本発明の組成物はまた、風合いが良く適度な糊付け効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[(A)成分:エステル基含有カチオン性界面活性剤]
本発明で用いる成分(A)は、分子内にエステル基を有するカチオン性界面活性剤である。(A)成分としては、以下に示すアミン化合物、その有機または無機酸による中和物、およびその4級化物を例示することができる。これらは、いずれも1種または2種以上の混合物として用いることができる。
【0010】
【化1】

【0011】
一般式(1)〜(7)において、Rは、炭素数10〜24、好ましくは炭素数16〜20の脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基であり、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐脂肪酸から誘導される基である。このうち、炭素数16〜20の飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸から誘導される基が好ましい。
不飽和脂肪酸の場合、シス体とトランス体が存在するが、その質量比率はシス/トランス=25/75〜100/0が好ましく、40/60〜80/20が特に好ましい。Rのもととなる脂肪酸は以下のものが例示できる。ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10〜60)、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10〜60)などが挙げられる。中でも好ましいのは、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸を所定量組み合わせ、飽和/不飽和比率が95/5〜50/50(wt/wt)、シス/トランス体質量比が40/60〜80/20、炭素数18の比率が60質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸が多くて2質量、炭素数22の脂肪酸が多くて1質量%となるように調整した脂肪酸組成を用いることが好ましい。ここで、各式においてRは互いに同一であっても、またはそれぞれ異なっていても構わない。
【0012】
上記3級アミンの中和に用いる酸としては、塩酸、硫酸、メチル硫酸等が挙げられる。本発明で用いる3級アミンは塩酸、硫酸、メチル硫酸によって中和されたアミン塩の形で用いることが好ましい。その中和工程は3級アミンを予め中和したものを水に分散してもよいし、酸水溶液中に3級アミンを液状又は固体状で投入してもよい。もちろん3級アミンと酸成分を同時に投入してもよい。また、上記3級アミンの4級化に用いる4級化剤としては塩化メチルやジメチル硫酸が挙げられる。
【0013】
一般式(1)、(2)の化合物は上記脂肪酸組成物、または脂肪酸メチルエステル組成物とメチルジエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、柔軟性を良好にする観点から、(1)と(2)の化合物の存在比率は質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルやジメチル硫酸などを用いるが、後者の方がより好ましい。その際、(1)と(2)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も、柔軟性の観点から質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
【0014】
一般式(3)、(4)、(5)の化合物は上記脂肪酸組成物、または脂肪酸メチルエステル組成物とトリエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、(3)、(4)、(5)の合計質量に対する個々の成分の含有比率は、柔軟性の観点から(3)は1〜60質量%、(4)は5〜98質量%、(5)は0.1〜40質量%の比率で存在することが好ましく、(3)は30〜60質量%、(4)は10〜55質量%、(5)は5〜35質量%の比率で存在することが更に好ましい。更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルやジメチル硫酸などを用いるが、4級化反応を十分に進行させる点で、ジメチル硫酸がより好ましい。その際、(3)、(4)、(5)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も、柔軟性の観点から質量比で(3)が1〜60質量%、(4)は5〜98質量%、(5)は0.1〜40質量%の比率で存在することが好ましく、(3)は30〜60質量%、(4)は10〜55質量%、(5)は5〜35質量%の比率で存在することが更に好ましい。また、(3)、(4)、(5)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率は70/30〜99/1の質量比率のいずれであってもよい。
【0015】
一般式(6)、(7)の化合物は上記脂肪酸組成物とN−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、J.O r g.C h e m .,2 6,3 4 0 9 (1960)に記載の公知の方法で合成したN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、(6)と(7)の化合物の存在比率は質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更にその4級化物を用いる場合には塩化メチルで4級化するが、(6)と(7)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。
【0016】
本発明においては、一般式(3)、(4)、(5)の4級化物の混合物を使用するのが好ましい。
(A)成分の配合量は、好ましくは3〜40質量%であり、より好ましくは5〜20質量%である。(A)成分の配合量がこのような範囲内にあると、柔軟化効果としわ防止効果があり、且つ使用上適度な粘度に調整し易いので好ましい。(A)成分の配合量はまた、0.1〜8質量%であるのも好ましく、1〜5質量%であるのがより好ましい。(A)成分の配合量がこのような範囲内にあると、ハリ付与効果と風合い付与効果とのバランスが良い。
【0017】
[(B)成分:水懸濁性高分子化合物]
本発明で用いる水懸濁性高分子とは、固形分換算で1質量%となるように水で希釈した場合の620nmにおける可視光の透過率[%T]が30%以下である高分子である。肉眼で見ると、該水懸濁性高分子は、水に乳化分散しており、白濁した外観をもつエマルジョンである。なお、可視光透過率は、吸光光度計(例えば、日立製作所製U-1000)を用い、測定サンプルを25℃にした後に、ガラスセルに測定サンプルを満たし、純水をブランクとして波長620nmの透過率(%T)を測定することにより求められる。透過率は、調製直後の組成物の粘度上昇抑制と保存安定性の点で、10%以下であるのが好ましく、5%以下であるのがより好ましい。
本発明で用いる水懸濁性高分子は、主として炭素原子を含むモノマーから水性媒質中にて乳化重合することによって得られる。
本発明の(B)成分としては、不飽和カルボン酸と、低級脂肪酸ビニルエステル及び/又はこれらと共重合可能な単量体とを、カチオン性高分子及び/又はノニオン性高分子の存在下で重合して得た水分散性ポリマーが好ましい。
【0018】
この水懸濁性高分子を製造するのに用いる不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ソルビン酸、ケイ皮酸、α−クロロソルビン酸、シトラコン酸、p−ビニル安息香酸等のカルボン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸のような不飽和ポリカルボン酸のアルキル半エステル、部分エステル又は部分アミドがあげられる。不飽和ポリカルボン酸のアルキル半エステルの例としては、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチル等の炭素数1〜6の低級アルキル半エステルがあげられる。これらの不飽和カルボン酸のうち好ましいものとして、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸があげられる。このような不飽和カルボン酸は、全モノマー中、0.1〜20質量%の量で用いるのが好ましい。
低級脂肪酸ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の炭素数4〜8の脂肪酸ビニルエステルがあげられる。このうち、酢酸ビニルが好ましい。このような低級脂肪酸ビニルエステルは、用いる場合、全モノマー中、10〜90質量%の量で用いるのが好ましい。
【0019】
本発明で用いる、共重合可能な単量体とは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等のようなアクリル酸、メタクリル酸のアルキルエステルといった炭素数3〜10のモノカルボン酸の低級アルキル(炭素数1〜5)エステル;ジブチルマレエート、ジエチルマレエート、およびこれに相当するフマレート、イタコネート、シトラコネートなどの炭素数3〜10のα,βエチレン性不飽和ジカルボン酸のジ低級アルキル(炭素数1〜10)エステル;エチレンなどの炭素数2〜5のα−オレフィン;スチレンなどの炭素数8〜20芳香族ビニル化合物;塩化ビニルのようなハロゲン化ビニル;塩化ビニリデンのようなハロゲン化ビニリデン;アクリルアミドなどの炭素数2〜6のα,βエチレン性不飽和カルボン酸アミド及びそのN−アルキロール誘導体(例えばN−メチロールアミド);上記モノマーの混合物。これらのうち、アクリル酸又はメタクリル酸の低級アルキル(炭素数1〜5)エステルが好ましい。このような共重合可能な単量体を用いる場合、全モノマー中、5〜99質量%の量で用いるのが好ましい。
更には下記のような共重合可能なカチオン性単量体を併用することもできる。
該カチオン性単量体としては、以下のようなものがあげられる。
【0020】
【化2】

【0021】
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2〜R4は同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、R5〜R7は同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基、X-は一価の陰イオンを表す。)
このうち、以下の式で表されるカチオン性単量体が好ましい。
【0022】
【化3】

【0023】
このようなカチオン性単量体は、用いる場合、全モノマー中、0.5〜10質量%の量で用いるのが好ましい。
【0024】
乳化重合に用いる乳化剤としてのカチオン性高分子としてはカチオン性セルロース、カチオン性でんぷん、カチオン性ビニル重合体等があげられる。又、乳化重合に用いる乳化剤としてのノニオン性高分子としてはポリ酢酸ビニルを70〜100%ケン化したポリビニルアルコール、ヒドロキシエチル化でんぷん、ヒドロキシプロピル化でんぷんの如き化工でんぷん、ヒドロキシエチルセルロース誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース誘導体等があげられる。いずれの高分子も、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が1000〜1000000の範囲にあるものを使用するのが、乳化分散力の点で好ましい。これらカチオン性高分子、ノニオン性高分子のうち、好ましいのはカチオン性デンプン、カチオン性セルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース誘導体であり、特に好ましいのはポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース誘導体である。
カチオン性高分子及び/又はノニオン性高分子は、全モノマーに対して0.5〜10質量%の量で用いるのが好ましい。
【0025】
本発明の(B)成分は、不飽和カルボン酸(a)と、低級脂肪酸ビニルエステル(b)及び/又はこれらと共重合可能な単量体(c)とを、a/(b+c)の比で1/100〜1/4で用いるのが好ましく、特に好ましくは1/20〜1/5で共重合して得た水懸濁性ポリマーが好ましい。このような比であると水懸濁性高分子として得られ、液体仕上げ剤組成物を調製する際の粘度上昇が小さく、しかも保存安定性の良い液体仕上げ剤組成物を得ることができる。
本発明で使用できる水懸濁性高分子は、公知の方法、例えば乳化重合により製造することができる。乳化重合を行う際の水性媒質、開始剤、重合温度等の条件は当業者であれば適宜選択することができる。
本発明で使用できる水懸濁性高分子の重量平均分子量は、1000〜6000000であるのが好ましく、5000〜1000000であるのがより好ましい。重量平均分子量がこのような範囲にあると、しわ抑制性能が高く好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミケイションクロマトグラフィーにより測定することができる。
本発明で使用できる水懸濁性高分子の平均粒子径は、0.1〜1.0μmであるのが好ましく、0.4〜0.8μmであるのがより好ましい。平均粒子径がこのような範囲にあると、調製直後の組成物の粘度上昇を抑制でき、且つ保存安定性が良好であり好ましい。なお、平均粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
本発明で使用できる(B)水懸濁性高分子は、室温、常圧にて、皮膜を形成することができる。皮膜を形成することでしわ抑制効果もしくはハリ付与効果を発現し易い。
【0026】
(B)成分の水懸濁性高分子配合量は、0.1〜5質量%であるのが好ましく、より好ましくは0.5〜3質量%である。このような範囲にあると、シワ防止効果と柔軟性とのバランスが良い。(B)成分の配合量はまた、3〜30質量%であるのも好ましく、より好ましくは5〜20質量%である。このような範囲にあると、ハリ付与効果と風合い効果とのバランスが良い。30質量%を超えて(B)成分を配合すると、液体仕上げ剤組成物の配合時に粘度上昇が過大になる危険性がある。
【0027】
[(C)成分:シリコーン化合物]
本発明で用いる(C)成分としては、変性、未変性いずれのシリコーンも用いることができるが、未変性ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン、アミノ・ポリエーテル変性シリコーン、アミド変性シリコーン、アミド・ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルキル・ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、から選ばれるシリコーンが好ましく、ポリエーテル変性シリコーン及びジメチルシリコーンがより好ましい。特に好ましくはポリエーテル変性シリコーンである。
【0028】
変性シリコーンの場合、シロキサン骨格に対する各種変性基の変性部位は、側鎖の部分でも、主鎖を部分的に分断しているものなどいずれでも良いが、側鎖に変性基を有するものがより好ましい。また、いずれの場合も主鎖の最末端はメチル基、ヒドロキシル基、水素原子であることが好ましい。
中でも下記一般式(I)で示されるポリエーテル変性シリコーンが最も好ましい。
【0029】
【化4】

【0030】
式(I)中、−Zは、それぞれ独立に−R、−O−R、−OH、−O−X−R、−O−X−Hであり、Rは同一でも異なっていてもよく、いずれも飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭素数1〜4の炭化水素基である。−Zとしては、−R、−OHが好ましく、Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和炭化水素基(アルキル基)が好ましく、中でもメチル基が好ましい。
Xはポリオキシアルキレン基である。具体的には、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン基等があげられ、これらのうちの1種が付加したものであってもよく、あるいはオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、またはオキシブチレン単位などの異なった種類のオキシアルキレン基がブロック状あるいはランダムに配列したものであってもよい。但し、いずれの場合であっても、X中のポリオキシエチレン鎖部分の質量割合は、分子全体の質量を基準として10〜50質量%が好ましく、さらに好ましくは15〜45質量%であり、さらに好ましくは20〜35質量%である。
【0031】
−Yは、−R1−O−X−R2または−O−X−R2であり、R1は炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、R2は水素原子または炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基である。ここで、R1は、炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、これらの中でもメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などの飽和炭化水素基(アルキレン基)が好ましく、中でもプロピレン基が特に好ましい。R2は、水素原子又は炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、これらの中でも水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和炭化水素基(アルキル基)が好ましい。特に好ましいR2は、水素原子又はメチル基である。
Lは0〜50、Mは1〜1000、Nは10〜10000である。いずれも各繰返し単位の数の平均値を表す。ただし、ポリオキシアルキレン基X中のポリオキシエチレン鎖部分の質量割合は、分子全体の質量を基準として10〜50質量%である。Lは0〜50、好ましくは0〜10、さらに好ましくは0〜3であり、Mは1〜1000、好ましくは1〜300、さらに好ましくは1〜50であり、Nは10〜10000、好ましくは20〜3000、更に好ましくは20〜500である。上記一般式(I)で表される変性シリコーンは、各繰返し単位がブロック状に配列しているブロックコポリマーの構造を有するものであってもよく、あるいは、各繰返し単位がランダムに配列しているランダムコポリマーの構造を有するものであってもよい。
【0032】
上記一般式(I)で表される変性シリコーンの製造方法は、特に限定されるものではない。ポリオキシアルキレン基を有するシリコーンは、Si−H基を有するシリコーンとポリオキシアルキレンまたは炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンとの付加反応により製造することができる。製造の際、ポリオキシアルキレンまたは炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレン、環状シリコーンなどの未反応原料、エタノール、イソプロピルアルコールなどの製造時に用いる溶剤、白金系などの触媒が微量残存するが、本発明の効果に影響を与えない。
本発明の(C)成分として使用する変性シリコーンは、その分子量が特に制限されるものではないが、重量平均分子量は500〜1,000,000が好ましく、より好ましくは1,000〜100,000の範囲である。このような範囲にあると、乾燥時にできるしわを防止する効果が増大し、また、本発明組成物を製造する際のハンドリング性が良好であるので好ましい。
【0033】
本発明で用いることができるポリエーテル変性シリコーンとして商業的に入手可能な具体例としては、東レ・ダウコーニング(株)製のSH3772M、SH3775M、SH3748、SH3749、SF8410、SH8700、BY22−008、SF8421、SILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7602、SILWET L−7604、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2120、SILWET FZ−2161、SILWET FZ−2162、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2171、ABN SILWET FZ−F1−009−01、ABN SILWET FZ−F1−009−02、ABN SILWET FZ−F1−009−03、ABN SILWET FZ−F1−009−05、ABN SILWET FZ−F1−009−09、ABN SILWET FZ−F1−009−11、ABN SILWET FZ−F1−009−13、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−2222、信越化学工業(株)製のKF352A、KF6008、KF615A、KF6016、KF6017、GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0034】
本発明の組成物における上記(C)成分の配合量は、特に制限されるものではなく、通常、組成物全量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、更に好ましくは0.2〜10質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%配合することができる。このような範囲にあると、前記の(A)成分及び(B)成分との併用効果がより発現し易く、繊維製品に対して高レベルの柔軟性とシワ防止効果が増大するか、或いは風合いを維持しつつハリ付与効果を達成でき、しかも使用に適した組成物の粘度が得られるので好ましい。
【0035】
[任意成分(D):ノニオン性界面活性剤]
さらに、本発明には液体仕上げ剤組成物を、保存経日によっても安定なエマルジョンとして保持するため、上記成分に加えて、ノニオン性界面活性剤を併用することがより望ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、オキシアルキレン基が平均2〜100モル付加されたものがより好ましい。特に、下記一般式(II)で表されるノニオン性界面活性剤が好ましい。
R1−T−[(R2O)p−H]q (II)
(式中、R1は、炭素数10〜18、好ましくは12〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R2は炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。pは平均付加モル数であり、2〜100、好ましくは5〜70の数を示す。Tは−O−、−N−、−NH−、−N(C2H4OH)−、−CON−、−CONH−又はCON(C2H4OH)−であり、Tが−O−、−NH−、−N(C2H4OH)−、−CONH−、又は−CON(C2H4OH)−の場合は、qは1であり、Tが−N−又は−CON−の場合は、qは2である。)
【0036】
上記一般式(II)の化合物の具体例として、下記一般式(III)、(IV)で表される化合物を挙げることができる。
R1−O−(C2H4O)r−H (III)
(式中、R1は前記と同じ意味であり、rは平均付加モル数であり、2〜100、好ましくは5〜70の数である。)
R1−O−(C2H4O)s(C3H6O)t−H (IV)
(式中、R1は前記と同じ意味であり、s及びtは平均付加モル数であり、sは2〜100、好ましくは5〜70の数であり、tは1〜20、好ましくは1〜10の数である。(C2H4O)と(C3H6O)はランダム又はブロック付加体であってもよい。)
【0037】
ノニオン性界面活性剤を含有することにより、液体柔軟剤組成物の保存安定性が一層向上するので好ましい。その配合量は、組成物の全質量に対して、0.1〜15質量%とするのがよく、特に0.5〜10質量%、更に1〜5質量%が好ましい。このような配合量とすることにより、保存安定性の向上効果を充分なものとすることができ、かつ、効果が飽和に達した際の余分な添加を抑えて経済性を図ることが可能となり、さらに柔軟処理時の余分な泡立ちを抑制する点からも、好ましいものとすることができる。
【0038】
本発明組成物はさらに、通常液体仕上げ剤組成物に含まれるその他の成分を含有することができる。具体的には、水、水溶性溶剤、無機又は有機の水溶性塩類、香料、酸化防止剤、抗菌剤、染料、消泡剤、消臭剤、スキンケア成分などを含有することができる。
【0039】
[任意成分:水]
本発明組成物は、好ましくは水性組成物であり、使用水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水など、いずれも用いることができるが、水中に微量に存在するカルシウム、マグネシウムなどの硬度成分や鉄などの重金属を除去した水が好ましく、コストも考慮してイオン交換水が最も好ましい。
【0040】
[任意成分:水溶性溶剤]
一方、シリコーン化合物の水性液体中への溶解性を向上させる等の目的で水溶性溶剤を併用することが好ましい。水溶性溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、及び下記一般式(V)で表わされる化合物、から選ばれる水溶性溶剤が好ましい。
3−O−(C24O)y−(C36O)z−H (V)
(式中、R3は、炭素数1〜8、好ましくは2〜6のアルキル基又はアルケニル基である。y及びzは平均付加モル数であり、yは2〜50、好ましくは2〜30、zは0〜50、好ましくは0〜20の数を示す。)
中でも好ましい例としては、エタノール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノプロピレングリコールモノブチルエーテル[C49(C36O)(C24O)2H]等が挙げられる。
これらの成分の配合量は、組成物の全質量を基準として、0.1〜30質量%とするのがよく、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%とすることができる。
【0041】
[任意成分:香料組成物]
香料としては特に限定されないが、使用できる香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994 )および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
【0042】
[任意成分:酸化防止剤]
本発明では、組成物の香気安定性や色調安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、一般に知られている天然系酸化防止剤、合成系酸化防止剤ともに使用できる。具体的には、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、没食子酸プロピルの混合物、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、没食子酸プロピル、及びクエン酸の混合物、ハイドロキノン、三級ブチルハイドロキノン、天然のトコフェロール系化合物、没食子酸の長鎖エステル(C8〜C22)、例えば没食子酸ドデシル、チバスペシャルティケミカル(株)から入手可能なイルガノックス系化合物、クエン酸及び/またはクエン酸イソプロピル、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(エチドロン酸)、4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンスルホン酸/ナトリウム塩、ジメトキシフェノール、カテコール、メトキシフェノール、カロチノイド、フラン類、アミノ酸類等が挙げられる。
この中で、液体仕上げ剤組成物の外観や保存安定性の観点から、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、メトキシフェノール、トコフェロール系化合物等が好ましい。
酸化防止剤の配合量は、0.01〜1質量%の範囲で使用されることが好ましい。
【0043】
[任意成分:防腐剤]
防腐剤は、主に長期保存中の防腐性を保つために使用し、具体的には、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールなどが挙げられる。イソチアゾロン系の有機硫黄化合物の例としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、およびそれらの混合物があげられる。より好ましい防腐・殺菌剤は、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物であり、さらに好ましくは約77%の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと約23%の2−メチル-4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物である。また、ベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物の例としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンなどがあげられ、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)なども使用できそれらを任意の混合比で使用することができる。このうち1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。安息香酸類の例としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル等を挙げることができ、防腐剤の配合量は、組成物全体に対して、0.0001〜1質量%である。
【0044】
[任意成分:染料]
染料の添加は任意であり、添加するとしても特に限定されない。染料を添加する場合は、添加の容易さから水溶性染料が好ましく、中でも酸性染料、直接染料から選ばれる水溶性染料の1種又は2種以上であることが好ましい。添加できる染料の具体例は、例えば染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善(株))、染料ノート第22版((株)色染社)、法定色素ハンドブック(日本化粧品工業連合会編、1988年11月28日発行、(株)薬事日報社)等に記載されている。染料の配合量は、組成物の全質量を基準として、好ましくは0.01〜50ppm、より好ましくは0.1〜30ppmとすることができる。このような配合量とすることにより、液体柔軟剤組成物に着色された色が非常に薄くなるのを防止でき、着色効果を充分なものとすることができる一方で、液体柔軟剤組成物に着色された色が濃くなりすぎるのを防止できる。
【0045】
[任意成分:消泡剤、その他添加成分]
消泡剤としては、例えば、シリカ等の微粉を含有するジメチルシリコーン等のシリコーン系消泡剤、アルコール系消泡剤、エステル系消泡剤、鉱油系消泡剤、植物油系消泡剤、及び合成油系消泡剤等が挙げられるが、液体仕上げ剤計量時の泡立ちを抑えて計量性を向上させる観点からシリコーン系の消泡剤が好ましい。シリコーン系消泡剤としては、オイル型消泡剤、コンパウンド型消泡剤、自己乳化型消泡剤、エマルション型消泡剤、粉末型消泡剤及び固形型消泡剤等が挙げられ、この中でも、自己乳化型消泡剤及びエマルション型消泡剤が好ましい。消泡剤の配合量は特に限定されないが、組成物の全質量を基準として、0.1ppm〜1質量%とすることができ、さらに好ましくは1ppm〜0.05質量%とすることができる。その他の添加剤として、食塩、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム等の水溶性塩、流動パラフィン、高級アルコールなどの油剤、尿素、炭化水素、非イオン性セルロース誘導体、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、後述するpH調整剤等が挙げられる。
【0046】
[pH、粘度]
本発明の液体仕上げ剤組成物のpHは特に限定されないが、保存経日に伴う(A)成分の分子中に含まれるエステル基の加水分解を抑制する目的で、pHを1〜6の範囲に調整することが好ましく、2〜4の範囲であることがより好ましい。pH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
本発明の液体仕上げ剤組成物の粘度は特に限定されないが、容器からの排出性、洗濯機への投入の際のハンドリング性等の点から、1000mPa・s(B型粘度計、TOKIMEC社製、25℃、以下同様)以下であることが好ましく、保存経日による粘度上昇を考慮すると、配合直後の粘度は5〜50mPa・sであるのがより好ましい。このような範囲にあると、前記の使用性が良好であるので好ましい。本発明の液体柔軟剤組成物の粘度をコントロールする目的で、無機又は有機の水溶性塩類を用いることができる。具体的には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム等を用いることができるが、中でも塩化カルシウム、塩化マグネシウムが好ましい。これらの水溶性塩類は液体仕上げ剤組成物中に0〜1%程度配合でき、液体仕上げ剤組成物製造のどの工程で配合しても構わない。
【0047】
[配合方法]
本発明の液体仕上げ剤組成物は、上記(A)、(B)、(C)成分、及び(D)成分と必要により任意成分を含有し、通常、残部は水である。具体的には、上記各成分を容器に充填し、これを十分に撹拌した後に水を添加して均一になるまで十分に撹拌することにより製造することができる。これらの成分の添加は、一緒に又は任意の順序で行うことができるが、例えば、(A)成分を撹拌した後、水を添加して撹拌し、次いで、(B)、(C)及び(D)成分を添加・撹拌することにより液体仕上げ剤組成物を製造することができる。
【0048】
[繊維製品への使用方法]
本発明の液体仕上げ剤組成物の使用方法は特に限定されないが、例えば洗濯のすすぎの段階ですすぎ水に本発明の組成物を溶解させて処理を行ったり、たらいのような容器を用い本発明の組成物を水に溶解させ、更に衣料を入れて浸漬処理する方法があるが、その場合は適度な濃度に希釈して使用される。その場合、浴比(繊維製品に対する処理液の重量比)は3〜100倍、特に5〜50倍であることが好ましい。具体的には、柔軟処理を行う際は、全使用水量に対し、(A)成分の濃度が5ppm〜1000ppmとなるような量で使用するのが好ましく、さらに好ましくは10ppm〜300ppmとなるような量で使用され、(B)成分と(C)成分の濃度は夫々1ppm〜100ppmとなるような量で使用するのが好ましく、さらに好ましくは3ppm〜30ppmとなるような量で使用される。一方、ハリ付与処理を行う場合は、(A)成分と(C)成分の濃度は夫々1ppm〜100ppmとなるような量で使用するのが好ましく、さらに好ましくは3ppm〜30ppmとなるような量で使用され、(B)成分の濃度は10ppm〜1000ppmとなるような量で使用するのが好ましく、さらに好ましくは30ppm〜300ppmとなるような量で使用される。
別の使用方法として、トリガー容器やディスペンサー容器、エアゾール缶などに充填し、繊維製品に直接噴霧して使用することができる。その場合、(A)、(B)、(C)各成分の配合量は、上記の希釈後の濃度レベルに設定される。
【実施例】
【0049】
本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。以下、「質量%」は「%」と略記する。
本発明に用いた(A)成分について示す。
(a−1)の合成
a−1−1.メチルエステルの合成
オレイン酸メチル75質量%、リノール酸メチル16質量%およびステアリン酸メチル9質量%よりなるパーム脂肪酸メチル(ライオン株式会社製、パステルM182、分子量296)2.5kgと市販の安定化ニッケル触媒2.5g(0.1%/脂肪酸メチル)を4Lのオートクレーブに仕込み、窒素ガス置換を3回行った。ついで、回転数を800rpmにあわせ、温度185℃で約77Lの水素ガスを導入した。導入した水素が完全に消費されたら、冷却し、濾過助剤を使用して触媒を除き、水素添加したパーム脂肪酸メチルを得た。該水素添加反応前後でヨウ素価は約90から55に変化した。一方、ケン化価より求めた水素添加反応後の分子量は297であった。ガスクロマトグラフィー(以下、GC)で求めた脂肪酸メチル組成は、ステアリン酸メチル36%、エライジン酸メチル(トランス体)36%、オレイン酸メチル(シス体)28%、リノール酸メチル0%であり、不飽和脂肪酸メチルエステルのシス/トランス比率は43/57(質量比)であった。尚、不飽和アルキル基は、GCにより次の方法で測定した。
【0050】
機種 :日立ガスクログラフG−3000(FID検出器)
カラム:GLサイエンスTC−70(内径0.25mm×長さ30cm)
測定条件:カラム温度150℃→230℃、昇温速度:10℃/min.、インジェクターおよびディテクター温度240℃、カラム圧力1.0kgf/cm2
【0051】
a−1−2.アルカノールアミンエステルとその4級化物の合成
上記(a−1−1)で調製した水素添加したパーム脂肪酸メチル489g(1.65モル)にステアリン酸メチル137g(0.46モル)とパルミチン酸メチル156g(0.58モル)を混合した脂肪酸メチルエステル(脂肪酸メチルの飽和/不飽和質量比=60/40、炭素数質量比;C16=20%、C18=80%)と、トリエタノールアミン250g(1.67モル)、酸化マグネシウム0.51g、14%水酸化ナトリウム水溶液3.69gを攪拌器、冷却器、温度計および窒素導入管を備えた2Lの4つ口フラスコに入れ、窒素置換を行った後、窒素を0.52L/minの流量で流しておいた。1.5℃/minの速度で190℃まで昇温して、6時間反応させた。未反応メチルエステルが1%以下であることを確認し、反応を停止した。得られた生成物から触媒由来である脂肪酸塩をろ過除去し、中間体のアルカノールアミンエステルを得た。アミン価を測定し、分子量を求めると582であった。
得られたアルカノールアミンエステル270g(0.46モル)を温度計、滴下ロート、冷却機を備えた4つ口フラスコに入れ窒素置換した。次いで85℃に加熱し、ジメチル硫酸57.4g(0.45モル)を1時間にわたり滴下した。滴下終了後、温度を90℃に保ち、1時間攪拌した。反応終了後、約62gの未変性エタノール(日本エタノール(株))を滴下しながら冷却し、エタノール溶液を調製し、最後にフェリオックスCY−115(ライオン(株))と、ジブチルヒドロキシトルエン(住友化学工業(株))を夫々100ppmの濃度になるように添加した。得られた反応生成物にはモノエステルアンモニウム塩/ジエステルアンモニウム塩/トリエステルアンモニウム塩が28/53/19(質量比)で含まれていた。このエタノール溶液中には、4級化されていないモノエステルアミンとジエステルアミンとトリエステルアミンが合計で9.0%含まれており、その比率は1/9/90(質量比)で存在していた。さらに副生成物として、両性化合物が2.0%含まれていた。
(a−2)
ARMOSOFT TEQ-E (AKZO NOBEL社製、トリエタノールアミン長鎖脂肪酸エステルメチルサルフェート4級アンモニウム塩、有効成分85%)をそのまま用いた。尚、長鎖脂肪酸残基の炭素数分布は、C16:30%、C18:20%、C18F1:45%、C18F2:5%であり、モノエステル/ジエステル/トリエステルの質量比=25/60/15、シス/トランス体質量比=90/10である。
【0052】
本発明に用いた(B)成分として、実施例に配合した(b−1)〜(b−4)は下記の通り合成して用いた。尚、得られたエマルジョンの平均粒子径と可視光透過率の測定は下記の方法に従った。
<平均粒子径の測定方法>
固形分換算で0.1%に希釈した測定試料を25℃にした後に、島津レーザ回折式粒度分布測定装置SALD−300V(島津製作所製、動的光散乱法)を用いて測定した。
<可視光透過率測定方法>
可視光透過率の測定は吸光光度計(日立製作所製U-1000)を用いて行った。固形分換算1%に希釈した測定試料を25℃にした後に、ガラスセルに液を満たし、純水をブランクとして波長620nmの透過率(%T)を測定値とした。
【0053】
(b−1)高分子A
窒素導入管、攪拌機、モノマーの定量滴下装置、温度計、還流冷却器を取り付けた5つロセパラブルフラスコにカチオン化セルロースを最終エマルジョンに対し1%となる様にイオン交換水と共に加え80℃にて溶解し、60℃に冷却してから酢酸ビニル10重量部とカチオン性単量体(下記構造式(VI)記載)を10重量部、メタクリル酸2重量部を加え、更に2,2’−アゾビス(2−アミジノシクロプロパン)塩酸塩0.07重量部を5%水溶液として添加した後、エタノール5部を加え70℃に昇温して重合を開始した。開始後20分に、2,2’−アゾビス(2−アミジノシクロプロパン)塩酸塩0.05重量部を5%水溶液で添加し、酢酸ビニル90重量部とメタクリル酸12重量部の混合物を300分間にわたり連続して滴下した。得られたエマルジョンの固形分が40%となる様にイオン交換水で調整した。得られたエマルジョン粒子の平均粒子径は1.8μm、可視光透過率は0.0%であった。
【0054】
【化5】

【0055】
(b−2)高分子B
前述の高分子Aの製法において、メタクリル酸をクロトン酸に、カチオン化セルロースをカチオン化デンプンに置換して、同様に調製したものである。
得られたエマルジョンは、平均粒子径1.6μm、可視光透過率は0.0%であった。
【0056】
(b−3)高分子C
【0057】
【表1】

【0058】
を仕込んだ重合缶に滴下しながら開始剤にブチルパーオキサイドの酸化剤と亜硫酸ソーダの還元剤のレドックス系開始剤を用いて重合温度45℃で乳化重合を行った。
得られたエマルジョンの固形分が40%となる様にイオン交換水で調整した。
又、得られたエマルジョンは、粒子径1.4μm、可視光透過率は0.1%であった。
【0059】
(b−4)高分子D
【0060】
【表2】

を仕込んだ重合缶に滴下しながら開始剤にブチルパーオキサイドの酸化剤と亜硫酸ソーダの還元剤のレドックス系開始剤を用いて重合温度45℃で乳化重合を行った。
得られたエマルジョンの固形分が40%となる様にイオン交換水で調整した。
得られたエマルジョンは、平均粒子径1.8μm、可視光透過率は0.1%であった。
【0061】
(b−5):比較例に用いた水溶性高分子の代表として、ポリビニルアルコール完全ケン化物(クラレ(株)製、PVA124、重量平均分子量:約11万、可視光透過率99%)を用いた。
(b−6):比較例に用いた水溶性高分子の代表として、ポリビニルピロリドン(BASF社製、ルビスコールK30、重量平均分子量:約4万、可視光透過率99%)を用いた。
以上の供試高分子の性状を別紙表1に纏めて示す。
【0062】
【表3】

【0063】
[(C)成分:シリコーン化合物]
以下本発明で用いた(C)成分について示す。
(c−1):ポリエーテル変性シリコーン
(c−2):ポリエーテル変性シリコーン
(c−3):メチルポリシロキサン(SH200−30,000cs:東レ・ダウコーニング社製)
【0064】
一方、(c−1)、(c−2)は次の様に合成した。すなわち、攪拌装置、凝縮機、温度計および窒素挿入口を備えた1Lの4つ口フラスコに、下記のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを100g、イソプロピルアルコールを50g、ポリオキシアルキレン化合物を11g、付加反応用触媒を0.2g、2%酢酸ナトリウムのイソプロピルアルコール溶液を0.3g投入して、これらを窒素雰囲気下、90℃で3時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去することにより(c−1)、(c−2)を得た。
・用いたオルガノハイドロジェンポリシロキサン
【0065】
【化6】

【0066】
(c−1)の場合、α=70、β=3
(c−2)の場合、α=210、β=9
・用いたポリオキシアルキレン化合物
CH2=CHCH2O−(C2H4O)10−γ
(c−1)の場合、γ=H
(c−2)の場合、γ=CH3
【0067】
【表4】

【0068】
【表5】

【0069】
[任意成分:その他成分]
・粘度調整剤:塩化カルシウム(トクヤマ(株)製)。
・水溶性溶剤:エチレングリコール(三菱化学(株)製)、エタノール(95%合成未変性エタノール、日本合成アルコール(株)製)。
・抗菌剤:イソチアゾロン液(Roam&Haas社製、ケーソンCG/ICP)、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール(BASF社製、Protect BN)。
【0070】
[液体仕上げ組成物の配合方法例]
下記の配合方法に従って、表4記載の実施例1〜19及び比較例1〜7の液体仕上げ剤組成物各1,000gを調製して、評価に供した。
<配合方法>
(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を用い、表4に示す組成に従って液体柔軟剤組成物を調製した。
液体柔軟剤組成物は、内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(アジターSJ型、(株)島津製作所製)を用い、次の手順により調製した。まず、(A)成分、(C)成分、(D)成分、エタノール及び香料を混合攪拌して、油相混合物を得た。一方、塩化カルシウム、エチレングリコール及びイソチアゾロン液をバランス用精製水に溶解させて水相混合物を得た。ここで、バランス用イオン交換水の質量は、990gから油相混合物と塩化カルシウム、エチレングリコール及びイソチアゾロン液の合計質量を差し引いた残部に相当する。次に、(A)成分の融点以上に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、(A)成分の融点以上に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌した。ここで、水相混合物の分割比率は35:65(質量比)とし、攪拌は回転速度1,000rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。その後、(B)成分を添加し、攪拌した。必要に応じて、塩酸(試薬1mol/L、関東化学(株)製)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学(株)製)を適量添加してpH3.0に調整し、更に全体質量が1000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の液体柔軟剤組成物を得た。
【0071】
[ハリ付与剤組成物の配合方法例]
下記の配合方法に従って、表5記載の実施例14〜19及び比較例5〜7の液体仕上げ剤組成物各1,000gを調製して、評価に供した。
<配合方法>
(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を用い、表5に示す組成に従って液体ハリ付与剤組成物を調製した。
液体ハリ付与剤組成物は、内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(アジターSJ型、(株)島津製作所製)を用い、次の手順により調製した。まず、(A)成分、(C)成分、(D)成分、エタノール及び香料を混合攪拌して、油相混合物を得た。一方、塩化カルシウム、エチレングリコール及びProtect BNをバランス用精製水に溶解させて水相混合物を得た。ここで、バランス用イオン交換水の質量は、990gから油相混合物と塩化カルシウム、エチレングリコール及びProtect BNの合計質量を差し引いた残部に相当する。次に、(A)成分の融点以上に加温した水相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、(A)成分の融点以上に加温した油相混合物を5分間かけて添加し、その後2分間攪拌した。攪拌は回転速度1,000rpmで行った。その後、(B)成分を添加し、攪拌した。必要に応じて、塩酸(試薬1mol/L、関東化学(株)製)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学(株)製)を適量添加してpH3.0に調整し、更に全体質量が1000gになるようにイオン交換水を添加して、目的のハリ付与剤組成物を得た。
【0072】
[液体仕上げ剤組成物の評価方法]
(1)配合直後の増粘抑制効果
液体柔軟剤組成物を内容積100mLのガラス容器に収納し、評価用サンプルとした。評価は、サンプルを25℃に保持した後、B型粘度計(TOKIMEC社製BL粘度計、回転数30回転/分、No.2ロータ使用)で20秒後の粘度を測定し、以下の基準に従って判定を行った。商品価値上、○以上を合格とした。
<判定基準>
◎:(B)成分添加後粘度/(B)成分添加前粘度≦2.0。
○:2.0<(B)成分添加後粘度/(B)成分添加前粘度≦5.0。
×:5.0<(B)成分添加後粘度/(B)成分添加前粘度。
【0073】
(2)保存安定性
液体仕上げ剤組成物を内容積100mLのガラス容器に収納して密閉し、評価用サンプルとした。評価は、サンプルを50℃で1ヶ月保持した後、25℃に冷却した後、外観の評価を以下の基準に従って行った。商品価値上、○以上を合格とした。
<判定基準>
◎:保存前と比較して変化が認められない。
○:保存前と比較して粘度の上昇が認められるが、流動性は充分にあり容器から
は容易に排出される。
×:粘度が上昇して容器からの排出が困難、又は組成物に相分離が認められる。
【0074】
(3)しわ防止性能(形態安定ワイシャツ)
下記の方法に従って、前処理洗浄した後アイロン掛けして形を整えた、市販の形態安定ワイシャツ(ファインブロードヘアラインシャツ、綿100%、ユニクロ社製)を合計1.0kgをたたんで洗濯ネットに入れ、市販洗剤「トップ」(ライオン(株)製)15gを使用し、電気洗濯機(三菱電機(株)製CW-C30A1-H)の標準コースで10分間、25℃、浴比30倍、の条件にて洗浄した。3分間ためすすぎを行った後、衣類をネットから出し、すすぎ2回目に柔軟剤組成物を水量30Lに対して6.6mL加えて浴比20倍で、3分間衣料の柔軟仕上げ処理を行い、30秒間脱水した。洗浄、すすぎの各工程間で脱水を1分間行った。その後、3回ふりさばき、ハンガーに形を整えてつり干しし、20℃、45%RH恒温調湿室で乾燥させた。1日乾燥後、専門パネラー1人が「しわレプリカ」(AATCC;American Association of Textile Chemists and Colorists 試験法準拠)を用いてワイシャツの後ろ身頃のしわ状態の評点付け(1点〜5点)を行った。同様に処理した5枚のシャツの評点を合計し、以下の基準に従って判定を行った。商品価値上、○以上を合格とした。
<判定基準>
◎:19点以上。
○:16点以上19点未満。
△:13点以上16点未満。
×:13点未満。
<前処理条件>
洗浄(「トップ」標準使用量、水温50℃、15分、浴比30倍)を2回行った後、流水すすぎを15分間×5回行った。(各洗浄、すすぎ間には全て5分間脱水した。)
【0075】
(4)柔軟性
前処理洗浄した綿タオル(東進(株)製)1.0kgを市販洗剤「トップ」(ライオン(株)製)の標準量を使用し、電気洗濯機(三菱電機(株)製CW-C30A1-H)の標準コース、浴比30倍、25℃、水道水にて10分間洗浄した。3分間のすすぎに続いて、すすぎ2回目に浴比20倍で、柔軟剤組成物を水量に対して6.6mL添加して、3分間衣料の柔軟仕上げ処理を行った。洗浄、すすぎの各工程間で脱水を1分間行った。その後、20℃、45%RHの恒温調湿室で乾燥させ、パネラー5人による市販柔軟剤「しわスッキリソフラン」(ライオン(株)製)を標準使用量用いて処理した綿タオルを標準品として官能により一対比較評価し、供試柔軟剤組成物の柔軟性を評価した。
5点:標準品より明らかにやわらかい。
4点:標準品よりやややわらかい。
3点:標準品と同等。
2点:標準品よりやややわらかくない。
1点:標準品より明らかにやわらかくない。
<判定基準>
パネラー5人の点数を合計し、以下の基準に従って判定を行った。商品価値上、○以上を合格とした。
◎:19点以上。
○:13点以上19点未満。
△:7点以上13点未満。
×:7点未満。
【0076】
(5)ハリ付与効果
前処理洗浄した綿ブロード#60(20cm×80cm)を市販洗剤「トップ」(ライオン(株)製)の標準量を使用し、電気洗濯機(三菱電機(株)製CW-C30A1-H)の標準コース、浴比30、25℃にて10分間洗浄した。3分間のすすぎに続いて、すすぎ2回目にハリ付与剤組成物を水量30Lに対して6.6ml加えて浴比20で、3分間衣料の柔軟仕上げ処理を行い、15秒間脱水した。洗浄、すすぎの各工程間で脱水を1分間行った。その後、20℃、45%RHの恒温調湿室で乾燥させた。乾燥後、各布にアイロン(中温、ドライ)をかけ、20℃、40%RHの恒温調湿室にて30分以上放置後、パネラー5人により水のみで処理したものを対照品として官能により一対比較評価し、供試ハリ付与剤組成物のハリ付与効果を評価した。
5点:対照品より明らかにハリを有する。
4点:対照品よりややハリを有する。
3点:対照品と同等。
2点:対照品よりややハリを有しない。
1点:対照品より明らかにハリを有しない。
<判定基準>
パネラー5人の点数を合計し、以下の基準に従って判定を行った。商品価値上、○以上を合格とした。
◎:19点以上。
○:13点以上19点未満。
△:7点以上13点未満。
×:7点未満。
【0077】
(6)風合い
上記ハリ付与効果評価布について、パネラー5人により水のみで処理したものを対照品として官能により一対比較評価し、供試ハリ付与剤組成物の風合いを評価した。
5点:対照品に比べ明らかに滑らかさがあり、有意に好ましい風合いである。
4点:対照品に比べ多少滑らかさがあり、好ましい風合いである。
3点:対照品と同等。
2点:対照品に比べ多少ガサツキ感があり、やや好ましくない風合いである。
1点:対照品に比べガサツキ感が強く、有意に好ましくない風合いである。
<判定基準>
パネラー5人の点数を合計し、以下の基準に従って判定を行った。商品価値上、○以上を合格とした。
◎:19点以上。
○:13点以上19点未満。
△:7点以上13点未満。
×:7点未満。
〔結果〕
【0078】
【表6】

【0079】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)、(B)及び(C)成分を含有することを特徴とする繊維製品用液体仕上げ剤組成物。
(A)少なくとも1つのエステル基を含むアミン化合物、それらの中和物及びそれらの4級化物からなる群から選ばれる1種以上のカチオン性柔軟化剤
(B)水懸濁性高分子化合物
(C)シリコーン化合物
【請求項2】
(B)成分が、不飽和カルボン酸と、低級脂肪酸ビニルエステル及び/又はこれらと共重合可能な単量体とを、カチオン性高分子及び/又はノニオン性高分子の存在下で重合して得られる水懸濁性高分子化合物である請求項1記載の繊維製品用液体仕上げ剤組成物。
【請求項3】
(C)成分のシリコーン化合物がポリエーテル基を分子内に含有するシリコーン化合物である請求項1又は2に記載の繊維製品用液体仕上げ剤組成物。
【請求項4】
更に、(D)成分としてノニオン性界面活性剤を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維製品用液体仕上げ剤組成物。

【公開番号】特開2008−57076(P2008−57076A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235890(P2006−235890)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】