説明

織機における製織方法及び製織装置

【課題】異なる製織条件で製織された2以上の製織部分を含む織物を製織する織機であって、各製織条件において主軸の回転数が設定されており、連続運転中に製織条件の変更に伴って主軸の回転数を変更する織機において、製織条件の変更に伴う主軸の回転数の減速時において、主軸を駆動する主軸モータから発生する過大な回生電圧により、インバータに電気的なトラブルが生じるのを防止し、且つ製織される織物の品質の低下を防止すること。
【解決手段】織機の連続運転中に、製織条件の変更に伴って主軸の回転数を変更後の製織条件に対応する設定回転数にまで減速させるに際し、2以上の織機サイクルによる減速期間で前記減速を行うと共に、前記減速期間中の各織機サイクルでは、緯入れを伴わない空打ち運転を実行することを特徴とする織機における製織方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる製織条件で製織された2以上の製織部分を含む織物を製織する織機であって、各製織条件において主軸の回転数が設定されており、連続運転中に製織条件の変更に伴って主軸の回転数を変更する織機における製織方法及び製織装置に関する。
【0002】
なお、本出願で言う「製織条件」とは、織組織(その織柄を構成する経糸の開口パターン)、緯糸構成(緯糸の種類及び/又は組み合わせ)、緯糸密度(単位製織長当りの緯糸の本数)、織機の設定回転数等のことである。また、「異なる製織条件」とは、前記のうちの少なくともいずれか1つが異なるものを言う。
【0003】
織機においては、このような製織条件に従って対応する製織関連装置を動作させて製織が行われる。但し、ここで言う「製織関連装置」とは、織機上に設けられて製織のために機能する装置のことである。例えば、開口装置、緯入れ装置、送出装置、巻取装置等がこれに含まれる。また、織機の主軸も、その駆動装置(主軸モータ等)を含めて製織関連装置として機能する。
【0004】
また、織機においては、対応する製織関連装置を製織条件に従って動作させるために、その製織条件に応じた製織パターンが設定されている。因みに、製織パターンとは、対象となる各製織関連装置の駆動態様が1織機サイクル毎に設定され、それが、製織の進行順に、織物組織1リピート分の織機サイクルに亘って設定されたものであり、織機の技術分野において製織関連装置の動作を制御するためにそのように構成された製織パターンを用いることが一般的に行われている。
【0005】
なお、前記で言う「駆動態様」とは、具体的には、開口装置の場合における各綜絖枠のそれぞれについての各織機サイクルでの上開口位置にあるか下開口位置にあるかの設定や、多色の緯入れ装置の場合における各製織サイクルでの緯入れされる緯糸の設定等である。また、各織機サイクルに対し緯糸密度が設定され、その設定に基づいて巻取装置及び送出装置が制御される場合もあり、その場合は、その緯糸密度の設定が駆動態様となる。
【0006】
また、前記で言う「1織機サイクル」とは、織機の連続運転中における主軸の1回転(0°〜360°)がこれに相当する。すなわち、通常の製織中においては、織機上の各装置の主軸1回転毎の一連の動作により1回の緯入れ(緯糸の緯入れ→筬打ち)が達成されるため、織機の連続運転中における主軸の1回転を「1織機サイクル」(織機の1サイクル)と称するものである。但し、この「1織機サイクル」は、「1製織サイクル」、又は単に「(織機の)1サイクル」と言われる場合もある。更に、製織パターンおいては、製織の進行が伴うため、「1製織ステップ」又は「1ステップ」とも言われる。
【0007】
更に、前記で言う「織物組織の1リピート分」とは、製織される織物における織柄の1単位を形成する分である。より詳しくは、例えば、織物を構成する織柄が異なる製織条件(織組織、緯糸構成、緯糸密度等の組み合わせ)で製織された2以上の製織部分の組み合わせによって形成される場合であって、各製織部分がそれぞれの製織条件で製織される単位織柄の繰り返しによって形成される場合において、その製織部分の組み合わせによって形成される製織単位(織柄)を製織するのに要する織機サイクル数が織物組織の1リピート分の織機サイクル数となる。但し、織物の織柄が1種類の製織条件による1種類の単位織柄の繰り返しのみで構成される場合、すなわち、織柄が1つの製織部分のみで構成される場合は、その単位織柄を形成するのに要する織機サイクル数(リピート数)が織物組織1リピート分の織機サイクル数となる。
【背景技術】
【0008】
前記のような織機における従来技術の一例として、後述の特許文献1には、「織機の回転数制御方法と、その装置」と題する織機が記載されている。
【0009】
この文献には、連続運転中の製織条件の変更に対応させて、織機主軸の回転数を変更すること、並びに前記回転数変更時における減速制御に際し、必要な制動力を算出し、減速に要する時間を短くすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−93043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記従来技術にも記載されているように、織機の連続運転中において、製織条件等の変更に伴い、織機主軸の回転数を変更して製織を行うことが知られている。また、近年の一般的な織機では、主軸駆動部(インバータ)を介して主軸を駆動する主軸モータが駆動され、前記のような回転数の変更運転は、インバータの出力周波数を変更して主軸モータの回転数を変更することにより行われている。
【0012】
また、前記従来技術にも記載されているように、前記回転数の変更に伴う減速制御に際しては、可及的に速やかに設定された回転数まで主軸を減速させることが試みられている。そして、近年の織機では、主軸の1回転以内に回転数の変更を完了させる場合が一般的である。
【0013】
ところで、製織される織物によっては、織機の連続運転中に変更される製織条件のそれぞれに対し設定される主軸の設定回転数に大きな差があり、製織条件の変更に伴って主軸の回転数を大幅に減速させなければならない場合がある。
【0014】
例えば、各製織条件における製織において、緯入れされる緯糸の種類(太さ)やその緯入れに使用される緯入れ装置(測長貯留装置、緯入れ用のメインノズル、サブノズル等)の数等の設定の違いにより、一方の製織条件では織機を高速で稼動させて製織を行うのが可能であるのに対し、他方の製織条件では織機を低速で稼動させなければ製織が行えない場合がある。従って、そのような場合では、一方の製織条件において設定される主軸の設定回転数は高い回転数とすることが可能であるのに対し、他方の製織条件において設定される主軸の設定回転数は低い回転数としなければならず、両製織条件間で設定回転数に大きな差が生じることとなる。
【0015】
このように、製織に用いられる2つ製織条件において主軸の設定回転数に大きな差がある場合であって、その製織条件の変更に伴って主軸の回転数を大幅に減速させる場合において、前述のように主軸の1回転以内等の短期間で減速を行わせようとすると、主軸を駆動する主軸モータから発生する過大な回生電圧により、インバータに電気的なトラブル(過電圧トリップによる周波数出力機能の低下/停止)が生じてしまう。
【0016】
また、前記のような電気的トラブルが発生しない程度の減速度合いで減速させることも考えられるが、その場合において、従来の考え方に基づいて可及的に短い期間で減速を達成しようとすると、製織条件の変更前後の設定回転数差が大きいことに起因し、(電気的トラブルは発生しない程度ながらも)依然として主軸1回転当りの減速量が大きいものとなる。その場合において、通常の連続運転中と同様に製織(緯入れ)が行われると、緯入れが適正に行われない(不調に終わる)可能性が高くなり、製織が不安定なものとなって製織される織物の品質が低下する。
【0017】
本発明は、前記実情を考慮したもので、異なる製織条件で製織された2以上の製織部分を含む織物を製織する織機であって、各製織条件において主軸の回転数が設定されており、連続運転中に製織条件の変更に伴って主軸の回転数を変更する織機において、製織条件の変更に伴う主軸の回転数の減速時において、前記のような電気的トラブルが発生することなく、且つ製織される織物の品質の低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の織機における製織方法は、異なる製織条件で製織された2以上の製織部分を含む織物を製織する織機であって、各製織条件において主軸の回転数が設定されており、連続運転中に製織条件の変更に伴って主軸の回転数を変更する織機を前提とする。
【0019】
そして、そのような織機における本発明の製織方法は、織機の連続運転中に、製織条件の変更に伴って主軸の回転数を変更後の製織条件に対応する設定回転数にまで減速させるに際し、2以上の織機サイクルによる減速期間で前記減速を行うと共に、前記減速期間中の各織機サイクルでは、緯入れを伴わない空打ち運転を実行することを特徴とする。
【0020】
なお、前記製織方法において、減速期間は、2以上の織機サイクルであること以外は特定されないものであるが、減速期間を決定する好適な例として、減速期間が、設定回転数の変更量(回転数差)、変更後の製織条件における織物組織1リピートの織機サイクル数、及び予め設定された1織機サイクル当りの許容減速量に基づいて決定されるものとしても良い。
【0021】
また、前記製織方法に対応する本発明における製織装置は、主軸の回転数の設定値である設定回転数を含む製織条件に従って対応する製織関連装置を動作させて製織を行う織機であって、複数の異なる前記製織条件が予め設定されて記憶された記憶器と、主軸を駆動する主軸駆動部及び緯入れを制御する緯入れ制御部を含む駆動制御装置とを含み、前記設定回転数が変更される製織条件の変更に伴って連続運転中に主軸の回転数を変更して製織を行う織機における製織装置を前提とする。
【0022】
そして、そのような織機における前記製織装置は、駆動制御装置が、前記製織条件の変更に伴って前記設定回転数が減速方向へ変更されることに伴い、主軸駆動部によって2以上の織機サイクルからなる減速期間に亘って主軸の回転数を変更後の製織条件における設定回転数にまで減速させる制御が実行されると共に、緯入れ制御部によって前記減速期間中の各織機サイクルでは緯入れを停止する制御が実行されることを特徴とする。
【0023】
また、前記製織装置の好適な例としては、記憶器に対し1織機サイクル当りの許容減速量が予め記憶され、駆動制御装置が、設定回転数の変更量(回転数差)、変更後の製織条件における織物組織1リピートの織機サイクル数、及び前記許容減速量に基づいて前記減速期間を決定するものとしても良い。
【発明の効果】
【0024】
本発明による織機における製織方法及び製織装置によれば、製織条件の変更に伴って主軸の回転数を減速方向へ変更する場合において、2以上の織機サイクルによる減速期間に亘って主軸の回転数を次の製織条件に対応する設定回転数にまで減速させるため、急激な減速に伴って主軸の駆動を制御する部分に電気的なトラブルが発生するのを回避できる。しかも、減速期間においては、緯入れが行われない空打ち運転が実行されるため、織機サイクル毎(主軸の1回転毎)の減速量を緯入れが可能なレベル(例えば、100rpm程度)までは低くしなくても良く、前記のような電気的なトラブルが発生しない範囲において可及的に減速期間を短くすることができる。
【0025】
更に、製織条件の変更前後における設定回転数の差と設定された許容減速量とに基づいて減速期間を決定すると共に、その減速期間の決定において変更後の製織条件における織物組織1リピートの織機サイクル数を加味するため、空打ち運転工程用の製織パターンの設定を省略することが可能となり、製織条件の設定が容易化される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明が適用される織機の全体的な構成を示す説明図である。
【図2】本発明が適用される織機の緯入れ装置を主に示す説明図である。
【図3】織機の駆動制御装置の構成を主に示すブロック図である。
【図4】巻取制御部の構成を主に示すブロック図である。
【図5】送出制御部の構成を主に示すブロック図である。
【図6】織物組織1リピート分に相当する織物の構成を示す説明図である。
【図7】織柄製織パターンの設定画面を示す説明図である。
【図8】製織工程情報の設定画面を示す説明図である。
【図9】主制御部の構成を主に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明が適用される織機1の全体的な構成、特に経糸2の送出動作及び織物8の巻取り動作に関する部分を示している。図1で、多数の経糸2は、経糸ビーム3からシート状として送り出され、バックロール4を経て複数の綜絖5、5、…及び筬6に通され、綜絖5の開口運動によって上下の経糸2、2により開口7を形成しながら織物8の織前9に達する。なお、バックロール4の支持位置には張力センサ62aが組み込まれており、そこに作用するすべての経糸2の合力から経糸2の張力値を検出するようになっている。
【0028】
一方、緯糸10は、上下の経糸2、2の開口7内に緯入れされた後、筬6の筬打ち運動によって織前9に筬打ちされ、経糸2と共に織物8の組織となる。織物8はガイドロール11、プレスロール12、服巻ロール13、プレスロール14を経て、布巻ロール15に巻き取られる。
【0029】
綜絖5の開口運動、筬6の筬打ち運動は、織機1の主軸16の回転と連動している。主軸16は、主軸モータ16aによって駆動され、主軸モータ16aは、主軸駆動部43によって制御される。主軸16の回転は、例えば電子ドビー式の開口装置17により各綜絖枠の往復運動(開口運動)に変換されて各綜絖5に伝達され、また図示しない筬打運動変換装置によって筬打ち運動に変換され、筬6に伝達される。
【0030】
経糸ビーム3は、送出モータ3aにより駆動され、これらによって送出装置の主要部分が構成される。また、服巻ロール13は、巻取モータ13aにより駆動され、これらによって巻取装置の主要部分が構成される。これらの送出モータ3a、巻取モータ13aは、送出制御部47、巻取制御部46によって制御される。
【0031】
次に図2は、本発明が適用される織機1の一例として多色の緯入れ装置を備えた空気噴射式織機を示している。図示の例では、2種類の緯糸10を緯入れする2色の緯入れ装置が示されているが、実際には3種類の緯糸10を緯入れする3色の緯入れ装置とし、以後、その前提に基づいて説明する。
【0032】
3種類の緯糸10は、各給糸体スタンド21により支持されているそれぞれの給糸体22から引き出され、例えばドラム式の測長貯留装置23の糸巻付けアーム24の内部に導かれ、静止状態のドラム25の外周面で係止ピン26により係止されながら、糸巻付けアーム24の回転運動によりドラム25の外周面に巻き付けられる。これによって1回の緯入れに必要な長さの緯糸10は、ドラム25の外周面に巻き付けられ、緯糸10の緯入れ時まで貯留されている。なお、糸巻付けアーム24は、駆動モータ27によって駆動されるようになっている。
【0033】
緯入れ開始タイミングで、緯入れ制御部45によって選択された緯糸10に対応する係止ピン26がアクチュエータ28によって駆動されて、ドラム25の外周面から後退すると、ドラム25の外周面に巻き付けられている1回の緯入れに必要な長さの緯糸10は、ドラム25上において解舒可能な状態となる。そして、ドラム25から緯入れ用のメインノズル29に通された緯糸10は、メインノズル29が噴射動作を行うことにより、ドラム25上から解舒されて緯入れされる。
【0034】
メインノズル29は、緯入れ動作のために、噴射開始から噴射終了までの噴射期間で、圧力空気を上下の経糸2、2の開口7内に緯糸10とともに噴射することによって、1回の緯入れに必要な長さの緯糸10を開口7中に緯入れする。これにより、緯糸10は、開口7内の飛走経路に沿って飛走し、開口7中に緯入れされる。
【0035】
なお、圧力空気は、圧力空気源31から供給され、圧力調整弁32により適切な空気圧に調整されてから、電磁開閉弁33を経て、メインノズル29に供給される。電磁開閉弁33は、緯入れ制御部45によって制御される。
【0036】
緯糸10の飛走過程で、多数本のサブノズル34は、緯糸10の飛走方向に向けて、圧力空気を緯糸10の飛走と調和しながらリレー的に噴射することによって、開口7内で飛走中の緯糸10を緯入れ方向に助勢する。より詳しく言えば、前記多数本のサブノズル34は、緯糸10の飛走経路に沿って間隔をあけて配置されており、複数本ずつ共通の電磁開閉弁35に接続されている。このように共通の電磁開閉弁35によって接続された複数本のサブノズル34によって1つのグループが形成される。そして、サブノズル34の圧力空気は、圧力空気源31から供給され、圧力調整弁36により適切な空気圧に調整されてから、電磁開閉弁35を経て各グループのサブノズル34に供給される。
【0037】
メインノズル29及び複数グループのサブノズル34の噴射動作により、緯糸10が正常に緯入れされたときに、その緯糸10は、筬6の筬打ち運動によって織物8の織前9に筬打ちされ、織物8に織り込まれた後、緯入れ側で給糸カッタ37によって切断され、メインノズル29の内部の緯糸10から切り離される。また、緯入れが正常に行われたか否かは、緯糸10の到達を検出するフィーラヘッド38、39からの信号に基づいて判別される。
【0038】
前記の測長貯留装置23の駆動モータ27、測長貯留装置23のアクチュエータ28、メインノズル29に対応する電磁開閉弁33、サブノズル34に対応する電磁開閉弁35、及び圧力調整弁32、36は、いずれも緯入れ制御部45によって制御される。
【0039】
図3は、駆動制御装置40の構成を示している。なお、本実施例では、記憶器は駆動制御装置40に含まれているものとする。駆動制御装置40は、主制御部41、駆動制御部42、主軸駆動部43、開口駆動部44、緯入れ制御部45、巻取制御部46、及び送出制御部47を含む。これら制御部及び駆動部で制御に必要とする設定値やパラメータ等は、各駆動部及び各制御部に接続された入力設定器48によって各駆動部及び各制御部に内蔵されたメモリに書き込まれて記憶されている。
【0040】
また、図3において、織機1の主軸16に角度検出器16bが連結されており、その角度検出器16bから出力される主軸角度信号(回転角度θの信号)は、主制御部41、駆動制御部42、主軸駆動部43、緯入れ制御部45、巻取制御部46、及び送出制御部47に入力され、これら制御部及び駆動部による駆動対象である製織関連装置の制御に利用される。
【0041】
主制御部41には、手動で操作される図示しない運転ボタン(起動ボタン)、停止ボタン、寸動・逆転ボタン等が接続されており、主制御部41は、それらの各ボタンが操作されることによって出力される入力信号に基づき、その入力信号に応じた織機運転信号等を、駆動制御部42、主軸駆動部43、緯入れ制御部45、巻取制御部46、或いは送出制御部47に出力する。なお、ここで言う織機運転信号とは、運転ボタンが操作された場合においては通常の運転信号であり、停止ボタンが操作された場合には停止信号である。また、手動の寸動・逆転ボタンの操作の場合においてはそれに応じた信号である。更に、主制御部41は、フィーラヘッド38、39によって緯入れ不良が検出されたときに出力される緯止め信号等、製織不良を検出する検出器から信号が入力された場合にも、各駆動部及び各制御部に対し停止信号を出力する。そして、各駆動部及び各制御部は、主制御部41からの織機運転信号に応じて対象とする製織関連装置の駆動を制御する。
【0042】
駆動制御部42は、内蔵メモリである記憶器42aを備え、詳細は後述するが、この記憶器42aに対し入力設定器48によって書き込まれた製織パターンが記憶されている。また、駆動制御部42は、角度検出器16bから出力される回転角度θの信号に基づいて織機のサイクル数(ステップ数)を把握し、その織機のサイクル数に応じて製織パターンの各ステップに設定された設定値を各駆動部及び各制御部へ出力する。より詳しくは、駆動制御部42は、各ステップ(織機サイクル)において、製織パターンに設定された設定値に応じた信号として、速度切換信号(又は緯糸密度信号)を主軸駆動部43に、開口枠選択信号を開口装置17の開口駆動部44に、緯糸選択信号を緯入れ制御部45にそれぞれ出力し、さらに緯糸密度信号を巻取制御部46及び送出制御部47に出力する。
【0043】
緯入れ制御部45は、入力設定器48からデータとして入力された制御用の設定値等が設定(記憶)されており、駆動制御部42から緯糸選択信号が出力されると、その緯糸選択信号(緯糸10の糸種)に応じた緯糸10を緯入れすべく、対応する電磁開閉弁33、35、係止ピン26のアクチュエータ28、圧力調整弁32、36等を動作させる。より詳しくは、緯入れ制御部45には、緯糸10毎に電磁開閉弁33、35、アクチュエータ28等の動作タイミングが主軸16の回転角度θに対応させて設定されており、緯入れ制御部45は、駆動制御部42からの緯糸選択信号と設定された動作タイミングとに基づき、選択された緯糸10に応じて電磁開閉弁33、35、アクチュエータ28等を動作させる。
【0044】
開口装置17は、図示の例では電子ドビー式の開口装置であって、その開口駆動部44は、駆動制御部42から開口枠選択信号が出力されると、その開口枠選択信号に応じて開口運動を行わせる綜絖枠の選択が行われるように開口装置17を動作させ、それにより、各綜絖枠による所定の開口運動が行われる。
【0045】
主軸駆動部43は、例えばインバータを主体とするものであって、駆動制御部42から速度切換信号が出力されると、その速度切換信号に応じて主軸モータ16aの回転速度(回転数)を変更する。より詳しくは、インバータで構成される主軸駆動部43には、設定される主軸16の回転数(主軸モータ16aの回転数)に応じた出力周波数が設定(記憶)されており、主軸駆動部43は、駆動制御部42からの速度切換信号に従い、出力周波数を切り換え後の回転数に対応するものに変更することで、主軸モータ16aの回転数を変更し、主軸16の回転数を変更する。なお、主軸駆動部43に対し駆動制御部42から出力される信号は、回転数の切り換え及び切り換え後の回転数を示す速度切換信号に代えて緯糸密度信号としても良く、その場合は、主軸駆動部43において設定される出力周波数は、緯糸密度に対応させて設定される。
【0046】
巻取制御部46は、詳細は後述するが、駆動制御部42から緯糸密度信号が出力されると、その緯糸密度信号で示される緯糸10の緯糸密度で巻取装置が織物8を巻き取るように、その緯糸密度に対応する回転速度で巻取モータ13aを駆動する。
【0047】
送出制御部47は、これについても詳細は後述するが、駆動制御部42から緯糸密度信号が出力されると、その緯糸密度信号で示される緯糸10の緯糸密度をパラメータとして求められる回転速度で送出モータ3aを駆動するものであり、それにより、送出装置は、経糸2を所定の張力で送り出す。
【0048】
図4は、巻取制御部46の構成を主に示している。巻取制御部46は、ベース速度発生部51、パルス発生部52、及び駆動部53を含む。
【0049】
ベース速度発生部51は、駆動制御部42から緯糸密度信号が出力されると、その緯糸密度信号で示される緯糸密度(設定値)と角度検出器16bからの角度信号θとに基づき、主軸16の回転に比例するベース速度信号を発生し、それをパルス発生部52に送る。パルス発生部52は、前記のベース速度信号に応じた速度指令としての駆動量信号(パルス信号)を発生し、この駆動量信号を駆動部53に送る。
【0050】
駆動部53は、駆動量信号に基づいて巻取モータ13aを速度指令に応じた回転速度(巻取速度)で駆動する。より詳しく言えば、駆動部53は、図示の例ではサーボアンプであって、正逆カウンタ54、電流発生器55、及びパルスジェネレータ56を含む。そして、駆動部53においては、正逆カウンタ54の加算端子に駆動量信号(パルス信号)が入力されることにより、正逆カウンタ54が入力されたパルス数すなわち速度指令に対応する信号を電流発生器55に出力し、電流発生器55がその信号に応じた励磁電流を発生する。これにより、巻取モータ13aは、前記速度指令に応じた回転速度で回転駆動される。なお、この巻取モータ13aの回転は、パルスジェネレータ56によって検出され、パルス信号のかたちで正逆カウンタ54の減算端子に入力される。従って、正逆カウンタ54の出力は、速度指令としてのパルス信号によるパルス数から巻取モータ13aの回転量に応じたパルス数を減算して求められた駆動量信号となる。
【0051】
図5は、送出制御部47の構成を主に示している。送出制御部47は、ベース速度発生部61、張力制御部62、パルス発生部63、及び駆動部64を含む。
【0052】
ベース速度発生部61は、駆動制御部42から緯糸密度信号が出力されると、その緯糸密度信号で示される緯糸密度(設定値)と角度検出器16bからの角度信号θによって求められる主軸16の回転数とからベース速度(基本速度)を算出し、そのベース速度に応じたベース速度信号をパルス発生部63に送る。
【0053】
また、張力制御部62は、入力設定器48から入力された経糸2の目標張力の設定値(目標値)を記憶すると共に、張力センサ62aから検出された実際の経糸2の張力値(検出値)が入力されており、その目標張力の設定値と実際の検出張力値とを比較し、それらの差(張力偏差)からベース速度を補正するための速度補正量を求め、その速度補正量に応じた張力制御信号をパルス発生部63に送る。
【0054】
パルス発生部63には、ベース速度発生部61からのベース速度信号、張力制御部62からの張力制御信号に加え、経糸ビーム3の巻径を検出する巻径センサ63aからの巻径信号が入力されている。そして、パルス発生部63は、これらに基づいて、速度指令としての駆動量信号(パルス信号)を発生し、この駆動量信号を駆動部64に送る。なお、巻径センサ63aは、図1では示していないが、経糸ビーム3の近くに配置されているものとする。但し、経糸ビーム3の巻径検出については、巻径センサ63aを用いて直接検出する代わりに、パルスジェネレータ67からの回転量信号をもとに演算によって間接的に検出する公知の方法を用いることも可能である。
【0055】
駆動部64は、パルス発生部63から出力される速度指令としての前記駆動量信号を入力し、その駆動量信号に基づいて送出モータ3aを駆動する。より詳しく言えば、駆動部64は、図示の例ではサーボアンプであって、正逆カウンタ65、電流発生器66、及びパルスジェネレータ67を含む。そして、駆動部64においては、正逆カウンタ65の加算端子に駆動量信号(パルス信号)が入力されることにより、正逆カウンタ65が入力されたパルス数すなわち速度指令に対応する信号を電流発生器66に出力し、電流発生器66がその信号に応じた励磁電流を発生する。これにより、送出モータ3aは、前記速度指令に応じた回転速度で回転駆動される。なお、この送出モータ3aの回転は、パルスジェネレータ67によって検出され、パルス信号のかたちで正逆カウンタ65の減算端子に入力される。従って、正逆カウンタ65の出力は、速度指令としてのパルス信号によるパルス数から送出モータ3aの回転量に応じたパルス数を減算して求められた駆動量信号となる。
【0056】
図6は、前述した製織装置を備えた織機によって製織される織物の一例を示している。図示のように、本実施例では、製織される織物が、3種類の単位織柄a、b、cによる製織部分A、B、Cを含むものとする。具体的には、織物組織1リピート分に相当する織物における織柄の1単位が、単位織柄aを複数回連続させて形成される製織部分A、単位織柄bを複数回連続させて形成される製織部分B、及び単位織柄cを複数回連続させて形成される製織部分Cを含み、製織部分A、製織部分B、製織部分A、製織部分Cの順で順次製織されることによって構成されているものとする。また、各製織部分A、B、Cの設定製織長をそれぞれXメートル、Yメートル、Zメートルとする。
【0057】
因みに、図示の例で、2X+Y+Zが所定の単位製織長(切卸し長)に相当する場合は、製織部分Cの製織が完了した時点で織機が停止され、織物が切卸された後、再び製織部分Aからの製織が行われる。また、図示の織物組織1リピート分の織柄の製織が複数回繰り返されて単位製織長に達するように単位製織長又は各製織部分の設定製織長(X、Y、Z)が設定されている場合には、製織部分Cの製織の後に続いて連続的に製織部分Aからの製織が行われる。
【0058】
また、本実施例では、製織部分A、B、Cからなる織柄の1単位を製織するために、従来の一般的な織機のように1織機サイクル毎の対応する製織関連装置の駆動態様が織物組織1リピート分の織機サイクルに亘って設定されるもの、すなわち、織物組織1リピート分の製織パターンが設定されるものに代えて、各製織部分A、B、Cを構成する各単位織柄a、b、cのそれぞれを形成するための製織パターンが独立して設定されているものとする。そして、本実施例では、この各単位織柄a、b、c用の各製織パターンを、織柄製織パターンという。従って、本実施例においては、駆動制御部42の記憶器42aに対し、単位織柄a用の織柄製織パターンと、単位織柄b用の織柄製織パターンと、単位織柄c用の織柄製織パターンとがそれぞれ独立させたかたちで設定されている。
【0059】
なお、ここで言う「織柄製織パターン」は、各単位織柄を製織するための各製織関連装置の織機サイクル毎の駆動態様を1繰り返し分設定したものであって、言い換えれば、単位織柄の1リピート分(以下、同じ。)である。また、この実施例においては、各単位織柄a、b、cを形成するための織柄製織パターンは、それぞれパターン1、2、3と名称が設定されているものとする。従って、製織部分Aはパターン1による製織の繰り返しで形成され、同様に、製織部分Bはパターン2、製織部分Cはパターン3による製織の繰り返しで形成される。
【0060】
図7は、このような織柄製織パターンの設定画面を示している。設定画面の上部には、「パターン名」の欄が設けられ、対応する入力設定欄70にパターン名が入力設定される。また、パターン名の欄の右横には「トータルステップ」の欄が設けられ、対応する入力設定欄71にトータルステップが入力設定される。また、「パターン名」の欄の下側には、「枠枚数」の欄が設けられ、対応する入力設定欄72に枠枚数が入力設定される。その他に、関連情報が入力設定される入力設定欄73が設けられている。
【0061】
そして、「枠枚数」の欄よりも下側には、設定画面の大半を占めるように、「ステップNo.」、「枠No.」、「カラー」、「密度」、及び「信号No.」の欄が横方向に関連付けられて(並べて)設けられている。そして、各々の欄に対応する入力設定欄が縦方向に関連付けられて設けられている。従って、これら入力設定欄は、全体で行列状となっている。
【0062】
図示の例では一番下側の入力設定欄74がステップNo.1に相当するもので、「ステップNo.」の入力設定欄75に、下から上に向かって順に1、2、…と入力設定する。そして、「枠No.」の「1」、「2」、…、及び「16」の下側の入力設定欄76aには、開口パターンとして、各ステップにおいて綜絖枠の位置が上開口位置又は下開口位置に位置するかが入力設定される。通常、これら入力設定欄76aを異なる表示態様(例えば■か、□の色彩表示)にすることによって、綜絖枠の位置が上開口位置か下開口位置かを設定する。なお、図示の例では、「枠No.」が「1」〜「16」、すなわち16枠(耳糸開口用の綜絖枠も含む場合もある)の開口パターンが設定されるものとなっているが、「枠No.」が「20」まで記されているように、最大で20枠までの開口パターンが設定可能となっており、上段の枠枚数の入力設定欄72の設定値に応じて入力設定欄76aの入力範囲が決定される。
【0063】
また、「カラー」の入力設定欄77には、多色の流体噴射式織機の緯入れ装置において、どの緯糸(緯糸の糸種)に対応する装置を駆動するかが、入力設定される。なお、通常、「カラー」は、多色緯入れ織機で緯入れする各緯糸を意味するものであり、織機の技術分野において一般的に用いられている用語である。また、「密度」の入力設定欄78には、緯糸密度が入力設定される。更に、「信号No.」の「E」〜「11」の入力設定欄79は、その記号に対応させて割り当てられた製織関連装置の各ステップ毎の作動指令が前記した異なる表示態様や数値等で入力設定できるようになっている。但し、入力設定欄79についは、織機の仕様や製織される織物の種類等に応じて任意に使用されるものであり、作動指令(設定値)が必ずしも入力設定される訳ではない。
【0064】
以上のような図7に示すような設定画面を用い、各単位織柄a、b、cに対応する織柄製織パターン(パターン1、2、3)は、それぞれが個別に作成され、前記のように別々の(独立した)データとして駆動制御器42の記憶器42aに設定(記憶)される。但し、織柄製織パターンの設定については、織機とは別の入力設定装置(例えば、パーソナルコンピュータ等)を用いて各設定値を設定する作成作業を行い、その設定データをメモリカード等に記憶させ、それを入力設定器48に読み込ませて記憶器(メモリ)42aに記憶(保存)させるものとしても良い。また、入力設定器48を用いて織機上で前記作成作業を行い、その設定データを記憶器42aに記憶(保存)させるものとしても良い。
【0065】
なお、図示の例では、具体的な設定内容は省略するが、各単位織柄a、b、cは、緯糸密度及び緯入れされる緯糸10の種類が互いに異なるものとする。また、本実施例では、パターン1(単位織柄a)、パターン2(単位織柄b)による製織における主軸16の設定回転数と、パターン3(単位織柄c)による製織における主軸16の設定回転数とが異なるものに設定されているものとし、両者が大幅に異なるものとする(例えば、パターン1、2の設定回転数:1000rpm、パターン3の設定回転数:400rpm)。なお、「回転数」の設定は、例えば、図7の例における「信号No.」の入力設定欄79のいずれかに設定されるものとする。
【0066】
また、本実施例では、前記の織柄製織パターンに加え、製織工程情報が設定され、それが駆動制御部42の記憶器42aに記憶されているものとする(設定方法については、織柄製織パターンと同様)。この製織工程情報は、各織柄製織パターンによる織物組織1リピート分の製織の工程情報、及び各工程に対し製織長に関する情報を含み、例えば、図8に示すような設定画面を用いて設定される。なお、製織の工程とは、織柄1単位(織物組織1リピート)を形成するための各製織部分の製織の順番である。従って、工程情報には、製織される織物における織柄1単位を形成するための各製織部分の製織順が設定される。
【0067】
図8に示す設定画面の例では、製織工程情報としての「製織工程」、「ステップ数」、及び「設定長」の欄が関連付けて設定されるものとなっている。そして、「製織工程」の欄には、織柄1単位(織物組織1リピート)内における各織柄製織パターンによる製織の順番が、工程順に1から順番に入力設定される。但し、図示の例では、その工程順の設定欄には、各製織部分を表す名称(製織部分A〜C)ではなく、各製織部分の製織に用いられる織柄製織パターンが、そのパターン名(パターン1〜3)で設定されている。なお、図示の例において、「製織工程」の欄は、5つの入力設定欄80が表示された状態となっているが、この入力設定欄80の数について、例えば、5番目の入力設定欄80にパターンが入力設定されることに伴い、自動的に6番目の入力設定欄が画面上に表示されるものとしても良い。また、必要に応じて、別操作により、入力設定欄80の数が変更できるものとしても良い。
【0068】
また、図示の設定画面において、「設定長」の欄には、各工程において製織される製織部分の製織長が、その工程の織柄製織パターンに対応させたかたちで入力設定される。この「設定長」の入力設定欄82について、図示の例では、5番目の工程の入力設定欄が非表示となっている。これは、「製織工程」の入力設定欄80にパターンが設定されることにより、自動的に表示されるものとする。但し、「製織工程」の入力設定欄80と共に常に表示されているものであっても良い。なお、図示の例では、この製織長が長さ(m)で設定されるものとなっているが、ピック数で設定されるものとしても良い。「ピック(1ピック)」とは、織機の技術分野において一般的な表現であり、1回の緯入れを指すものであって前記の1織機サイクル(1製織サイクル)に相当する。更に、図示の設定画面では、「製織工程」の欄に設定された織柄製織パターンの1リピートの織機サイクル数(以下、「リピート数」)が、情報として「ステップ数」の欄における情報欄81に表示されている。
【0069】
そして、駆動制御装置40は、複数の異なる製織条件を構成する前記の各織柄製織パターンと製織工程情報とが記憶される記憶器42aに加え、製織長監視器42cと演算器43aとを含む。なお、本実施例では、製織長監視器42cは駆動制御部42に設けられ、演算器43aは主軸駆動部43に設けられているものとする。
【0070】
図9は、駆動制御装置40における製織長監視器42c及び演算器43aの接続例を示している。駆動制御部42は、前述の記憶器42aに加え、制御器42b及び製織長監視器42cを含む。制御器42bは、記憶器42aに記憶された製織工程情報に設定されている工程順に従い、製織部分の切り換わりに伴って次工程の織柄製織パターンを記憶器42aから読み出す。但し、制御器42bは、製織の開始時点(織機の運転開始時点)では、織機の運転ボタンが操作されることによって発生する起動信号に応じて、製織工程情報に設定されている工程順における1番目の工程に設定された織柄製織パターンを記憶器42aから読み出すものとする。なお、制御器42bによる製織部分の切り換わりの判別は、製織長を監視する製織長監視器42cからの信号に基づいて行われるものとする。
【0071】
詳しくは、製織長監視器42cには、記憶器42aに記憶された製織工程情報に設定されている現在の工程の製織長(設定製織長)が制御器42bを介して出力され、その設定製織長が記憶される。そして、製織長監視器42cは、その設定製織長に基づき、現在の工程(織柄製織パターン)で製織されている製織部分の製織長を監視する。すなわち、製織長監視器42cは、製織されている製織部分(現在の工程)の製織長をその製織の開始時点から順次求めて監視すると共に、その製織長が設定製織長に達すると、切換信号を制御器42bへ出力する。制御器42bは、その切換信号を受けることにより、製織が行われていた製織部分の製織長が設定製織長に達したことを把握し、製織工程情報に設定されている工程順に従い、その工程順において次工程として設定されている織柄製織パターンを記憶器42aから読み出す。
【0072】
因みに、製織長監視器42cは、公知のものであり、例えば、織機主軸16の回転角度を検出する角度検出器16bからの信号に基づいて織機主軸16の1回転毎(回転角度0°(360°)を検出する毎)に出力される信号(ピック信号)をカウントアップするピックカウンタを備え、そのカウント値と織柄製織パターンに設定された緯糸密度や予め求められている製織中の織物の織縮み率等から製織長を算出し、それを順次更新していくものである。また、製織長監視器42cは、監視している製織長が設定製織長に達した時点(切換信号を発生した時点)で、製織長(ピックカウンタのカウント値)をリセットし、次行程の製織部分の製織開始に伴って新たにカウントを開始する。なお、前記のピック信号は、図示の例では主制御部41から出力されるものとする。
【0073】
また、制御器42bは、製織部分の切り換わりに伴って製織されていた製織部分の製織長を製織長監視器42cから受け、これを順次積算して全製織長を求めるものとする。そして、織物組織1リピート分の製織が完了した時点、すなわち、設定された製織工程が1巡した時点で、その全製織長が所定の単位製織長(切卸し長)に達しているかを判別し、全製織長が単位製織長に達していない場合には、再び製織工程を繰り返すように、1番目の製織工程に設定された織柄製織パターンを指示するパターン信号を出力する。また、全製織長が単位製織長に達している場合には、織機を停止させるべく、停止信号を出力する。
【0074】
駆動制御部42は、その記憶器42aから読み出した織柄製織パターンを内蔵するメモリ(図示せず)に記憶すると共に、その織柄製織パターンに従い、各製織関連装置の制御部及び駆動部に対し、制御に必要なパラメータ等の信号を各ステップ(各織機サイクル)において出力する。具体的には、図3の例の場合では、駆動制御部42は、記憶器42aから読み出した織柄製織パターンに基づき、速度切換信号、開口枠選択信号(開口パターンとしての信号)、緯糸選択信号(緯糸構成としての信号)、及び緯糸密度信号を発生し、速度切換信号を主軸駆動部43に、開口枠選択信号を開口装置17の開口駆動部44に、緯糸選択信号を緯入れ制御部45にそれぞれ送り、さらに緯糸密度信号を送出制御部47及び巻取制御部46に送る。
【0075】
また、本実施例では、製織部分の切り換わり時、すなわち、織柄製織パターンの切り換わり時において、切り換わり前後の織柄製織パターンに設定された設定回転数に差があり、且つ、主軸16の回転数が減速方向に変更される場合、次工程の織柄製織パターンによる製織(緯入れを伴う運転)の開始に先立ち、自動的に空打ち運転が実行されるものとする。なお、この実施例における「織柄製織パターンの変更」が、本発明における「製織条件の変更」に相当する。また、ここで言う「自動的に」とは、「主軸の回転数が減速方向に変更されるという条件に基づいて」の意味である。
【0076】
そのため、本実施例では、駆動制御部42の制御器42bが空打ち運転を実行するか否かの判定を行う判定機能を有すると共に、空打ち運転が実行される場合において、その空打ち運転工程の期間を求める演算器43aが主軸駆動部43に備えられているものとする。
【0077】
また、演算器43aには、1織機サイクル当りの許容減速量が入力設定され記憶される。但し、ここで言う「許容減速量」とは、主軸の1回転(1織機サイクル)当りに減速させる回転数として設定されるものであって、減速に伴って発生する回生電圧が主軸駆動部(インバータ)43の電気的なトラブル(過電圧トリップによる周波数出力機能の低下/停止)を生じさせない限界の減速量を考慮して任意に設定されるものである。例えば、主軸の1回転当りの減速量が250rpmを超えたときに前記のような電気的トラブルが発生する場合(限界の減速量:250rpm)において、許容減速量は200rpm等に設定される。
【0078】
制御器42bによる前記判定機能は、織柄製織パターンの切り換わり時において、記憶器42aから新たに読み込んだ次工程の織柄製織パターンで設定されている設定回転数と、それまでの製織(前工程)における織柄製織パターンで設定されている設定回転数とを比較し、両者の回転数が異なる場合であって次工程の設定回転数の方が小さい場合に、『空打ち運転工程を実行』と判定し、演算指令信号及び前工程と次行程との設定回転数の差を示す信号を主軸駆動部43の演算器43aに対し出力するものである。
【0079】
演算器43aは、演算指令信号の入力に伴い、前工程と次工程との設定回転数の差、記憶されている許容減速量、及び次工程の織柄製織パターンのリピート数(単位織柄1リピートの織機サイクル数)に基づき、次工程の設定回転数にまで織機の主軸16を減速させるための減速期間及びその減速期間における織機サイクル毎の減速量を求める。また、演算器43aは、その求めた減速期間を示す信号を、主制御部41に対し出力する。なお、この減速期間における織機サイクルでは、織機は、緯入れを伴わない空打ち運転状態となる。従って、この求められた減速期間が、空打ち運転工程の期間となる。
【0080】
減速期間及び減速量の算出方法については、例えば、設定回転数の差を600rpmとして、設定されている許容減速量が200rpmである場合、単純には3織機サイクル(主軸の3回転)で次工程の設定回転数まで主軸の回転数を下げる(減速する)ことになる。しかし、本実施例では、演算器43aは、次工程の織柄製織パターンのリピート数に基づき、次行程の織柄製織パターンが例えば2である場合、その整数倍とすべく、減速期間を4織機サイクルとする。そして、演算器43aは、この4織機サイクルで前記600rpmの減速が行われるように主軸の1回転当りの減速量(この場合は150rpm)を求める。
【0081】
なお、減速期間(空打ち運転工程の期間)を次工程の織柄製織パターンのリピート数の整数倍とする理由は、次の通りである。
【0082】
本実施例では、空打ち運転工程用の製織関連装置の駆動パターンが設定されている訳ではなく、織機の連続運転中における織柄製織パターンの切り換わり(前工程の終了)に伴って自動的に空打ち運転が行われる。そのため、空打ち運転工程中では、開口装置17等は、前記切り換わり時点から、次工程の織柄製織パターンで設定された駆動態様に従って駆動されることになる。その場合において、空打ち運転工程の期間が織柄製織パターンのリピート数の整数倍となっていないと、製織(緯入れを伴う運転)が織柄製織パターンの途中から再開されることになる。その結果、製織される織物上で織柄が途中から始まるものとなり、織柄の連続性が損なわれ、織物が当初予定していたものと異なるものとなってしまう。そこで、空打ち運転工程の期間を次工程の織柄製織パターンのリピート数に基づいて決定することにより、そのような問題の発生を防止するものである。
【0083】
制御器42bによる『空打ち運転工程を実行』の判定に伴い、主軸駆動部43は、前記で求められた減速量に応じてインバータの出力周波数等を制御し、それによって主軸モータ16aの減速制御が行われる。また、主制御部41は、演算器43aからの減速期間を示す信号に基づき、その減速期間においては緯入れ制御部45に対する緯糸選択信号の出力を停止し、その結果として緯入れが行われない空打ち運転状態となる。また、この減速期間においては、巻取制御部46及び送出制御部47による巻取装置(巻取モータ13a)及び送出装置(送出モータ3a)の制御も停止される。なお、駆動制御部42における製織長監視器42cは、製織(緯入れを伴う運転)が開始されてからカウントを開始する。
【0084】
そして、本実施例の織機において、織柄の1単位が図6に示すような織物を製織する場合、駆動制御部42における記憶器42aに記憶される製織工程情報は、図8に示す内容となる。図示の例の場合、各製織部分A、B、Cの単位織柄a、b、cを形成する各織柄製織パターン(パターン1、2、3)のリピート数は、それぞれ4、5、2となっている。
【0085】
また、前述のように、パターン1、2に設定されている主軸16の設定回転数とパターン3に設定されている主軸16の設定回転数とは異なるものとし、パターン1、2における設定回転数を1000rpm、パターン3における設定回転数を400rpmとする。従って、パターン1による製織部分Aからパターン3による製織部分Cへの切り換え時に、主軸16の回転数を減速させる制御が行われるものとする。
【0086】
図示しない織機の運転ボタンが操作されると、駆動制御装置40における駆動制御部42の制御器42bは、記憶器42aに記憶されている製織工程情報に基づき、最初の工程(工程1)に対し設定されている織柄製織パターンがパターン1(単位織柄a用の織柄製織パターン)であることを認識し、記憶器42aからパターン1として記憶されている織柄製織パターンを読み出し、その織柄製織パターンを内部メモリに記憶する。
【0087】
そして、制御器42bは、そのパターン1の織柄製織パターンに基づいて、各製織関連装置の制御部及び駆動部に対し、制御に必要なパラメータ等の信号を出力する。その結果、各製織関連装置の駆動が開始され、単位織柄aで構成される製織部分Aの製織が行われる。
【0088】
前記の製織の開始に伴い、駆動制御部42における製織長監視器42cは、製織長の監視を開始する。そして、パターン1の織柄製織パターンで製織される製織部分Aの製織長が製織工程情報においてパターン1に対し設定されたXメートルに達した時点で、切換信号を制御器42bに対し出力する。
【0089】
制御器42bは、工程1と同様に、切換信号を受けると、製織工程情報に基づいて2番目の工程(工程2)に対し設定されている織柄製織パターンがパターン2(単位織柄b用の織柄製織パターン)であることを認識し、記憶器42aからパターン2として記憶されている織柄製織パターンを読み出し、内部メモリに記憶されている織柄製織パターン(パターン1)を、その新たに読み出したパターン2の織柄製織パターンに書き換える。
【0090】
そして、制御器42bは、その新たに読み出したパターン2の織柄製織パターンに基づいて、各製織関連装置の制御部及び駆動部に対し、制御に必要なパラメータ等の信号を出力する。その結果、各製織関連装置は、駆動態様がパターン2で設定されているものに変更され、それによって単位織柄bで構成される製織部分Bの製織が行われる。
【0091】
以降、各製織部分の製織長が設定製織長に達した時点、すなわち、製織部分の切り換わり毎に、前記のような織柄製織パターンを変更するための制御が行われ、工程が1巡することにより、織組織1リピート分の織柄が製織される。
【0092】
また、以上のような製織の過程において、駆動制御部42の制御器42bは、前記切り換わり時点において、空打ち運転工程を実行するか否かの判定を行う。そして、その判定結果に基づき、本発明による製織方法が実行される。
【0093】
前記のように、工程1⇒工程2の製織部分Aから製織部分Bへの切り換え時、及び工程2⇒工程3の製織部分Bから製織部分Aへの切り換え時においては、各織柄製織パターンで設定されている設定回転数は同じ1000rpmであるため、主軸16の回転数は変更されないことになり、そのため空打ち運転工程は行われない。
【0094】
一方、工程3⇒工程4の製織部分Aから製織部分Cへの切り換え時には、パターン1の設定回転数が1000rpmであるのに対し、パターン3の設定回転数は400rpmであり、主軸16の回転数が減速方向に変更されるため、パターン3による製織が開始される前に、空打ち運転工程が自動的に行われる。
【0095】
すなわち、前記のように、制御器42bにおいて空打ち運転工程を実行するか否かの判定が行われると共に、主軸駆動部43の演算器43aにおいて減速期間(空打ち工程の期間)及び減速期間中の各織機サイクルにおける減速量が求められ、それに従って織機の空打ち運転工程が行われる。このように、本発明による製織方法においては、2以上の複数の織機サイクルによる減速期間で主軸モータ16aの減速制御(主軸16の回転数の減速)が行われるものであり、本実施例では、次行程(工程4)の織柄製織パターン(織柄製織パターン(製織パターン)は2以上の織機サイクルで構成される)に基づいて求めるものとなっている。従って、本発明による製織方法によれば、連続運転中における製織条件の切り換わり時(異なる製織条件で製織される2つの製織部分の切り換わり時)に主軸の回転数が減速される場合において、主軸モータ16aの減速制御に伴う電気的なトラブルが回避される。しかも、本発明による製織方法では、この減速期間においては、緯入れを伴わない空打ち運転が実行されるため、製織される織物の品質の低下が防止される。
【0096】
以上では、本発明の一実施例について説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、例えば以下のような変形も可能である。
【0097】
前記実施例では、空打ち工程の期間(減速期間)を演算により求めて空打ち運転工程が自動的に実行されるものとしたが、本発明はこれに限らず、空打ち工程が実行される織機サイクル数(ステップ数)で構成された空打ち運転工程用の製織パターンを予め設定しておき、織機の連続運転中における主軸16の回転数の減速を伴う製織条件の切り換わり時に、その空打ち運転工程用の製織パターンにより、2以上の織機サイクルによる減速期間で前記減速が行われると共に、その減速期間中の各織機サイクルおいて緯入れを伴わない空打ち運転が実行されるようにしても良い。
【0098】
例えば、前記実施例の場合において、織柄製織パターンとは別に、空打ち運転工程専用の製織パターンを作成して記憶器42aに設定しておくと共に、製織工程情報を、設定回転数が減速方向へ変更される織柄製織パターンが設定された2つの工程の間に、空打ち運転を実行するための工程として空打ち運転工程用の製織パターンが設定された工程を挿入し、その工程において空打ち運転が実行されるようにしても良い。すなわち、前記実施例の場合では、工程3と工程4との間に空打ち運転用の工程が挿入されることとなり、工程4として空打ち運転工程が実行されるように空打ち運転工程用の製織パターンが設定され、工程5にパターン3(単位織柄c用の織柄製織パターン)が設定されることとなる。なお、この場合、空打ち運転用の製織パターンに従って空打ち運転が実行されるため、前記実施例における減速期間(空打ち運転工程の期間)や減速量の算出は省略される。
【0099】
また、前記実施例では、各製織部分(単位織柄)に対応する複数の織柄製織パターンを別々に(独立して)設定し、これら複数の織柄製織パターンを組み合わせることによって織物組織1リピート分(織柄の1単位)が形成されるものとしたが、本発明はこれに限らず、複数の製織部分に対応するパターンを含む織物組織1リピート分の製織パターンが設定され、それに従って製織(各製織関連装置の駆動)が行われるものとしても良い。なお、その場合において、その製織パターンが空打ち運転工程用のパターンを含むものとしても良いが、その製織パターンが空打ち運転工程専用のパターンを含まないものとすることも可能である。すなわち、空打ち運転工程用のパターンを省略した織物組織1リピート分の製織パターンのみを設定しておき、その製織パターンによる製織中の主軸16の回転数の減速を伴うパターンの切り換わり時、すなわち、主軸16の回転数の減速を伴う製織条件の切り換わり時に、その製織パターンにおけるステップの進行を中断し、前記実施例と同様に、演算で求めれらた空打ち運転工程の期間に亘って空打ち運転を行った後、再び製織パターンに従った製織を行うようにしても良い。また、空打ち運転工程用の製織パターンを前記製織パターンとは別に設定しておき、前記製織パターンのステップの中断に伴い、空打ち運転工程用の製織パターンに従って空打ち運転行程が実行されるようにしても良い。
【0100】
また、前記実施例では、製織部分の切り換わりに伴って減速方向に主軸16の回転数が変更される場合において、空打ち運転工程を自動的に実行すべく、空打ち運転工程の期間を演算により求めるものとしたが、主軸16の回転数が減速方向へ変更される場合であって、設定回転数の差が小さい場合には、設定された期間で減速、空打ち運転工程が行われるようにしても良い。
【0101】
具体的には、駆動制御部42の制御器42bに、設定回転数が異なるか否かだけでなく、回転数差が許容減速量を超えているか否かを判定する機能を持たせ、超えている場合は前記実施例のように演算により空打ち運転工程の期間を求め、越えていない場合は、次行程の織柄製織パターンの1リピートの織機サイクル数を空打ち運転工程の期間として設定しておき、その設定された期間で減速及び空打ち運転工程が行われるようにすれば良い。
【0102】
また、前記実施例では、求められた減速期間の各織機サイクルにおいて同じ減速量で減速が行われるものとしたが、各織機サイクルにおける減速量は、許容減速量以下であれば、どの様に割り振っても良い。例えば、設定回転数の差が700rpmであって許容減速量が200rpmであり、求められた減速期間が4織機サイクルである場合において、最初からの3織機サイクルは200rpmずつ減速し、最後の1織機サイクルの減速量を100rpmとする、というものであっても良い。
【0103】
なお、本発明は、通常の織物を製織する織機に限らず、例えば、緯糸密度が大幅に異なるスダレ織り部分とタビー部分とを含むタイヤコード(織物)を製織するための織機(タイヤコード織機)や、パイル織り部分とボーダ織り部分等を含むパイル織機等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0104】
1織機
2経糸
3経糸ビーム
3a送出モータ
4バックロール
5綜絖
6筬
7開口
8織物
9織前
10緯糸
11ガイドロール
12プレスロール
13服巻ロール
13a巻取モータ
14プレスロール
15布巻ロール
16主軸
16a主軸モータ
16b角度検出器
17開口装置
21給糸体スタンド
22給糸体
23測長貯留装置
24糸巻付けアーム
25ドラム
26係止ピン
27駆動モータ
28アクチュエータ
29メインノズル
31圧力空気源
32圧力調整弁
33電磁開閉弁
34サブノズル
35電磁開閉弁
36圧力調整弁
37給糸カッタ
38フィーラヘッド
39フィーラヘッド
40駆動制御装置
41主制御部
42駆動制御部
42a記憶器
42b制御器
42c製織長監視器
43主軸駆動部
43a演算器
44開口駆動部
45緯入れ制御部
46巻取制御部
47送出制御部
48入力設定器
51ベース速度発生部
52パルス発生部
53駆動部
54正逆カウンタ
55電流発生器
56パルスジェネレータ
61ベース速度発生部
62張力制御部
62a張力センサ
63パルス発生部
63a巻径センサ
64駆動部
65正逆カウンタ
66電流発生器
67パルスジェネレータ
70入力設定欄(パターン名)
71入力設定欄(トータルステップ)
72入力設定欄(枠枚数)
73入力設定欄(自由欄)
74入力設定欄(ステップNo.1相当)
75入力設定欄(ステップNo.)
76a入力設定欄(枠No.1〜16)
76b入力設定欄(枠No.17〜20)
77入力設定欄(カラー)
78入力設定欄(密度)
79入力設定欄(信号No.)
80入力設定欄(製織工程)
81情報欄(ステップ数)
82入力設定欄(設定長)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる製織条件で製織された2以上の製織部分を含む織物を製織する織機であって、各製織条件において主軸の回転数が設定されており、連続運転中に製織条件の変更に伴って主軸の回転数を変更する織機における製織方法であって、
織機の連続運転中に、製織条件の変更に伴って主軸の回転数を変更後の製織条件に対応する設定回転数にまで減速させるに際し、2以上の織機サイクルによる減速期間で前記減速を行うと共に、前記減速期間中の各織機サイクルでは、緯入れを伴わない空打ち運転を実行することを特徴とする織機における製織方法。
【請求項2】
前記減速期間を、設定回転数の変更量、変更後の製織条件における織物組織1リピートの織機サイクル数、及び予め設定された1織機サイクル当りの許容減速量に基づいて決定することを特徴とする請求項1に記載の織機における製織方法。
【請求項3】
主軸の回転数の設定値である設定回転数を含む製織条件に従って対応する製織関連装置を動作させて製織を行う織機であって、複数の異なる前記製織条件が予め設定されて記憶された記憶器と、主軸を駆動する主軸駆動部及び緯入れを制御する緯入れ制御部を含む駆動制御装置とを含み、前記設定回転数が変更される製織条件の変更に伴って連続運転中に主軸の回転数を変更して製織を行う織機における製織装置において、
駆動制御装置は、前記製織条件の変更に伴って前記設定回転数が減速方向へ変更されることに伴い、主軸駆動部が、2以上の織機サイクルによる減速期間に亘って主軸の回転数を変更後の製織条件における設定回転数にまで減速させると共に、緯入れ制御部が、前記減速期間中の各織機サイクルでは緯入れを停止することを特徴とする織機における製織装置。
【請求項4】
記憶器に対し1織機サイクル当りの許容減速量が予め記憶され、
駆動制御装置は、設定回転数の変更量、変更後の製織条件における織物組織1リピートの織機サイクル数、及び前記許容減速量に基づいて前記減速期間を決定することを特徴とする請求項3記載の織機における製織装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−28870(P2013−28870A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164666(P2011−164666)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000215109)津田駒工業株式会社 (226)
【Fターム(参考)】