説明

織機の緯糸貯留装置における測長バンド及び測長バンドの製造方法

【課題】本願発明の目的は、多くの工数を掛けずに緯糸の貯留に適した測長バンドを形成することに有る。
【解決手段】測長バンド7の製造では、下型をプレス機械の所定位置に固定して配置され、下型上に測長バンド7の形成に必要な大きさの鉄系材料からなる1枚の均一な厚みの原板を載せ、次に上型を所定の圧力で押し下げ、原板をプレス加工する。プレス加工による曲げの最終段階では、V字状に屈曲する屈曲部14が絞りにより形成され、測長バンド7が成型される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、複数の測長バンドを環状に並べて緯糸巻き付け体を構成し、この緯糸巻き付け体に緯糸を巻き付け、貯留する織機の緯糸貯留装置における測長バンド及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、緯糸貯留装置の緯糸巻き付け体は環状に配列された4つの糸巻き付け片7〜10により構成され、各糸巻き付け片7〜10はそれぞれ外周面に第1傾斜面7a及び水平に近い第2傾斜面7bが形成されている。緯糸巻き付け体は磁石28、30に対応するフレーム側の磁石25、27の吸引力により静止状態に保持される。緯糸巻き付け体の周囲を回転する糸巻き付け管4から供給される緯糸は緯糸係止体22又は23による緯糸係止動作時に第1傾斜面7aに巻き付けられる。第1傾斜面7aに巻き付けられた緯糸は傾斜面上を滑り落ち、第2傾斜面7bに貯留される。第2傾斜面7bに貯留された緯糸は緯糸係止体23による緯糸開放時に図示されていないが、例えばエアジェットノズルなどの緯入れ手段により引き出され、緯入れが行われる。
【0003】
従って、各糸巻き付け片7〜10の外周表面は緯糸の滑動を妨げないように可能な限り抵抗を小さくする必要があり、また緯糸との接触によって削られ、糸溝が形成されないように対摩耗性を必要とする。
【0004】
このような条件を充足するために、特許文献1を含めた従来装置では、各糸巻き付け片7〜10の第1傾斜面7a、第2傾斜面7b及び取り付け部等を金属性材料の切削加工により形成し、表面を硬質クロムメッキ処理する方法が用いられている。また、他の方法としては、各糸巻き付け片7〜10を樹脂成形し、その表面にセラミックを貼着する方法が知られている。
【特許文献1】特開昭62−299550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、金属性材料を切削により総加工して糸巻き付け片を形成する方法は工数が多く掛かり、結果として納期が長くなり、製作費用も嵩むという問題がある。また、樹脂成形とセラミックの組み合わせにより糸巻き付け片を形成する方法は工数が多く掛かるとともにセラミックの加工は困難なため、緯糸に適した接触面の形成には充分でなかった。また、糸巻き付け片を鋳造やロストワックス等により簡単に成形することも可能であるが、糸巻き付け片の形状が複雑であるため、ピンホールが発生しやすく、例え硬質クロムメッキを施してもピンホールを消すことができず、緯糸に適した接触面の形成には不充分であった。
【0006】
本願発明の目的は、多くの工数を掛けずに緯糸の貯留に適した測長バンド(特許文献1に記載された糸巻き付け片に該当する)を形成することに有る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本願発明は、少なくとも糸巻き付け面と前記糸巻き付け面に連続する糸貯留面とを有する複数の測長バンドを環状に並べて緯糸巻き付け体を構成した織機の緯糸貯留装置において、鉄系材料からなる1枚の均一な厚みの原板をプレス加工し、前記緯糸巻き付け体の半径方向に延びる取り付け用の平板部と、前記緯糸巻き付け体の周方向に湾曲した前記平板部の一端側から前記緯糸巻き付け体の半径方向中心側にV字状に絞って形成された屈曲部により前記緯糸巻き付け体の周方向に湾曲しかつ緯糸の引き出し方向に傾斜された糸巻き付け面と、前記糸巻き付け面に連続して前記緯糸巻き付け体の周方向に湾曲しかつ緯糸の引き出し方向に延びる糸貯留面とを有する前記測長バンドを形成したことを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の本願発明によれば、プレス加工の曲げと絞りとの併用により、V字状に屈曲しかつ湾曲している屈曲部14を有する測長バンド7を簡単に得ることができる。従って、工数も減少し、しかも緯糸の貯留に適した表面に形成することができる。また、鉄系材料からなる1枚の均一な厚みの原板で成型されるため、測長バンドを軽量化することができる。
【0009】
請求項2に記載の本願発明は、前記測長バンドの前記糸巻き付け面及び前記糸貯留面には、前記緯糸巻き付け体の半径方向中心側に突出する複数の凹部を形成したことを特徴とするため、緯糸の接触面積を減らした測長バンドを簡単に形成することができる。また、孔開け加工のように前記測長バンドの形成材料を無駄にすることが無い。
【0010】
請求項3に記載の本願発明は、前記測長バンドの前記糸巻き付け面及び前記糸貯留面には、前記緯糸巻き付け体の半径方向に貫通する複数の貫通孔を設け、緯糸の送り羽根の出没を可能にしたことを特徴とするため、糸貯留面に巻き付けた緯糸の緯糸引き出し方向への送り機能を備えた緯糸貯留装置に対応した測長バンドを形成することができる。
【0011】
請求項4に記載の本願発明は、少なくとも糸巻き付け面と前記糸巻き付け面に連続する糸貯留面とを有する複数の測長バンドを環状に並べて緯糸巻き付け体を構成した織機の緯糸貯留装置において、鉄系材料からなる1枚の均一な厚みの原板をプレス加工し、前記緯糸巻き付け体の半径方向に延びる取り付け用の平板部と、前記緯糸巻き付け体の周方向に湾曲した前記平板部の一端側から前記緯糸巻き付け体の半径方向中心側にV字状に絞って形成された屈曲部により前記緯糸巻き付け体の周方向に湾曲しかつ緯糸の引き出し方向に傾斜された糸巻き付け面と、前記糸巻き付け面に連続して前記緯糸巻き付け体の周方向に湾曲しかつ緯糸の引き出し方向に延びる糸貯留面とを有する前記測長バンドを形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の本願発明によれば、プレス加工の曲げと絞りとの併用により、V字状に屈曲しかつ湾曲している屈曲部14を有する測長バンド7を簡単に製造することができる。従って、工数も減少し、しかも緯糸の貯留に適した表面に形成することができる。また、鉄系材料からなる1枚の均一な厚みの原板で成型されるため、測長バンドを軽量化することができる。
【0013】
請求項5に記載の本願発明は、前記測長バンドの形成後、前記糸巻き付け面及び前記糸貯留面にプレス加工又は絞り加工により前記緯糸巻き付け体の半径方向中心側に突出する複数の凹部を形成したことを特徴とするため、緯糸の接触面積を減らした測長バンドを簡単に形成することができる。また、孔開け加工のように前記測長バンドの形成材料を無駄にすることが無い。
【0014】
請求項6に記載の本願発明は、前記測長バンドの形成後、前記糸巻き付け面及び前記糸貯留面にプレス加工又は絞り加工により前記緯糸巻き付け体の半径方向に貫通する複数の貫通孔を形成したことを特徴とするため、糸貯留面に巻き付けた緯糸の緯糸引き出し方向への送り機能を備えた緯糸測長貯留装置に対応した測長バンドを簡単に形成することができる。
【0015】
請求項7に記載の本願発明は、前記測長バンドの形成後少なくとも前記測長バンドの外周表面にタフトライド処理を施したことを特徴とするため、緯糸の接触抵抗が小さく、緯糸の接触による対摩耗性を充分に備えた測長バンドを簡単な方法で得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本願発明は、工数を掛けることなく緯糸の貯留に適した測長バンドを簡単に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
図1はエアジェット織機に使用されている緯糸貯留装置の概要を示したものである。フレーム1に回転可能に軸受された中空の回転軸2は同回転軸2と交差する方向に延出する中空の糸巻き付け管3を備える。回転軸2と糸巻き付け管3とは中空部が連通しており、図示しない給糸部から引き出された緯糸Yが引き通されている。回転軸2の前方側(図1の右方)には、フランジ付支持体4が図示しない軸受を介して相対回転可能に取り付けられている。支持体4のフランジにはさらに大径の円板5がボルト(図示せず)等により固定されている。
【0018】
円板5には緯糸巻き付け体6を構成するために4片の測長バンド7が環状に配列され、ボルト8及びナット9により固定されている。測長バンド7は鉄系材料からなる1枚の均一な厚みの板から構成され、図2及び図3に詳細を示したように、長孔11を有する平板部10と糸巻き付け管3から供給される緯糸が巻き付けられる糸巻き付け面12と巻き付けられた緯糸が貯留される糸貯留面13とを有する。
【0019】
平板部10は緯糸測長貯留装置に取り付けた時、緯糸巻き付け体6の半径方向に延出され、長孔11を介して測長バンド7がボルト8及びナット9により支持体4の円板5に固定される。また、長孔11により測長バンド7の高さ位置が調整され、緯糸Yの巻き付け量、即ち測長量が変更又は調整される。平板部10の一端部である外周側は緯糸巻き付け体6の周方向に湾曲して形成され、平板部10の外周側から同一の曲率半径の湾曲面を備えた糸巻き付け面12が連続して形成されている。
【0020】
また、糸巻き付け面12は、図示しないエアジェットノズルによって緯糸Yが引き出される方向において、平板部10との間にV字状の屈曲部14を形成することにより緯糸巻き付け体6の半径方向中心側に大きな角度で傾斜されている。従って、糸巻き付け管3によって糸巻き付け面12の外周面に巻き付けられた緯糸Yは傾斜面を順次滑落していく。
【0021】
糸貯留面13はその外周に糸巻き付け面12の最小径部と同一の曲率半径の湾曲面を有し、糸巻き付け面12に連続して緯糸Yの引き出し方向と平行に延出されている。従って、糸巻き付け面12を滑落した緯糸Yは糸貯留面13の外周面に列状に貯留される。なお、糸貯留面13の外周面は緯糸Yの引き出し方向に若干縮径あるいは拡径する傾斜面で形成することも可能である。
【0022】
測長バンド7は前記したように4片が環状に配列されて緯糸巻き付け体6を構成するが、図1において上方に配置された測長バンド7の糸貯留面13の外周面には電磁ソレノイドにより作動する電磁ピン15の進入を許容する挿入孔16が形成されている。挿入孔16は図の実施例において凹部として形成されているが、貫通孔として形成してもよい。なお、他の3片の測長バンド7は電磁ピン15と対応しないため、挿入孔16を形成する必要が無い。図2は他の測長バンド7を示すものであるため、挿入孔16は仮想線で示してある。また、4片の測長バンド7から構成された緯糸巻き付け体6は円板5に複数取り付けた永久磁石17をフレーム1に固定されたカバー18の内面に固定した永久磁石19と対応させることによって、回転軸2の回転に対して静止状態が維持される。
【0023】
図1において緯糸貯留装置の動作について説明すると、電磁ピン15が挿入孔16に進入し、緯糸Yを係止した状態で、糸巻き付け管3の回転により緯糸Yが糸巻き付け面12に巻き付けられるとともに糸巻き付け面12の傾斜面を滑落し、図のように糸貯留面13に列状に貯留されていく。緯入れ時には、電磁ピン15が図の上方に後退して緯糸Yを開放するため、図示しないエアジェットノズルからのエア噴射により糸貯留面13上の緯糸Yが引き出され、緯入れされる。緯入れ終了時には、図示しない緯糸検出装置からの緯糸長さ検出信号に基づく制御信号により電磁ピン15が挿入孔16内に進入して緯糸Yを係止するため、緯糸Yの引き出しが停止され、再び糸貯留面13に緯糸Yが貯留されていく。
【0024】
次に、測長バンド7の製造方法を説明する。測長バンド7の製造では、下型(図示せず)をプレス機械(図示せず)の所定位置に固定して配置され、下型上に測長バンド7の形成に必要な大きさの鉄系材料からなる1枚の均一な厚みの原板を載せ、次に上型を所定の圧力で押し下げ、原板をプレス加工する。プレス加工による曲げの最終段階では、V字状に屈曲する屈曲部14が絞りにより形成され、測長バンド7が成型される。原板の鉄系材料としては、SUS304に代表されるステンレス鋼やSK5に代表される炭素工具鋼等が上げられる。
【0025】
プレス加工により成型された測長バンド7は次工程において他のプレス機械のせん断により長孔11が形成される。なお、緯糸貯留装置の電磁ピン15と対応する位置に配置される測長バンド7については、他のプレス機械での絞りにより挿入孔16が形成される。このようにして成型された測長バンド7は他の次工程において窒化処理の一種であるタフトライド処理による表面処理が施され、緯糸の滑りを良くするとともに対摩耗性を向上する。タフトライド処理は少なくとも測長バンド7の緯糸と接触する面に施す必要があるが、全表面を処理することも可能である。なお、測長バンド7の表面処理については緯糸貯留装置の分野で一般的に使用されている硬質クロムメッキ処理を行っても良い。また、測長バンド7は表面処理後、必要に応じてショットピーニング加工により糸巻き付け面12及び糸貯留面13の表面を粗くし、緯糸との接触抵抗をさらに減少させることができる。
【0026】
前記した第1の実施形態は、以下の作用効果が得られる。
(1)プレス加工の曲げと絞りとの併用により、V字状に屈曲しかつ湾曲している屈曲部14を有する測長バンド7を簡単に製造することができる。
(2)測長バンド7の加工工数を低減することができ、その結果従来の切削加工等に比して測長バンド7を安価に製造することができる。
(3)測長バンド7をプレス加工により1枚の原板で成型するため、緯糸巻き付け体6を軽量化することができ、その結果緯糸巻き付け体6を静止状態に維持するための永久磁石の構成を簡単化することができる。即ち、磁力を従来に比して弱くすることができるので、永久磁石の数を減らしたり、小型の永久磁石を使用して緯糸貯留装置全体を小型化することができる。
(4)プレス加工のため、測長バンド7は品質の高い板のままであるため、表面処理後の測長バンド7の表面は鋳造により製造した場合に発生しやすいピンホール等が無く、緯糸との接触に適した状態を得ることができる。
(5)測長バンド7をタフトライド処理することによって、表面を滑らかにし、かつ表面高度を大きくすることができるので、緯糸との接触面として効果的であり、絶えず緯糸と接触する測長バンド7の耐久性を大きく改善することができる。
【0027】
(第2の実施形態)
図4及び図5に示す第2の実施形態は、第1の実施形態における測長バンド7の一部を変更したもので、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0028】
第2の実施形態は、測長バンド7の糸巻き付け面12及び糸貯留面13の表面に緯糸Yの引き出し方向に延びる凹部25を所定間隔で複数形成したものである。各凹部25は図5の断面図で明示されるように、緯糸巻き付け体6の半径方向中心側に窪ませた形状である。各凹部25の所定間隔は一定であってもランダムであっても構わない。また、各凹部25の周方向の幅は一定であってもランダムであっても良い。
凹部25の形成は測長バンド7と巻き付けられる緯糸Yとの接触面積を減らすことができ、測長バンド7上での緯糸Yの滑り抵抗や緯入れ時の緯糸Yの引き出し抵抗をより減少させることができる。
【0029】
なお、図4の測長バンド7は図1の電磁ピン15と対向する位置に配列されるものであるため、緯糸Yの検出部形成板26を備えた形態である。検出部形成板26は糸貯留面13の一部を構成するものであるが、糸貯留面13よりも緯糸Yの引き出し方向に若干突出させてある。また、検出部形成板26の先端側には後工程で反射板(図示せず)を貼着するための円形の窪み27が形成されている。窪み27は図示していないが、図1の緯糸測長貯留装置に設けられた緯糸長さ検出用の光電式センサーと対向して配置され、窪み27上を通過する緯糸Yを光電式センサーが検出して電磁ピン15の進出、後退動作を制御する。
【0030】
第2の実施形態における測長バンド7の製造は、最初に平板部10、糸巻き付け面12、糸貯留面13及びV字状の屈曲部14からなる基本形態及び検出部形成板26が第1の実施形態と同様の方法でプレス機械により成型される。次に、次工程のプレス機械で測長バンド7を周方向に回転させながら各凹部25を順に成型していく。また、検出部形成板26の窪み27は凹部25の成型と同工程か又は凹部25成型後の次工程で成型する。測長バンド7の表面処理等は第1の実施形態と同様である。
第2の実施形態では、凹部25をプレス工程により簡単に形成することができるとともに凹部25を形成することにより緯糸Yとの接触抵抗を減少させることができる。また、凹部25の形成は孔形成に比して安価に製造することができる。
【0031】
(第3の実施形態)
図6に示す第3の実施形態は、第1の実施形態における測長バンド7の一部を変更したもので、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0032】
第3の実施形態における測長バンド7は糸巻き付け面12及び糸貯留面13に第2の実施形態における凹部25の代わりに貫通孔28を形成したものである。貫通孔28の緯糸Yの引き出し方向の端部は糸貯留面13内に留めてあり、糸貯留面13の端面部を残すことにより測長バンド7の強度を保つようにしている。
第3の実施形態における測長バンド7の製造方法は第2の実施形態の凹部25が貫通孔28に変更され、貫通孔28がプレス機械のせん断により形成される点が異なるのみで、他の製造過程は第2の実施形態と同様である。
【0033】
エアジェット織機では種々の性質の異なる緯糸Yが使用されている。例えば比較的長い毛羽を有する緯糸Yが使用された場合、緯糸巻き付け体6に巻かれた各緯糸Yが隣接する緯糸Yの毛羽を押えて引き出し不能とする恐れがある。このような種類の緯糸Yを使用する場合、緯糸巻き付け体6に巻かれた緯糸Yを引き出し方向に積極的に送ることができる送り羽根機構を緯糸貯留装置に設ける方法が取られている。第3の実施形態では、送り羽根機構の出没に対応する貫通孔28を備えた測長バンド7をプレス工程により簡単に成型することができる。
【0034】
本願発明は、前記した各実施形態の構成に限定されるものではなく本願発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、次のように実施することができる。
【0035】
(1)第2の実施形態における凹部25は基本形態を有する測長バンド7をプレス加工により成型後、次工程のプレス加工により順番に形成する方法で説明したが、基本形態に凹部25を加えた型を使用することにより、凹部25は測長バンド7の基本形態と同一工程で形成することができる。
(2)第3の実施形態における貫通孔28はプレス加工に限らず放電加工によって形成することができる。
(3)本願発明はエアジェット織機のほか、ウォータジェット織機、レピア織機、グリッパー織機等に使用される緯糸貯留装置の測長バンドにおいて実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】緯糸貯留装置を示す概略図である。
【図2】第1の実施形態における測長バンドを示す斜視図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】第2の実施形態における測長バンドを示す上面図である。
【図5】図4のC−C線断面図である。
【図6】第3の実施形態における測長バンドを示す上面図である。
【符号の説明】
【0037】
6 緯糸巻き付け体
7 測長バンド
10 平板部
12 糸巻き付け体
13 糸貯留面
25 凹部
28 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも糸巻き付け面と前記糸巻き付け面に連続する糸貯留面とを有する複数の測長バンドを環状に並べて緯糸巻き付け体を構成した織機の緯糸貯留装置において、
鉄系材料からなる1枚の均一な厚みの原板をプレス加工し、前記緯糸巻き付け体の半径方向に延びる取り付け用の平板部と、前記緯糸巻き付け体の周方向に湾曲した前記平板部の一端側から前記緯糸巻き付け体の半径方向中心側にV字状に絞って形成された屈曲部により前記緯糸巻き付け体の周方向に湾曲しかつ緯糸の引き出し方向に傾斜された糸巻き付け面と、前記糸巻き付け面に連続して前記緯糸巻き付け体の周方向に湾曲しかつ緯糸の引き出し方向に延びる糸貯留面とを有する前記測長バンドを形成したことを特徴とする織機の緯糸貯留装置における測長バンド。
【請求項2】
前記測長バンドの前記糸巻き付け面及び前記糸貯留面には、前記緯糸巻き付け体の半径方向中心側に突出する複数の凹部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の織機の緯糸貯留装置における測長バンド。
【請求項3】
前記測長バンドの前記糸巻き付け面及び前記糸貯留面には、前記緯糸巻き付け体の半径方向に貫通する複数の貫通孔を設け、緯糸の送り羽根の出没を可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の織機の緯糸貯留装置における測長バンド。
【請求項4】
少なくとも糸巻き付け面と前記糸巻き付け面に連続する糸貯留面とを有する複数の測長バンドを環状に並べて緯糸巻き付け体を構成した織機の緯糸貯留装置において、
鉄系材料からなる1枚の均一な厚みの原板をプレス加工し、前記緯糸巻き付け体の半径方向に延びる取り付け用の平板部と、前記緯糸巻き付け体の周方向に湾曲した前記平板部の一端側から前記緯糸巻き付け体の半径方向中心側にV字状に絞って形成された屈曲部により前記緯糸巻き付け体の周方向に湾曲しかつ緯糸の引き出し方向に傾斜された糸巻き付け面と、前記糸巻き付け面に連続して前記緯糸巻き付け体の周方向に湾曲しかつ緯糸の引き出し方向に延びる糸貯留面とを有する前記測長バンドを形成したことを特徴とする織機の緯糸貯留装置における測長バンドの製造方法。
【請求項5】
前記測長バンドの成型後、前記糸巻き付け面及び前記糸貯留面にプレス加工又は絞り加工により前記緯糸巻き付け体の半径方向中心側に突出する複数の凹部を形成したことを特徴する請求項4に記載の織機の緯糸貯留装置における測長バンドの製造方法。
【請求項6】
前記測長バンドの成型後、前記糸巻き付け面及び前記糸貯留面にプレス加工又は絞り加工により前記緯糸巻き付け体の半径方向に貫通する複数の貫通孔を形成したことを特徴する請求項4に記載の織機の緯糸貯留装置における測長バンドの製造方法。
【請求項7】
前記測長バンドの成型後少なくとも前記測長バンドの外周表面にタフトライド処理を施したことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の織機の緯糸貯留装置における測長バンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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