説明

織機の運動部材の制御装置

【課題】織機主軸と同期する専用モータで駆動する織機の運動部材の制御装置において、原点サーチ動作が正常に行われたかどうかを判断できるようにする。
【解決手段】織機の原動モータとは別の専用モータ12により駆動される織機の運動部材としての綜絖枠11が所定の運動位置にあることを検出するセンサ30と、原点サーチ動作時に、専用モータ12を駆動しつつセンサ30の信号を入力し、当該信号に基づき綜絖枠11の機械原点に対応する専用モータ12の回転位置を決定する制御装置33とを備える織機の運動部材の制御装置において、上記制御装置33は、原点サーチ動作時におけるセンサ30の信号の出力期間および非出力期間のいずれかと予め設定された許容値とを比較して、原点サーチ動作の合否を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原点サーチ動作時に、専用モータを駆動しつつセンサの信号を入力し、当該信号に基づき運動部材の機械原点に対応する専用モータの回転位置を決定する過程で、原点サーチ動作時におけるセンサの信号の出力期間および非出力期間のいずれかと設定された許容値とを比較して、原点サーチ動作の合否を判断する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1や特許文献2に見られるように、従来の電動開口装置は、織機の稼動前に電動開口装置の駆動モータと織機主軸との同期合わせのために、各綜絖枠毎に例えば近接センサにより揺動レバーや綜絖枠の位置を検出して、駆動モータと織機主軸との位相の同期を取る、いわゆる原点サーチ動作を行っている。
【0003】
上記の技術によると、原点サーチ動作時に、ノイズやダストによって近接センサから誤った信号が出力されたり、近接センサ自身や近接センサに対する被検出部材例えば揺動レバーや綜絖枠の振動により、近接センサの信号が間欠的に出力されたりすることがある。このように異常に出力された信号に基づいて機械原点を決定すると、綜絖枠の専用モータの位相が織機主軸の位相とずれた状態で設定されて、運転が開始されることになり、織機の稼動不可もしくは織物欠点の発生を引き起こす。
【特許文献1】特開2004−324033公報
【特許文献2】特開平9−111576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の課題は、織機主軸と同期する専用モータで駆動する織機の運動部材の制御装置において、原点サーチ動作が正常に行われたかどうかを判断できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題のもとに、本発明は、織機の原動モータとは別の専用モータにより駆動される織機の運動部材が所定の運動位置にあることを検出するセンサと、原点サーチ動作時に、専用モータを駆動しつつセンサの信号を入力し、当該信号に基づき運動部材の機械原点に対応する専用モータの回転位置を決定する制御装置とを備える織機の運動部材の制御装置において、上記制御装置は、原点サーチ動作時におけるセンサの信号の出力期間および非出力期間のいずれかと予め設定された許容値とを比較して、原点サーチ動作の合否を判断することを特徴とする(請求項1)。
【0006】
前記期間は、専用モータの回転位置を示す回転角度を単位とすることを特徴とし(請求項2)、また、前記期間は前記期間に対応する時間を単位とすることを特徴とする(請求項3)。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、原点サーチ動作時において、センサに異常な信号出力が生じている場合には、検出されたセンサの信号が出力期間または非出力期間のいずれかで許容値から逸脱するため、作業者に対して原点サーチミスを知らせることによって、専用モータの位相と織機主軸の位相とがずれた状態で運転されることを未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、織機の原動モータとは別の専用モータにより駆動される織機の運動部材の存在を前提としているが、織機においてそのような装置は、電動開口装置や電動耳組装置である。以下の実施例1は、前記の特許文献1の電動開口装置に本発明を適用した例であり、また、実施例2は、前記の特許文献2の電動開口装置に本発明を適用した例である。
【実施例1】
【0009】
前記のように実施例1は、前記の特許文献1の電動開口装置10に本発明を適用した例であり、ここでの駆動モータ12はインクリメンタル形式のエンコーダ対応のモータを用いる。
【0010】
〔装置の概要〕
図1は、織機の電動開口装置10の要部を示している。織機の電動開口装置10は、織機の運動部材としての複数の綜絖枠11を備えており、駆動モータ12は、図示しない織機主軸駆動用の原動モータとは別の専用モータであり、各綜絖枠11毎に複数設けられているが、図1は、織機の電動開口装置10の1つの綜絖枠11、1つの駆動モータ12について示している。
【0011】
駆動モータ12の出力軸にはインクリメンタル形式のエンコーダ13が連結されており、駆動モータ12の出力軸の回転は、対応の綜絖枠11を駆動するために、減速装置14により減速され、クランク円板15の円板軸16に伝達される。この実施例では、駆動モータ12が5回転すると、綜絖枠11が1往復するように、減速装置14の減速比が定められている。
【0012】
クランク円板15の回転は、クランク円板15の偏心軸17、この偏心軸17に連結されているクランクロッド18、連結具19の連結軸20を介して、揺動レバー21の揺動運動に変換される。揺動レバー21は、三叉状のほぼ中心部分でレバー軸22によって織機フレーム23に回転自在に支持されており、アーム部24で連結具19に位置調整自在に連結されている。
【0013】
揺動レバー21の一方の突出部分は2本のピン25と長さ調整可能な連結ロッド26により綜絖枠11の一端に連結され、また他方の突出部分はピン25と連結バー28により図示しない他端の揺動レバー、2本のピンと連結ロッドなどにより綜絖枠11の他端に連結されている。このようにして、綜絖枠11および図示しない他の複数の綜絖枠は、各駆動モータ12の回転力により上下動し、図示しない織機主軸と別駆動のままその織機主軸の回転と同期しながら、織組織に応じた開口運動を行う。
【0014】
なお、綜絖枠11の開口量は、揺動レバー11のアーム部24に対する連結具19の位置を調整することによって変更できる。連結具19の位置をレバー軸22の方向に移動させて、アーム長さを短くすると、綜絖枠11の開口量は大きくなり、逆に連結具19の位置をレバー軸22から離れる方向に移動させ、アーム長さを長くなると、綜絖枠11の開口量は小さくなる。
【0015】
揺動レバー11には被検出部31が揺動レバー11の往復運動方向に沿って円弧状に延在する形状として形成されており、被検出部31の揺動運動の位置は、近接型のセンサ30によって、綜絖枠11の開口位置として検出される。なお、センサ30は、織機フレーム23に設けられているシャフト受け29にブラケット32により取り付けられ、被検出部31に一定の間隔をおいて対向している。
【0016】
図2は、電動開口装置10の制御装置33の構成を示している。エンコーダ13の出力信号はカウンタ34に入力され、カウンタ34のカウント出力信号およびセンサ30の信号は制御装置33の演算器35に入力される。演算器35は必要に応じてクロックパルス発生器37を内蔵しており、演算器35の出力は織機の運動に同期して駆動モータ制御装置36に送られるため、駆動モータ制御装置36は演算器35の出力を入力として、駆動モータ12の回転を制御する。なお、制御装置33に設定器38および表示器39が付設されており、設定器38により入力データの設定が可能であり、表示器39により入力データや制御データが視認できるようになっている。
【0017】
図3は、センサ30と被検出部31の運動との対応関係を示している。なお、図3において、被検出部31は、最小振幅(小さな開口運動)設定時でも最大振幅(大きな開口運動)設定時でも同一円弧上を移動するから、本来、重なり合うが、説明の便宜上、半径長さを異ならせて描かれている。揺動レバー21の最小振幅(小さな開口運動)設定時での揺動運動から最大振幅(大きな開口運動)設定時での揺動運動までのいずれの振幅設定でもセンサ30に接近し、センサ30によって検出できるように往復運動方向に長い円弧状としてある。
【0018】
図3のように、被検出部31が揺動レバー21の往復運動方向に沿って円弧状に長く延在する形状であるから、綜絖枠11が小さな開口運動を行っているとき、または大きな開口運動を行っているときで、一方の最大開口位置(極限位置)にあるときに、センサ30はオン(ON)となり、その期間中に信号を出力したままの状態となるが、それ以外の期間でオフ(OFF)となる。
【0019】
図4は時間軸t上でセンサ30の出力としての信号のオン(ON)・オフ(OFF)状態を示している。センサ30の出力は、被検出部31を検出しているときにオン(ON)の出力期間であり、それ以外でオフ(OFF)の期間となる。
【0020】
綜絖枠11の開口量は、揺動レバー21のアーム部24に対する連結具19の位置を調整することによって変更できるが、綜絖枠11の開口量が変更されたときでも、最大開口位置を対象としてセンサ30の出力期間(ON期間)が定まる。
【0021】
このよううに、開口量の大小によって揺動レバー21の運動量も変化し、最大開口位置も変化するが、十分に余裕がある位置例えば上下最大開口間の中間(いわゆるクロス位置)くらいにセンサ30を設ければ、大から小までの開口設定でも、最大開口時の一方ではセンサ30の信号がON、他方ではセンサ30の信号がOFFとなる。
【0022】
〔原点サーチ動作中の綜絖枠11およびセンサ30の動作〕
図5は、横軸に駆動モータ12の回転角度(時間の経過)をとり、また縦軸に綜絖枠11の変位量をとって、製織中の駆動モータ12の回転、綜絖枠11の開口運動(上下方向の変位)とセンサ30の信号の変化との関係を示している。なお、駆動モータ12の回転は便宜上サイン曲線として表されており、綜絖枠11の上下方向の変位は、実際には揺動レバー21の揺動運動から検出される。駆動モータ12のサイン曲線は1周期を駆動モータ12の1回転として示している。また、図5で、横軸の回転角度は、図4のように時間として表すこともできる。
【0023】
前記のように、減速装置14の介在のために、駆動モータ12の出力軸が5回転する間に綜絖枠11は、下死点(下方最大開口位置)から上死点(上方最大開口位置に対応する回転量P0)を経て下死点に達し、1往復をする。綜絖枠11の1往復での往路の過程で、綜絖枠11が上昇し、綜絖枠11の変位量のほぼ中間の位置に対応する回転量P1に差し掛かったとき、被検出部31がセンサ30の検出域に入るため、センサ30の信号はオン(ON)となり、その状態を継続し、その後の復路の過程で、綜絖枠11が下降し、綜絖枠11の変位量のほぼ中間の位置に対応する回転量P2に差し掛かったとき、被検出部31がセンサ30の検出域を出るため、センサ30の信号はオフ(OFF)となる。なお、後述するが、回転量P0、P1、P2はカウンタ34のカウント値として検出される。
【0024】
図5の丸付き数字1、2に見られるように、センサ30のオン(ON)の信号は、織機の運動部材としての綜絖枠11の最大開口時の回転量P0を中心として角度方向の前後でほぼ対称となる。なお、丸付き数字1は、大きな開口運動のときのセンサ30のオン(ON)の信号であり、丸付き数字2は、小さな開口運動のときのセンサ30のオン(ON)の信号である。
【0025】
〔最大開口時の回転角度の算出〕
図6は実施例1における一連の原点サーチ動作のフローチャートを示す。この実施例1では、一例として綜絖枠11の上死点、つまり最大開口時の回転量P0を機械原点とする場合に、原点サーチ(最大開口時の回転角度の算出)動作は以下のように行われる。
【0026】
オペレータが図示しない織機の電源を投入し、図示しない原点サーチ用の同期操作ボタンを押し下げられると、制御装置33は原点サーチ動作を開始し、まず、カウンタ34のカウント値を0の状態としてから、カウンタ34をカウント可能な動作状態にする。その後に、駆動モータ制御装置36は駆動モータ12の回転を開始させ、それを低速で回転(寸動運転)させることにより、綜絖枠11を上下移動させる(ステップ1)。
【0027】
駆動モータ12が回転すると、カウンタ34は駆動モータ12に接続されたインクリメンタル型のエンコーダ13からのパルス信号を1パルス毎にカウントし、駆動モータ12の回転中このカウント動作を継続する(ステップ2)。なお、駆動モータ12の5回転分のパルス数に達したときに、カウンタ34はカウント値を0にリセットする。
【0028】
センサ30の信号がOFF→ONとなった時(ステップ3)に、演算器35は、カウンタ34からカウント値すなわち回転量P1を取得する(ステップ4)。なお、ステップ3および後述のステップ6での※1の括弧内の表示は非出力期間に許容量を設定した場合の論理である。
【0029】
その後も、カウンタ34はエンコーダ13からのパルス信号のカウントを継続する(ステップ5)。つぎにセンサ30の信号が初めてON→OFFとなった時(ステップ6)に、演算器35は、カウンタ34よりその時のカウント値すなわち回転量P2を取得する(ステップ7)。
【0030】
その後、演算器35は、〔原点サーチ動作の合否判断〕の動作(ステップ8およびステップ9)を行ってから回転量P1、P2の中間の回転量P0=(P1+P2)/2を算出することで、ほぼ最大開口時の駆動モータ12の回転量P0を決定し、これを織機主軸と同期をとるための機械原点として使用する(ステップ10)。そして、原点サーチが正常に行われると、その状態が表示器39によってされ(ステップ11)、原点サーチ動作が正常に終了する。このように運動部材としての綜絖枠11の機械原点に対応する駆動モータ12の回転量(回転位置)を決定することにより、電動開口装置10と織機主軸との同期動作が可能となる。
【0031】
〔原点サーチ動作の合否判断〕
上記のように、原点サーチ動作の合否判断は、[最大開口時の回転角度の算出]の処理の過程でステップ8およびステップ9の他、ステップ13、ステップ14によって実行される。
【0032】
まず、綜絖枠11の上死点を原点とする場合で、原点サーチ動作を行う時には、センサ30の信号の出力期間(ON期間)の許容値を設定器38により予め入力し、制御装置33(演算器35)に許容値を設定しておく。この許容値は、出力期間(ON期間)での回転量の範囲を特定するものであり、機械的に設定されている開口量に応じて設定される。なお、すでに明らかなように、この期間は非出力期間(OFF期間)として設定することもできる。
【0033】
駆動モータ12の回転角度1°につき1パルス出力されるとき、綜絖枠11の開口量が例えば142mmの場合は、許容値は785±50パルスとなり(図5の丸付き数字1)、綜絖枠11の開口量が64mmの場合は、許容値は620±50パルスとなる(図5の丸付き数字2)。
【0034】
図6のステップ7の後に、演算器35は、回転量増加分P3=|P1−P2|を算出し(ステップ8)、回転量増加分P3が上記許容値の範囲内かどうか、すなわち綜絖枠11の開口量が64mmの場合は570≦P3≦670であるかどうかの判定をする(ステップ9)。この判定のステップで、Y(yes)のとき、つまり回転量増加分P3が許容値の範囲内に収まっているときに、センサ30に誤検出がなく、原点サーチ動作が正常に行われたと判断し、次のステップ10に進む。
【0035】
判定のステップで、N(no)のとき、つまり許容値の範囲外のときに、原点サーチ動作が異常であると判断する。この原点サーチ動作の異常は、表示器39により原点サーチ動作結果として表示するなお、原点サーチ動作の異常だけでなく、原点サーチ動作の正常な状態も表示器39により原点サーチ動作結果として表示することもできる。
【0036】
また、この実施例1では1つの開口量にたいして許容値はそれぞれ2つずつ設定しているが、1つの開口量にたいして許容値は1つでもよい。許容値が1つの場合は許容値と回転量増加分P3との大小関係で原点サーチ動作の合否を判断する。
【0037】
なお、上記のようなエンコーダ13のパルスによる許容値の設定は一般の作業者には難しいため、例えば保全者が設定器38により許容値を入力してもよく、または保全者が予め基準となる許容値を入力しておき、作業者が設定する開口量に応じて演算器35が許容値を自動的に設定するようにしてもよい。
【0038】
〔実施例1の変形例1〕
実施例1の〔原点サーチ動作の合否判断〕では、エンコーダ13のパルスがカウント対象であるが、図2に示すように、演算器35にクロックパルス発生器37を内蔵または外付けすれば、カウント対象はクロックパルスとすることもできる。カウント対象がクロックパルスのときに、図7のように、センサ30の信号がOFF→ONとなった時からクロックパルスを0からカウントし、次に初めてセンサ30の信号がON→OFFとなった時までのカウントされた時間C1に基づいて原点サーチ動作の合否を判断してもよい。この場合、原点サーチ動作時の駆動モータ12の回転速度によって上記時間が変化するため、駆動モータ12の回転速度に応じて許容値を設定する。駆動モータ12の回転速度の設定が変更されると、対応する許容値を自動変更させてもよい。なお、図7は〔原点サーチ動作の合否判断〕の処理のみを示し、〔最大開口時の回転角度の算出〕の処理は実施例1と同様である。
【0039】
〔実施例1の変形例2〕
実施例1の〔原点サーチ動作の合否判断〕において、駆動モータ12に接続されたエンコーダ13の出力信号を回転角度のカウント信号として直接に演算器35に入力させ、センサ30の信号がOFF→ONとなった時から上記のカウント信号を用いて、回転量を0からカウントし、次に初めてセンサ30の信号がON→OFFとなった時までのカウントされた回転量を回転量P3として用いてもよい。
【0040】
なお、実施例1において、綜絖枠11の下死点を原点とする場合の原点サーチ動作を行う時は、センサ30の信号の非出力期間(OFF期間)の許容値を予め設定し、センサ30の信号がON→OFFとなった時と、次に初めてセンサ30の信号がOFF→ONとなった時の駆動モータ12のそれぞれの回転量P1、P2を取得し、取得した回転量P1、P2に基づいて非出力期間での回転量増加分P3を算出して原点サーチ動作の合否判断を行い、さらに機械原点に対応する駆動モータ12の回転量(回転位置)P0を算出する。このような非出力期間(OFF期間)での原点サーチ動作の合否判断および回転量(回転位置)P0の算出の手法は前記の変形例1、2も同様に適用できる。
【実施例2】
【0041】
既述のように、本発明は、特許文献2の電動開口装置に適用することもできる。特許文献2の電動開口装置は、前記の実施例1とほぼ同様な機構(クランクてこ機構およびリンク機構)を採用しながら、揺動レバー(21)の揺動領域内で揺動レバー(21)の所定位置(距離)を距離検出用のセンサ(高さ位置検出器)により検出する例、および位置検出用のセンサを綜絖枠の上死点位置に設け、綜絖枠の所定位置(上死点位置)をセンサにより検出する2つの例を含んでいる。何れの例でも、センサからは綜絖枠の所定位置すなわち上死点位置において出力信号(ON信号)が出力される。よって、何れの例でも、センサの出力期間(ON期間)の許容値を定めて、許容値と実際に検出された出力期間とを比較して、原点サーチ動作の合否の判断が行えることになる。また、センサの調整等によって、センサの出力期間(ON期間)より非出力期間(OFF期間)が長い場合は、非出力期間(OFF期間)を許容値の対象にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、織機の電動開口装置だけでなく、織機の他の運動装置例えば電動耳組装置に適用することもできる。電動耳組装置では、耳形成用の耳糸が通されている回転部材が運動部材となる。回転部材は、織機の原動モータとは別の専用モータにより、原動モータと同期する状態で駆動される。このため、運動部材としての回転部材の近傍にセンサを設け、このセンサの信号に基づいて回転部材の機械原点に対応する専用モータ(出力軸)の回転位置を決定する。そして、回転位置の決定(原点サーチ)過程で、原点サーチ動作の合否を判断することになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】電動開口装置の要部の側面図である。
【図2】電動開口装置の制御装置のブロック線図である。
【図3】運動部材としての揺動レバーの振幅およびセンサと被検出部との対応関係の説明図である。
【図4】センサの信号の説明図である。
【図5】駆動モータの回転角度と綜絖枠の上下方向の変位との関係、およびセンサの信号の説明図である。
【図6】制御装置による原点サーチ動作および原点サーチ動作の合否判断のフローチャート図である。
【図7】制御装置による原点サーチ動作および原点サーチ動作の合否判断のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0044】
10 電動開口装置
11 綜絖枠
12 駆動モータ
13 エンコーダ
14 減速装置
15 クランク円板
16 円板軸
17 偏心軸
18 クランクロッド
19 連結具
20 連結軸
21 揺動レバー
22 レバー軸
23 織機フレーム
24 アーム軸
25 ピン
26 連結ロッド
27 ピン
28 連結バー
29 シャフト受け
30 センサ
31 被検出部
32 ブラケット
33 制御装置
34 カウンタ
35 演算器
36 駆動モータ制御装置
37 クロックパルス発生器
38 設定器
39 表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
織機の原動モータとは別の専用モータ(12)により駆動される織機の運動部材(11)が所定の運動位置にあることを検出するセンサ(30)と、原点サーチ動作時に、専用モータ(12)を駆動しつつセンサ(30)の信号を入力し、当該信号に基づき運動部材(11)の機械原点に対応する専用モータ(12)の回転位置を決定する制御装置(33)とを備える織機の運動部材の制御装置において、
上記制御装置(33)は、原点サーチ動作時におけるセンサ(30)の信号の出力期間および非出力期間のいずれかと予め設定された許容値とを比較して、原点サーチ動作の合否を判断することを特徴とする織機の運動部材の制御装置。
【請求項2】
前記期間は専用モータ(12)の回転位置を示す回転角度を単位とすることを特徴とする請求項1記載の織機の運動部材の制御装置。
【請求項3】
前記期間は前記期間に対応する時間を単位とすることを特徴とする請求項1記載の織機の運動部材の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−299443(P2006−299443A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−120313(P2005−120313)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000215109)津田駒工業株式会社 (226)
【Fターム(参考)】