説明

織機用の駆動装置

【課題】織機用の駆動装置を、特にウェフトサーチのために改良する。
【解決手段】少なくとも2つの切換え位置間で軸方向に変位可能であり、第1切換え位置においては2組の駆動対象要素(9、10、11;12、13、14)に駆動接続され、第2切換え位置においては前記2組の内の一方の組の駆動対象要素(12、13、14)から切り離されている、主駆動モータ(7)により駆動可能なスイッチ車輪(5)を有する織機用の駆動装置において、前記一方の組への駆動接続を切り離す際に作動される、前記スイッチ車輪(5)から切り離される方の組の駆動対象要素(12、13、14)の歯車(12)と噛み合う歯付き要素(22)を有する装置(15)が備えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの切換え位置間で軸方向に変位可能であり、第1切換え位置においては2組の駆動対象要素に駆動接続され、第2切換え位置においてはこれらの2組の内の一方の組の駆動対象要素から切り離されている、主駆動モータにより駆動可能なスイッチ車輪と、この一方の組への駆動接続を切り離す際に作動される、スイッチ車輪から切り離される方の組の駆動対象要素を定義済みの位置に保持するようになっている装置とを有している、織機用の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に記した種類の駆動装置は特許文献1から知られている。この駆動装置は、駆動モータにより伝動要素、例えばベルトドライブを介して駆動されるようになっている、機械フレームに支承された主駆動軸を有している。この主駆動軸には、第1の位置において少なくともスレーの駆動用の第1の歯車とも、また少なくとも開口手段の駆動用の第2の歯車とも噛み合うようになっている、軸方向に変位可能なスイッチ車輪が備えられている。このスイッチ車輪は、第2切換え位置においては、両方の歯車の内のいずれか一方だけと噛み合うようになっている。軸方向に変位可能なスイッチ車輪が主駆動軸に遊びなしで接続されるようにするために、スイッチ車輪と主駆動軸は、歯切り部を利用して、回転については固定的に互いに接続されている。伝達しなければならない駆動トルクを正負両方向に可変とするためには、回転方向に遊びのない接続部が必要である。主駆動モータと主駆動軸間のこの接続部には、断続式クラッチおよび/または断続式ブレーキを組み込むことができる。駆動装置がグリッパ織機に導入される場合は、第1の歯車により、スレーのほかにもグリッパ用の駆動部を駆動することができる。スイッチ車輪は、通常の織布運転時ならびに低速での織布運転中には、両方の歯車と噛み合っている。スイッチ車輪は、所謂ウェフトサーチ(切れた緯糸の調査)時には、開口手段を駆動する歯車だけと噛み合うようになっている。低速運転中およびウェフトサーチ時には、駆動モータが、通常の織布工程に対して一段と低い回転数で駆動される。またはその代わりに、低速運転およびウェフトサーチのために、特殊な極低速型電動機を備えることができる。一方の組への駆動接続を切り離す際には、1つの装置が作動されて、そのマンドレルが、スイッチ車輪から切り離される、駆動接続が遮断されている組の要素に所属する歯車の受口に差し込まれてこれと係合する。したがって駆動接続を切り離すことができるのは、マンドレルとこの駆動歯車の陥凹部が向かい合わせに位置するときだけに限られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0726345号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、冒頭に記した種類の駆動装置を、特にウェフトサーチのために改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、上述の装置に、スイッチ車輪から切り離される方の組の駆動対象要素の歯車と噛み合う歯付き要素を備えることにより解決される。
【0006】
本発明に従った駆動装置の構成方式により、スイッチ車輪と一方の組の駆動対象要素との駆動接続を、多数の位置において遮断可能であるという長所がもたらされ、そこでは何よりも特に歯付き要素が噛み合う当該歯車の歯数により、これらの多数の位置が決まるようになっている。それにより駆動接続を、スイッチ車輪のほぼ全ての任意の位置において遮断することが可能となる。そのような駆動装置は、それ以外にもコンパクトでありスペースを節減する。
【0007】
本発明の構成方式においては、装置の歯付き要素が、スイッチ車輪の第1切換え位置においてスイッチ車輪と噛み合っている駆動歯車に対して配置されるようになっている。この駆動歯車による駆動対象である要素の組は、多数の位置において固定することができる。
【0008】
好ましい実施形態の一例においては、装置の歯付き要素が、スイッチ車輪の第2切換え位置において、第1切換え位置においてはスイッチ車輪と噛み合っており、第2切換え位置においてはスイッチ車輪との噛み合い状態から離脱している方の組の駆動対象要素の駆動輪の歯と噛み合っている。それにより装置の歯付き要素を、スイッチ車輪の高さに配置することができる。駆動接続を切り離すことができる位置数は、この駆動輪の歯数により決まる。この実施形態により、非常にコンパクトな構造が実現される。それ以外にもこの実施形態には、スイッチ車輪を噛み合わせることができる駆動輪を直接保持することができるという長所があり、これは駆動輪とスイッチ車輪の再連結のために有利である。
【0009】
一実施形態においては、装置が、一方の組の駆動対象要素の歯車の歯に対して配置される少なくとも1つのセグメント歯車を有している。それにより、当該歯車を所定の回転角度においてロックして固定することができる。セグメント歯車の歯は、正しい噛み合いが達成されるように、歯車の歯に応じて選定されると好適である。
【0010】
一実施形態においては、装置が歯車の形状をした歯付き要素を有している。この歯車が、回転不能であるように取り付けられる場合は、当該する組の駆動対象要素を予め定められた回転角度のところで固定することができる。
【0011】
変形実施形態においては、この歯車が補助駆動装置に接続され、これに対して制御装置が配置され、この制御装置により、スイッチ車輪から切り離される方の組の駆動対象要素を、スイッチ車輪に再び駆動接続する前に、他方の組の位置に対して適合化された位置に移動できるようにしている。この場合は再度の駆動接続を、スイッチ車輪への駆動接続が遮断されなかった組の位置を変更することなく行うことができる。
【0012】
一実施形態では、駆動装置が、少なくとも本発明に従った歯付き要素と、好ましくはスイッチ車輪をこの歯付き要素と一緒に、第1切換え位置と第2切換え位置間でスイッチ車輪の軸方向に変位させるための調整装置を有している。それにより、本発明に従った駆動装置のコンパクトな構造が実現される。ほかにも、歯付き要素が当該歯車と、この歯車とスイッチ車輪間の駆動接続が切り離されるときに噛み合っていることを保証することができる。
【0013】
一実施形態では、スイッチ車輪に対して、第1切換え位置においても、また第2切換え位置においてもスイッチ車輪と噛み合っている、主駆動モータにより駆動される駆動輪が配置されるようになっている。変形実施形態においては、スイッチ車輪が主駆動モータのモータ軸に直接接続されるようになっている。
【0014】
本発明のその他の特徴および長所は、図面に示される実施例の以下の説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に従った織機用の駆動装置の、スイッチ車輪が第1切換え位置にあるときの、簡略化した見取り図である。
【図2】スイッチ車輪が第2切換え位置にあるときの、図1と同様の図である。
【図3】第1切換え位置にある、基本的に図1に相当する実施形態を部分的に切り取って示す図である。
【図4】第2切換え位置にある、図3に相当する図である。
【図5】図1に示される実施形態を軸方向に見た図である。
【図6】変形実施形態の図5と同様の図である。
【図7】主駆動モータにより直接駆動されるスイッチ車輪が備えられている、図3と同様の図である。
【図8】さらに別の変形実施形態の図3と同様の図である。
【図9】さらに別の変形実施形態の図3と同様の図である。
【図10】さらに別の変形実施形態の図3と同様の図である。
【図11】さらに別の変形実施形態の図3と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1から5に示される織機用の駆動装置では、主駆動軸2がころ軸受3、4を用いて機械フレーム1に支承されている。主駆動軸2には、駆動輪6と、主駆動モータ7として利用される電動機とにより駆動されるスイッチ車輪5が配置されている。スイッチ車輪5は、主駆動軸と一体式であっても、これに取り付けられてもかまわない。
【0017】
スイッチ車輪5は、軸10により、1つまたは複数の被動要素11に接続されている、軸方向に向けられた歯を有する駆動輪9と噛み合っている。これらの被動要素11は、例えば、ドビー織機、偏心輪織機、ジャガード織機、またはその他の織布面を形成する装置から成る開口用駆動要素である。被動要素11は、例えば耳組機構やバックレストの確動用の装置など、その他の装置であってもよい。
【0018】
図1に示される切換え位置において、スイッチ車輪5は、軸13によりさらに別の被動要素14に接続されている、軸方向に向けられた歯を有する駆動輪12とも噛み合っている。これらの被動要素14は、例えばスレー用の駆動機構、および―グリッパ織機の場合は―グリッパまたはグリッパベルト用の駆動機構である。被動要素14はそれ以外にも、例えば耳組装置、織布巻取り手段を駆動するための装置、または廃物巻取り手段を駆動するための装置であってもよい。図示の実施例において、主駆動軸2とこれらの軸10および13は互いに平行に配置される。
【0019】
主駆動軸2により加えられ得る駆動トルクを制限するために、図示の実施形態においては、スイッチ車輪5の直径がそれぞれの駆動輪9および12の直径よりも小さく選定されている。これと同じ理由から、駆動輪6の直径はスイッチ車輪5の直径よりも小さくなっている。図示の実施例においては、駆動輪9および12が緯糸装入の都度、1回転するような設計となっている。
【0020】
図1に示されるスイッチ車輪5の第1切換え位置において、織布時に織機は主駆動軸2により駆動される。この切換え位置においては、スイッチ車輪5が両方の駆動輪9および12と噛み合っているために、これらの駆動輪9および12は主軸2によりスイッチ車輪5を介して駆動されるようになっている。この切換え位置においては、スイッチ車輪5から、駆動輪9を介しての第1の組の駆動対象要素11への駆動接続状態と、駆動輪12を介しての第2の組の駆動対象要素14への駆動接続状態とが存在している。
【0021】
所謂ウェフトサーチを実行するための織機の停止後に、主駆動軸2と駆動対象要素14、特にスレーとの間の駆動接続を遮断する必要がある場合は、主駆動軸2がスイッチ車輪5ともども軸方向に押されることにより図2に示される第2切換え位置に移動される。この切換え位置において、スイッチ車輪5は依然として駆動輪9と噛み合っているために、駆動対象要素11への駆動接続状態は維持されている。しかしスイッチ車輪5は駆動輪12から切り離されるために、駆動対象要素14への駆動接続は遮断されている。
【0022】
スイッチ車輪5の軸方向の変位は、調整装置8を利用して行われる。この調整装置8は、主駆動軸2と協働する保持具16を有している。保持具16は、シリンダ18内に配置されるピストン17により駆動される。シリンダ18は、油圧または圧縮空気供給装置19、例えば欧州特許出願公開第0726354号または同第0953073号明細書に説明されるような装置に相当する油圧供給装置に接続されている。保持具16は、油圧または空気圧により主駆動軸2に向かって移動される。保持具16を逆向きに移動するために、この実施例においては戻しばね20が備えられている。一変形実施形態においては、調整装置に、それぞれの運動方向に対してピストンシリンダユニットが1つずつ備えられるようになっており、それにより戻しばねを一切不要としている。スイッチ車輪5の歯切り部の歯は、一方ではスイッチ車輪5の駆動輪12との噛み合いを容易にするために、他方ではスイッチ車輪5を押し込む際に場合により駆動輪12を多少回転させるために、スイッチ車輪5の駆動輪12側に向けられた端面21の領域において面取りされることが好ましい。本発明に従った駆動装置はほかにも、第1の組の駆動対象要素12、13、および14を、第2切換え位置において、スイッチ車輪5への駆動接続が切り離されているときに、定義済みの位置に固定するために、装置15を有している。スイッチ車輪5のこの第2の位置においては、この装置15が、歯車22により、この組の駆動対象要素に所属する駆動輪12の歯と噛み合っている。
【0023】
この第2切換え位置(図2)において、駆動輪6とスイッチ車輪5間の駆動接続ならびにスイッチ車輪5と駆動輪9間の駆動接続は維持される。
【0024】
装置15は、駆動輪12の歯と噛み合うことができる、既述の保持具16に取り付けられた歯車22を有している。この歯車22もまた、保持具16に作用する調整装置8により、スイッチ車輪5と一緒に第1の位置と第2の位置間で軸方向に変位される。この変位駆動は、一方の方向へはピストン17により、他方の方向へは戻しばね20により行われる。駆動輪12の歯への歯車22の歯の挿入を容易にするために、歯車22の歯、および/またはこれらの歯と向き合った駆動輪12の歯の領域は面取りされている。歯車22の保持具16への配置方式、ひいてはスイッチ車輪5に対する軸方向の位置合わせは、スイッチ車輪5が駆動輪12から完全に切り離される前に、すなわちスイッチ車輪5が図2に示される第2切換え位置に到達する前に、歯車22の歯が既に駆動輪12の歯と噛み合うように選定される。それにより、スイッチ車輪5と駆動輪12が切り離されるときには、駆動輪12が歯車22により既に固定されていることを保証している。
【0025】
主駆動モータ7は、回転数、および/または回転角度、および/または駆動トルク、および/または回転方向に関して制御可能な電動機であることが好ましい。制御は制御ユニット24を介して行われ、制御ユニット24は、織機の始動停止、ウェフトサーチ用の極低速または運動、および所望の回転角度におけるスイッチ車輪5と駆動輪12の切り離し、ならびに所望の回転角度における両者の再連結を決定する。主駆動モータ7は、所定の位置における電気的な制動が可能であるという長所を有している、スイッチドリラクタンスモータであることが好ましい。事情によっては、主駆動モータ7を所定の回転角度に保持すべきである場合にオンにされる断続式ブレーキを、主駆動モータ7に組み込むようにしてもよい。そのようなブレーキは、ばねにより制動状態に移行され、電磁力により解放されることが好ましい。それにより、停電時には織機を制動状態に保持することができる。
【0026】
図3および4に示されるように、駆動装置は角度センサ23を有している。この角度センサ23は、図示の実施例においては駆動輪9の軸10と機械的に組み合わされている。これは、制御ユニット24に接続されている。この角度センサ23により、駆動輪9の回転角度が決定され、さらにそれによりスイッチ車輪5を介して駆動輪9に常時接続されている主駆動軸2の回転角度も決定される。主駆動軸2の回転角度は、スイッチ車輪5と駆動輪12の連結および切り離しのためにも、また歯車22と駆動輪12の連結および切り離しのためにも重要である。
【0027】
角度センサ23の信号の初期設定は、制御ユニット24により、主駆動軸2の回転角度に関して行われるようになっている。そのために、例えば織機がストップ位置に移動される。この位置において角度センサ23により計測された回転角度が、主駆動軸2のゼロ位置として制御ユニット24に記憶される。角度センサ23により計測される、これとは異なる角度位置は全て、制御ユニット24により主駆動軸2の回転角度に変換される。制御ユニット24には、歯車22の歯を駆動輪12の歯に押し込むことができる、すなわち歯と歯溝とが向き合っているときの、主駆動軸2の回転角度または駆動輪9の回転角度が記憶される。歯車22およびスイッチ車輪5を軸方向に変位させる前に、主駆動軸2は、歯車22の歯を駆動輪12の歯の間に押し込むことができる回転角度に移動される。駆動輪12の歯は、スイッチ車輪5と駆動輪12を切り離す際には、歯車22の歯が駆動輪12の歯の間に噛み合うことができるような位置になければならない。駆動輪12が、一例として112個の歯を有する場合は、歯車22を、駆動輪12の112箇所の異なる角度位置において、駆動輪12に押し込むことができる。したがってウェフトサーチは、112箇所の異なる位置で可能となる。当然ながら、これらの可能な角度位置全てを使用する必要はない。例えば別の制約手段により、所定の角度位置におけるウェフトサーチを妨げるようにすることができる。
【0028】
スイッチ車輪5と駆動輪12の再連結の際には、駆動輪12の歯もまた、歯の間にスイッチ車輪5の歯が噛み合うことができるような位置になければならない。そのためにはスイッチ車輪5が、スイッチ車輪5の歯を駆動輪12の歯に押し込むことができるために必要な位置に、駆動モータ7により移動されるようにすることができる。角度センサ23および制御ユニット24による主駆動軸2の角度位置の決定は、可制御式駆動モータ7にとり、この駆動モータ7の回転角度、および/または回転数、および/または駆動トルクの制御に必要なフィードバックとしても重要である。
【0029】
さらにそれに追加して、所望の回転角度で連結されるか否かを監視するために、駆動輪12に対して検査装置を配置することができる。例えばスイッチ車輪5に対して、歯車22が図2に示される位置にあるときに、歯車22が駆動輪12と噛み合うか否かを監視する、無接点式リミットスイッチ25を配置することができる。図示されない変形例に従って、無接点式リミットスイッチ25を、ほかにも歯車22または保持具16に対して配置することもできる。歯車22が正しい位置にあることを表示する無接点式リミットスイッチ25の信号は、ウェフトサーチの開始を許可するために、および/または、制御ユニット24が織機を通常速度で始動することを阻止するために、使用することができる。歯車22またはスイッチ車輪5が図1に示される位置にある場合は、リミットスイッチ25からこのときに発生される信号を、制御ユニット24により通常速度での織機の始動を許可するために使用することができる。
【0030】
ウェフトサーチが実行されるときには、スイッチ車輪5が駆動輪12から切り離され、またそれにより少なくともスレーの駆動部から切り離されている、図2に示される切換え位置にスイッチ車輪5が変位されるように、調整装置8の動作制御が行われる。駆動輪9、ひいては開口手段の駆動部への駆動接続は、維持される。それに加えてさらに歯車22が駆動輪12に噛み合うことによって、駆動輪12は、歯車22により設定された位置に固定される。その後で制御ユニット24により、ウェフトサーチが一段と低い速度で実施されるように、駆動モータが運転される。その際には駆動輪9が、緯糸が開口手段から露出されるまで駆動されるようになっている。その後で駆動モータ7は再び、主駆動軸2が角度センサ23により設定される位置、例えば、主駆動軸2がウェフトサーチの実施前に位置していた回転角度に再び位置するように、動作制御される。この回転角度において、スイッチ車輪5は駆動輪12と再び噛み合わされ、また歯車22は、スイッチ車輪5が調整装置8により図1に示される切換え位置に軸方向に復帰されることによって、駆動輪12から切り離される。スイッチ車輪と駆動輪の切り離しが行われた角度位置の代わりに、再連結のために制御ユニット24により別の角度位置を設定することもできる。その後で通常の織布工程が再開される。
【0031】
図6に示される実施例では、装置15の保持具16に完全な歯車22が備えられるのではなく、むしろ歯車の一部として構成されたセグメント歯車26だけが備えられている。このセグメント歯車26は、歯車22と同様、駆動輪12の歯と噛み合うようになっている。最も簡単な実施においては、装置に、駆動輪12の2つの歯の間に噛み合う歯を1つだけ有しているセグメント歯車が備えられる。
【0032】
図7に示される実施例では、スイッチ車輪5を有している、軸受3および4により機械フレーム1に支承されている主駆動軸2が、駆動モータ7のモータ軸となっている。この主駆動軸2は、欧州特許出願公開第0953073号明細書の説明に従って実施され配置されている。欧州特許出願公開第0953073号明細書の説明は、本特許出願の主要部分として利用されている。この実施例においては、スイッチ車輪5が主駆動モータ7により直接駆動される。
【0033】
図8に示される実施例では、装置15が歯車22用の駆動装置27を有している。この駆動装置27は、保持具16に取り付けられる、制御ユニット24により切り換えることができる駆動モータ28を有している。この駆動モータ28は、例えば油圧モータまたはステッピングモータとすることができる。この実施例においては、駆動輪12を駆動し、またそれにより所属する組の各駆動対象要素14を、これらがスイッチ車輪5および主駆動軸2から切り離されている間に駆動することが可能である。当然ながらその場合は、例えば、歯車22の角度位置を決定するさらにもう1つの角度センサ29を使用して、歯車22の回転角度と、角度センサ23により検出された駆動輪9の回転角度との検定を制御ユニット24により実施して、スイッチ車輪5が再び所定の回転角度で駆動輪12と噛み合い、それにより両方の組の駆動対象要素の駆動輪9および12が適切な回転角度で再び互いに連結されるように、駆動モータ28が駆動輪9の回転角度に適合化された歯車22の回転角度に相応に移動されるようにするなどの、対策を講じることが必要である。
【0034】
図9に示される実施例では、スイッチ車輪5を変位させるための専用の調整装置8と、歯車22を変位させるための専用の調整装置30とが備えられている。これらの調整装置8、30はいずれも実質的に同一に構成され、ピストン17、シリンダ18、および戻しばね31を有している。調整装置30の復帰は、戻しばね31だけを利用して行われる。調整装置8、30は、スイッチ車輪5と駆動輪12が完全に切り離される前に、歯車22が駆動輪12と噛み合うように制御されることが好ましい。同様に、スイッチ車輪5が駆動輪12と再び噛み合った後に初めて、歯車22が駆動輪12から切り離されるように、制御は行われる。したがって歯車22は、駆動輪12と、スイッチ車輪5が第2切換え位置にあるときに初めて噛み合うのではなくて、むしろスイッチ車輪5がまだ第1切換え位置にあるときに既に噛み合うようになっている。
【0035】
図10に示される実施例では、スイッチ車輪5が、変位可能ではあるが回転不能であるように軸方向ガイド32、33に支承されている輪軸2’に、回転自在に支承されている。歯車22は、この輪軸2’に回転を防いで配置され、この輪軸2’と共に軸方向に変位できるようになっている。輪軸2’が調整装置8により図10に示される第1切換え位置から第2切換え位置に軸方向に変位されると、歯車22は、軸13に回転を防いで接続された歯車34と噛み合う。したがって歯車22は、歯車34と噛み合っているときに、軸13、ひいては駆動対象要素14の回転角度位置を固定する。変形実施形態においては、歯車22が、歯車34のように軸13に回転を防いで配置されるのではなく、むしろ変速歯車段を介して駆動輪12に回転については固定的に接続されている歯車と噛み合うようになっている。
【0036】
図11に示される実施例では、軸2または輪軸2’が、図10に示される実施例と同様、軸方向に変位可能ではあるが回転については固定的に軸方向ガイド32、33内を案内される。スイッチ車輪5は、図示されない軸受により、輪軸2’に回転自在に支承されている。輪軸2’には、スイッチ車輪5から軸方向に間隔をおいて、歯車22が固定式に配置されている。輪軸2’がスイッチ車輪5および歯車22と一緒に変位されると、まず歯車22が駆動輪12と噛み合い、その後でさらに軸方向に押されることによりスイッチ車輪5がこの駆動輪12から切り離される。同様に再連結の際には、歯車22と駆動輪12の切り離しが行われる前に、スイッチ車輪5が駆動輪12と噛み合うようになっている。
【0037】
本発明は、図示され説明される実施例に限定されない。特にこれらの実施例の間で、様々な組合せが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 機械フレーム
2 主駆動軸
2’ 輪軸
3 ころ軸受
4 ころ軸受
5 スイッチ車輪
6 駆動輪
7 主駆動モータ
8 調整装置
9 駆動輪、駆動対象要素
10 軸、駆動対象要素
11 被動要素、駆動対象要素
12 駆動輪、駆動対象要素、歯車
13 軸、駆動対象要素
14 被動要素、駆動対象要素
15 装置
16 保持具
17 ピストン
18 シリンダ
19 圧縮空気供給装置
20 戻しばね
21 端面
22 歯車、歯付き要素
23 角度センサ
24 制御ユニット
25 無接点式リミットスイッチ
26 セグメント歯車、歯付き要素
27 駆動装置
28 駆動モータ
29 角度センサ
30 調整装置
31 戻しばね
32 軸方向ガイド
33 軸方向ガイド
34 歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
織機用の駆動装置であって、少なくとも2つの切換え位置間で軸方向に変位可能であり、第1切換え位置においては2組の駆動対象要素(9、10、11;12、13、14)に駆動接続され、第2切換え位置においては前記2組の内の一方の組の駆動対象要素(12、13、14)から切り離されている、主駆動モータ(7)により駆動可能なスイッチ車輪(5)と、前記一方の組への駆動接続を切り離す際に作動される、前記スイッチ車輪(5)から切り離される方の組の駆動対象要素(12、13、14)を定義済みの位置に保持するようになっている、装置(15)とを有している、駆動装置において、
前記装置(15)が、前記スイッチ車輪(5)から切り離される方の組の駆動対象要素(12、13、14)の歯車(12、34)と噛み合う歯付き要素(22、26)を有することを特徴とする、駆動装置。
【請求項2】
当該装置(15)の当該歯付き要素(22、26)が、当該スイッチ車輪(5)の当該第1切換え位置において前記スイッチ車輪(5)と噛み合っている駆動輪(12)に対して配置されることを特徴とする、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
当該歯付き要素が、歯車(22)またはセグメント歯車(26)であることを特徴とする、請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
当該歯車(22)が補助駆動装置(27)に接続され、前記補助駆動装置(27)に対して制御装置(24)が配置され、前記制御装置(24)により、当該スイッチ車輪(5)から切り離される方の組の駆動対象要素(12、13、14)を、前記スイッチ車輪(5)に再び駆動接続する前に、他方の組の駆動対象要素(9、10、11)の位置に対して適合化された位置に移動可能であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
当該スイッチ車輪(5)の回転角度位置を直接または間接的に検出する角度センサ(23)が備えられることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項6】
当該歯付き要素(22、26)が、調整装置(8、30)により調整可能であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項7】
当該スイッチ車輪(5)が、軸方向に変位可能な軸(2)に回転については固定的に配置されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項8】
当該スイッチ車輪(5)が、軸方向に変位可能な、回転不能であるように軸受けされた輪軸(2’)に回転自在に支承されること、および、前記輪軸(2’)に、前記輪軸(2’)の変位の際に、前記スイッチ車輪(5)から切り離すことができる方の組の駆動対象要素(12、13、14)の歯車(12、34)と噛み合うようになっている歯付き要素(22)が配置されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の駆動装置において、当該スイッチ車輪(5)に対して当該主駆動モータ(7)により駆動される、当該第1切換え位置においても、また当該第2切換え位置においても前記スイッチ車輪(5)と噛み合っている、駆動輪(6)が配置されることを特徴とする、駆動装置。
【請求項10】
当該スイッチ車輪(5)が、当該主駆動モータ(7)のモータ軸に直接接続されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−100634(P2013−100634A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−7294(P2013−7294)
【出願日】平成25年1月18日(2013.1.18)
【分割の表示】特願2007−519694(P2007−519694)の分割
【原出願日】平成17年7月2日(2005.7.2)
【出願人】(505229818)
【Fターム(参考)】