説明

織物表面を有する弾性的な複合材を製造するための方法

【課題】
高い伸縮能力によって際立ち、その織物表面が、複合材の使用時に結合部から剥がれない非固定の繊維を含まない、織物表面を有する複合材を製造するための方法を提供する。
【解決手段】
先ず、弾性的なカバー層(2,2’)とフリース材から成るコア(3)とを備える積層体(1)が製造され、次いで、この積層体(1)が、コア(3)を引き裂くことによって、それぞれカバー層(2,2’)とフリース材から成る付着性の層(5)とを備える2つのストリップ(4,4’)に分離されることを特徴とする、織物表面を有する弾性的な複合材を製造するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物表面を有する弾性的な複合材を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
織物表面を有する弾性的な複合材は、特に、ベビー用オムツ、失禁用用品、婦人用衛生用品等の例えばテープ又は弾性的なバックシートとして製造するために使用される。これらの適用する場合には、安価に製造する必要のある織物表面が重要になる。この場合、織物表面は、フィルムの弾性を損なってはならない。
【0003】
弾性的な支持フィルムと、収容されるフリース材とから成る複合材が公知である。フリース材料は、複合材の伸縮特性に決定的な影響を与える剛構造を構成する。従って、弾性的な支持フィルムと、収容されるフリース材とから成る複合材は、収容工程後に、局所的にストレッチさせることによって機械的に活性化しなければならない。
【0004】
特許文献1から、メルトブロー不織布から成る層が形成され、予め強化させないで弾性的なフィルムに接着される、織物表面を有する弾性的な複合材を製造するための方法が公知である。不織布層は、この方法の場合、巻取り及び巻解きされず、引張り応力下での不織布層のガイドが行なわれない。従って、不織布層は、小さい強度と、特に小さい単位面積重量を有するように構成することができ、複合材の弾性的な伸縮を強く妨げることはない。従って、この複合材は、後からの機械的な活性化を必要としない。但し、織物層の繊維と弾性的なフィルム間の結合強度は、未だ満足すべきものではない。十分に非固定の繊維を有するように処理されるので、全ての繊維を十分に接着剤マトリクス内に固定することは、保証されていない。繊維が、意図せずに結合部から剥がれ、ユーザによって取り去られることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2 177 654号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この技術的な背景から、本発明の根底にある課題は、高い伸縮能力によって際立ち、その織物表面が、複合材の使用時に結合部から剥がれない非固定の繊維を含まない、織物表面を有する複合材を製造するための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の対象及び課題の解決策は、請求項1に記載の方法である。本発明による方法では、先ず、弾性的なカバー層とフリース材から成るコアとを備える積層体が製造される。この積層体は、次いで、コアを引き裂くことによって、それぞれカバー層とフリース材から成る付着性の層とを備える2つのストリップに分離される。この方法は、織物表面の繊維が、フリース材に拘束され、フリース材から成るコアを引き裂く時に、結合部から容易に剥がれ可能な自由な繊維が生じないとの利点を有する。若干強化させたフリース材が使用される。強化の程度は、例えばカレンダー加工強化を適用する場合、後から機械的な活性化をせずに複合材が弾性的に伸縮可能であり、カバー層の弾性によって伸縮特性が影響を受けるように、調整することができる。
【0008】
積層体を分離させるために、ストリップは、特に、別々に把持され、張力を加えることによって引き離される。ストリップは、駆動されるロールを介して案内し、別々に巻き取ることができる。本発明の範囲内で、分離工程が、ストリップの弾性的なカバー層の機械的な活性化と結合され、しかも、これは、排出時の弾性的なカバー層の伸縮によって、結合される。ストリップの排出と巻取り時、ストリップは、適当な装置によって、横方向及び/又は長手方向にストレッチさせることができる。特に、ストリップは、排出方向に対して横のストリップの過剰ストレッチを行なうプロフィル付きロールを介して案内することもできる。これにより、複合材の伸縮特性に影響を与え、更に改善することができる。
【0009】
フリース材の引裂きは、分離面に配設されたカッタによって支援することができる。
【0010】
弾性的なカバー層とフリース材から成るコアを有する積層体は、種々の方法で製造可能である。特に、フリース材は、弾性的な2つのフィルムウェブ間に収容される。しかしながら、弾性的な層を押出し成形によりフリース材上に形成する押出し成形式収容も考えられる。
【0011】
弾性的なカバー層は、特に、20μm〜100μmの層厚さを備え、スチロール−ブロック−コポリマー又は熱可塑性のポリオレフィン−エラストマから成っていてもよい。モノフィルム以外に、多層に共有押出しされたフィルムも使用することができる。特に、穴を開けたもしくは通気性の弾性的なフィルムも、カバー層のために考えられる。通気性の弾性的なフィルムを使用する場合、複合材に、重要なこの特性が得られる。弾性的なフィルムの代わりに、基本的に、十分に引張り強度を有する弾性的なフリース材も使用することができる。
【0012】
フリース材と弾性的なフィルムウェブもしくは弾性的なカバー層は、特に、互いに接着され、特にポリウレタン接着剤とホットメルト接着剤が適している。接着剤は、面状又は模様で、例えば点状に、塗布することができる。好ましいのは、面状の接着剤の塗布であり、溶剤を含まない単一成分のポリウレタン接着剤(1−K−PUR)を使用する場合、接着剤の塗布は、1g/m〜2.5g/mの塗布量で十分である。ホットメルト接着剤を使用する場合は、一般的に、3g/m〜5g/mの高い塗布量が必要になる。
【0013】
積層体のコアを構成し、製造方法の過程で引き裂かれるフリース材は、特に、メルトブロー不織布から成る。メルトブロー不織布の繊維は、押出し成形によって製造され、通常は、押出し成形ノズルの相並んで配設された複数の穴から流出する。押出し成形ノズルを出た直後に、穴から流出する溶融液状のポリマーストランドは、圧縮空気の作用を受け、引き延ばされる。メルトブロー繊維は、これが、非常に細く、僅かな単位面積重量でも既に、弾性的なカバー層の均一の良好なカバーを保証し、特に柔らかい外観をしていることによって、際立っている。不織布は、特に、ポリオレフィン繊維、特にポリプロピレン繊維から成る。メルトブロー不織布は、本発明による方法にとって、簡単に強化され、5g/m〜20g/mの単位面積重量で使用することができる。例えばカレンダー加工強化による強化の程度は、複合材の所望の伸縮特性に適合される。
【0014】
フリース材として、スピンフリース(S)から成る外層とメルトブロー繊維(M)から成る中間の不織布層とを備えるSMS層構造(spun-melt-spun)を有する多層のフリース材も使用することができる。スピンフリースとメルトブロー不織布の層の組み合わせは、フリース材に、流れ方向(MD方向)に高い強度を与える。予め強化された積層体を引き裂く場合、メルトブロー不織布から成るコア層ないのフリース材が分離される。分離面がメルトブロー不織布から成るコア層を経て延在する場合、積層体の引裂きによって分離されるストリップの材料厚さと単位面積重量が、狭い公差内に一定に維持されることが、確認された。高い品質を有する、特に非常に高価値の織物表面を有する複合材ストリップが生じる。
【0015】
他のフリース材は、本発明による方法にとって、同様に使用可能である。但し、例えば毛羽立った不織布が積層体のコア層として使用される場合には、織物表面の品質は悪くなる。
【0016】
本発明による方法により製造された複合材は、衛生用品のため、例えばベビー用オムツと失禁用用品の一部又は閉鎖要素のために適している。更に、本発明による方法により、衛生用品の範囲外に適用するためのいわゆるソフトタッチフィルムも製造することができる。
【0017】
以下で、ただ1つの実施例を図示した図面に基づいて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】織物表面を有する弾性的な複合材を製造するための方法を概略的に示す。
【図2】図1に図示した方法で半製品として製造された積層体の断面図を概略的に示す。
【図3】図1に対して拡大して、図2に図示した半製品の分離を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に図示した方法は、ベビー用オムツ、失禁用用品等のソフトタッチフィルム又は弾性的な要素として使用することができる、織物表面を有する弾性的な複合材を製造するために役立つ。この方法では、第1のステップで、半製品として、弾性的なカバー層2,2’とフリース材から成るコア3とを備える積層体1が製造される。図2は、半製品の層構造を示す。次いで、積層体1は、それぞれカバー層2,2’とフリース材5から成る付着性の層とを備える2つのストリップ4,4’に分離される。ストリップ4,4’は、後からの機械的な活性化をせずに弾性的な複合材として使用することができるそれぞれ1つのプロセス製品を構成する。
【0020】
コア3は、メルトブロー不織布から成るか、スピンフリースから成る外層とメルトブロー繊維から成る中間の不織布層とを有する多層構造を備える。コア3を構成するフリース材ウェブ6は、弾性的な2つのフィルムウェブ7間に収容され、フィルムウェブ7と接着される。接着剤8は、特に面状に、フィルムウェブ7のフリース材に隣接した面に塗布される。接着剤8として、ポリウレタン接着剤又はホットメルト接着剤を使用することができる。
【0021】
積層体1は、コア3を引き裂くことによって2つのストリップ4,4’に分離される。ストリップ4,4’は、別々に把持され、張力を加えることによって引き離される。図1によれば、ストリップ4,4’は、排出装置9の駆動されるロールを介して案内され、別々に巻き取られる。オプションで、排出装置9は、ストリップ4,4’を横方向に伸縮させ、これにより機械的に活性化させるストレッチ装置と組み合わせることができる。
【0022】
コア3の引裂きは、分離面に配設されたカッタ10によって支援することができる。
【0023】
図2と3を比較してみると、本発明による方法により、弾性的な複合材、即ち、弾性的な支持体と織物表面を備えるストリップ4,4’が製造されることが分かる。弾性的な支持体は、積層体1のカバー層2,2’から構成され、複合材に、その機械的特性を与える。織物構造は、積層体1のコア3に使用されるフリース材に依存している。その繊維が細く、分離時に高価値の織物表面を構成するメルトブロー不織布から成る不織布層を分離することが好ましい。半製品を構成する積層体1を製造するため、軽く強化した不織布が処理される。後続のステップで不織布を分離することにより、複合材の使用時に剥がれてしまう自由な繊維は生じない。フリース材コア3を分離する際に、材料厚さとその単位面積重量に関して狭い公差限度内で一定の値を備えるストリップ4,4’が構成される。
【符号の説明】
【0024】
1 積層体
2,2’ カバー層
3 コア
4,4’ ストリップ
5 フリース材
6 フリース材ウェブ
7 フィルムウェブ
8 接着剤
9 排出装置
10 カッタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物表面を有する弾性的な複合材を製造するための方法において、
弾性的なカバー層(2,2’)とフリース材から成るコア(3)とを備える積層体(1)が製造され、この積層体(1)が、次いで、コア(3)を引き裂くことによって、それぞれカバー層(2,2’)とフリース材から成る付着性の層(5)とを備える2つのストリップ(4,4’)に分離されることを特徴とする方法。
【請求項2】
ストリップ(4,4’)が、別々に把持され、張力を加えることによって引き離されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ストリップ(4,4’)が、駆動されるロールを介して案内され、別々に巻き取られることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
コア(3)の引裂きが、分離面に配設されたカッタ(10)によって支援されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
コア(3)を構成するフリース材ウェブ(6)が、弾性的な2つのフィルムウェブ(7)間に収容されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
フリース材ウェブ(6)と弾性的なフィルムウェブ(7)が接着されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
積層体(1)のコア(3)が、メルトブロー不織布から成ることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
積層体(1)のコア(3)のために、SMS層構造を有する多層のフリース材が使用され、このSMS層構造が、紡糸フリース(S)から成る外層と、メルトブロー繊維(M)から成る不織布層とを備えることを特徴する請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−131225(P2012−131225A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−271842(P2011−271842)
【出願日】平成23年12月13日(2011.12.13)
【出願人】(507356774)ノルデニア・テヒノロギース・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (11)
【Fターム(参考)】