説明

缶の印刷装置及びスリーブ

【課題】缶胴の図柄変更時における版の交換作業を容易にかつ精度よく行うことができるとともに、高い見当精度を有する缶の印刷装置を提供する。
【解決手段】外周面に版7が備えられた円柱状のプレートシリンダ6を有し、プレートシリンダ6を着脱可能に支持するシャフト部が設けられた缶の印刷装置であって、プレートシリンダ6は、外周面に版7が形成された円筒状のスリーブ31と、スリーブ31の内周面に嵌挿されてスリーブ31を固定するとともに、前記シャフト部に支持される円柱状のシリンダ本体41とで構成され、版7は、スリーブ31の外周面に貼り付けられた版材33にフォトエッチングを施すことによって形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2ピース缶等の缶胴に印刷を施す缶の印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
清涼飲料水等の容器として使用される2ピース缶は、缶蓋と円筒体の缶胴とからなり、缶胴は、DI(深絞り、しごき)加工及び洗浄がなされた後、その外面に印刷が施される。この缶胴の印刷に際しては、特許文献1、特許文献2で示すような、オフセット印刷機構を有する印刷装置が使用されている。図6に、缶の印刷装置の一例を示す。この缶の印刷装置Aは、複数配置されたインク付着機構Bと、缶移動機構Cとで概略構成されている。(特許文献1、特許文献2参照)
【0003】
インク付着機構Bは、インクを供給するインカーユニット1と、このインカーユニット1に接触してインクを写し取った後、缶胴20の外周面に接触して該インクを印刷する(付着させる)ブランケットホイール8とから構成される。
インカーユニット1は、インク源2と、インク源2に接触してインクを受けるダクティングロール3と、このダクティングロール3に接続して複数のローラからなる中間ローラ4と、この中間ローラ4に接続するゴムローラ5と、このゴムローラ5に接続するプレートシリンダ6とからなり、プレートシリンダ6の外周面には缶胴20に転写するパターンと同形状に形成された版7が形成されている。このプレートシリンダ6は印刷装置Aのシャフト部に回転自在に支持されている。
ブランケットホイール8の外周面には、ブランケット9が複数枚備えられており、このブランケット9は、プレートシリンダ6の外周面に形成された版7に接触するとともに、缶胴20に接触する構成とされている。
【0004】
缶移動機構Cは、缶胴20を取り入れる缶シュータ10と、この缶シュータ10から供給された缶胴20を回転自在に保持するマンドレル11と、このマンドレル11に装着された缶胴20を、順次、インク付着機構B方向に回転移動させるマンドレルターレット12とで構成されている。
缶の印刷装置Aでは、各々のインカーユニット1のインク源2から各々異なった色のインクが、ダクティングロール3、中間ローラ4、ゴムローラ5を介して、プレートシリンダ6の外周面に形成された版7に付着させられ、これら各色のインクが、回転するブランケットホイール8上のブランケット9にパターンとして乗せられ、このパターンがマンドレル11に保持された缶胴20に接触しながら印刷される。
【0005】
そして、これら各色のインクのパターンが重なり合って、缶胴20にひとつの図柄が印刷される。つまり、缶胴20に印刷される図柄は、各色のプレートシリンダ6の版7のパターンが重なり合って形成されているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−267466号公報
【特許文献2】特開2001−129966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記の缶印刷装置Aにおいては、上述したように、各色のインカーユニット1のプレートシリンダ6の外周面に形成された版7のパターンを積み重ねることで、缶胴20に印刷される図柄が形成されるので、各色のプレートシリンダ6の版7の位置を精度よく一致させる必要があり、高い見当精度が要求される。
従来、プレートシリンダ6の外周面に版7を形成する際には、平板状の感光性を有する版材に所定のパターンを転写して露光、現像して、ブランケット9に乗せるパターンと同形状のパターンを有する版7を形成した後に、この版7をプレートシリンダ6の外周面に直接貼り付けていた。
【0008】
しかしながら、プレートシリンダ6に版7を貼り付ける際に、プレートシリンダ6の軸方向及び周方向の位置がばらついたり、版7の一部が伸縮されてパターンが変形した状態で貼り付けられたりするため、見当精度が低くなってしまうといった問題があった。また、見当合わせを行いながら版7を貼り付ける必要があり、版7の貼り付け作業に多くの時間と労力を要した。
【0009】
また、缶胴20の図柄を変更する場合には、プレートシリンダ6の外周面に形成された版7を交換する必要があるが、プレートシリンダ6上の版7を剥がしてから新しい版7を貼り付けていると、印刷装置を停止している時間が長くなり、印刷効率が大きく低下してしまう。そこで、従来は、シャフト部に着脱可能に支持されたプレートシリンダ6を、予め版7が貼り付けられた他のプレートシリンダ6と交換することによって版7の交換を行っていた。
【0010】
しかし、通常の缶の印刷装置に使用されるプレートシリンダ6は鋼材等で構成されており、その重量は約20kgであり、交換作業に多くの労力を要した。また、各図柄に合わせて多くのプレートシリンダ6を保有して管理する必要があり、管理コストが掛かるとともに、これらのプレートシリンダ6毎の寸法ばらつきによって見当精度が低下してしまうといった問題があった。
【0011】
また、缶の印刷装置の印刷効率を向上させるために、同一のパターンの版7を、1つのプレートシリンダ6の外周面に複数貼り付ける場合がある。例えば2つの版7が形成されている場合には、プレートシリンダ6の半周分で缶胴20の1個分の印刷が可能となり、印刷効率が向上することになるが、1つのプレートシリンダ6の中での複数の版7の見当合わせを精度良く行う必要があり、この見当合わせのばらつきによってさらに見当精度が低下してしまうといった問題があった。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、缶胴の図柄変更時における版の交換作業を簡単にかつ精度よく行うことができるとともに、高い見当精度を有する缶の印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の缶の印刷装置は、外周面に版が備えられた円柱状のプレートシリンダを有し、該プレートシリンダを着脱可能に支持するシャフト部が設けられた缶の印刷装置であって、前記プレートシリンダは、外周面に前記版が形成された円筒状のスリーブと、該スリーブの内周面に嵌挿されて該スリーブを固定するとともに、前記シャフト部に支持される円柱状のシリンダ本体とで構成され、前記版は、前記スリーブの外周面に貼り付けられた版材にフォトエッチングを施すことによって形成されたことを特徴とする。
【0014】
上記構成の缶の印刷装置では、版が円筒状のスリーブの外周面に形成されているので、図柄を変更する際には、プレートシリンダ全体を交換する必要がなく、円筒状のスリーブのみを交換すればよい。また、版が、前記スリーブに貼り付けられた版材にフォトエッチングを施すことで形成されているので、スリーブ外周面上に版を貼り付ける作業が不要となる。
【0015】
請求項2に記載の缶の印刷装置は、前記スリーブの外周面には、同一パターンを有する前記版が少なくとも2以上形成され、これら2以上の前記版は、前記スリーブの外周面に貼り付けられた前記版材に、これら2以上の前記版を1つの画像として前記フォトエッチングを施すことによって形成されたことを特徴とする。
上記構成の缶の印刷装置では、スリーブの外周面に同一パターンを有する版が少なくとも2以上形成されているので、このスリーブが嵌合されたプレートシリンダが一回転する間に2以上の同一パターンが印刷される。また、2以上の版を1つの画像としてフォトエッチングを施すことによって版が形成されているので、これら2以上の版の相互の見当合わせを行う必要がない。
【0016】
請求項3に記載の缶の印刷装置は、前記シリンダ本体には、該シリンダ本体の外周面に開口されたエア孔からエアを噴出するエア噴出機構が備えられたことを特徴とする。
上記構成の缶の印刷装置では、シリンダ本体の外周面からエアを噴出することができるので、このシリンダ本体に円筒状のスリーブを着脱する際に、スリーブの内周面がエアによって押し広げられる。
【0017】
請求項4に記載の缶の印刷装置は、前記スリーブがプラスチック樹脂で構成されていることを特徴とする。
上記構成の缶の印刷装置では、スリーブが非常に軽量に構成される。また、シリンダ本体にエア噴出機構が設けられている場合には、噴出されたエアによってスリーブの内周面が簡単に押し広げられる。
【0018】
請求項5に記載の缶の印刷装置は、前記プレートシリンダには、前記スリーブと前記シリンダ本体との位置合わせ用のスリーブピンが備えられていることを特徴とする。上記構成の缶の印刷装置では、スリーブをシリンダ本体に嵌合する際に、スリーブピンによってスリーブとシリンダ本体との相対位置を合わせることができる。
【0019】
請求項6に記載の缶の印刷装置は、前記シリンダ本体には、該シリンダ本体がなす円柱の軸線と中心を同じくするテーパー孔が形成され、前記シャフト部は、前記テーパー孔に嵌挿可能なテーパー状に形成されるとともに、前記シリンダ本体と前記シャフト部との位置合わせ用のシリンダピンを備えていることを特徴とする。
上記構成の缶の印刷装置では、テーパー状に形成されたシャフト部がシリンダ本体のテーパー孔に嵌入されるので、シャフト部とシリンダ本体との軸方向の相対位置を合わせることができる。また、シャフト部とシリンダ本体を嵌合する際に、シリンダピンによってシリンダ本体とシャフト部との周方向の相対位置を合わせることができる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の缶の印刷装置では、版の交換の際には、円筒状のスリーブのみを交換すればよいので、交換に要する時間と労力を削減することができる。また、版をスリーブの外周面に貼り付ける作業が不要となるため、版の貼り付け作業に要した時間と労力を削減することができる。また、版を貼り付ける際の軸方向及び周方向の位置のばらつきや版の一部が伸縮されて貼り付けられることがなく、版を配置できるので、見当精度を大きく向上できる。
【0021】
請求項2に記載の缶の印刷装置では、プレートシリンダが一回転する間に複数の同一パターンが印刷されるとともに、これらの2以上の版の相互の見当合わせを行う必要がないので、見当精度を低下させることなく、印刷効率を向上することができる。
【0022】
請求項3に記載の缶の印刷装置では、スリーブの内周面をエアによって押し広げることができるので、スリーブをシリンダ本体に嵌合させる作業を簡単に行うことができ、版の交換作業に要する労力と時間を削減できる。
【0023】
請求項4に記載の缶の印刷装置では、スリーブが非常に軽量に構成されるので、版の交換作業に要する労力と時間を確実に削減できる。また、シリンダ本体に上記のエア噴出機構が備えられている場合には、噴出したエアによってスリーブの内周面が簡単に押し広げられるので、スリーブとシリンダ本体との着脱を一層簡単に行うことができ、版の交換作業に要する労力と時間をさらに確実に削減できる。
【0024】
請求項5に記載の缶の印刷装置では、スリーブピンによって、スリーブとシリンダ本体との相対位置を合わせることができるので、スリーブをシリンダ本体に取り付ける際の見当合わせを行う必要がなく、版の交換作業を簡単にかつ精度よく行うことができる。
【0025】
請求項6に記載の缶の印刷装置では、テーパー孔によってシャフト部とシリンダ本体との軸方向の相対位置を合わせることができるとともに、シリンダピンによってシリンダ本体とシャフト部との周方向の相対位置を合わせることができるので、シャフト部にシリンダ本体を取り付ける際の見当合わせを行う必要がなく、版の交換作業を簡単にかつ精度よく行うことができる。
【0026】
以上のように、本発明によれば、缶胴の図柄変更時における版の交換作業を簡単にかつ精度よく行うことができるとともに、高い見当精度を有する缶の印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態である缶の印刷装置に使用されるプレートシリンダの斜視図である。
【図2】図1に示されたスリーブの正面図である。
【図3】図2におけるX−X断面図である。
【図4】図1に示されたシリンダ本体の正面図である。
【図5】図4におけるY−Y断面図である。
【図6】缶の印刷装置の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態について添付した図面を参照して説明する。図1に本発明の実施形態である缶の印刷装置のプレートシリンダを、図2、図3にスリーブを、図4、図5にシリンダ本体を示す。また、図6に印刷装置の概略を示す。
印刷装置Aは上述したように、インク付着機構Bと缶移動機構Cとで概略構成されており、インク付着機構Bは、インク源2と、インク源2に接触してインクを受けるダグティングロール3と、このダクティングロール3に接続して複数のローラからなる中間ローラ4と、この中間ローラ4に接続するゴムローラ5と、このゴムローラ5に接続するプレートシリンダ6とからなるインカーユニット1と、プレートシリンダ6の外周面に形成された版7と接触するブランケット9が複数枚備えられたブランケットホイール8とで構成されている。
本発明は、これらの構成要素のうち、プレートシリンダ6に関するものである。
【0029】
プレートシリンダ6は、図1に示すように、概略円柱状に形成され、外周面に位置するスリーブ31と、このスリーブ31の内周面に嵌合されたシリンダ本体41とで構成されている。
スリーブ31は、プラスチック樹脂で構成され、図2、図3に示すように外形が円筒状に形成され、その内径及び外径はスリーブ31がなす円筒の軸線方向で略一定とされている。また、スリーブ31には、断面円形のスリープピン孔32がスリーブ31の径方向に沿って貫通するように形成されている。
【0030】
スリーブ31の外周面には、所定のパターンを有する版7が、周方向に複数(本実施形態では2つ)形成されており、印刷効率の向上を図っている。これらの版7は、スリーブ31の外周面に両面粘着テープ34によって貼り付けられた版材33に対して、上記の2つの版7のパターンを1つの画像としてフォトエッチングを施すことによって形成されている。
【0031】
スリーブ31の内周面に嵌合されるシリンダ本体41は、鋼材等で構成され、図4、図5に示すように、外形が円柱状に形成され、シリンダ本体41の外周面は径が略一定とされている。シリンダ本体41には、シリンダ本体41がなす円柱の軸線を同じく中心として、一方の端面41Aに向かうに従い漸次径が小さくなる同軸状のテーパー孔42が形成され、テーパー孔42の端面が面取りされている。
また、シリンダ本体41の外周面には、シリンダ本体41の径方向外側に向けて突出したスリーブピン43が備えられている。また、シリンダ本体41の他方の端面41B側には、シリンダピン孔が穿設されている。
【0032】
シリンダ本体41のテーパー孔42の外周側には、リング状のエア室45が形成されており、一方の端面41Aからこのエア室45に連通するようにシリンダ本体41がなす円柱の軸線に平行に延びるエア供給孔46が設けられている。また、このエア室45からシリンダ本体41の径方向に沿って延びてシリンダ本体41の外周面に開口された第1エア孔47が、図5に示すように、周方向で反対側を向き、軸線方向にずれた位置に形成されている。
【0033】
また、シリンダ本体41の一方の端面41A側には、リング状溝48が形成されており、エア供給孔46からこのリング状溝48に連通する供給路49が備えられている。そして、リング状溝48からシリンダ本体41の径方向に沿って延びてシリンダ本体41の外周面に開口された第2エア孔50が、周方向に複数(本実施形態では、図4に示すように6箇所)形成されている。また、エア供給孔46には、エア配管(図示せず)を介してコンプレッサ(図示せず)が接続されている。これらのエア供給孔46とエア室45と第1エア孔47と第2エア孔50とリング状溝48と供給路49とがエア噴出機構を構成している。
【0034】
シリンダ本体41は、印刷装置Aに備えられてプレートシリンダ6を回転可能に支持するシャフト部51に嵌合されて使用される。シャフト部51は、シリンダ本体41のテーパー孔42と嵌合可能なテーパー状に形成されており、その外周面にシリンダピンが備えられている。そして、シリンダ本体41のテーパー孔42にシャフト部51が嵌入されて固定され、シリンダ本体41の外周面にスリーブ31が嵌合されてプレートシリンダ6が構成される。
【0035】
次に、シリンダ本体41にスリーブ31を嵌合する際の手順を説明する。まず、シリンダ本体41の一方の端面41A側からスリーブ31を嵌め込んでいき、第2エア孔50を覆う位置までスリーブ31を移動する。ここで、コンプレッサを使用してシリンダ本体41のエア供給孔46からエアを注入すると、エア供給孔46から供給路49及びリング状溝48を介して第2エア孔50から高圧エアが噴出される。この高圧エアによってプラスチック樹脂製のスリーブ31の内周面が押し拡げられ、シリンダ本体41との嵌め合いがスムーズに行われる。また、エア室45を介して第1エア孔47からも高圧エアが噴出されているので、スリーブ31がシリンダ本体41の中央部分にまではめ込まれても、この高圧エアによってプラスチック樹脂製のスリーブ31の内周面が押し拡げられ、スリーブ31がスムーズに嵌合される。
【0036】
スリーブ31を移動してスリーブピン43をスリーブピン孔32に挿入した後に高圧エアの供給を中止すると、スリーブ31が元の内径に復元しシリンダ本体41の外周面に密着するように固定される。
また、シリンダ本体41からスリーブ31を取り外す際には、高圧エアを供給することで上述のようにスリーブ31の内周面を押し拡げてシリンダ本体41の軸線方向に抜き出す。
【0037】
上記の構成の缶の印刷装置Aでは、版7がプラスチック樹脂製のスリーブ31に形成されているので、缶胴20に印刷する図柄を変更する場合に、非常に軽量なスリーブ31のみを交換すればよく、版7の交換に要する時間と労力を大きく削減することができる。また、シリンダ本体41を取り外す必要がないので、シリンダ本体41を数多く保有して管理することなく、管理コストを削減できるとともに、シリンダ本体41の寸法ばらつきによる見当精度の低下を防止できる。
【0038】
また、スリーブ31の外周面に貼り付けた版材33に直接フォトエッチングを施すことで、版7のパターンを形成しているので、版7を貼り付ける作業が不要となり、版7の貼り付け作業時のばらつきがなくなり、見当精度を大きく向上させることができる。さらに、スリーブ31上に2つの版7を形成しているが、この2つの版7を1つの画像としてフォトエッチングを施しているので、この2つの版7同士の見当合わせを行う必要がない。したがって、プレートシリンダ6の外周面に2つの版7を配置しても、見当精度が低下しない。
【0039】
また、スリーブ31を交換する際に、シリンダ本体41にエア噴出機構が備えられており、シリンダ本体41の外周面に開口された第1エア孔47、第2エア孔50から高圧エアを噴出してプラスチック製のスリーブ31の内周面を押し広げることができるので、スリーブ31の交換作業をさらに効率よく簡単に行うことができる。また、スリーブ31にスリーブピン孔32が備えられ、シリンダ本体41にスリーブピン43が備えられているので、スリーブ31交換時の見当合わせを容易にかつ精度良く行うことができ、見当精度を向上することができる。
【0040】
また、シリンダ本体41にテーパー孔42が形成され、このテーパー孔42にシャフト部51が嵌入されるので、テーパー孔42の嵌合によって、シャフト部51とシリンダ本体41との軸線方向の位置合わせを容易にかつ精度良く行うことができる。また、シリンダ本体41にシリンダピン孔が備えられ、シャフト部51にシリンダピンが備えられているので、シャフト部51とシリンダ本体41との周方向の位置合わせを容易にかつ精度良く行うことができる。したがって、シリンダ本体41を交換する際の見当精度の低下を防止できる。
【0041】
なお、本実施形態では、スリーブ31の外周面に2つの版7が形成されたもので説明したが、版7の数には限定はなく、版7を1つの画像としてフォトエッチングが施されることによって版7が形成されていればよい。
また、シリンダ本体41の第1エア孔47、第2エア孔50等のエア噴出機構が設けられたもので説明したが、エア噴出機構を備えていないものであってもよい。また、第1エア孔47、第2エア孔50等の個数に限定はなく、シリンダ本体41のサイズやスリーブ31の円筒の厚さ等を考慮して適宜決定することが好ましい。また、エア室45、リング状溝48、エア供給孔46についても、この実施形態に限定されることはなく、シリンダ本体41の外周面から適宜、エアを噴出することができる構造であればよい。
【符号の説明】
【0042】
6 プレートシリンダ
7 版
31 スリーブ
32 スリーブピン孔
33 版材
41 シリンダ本体
42 テーパー孔
43 スリーブピン
47 第1エア孔(エア孔)
50 第2エア孔(エア孔)
51 シャフト部
A 印刷装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に版が備えられた円柱状のプレートシリンダを有し、該プレートシリンダを着脱可能に支持するシャフト部が設けられた缶の印刷装置であって、
前記プレートシリンダは、外周面に前記版が形成された円筒状のスリーブと、該スリーブの内周面に嵌挿されて該スリーブを固定するとともに、前記シャフト部に支持される円柱状のシリンダ本体とで構成され、
前記版は、前記スリーブの外周面に貼り付けられた版材にフォトエッチングを施すことによって形成されたことを特徴とする缶の印刷装置。
【請求項2】
前記スリーブの外周面には、同一パターンを有する前記版が少なくとも2以上形成され、これら2以上の前記版は、前記スリーブの外周面に貼り付けられた前記版材に、これら2以上の前記版を1つの画像として前記フォトエッチングを施すことによって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の缶の印刷装置。
【請求項3】
前記シリンダ本体には、該シリンダ本体の外周面に開口されたエア孔からエアを噴出するエア噴出機構が備えられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の缶の印刷装置。
【請求項4】
前記スリーブがプラスチック樹脂で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の缶の印刷装置。
【請求項5】
前記プレートシリンダには、前記スリーブと前記シリンダ本体との位置合わせ用のスリーブピンが備えられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の缶の印刷装置。
【請求項6】
前記シリンダ本体には、該シリンダ本体がなす円柱の軸線と中心を同じくするテーパー孔が形成され、
前記シャフト部は、前記テーパー孔に嵌挿可能なテーパー状に形成されるとともに、前記シリンダ本体と前記シャフト部との位置合わせ用のシリンダピンを備えていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の缶の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−136580(P2011−136580A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49647(P2011−49647)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【分割の表示】特願2005−93348(P2005−93348)の分割
【原出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(305060154)ユニバーサル製缶株式会社 (219)
【Fターム(参考)】