説明

置換ポリチオフェンポリマーのための改良プロセス

レジオレギュラー置換ポリチオフェンを調製するための改良されたプロセスが記載され、少なくとも2つの脱離基を有する置換チオフェンが、有機マグネシウムハロゲン化物、次いで、塩化亜鉛または臭化亜鉛で処理され、そして溶液中の得られる反応混合物は、Ni(II)触媒で重合される。本発明は特に、ポリ−(3−置換)チオフェンを調製するためのプロセスであって、約0℃と室温との間の不活性溶媒中で、少なくとも2つの脱離基を有する3−置換チオフェンを有機マグネシウムハロゲン化物と反応する工程であって、その後、塩化亜鉛または臭化亜鉛を添加する工程が続く工程;および重合を開始するために、ほぼ室温で同じ溶媒中のNi(II)触媒に得られる溶液を添加する工程を包含し、ここで、得られるポリマーが約95%より多いレジオレギュラーであるプロセスを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、米国特許法第119条(e)項の下、2005年7月18日に出願された米国出願番号第60/699,869号に基く優先権を主張し、この米国出願は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、より効率的でかつよりコストの少ない様式で高いレジオ選択性(位置選択性)を有する置換ポリチオフェンポリマーを作製するための改良されたプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
置換ポリチオフェンポリマーは、それらの非線形光学的性質、電気伝導性および多くのその他の価値ある性質に起因して、最近広く注目されている。それらは、多くの適用で用いられ得、電界効果トランジスタ、センサ、発光ダイオード(LED)、再充電可能電池、スマートカード、および非線形光学材料のような、電子デバイスおよび光学デバイスを含む。このような適用のためのこれらポリマーの使用は、これらポリマーのいくつかの性質によって阻害されているが、最も重要なのは、それらの合成方法である。従来の合成方法は、導電性ポリマーの物理的性質を決定することで、臨界的ではないにしても、重要な役割を演じると認識されているレジオ特異性に関して純粋なポリマーを生成しない。
【0004】
特許文献1は、レジオ選択的(レジオレギュラー)ポリチオフェンポリマーを提供する最初に知られた方法を記載している。この方法は、これらポリマーへの前駆体として高度に反応性の亜鉛種を採用し、これは、コスト高であり、そして取り扱いが困難である。さらに、この重合反応は、終了するために5日までを要し得る。
【0005】
特許文献2は、レジオレギュラー異性体中間体を形成するために、少なくとも2つの脱離基を有する可溶性チオフェンを還流温度で有機マグネシウム試薬と組み合わせること、および還流温度で重合反応を開始するためにNi(II)触媒の有効量を添加することによって、レジオレギュラーポリ(3−置換)チオフェンを形成する方法を記載している。この反応は、主要量のレジオレギュラーポリチオフェンを生じるといわれる。
【特許文献1】米国特許第5,756,653号明細書
【特許文献2】米国特許第6,166,172号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、多量のレジオレギュラーポリマーを有する置換ポリチオフェンポリマーを製造するためのより良好な合成方法に対する必要性がなお残っている。また必要なのは、製造およびデバイス操作の改良された容易さのために、高純度のレジオレギュラーポリチオフェンポリマー構成要素をもつデバイスである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、約95%より多いレジオレギュラー度をもつポリ−(3−置換)チオフェンを調製する改良されたプロセスを提供し、約0℃と周囲温度または室温との間の不活性溶媒中で、少なくとも2つの脱離基を有する3−置換チオフェンを有機マグネシウムハロゲン化物と組み合わせる工程であって、その後、周囲温度または室温で塩化亜鉛または臭化亜鉛で処理する工程が続く工程;重合を開始するために、ほぼ周囲温度または室温で同じ溶媒中のNi(II)触媒に得られる溶液を添加する工程を包含し、約95%以上のレジオレギュラー度をもつ所望のポリマーを与える。
【0008】
全体のプロセスは、任意の中間体の単離なくして実施される。
【0009】
1つの実施形態では、本発明は、式I:
【0010】
【化3】

ここで、RおよびRは、各々独立して−H、−アルキル、−アリール、−複素環、−シクロアルキル、−アルキル−COH、−(CH−アリール−(CH−COH、−(CH−複素環−(CH−COH、または−(CH−シクロアルキル−(CH−COHであり、ここで、nは0〜200の整数であり、但し、RおよびRの1つのみが−Hであるポリマーを調製する改良されたプロセスを提供し:
式:
【0011】
【化4】

ここで、RおよびRが上記で規定される通りの化合物を、式R’MgX、ここでXはF、Cl、BrまたはIであり、そしてR’はアルキルまたはアリールである有機金属試薬と、約0℃と周囲温度との間の不活性溶媒中で反応する工程であって、その後、ほぼ周囲温度で反応混合物に塩化亜鉛または臭化亜鉛の添加が続く工程;
得られる溶液を、ほぼ周囲温度で同じ不活性溶媒中の有効量のNi(II)触媒に添加する工程を包含し、ここで、得られるポリマーが、約95%より多いレジオレギュラー度を有する。
【0012】
本発明の別の実施形態は、式Iのポリマーが、ポリチオフェンポリマー上で置換された末端カルボン酸基を有し、この酸をアルカリ金属塩に転換し、これが水溶性ポリチオフェンポリマーを提供するさらなるステップを含む。これらポリマーの利点は、同時係属中の出願番号第PCT/US2004/041914中に記載されるような、環境的理由のためのそれらの使用および廃棄にある。
【0013】
本発明のプロセスの利点は、付加されるエネルギー(熱)の使用なくして、そして任意の中間体を単離する必要性なくして、ニッケル触媒で重合される有機亜鉛前駆体を与えるためのトランスメタレーション反応の使用を含む。本発明のプロセスはまた、現在知られる方法より高い程度のレジオレギュラーポリマーを与える。
【0014】
本発明はまた、優れた電気伝導性性質を有する改良されたレジオレギュラーのポリチオフェンを含む導電性ポリマーに関する。この改良されたポリチオフェンは、そのモノマー組成、そのレジオレギュラー度の程度、およびその分子量および数平均分子量のようなその物理的性質、その多分散性、その伝導性、その調製特徴から直接得られるその純度、およびその他の性質によって特徴付けられる。この改良されたポリチオフェンは、その調製のためのプロセスによって同様に特徴付けられる。
【0015】
本発明は、同様に、本明細書に記載される方法によって調製されるポリチオフェンの薄膜に関する。このポリチオフェン膜はドーパントを含み得る。本発明の別の局面では、上記ポリチオフェン膜は、高周波識別(RFID)タグ、プラスチック発光デバイス、または電子ディスプレイにおけるような有機発光ダイオード(OLED)を調製するために採用され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(発明の詳細な説明)
本発明は、約95%より多いレジオレギュラー度をもつポリ−(3−置換)チオフェンを調製するための改良されたプロセスであって、
約0℃と周囲温度または室温との間の不活性溶媒中で、少なくとも2つの脱離基を有する3−置換チオフェンを有機マグネシウムハロゲン化物と組み合わせる工程であって、その後、周囲温度または室温で塩化亜鉛または臭化亜鉛でこの溶液を処理する工程が続く工程;および重合を開始するために得られる溶液をほぼ周囲温度または室温で同じ溶媒中のNi(II)触媒に添加する工程を包含し、ここで、約95%より多いレジオレギュラー度もつ所望のポリマーを与える。
【0017】
全体のプロセスは、任意の中間体の単離なくして実施される。
【0018】
本発明の1つの実施形態では、式I:
【0019】
【化5】

ここで、RおよびRは、各々独立して−H、−アルキル、−アリール、−複素環、−シクロアルキル、−アルキル−COH、−(CH−アリール−(CH−COH、−(CH−複素環−(CH−COH、または−(CH−シクロアルキル−(CH−COHであり、ここで、nは0〜200の整数であり、但し、RおよびRの1つのみが−Hである置換ポリチオフェンポリマーを調製するプロセスを提供し:
式:
【0020】
【化6】

ここで、RおよびRが上記で規定される通りの化合物を、式R’MgX、ここでXはF、Cl、BrまたはIであり、そしてR’はアルキルまたはアリールである有機金属試薬と、約0℃と周囲温度との間の不活性溶媒中で反応する工程であって、その後、反応混合物にほぼ周囲温度で塩化亜鉛または臭化亜鉛を添加する工程が続く工程;
重合反応を開始するために、ほぼ周囲温度で、同じ不活性溶媒中で得られる溶液を有効量のNi(II)触媒に添加する工程を包含し、ここで、得られるポリマーは、約95%より多いレジオレギュラー度を有している。
【0021】
別の実施形態は、上記ポリチオフェンが遊離の末端カルボン酸基を含む1つ以上の基によって置換された、式Iのポリマーを、このようなポリマーのアルカリ金属塩に転換し、これは、水溶性である。
【0022】
1つの実施形態では、RおよびRの両方は、−アルキル、−アルキル−COH、アリール、−(CH−アリール−(CH−COH、複素環、−(CH−複素環−(CH−COH、−シクロアルキル、または−(CH−シクロアルキル−(CH−COHである。別の実施形態では、RまたはRのいずれかは−Hであり、そしてRまたはRの他方は、アルキル、−アルキル−COH、アリール、−(CH−アリール−(CH−COH、複素環、−(CH−複素環−(CH−COH、シクロアルキル、または−(CH−シクロアルキル−(CH−COHである。
【0023】
本明細書で用いられるとは、特定の用語は以下の意味を有する。本明細書で用いられるすべてのその他の用語および語句は、当業者が理解し得るそれらの通常の意味を有する。このような通常の意味は、Hawley’s Condensed Chemical Dictionary、第11版、SaxおよびLewis、Van Nostrand Reinhold、New York、N.Y.、1987;およびThe Merk Index、第11版、Merck&Co.、Rahway N.J.1989のような技術的辞書を参照することによって得られ得る。
【0024】
本明細書で用いられるとき、「アリール」は、飽和の直線状、分岐、または環状の炭化水素基を含む。1つの実施形態では、アルキルは1〜200の炭素原子を含む。別の実施形態では、アルキルは1〜50の炭素原子を含む。別の実施形態では、アルキルは1〜30の炭素原子を含む。別実施形態では、アルキルは5〜15の炭素原子を含む。アルキル基は、必要に応じて、フッ素、塩素、1〜10の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチルまたはエチル)、1〜10の炭素原子を有するアルコキシ基(例えば、メトキシまたはエトキシ)、1〜10の炭素原子および1つ以上の酸素原子を有するアルコキシアルキル基、またはアセトアミドのような1〜10の炭素原子を有するアミド基のような1つ以上の置換基で置換され得る。これら置換基は、それら自体が、水酸基、カルボキシル基、アセトキシ基、またはハロゲンのような1つ以上の官能基で置換され得る。
【0025】
本明細書で用いられるとき、「アリール」は、単核または多核芳香族炭化水素基を意味し、「アリール」基の例は、制限されないで、例えばフェニル基またはナフチル基のような芳香族炭化水素を含む。この芳香族基は、必要に応じて、フッ素、塩素、1〜10の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチルまたはエチル)、1〜10の炭素原子を有するアルコキシ基(例えば、メトキシまたはエトキシ)、1〜10の炭素原子および1つ以上の酸素原子を有するアルコキシアルキル基、またはアセトアミドのような1〜10の炭素原子を有するアミド基のような1つ以上の置換基で置換され得る。これら置換基は、それら自体が、水酸基、カルボキシル基、アセトキシ基、またはハロゲンのような1つ以上の官能基で置換され得る。
【0026】
1つの実施形態では、アリールは、非置換または置換いずれかであるフェニル基またはナフチル基である。
【0027】
本明細書で用いられるとき、「シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどを含む。このシクロアルキル基は、必要に応じて、フッ素、塩素、1〜10の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチルまたはエチル)、1〜10の炭素原子を有するアルコキシ基(例えば、メトキシまたはエトキシ)、1〜10の炭素原子および1つ以上の酸素原子を有するアルコキシアルキル基、またはアセトアミドのような1〜10の炭素原子を有するアミド基のような1つ以上の置換基で置換され得る。これら置換基は、それら自体が、水酸基、カルボキシル基、アセトキシ基、またはハロゲンのような1つ以上の官能基で置換され得る。
【0028】
本明細書で用いられるとき、「複素環」は、環または複数の環中に、炭素、および酸素、リン、ケイ素、または硫黄またはそれらの組み合わせのような1つ以上のヘテロ原子を含む単核または多核の飽和または不飽和環状基を意味する。別の実施形態では、複素環は、炭素、および窒素、酸素、または硫黄のような1つ以上のヘテロ原子を含む単核または多核の飽和または不飽和環状基を意味する。これは、制限されないで、ピリジン、ピロール、インドール、アデノシン、チアゾール、ピラジン、グアニン、シトシン、チミン、アデニン、ウレジン、ウラシル、オキサゾール、プリン、ピラゾール、ヒダントイン、ピペラジン、キノリン、キサンテン、1,10−フェナントロリン、チオフェン、およびアクリジンを含む。複素環基は、必要に応じて、フッ素、塩素、1〜10の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチルまたはエチル)、1〜10の炭素原子を有するアルコキシ基(例えば、メトキシまたはエトキシ)、1〜10の炭素原子および1つ以上の酸素原子を有するアルコキシアルキル基、またはアセトアミドのような1〜10の炭素原子を有するアミド基のような1つ以上の置換基で置換され得る。これら置換基は、それら自体が、水酸基、カルボキシル基、アセトキシ基、またはハロゲンのような1つ以上の官能基で置換され得る。
【0029】
上記アルキル、アリール、シクロアルキル、および複素環基はまた、本明細書で以下に列挙される1つ以上の置換基で置換され得る。本明細書で用いられるとき、用語「置換」は、「置換」を用いる表現で示される基上の1つ以上(例えば、1、2、3、4、または5;いくつかの実施形態では1、2、または3;そしてその他の実施形態では1または2)の水素原子が、示された有機または無機の基(単数または複数)からの選択で、または当業者に公知の適切な有機または無機の基で、示された原子の通常の原子価を超えず、しかもこの置換が安定な化合物を生じることを条件に置換されていることを示すことが意図される。適切な示される有機または無機の基は、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロメチルチオ、ジフルオロメチル、アクリルアミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルシリル、およびシアノを含む。さらに、適切な示された基は、例えば、−X、−R、−O、−OR、−SR、−S、−NR、−NR、=NR、−CX、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、NC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)NRR、−S(=O)、−S(=O)OH、−S(=O)R、−OS(=O)OR、−S(=O)NR、−S(=O)R、−OP(=O)ORR、−P(=O)ORR、−P(=O)(O、−P(=O)(OH)、−C(=O)R、−C(=O)X、−C(S)R、−C(O)OR、−C(O)O、−C(S)OR、−C(O)SR、−C(S)SR、−C(O)NRR、−C(S)NRR、−C(NR)NRRを含み得、ここで各Xは、独立にハロゲン(または「ハロ」基):F、Cl、Br、またはIであり;そして各Rは、独立してH、アルキル、アリール、複素環、保護基またはプロドラッグ部分である。当業者によって容易に理解されるように、置換基がケト(すなわち、=O)またはチオキシ(すなわち、=S)などであるとき、置換された原子上の2つの水素原子は置換されている。
【0030】
用語「アルキルチオ」は、基アルキル−S−をいい、ここで、アルキルは本明細書で規定されるようである。1つの実施形態では、アルキルチオ基は、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、iso−プロピルチオ、n−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、sec−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、n−ヘキシルチオ、1,2−ジメチルブチルチオなどを含む。アルキルチオのアルキル基は、非置換または置換され得る。
【0031】
用語「アルキルシリル」は、基アルキル−SiH−またはアルキル−SiR−をいい、ここで、アルキルは本明細書で規定される通りであり、そして各Rは、独立してHまたはアルキルである。チオフェンは、当業者に公知の多くの技法のいずれかによってアルキルシリル基で置換され得、代表的には、このチオフェンを、アルキルシリルハロゲン化物とカップリングすることによって置換され得、その多くは、Aldrich Handbook of Fine Chemicals、2003−2004、Milwaukee、WIに開示されている。
【0032】
1つ以上の置換基を含む上記の任意の基に関し、立体的に実施可能でなく、そして/または合成的に実行可能でない任意の置換または置換パターンは含まないことは勿論理解される。さらに、本発明の化合物は、これら化合物の置換から生じるすべての立体化学的異性体を含む。
【0033】
本明細書で用いられるとき、「アルカリ金属」は、リチウム(Li+)、ナトウリム(Na+)、カリウム(K+)、ルビジウム(Rb+)、およびセシウム(Cs+)を含む。1つの実施形態では、このアルカリ金属は、ナトウリム(Na+)、またカリウム(K+)である。別の実施形態では、このアルカリ金属は、ナトウリム(Na+)である。
【0034】
本明細書で用いられるとき、用語「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素の基(group)、置換基、または基(radical)をいう。
【0035】
1つの実施形態では、nは0〜50の整数である。別の実施形態では、nは1〜30の整数である。さらなる実施形態では、nは5〜15である。
【0036】
1つの実施形態では、RまたはRのみが、−アルキル、−アルキル−COH、アリール、−(CH−アリール−(CH−COH、複素環、−(CH−複素環−(CH−COH、シクロアルキル、または−(CH−シクロアルキル−(CH−COHである。
【0037】
1つの実施形態では、上記ポリマーは、レジオ選択的(レジオレギュラー)である。
レジオ選択的ポリマーは、すべてヘッド−ヘッド、またはヘッド−テイル配向を有するポリマーである。レジオランダムは、等量の各配向をもつポリマーである(25%ヘッド−テイル&ヘッド−テイル、25%ヘッド−テイル&ヘッド−ヘッド、25%テイル−テイル&ヘッド−テイル、25%テイル−テイル&ヘッド−ヘッド)。レジオランダムおよびレジオ選択的(またはレジオレギュラー)のさらなる説明および考察については、その開示が本明細書中に参考として援用される米国特許第5,756,653号を参照のこと。RまたはRのいずれもが−Hでない実施形態では、上記ポリマーはレジオランダムまたはレジオレギュラーのいずれでもない。
【0038】
1つの実施形態では、Rがヘキシルであり、そしてRが水素であるレジオレギュラーポリマーが、本明細書のプロセスによって調製される。別の実施形態では、Rがヘキシル−COHであり、そしてRが水素であるレジオレギュラーポリマーが、本明細書のプロセスによって調製される。カルボン酸基は、必要に応じて、別の実施形態でポリマーのナトリウム塩またはカリウム塩に転換され得る。
【0039】
本発明のプロセスは、最初、少なくとも2つの安定な脱離基を有する置換チオフェンを有機マグネシウムハロゲン化物と組み合わせることにより進行する。1つの実施形態では、塩化有機マグネシウムが用いられる。同じ反応容器で、塩化有機マグネシウムの添加の後、塩化亜鉛または臭化亜鉛が添加され、そしてこの反応混合物は、室温に、添加のときにそれ未満である場合に、される。1つの実施形態では、塩化亜鉛が用いられる。(室温は、約18℃〜約30℃で変動し得、そして代表的には約21℃〜約25℃、または約23℃である)。上記混合物は、重合を開始するために、得られる透明溶液をNi(II)触媒に添加する前に、これもまた室温で同じ溶媒中で1時間未満の間攪拌される。
【0040】
溶媒は不活性溶媒であり、そして1つの実施形態では、エーテル溶媒であり、そして特定の実施形態では、テトラヒドロフラン(THF)である。ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、またはジオキサンのようなその他のエーテルの溶媒が用いられ得る。
【0041】
上記少なくとも2つの安定な脱離基は、アニオン性または中性いずれかの脱離基であり得る。アニオン性または中性の脱離基の例は、ハライド、トシレート、トリフレート、フェノレート、ブロシレート、トリアルキルアミン、トリアリールアミン、混合トリ(アルキル/アリール)アミン、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、混合トリ(アルキル/アリール)ホスフィン、トリアルキルスタナン、トリアリールスタナン、混合トリ(アルキル/アリール)スタナン、チオフェン(−SC)、フェノレート(−OC)などを含む。「混合トリ(アルキル/アリール)」アミン、ホスフィン、スタナン、により、窒素、リン、および錫が、アルキルおよびアリール基の両方で置換され得ることが意味される。例えば、中性脱離基は、P(CH(C)であり得る。1つの実施形態では、アニオン性脱離基は、ハライドまたはトリフレートである。別の実施形態では、イオン性脱離基は、ハライドである。特定の実施形態では、イオン性脱離基は、臭素である。
【0042】
上記置換された亜鉛チオフェンは、有効量の触媒の存在下でポリマーを形成する。1つの実施形態では、この触媒は、Ni(II)触媒である。「有効量」のNi(II)によって、約5日未満で反応を行うに十分な量が存在することが意味される。代表的には、これは、存在する有機亜鉛の量を基に、約1〜10モル%の、そして1つの実施形態では、約1〜5モル%の量である。
【0043】
適切なNi(II)触媒の例は、制限されないで、Ni(PR、ここで、R=C−C300アルキル、C−C100アリール、およびX=F、Cl、Br、またはI;NiLX、ここで、L=1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(Ni(dppe))、1,3−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)プロパン(Ni(dppe))、[2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4,5−ジイル)ビス−(メチレン)]ジフェニルホスフィン、そしてX=F、Cl、Br、またはI;Ni(CN)−2;NiO;Ni(CN)−3;NiCl−4;NiCl;NiF;NiBr;NiI;NiAs;Ni(dmph)、ここで、dmph=ジメチル−グリオキシメート;BaNiS;[NiX(QAS)]、ここで、X=F、Cl、Br、またはI、およびQAS=As(o−CAsPh;[NiP(CHCHCHAsMeCN];[Ni(NCS)−4;KNiX、ここで、X=F、Cl、Br、またはI;[Ni(NH+2;[Ni(bipy)+2、ここで、bipy=ビピリデン、を含む。
【0044】
一旦、重合が達成されると、置換ボリチオフェンが遊離の末端カルボン酸置換基を含む場合、本発明のプロセスの次のステップは、有効量のアルカリ金属塩基の上記混合物との組み合わせを含み、上記ポリマーのアルカリ金属塩を形成する。水溶性であるのは、このポリマーのアルカリ金属塩である。
【0045】
本発明の方法は、当業者に公知の任意のアルカリ金属塩基を利用し得、制限されないで、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ルビジウム(RbOH)、および水酸化セシウム(CsOH)を含む。1つの実施形態では、NaOHまたはKOHが利用される。別の実施形態では、NaOHが利用される。
【0046】
アルカリ金属塩基は、「有効量」で混合物と組み合わされる。本明細書で用いられるとき、「有効量」は、少なくとも約5%のポリマーをこのポリマーのアルカリ金属塩基に転換し得る量を意味する。1つの実施形態では、アルカリ金属塩基の「有効量」は、少なくとも約75%のポリマーをこのポリマーのアルカリ金属塩基に転換し得る量を意味する。別の実施形態では、アルカリ金属塩基の有効量は、少なくとも約90%のポリマーをこのポリマーのアルカリ金属塩基に転換し得る量を意味する。
【0047】
本発明の1つの実施形態では、アルカリ金属塩基は、ポリマーに、このポリマーに対してモル過剰である量で添加される。別の実施形態では、アルカリ金属塩基は、ポリマーに、このポリマーに対して少なくとも約2対1(アルカリ金属塩基対ポリマー)のモル比を生成する量で添加される。別の実施形態では、アルカリ金属塩基は、ポリマーに、このポリマーに対して少なくとも約5対1(アルカリ金属塩基対ポリマー)のモル比を生成する量で添加される。
【0048】
アルカリ金属塩基は、当業者に公知の任意の方法を用いて上記混合物と組み合わされ得る。1つの実施形態では、アルカリ金属塩基は、アルカリ金属塩基を含む水溶液を形成すること、およびこの溶液を攪拌することにより添加される。1つの実施形態では、上記混合物が攪拌され、そして同様に加熱される。当業者に公知で、かつ用いられる一般的技法および方法がまた、本発明の方法で利用され得る。
【0049】
上記プロセスは、高純度のポリチオフェンポリマーの調製を可能にする。本明細書で用いられるとき、用語「高純度」は、少なくとも約85%、好ましくは少なくとも約87%、より好ましくは少なくとも約90%、なお好ましくは少なくとも約92%、なお好ましくは少なくとも約95%、さらに好ましくは少なくとも約97%、または最もより好ましくは少なくとも約99%である化合物またはポリマーをいう。この純度は、wt%/wt%様式で決定され得る。
【0050】
本明細書で用いられるとき、用語「約」は、特定される値の10%の変動を意味し;例えば、約50%は、45〜55%の変動を含む。整数の範囲については、この用語、約、は、引用された整数より、1または2大きいかまたは小さい整数を含み得る。
【0051】
本明細書で用いられるとき、用語「膜」または「薄膜」は、機械的安定性および可撓性を示す自己支持性または独立して立つ膜、および支持基板上または2つの基板間の被覆または層をいう。
【0052】
(ポリマー構造および性質)
本明細書に開示される方法によって調製される本発明の改良されたポリチオフェンは、非置換、3−置換、または3,4−二つの置換のチオフェンであり得る。これらの置換は、上記置換の定義の下で記載された基のいずれかであり得る。1つの実施形態では、チオフェンは、3−置換チオフェンであり、ここで、上記置換基は、アルキル、アルキルチオ、アルキルシリル、またはアルコキシ基である。この置換基は、必要に応じてその他の官能基、例えば、そして制限なくして、1〜約5のエステル、ケトン、ニトリル、アミン、ハロゲン、アリール基、複素環、およびヘテロアリール基で置換され得る。アルキル、アルキルチオ、アルキルシリル、またはアルコキシ基のアルキル鎖はまた、O、S、NP基(ここで、Pは、置換基または窒素保護基)、またはそれらの組み合わせのような、1つ以上のヘテロ原子によって中断され得る。
【0053】
上記ポリチオフェンの溶解度を改善する置換基を含むことがしばしば好ましい。このような置換基は、ヘキシル、ヘキソキシ、ヘキシルチオ、およびヘキシルシリル基のような、少なくとも約5または6の炭素原子を含む基を含み得る。本発明の別の局面では、3−位に直接付着される置換基が、硫黄、ケイ素、酸素、または窒素原子のようなヘテロ原子であることが好ましくあり得る。これらのヘテロ原子は、置換の定義で上記に記載されているようなその他の適切な基で置換され得る。チオフェンの3−位におけるヘテロ原子は、例えば、チオフェン環構造の芳香族電子の脱局在化を可能にすること、および/またはこのポリマーの改良されたパッキングおよび最適化されたミクロ構造を可能にすることによってこのポリチオフェンの伝導度をさらに増大し得、改良された荷電キャリア移動度に至る。本発明のさらなる局面では、1つ以上(例えば、1〜10、1〜5、または1〜3)のメチレン基によってチオフェン環からアリール、ヘテロアリール、または複素環置換基を、必要に応じて1つ以上のヘテロ原子によって中断されて分離することが好ましくあり得る(例えば、上記の基が約2〜約10の繰り返し単位を含むポリエチレンまたはポリエチレンイミン基)。チオフェンモノマーの3−位における置換基は、重合のレジオ化学に影響する立体バルクを提供することにより、生成物ポリチオフェンのレジオレギュラー度を改善し得る。
【0054】
生成物ポリチオフェン上の末端基(ポリマーの末端チオフェンの2−または5−位の基)は、水素またはハロゲンであり得る。このポリチオフェンの末端基はまた、アルキルまたは官能化アルキル基であり得、これは、有機−亜鉛試薬のような有機金属種で重合をクエンチすることによって提供され得る。
【0055】
本明細書に記載される方法によって調製されるポリチオフェンの平均分子量は、THF中ポリスチレン標準を用いるGPCにより決定されるとき、約10,000〜約150,000、好ましくは約20,000〜約80,000、そしてより好ましくは約40,000〜約60,000であり得る。多分散指数(PDI)は、約1.1〜約2、好ましくは約1.10〜1.8、そしてより好ましくは約1.15〜約1.6であり得る。
【0056】
粗製ポリチオフェンは、重合後、メタノール中の沈殿、次いで沈殿したポリマーの簡単な濾過によって単離され得る。この粗製ポリマーは、当該技術分野の粗製産物に対して優れた性質を有している。本発明の粗製ポリチオフェンは、公知の調製方法のそれより高いレジオレギュラー度を有し、これは、電子装置適用のために使用可能な材料を提供するために必要な精製の量を低減する。
【0057】
より高いレジオレギュラー度は、ポリチオフェンのより高い伝導度を生じる。ドープされるとき、レジオレギュラーの3−置換ポリチオフェンは、約1,000ジーメンス(seimens)/cm、+/−約400ジーメンス/cmの伝導度を有し得る。レジオランダムな3−置換ポリチオフェンは、代表的には、ほんの約5〜10ジーメンス/cmで伝導性である。さらに、ドープされないレジオレギュラーの3−置換ポリチオフェンは、約10−5〜約10−6ジーメンス/cmで伝導し(半導体の範囲)、そしてドープされないレジオランダムなポリチオフェンは、約10−9ジーメンス/cmで伝導する。
【0058】
ポリチオフェンは、酸化的または還元的にドープされ得る。ポリチオフェンポリマーマトリックス中に含まれ得るドーパントは、導電性有機ポリマーで用いられる代表的なドーパントを含み、ヨウ素(I)、臭素(Br)、塩化鉄、および種々の砒酸塩またはアンチモン塩を含む。その他のドーパントは、種々の公知のオニウム塩、ヨードニウム塩、ホウ酸塩、トシル塩、トリフレート塩およびスルホニルオキシイミドを含む。本発明のポリチオフェンは、このポリマーを適切な有機溶媒中に溶解すること、およびドーパントをこの溶液中に添加すること、次いでこの溶媒を蒸発することによりドープされ得る。この技法の多くの改変例が採用され得、そしてこのような技法は当業者に周知である。例えば、米国特許第5,198,153号を参照のこと。
【0059】
本発明のポリマーはまた、例えば、増感剤、安定化剤、阻害剤、鎖−転移剤、共−反応モノマーまたはオリゴマー、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、疎水性化剤、接着剤、流れ改善剤、希釈剤、着色剤、染料、色素、またはドーパントのような、1つ以上のその他の適切な成分を含み得る。これら必要に応じた成分は、ポリチオフェンを適切な有機溶媒中に溶解すること、および上記成分をこの溶液中に添加すること、次いで、溶媒を蒸発することによって添加され得る。本発明の特定の実施形態では、ポリチオフェンポリマーは、実質的に純粋なポリマーとして、またはドープされたポリマーとして極めて有用である。
【0060】
(薄膜)
本明細書に記載される方法によって調製される高純度ポリマーは、薄膜を形成するために用いられ得る。この薄膜は、溶媒中に溶解された本発明のポリチオフェンの溶液を用いい、スピンコーティング、キャスティング、浸漬、バーコーティング、ロールコーティングなどのような当業者に公知の標準的な方法を用いて形成され得る。例えば、薄膜および有機電界効果トランジスタを調製するための方法について、米国特許第5,892,244号;同第6,337,102号;同第7,049,631号;同第7,037,767号;同第7,025,277号;同第7,053,401号;および同第7,057,339号を参照のこと。この薄膜は、広範な範囲の厚みを有し得る。代表的な薄膜は、広範な範囲の厚みを有し得る。代表的な薄膜は、約1μm〜約1mmの範囲であり得る。この薄膜は、着色剤、可塑剤、またはドーパントを含み得る。本発明のポリチオフェンは、特に、ドーパントがこのポリマーマトリックス中に含まれるとき、電気的に伝導性である。
【0061】
(レジオレギュラーポリチオフェンの適用)
レジオレギュラーポリチオフェンは、有機発光ダイオード(OLED)の製造で採用され得る。このOLEDは、電子ディスプレイで用いられ得る。レジオレギュラーポリチオフェンはまた、高周波識別(RFID)タグを調製するために用いられ得る。レジオレギュラーポリ(3−アルキルチオ−チオフェン)は、特に、薄膜および有機電界効果トランジスタ(OFET)を調製するために有用である。これらのポリチオフェンは、例えば、光学的、電気光学的、電気的、電子的、荷電輸送、電界発光、または光伝導性材料の、適用、およびデバイスでさらに用いられ得る。その他の適用は、光起動デバイスおよびプラチック発光を含む。さらなる適用は、液晶および/または半導体材料の、デバイス、または適用におけるそれらの使用を含む。従来合成に比較される、これらポリマーの増加したコンダクタンスは、改良されたコンダクタンスを可能にし、そしてそれ故、これらの適用およびデバイスの改良された機能を可能にする。
【0062】
本発明は、さらに、電気光学的ディスプレイ、OLCD、ELCD、光膜、反射膜、集積回路の構成要素としてのOFETのような電子デバイス、フラットまたは可撓性パネルディスプレイ適用またはRFIDタグにおける薄膜トランジスタ、有機発光ダイオード(OLED)適用の半導体または発光較正要素、電界発光ディスプレイまたはLCDのバックライト、電池の電極材料などにおける本明細書に記載されるポリマーに関する。
【0063】
レジオレギュラーポリチオフェンは、プラスチックRFIDタグ、プラスチック光起電デバイス、プラスチック発光デバイス、およびOLEDを調製するためのような、プラスチックエレクトロニクスにおける使用のために特に有用である。従って、本発明は、実施例1に記載のように調製されるポリマーのような、本明細書に記載されるポリマーで構築された回路を含む電子デバイスを提供する。
【0064】
以下の実施例は、上記の発明を例示することが意図され、そしてその範囲いを狭くするために解釈されるべきではない。当業者は、この実施例が、本発明が実施され得る多くのその他の方法を示唆していることを容易に認識する。本発明の範囲内にある多くの変更および改変がなされ得ることが理解されるべきである。
【実施例】
【0065】
(実施例1)塩化亜鉛の存在下の2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェンおよびアルキルグリニヤールからのレジオレギュラーHTポリ(3−ヘキシルチオフェン)の調製
250mLの丸底フラスコ中に、2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン(8.15g、25mmol)を置き、そして50mLのTHFを添加した。次に、この反応フラスコを、氷浴中で冷却した。0℃で攪拌して、塩化シクロヘキシルマグネシウム(エーテル中2.0M、12.5mL、25mmol)をゆっくりと添加した。0℃で10分間攪拌した後、塩化亜鉛(THF中0.5M、50mL、25mmol)をこの反応混合物中に添加し、そして20分に亘って室温まで暖めた。得られる透明の溶液を、カニューレを経由してNi(dppe)Cl(0.08g、0.6mol%)を含むフラスコ中に室温で添加した。この混合物を、室温で24時間攪拌した。暗紫色の沈殿物がこの期間の間に徐々に形成された。この混合物を、MeOH(100mL)および3N HCl(10mL)の溶液中に注いだ。得られる暗色沈殿物を濾過し、そしてMeOHで洗浄し、そして次に高減圧下で乾燥した。ヘキサンを用いるソックスレー抽出は、2.87gのレジオレギュラーHTポリ(3−ヘキシルチオフェン)の暗色ポリマーを与えた(69%収率)。
【0066】
H NMR(300MHz);HT−HT結合に対して6.98(s、1H)、HT結合に対して2.80(t、2H)(δ2.58でこのα−位置領域におけるHH結合に対して4%未満強度がまた観察された)、1.72(pent、2H)、1.44(m、2H)、1.35(m、4H)、0.92(t、3H);13C NMR(125MHz)139.9、133.7、130.5、128.6、31.7、30.5、29.5、22.6、14.1。このNMR分析は、このポリマーが96%レジオレギュラーであり、そして4%がレジオランダムであることを示す。
【0067】
(実施例2)例示のポリ(3−置換−チオフェン)
スキーム1は、本明細書に記載される方法によって調製され得るポリチオフェンのいくつかを示し、ここで、nは、ポリチオフェンポリマーが約10,000〜約200,000の分子量のような値であり;「Hex」はヘキシルであるが、本明細書に記載のような任意のアルキル基であり得;「Bn」は、本明細書に記載のような必要に応じて置換され得るベンジルであり;「Ar」は、本明細書に記載のようなアリールであり;「Het」は、本明細書に記載のようなヘテロアリールまたは複素環であり;mは1〜約20であり;そしてRは、本明細書に記載のようなアルキルである。
【0068】
【化7】

すべての刊行物、特許、および特許文献は、あたかも個々に参考として援用されるように、本明細書に参考として援用される。本発明を、種々の詳細かつ好ましい実施形態および技法を参照して説明した。しかし、多くの変形物または改変物が、本発明の思想および範囲内にあってなされ得ることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ−(3−置換)チオフェンを調製するためのプロセスであって、
約0℃と室温との間の不活性溶媒中で、少なくとも2つの脱離基を有する3−置換チオフェンを有機マグネシウムハロゲン化物と反応する工程であって、その後、塩化亜鉛または臭化亜鉛を添加する工程が続く工程;および重合を開始するために、ほぼ室温で同じ溶媒中のNi(II)触媒に得られる溶液を添加する工程を包含し、ここで、得られるポリマーが約95%より多いレジオレギュラーである、プロセス。
【請求項2】
式:
【化1】

ここで、RおよびRは、各々独立して−H、−アルキル、−アリール、−複素環、−シクロアルキル、−アルキル−COH、−(CH−アリール−(CH−COH、−(CH−複素環−(CH−COH、または−(CH−シクロアルキル−(CH−COHであり、ここで、nは0〜200の整数であり、但し、RおよびRの1つのみが−Hであるポリマーを調製するプロセスであって:
式:
【化2】

ここで、RおよびRが上記で規定される通りの化合物を、式R’MgX、ここでXはF、Cl、BrまたはIであり、そしてR’はアルキルまたはアリールである有機マグネシウム試薬と、約0℃と周囲温度との間の不活性溶媒中で反応する工程であって、その後、反応混合物に塩化亜鉛を添加する工程が続く工程;
重合反応を開始するために、有効量のNi(II)触媒に得られる溶液を添加する工程を包含し、ここで、得られるポリマーが、約95%より多いレジオレギュラーを有する、プロセス。
【請求項3】
前記溶媒が、エーテル溶媒である、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記溶媒が、テトラヒドロフランである、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項5】
XがClであり、そして塩化亜鉛が用いられる、請求項2〜4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
およびRが各々独立に、−H、−アルキル−COH、−(CH−アリール−(CH−COH、−(CH−複素環−(CH−COH、または−(CH−シクロアルキル−(CH−COHであり、前記ポリマーのアルカリ金属塩を形成するために、有効量のアルカリ金属塩基を添加する工程をさらに包含する、請求項2〜5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
およびRの1つが、−アルキルまたは−アルキル−COHである、請求項2〜6のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
が−アルキルまたは−アルキル−COHであり、そしてRが−Hである、請求項2〜7のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
アルキルまたはアルキル−COHが、約1〜30の炭素原子を有する、請求項2〜8のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
アルキルまたはアルキル−COHが、約5〜約15の炭素原子を有する、請求項2〜9のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項11】
アルキルがヘキシルである、請求項2〜10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
アルキル−COHがヘキシル−COHである、請求項2〜11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ポリ−(3−置換)−チオフェンが、本明細書に実質的または詳細に記載されるようなポリ−(3−置換)チオフェンである、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項14】
生成物ポリマーが、スキーム1に示されるような化合物である、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法によって調製された水溶性ポリマーを含む、電気伝導性の水溶性薄膜。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法によって調製された水溶性ポリマーを含む、有機薄膜トランジスタまたは有機発光ダイオードを含む、電子構成要素。
【請求項17】
前記水溶性ポリマーが、レジオレギュラーポリマーである、請求項16に記載の電子構成要素。

【公表番号】特表2009−501838(P2009−501838A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522898(P2008−522898)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/027871
【国際公開番号】WO2007/011945
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(508015391)リーケ メタルズ インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】RIEKE METALS INC.
【Fターム(参考)】