説明

置換3−ピリジルメチルアンモニウムブロミドを製造する方法

(i)式(II)の化合物を反応させて3-ブロモメチル-5,6-二置換ピリジン化合物(III)を得るステップと、(ii)式(III)のブロモ化合物を、約0℃〜100℃の温度範囲の溶媒中で第三級アミン塩基Qと反応させるステップとを含む、5,6-二置換-3-ピリジルメチルアンモニウムブロミド(I)を製造する方法。
【化1】


【化2】


【化3】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3-ピリジルメチルアンモニウムブロミドを製造する方法及びこれらの化合物のイマザモックスなどの除草性の5-置換-2-(2-イミダゾリン-2-イル)ニコチン酸へのさらなる転化に関する。
【背景技術】
【0002】
イマザモックス(2-[(RS)-4-イソプロピル-4-メチル-5-オキソ-2-イミダゾリン-2-イル]-5-メトキシメチルニコチン酸)
【化1】

のような2-(2-イミダゾリン-2-イル)ニコチン酸の誘導体は、ALS阻害剤として作用し、出芽前及び出芽後散布に使用することができる有用な選択的除草剤である。
【0003】
これらの化合物の合成の様々な方法が文献(例えば、EP-A0322616、EP-A0747360、EP-A0933362又はQ. Biら、Modern Agrochemicals 6(2)(2007)10〜14を参照のこと)から知られている。
【0004】
工業規模での合成はこれらの方法により実施されるが、具体的には経済的及び生態学的側面からの改善、例えば、総収量改善又は特定の溶媒若しくは試剤の回避などの余地が依然としてある。
【0005】
EP-A0548532は、5,6-二置換-3-ピリジルメチルアンモニウムハライド化合物の、それぞれの5,6-二置換-3-メチル-ピリジンのハロゲン化による調製、及びその後のトリアルキルアミン又は環状不飽和若しくは飽和アミンとの反応について開示している。
【0006】
EP-A0548532で提案されているハロゲン化剤としては、N-ブロモスクシンイミド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、臭素、塩素、t-ブチルハイポクロライト、塩化スルフリル、臭化スルフリル、N-クロロスクシンイミド等が挙げられている。しかし、全ての実施例は、N-ブロモスクシンイミド又は1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインを用いて実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP-A0322616
【特許文献2】EP-A0747360
【特許文献3】EP-A0933362
【特許文献4】EP-A0548532
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Modern Agrochemicals 6(2)(2007)10〜14
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一つの課題は、5,6-二置換-3-メチル-ピリジンの改善したハロゲン化の方法を提供することである。本発明のさらなる課題は、5,6-二置換-3-ピリジルメチルアンモニウムブロミド(I)の改善した製造方法及びこれらの化合物の除草性の2-(2-イミダゾリン-2-イル)ニコチン酸又はその誘導体へのさらなる転化を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
5,6-二置換-3-メチルピリジンの臭素化及びアミンとのさらなる反応を、水との二相系中で特定の溶媒及び臭素を臭素化剤として使用することにより著しく改善できることを見出した。
【0011】
DE-A3330604は、水及びフルオロクロロ炭化水素を含む二相系中、照射下での、メチル化合物の臭素を用いた臭素化によるブロモメチルチオフェンカルボキシルエステルを調製する方法について開示している。しかし、この参考文献は、本発明の特定の抽出物、溶媒及び反応条件を開示していない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
したがって、本発明の一態様において、5,6-二置換-3-ピリジルメチルアンモニウムブロミド(I)
【化2】

[式中、
Qは、第三級脂肪族又は環状、飽和、部分的不飽和又は芳香族アミンであり、
Zは水素又はハロゲンであり、
Z1は、水素、ハロゲン、シアノ又はニトロであり、
Y及びY1は、それぞれ独立に、OR1、NR1R2であるか、又は一緒になって、YY1は-O-、-S-若しくはNR3-であり、
R1及びR2は、それぞれ独立に、
水素、
C1〜C4アルコキシ又は一つから三つのC1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基若しくはハロゲン原子で場合により置換されたフェニルで場合により置換されたC1〜C4アルキル、或いは
一つから三つのC1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基若しくはハロゲン原子で場合により置換されたフェニル
であり、
R3は水素又はC1〜C4アルキルである]
を製造する方法であって、
(i)式(II)の化合物、
【化3】

[式中、各符号は式(I)に示す意味を有する]
を、水相及び有機相を含む溶媒混合物中、ラジカル開始剤の存在下で臭素と反応させて、3-ブロモメチル-5,6-二置換ピリジン化合物(III)
【化4】

[式中、Y、Y1、Z及びZ1は式(I)に示す意味を有する]
を得るステップであって、有機相が1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン及びテトラクロロメタンから選択される溶媒を含み、水相のpH値が3〜<8であるステップと、
(ii)式(III)のブロモ化合物を、約0℃〜100℃の温度範囲の溶媒中で第三級アミンQと反応させるステップと
を含む方法を提供する。
【0013】
本発明のさらなる態様において、式(IV)の5,6-二置換-3-メトキシメチルピリジン
【化5】

[式中、
Z1及びZ2は式(I)に定義の通りであり、
Y2はOCH3又はOMであり、
Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属又はH、好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属である]
を製造する方法であって、
(i)/(ii)上記の式(I)の5,6-二置換-3-ピリジルメチルアンモニウムブロミドを調製するステップと、
(iii)式(I)の化合物を、メタノール、トルエン又はメタノール/トルエン混合物中で、MOCH3及び(メタノールが溶媒ならば)MOH(式中、Mは式(IV)に定義の通り)から選択される塩基と反応させ、場合により、得られた生成物(M=H)を酸性化するステップと
を含む方法を提供する。
【0014】
本発明のさらなる態様において、式(V)の除草性のイミダゾリノン化合物
【化6】

[式中、
Z、Z1は式(I)に定義の通りであり、
R4はC1〜C4アルキルであり、
R5はC1〜C4アルキル、C3〜C6シクロアルキルであるか、又はR4及びR5は、それらが結合する原子と一緒になって、メチルで場合により置換されたC3〜C6シクロアルキル基を表し、
R6は水素;式-N=C(低級アルキル)2の基;以下の基:C1〜C3アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、C3〜C6シクロアルキル、ベンジルオキシ、フリル、フェニル、ハロフェニル、低級アルキルフェニル、低級アルコキシフェニル、ニトロフェニル、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル、シアノ若しくはトリ低級アルキルアンモニウムの一つで場合により置換されたC1〜C12アルキル;以下の基:C1〜C3アルコキシ、フェニル、ハロゲン又は低級アルコキシカルボニルの一つで、又は二つのC1〜C3アルコキシ基若しくは二つのハロゲン基で場合により置換されたC3〜C12アルケニル;一つ又は二つのC1〜C3アルキル基で場合により置換されたC3〜C6シクロアルキルであるか、或いは、
好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、銅、鉄、亜鉛、コバルト、鉛、銀、ニッケル、アンモニウム及び有機アンモニウムからなる群から選択されるカチオンである]
を調製する方法であって、
(i)/(ii)/(iii)上記の式(IV)の化合物を調製するステップと、
(iv)式(IV)の化合物を式(V)の除草性の化合物に転化するステップと
を含む方法を提供する。
【0015】
本発明の方法は、より高い収量、より高い生産性(より高い空時収量、より低い固定費)、より低い原料費(臭素はDBDMHのような有機臭素化剤より安価である)及び式(I)の化合物の改善した選択性をもたらす。有機相は、例えば追加の塩基性洗浄(basic wash)により分離しなければならない臭素化剤(例えば、DBDMH由来のジメチルヒダントイン)に由来する有機副産物を含まない。特に、より高密度の溶媒1,2-ジクロロエタンにより、不溶性不純物を含まないより高濃度の水溶液中の式(I)の化合物の単離が可能となる。
【0016】
各符号が以下の意味を有する式(I)の化合物が好ましい。
【0017】
Zは水素又はハロゲンであることが好ましい。
【0018】
Z1は、水素、ハロゲン、シアノ又はニトロであることが好ましい。
【0019】
Y及びY1は、それぞれ独立に、OR1であるか、又は一緒になって、YY1はOであることが好ましい。
【0020】
R1は、独立に、水素又はC1〜C4アルキルであることが好ましい。
【0021】
R3は水素又はC1〜C4アルキルであることが好ましい。
【0022】
Q+は、
【化7】

[式中、Z2は、O、S又はNR12であり、
R12はC1〜C4アルキルであり、
R7及びR8は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル若しくはC1〜C4アルコキシであるか、又は、一緒になって、R7及びR8は、O、S、若しくはNR12で場合により中断され、一つから三つのハロゲン原子、C1〜C4アルキル基若しくはC1〜C4アルコキシ基で場合により置換された5若しくは6員飽和若しくは不飽和環を形成し、
R9、R10及びR11は、それぞれ独立に、C1〜C4アルキルであるか、又はR11がC1〜C4アルキルであるならば、R9及びR10は一緒になって、5若しくは6員環を形成する(R9R10は構造:-(CH2)n-により表され、O、S又はNR9で場合により中断され、nは3、4又は5の整数である)]
であることが好ましい。
【0023】
式(I)における全ての符号は、好ましい意味を有することが好ましい。
【0024】
各符号が以下の意味を有する式(I)の化合物がより好ましい。
【0025】
Z及びZ1は水素であることがより好ましい。
【0026】
Y及びY1はOR1であることがより好ましい。
【0027】
R1はC1〜C4アルキルであることがより好ましい。
【0028】
R3は水素又はC1〜C4アルキルであることがより好ましい。
【0029】
Q+(+)NR9R10R11又はピリジニウムであることがより好ましい。
【0030】
R9、R10及びR11は、それぞれ独立に、C1〜C4アルキルであるか、又はR11がC1〜C4アルキルであるならば、R9及びR10は一緒になって、5若しくは6員環を形成し(R9R10は構造:-(CH2)n-により表され、O、S又はNR12で場合により中断され、nは整数又は3、4若しくは5である)ことがより好ましく、R9、R10及びR11はC1〜C4アルキルであることがより好ましい。
【0031】
全ての符号がより好ましい意味を有する式(I)の化合物がより好ましい。
【0032】
各符号が以下の意味を有する式(I)の化合物が特に好ましい。
【0033】
Z及びZ1は水素であることが特に好ましい。
【0034】
Y及びY1はOR1であることが特に好ましい。
【0035】
R1はCH3であることが特に好ましい。
【0036】
Qは(+)NR9R10R11又はピリジニウムであることが特に好ましい。
【0037】
R9、R10、R11はメチルであることが特に好ましい。
【0038】
したがって、特に好ましい式(I)の化合物は、式(Ia)の化合物
【化8】

である。
【0039】
それぞれのピリジニウム化合物(Ib)も特に好ましい。
【0040】
好ましい、より好ましい及び特に好ましい式(II)の化合物は、式(I)のそれぞれの化合物につながるものである。
【0041】
式(II)の化合物及びその調製は、例えば、EP-A0933362から知られている。
【0042】
ピリジン化合物(II)対臭素のモル比は、一般に1:0.5〜1.2、好ましくは1:0.6〜1.0、より好ましくは1:0.7〜0.95の範囲である。
【0043】
臭素の半当量で処理すること、及び反応混合物中でH2O2のような酸化剤を用いてHBrから臭素を発生させることも可能である。
【0044】
反応を開始するのに適したフリーラジカル発生剤は、選択した反応温度で分解するものである。好ましい開始剤の例は、フリーラジカル発生剤、例えば、アゾ化合物及び過酸化物などである。しかし、酸化還元系、特にクメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシドに基づいたものを使用することも可能である。
【0045】
本発明の方法において使用するのに適したラジカル開始剤としては、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブタンニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチル-ペンタンニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、有機及び無機過酸化物、例えば、ジラウロイルペルオキシド、過酸化水素、tert-ブチルペルオキシ-ピバレート、ベンゾイルペルオキシドなどが挙げられ、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブタンニトリル)及びジラウロイルペルオキシドが好ましく、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル及び2,2'-アゾビス(2-メチルブタンニトリル)が特に好ましい。
【0046】
開始剤対臭素のモル分配量は、好ましくは0.04〜0.15:1、より好ましくは0.06〜0.10:1の範囲である。
【0047】
有機溶媒は、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン及びテトラクロロメタン、好ましくは1,2-ジクロロエタン及びクロロベンゼンからなる群から選択される。1,2-ジクロロエタンが特に好ましい。混合物、特にジクロロベンゼンの混合物も可能である。
【0048】
有機溶媒の量は、大幅に変動させることができる。化合物(II)のモル当たり好ましくは900g〜2000g、より好ましくは1000g〜1300gの有機溶媒を利用する。
【0049】
反応混合物は、有機相及び水相を含む。水相の量は、大幅に変動させることができる。式(II)の化合物のモル当たり好ましくは140g〜500g、より好ましくは140g〜300g、特に150g〜200gの水を利用する。
【0050】
反応の過程において、水相のpH値は、3〜<8、好ましくは3〜7、より好ましくは4〜7の範囲に維持する。pH値の調節は、好適な塩基、好ましくは無機塩基、例えば、アルカリ金属の水酸化物、例えば、NaOH、又はアルカリ土類金属などを添加することにより実現することができる。特に希釈形態(例えば、5〜20wt.-%NaOHを含有する)の水性NaOHが好ましい塩基である。
【0051】
pH値を所望通りに調節するために、反応の間に連続的に塩基を添加してもよく、又はpH値を連続的に確認し、接続した自動注入装置(automated dosage device)により塩基を添加する。
【0052】
好ましい一実施形態において、反応のステップ(i)は、化合物(II)を有機相に溶解し、水を添加して水相を形成することにより実施する。
【0053】
開始剤は、純粋な化合物として、又は溶解して、室温(一般に22〜25℃の範囲の温度)又は加熱後の反応温度で添加する。開始剤分解温度に応じて、臭素注入の開始前に開始剤の一部又は全量を添加しなければならない。臭素添加の間に添加しなければならない開始剤(starter)の量も分解温度次第である。フリーラジカルの濃度は、臭素化反応の間に常に最小であるべきである。
【0054】
2,2'-アゾビス(2-メチルブタンニトリル)については、有機溶媒中に開始剤を有する溶液を添加する。pH値を調節するための臭素並びに塩基のゆっくりとした添加は、同時に又はしばらくしてから開始することができる。臭素化反応が開始したときに混合物中に十分な量のフリーラジカルが存在するように、臭素/塩基注入を後で開始することが好ましい。反応の完了後、混合物を冷却し、各相を分離する。
【0055】
この反応は、一般に約50℃〜約120℃、好ましくは約60℃〜約90℃の温度で実施する。
【0056】
この反応は、大気圧下又は最大で6barの過剰圧力下で実施することができる。大気圧が好ましい。
【0057】
(ステップ(i)に関する)反応時間は、反応パラメーターによって異なるが、一般に1時間と24時間の間である。
【0058】
総収量を改善し、反応の選択性を高めるため、すなわち、望ましくないジブロモ及びトリブロモ副産物の形成を低減するために、(化合物(II)の量に基づいて)最大で5〜60%まで、好ましくは30〜55%の転化率まで反応を実施することが好ましい。好ましい一実施形態において、この反応は、(化合物(II)に基づいて)最大で約50%の転化率で実施する。転化の程度は、当業者に知られている標準的方法、例えば、HPLC分析により確認することができる。
【0059】
所望の転化の程度に達すると、反応を停止し、各相を分離する。
【0060】
ステップ(i)の生成物、化合物(III)、未反応の出発原料(I)並びにジブロモ及びトリブロモ副産物を含有する有機相を水で抽出して、酸及び臭化物のような水溶性不純物を除去することができる。生成物(III)は、知られている手順により単離することができるが、第三級アミンQとの反応(ステップ(ii))のために、さらに後処理することなく有機相を使用することが好ましい。
【0061】
化合物(III)の収量を増大させるために、水相を有機溶媒で抽出して、各有機相を合わせることも可能である。
【0062】
反応のステップ(ii)において、化合物(III)を第三級アミンQと反応させて、アンモニウム化合物(I)を得る。
【0063】
好ましい第三級アミンQは、式(I)におけるQの好ましい意味、すなわち、ピリジン及び第三級アルキルアミンNR9R10R11
[式中、
R9、R10及びR11は、それぞれ独立に、C1〜C4アルキルであるか、又はR11がC1〜C4アルキルであるならば、R9及びR10は一緒になって、5若しくは6員環を形成し(R9R10は構造:-(CH2)n-により表され、O、S又はNR12で場合により中断され、nは3、4、又は5の整数である)、
R12はC1〜C4アルキルである]
から得られる。
【0064】
トリメチルアミン(NMe3)、及びピリジンが特に好ましい。
【0065】
一般に過剰量の第三級アミンを使用する。一般に、化合物(II)の当量当たり1.05〜2、好ましくは1.05〜1.5当量の第三級アミンを利用する。
【0066】
一般に、溶媒中に場合により溶解した第三級アミン又はピリジンをゆっくりと化合物(II)の溶液に添加すると、塩(I)が形成し沈殿する。室温でガス状である好ましいアミンNMe3の場合、密閉容器中で処理し、ガス状アミン又は液化アミンを加圧下で化合物(III)の溶液に充填することが好ましい。
【0067】
ステップ(ii)は、好ましくは約0℃〜70℃、より好ましくは5℃〜70℃、特に好ましくは5℃〜55℃の温度で実施する。この反応は、周囲圧力又は高圧で実施することができる。好ましい実施形態において、この反応は、密閉容器中で、反応温度で増大する溶媒及び/又はアミンの圧力で実施する。
【0068】
反応混合物の後処理及びアンモニウム化合物(I)の単離は、従来の方法により実施することができ、例えば、化合物(I)は濾過して取り除くことができる。
【0069】
好ましい実施形態において、水を反応混合物に添加して、生成物、化合物(I)を溶解し、水相及び有機相を分離する。水相は、生成物(I)の純度を増大させるため、及び有機相中で回収する出発原料(II)の収量を増大させるために、有機溶媒でさらに抽出することができる。水の量は、水相を形成するのに十分でなければならず、水相中で化合物(I)の20〜45重量%溶液を形成するように選択することが好ましい。
【0070】
アンモニウム化合物(I)は、知られている方法により水相から単離することができる。好ましい実施形態において、化合物(I)は単離せず、その後の反応において、さらに後処理することなく、ステップ(ii)から得られる水相を使用する。さらに好ましい実施形態において、水と共沸混合物を形成する溶媒、例えば、トルエンと水相を混合し、共沸蒸留により水を除去する。得られた化合物(I)の懸濁液は、さらなる反応に使用することができる。
【0071】
本発明のさらに好ましい実施形態において、化合物(I)の分離後、(ステップ(i)において使用した元々の量に基づいて)最大で80%の出発原料(II)を含有するステップ(ii)からの有機相を回収し、ステップ(i)の反応プロセスにおいて再利用する。さらなる出発原料(II)を添加して、先のステップ(i)において転化した量を補うことが好ましい。したがって、原理的に、ステップ(i)の有機相は任意の回数再利用することができるが、副産物、主に化合物(II)のジ及びトリ臭素化生成物の蓄積が原因で、最大で20、好ましくは最大で10サイクルが一般に実行可能である。
【0072】
環状反応プロセスの好ましい実施形態において、総収量及び転化率を改善するために、最後のサイクルにおいて追加の出発原料(II)は添加しない。
【0073】
環状反応プロセスのさらなる実施形態において、ある一定の量、好ましくは約5〜20重量%の有機相を除去して、有機相中での副産物の蓄積を低減又は抑制する。本発明のこの実施形態において、有機相を使用することができるサイクルの数に対する制限は実質的にない。
【0074】
式(I)の化合物は、有機合成における貴重な中間体である。それらは、メトキシメチル化合物(IV)、さらには除草性のイミダゾリノン化合物(V)への転化に特に有用である。
【0075】
本発明の一態様において、
(i)/(ii)上記の式(I)の5,6-二置換-3-ピリジルメチルアンモニウムブロミドを調製するステップと、
(iii)式(I)の化合物を、メタノール、トルエン又はメタノール/トルエン混合物中で、MOCH3及び(溶媒がメタノールを含むならば)MOH(式中、Mは式(IV)に定義の通り)から選択される塩基と反応させるステップと
を含む、式(IV)の化合物を製造する方法を提供する。
【0076】
Y2がOMである好ましい一実施形態において、ステップ(iii)は、EP-A0747360に開示されている通りに、すなわち、それぞれの式(I)の化合物を、メタノール中で塩基と反応させることにより実施する。
【0077】
本発明のこの実施形態において使用するのに適した塩基は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水素化物、水酸化物、炭酸塩又はC1〜C4アルコキシド、好ましくはナトリウム又はカリウムの水酸化物又はアルコキシドである。好適なアルカリ金属は、ナトリウム又はカリウムである。好適なアルカリ土類金属は、カルシウム、マグネシウム等である。アルカリ金属、例えば、ナトリウム又はカリウムなどが好ましい。
【0078】
好適な反応温度は、約120°〜180℃、好ましくは約120°〜150℃である。反応圧力は、通常、閉じた反応系において、溶媒をその沸点超の温度範囲へ加熱するのに付随する圧力であろう。
【0079】
Y2がOHである式(IV)の化合物は、それぞれのジカルボキシレートの酸性化により得ることができる。
【0080】
Y2がOCH3又はOHであるさらに好ましい実施形態において、ステップ(iii)は、EP-A0548532に開示されている通りに、すなわち、化合物(I)を、好ましくは0℃〜110℃の温度範囲の有機溶媒の存在下でMOCH3(式中、Mはアルカリ金属、例えばNa又はKなどである)と反応させて第1の混合物を形成し、さらに前記第1の混合物を、好ましくは約20℃〜120℃の温度範囲の少なくとも2.0モル当量の水性塩基と反応させて第2の混合物を形成し、酸を用いて前記第2の混合物のpHを2.5未満の値に調整して、式(IV)の酸化合物を形成することにより実施する。
【0081】
本発明のこの実施形態において使用するのに適した水性塩基としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が挙げられる。本発明の方法において使用し得る酸としては、無機酸、例えば、硫酸、塩酸などが挙げられる。
【0082】
本発明の方法において使用し得る有機溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、芳香族炭化水素、メタノール等が挙げられる。好ましい不活性有機溶媒はメタノールである。
【0083】
Y2がOCH3である別の好ましい実施形態において、ステップ(iii)は、EP-A0548532に開示されている通りに実施し、式(I)の化合物は、不活性溶媒、好ましくはメタノール中でMOCH3(式中、MはNa又はKである)と反応させる。
【0084】
化合物(IV)の除草性のイミダゾリノン(V)へのさらなる転化は、当技術分野において知られている方法により実現することができる。
【0085】
イミダゾリノン除草剤を作り出すのに使用し得る方法は、D. L. Shaner及びS. L. O'Connorにより編集され、1991年にCRC Press、Boca Raton、Floridaにより出版された本「The Imidazolinone Herbicides」において、特に「Synthesis of The Imidazolinone Herbicides」という表題の第2章、頁8〜14及びそこで引用されている参考文献に関連して例示されている。以下の特許文献の参考文献も、ピリジン二酸、エステル及び塩をイミダゾリノン最終生成物に転化するのに使用し得る方法を例示する。
【0086】
米国特許第5,371,229号、同第5,250,694号、同第5,276,157号、同第5,110,930号、同第5,122,608号、同第5,206,368号、同第4,925,944号、同第4,921,961号、同第4,959,476号、同第5,103,009号、同第4,816,588号、同第4,757,146号、同第4,798,619号、同第4,766,218号、同第5,001,254号、同第5,021,078号、同第4,723,011号、同第4,709,036号、同第4,658,030号、同第4,608,079号、同第4,719,303号、同第4,562,257号、同第4,518,780号、同第4,474,962号、同第4,623,726号、同第4,750,978号、同第4,638,068号、同第4,439,607号、同第4,459,408号、同第4,459,409号、同第4,460,776号、同第4,125,727号及び4,758,667号、並びにEP-A-0041623。
【0087】
一実施形態において、化合物(IV)の除草性のイミダゾリノン(V)への転化は、EP-A0233150又はB.I. Quangら、Modem Agrochemicals 6(2007)14頁で開示されている方法と同様に実施する。
【0088】
この実施形態において、除草性のイミダゾリノン化合物(V)は、
(i)/(ii)/(iii)上記のような化合物(IV)の調製、及び
(iv)化合物(IV)を、強塩基の存在下で、式(VI)の2-アミノアルカンカルボキサミド
H2N-CR4R5-CONH2(VI)、
(式中、R4及びR5は式(V)の通りである)
と反応させ、pHを調整して式(V)の化合物を得ること
により調製する。
【0089】
この反応は、不活性溶媒、例えば、芳香族炭化水素及びハロゲン化炭化水素、例えばトルエンなど、アルコール、例えば、メタノール又はtert-ブタノール中で実施する。水不混和性溶媒が好ましい。好適な強塩基は、アルカリ金属アルコラート及びアルカリ金属水酸化物、例えば、NaOCH3又はKO-tert-C4H9などである。この反応は、室温(一般に22℃)〜反応混合物の還流温度、好ましくは50〜90℃の範囲で実施する。
【0090】
本発明のさらなる実施形態において、化合物(IV)の除草性のイミダゾリノン(V)への転化は、EP-A0041623、US4,518,780又はEP-A0144595に記載されている方法と同様に実施する。
【0091】
これらの実施形態において、化合物(IV)は、無水酢酸との反応などの知られている方法により、最初にそれぞれの無水物に転化する。
【0092】
一実施形態において、化合物(V)は、
(i)/(ii)/(iii)上記のような化合物(IV)の調製、
(iv-1)化合物(IV)の無水物(VII)
【化9】

への転化、
(iv-2)無水物(VII)を、式(VI)の2-アミノアルカンカルボキサミド
H2N-CR4R5-CONH2(VI)
と反応させてアミド(VIII)
【化10】

を得ること、
及び
(iv-3)除草性のイミダゾリノン(V)を得るためのアミド(VIII)の縮合
により調製する。
【0093】
ステップ(iv-2)及び(iv-3)は、ワンポット反応として実施することができる。
【0094】
一実施形態において、ステップ(iv-2)は、EP-A0322616の実施例10に開示されている手順と同様に実施する。化合物(IV)、置換2-アミノアルカンカルボキサミド(VI)及び第三級アミン、好ましくはトリエチルアミンを、アセトニトリルなどの極性非プロトン性溶媒中で反応させて、酸性化して酸(VIII)(R6=H)にすることができるアンモニウム塩(VIII)(R6=HNR3)を得る。
【0095】
代替手順は、US4,518,780及びEP-A0144595に開示されている。後者の文書において、ピリジン、ピコリン、キノリン及びルチジンから選択される窒素塩基の添加により、反応の位置選択性が改善すること、すなわち、2-付加物の量が増大することが開示されている。
【0096】
ステップ(iv-3)の一実施形態において、好ましくはアンモニウム塩の形態のアミド化合物(VIII)(R6はHNR3である)を、EP0322616の実施例11と同様に、メタノール中でアルカリ金属メトキシド、好ましくはNaOCH3と反応させる。得られた懸濁液は、完全に転化するまで還流する。冷却後、混合物を酸性化して、アンモニウム塩(約4のpHへの酸性化)又は遊離酸(pH≦2への酸性化)として化合物(III)を得る。
【0097】
さらに好ましい実施形態において、ステップ(iv-2)からの反応混合物を、MOH及びMOCH3(式中、Mはアルカリ金属、好ましくはNa又はK、特にNaである)から選択することが好ましい水性塩基(一般に(VIII)に基づいて3〜100当量)の存在下で、メタノール(一般に(VIII)に基づいて2〜100当量)と反応させる。
【0098】
この反応は、20〜120℃、好ましくは40〜90℃の範囲の温度で実施する。この反応は、大気圧又は高圧、好ましくは所望の反応温度で形成する圧力で実施することができる。反応時間は、一般に1〜8時間、好ましくは1〜5時間である。
【0099】
生成物(V)の単離は、標準的方法により実現することができる。好ましい実施形態において、水を添加し、有機溶媒を蒸留して取り除く。残渣は、水に溶解し、酸性化することができ、その結果、化合物(V)が沈殿する。濾過後、粗生成物は、例えば、水で撹拌すること又は再結晶によりさらに精製することができる。
【0100】
さらなる実施形態において、化合物(V)は、
(i)/(ii)/(iii)上記のような化合物(IV)の調製、
(iv-1)化合物(IV)の無水物(VII)
【化11】

への転化、
(iv-2)無水物(VIII)をアミノカルボニトリル(IX)
H2N-CR4R5-CN(IX)
(式中、R4及びR5は式(V)の通りである)
と反応させてアミドニトリル化合物(X)
【化12】

(式中、各符号は式(V)の通りであり、R6は好ましくはHである)
を得ること、
(iv-3)アミド(VIII)
【化13】

(式中、各符号は式(V)中と同じ意味を有し、R6は好ましくはHである)
を得るための、化合物(X)中のニトリル基の加水分解、
及び
(iv-4)アミド(VIII)を縮合して除草性のイミダゾリノン(V)を得ること
により調製する。
【0101】
無水物の調製は、上記のように実施することができる。
【0102】
ステップ(iv-2)において利用するアミノニトリル(IX)は、市販されているか、又は当技術分野において知られている方法により調製することができる。一般に、化合物(IV)の当量当たり0.8〜1.2、好ましくは0.95〜1.1当量のアミノニトリル(IX)を使用する。
【0103】
この反応は、芳香族炭化水素、好ましくはトルエン、メシチレン、塩素化芳香族炭化水素、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなど、塩素化炭化水素、例えば、1.2-ジクロロエタン、ジクロロメタンなど、酢酸、及びそれらの混合物から選択することが好ましい溶媒中で実施する。
【0104】
酢酸を主要な溶媒として使用しないならば、(化合物(I)に基づいて)0.5〜4当量、好ましくは1〜3当量の添加が有利である。開環反応の選択性(2位対3位)を改善するさらに有利な添加剤は、EP-A0144555に列挙されており、ピリジン、4-ピコリン、2-ピコリン及びキノリンが含まれている。
【0105】
この反応は、一般に約40〜約120℃、好ましくは約60〜約100℃の温度範囲で実施する。反応時間は、一般に約1〜約3時間である。
【0106】
好ましい実施形態において、化合物(IV)を溶媒中に溶解し、反応温度にし、アミノニトリル(IX)を徐々に添加する。反応及び冷却の完了後、ニトリル化合物(X)は、標準的方法により単離することができる。
【0107】
しかし、好ましい実施形態において、化合物(X)は単離しないが、その後のニトリルの加水分解ステップ(ステップiv-3)で反応混合物を直接使用した。
【0108】
典型的手順において、わずかに過剰量(例えば、(IX)に基づいて1.1〜1.5当量)の強無機酸、好ましくは硫酸(好ましくは30〜98%の濃度)及び水(例えば、2〜10当量)を、一般に約30℃〜120℃、好ましくは50℃〜90℃の範囲である温度で添加する。完全に転化するまで混合物をさらに撹拌する。反応時間は、一般に1〜8時間、好ましくは1〜5時間である。
【0109】
アミド(VIII)の後処理及び単離は、水溶液(例えば、そのアンモニウム塩として)などの標準的方法により実現することができる。好ましい実施形態において、その後の縮合ステップ(iv-4)において反応混合物を直接使用する。
【0110】
代替実施形態において、ニトリル基の加水分解は、例えば、EP-A0144595及びUS4,518,780に開示されているように水性NaOH/H2O2との反応により実施する。
【0111】
アミド化合物(X)の除草性のイミダゾリノンへの縮合は、上記のように実施することができる。
【0112】
上記の方法の全てが、式(V)の化合物(式中、Z及びZ1はHであり、R6はHであり、R4はCH3であり、R5はCH(CH3)2である)、すなわち、イマザモックスの調製に特に好ましい。
【0113】
本発明は、以下の実施例により、それらにより制限することなく例示する。
【0114】
実施例
【実施例1】
【0115】
[(5,6-ジカルボキシ-3-ピリジル)メチル]トリメチルアンモニウムブロミド、ジメチルエーテル(Ia)の合成
a)ジメチル5-(ブロモメチル)-2,3-ピリジンジカルボキシレート(IIIa)の合成(転化率50%)
【化14】

【0116】
218.4g(1.0mol)の化合物(IIa)を1139.0gの1,2-ジクロロエタン(EDC)中に溶解し、160.0gの水を充填し、72℃まで加熱した(還流下で約1〜2℃)。160.0gのEDC中の14.4g(0.075mol)の2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(Vazo67)を72℃で2時間にわたって添加した。30分後、143.8g(0.9mol)の臭素を、約375.0gの水性NaOH(15%)の注入によりpHを調節しながら(pH5〜7)、2時間にわたって添加した。反応を完了させるために(HPLCアッセイ)、混合物を1時間にわたって撹拌した。40℃への冷却後、各相を分離した。
【0117】
b)化合物(Ia)の合成
【化15】

【0118】
3359.0gのEDC(未反応の化合物(IIa)及びより多くの臭素化副産物を含む、ステップaからの有機相)中の、ジ及びトリ臭素化副産物との混合物の288.1g(1.0mol)の化合物(IIIa)を充填した。混合物を30℃まで加熱し、容器を200mbarまで真空排気した。70.9g(1.2mol)のトリメチルアミン(TMA)を40℃で2時間気相に添加した(閉じた系)。混合物をさらに1時間撹拌した(HPLC転化率チェック:溶液中の化合物(IIIa)<0.1%)。
【0119】
過剰のTMAをEDCと共に蒸留して取り除いた(質量:EDC質量の40%を50〜55℃(370〜250mbar)でステップ2(1344g)に移送した。留出物のpHは<9であった。630.0gの水を壁に噴霧すると固形物が溶解し、混合物を隣の容器に移送した。次いで、混合物を0.25時間撹拌し、下相の有機相を40℃で分離した。320.4gのEDCを添加した。混合物を撹拌し、下相の有機相を40℃で分離した。320.4gのEDCを用いて逆抽出を繰り返した(40℃)。二つの有機逆抽出相を最初の有機相と合わせ、隣の臭素化バッチに再循環させた(さらなるサイクルのための新しい化合物(IIa)50%の添加後。
【0120】
ステップa)及びb)を6回繰り返した。最後のサイクルにおいては、ステップa)において化合物(IIa)を添加せず、ステップb)において0.8molのTMAを添加した。
【0121】
化合物(IIa)の総転化率は96.6%であった。(7サイクルにわたる)化合物(Ia)の収量は、>95%の純度で(HPLCにより測定したところ)77.4%であった。
【実施例2】
【0122】
[(5,6-ジカルボキシ-3-ピリジル)メチル]トリメチルアンモニウムブロミド、ジメチルエーテル(Ia)の合成
この合成は、ステップ(a)において160.0gのEDC中の13.65g(0.071mol)の2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(Vazo67)の全量を72℃で添加し、約375.0gの水性NaOH(15%)の注入によりpHを調節しながら(pH5)、5分後に135.8g(0.85mol)の臭素を2時間にわたって添加したこと以外は、実施例1と同様に実施した。
【0123】
化合物(IIa)の総転化率は96.6%であった。(7サイクルにわたる)化合物(Ia)の収量は、>95%の純度で(HPLCにより測定したところ)78.2%であった。
【実施例3】
【0124】
[(5,6-ジカルボキシ-3-ピリジル)メチル]ピリジニウムブロミド、ジメチルエーテルの合成
実施例1の手順に従ってステップ(a)を実施した。
【0125】
化合物(Ib)の合成
【化16】

【0126】
EDC(未反応の化合物(IIa)及びより多くの臭素化副産物を含む、ステップaからの有機相1183.8g)中の、ジ及びトリ臭素化副産物との混合物の82.4g(0.286mol)の化合物(IIIa)を充填した。混合物を40℃まで加熱した。27.88g(0.292mol)のピリジンを40℃で60分間にわたって滴下した。混合物を55℃でさらに1時間撹拌した。
【0127】
過剰のピリジンを、真空下(約90torr)、55〜60℃で、混合物の合計重量が382.7gとなるまでEDCと共に蒸留して取り除いた。134.8gの水を添加した。混合物を15分間撹拌し、次いで、沈降させ、15分間開環(split)させた。各相を分離し、分析した。
【0128】
1回の転化での化合物(Ib)の収量は、(転化したモノブロモ化合物(IIIa)のモルに基づいて)73.4%であった。
【実施例4】
【0129】
(EP-A0548532の実施例7に従った)ジメチル5-(メトキシメチル)-2,3-ピリジンジカルボキシレートの調製
【化17】

【0130】
メタノール中の25%ナトリウムメトキシド(320.0g、1.5mol)及びメタノール中の[(5,6-ジカルボキシ-3-ピリジル)-メチル]トリメチルアンモニウムブロミド、ジメチルエステル(160.0g、0.5mol)の混合物(630ml)を、窒素下で6時間、還流で加熱する。反応混合物を5℃まで冷却し、酢酸(90g)及び水(200ml)を添加する。メタノールを真空中で除去し、水を添加し、混合物を塩化メチレンで抽出する。
【実施例5】
【0131】
(EP-A0548532の実施例8に従った)5-(メトキシメチル)-2,3-ピリジンジカルボン酸の調製
【化18】

【0132】
ジメチル5-(メトキシメチル)-2,3-ピリジンジカルボキシレート(60.0g、0.25mol)及び50%水酸化ナトリウム水溶液(50.0g、0.63mol)の混合物を、窒素下、90〜110℃で2時間加熱すると同時に、メタノール及び水を蒸留して取り除く。反応混合物を10℃まで冷却し、硫酸で処理してpHを2.0に調整し、濾過して固形物を得る。固形物を水で洗浄し、真空乾燥して、白色の固形物(44.3g、融点161〜162℃)としての表題生成物を得る。
【実施例6】
【0133】
(EP-A0548532の実施例3に従った)5-(メトキシメチル)-2,3-ピリジンジカルボン酸の調製
【化19】

【0134】
メタノール中の25%ナトリウムメトキシド(270g、1.25mol)及びメタノール中の[(5,6-ジカルボキシ-3-ピリジル)-メチル]トリメチルアンモニウムブロミド、ジメチルエステル(Ia)(347g、1.00mol)の混合物(650ml)を、窒素下で1時間、還流で加熱する。水(1l)及び水酸化ナトリウム(80.0g、2.0mol)を添加し、ポットが100〜105℃になるまで反応混合物を蒸留する。反応混合物を室温まで冷却し、硫酸で処理してpHを1.5〜2の値に調整し、濾過して固形物を得る。固形物を水で洗浄し、真空オーブン中で乾燥して、HPLC分析によると99%超純粋である白色の固形物(融点161〜162℃)としての表題生成物を得る。
【実施例7】
【0135】
(EP-A0747360の実施例3に従った)二ナトリウム[5,6-(ジカルボキシレート-3-ピリジル)メチル]トリメチルアンモニウムブロミドからの二ナトリウム5-(メトキシメチル)ピリジン-2,3-ジカルボキシレートの調製
【化20】

【0136】
二ナトリウム[(5,6-ジカルボキシレート-3-ピリジル)メチル]トリメチルアンモニウムブロミド(5.0g、13.8mmol)及びメタノール中のナトリウムメトキシド(4.46g、20.7mmolのNaOCH3)の25%wt/wt溶液の75gのメタノール中の混合物を、圧力反応器中で、120℃で21時間加熱する。反応を室温まで冷却し、水で処理し、55.03gの最終重量まで濃縮する。5.0gの試料をLC分析によりアッセイする(30%CH3CN、0.77MのH3PO4)。反応溶液の残りを蒸発乾固させて、NMR分析により同定する固形物残渣を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5,6-二置換-3-ピリジルメチルアンモニウムブロミド(I)
【化1】

[式中、
Qは、第三級脂肪族又は環状、飽和、部分的不飽和又は芳香族アミンであり、
Zは、水素又はハロゲンであり、
Z1は、水素、ハロゲン、シアノ又はニトロであり、
Y及びY1は、それぞれ独立に、OR1、NR1R2であるか、又は一緒になって、YY1は-O-、-S-若しくはNR3-であり、
R1及びR2は、それぞれ独立に、
水素、
C1〜C4アルコキシ又は一つから三つのC1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基若しくはハロゲン原子で場合により置換されたフェニルで場合により置換されたC1〜C4アルキル、或いは
一つから三つのC1〜C4アルキル基、C1〜C4アルコキシ基若しくはハロゲン原子で場合により置換されたフェニル
であり、
R3は水素又はC1〜C4アルキルである]
を製造する方法であって、
(i)式(II)の化合物
【化2】

[式中、各符号は式(I)に示す意味を有する]
を、水相及び有機相を含む溶媒混合物中、ラジカル開始剤の存在下で臭素と反応させて、3-ブロモメチル-5,6-二置換ピリジン化合物(III)
【化3】

[式中、Y、Y1、Z及びZ1は式(I)に示す意味を有する]
を得るステップであって、有機相が1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン及びテトラクロロメタンから選択される溶媒を含み、水相のpH値が3〜<8であるステップと、
(ii)式(III)のブロモ化合物を、0℃〜100℃の温度範囲で溶媒中の第三級アミン塩基Qと反応させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
式(I)におけるQ+が、
【化4】

[Z2は、O、S又はNR12であり、
R12は、C1〜C4アルキルであり、
R7及びR8は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル若しくはC1〜C4アルコキシであるか、又はR7及びR8は一緒になって、O、S、若しくはNR12で場合により中断され、一つから三つのハロゲン原子、C1〜C4アルキル基若しくはC1〜C4アルコキシ基で場合により置換された5若しくは6員飽和若しくは不飽和環を形成し、
R9、R10及びR11は、それぞれ独立に、C1〜C4アルキルであるか、又はR11がC1〜C4アルキルであるならば、R9及びR10は一緒になって、5若しくは6員環を形成する(R9R10は構造:-(CH2)n-により表され、O、S又はNR9で場合により中断され、nは3、4又は5の整数である)]
である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)の化合物が式(Ia)の化合物である、請求項1又は2に記載の方法。
【化5】

【請求項4】
ステップ(i)における反応が最大で化合物(II)の20〜60%の転化率で実施される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(ii)における有機相が、ステップ(i)において、化合物(II)を場合により添加して再利用される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(i)における水相のpH値が3〜7である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(i)における有機溶媒が1,2-ジクロロエタンである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(i)における開始剤が、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブタンニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチル-ペンタンニトリル及び1,1'-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(i)におけるピリジン化合物(II)対臭素のモル比が1:0.5〜1.2である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(i)が50℃〜120℃の温度で実施される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(ii)における第三級アミンQがトリメチルアミンである、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
式(IV)の5,6-二置換-3-メトキシメチルピリジン
【化6】

[式中、
Zは水素又はハロゲンであり、
Z1は水素、ハロゲン、シアノ又はニトロであり、
Y2はOCH3又はOMであり、
Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属である]
を製造する方法であって、
(i)/(ii)請求項1から11のいずれか一項に記載の式(I)の5,6-二置換-3-ピリジルメチルアンモニウムブロミドを調製するステップと、
(iii)式(I)の化合物を、メタノール、トルエン又はメタノール/トルエン混合物中で、MOCH3及び(溶媒がメタノールを含むならば)MOH(式中、Mは式(IV)に定義の通り)から選択される塩基と反応させるステップと
を含む方法。
【請求項13】
式(V)の除草性のイミダゾリノン化合物
【化7】

[式中、
Zは水素又はハロゲンであり、
Z1は、水素、ハロゲン、シアノ又はニトロであり、
R4はC1〜C4アルキルであり、
R5は、C1〜C4アルキル、C3〜C6シクロアルキルであるか、又はR4及びR5は、それらが結合する原子と一緒になって、メチルで場合により置換されたC3〜C6シクロアルキル基を表し、
R6は、水素;式-N=C(低級アルキル)2の基;以下の基:C1〜C3アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、C3〜C6シクロアルキル、ベンジルオキシ、フリル、フェニル、ハロフェニル、低級アルキルフェニル、低級アルコキシフェニル、ニトロフェニル、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル、シアノ若しくはトリ低級アルキルアンモニウムの一つで場合により置換されたC1〜C12アルキル;以下の基:C1〜C3アルコキシ、フェニル、ハロゲン又は低級アルコキシカルボニルの一つ、又は二つのC1〜C3アルコキシ基若しくは二つのハロゲン基で場合により置換されたC3〜C12アルケニル;一つ又は二つのC1〜C3アルキル基で場合により置換されたC3〜C6シクロアルキル;或いはカチオンである]
を製造する方法であって、
(i)/(ii)/(iii)請求項12に記載の式(IV)を有する化合物を調製するステップと、
(v)式(IV)の化合物を、式(V)を有する除草性の化合物に転化するステップと
を含む方法。
【請求項14】
(i)/(ii)/(iii)請求項12に記載の化合物(IV)(式中、Y2はOCH3である)を調製するステップと、
(iv-1)場合により、化合物(IV)の無水物(VII)を調製するステップと、
(iv-2)化合物(IV)又はその無水物(VII)を塩基の存在下で式(VI)の2-アミノアルカンカルボキサミド
H2N-CR4R5-CONH2(VI)
(式中、R4及びR5は式(V)の通りである)
と反応させるステップと
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(i)/(ii)/(iii)請求項12に記載の化合物(IV)を調製するステップと、
(iv-1)化合物(IV)を無水物(VII)
【化8】

に転化するステップと、
(iv-2)無水物(VII)をアミノカルボニトリル(IX)
H2N-CR4R5-CN(IX)
(式中、R4及びR5は式(V)の通りである)
と反応させて、アミドニトリル化合物(X)
【化9】

(式中、各符号は請求項13の式(V)の通りであり、R6はHである)
を得るステップと、
(iv-3)化合物(X)中のニトリル基を加水分解してアミド(VIII)
【化10】

(式中、各符号は請求項13の式(V)の通りであり、R6はHである)
を得るステップと、
(iv-4)アミド(VIII)を縮合して除草性のイミダゾリノン(V)を得るステップと
を含む、請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2012−508729(P2012−508729A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536030(P2011−536030)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065155
【国際公開番号】WO2010/055139
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】