説明

美容システム

【課題】使用者がリラックスできる体勢で液体を顔に吐水でき、この液体が循環されることで所望の時間液体を吐水し続けることの可能な美容システムを提供すること。
【解決手段】美容システムは、所定の液体を送液する送液管41と、前記送液管41により送液された前記所定の液体を吐出させる複数の吐出口20を有すると共に前記複数の吐出口20が水平方向に所定間隔で配置されるよう使用者の額に装着される液吐出部2と、前記液吐出部2の垂直下方側に配置され、前記液吐出部2から吐出されると共に前記使用者の顔面をつたって流れた前記所定の液体を捕集する捕集部3と、前記捕集部3により捕集された前記所定の液体を送液する集液管42と、前記集液管42により送液された前記所定の液体を前記送液管41から前記液吐出部2に送液させる液循環部4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容システムに関する。より詳細には、液体を循環させて繰り返し吐水する美容システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、顔面の皮膚の洗浄や保湿、血流増加などの効果を得る目的のために、顔面に液体を吐水又は噴霧する装置やシステムが知られている。これらの装置には、装置を手で保持して顔に吐水又は噴霧するものや、装置から垂直方向上方に向かって吐水又は噴霧される液体に顔面が当たるよう、顔面を下方に向けて使用するものが知られている(例えば、特許文献1)。顔面を下方に向けて使用するのは、使用者が顔面に吐水される液体に対して、呼吸をするために適宜液体から顔面を離すことができるようにするためである。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のシャワー装置によれば、使用者は装置の使用中ずっと下を向いていなければならない。また、顔に液体を吐水している間は呼吸を止めていなければならない。使用者は不自然な体勢を取り続け、呼吸を止めるために、身体全体がリラックスすることができないという問題があった。また、特許文献1のシャワー装置では、液体を貯水する貯水部に貯水できる液体の量が限られており、顔に液体を吐水することができる時間もかぎられるという問題があった。
【特許文献1】特開平9−271412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような問題に鑑み、本発明は、使用者がリラックスできる体勢で液体を顔に吐水でき、この液体が循環されることで所望の時間液体を吐水し続けることの可能な美容システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 所定の液体を送液する送液管と、前記送液管により送液された前記所定の液体を吐出させる複数の吐出口を有すると共に、前記複数の吐出口が水平方向に所定間隔で配置されるよう使用者の額に装着される液吐出部と、前記液吐出部の垂直下方側に配置され、前記液吐出部から送出されると共に前記使用者の顔面をつたって流れた前記所定の液体を捕集する捕集部と、前記捕集部により捕集された前記所定の液体を送液する集液管と、前記集液管により送液された前記所定の液体を前記送液管から前記液吐出部に送液させる液循環部と、を備える美容システム。
【0006】
(2) 前記捕集部は、装着状態において液体を捕集する漏斗状となる凹部と、該凹部の側壁を構成する側壁部と、前記側壁部の一部が延出した平坦部と、を備え、前記平坦部には装着時に前記使用者の首が挿通して配置される略円形状の装着穴が形成され、前記凹部の底端部には、前記集液管と接続される捕集口が配置される(1)記載の美容システム。
【0007】
(3) 装着状態において前記装着穴の外周を覆う被覆部をさらに有し、前記捕集部は、非装着状態において前記外周に放射状に形成されて前記使用者の首の寸法に応じて前記外周の寸法を調整する複数の切り込みを有し、前記複数の切り込みのうち一の切り込みは、前記平坦部の外縁まで連続して形成され、該一の切り込みを挟んだ一方と他方とには接合部材が配置される(2)記載の美容システム。
【0008】
(4) 前記使用者の顔面に沿うように装着されるマスクをさらに有し、前記マスクは、装着した状態で目に対応する部分に前記顔面の縦方向に延びるように形成される眼部切れ部を有する(1)から(3)いずれか記載の美容システム。
【0009】
(5) 前記マスクは、装着時に前記使用者の鼻孔に対応する部分において、前記顔面の幅方向に延びるように形成される鼻部切れ部と、前記鼻部切れ部の前記マスクにおける前記額側に配置される第1端部側に配置され前記使用者の鼻の形状に沿って変形可能な可撓性部材と、前記使用者の鼻の突端部を越えて前記第1端部の反対側である第2端部側に延出するヒサシ状部材と、を備える(4)記載の美容システム。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、使用者がリラックスできる体勢で液体を顔に吐水でき、この液体が循環されることで所望の時間液体を吐水し続けることの可能な美容システムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の実施形態は、下記の実施形態に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲は、これに限定されるものではない。
【0012】
1.全体構成
本発明による美容システム1は、液体を送液する送液管41と、送液管41により送液された液体を吐出させる複数の吐出口20を有しこの吐出口20が水平方向に所定間隔で配置されるよう使用者の額に装着される液吐出部2と、液吐出部2の垂直下方側に配置され、液吐出部2から吐出されると共に使用者の顔面をつたって流れた液体を捕集する捕集部3と、捕集部3により捕集された液体を集めて送液する集液管42と、集液管42により送液された液体を、送液管41から液吐出部2に送液させる液循環部4と、を備える。
【0013】
2.液体
本実施形態において、「液体」とは、水を所定の温度に温めた湯に炭酸ガスを混合した炭酸水である。しかしながら、「液体」はこれに限られず、美容効果を有する所望の成分を混合した液体であってよい。炭酸水を用いることにより、血管が拡張して血流が増加し、新陳代謝が高まるなどの美容効果が得られる。
【0014】
炭酸ガスの濃度は、1000ppmから1200ppmの範囲であり、湯の温度は35度から40度以下の範囲である。使用者が快適に感じることができれば、温度は特に限定されない。炭酸ガスを混合した炭酸水は、体感温度が1度から2度程度高く感じられるため、例えば38度から39度の範囲において、使用者は入浴時のような快適な温かさを感じる。また、湯が温かいことで、血管拡張効果も相乗効果を得ることができる。
【0015】
3.液循環部
図1に示すように、本発明の液循環部4は循環装置5である筐体に収容され、ポンプ40と、液体を混合する混合部50と、液体を液吐出部2に送液する送液管41と、捕集部3に接続され集められた液体を混合部50に送液する集液管42と、を備える。循環装置5の内部において、送液管41及び集液管42は、後述する混合部50に接続される。混合部50とポンプ40とは接続されているため、送液管41及び集液管42は、混合部50を介してポンプに間接的に接続される。該ポンプ40に公知の動力手段及び制御手段が接続され、ポンプ40が作動することにより、液体が循環する。
【0016】
送液管41及び集液管42は、内部が空洞の可撓性の管である。素材は特に限定されないが、樹脂製であると、金属製の管よりも軽量で、美容システム1の使用者にかかる重さが減るため好ましい。送液管41及び集液管42は、循環装置5内部に配置される流量を監視するセンサと、このセンサに連動して流量を調節できる流量調節つまみ(図示せず)と、に接続される。
【0017】
集液管42の、後述する捕集部3の捕集口34と接続されている側には、テープ又はリボンなどの帯状部材43が配置される。帯状部材43の長さは5cmから10cmの範囲、幅は0.5cmから1cmの範囲である。帯状部材43は、粘着性の粘着テープや粘着材で集液管42の捕集口34近傍に貼り付けられ、固定される。集液管42の管の内部に帯状部材43が配置されることにより、集液管42を通る湯の量が多いときに、液体がうねることで発生する音が軽減される。
【0018】
循環装置5には、液化炭酸ガスのボンベ6と、湯を入れるタンク7とが接続される。循環装置5の内部には、タンク7及びガスボンベ6と接続される混合部50が配置される。混合部50において、タンク7から供給される湯とボンベ6から供給される炭酸ガスが混合される。混合部50は、ポンプ40と接続されている。混合部50において炭酸ガスが大気圧以上の圧力で供給され、所定の濃度の炭酸水が作製される。
【0019】
混合部50には、炭酸水を使用に適した温度及び濃度に調整する温度調節機構51と濃度調節機構52とが接続される。また、混合する時間を設定するタイマー53と接続される。温度調節機構51は、温度センサと、熱交換機又はヒーターとを有する。濃度調節機構52は、ガス供給装置を有する。これらの機構は、従来公知のものを使用してよい。炭酸水は、使用する湯の量に応じて炭酸ガスを混合する必要があるため、混合する時間を予め設定する。例えば、タンク7に5リットルの湯を入れ、最初に3分間炭酸水を精製する。その後、送液管41から炭酸水を送液し、後述するシャワーヘッド2の吐出口20から吐出した後は、1分間炭酸水の精製を行い、1分間停止して、これを繰り返す。周期はこれに限られず、所望の周期を設定してよい。混合する時間に応じて濃度が調節される。温度調節機構51、濃度調節機構52、タイマー53は、循環装置5の上部表面に配置されるボタンやダイヤルなどと電気的に接続されて、使用者により適宜温度、濃度、運転時間が変更される。
【0020】
炭酸水は、使用者の顔面を伝って流れ捕集部3により集められた状態では、空気に触れて炭酸ガスの濃度が下がっており、温度も下がっている。このときの濃度は、例えば800ppm程度である。このため集液管42を通った使用後の炭酸水は混合部50に送られ、混合部50において温度を検知され、温められ、炭酸ガスを追加される。
【0021】
循環装置5には、さらに、外部操作ボタン54が接続される。外部操作ボタン54は、少なくともポンプ40の制御手段と接続されており、使用者が炭酸水の吐出を止めたい時に押すことができる。なお、外部操作ボタン54は、公知の手段により任意の機能を備えてよい。
【0022】
タンク7には、美容システム1に使用する湯を軟水にするため、イオン交換樹脂71を入れてもよい。炭酸ガスと混合する湯を軟水に変えて使用することにより、水道水に含まれるマグネシウムイオンやカルシウムイオンなどが除去され、湯を皮膚に流し続けても、使用者が刺激を感じる可能性が低減される。
【0023】
4.液吐出部
図2に示すように、本実施形態に係る液吐出部は、使用者の額に装着できる横長状のシャワーヘッド2である。シャワーヘッド2には、炭酸水を使用者の顔に向けて吐出する複数の吐出口20が、水平方向に所定間隔で配置されている。複数の吐出口20は、シャワーヘッド2の使用者の額に接する面21に形成されている。しかしながら、シャワーヘッド2の形状及び複数の吐出口20が形成される位置や形状は、使用者の顔に向けて吐出することができれば、特に限定されない。例えば、シャワーヘッド2に使用者の顔に向けて突出する複数の突起を形成し、この突起の先端にそれぞれ吐出口20を形成してもよい。
【0024】
シャワーヘッド2は送液管41に接続される。送液管41の先端に溝を形成したねじ状の取り付け具を、シャワーヘッド2に形成された取り付け穴と嵌め合わせて接続する。送液管41から送られた炭酸水が取り付け口23部分で漏れなければ、接続は、従来公知のいかなる方法を用いてもよい。
【0025】
シャワーヘッド2には、シャワーヘッド2を使用者の頭部に固定する固定部材22が接続される。固定部材22は、例えばシャワーヘッド2の長手方向の両端部から延びて環状に形成されるゴムバンドのような弾性部材である。このゴムバンドの輪を使用者の頭に被せることで、シャワーヘッド2が使用者の額の上に固定される。固定部材22は、ゴムバンドが伸縮することにより使用者の頭部の外周に適合する。このゴムバンドには、長さを調節する部材が取り付けられてもよい。固定部材22と使用者の頭部や額との間には、適宜クッションとなる弾性部材24を挟んで位置を調整する。
【0026】
5.捕集部
図3又は図4に示すように、美容システム1は、液吐出部2の垂直方向下方に配置される捕集部3を備える。捕集部3は、装着時において漏斗状となる凹部30を有する。捕集部3は、この凹部30の側壁を構成し、液体を受け止めて飛散を防止する側壁部31と、側壁部31の一部が延出した平坦部32を有する。平坦部32には、装着時に使用者の首が挿通して配置される略円形状の装着穴300が形成される。漏斗状の凹部30の底端部33には、集液管42と接続される捕集口34が配置される。捕集部3は、液吐出部2から吐出された炭酸水及び使用者の顔面をつたって流れた炭酸水を捕集する。
【0027】
凹部30は、装着された状態で、使用者の胸部近傍に配置される。側面の断面視において側壁部31は、底端部33から側壁部31の外縁310までの長さの方が、平坦部32から側壁部31の外縁310までの長さよりも長い。捕集部3は弾性変形可能な柔らかい素材で形成されており、捕集部3の外縁310が上方に向かって反っている。側壁部31は、底端部33側から平坦部32側に向かって徐々に面積が小さくなる。このような構成により、垂直方向上方から流れてきた炭酸水を集めてこぼすことなく捕集口34から集液管42に流すことができる。
【0028】
図4に示すように、漏斗状の凹部30の側壁部31の一部が延出され、平坦部32が形成される。平坦部32は、装着状態において、使用者の肩から襟ぐり(デコルテ)部分を覆う。平坦部32において、装着穴300は、装着された状態の水平方向と平行する幅方向Hの略中央に形成される。装着穴300には、着用された際に使用者の首が挿通する。
【0029】
装着穴300の外周には、装着されていない状態において、装着穴300から放射状に形成される複数の切り込み301が形成される。捕集部3は、上述の通り柔軟に変形可能な素材で形成されているため、使用者の首の外周寸法に合わせて、切り込み周辺の装着穴300の外周が変化する。また、人間の首は肩に対して直交する方向に延びているが、切り込み301とこれに隣接する切り込み301の間に形成される可動片302がこれに隣接する可動片302と重なったり離れたりすることによって、首に密着し、使用者の首の外周の寸法に適合する。
【0030】
放射状に形成される複数の切れ込み301のうち捕集部3の幅方向Hの略中央に位置する一の切り込み303は、捕集部3の捕集口が形成される側と反対側の外縁310まで連続して形成されている。そして、この一の切り込み303を挟んだ平坦部32の一方と他方に接合部材304が配置される。
【0031】
本実施形態において接合部材304は、一方がフック状、他方がループ状に形成されて、フックをループに係合させるフック・アンド・ループファスナーである。したがって、フック状の接合部材304aが平坦部32の裏側(使用者の衣服と接する側)に、ループ状の接合部材304bが平坦部32の表側(炭酸水が流れる側)に配置される。しかしながら、接合部材304はこれに限定されず、スナップボタンなど従来公知の手段で接合されてよい。一の切り込み303を挟んで配置された接合部材304a、304bを互いに合わせるように重ねて接合すると、接合部材304が配置された平坦部32の一部は装着穴300を内側に、外縁310を外側とし、外縁310が上方に向かって反るように湾曲する。このため、装着状態においては使用者の首の背面を覆うように立ち上がり、飛散する炭酸水が衣服などにこぼれることを防止する。
【0032】
美容システム1はさらに、装着状態において装着穴300の外周を覆う被覆部材8を備える。被覆部材8は、装着穴300が切り込み301によって最大限広がった状態の外周よりも長い長さと、外周を覆うために十分な幅を有する。被覆部材8は、使用者の顎から首元をより広く覆うように略三角形状であるが、形状は特に限定されない。また、被覆部材8は、顔面を伝った炭酸水が、襟元から使用者の衣服にしみこむことを防止するため、防水性の素材で作製される。使用者の衣服の襟元の形状や、首の太さの個人差に対応できるよう、柔軟に変形可能な素材である。首への密着を可能とするため、ゴム製などで薄い形状のものが好ましい。被覆部材8は、上述した切り込み301が形成された装着穴300に使用者の首が挿通された後、首と装着穴300の外周とを覆う。
【0033】
6.マスク
マスク9は、顔面を覆うことが可能な形状に形成される。使用者の頬から顎、顎から首に亘る部分を十分に覆うことができるよう、マスク9の頬に対応する部分9cは、顔面の横幅方向WD外側へ膨らむように広がっている。使用者がマスクを着用し、額部分にシャワーヘッド2を装着して炭酸が顔面を伝うように流すと、マスクと顔面との間に炭酸水が一時的に保持される。このため、マスクを着用せずに炭酸水を流す場合よりも、皮膚と炭酸水が接触する時間と面積が増加する。したがって、本発明の美容システムを使用することによる美容効果がより高まる。
【0034】
マスクの額側の端部を第1端部9a、顎側の端部を第2端部9bとした場合、マスクの目に対応する部分には、第1端部9a側と第2端部9bを結ぶ方向である縦方向LDに眼部切れ部90が形成される。眼部切れ部90は非装着状態では幅を有さないスリットであるが、装着された状態では、顔面が曲面であるためスリットが開いて隙間が開く。眼部切れ部90が縦方向に形成されていることにより、炭酸水が額に装着されたシャワーヘッド2から垂直方向下方に流れても、眼部切れ部90が横幅方向に広がることがない。
【0035】
炭酸水などの液体による美容効果を得たいと願う使用者は、目じりや目元の皺やたるみを防止したいと考えている場合が多い。このため、目に対応する部分に従来のマスクのように穴が開いていると、目じりや目元に液体が保持できないばかりでなく、液体が垂直方向に流れ落ちることによって、液体の自重で穴が拡大されてしまう。この点、本実施形態によれば、眼部切れ部90が縦方向に形成されているため、目の周辺においても炭酸水の効果を高めることができる。目の周辺は、額や鼻、頬に対して窪んだ部分が多いが、窪んだ部分とマスク9の間に、窪んでいない部分よりも炭酸水を多く保持することができる。また、切れ目が形成されていることにより、使用者は、視界が塞がれているという恐怖感、閉塞感を感じずに、リラックスして美容システム1を使用することができる。
【0036】
図5に示すように、マスク9の、装着時に使用者の鼻孔に対応する部分には、顔面の横幅方向に延びるように鼻部切れ部900が形成される。鼻部切れ部900は非装着状態では幅を有さないスリットである。鼻部切れ部900の第一端部9a側に、鼻部切れ部900に沿うように可撓性部材901が配置される。可撓性部材901は、皮膚表面に沿うよう平たい形状であることが好ましいが、形状を変形させた後、変形した形状を維持できるものであれば特に限定されない。例えば針金や樹脂などの従来公知の部材であってよい。可撓性部材901は、使用者の鼻の形状に合わせて変形される。
【0037】
マスク9を装着しない状態において、鼻部切れ部900と可撓性部材901と鼻部切れ部900の第2端部9b側とを含むマスクの部分に、面状のヒサシ(庇)状部材902が配置される。本実施形態においては、ヒサシ状部材902はマスク9及び可撓性部材901の上に配置されて、可撓性部材901と共にマスク9に熱融着により接着される。ヒサシ状部材902は、弾性変形可能な可撓性部材である。マスク9が装着されると、可撓性部材901が鼻の形状に合わせて変形されると共に、ヒサシ状部材902も変形する。具体的には、図6に示すように、ヒサシ状部材902は鼻の凸状部に合わせて略山型に変形し、使用者の鼻の突端部を越えて第2端部9b側に延出する。
【0038】
ヒサシ状部材902は、鼻部切れ部900の第2端部9b側をも覆う面状の形状であるため、マスク9が装着されると、鼻部切れ部900は、装着後使用者の鼻孔の部分に配置され、ヒサシ状部材902は第2端部9b側に突出する。このような構成により、垂直方向上方から下方へ流れる炭酸水が、鼻孔に入り込むことを防止できる。したがって、使用者は、炭酸水を顔に流したまま呼吸をすることができる。
【0039】
マスク9の唇に対応する部分には、縦方向LDに延びるように唇切れ部903が形成されている。詳細には、鼻部切れ部900から第2端部側に離間した位置に、鼻部切れ部900の横幅方向WDの略中央から第2端部側へ縦方向LDに延びるように形成される。唇切れ部903は非装着状態では幅を有さないスリットである。使用者は口から息を吐くこともあるが、スリット部分から息をマスクの外へ吐けるため、呼吸が阻害されない。唇切れ部903が縦方向LDに形成されるので、眼部切れ部90と同様に、炭酸水が上方から下方に顔面を伝っても唇切れ部903のスリットが拡大することがない。また、使用者は唇周辺に生じる顔の皺について血行促進などによる美肌、美容効果を期待することが多いが、唇の周囲においても炭酸水が十分に保持される。
【0040】
マスク9の素材は、液体を保持しやすく、液体が流され続けても崩壊しない強度を有する素材であれば特に限定されないが、綿を含む不織布が軽量で肌触りがよく、好ましい。
【0041】
図6は本実施形態に係る美容システム1を使用している使用者の胴体の側面図である。送液管41から送られた炭酸水は、シャワーヘッド2から使用者の顔面に吐出される。吐出された炭酸水は、マスク9及び顔面を伝って下方へ落ちる。下方へ落ちた炭酸水は、捕集部3により受け止められる。捕集部3の平坦部32は、装着状態において下方へ傾斜するため、平坦部32に落ちた炭酸水は捕集部の凹部30側へ集められる。炭酸水は、凹部30において底端部33から接続される捕集口34を通って集液管42により液循環部4へ送液される。
【0042】
炭酸水が顔を伝う間、マスク9及び顔面の間に炭酸水は一時的に保持される。マスク9は、眼部切れ部90が縦方向LDに形成されており、使用者の眼部近傍とマスク9の間には、炭酸水が額や頬近傍と比べて多く保持される。マスク9は、鼻部切れ部900が形成されているため、使用者の鼻の突端から鼻孔にかけての部分が開口となり、この部分から使用者は鼻で呼吸をする。マスク9の可撓性部材901が変形し、マスクの鼻部分が使用者の鼻の凹凸に沿うように変形される。使用者の鼻近傍を伝った炭酸水は、鼻部切れ部900から鼻の突端を越えてマスクの第2端部9b側へ延出するヒサシ状部材902を伝って、ヒサシ状部材の突端から下方へ垂れ落ちる。マスク9は、唇切れ部903が縦方向LDに形成されており、使用者の唇の近傍とマスク9の間には、炭酸水が額や頬近傍と比べて多く保持される。
【0043】
図7は、本実施形態の美容システム1における炭酸水の循環の手順を示すブロック図である。タンク7に湯を入れ、炭酸ガスのボンベ6を循環装置5に接続し(イ)、混合部50において炭酸水を作製する(ロ)。混合部50において、温度調節機構51及び濃度調節機構52により濃度と温度を調節する(ハ、ニ)。適度に調節された炭酸水を、ポンプ40により送液管41を通してシャワーヘッド2へ送液(ホ)し、シャワーヘッド2から使用者の顔面へ炭酸水を吐出する(ヘ)。吐出の際には、流量調節つまみにより流量を調節する(ト)。使用者の顔面へ吐出された炭酸水は、顔面を伝い、捕集部3に落ちる。捕集部3により炭酸水を受けて集め(チ)、集液管42から液循環部4へ送液(リ)される。液循環部4に送られた炭酸水は、再び混合部50において、濃度と温度を調整される(ハ、ニ)。調整された炭酸水は、ポンプ40により送液管41を通してシャワーヘッド2へ送液(ホ)される。このようにして、炭酸水は循環し、使用者は美容システム1を任意の時間の間使用し続けることができる。
【0044】
本発明によれば、シャワーヘッド2を使用者の額に装着して顔面に垂直方向上方から下方に向けて炭酸水を吐出することができる。このため、使用者は不自然な体勢をとることなく、例えばリクライニングチェアなどに座ってリラックスした状態で美容システム1を使用することができる。
【0045】
また、美容システム1は、吐出した炭酸水を捕集する捕集部3を備え、捕集部から炭酸水を集めて液循環部4に送液し、炭酸水を循環させて使用するため、使用者は所望の時間美容システム1を使用できる。炭酸水は、皮膚に接触している時間が長ければ長いほど血流拡張効果が高まる。したがって、長時間使用可能となることで、美容上の効果も向上する。
【0046】
美容システム1は、マスク9を備える。顔面を伝う炭酸水は、マスク9と顔面との間に一時的に保持される。このため、皮膚と炭酸水との接触時間及び接触面積が、マスク9を使用しない場合よりも増加し、美容効果が向上する。マスク9は、頬の部分が顎から首の付け根を覆うように膨らんだ形状を有している。このため、頬と首の付け根部分においても、炭酸水が保持される。
【0047】
使用者の目に相当する部分には、スリット状の眼部切れ部90がマスク9の縦方向LDに延びるように形成される。縦方向LDのスリット状であるため、使用者が美容効果を特に期待する目元や目尻近傍においても、マスク9と皮膚とが炭酸水を含んで密着し、炭酸水による血流促進、新陳代謝増加などの美肌効果が得られる。また、炭酸水が上方から下方へ流れ落ちても、スリットが拡大することがない。
【0048】
使用者の唇に相当する部分には、スリット状の唇切れ部903がマスク9の縦方向LDに延びるように形成される。縦方向LDのスリットであるため、使用者が美容効果を特に期待する口角近傍、鼻と口との境目部分においても、マスク9と皮膚とが炭酸水を含んで密着し、炭酸水による血流促進、新陳代謝増加などの美肌効果が得られる。また、炭酸水が上方から下方へ流れ落ちても、スリットが拡大することがない。
【0049】
マスク9は、使用者の鼻孔に対応する部分において、スリット状の鼻部切れ部900を有する。そして、鼻部切れ部900より額側の第1端部9a側に可撓性部材901が形成され、マスク9の鼻に対応する部分が、使用者の鼻の凹凸に沿うように変形する。装着状態において、使用者の鼻の突端部から鼻部切れ部900の第1端部9aと反対側の第2端部9b側に、ヒサシ状部材902が延出する。このヒサシ状部材902により、鼻の上を流れた炭酸水が鼻孔に入り込むことなく、下方に垂れ落ちる。鼻部切れ部900の開口により、使用者は炭酸水を顔に流したまま鼻呼吸をすることができるため、美容システム1をリラックスした体勢で長時間使用することができる。
【0050】
なお、上述の実施形態ではタンク7により湯を供給するが、循環装置5に内部のポンプ40に接続される外部タンク入水口と外部タンク出水口を設け、例えば浴槽などの大型のタンクから湯を供給するようにしてもよい。
【0051】
また、固定部材22はシャワーヘッドを使用者の額の上に固定することができれば、上記の形態に限られず、従来公知の技術を用いてよい。例えば、シャワーヘッド2の長手方向の両端部からシャワーヘッド2に対して直交する方向に延びる平坦部状の棒状部材がそれぞれ取り付けられる。この棒状部材で使用者の頭を挟むようにすることで、シャワーヘッド2が使用者の額の上に固定されてもよい。さらに、一方の固定部材と他方の固定部材に接続されて着用者の頭頂部に沿う固定部材を追加して配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の美容システムの使用状態を示す斜視図である。
【図2】本実施形態における液吐出部を示す斜視図である。
【図3】本実施形態における捕集部を示す斜視図である。
【図4】本実施形態における捕集部を示す断面図である。
【図5】本実施形態におけるマスクを示す正面図である。
【図6】本発明の美容システムの使用状態を示す側面図である。
【図7】本発明の美容システムの使用の手順を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0053】
1 美容システム
2 液吐出部、シャワーヘッド
3 捕集部
4 液循環部
5 循環装置、筐体
6 ガスボンベ
7 タンク
8 被覆部材
9 マスク
9a 第1端部
9b 第2端部
9c 頬に対応する部分
20 吐出口
21 面
22 固定部材
23 取り付け口
24 弾性部材
30 凹部
31 側壁
32 平坦部
33 底端部
34 捕集口
41 送液管
42 集液管
43 帯状部材
90 眼切れ部
300 装着穴
301 切り込み
302 可動片
303 一の切り込み
304a、304b、304 接合部材
310 外縁
900 鼻部切れ部
901 可撓性部材
902 ヒサシ状部材
903 唇切れ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の液体を送液する送液管と、
前記送液管により送液された前記所定の液体を吐出させる複数の吐出口を有すると共に、前記複数の吐出口が水平方向に所定間隔で配置されるよう使用者の額に装着される液吐出部と、
前記液吐出部の垂直下方側に配置され、前記液吐出部から送出されると共に前記使用者の顔面をつたって流れた前記所定の液体を捕集する捕集部と、
前記捕集部により捕集された前記所定の液体を送液する集液管と、
前記集液管により送液された前記所定の液体を前記送液管から前記液吐出部に送液させる液循環部と、
を備える美容システム。
【請求項2】
前記捕集部は、装着状態において液体を捕集する漏斗状となる凹部と、該凹部の側壁を構成する側壁部と、前記側壁部の一部が延出した平坦部と、を備え、
前記平坦部には装着時に前記使用者の首が挿通して配置される略円形状の装着穴が形成され、
前記凹部の底端部には、前記集液管と接続される捕集口が配置される請求項1記載の美容システム。
【請求項3】
装着状態において前記装着穴の外周を覆う被覆部をさらに有し、
前記捕集部は、非装着状態において前記外周に放射状に形成されて前記使用者の首の寸法に応じて前記外周の寸法を調整する複数の切り込みを有し、
前記複数の切り込みのうち一の切り込みは、前記平坦部の外縁まで連続して形成され、該一の切り込みを挟んだ一方と他方とには接合部材が配置される請求項2記載の美容システム。
【請求項4】
前記使用者の顔面に沿うように装着されるマスクをさらに有し、
前記マスクは、装着した状態で目に対応する部分に前記顔面の縦方向に延びるように形成される眼部切れ部を有する請求項1から3いずれか記載の美容システム。
【請求項5】
前記マスクは、
装着時に前記使用者の鼻孔に対応する部分において、前記顔面の幅方向に延びるように形成される鼻部切れ部と、
前記鼻部切れ部の前記マスクにおける前記額側に配置される第1端部側に配置され前記使用者の鼻の形状に沿って変形可能な可撓性部材と、
前記使用者の鼻の突端部を越えて前記第1端部の反対側である第2端部側に延出するヒサシ状部材と、
を備える請求項4記載の美容システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−160077(P2009−160077A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340186(P2007−340186)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(399021622)株式会社ワム (1)
【Fターム(参考)】