説明

美容施術方法

【課題】 表情の豊かさと大きな関係を有する笑顔を作り上げるための科学的方法を提供すること。
【解決手段】 次の工程(a)および(b)を含む顔面の美容施術方法。
(a)笑顔を作った顔面の頬の膨らみに、両方の手のひらの窪みを密着させ、目を閉
じ、両方の手のひらを、ゆっくりした一定の速度で外回りの円を描くように動かす工
程、
(b)笑顔を作った顔面の、笑筋、頬筋、大頬骨筋および小頬骨筋の上面皮膚を両方の
手のひらで包み軽く押さえた後、両手でフェイスラインを軽く引き上げるように押さ
え、更に、額部分を下から上方向に押さえ、最後に首筋を、両手を交差させた状態で
軽く押さえる工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容施術方法に関し、更に詳細には、笑顔をより強く印象づけることが可能となる顔面を作るための美容施術方法に関する。
【背景技術】
【0002】
美しい人は、気品のある柔らかな表情をしていることがよく知られている。また、肌の美しさは、肌表面の質感自体にとどまらず、表情の豊かさによっても異なって見えることも知られている。
【0003】
このような知見から、本発明者らは、表情の豊かさについて研究を行ったところ、笑顔が、表情の豊かさの大きなポイントであり、笑顔の目立たない人より、大きな、こぼれるような笑顔の人の方がより他人に好感を与えることができ、美しい人と見られる傾向があることを知った。このように、表情の豊かさは、主に笑顔によって判断されるから、人の魅力を高めるためには、より良い笑顔とすることが求められる。
【0004】
しかしながら、従来、魅力的な笑顔を有するかどうかは、その人の性格や生い立ち、あるいは生活環境によるものとされており、科学的には顔面の筋肉との関係について殆ど研究がなされていないのが現状であった。
【0005】
例えば、特許文献1には、顔面をマッサージする方法が記載されているが、この方法では、メラニン代謝促進作用物質を含有するクリームの使用が必須であり、このものとあいまってマッサージの効果を高めようとするものであった。また、特許文献2にも、手のひらを使用して顔面に美容施術する方法が開示されているが、この方法は、手のひらで顔面を温めようとするものであり、マッサージをするという方法ではなかった。更に、両者とも、その美容施術方法と笑顔との関係については全く記載がなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2005−314329
【特許文献2】特開2004−262893
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、表情の豊かさと大きな関係を有する笑顔を作り上げるための科学的方法が求められており、本発明はそのような方法を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、表情の豊かな人、すなわち魅力的な笑顔を有する人と、そうでない人を比較した結果、魅力的な笑顔を有する人は、頬周りの筋肉の動きが大きく、笑ったときに上方に大きく引き上げられることを見出した。そして、笑顔(微笑み)に係わる頬周りの4種の筋肉(笑筋・頬筋・大頬骨筋・小頬骨筋;以下、総じて「ほほえみ筋」ということがある)を柔軟にし、好ましい方向にくせ付けするためのマッサージを日常的に行えば、より魅力的な笑顔とすることが可能になり、結果として表情を豊かにすることができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は、次の工程(a)および(b)
(a)笑顔を作った顔面の頬の膨らみに、両方の手のひらの窪みを密着させ、目を閉
じ、両方の手のひらを、ゆっくりした一定の速度で外回りの円を描くように動かす工
程、
(b)笑顔を作った顔面の、笑筋、頬筋、大頬骨筋および小頬骨筋の上面皮膚を両方の
手のひらで包み軽く押さえた後、両手でフェイスラインを軽く引き上げるように押さ
え、更に、額部分を下から上方向に押さえ、最後に首筋を、両手を交差させた状態で
軽く押さえる動作を、ゆっくりと息を吸いながら行う工程
を含む顔面の美容施術方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明方法によれば、笑顔に関係するほほえみ筋を柔軟にするとともに、好ましい方向にくせ付けすることができるので、より魅力的な笑顔とすることが可能になり、結果として表情を豊かにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の顔面の美容施術方法は、基本的に、次の2工程を含むものである。
(a)笑顔を作った顔面の頬の膨らみに、両方の手のひらの窪みを密着させ、目を閉
じ、両方の手のひらを、ゆっくりした一定の速度で外回りの円を描くように動かす工

(b)笑顔を作った顔面の、笑筋、頬筋、大頬骨筋および小頬骨筋(ほほえみ筋)の上
面皮膚を両方の手のひらで包み軽く押さえた後、両手でフェイスラインを軽く引き上
げるように押さえ、更に、額部分を下から上方向に押さえ、最後に首筋を、両手を交
差させた状態で軽く押さえる動作を、ゆっくりと息を吸いながら行う工程
【0012】
上記工程のうち、工程(a)は、ほほえみ筋を含む、顔面にある筋肉を揉みほぐし、次に行う工程(b)の効果を高める効果を有するものであり、特に入浴中あるいは入浴直後に行うことが好ましい。
【0013】
この工程(a)においては、化粧料を使用する必要は特にない。また、この工程においては、顔面と手のひらは離さないようにすることが好ましい。また、外回りの円を描く速度は、例えば、2〜3秒程度で円を描く程度とすることが好ましい。
【0014】
一方、工程(b)は、ほほえみ筋を柔軟にし、これをリフトアップする(上方に引き上げる)効果を有するものである。
【0015】
この工程(b)においては、まず、ゆっくりと息を吸いながら、ぬくもりを顔面に伝えるイメージで、ほほえみ筋の上面皮膚を両方の手のひらで包みこむ。この際、顔面が笑顔であることにより、ほほえみ筋を良い状態で柔軟とすることができ、好ましい笑顔とすることができる。また、フェイスラインの引き上げは、こめかみ部を両方の手で押し上げる感じで行うことができる。更に、額部分の押し上げは、額の中央部と側部に分け、それぞれ両手を用いて押し上げることが好ましい。
【0016】
この工程(b)は、特段化粧料を用いずに行うことができるが、必要により、ローションや乳液等を用いて行っても良い。
【0017】
本発明の美容施術方法は、好ましくは、化粧方法に組み込んで行うことが好ましい。すなわち、上記工程(a)および(b)を単独で行うのでなく、化粧手順中に組み込むことが、化粧効果を高め、ほえみ筋を柔軟にし、好ましい方向にくせ付けすることができるので好ましい。
【0018】
具体的に化粧手順中に組み込んだ場合の例としては、まず、クレンジング、洗顔を行った後、工程(a)をプレストレッチとして行い、エマルジョンを塗布した後、工程(b)をハートフルプレスとして行い、その後、ローション、クリームで化粧を行う方法が挙げられる。この、ローションやクリームでの化粧の後には、それぞれ工程(b)を行うことが好ましい。
【0019】
なお、本発明の美容施術には、任意の手順としてポイントテクニックを加えても良い。このポイントテクニックの例としては、図8に示すような、眉間、目尻、法令線に対する処理を行ってもよい。このポイントテクニックは、具体的には、図8の上段に示すように、眉間を中指と人差し指で広げ、もう一方の中指と薬指で、眉間のシワにそって優しくもみほぐす操作、図8の中段に示す、こめかみを片手でフェイスライン方向に軽く引き下げ、もう一方の中指と薬指で、目尻のシワにそって優しくもみほぐす操作、図8の下段に示すように、法令線に近い頬を片手で頬骨方向に軽く引き上げ、もう一方の中指と薬指で、法令線にそって優しくもみほぐす操作等が挙げられる。
【0020】
本発明の美容施術方法は、自宅においても実施することができるが、例えば、エステティックサロンや美容院において、エステシャン(施術者)や美容師等が顧客に対して行っても良い。
【実施例】
【0021】
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
【0022】
実施例1
(1)クレンジング、洗顔手順
(a)クレンジングは、水中油乳化型クレンジングクリームを用いて行う。
【0023】
クレンジングの手順は、まず、図1の左側に示すように、クレンジング料を手のひらで温めこれを右頬、あご、左頬、額および鼻すじに円を描くようにおき、手のひら全体でのばす。次いで、図1の中央に示すように、四指を揃え、あごからラセンを描きながら、丁寧に汚れをなじませる。更に、図1の右側に示すように、あごは片手で交互に、また他の部分は、中指を中心に細かい部分を下から順に汚れとなじませる。クレンジング料が肌色に変化したら、汚れが浮き上がったと判断し、ティッシュペーパーを用いて拭き取るか、水またはぬるま湯で流す。
【0024】
(b)洗顔は、可溶化型液状洗顔料を用いて行う。
【0025】
洗顔の手順は、まずはじめに手と顔をぬらし、手の上に洗顔料を取り、水またはぬるま湯を加え十分に泡立たせる。ついで、図2の左側に示すように、泡をクッションにして手のひら全体で頬と額を大きなラセンを描きながら洗う。次いで、図2の中央に示すように、中指を中心に、あご、口の周り、小鼻、鼻すじ、目の周りの細かい部分を優しく洗う。更に、首すじを片側ずつ、反対側の手で円を描くように洗う。最後に、図2の右側に示すように、水またはぬるま湯の流水で、下から上に向かい十分にすすぐ。最後に、柔らかいタオルで、やさしく押さえるようにふき取る。
【0026】
(2)プレストレッチ(工程(a))手順
図3の左側に示すように、まず、ほほえんで笑顔を作る。次いで、図3の中央に示すようにその状態で頬の膨らみに手のひらのくぼみをピッタリと密着させる。更に目を閉じ、図3の右側(手は図から省略)に示すように、外回りの円をゆっくりした一定のリズムで描き、皮膚の奥にある筋肉を優しく揉みほぐす。この際、皮膚表面と手のひらは離さないようにする。
【0027】
(3)エマルジョン手順
エマルジョンは、コットンと水中油乳化型乳液(エマルジョン)を用いて行う。
【0028】
エマルジョンの手順は、まず、図4の左側に示すように、中指と薬指を、エマルジョンを含浸させたコットンの下にあて、右頬、あご、左頬、額、鼻すじを円を描くようにします。次いで、図4の中央に示すように、両頬のほほえみ筋を引き上げるように、やさしく塗布する。額は、下から上に向け塗布する。更に、図4の右側に示すように、細かい部分に塗布した後、コットンにエマルジョンを少量取り、首すじに塗布する。
【0029】
(4)ハートフルプレス(工程(b))手順
図5の左側上に示すように、まず、ほほえんで笑顔を作る。次いで、図5の右側上に示すように、ゆっくり息を吸いながら、手のひらの温もりを伝えるイメージで、ほほえみ筋を包み軽く押さえる。その後、図5の左側下に示すように、フェイスライン(こめかみ)を軽く引き上げるように押さえる。更に額は、図5の下中央に示すように、下から上に向かうイメージで、フェイスラインと同様に2ヶ所ずつ引き上げる。その後、首すじは、図5の右側に示すように、手をクロスさせ軽く押さえる。
【0030】
(5)ローション手順
ローションは、コットンと可溶化型化粧水(ローション)を用いて行う。
【0031】
まず、図6の左側に示すように、中指と薬指を、ローションを2.5ml位含浸させたコットンの下にあて左頬、右頬、額を、それぞれ下から上向きにパッティングする。次いで、図6の中央に示すように、コットンを中指一本に持ちかえ、丁寧にパッティングする。目もとは優しく塗布する。更に、ローションをコットンに少量とり、首すじを軽くパッティングする。その後、上記(4)のハートフルプレスを行う。
【0032】
(6)クリーム手順
クリームは、コットンと水中油乳化型クリームを用いて行う。
【0033】
まず、クリームを手のひらに取り温める。次いで、図7の左側上に示すように、右頬、あご、左頬、額、鼻すじに円を描くように塗布する。これを、図7の中央に示すように手のひら全体を使い、顔面全体にのばす。その後、四指を揃え、両頬のほほえみ筋を引き上げるように、やさしく塗擦する。同様、まぶたも塗擦する。次いで、片手のひら全体を額に密着させ、左右交互に引き上げる。
【0034】
更に、図7の左側下に示すように、中指を中心に、口の周り、鼻、目の周りの細かい部分に塗擦した後、更にクリームを少量とり、手のひら全体に広げ、左右交互に首すじに塗擦する。その後、上記(4)のハートフルプレスを行う。
【0035】
最後に、図8の右側下に示すように、中指でほほえみに関与する5ヶ所のツボ(こめかみ、眼頭神経、頬骨の中央の下、口角の横、唇の下中央)を指圧する。この指圧は、両手中指を重ねて行う。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、笑顔に係わるほほえみ筋を柔軟にし、好ましい方向にくせ付けすることが可能であり、より魅力的な笑顔を得ることが可能である。
【0037】
従って、各個人が自宅で施術したり、あるいは、エステティックサロンや美容院において、エステシャン(施術者)や美容師等が顧客に対して施術することにより、表情を豊かにすることができ、美容効果を高めることが出来るものである。

【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】クレンジングの手順を示す図面。
【図2】洗顔の手順を示す図面。
【図3】プレストレッチの手順を示す図面。
【図4】エマルジョン手順を示す図面。
【図5】ハートフルプレス手順を示す図面。
【図6】ローション手順を示す図面。
【図7】クリーム手順を示す図面。
【図8】指圧を示す図面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程(a)および(b)
(a)笑顔を作った顔面の頬の膨らみに、両方の手のひらの窪みを密着させ、目を閉
じ、両方の手のひらを、ゆっくりした一定の速度で外回りの円を描くように動かす工
程、
(b)笑顔を作った顔面の、笑筋、頬筋、大頬骨筋および小頬骨筋の上面皮膚を両方の
手のひらで包み軽く押さえた後、両手でフェイスラインを軽く引き上げるように押さ
え、更に、額部分を下から上方向に押さえ、最後に首筋を、両手を交差させた状態で
軽く押さえる動作を、ゆっくりと息を吸いながら行う工程
を含む顔面の美容施術方法。
【請求項2】
工程(a)の前に、洗顔を行う請求項1記載の顔面の美容施術方法。
【請求項3】
工程(a)と工程(b)の間に、化粧料を塗布する請求項1または2記載の顔面の美容施術方法。
【請求項4】
化粧料の塗布と工程(b)を繰り返して行う、請求項1ないし3の何れかの項記載の顔面の美容施術方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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