説明

美容装置

【課題】電極と肌とを良好に接触させることができる美容装置を提供する。
【解決手段】肌に接触させた電極部15から人体組織に通電する美容装置において、電極部15は、一対のアーム21と、アーム21に互いに対向して設けられる一対の電極28と、両電極28により肌を挟み込むべく両電極28間の距離を増減可能とする挟み込み機構とを備え、両電極28間に肌が挟み込まれた状態で通電が行われることを特徴とする美容装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、肌に接触させた電極部から人体組織に通電することのできる美容装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このような美容装置では、電流によって人体組織を温めることによって、その人体組織の活性化を促して当該組織に蓄積された疲労を回復させる疲労回復効果や、脂肪を燃焼させて容姿をスリムに見せる痩身効果等の美容効果を奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2001−523513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような美容装置では、電極部が有する一対の電極は同一の平面上に設けられているものが多い。この場合、肌の凹凸部分、あるいは湾曲部分に対して、両電極を良好な状態で接触させることが難しい。例えば、電極が肌に触れていなかったり、肌との接触面積が十分に確保されていなかったりすることが考えられる。このような状況では、人体組織に電流が好適に印加されないので、期待される美容効果を得ることができないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、電極と肌とを良好に接触させることができる美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、肌に接触させた電極部から人体組織に通電する美容装置において、前記電極部は、一対の腕部と、前記両腕部に互いに対向して設けられる一対の電極と、前記両電極により肌を挟み込むべく両電極間の距離を増減可能とする挟み込み機構とを備え、前記両電極間に肌が挟み込まれた状態で前記通電が行われることを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の美容装置において、前記電極は、前記腕部の先端側に固定されていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の美容装置において、前記両腕部の電極の近傍には、肌の接触を検出する接触センサがそれぞれ固定され、前記両接触センサにより肌が検出されるとき前記通電が行われることを要旨とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の美容装置において、前記挟み込み機構は、前記腕部と前記電極との間に設けられて美容装置に設けられるポンプによる給気及び排気を通じて膨張及び収縮するエアバックを備え、前記ポンプの作動を通じて、両電極間の距離を増減させることを要旨とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の美容装置において、前記両腕部の前記電極と反対側の端部を回転可能に軸支し、前記挟み込み機構は、前記両腕部の軸支された端部と反対側の端部を互いに近接する方向へ常時付勢する付勢手段を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、電極部に肌を挟持する挟み込み機構を設けることによって、電極と肌とを良好に接触させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態の美容装置を示す斜視図。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図。
【図3】同実施形態の制御態様を示すフローチャート。
【図4】(a)(b)は、同実施形態の電極部の収縮及び膨張を示す断面図。
【図5】同実施形態の肌を挟持する態様を示す断面図。
【図6】本発明の第2の実施形態の美容装置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、美容装置1は、四角筒状のハウジング11と、該ハウジング11の底部に突出して固定された電極部15とを備えている。電極部15は、第1及び第2のプローブ17,18からなる。図2に示すように、ハウジング11の内部には、電源回路12、制御部13及びエアポンプ14が設けられている。この電源回路12と制御部13とは電気的に接続されている。制御部13にはエアポンプ14及び両プローブ17,18が電気的に接続されている。制御部13は、エアポンプ14の作動を制御する。また、制御部13は、電源回路12からの電力を所定の高周波電力に変換し、この変換された高周波電力をプローブ17,18に印加する。なお、両プローブ17,18とエアポンプ14とは、吸排気管16によって接続されている。
【0013】
第1のプローブ17について詳述すると、図2に拡大して示すように、この第1のプローブ17は、ハウジング11の底部から同長手方向に突出して固定された略中空板状のアーム21を備えている。このアーム21の先端部における第2のプローブ18側の側面には、略円盤状の支持板23を介してエアバック24が固定されている。
【0014】
エアポンプ14から伸びる吸排気管16は、アーム21に連結されている。すなわち、エアポンプ14は、吸排気管16及びアーム21の中空部内を経由してエアバック24内部に連通している。従って、両エアバック24は、エアポンプ14により給気及び排気が行われることによって収縮及び膨張する。
【0015】
また、エアバック24の第2のプローブ18側の部分には、それを内外から狭持する一対の支持板26が設けられている。この支持板26は、電気絶縁性材料により略円盤状に形成されている。そして、外側の支持板26の外面には、接触センサ27及び電極28が設けられている。接触センサ27は静電容量センサである。電極28は、アーム21の突出側(同図中下側)に固定されている。すなわち、接触センサ27は、電極28よりもハウジング11側(同図中上側)に固定されている。なお、接触センサ27及び電極28の外面、すなわち開放面は、同一平面となるように設定されている。
【0016】
これら接触センサ27及び電極28は、それぞれ絶縁被覆が施された電線29,30によって制御部13に接続されている。この電線29,30は、エアバック24の内部及びアーム21の中実部分を通ってハウジング11の内部に引き出されている。また、エアバック24の内部において、電線29,30にはたるみが設けられている。
【0017】
なお、第2のプローブ18も第1のプローブ17と同様の構成とされている。ただし、図2中の左右方向における向きが反対とされている。
エアポンプ14の作動によりエアバック24内にエアが供給されると、両エアバック24は、図4(a)に示す膨張した状態となる。両エアバック24は、両支持板23の外面に固定されているため、エアバック24が膨張する際には、該両電極28は互いに近接する方向へ変位する。同様に、エアポンプ14の作動によりエアバック24内のエアが排出されると、両エアバック24は、図4(b)に示す収縮した状態となる。エアバック24の収縮に伴い両電極28は互いに離間する方向へ変位する。
【0018】
次に、美容装置1の動作を図3のフローチャートに従って説明する。このフローチャートは、制御部13に格納された制御プログラムに従い実行される。なお、美容装置1は、2つのプローブ17,18間に肌を介在させる態様で使用される。また、初期状態では、エアバック24は、図4(b)に示す収縮状態である。
【0019】
ハウジング11に設けられる図示しない電源スイッチの操作を通じて制御部13へ電源回路12から電力が供給されたとき、この制御が開始される。
図3に示すように、制御部13は、エアポンプ14を作動させて両エアバック24にエアを供給して該両エアバック24を膨張させる(ステップS1)。これに伴い、両電極28は、互いに近接する方向へ変位し、肌は図5に示すように、両電極28により挟み込まれた状態となる。
【0020】
次に、接触センサ27に肌が接触しているかどうかを確認する(ステップS2)。両接触センサ27の少なくとも一方が肌と接触していないと判断される場合は、両方とも肌に接触するまでこのステップを繰り返し実行する(ステップS2でNO)。そして、制御部13は、両接触センサ27が肌と接触したと判断される場合(ステップS2でYES)、制御部13は、肌が両電極28に挟み込まれて、両電極28が肌に良好に接触していると判断する。なぜならば、電極28よりもプローブ17(18)の基端側にある接触センサ27により肌との接触が検出される場合には、同接触センサ27よりも先端(肌)側にある電極28も肌と接触している蓋然性が高いからである。
【0021】
次に、制御部13は、エアポンプ14の作動を停止する(ステップS3)。これにより、両エアバック24へのエアの供給が停止される。そして、制御部13は、内蔵されているタイマーを作動させて(ステップS4)、両電極28へ高周波電流(RF)を印加する(ステップS5)。このとき、電極28は、膨張したエアバック24により肌に押しつけられた状態に維持されるので、人体組織への高周波電力の供給が好適に行われる。
【0022】
そして、制御部13は、供給時間Tが所定時間T1以上であるかどうかを確認する(ステップS6)。制御部13は、供給時間Tが所定時間T1に達するのを待って(ステップS6でNO)、供給時間Tが所定時間T1に達したとき(ステップS6でYES)、両電極28への高周波電流の印加を停止する(ステップS7)。
【0023】
次に、制御部13は、エアポンプ14を作動させて両エアバック24からエアを排出させて、該両エアバック24を収縮させる(ステップS8)。排出量は、ステップS1においてエアバック24へ供給されたエアの量と略同等、すなわち図4(b)の状態になる程度に設定されている。そして、排気が終了して(ステップS9)この制御を終了する。
【0024】
なお、この一連の制御は、電源スイッチが再び操作されるまで、すなわち電源回路12から制御部13に電気が供給されている間、繰り返し実行される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
【0025】
(1)一対の電極28によって肌を挟持することができる。従って、肌と電極28との接触状態が良好に維持される。また、人体の凹凸部分、あるいは湾曲部分に対しても、電極を肌に良好な状態で接触させることが可能である。また、十分な接触面積を確保することが可能なので、電流集中などの発生もない。このため、従来みられるような、対となる電極を平面上に並列配置した場合に比べて人体組織の深部まで高周波電力を供給させることができる。すなわち、人体組織の深部における疲労回復効果や痩身効果(脂肪燃焼効果)等の美容効果を得ることができる。また、装置の幅方向への大型化が抑制される。
【0026】
(2)一対の電極28が支持板26の肌接触側に固定されていることによって、肌を挟持した際の両電極28と肌との接触しやすさを向上させることができる。
(3)一対の接触センサ27によって両電極28が肌と良好に接触しているかを確認した上で、人体組織に高周波電流を供給する。このため、両電極28と肌との接触面積が十分に確保されていない場合には、両電極28へ高周波電流を印加しないので、人体組織の一部分に高周波電力が集中することもない。
【0027】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態と上記第1の実施形態との主たる相違点は、電極部の構成である。このため、説明の便宜上、第1実施形態と同一の部分については同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。
【0028】
図6に示すように、美容装置41は、据え置き型の本体42と手に持って使用される電極部43とを備える。この本体42と電極部43とはケーブル44により接続されている。このケーブル44は、電極及びセンサと制御部13とを接続する導線が絶縁被覆により束ねられてなる。本体42の内部には、電源回路12と制御部13とが収容されている。
【0029】
図6の拡大図にて示すように、電極部43は、一対のアーム46を備えている。両アーム46は中空三日月状に形成されている。両アーム46は、それらの凹面が向き合うように配置されている。両アーム46は、それらの端部において、軸Oを介して回動可能に連結されている。
【0030】
軸Oには、付勢手段としてのねじりコイルばね47が装着されている。ねじりコイルばね47の一端は一方のアーム46に、他端は他方のアーム46に連結されている。両アーム46は、このねじりコイルばね47の弾性力により軸Oを中心に該軸Oと反対側の端部が互いに近接する方向に常時付勢される。なお、アーム46及びねじりコイルばね47により挟み込み機構を構成する。
【0031】
また、両アーム46の軸Oと反対側の端部には、把持部48が対向するように固定されている。把持部48は、アーム46の端部に固定される支持板49並びに該支持板49のアーム46と反対側の面に固定された接触センサ50及び電極51を備えている。なお、これら接触センサ50と電極51との位置関係は上記第1の実施形態と同様である。また、これら両接触センサ50及び両電極51は、両アーム46内に通されてケーブル44として束ねられた各電線52,53によって制御部13とそれぞれ接続されている。
【0032】
次に、美容装置41の動作を説明する。
本実施形態の美容装置41では、使用者がねじりコイルばね47の弾性力に抗して両把持部48間の距離を広げて通電したい箇所の肌を把持部48にて挟持させることにより使用する。ねじりコイルばね47の弾性力により両電極51は、肌を挟み込んだ状態に維持される。つまり、本実施形態の美容装置41では、制御部13の制御状態にかかわらず肌を把持することができる。電極51は、ねじりコイルばね47の弾性力により肌を押しつけられる。このため、電極51と肌との接触面積は好適に確保される。従って、本実施形態の美容装置41の制御の処理手順は、は、先の図3のフローチャートから、ステップS1,S3,S9及びS10の各ステップを省略したものとなる。
【0033】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態における(1)〜(3)の効果と同様の効果が得られるようになる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0034】
・上記第1の実施形態において、図3のフローチャートにおいて、ステップS2の処理は、その実行するタイミングを適宜変更してもよい。例えば、ステップS3の後やステップS6で供給時間Tが所定時間T1を経過するまでの間等において、ステップS2の処理を実行してもよい。
【0035】
・上記第1の実施形態において、接触センサ27を設けなくてもよい。この場合、肌との接触を感知することができない。従って、エアポンプ14の作動は、例えば時間によって制御することが考えられる。具体的には、制御部13は、エアポンプ14を一定時間だけ作動させる。この一定時間におけるエアの供給量は、エアバック24が図4(b)の収縮状態から図4(a)の膨張状態となるのに十分な量に設定される。これにより、エアバック24の膨張に伴って、肌は2つのプローブ17,18により挟み込まれる(図5参照)。なお、同構成によれば、エアバック24が膨張する際に、エアの圧力により肌に圧力を付与することができる。従って、エアバック24が収縮及び膨張を繰り返すことにより肌をマッサージすることができる。これにより、肌の血行促進を促して美容効果を奏する。
【0036】
・上記第1の実施形態において、一対のエアバック24は、対向方向に収縮及び膨張(伸縮)すればよい。従って、両エアバック24の筒部を蛇腹状とすることによって、当該エアバック24の対向方向への収縮及び膨張が円滑に行うことができる。また、空気等の気体だけではなく、水等の液体を作動流体として用いてエアバック24の収縮及び膨張を行ってもよい。
【0037】
・上記各実施形態において、接触センサ27(49)は、静電容量方式センサに限らず、スイッチ方式や光学方式の接触センサ等、他方式の接触センサでもよい。
・上記各実施形態において、一対の電極28(50)は、一対の支持板26(48)の対向面に固定されていればよい。例えば、支持板26(48)の中央に設けてもよい。
【0038】
・上記各実施形態において、一対の電極が接触センサを兼ねてもよい。具体的には、肌と電極とが接触して該電極が支持板に押し込まれることがスイッチとなって、同電極から肌に通電するといったように構成してもよい。
【0039】
・上記各実施形態において、接触センサ27(49)は、電極28(50)の上側でなくても、近傍にあればよい。同構成によれば、前記接触センサと前記電極との距離が近いため、前記接触センサと肌との接触状態は、前記電極と肌との接触状態と同じ状態である可能性が高い。従って、電極が肌に接触しているかどうかを正確に認識することが可能となる。
【0040】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)請求項3〜5のいずれか一項に記載の美容装置において、前記電極は、前記接触センサよりも肌接触側に固定されている美容装置。
【0041】
同構成によれば、前記接触センサは、前記電極よりも肌に接触しにくくすることができる。従って、前記接触センサが肌と接触している場合には、前記電極も肌と接触している可能性が極めて高くなる。これにより、前記電極が肌と接触しているかどうかをより正確に判断可能となる。
【符号の説明】
【0042】
1,41…美容装置、14…エアポンプ、15,43…電極部、21,46…アーム(腕部、挟み込み機構)、27,50…接触センサ、28,51…電極、46…ねじりコイルばね(付勢手段、挟み込み機構)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌に接触させた電極部から人体組織に通電する美容装置において、
前記電極部は、
一対の腕部と、
前記両腕部に互いに対向して設けられる一対の電極と、
前記両電極により肌を挟み込むべく両電極間の距離を増減可能とする挟み込み機構とを備え、
前記両電極間に肌が挟み込まれた状態で前記通電が行われることを特徴とする美容装置。
【請求項2】
請求項1に記載の美容装置において、
前記電極は、前記腕部の先端側に固定されていることを特徴とする美容装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の美容装置において、
前記両腕部の電極の近傍には、肌の接触を検出する接触センサがそれぞれ固定され、前記両接触センサにより肌が検出されるとき前記通電が行われることを特徴とする美容装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の美容装置において、
前記挟み込み機構は、
前記腕部と前記電極との間に設けられて美容装置に設けられるポンプによる給気及び排気を通じて膨張及び収縮するエアバックを備え、
前記ポンプの作動を通じて、両電極間の距離を増減させることを特徴とする美容装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の美容装置において、
前記両腕部の前記電極と反対側の端部を回転可能に軸支し、
前記挟み込み機構は、
前記両腕部の軸支された端部と反対側の端部を互いに近接する方向へ常時付勢する付勢手段を備えることを特徴とする美容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−200307(P2011−200307A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68377(P2010−68377)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】