説明

美容装置

【課題】イオン放出方向の変更を可能としながら、効率良くイオン放出を行うことができる美容装置を提供する。
【解決手段】イオン発生装置20、送風装置30、送風通路31a,31b,31c及び放出口4aがイオン放出ユニット10として一体に構成され、該ユニット10が美容装置1のハウジング3内に可動可能に支持される。つまり、イオン放出方向の変更の際には、イオン放出ユニット10全体が可動する構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン発生装置を備えた美容装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、イオン発生装置を備えた美容装置が知られており(例えば特許文献1参照)、この美容装置の内部には送風装置が備えられ、生成されたイオンを送風に乗せてより遠くに飛散させるようにしている。また、イオン発生装置にて生成されたイオンは、その放出方向の指向性が高いため、より多くのイオンを使用者に到達させるには、一般にノズル(放出口)を独立して可動させる機構を採用し、ノズルを可動させてイオンの放出方向の調整が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−205094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したようにイオンの放出方向は指向性が高いため、ノズルの角度によっては、イオン発生装置からイオン放出口に放出される経路上に屈曲が生じたり、屈曲状態が悪化することによって、イオン発生装置にて生成したイオンが放出経路の内壁面に対する衝突の増加にてイオン放出口に到達する量が減少し、効率的にイオンを外部に放出できてないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、イオン放出方向の変更を可能としながら、効率良くイオン放出を行うことができる美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、イオンを生成するイオン発生装置と、生成されたイオンを放出するための送風を行う送風装置とを備え、その送風に乗せたイオンを送風通路を介して放出口から外部に放出させる美容装置であって、前記イオン発生装置、送風装置、送風通路及び放出口をイオン放出ユニットとして一体に構成し、前記放出口からのイオンの放出方向を変更すべく前記イオン放出ユニットを美容装置のハウジング内に可動可能に支持する構成とされていることをその要旨とする。
【0007】
この発明では、イオン発生装置、送風装置、送風通路及び放出口がイオン放出ユニットとして一体に構成されて美容装置のハウジング内に可動可能に支持される構成としたことによって、イオンの放出方向を変更するためには、放出口のみならずイオン放出ユニット全体が可動する。そのため、イオン放出経路の形状が常に一定に維持され、イオン放出経路に屈曲が生じたり屈曲状態が悪化することが防止されるため、イオン放出方向の変更に伴うイオン放出量の減少が防止され、生成されたイオンが効率良く放出されるようになる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の美容装置において、前記イオン発生装置は、放電電極にて放電を行う放電装置と、前記放電電極に液体を供給する液体供給手段とを備え、前記イオンとして帯電微粒子水を生成する静電霧化装置にて構成されていることをその要旨とする。
【0009】
この発明では、イオン発生装置は静電霧化装置にて構成され、液体供給手段から液体が供給された放電装置の放電電極が放電することで、イオンとして帯電微粒子水が生成される。つまり、高い美容作用や健康作用が得られるとされる帯電微粒子水が使用者に向けて効率良く放出されるようになる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の美容装置において、前記液体供給手段は、ペルチェ素子の冷却動作にて前記放電装置の放電電極に結露を生じさせ結露水として供給する冷却装置にて構成されていることをその要旨とする。
【0011】
この発明では、ペルチェ素子によって放電電極が冷却され、放電電極に空気中の水分から結露を生じさせその結露水が静電霧化に用いられる。これにより、静電霧化のための液体をタンク等の貯留手段を用いることなく対応できるため、美容装置の小型軽量化や、液体をその都度供給する手間を省略できる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の美容装置において、前記イオン放出ユニットは、前記送風装置の送風方向に倣った前記送風通路及び前記放出口とするとともに、前記イオン発生装置でのイオンの放出方向をその送風方向に倣わせて構成されていることをその要旨とする。
【0013】
この発明では、送風装置の送風方向に倣った送風通路及び放出口に設定され、イオン発生装置でのイオンの放出方向もその送風方向に倣った設定とされるため、イオン放出経路を直線的に構成でき、イオン放出量の減少をより小さく抑制できる。これにより、生成されたイオンがより効率良く放出されるようになる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の美容装置において、前記イオン発生装置は、前記送風装置の下流側に設けられていることをその要旨とする。
この発明では、イオン発生装置は送風装置の下流側に設けられるため、送風装置がイオン放出の障害物となることが防止され、生成されたイオンがより効率良く放出されるようになる。また請求項3の発明に適用することで、送風装置からの送風が冷却風としてイオン発生装置を構成する冷却装置に供給され、冷却装置での冷却効率が向上する。そのため、放電電極に十分な結露水を生成でき、イオン(帯電微粒子水)を十分に生成できる。
【0015】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の美容装置において、前記イオン発生装置には、前記送風装置で発生する送風の一部がそのイオン発生部分に導入される副流路が設けられていることをその要旨とする。
【0016】
この発明では、イオン発生装置に副流路を設けたことよって送風装置で発生する送風の一部がそのイオン発生部分に導入されるため、生成されたイオンが送風に乗り易くなり、イオンがより効率良く放出されるようになる。
【0017】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のいずれか1項に記載の美容装置において、前記イオン放出ユニットには、前記放出口を有する筒状に突設されたイオン放出ノズルが備えられ、前記ハウジングには、前記イオン放出ユニットのイオン放出ノズルが挿入されて前記放出口を外部に露出させるとともに、前記イオン放出ユニットの可動に伴う前記イオン放出ノズルの移動を許容する開口部が設けられていることをその要旨とする。
【0018】
この発明では、ハウジングの開口部に沿ってイオン放出ノズルが移動可能に構成され、該ノズルから放出されるイオンの放出方向が調整可能とされている。その際、筒状に突設されたイオン放出ノズルを使用者が把持して操作する等してイオン放出方向の調整(イオン放出ユニットの可動位置の調整)を容易に行うことも可能である。
【0019】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の美容装置において、前記イオン放出ユニットには、前記ハウジングの内側面における前記開口部の周縁部分に当接し、前記イオン放出ユニットの可動に伴う前記イオン放出ノズルの移動範囲において常に該ノズル以外の前記開口部を閉塞するノズルカバーが備えられていることをその要旨とする。
【0020】
この発明では、ハウジングの内側面における開口部の周縁部分にノズルカバーが当接し、イオン放出ユニットの可動に伴うイオン放出ノズルの移動範囲において常に該ノズル以外の開口部が閉塞される。これにより、開口部での異物の挟持や異物の侵入が防止され、安全性や信頼性の向上に寄与できる。
【0021】
請求項9に記載の発明では、請求項8に記載の美容装置において、前記イオン放出ユニットは、前記イオン放出ユニットの可動範囲において常に前記ノズルカバーが前記ハウジングの内側面に当接状態となるように前記ハウジングに対して支持されていることをその要旨とする。
【0022】
この発明では、イオン放出ユニットの可動範囲において常にノズルカバーがハウジングの内側面に当接状態となるため、ハウジングに設けた開口部を常に閉塞状態とすることができ、開口部での異物の挟持や異物の侵入がより確実に防止される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、イオン放出方向の変更を可能としながら、効率良くイオン放出を行うことができる美容装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態における美容装置の斜視図である。
【図2】美容装置の垂直断面図である。
【図3】美容装置の水平断面図である。
【図4】イオン放出ユニットの垂直断面図である。
【図5】イオン放出ユニットの水平断面図である。
【図6】イオン放出ユニットの支持方法を示した垂直断面図である。
【図7】イオン放出ユニットに消音材を取り付けた場合の垂直断面図である。
【図8】イオン放出ユニットを2個取り付けた場合の水平断面図である。
【図9】脚部に角度調節部材を取り付けた場合の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1〜図3に示すように、本実施形態の美容装置1は、円錐台状に形成された脚部2と、該脚部2の上面に固定され全体が略球状に形成されたハウジング3とを備えている。ハウジング3の内部には、美容装置1を構成する各種構成部品が収容されている。
【0026】
ハウジング3の前面中央部には、上下方向に長い長円形状の開口部3aが設けられ、ハウジング3内に設けられるイオン放出ユニット10の略円筒状のイオン放出ノズル4がその開口部3aから外部に突出している。イオン放出ノズル4の内側には、イオンを放出するイオン放出口4aが設けられている。イオン放出ノズル4は、例えばこのノズル4を使用者が把持して操作することで開口部3aに沿って上下方向に移動可能(イオン放出ユニット10が上下方向に傾動可能)に構成され、該イオン放出ノズル4から放出されるイオンの放出方向が調整可能とされている。
【0027】
使用者がイオン放出ノズル4と対向するように美容装置1を見た場合のハウジング3の頂上部の右方向には、使用者が美容装置1のオンオフ等の動作をさせる際に操作する操作ボタン5が備えられている。ハウジング3の頂上部の左方向にはLED表示部6が備えられ、美容装置1のオンオフ等の作動状態をLEDの点灯状態によって示して使用者が確認できるようにされている。また、ハウジング3の頂上部後方には、使用者が美容装置1を持ち運びするための収納可能なハンドル7が取り付けられている。
【0028】
図2及び図3に示すように、ハウジング3の内部には、イオン放出ユニット10の後端側部分を収容して支持する有底略四角筒状の支持部材11が該ハウジング3の内側面の所定部位に対して固定されている。支持部材11に備えられる左右一対の側壁12a,12bには、それぞれ軸受凹部13a,13bが設けられており、イオン放出ユニット10のユニットケース10aの左右両側から突出形成された軸受凸部11a,11bが嵌合されて、イオンの放出方向を変更すべくイオン放出ユニット10が上下方向に傾動可能に支持されている。このイオン放出ユニット10の上下方向に傾動は、球状をなすハウジング3の中心を通る水平線がその傾動軸となるように軸受凹部13a,13bの位置が設定され、またハウジング3内の所定部位14a,14b(図2参照)により規制にてその傾動範囲が決められている。なお、支持部材11の軸受凹部13a,13bの周囲には金属バネ15a,15bが装着されており、イオン放出ユニット10はその金属バネ15a,15bの左右両側面への押圧による摩擦力の増大により、上下方向の傾動角度が任意の角度で保持されるようになっている。
【0029】
イオン放出ユニット10は、ハウジング3の中央部から開口部3aに向かって延びるように配置され、生成したイオンを送風に乗せて外部に放出するようにイオン発生装置20及び送風装置30を備えて構成されている。詳しくは、図2〜図5に示すように、イオン放出ユニット10は略四角筒状のユニットケース10aを有し、該ケース10aの後端部に軸流ファンよりなる送風装置30が配置されている。送風装置30は、ファンを回転させて送風を生じさせている。ここで、前記脚部2の中央部には、ハウジング3の内部空間と繋がる複数の空気取入口31が形成されており、送風装置30はその空気取入口31を介して脚部2の下面側から外気を取り込むことで送風を生じさせている。この送風装置30の下流にはイオン発生装置20が設けられている。因みに、送風装置30の軸線上に、イオン発生装置20の冷却装置21と、その放電装置22(放電電極23)と、イオン放出ノズル4とのそれぞれが並んで配置されている。
【0030】
イオン発生装置20は、静電霧化装置よりなり、放電装置22と冷却装置21とを備えてなる。放電装置22には、イオン放出ノズル4の放出口4aの中心部に向けて突出する針状の放電電極23と、該放電電極23の先端側に配置されその放電電極23の延長上に貫通孔24aが設けられた対向電極24とを用いて構成されている。放電電極23の基端部(送風装置30側)には、冷却装置21が並設され、該冷却装置21を構成するペルチェ素子25の冷却面が放電電極23に接触するように配置されている。ペルチェ素子25の冷却面の反対側の放熱面には放熱フィン26が取り付けられ、放熱フィン26には送風装置30にて生成される送風の一部が冷却風として供給されるようになっている。
【0031】
このようなイオン発生装置20は、放電電極23と対向電極24と間に高電圧が印加されて放電電極23周りにコロナ放電を生じさせ、またペルチェ素子25の駆動により放電電極23を冷却して該放電電極23の表面に結露を生じさせることで、結露水の静電霧化にてイオン化したナノサイズの微粒子水(帯電微粒子水)を生成している。なお、この帯電微粒子水は、使用者の肌の角質層表面の隙間に浸透可能であり、使用者の肌に潤いとハリを与えて高い美容作用や健康作用が得られるものである。
【0032】
また、このイオン発生装置20では、放電電極23に結露を生じさせて該放電電極23に水分を供給するペルチェ素子25が用いられることから、タンク等による水の貯留が必要なく、美容装置1の小型軽量化や、注水の手間の必要がない構成となっている。
【0033】
また、送風装置30がイオン発生装置20の上流側に配置されていることで、イオン発生装置20にて生成された帯電微粒子水が送風装置30に進行を妨害されることなく、放出可能とされている。
【0034】
ユニットケース10a内には、送風装置30とイオン発生装置20とを繋ぐ送風通路31aと、イオン発生装置20の周囲に設けられる送風通路31bと、イオン発生装置20からイオン放出ノズル4とを繋ぐ送風通路31cとが連続して設けられている。送風装置30とイオン発生装置20との間の送風通路31aは、送風装置30からイオン発生装置20に向けて次第に絞り込まれており、送風装置30にて生成した送風の流速が高められている。また、イオン発生装置20とイオン放出ノズル4との間の送風通路31cにおいても、イオン発生装置20からイオン放出ノズル4に向けて次第に絞り込まれて送風の流速が高められており、またイオン発生装置20にて生成した帯電微粒子水が送風に混ざり送風に多くを乗せる役割も担っている。これらにより、より多くの帯電微粒子水がイオン放出ノズル4からより遠くに放出されるようになっている。
【0035】
送風装置30にて生成され送風通路31aを通過する送風の一部は、イオン発生装置20を囲う外郭ケーシング32の送風装置30側に設けられた副流路33(図5参照)に流入し、適当量の送風がイオン発生装置20の放電電極23に供給されるようになっている。副流路33を経た送風の一部は、放電電極23の先端に付着する結露を吹き散らさずに、該放電電極23の放電にて生成される帯電微粒子水を送風に乗せ易いようになっており、これによっても帯電微粒子水をより多く放出することに寄与している。
【0036】
ユニットケース10aの先端部には、前記イオン放出ノズル4が形成されたノズルカバー4bが一体に設けられている。ノズルカバー4bは、イオン放出ユニット10がいずれの傾動角度となってもハウジング3の開口部3aを閉塞する大きさに形成されており、またハウジング3の内側面に倣った所定の球面形状をなすことで該ハウジング3の内側面における開口部3aの周縁部分に常に当接するようになっている。前述のように、イオン放出ユニット10の傾動は、球状をなすハウジング3の中心を通る水平線がその傾動軸となっているため、ノズルカバー4bはハウジング3の内側面に常に密接して可動させることができるようになっており、ハウジング3に設けた開口部3aを常に閉塞状態としている。ノズルカバー4bに設けられるイオン放出ノズル4は、その放出方向に向けて内側面(イオン放出口4a)が拡開されており、放出される帯電微粒子水を広範囲に広げるようになっている。
【0037】
図2及び図3に示すように、美容装置1の動作を制御する制御回路40は、イオン放出ユニット10を支持する支持部材11の底面の裏面側に取り付けられている。本体脚部2の後面にはプラグピン41(図2参照)が備えられ、図示しない電源アダプタが差し込めるようになっている。この電源アダプタを通じてプラグピン41からリード線42を介して制御回路40に電源供給が行われる。
【0038】
そして、使用者が操作ボタン5を押すと、美容装置1のオンオフ等の操作信号が該操作ボタン5からリード線43を介して制御回路40に出力され、該制御回路40は操作信号に基づいてイオン発生装置20及び送風装置30を制御する。すなわち、操作信号がオンの状態になると、イオン発生装置20においては放電電極23に放電用の高電圧が印加されるとともに、ペルチェ素子25には冷却動作用の駆動電圧が印加され、また送風装置30にはファン動作用の駆動電圧が印加されるようになっている。またこのとき、制御回路40とリード線44を介して接続された表示回路45は、LED表示部6の点灯制御を行っており、操作ボタン5のオン操作時にはLED表示部6を点灯、オフ操作時にはLED表示部6の消灯を行い、使用者に動作状態の報知を行っている。
【0039】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態では、イオン発生装置20、送風装置30、送風通路31a,31b,31c及び放出口4aがイオン放出ユニット10として一体に構成されて美容装置1のハウジング3内に可動可能(傾動可能)に支持される構成としたことによって、イオンの放出方向を変更するためには、イオン放出ノズル4(放出口4a)のみならずイオン放出ユニット10全体が可動する。そのため、イオン放出経路の形状が常に一定に維持され、イオン放出経路に屈曲が生じたり屈曲状態が悪化することが防止されるため、イオン放出方向の変更に伴うイオン放出量の減少が防止され、生成されたイオンが効率良く放出されるようになる。
【0040】
(2)本実施形態では、イオン発生装置20は静電霧化装置にて構成され、冷却装置21(液体供給手段)にて生成された結露水が供給された放電装置22の放電電極23が放電することで、イオンとして帯電微粒子水が生成される。つまり、高い美容作用や健康作用が得られるとされる帯電微粒子水が使用者に向けて効率良く放出されるようになる。
【0041】
(3)本実施形態では、ペルチェ素子25によって放電電極23が冷却され、放電電極23に空気中の水分から結露を生じさせその結露水が静電霧化に用いられる。これにより、静電霧化のための液体をタンク等の貯留手段を用いることなく対応できるため、美容装置1の小型軽量化や、液体をその都度供給する手間を省略できる。
【0042】
(4)本実施形態では、送風装置30の送風方向に倣った送風通路31a,31b,31c及び放出口4aに設定され、イオン発生装置20でのイオンの放出方向もその送風方向に倣った設定とされるため、イオン放出経路を直線的に構成でき、イオン放出量の減少をより小さく抑制できる。これにより、生成されたイオンがより効率良く放出されるようになる。
【0043】
(5)本実施形態では、イオン発生装置20は送風装置30の下流側に設けられるため、送風装置30がイオン放出の障害物となることが防止され、生成されたイオンがより効率良く放出されるようになる。また、送風装置30からの送風が冷却風としてイオン発生装置20を構成する冷却装置21に供給され、冷却装置21での冷却効率が向上する。そのため、放電電極23に十分な結露水を生成でき、イオン(帯電微粒子水)を十分に生成できる。
【0044】
(6)本実施形態では、イオン発生装置20に副流路33を設けたことよって送風装置30で発生する送風の一部がそのイオン発生部分に導入されるため、生成されたイオンが送風に乗り易くなり、イオンがより効率良く放出されるようになる。
【0045】
(7)本実施形態では、ハウジング3の開口部3aに沿ってイオン放出ノズル4が移動可能に構成され、該ノズル4から放出されるイオンの放出方向が調整可能とされている。その際、筒状に突設されたイオン放出ノズル4を使用者が把持して操作する等してイオン放出方向の調整(イオン放出ユニット10の可動位置の調整)を容易に行うことも可能である。
【0046】
(8)本実施形態では、ハウジング3の内側面における開口部3aの周縁部分にノズルカバー4bが当接し、イオン放出ユニット10の可動に伴うイオン放出ノズル4の移動範囲において常に該ノズル4以外の開口部3aが閉塞される。これにより、開口部3aでの異物の挟持や異物の侵入が防止され、安全性や信頼性の向上に寄与できる。
【0047】
(9)本実施形態では、イオン放出ユニット10の可動範囲において常にノズルカバー4bがハウジング3の内側面に当接状態となるため、ハウジング3に設けた開口部3aを常に閉塞状態とすることができ、開口部3aでの異物の挟持や異物の侵入がより確実に防止される。
【0048】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ペルチェ素子25を用いた冷却装置21にて放電電極23に結露水を供給するようにしたが、タンク等を用いて液体供給を行ってもよい。また、水以外の液体を用いてもよい。
【0049】
・上記実施形態では、イオン発生装置20、送風装置30、送風通路31a,31b,31c及び放出口4aを送風装置30の軸線上(送風方向に沿った直線上)に配置したが、これに限定されるものではなく、例えばイオン発生装置20をユニットケース10aの外側面に取り付け、生成されたイオンを送風経路から外れた位置から送風通路31a,31b,31cに放出させるようにしてもよい。
【0050】
・上記実施形態では、送風装置30をイオン発生装置20の上流側に設けたが、送風装置30をイオン発生装置20の下流側に設けてもよい。
・上記実施形態では、送風装置30に軸流ファンを用いたが、シロッコファン等、他の送風装置を用いてもよい。
【0051】
・上記実施形態では、イオン放出ユニット10を支持部材11に対して上下方向に傾動可能に支持する構成としたが、図6に示すように、イオン放出ユニット10の上下に軸受凸部11c,11dを、支持部材11にそれに対応した軸受凹部13c,13dを設けて垂直方向に傾動軸を設け、イオン放出ユニット10を左右方向に傾動する構成としてもよい。また、これらを組み合わせてイオン放出ユニット10を上下・左右の2軸の傾動が可能な構成としてもよい。またこれらを応用して、3軸以上の傾動が可能な構成としてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、イオン放出ユニット10の傾動角度の保持を行う金属バネ15a,15bを用いているが、他の弾性体を用いてもよい。また、金属バネ15a,15bの摩擦力によってイオン放出ユニット10を任意の角度に保持しているが、任意の角度ごとにロックする機能を設け、段階的にイオン放出ユニット10の角度を調節してもよい。
【0053】
・上記実施形態では、イオン放出ユニット10の傾動範囲を規制するためのハウジング3内の所定部位14a,14bはハウジング3と同等の高い剛性にて構成されているが、その規制を図る部位14a,14bにゴム等の柔軟材を取着し、イオン放出ユニット10との衝撃を緩和するようにしてもよい。
【0054】
・上記実施形態におけるイオン発生装置20とイオン放出口4aの間において、図7に示すように、イオン放出ユニット10の内側面にウレタン等の消音材50を配置してもよい。これによりイオン発生時の放電音等を緩和でき、使用時の静粛性を高めることができる。
【0055】
・上記実施形態では、イオン放出ユニット10を1個用いて構成したが、図8に示すように、2個のイオン放出ユニット10を用いて構成してもよい。この場合、2個のイオン放出ユニット10の連結する側面のどちらか一方に軸受凹部13bを設けて互いに連結させてもよい。またこの場合、2個のイオン放出ユニット10を別々に傾動させてもよい。また、3個以上のイオン放出ユニット10を用いてもよい。
【0056】
・上記実施形態では、イオン放出ユニット10を支持部材11にて支持しているが、ハウジング3に直接的に支持する構成としてもよい。
・上記実施形態では、イオン放出ユニット10を傾動可能に支持したが、例えばスライド可能等、その他の可動可能な構成に変更してもよい。
【0057】
・上記実施形態では、ハウジング3の内側面にノズルカバー4bを当接させた構造としたが、ハウジング3の外側面にノズルカバー4bを当接させる構造としてもよい。
・上記実施形態における脚部2において、図9に示すように、脚部2の底部に美容装置1の設置角度を調整するための角度調節部材51を設けてもよい。これにより、より広範囲にイオンを放出することができる。
【0058】
・上記実施形態における脚部2において特に言及しなかったが、図2に示すように、脚部2の底部にゴム等の柔軟材による滑り止め52を設置してもよい。これにより、容易に美容装置1が移動せず、安全に使用可能となる。
【符号の説明】
【0059】
1…美容装置、3…ハウジング、3a…開口部、4…イオン放出ノズル、4a…イオン放出口、4b…ノズルカバー、10…イオン放出ユニット、20…イオン発生装置(静電霧化装置)、21…冷却装置(液体供給手段)、22…放電装置、23…放電電極、25…ペルチェ素子、30…送風装置、31a,31b,31c…送風通路、33…副流路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンを生成するイオン発生装置と、生成されたイオンを放出するための送風を行う送風装置とを備え、その送風に乗せたイオンを送風通路を介して放出口から外部に放出させる美容装置であって、
前記イオン発生装置、送風装置、送風通路及び放出口をイオン放出ユニットとして一体に構成し、前記放出口からのイオンの放出方向を変更すべく前記イオン放出ユニットを美容装置のハウジング内に可動可能に支持する構成とされていることを特徴とする美容装置。
【請求項2】
請求項1に記載の美容装置において、
前記イオン発生装置は、放電電極にて放電を行う放電装置と、前記放電電極に液体を供給する液体供給手段とを備え、前記イオンとして帯電微粒子水を生成する静電霧化装置にて構成されていることを特徴とする美容装置。
【請求項3】
請求項2に記載の美容装置において、
前記液体供給手段は、ペルチェ素子の冷却動作にて前記放電装置の放電電極に結露を生じさせ結露水として供給する冷却装置にて構成されていることを特徴とする美容装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の美容装置において、
前記イオン放出ユニットは、前記送風装置の送風方向に倣った前記送風通路及び前記放出口とするとともに、前記イオン発生装置でのイオンの放出方向をその送風方向に倣わせて構成されていることを特徴とする美容装置。
【請求項5】
請求項4に記載の美容装置において、
前記イオン発生装置は、前記送風装置の下流側に設けられていることを特徴とする美容装置。
【請求項6】
請求項5に記載の美容装置において、
前記イオン発生装置には、前記送風装置で発生する送風の一部がそのイオン発生部分に導入される副流路が設けられていることを特徴とする美容装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の美容装置において、
前記イオン放出ユニットには、前記放出口を有する筒状に突設されたイオン放出ノズルが備えられ、
前記ハウジングには、前記イオン放出ユニットのイオン放出ノズルが挿入されて前記放出口を外部に露出させるとともに、前記イオン放出ユニットの可動に伴う前記イオン放出ノズルの移動を許容する開口部が設けられていることを特徴とする美容装置。
【請求項8】
請求項7に記載の美容装置において、
前記イオン放出ユニットには、前記ハウジングの内側面における前記開口部の周縁部分に当接し、前記イオン放出ユニットの可動に伴う前記イオン放出ノズルの移動範囲において常に該ノズル以外の前記開口部を閉塞するノズルカバーが備えられていることを特徴とする美容装置。
【請求項9】
請求項8に記載の美容装置において、
前記イオン放出ユニットは、前記イオン放出ユニットの可動範囲において常に前記ノズルカバーが前記ハウジングの内側面に当接状態となるように前記ハウジングに対して支持されていることを特徴とする美容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−387(P2011−387A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147821(P2009−147821)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】