説明

翻訳サポートシステム、翻訳サポート方法、及びプログラム

【課題】第1自然言語(日本語)の文章の中で省略されている用語を適切に補完して、第2自然言語(英語)に翻訳しやすいような第1自然言語(日本語)の文章を作成する。
【解決手段】ユーザ端末10から日本語による情報を入力すると、情報記録手段20が、ユーザ端末10によって入力された日本語による入力情報を記録する。そして、解析手段40が、情報記録手段20に記録されている入力情報を抽出して形態素解析を行い、用語と品詞との関係を示す修飾要素と情報記録手段20ごとに記録された入力情報とに基づいて専用辞書を作成する。そして、解析手段40は、形態素解析によって得られた第1の情報と専用辞書に記録されている第2の情報とを比較し、ユーザ端末10から入力された日本語による文章に対して付与可能な修飾要素を検出し、検出された付与可能な修飾要素に基づいて、日本語による文章の中で省略されている用語を補完する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1自然言語から第2自然言語へ翻訳するときの翻訳精度を高めるための翻訳サポートシステム等に関し、特に、入力された日本語を、英語に翻訳しやすいような日本語に変換するための翻訳サポートシステム、翻訳サポート方法、及びその方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報分野におけるグローバル化が一段と進み、それぞれ異なる国に在住するビジネスマンの相互間で、同一の情報処理システムを利用する機会が増えてきている。そのため、情報処理システムに表示されるメニューやヘルプの画面を、多言語に対応させるためのアプリケーションも市場に多く出回ってきている。しかし、アプリケーションのインターフェースの言語が多言語に対応していても、ユーザが当該アプリケーションを用いて入力した文章は、多言語に対応されず、入力された言語のままでデータベースに保存されることが多い。言い換えると、情報処理システムの画面上に表示される言語が多言語対応になっていても、ユーザが個別に入力する自由記述項目の文章の言語は、そのユーザが日常的に利用する言語(例えば、日本語)となる。ここで、自由記述項目とは、アプリケーションの入力項目のうち、自然言語による任意の文書の入力を受け付ける項目のことである。
【0003】
特に、日本の企業においては日本語で入力することが一般的であるが、日本語は日本国以外では殆んど利用されない言語であるため、他国の言語を使う一般のビジネスマンには日本語で入力された自由記述の内容を理解して翻訳することは難しい。したがって、他国のビジネスマンに、自由記述で入力された文章の内容を理解させるためには、世界の共通語になりつつある英語に変換するのが最も効率的である。このとき、自由記述された文章に最も重要な情報が書かれていることが多いため、他国との間で情報共有を行うためには、自由記述の文章を正しく英語に翻訳することが必要である。
【0004】
ところが、日本語と英語では文法構成が異なるために、自由記述の文章を情報処理システムによって機械翻訳することは困難である。英語への翻訳精度を高めるには、日本語で記載された文章に対し、英語での表現に必要な単語を自動補完することが求められる。このような要求に応えるために、英語への翻訳精度を高めるためにインターネットを介して利用することができるSaaS(Software as a Service)やクラウド型アプリケーション等が市場に多く出回っている。SaaSは、ユーザが必要な機能や時間を任意に選んでインターネットから所望の情報をダウンロードして利用することができ、また、クラウド型アプリケーションは、ネットワークに接続して所望のアプリケーションを利用することができるアプリケーションである。
【0005】
しかしながら、これらのアプリケーションは、ユーザが自社に専用のサーバを持たない場合は、そのユーザが希望しても英語への翻訳精度を高めるための解析機能を追加することはできない。そこで、英語への翻訳精度を高めるための解析機能を独立させ、インターネットでつなげることにより、SaaS型アプリケーションやクラウド型アプリケーション(情報規則システム)と手軽に連携することができる。これにより、日本語の文章で単語や句が省略されていても、省略されている単語や句を補完して、英語に翻訳しやすい日本語を作成することができる。このようにして、文章の一部が省略された日本語を、英語に翻訳しやすい日本語に変換するように翻訳サポートを行っている。
【0006】
また、関連技術として、翻訳しようとする英語文章の中で省略されている用語を的確な用語に補完して、理解しやすい英語に翻訳するための自然言語翻訳システムの技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、例えば、日本語から英語への翻訳を行うとき、代名詞がどの名詞を指しているのか分からないような英語文章において、その代名詞を適切な名詞に置き換えて英語に翻訳することができるので、分かりやすい文章に補完して英訳することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−316163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述のような情報を記録する情報処理システムを用いるユーザは、自由記述項目に対し、短時間に多くの情報を書き込む必要があるため、文脈から判断して不要と思われるような単語や述語を省いて、省略的な表現を用いることが多い。例えば、日本人であれば、日本語で記述された文章の中で省略されている単語や述語を推測して、省略された部分の意味を理解することができるが、英語への翻訳に必要な単語や述語が省略されていると、英語への機械翻訳は不可能となる場合がある。すなわち、機械翻訳を行うためには、日本人が無意識に行っているような、省略されている単語や述語を推測して補足するという作業を行う必要がある。ところが、現在のところ、文章の中で省略されている単語や述語を推測して、省略されている単語や述語を適切に補完しながら機械翻訳をサポートするような補足作業を行う情報処理システムは開発されていない。
【0009】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、第1自然言語で書かれた文章の中で省略されている単語や述語を適切に補完して、第2自然言語に翻訳しやすいような第1自然言語の文章を作成する翻訳サポートシステム、翻訳サポート方法、及びその方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することを目的とする。なお、本発明では、第1自然言語から第2自然言語への翻訳機能は含まれていないものとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第1の構成は、入力された第1自然言語を、第2自然言語に翻訳しやすい第1自然言語に変換する翻訳サポートシステムであって、過去に入力された第1自然言語の情報に基づいて、現在入力されている第1自然言語の中で省略されている用語、又は第2自然言語への変換に必要な用語を、第1自然言語によって補完するように構成されたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第2の構成は、入力された第1自然言語を、第2自然言語に翻訳しやすい第1自然言語に変換する翻訳サポートシステムであって、第1自然言語による情報を入力するユーザ端末と、ユーザ端末によって入力された第1自然言語による入力情報を記録する情報記録手段と、入力情報を形態素解析して得られた第1の情報と、品詞と用語との関係を示す修飾要素と入力情報との対応関係を示す専用辞書に保存された第2の情報とを比較して、ユーザ端末から入力された第1自然言語による情報に対して付与可能な修飾要素を検出し、検出された付与可能な修飾要素に基づいて、第1自然言語の中で省略されている用語、又は第2自然言語への翻訳に必要な用語を、第1自然言語によって補完する解析手段とを備えてなることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の第3の構成は、入力された第1自然言語を、第2自然言語に翻訳しやすい第1自然言語に変換する翻訳サポート方法であって、過去に入力された第1自然言語の情報に基づいて、現在入力されている第1自然言語の中で省略されている用語、又は第2自然言語への変換に必要な用語を、第1自然言語によって補完することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第4の構成は、入力された第1自然言語を、第2自然言語に翻訳しやすい第1自然言語に変換する翻訳サポート方法であって、ユーザ端末が、第1自然言語による情報を入力する第1のステップと、情報記録手段が、ユーザ端末によって入力された第1自然言語による入力情報を記録する第2のステップと、解析手段が、情報記録手段に記録されている入力情報に対して形態素解析を行う第3のステップと、解析手段が、入力情報の形態素解析によって得られた第1の情報と、用語と品詞との関係を示す修飾要素と情報記録手段ごとに記録された入力情報とに基づいて作成された専用辞書に記録された第2の情報とを比較し、ユーザ端末から入力された第1自然言語による文章に対して付与可能な修飾要素を検出する第4のステップと、解析手段が、付与可能な修飾要素に基づいて、第1自然言語による文章の中で省略されている用語、又は第2自然言語への翻訳に必要な用語を補完する第5のステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の第5の構成は、前記各発明の翻訳サポート方法をコンピュータに実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の翻訳サポートシステムによれば、データベースに保存されている過去の履歴やデータから、第1自然言語(例えば、日本語)で入力された文章の中から省略されている用語を探し出し、第2自然言語(例えば、英語)に翻訳しやすいような第1自然言語(日本語)の文章に補完している。このようにして、補完された文章には、第2自然言語(英語)に翻訳するために必要な第1自然言語(日本語)の用語が含まれているため、機械翻訳であっても精度の高い翻訳結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る翻訳サポートシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す翻訳サポートシステムにおいて1つの情報記録手段と解析手段との対応関係を示すブロック図である。
【図3】本発明の翻訳サポートシステムに適用される修理依頼システムのフォーマットを示す図である。
【図4】図1に示す翻訳サポートシステムが自由記述の文章を補完する処理の流れを示すシーケンス図である。
【図5】図4における詳細A9のメニュー項目を補完する処理の流れを示す図である。
【図6】図1に示す翻訳サポートシステムが文章の補完から表示までの処理を行う具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の翻訳サポートシステムは、データベースに保存されている過去の履歴やデータに基づいて、第1自然言語(例えば、日本語)の文章の中で省略されている用語を検索し、入力された第1自然言語の文章を、第2自然言語(例えば、英語)に翻訳しやすい第1自然言語の文章に補完する。言い換えると、第1自然言語による過去の入力内容や他の入力項目から推測して、入力された文章で省略された用語や、第2自然言語への変換に必要な用語を補完する。これによって、翻訳サポートシステムは、第1自然言語によって記載された文章を、第2自然言語へ翻訳する精度を高めることができる。
【0018】
(実施形態1)
以下、図面を参照して、本発明に係る翻訳サポートシステムの幾つかの実施形態について詳細に説明する。先ず、本発明に係る翻訳サポートシステムの構成について説明する。なお、以下の実施形態では、第1自然言語を日本語、第2自然言語を英語とし、日本語の文章の中で省略されている用語を検索し、入力された日本語文章を、英語に翻訳しやすい日本語文章に補完する翻訳サポートシステムについて説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る翻訳サポートシステムの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、本発明に係る翻訳サポートシステム1は、ユーザ端末10及び情報記録手段20が、インターネット30を介して解析手段40に接続された構成となっている。ユーザ端末10は、一般的なパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)で実現されるものである。
情報記録手段20は、ユーザがユーザ端末10に入力した入力情報を記録し、格納する機能を備えている。解析手段40は、ユーザがユーザ端末10に入力した入力情報に基づいて、情報記録手段20が格納する情報の中から必要な情報を取得し、英語に翻訳するために必要な日本語の用語を補完する機能を備えている。
【0020】
このような構成により、ユーザは、ユーザ端末10を利用して、情報記録手段20へ所望の文書情報を入力する。すると、情報記録手段20は、インターネット30を介して、ユーザ端末10から入力された文書情報(入力情報)の内容を解析手段40へ送信する。これによって、解析手段40は、ユーザ端末10から入力された文書情報に対して、英語化に必要な日本語の用語を補完する。なお、図1では、情報記録手段20を1つだけ示しているが、これに限られず、例えば、一つの解析手段40に複数の情報記録手段20を接続し、解析手段40が当該複数の情報記録手段20が格納する情報に基づいて解析を行うようにしても良い。
【0021】
図2は、図1に示す翻訳サポートシステム1において1つの情報記録手段と解析手段との対応関係を示すブロック図である。図2に示すように、解析手段40は用語と品詞との関係を示す修飾要素41を格納し、A情報記録手段20aはユーザ端末10から入力された入力情報21を記録し、格納する。ここで、A情報記録手段20aとは、解析手段40に接続された複数の情報記録手段20の中の1つの情報記録手段20を示す。さらに、解析手段40は、自身が格納する修飾要素41とA情報記録手段20aに格納された入力情報とに基づいて、A情報記録手段20aに専用のA専用辞書50を作成する。
【0022】
すなわち、図2に示すように、解析手段40は、自己が格納する修飾要素41の内容と、A情報記録手段20aが格納する入力情報21の内容とに基づいて、A情報記録手段20aに専用の辞書であるA専用辞書50を作成する。言い換えると、解析手段40は、それぞれの情報記録手段ごとに、修飾要素41と入力情報21との対応関係を示す個別の辞書を作成し、それぞれの情報記録手段ごとに固有の専用辞書を備えている。
【0023】
さらに詳しく説明すると、A専用辞書50には、A情報記録手段20aに記録されている過去の入力情報が、解析手段40に格納されている修飾要素41のうちどの修飾要素に該当するかという情報内容が保存されている。また、A専用辞書50には、英語に翻訳するのに必要な品詞や文法情報などが記録されている。
【0024】
なお、辞書の生成には既存の辞書生成技術が利用される。辞書生成技術の一例を挙げると、単語区切り付き処理対象データが示す基本単語に基づいて単語の展開を実施し、生成された展開単語の1つを取り出す。そして、取り出された展開単語が最も高い重要度である重要度1の基本単語を含むか否かを判定する。ここで、展開単語内の全ての基本単語の重要度が0である場合は辞書にエントリしない。一方、展開単語内の少なくとも1つの基本単語の重要度が1である場合には、単語区切り付き処理対象データが示す展開単語として、対象となる展開単語を辞書にエントリする。このようにして、不要な単語が辞書にエントリされることがないようにして必要な単語のみによって辞書を生成する。なお、ここで挙げた辞書生成技術は一例であり、解析手段40は、他の辞書生成技術を用いて辞書の生成を行っても良い。
【0025】
再び、図1を参照すると、ユーザ端末10と情報記録手段20とが、インターネット30を介して解析手段40に接続されることにより、インターネット30に接続できる環境であれば、いずれの場所からでも解析手段40を利用することが可能になる。そのため、情報記録手段20が、インターネット30を利用したSaaS型アプリケーションやクラウド型アプリケーションであっても、解析手段40の利用が可能である。
【0026】
次に、フローチャートを参照しながら図1、図2に示す翻訳サポートシステム1の具体的な動作について説明する。ここでは、企業が顧客からの修理依頼を受け付ける修理依頼システムを例に挙げて、翻訳サポートシステムの動作を説明する。
【0027】
図3は、本発明の翻訳サポートシステムに適用される修理依頼システムのフォーマットを示す図である。すなわち、この図は、コールセンターのオペレータが、顧客から受け付けた修理依頼の内容を記録するフォーマットの画面を示している。図3に示すように、修理依頼システムのフォーマットは、企業名A1、問合せ者A2、修理内容A3、ステータスA4、予約修理日時A5、費用A6、問合せ日時A7、問合せ機器A8、詳細A9、及び購入履歴A10のそれぞれのメニュー項目に必要事項を記入するように構成されている。
この例では、詳細A9が自由記述項目となっている。
【0028】
図3に示すような修理依頼システムのアプリケーションを英語で対応する場合は、企業名A1〜問合せ機器A8のメニュー項目、及び購入機器A10のメニュー項目のように、記入内容が固有名詞や選択式項目や時間などであれば、あらかじめ英語版と日本語版を用意しておき、顧客の言語属性によって、メニュー項目に表示される言語を適宜切り替えるのみで対応することができる。例えば、選択式項目の場合、実際にデータベースに入力される値は、自然言語の文字列ではなく、顧客が選択した選択肢に割り当てられた定数であり、アプリケーションは、当該定数に関連付けられた文字列のうち、顧客の言語属性に合った文字列を表示することで、多言語の表示を実現する。
【0029】
しかしながら、詳細A9のメニュー項目のように自由記述項目に入力された文章を多言語対応させるには、自由記述項目に任意の文章が入力される都度、他の言語への翻訳または変換処理が必要となる。しかし、一般的には、入力操作を行うオペレータは、他に入力項目がある場合、他の項目から推測できる単語を省略した文章を詳細A9のメニュー項目に入力することが多い。そのため、例えば英語には主語が必須となるが、オペレータが主語を省略して日本語を入力すると、主語が何であるかを機械処理では判断できないために、英語に翻訳することが不可能となる場合がある。
【0030】
そこで、図1及び図2に示す解析手段40により、入力された日本語において省略されている用語を、詳細A9に入力された自由記述項目の文章に対して補完する。以下、日本語の文章を補完する処理の手順について、フローチャートを用いて詳細に説明する。
【0031】
図4は、図1に示す翻訳サポートシステム1が自由記述の文章を補完する処理の流れを示すシーケンス図である。また、図5は、図4における詳細A9のメニュー項目を補完する処理の流れを示す図である。従って、図4及び図5によってメニュー項目を補完する手順を説明する。
【0032】
図4において、先ず、ユーザは、ユーザ端末10を用いて情報記録手段20へ所望の情報を入力する(ステップB1)。これによって、入力された情報は情報記録手段20に保存される(ステップB2)。次に、情報記録手段20は、自身が保存する入力情報の中から、解析が必要な入力内容の項目を解析手段40へ送信する(ステップB3)。図3のメニュー項目の例では、詳細A9の自由記述の文章を送信する。ここで送信された文章は、一旦、解析手段40に一時保存される(ステップB4)。
【0033】
解析手段40は、自身が一時保存した文章に対し、形態素解析を行う(ステップB5)。なお、形態素解析とは、所定の言語の文法知識及び単語の辞書を格納するデータベースに基づいて、一の文章を、当該文章を構成する単語(形態素)に分解し、当該単語の品詞を判定する処理のことである。
【0034】
次に、解析手段40による形態素解析で得られた第1の情報と、図2のA専用辞書DB50に保存されている第2の情報(つまり、英語化に必要な品詞や文法)とを比較し、ステップB4で一時保存されている文章に付与することができる修飾要素を検出する。言い換えると、解析手段40は、英語化に必要な品詞や文法と、形態素解析で得られた解析結果とを比較し、入力された文章に付与可能な修飾要素を検出する。(ステップB6)。
【0035】
ステップB6で行う修飾要素の検出処理について、図5を用いてさらに詳しく説明する。すなわち、図3に示す詳細A9のメニュー項目において自由記述によって入力された文章C1『修理日の変更』を補完する場合は、図5に示すように、自由記述で入力された文章C1『修理日の変更』を形態素解析し、A専用辞書50に格納されている文法情報(つまり、第2の情報である英語化に必要な品詞や文法)を用いて、入力された文章に付与可能な修飾要素C2を検出する。付与可能な修飾要素C2としては、主語、動詞、時制、名詞(日時)、及び目的語などがある。
【0036】
再び、図4のシーケンス図に戻り、ステップB6において、解析手段40によって、入力された文章に付与可能な修飾要素が検出されると、この解析手段40は、付与可能な修飾要素を、情報記録手段20が格納する過去の記録情報から探し出し(ステップB7)、情報記録手段20は、該当する修飾要素のデータを解析手段40へ返す(ステップB8)。
【0037】
すると、解析手段40は、情報記録手段20から返却された付与可能な修飾要素のデータ(用語)を、ステップB4で解析手段40に一時保存された文章に追加して、新しい文章を生成する(ステップB9)。すなわち、図5に示すように、解析手段40は、付与可能な修飾要素C2に基づいて、文章C1『修理日の変更』から、新しい文章C3『ABC社の日本太郎がRN001の部品交換の修理日の変更を依頼した。』を生成して文章の補完を行う。
【0038】
再び、図4のフローチャートに戻り、ステップB9において、解析手段40が新しい文章を生成して補完を行うと、この解析手段40は、生成された新しい文章をユーザ端末10の画面に表示させる(ステップB10)。そして、ユーザは、ユーザ端末10の画面に表示された情報(つまり、新しい文章)の確認を行い、足りない情報があれば追加するなどして、最終文章に問題がなければ、この最終文章を情報記録手段20に保存する(ステップB12)。
【0039】
この際、ステップS7で過去の記録情報から検出できなかった項目については、プルダウン等で選択肢が表示され、または空欄が表示されるので、ユーザが自身で必要な情報を入力し、文章を完成させることもできる(ステップB11)。
【0040】
ここで、図4に示すシーケンス図において、ステップB10の補完された文章の表示処理から、ステップB12の最終文章の保存処理までについて具体的な例を説明する。図6は、図1に示す翻訳サポートシステム1が文章の補完から表示までの処理を行う具体例を示す図である。
【0041】
図6において、ユーザ端末10には、ユーザが入力した文章D1『修理日の変更』が自動補完されて、追加文章D2『ABC社の日本太郎』、及び追加文章D4『RN001の部品交換の修理日の変更を依頼した。』が表示される。ここで、自動補完された追加文章D2、D4には、検出できなかった情報として項目D3『性別』が、プルダウン式で選択されるか、または空欄で表示され、ユーザ自身が項目D3『性別』を入力するように促す。また、自動生成された追加文章のD2及びD4も任意に修正可能であるので、対以下文章D2及びD4の内容に問題があればユーザが自身で修正を行う。
【0042】
このようにして、文章情報の補完及び修正が完了して、ユーザ端末10で確定ボタンD5を押すと、新しい文章D6『ABC社の日本太郎(男性)がRN001の部品交換の修理日の変更を依頼した。』が表示される。その後、ユーザ端末10の画面には、『この内容でよろしいですか』と表示されるので、ユーザが保存ボタンD7を押すと最終文章が情報記録手段20のデータベースに保存される。
【0043】
以上説明したように、本発明の翻訳サポートシステムによって補完された文章には、英語に翻訳するために必要な日本語の要素が含まれているため、機械翻訳であっても精度の高い翻訳結果が得られるようになる。すなわち、本発明の翻訳サポートシステムは、データベースに保存されている過去の履歴やデータから、第1自然言語で入力された文章の中から省略されている用語を探し出し、第2自然言語に翻訳しやすいような第1自然言語の文章に補完するシステムである。
【0044】
本発明の翻訳サポートシステムは、第2自然言語(例えば、英語)に翻訳しやすい第1自然言語(例えば、日本語)の文章を作成することが目的である。また、推測できない用語(例えば、主語や動詞等がデータベースに登録されていない場合など)は、端末操作者が手動で所望の用語を入力して文章の補完を行う。そのため、一般的に用いられる頻度が高い用語を補完するような曖昧な補完作業は行わずに、端末操作者の判断に基づく用語を補完する。
【0045】
(実施形態2)
前述の実施形態1では翻訳サポートシステムについて説明したが、実施形態2として、本発明の翻訳サポートシステムは、CRM(Customer Relationship Management)システムやSFA(Sales Force Automation)システムなど、データベースに情報を記録するあらゆるシステムに応用することができる。なお、CRMシステムとは、情報システムを応用して企業が顧客と長期的な関係を築く手法である。すなわち、CRMシステムは、顧客のデータベースを元に、商品の売買、保守サービス、問い合わせ、及びクレーム対応など、個々の顧客とのやりとりを一貫して管理するシステムである。また、SFAシステムとは、顧客情報、商談情報、及び日報などのように営業活動に必要な情報を一元管理して、営業活動の後方支援を行うシステムである。
【0046】
(実施形態3)
また、本発明に係る翻訳サポート方法は、コンピュータがプログラム読み込むことによって実現される。したがって、図4のフローチャートで述べたような翻訳サポート方法における各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、前述した各処理が行われる。ここで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disk−Red Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk−Red Only Memory)、半導体メモリなどをいう。
【0047】
(まとめ)
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、この発明の具体的に構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもそれらはこの発明に含まれる。例えば、前述のプログラムを通信回線によって外部のコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 翻訳サポートシステム
10 ユーザ端末
20 情報記録手段
20a A情報記録手段
21 入力情報
30 インターネット
40 解析手段
41 修飾要素
50 A専用辞書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された第1自然言語を、第2自然言語に翻訳しやすい第1自然言語に変換する翻訳サポートシステムであって、
過去に入力された前記第1自然言語の情報に基づいて、現在入力されている前記第1自然言語の中で省略されている用語、又は前記第2自然言語への変換に必要な用語を、前記第1自然言語によって補完することを特徴とする翻訳サポートシステム。
【請求項2】
入力された第1自然言語を、第2自然言語に翻訳しやすい第1自然言語に変換する翻訳サポートシステムであって、
第1自然言語による情報を入力するユーザ端末と、
前記ユーザ端末によって入力された前記第1自然言語による入力情報を記録する情報記録手段と、
前記入力情報を形態素解析して得られた第1の情報と、品詞と用語との関係を示す修飾要素と前記入力情報との対応関係を示す専用辞書に保存された第2の情報とを比較して、前記ユーザ端末から入力された前記第1自然言語による情報に対して付与可能な修飾要素を検出し、検出された付与可能な修飾要素に基づいて、前記第1自然言語の中で省略されている用語、又は前記第2自然言語への翻訳に必要な用語を、前記第1自然言語によって補完する解析手段と
を備えることを特徴とする翻訳サポートシステム。
【請求項3】
前記解析手段は、複数の前記情報記録手段を接続し、それぞれの前記情報記録手段に対応した前記専用辞書を備え、
それぞれの前記専用辞書には、対応する前記情報記録手段に記録されている過去の入力情報と前記修飾要素との対応関係、及び前記第2自然言語への翻訳化に必要な品詞と文法情報が、前記第2の情報として記録されていることを特徴とする請求項2に記載の翻訳サポートシステム。
【請求項4】
付与可能な前記修飾要素のうち所望の修飾要素が検出されないときは、前記ユーザ端末に選択肢又は空欄を表示させ、該ユーザ端末から所望の用語を入力させるように促すことを特徴とする請求項3に記載の翻訳サポートシステム。
【請求項5】
入力された第1自然言語を、第2自然言語に翻訳しやすい第1自然言語に変換する翻訳サポート方法であって、
過去に入力された第1自然言語の情報に基づいて、現在入力されている第1自然言語の中で省略されている用語、又は第2自然言語への変換に必要な用語を、前記第1自然言語によって補完することを特徴とする翻訳サポート方法。
【請求項6】
入力された第1自然言語を、第2自然言語に翻訳しやすい第1自然言語に変換する翻訳サポート方法であって、
ユーザ端末が、前記第1自然言語による情報を入力する第1のステップと、
情報記録手段が、前記ユーザ端末によって入力された前記第1自然言語による入力情報を記録する第2のステップと、
解析手段が、前記情報記録手段に記録されている前記入力情報に対して形態素解析を行う第3のステップと、
前記解析手段が、前記入力情報の形態素解析によって得られた第1の情報と、用語と品詞との関係を示す修飾要素と前記情報記録手段ごとに記録された入力情報とに基づいて作成された専用辞書に記録された第2の情報とを比較し、前記ユーザ端末から入力された前記第1自然言語による文章に対して付与可能な修飾要素を検出する第4のステップと、
前記解析手段が、付与可能な前記修飾要素に基づいて、前記第1自然言語による文章の中で省略されている用語、又は前記第2自然言語への翻訳に必要な用語を補完する第5のステップと
を含むことを特徴とする翻訳サポート方法。
【請求項7】
入力された第1自然言語を、第2自然言語に翻訳しやすい第1自然言語に変換する翻訳サポートシステムを、
過去に入力された前記第1自然言語の情報に基づいて、現在入力されている前記第1自然言語の中で省略されている用語、又は前記第2自然言語への変換に必要な用語を、前記第1自然言語によって補完する機能部
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−175435(P2011−175435A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38745(P2010−38745)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】