説明

耐性デンプン製品の製造

耐性デンプン製品の製造
デンプンの製造方法は、アミロペクチンを含んでなる原料デンプンをグルカノトランスフェラーゼで処理し、鎖延長したデンプンを製造すること、前記鎖延長したデンプンを脱分岐酵素で処理し、アミロース断片を含んでなるデンプン製品を製造すること、前記デンプン製品の少なくとも一部を結晶化させること、前記デンプン製品を水分の存在下で加熱すること、前記デンプン製品をアルファ-アミラーゼで処理すること、および前記デンプン製品を洗浄し、少なくとも一部の結晶化されていないデンプンを除去することを含んでなる。本方法の製品は、食物繊維含有量が比較的高い。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
デンプンは、2種類の多糖、すなわちアミロースおよびアミロペクチンを含む。アミロースは、一般的に、アルファ1−4グリコシド結合により接続されたグルコース単位を含む線状重合体である。アミロペクチンは、グルコース単位の多くがアルファ1−4グリコシド結合により接続されているが、一部はアルファ1−6グリコシド結合により接続されている、分岐した重合体である。
【0002】
アルファ−アミラーゼは、人体中に存在し、デンプン中のアルファ1−4結合を加水分解し、デンプンを消化する酵素である。特定の状況では、例えばデンプンのカロリー含有量を下げるために、またはその食物繊維含有量を増加させるために、アルファ−アミラーゼによる加水分解に抵抗するデンプンを製造することが望ましい。しかし、そのようなデンプンを製造する試みは、過去においては、例えば高いコスト等のような一つ以上の問題があるのが難点であった。
【0003】
アミラーゼ耐性デンプンは、通常、高価であることが多い高アミロースデンプンから製造する。アルファ−アミラーゼ耐性デンプンの製造に好適な、アミロース含有量が高いデンプンを製造するための改良された方法が求められている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一実施態様においては、デンプン製品を製造する方法であって、(a)原料デンプンをグルカノトランスフェラーゼで処理し、鎖延長したデンプンを製造すること、(b)前記鎖延長したデンプンを脱分岐酵素で処理し、アミロース断片を含んでなるデンプン製品を製造すること、(c)前記デンプン製品の少なくとも一部を結晶化させること、(d)前記デンプン製品を、水分の存在下で加熱すること、(e)前記デンプン製品をアルファ−アミラーゼで処理すること、および(f)前記デンプン製品を洗浄し、少なくとも一部の結晶化されていないデンプンを除去すること、を含んでなる方法である。本発明による方法においては、洗浄後に残留デンプン製品を回収することを含む。本発明による方法のいくつかの実施態様においては、グルカノトランスフェラーゼで処理する前に、原料デンプンを加熱し、少なくとも部分的にゼラチン化する。
【0005】
本発明の実施態様においては、デンプン製品の少なくとも約38重量%が、重合度(DP)が少なくとも約35であるアミロース断片を含んでなる。本方法は、所望により、アミロース断片を回収することをさらに包含する。別の選択肢として、本発明による方法は、デンプン製品の溶液または分散液をメンブラン濾過し、重合度(DP)が少なくとも約35であるアミロース断片の濃度を増加させることを包含することができる。
【0006】
本発明の別の実施態様においては、デンプン製品を製造する方法であって、原料デンプンをグルカノトランスフェラーゼで処理し、鎖延長したデンプンを製造すること、前記鎖延長したデンプンを脱分岐酵素で処理し、アミロース断片を含んでなるデンプン製品を製造すること、前記デンプン製品の少なくとも一部を結晶化させること、前記デンプン製品を水分の存在下で加熱すること、および前記デンプン製品を洗浄し、少なくとも一部の結晶化されていないデンプンを除去すること、を含んでなる方法である。アルファ−アミラーゼによる処理を行わないこと以外は、この方法の様々な実施態様は、上記の方法と類似しているか、または同じである。
【0007】
本発明の別の実施態様は、上記方法のいずれかにより製造されたデンプン製品である。本発明の実施態様においては、アミロース断片の少なくとも約40重量%が、少なくとも約35の重合度(DP)を有する。デンプン製品の製造に使用する方法がメンブラン濾過を包含する場合、ある実施態様においては、アミロース断片の少なくとも約50重量%が、少なくとも約35の重合度(DP)を有する。場合によっては、デンプン製品が、約105℃を超えるピーク融解温度を有する。
【0008】
本発明の別の実施態様は、上記のデンプン製品を含む食品である。
【具体的な実施態様の説明】
【0009】
本発明の一実施態様は、アミロース含有量が比較的高いデンプンを製造する方法である。この方法は、アミロペクチンを含んでなる原料デンプンをグルカノトランスフェラーゼで処理し、デンプン鎖の少なくとも一部を延長すること、および鎖延長したデンプンを脱分岐酵素で処理し、アミロース断片を製造することを包含する。次いで、これらのアミロース断片を結晶化させ、耐性デンプン製品を製造することができる。
【0010】
通常のデントコーンスターチを酵素により脱分岐し、単鎖アミロース断片を形成することはできるが、デンプンのアミロペクチン成分は、通常、比較的短い分岐鎖で構成されているので、製品が、酵素耐性に必要な長い鎖長をほとんど含まない。グルカノトランスフェラーゼで変性していない脱分岐されたデントコーンスターチは、典型的には、DP35以上の鎖長含有量(すなわち、少なくとも35の重合度を有するデンプン分子)、が35%未満であり従って、耐性デンプンに必要な熱的安定性を有しない。さらに、脱分岐されたデントスターチは、アミロースからの長鎖長画分ならびにアミロペクチンからの単鎖を含む。この不均質な鎖長の組合せは、結晶化およびアミラーゼ耐性にとって最適ではない。
【0011】
本発明による方法で使用する原料デンプンは、デントコーン、ワックス質コーン、高アミロースae遺伝子組換えコーン(aeはコーン繁殖業者に一般的に公知の遺伝子変異の名称であり、「アミロース延長剤(extender)」の略である)、ジャガイモ、タピオカ、米、豆、小麦、ワックス質小麦、を包含する様々な供給源に由来するデンプン、ならびにこれらのデンプンに由来する精製アミロース、および国際公開第WO00/14249号(この文献は引用されることにより本願の開示の一部とされる。)により製造されるアルファ−1,4グルカン、およびこれらのデンプン供給源の2種類以上の組合せでよい。化学的に変性されたデンプン、例えばヒドロキシプロピルデンプン、アジピン酸デンプン、アセチル化デンプン、およびホスホリル化デンプンも本発明において使用できる。例えば、好適な化学的に変性したデンプンとしては、架橋デンプン、アセチル化し、有機的にエステル化したデンプン、ヒドロキシエチル化およびヒドロキシプロピル化したデンプン、ホスホリル化し、無機的にエステル化したデンプン、陽イオン系、陰イオン系、非イオン系、および双生イオン系デンプン、およびデンプンのコハク酸および置換されたコハク酸誘導体があるが、これらに限定されるものではない。そのような変性は、この分野で、例えば変性デンプン:特性および用途(Modified Starches: Properties and Uses)、Ed.Wurzburg,CRC Press,Inc.,Florida(1986)で公知である。他の好適な変性および方法は、米国特許第4,626,288号、第2,613,206号および第2,661,349号(これら文献は引用されることにより本願の開示の一部とされる。)に開示されている。
【0012】
原料デンプンがワックス質デンプンである場合、グルカノトランスフェラーゼで処理する前に、脱分岐酵素処理により、少なくとも部分的に脱分岐することができる。この目的に好適な脱分岐酵素としては、プルラナーゼおよびイソアミラーゼがある。これによって、グルカノトランスフェラーゼによりアミロペクチン非還元末端に転移され、より長い分岐鎖を形成する断片の供給源が得られる。
【0013】
4−α−グルカノトランスフェラーゼ[2.4.1.25]は、1,4−アルファ−D−グルカンの部分の、グルコースまたは別の1,4−アルファ−D−グルカンでよい受容体中の新しい位置への転移に触媒作用する酵素である。グルカノトランスフェラーゼは、マルトシル部分の、マルトトリオース受容体への転移に触媒作用し、グルコースを放出する。放出されたグルコースは、酵素活性の測定に使用できる。
【0014】
グルカノトランスフェラーゼ活性を測定するための好適な検定は、下記の通りである。この検定では、マルトトリオースを基質および受容体分子の両方として使用する。この反応でグルコースが放出され、一般的なグルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ検定の改良版により、測定することができる(Werner,W.ら(1970)Z.Analyt.Chem.252:224)。GOD−Perid溶液は、WAKOからのGlucose Release Kitから得ることができるか、または0.4 g/lグルコースオキシダーゼ(Sigma G6125またはG7773)、0.013g/l HRP(Sigma P8125)、および0.65g/l ABTS (Calbiochem #194430)を包含する65mMリン酸ナトリウム、pH7で調製することができる。0.04NのNaOH溶液も使用する。基質溶液は、1%マルトトリオース(50mMリン酸塩緩衝液10ml中、マルトトリオース0.1g、pH6.0)である。
【0015】
標準曲線
グルコース溶液 グルコース0.1806 gをMQ HO500 ml中に秤量。
【0016】
【表1】

【0017】
基質溶液120μlを、選択された温度、例えば60℃、で、10分間予備培養する。酵素溶液20μlを基質溶液に加え、反応混合物を60°で10分間培養する。0.04 NのNaOH20μlを加えて反応を停止させる。次いで、20μlを96ウェルマイクロ滴定板に移し、GOD−Perid溶液230μlを加える。室温で30分後、420 nmで吸光度を測定する。酵素活性をグルコースの標準曲線に対して0〜0.5μmolグルコース範囲で計算する。1単位(U)の活性は、1μmolグルコース/分を放出する酵素の量として定義される。
【0018】
本発明による方法のいくつかの実施態様においては、グルカノトランスフェラーゼを原料デンプン1グラムあたり約1〜18,000GTUの量で使用する。別の実施態様では、原料デンプン1グラムあたり、グルカノトランスフェラーゼを約10〜18GTUの量で使用する。所望により、グルカノトランスフェラーゼを、複数の量で使用し、時間をおいて原料デンプンに供給する。
【0019】
原料デンプンをグルカノトランスフェラーゼで処理することにより、アミロペクチン分子上の鎖が延長される。この処理は、例えば、水性の溶液または懸濁液中で、温度約70〜100℃およびpH約5.0〜8.5で行うことができる。その結果、最終製品のDP35以上の含有量が38%を超え、場合によっては40%を超え、鎖長がはるかにより均一になり、これは、多分散指数が、脱分岐したデントコーンスターチに対する約8に対して2〜4であることにより示される。本発明のいくつかの実施態様においては、グルカノトランスフェラーゼの使用量は、デンプン100グラムあたり、約1〜15ml、好ましくは約5〜12ml/100gである。グルカノトランスフェラーゼはデンプンと、1回の使用量で接触させるか、または複数の使用量に分けることができる。本発明の一実施態様においては、総使用量を3つの部分に分割し、それらを時間をおいて(例えば各2.5ml/100gで3回の使用量に分けて)、少なくとも1時間の間隔で、供給する。いくつかの実施態様においては、反応温度は約75〜85℃、反応時間は約8時間未満、好ましくは約6時間未満でよい。
【0020】
所望により、脱分岐の前に、鎖延長したデンプンに別のデンプン系材料を加えることができる。例えば、マルトデキストリンを加えることができる。
【0021】
次いで、得られた鎖延長したデンプンを、脱分岐酵素、例えばイソアミラーゼまたはプルラナーゼ、で、例えば温度約30〜60℃、pH約4.0〜5.0で処理し、所望の長さを有する断片を製造することができる。本方法の幾つかの実施態様では、脱分岐酵素は、鎖延長したデンプン1グラムあたり、少なくとも約0.1mlの量で使用する。別の実施態様では、鎖延長したデンプン1グラムあたり、少なくとも約1.0mlの量で使用する。本発明の特定の実施態様では、デンプン1グラムあたり、イソアミラーゼ約1〜10mg、好ましくは約1〜5mgを使用する。
【0022】
DP35以上の含有量は、高温、例えば約60〜120℃、より典型的には約60〜90℃、さらに典型的には70〜85℃で微小濾過による分別により、50%強に濃縮することができる。脱分岐した、グルカノトランスフェラーゼ処理したデンプン製品は、微小濾過の後、約105℃を超えるピーク融解温度を有し、約98℃に加熱した後、少なくとも約80重量%の耐性デンプンを含むことができる。
【0023】
所望により、工程(b)で脱分岐したデンプン製品は、ジェットクッカー中でゼラチン化し、デンプンを可溶化させ、次いで約20〜90℃に冷却し、結晶化させる。
【0024】
所望により、デンプン製品を、水分の存在下で、少なくとも約90℃の温度で、または幾つかの実施態様では、少なくとも約98℃で熱処理することができる。本方法の実施態様においては、工程(d)において、デンプン製品を約100〜150℃に、含水量約15〜35重量%で加熱する。別の実施態様では、工程(d)において、デンプン製品を約120〜130℃に、含水量約22〜26重量%で加熱する。場合により、この熱−水処理により、デンプン製品の総食物繊維(TDF)含有量および/または耐性デンプン(RS)含有量を増加させることができる。例えば、ある実施態様においては、工程(d)における熱−水処理の前に、デンプン製品の総食物繊維(TDF)含有量が少なくとも約10重量%であるか、または場合により、工程(d)における熱−水処理の前に、TDF含有量が約30重量%を超える。ある実施態様においては、工程(d)における熱−水処理の後、デンプン製品のTDF含有量が少なくとも約50重量%であるか、または場合により、工程(d)における熱−水処理の後、TDF含有量が約75重量%を超える。ある実施態様においては、工程(d)における熱−水処理の前に、デンプン製品の耐性デンプン(RS)含有量が少なくとも40重量%であり、場合により、工程(d)における熱−水処理の後、RS含有量が約80重量%を超える。
【0025】
熱水処理により、本発明の幾つかの実施態様では、デンプンのTDF(AOAC991.43)を約15〜35%から約75〜80%に増加させることができる。
【0026】
本方法の一実施態様においては、原料デンプンを水中、15%固体でスラリー化し、希釈したNaOHでpHを5.5に調節する。このスラリーをオートクレーブ中に入れ、140℃に30分間加熱する。85℃に冷却し、pHを5.5に調節した後、グルカノトランスフェラーゼを加え、24時間反応させる。pHを3.0未満に下げることにより、酵素を失活させる。140℃に1時間加熱することにより、デンプンを分散させ、次いで45℃に冷却し、pHを4.5に調節する。イソアミラーゼを加え、18〜24時間反応させる。混合物を85℃に1時間加熱して酵素を失活させる。必要であれば、140℃加熱および45℃およびpH4.5における酵素処理を繰り返すことにより、生成物を再度イソアミラーゼで処理することができる。次いで、生成物を分別し、長鎖成分の含有量を増加させることができる。これは、例えば結晶化し、脱分岐した生成物の、細孔径約0.45ミクロンのセラミックメンブランを使用する微小濾過または限外濾過により、行うことができる。脱イオン水を加えることにより、リテンテート(retentate)の体積を維持しながら、出発スラリーの体積に対して、1.5〜2.5体積の透過物(permeate)を集めた後、リテンテートを濃縮し、噴霧乾燥することにより、または遠心分離し、加熱炉乾燥させることにより、生成物を単離する。
【0027】
本方法の別の実施態様においては、かなりの百分率の耐性デンプンを含んでなるデンプン製品を、(a)原料デンプンをグルカノトランスフェラーゼで処理し、鎖延長したデンプンを製造すること、(b)前記鎖延長したデンプンを脱分岐酵素で処理し、アミロース断片を含んでなるデンプン製品を製造すること、(c)前記デンプン製品の少なくとも一部を結晶化させること、(d)前記デンプン製品を水分の存在下で加熱すること、(e)前記デンプン製品をアルファ−アミラーゼで処理すること、および(f)前記デンプン製品を洗浄することにより、製造することができる。残留デンプン製品は、洗浄した後(すなわち、結晶化されていない成分の少なくとも一部、好ましくはそのような成分の大部分を、洗浄により除去した後)に、回収することができる。多くの場合、グルカノトランスフェラーゼで処理する前に、原料デンプンを加熱し、少なくとも部分的にゼラチン化する。
【0028】
工程(d)における熱/水処理により、デンプン製品中の総食物繊維(TDF)および耐性デンプン(RS)の百分率が増加する。耐性デンプン含有量は、Englystらの方法(Eur.J.Clinical Nut.(1992)46(Suppl.2),S33−S50,「栄養的に重要なデンプン画分の分類および測定(Classification and Measurement of Nutritionally Important Starch Fractions)」)を使用して分析した。(本発明における、材料中の耐性デンプンの百分率は全てEnglyst検定により測定する)
【0029】
この工程に関する好適な条件の一例として、デンプン製品を、初期含水量約20〜35重量%で、約120〜150℃に、約1〜12時間加熱する。本発明の幾つかの実施態様では、デンプン製品を、初期含水量約25〜27重量%で、約125〜135℃に加熱する。この工程の結果、本方法の実施態様においては、デンプン製品が、TDF含有量約70〜80重量%、DSCエンタルピー約22Joules/gram、および良好な熱的安定性を有する。
【0030】
デンプン製品をアルファ−アミラーゼで処理し、洗浄する追加工程により、少なくとも一部の結晶化されていないデンプンを除去し、TDF含有量を増加させることができる。結晶化されていない材料は、アミラーゼによる分解に対してより敏感な傾向があり、従って、その除去は、通常、生成物のTDFおよびRS値を押し上げることになる。幾つかの実施態様では、これらの追加工程の結果、回収されるデンプン製品の少なくとも約50重量%が、重合度(DP)約24〜100(全てを含める)のオリゴマーであり、場合により、回収されるデンプン製品の少なくとも約75重量%が、DP約24〜100を有する。ある実施態様においては、回収されるデンプン製品のエンタルピーが、示差走査熱量測定により測定して、少なくとも約20Joules/gramである。ある実施態様においては、回収されるデンプン製品のピーク融解温度が約105℃を超え、TDF含有量が少なくとも約85重量%であり、エンタルピーが、示差走査熱量測定により測定して、少なくとも約27Joules/gramである。特定の実施態様では、デンプン製品のTDF値が85〜90重量%であり、DSCエンタルピーが約28Joules/gramである。
【0031】
本方法の利点の一つは、デントコーンから高TDFデンプン製品を製造することができ、アミロース含有量が異常に高い原料デンプンを必要としないことである。これによって、本方法がより経済的になる。
【0032】
本方法により製造される製品は、高百分率の、アルファ−アミラーゼに耐性があるアミロースを含む。耐性デンプンは、多くの食品に添加し、それらのカロリー密度およびグリセミックインデックスを下げ、食物繊維を増加し、結腸におけるプロバイオティック効果を高めることができる。
【0033】
本方法により製造されるデンプン製品は、食品、例えば低カロリー焼食品(baked goods)、における充填材または小麦代替品として使用することができる。このデンプンは、食品における食物繊維強化にも有用である。デンプンを使用できる食品の具体例としては、パン、ケーキ、クッキー、クラッカー、押出スナック、スープ、冷凍デザート、フライ食品、パスタ製品、ポテト製品、米製品、コーン製品、小麦製品、乳製品、栄養補給バー、糖尿病食品、および飲料がある。
【0034】
デンプン製品は、少なくとも幾つかの実施態様では、少なくとも約90℃、場合により少なくとも約100℃の水中で熱的に安定しており、高温および水分のある条件下で処理する食品に使用することができる。
【0035】
本発明の実施態様においては、デンプン製品は、A形態、B形態、またはそれらの組合せの結晶性形態(広角X線回折技術により測定して)を有する。言い換えると、この製品は、100%A形態結晶、100%B形態結晶、またはそれら2形態の混合物を含んでなることができる。
【実施例】
【0036】
本発明の特定の実施態様を下記の例で説明する。
【0037】
例1
熱/水処理した耐性デンプンの製造
通常のデントコーンスターチ250 lbおよび水1420lbを容器に加え、15%デンプンスラリーを形成した。このデンプンスラリーを約149℃、供給速度約2.0gpmでジェットクッカー処理し、得られたペーストをタンク中に流し込み、攪拌しながら約88℃に保持した。タンク中に入るデントコーンスターチ中に、合計約8,000 GTU/lbデンプンの4−α−グルカノトランスフェラーゼ酵素(Novozymesから入手)を、ペーストがタンク中にポンプ供給される期間全体にわたって注入した。この混合物を 攪拌しながら88℃で3時間反応させた。希硫酸を加えてpHを3.8〜3.9に調節し、反応器内容物を、熱交換機を通して、攪拌し、55℃に維持しているタンク中にポンプ輸送することにより、約55℃に急冷した。このスラリーに、0.1ml/100 gデンプンの、Hayashibara Co.から入手したイソアミラーゼ酵素を加え、pHを3.8〜3.9に維持しながら、酵素を55℃で16時間反応させた。次いで、スラリーを約149℃でジェットクッカー処理し、攪拌しながら、55℃に徐々に冷却し、次いで55℃で一晩保持し、結晶形成を促進した。次いで、スラリーを、バスケット遠心分離機で脱水し、トレー乾燥機中で約10%含水量に一晩乾燥させた。耐性デンプン製品を、US#40メッシュ篩を通過するように粉砕した。上記の方法から得た耐性デンプン55 lbに、攪拌しながら、十分な水を加え、総含水量を25%にした。デンプンケーキを、蒸気ジャケットを備えたLittleford Reactor中に入れ、窒素雰囲気中で攪拌しながら約126℃に2時間加熱した。次いで、混合物を冷却し、Littleford Reactorから取り出し、約10%含水量にトレー乾燥させた。得られた熱/水処理した耐性デンプン製品を、US#40メッシュ篩を通過するように粉砕した。
【0038】
高TDFα−アミラーゼ酵素処理した耐性デンプン製品の製造
上記の熱/水処理した耐性デンプン200gに、水800gを加え、希釈ソーダ灰溶液を滴下しながら加えることにより、pHを約8.2に調節した。このスラリーを2リットルの丸底フラスコ中で95℃に加熱し、Megazyme Total Dietary Fibreキットから得たアルファ−アミラーゼ酵素(3,000単位/ml)10mlを加え、フラスコおよび内容物を温度制御した水浴中に浸漬することにより、スラリーを95℃に維持した。95℃で1時間の反応後、スラリーの半分を除去し、Buchner漏斗上で濾過し、次いで脱イオン水300 mlで洗浄した。湿ったケーキを50℃加熱炉中で一晩乾燥させた。乾燥した製品を、US#40メッシュ篩を通過するように粉砕した。この乾燥耐性デンプン製品の収率は、77.8%であると計算された。スラリーの残り半分を2時間反応させた後、洗浄し、乾燥させ、粉砕市、上記のように篩にかけた。この乾燥耐性デンプン製品の収率は、78.6%であると計算された。アルファ−アミラーゼ処理した熱/水処理した耐性デンプン製品の分析を下記の表1に示す。
【0039】
【表2】

【0040】
例2
耐性デンプンの製造
通常のデントコーンスターチ250lbを十分な水に加え、17.5%デンプンスラリーを形成した。このデンプンスラリーを約149℃、供給速度約2.0gpmでジェットクッカー処理し、得られたペーストをタンク中に流し込み、攪拌しながら約88℃に保持した。4−α−グルカノトランスフェラーゼ酵素(Novozymesから入手)を、タンク中に入るデントコーンスターチ中に加えた。合計約8,000GTU/(lbデンプン)を、ペーストがタンク中にポンプ供給される期間全体にわたって加えた。この混合物を 攪拌しながら88℃で3時間反応させた。希硫酸を加えてpHを3.8〜3.9に調節し、反応器内容物を、熱交換機を通して、攪拌し、55℃に維持しているタンク中にポンプ輸送することにより、約55℃に急冷した。このスラリーに、0.1ml/100 gデンプンの、Hayashibara Co.から入手したイソアミラーゼ酵素を加え、pHを3.8〜3.9に維持しながら、酵素を55℃で16時間反応させた。次いで、スラリーを約148℃でジェットクッカー処理し、攪拌しながら、55℃に徐々に冷却し、次いで55℃で一晩保持し、結晶形成を促進した。次いで、スラリーのpHを6.0〜7.0に調節し、スラリーをバスケット遠心分離機で脱水し、トレー乾燥機中で約10%含水量に一晩乾燥させた。耐性デンプン製品を、US#40メッシュ篩を通過するように粉砕した。デンプンを、ジャケットを備えた高強度ミキサーに加え、スプレーノズルを通して水を加えた。上記の方法から得た耐性デンプン60lbに、攪拌しながら、十分な水を加え、総含水量を24〜25%にした。ミキサーを密封し、ミキサージャケット中の蒸気により、デンプンを温度129℃に加熱した。デンプンを24〜25%湿分に129℃に2時間維持した。次いで、混合物を高強度ミキサー中で約10%含水量に乾燥させた。得られた熱/水処理した耐性デンプン製品を、US#40メッシュ篩を通過するように粉砕した。この例で製造した耐性デンプンの、熱水処理の前および後の両方の分析を以下に示す。
【0041】
【表3】

【0042】
【表4】

【0043】
例3
大部分が「A」型結晶である材料の製造
通常のデントコーンスターチ250lbを十分な水に加え、17.5%デンプンスラリーを形成した。このデンプンスラリーを約150℃、供給速度約2gpmでジェットクッカー処理し、得られたペーストを、約88℃に保持したタンク中に攪拌しながら流し込んだ。デントコーンスターチペースト中に、2400GTU/lbデンプンの4−α−グルカノトランスフェラーゼ酵素(Novozymesから入手)を、ペーストをタンク中にポンプ輸送する期間全体にわたって加えた。この混合物を 攪拌しながら88℃で3時間反応させた。希硫酸を加えてpHを3.8〜3.9に調節し、反応器内容物を、55℃に維持し、攪拌しているタンク中に、熱交換機を通してポンプ輸送することにより、約55℃に急冷した。このスラリーに、0.1ml/100gデンプンの、Hayashibara Co.から入手したイソアミラーゼ酵素を加え、pHを3.8〜3.9に維持しながら、酵素を55℃で16時間反応させた。次いで、スラリーを約149℃でジェットクッカー処理し、70℃に徐々に冷却した。スラリーをタンクから取り出し、65℃に設定した水浴中で攪拌している3000mLのガラス製反応器中に入れた。スラリーを反応器中、65℃で96時間攪拌した。材料をBuchner漏斗上で脱水し、トレー乾燥機中で一晩乾燥させた。続いて、実験室中で、このデンプンに熱水処理を行ったが、その際、デンプンを135℃、25%水分に3時間さらした。材料の分析を以下に示す。
【0044】
例4
完全に「B」型結晶である材料の製造
通常のデントコーンスターチ250 lbを十分な水に加え、17.5%デンプンスラリーを形成した。このデンプンスラリーを約147℃、供給速度約2gpmでジェットクッカー処理し、得られたペーストを、約88℃に保持したタンク中に攪拌しながら流し込んだ。デントコーンスターチペースト中に、8000GTU/lbデンプンの4−α−グルカノトランスフェラーゼ酵素(Novozymesから入手)を、ペーストをタンク中にポンプ輸送する期間全体にわたって加えた。この混合物を 攪拌しながら88℃で2時間反応させた。希硫酸を加えてpHを3.8〜3.9に調節し、反応器内容物を、55℃に維持し、攪拌しているタンク中に、熱交換機を通してポンプ輸送することにより、約55℃に急冷した。このスラリーに、0.1ml/100gデンプンの、Hayashibara Co.から入手したイソアミラーゼ酵素を加え、pHを3.8〜3.9に維持しながら、酵素を55℃で16時間反応させた。次いで、スラリーを約151℃でジェットクッカー処理し、55℃に、次いで55℃に一晩保持し、結晶形成を促進した。次いで、スラリーをバスケット遠心分離装置で脱水し、トレー乾燥機中で一晩、約10%含水量に乾燥させた。耐性デンプン製品を、US#40メッシュ篩を通過するように粉砕した。乾燥させた材料10lbに、熱水処理をLittleford DVT−22中、24%水分、126℃で2時間行った。材料の分析を以下に示す。
【0045】
【表5】

例5
種々の熱/水処理条件の評価
材料を遠心分離し、乾燥させる(熱水処理の前に)工程を通して、上記の例と類似の様式で材料を調製した。乾燥させた材料を様々な水分レベルおよび温度で熱水処理にかけた。実験中、攪拌しているLittleford DVT−22に9ポンドのデンプンを加えた。スプレーノズルを通して、所望の水分レベル目標に達するように、水を加えた。Littleford DVT−22を閉じ、デンプンを、Littlefordジャケット上で蒸気により所望の温度に加熱した。材料を所望の温度に2時間維持した後、Littlefordを開き、デンプンを冷却させた。このデンプンに対して、TDF%およびDSCの分析を行い、下記の表5に示す。さらに、特定のロットに対して、結晶化度および結晶の型を測定した。
【0046】
【表6】

【0047】
例6
マイクロ濾過を使用する結晶性生成物回収の結果
循環ポンプに接続した加熱ジャケットを備えた貯蔵部およびMillipore0.45ミクロンセラミックメンブランを含むハウジングを含んでなる装置で、マイクロ濾過を行った。ジャケットを循環オイル浴で加熱し、メンブランハウジングを電気加熱テープで加熱した。メンブランハウジングを一般的に貯蔵部温度より10〜15℃高く維持し、メンブランにおける脱分岐した材料の結晶化を防止した。
【0048】
グルカノトランスフェラーゼ処理したデントコーンスターチ懸濁液(約5%固体で1056.9g)を、脱イオン水297gで希釈し、マイクロ濾過貯蔵部中で循環により80℃に加熱し、1時間保持してから、メンブランハウジングから透過物の吸引を開始した。透過物を集めた後、等体積の脱イオン水を貯蔵部に加えた。透過物3360gを集めた後、リテンテート(1236g)を貯蔵部から取り出し、冷蔵庫に入れたビーカー中で冷却させた。リテンテートは乾燥固体34.1gを含み、透過物は乾燥固体9.0gを含んでいた。スラリーを式3A(formula 3A)エタノールで希釈し、濾過し、乾燥させることにより、リテンテートを単離した。脱分岐した、グルカノトランスフェラーゼ処理したデンプンおよびマイクロ濾過から得たリテンテートおよび透過物画分の分子量をGPCにより分析した。リテンテートを、耐性デンプン(RS)に関して試験した。結果を表6に示す。
【0049】
【表7】

【0050】
上記の具体的な例の説明は、本発明の可能な実施態様を全て挙げたものではない。当業者には明らかなように、他の実施態様は、下記の請求項の範囲内に入る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンプン製品を製造する方法であって、
(a)原料デンプンをグルカノトランスフェラーゼで処理し、鎖延長したデンプンを製造すること、
(b)前記鎖延長したデンプンを脱分岐酵素で処理し、アミロース断片を含んでなるデンプン製品を製造すること、
(c)前記デンプン製品の少なくとも一部を結晶化させること、
(d)前記デンプン製品を水分の存在下で加熱すること、
(e)前記デンプン製品をアルファ−アミラーゼで処理すること、および
(f)前記デンプン製品を洗浄し、少なくとも一部の結晶化されていないデンプンを除去すること、を含んでなる、方法。
【請求項2】
洗浄後に前記残留デンプン製品を回収することをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記原料デンプンが、デントコーン、ワックス質コーン、高アミロースae遺伝子組換えコーン、ジャガイモ、タピオカ、米、豆、小麦、ワックス質小麦、またはこれらの2種類以上の組合せに由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
グルカノトランスフェラーゼで処理する前に、前記原料デンプンを加熱し、前記デンプンを少なくとも部分的にゼラチン化する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記原料デンプンをグルカノトランスフェラーゼで、水性の溶液または懸濁液中、温度約70〜100℃およびpH約5.0〜8.5で処理する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記脱分岐酵素がイソアミラーゼまたはプルラナーゼである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記デンプン製品の溶液または分散液をメンブラン濾過し、重合度(DP)が少なくとも35であるアミロース断片の濃度を増加させることをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アミロース断片の少なくとも約40重量%が、少なくとも35の重合度(DP)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アミロース断片の少なくとも約50重量%が、少なくとも35の重合度(DP)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記グルカノトランスフェラーゼを、前記原料デンプン1グラムあたり約1〜18,000 GTUの量で使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記グルカノトランスフェラーゼを、前記原料デンプン1グラムあたり約10〜18 GTUの量で使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記グルカノトランスフェラーゼを、複数の使用量で使用し、時間間隔をおいて前記原料デンプンに供給する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記脱分岐酵素を、鎖延長したデンプン1グラムあたり、少なくとも約0.1mlの量で使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記脱分岐酵素を、鎖延長したデンプン1グラムあたり、少なくとも約1.0mlの量で使用する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記工程(d)において、前記デンプン製品を、含水量約15〜35重量%で約100〜150℃に加熱する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記工程(d)において、前記デンプン製品を、含水量約22〜26重量%で約120〜130℃に加熱する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記工程(d)における前記熱−水処理の前に、前記デンプン製品の総食物繊維(TDF)値が少なくとも約10重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記工程(d)における前記熱−水処理の前に、前記デンプン製品の総食物繊維(TDF)値が約30重量%を超える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記工程(d)における前記熱−水処理の後に、前記デンプン製品の総食物繊維(TDF)値が少なくとも約50重量%である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記工程(d)における前記熱−水処理の後に、前記デンプン製品の総食物繊維(TDF)値が約75重量%を超える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記工程(d)における前記熱−水処理の前に、前記デンプン製品の耐性デンプン値が少なくとも40重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記工程(d)における前記熱−水処理の後に、前記デンプン製品の耐性デンプン値が約80重量%を超える、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記工程(b)で脱分岐した前記デンプン製品を、ジェットクッカー中でゼラチン化し、前記デンプンを可溶化させ、次いで約20〜90℃に冷却し、結晶化させる、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記デンプン製品が、A形態、B形態、またはそれらの組合せの結晶性形態を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記原料デンプンがワックス質デンプンであり、前記方法が、前記原料デンプンをグルカノトランスフェラーゼで処理する前に、前記原料デンプンを脱分岐酵素で処理することをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記回収されるデンプン製品の少なくとも約50重量%が、重合度(DP)約24〜100を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項27】
前記回収されるデンプン製品の少なくとも約75重量%が、重合度(DP)約24〜100を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記回収されるデンプン製品のピーク融解温度が約105℃を超える、請求項2に記載の方法。
【請求項29】
前記回収されるデンプン製品が、水中で少なくとも約90℃までの温度で熱的に安定している、請求項2に記載の方法。
【請求項30】
前記回収されるデンプン製品が、水中で少なくとも約100℃までの温度で熱的に安定している、請求項2に記載の方法。
【請求項31】
前記回収されるデンプン製品が、示差走査熱量測定により測定して、少なくとも約20Joules/gramのエンタルピーを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項32】
(a)原料デンプンをグルカノトランスフェラーゼで処理し、鎖延長したデンプンを製造すること、
(b)前記鎖延長したデンプンを脱分岐酵素で処理し、アミロース断片を含んでなるデンプン製品を製造すること、
(c)前記デンプン製品の少なくとも一部を結晶化させること、
(d)前記デンプン製品を水分の存在下で加熱すること、
(e)前記デンプン製品をアルファ−アミラーゼで処理すること、
(f)前記デンプン製品を洗浄し、少なくとも一部の結晶化されていないデンプンを除去すること、および
(g)残留するデンプン製品を回収すること、
を含んでなる方法により製造される、デンプン製品。
【請求項33】
前記原料デンプンが、デントコーン、ワックス質コーン、高アミロースae遺伝子組換えコーン、ジャガイモ、タピオカ、米、豆、小麦、ワックス質小麦、またはこれらの2種類以上の組合せに由来する、請求項32に記載のデンプン製品。
【請求項34】
グルカノトランスフェラーゼで処理する前に、前記原料デンプンを加熱し、前記デンプンを少なくとも部分的にゼラチン化する、請求項32に記載のデンプン製品。
【請求項35】
前記原料デンプンをグルカノトランスフェラーゼで、水性の溶液または懸濁液中、温度約70〜100℃およびpH約5.0〜8.5で処理する、請求項32に記載のデンプン製品。
【請求項36】
前記脱分岐酵素がイソアミラーゼまたはプルラナーゼである、請求項32に記載のデンプン製品。
【請求項37】
前記デンプン製品の溶液または分散液をメンブラン濾過し、重合度(DP)が少なくとも35であるアミロース断片の濃度を増加させることをさらに含んでなる、請求項32に記載のデンプン製品。
【請求項38】
前記アミロース断片の少なくとも約40重量%が、少なくとも35の重合度(DP)を有する、請求項32に記載のデンプン製品。
【請求項39】
前記アミロース断片の少なくとも約50重量%が、少なくとも35の重合度(DP)を有する、請求項32に記載のデンプン製品。
【請求項40】
前記グルカノトランスフェラーゼを、前記原料デンプン1グラムあたり約1〜18,000GTUの量で使用する、請求項32に記載のデンプン製品。
【請求項41】
前記グルカノトランスフェラーゼを、前記原料デンプン1グラムあたり約10〜18GTUの量で使用する、請求項32に記載のデンプン製品。
【請求項42】
前記グルカノトランスフェラーゼを、複数の使用量で使用し、時間間隔をおいて前記原料デンプンに供給する、請求項32に記載のデンプン製品。
【請求項43】
前記脱分岐酵素を、鎖延長したデンプン1グラムあたり、少なくとも約0.1mlの量で使用する、請求項32に記載のデンプン製品。
【請求項44】
前記脱分岐酵素を、鎖延長したデンプン1グラムあたり、少なくとも約1.0mlの量で使用する、請求項43に記載のデンプン製品。
【請求項45】
前記回収されるデンプン製品の少なくとも約50重量%が、重合度(DP)約24〜100を有する、請求項32に記載のデンプン製品。
【請求項46】
前記回収されるデンプン製品のピーク融解温度が約105℃を超える、請求項32に記載のデンプン製品。
【請求項47】
前記回収されるデンプン製品が、示差走査熱量測定により測定して、少なくとも約20Joules/gramのエンタルピーを有する、請求項32に記載のデンプン製品。
【請求項48】
デンプンを含んでなる食品であって、前記デンプンが、
(a)原料デンプンをグルカノトランスフェラーゼで処理し、鎖延長したデンプンを製造すること、
(b)前記鎖延長したデンプンを脱分岐酵素で処理し、アミロース断片を含んでなるデンプン製品を製造すること、
(c)前記デンプン製品の少なくとも一部を結晶化させること、
(d)前記デンプン製品を水分の存在下で加熱すること、
(e)前記デンプン製品をアルファ−アミラーゼで処理すること、
(f)前記デンプン製品を洗浄し、少なくとも一部の結晶化されていないデンプンを除去すること、および
(g)残留するデンプン製品を回収することを含んでなる方法により製造される、食品。
【請求項49】
前記原料デンプンが、デントコーン、ワックス質コーン、高アミロースae遺伝子組換えコーン、ジャガイモ、タピオカ、米、豆、小麦、ワックス質小麦、またはこれらの2種類以上の組合せに由来する、請求項48に記載の食品。
【請求項50】
グルカノトランスフェラーゼで処理する前に、前記原料デンプンを加熱し、前記デンプンを少なくとも部分的にゼラチン化する、請求項48に記載の食品。
【請求項51】
前記原料デンプンをグルカノトランスフェラーゼで、水性の溶液または懸濁液中、温度約70〜100℃およびpH約5.0〜8.5で処理する、請求項48に記載の食品。
【請求項52】
前記脱分岐酵素がイソアミラーゼまたはプルラナーゼである、請求項48に記載の食品。
【請求項53】
前記工程(d)において、前記デンプン製品を、含水量約15〜35重量%で約100〜150℃に加熱する、請求項48に記載の食品。
【請求項54】
前記工程(d)において、前記デンプン製品を、含水量約22〜26重量%で約120〜130℃に加熱する、請求項15に記載の食品。
【請求項55】
前記工程(d)における前記熱−水処理の前に、前記デンプン製品の総食物繊維(TDF)値が少なくとも約10重量%である、請求項48に記載の食品。
【請求項56】
前記工程(d)における前記熱−水処理の前に、前記デンプン製品の総食物繊維(TDF)値が約30重量%を超える、請求項55に記載の食品。
【請求項57】
前記工程(d)における前記熱−水処理の後に、前記デンプン製品の総食物繊維(TDF)値が少なくとも約50重量%である、請求項48に記載の食品。
【請求項58】
前記工程(d)における前記熱−水処理の後に、前記デンプン製品の総食物繊維(TDF)値が約75重量%を超える、請求項57に記載の食品。
【請求項59】
前記工程(d)における前記熱−水処理の前に、前記デンプン製品の耐性デンプン値が少なくとも40重量%である、請求項48記載の食品。
【請求項60】
前記工程(d)における前記熱−水処理の後に、前記デンプン製品の耐性デンプン値が約80重量%を超える、請求項48に記載の食品。
【請求項61】
前記工程(b)において脱分岐した前記デンプン製品を、ジェットクッカー中でゼラチン化し、前記デンプンを可溶化させ、次いで約20〜90℃に冷却し、結晶化させる、請求項48に記載の食品。
【請求項62】
前記デンプン製品が、A形態、B形態、またはそれらの組合せの結晶性形態を有する、請求項48に記載の食品。
【請求項63】
前記デンプン製品の溶液または分散液をメンブラン濾過し、重合度(DP)が少なくとも35であるアミロース断片の濃度を増加させることをさらに含んでなる、請求項48に記載の食品。
【請求項64】
前記アミロース断片の少なくとも約40重量%が、少なくとも35の重合度(DP)を有する、請求項48に記載の食品。
【請求項65】
前記アミロース断片の少なくとも約50重量%が、少なくとも35の重合度(DP)を有する、請求項48に記載の食品。
【請求項66】
前記グルカノトランスフェラーゼを、前記原料デンプン1グラムあたり約1〜18,000GTUの量で使用する、請求項48に記載の食品。
【請求項67】
前記グルカノトランスフェラーゼを、前記原料デンプン1グラムあたり約10〜18GTUの量で使用する、請求項48に記載の食品。
【請求項68】
前記回収されるデンプン製品の少なくとも約50重量%が、重合度(DP)約24〜100を有する、請求項48に記載の食品。
【請求項69】
前記回収されるデンプン製品のピーク融解温度が約105℃を超える、請求項48に記載の食品。
【請求項70】
前記回収されるデンプン製品が、示差走査熱量測定により測定して、少なくとも約20Joules/gramのエンタルピーを有する、請求項48に記載の食品。
【請求項71】
デンプン製品を製造する方法であって、
(a)原料デンプンをグルカノトランスフェラーゼで処理し、鎖延長したデンプンを製造すること、
(b)前記鎖延長したデンプンを脱分岐酵素で処理し、アミロース断片を含んでなるデンプン製品を製造すること、
(c)前記デンプン製品の少なくとも一部を結晶化させること、
(d)前記デンプン製品を水分の存在下で加熱すること、および
(e)前記デンプン製品を洗浄し、少なくとも一部の結晶化されていないデンプンを除去すること、
を含んでなる、方法。
【請求項72】
洗浄後に前記残留デンプン製品を回収することをさらに含んでなる、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記原料デンプンが、デントコーン、ワックス質コーン、高アミロースae遺伝子組換えコーン、ジャガイモ、タピオカ、米、豆、小麦、ワックス質小麦、またはこれらの2種類以上の組合せに由来する、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
グルカノトランスフェラーゼで処理する前に、前記原料デンプンを加熱し、前記デンプンを少なくとも部分的にゼラチン化する、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
前記原料デンプンをグルカノトランスフェラーゼで、水性の溶液または懸濁液中、温度約70〜100℃およびpH約5.0〜8.5で処理する、請求項71に記載の方法。
【請求項76】
前記脱分岐酵素がイソアミラーゼまたはプルラナーゼである、請求項71に記載の方法。
【請求項77】
前記デンプン製品の溶液または分散液をメンブラン濾過し、重合度(DP)が少なくとも35であるアミロース断片の濃度を増加させることをさらに含んでなる、請求項71に記載の方法。
【請求項78】
前記グルカノトランスフェラーゼを、前記原料デンプン1グラムあたり約1〜18,000GTUの量で使用する、請求項71に記載の方法。
【請求項79】
前記グルカノトランスフェラーゼを、複数の使用量で使用し、時間間隔をおいて前記原料デンプンに供給する、請求項71に記載の方法。
【請求項80】
前記脱分岐酵素を、鎖延長したデンプン1グラムあたり、少なくとも約0.1mlの量で使用する、請求項71に記載の方法。
【請求項81】
前記工程(d)において、前記デンプン製品を、含水量約15〜35重量%で約100〜150℃に加熱する、請求項71に記載の方法。
【請求項82】
前記工程(d)において、前記デンプン製品を、含水量約22〜26重量%で約120〜130℃に加熱する、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記工程(d)における前記熱−水処理の前に、前記デンプン製品の総食物繊維(TDF)値が少なくとも約10重量%である、請求項71に記載の方法。
【請求項84】
前記工程(d)における前記熱−水処理の後に、前記デンプン製品の総食物繊維(TDF)値が少なくとも約50重量%である、請求項71に記載の方法。
【請求項85】
前記工程(d)における前記熱−水処理の前に、前記デンプン製品の耐性デンプン値が少なくとも40重量%である、請求項71に記載の方法。
【請求項86】
前記工程(b)において脱分岐した前記デンプン製品を、ジェットクッカー中でゼラチン化し、前記デンプンを可溶化させ、次いで約20〜90℃に冷却し、結晶化させる、請求項71に記載の方法。
【請求項87】
前記デンプン製品が、A形態、B形態、またはそれらの組合せの結晶性形態を有する、請求項71に記載の方法。
【請求項88】
前記回収されるデンプン製品の少なくとも約50重量%が、重合度(DP)約24〜100を有する、請求項72に記載の方法。
【請求項89】
前記回収されるデンプン製品のピーク融解温度が約105℃を超える、請求項72に記載の方法。
【請求項90】
前記回収されるデンプン製品が、水中で少なくとも約90℃までの温度で熱的に安定している、請求項72に記載の方法。
【請求項91】
前記回収されるデンプン製品が、示差走査熱量測定により測定して、少なくとも約20Joules/gramのエンタルピーを有する、請求項72に記載の方法。
【請求項92】
(a)原料デンプンをグルカノトランスフェラーゼで処理し、鎖延長したデンプンを製造すること、
(b)前記鎖延長したデンプンを脱分岐酵素で処理し、アミロース断片を含んでなるデンプン製品を製造すること、
(c)前記デンプン製品の少なくとも一部を結晶化させること、
(d)前記デンプン製品を水分の存在下で加熱すること、および
(e)前記デンプン製品を洗浄し、少なくとも一部の結晶化されていないデンプンを除去すること、
を含んでなる方法により製造された、デンプン製品。
【請求項93】
デンプンを含んでなる食品であって、前記デンプンが、
(a)原料デンプンをグルカノトランスフェラーゼで処理し、鎖延長したデンプンを製造すること、
(b)前記鎖延長したデンプンを脱分岐酵素で処理し、アミロース断片を含んでなるデンプン製品を製造すること、
(c)前記デンプン製品の少なくとも一部を結晶化させること、
(d)前記デンプン製品を水分の存在下で加熱すること、および
(e)前記デンプン製品を洗浄し、少なくとも一部の結晶化されていないデンプンを除去すること、
を含んでなる方法により製造される、食品。

【公表番号】特表2010−520365(P2010−520365A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552777(P2009−552777)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/052429
【国際公開番号】WO2008/109206
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(505410597)テイト アンド ライル イングレディエンツ アメリカス インコーポレイテッド (17)
【Fターム(参考)】