説明

耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物及びそれを用いた被覆物品

【課題】 高硬度で耐擦傷性に優れ、かつ可撓性も良好であり、急激な温度変化があってもクラックが発生しにくい耐擦傷性表面保護膜を形成する事ができるシリコーンコーティング組成物、及び基材表面に、該組成物の硬化被膜層を有する被覆物品を提供する。
【解決手段】下記式の化合物或いはその部分


加水分解縮合物と、下記式のシラン或いはその


部分加水分解縮合物、及び/又は下記式の化合


物或いはその部分加水分解縮合物とを共加水分解縮合させたシリコーンレジン(I)を含む耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物及び該組成物を用いた被覆物品に関する。詳しくは、各種基材の表面にコートし、加熱硬化することにより、可撓性に富み、硬度、耐擦傷性、耐クラック性、耐候性に優れた塗膜を形成し得る耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物、及び前記基材の表面に、前記シリコーンコーティング組成物の硬化被膜を有する被覆物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチックなどの有機樹脂基材の表面に、高硬度、耐擦傷性の付与を目的とした表面保護塗膜を形成するコーティング剤として、加水分解性オルガノシランを加水分解もしくは部分加水分解して得られる組成物からなるコーティング剤、あるいは該組成物にコロイダルシリカを混合したコーティング剤が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1〜3:特開昭51−2736号公報、特開昭53−130732号公報、特開昭63−168470号公報には、オルガノアルコキシシラン、該オルガノアルコキシシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物及びコロイダルシリカとからなり、過剰の水でアルコキシ基をシラノールに変換してなるコーティング剤が提案されている。しかし、これらのコーティング剤により得られる塗膜は硬度が高く、耐候性もよく、基材保護用として優れているが、靭性に乏しく、10μm以上の膜厚の塗膜においては、加熱硬化中、硬化加熱炉から取り出す際、屋外で使用中、急激な温度変化が起こったときなどに、容易にクラックが発生する。更にこれらのコーティング用組成物は、アルコキシシランの加水分解物/縮合物が比較的低分子量体を主成分としており、これらの比較的低分子量体に含まれるシラノールの反応性は非常に高く、またその含有量も多量であるため、常温でも徐々にそれらの縮合反応が起こり、経時で高分子量化し、得られる塗膜の硬度が低下する。更にはゲル化する場合もあり、コーティング剤として使用できなくなるという、安定性に関わる問題があった。
【0004】
これらの問題点、特に可撓性に関する問題を解決するものとして、前記の加水分解・縮合させるオルガノアルコキシシラン中のジオルガノアルコキシシランを増量することにより、ジオルガノシロキシ単位の含有量を増やす方法が考えられるものの、本方法では架橋密度が低減するため硬度が大幅に低下したり、硬化性が低下してしまう。
【0005】
また、特許文献4〜7:特開平3−207774号公報、特開平10−204292号公報、特開平10−273623号公報、特開平10−279804号公報等では、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及び/又はポリアミック酸樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などの有機樹脂を配合することで可撓性を向上させる方法も提案されているが、所望の硬度を維持することが難しく、また一般に有機樹脂はシロキサン樹脂に比べ耐候性に劣るため、得られる塗膜の耐候性は低下してしまう。
【0006】
更に、オルガノシランの加水分解オリゴマーとシリカゾルからなる被膜形成用組成物に対して、特許文献8:特開平4−175388号公報では、シラノール含有ポリオルガノシロキサン樹脂を配合する方法、また、特許文献9:特開平11−152446号公報では、α,ω−ジヒドロキシ直鎖状ジオルガノポリシロキサンを配合する方法も提案されているが、前記組成物との相溶性や均一性が低いため、配合量を増大して可撓性を十分に発揮させることが困難であり、また塗膜のハジキや白化が生じ易い問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開昭51−2736号公報
【特許文献2】特開昭53−130732号公報
【特許文献3】特開昭63−168470号公報
【特許文献4】特開平3−207774号公報
【特許文献5】特開平10−204292号公報
【特許文献6】特開平10−273623号公報
【特許文献7】特開平10−279804号公報
【特許文献8】特開平4−175388号公報
【特許文献9】特開平11−152446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、高硬度で耐擦傷性に優れ、かつ可撓性も良好であり、急激な温度変化があってもクラックが発生しにくい耐擦傷性表面保護塗膜を形成することができるシリコーンコーティング組成物、及び基材表面に、該組成物の硬化被膜層を有する被覆物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、(A)下記一般式(1)
【化1】


(式中、R11、R12、R13、R14は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基であり、Z1、Z2は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜6のアシロキシ基、炭素数1〜6のアルケノキシ基、又はイソシアネート基であり、Yは酸素原子、もしくは炭素数2〜10のアルキレン基であり、a、bは各々独立に1〜3の整数であり、cは1〜30の整数である。)
で表される少なくとも1種の加水分解性有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物と、
(B)下記一般式(2)
(R1m(R2nSi(OR34-m-n (2)
(式中、R1、R2は各々独立に水素原子、置換又は非置換の一価炭化水素基であり、R3は炭素数1〜3のアルキル基であり、m、nは各々独立に0,1のいずれかの整数であり、かつm+nは0,1,2のいずれかの整数である。)
で表される少なくとも1種のアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物、及び/又は
(C)下記一般式(3)
(Z1a(R113-aSi−A−Si(R123-b(Z2b (3)
(式中、R11、R12、Z1、Z2は前記と同じであり、Aはフッ素原子を1個以上有する二価有機基であり、a、bは前記と同じある。)
で表される少なくとも1種の加水分解性有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物とを共加水分解縮合させることによって得られるシリコーンレジン(I)を含む耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物、又は、上記(A)成分単独かもしくは上記(A)成分と(B)成分とを(共)加水分解させることによって得られるシリコーンレジン(II)、及び、上記(B)成分及び/又は(C)成分を(共)加水分解させることによって得られるシリコーンレジン(III)を含む耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物の硬化被膜を被覆してなる被覆物品が、耐擦傷性を低下することなく、可撓性を付与することができ、経時での塗膜クラックや剥離・脱落が発生しにくいものであることを知見し、本発明をなすに至った。
【0010】
従って、本発明は下記コーティング組成物及び被覆物品を提供する。
[I](A)下記一般式(1)
【化2】


(式中、R11、R12、R13、R14は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基であり、Z1、Z2は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜6のアシロキシ基、炭素数1〜6のアルケノキシ基、又はイソシアネート基であり、Yは酸素原子、もしくは炭素数2〜10のアルキレン基であり、a、bは各々独立に1〜3の整数であり、cは1〜30の整数である。)
で表される少なくとも1種の加水分解性有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物と、
(B)下記一般式(2)
(R1m(R2nSi(OR34-m-n (2)
(式中、R1、R2は各々独立に水素原子、置換又は非置換の一価炭化水素基であり、R3は炭素数1〜3のアルキル基であり、m、nは各々独立に0,1のいずれかの整数であり、かつm+nは0,1,2のいずれかの整数である。)
で表される少なくとも1種のアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物、及び/又は
(C)下記一般式(3)
(Z1a(R113-aSi−A−Si(R123-b(Z2b (3)
(式中、R11、R12、Z1、Z2は前記と同じであり、Aはフッ素原子を1個以上有する二価有機基であり、a、bは前記と同じある。)
で表される少なくとも1種の加水分解性有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物とを共加水分解縮合させることによって得られるシリコーンレジン(I)
を含む耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。
[II]シリコーンレジン(I)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析におけるポリスチレン換算重量平均分子量が1,500以上である[I]記載の耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。
[III](A)下記一般式(1)
【化3】


(式中、R11、R12、R13、R14は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基であり、Z1、Z2は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜6のアシロキシ基、炭素数1〜6のアルケノキシ基、又はイソシアネート基であり、Yは酸素原子、もしくは炭素数2〜10のアルキレン基であり、a、bは各々独立に1〜3の整数であり、cは1〜30の整数である。)
で表される少なくとも1種の加水分解性有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物、又はこの(A)成分と(B)下記一般式(2)
(R1m(R2nSi(OR34-m-n (2)
(式中、R1、R2は各々独立に水素原子、置換又は非置換の一価炭化水素基であり、R3は炭素数1〜3のアルキル基であり、m、nは各々独立に0,1のいずれかの整数であり、かつm+nは0,1,2のいずれかの整数である。)
で表される少なくとも1種のアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物とを(共)加水分解させることによって得られるシリコーンレジン(II)、
及び
上記(B)成分及び/又は(C)下記一般式(3)
(Z1a(R113-aSi−A−Si(R123-b(Z2b (3)
(式中、R11、R12、Z1、Z2は前記と同じであり、Aはフッ素原子を1個以上有する二価有機基であり、a、bは前記と同じある。)
で表される少なくとも1種の加水分解性有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物
を(共)加水分解縮合させることによって得られるシリコーンレジン(III)
を含む耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。
[IV]シリコーンレジン(II)及び(III)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析におけるポリスチレン換算重量平均分子量がそれぞれ1,500以上である[III]記載の耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。
[V]前記一般式(1)におけるa、bがそれぞれ独立に2又は3であり、cが1〜10の整数である[I]〜[IV]のいずれか1項に記載の耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。
[VI]更に、金属酸化物微粒子、複合酸化物微粒子、中空酸化物微粒子又は中空複合酸化物微粒子の群から選ばれた少なくとも1種の微粒子を含む[I]〜[V]のいずれか1項に記載の耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。
[VII]更に、少なくとも1種の紫外線吸収剤を含む[I]〜[VI]のいずれか1項に記載の耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。
[VIII]更に、前記シリコーンレジンと反応し得る官能基を含有する有機重合体を少なくとも1種含む[I]〜[VII]のいずれか1項に記載の耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。
[IX]前記有機重合体が、加水分解性シリル基及び/又はヒドロキシシリル基含有のビニル系重合体である[VIII]に記載の耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。
[X]基材に、直接もしくは少なくとも1種の他の層を介して、[I]〜[IX]のいずれか1項に記載の耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物の硬化被膜を被覆してなる被覆物品。
[XI]基材が、ガラス、金属、セラミック、有機樹脂又は繊維である[X]に記載の被覆物品。
なお、本発明において、(共)加水分解とは、加水分解又は共加水分解であることを示す。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコーティング組成物によれば、各種基材の表面にコートし、加熱硬化することにより、可撓性に富み、硬度、耐擦傷性、耐クラック性、耐候性に優れた塗膜を形成し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[(A)成分]
(A)成分は、下記一般式(1)
【化4】


(式中、R11、R12、R13、R14は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基であり、Z1、Z2は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜6のアシロキシ基、炭素数1〜6のアルケノキシ基、又はイソシアネート基であり、Yは酸素原子、もしくは炭素数2〜10のアルキレン基であり、a、bは各々独立に1〜3の整数であり、cは1〜30の整数である。)
で表される少なくとも1種の加水分解性有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物である。この(A)成分の加水分解性有機ケイ素化合物は、ジオルガノシロキシ単位からなる直鎖構造であり、その両末端にZ1及びZ2で表される加水分解性基を有する加水分解性シリル基が複数個結合したものである。この構造が、本発明の耐摩耗性を損なわせることなく、可撓性に優れ、塗膜クラックが生じにくい耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物を与える要因である。即ち、両末端の加水分解性シリル基が加水分解・縮合することにより架橋し、ネットワークを形成し、その結果、高硬度の被膜が形成されるが、架橋部位間の前記ジオルガノシロキシ単位によって、適度な可撓性も同時に付与されると考えられる。このことから前記式(1)中のa、b、及びcは、硬度及び可撓性に影響する重要な因子である。
【0013】
ここで、式(1)中、R11、R12、R13、R14は、各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基である。アルキル基の場合、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などを例示することができるが、特に耐候性及び入手し易さの観点から、メチル基が好ましい。
【0014】
また、Z1、Z2は、各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜6のアシロキシ基、炭素数1〜6のアルケノキシ基、又はイソシアネート基である。具体例として、塩素原子、臭素原子、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、メトキシエトキシ基、アセトキシ基、イソプロペノキシ基、イソシアネート基などを挙げることができる。中でもメトキシ基、エトキシ基が、加水分解反応の制御のし易さ、入手の容易さ、取り扱い易さの面から好ましい。
【0015】
Yは酸素原子、もしくは炭素数2〜10のアルキレン基である。アルキレン基の具体例として、−(CH22−、−(CH23−、−[(CH32C]−、−[(CH3)CH]−、−(CH24−、−(CH25−、−(CH26−、−(CH28−、−(CH210−、−(CH22−C610−(CH22−、−(CH22−C610−などを挙げることができる。入手のし易さ、経済性の観点から、酸素原子もしくは−(CH22−が好ましい。
【0016】
a、bは各々独立に1〜3の整数であり、好ましくは2もしくは3である。a、bが2より小さい場合、1分子中の加水分解性基の数が少なくなり、その結果、ネットワークに組み込まれずブリードアウトし易くなったり、架橋密度が低下し、耐摩耗性が得られにくくなったり、硬化が十分に進行しにくくなり易いおそれがある。
【0017】
また、cは1〜30の整数であり、好ましくは2〜10の範囲である。cが0であると、架橋部位間のジオルガノシロキサン単位による可撓性付与の効果が得られにくい。一方これより大きいと、逆に可撓性が過大になり、耐摩耗性の低下が顕著となり易くなり、また疎水性も増大するため、(B)成分や(C)成分、更には水と馴染みにくくなり(共)加水分解・縮合しにくくなる。
【0018】
このような加水分解性有機ケイ素化合物を得るためには、下記に示す公知の反応に基づき合成することができる。
(イ)両末端ハイドロジェンシロキサンとアルケニル基含有シランとの付加反応
H−[(R13)(R14)SiO]c(R13)(R14)Si−H + Y’−Si(R113-a(Z1a及びY’−Si(R123-b(Z2b
(式中、R11、R12、R13、R14、Z1、Z2、a、b、cは前記と同じであり、Y’は炭素数2〜10のアルケニル基を表す。)
(ロ)両末端アルケニルシロキサンとハイドロジェンシランとの付加反応
Y’−[(R13)(R14)SiO]c(R13)(R14)Si−Y’ + H−Si(R113-a(Z1a及びH−Si(R123-b(Z2b
(式中、R11、R12、R13、R14、Z1、Z2、a、b、cは前記と同じであり、Y’は炭素数2〜10のアルケニル基を表す。)
(ハ)両末端ヒドロキシシロキサンとアルコキシシランとの脱アルコール反応
HO−[(R13)(R14)SiO]c(R13)(R14)Si−OH + (R’O)Si(R113-a(Z1a及び(R’O)Si(R123-b(Z2b
(式中、R11、R12、R13、R14、Z1、Z2、a、b、cは前記と同じであり、R’は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
【0019】
これら反応により得られる加水分解性有機ケイ素化合物の具体例としては、以下のものを例示することができる。
(CH3O)3Si−CH2CH2−[(CH32SiO]−(CH32Si−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−[(CH32SiO]2−(CH32Si−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−[(CH32SiO]3−(CH32Si−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−[(CH32SiO]4−(CH32Si−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−[(CH32SiO]6−(CH32Si−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−[(CH32SiO]9−(CH32Si−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−[(CH32SiO]10−(CH32Si−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−[(CH32SiO]16−(CH32Si−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−[(CH32SiO]25−(CH32Si−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−[(CH32SiO]30−(CH32Si−CH2CH2−Si(OCH33
(C25O)3Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−Si(OC253
(CH3O)2(CH3)Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−Si(OC253
(CH3O)2(CH3)Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−Si(CH3)(OCH32
(CH3O)(CH32Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−Si(OCH33
(C25O)(CH32Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−SiH(OCH32
(CH3O)(CH32Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−Si(CH32(OCH3
(CH3O)(CH32Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−Si(C25)(OCH32
(CH3O)(CH32Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−Si(CH32(OCH3
(CH3O)3Si−CH2CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2CH2−Si(OCH33
(C25O)3Si−CH2CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH(CH3)−Si(OC253
(C25O)2HSi−(CH3)CHCH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH(CH3)−SiH(OC252
(CH3O)3Si−O−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−Si(OCH33
(C25O)3Si−O−[(CH32SiO]c−(CH32Si−O−Si(OC253
(CH2=(CH3)CO)3Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−Si(OC(CH3)=CH23
(CH3COO)2(CH3)Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−Si(CH3)(OCOCH32
(式中、cは1〜30の整数を表す。)
【0020】
これらの中でも、好ましくは、
(CH3O)3Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)2(CH3)Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−Si(CH3)(OCH32
(C25O)3Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−Si(OC253
(C25O)2(CH3)Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−Si(CH3)(OC252
(CH3O)3Si−O−[(CH32SiO]c−(CH32Si−O−Si(OCH33
(CH3O)2(CH3)Si−O−[(CH32SiO]c−(CH32Si−O−Si(CH3)(OCH32
(C25O)3Si−O−[(CH32SiO]c−(CH32Si−O−Si(OC253
(C25O)2(CH3)Si−O−[(CH32SiO]c−(CH32Si−O−Si(CH3)(OC252
(CH2=(CH3)CO)3Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−Si(OC(CH3)=CH23
(CH3COO)2(CH3)Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−Si(CH3)(OCOCH32
などの加水分解性有機ケイ素化合物を使用するのがよい。
【0021】
(A)成分の加水分解性有機ケイ素化合物の部分加水分解縮合物は、前記加水分解性有機ケイ素化合物を、一般的な方法を利用して、部分加水分解縮合させればよい。例えば加水分解性基Z1、Z2がアルコキシ基の場合、塩酸、硝酸、酢酸、表面にカルボン酸基やスルホン酸基を有する陽イオン交換樹脂などの酸;アルミニウムトリイソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、トリアセチルアセトンアルミニウム、ジオクチル錫ジラウレート、オクチル酸亜鉛などの金属化合物などを触媒として加水分解・縮合させることができる。水の使用量は、全アルコキシ基を加水分解するのに必要な量(理論量)の0.1〜0.9倍が適当であり、反応条件は0〜150℃で0.5〜48時間が好適である。また必要により、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤などの溶剤を使用することもできる。
【0022】
[(B)成分]
(B)成分は、下記一般式(2)
(R1m(R2nSi(OR34-m-n (2)
(式中、R1、R2は各々独立に水素原子、置換又は非置換の一価炭化水素基であり、R3は炭素数1〜3のアルキル基であり、m、nは各々独立に0,1のいずれかの整数であり、かつm+nは0,1,2のいずれかの整数である。)
で表される少なくとも1種のアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物である。
【0023】
上記一般式(2)の例としては、m=0、n=0の場合、一般式:Si(OR34で表されるテトラアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物(b−1)である。R3は炭素数1〜3のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基を例示することができる。このようなテトラアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「Mシリケート51」多摩化学工業製、商品名「MSI51」コルコート製、商品名「MS51」、「MS56」三菱化学製)、テトエトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「シリケート35」、「シリケート45」多摩化学工業製、商品名「ESI40」、「ESI48」コルコート製)、テトラメトキシシランとテトラエトキシシランとの共部分加水分解縮合物(商品名「FR−3」多摩化学工業製、商品名「EMSi48」コルコート製)などを挙げることができる。
【0024】
m=1、n=0の場合、一般式:R1Si(OR33で表されるトリアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物(b−2)である。R1は水素原子、置換又は非置換の一価炭化水素基であり、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、アリル基のようなアルケニル基;フェニル基のようなアリール基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基のようなハロゲン置換炭化水素基;γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−アミノプロピル基等の置換炭化水素基などを例示することができる。また、R3は前記と同じである。このようなトリアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物の具体例として、ハイドロジェントリメトキシシラン、ハイドロジェントリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「KC−89S」、「X−40−9220」信越化学工業製)、メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「X−41−1056」信越化学工業製)などを挙げることができる。
【0025】
m=1、n=1の場合、一般式:(R1)(R2)Si(OR32で表されるジアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物(b−3)である。R1及びR2は、各々独立に水素原子、置換又は非置換の一価炭化水素基であり、この例としては前記R1と同じである。またR3は前記と同じである。このようなジアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物の具体例としては、メチルハイドロジェンジメトキシシラン、メチルハイドロジェンジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどを挙げることができる。
【0026】
(b−2)及び(b−3)中のR1及びR2において、前記の中でも、特に耐擦傷性や耐候性が要求される用途に使用する場合にはアルキル基が好ましく、靭性や染色性が要求される場合はエポキシもしくは(メタ)アクリロキシ置換炭化水素基が好ましい。また、(b−1)、(b−2)及び(b−3)中のR3は、前記の中でも、加水分解縮合の反応性が高いこと、及び生成するアルコールR3OHの蒸気圧が高く、留去のし易さなどを考慮すると、メチル基、エチル基が好ましい。
【0027】
[(C)成分]
(C)成分は、下記一般式(3)
(Z1a(R113-aSi−A−Si(R123-b(Z2b (3)
(式中、R11、R12、Z1、Z2は前記と同じであり、Aはフッ素原子を1個以上有する二価有機基であり、a、bは前記と同じある。)
で表される少なくとも1種の加水分解性有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物である。
【0028】
Aはフッ素原子を1個以上含有する二価有機基を表し、フッ素原子を含む二価有機基であれば如何なるものでも使用可能であるが、この場合、Aとしては、合計炭素数1〜40、特に2〜30のものが好ましく、酸素原子が介在してもよい、好ましくは炭素数が1〜40、特に2〜30のパーフルオロアルキレン基が介在したアルキレン基を挙げることができ、具体的構造としては以下のものを例示することができる。
−CH2CH2−(CF2d−CH2CH2
−CH2CH2−CF(CF3)−(CF2d−CF(CF3)−CH2CH2
−CH2CH2−CF(C25)−(CF2d−CF(C25)−CH2CH2
−CH2CH2−CF(CF3)CF2−O−(CF2d−O−CF2CF(CF3)−CH2CH2
−CH2CH2−C610−CH2CH2
−CH2CH2−C64−CH2CH2
(但し、d=2〜20である。)
【0029】
特に、−CH2CH2−(CF2d−CH2CH2−、−CH2CH2−CF(CF3)−(CF2d−CF(CF3)−CH2CH2−が好ましく、d=4〜10のものが、硬質で、反射防止性に優れた被膜を与えるので、より好ましい。dがこの範囲より小さいと、反射防止性、防汚性、撥水性等の諸機能、及び耐薬品性を十分に得ることができない場合があり、この範囲より大きいと、架橋密度が低くなり、硬度が低下するため十分な耐摩耗性が得られない場合が生ずる。
【0030】
これらの条件を満たす有機ケイ素化合物の具体例としては、
(CH3O)3Si−CH2CH2−(CF24−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−(CF26−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−(CF28−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−(CF210−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−(CF216−CH2CH2−Si(OCH33
(C25O)3Si−CH2CH2−(CF24−CH2CH2−Si(OC253
(C25O)3Si−CH2CH2−(CF26−CH2CH2−Si(OC253
(CH3O)2CH3Si−CH2CH2−(CF24−CH2CH2−SiCH3(OCH32
(CH3O)2CH3Si−CH2CH2−(CF26−CH2CH2−SiCH3(OCH32
(CH3O)(CH32Si−CH2CH2−(CF24−CH2CH2−Si(CH32(OCH3
(CH3O)(CH32Si−CH2CH2−(CF26−CH2CH2−Si(CH32(OCH3
(CH3O)3Si−CH2CH2−CF(CF3)(CF24CF(CF3)−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−CF(CF3)(CF26CF(CF3)−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−CF(CF3)(CF212CF(CF3)−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−C610−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−C64−CH2CH2−Si(OCH33
などを挙げることができ、これらの中でも、好ましくは、
(CH3O)3Si−CH2CH2−(CF24−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−(CF26−CH2CH2−Si(OCH33
(CH3O)3Si−CH2CH2−(CF28−CH2CH2−Si(OCH33
(C25O)3Si−CH2CH2−(CF24−CH2CH2−Si(OC253
(C25O)3Si−CH2CH2−(CF26−CH2CH2−Si(OC253
などの有機ケイ素化合物を使用するのがよい。
【0031】
本発明は、上記(A)、(B)、(C)成分を用い、(共)加水分解・縮合して下記シリコーンレジン(I)、(II)、(III)を得る。
シリコーンレジン(I)
シリコーンレジン(I)は、(A)成分と、(B)成分及び/又は(C)成分とを共加水分解・縮合することにより得られたものであり、従って
(A)成分と(B)成分との共加水分解・縮合物、
(A)成分と(C)成分との共加水分解・縮合物、又は
(A)成分と(B)成分と(C)成分との共加水分解・縮合物
からなる。
シリコーンレジン(II)
シリコーンレジン(II)は、(A)成分又は(A)成分と(B)成分とを(共)加水分解・縮合することにより得られたものであり、従って
(A)成分の加水分解・縮合物、又は
(A)成分と(B)成分との共加水分解・縮合物
からなる。
シリコーンレジン(III)
シリコーンレジン(III)は、(B)成分及び/又は(C)成分を(共)加水分解・縮合することにより得られたものであり、従って
(B)成分の加水分解・縮合物、
(C)成分の加水分解・縮合物、又は
(B)成分と(C)成分との共加水分解・縮合物
からなる。
【0032】
ここで、本発明の主眼である耐クラック性及び耐摩耗性を両立させるには、(A)成分を含むシリコーンレジンの場合、(A)、(B)、(C)各成分の合計100質量%に対して、(A)成分は1〜100質量%、(B)成分は0〜99質量%、(C)成分は0〜99質量%の割合で使用するのが好ましい。より好ましくは(A)成分1〜50質量%、(B)成分49〜99質量%、(C)成分0〜50質量%、更に好ましくは(A)成分2〜35質量%、(B)成分63〜98質量%、(C)成分0〜35質量%である。
【0033】
また、(A)成分を含まないシリコーンレジンの場合、(B)、(C)各成分の合計100質量%に対して、(B)成分は0〜100質量%、(C)成分は0〜100質量%の割合で使用すればよい。(B)、(C)両成分を用いる場合、(B)成分を0.1〜99.9質量%、特に1〜99質量%とすることが好ましい。
【0034】
なお、特に(B)成分を含む場合、前記(b−1)、(b−2)及び(b−3)を任意の割合で使用し、調製すればよいが、保存安定性、耐擦傷性、耐クラック性を向上させるには、(b−1)、(b−2)、(b−3)の合計100Siモル%に対して、(b−1)は1〜50Siモル%、(b−2)は50〜99Siモル%、(b−3)は0〜10Siモル%の割合で使用するのが好ましい。この際、主成分である(b−2)が50Siモル%未満では、樹脂の架橋密度が小さくなるため硬化性が低く、また硬化膜の硬度も低くなる傾向がある。一方、(b−1)が50Siモル%より過剰に用いられると、樹脂の架橋密度が高くなりすぎ、靭性が低下しクラックを回避しにくくなる場合がある。なお、Siモル%は全Siモル中の割合であり、Siモルとはモノマーであれば、その分子量が1モルであり、2量体であればその平均分子量を2で割った数が1モルである。
【0035】
(共)加水分解・縮合反応は、例えば、上記各成分の単独又は混合物を、pH1〜7、好ましくはpH2〜6、特に好ましくはpH2〜5の水で(共)加水分解させる。この際、水中にシリカゾルなどの金属酸化物微粒子が分散されたものを使用してもよい。このpH領域に調整するため及び加水分解を促進するために、フッ化水素、塩酸、硝酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸、安息香酸、マロン酸、グルタール酸、グリコール酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸などの有機酸及び無機酸、もしくは表面にカルボン酸基やスルホン酸基を有する陽イオン交換樹脂等の固体酸触媒、あるいは酸性化した水分散シリカゾルなどの水分散金属酸化物微粒子を触媒に用いてもよい。また加水分解時にシリカゾルなどの金属酸化物微粒子を水もしくは有機溶剤中に分散させたものを共存させてもよい。
【0036】
この加水分解において、水の使用量は各成分の合計100質量部に対して水20〜3,000質量部の範囲であればよいが、過剰の水の使用は、装置効率の低下ばかりでなく、最終的な組成物とした場合、残存する水の影響による塗工性、乾燥性の低下をも引き起こす。更に保存安定性、耐擦傷性、耐クラック性を向上させるためには、50質量部以上100質量部未満とすることが好ましい。水が50質量部より少ないと、得られるシリコーンレジンのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析におけるポリスチレン換算重量平均分子量が後述する最適領域にまで大きくならないことがあり、100質量部以上であると、得られるシリコーンコーティング組成物の塗工性、乾燥性が低下したり、耐クラック性が低下する場合がある。
【0037】
加水分解は、アルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物中に水を滴下又は投入したり、逆に水中にアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物を滴下又は投入したりしてもよい。この場合、有機溶剤を含有してもよいが、有機溶剤を含有しない方が好ましい。これは有機溶剤を含有するほど、得られるシリコーンレジンのGPC分析におけるポリスチレン換算重量平均分子量が小さくなる傾向があるためである。
【0038】
上記加水分解に続く縮合は、加水分解に続いて連続的に行えばよく、通常、液温が常温又は100℃以下の加熱下で行われる。100℃を超える温度ではゲル化したりすることがある。更に80℃以上になるまで、常圧又は減圧下にて、加水分解で生成したアルコールを留去することにより、縮合を促進させることができる。更に、縮合を促進させる目的で、塩基性化合物、酸性化合物、金属キレート化合物などの縮合触媒を添加してもよい。縮合工程の前又は最中に、縮合の進行度及び濃度を調整する目的で有機溶剤を添加してもよく、またシリカゾルなどの金属酸化物微粒子を水もしくは有機溶剤中に分散させたものを添加してもよい。一般的にシリコーンレジンは縮合が進行すると共に、高分子量化し、水や生成アルコールへの溶解性が低下していくため、添加する有機溶剤としては、シリコーンレジンをよく溶解し、沸点が80℃以上の比較的極性の高い有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤の具体例としてはイソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテル類;酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;アセチルアセトン、アセト酢酸エチルなどのβ−ジケトン、β−ケトエステルなどを挙げることができる。
【0039】
この縮合により、得られたシリコーンレジンのGPC分析におけるポリスチレン換算重量平均分子量が1,500以上となる。ポリスチレン換算重量平均分子量は好ましくは1,500〜50,000であることが好ましい。分子量がこの範囲より低いと、塗膜の靱性が低く、クラックが発生し易くなる傾向があり、一方、分子量が上記範囲より高いと、硬度が低くなる傾向があり、また塗膜中の樹脂が相分離するために塗膜白化を引き起こし、好ましくない。
【0040】
本発明において、シリコーンコーティング組成物は、上記シリコーンレジン(I)を含有するか、又はシリコーンレジン(II)とシリコーンレジン(III)とを含有する。この後者の場合、シリコーンレジン(II)とシリコーンレジン(III)との併用割合は、(II)/(III)=0.5〜99.5、特に1〜99(質量比)であることが好ましい。
【0041】
本発明のシリコーンコーティング組成物には、必要に応じて、溶剤、pH調整剤、レベリング剤、増粘剤、顔料、染料、金属酸化物微粒子、金属粉、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、熱線反射・吸収性付与剤、可撓性付与剤、帯電防止剤、防汚性付与剤、撥水性付与剤等を本発明の効果に悪影響を与えない範囲内で添加することができる。
【0042】
本発明のシリコーンコーティング組成物の塗工性、保存安定性を向上させる目的で、溶剤を添加してもよい。溶剤としては、本発明のシリコーンコーティング組成物中の固形分を溶解するものであれば特に限定されるものではないが、水及び比較的極性の高い有機溶剤が好ましい。有機溶剤の具体例としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;アセチルアセトン、アセト酢酸エチルなどのβ−ジケトン、β−ケトエステルなどを挙げることができ、これらからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上の混合物を使用することができる。
【0043】
溶剤により、本発明のシリコーンコーティング組成物はその固形分(上記シリコーンレジン)濃度を1〜30質量%に調整することが好ましい。この範囲外では該組成物を塗布、硬化した塗膜に不具合が生じることがある。例えば、上記範囲より少ないと塗膜にタレ、ヨリ、マダラが発生し易くなり、所望の硬度、耐擦傷性が得られない場合がある。また上記範囲を超えると塗膜のブラッシング、白化、クラックが生じ易くなる。
【0044】
本発明のシリコーンコーティング組成物の更なる保存安定性を得るために、組成物のpHを好ましくは2〜7、より好ましくは3〜6にするとよい。pHがこの範囲外であると、貯蔵性が低下することがあるため、pH調整剤を添加し、上記範囲に調整することができる。シリコーンコーティング組成物のpHが上記範囲外にあるときは、この範囲より酸性側であれば、アンモニア、エチレンジアミン等の塩基性化合物を添加してpHを調整すればよく、塩基性側であれば、塩酸、硝酸、酢酸、クエン酸等の酸性化合物を用いてpHを調整すればよい。しかし、その調整方法は特に限定されるものではない。
【0045】
本発明のシリコーンコーティング組成物を塗工して得られる硬化塗膜の硬度や耐擦傷性の向上、低屈折率化、高屈折率化、紫外線カット性、帯電防止性、熱線反射・吸収性などの機能を更に付与する目的で、金属酸化物微粒子やその中空微粒子、チタン、亜鉛、ジルコニウムなどの金属キレート化合物、及びこれらの(部分)加水分解・縮合物などを添加することもできる。金属酸化物微粒子としては、その粒子形、粒子の粒径は特に問わないが、塗膜化した際の透明性を高めるために、粒子径は小さい方が好ましい。金属酸化物微粒子の具体例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化鉄、酸化鉄及び/又は酸化ジルコニウムをドープした酸化チタン、希土類酸化物の微粒子、これらの混合物、あるいはこれらの複合酸化物微粒子などが挙げられるが、特に限定されるものではない。これら金属酸化物微粒子はコロイド分散液となっているものを使用してもよいし、粉末状のものをシリコーンコーティング組成物に分散させてもよく、更にこれらを、シラン系、チタン系、アルミニウム系、あるいはジルコニウム系カップリング剤等の有機金属化合物、カルボン酸含有有機化合物、含窒素有機化合物などで表面処理したものを使用してもよい。
これら金属酸化物微粒子の添加量は、シリコーンコーティング組成物の固形分(上記シリコーンレジン)に対し、0.1〜300質量%であることが好ましく、特に1〜100質量%である。
【0046】
また、本発明のシリコーンコーティング組成物には、接着性向上及び更なる可撓性の付与を目的として、該組成物のシリコーンレジンと反応し得る官能基を有するビニル重合体を含んでもよい。該組成物のシリコーンレジンと反応し得る官能基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、メトキシジメチルシリル基などの加水分解性シリル基、これらの(部分)加水分解したヒドロキシシリル基を挙げることができ、更に該組成物のシリコーンレジン中にエポキシ基が含まれていれば、アミノ基、カルボン酸基などを含有する有機基、また該組成物のシリコーンレジン中にアミノ基が含まれていれば、エポキシ基、カルボン酸基、(メタ)アクリル基などを含有する有機基を挙げることができる。中でも保存安定性の面から、加水分解性シリル基、これらの(部分)加水分解したヒドロキシシリル基が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸などの各種(メタ)アクリル酸及びその誘導体、あるいは酢酸ビニル等の各種ビニル重合性モノマーと、(メタ)アクリロキシ基を有するアルコキシシラン、あるいはビニル基及び/又はスチリル基含有アルコキシシランを共重合させたものが好ましい。
その添加量は、シリコーンコーティング組成物の固形分(上記シリコーンレジン)に対し、0.1〜100質量%であることが好ましい。
【0047】
本発明のシリコーンコーティング組成物の硬化塗膜に、有機樹脂や木材製品を基材とした場合、基材の黄変、表面劣化を防ぐ目的で、紫外線吸収剤及び/又は紫外線安定剤を添加することもできるが、本発明のシリコーンコーティング組成物と相溶性が良好で、かつ揮発性の低い紫外線吸収剤及び/又は紫外線安定剤が好ましい。
【0048】
紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウムなど、上述したある種の酸化物微粒子やチタン、亜鉛、ジルコニウムなどの金属キレート化合物、及びこれらの(部分)加水分解・縮合物の無機系のものと有機系のものを用いることができる。有機系の例として、主骨格がヒドロキシベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、トリアジン系である化合物誘導体が好ましい。更に側鎖にこれら紫外線吸収剤を含有するビニルポリマーなどの重合体、及び他のビニルモノマーとの共重合体、又はシリル化変性された紫外線吸収剤、その(部分)加水分解・縮合物でもよい。具体的には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ベンジロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジエトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジプロポキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジブトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−4’−プロポキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−4’−ブトキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−t−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニルトリアジン、2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロキシエトキシ)ベンゾフェノンの(共)重合体、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールの(共)重合体、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応物、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応物、これらの(部分)加水分解・縮合物などが挙げられる。これらの有機系紫外線吸収剤は2種以上を併用してもよい。
【0049】
紫外線安定剤としては、分子内に1個以上の環状ヒンダードアミン構造を有し、本発明のシリコーンコーティング組成物との相溶性がよく、また低揮発性のものが好ましい。紫外線光安定剤の具体例としては、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、N−メチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジノールとトリデカノールとの縮合物、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β’−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、また、光安定剤を固定化させる目的で、特公昭61−56187号公報にあるようなシリル化変性の光安定剤、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−4−プロピルトリメトキシシラン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−4−プロピルメチルジメトキシシラン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−4−プロピルトリエトキシシラン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−4−プロピルメチルジエトキシシラン、更にこれらの(部分)加水分解・縮合物等が挙げられ、これらの光安定剤は2種以上併用してもよい。
【0050】
本発明のシリコーンコーティング組成物は、通常の塗布方法で基材にコーティングすることができ、例えば、刷毛塗り、スプレー、浸漬、フロー、ロール、カーテン、スピン、ナイフコート等の各種塗布方法を選択することができる。
コーティングの際、基材表面に、直接又は必要に応じてプライマー層や紫外線吸収層、印刷層、記録層、熱線遮蔽層、粘着層、無機蒸着膜層等を介して形成することもできる。
【0051】
本発明のシリコーンコーティング組成物を塗布した後の硬化は、空気中に放置して風乾させてもよいし、加熱してもよい。硬化温度、硬化時間は限定されるものではないが、基材の耐熱温度以下で2分〜2時間加熱するのが好ましい。具体的には80〜150℃で5分〜2時間加熱するのがより好ましい。
【0052】
膜の厚みは特に制限はなく、0.1〜50μmであればよいが、塗膜の硬さ、耐擦傷性、長期的に安定な密着性、及びクラックが発生しにくいことを満たすためには、1〜20μmが好ましい。
【0053】
更に必要に応じて、本発明のシリコーンコーティング組成物の硬化塗膜の表面上に、他の被覆層を塗工してもよい。
ここで用いる基材としては、プラスチック成形体、木材系製品、セラミック、ガラス、金属、あるいはそれらの複合物等が挙げられ、特に限定されることはないが、各種プラスチック材料に好適に使用され、特にポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、変性アクリル樹脂、ウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、ハロゲン化ビスフェノールAとエチレングリコールの重縮合物、アクリルウレタン樹脂、ハロゲン化アリール基含有アクリル樹脂、含硫黄樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、セルロース樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂等、及びこれらの複合化樹脂が好ましい。更にこれらの樹脂基材の表面が処理されたもの、具体的には、化成処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、酸やアルカリ液での処理、及び基材本体と表層が異なる種類の樹脂で形成されている積層体を用いることもできる。積層体の例としては、共押し出し法やラミネート法により製造されるポリカーボネート樹脂基材の表層にアクリル樹脂層もしくはウレタン樹脂層が存在する積層体、又はポリエステル樹脂基材の表層にアクリル樹脂層が存在する積層体等が挙げられる。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。また、特に断らない限り、以下に記す「%」は「質量%」を意味する。下記例において、Mwはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0055】
<(A)成分と、(B)成分及び/又は(C)成分とからなるシリコーンレジンの製造>
[製造例1]
2Lのフラスコに、下記式で示される化合物
(CH3O)3SiO−[(CH32SiO]c(CH32Si−OSi(OCH33
(cは平均値で5である。)
30.1g(0.041モル)及びt−ブタノール50gを仕込み、よく混合させた。次いで0.25Nの酢酸水溶液17gを滴下し、内温が40℃を超えないように冷却しながら加水分解を行った。滴下終了後、40℃以下で1時間撹拌し、次いで0.25Nの酢酸水溶液291gと、予め調製したメチルトリメトキシシラン304.8g(2.24モル)とシリケート35(多摩化学工業製;テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物、平均2量体)56.0g(0.16モル、0.33Siモル)の混合物を順に投入し、40℃以下で1時間、次いで60℃で3時間撹拌し、加水分解を完結させた。
その後、シクロヘキサノン300gを投入し、加水分解で生成したメタノール及びエタノールを、常圧にて液温が95℃になるまで留去した後、不揮発分濃度が20%になるようイソプロパノールで希釈し、更にレベリング剤としてKP−341(信越化学工業製)0.05gを加え、濾紙濾過を行い、無色透明のシリコーンレジン溶液Aを得た。このシリコーンレジンのMwは、3,800であった。
【0056】
[製造例2]
2Lのフラスコに、下記式で示される化合物
(CH3O)3SiO−[(CH32SiO]c(CH32Si−OSi(OCH33
(cは平均値で9である。)
25.5g(0.026モル)及びt−ブタノール31gを仕込み、よく混合させた。次いで0.05Nの硝酸水溶液10gを滴下し、内温が40℃を超えないように冷却しながら加水分解を行った。滴下終了後、40℃以下で1時間撹拌し、次いで0.05Nの硝酸水溶液298gと、予め調製したテトラエトキシシラン5.4g(0.026モル)と(CH3O)3Si−CH2CH2−C48−CH2CH2−Si(OCH33239g(0.48モル)の混合物を順に投入し、40℃以下で1時間、次いで60℃で3時間撹拌し、加水分解を完結させた。
その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300gを投入し、加水分解で生成したメタノール及びエタノールを、常圧にて液温が95℃になるまで留去した後、不揮発分濃度が20%になるようイソプロパノールで希釈し、更にレベリング剤としてFC−4430(住友スリーエム製)0.05gを加え、濾紙濾過を行い、無色透明のシリコーンレジン溶液Bを得た。このシリコーンレジンのMwは、3,600であった。
【0057】
[製造例3]
2Lのフラスコに、下記式で示される化合物
(CH2=(CH3)CO)3Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−Si(OC(CH3)=CH23
(cは平均値で29である。)
26.6g(0.01モル)、テトラエトキシシラン312g(1.5モル)及びt−ブタノール30gを仕込み、よく混合させた。次いで0.05Nの硝酸水溶液162gを滴下し、内温が40℃を超えないように冷却しながら加水分解を行った。滴下終了後、40℃以下で1時間撹拌し、次いで60℃で3時間撹拌し、加水分解を完結させた。
その後、不揮発分濃度が20%になるようt−ブタノールで希釈し、更にレベリング剤としてKP−341(信越化学工業製)0.05gを加え、濾紙濾過を行い、無色透明のシリコーンレジン溶液Cを得た。このシリコーンレジンのMwは、4,100であった。
【0058】
<(A)成分単独のシリコーンレジンの製造>
[製造例4]
2Lのフラスコに、下記式で示される化合物
(CH3COO)2(CH3)Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c−(CH32Si−CH2CH2−Si(CH3)(OCOCH32
(cは平均値で14である。)
147g(0.10モル)及びイソブタノール300gを仕込み、よく混合させた。次いで純水108gを滴下し、内温が40℃を超えないように冷却しながら加水分解を行った。滴下終了後、40℃以下で20時間撹拌し、加水分解を完結させた。その後、不揮発分濃度が20%になるようイソブタノールで希釈し、更にレベリング剤としてKP−341(信越化学工業製)0.05gを加え、濾紙濾過を行い、無色透明のシリコーンレジン溶液Dを得た。このシリコーンレジンのMwは、1,600であった。
【0059】
[製造例5]
2Lのフラスコに、下記式で示される化合物
(CH3O)3Si−CH2CH2−[(CH32SiO]c(CH32Si−CH2CH2−Si(OCH33
(cは1である。)
535.3g(1.24モル)を仕込み、次いで0.25Nの酢酸水溶液269gを滴下し、内温が40℃を超えないように冷却しながら加水分解を行った。滴下終了後、40℃以下で1時間、次いで、60℃にて3時間撹拌し、加水分解を完結させた。その後、シクロヘキサノン300gを投入し、加水分解で生成したメタノールを、常圧にて液温が95℃になるまで留去した後、不揮発分濃度が20%になるようイソプロパノールで希釈し、更にレベリング剤としてKP−341(信越化学工業製)0.05gを加え、濾紙濾過を行い、無色透明のシリコーン溶液Eを得た。このシリコーンレジンのMwは、2,900であった。
【0060】
[製造例6]
2Lのフラスコに、下記式で示される化合物
(CH3O)3SiO−[(CH32SiO]c(CH32Si−OSi(OCH33
(cは平均で50である。)
395.8g(0.10モル)及びt−ブタノール500gを仕込み、よく混合させた。次いで0.25Nの酢酸水溶液50gを滴下し、内温が40℃を超えないように冷却しながら加水分解を行った。滴下終了後、40℃以下で1時間、次いで、60℃にて3時間撹拌し、加水分解を完結させた。その後、不揮発分濃度が20%になるようt−ブタノールで希釈し、更にレベリング剤としてKP−341(信越化学工業製)0.05gを加え、濾紙濾過を行い、無色微濁のシリコーン溶液Fを得た。このシリコーンレジンのMwは、1,700であった。
【0061】
<(B)成分及び/又は(C)成分からなるシリコーンレジンの製造>
[製造例7]
2Lのフラスコに、メチルトリメトキシシラン304.8g(2.24モル)とシリケート35(多摩化学工業製;テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物、平均2量体)70.0g(0.42モル、0.83Siモル)を仕込み、よく混合させた。次いで0.25Nの酢酸水溶液320gを滴下し、内温が40℃を超えないように冷却しながら加水分解を行った。滴下終了後、40℃以下で1時間、次いで60℃で3時間撹拌し、加水分解を完結させた。その後、シクロヘキサノン300gを投入し、加水分解で生成したメタノール及びエタノールを、常圧にて液温が95℃になるまで留去した後、不揮発分濃度が20%になるようイソプロパノールで希釈し、更にレベリング剤としてKP−341(信越化学工業製)0.05gを加え、濾紙濾過を行い、無色透明のシリコーンレジン溶液Gを得た。このシリコーンレジンのMwは、3,900であった。
【0062】
[製造例8]
2Lのフラスコに、メチルトリエトキシシラン600g(3.37Siモル)、イソブタノール168g、酢酸0.4gを仕込み、水分散シリカゾル スノーテックスO(日産化学工業製)372gを加え、10℃以下で3時間加水分解を行った。次いでイソブタノール分散シリカゾル「IBA−ST−20」(日産化学工業製)105g、イソブタノール29gを加え、室温にて16時間、次いで60℃にて4時間撹拌し、加水分解を完結させた。
その後、不揮発分濃度が20%になるようプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈し、更にレベリング剤としてKP−341(信越化学工業製)0.05gを添加し、よく撹拌した後、濾紙濾過を行い、無色半透明のシリコーンレジン溶液Hを得た。このシリコーンレジンのMwは、1,500であった。
【0063】
[製造例9]
2Lのフラスコに、固形のメチルシリコーンレジンであるKR−220L(信越化学工業製)200gを収め、次いで不揮発分濃度が20%になるようイソブタノールで溶解希釈し、更にレベリング剤としてKP−341(信越化学工業製)0.05gを添加し、よく撹拌した後、濾紙濾過を行い、無色透明のシリコーンレジン溶液Iを得た。このシリコーンレジンのMwは、4,000であった。
【0064】
<シリコーンコーティング組成物の調製及びその硬化塗膜評価>
[実施例1〜5、比較例1〜3]
上記製造例で得られたシリコーンレジン溶液を、表1に示す配合量で配合し、更に硬化触媒として下記に示す成分を表1に示す量、また場合によっては、下記に示した各種添加剤を表1に示す量配合し、コーティング組成物1〜8とした。
【0065】
これらコーティング組成物をポリカーボネート/アクリル樹脂共押し出し板(厚さ0.5mm×長さ30cm×幅20cm)のアクリル樹脂面に流し塗り法により塗布し、130℃で1時間硬化させた。得られた塗膜に関して下記の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0066】
【表1】

<硬化触媒>
TBAH:テトラブチルアンモニウムヒドロキシドの0.25%水溶液
酢酸Na:酢酸ナトリウムの10%水溶液
AlAA:アルミニウムアセチルアセトナート
<金属酸化物微粒子>
微粒子−I:酸化チタン含有複合金属酸化物ゾルの20%メタノール分散品(1120Z、触媒化成工業製)
<紫外線吸収剤>
UVA−I:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(30%)共重合体の1−メトキシ−2−プロパノール50%溶液(PUVA−NW、大塚化学製)
UVA−II:2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシル/トリデシル−オキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(チヌビン400、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)
<ヒンダードアミン系光安定剤>
HALS−I:N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン(サンドバー3058Liq.、クラリアント・ジャパン製)
【0067】
硬化被膜の評価方法
塗膜外観:
塗膜を目視で観察し、異常の有無を判定した。
耐擦傷性:
ASTM1044に準じ、テーバー摩耗試験機にて摩耗輪CS−10Fを装着、荷重500g下での500回転後の曇価を測定し、試験後と試験前の曇価差を耐擦傷性とした。
密着性:
JIS K5400に準じ、カミソリ刃を用いて、塗膜に2mm間隔で縦、横6本ずつ切れ目を入れて25個の碁盤目を作製し、セロテープ(ニチバン社製)をよく付着させた後、90°手前方向に急激に剥がした時、塗膜が剥離せずに残存したマス目数(X)を、X/25で表示した。
耐水性:
評価サンプルを、沸騰水に2時間浸漬した後の外観変化及び密着性を評価した。
耐熱性:
評価サンプルを、130℃の熱風循環乾燥機中で1時間加熱した後のクラックの有無を目視で観察した。
【0068】
【表2】

【0069】
[実施例6]
アクリル系プライマーであるプライマーPC−7A(信越化学工業製)に、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(30%)とメチルメタクリレート(70%)の共重合体である紫外線吸収剤(PUVA−30M、大塚化学(株)製)の1−メトキシ−2−プロパノール20%溶液を、PC−7Aの固形分量に対して固形分として20%配合したプライマーを、ポリカーボネート樹脂板(厚さ0.5mm×長さ30cm×幅20cm)に予め塗工したものに(流し塗り法により塗布、130℃で30分硬化)、実施例1,3,4,5、及び比較例1,2で調製したコーティング組成物1,3,4,5,6,7を流し塗り法により塗布し、130℃で1時間硬化させた。得られた塗膜に関して、下記の耐候性評価を行った。その結果を表3に示す。
耐候性評価:
岩崎電気(株)製アイスーパーUVテスターW−151を使用し、[ブラックパネル温度63℃、湿度50%RH、照度50mW/cm2、降雨10秒/1時間で5時間]→[ブラックパネル温度30℃、湿度95%RHで1時間]を1サイクルとして、このサイクルを繰り返す条件で100時間、250時間の試験を行った。耐候性試験前後に、JIS K7103に準拠し、黄変度を、また耐候塗膜クラック、耐候塗膜剥離の状態を目視又は顕微鏡(倍率250倍)にて観察した。
耐候塗膜クラック性:
耐候性試験後の塗膜外観を下記の基準で評価した。
○:異常なし
△:僅かにクラックあり
×:塗膜全体にクラックあり
耐候塗膜剥離:
耐候性試験後の塗膜の状態を下記の基準で評価した。
○:異常なし
△:シリコーンレジン組成物の硬化塗膜層とプライマー硬化塗膜層との間での剥離が
一部あり
×:シリコーンレジン組成物の硬化塗膜層とプライマー硬化塗膜層との間での剥離が
全面的にあり
【0070】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)
【化1】


(式中、R11、R12、R13、R14は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基であり、Z1、Z2は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜6のアシロキシ基、炭素数1〜6のアルケノキシ基、又はイソシアネート基であり、Yは酸素原子、もしくは炭素数2〜10のアルキレン基であり、a、bは各々独立に1〜3の整数であり、cは1〜30の整数である。)
で表される少なくとも1種の加水分解性有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物と、
(B)下記一般式(2)
(R1m(R2nSi(OR34-m-n (2)
(式中、R1、R2は各々独立に水素原子、置換又は非置換の一価炭化水素基であり、R3は炭素数1〜3のアルキル基であり、m、nは各々独立に0,1のいずれかの整数であり、かつm+nは0,1,2のいずれかの整数である。)
で表される少なくとも1種のアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物、及び/又は
(C)下記一般式(3)
(Z1a(R113-aSi−A−Si(R123-b(Z2b (3)
(式中、R11、R12、Z1、Z2は前記と同じであり、Aはフッ素原子を1個以上有する二価有機基であり、a、bは前記と同じある。)
で表される少なくとも1種の加水分解性有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物とを共加水分解縮合させることによって得られるシリコーンレジン(I)
を含む耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。
【請求項2】
シリコーンレジン(I)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析におけるポリスチレン換算重量平均分子量が1,500以上である請求項1記載の耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。
【請求項3】
(A)下記一般式(1)
【化2】


(式中、R11、R12、R13、R14は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はフェニル基であり、Z1、Z2は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルコキシアルコキシ基、炭素数1〜6のアシロキシ基、炭素数1〜6のアルケノキシ基、又はイソシアネート基であり、Yは酸素原子、もしくは炭素数2〜10のアルキレン基であり、a、bは各々独立に1〜3の整数であり、cは1〜30の整数である。)
で表される少なくとも1種の加水分解性有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物、又はこの(A)成分と(B)下記一般式(2)
(R1m(R2nSi(OR34-m-n (2)
(式中、R1、R2は各々独立に水素原子、置換又は非置換の一価炭化水素基であり、R3は炭素数1〜3のアルキル基であり、m、nは各々独立に0,1のいずれかの整数であり、かつm+nは0,1,2のいずれかの整数である。)
で表される少なくとも1種のアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物とを(共)加水分解させることによって得られるシリコーンレジン(II)、
及び
上記(B)成分及び/又は(C)下記一般式(3)
(Z1a(R113-aSi−A−Si(R123-b(Z2b (3)
(式中、R11、R12、Z1、Z2は前記と同じであり、Aはフッ素原子を1個以上有する二価有機基であり、a、bは前記と同じある。)
で表される少なくとも1種の加水分解性有機ケイ素化合物及び/又はその部分加水分解縮合物
を(共)加水分解縮合させることによって得られるシリコーンレジン(III)
を含む耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。
【請求項4】
シリコーンレジン(II)及び(III)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析におけるポリスチレン換算重量平均分子量がそれぞれ1,500以上である請求項3記載の耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。
【請求項5】
前記一般式(1)におけるa、bがそれぞれ独立に2又は3であり、cが1〜10の整数である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。
【請求項6】
更に、金属酸化物微粒子、複合酸化物微粒子、中空酸化物微粒子又は中空複合酸化物微粒子の群から選ばれた少なくとも1種の微粒子を含む請求項1乃至5のいずれか1項に記載の耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。
【請求項7】
更に、少なくとも1種の紫外線吸収剤を含む請求項1乃至6のいずれか1項に記載の耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。
【請求項8】
更に、前記シリコーンレジンと反応し得る官能基を含有する有機重合体を少なくとも1種含む請求項1乃至7のいずれか1項に記載の耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。
【請求項9】
前記有機重合体が、加水分解性シリル基及び/又はヒドロキシシリル基含有のビニル系重合体である請求項8に記載の耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物。
【請求項10】
基材に、直接もしくは少なくとも1種の他の層を介して、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の耐擦傷性表面被膜形成用シリコーンコーティング組成物の硬化被膜を被覆してなる被覆物品。
【請求項11】
基材が、ガラス、金属、セラミック、有機樹脂又は繊維である請求項10に記載の被覆物品。

【公開番号】特開2006−117718(P2006−117718A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304241(P2004−304241)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】