説明

耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法

【課題】高い耐水性を有する耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【解決手段】平均OH基数を5以上有する低分子ポリオールを0.5質量%以上含有するポリオール混合物と、平均NCO基数を2.1〜2.5有するポリイソシアネートを反応させる。低分子ポリオールの数平均分子量は600〜1,500である。低分子ポリオールは、OH基を5つ以上有する糖アルコールに酸化プロピレンおよび酸化エチレンのうちのいずれか一方または双方を付加反応して得られるものであり、ポリオール混合物の残余のポリオールは、ポリエーテルポリオールである。ポリエーテルポリオールは、平均OH基数を1.7〜4.5有し、数平均分子量2,000〜8,000である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオールとポリイソシアネートを反応、発泡させて得られる軟質ポリウレタンフォームは、自動車シートや寝具をはじめとして様々な用途に使用されており、通常、耐水性が求められる。ここでいう耐水性は、水に浸漬等したときの軟質ポリウレタンフォームの強度や耐久性等の意味である。
【0003】
このような耐水性を有する軟質ポリウレタンフォームを得るためには、ポリオールとしてポリカーボネートポリオールを用いることが考えられる。
しかしながら、ポリカーボネートポリオールは、比較的高価であり、また、融点が高いため発泡成形するうえで必ずしも好適ではない。
【0004】
これに対して、ポリオールとしてポリエーテルポリオールを用いた軟質ポリウレタンフォームの製造方法が広く採用されている。ポリエーテルポリオールを用いた軟質ポリウレタンフォームの耐水性は、ポリカーボネートポリオールを用いたものよりはやや劣るがポリエステルポリオールを用いたものよりは優れる(非特許文献1参照)。
【0005】
ポリエーテルポリオールを用いた軟質ポリウレタンフォームの製造方法の例として、例えば、(a)ポリイソシアネートと、(b)(1)2〜4の官能価と25〜60のOH価とを有する末端OH基を持った75〜95重量%のポリエーテルポリオールと、(b)(2)少なくとも6の官能価と150〜200のOH値とを有し、少なくとも6の官能価を有するアルコールと全酸化アルキレンに対し5〜50重量%の末端酸化エチレン基を有するように改質した酸化プロピレンとの反応性生物である5〜25重量%のポリエーテルポリオールとの混合物と、(c)発泡剤および必要に応じ(d)公知の触媒、安定剤および/またはその他の公知添加物の存在下に反応させる圧縮硬さの実質的に増大した弾性かつ連続気泡の軟質ポリウレタンフォームの製造方法が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭63−69820公報
【非特許文献1】旭化成 技術資料 各ポリオールのポリウレタン物性{平成19年12月26日検索}、インターネット<URL : http://www.asahi-kasei.co.jp/pcdlhp/jp/technical/index.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば、高温条件下で水あるいは水蒸気雰囲気に接する機器や部材等の用途においては、より高い耐水性が求められる。具体的には、軟質ポリウレタンフォームを熱水に所定時間浸漬した後の引張強度の保持率および伸びの保持率に優れる軟質ポリウレタンフォームが望ましいが、特許文献1のものを含めた従来のものは必ずしもこの点で満足の得られるものではない。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、高い耐水性を有する耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、平均OH基数を5以上有する低分子ポリオールを0.5質量%以上含有するポリオール混合物と、平均NCO基数を2.1〜2.5有するポリイソシアネートを反応させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、好ましくは、前記低分子ポリオールを6質量%以下含有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、好ましくは、前記低分子ポリオールの数平均分子量が600〜1,500であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、好ましくは、前記低分子ポリオールが、OH基を5つ以上有する糖アルコールに酸化プロピレンおよび酸化エチレンのうちのいずれか一方または双方を付加反応させて得られるものであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、好ましくは、前記ポリオール混合物の前記低分子ポリオール以外の残余のポリオールがポリエーテルポリオールであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、好ましくは、前記ポリエーテルポリオールが平均OH基数を1.7〜4.5有し、数平均分子量2,000〜8,000であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、平均OH基数を5以上有する低分子ポリオールを0.5質量%以上含有するポリオール混合物と、平均NCO基数を2.1〜2.5有するポリイソシアネートを反応させるため、高い耐水性を有する耐水性軟質ポリウレタンフォームを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態について、以下に説明する。
【0016】
本実施の形態に係る耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法は、平均OH基数を5以上有する低分子ポリオールを0.5質量%以上含有するポリオール混合物と、平均NCO基数を2.1〜2.5有するポリイソシアネートを反応させるものである。
反応および発泡に際しては、適宜の鎖延長剤、触媒、発泡剤および整泡剤等の副資材を必要に応じて用いる。また、発泡成形する成形法は特に限定するものではないが、モールディング法が好適である。
【0017】
低分子ポリオールは、平均OH基数を5以上有するものであり、平均OH基数の上限は特にないが、実用上は最大8程度である。平均OH基数は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により数平均分子量(Mn)を測定し、フタル化法により水酸基価を測定して下記式より算出される値である。
平均OH基数={(水酸基価)×(Mn)}/(56.11×1000)
平均OH基数を5以上有する低分子ポリオールの種類は特に限定するものではなく、例えば、OH基数を5以上有する低分子ポリオールの単品または混合品であってもよく、また、平均OH基数が5以上である限りOH基数が4以下の低分子ポリオールを一部含んでいてもよい。
【0018】
低分子ポリオールは、OH基を5つ以上有する糖アルコールに酸化プロピレンおよび酸化エチレンのうちのいずれか一方または双方を付加反応させて得られるものであると、より好ましい。ここで、OH基を5つ以上有する糖アルコールは、例えば、キシロース由来のOH基数5つのキシリトール、マンノース由来のOH基数6つのマンニトール、グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)由来のOH基数8つのショ糖(サッカロース、スクロース)等であってもよいが、グルコース(ブドウ糖)由来のOH基数6つのソルビトールをより好適に用いることができる。
【0019】
低分子ポリオールは、数平均分子量が2,000以下のものをいい、より好ましくは、数平均分子量が600〜1500のものをいう。
【0020】
使用するポリオール混合物中、低分子ポリオールを0.5質量%以上含有する。低分子ポリオールの含有量が0.5質量%未満の場合は、耐水性軟質ポリウレタンフォームが高い耐水性を有するという本発明の効果が十分に得られないおそれがある。一方、低分子ポリオールの含有量の上限は特にないが、耐水性軟質ポリウレタンフォームの十分なC硬度やEB(伸び)を確保する観点からは10質量%以下、好ましくは6質量%以下とする。
【0021】
ポリオール混合物の低分子ポリオール以外の残余のポリオールは、特に限定するものではなく、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールのうちのいずれであってもよく、この場合、これらのポリオールは、いずれか1つを単独で用いてもよく、また、2つ以上を配合して用いてもよい。原料価格や耐水性軟質ポリウレタンフォームの物性、特性のバランスを考慮すると、ポリエーテルポリオールを主成分とすることが好ましく、さらにまた、ポリエーテルポリオール単独とすることがより好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、多価アルコール、糖類、アルキルアミン、アルカノールアミン、その他のイニシエーターに環状エーテル、特にプロピレンオキシドやエチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加して得られるポリエーテル系ポリオールが好適である。
また、硬度アップの観点からは、いわゆるポリマーポリオール(前記ポリエーテルポリオールと不飽和モノマーの付加重合体からなる複合体)を全ポリオール成分中10〜30質量%含むものであることが好ましい。
【0022】
ポリエーテルポリオールを用いるとき、低分子ポリオールは、上記したソルビトールに酸化プロピレンおよび酸化エチレンを付加反応させたものを用いることが好適である。
また、ポリエーテルポリオールは、平均OH基数1.7〜4.5を有し、数平均分子量2,000〜8,000のものを用いることが好ましい。平均OH基数が1.7未満の場合は、耐水性が低下するおそれがあり、一方、平均OH基数が4.5を超える場合は、機械物性(特に伸び)が低下するおそれがある。数平均分子量が2,000未満の場合は、伸びが低下するおそれがあり、一方、数平均分子量が8,000を超える場合は、フォームが柔らかくなってしまい機械物性が悪化してしまう等のおそれがある。
平均OH基数1.7〜4.5を有し、数平均分子量2,000〜8,000のポリエーテルポリオールとしては、公称平均OH基数が2〜4で数平均分子量2,000〜8,000の市販のポリエーテルポリオールを好適に用いることができ、また、平均OH基数が2〜4の開始剤を用いて生成した上記数平均分子量のポリエーテルポリオールを好適に用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
上記のポリオール混合物と反応させる、ポリイソシアネートは、平均NCO(イソシアネート)基数を2.1〜2.5有するものである。平均NCO基数は、GPCにより数平均分子量(Mn)を測定して、ジブチルアミン法によりNCO含量(%)を測定して下記式より算出される値である。
平均NCO基数= {(NCO含量) × (Mn)}/(42 × 100)
平均NCO基数を2.1〜2.5有するポリイソシアネートの種類は特に限定するものではなく、例えば、平均NCO基数を2.1〜2.5有するポリイソシアネートの単品または混合品であってもよく、また、平均NCO基数が2.1〜2.5の範囲内である限りNCO基数がこの範囲を外れるポリイソシアネートを一部含んでいてもよく、さらにまた、平均NCO基数が2.1未満のポリイソシアネートに、平均NCO基数が2.5以上のポリイソシアネートを配合して上記の平均NCO基数となるように調整してもよい。
例えば、NCO基数が2.1をわずかに下回るポリイソシアネートとCO基数が2.5をわずかに上回るポリイソシアネートとを配合する場合、NCO基数が2.1をわずかに下回るポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略す。)、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ニトロジフェニルジイソシアネート、ジフェニルプロパンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジメトキシジフェニルジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチルペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加TDI、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、さらにこれらの2種以上の混合物を挙げることができ、一方、NCO基数が2.5をわずかに上回るポリイソシアネートとしては、例えばポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(以下、これをP−MDIと略す。)を挙げることができる。
平均NCO基数が2.1を下回る場合、ポリマーの架橋点が少なくなって耐水性や圧縮永久歪みが悪化するおそれがある。一方、平均NCO基数が2.5を上回る場合、
伸び等の機械物性が低下し、また、シュリンク等により軟質フォームとしての成形性を保てずにウレタンフォームを得ることができなくなる等のおそれがある。
【0024】
上記ポリオール混合物と上記ポリイソシアネートの使用割合は、通常の軟質ポリウレタンフォームの製造において採用される割合でよく、例えばイソシアネートINDEX({(イソシアネート基)/(イソシアネート反応性基)}×100:当量比)が、60〜130、好ましくは80〜120となるように配合する。イソシアネートINDEXが極端に低いと、得られるポリウレタンフォームの表面にべとつき感が生じやすくなるおそれがあり、一方、イソシアネートINDEXが極端に高いと、得られるポリウレタンフォームが硬くなりすぎるおそれがある。
【0025】
上記の反応において、鎖延長剤を用いる場合、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、デカメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−n−ヘキサデカン−1,2−エチレングリコール、2−n−エイコサン−1,2−エチレングリコール、2−n−オクタコサン−1,2−エチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピオネート、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等を用いることができる。
【0026】
また、ポリウレタン化反応を促進するために、触媒として、例えば、有機スズ化合物などの金属化合物系触媒やトリエチレンジアミン(TEDA)、テトラメチルヘキサメチレンジアミン(TMHMDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ビスジメチルアミノエチルエーテル(BDMAEA)などの3級アミン触媒を用いることができる。
【0027】
また、発泡剤は、その種類を特に限定するものではなく、例えば、水やハイドロフルオロカーボン等を用いることができる。
【0028】
また、整泡剤を用いる場合、その種類を特に限定するものではなく、例えば、シリコーン系整泡剤や含フッ素化合物系整泡剤等を用いることができる。
【0029】
本実施の形態に係る耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法によって得られる耐水性軟質ポリウレタンフォームは、高い耐水性、具体的には、軟質ポリウレタンフォームを熱水に所定時間浸漬した後の引張強度および伸びの保持率に優れる。
このため、耐水性軟質ポリウレタンフォームを、高温条件下で水あるいは水蒸気雰囲気に接する機器や部材等の用途、例えば洗濯機や乾燥機等の防音材、サウナ室の足拭き等の用途に好適に用いることができる。
【実施例】
【0030】
実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
【0031】
(使用原料)
以下の原料を使用して軟質ポリウレタンフォーム(耐水性軟質ポリウレタンフォーム)を調製した。各原料の公称平均官能基数は、イソシアネート成分についてはNCO基の数であり、ポリオール成分についてはOH基の数である。各実施例1〜4および各比較例1〜5おいて使用した原料の種類および使用量を表1にまとめて示す。表1中の各数値は、イソシアネート成分については質量%を、他の成分については質量部数を、それぞれ示す。
<イソシアネート成分>
○PMD1:ポリエーテルポリオール変性プレポリマー(商品名CEF-300日本ポリウレタン工業社製):公称平均官能基数f=2.27、NCO含有量:28.8%、粘度:100mPa・s
○PMD2: (商品名CEF-301日本ポリウレタン工業社製):TDI/p-MDI比率=80/20、公称平均官能基数f=2.05、NCO含有量:44.6%、粘度:5mPa・s
○PMD3:p−MDI(商品名CEF-302日本ポリウレタン工業社製)公称平均官能基数f=約2.70、NCO含有量:30.7%、粘度:240mPa・s
<ポリオール成分1(高分子ポリオール)>
○ポリオールA:ポリエーテルポリオール(商品名 EL-510 旭硝子ウレタン社製):公称平均官能基数:2,数平均分子量:4,000
○ポリオールB:ポリマーポリオール
(商品名 EL-937 旭硝子ウレタン社製)
<ポリオール成分2(低分子ポリオール)>
○ポリオールC:ソルビトール系ポリエーテルポリオール(商品名 SP-750 三洋化成工業社製):公称平均官能基数:6,数平均分子量:約700
○1,4−BG:1,4−ブタンジオール(三菱化学社製)
○ポリブタジエンジオール(商品名 R-45HT 出光社製):公称平均官能基数:2,数平均分子量:2800
<その他添加剤>
連通化剤:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール(商品名
QB-8000 東邦化学社製):公称平均官能基数4、平均ヒドロキシル当量:2000、数平均分子量:8000
発泡剤:水(水道水)
樹脂化触媒:トリエチレンジアミン33%DPG溶液(商品名 TEDA-L33東ソー社製)
泡化触媒:70%ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル,30%ジプロピレングリコール(商品名 TOYOCAT-ET 東ソー社製)
【0032】
【表1】

【0033】
(ポリオールプレミックスの調整)
イソシアネート成分を除く表1に記載の各原料を仕込み,混合攪拌してポリオールプレミックスを得た。
【0034】
(軟質ポリウレタンフォームの製造)
上記イソシアネート基末端プレポリマーポリイソシアネート組成物(イソシアネート成分)と,上記のポリオールプレミックスとを用いて以下のようにして軟質ポリウレタンフォームを調製した。
すなわち、表2に示す割合で各ポリイソシアネート組成物とポリオールプレミックスを、温度25±2℃に温調して混合し,50℃に保持されたCannon製高圧発泡機の金型(400mm×400mm×10mm)に注入した。7分後脱型し、実施例1〜4および比較例1〜5の軟質ポリウレタンフォーム(ポリウレタンモールドフォーム)を得た。なお、表2中、INDEXはポリイソシアネート組成物とポリオール成分1のモル比を、配合比はポリイソシアネート組成物とポリオール成分1の質量部数を、それぞれ示す。
【0035】
【表2】

【0036】
(試験・測定)
上記の各軟質ポリウレタンフォームを一昼夜静置した後、以下の各試験による評価および物性測定を行った。結果を表3および図1、図2に示す。
C硬度はJIS
K7312(硬さ試験)に、TB(引張強度)、EB(伸び)およびTR(引裂強度)はJIS K6400-5に、それぞれ準拠して行った。
また、CS(圧縮残留歪)はJIS-K6400-4に準じ、50%圧縮,22時間,70℃の各条件で、また、サンプルサイズは10mm×10mm×10mm,n=4で行ない、下記式を用いて算出した。
Cs=(t0-t1)/(t0-t2)×100
:Cs 圧縮残留歪(%)
:t0 :試験片の元の厚さ(mm)
:t1 試験片を圧縮板から取り出し,30分後の厚さ(mm)
:t2 スペーサーの厚さ(mm)
TB保持率およびEB保持率は、JIS
K6400-5のTB測定用のダンベルを耐圧容器に入れて100℃で所定の時間保持した後に速やかに取り出し、水分が染み出さない程度の力で表面の水分をふき取り、JIS K6400−5に準拠して行った。各保持率は以下の式により算出した。
TB保持率(単位:%)={(所定時間保管後のTB測定値(単位:kPa))/(測定開始時のTB測定値(単位:kPa)))×100
EB保持率(単位:%)={(所定時間保管後のEB測定値(単位:%))/(測定開始時のEB測定値(単位:%))}×100
【0037】
【表3】

【0038】
表3によれば、実施例1〜3に比べて、実施例4(低分子ポリオール7.0質量部配合)のものは、C硬度およびEBがやや不足していることがわかる。また、比較例5については、収縮が顕著で適当な成形体が得られなかったため、各試験等は行わなかった。
【0039】
図1のTB保持率と時間の関係を見ると、比較例1〜4のものは、いずれも400時間近く経過した時点ではTB保持率が0%になるが、各実施例1〜4のものは、いずれも400時間近く経過した時点においても20%を超えるTB保持率が得られている。
また、図2のEB保持率と時間の関係を見ると、比較例1〜4のものは、いずれも400時間近く経過した時点でTB保持率が0%になるが、各実施例1〜4のものは、いずれも400時間近く経過した時点においても30%を超えるEB保持率が得られている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】TB保持率と時間の関係を示すグラフ図である。
【図2】EB保持率と時間の関係を示すグラフ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均OH基数を5以上有する低分子ポリオールを0.5質量%以上含有するポリオール混合物と、平均NCO基数を2.1〜2.5有するポリイソシアネートを反応させることを特徴とする耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項2】
前記低分子ポリオールを6質量%以下含有することを特徴とする請求項1記載の耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項3】
前記低分子ポリオールの数平均分子量が600〜1,500であることを特徴とする請求項1または2記載の耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項4】
前記低分子ポリオールが、OH基を5つ以上有する糖アルコールに酸化プロピレンおよび酸化エチレンのうちのいずれか一方または双方を付加反応させて得られるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項5】
前記ポリオール混合物の前記低分子ポリオール以外の残余のポリオールがポリエーテルポリオールであることを特徴とする請求項1記載の耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項6】
前記ポリエーテルポリオールが平均OH基数を1.7〜4.5有し、数平均分子量2,000〜8,000であることを特徴とする請求項5記載の耐水性軟質ポリウレタンフォームの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−191223(P2009−191223A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35749(P2008−35749)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(000230135)日本ポリウレタン工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】