説明

耐汚染性水性被覆組成物

本発明は、フッ素官能性疎水性ポリイソシアネートおよびヒドロキシ官能性水性ポリイソシアネートの反応生成物を含む水性被覆組成物を対象とする。本発明はまた、該水性被覆組成物の製造方法を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素官能性疎水性ポリイソシアネートおよびヒドロキシ官能性水性ポリイソシアネートの反応生成物を含む水性被覆組成物を対象とする。
本発明はまた、該水性被覆組成物の製造方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
ブロック形態または非ブロック形態でのポリイソシアネート成分、およびイソシアネート反応性成分、通常高分子量ポリオールを含有するポリウレタン被覆組成物はよく知られている。
【0003】
これらの組成物から調製された被覆物は多くの有益な特性を有し、とりわけ、向上させる必要がある1つの特性は表面品質である。表面欠陥、例えばクレーター等を有する被覆物とは対照的な滑らかな表面を有する被覆物を得るために被覆組成物を処方することは、困難であり得る。
【0004】
これらの困難性は、二成分被覆組成物の高い表面張力に関連すると考えられている。高い表面張力により引き起こされる他の問題は、被膜の洗浄が困難であることである。それらの可能性のある適用分野にかかわらず、被覆物は、染み、落書き等を受ける高い可能性がある。
【0005】
ポリイソシアネートの表面張力および得られるポリウレタン被覆物の表面エネルギーを減らすために、アロファネート基を介して、フッ素またはシロキサン基をポリイソシアネートに組み込むことは、米国特許第5541281号、同第5574122号、同第5576411号、同第5646227号、同第5691439号および同第5747629号に開示されている。これらの特許に開示されているポリイソシアネートの不利な点は、それらが、過剰のモノマージイソシアネートとフッ素またはシロキサン基を含有する化合物とを反応させることによって製造されることである。反応が終了した後に、未反応のモノマージイソシアネートを、費用のかかる薄膜蒸留法によって除去しなければならない。さらに、低表面エネルギーポリイソシアネートを調製する場合には、フッ素およびシロキサン基が製造装置を汚染することがあり、該装置を用いて他の生成物を製造する前に広範囲な清掃が必要となるので、任意の不必要な装置、例えば蒸留装置等の使用を避けることは重要である。
【0006】
米国特許出願公開第2006/0223970号には、コストのかかる蒸留法を回避する、ポリイソシアネート付加物から調製された低表面エネルギーポリイソシアネートが記載されている。しかしながら、記載されている被覆組成物は非水性組成物であるので、環境的観点から不利である。
【0007】
米国特許第5194487号には、従来の二成分ポリウレタン水性分散体が記載されている。そこに開示されているように、ポリイソシアネートは、ヒドロキシル官能性水性ポリウレタンと組み合わせる前に変性して親水性を付与しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5541281号明細書
【特許文献2】米国特許第5574122号明細書
【特許文献3】米国特許第5576411号明細書
【特許文献4】米国特許第5646227号明細書
【特許文献5】米国特許第5691439号明細書
【特許文献6】米国特許第5747629号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2006/0223970号明細書
【特許文献8】米国特許第5194487号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、表面張力が減少し、それにより低表面エネルギー、向上した表面および向上したクリーニング性を有し、および既知のポリウレタン被覆物の他の有益な特性を有する被覆物の製造に適当である被覆組成物を提供することである。本発明のさらなる目的は、このような特性を示す水性被覆組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、これらの目的は、以下に記載されている、アロファネート基およびフッ素を含有する本発明によるポリイソシアネート混合物により達成し得る。これらのポリイソシアネート混合物は、モノマージイソシアネートの代わりにポリイソシアネート付加物から調製されている。このようなポリイソシアネート混合物は、通常、疎水性であるにも拘わらず、ヒドロキシ官能性水性ポリウレタンと混合し得る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、
A)i)5〜35重量%のNCO含量および3重量%未満のモノマージイソシアネート含量を有し、ポリイソシアネート付加物から調製され、
ii)ウレタン基より多い当量のアロファネート基が存在するような量でアロファネート基を含有し、
iii)0.001〜50重量%の量でフッ素(F、AW 19として計算)を含有し、
前記パーセンテージはポリイソシアネート混合物の固形分を基準とし、およびフッ素が、イソシアネート基と、2個以上の炭素原子、1個以上のヒドロキシル基および1個以上のフッ素原子を含有する化合物とを反応させることによって組み込まれる、疎水性ポリイソシアネート混合物、および
B)ヒドロキシ官能性ポリウレタン水性分散体
の反応生成物を含む水性被覆組成物を対象とする。
【0012】
本発明はまた、
1)i)5〜35重量%のNCO含量および3重量%未満のモノマージイソシアネート含量を有し、ポリイソシアネート付加物から調製され、
ii)ウレタン基より多い当量のアロファネート基が存在するような量でアロファネート基を含有し、
iii)0.001〜50重量%の量でフッ素(F、AW 19として計算)を含有し、
前記パーセンテージはポリイソシアネート混合物の固形分を基準とする、疎水性ポリイソシアネート混合物を、
a)ポリイソシアネート付加物のイソシアネート基の一部と、ポリイソシアネート付加物1モルあたり0.01〜500ミリモルの、2個以上の炭素原子、1個以上のヒドロキシル基および1個以上のフッ素原子を含有する化合物とを反応させてウレタン基を形成する工程、
b)工程a)前、工程a)中、工程a)後にアロファネート化触媒を添加する工程、
c)工程a)において形成された十分な量のウレタン基をアロファネート基に変換して、ii)の要件を充足する工程、および
d)触媒毒を添加することによって、および/または触媒を熱的に不活性化することによって、所望のNCO含量でアロファネート化反応を終了し、およびモノマージイソシアネートを除去することなくポリイソシアネート混合物を回収する工程
によって調製する工程、
2)工程1)前、工程1)中または工程1)後にヒドロキシ官能性水性ポリウレタン分散体を調製する工程、および
3)疎水性ポリイソシアネート混合物とヒドロキシ官能性ポリウレタン水性分散体とを組み合わせる工程
を含む、水性被覆組成物の製造方法を対象とする。
【0013】
本発明によれば、用語「(シクロ)脂肪族的に結合したイソシアネート基」とは、脂肪族的および/または脂環式的に結合したイソシアネート基を意味する。
【0014】
本発明によれば、ポリイソシアネート混合物は、モノマーポリイソシアネートから調製されたポリイソシアネート付加物から調製され、およびイソシアヌレート基、ウレットジオン基、ビウレット基、ウレタン基、アロファネート基、イミノオキサジアジンジオン基、カルボジイミド基、アシルウレア基および/またはオキサジアジントリオン基を含有する。5〜30重量%のNCO含量を好適に有するポリイソシアネート付加物として以下のものが挙げられる:
【0015】
1)ドイツ特許第2616416号、欧州特許出願公開EP−OS3765、欧州特許出願公開EP−OS10589、欧州特許出願EP−OS47452、米国特許第4324879号および同第4324879号に記載されているように調製し得るイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート。イソシアナト−イソシアヌレートは通常、3〜4.5の平均NCO官能価および5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%およびより好ましくは15〜25重量%を有する。
【0016】
2)ジイソシアネートのイソシアネート基の一部を適当な触媒、例えばトリアルキルホスフィン触媒の存在下でオリゴマー化することによって調製し得、および他の脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネート、特に上記(1)の下に記載のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートと混合状態で用い得るウレットジオンジイソシアネート。
【0017】
3)共反応体、例えば水、第三級アルコール、第一級および第二級モノアミン、および第一級および/または第二級ジアミンを使用して、米国特許第3124605号、第3358010号、第3644490号、第3862973号、第3906126号、第3903127号、第4051165号、第4147714号または第4220749号に開示されている方法により製造し得るビウレット基含有ポリイソシアネート。好ましくは、これらのポリイソシアネートは18〜22重量%のNCO含量を有する。
【0018】
4)独国特許出願公開第19611849号に記載のように、特定のフッ素含有触媒の存在下で調製し得る、イミノオキサジアジンジオン基および任意にイソシアヌレート基を含有するポリイソシアネート。これらのポリイソシアネートは通常、3〜3.5の平均NCO官能価、および5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%、およびより好ましくは15〜25重量%のNCO含量を有する。
【0019】
5)独国特許第1092007号、米国特許第3152162号および独国特許第2504400号、独国特許第2537685号および独国特許第2552350号に記載のように、既知のカルボジイミド化触媒の存在下でジ−またはポリイソシアネートをオリゴマー化することによって調製し得るカルボジイミド基含有ポリイソシアネート。
【0020】
6)オキサジアジントリオン基を含有し、2モルのジイソシアネートおよび1モルの二酸化炭素の反応生成物を含有するポリイソシアネート。
【0021】
好ましいポリイソシアネート付加物は、イソシアヌレート基、ウレットジオン基、ビウレット基および/またはイミノオキサジアジンジオン基を含有するポリイソシアネート、特にイソシアヌレート基および任意にウレットジオン基またはイミノオキサジアジンジオン基を含有するポリイソシアネートである。
【0022】
ポリイソシアネート付加物を製造するのに適当なモノマージイソシアネートとして、式:
R(NCO)
〔式中、Rは、約140〜400の分子量を有する有機ジイソシアネートからイソシアネート基を除去することによって得られる有機基を表す〕
で示されるものが挙げられる。好ましいジイソシアネートは、Rが4〜40個、好ましくは4〜18個の炭素原子を有する二価脂肪族炭化水素基、5〜15個の炭素原子を有する二価脂環式炭化水素基、7〜15個の炭素原子を有する二価芳香脂肪族炭化水素基、または6〜15個の炭素原子を有する二価芳香族炭化水素基を表すジイソシアネートである。
【0023】
適当な有機ジイソシアネートの例として、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−および−1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−2−イソシアナトメチルシクロペンタン、1−イソシナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)−メタン、2,4’−ジシクロヘキシル−メタンジイソシアネート、1,3−および1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナト−3−メチル−シクロヘキシル)−メタン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−および/または−1,4−キシリレンジイソシアネート、1−イソシナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4−および/または2,6−ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルイレンジイソシアネート、2,4−および/または4,4’−ジフェニル−メタンジイソシアネート、1,5−ジイソシアナトナフタレンおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
3個以上のイソシアネート基を含有するポリイソシアネート、例えば4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート、および芳香族ポリイソシアネート、例えば4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、およびアニリン/ホルムアルデヒド縮合物のホスゲン化によって得られるポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートも使用し得る。
【0025】
好ましい有機ジイソシアネートとして、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)−メタン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−および/または−1,4−キシリレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルイレンジイソシアネート、および2,4−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0026】
本発明によれば、ウレタン基および好ましくはアロファネート基は、2個以上の炭素原子、1個以上のヒドロキシル基(好ましくは1個または2個、より好ましくは1個のヒドロキシル基)および1個以上のフッ素原子(好ましくはフルオロアルキル基、例えば−CF−等)を含有する化合物の使用によってポリイソシアネート混合物に組み込まれる。これらの化合物の例として、2個以上の炭素原子を含有し、ならびにフッ素原子、好ましくはフルオロアルキル基を含有する脂肪族、脂環式、芳香脂肪族または芳香族ヒドロキシル基含有化合物が挙げられる。該化合物は、直鎖状、分枝状または環状であってよく、また、50000までの、好ましくは10000までの、より好ましくは6000までの、最も好ましくは2000までの分子量(ポリスチレンを標準として使用するゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより決定される数平均分子量)を有し得る。これらの化合物は通常、5を超える、好ましくは25を超える、より好ましくは35を超えるOH価を有する。ヒドロキシル基含有化合物は、必要に応じて、他のヘテロ原子を、例えばエーテル基、エステル基、カーボネート基、アクリル基等の形態で含有し得る。
【0027】
従って、本発明によれば、ポリウレタン化学から既知のポリオールを用いることも可能であるが、但しこれらは、例えばフッ素を含有するアルコール、酸、不飽和モノマー等をこれらのポリオールの製造に用いることによってフッ素を含有する。フッ素含有前駆物質から調製され、本発明により使用し得るこれらのポリオールの例は、米国特許第4701480号に開示される(その開示は参照によってここに組み込まれる)。適当なフッ素含有化合物のさらなる例は、米国特許第5294662号および同第5254660号に開示されている(その開示は参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0028】
本発明による使用に好ましいものは、1個以上のヒドロキシル基、好ましくは1個または2個のヒドロキシル基、より好ましくは1個のヒドロキシル基;1個以上のフルオロアルキル基;必要に応じて1個以上のメチレン基;および必要に応じて他のヘテロ原子、例えばエーテル基等を含有する化合物である。これらの化合物は好ましくは、2000未満の分子量または28以下のヒドロキシル価を有する。
【0029】
本発明によるポリイソシアネート混合物を製造するために、ポリイソシアネート付加物に対するフッ素含有化合物の最小比は、ポリイソシアネート付加物1モルに対してフッ素含有化合物が0.01ミリモル、好ましくは約0.1ミリモル、より好ましくは約1ミリモルである。ポリイソシアネート付加物に対するフッ素含有化合物の最大量は、ポリイソシアネート付加物1モルに対してフッ素含有化合物が約500ミリモル、好ましくは約100ミリモル、より好ましくは約20ミリモルである。フッ素の量は、得られるポリイソシアネート混合物が、固形物を基準として、最小0.001重量%、好ましくは0.01重量%、より好ましくは0.1重量%のフッ素(F、AW19として計算)、および、固形分に基づいて、最大50重量%、好ましくは10重量%、より好ましくは7重量%、特に好ましくは3重量%のフッ素を含有するように選択される。
【0030】
アロファネート基を含有するポリイソシアネート混合物を製造する適当な方法は、既知であり、米国特許第3769318号、同第4160080号、同第4177342号および同第4738991号に記載されている(その開示を参照によって本明細書に組み入れる)。アロファネート化反応は、50〜250℃、好ましくは60〜150℃、より好ましくは70〜120℃の温度で行い得る。反応は、反応温度の低下により、触媒の除去により、例えば真空の適用により、または触媒毒の添加により停止し得る。モノマージイソシアネート低含量を有するポリイソシアネート付加物を出発物質として使用するので、反応の終了後に、未反応モノマージイソシアネートを、例えば薄膜蒸発によって、除去する必要がない。
【0031】
アロファネート化反応は、イソシアネート基に対し不活性な溶媒の不存在下または存在下で、特に、液体出発物質を使用する場合は、好ましくは溶媒の不存在下で行い得る。本発明による生成物の応用分野に応じて、低沸点ないし中沸点溶媒または高沸点溶媒を使用することができる。適当な溶媒として、エステル、例えば酢酸エチルまたは酢酸ブチル等;ケトン、例えばアセトンまたはブタノン等;芳香族化合物、例えばトルエンまたはキシレン等;ハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレンおよびトリクロロエチレン等;エーテル、例えばジイソプロピルエーテル等;およびアルカン、例えばシクロヘキサン、石油エーテルまたはリグロイン等が挙げられる。
【0032】
本発明による方法は、バッチ式または連続的に、例えば以下に記載のように行い得る。出発ポリイソシアネート付加物を、湿分を排除し、任意に不活性ガスにより適当な撹拌容器または管に導入し、必要に応じてイソシアネート基に対し不活性な溶媒、例えばトルエン、酢酸ブチル、ジイソプロピルエーテルまたはシクロヘキサン等と混合する。フッ素およびヒドロキシル基を含有する前記化合物は、いくつかの実施形態によれば反応容器に導入し得る。これらは、ポリイソシアネート付加物を反応容器に導入する前に、出発ポリイソシアネート付加物と予備反応させてウレタンを形成し得る;これらをポリイソシアネート付加物と混合し、反応容器に導入し得る;これらを、ポリイソシアネート付加物を添加する前または後、好ましくは後に、反応容器に別に添加し得る;または、溶液を反応容器に導入する前に、触媒をこれらの化合物に溶解させ得る。
【0033】
反応の経過は、滴定、屈折率またはIR分析等の適切な方法によりNCO含量を決定することによって追跡する。このようにして、反応は、所望のアロファネート化度で停止し得る。アロファネート化反応の停止は、例えば、NCO含量が、ポリイソシアネート付加物出発物質の初期イソシアネート基含量を基準として5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは20〜50重量%減少した後に行うことができる。
【0034】
本発明により得られるポリイソシアネート混合物は、約2〜7、好ましくは2〜4の平均官能価;10〜35重量%、好ましくは10〜30重量%、より好ましくは15〜30重量%のNCO含量;および、3重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満のモノマージイソシアネート含量を有する。ポリイソシアネート混合物は、好ましくは少なくとも0.001重量%、より好ましくは少なくとも0.01重量%、特に好ましくは少なくとも0.5重量%のアロファネート基含量(N、C、H、O、MW101として計算)を有する。アロファネート基含量の上限は、好ましくは20重量%、より好ましくは10重量%、特に好ましくは5重量%である。上記パーセンテージは、ポリイソシアネート混合物の固形分を基準とする。
【0035】
本発明による生成物は、アロファネート基およびフッ素を含有するポリイソシアネート混合物である。該生成物は、反応中に維持された温度、およびイソシアネート基消費度に応じてアロファネート基に変換されていない残留ウレタン基も含有し得る。フッ素含有ヒドロキシル化合物から形成されたウレタン基の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも90%がアロファネート基に変換されることが好ましいが、但しアロファネート基の当量数がウレタン基の当量数を超える場合にはその必要はない。好ましくは、ポリイソシアネート混合物は、ポリイソシアネート混合物が25℃で1ヶ月間、好ましくは25℃で3ヶ月間の貯蔵において安定かつ均質に維持されることを確実にするのに充分なアロファネート基を含有する。ポリイソシアネート混合物が充分な数のアロファネート基を含有する場合、該混合物は曇っている場合があり、不溶性成分の段階的沈殿が貯蔵中に起こる場合がある。
【0036】
本発明による生成物は、少なくとも2個のイソシアネート反応性基を含有する化合物との反応によって、ポリイソシアネート重付加生成物の製造のために有用な出発物質である。本発明による生成物はまた、湿分硬化して被膜を形成し得る。好ましい生成物は、一または二成分被覆組成物、より好ましくはポリウレタン被覆組成物である。ポリイソシアネートがブロックされていない場合、二成分組成物が得られる。これに対して、ポリイソシアネートがブロックされている場合、一成分組成物が得られる。
【0037】
被覆組成物に使用する前に、本発明によるポリイソシアネート混合物を、既知の他のポリイソシアネート、例えばビウレット基、イソシアヌレート基、アロファネート基、ウレタン基、ウレア基、カルボジイミド基および/またはウレトジオン基を含有するポリイソシアネート付加物とブレンドし得る。これらの他のポリイソシアネートとブレンドしなければならない本発明によるポリイソシアネート混合物の量は、本発明によるポリイソシアネート混合物のフッ素含有量、得られる被覆組成物の意図する用途、および該用途に望まれる低表面エネルギー特性の量に依存する。
【0038】
低表面エネルギー特性を得るために、得られるポリイソシアネートブレンドは、固形物を基準として最少で0.001重量%、好ましくは0.01重量%、より好ましくは0.1重量%のフッ素(AW19)、および固形物を基準として最大で10重量%、好ましくは7重量%、より好ましくは3重量%のフッ素(AW19)を含有すべきである。10重量%より多いフッ素含有量も低表面エネルギー被覆物を得るのに適しているが、より多い量を使用することによってさらなる改善は得られない。本発明によるポリイソシアネート混合物のフッ素含量、および得られるポリイソシアネートブレンドの所望のフッ素含量を知ることによって、ポリイソシアネート混合物および他のポリイソシアネートの相対量は容易に決定し得る。
【0039】
本発明によれば、得られるブレンドが本発明のポリイソシアネート混合物に必要とされる最少フッ素含量を有する限り、本発明による任意のポリイソシアネート混合物は、他のポリイソシアネートとブレンドすることができる。しかし、ブレンドされるポリイソシアネート混合物は、好ましくは最少5重量%、より好ましくは10重量%の最少フッ素含量を有し、好ましくは50重量%、より好ましくは40重量%、特に好ましくは30重量%の最大フッ素含量を有する。次に、これらのいわゆる「濃縮物」を他のポリイソシアネートとブレンドして、ポリイソシアネートブレンドを形成し、このブレンドを使用して低表面エネルギー特性を有する被覆物を製造し得る。
【0040】
フッ素高含量を有する濃縮物を製造し、次いでこれをフッ素不含有ポリイソシアネートとブレンドすることによって、いくつかの利点が得られる。先ず、1つの濃縮物を製造するだけで、多くの生成物を低表面エネルギーポリイソシアネートに変換することができる。商業的に入手可能なポリイソシアネートと濃縮物とをブレンドすることによってそのような低表面エネルギーポリイソシアネートを形成することにより、フッ素含有およびフッ素不含有の両形態の各製品を別々に製造する必要がない。フッ素最大含量の可能性のある1つの欠点は、少量の出発ポリイソシアネート付加物のイソシアネート基の全てが反応し得ることである。イソシアネート基を含有しないこれらの分子は、得られる被覆物に反応して入ることができないので、最終被覆物の特性に悪影響を及ぼし得る。
【0041】
本発明に従って水分散性ポリイソシアネートおよびポリオール添加剤と併用するヒドロキシ官能性ポリウレタンは、少なくとも1.8、好ましくは1.8〜8、より好ましくは2〜6、特に好ましくは2.5〜6の平均ヒドロキシ官能価;9〜20重量%、好ましくは約10〜17重量%のウレタン基およびウレア基の全含量;および約100〜5000、好ましくは500〜4000、より好ましくは1000〜3000の平均ヒドロキシ当量(これは末端基分析により計算し得る)を有する。
【0042】
ヒドロキシ官能性ポリウレタンは、有機ポリイソシアネートと、高分子量ポリオールと、必要に応じて低分子量イソシアネート反応性化合物と、アニオン性基および潜在性アニオン性基を含有するイソシアネート反応性化合物および非イオン性親水性基を含有するイソシアネート反応性化合物の少なくとも1つとの反応生成物をベースとする。
【0043】
ヒドロキシ官能性ポリウレタンを製造するのに適当なポリイソシアネートとして、任意の有機ポリイソシアネート、好ましくはモノマージイソシアネートが挙げられる。特に好適には、脂肪族的及び/又は脂環式的に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート、特にジイソシアネートであるが、芳香族的に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネートは除外されず、使用し得る。
【0044】
用い得る適当なポリイソシアネートの例として、エチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−および/または−1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−2−イソシアナトメチルシクロペンタン、1−イソシナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、2,4−および/または2,6−ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、2,4’−および/または4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−および/または−1,4−キシリレンジイソシアネート、1,3−および1,4−キシリレンジイソシアネート、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチル−シクロヘキサン、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−および/または−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、アニリンとホルムアルデヒドとの縮合、それに続くホスゲン化によって得られる種類のポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、および上記のポリイソシアネートの混合物が挙げられる。
【0045】
ヒドロキシ官能性ポリウレタンを製造するのに適当な高分子量ポリオールとして、ポリウレタン化学から既知の、400〜6000、好ましくは400〜3000の分子量(M)を有する高分子量ポリオールが挙げられる。高分子量化合物の例として、以下のものが挙げられる:
【0046】
1)多価、好ましくは二価アルコール(これに、三価アルコールを添加し得る)と、多塩基、好ましくは二塩基カルボン酸とから得られるポリヒドロキシポリエステル。これらのポリカルボン酸の代わりに、相当するカルボン酸無水物または低級アルコールのポリカルボン酸エステルまたはこれらの混合物を、ポリエステルを製造するために使用し得る。ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族および/または複素環式であり得、これらは、非置換であっても、および/または例えばハロゲン原子により置換されていてもよい。これらの酸の例として、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリト酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、ダイマーおよびトリマー脂肪酸、例えばオレイン酸等(これらはモノマー脂肪酸と混合され得る)、ジメチルテレフタレートおよびビスグリコールテレフタレートが挙げられる。適当な多価アルコールとして、エチレングリコール、1,2−および1,3−プロピレングリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロピレングリオール、種々の異性体ビス−ヒドロキシメチルシクロヘキサン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリンおよびトリメチロールプロパンが挙げられる。
【0047】
2)ポリウレタン化学から一般的に知られているポリラクトン、例えば、上記の多価アルコールにより開始されたε−カプロラクトンのポリマー。
【0048】
3)ヒドロキシル基を有するポリカーボネート、例えばポリヒドロキシポリエステルを調製するための前記多価アルコール(好ましくは二価アルコール、例えば1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはテトラエチレングリコール)と、ホスゲン、ジアリールカーボネート、例えばジフェニルカーボネートまたは環式カーボネート、例えばエチレン若しくはプロピレンカーボネートとの反応から得られた生成物等。
【0049】
4)ポリエーテルとして、反応性水素原子を含有する出発化合物と、アルキレンオキシド、例えばプロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフラン、エピクロルヒドリンまたはこれらのアルキレンオキシドの混合物等との反応によって得られたポリマーが挙げられる。特定の割合のエチレンオキシドが含まれ得るが、ポリエーテルが10重量%より多いエチレンオキシドを含有しない場合、エチレンオキシドを含有しないポリエーテルが好ましく用いられる。少なくとも1つの反応性水素原子を含む適当な出発化合物として、ポリヒドロキシポリエステルを調製するために適当なものとして上述したポリオール、さらに、水、メタノール、エタノール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、スクロース、フェノール、イソノニルフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノンおよび1,1,1−または1,1,2−トリス−(ヒドロキシフェニル)エタンが挙げられる。アミノ基を含有する出発化合物の反応によって得られたポリエーテルを用いることもできるが、本発明に用いるのにあまり好ましくない。適当なアミン出発化合物として、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、1,6−ヘキサンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,2−プロパンジアミン、ヒドラジン、アミノ酸ヒドラジド、セミカルバジドカルボン酸のヒドラジド、ビス−ヒドラジドおよびビス−セミカルバジド、アンモニア、メチルアミン、テトラメチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノール、トリエタノールアミン、アニリン、フェニレンジアミン、2,4−および2,6−トルイレンジアミン、アニリン/ホルムアルデヒド縮合反応によって得られた種類のポリフェニレンポリメチレンポリアミンおよびこれらの混合物が挙げられる。樹脂物質、例えばフェノールおよびクレゾール樹脂を出発材料として用いることもできる。ポリエーテルのための好適な出発化合物は、ヒドロキシル基を専ら含有する化合物であるが、第三級アミン基を含有する化合物はあまり好ましくなく、イソシアネート反応性NH基を含有する化合物は非常に好ましくない。
【0050】
ビニルポリマーによって修飾されたポリエーテルもまた本発明による方法に適している。この種の生成物は、例えばスチレンおよびアクリロニトリルをポリエーテルの存在下で重合することによって得られ得る(米国特許第3383351号、同第3304273号、同第3523095号および同第3110695号および独国特許第1152536号)。ポリエーテルとして適当なものは、前記ポリエーテルのヒドロキシル基の少なくとも一部がアミノ基に変換されているアミノポリエーテルである。
【0051】
5)ポリチオエーテル、例えばチオジグリコールそれ自体から、および/またはチオジグリコールと他のグリコール、ジカルボン酸、ホルムアルデヒド、アミノカルボン酸またはアミノアルコールとから得られた縮合生成物等。該生成物は、共成分に応じて、ポリチオ混合エーテル、ポリチオエーテルエステルまたはポリチオエーテルエステルアミドのいずれかである。
【0052】
6)上記の多価アルコール、特にジエチレンジグリコール、トリエチレングリコール、4,4’−ジオキシエトキシ−ジフェニルジメチレン、1,6−ヘキサンジオールおよびホルムアルデヒドから得られたポリアセタールを含むポリアセタール。本発明に用いるのに適当なポリアセタールはまた、環式アセタールの重合によって調製し得る。
【0053】
7)イソシアネート反応性基を含有する、当業者に既知のポリエーテルエステル。
【0054】
8)大部分は、多価飽和および不飽和カルボン酸またはこれらの無水物および多価飽和および不飽和アミノアルコール、ジアミン、ポリアミンまたはこれらの混合物から得られた直鎖状縮合物を含むポリエステルアミドおよびポリアミド。
【0055】
本発明による方法に用いるための好ましい高分子量イソシアネート反応性化合物は、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリラクトン、ジヒドロキシポリカーボネートおよびジヒドロキシポリエステルカーボネートである。ヒドロキシ官能性ポリウレタンを調製するために本発明に従って必要に応じて用い得る適当な低分子量イソシアネート反応性化合物は、約400までの分子量およびヒドロキシ官能性ポリウレンタンの官能価に相当する官能価を有する。その例として、ポリヒドロキシポリエステルおよびポリエーテルの調製に用いるために上述したポリオールおよびジアミンおよび以下に記載のアミノアルコールが挙げられる。
【0056】
ヒドロキシ官能性ポリウレタン水分散体を作製するために、親水性基、すなわちアニオン性基、潜在性アニオン性基または非イオン性親水性基をポリイソシアネート成分に化学的に組み込む必要がある。適当な親水性成分は、少なくとも1つのイソシアネート反応性基および少なくとも1つの親水性基または潜在性親水性基を含有する。潜在性イオン基を組み込むために用い得る化合物の例として、脂肪族ヒドロキシカルボン酸、第一級または第二級アミノ基を有する脂肪族または芳香族アミノカルボン酸、脂肪族ヒドロキシスルホン酸、および第一級または第二級アミノ基を有する脂肪族または芳香族アミノスルホン酸が挙げられる。これらの酸は、400未満の分子量を好ましく有する。カルボン酸基は、イソシアネートとの反応性が低いためイソシアネート反応性基とみなさないことは重視されるべきである。
【0057】
本発明においてヒドロキシ官能性ポリウレタンに組み込むための好適なアニオン性基はカルボキシレート基であり、これらの基は、一般式:
(HO)Q(COOH)
〔式中、
Qは、1〜12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の炭化水素基を示し、および
xおよびyは1〜3の値を示す〕
で示されるヒドロキシカルボン酸を用いて導入し得る。
【0058】
これらのヒドロキシカルボン酸の例として、クエン酸および酒石酸が挙げられる。
【0059】
好適な酸は、x=2およびy=1である上記の式の酸である。これらのジヒドロキシアルカン酸は米国特許第3412054に記載されている(その内容を参照によってここに組み込む)。ジヒドロキシアルカン酸の好適な群は、構造式:
【化1】

〔式中、Qは、水素または1〜8個の炭素原子を含有するアルキル基である〕
によって示されるα,α−ジメチロールアルカン酸である。特に好適な化合物は、α,α−ジメチロールプロピオン酸であり、すなわちQ’が上記の式中においてメチル基である。
【0060】
酸基は、ヒドロキシ官能性ポリウレタン水分散性とするのに十分な量での中和剤、例えばアルカリ金属塩、アンモニアまたは第一級、第二級または好ましくは第三級アミン等による処理によって親水性アニオン性基中に変換し得る。適当なアルカリ金属塩として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウムおよび重炭酸カリウムが挙げられる。中和剤としてのアルカリ金属塩の使用は、これらが本発明の水分散性組成物から製造された被覆物において水膨潤耐性を減少させるので、揮発性有機化合物、例えば揮発性アミン等の使用に比べあまり好ましくない。従って、50%未満、好ましくは20%未満の酸基がアルカリ金属で中和されるべきであり、特に好ましくは酸基がアルカリ金属で中和されない。
【0061】
酸基を中和するのに好適な揮発性アミンは第三級アミンであるが、アンモニアおよび第一級および第二級アミンはあまり好ましくない。適当なアミンの例として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチル−シクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノプロパノール、2−メトキシエチルジメチルアミン、N−ヒドロキシエチルピペラジン、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノールおよび5−ジエチルアミノ−2−ペンタノンが挙げられる。最も好適な第三級アミンは、ツェレビチノフ試験によって決定されたイソシアネート反応性基を含有しない第三級アミンであり、これらは本発明の組成物の硬化中にイソシアネート基と反応することができる。
【0062】
本発明の好適な実施態様では、揮発性第三級アミンは、対象用途の水分散性被覆組成物を硬化する場合にも用いられ、第三級アミンは被覆基材から除去される。酸基は、アルカリ金属または好ましくは揮発性アミンでの処理によって、ヒドロキシ官能性ポリウレタンへの組み込み前、組み込み中または組み込み後に親水性アニオン性基に変換し得る。しかしながら、その組み込み後に酸基を中和することが好ましい。
【0063】
側部または末端に親水性エチレンオキシド単位を含有する化合物は、少なくとも1つ、好ましくは1つのイソシアネート反応性基を有し、および任意の成分であり、25重量%までの側鎖または末端鎖に存在する親水性エチレンオキシド単位(−CH−CH−O−として計算)の含量を与えるのに十分な量で存在し得る。親水性エチレンオキシド単位を含有する化合物を用いる場合には、これらは、ヒドロキシ官能性ポリウレタンの重量を基準として1重量%を越え、より好ましくは3重量%を越える親水性エチレンオキシド単位の含量を与えるのに十分な量でヒドロキシ官能性ポリウレタンに好ましく組み込まれる。親水性エチレンオキシド単位についての好適な上限は、ヒドロキシ官能性ポリウレタンの重量を基準として10重量%、より好ましく7重量%である。
【0064】
エチレンオキシド単位を含有する末端または側部に親水性鎖を有する親水性成分として、式:
【化2】

または
【化3】

〔式中、
Rは、上記のジイソシアネートに相当するジイソシアネートからイソシアネート基を除くことによって得られた二官能性基を示し、
R’は、水素または1〜8個を含有する一価炭化水素基、好ましくは水素またはメチル基を示し、
R’’は、1〜12個の炭素原子を有する一価炭化水素基、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル基を示し、
Xは、5〜90の鎖員、好ましくは20〜70の鎖員を有するポリアルキレンオキシドから末端酸素原子を除くことによって得られた基を示し、少なくとも40%、好ましくは少なくとも65%の鎖員がエチレンオキシド単位および他のアルキレンオキシド単位、例えばプロピレンオキシド単位、ブチレンオキシド単位またはスチレンオキシド単位、好ましくはプロピレンオキシド単位等を含み、
Yは、酸素または−NR’’’−(式中、R’’’はR’’と同一の定義を有する)を示し、および
Zは、Yに相当する基を示すが、−NH−をさらに示し得る〕
で示される化合物が挙げられる。
【0065】
上記の式に相当する化合物は、米国特許第3905929号、同第3920598号および同第4190566号による方法によって製造し得る(その開示を参照によってここに組み込む)。単官能性親水性合成成分は、例えば、n−ブタノールまたはN−メチルブチルアミンのような単官能性化合物を、エチレンオキシドおよび必要に応じて他のアルキレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシドを用いてアルコキシル化することにより製造される。得られる生成物は必要に応じて、アンモニアとの反応によってさらに変性して(これはあまり好ましくない)、相当する第一級アミノポリエーテルを形成する。
【0066】
ヒドロキシ官能性ポリウレタンは、固体100gあたり0〜200、好ましくは10〜200、より好ましくは10〜180、特に好ましくは20〜100ミリ当量の化学的に組み込まれたアニオン性基の含量および0〜25重量%の化学的に組み込まれた非イオン性基の含量を有する。親水性エチレンオキシド単位を含有する化合物を用いる場合には、これらは好ましくは、ヒドロキシ官能性ポリウレタンに、ヒドロキシ官能性ポリウレタンの重量を基準として1重量%、より好ましくは3重量%を越える親水性エチレンオキシド単位の含量を得るために十分な量で組み込む。親水性エチレンオキシド単位の含量についての上限は、ヒドロキシ官能性ポリウレタンの重量を基準として好ましくは10重量%、より好ましくは7重量%である。アニオン性基および親水性エチレンオキシド単位の量は、ヒドロキシ官能性ポリウレタンが水中で安定した分散状態を維持するために十分な量でなければならない。
【0067】
ヒドロキシ官能性ポリウレタンは、従来技術から既知の方法に従って製造し得る。例えば、上記の反応成分は、任意の順序で添加し得る。ある好適な方法は、イソシアネート反応性成分の全てを混合する工程、次いで該混合物とポリイソシアネートとを反応させる工程を含んでなる。イソシアネート基1個あたりイソシアネート反応性基の数が1.1:1〜4:1、好ましくは1.2:1〜1.8:1で維持される。次いで、該混合物は、さらなるNCO基を検出することができなくなるまで反応させる。反応は、溶融物中でまたは有機溶媒の存在下で行い得る。適当な溶媒として、ポリウレタン化学において通常使用する水混和性溶媒、例えばエステル、ケトン、ハロゲン化炭化水素、アルカンおよびアレーン等が挙げられる。低沸点溶媒として、40°〜90℃の範囲での温度で沸騰する低沸点溶媒、例えばアセトンおよびメチルエチルケトン等が挙げられる。さらに、高沸点溶媒、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよびエチレングリコールモノ(−メチル、−エチルまたは−ブチル)エーテルアセテート等を使用し得る。
【0068】
他の好適な方法では、NCO末端プレポリマーは、ポリイソシアネートと、高分子量ポリオール、親水性基または潜在性親水性基を含有するイソシアネート反応性化合物、および必要に応じて少なくとも2つのイソシアネート反応性基を含有する低分子量化合物とを反応させることによって調製する。次いで、NCOプレポリマーは、少なくとも一つのヒドロキシル基を含有する第一級または第二級モノアミンとのさらなる反応によってヒドロキシ官能性ポリウレタンに変換される。これらのモノアミンの適当な例として、エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、3−アミノ−1プロパノールおよび2−アミノ−2−ヒドロキシメチルプロパン−1,3−ジオールが挙げられる。
【0069】
さらなる好適な方法では、NCO末端プレポリマーは、上記のように調製される。しかしながら、モノアミンによるイソシアネート基のキャッピングの代わりに、NCO末端プレポリマーは、ヒドロキシ基含有ポリアミン、例えばN−ヒドロキシエチル−エチレンジアミンにより鎖延長される。その鎖延長剤が約1のNCO:NH比を得るのに十分な量で用いられる場合には、側部ヒドロキシ基を有する鎖延長ヒドロキシ官能性ポリウレタンが得られる。
【0070】
水性被覆組成物を製造するために、疎水性のポリイソシアネート成分およびヒドロキシ官能性ポリウレタン反応性成分の量は、約0.8〜3、好ましくは約0.9〜1.5のイソシアネート反応性基に対するイソシアネート基(ブロックト形態または非ブロックト形態で存在するかどうかに拘わらない)の当量比を得るために選択する。ヒドロキシ官能性ポリウレタンは、カウルブレード(cowls blade)を用いて幾つかの添加剤とブレンドする。次いで、疎水性ポリイソシアネートを添加し、撹拌する。脱イオン化水を添加して、粘度を調節し得る。被覆組成物は、周囲温度または高温で硬化し得る。
【0071】
硬化を促進するために、被覆組成物は、既知のポリウレタン触媒、例えば第三級アミン、例えばトリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N−ジメチルアミノシクロヘキサン、N−メチル−ピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタンおよびN,N’−ジメチルピペラジン等;または金属塩、例えば塩化鉄(III)、塩化亜鉛、2−エチルカプロン酸亜鉛、錫(II)−エチルカプロエート、ジブチル錫(IV)−ジラウレートおよびグリコール酸モリブデン等を含有し得る。
【0072】
被覆組成物はまた、他の添加剤、例えば顔料、染料、充填剤、レベリング剤および溶媒等を含有し得る。被覆組成物を、基材に適用して、溶液状態でまたは溶融物から従来の方法、例えばペインティング、ロール、流し込みまたはスプレー等によって被覆し得る。
【0073】
本発明を以下の実施例によって、さらに説明するが、限定する目的ではない(特記のない限り、全ての部およびパーセンテージは重量による)。
【実施例】
【0074】
実施例では、アロファネート基含量は、ウレタン基のアロファネート基への変換が100%であるとみなす理論含量を基準とする。
【0075】
〔フッ素化アルコールBA−LD〕
416の当量を有し、および一般式:
【化4】

(式中、nは2〜8である)
で示される、フッ素化アルコール混合物(DuPontからZonyl BA−LDとして市販)。
【0076】
〔ポリイソシアネート3600〕
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートから調製され、イソシアネート含量22.8%、モノマージイソシアネート含量<0.25%、25℃での粘度1145mPa.s、および表面張力45dyne/cmを有する、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネート(Bayer Material ScienceからDesmodur N 3600として市販)。
【0077】
〔PNPAD〕
ポリネオペンチレンアジペートジオール、当量1000g/モル、 Witco Inc.からFoamrez 55−56として市販。
【0078】
〔PEO安定剤〕
ブチルカルビトールおよびPOおよびEO単位の混合物から調製されたポリエーテルモノオール、OH価25mgKOH/g、平均当量2280
【0079】
〔H12MDI〕
Desmodur W ビス−4−イソシアナトシクロヘキシルメタン、Bayer Material Scienceから市販、平均当量131.2
【0080】
〔IPDI〕
Desmodur I イソホロンジイソシアネート、Bayer MaterialScienceから市販、平均当量111.1
【0081】
〔DMPA〕
2,2−ジメチロールプロピオン酸、当量67.1
【0082】
〔BEPD〕
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、当量80.1
【0083】
〔TEA〕
トリエチルアミン、当量101.2
【0084】
〔NMP〕
1−メチル−2−ピロリジノン溶媒
【0085】
〔DEOA〕
ジエタノールアミン、当量105.1
【0086】
〔Byk 346〕
フロー添加剤、BYK−Chemie USA
【0087】
〔Byk 028〕
フロー添加剤、BYK−Chemie USA
【0088】
〔Tinuvin 5151〕
光安定剤、Ciba Specialty Chemicals
【0089】
〔液体試料の表面張力〕
ウィルヘルミープレート法(フレーム付スライドガラス)を使用して、表面張力を決定した。試料を、分析前に撹拌し、Cahn DCA 312動的接触角分析器で分析した。標準偏差は2dynes/cmであった。
【0090】
〔フィルム試料の表面エネルギー〕
水およびヨウ化メチレン、極性および非極性溶媒の前進角をそれぞれ、Rame−Hartゴニオメーターを使用して測定した。極性および分散性成分を包含する全固体表面エネルギーを、Owens Wendt法により前進角を使用して計算した。2つの異なったプローブ液体の接触角の範囲を基準として、標準偏差は、2dynes/cmと推定された。
【0091】
実施例1−ヒドロキシ官能性ポリウレタン分散体の製造
PNPAD215.4g(0.214当量)、BDPD33.3g(0.415当量)、DMPA33.5g(0.500当量)およびPEO安定剤8.87g(0.004当量)を、攪拌機、追加漏斗、窒素注入口、熱電対および凝縮器を備えた1000mLの三つ口丸底フラスコに添加した。混合物を90℃に加熱し、撹拌した。DMPAを溶解した後、H12MDI131.2g(1.367当量)およびIPDI50.6g(0.456当量)を混合物に添加した。反応を、プレポリマー溶液の%NCOが4.36%の理論NCO含量に達するまで90℃で3時間進行させた。次いで、反応を50℃に冷却した。TEA25.3g(0.250当量)およびPEO安定剤8.87g(0.004当量)をNMP22.5gと混合し、NCO測定直後にプロポリマー溶液に添加した。プレポリマー混合物を5分間混合した。
【0092】
次いで、予め分散フラスコに仕込んだ79.3gの室温の蒸留水へプレポリマーを高剪断下で30分間にわたり添加することによって、分散体を調製した。高剪断下で10分間撹拌後、DEOA71.9g(0.684当量)を分散体に10分間にわたり添加することによって、鎖延長/連鎖停止を達成した。分散体を、さらに1時間高剪断下で後反応させ、次いで75μmフィルターによりろ過した。分散体特性は、最終分散体を1週間エージングした後に決定した:
非揮発性含有量、40%、
水含有量、50%
NMP含有量、10%
25℃における粘度、2200mPa・秒
供給の際の当量、1100g/モル
25℃における密度、8.8lbs/gal(1.06g/ml)
【0093】
実施例2−疎水性ポリイソシアネートの調製
1080g(5.90当量)のポリイソシアネート3600および120g(0.29当量)のフッ素化アルコールBA−LDを、機械攪拌機、冷水凝縮器、加熱マントルおよび窒素注入口を備え付けた2000mLの三つ口丸底フラスコに投入した。該反応混合物を90℃に加熱した。1時間後、90℃で、0.30gのオクタン酸第一錫を混合物に投入し、温度を110℃に上昇させた。12時間110℃での加熱後、NCOが18.57%NCO(理論18.64%)に達した。熱を取り除き、冷水/氷浴を適用した。粘度は25℃で4180cpsであった。液体の表面張力は22dynes/cmであった。
【0094】
実施例3
80.34gの実施例1において調製したヒドロキシ官能性ポリウレタン分散体を、0.49gのByk 346、0.50gのByk 028および0.50gのTinuvin 5151とブレンドした。該混合物に、18.17gの実施例2において調製した疎水性ポリイソシアネートを添加した。該混合物を、1500rpmで5分間カウルブレードにより撹拌した。最後に、脱イオン化水12.00gを正確な濃度に添加して皮膜を作製した。該皮膜を引き下ろし法により調製し、室温で5分間エアフラッシュおよび94℃で45分間焼成した。
【0095】
実施例4(比較例)
ポリイソシアネート3600を実施例2の疎水性ポリイソシアネートの代わりに用いたことを除いて、処方物を実施例3の方法に従って調製した。
【0096】
〔汚染試験〕
黒色マーカー
シャーピーブランドの黒色マーカーを用いて、硬化皮膜を汚した。インクを2分間室温で乾燥させた。次いで、イソプロパノールを塗布して、マークを除去した。実施例3の皮膜は、汚れが無くきれいであった。実施例4の皮膜は、インクを適用した箇所に黒い影が残った。
【0097】
マスタード
上記試験を行って落書き耐性について試験したが、より過酷な試験として、Heinzブランドの黄色マスタードを硬化皮膜に適用した。覆われたおよび覆われていない汚れた皮膜を室温にて1時間試験した。該皮膜をタオルで拭い、水で清掃した。疎水性ポリイソシアネートを用いる皮膜は、汚れがなくきれいであった。
【0098】
このデータは、フッ素変性ポリイソシアネート混合物を含有する二成分水性被覆組成物から作製された被覆物が、未変性ポリイソシアネートと比較して向上した汚染耐性を有していることを示す。さらに、疎水性ポリイソシアネートおよび安定性分散体を形成する水性ポリウレタン分散体の混合物により、ポリイソシアネート混合物の疎水性の性質が得られることは意外であった。
【0099】
例示の目的で本発明を上記に詳しく説明したが、そのような詳細は、単なる例示目的にすぎず、請求の範囲によって限定され得ることを除き、本発明の精神および範囲から逸脱せずに当業者によって変更され得ると理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)i)5〜35重量%のNCO含量および3重量%未満のモノマージイソシアネート含量を有し、ポリイソシアネート付加物から調製され、
ii)ウレタン基より多い当量のアロファネート基が存在するような量でアロファネート基を含有し、および
iii)0.001〜50重量%の量でフッ素(F、AW 19として計算)を含有し、
前記パーセンテージはポリイソシアネート混合物の固形分を基準とし、およびフッ素が、イソシアネート基と、2個以上の炭素原子、1個以上のヒドロキシル基および1個以上のフッ素原子を含有する化合物とを反応させることによって組み込まれる、疎水性ポリイソシアネート混合物、および
B)ヒドロキシル官能性ポリウレタン水性分散体
の反応生成物を含んでなる、水性被覆組成物。
【請求項2】
ヒドロキシル官能性ポリウレタン水性分散体は、
a)少なくとも1.8の平均ヒドロキシ官能価、
b)ポリウレタンの重量を基準として9〜20重量%の、−−NH−−CO−−として計算されたウレタン基およびウレア基の全含量、
c)ポリウレタン100gあたり0〜200ミリ当量の化学的に組み込まれたアニオン性基、および
d)ポリウレタンの重量を基準として0〜25重量%の末端および/または側部のポリエーテル鎖内に組み込まれたエチレンオキシド単位
を有し、c)およびd)は、ポリウレタンを水中で安定な分散状態で維持するのに十分な量で存在する、請求項1に記載の水性被覆組成物。
【請求項3】
フッ素は、イソシアネート基と、2個以上の炭素原子、1個のヒドロキシル基および1個以上のフッ素原子を含有する化合物とを反応させることによって組み込まれる、請求項1に記載の水性被覆組成物。
【請求項4】
前記フッ素は、イソシアネート基と、式:
【化1】

〔式中、nは2〜8である〕
で示される化合物とを反応させることによって組み込まれる、請求項3に記載の水性被覆組成物。
【請求項5】
前記ポリイソシアネート付加物は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートから調製されたイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを含む、請求項1に記載の水性被覆組成物。
【請求項6】
前記ポリイソシアネート付加物は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートから調製されたイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを含む、請求項2に記載の水性被覆組成物。
【請求項7】
前記ポリイソシアネート付加物は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートから調製されたイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを含む、請求項4に記載の水性被覆組成物。
【請求項8】
ポリイソシアネート混合物は、固形物を基準として0.1〜10重量%のフッ素を含有する、請求項1に記載の水性被覆組成物。
【請求項9】
ポリイソシアネート混合物は、固形物を基準として0.1〜10重量%のフッ素を含有する、請求項2に記載の水性被覆組成物。
【請求項10】
ポリイソシアネート混合物は、固形物を基準として0.1〜10重量%のフッ素を含有する、請求項3に記載の水性被覆組成物。
【請求項11】
ポリイソシアネート混合物は、固形物を基準として0.1〜10重量%のフッ素を含有する、請求項4に記載の水性被覆組成物。
【請求項12】
ポリイソシアネート混合物は、固形物を基準として0.1〜10重量%のフッ素を含有する、請求項7に記載の水性被覆組成物。
【請求項13】
ポリイソシアネート混合物は、固形物を基準として10〜40重量%のフッ素を含有する、請求項1に記載の水性被覆組成物。
【請求項14】
ポリイソシアネート混合物は、固形物を基準として10〜40重量%のフッ素を含有する、請求項2に記載の水性被覆組成物。
【請求項15】
ポリイソシアネート混合物は、固形物を基準として10〜40重量%のフッ素を含有する、請求項3に記載の水性被覆組成物。
【請求項16】
ポリイソシアネート混合物は、固形物を基準として10〜40重量%のフッ素を含有する、請求項4に記載の水性被覆組成物。
【請求項17】
水性被覆組成物の製造方法であって、
1)i)5〜35重量%のNCO含量および3重量%未満のモノマージイソシアネート含量を有し、ポリイソシアネート付加物から調製され、
ii)ウレタン基より多い当量のアロファネート基が存在するような量でアロファネート基を含有し、および
iii)0.001〜50重量%の量でフッ素(F、AW 19として計算)を含有し、
前記パーセンテージはポリイソシアネート混合物の固形分を基準とする、疎水性ポリイソシアネート混合物を、
a)ポリイソシアネート付加物のイソシアネート基の一部と、ポリイソシアネート付加物1モルあたり0.01〜500ミリモルの、2個以上の炭素原子、1個以上のヒドロキシル基および1個以上のフッ素原子を含有する化合物とを反応させてウレタン基を形成する工程、
b)工程a)前、工程a)中または工程a)後にアロファネート化触媒を添加する工程、
c)工程a)において形成された十分な量のウレタン基をアロファネート基に変換して、ii)の要件を充足する工程、および
d)触媒毒を添加することによって、および/または触媒を熱的に不活性化することによって、所望のNCO含量でアロファネート化反応を終了し、およびモノマージイソシアネートを除去することなくポリイソシアネート混合物を回収する工程
によって調製する工程、
2)工程1)前、工程1)中または工程1)後にヒドロキシル官能性水性ポリウレタン分散体を調製する工程、および
3)疎水性ポリイソシアネート混合物とヒドロキシル官能性ポリウレタン水性分散体とを組み合わせる工程
を含む、前記方法。

【公表番号】特表2011−503341(P2011−503341A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534951(P2010−534951)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/012858
【国際公開番号】WO2009/067185
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】