耐火壁へのボックス類の配設構造及び耐火壁へのボックス類の配設構造に使用する耐火材シート
【課題】 火災時等に配線ボックス等のボックス類の内部に火炎が進入した場合でも、ボックス類に固定したコネクタ等の取着具の露出部や、ボックス類の外側の可燃部材に対して確実な防火機能を提供する。
【解決手段】 配線ボックス10の貫通孔13aにコネクタ20の突出部23を挿通して配線ボックス10の内部空間に突出させた状態で配線ボックス10に係止して保持する。また、壁の内部に電線管を配管し、配線ボックス10の外側において電線管接続具の他端開口に接続する。更に、電線管に電線41を挿通し、コネクタ20の他端開口から内部を通して突出部23の先端開口から配線ボックス10の内部に引き出す。そして、配線ボックス10の内部空間に露出するコネクタ10の突出部23先端の一端開口から配線ボックス10の内面の貫通孔13a周辺部までの範囲を、耐火材30により一体的に覆う。
【解決手段】 配線ボックス10の貫通孔13aにコネクタ20の突出部23を挿通して配線ボックス10の内部空間に突出させた状態で配線ボックス10に係止して保持する。また、壁の内部に電線管を配管し、配線ボックス10の外側において電線管接続具の他端開口に接続する。更に、電線管に電線41を挿通し、コネクタ20の他端開口から内部を通して突出部23の先端開口から配線ボックス10の内部に引き出す。そして、配線ボックス10の内部空間に露出するコネクタ10の突出部23先端の一端開口から配線ボックス10の内面の貫通孔13a周辺部までの範囲を、耐火材30により一体的に覆う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火壁、耐火床壁、耐火天井壁等の耐火壁の内部に配設され、ケーブルを収容する電線管等の配管材の端部を接続する配線ボックスやエンドカバー等のボックス類、ボックス類に固定した配線付属部品としてのコネクタ等の取着具及び耐火材を備えて、ボックス類の内部における取着具の露出部等の耐火性を向上する耐火壁へのボックス類の配設構造及び耐火壁へのボックス類の配設構造に使用する耐火材シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンクリート壁やコンクリートスラブ(天井または床)、軽量鉄骨間仕切壁等の耐火中空壁や耐火中空スラブ(天井または床)等の壁(通常の壁の他、床壁、天井壁を含む)には、構築後にコンセントやスイッチ等の配線端末または配管端末となる部分に、配線ボックス、スイッチボックス、エンドカバー等のボックス類が、壁の内部に埋設または配設した状態で固定される。また、ボックス類は配管接続口を有し、その配管接続口には、配線・配管付属品としてのコネクタが装着して固定されている。更に、ボックス類は、内部空間に連通する開口を有し、開口が壁の外面に設けた開口に対面するよう、壁の内部に固定される。そして、壁の内部においてボックス類の外側に位置する前記コネクタの一端開口に可撓電線管等の配管材の端部を接続すると共に、コネクタの他端開口から配線・配管材の内部挿通部材であるケーブル等の端部を取出して露出し、前記壁の開口に取付けるコンセント類の接続端子等に電気的に接続するようにしている。ここで、可撓電線管等の配管材は、通常、合成樹脂等の可燃性材料により形成されるため、火事等において火炎が壁の開口に取付けたコンセント等を燃焼し、当該開口を経てボックス類の開口から内部に進入し、可撓電線管等に到達して可撓電線管等が燃焼すると、有毒ガス等の発生の原因となる可能性がある。よって、従来は、かかる場合には、ボックス類のコネクタ接続部分に耐火材を設けている。
従来、この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−301992号公報
【0004】
特許文献1には、コンクリート壁内に埋設された管体(可撓電線管等)の端部とボックス等の付属品との接続部の狭い部分においても容易に充填でき、しかも管体のサイズの変化に対しても自在に対処可能な耐火材が開示されている。この耐火材は、コンクリート壁内に埋設された電線管(管体)又はこれに挿通されたケーブル(挿通部材)が火炎等により延焼するのを防止すべく、前記電線管がボックス(付属品)に接続される接続部(コネクタ)内に、該ボックスの開口側から挿入充填される。また、この耐火材は、前記接続部内面または前記ケーブルの外面への粘着により該接続部内に充填可能であり、しかも熱膨張により前記延焼を防止可能な耐火材料で形成された複数の小片状の耐火材小片の集合体で構成され、前記電線管のサイズ等に応じて選択された必要数が前記接続部内に充填される。接続部内に充填された耐火材は、火炎を受けて所定温度以上に加熱されると接続部内で発泡し、ケーブルの延焼を防止するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載の技術では、接続部としてのコネクタは、合成樹脂製のコネクタ本体をボックスの側壁部のコネクタ挿通孔に挿通して、先端部の雌螺子部をボックス内に露出し、ボックス内において雌螺子部外周面の雌螺子に合成樹脂製のナットを螺合することにより、コネクタ本体の雌螺子部基端とナットとの間でボックスのコネクタ挿通孔周縁を挟持して、ボックスに固定される。また、耐火材は、コネクタの雌螺子部先端の開口(ボックス内部側の開口)からコネクタの内部に充填され、コネクタの内面またはコネクタ内のケーブルの外面に粘着することで、コネクタの内部に保持される。そして、コネクタが火炎を受けると、コネクタ内に充填されてケーブルを被覆する耐火材が発泡して、当該ケーブルを火炎から保護する。一方、耐火材はコネクタの内部のケーブルについて防火機能を発揮するため、コネクタにおいてボックス内に露出する合成樹脂製のナット及び雌螺子部は、前記耐火材による防火の対象とならず、火炎に曝されることになる。したがって、特許文献1の技術では、耐火材によりナット及び雌螺子部の延焼を防止することができない。その結果、ボックス内の露出部分であるコネクタのナット及び雌螺子部が火炎により焼失して、コネクタの内部に充填した耐火材自体が、焼失する雌螺子部等と共に落下し、ケーブル自体の防火機能をも発揮できなくなる可能性がある。
【0006】
かかる事態を防止するには、耐火材をコネクタの雌螺子部の先端開口から奥深くまで(ボックス外側に位置するコネクタ部分まで)完全に隙間なく充填することにより、雌螺子部等が焼失した場合でも、耐火材がボックス外側部分でコネクタに保持されるようにすることが考えられる。しかし、この場合も、コネクタ本体をボックスに固定するための部材であるナットが焼失し、ナットとコネクタ本体の雌螺子部基端とによるボックスのコネクタ挿通孔周縁の挟持が解除され、コネクタ本体自身がボックス外側で落下する可能性があり、結果として、耐火材もコネクタ本体と共に落下して防火機能を発揮できなくなる可能性がある。更に、コネクタ本体の雌螺子部の基端側外周面が、ボックスのコネクタ挿通孔の周縁に係止されて、コネクタ本体がボックスに保持される場合でも、コネクタ本体が、ボックスのコネクタ挿通孔に対して位置ずれしたり揺動したりして、コネクタ挿通孔との間に隙間を生じ、その隙間から火炎がボックスの外側に進出し、前記合成樹脂性の電線管が延焼して、有毒ガス等の発生の原因となる可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、火災時等に配線ボックス等のボックス類の内部に火炎が進入した場合でも、ボックス類に固定したコネクタ等の取着具のボックス類の内部における露出部や、ボックス類の外側の可燃部材に対して確実な防火機能を発揮することができると共に、ボックス類に取着した取着具を保護して、その緩みや脱落等を確実に防止することができる耐火壁へのボックス類の配設構造及び耐火壁へのボックス類の配設構造に使用する耐火材シートの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、壁の内部に配設されて、室内側に対面する位置に開口を配置すると共に、壁の内部に対応する位置に貫通孔を配置する金属製のボックス類と、前記ボックス類の貫通孔に挿通され、その一部を前記ボックス類の内部空間に露出した状態で前記ボックス類に係止して取着される合成樹脂製の取着具と、前記ボックス類の内部空間における前記取着具の露出部の全体を覆う耐火材とを備える。
【0009】
請求項2に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、壁の内部に配設されて、室内側に対面する位置に開口を配置すると共に、壁の内部に対応する位置に取着孔を配置する金属製のボックス類と、前記ボックス類の取着孔に挿通される突出部を有し、前記突出部を前記ボックス類の内部空間に突出して露出した状態で前記ボックス類の取着孔に係止することにより前記ボックス類に保持されると共に、前記突出部先端の一端開口を前記ボックス類の内部に配置する合成樹脂製の筒状の電線管接続具と、前記壁の内部に配管され、前記ボックス類の外側において前記電線管接続具の他端開口に接続される合成樹脂製の電線管と、前記電線管に挿通され、前記電線管接続具の他端開口から前記電線管接続具を通って前記ボックス類の内部に引き出される電線と、前記ボックス類の内部空間に露出する前記電線管接続具の突出部先端の一端開口から前記ボックス類の内面の前記取着孔周辺部までの範囲を一体的に覆う耐火材とを備える。
【0010】
請求項3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項2の構成において、前記耐火材が、粘着質可塑性材料からなり、前記電線管接続具の他端開口からその内部にも密に充填され、前記電線管接続具と前記ボックス類とを一体化する前記保護構造体に連続する保護構造体を形成し、前記電線管接続具の内部から外部における前記ボックス類の内面の取着孔周辺部まで、前記電線管接続具と前記ボックス類とを内外で連続的に一体化して、前記ボックス類に対する前記電線管接続具の支持構造を補助する。
【0011】
請求項4に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項3の構成において、前記耐火材が、前記電線管接続具の突出部の内部空間のみならず、前記電線管接続具において前記ボックス類の外側に位置する部分の内部空間まで密に充填され、前記電線管接続具の外側の保護構造体に一体化した前記突出部内部の保護構造体が、前記ボックス類の外側まで延長されるようにした。
【0012】
請求項5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項1乃至4のいずれかの構成において、前記ボックス類の開口に金属製の塗代カバーを装着し、前記耐火材を発泡性粘着質可塑性材料から構成し、前記ボックス類の幅全体に広がるよう展延して、前記塗代カバーの内面に当接させた状態で前記取着具の露出部または前記電線管接続具の突出部を覆うようにした。
【0013】
請求項6に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項1乃至5のいずれかの構成において、更に、前記取着具または前記電線管接続具において前記ボックス類の外側に配置される外側部から、前記ボックス類の外面の前記貫通孔または前記取着孔の周辺部までの範囲を一体的に覆うと共に、前記取着具または前記電線管接続具の外側部の外面から前記ボックス類の外面の前記貫通孔または前記取着孔の周辺部に至る連続面に粘着して、前記ボックス類の外側において前記取着具または前記電線管接続具と前記ボックス類とを一体化する外部保護構造体を形成する粘着質可塑性材料からなる第2の耐火材を備える。
【0014】
請求項7に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項1乃至6のいずれかの構成において、前記耐火材が、平板状の耐火材シートである。
【0015】
請求項8に係る耐火材シートは、ボックス類に挿通されてボックス類の内部に突出する突出部を有する電線管接続具の前記突出部を覆うようにした耐火材シートであって、ボックス類の内部空間に突出して露出した電線管接続具の突出部の全体を一体的に覆える大きさの平板状に形成された耐火材料からなる。
【0016】
本発明に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、壁の内部に配設されて、室内側に対面する位置に開口を配置すると共に、壁の内部に対応する位置に取着孔を配置する金属製のボックス類と、前記ボックス類の取着孔に挿通される突出部を有し、前記突出部を前記ボックス類の内部空間に突出して露出した状態で前記突出部の基端を前記ボックス類の取着孔に係止することにより前記ボックス類に保持される合成樹脂製の筒状の電線管接続具と、前記壁の内部に配管され、前記ボックス類の外側において前記電線管接続具の他端開口に接続される合成樹脂製の電線管と、前記電線管に挿通され、前記電線管接続具の他端開口から前記電線間接続具を通って前記ボックス類の内部に引き出される電線と、前記ボックス類の内部空間に露出する前記電線管接続具の突出部の先端開口から、前記ボックス類の内面の前記取着孔周辺部までの範囲を一体的に覆うと共に、前記電線管接続具の突出部の外面から前記ボックス類の内面の前記取着孔周辺部に至る連続面に粘着して、前記電線管接続具と前記ボックス類とを一体化する保護構造体を形成する粘着質可塑性材料からなる耐火材とを備えることもできる。
【0017】
また、本発明に係る耐火材シートは、請求項8の構成において、更に、前記電線管接続具の突出部を覆ったときに発生する隙間を充填するための耐火材料からなる補充部を切除自在に一体的に連結することもできる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、火災時等に配線ボックス等のボックス類の内部に火炎が進入した場合でも、ボックス類に固定したコネクタ等の合成樹脂製の取着具のボックス類の内部における露出部の全体を覆う耐火材により、その露出部やボックス類の外側の可燃部材に対して確実な防火機能を発揮することができる。また、ボックス類の内部において取着具の露出部全体を耐火材により外側から完全に覆って保護することにより、外力等によるボックス類に対する取着具の露出部の緩みや脱落等を確実に防止することができる。
【0019】
請求項2に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、火災時等に配線ボックス等のボックス類の内部に火炎が進入した場合でも、ボックス類に固定したコネクタ等の合成樹脂製の電線管接続具のボックス類の内部における突出部の全体を覆う耐火材により、その突出部や、電線管接続具の内部の電線や、ボックス類の外側の電線管等の可燃部材に対して確実な防火機能を発揮することができる。また、ボックス類の内部において電線管接続具の突出部全体を耐火材により外側から完全に覆って保護することにより、外力等によるボックス類に対する電線間接続具の突出部の緩みや脱落等を確実に防止することができる。
【0020】
請求項3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項2の効果に加え、電線管接続具の内部においても耐火材により保護構造体を形成し、突出部の内外で一体化した保護構造体により、ボックス類に対する電線管接続具の支持構造を更に効果的に補助して、外力等によるボックス類に対する電線間接続具の突出部の緩みや脱落等をより確実に防止したり、ボックス類の貫通孔部分での隙間を閉塞して隙間の発生を防止したりすることができる。
【0021】
請求項4に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項3の効果に加え、電線管接続具の内部に充填される耐火材が電線管接続具の外側まで延長配置されて前記保護構造体を形成し、ボックス類に対する電線管接続具の支持構造を一層効果的に補助して、外力等によるボックス類に対する電線間接続具の突出部の緩みや脱落等をより一層確実に防止したり、ボックス類の貫通孔部分での隙間を閉塞して隙間の発生を防止したりすることができる。
【0022】
請求項5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項1乃至4のいずれかの効果に加え、金属製の塗代カバーにより耐火性を向上できると共に、ボックス類の内部において塗代カバーの内面まで広がる耐火材が、火災時に発泡して耐火機能を確実に発揮すると共に、ボックス類から塗代カバーに至る範囲で前記保護構造体を形成し、取着具等の保護機能を一層向上する。
【0023】
請求項6に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項1乃至5のいずれかの効果に加え、ボックス類の外側においても耐火材により取着具の露出部または電線管接続具の突出部に対して耐火機能を発揮すると共に保護構造体としての保護機能を発揮する。
【0024】
請求項7に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項1乃至6のいずれかの効果に加え、1枚の耐火材シートを使用して、ボックス類の内部空間に露出する取着具の露出部または電線管接続具の突出部先端の一端開口からボックス類の内面の前記貫通孔または前記取着孔の周辺部までの範囲を一体的に簡単に覆うことができる。なお、耐火材シートの一部(中央付近の部分)を電線管突出部の先端の一端開口から突出部の内部に充填するといったことも可能である。したがって、電線を中心として取着具の露出部または電線管接続具の突出部先端の一端開口からボックス類の内面の貫通孔または取着孔の周辺部までの範囲を満遍なく覆うことができ、同範囲の一部で耐火材が不足するといった事態を確実に防止することができる。
【0025】
請求項8に係る耐火材シートは、請求項2乃至7に記載のような耐火壁へのボックス類の配設構造で耐火材として好適に使用することができ、この場合、1枚のみ使用して、ボックス類の内部空間に露出する電線管接続具の突出部先端の一端開口からボックス類の内面の取着孔周辺部までの範囲を一体的に簡単に覆うことができる。なお、耐火材シートの一部(中央付近の部分)を電線管突出部の先端の一端開口から突出部の内部に充填するといったことも可能である。したがって、電線を中心として電線管接続具の突出部先端の一端開口からボックス類の内面の取着孔周辺部までの範囲を満遍なく覆うことができ、同範囲の一部で耐火材が不足するといった事態を確実に防止することができる。
【0026】
本発明に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、火災時等に配線ボックス等のボックス類の内部に火炎が進入した場合でも、ボックス類に固定したコネクタ等の合成樹脂製の電線管接続具のボックス類の内部における突出部の全体を覆う耐火材により、その突出部や、電線管接続具の内部の電線や、ボックス類の外側の電線管等の可燃部材に対して確実な防火機能を発揮することができる。また、ボックス類の内部において電線管接続具の突出部全体を耐火材により外側から完全に覆って保護することにより、外力等によるボックス類に対する電線間接続具の突出部の緩みや脱落等を確実に防止することができる。即ち、耐火材からなる保護構造体により、ボックス類に対する電線管接続具の支持構造を補助して、突出部または電線管接続具全体の緩みや位置ずれ等を有効に防止することができると共に、ボックス類の貫通孔部分での隙間を閉塞して隙間の発生を防止することができる。
【0027】
また、本発明に係る耐火材シートは、請求項8の効果に加え、更に、電線管接続具の突出部を覆ったときに、隙間が発生した場合でも、補充部を切除して用意することにより、補充部によりその隙間を容易に充填することができる。また、補充部は、電線管突出部の先端の一端開口から突出部の内部に充填することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で使用するボックス類としての配線ボックスを開口側から見て示す正面図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造の配線ボックスを示す側面図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で使用する電線管接続具としてのコネクタを示す分解斜視図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造における配線ボックス、コネクタ及び耐火材の関係を示す断面図であり、配線ボックスは下側部(コネクタ取付側)のみ仮想線にて示す。
【図6】図6は本発明の実施の形態2に係る耐火壁へのボックス類の配設構造における配線ボックス、コネクタ及び耐火材の関係を示す断面図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を設けた耐火中空壁を室内側から見て示す正面図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で使用するボックス類としてのスイッチボックスを開口側から見て示す正面図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造のスイッチボックスを示す側面図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を設けた耐火中空壁の内部構造を示す断面図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造をスイッチボックスの耐火材部分を底面側から見て示す断面図であり、上半分はコネクタの外部を耐火材により覆った状態を実線で示し、下半分はコネクタの外部を耐火材により覆った状態を仮想線で示す。
【図12】図12は本発明の実施の形態4に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を設けた耐火中空壁の内部構造を示す断面図である。
【図13】図13は本発明の実施の形態5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を設けた耐火中空壁の内部構造を拡大して示す断面図である。
【図14】図14は本発明の実施の形態6に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で使用する耐火材の所期形態を示す斜視図である。
【図15】図15は本発明の実施の形態6に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)を説明する。なお、各実施の形態を通じ、同一の部材、要素または部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0030】
実施の形態1
図1は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を模式的に示す斜視図である。図2は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で使用するボックス類としての配線ボックスを開口側から見て示す正面図である。図3は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造の配線ボックスを示す側面図である。図4は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で使用する電線管接続具としてのコネクタを示す分解斜視図である。図5は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造における配線ボックス、コネクタ及び耐火材の関係を示す断面図であり、配線ボックスは下側部(コネクタ取付側)のみ仮想線にて示す。
【0031】
図1に示すように、実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、ボックス類としての配線ボックス10と、取着具としての電線管接続具を構成するコネクタ20と、耐火材30とを備える。配線ボックス10は、図2及び図3に示すように、金属製の正方形四角箱状をなし、底壁11と反対側に開口10aを有している。配線ボックス10は、耐火壁としての耐火壁(図示略)の内部に配設されて、耐火壁の室内側に設けたボックス用の開口1に対面する位置に前記開口10aを配置するようになっている。また、配線ボックス10は、底壁11及び側壁12に打抜き自在な円形のノックアウト部13を設けている。配線ボックス10のノックアウト部13は、ドライバ等の工具により打抜かれて円形の貫通孔を形成し、耐火壁の内部(例えば、耐火中空壁の内部空間)に対応する位置に、その貫通孔を配置するようになっている。なお、配線ボックス10の貫通孔13aは、取着具を構成するボックス類固定具としてのボックス取付クランプ等や、同じく取着具を構成する電線管接続具としてのコネクタの突出部等を挿通して係止するために使用される。特に、実施の形態1では、配線ボックス10の貫通孔13aは、コネクタ20の突出部を挿通して係止するための取着孔として使用されている。
【0032】
コネクタ20は、図4に示すように、合成樹脂製のコネクタ本体21と合成樹脂製のナット25とからなる。コネクタ本体21は、両端を円形の開口とした略円筒状をなし、軸方向一端に電線管を接続自在な略円筒状の接続部22を有すると共に、軸方向他端には、前記接続部22より小径の円筒状をなす突出部23を有している。また、突出部23の外周面には雄螺子23aが形成され、突出部23にナット25を螺合自在となっている。更に、突出部23の基端には、リング状のフランジ部24が一体形成されている。コネクタ20は、コネクタ本体21の軸方向一部(他端部)を構成する突出部23を配線ボックス10の側壁12の貫通孔13aに挿通し、その突出部23を配線ボックス10の内部空間に露出した状態で、突出部23にナット25を螺合することで、配線ボックス10に保持して固定される。なお、コネクタ20の突出部23は、図1では、配線ボックス10の下側の側壁12の中央の貫通孔13aに挿通されている。このとき、コネクタ20は、フランジ24が配線ボックス10の側壁12の外面において貫通孔13aの周辺部に当接すると共に、突出部23の基端外周面が配線ボックス10の貫通孔13aの周縁に当接する一方、ナット25の基端が配線ボックス10の側壁12の内面において貫通孔13aの周辺部に当接している。このように、実施の形態1では、フランジ24とナット25との間で配線ボックス10の貫通孔13aの周縁部を挟持することで、コネクタ20が配線ボックス10に係止して取着されるようになっている。また、このとき、コネクタ20の突出部23の先端開口(コネクタ20の一端開口)が、配線ボックス10の内部空間に配置されるようになっている。
【0033】
配線ボックス10に固定したコネクタ20には合成樹脂製の電線管(図示略)が接続される。具体的には、電線管は、耐火中空壁等の壁の内部に所定の経路に沿って配管され、配線ボックス10の外側において、コネクタ20の他端開口となるコネクタ本体21の接続部22の先端開口(配線ボックス10の外側の開口)に挿着等して接続される。また、電線管には電線(ケーブル)41が挿通され、コネクタ20の他端開口である接続部22の先端開口からコネクタ20の内部を通って配線ボックス10の内部に引き出されている。電線41は、最終的に、コンセント等の端末に接続される。
【0034】
耐火材30は、図5に示すように、配線ボックス10にコネクタ20を固定した状態で、配線ボックス10の内部空間におけるコネクタ20の突出部23及びナット25の全体を所定厚で覆う発泡性の粘着質可塑性材料からなる。詳細には、耐火材30の粘着質可塑性材料は、実施の形態1では、ケイ酸ソーダやシリカ等の無機質耐火材料、難燃性ゴム材料、油脂等を混練してなり、更に、発泡剤を配合することにより発泡性を付与している。これにより、耐火材30は、所定の可塑性を有し、任意の形状、例えば、対象物としてのコネクタ20の突出部23及びナット25の外形に対応する形状に容易に塑性変形することができる。また、耐火材30は、所定の粘着性を有し、対象物としてのコネクタ20の突出部23及びナットに押し付けて付着させることにより、突出部23及びナット25の外面に粘着して容易に離脱しない。なお、耐火材30は、その初期形状として、小矩形シート状、長尺シート状、ブロック状等の任意の形状を有するよう構成することができる。そして、耐火材30は、コネクタ20の突出部23及びナット25を所定厚で覆うための必要量または必要枚数を、コネクタ20の突出部23及びナット25に一体化するよう覆い被せて押し付け、突出部23及びナット25の表面に付着させることにより、突出部23及びナット25の全体を隙間なく密着して覆うようになっている。更に、耐火材30は、配線ボックス10の内部空間に露出するコネクタ20の突出部23先端の一端開口及びナット25先端から配線ボックス10の内面の貫通孔13aの周辺部までの範囲を一体的に覆っている。
【0035】
更に、耐火材30は、コネクタ20の突出部23及びナット25の外面(外周面乃至外側面)から配線ボックス10の内面の貫通孔13aの周辺部に至る連続面に粘着して、コネクタ20の特に突出部23及びナット25と配線ボックス10とを一体化して保護する保護構造体を形成するようになっている。即ち、耐火材30は、(火災の発生しない)通常時において、配線ボックス10に対するコネクタ20の特に突出部23の支持構造を保護して両者間の支持関係を補助乃至維持するための保護構造体としても機能する。なお、耐火材30の粘着質可塑性材料は、所定温度(例えば、約110℃)の加熱により発泡開始し、図5に示す状態から、配線ボックス10の内部空間に発泡・膨張して耐火機能を発揮するようになっている。しかし、このときも、耐火材30は、体積膨張する一方で、コネクタ20の特に突出部23と配線ボックス10とを一体化して保護する保護構造体としての機能を維持する。即ち、耐火材30は、火災時において、配線ボックス10内におけるコネクタ20の露出部である突出部23及びナット25の全体を覆って、突出部23及びナット25に十分な耐火性を付与してその焼失・脱落等を効果的に防止すると共に、配線ボックス10に対するコネクタ20の特に突出部23の支持構造を維持して、外力等により突出部23に対してナット25が緩んだり外れたりする等の不具合を防止するための保護構造体としての機能を維持するようになっている。また、火災時に、金属製の配線ボックス10からの伝導熱によりコネクタ20の突出部23の基端が熱変形等して、突出部23の基端外周面と配線ボックス10の側壁12の貫通孔13aの周縁との間に隙間が生じた場合でも、発泡した耐火材30が、保護構造体として、配線ボックス10の貫通孔13aの周縁に対するコネクタ20の突出部23の保持状態を維持し、かつ、配線ボックス10の貫通孔13aの周縁部を閉塞維持して、配線ボックス10の貫通孔13a部分の隙間から、配線ボックス10の外側の電線管等に火炎が及ぶことを防止するようになっている。
【0036】
実施の形態1では、粘着質可塑性材料からなる耐火材30は、更に、コネクタ20の他端開口である突出部23の先端開口からその内部にも密に充填され、コネクタ20と配線ボックス10とを一体化する前記保護構造体に、コネクタ20の他端開口部分で連続する保護構造体を形成している。これにより、耐火材30は、コネクタ20の内部から外部における配線ボックス10の内面の貫通孔13aの周辺部まで、コネクタ20の特に突出部23と配線ボックス10とを内外で連続的に一体化して、配線ボックス10に対するコネクタ20の支持構造を保護して両者間の支持関係を維持乃至補助するようになっている。
【0037】
ここで、図示は省略するが、前記耐火材30は、コネクタ20の突出部23の内部空間のみならず、コネクタ20において配線ボックス10の外側に位置する部分(接続部22部分)の内部空間まで密に充填してもよい。即ち、耐火材30は、コネクタ20の外側に形成した保護構造体(突出部23を覆う部分)に一体化した突出部23内部の保護構造体が、配線ボックス10の外側(接続部22部分)まで延長されるよう構成してもよい。この場合、火災時において、金属製の配線ボックス10からの伝導熱等により熱変形等した場合でも、発泡した耐火材30が、コネクタ20の内外において耐火機能を発揮すると共に保護構造体として機能し、配線ボックス10の貫通孔13aの周縁に対するコネクタ20の突出部23の保持状態を維持し、かつ、配線ボックス10の貫通孔13aの周縁部を閉塞維持して、配線ボックス10の貫通孔13a部分の隙間から、配線ボックス10の外側の電線管等に火炎が及ばないようにする。
【0038】
次に、上記のように構成した実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造の配設方法、作用及び効果について説明する。
実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を、例えば、耐火壁としての耐火中空壁(軽量間仕切壁等)の内部空間に配設するには、まず、配線ボックス10を耐火中空壁の内部空間に取付けた枠材(取付バー等)の所定位置に、所定の取付具乃至支持具を使用して固定する。また、配線ボックス10の側壁12のノックアウト部13をドライバ等の工具を使用して打抜き、貫通孔13aを形成すると共に、その貫通孔13aにコネクタ20の突出部23を配線ボックス10の外側から挿通して、配線ボックスの内部に突出させ、ナット25を突出部23に螺合して締め付ける。これにより、コネクタ20を配線ボックス10に固定することができる。更に、電線管を耐火中空壁の内部に配管経路に沿って配管すると共に、電線管の先端をコネクタ20の接続部22の他端開口に挿着等により連結して接続する。そして、電線管の内部に電線41を挿通して通線し、コネクタ20の接続部22の先端開口からコネクタ20の内部を通して、突出部23の先端開口から配線ボックス10の内部に引き出す。
【0039】
次に、必要量乃至必要枚数の耐火材30を用意し、コネクタ20の突出部23及びナット25に一体化するよう覆い被せて押し付け、突出部23及びナット25の表面に付着させることにより、突出部23及びナット25の全体を隙間なく密着して覆うと共に、配線ボックス10の内部空間に露出するコネクタ20の突出部23先端の一端開口及びナット25先端から配線ボックス10の内面の貫通孔13aの周辺部までの範囲を一体的に密着して覆う。同時に、突出部23の先端側に位置する耐火材30の一部を、コネクタ20の他端開口である突出部23の先端開口からその内部にも押し込んで密に充填する。このとき、まず、突出部23の内部に耐火材30を充填し、その後、突出部23及びナット25の外側を耐火材30で覆うことにより、突出部23の内外の耐火材を一体化するようにしてもよい。これにより、図5に示すように、配線ボックス10の内部空間におけるコネクタ20の突出部23及びナット25の全体が、耐火材30により所定厚で密に覆われると共に、突出部23の内部にも耐火材30が密に充填される。したがって、実施の形態1では、耐火材30が、突出部23及びナット25の外面から配線ボックス10の内面の貫通孔13aの周辺部に至る連続面に粘着して、コネクタ20の特に突出部23と配線ボックス10とを一体化して支持関係を維持乃至補助する保護構造体を形成し、通常時において、配線ボックス10に対するコネクタ20の特に突出部23の支持構造を保護するための保護構造体としても機能する。また、火災時に、耐火中空壁の開口1から配線ボックス10の開口10aを経て内部空間に火炎が進入した場合、突出部23及びナット25を所定厚で覆う耐火材30が、所定温度で発泡開始し、図5に示す状態から、配線ボックス10の内部空間に発泡・膨張して耐火機能を発揮する。同時に、耐火材30は、体積膨張する一方で、コネクタ20の特に突出部23と配線ボックス10とを一体化して支持関係を維持乃至補助する保護構造体としての機能を維持する。
【0040】
その結果、耐火材30は、火災時において、配線ボックス10内におけるコネクタ20の露出部である突出部23及びナット25の全体を覆って、突出部23及びナット25に十分な耐火性を付与してその焼失・脱落等を効果的に防止すると共に、通常時には、保護構造体として機能して、配線ボックス10に対するコネクタ20の特に突出部23の支持構造を保護して両者間の支持関係を確実に維持する。また、コネクタ20の突出部23及びナット25が内包される耐火材30部分では、結果的に、配線ボックス10の側壁12の肉厚が耐火材30の厚み分だけ大きくなったと同様の効果が得られるため、ナット25、突出部23及びその接続部分等に対する熱の影響を大幅に減らすことができる。更に、コネクタ20の突出部23の基端外周面と配線ボックス10の側壁12の貫通孔13aの周縁との間に隙間が生じた場合でも、耐火材30が、配線ボックス10の貫通孔13aの周縁部の隙間に充填される等して閉塞し、その隙間をなくすことができる。特に、火災時には、金属製の配線ボックス10からの伝導熱によりコネクタ20の突出部23の基端が熱変形等して、突出部23の基端外周面と配線ボックス10の側壁12の貫通孔13aの周縁との間に隙間が生じた場合でも、発泡した耐火材30が、保護構造体として、配線ボックス10の貫通孔13aの周縁に対するコネクタ20の突出部23の保持状態を維持し、かつ、配線ボックス10の貫通孔13aの周縁部を閉塞維持して、配線ボックス10の貫通孔13a部分の隙間から、配線ボックス10の外側の電線管等に火炎が及ばないようにする。また、耐火材30により突出部23に螺合したナット25の全体を覆っているため、通常時及び火災時のいずれにおいても、ナット25の緩みや脱落等を確実に阻止することができる。このようにして、実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、火災時等に配線ボックス10の内部に火炎が進入した場合でも、配線ボックス10に固定したコネクタ20の配線ボックス10内部の露出部分である突出部23及びコネクタ20内の電線41等の可燃部材に対して確実な防火機能を発揮することができると共に、配線ボックス10に対するコネクタ20の取着状態をも同時に強化することができる。
【0041】
実施の形態2
図6は本発明の実施の形態2に係る耐火壁へのボックス類の配設構造における配線ボックス、コネクタ及び耐火材の関係を示す断面図である。
図6に示すように、実施の形態2に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、ボックス類としての配線ボックス10に取付ける電線管接続具として、ワンタッチ式のコネクタ120を使用している。それ以外の構成は、実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造と同様の構成である。詳細には、実施の形態2では、コネクタ120は、両端を円形の開口とした略円筒状をなし、軸方向一端に電線管を接続自在な略円筒状の接続部122を有すると共に、軸方向他端には、前記接続部122より若干大径の円筒状をなす突出部123を有している。また、突出部123の外周面の先端側には、半径方向に対向する位置に一対の掛止爪部125が一体形成されている。更に、突出部123の基端には、リング状のフランジ部124が一体形成されている。コネクタ120は、突出部123先端の一対の掛止爪部125を配線ボックス10の側壁12の貫通孔13a内に押し込んで配線ボックス10の内側に配置することで、突出部123を配線ボックス10の内部空間に露出した状態で、一対の掛止爪部125とフランジ124との間で配線ボックス10の貫通孔13aの周縁部を挟持して係止することにより、配線ボックス10に保持して取着・固定される。このとき、コネクタ120の突出部123の先端開口(コネクタ120の一端開口)が、配線ボックス10の内部空間に配置されるようになっている。配線ボックス10に固定したコネクタ120には、実施の形態1と同様、合成樹脂等からなる電線管(図示略)が接続されると共に、電線管には電線41が挿通され、配線ボックス10の内部に引き出されている。
【0042】
実施の形態2においても、耐火材30は、実施の形態1と同様、配線ボックス10にコネクタ120を固定した状態で、配線ボックス10の内部空間におけるコネクタ120の突出部123の全体を所定厚で覆う。耐火材30は、コネクタ120の突出部123を所定厚で覆うための必要量または必要枚数を、コネクタ120の突出部123に一体化するよう覆い被せて押し付け、突出部123の表面に付着させることにより、突出部123の全体を隙間なく密着して覆うようになっている。また、耐火材30は、配線ボックス10の内部空間に露出するコネクタ120の突出部123先端の一端開口から配線ボックス10の内面の貫通孔13aの周辺部までの範囲を一体的に覆っている。更に、耐火材30は、コネクタ120の突出部123の外面から配線ボックス10の内面の貫通孔13aの周辺部に至る連続面に粘着して、コネクタ120の特に突出部123と配線ボックス10とを一体化して保護する保護構造体を形成するようになっている。なお、実施の形態2においても、耐火材30は、コネクタ120の突出部123の先端開口からその内部に密に充填し、コネクタ120の突出部123と配線ボックス10とを内外で連続的に一体化して、配線ボックス10に対するコネクタ120の支持構造を保護する保護構造体を形成するよう構成することもできる。
【0043】
上記のように構成した実施の形態2に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、実施の形態1と同様にして耐火中空壁等の内部に配設することができ、同様の作用及び効果を発揮する。
【0044】
実施の形態3
図7は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を設けた耐火中空壁を室内側から見て示す正面図である。図8は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で使用するボックス類としてのスイッチボックスを開口側から見て示す正面図である。図9は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造のスイッチボックスを示す側面図である。図10は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を設けた耐火中空壁の内部構造を示す断面図である。図11は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造をスイッチボックスの耐火材部分を底面側から見て示す断面図であり、上半分はコネクタの外部を耐火材により覆った状態を実線で示し、下半分はコネクタの外部を耐火材により覆った状態を仮想線で示す。
【0045】
図7に示すように、実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、ボックス類としてのスイッチボックス210と、実施の形態1と同様のコネクタ20及び耐火材30とを備える。スイッチボックス210は、図8及び図9に示すように、金属製の長方形四角箱状をなし、底壁211と反対側に開口210aを有し、耐火中空壁5内に配設される。スイッチボックス210は、図10に示すように、耐火壁としての耐火中空壁5の内部空間に配設されて、耐火中空壁5の室内側に設けたボックス用の開口5aに対面する位置に前記開口210aを配置するようになっている。詳細には、耐火中空壁5は、軽量間仕切壁であり、上下一対の横材6間に複数の軽量間柱(スタッド)7を一定間隔で立設して枠体を構成し、その枠体の表裏にそれぞれ石膏ボード5A及び5Bを貼着している。また、スイッチボックス210を配設する部位の一対の軽量間柱7間には、ボックス固定具としての金属製の固定バー8が介装して固定されている。なお、スイッチボックス210は、実施の形態1の配線ボックス10と同様、底壁211及び側壁212に打抜き自在な円形のノックアウト部213を設けている。スイッチボックス210のノックアウト部213は、ドライバ等の工具により打抜かれて円形の貫通孔213aを形成し、耐火中空壁5の内部空間に対応する位置に、その貫通孔213aを配置するようになっている。また、スイッチボックス210の貫通孔213aは、取着具を構成するボックス類固定具としてのボックス取付クランプ等や、同じく取着具を構成する電線管接続具としてのコネクタの突出部等を挿通して係止するために使用される。特に、実施の形態3では、スイッチボックス210の貫通孔213aは、実施の形態1と同様、コネクタ20の突出部23を挿通して係止するための取着孔として使用されている。更に、実施の形態3では、スイッチボックス210の開口210aに金属製の塗代カバー215が装着され、開口210aを覆っている。
【0046】
実施の形態3では、前記コネクタ20が、コネクタ本体21の突出部23をスイッチボックス210の側壁212の貫通孔213aに挿通し、その突出部23をスイッチボックス210の内部空間に露出した状態で、突出部23にナット25を螺合することで、フランジ24とナット25との間でスイッチボックス210の貫通孔213aの周縁部を挟持して係止することにより、スイッチボックス210に保持して取着・固定される。また、このとき、コネクタ20の突出部23の先端開口が、スイッチボックス210の内部空間に配置されるようになっている。また、耐火中空壁5の内部空間に所定の経路に沿って、前記コネクタ20に対応する数及び直径の合成樹脂製の可撓電線管40が配管され、各電線管40が、スイッチボックス210の外側において、対応する各コネクタ20の接続部22の先端開口に挿着等して接続される。また、可撓電線管40には対応する直径の電線(ケーブル)41がそれぞれ挿通され、対応するコネクタ20の接続部22の先端開口からコネクタ20の内部を通り、突出部23の先端開口からスイッチボックス210の内部に引き出されている。
【0047】
図11に示すように、実施の形態3においても、実施の形態1と同様、スイッチボックス210の側壁211にコネクタ20を固定した状態で、各サイズのコネクタ20の突出部23及びナット25を所定厚で覆うための必要量または必要枚数の耐火材30を、対応するコネクタ20の突出部23及びナット25に一体化するよう覆い被せて押し付け、突出部23及びナット25の表面に付着させることにより、耐火材30が、突出部23及びナット25の全体を隙間なく密着して所定厚で覆っている。また、耐火材30は、スイッチボックス210の内部空間に露出するコネクタ20の突出部23先端の一端開口及びナット25先端からスイッチボックス210の側壁212の内面の貫通孔213aの周辺部までの範囲を一体的に覆っている。更に、耐火材30は、コネクタ20の突出部23及びナット25の外面からスイッチボックス210の側壁212の内面の貫通孔213aの周辺部に至る連続面に粘着して、コネクタ20の特に突出部23と配線ボックス10とを一体化して保護する保護構造体を形成している。一方、実施の形態3においても、耐火材30は、コネクタ20の突出部23の先端開口からその内部に密に充填し、コネクタ20の突出部23とスイッチボックス210とを内外で連続的に一体化して、スイッチボックス210に対するコネクタ20の支持構造を保護する保護構造体を形成するよう構成することができる。
【0048】
実施の形態3では、耐火材30は、スイッチボックス210の側壁212の幅全体に広がるよう平面略角丸矩形状に展延された状態で、コネクタ20の突出部23及びナット25を覆っている。また、隣接するコネクタ20の耐火材30間には、若干の隙間が設けられている。ここで、耐火材30は、スイッチボックス210の側壁212の幅全体に広がるよう展延され、前記塗代カバー215の内面に当接した状態でコネクタ20の突出部23及びナット25を覆うようにすることが好ましい。こうすると、金属製の塗代カバー215による耐火性向上に加え、耐火材30が、スイッチボックス210の開口210a側の塗代カバー215及びそれに連続する側壁212に粘着して、スイッチボックス210の底壁211から塗代カバー215に至る全幅方向範囲で前記保護構造体を形成し、保護構造体による作用及び効果を発揮する。また、火災時には、火炎は、まず塗代カバー215の開口からスイッチボックス210の内部空間に進入するが、このとき、耐火材30が、塗代カバー215からスイッチボックス210の底壁211に至る全幅方向範囲を覆っているため、塗代カバー215付近の火炎により発泡して火炎による熱を確実に遮断し、耐火性能を一層向上することができる。
【0049】
上記のように構成した実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、実施の形態1と同様にして耐火中空壁5等の内部に配設することができ、実施の形態1及び2と同様の作用及び効果を発揮する。
【0050】
実施の形態4
図12は本発明の実施の形態4に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を設けた耐火中空壁の内部構造を示す断面図である。
図12に示すように、実施の形態4に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造と同様の構造に加え、スイッチボックス210にコネクタ20を固定した状態で、コネクタ20においてスイッチボックス210の外側に配置される外側部としての接続部22から、スイッチボックス210の外面の貫通孔213aの周辺部までの範囲を、略一定肉厚で一体的に覆う第2の耐火材330を備えている。詳細には、第2の耐火材330は、コネクタ20の接続部22の外面(外周面乃至外側面)からスイッチボックス210の外面の貫通孔213aの周辺部に至る連続面に粘着して、スイッチボックス210の外側においてコネクタ20の特に接続部22とスイッチボックス210とを一体化して保護する外部保護構造体を形成する。そして、第2の耐火材330も、耐火材30と同様、所定温度以上の加熱により発泡して、スイッチボックスの外側で耐火機能を発揮すると共に、通常時及び火災時において、スイッチボックス210の外側から貫通孔213aの周縁部を閉塞維持して貫通孔213aでの隙間を無くすよう機能する。
【0051】
上記のように構成した実施の形態4に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、実施の形態3と同様にして耐火中空壁5等の内部に配設することができ、実施の形態1乃至3と同様の作用及び効果を発揮する。
【0052】
実施の形態5
図13は本発明の実施の形態5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を設けた耐火中空壁の内部構造を拡大して示す断面図である。
実施の形態5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、スイッチボックス210と、取着具としてのボックス固定具を構成するボックス取付具415と、耐火材30とを備え、実施の形態3と同様の耐火中空壁内に配設される。また、スイッチボックス210を配設する部位の軽量間柱7には、固定バー410が固定されている。即ち、固定バー410は、長板状の取付部411と、取付部411の長さ方向一端に直交して一体形成された矩形板状の固定部412とを有する。固定バー410は、固定部412の長孔412aにビス413を挿通して、軽量間柱7の側面に螺入することにより、軽量間柱7の所定高さ位置に固定される。そして、この状態で、軽量間柱7の側方に延びる固定バー410の取付部411に、スイッチボックス210を取付けている。具体的には、スイッチボックス210の底壁211の内面の所定位置に前記ボックス取付部415を当接して配置し、そのボックス取付部415及び底壁211にビス413を挿通して、そのビス413を固定バー410の取付部411に螺入することにより、スイッチボックス210が取付部411の所定位置に固定される。なお、ボックス取付部415は、例えば、合成樹脂により略円盤状に形成されたものである。
【0053】
実施の形態5においては、スイッチボックス210の底壁211にボックス取付具415を固定した状態で、ボックス取付具415を所定厚で覆うための必要量または必要枚数の耐火材30を、ボックス取付具415に一体化するよう覆い被せて押し付け、ボックス取付具415の表面に付着させることにより、耐火材30が、ボックス取付具415の全体を隙間なく密着して所定厚で覆っている。また、耐火材30は、スイッチボックス210の内部空間に露出するボックス取付部415の全外面から、スイッチボックス210の底壁の内面の貫通孔213aの周辺部までの範囲を一体的に覆っている。更に、耐火材30は、ボックス取付具415の外面からスイッチボックス210の底壁211の内面の貫通孔213aの周辺部に至る連続面に粘着して、ボックス取付具415とスイッチボックス210とを一体化して保護する保護構造体を形成している。ところで、実施の形態5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造では、電線(ケーブル)41をスイッチボックス210の内部まで配線した後に、ボックス取付具415を耐火材30で覆うようにしている。
【0054】
上記のように構成した実施の形態5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、実施の形態3と同様にして耐火中空壁等の内部に配設することができ、耐火材の被覆対象がボックス取付具415となる点を除いて、実施の形態1乃至4と同様の作用及び効果を発揮する。
【0055】
実施の形態6
図14は本発明の実施の形態6に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で使用する耐火材の所期形態を示す斜視図である。図15は本発明の実施の形態6に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を模式的に示す斜視図である。
実施の形態6に係る耐火壁へのボックス類の配設構造では、図14に示す耐火材シート530を使用して、上記各実施の形態で述べたような耐火材30による構造体を形成する。詳細には、耐火材30の所期形態としての耐火材シート530は、充填材531の表裏に剥離シート532を貼着した矩形シート状をなす。より詳細には、充填材531は、前記発泡性を有する粘着質可塑性材料からなる矩形シート状をなす。また、剥離シート532は、充填材531の表面及び裏面の全体をそれぞれ覆う矩形薄シート状をなし、充填材531の粘着力により充填材531の表面及び裏面にそれぞれ貼着されている。更に、充填材531及び剥離シート532にはスリット533が形成され、耐火材シート530をスリット533部分で開放できるようになっている。なお、スリット533は、耐火材シート530の一側に形成されるT字状をなしているが、耐火材シート530を開放できる限りにおいて、単なる直線状とする等、任意の形状とすることができる。更に、剥離シート532にはミシン目534が形成され、図14中に矢印で示すように、ミシン目534部分で剥離シート532と共に充填材531を切除して、補充部535として取り外せるようになっている。なお、ミシン目534は、耐火材シート530の他側縁(スリット533と反対の側縁)に平行して直線状に延びるよう形成されているが、耐火材シート530の一部を切除自在とできる限りにおいて、耐火材シート530の外周縁に沿って延びる円形とする等、任意の形状とすることができる。
【0056】
上記のように構成した耐火材シート530は、実施の形態1〜5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で耐火材30及び第2の耐火材330を構成すべく使用することができる。例えば、図15に示すように、耐火材シート530のミシン目534に沿って補充部535を切除して取り外す。一方、耐火材シート530の表面及び裏面の剥離シート532を剥して充填材531を露出すると共に、充填材531をスリット533部分で開放する。この状態で、配線ボックス10に固定したコネクタ20の突出部23及びナット25に対して、充填材531の開放状態のスリット533の基端部分に電線41を通して配置することで覆い被せ、突出部23及びナット25の全外面に沿って充填材531を押し付けて粘着させる。このとき、スリット533により、シート状の充填材531を突出部23及びナット25の外面形状に容易に追従させて塑性変形させることができ、突出部23及びナット25の全外面を満遍なく所定厚で隙間無く密に覆うことができる。また、充填材531のスリット533部分で隙間が生じた場合、前記切除済みの補充部535の両剥離シート532を剥して、その補充部535を当該隙間に丸めて押し込む等して詰め込み、補充部535により当該隙間を完全に埋める。これにより、1枚の耐火材シート530により、コネクタ20の突出部23及びナット25の全外面から配線ボックス10の側壁12の内面の貫通孔13a周辺部までを隙間無く完全に覆って、図15中に二点鎖線で示すように耐火材30を形成することができ、上記のような耐火機能及び保護構造体としての機能を発揮させることができる。このように、実施の形態6では、1枚の耐火材シート530を使用して、配線ボックス10の内部空間に露出するコネクタ20の突出部23先端の一端開口から配線ボックス20の内面の貫通孔13a周辺部までの範囲を一体的に簡単に覆うことができる。なお、耐火材シート530の一部(中央付近の部分)をコネクタ20の突出部23の先端開口から突出部23の内部に充填するといったことも可能である。また、耐火材シート530をコネクタ20の突出部23やナット25に覆い被せるときに、コネクタ20を通って配線ボックス10の内部に引き出された電線41を耐火材シート530のスリット533を介してその中央付近まで案内することができる。したがって、電線41を中心としてコネクタ20の突出部23先端の一端開口から配線ボックス10の内面の貫通孔13a周辺部までの範囲を満遍なく覆うことができ、同範囲の一部で耐火材が不足するといった事態を確実に防止することができる。加えて、コネクタ20の突出部23等を覆ったときに、スリット533周辺等の部分で隙間が発生した場合でも、補充部535をミシン目534で切除して予め用意しておくことにより、補充部535によりその隙間を容易に充填することができる。また、補充部535は、コネクタ20の突出部23の先端開口から突出部23の内部に充填することも可能である。
【0057】
なお、実施の形態6に係る耐火壁へのボックス類の配設構造では、耐火材シートは、配線ボックス10等の内部空間に突出して露出したコネクタ20等の突出部23(若しくはナット25)等の全体を一体的に覆える大きさ、または、配線ボックス10等の内部空間に露出するコネクタ20の突出部23等の先端の一端開口から配線ボックス10等の内面の貫通孔13a周辺部までの範囲を一体的に覆える大きさの平板状で、中央付近まで延びるスリットを形成したものであれば、上記以外の任意の構成とすることができる。また、耐火材シートは、発泡性を有する粘着質可塑性材料乃至柔軟材料として、作業者の手指等の押圧により簡単にコネクタ20の突出部23等の形状に追従して容易に変形させることができるようにすることが好ましいが、コネクタ20の突出部23等の全体を覆える限りにおいて、それ以外の耐火材料により形成することも可能である。更に、耐火材シートのスリットは、電線を中央付近に案内または導入するための手段として使用する以外に、コネクタ20等を耐火材シートにより覆う場合にその中央付近に存在する可能性のあるその他の線材等を案内すべく使用することも可能である。また、耐火材シートの補充部は、スリットと異なる位置に切除自在に一体的に連結する限りにおいて、ミシン目を設けることなく切除するようにする等、任意の態様で設けることができる。
【0058】
ところで、本発明に係る耐火壁へのボックス類の配設構造では、実施の形態1若しくは実施の形態2の配線ボックス10の開口10aに、金属製の塗代カバーを装着して開口を覆うようにしてもよい。また、実施の形態5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造では、電線(ケーブル)41をスイッチボックス210の内部まで配線した後に、ボックス取付具415を耐火材30で覆うようにしているが、本発明は、取着具としてのボックス固定具を耐火材で覆う場合、電線をボックス類の内部に配線する前に、ボックス類の内部のボックス固定具の露出部を耐火材で覆うようにしてもよい。更に、本発明を適用する耐火壁は、耐火壁(狭義の耐火壁)以外に、耐火天井壁(例えば、耐火二重天井壁等の耐火中空天井壁)や耐火床壁(例えば、耐火中空床壁)に適用することもできる。また、軽量間仕切壁等の中空壁以外にも、二重天井等の耐火中空天井や耐火中空床に好適に使用することができる。或いは、鉄筋コンクリート壁や鉄筋コンクリートスラブ(天井、床)にも適用することも可能である。更にまた、本発明を適用する耐火壁は、少なくとも厚さ方向一側で耐火機能を発揮するものであればよく、例えば、耐火壁の場合、厚さ方向一側の壁板材のみ強化石膏ボード等の耐火壁板材とし、他側の壁板材は非耐火壁板材とすることもできる。
【0059】
また、本発明に係る耐火壁へのボックス類の配設構造では、実施の形態1のように、ボックス類に取着具として電線管接続具を取着する場合、電線管及び電線が構成要素となるが、それ以外の場合、例えば、ボックス固定具の場合、電線管等は必須構成要素ではない。また、本発明に係る耐火壁へのボックス類の配設構造では、取着具として電線管接続具及びボックス固定具を例示したが、本発明は、これ以外の取着具を使用する場合に適用することもできる。また、電線管接続具の一例としてのコネクタとしては、上記のように、ナット締付タイプのものやワンタッチ式挿着タイプのもの以外に、任意のコネクタを使用することができる。即ち、本発明は、コネクタ等の一部をボックス類の貫通孔を通して内部に突出及び露出させた状態で、ボックス類の側壁等の貫通孔周縁に係止保持する任意のコネクタ等に適用することができる。特に、ボックス類の貫通孔周縁部を挟持することでコネクタ等をボックス類に係止保持する場合、上記のように、耐火材によるコネクタ等のボックス類への一体化(保護構造体機能)が有効となる。また、本発明において、耐火材により形成される保護構造体は、一般に軽量の電線管接続具(コネクタ)等の支持構造を保護して支持関係を補助できる程度の保護構造体であればよく、よって、耐火材は、上記のような難燃ゴム材料等を主材とする発泡材料から構成することができる。更に、実施の形態6に係る耐火材シートは、実施の形態1乃至5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で好適に使用することができ、上記特有の作用及び効果を発揮するが、無論、金属製ボックス類以外のボックス類や、その他の耐火構造に使用することもできる。
【符号の説明】
【0060】
5:耐火中空壁(壁)
10:配線ボックス(ボックス類)、13a:貫通孔(取着孔)
20:コネクタ(取着具、電線管接続具)、23:突出部、30:耐火材
40:電線管、41:電線
120:コネクタ(取着具、電線管接続具)、123:突出部
210:スイッチボックス(ボックス類)、213a:貫通孔(取着孔)
215:塗代カバー、330:第2の耐火材
530:耐火材シート、533:スリット、535:補充部
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火壁、耐火床壁、耐火天井壁等の耐火壁の内部に配設され、ケーブルを収容する電線管等の配管材の端部を接続する配線ボックスやエンドカバー等のボックス類、ボックス類に固定した配線付属部品としてのコネクタ等の取着具及び耐火材を備えて、ボックス類の内部における取着具の露出部等の耐火性を向上する耐火壁へのボックス類の配設構造及び耐火壁へのボックス類の配設構造に使用する耐火材シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンクリート壁やコンクリートスラブ(天井または床)、軽量鉄骨間仕切壁等の耐火中空壁や耐火中空スラブ(天井または床)等の壁(通常の壁の他、床壁、天井壁を含む)には、構築後にコンセントやスイッチ等の配線端末または配管端末となる部分に、配線ボックス、スイッチボックス、エンドカバー等のボックス類が、壁の内部に埋設または配設した状態で固定される。また、ボックス類は配管接続口を有し、その配管接続口には、配線・配管付属品としてのコネクタが装着して固定されている。更に、ボックス類は、内部空間に連通する開口を有し、開口が壁の外面に設けた開口に対面するよう、壁の内部に固定される。そして、壁の内部においてボックス類の外側に位置する前記コネクタの一端開口に可撓電線管等の配管材の端部を接続すると共に、コネクタの他端開口から配線・配管材の内部挿通部材であるケーブル等の端部を取出して露出し、前記壁の開口に取付けるコンセント類の接続端子等に電気的に接続するようにしている。ここで、可撓電線管等の配管材は、通常、合成樹脂等の可燃性材料により形成されるため、火事等において火炎が壁の開口に取付けたコンセント等を燃焼し、当該開口を経てボックス類の開口から内部に進入し、可撓電線管等に到達して可撓電線管等が燃焼すると、有毒ガス等の発生の原因となる可能性がある。よって、従来は、かかる場合には、ボックス類のコネクタ接続部分に耐火材を設けている。
従来、この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−301992号公報
【0004】
特許文献1には、コンクリート壁内に埋設された管体(可撓電線管等)の端部とボックス等の付属品との接続部の狭い部分においても容易に充填でき、しかも管体のサイズの変化に対しても自在に対処可能な耐火材が開示されている。この耐火材は、コンクリート壁内に埋設された電線管(管体)又はこれに挿通されたケーブル(挿通部材)が火炎等により延焼するのを防止すべく、前記電線管がボックス(付属品)に接続される接続部(コネクタ)内に、該ボックスの開口側から挿入充填される。また、この耐火材は、前記接続部内面または前記ケーブルの外面への粘着により該接続部内に充填可能であり、しかも熱膨張により前記延焼を防止可能な耐火材料で形成された複数の小片状の耐火材小片の集合体で構成され、前記電線管のサイズ等に応じて選択された必要数が前記接続部内に充填される。接続部内に充填された耐火材は、火炎を受けて所定温度以上に加熱されると接続部内で発泡し、ケーブルの延焼を防止するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載の技術では、接続部としてのコネクタは、合成樹脂製のコネクタ本体をボックスの側壁部のコネクタ挿通孔に挿通して、先端部の雌螺子部をボックス内に露出し、ボックス内において雌螺子部外周面の雌螺子に合成樹脂製のナットを螺合することにより、コネクタ本体の雌螺子部基端とナットとの間でボックスのコネクタ挿通孔周縁を挟持して、ボックスに固定される。また、耐火材は、コネクタの雌螺子部先端の開口(ボックス内部側の開口)からコネクタの内部に充填され、コネクタの内面またはコネクタ内のケーブルの外面に粘着することで、コネクタの内部に保持される。そして、コネクタが火炎を受けると、コネクタ内に充填されてケーブルを被覆する耐火材が発泡して、当該ケーブルを火炎から保護する。一方、耐火材はコネクタの内部のケーブルについて防火機能を発揮するため、コネクタにおいてボックス内に露出する合成樹脂製のナット及び雌螺子部は、前記耐火材による防火の対象とならず、火炎に曝されることになる。したがって、特許文献1の技術では、耐火材によりナット及び雌螺子部の延焼を防止することができない。その結果、ボックス内の露出部分であるコネクタのナット及び雌螺子部が火炎により焼失して、コネクタの内部に充填した耐火材自体が、焼失する雌螺子部等と共に落下し、ケーブル自体の防火機能をも発揮できなくなる可能性がある。
【0006】
かかる事態を防止するには、耐火材をコネクタの雌螺子部の先端開口から奥深くまで(ボックス外側に位置するコネクタ部分まで)完全に隙間なく充填することにより、雌螺子部等が焼失した場合でも、耐火材がボックス外側部分でコネクタに保持されるようにすることが考えられる。しかし、この場合も、コネクタ本体をボックスに固定するための部材であるナットが焼失し、ナットとコネクタ本体の雌螺子部基端とによるボックスのコネクタ挿通孔周縁の挟持が解除され、コネクタ本体自身がボックス外側で落下する可能性があり、結果として、耐火材もコネクタ本体と共に落下して防火機能を発揮できなくなる可能性がある。更に、コネクタ本体の雌螺子部の基端側外周面が、ボックスのコネクタ挿通孔の周縁に係止されて、コネクタ本体がボックスに保持される場合でも、コネクタ本体が、ボックスのコネクタ挿通孔に対して位置ずれしたり揺動したりして、コネクタ挿通孔との間に隙間を生じ、その隙間から火炎がボックスの外側に進出し、前記合成樹脂性の電線管が延焼して、有毒ガス等の発生の原因となる可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、火災時等に配線ボックス等のボックス類の内部に火炎が進入した場合でも、ボックス類に固定したコネクタ等の取着具のボックス類の内部における露出部や、ボックス類の外側の可燃部材に対して確実な防火機能を発揮することができると共に、ボックス類に取着した取着具を保護して、その緩みや脱落等を確実に防止することができる耐火壁へのボックス類の配設構造及び耐火壁へのボックス類の配設構造に使用する耐火材シートの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、壁の内部に配設されて、室内側に対面する位置に開口を配置すると共に、壁の内部に対応する位置に貫通孔を配置する金属製のボックス類と、前記ボックス類の貫通孔に挿通され、その一部を前記ボックス類の内部空間に露出した状態で前記ボックス類に係止して取着される合成樹脂製の取着具と、前記ボックス類の内部空間における前記取着具の露出部の全体を覆う耐火材とを備える。
【0009】
請求項2に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、壁の内部に配設されて、室内側に対面する位置に開口を配置すると共に、壁の内部に対応する位置に取着孔を配置する金属製のボックス類と、前記ボックス類の取着孔に挿通される突出部を有し、前記突出部を前記ボックス類の内部空間に突出して露出した状態で前記ボックス類の取着孔に係止することにより前記ボックス類に保持されると共に、前記突出部先端の一端開口を前記ボックス類の内部に配置する合成樹脂製の筒状の電線管接続具と、前記壁の内部に配管され、前記ボックス類の外側において前記電線管接続具の他端開口に接続される合成樹脂製の電線管と、前記電線管に挿通され、前記電線管接続具の他端開口から前記電線管接続具を通って前記ボックス類の内部に引き出される電線と、前記ボックス類の内部空間に露出する前記電線管接続具の突出部先端の一端開口から前記ボックス類の内面の前記取着孔周辺部までの範囲を一体的に覆う耐火材とを備える。
【0010】
請求項3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項2の構成において、前記耐火材が、粘着質可塑性材料からなり、前記電線管接続具の他端開口からその内部にも密に充填され、前記電線管接続具と前記ボックス類とを一体化する前記保護構造体に連続する保護構造体を形成し、前記電線管接続具の内部から外部における前記ボックス類の内面の取着孔周辺部まで、前記電線管接続具と前記ボックス類とを内外で連続的に一体化して、前記ボックス類に対する前記電線管接続具の支持構造を補助する。
【0011】
請求項4に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項3の構成において、前記耐火材が、前記電線管接続具の突出部の内部空間のみならず、前記電線管接続具において前記ボックス類の外側に位置する部分の内部空間まで密に充填され、前記電線管接続具の外側の保護構造体に一体化した前記突出部内部の保護構造体が、前記ボックス類の外側まで延長されるようにした。
【0012】
請求項5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項1乃至4のいずれかの構成において、前記ボックス類の開口に金属製の塗代カバーを装着し、前記耐火材を発泡性粘着質可塑性材料から構成し、前記ボックス類の幅全体に広がるよう展延して、前記塗代カバーの内面に当接させた状態で前記取着具の露出部または前記電線管接続具の突出部を覆うようにした。
【0013】
請求項6に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項1乃至5のいずれかの構成において、更に、前記取着具または前記電線管接続具において前記ボックス類の外側に配置される外側部から、前記ボックス類の外面の前記貫通孔または前記取着孔の周辺部までの範囲を一体的に覆うと共に、前記取着具または前記電線管接続具の外側部の外面から前記ボックス類の外面の前記貫通孔または前記取着孔の周辺部に至る連続面に粘着して、前記ボックス類の外側において前記取着具または前記電線管接続具と前記ボックス類とを一体化する外部保護構造体を形成する粘着質可塑性材料からなる第2の耐火材を備える。
【0014】
請求項7に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項1乃至6のいずれかの構成において、前記耐火材が、平板状の耐火材シートである。
【0015】
請求項8に係る耐火材シートは、ボックス類に挿通されてボックス類の内部に突出する突出部を有する電線管接続具の前記突出部を覆うようにした耐火材シートであって、ボックス類の内部空間に突出して露出した電線管接続具の突出部の全体を一体的に覆える大きさの平板状に形成された耐火材料からなる。
【0016】
本発明に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、壁の内部に配設されて、室内側に対面する位置に開口を配置すると共に、壁の内部に対応する位置に取着孔を配置する金属製のボックス類と、前記ボックス類の取着孔に挿通される突出部を有し、前記突出部を前記ボックス類の内部空間に突出して露出した状態で前記突出部の基端を前記ボックス類の取着孔に係止することにより前記ボックス類に保持される合成樹脂製の筒状の電線管接続具と、前記壁の内部に配管され、前記ボックス類の外側において前記電線管接続具の他端開口に接続される合成樹脂製の電線管と、前記電線管に挿通され、前記電線管接続具の他端開口から前記電線間接続具を通って前記ボックス類の内部に引き出される電線と、前記ボックス類の内部空間に露出する前記電線管接続具の突出部の先端開口から、前記ボックス類の内面の前記取着孔周辺部までの範囲を一体的に覆うと共に、前記電線管接続具の突出部の外面から前記ボックス類の内面の前記取着孔周辺部に至る連続面に粘着して、前記電線管接続具と前記ボックス類とを一体化する保護構造体を形成する粘着質可塑性材料からなる耐火材とを備えることもできる。
【0017】
また、本発明に係る耐火材シートは、請求項8の構成において、更に、前記電線管接続具の突出部を覆ったときに発生する隙間を充填するための耐火材料からなる補充部を切除自在に一体的に連結することもできる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、火災時等に配線ボックス等のボックス類の内部に火炎が進入した場合でも、ボックス類に固定したコネクタ等の合成樹脂製の取着具のボックス類の内部における露出部の全体を覆う耐火材により、その露出部やボックス類の外側の可燃部材に対して確実な防火機能を発揮することができる。また、ボックス類の内部において取着具の露出部全体を耐火材により外側から完全に覆って保護することにより、外力等によるボックス類に対する取着具の露出部の緩みや脱落等を確実に防止することができる。
【0019】
請求項2に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、火災時等に配線ボックス等のボックス類の内部に火炎が進入した場合でも、ボックス類に固定したコネクタ等の合成樹脂製の電線管接続具のボックス類の内部における突出部の全体を覆う耐火材により、その突出部や、電線管接続具の内部の電線や、ボックス類の外側の電線管等の可燃部材に対して確実な防火機能を発揮することができる。また、ボックス類の内部において電線管接続具の突出部全体を耐火材により外側から完全に覆って保護することにより、外力等によるボックス類に対する電線間接続具の突出部の緩みや脱落等を確実に防止することができる。
【0020】
請求項3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項2の効果に加え、電線管接続具の内部においても耐火材により保護構造体を形成し、突出部の内外で一体化した保護構造体により、ボックス類に対する電線管接続具の支持構造を更に効果的に補助して、外力等によるボックス類に対する電線間接続具の突出部の緩みや脱落等をより確実に防止したり、ボックス類の貫通孔部分での隙間を閉塞して隙間の発生を防止したりすることができる。
【0021】
請求項4に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項3の効果に加え、電線管接続具の内部に充填される耐火材が電線管接続具の外側まで延長配置されて前記保護構造体を形成し、ボックス類に対する電線管接続具の支持構造を一層効果的に補助して、外力等によるボックス類に対する電線間接続具の突出部の緩みや脱落等をより一層確実に防止したり、ボックス類の貫通孔部分での隙間を閉塞して隙間の発生を防止したりすることができる。
【0022】
請求項5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項1乃至4のいずれかの効果に加え、金属製の塗代カバーにより耐火性を向上できると共に、ボックス類の内部において塗代カバーの内面まで広がる耐火材が、火災時に発泡して耐火機能を確実に発揮すると共に、ボックス類から塗代カバーに至る範囲で前記保護構造体を形成し、取着具等の保護機能を一層向上する。
【0023】
請求項6に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項1乃至5のいずれかの効果に加え、ボックス類の外側においても耐火材により取着具の露出部または電線管接続具の突出部に対して耐火機能を発揮すると共に保護構造体としての保護機能を発揮する。
【0024】
請求項7に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、請求項1乃至6のいずれかの効果に加え、1枚の耐火材シートを使用して、ボックス類の内部空間に露出する取着具の露出部または電線管接続具の突出部先端の一端開口からボックス類の内面の前記貫通孔または前記取着孔の周辺部までの範囲を一体的に簡単に覆うことができる。なお、耐火材シートの一部(中央付近の部分)を電線管突出部の先端の一端開口から突出部の内部に充填するといったことも可能である。したがって、電線を中心として取着具の露出部または電線管接続具の突出部先端の一端開口からボックス類の内面の貫通孔または取着孔の周辺部までの範囲を満遍なく覆うことができ、同範囲の一部で耐火材が不足するといった事態を確実に防止することができる。
【0025】
請求項8に係る耐火材シートは、請求項2乃至7に記載のような耐火壁へのボックス類の配設構造で耐火材として好適に使用することができ、この場合、1枚のみ使用して、ボックス類の内部空間に露出する電線管接続具の突出部先端の一端開口からボックス類の内面の取着孔周辺部までの範囲を一体的に簡単に覆うことができる。なお、耐火材シートの一部(中央付近の部分)を電線管突出部の先端の一端開口から突出部の内部に充填するといったことも可能である。したがって、電線を中心として電線管接続具の突出部先端の一端開口からボックス類の内面の取着孔周辺部までの範囲を満遍なく覆うことができ、同範囲の一部で耐火材が不足するといった事態を確実に防止することができる。
【0026】
本発明に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、火災時等に配線ボックス等のボックス類の内部に火炎が進入した場合でも、ボックス類に固定したコネクタ等の合成樹脂製の電線管接続具のボックス類の内部における突出部の全体を覆う耐火材により、その突出部や、電線管接続具の内部の電線や、ボックス類の外側の電線管等の可燃部材に対して確実な防火機能を発揮することができる。また、ボックス類の内部において電線管接続具の突出部全体を耐火材により外側から完全に覆って保護することにより、外力等によるボックス類に対する電線間接続具の突出部の緩みや脱落等を確実に防止することができる。即ち、耐火材からなる保護構造体により、ボックス類に対する電線管接続具の支持構造を補助して、突出部または電線管接続具全体の緩みや位置ずれ等を有効に防止することができると共に、ボックス類の貫通孔部分での隙間を閉塞して隙間の発生を防止することができる。
【0027】
また、本発明に係る耐火材シートは、請求項8の効果に加え、更に、電線管接続具の突出部を覆ったときに、隙間が発生した場合でも、補充部を切除して用意することにより、補充部によりその隙間を容易に充填することができる。また、補充部は、電線管突出部の先端の一端開口から突出部の内部に充填することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で使用するボックス類としての配線ボックスを開口側から見て示す正面図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造の配線ボックスを示す側面図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で使用する電線管接続具としてのコネクタを示す分解斜視図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造における配線ボックス、コネクタ及び耐火材の関係を示す断面図であり、配線ボックスは下側部(コネクタ取付側)のみ仮想線にて示す。
【図6】図6は本発明の実施の形態2に係る耐火壁へのボックス類の配設構造における配線ボックス、コネクタ及び耐火材の関係を示す断面図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を設けた耐火中空壁を室内側から見て示す正面図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で使用するボックス類としてのスイッチボックスを開口側から見て示す正面図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造のスイッチボックスを示す側面図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を設けた耐火中空壁の内部構造を示す断面図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造をスイッチボックスの耐火材部分を底面側から見て示す断面図であり、上半分はコネクタの外部を耐火材により覆った状態を実線で示し、下半分はコネクタの外部を耐火材により覆った状態を仮想線で示す。
【図12】図12は本発明の実施の形態4に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を設けた耐火中空壁の内部構造を示す断面図である。
【図13】図13は本発明の実施の形態5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を設けた耐火中空壁の内部構造を拡大して示す断面図である。
【図14】図14は本発明の実施の形態6に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で使用する耐火材の所期形態を示す斜視図である。
【図15】図15は本発明の実施の形態6に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)を説明する。なお、各実施の形態を通じ、同一の部材、要素または部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0030】
実施の形態1
図1は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を模式的に示す斜視図である。図2は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で使用するボックス類としての配線ボックスを開口側から見て示す正面図である。図3は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造の配線ボックスを示す側面図である。図4は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で使用する電線管接続具としてのコネクタを示す分解斜視図である。図5は本発明の実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造における配線ボックス、コネクタ及び耐火材の関係を示す断面図であり、配線ボックスは下側部(コネクタ取付側)のみ仮想線にて示す。
【0031】
図1に示すように、実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、ボックス類としての配線ボックス10と、取着具としての電線管接続具を構成するコネクタ20と、耐火材30とを備える。配線ボックス10は、図2及び図3に示すように、金属製の正方形四角箱状をなし、底壁11と反対側に開口10aを有している。配線ボックス10は、耐火壁としての耐火壁(図示略)の内部に配設されて、耐火壁の室内側に設けたボックス用の開口1に対面する位置に前記開口10aを配置するようになっている。また、配線ボックス10は、底壁11及び側壁12に打抜き自在な円形のノックアウト部13を設けている。配線ボックス10のノックアウト部13は、ドライバ等の工具により打抜かれて円形の貫通孔を形成し、耐火壁の内部(例えば、耐火中空壁の内部空間)に対応する位置に、その貫通孔を配置するようになっている。なお、配線ボックス10の貫通孔13aは、取着具を構成するボックス類固定具としてのボックス取付クランプ等や、同じく取着具を構成する電線管接続具としてのコネクタの突出部等を挿通して係止するために使用される。特に、実施の形態1では、配線ボックス10の貫通孔13aは、コネクタ20の突出部を挿通して係止するための取着孔として使用されている。
【0032】
コネクタ20は、図4に示すように、合成樹脂製のコネクタ本体21と合成樹脂製のナット25とからなる。コネクタ本体21は、両端を円形の開口とした略円筒状をなし、軸方向一端に電線管を接続自在な略円筒状の接続部22を有すると共に、軸方向他端には、前記接続部22より小径の円筒状をなす突出部23を有している。また、突出部23の外周面には雄螺子23aが形成され、突出部23にナット25を螺合自在となっている。更に、突出部23の基端には、リング状のフランジ部24が一体形成されている。コネクタ20は、コネクタ本体21の軸方向一部(他端部)を構成する突出部23を配線ボックス10の側壁12の貫通孔13aに挿通し、その突出部23を配線ボックス10の内部空間に露出した状態で、突出部23にナット25を螺合することで、配線ボックス10に保持して固定される。なお、コネクタ20の突出部23は、図1では、配線ボックス10の下側の側壁12の中央の貫通孔13aに挿通されている。このとき、コネクタ20は、フランジ24が配線ボックス10の側壁12の外面において貫通孔13aの周辺部に当接すると共に、突出部23の基端外周面が配線ボックス10の貫通孔13aの周縁に当接する一方、ナット25の基端が配線ボックス10の側壁12の内面において貫通孔13aの周辺部に当接している。このように、実施の形態1では、フランジ24とナット25との間で配線ボックス10の貫通孔13aの周縁部を挟持することで、コネクタ20が配線ボックス10に係止して取着されるようになっている。また、このとき、コネクタ20の突出部23の先端開口(コネクタ20の一端開口)が、配線ボックス10の内部空間に配置されるようになっている。
【0033】
配線ボックス10に固定したコネクタ20には合成樹脂製の電線管(図示略)が接続される。具体的には、電線管は、耐火中空壁等の壁の内部に所定の経路に沿って配管され、配線ボックス10の外側において、コネクタ20の他端開口となるコネクタ本体21の接続部22の先端開口(配線ボックス10の外側の開口)に挿着等して接続される。また、電線管には電線(ケーブル)41が挿通され、コネクタ20の他端開口である接続部22の先端開口からコネクタ20の内部を通って配線ボックス10の内部に引き出されている。電線41は、最終的に、コンセント等の端末に接続される。
【0034】
耐火材30は、図5に示すように、配線ボックス10にコネクタ20を固定した状態で、配線ボックス10の内部空間におけるコネクタ20の突出部23及びナット25の全体を所定厚で覆う発泡性の粘着質可塑性材料からなる。詳細には、耐火材30の粘着質可塑性材料は、実施の形態1では、ケイ酸ソーダやシリカ等の無機質耐火材料、難燃性ゴム材料、油脂等を混練してなり、更に、発泡剤を配合することにより発泡性を付与している。これにより、耐火材30は、所定の可塑性を有し、任意の形状、例えば、対象物としてのコネクタ20の突出部23及びナット25の外形に対応する形状に容易に塑性変形することができる。また、耐火材30は、所定の粘着性を有し、対象物としてのコネクタ20の突出部23及びナットに押し付けて付着させることにより、突出部23及びナット25の外面に粘着して容易に離脱しない。なお、耐火材30は、その初期形状として、小矩形シート状、長尺シート状、ブロック状等の任意の形状を有するよう構成することができる。そして、耐火材30は、コネクタ20の突出部23及びナット25を所定厚で覆うための必要量または必要枚数を、コネクタ20の突出部23及びナット25に一体化するよう覆い被せて押し付け、突出部23及びナット25の表面に付着させることにより、突出部23及びナット25の全体を隙間なく密着して覆うようになっている。更に、耐火材30は、配線ボックス10の内部空間に露出するコネクタ20の突出部23先端の一端開口及びナット25先端から配線ボックス10の内面の貫通孔13aの周辺部までの範囲を一体的に覆っている。
【0035】
更に、耐火材30は、コネクタ20の突出部23及びナット25の外面(外周面乃至外側面)から配線ボックス10の内面の貫通孔13aの周辺部に至る連続面に粘着して、コネクタ20の特に突出部23及びナット25と配線ボックス10とを一体化して保護する保護構造体を形成するようになっている。即ち、耐火材30は、(火災の発生しない)通常時において、配線ボックス10に対するコネクタ20の特に突出部23の支持構造を保護して両者間の支持関係を補助乃至維持するための保護構造体としても機能する。なお、耐火材30の粘着質可塑性材料は、所定温度(例えば、約110℃)の加熱により発泡開始し、図5に示す状態から、配線ボックス10の内部空間に発泡・膨張して耐火機能を発揮するようになっている。しかし、このときも、耐火材30は、体積膨張する一方で、コネクタ20の特に突出部23と配線ボックス10とを一体化して保護する保護構造体としての機能を維持する。即ち、耐火材30は、火災時において、配線ボックス10内におけるコネクタ20の露出部である突出部23及びナット25の全体を覆って、突出部23及びナット25に十分な耐火性を付与してその焼失・脱落等を効果的に防止すると共に、配線ボックス10に対するコネクタ20の特に突出部23の支持構造を維持して、外力等により突出部23に対してナット25が緩んだり外れたりする等の不具合を防止するための保護構造体としての機能を維持するようになっている。また、火災時に、金属製の配線ボックス10からの伝導熱によりコネクタ20の突出部23の基端が熱変形等して、突出部23の基端外周面と配線ボックス10の側壁12の貫通孔13aの周縁との間に隙間が生じた場合でも、発泡した耐火材30が、保護構造体として、配線ボックス10の貫通孔13aの周縁に対するコネクタ20の突出部23の保持状態を維持し、かつ、配線ボックス10の貫通孔13aの周縁部を閉塞維持して、配線ボックス10の貫通孔13a部分の隙間から、配線ボックス10の外側の電線管等に火炎が及ぶことを防止するようになっている。
【0036】
実施の形態1では、粘着質可塑性材料からなる耐火材30は、更に、コネクタ20の他端開口である突出部23の先端開口からその内部にも密に充填され、コネクタ20と配線ボックス10とを一体化する前記保護構造体に、コネクタ20の他端開口部分で連続する保護構造体を形成している。これにより、耐火材30は、コネクタ20の内部から外部における配線ボックス10の内面の貫通孔13aの周辺部まで、コネクタ20の特に突出部23と配線ボックス10とを内外で連続的に一体化して、配線ボックス10に対するコネクタ20の支持構造を保護して両者間の支持関係を維持乃至補助するようになっている。
【0037】
ここで、図示は省略するが、前記耐火材30は、コネクタ20の突出部23の内部空間のみならず、コネクタ20において配線ボックス10の外側に位置する部分(接続部22部分)の内部空間まで密に充填してもよい。即ち、耐火材30は、コネクタ20の外側に形成した保護構造体(突出部23を覆う部分)に一体化した突出部23内部の保護構造体が、配線ボックス10の外側(接続部22部分)まで延長されるよう構成してもよい。この場合、火災時において、金属製の配線ボックス10からの伝導熱等により熱変形等した場合でも、発泡した耐火材30が、コネクタ20の内外において耐火機能を発揮すると共に保護構造体として機能し、配線ボックス10の貫通孔13aの周縁に対するコネクタ20の突出部23の保持状態を維持し、かつ、配線ボックス10の貫通孔13aの周縁部を閉塞維持して、配線ボックス10の貫通孔13a部分の隙間から、配線ボックス10の外側の電線管等に火炎が及ばないようにする。
【0038】
次に、上記のように構成した実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造の配設方法、作用及び効果について説明する。
実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を、例えば、耐火壁としての耐火中空壁(軽量間仕切壁等)の内部空間に配設するには、まず、配線ボックス10を耐火中空壁の内部空間に取付けた枠材(取付バー等)の所定位置に、所定の取付具乃至支持具を使用して固定する。また、配線ボックス10の側壁12のノックアウト部13をドライバ等の工具を使用して打抜き、貫通孔13aを形成すると共に、その貫通孔13aにコネクタ20の突出部23を配線ボックス10の外側から挿通して、配線ボックスの内部に突出させ、ナット25を突出部23に螺合して締め付ける。これにより、コネクタ20を配線ボックス10に固定することができる。更に、電線管を耐火中空壁の内部に配管経路に沿って配管すると共に、電線管の先端をコネクタ20の接続部22の他端開口に挿着等により連結して接続する。そして、電線管の内部に電線41を挿通して通線し、コネクタ20の接続部22の先端開口からコネクタ20の内部を通して、突出部23の先端開口から配線ボックス10の内部に引き出す。
【0039】
次に、必要量乃至必要枚数の耐火材30を用意し、コネクタ20の突出部23及びナット25に一体化するよう覆い被せて押し付け、突出部23及びナット25の表面に付着させることにより、突出部23及びナット25の全体を隙間なく密着して覆うと共に、配線ボックス10の内部空間に露出するコネクタ20の突出部23先端の一端開口及びナット25先端から配線ボックス10の内面の貫通孔13aの周辺部までの範囲を一体的に密着して覆う。同時に、突出部23の先端側に位置する耐火材30の一部を、コネクタ20の他端開口である突出部23の先端開口からその内部にも押し込んで密に充填する。このとき、まず、突出部23の内部に耐火材30を充填し、その後、突出部23及びナット25の外側を耐火材30で覆うことにより、突出部23の内外の耐火材を一体化するようにしてもよい。これにより、図5に示すように、配線ボックス10の内部空間におけるコネクタ20の突出部23及びナット25の全体が、耐火材30により所定厚で密に覆われると共に、突出部23の内部にも耐火材30が密に充填される。したがって、実施の形態1では、耐火材30が、突出部23及びナット25の外面から配線ボックス10の内面の貫通孔13aの周辺部に至る連続面に粘着して、コネクタ20の特に突出部23と配線ボックス10とを一体化して支持関係を維持乃至補助する保護構造体を形成し、通常時において、配線ボックス10に対するコネクタ20の特に突出部23の支持構造を保護するための保護構造体としても機能する。また、火災時に、耐火中空壁の開口1から配線ボックス10の開口10aを経て内部空間に火炎が進入した場合、突出部23及びナット25を所定厚で覆う耐火材30が、所定温度で発泡開始し、図5に示す状態から、配線ボックス10の内部空間に発泡・膨張して耐火機能を発揮する。同時に、耐火材30は、体積膨張する一方で、コネクタ20の特に突出部23と配線ボックス10とを一体化して支持関係を維持乃至補助する保護構造体としての機能を維持する。
【0040】
その結果、耐火材30は、火災時において、配線ボックス10内におけるコネクタ20の露出部である突出部23及びナット25の全体を覆って、突出部23及びナット25に十分な耐火性を付与してその焼失・脱落等を効果的に防止すると共に、通常時には、保護構造体として機能して、配線ボックス10に対するコネクタ20の特に突出部23の支持構造を保護して両者間の支持関係を確実に維持する。また、コネクタ20の突出部23及びナット25が内包される耐火材30部分では、結果的に、配線ボックス10の側壁12の肉厚が耐火材30の厚み分だけ大きくなったと同様の効果が得られるため、ナット25、突出部23及びその接続部分等に対する熱の影響を大幅に減らすことができる。更に、コネクタ20の突出部23の基端外周面と配線ボックス10の側壁12の貫通孔13aの周縁との間に隙間が生じた場合でも、耐火材30が、配線ボックス10の貫通孔13aの周縁部の隙間に充填される等して閉塞し、その隙間をなくすことができる。特に、火災時には、金属製の配線ボックス10からの伝導熱によりコネクタ20の突出部23の基端が熱変形等して、突出部23の基端外周面と配線ボックス10の側壁12の貫通孔13aの周縁との間に隙間が生じた場合でも、発泡した耐火材30が、保護構造体として、配線ボックス10の貫通孔13aの周縁に対するコネクタ20の突出部23の保持状態を維持し、かつ、配線ボックス10の貫通孔13aの周縁部を閉塞維持して、配線ボックス10の貫通孔13a部分の隙間から、配線ボックス10の外側の電線管等に火炎が及ばないようにする。また、耐火材30により突出部23に螺合したナット25の全体を覆っているため、通常時及び火災時のいずれにおいても、ナット25の緩みや脱落等を確実に阻止することができる。このようにして、実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、火災時等に配線ボックス10の内部に火炎が進入した場合でも、配線ボックス10に固定したコネクタ20の配線ボックス10内部の露出部分である突出部23及びコネクタ20内の電線41等の可燃部材に対して確実な防火機能を発揮することができると共に、配線ボックス10に対するコネクタ20の取着状態をも同時に強化することができる。
【0041】
実施の形態2
図6は本発明の実施の形態2に係る耐火壁へのボックス類の配設構造における配線ボックス、コネクタ及び耐火材の関係を示す断面図である。
図6に示すように、実施の形態2に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、ボックス類としての配線ボックス10に取付ける電線管接続具として、ワンタッチ式のコネクタ120を使用している。それ以外の構成は、実施の形態1に係る耐火壁へのボックス類の配設構造と同様の構成である。詳細には、実施の形態2では、コネクタ120は、両端を円形の開口とした略円筒状をなし、軸方向一端に電線管を接続自在な略円筒状の接続部122を有すると共に、軸方向他端には、前記接続部122より若干大径の円筒状をなす突出部123を有している。また、突出部123の外周面の先端側には、半径方向に対向する位置に一対の掛止爪部125が一体形成されている。更に、突出部123の基端には、リング状のフランジ部124が一体形成されている。コネクタ120は、突出部123先端の一対の掛止爪部125を配線ボックス10の側壁12の貫通孔13a内に押し込んで配線ボックス10の内側に配置することで、突出部123を配線ボックス10の内部空間に露出した状態で、一対の掛止爪部125とフランジ124との間で配線ボックス10の貫通孔13aの周縁部を挟持して係止することにより、配線ボックス10に保持して取着・固定される。このとき、コネクタ120の突出部123の先端開口(コネクタ120の一端開口)が、配線ボックス10の内部空間に配置されるようになっている。配線ボックス10に固定したコネクタ120には、実施の形態1と同様、合成樹脂等からなる電線管(図示略)が接続されると共に、電線管には電線41が挿通され、配線ボックス10の内部に引き出されている。
【0042】
実施の形態2においても、耐火材30は、実施の形態1と同様、配線ボックス10にコネクタ120を固定した状態で、配線ボックス10の内部空間におけるコネクタ120の突出部123の全体を所定厚で覆う。耐火材30は、コネクタ120の突出部123を所定厚で覆うための必要量または必要枚数を、コネクタ120の突出部123に一体化するよう覆い被せて押し付け、突出部123の表面に付着させることにより、突出部123の全体を隙間なく密着して覆うようになっている。また、耐火材30は、配線ボックス10の内部空間に露出するコネクタ120の突出部123先端の一端開口から配線ボックス10の内面の貫通孔13aの周辺部までの範囲を一体的に覆っている。更に、耐火材30は、コネクタ120の突出部123の外面から配線ボックス10の内面の貫通孔13aの周辺部に至る連続面に粘着して、コネクタ120の特に突出部123と配線ボックス10とを一体化して保護する保護構造体を形成するようになっている。なお、実施の形態2においても、耐火材30は、コネクタ120の突出部123の先端開口からその内部に密に充填し、コネクタ120の突出部123と配線ボックス10とを内外で連続的に一体化して、配線ボックス10に対するコネクタ120の支持構造を保護する保護構造体を形成するよう構成することもできる。
【0043】
上記のように構成した実施の形態2に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、実施の形態1と同様にして耐火中空壁等の内部に配設することができ、同様の作用及び効果を発揮する。
【0044】
実施の形態3
図7は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を設けた耐火中空壁を室内側から見て示す正面図である。図8は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で使用するボックス類としてのスイッチボックスを開口側から見て示す正面図である。図9は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造のスイッチボックスを示す側面図である。図10は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を設けた耐火中空壁の内部構造を示す断面図である。図11は本発明の実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造をスイッチボックスの耐火材部分を底面側から見て示す断面図であり、上半分はコネクタの外部を耐火材により覆った状態を実線で示し、下半分はコネクタの外部を耐火材により覆った状態を仮想線で示す。
【0045】
図7に示すように、実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、ボックス類としてのスイッチボックス210と、実施の形態1と同様のコネクタ20及び耐火材30とを備える。スイッチボックス210は、図8及び図9に示すように、金属製の長方形四角箱状をなし、底壁211と反対側に開口210aを有し、耐火中空壁5内に配設される。スイッチボックス210は、図10に示すように、耐火壁としての耐火中空壁5の内部空間に配設されて、耐火中空壁5の室内側に設けたボックス用の開口5aに対面する位置に前記開口210aを配置するようになっている。詳細には、耐火中空壁5は、軽量間仕切壁であり、上下一対の横材6間に複数の軽量間柱(スタッド)7を一定間隔で立設して枠体を構成し、その枠体の表裏にそれぞれ石膏ボード5A及び5Bを貼着している。また、スイッチボックス210を配設する部位の一対の軽量間柱7間には、ボックス固定具としての金属製の固定バー8が介装して固定されている。なお、スイッチボックス210は、実施の形態1の配線ボックス10と同様、底壁211及び側壁212に打抜き自在な円形のノックアウト部213を設けている。スイッチボックス210のノックアウト部213は、ドライバ等の工具により打抜かれて円形の貫通孔213aを形成し、耐火中空壁5の内部空間に対応する位置に、その貫通孔213aを配置するようになっている。また、スイッチボックス210の貫通孔213aは、取着具を構成するボックス類固定具としてのボックス取付クランプ等や、同じく取着具を構成する電線管接続具としてのコネクタの突出部等を挿通して係止するために使用される。特に、実施の形態3では、スイッチボックス210の貫通孔213aは、実施の形態1と同様、コネクタ20の突出部23を挿通して係止するための取着孔として使用されている。更に、実施の形態3では、スイッチボックス210の開口210aに金属製の塗代カバー215が装着され、開口210aを覆っている。
【0046】
実施の形態3では、前記コネクタ20が、コネクタ本体21の突出部23をスイッチボックス210の側壁212の貫通孔213aに挿通し、その突出部23をスイッチボックス210の内部空間に露出した状態で、突出部23にナット25を螺合することで、フランジ24とナット25との間でスイッチボックス210の貫通孔213aの周縁部を挟持して係止することにより、スイッチボックス210に保持して取着・固定される。また、このとき、コネクタ20の突出部23の先端開口が、スイッチボックス210の内部空間に配置されるようになっている。また、耐火中空壁5の内部空間に所定の経路に沿って、前記コネクタ20に対応する数及び直径の合成樹脂製の可撓電線管40が配管され、各電線管40が、スイッチボックス210の外側において、対応する各コネクタ20の接続部22の先端開口に挿着等して接続される。また、可撓電線管40には対応する直径の電線(ケーブル)41がそれぞれ挿通され、対応するコネクタ20の接続部22の先端開口からコネクタ20の内部を通り、突出部23の先端開口からスイッチボックス210の内部に引き出されている。
【0047】
図11に示すように、実施の形態3においても、実施の形態1と同様、スイッチボックス210の側壁211にコネクタ20を固定した状態で、各サイズのコネクタ20の突出部23及びナット25を所定厚で覆うための必要量または必要枚数の耐火材30を、対応するコネクタ20の突出部23及びナット25に一体化するよう覆い被せて押し付け、突出部23及びナット25の表面に付着させることにより、耐火材30が、突出部23及びナット25の全体を隙間なく密着して所定厚で覆っている。また、耐火材30は、スイッチボックス210の内部空間に露出するコネクタ20の突出部23先端の一端開口及びナット25先端からスイッチボックス210の側壁212の内面の貫通孔213aの周辺部までの範囲を一体的に覆っている。更に、耐火材30は、コネクタ20の突出部23及びナット25の外面からスイッチボックス210の側壁212の内面の貫通孔213aの周辺部に至る連続面に粘着して、コネクタ20の特に突出部23と配線ボックス10とを一体化して保護する保護構造体を形成している。一方、実施の形態3においても、耐火材30は、コネクタ20の突出部23の先端開口からその内部に密に充填し、コネクタ20の突出部23とスイッチボックス210とを内外で連続的に一体化して、スイッチボックス210に対するコネクタ20の支持構造を保護する保護構造体を形成するよう構成することができる。
【0048】
実施の形態3では、耐火材30は、スイッチボックス210の側壁212の幅全体に広がるよう平面略角丸矩形状に展延された状態で、コネクタ20の突出部23及びナット25を覆っている。また、隣接するコネクタ20の耐火材30間には、若干の隙間が設けられている。ここで、耐火材30は、スイッチボックス210の側壁212の幅全体に広がるよう展延され、前記塗代カバー215の内面に当接した状態でコネクタ20の突出部23及びナット25を覆うようにすることが好ましい。こうすると、金属製の塗代カバー215による耐火性向上に加え、耐火材30が、スイッチボックス210の開口210a側の塗代カバー215及びそれに連続する側壁212に粘着して、スイッチボックス210の底壁211から塗代カバー215に至る全幅方向範囲で前記保護構造体を形成し、保護構造体による作用及び効果を発揮する。また、火災時には、火炎は、まず塗代カバー215の開口からスイッチボックス210の内部空間に進入するが、このとき、耐火材30が、塗代カバー215からスイッチボックス210の底壁211に至る全幅方向範囲を覆っているため、塗代カバー215付近の火炎により発泡して火炎による熱を確実に遮断し、耐火性能を一層向上することができる。
【0049】
上記のように構成した実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、実施の形態1と同様にして耐火中空壁5等の内部に配設することができ、実施の形態1及び2と同様の作用及び効果を発揮する。
【0050】
実施の形態4
図12は本発明の実施の形態4に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を設けた耐火中空壁の内部構造を示す断面図である。
図12に示すように、実施の形態4に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、実施の形態3に係る耐火壁へのボックス類の配設構造と同様の構造に加え、スイッチボックス210にコネクタ20を固定した状態で、コネクタ20においてスイッチボックス210の外側に配置される外側部としての接続部22から、スイッチボックス210の外面の貫通孔213aの周辺部までの範囲を、略一定肉厚で一体的に覆う第2の耐火材330を備えている。詳細には、第2の耐火材330は、コネクタ20の接続部22の外面(外周面乃至外側面)からスイッチボックス210の外面の貫通孔213aの周辺部に至る連続面に粘着して、スイッチボックス210の外側においてコネクタ20の特に接続部22とスイッチボックス210とを一体化して保護する外部保護構造体を形成する。そして、第2の耐火材330も、耐火材30と同様、所定温度以上の加熱により発泡して、スイッチボックスの外側で耐火機能を発揮すると共に、通常時及び火災時において、スイッチボックス210の外側から貫通孔213aの周縁部を閉塞維持して貫通孔213aでの隙間を無くすよう機能する。
【0051】
上記のように構成した実施の形態4に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、実施の形態3と同様にして耐火中空壁5等の内部に配設することができ、実施の形態1乃至3と同様の作用及び効果を発揮する。
【0052】
実施の形態5
図13は本発明の実施の形態5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を設けた耐火中空壁の内部構造を拡大して示す断面図である。
実施の形態5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、スイッチボックス210と、取着具としてのボックス固定具を構成するボックス取付具415と、耐火材30とを備え、実施の形態3と同様の耐火中空壁内に配設される。また、スイッチボックス210を配設する部位の軽量間柱7には、固定バー410が固定されている。即ち、固定バー410は、長板状の取付部411と、取付部411の長さ方向一端に直交して一体形成された矩形板状の固定部412とを有する。固定バー410は、固定部412の長孔412aにビス413を挿通して、軽量間柱7の側面に螺入することにより、軽量間柱7の所定高さ位置に固定される。そして、この状態で、軽量間柱7の側方に延びる固定バー410の取付部411に、スイッチボックス210を取付けている。具体的には、スイッチボックス210の底壁211の内面の所定位置に前記ボックス取付部415を当接して配置し、そのボックス取付部415及び底壁211にビス413を挿通して、そのビス413を固定バー410の取付部411に螺入することにより、スイッチボックス210が取付部411の所定位置に固定される。なお、ボックス取付部415は、例えば、合成樹脂により略円盤状に形成されたものである。
【0053】
実施の形態5においては、スイッチボックス210の底壁211にボックス取付具415を固定した状態で、ボックス取付具415を所定厚で覆うための必要量または必要枚数の耐火材30を、ボックス取付具415に一体化するよう覆い被せて押し付け、ボックス取付具415の表面に付着させることにより、耐火材30が、ボックス取付具415の全体を隙間なく密着して所定厚で覆っている。また、耐火材30は、スイッチボックス210の内部空間に露出するボックス取付部415の全外面から、スイッチボックス210の底壁の内面の貫通孔213aの周辺部までの範囲を一体的に覆っている。更に、耐火材30は、ボックス取付具415の外面からスイッチボックス210の底壁211の内面の貫通孔213aの周辺部に至る連続面に粘着して、ボックス取付具415とスイッチボックス210とを一体化して保護する保護構造体を形成している。ところで、実施の形態5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造では、電線(ケーブル)41をスイッチボックス210の内部まで配線した後に、ボックス取付具415を耐火材30で覆うようにしている。
【0054】
上記のように構成した実施の形態5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造は、実施の形態3と同様にして耐火中空壁等の内部に配設することができ、耐火材の被覆対象がボックス取付具415となる点を除いて、実施の形態1乃至4と同様の作用及び効果を発揮する。
【0055】
実施の形態6
図14は本発明の実施の形態6に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で使用する耐火材の所期形態を示す斜視図である。図15は本発明の実施の形態6に係る耐火壁へのボックス類の配設構造を模式的に示す斜視図である。
実施の形態6に係る耐火壁へのボックス類の配設構造では、図14に示す耐火材シート530を使用して、上記各実施の形態で述べたような耐火材30による構造体を形成する。詳細には、耐火材30の所期形態としての耐火材シート530は、充填材531の表裏に剥離シート532を貼着した矩形シート状をなす。より詳細には、充填材531は、前記発泡性を有する粘着質可塑性材料からなる矩形シート状をなす。また、剥離シート532は、充填材531の表面及び裏面の全体をそれぞれ覆う矩形薄シート状をなし、充填材531の粘着力により充填材531の表面及び裏面にそれぞれ貼着されている。更に、充填材531及び剥離シート532にはスリット533が形成され、耐火材シート530をスリット533部分で開放できるようになっている。なお、スリット533は、耐火材シート530の一側に形成されるT字状をなしているが、耐火材シート530を開放できる限りにおいて、単なる直線状とする等、任意の形状とすることができる。更に、剥離シート532にはミシン目534が形成され、図14中に矢印で示すように、ミシン目534部分で剥離シート532と共に充填材531を切除して、補充部535として取り外せるようになっている。なお、ミシン目534は、耐火材シート530の他側縁(スリット533と反対の側縁)に平行して直線状に延びるよう形成されているが、耐火材シート530の一部を切除自在とできる限りにおいて、耐火材シート530の外周縁に沿って延びる円形とする等、任意の形状とすることができる。
【0056】
上記のように構成した耐火材シート530は、実施の形態1〜5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で耐火材30及び第2の耐火材330を構成すべく使用することができる。例えば、図15に示すように、耐火材シート530のミシン目534に沿って補充部535を切除して取り外す。一方、耐火材シート530の表面及び裏面の剥離シート532を剥して充填材531を露出すると共に、充填材531をスリット533部分で開放する。この状態で、配線ボックス10に固定したコネクタ20の突出部23及びナット25に対して、充填材531の開放状態のスリット533の基端部分に電線41を通して配置することで覆い被せ、突出部23及びナット25の全外面に沿って充填材531を押し付けて粘着させる。このとき、スリット533により、シート状の充填材531を突出部23及びナット25の外面形状に容易に追従させて塑性変形させることができ、突出部23及びナット25の全外面を満遍なく所定厚で隙間無く密に覆うことができる。また、充填材531のスリット533部分で隙間が生じた場合、前記切除済みの補充部535の両剥離シート532を剥して、その補充部535を当該隙間に丸めて押し込む等して詰め込み、補充部535により当該隙間を完全に埋める。これにより、1枚の耐火材シート530により、コネクタ20の突出部23及びナット25の全外面から配線ボックス10の側壁12の内面の貫通孔13a周辺部までを隙間無く完全に覆って、図15中に二点鎖線で示すように耐火材30を形成することができ、上記のような耐火機能及び保護構造体としての機能を発揮させることができる。このように、実施の形態6では、1枚の耐火材シート530を使用して、配線ボックス10の内部空間に露出するコネクタ20の突出部23先端の一端開口から配線ボックス20の内面の貫通孔13a周辺部までの範囲を一体的に簡単に覆うことができる。なお、耐火材シート530の一部(中央付近の部分)をコネクタ20の突出部23の先端開口から突出部23の内部に充填するといったことも可能である。また、耐火材シート530をコネクタ20の突出部23やナット25に覆い被せるときに、コネクタ20を通って配線ボックス10の内部に引き出された電線41を耐火材シート530のスリット533を介してその中央付近まで案内することができる。したがって、電線41を中心としてコネクタ20の突出部23先端の一端開口から配線ボックス10の内面の貫通孔13a周辺部までの範囲を満遍なく覆うことができ、同範囲の一部で耐火材が不足するといった事態を確実に防止することができる。加えて、コネクタ20の突出部23等を覆ったときに、スリット533周辺等の部分で隙間が発生した場合でも、補充部535をミシン目534で切除して予め用意しておくことにより、補充部535によりその隙間を容易に充填することができる。また、補充部535は、コネクタ20の突出部23の先端開口から突出部23の内部に充填することも可能である。
【0057】
なお、実施の形態6に係る耐火壁へのボックス類の配設構造では、耐火材シートは、配線ボックス10等の内部空間に突出して露出したコネクタ20等の突出部23(若しくはナット25)等の全体を一体的に覆える大きさ、または、配線ボックス10等の内部空間に露出するコネクタ20の突出部23等の先端の一端開口から配線ボックス10等の内面の貫通孔13a周辺部までの範囲を一体的に覆える大きさの平板状で、中央付近まで延びるスリットを形成したものであれば、上記以外の任意の構成とすることができる。また、耐火材シートは、発泡性を有する粘着質可塑性材料乃至柔軟材料として、作業者の手指等の押圧により簡単にコネクタ20の突出部23等の形状に追従して容易に変形させることができるようにすることが好ましいが、コネクタ20の突出部23等の全体を覆える限りにおいて、それ以外の耐火材料により形成することも可能である。更に、耐火材シートのスリットは、電線を中央付近に案内または導入するための手段として使用する以外に、コネクタ20等を耐火材シートにより覆う場合にその中央付近に存在する可能性のあるその他の線材等を案内すべく使用することも可能である。また、耐火材シートの補充部は、スリットと異なる位置に切除自在に一体的に連結する限りにおいて、ミシン目を設けることなく切除するようにする等、任意の態様で設けることができる。
【0058】
ところで、本発明に係る耐火壁へのボックス類の配設構造では、実施の形態1若しくは実施の形態2の配線ボックス10の開口10aに、金属製の塗代カバーを装着して開口を覆うようにしてもよい。また、実施の形態5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造では、電線(ケーブル)41をスイッチボックス210の内部まで配線した後に、ボックス取付具415を耐火材30で覆うようにしているが、本発明は、取着具としてのボックス固定具を耐火材で覆う場合、電線をボックス類の内部に配線する前に、ボックス類の内部のボックス固定具の露出部を耐火材で覆うようにしてもよい。更に、本発明を適用する耐火壁は、耐火壁(狭義の耐火壁)以外に、耐火天井壁(例えば、耐火二重天井壁等の耐火中空天井壁)や耐火床壁(例えば、耐火中空床壁)に適用することもできる。また、軽量間仕切壁等の中空壁以外にも、二重天井等の耐火中空天井や耐火中空床に好適に使用することができる。或いは、鉄筋コンクリート壁や鉄筋コンクリートスラブ(天井、床)にも適用することも可能である。更にまた、本発明を適用する耐火壁は、少なくとも厚さ方向一側で耐火機能を発揮するものであればよく、例えば、耐火壁の場合、厚さ方向一側の壁板材のみ強化石膏ボード等の耐火壁板材とし、他側の壁板材は非耐火壁板材とすることもできる。
【0059】
また、本発明に係る耐火壁へのボックス類の配設構造では、実施の形態1のように、ボックス類に取着具として電線管接続具を取着する場合、電線管及び電線が構成要素となるが、それ以外の場合、例えば、ボックス固定具の場合、電線管等は必須構成要素ではない。また、本発明に係る耐火壁へのボックス類の配設構造では、取着具として電線管接続具及びボックス固定具を例示したが、本発明は、これ以外の取着具を使用する場合に適用することもできる。また、電線管接続具の一例としてのコネクタとしては、上記のように、ナット締付タイプのものやワンタッチ式挿着タイプのもの以外に、任意のコネクタを使用することができる。即ち、本発明は、コネクタ等の一部をボックス類の貫通孔を通して内部に突出及び露出させた状態で、ボックス類の側壁等の貫通孔周縁に係止保持する任意のコネクタ等に適用することができる。特に、ボックス類の貫通孔周縁部を挟持することでコネクタ等をボックス類に係止保持する場合、上記のように、耐火材によるコネクタ等のボックス類への一体化(保護構造体機能)が有効となる。また、本発明において、耐火材により形成される保護構造体は、一般に軽量の電線管接続具(コネクタ)等の支持構造を保護して支持関係を補助できる程度の保護構造体であればよく、よって、耐火材は、上記のような難燃ゴム材料等を主材とする発泡材料から構成することができる。更に、実施の形態6に係る耐火材シートは、実施の形態1乃至5に係る耐火壁へのボックス類の配設構造で好適に使用することができ、上記特有の作用及び効果を発揮するが、無論、金属製ボックス類以外のボックス類や、その他の耐火構造に使用することもできる。
【符号の説明】
【0060】
5:耐火中空壁(壁)
10:配線ボックス(ボックス類)、13a:貫通孔(取着孔)
20:コネクタ(取着具、電線管接続具)、23:突出部、30:耐火材
40:電線管、41:電線
120:コネクタ(取着具、電線管接続具)、123:突出部
210:スイッチボックス(ボックス類)、213a:貫通孔(取着孔)
215:塗代カバー、330:第2の耐火材
530:耐火材シート、533:スリット、535:補充部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁の内部に配設されて、室内側に対面する位置に開口を配置すると共に、壁の内部に対応する位置に貫通孔を配置する金属製のボックス類と、
前記ボックス類の貫通孔に挿通され、その一部を前記ボックス類の内部空間に露出した状態で前記ボックス類に係止して取着される合成樹脂製の取着具と、
前記ボックス類の内部空間における前記取着具の露出部の全体を覆う耐火材と
を備えることを特徴とする耐火壁へのボックス類の配設構造。
【請求項2】
壁の内部に配設されて、室内側に対面する位置に開口を配置すると共に、壁の内部に対応する位置に取着孔を配置する金属製のボックス類と、
前記ボックス類の取着孔に挿通される突出部を有し、前記突出部を前記ボックス類の内部空間に突出して露出した状態で前記ボックス類の取着孔に係止することにより前記ボックス類に保持されると共に、前記突出部先端の一端開口を前記ボックス類の内部に配置する合成樹脂製の筒状の電線管接続具と、
前記壁の内部に配管され、前記ボックス類の外側において前記電線管接続具の他端開口に接続される合成樹脂製の電線管と、
前記電線管に挿通され、前記電線管接続具の他端開口から前記電線管接続具を通って前記ボックス類の内部に引き出される電線と、
前記ボックス類の内部空間に露出する前記電線管接続具の突出部先端の一端開口から前記ボックス類の内面の前記取着孔周辺部までの範囲を一体的に覆う耐火材と
を備えることを特徴とする耐火壁へのボックス類の配設構造。
【請求項3】
前記耐火材は、粘着質可塑性材料からなり、前記電線管接続具の他端開口からその内部にも密に充填され、前記電線管接続具と前記ボックス類とを一体化する前記保護構造体に連続する保護構造体を形成し、前記電線管接続具の内部から外部における前記ボックス類の内面の取着孔周辺部まで、前記電線管接続具と前記ボックス類とを内外で連続的に一体化して、前記ボックス類に対する前記電線管接続具の支持構造を補助することを特徴とする請求項2記載の耐火壁へのボックス類の配設構造。
【請求項4】
前記耐火材は、前記電線管接続具の突出部の内部空間のみならず、前記電線管接続具において前記ボックス類の外側に位置する部分の内部空間まで密に充填され、前記電線管接続具の外側の保護構造体に一体化した前記突出部内部の保護構造体が、前記ボックス類の外側まで延長されるようにしたことを特徴とする請求項3記載の耐火壁へのボックス類の配設構造。
【請求項5】
前記ボックス類の開口に金属製の塗代カバーを装着し、前記耐火材を発泡性粘着質可塑性材料から構成し、前記ボックス類の幅全体に広がるよう展延して、前記塗代カバーの内面に当接させた状態で前記取着具の露出部または前記電線管接続具の突出部を覆うようにしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の耐火壁へのボックス類の配設構造。
【請求項6】
更に、前記取着具または前記電線管接続具において前記ボックス類の外側に配置される外側部から、前記ボックス類の外面の前記貫通孔または前記取着孔の周辺部までの範囲を一体的に覆うと共に、前記取着具または前記電線管接続具の外側部の外面から前記ボックス類の外面の前記貫通孔または前記取着孔の周辺部に至る連続面に粘着して、前記ボックス類の外側において前記取着具または前記電線管接続具と前記ボックス類とを一体化する外部保護構造体を形成する粘着質可塑性材料からなる第2の耐火材を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の耐火壁へのボックス類の配設構造。
【請求項7】
前記耐火材は、平板状の耐火材シートであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の耐火壁へのボックス類の配設構造。
【請求項8】
ボックス類に挿通されてボックス類の内部に突出する突出部を有する電線管接続具の前記突出部を覆うようにした耐火材シートであって、
ボックス類の内部空間に突出して露出した電線管接続具の突出部の全体を一体的に覆える大きさの平板状に形成された耐火材料からなることを特徴とする耐火材シート。
【請求項1】
壁の内部に配設されて、室内側に対面する位置に開口を配置すると共に、壁の内部に対応する位置に貫通孔を配置する金属製のボックス類と、
前記ボックス類の貫通孔に挿通され、その一部を前記ボックス類の内部空間に露出した状態で前記ボックス類に係止して取着される合成樹脂製の取着具と、
前記ボックス類の内部空間における前記取着具の露出部の全体を覆う耐火材と
を備えることを特徴とする耐火壁へのボックス類の配設構造。
【請求項2】
壁の内部に配設されて、室内側に対面する位置に開口を配置すると共に、壁の内部に対応する位置に取着孔を配置する金属製のボックス類と、
前記ボックス類の取着孔に挿通される突出部を有し、前記突出部を前記ボックス類の内部空間に突出して露出した状態で前記ボックス類の取着孔に係止することにより前記ボックス類に保持されると共に、前記突出部先端の一端開口を前記ボックス類の内部に配置する合成樹脂製の筒状の電線管接続具と、
前記壁の内部に配管され、前記ボックス類の外側において前記電線管接続具の他端開口に接続される合成樹脂製の電線管と、
前記電線管に挿通され、前記電線管接続具の他端開口から前記電線管接続具を通って前記ボックス類の内部に引き出される電線と、
前記ボックス類の内部空間に露出する前記電線管接続具の突出部先端の一端開口から前記ボックス類の内面の前記取着孔周辺部までの範囲を一体的に覆う耐火材と
を備えることを特徴とする耐火壁へのボックス類の配設構造。
【請求項3】
前記耐火材は、粘着質可塑性材料からなり、前記電線管接続具の他端開口からその内部にも密に充填され、前記電線管接続具と前記ボックス類とを一体化する前記保護構造体に連続する保護構造体を形成し、前記電線管接続具の内部から外部における前記ボックス類の内面の取着孔周辺部まで、前記電線管接続具と前記ボックス類とを内外で連続的に一体化して、前記ボックス類に対する前記電線管接続具の支持構造を補助することを特徴とする請求項2記載の耐火壁へのボックス類の配設構造。
【請求項4】
前記耐火材は、前記電線管接続具の突出部の内部空間のみならず、前記電線管接続具において前記ボックス類の外側に位置する部分の内部空間まで密に充填され、前記電線管接続具の外側の保護構造体に一体化した前記突出部内部の保護構造体が、前記ボックス類の外側まで延長されるようにしたことを特徴とする請求項3記載の耐火壁へのボックス類の配設構造。
【請求項5】
前記ボックス類の開口に金属製の塗代カバーを装着し、前記耐火材を発泡性粘着質可塑性材料から構成し、前記ボックス類の幅全体に広がるよう展延して、前記塗代カバーの内面に当接させた状態で前記取着具の露出部または前記電線管接続具の突出部を覆うようにしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の耐火壁へのボックス類の配設構造。
【請求項6】
更に、前記取着具または前記電線管接続具において前記ボックス類の外側に配置される外側部から、前記ボックス類の外面の前記貫通孔または前記取着孔の周辺部までの範囲を一体的に覆うと共に、前記取着具または前記電線管接続具の外側部の外面から前記ボックス類の外面の前記貫通孔または前記取着孔の周辺部に至る連続面に粘着して、前記ボックス類の外側において前記取着具または前記電線管接続具と前記ボックス類とを一体化する外部保護構造体を形成する粘着質可塑性材料からなる第2の耐火材を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の耐火壁へのボックス類の配設構造。
【請求項7】
前記耐火材は、平板状の耐火材シートであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の耐火壁へのボックス類の配設構造。
【請求項8】
ボックス類に挿通されてボックス類の内部に突出する突出部を有する電線管接続具の前記突出部を覆うようにした耐火材シートであって、
ボックス類の内部空間に突出して露出した電線管接続具の突出部の全体を一体的に覆える大きさの平板状に形成された耐火材料からなることを特徴とする耐火材シート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−75310(P2012−75310A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237874(P2011−237874)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【分割の表示】特願2009−250033(P2009−250033)の分割
【原出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【分割の表示】特願2009−250033(P2009−250033)の分割
【原出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
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