説明

耐熱絶縁層付セパレータ

【課題】リチウムイオン二次電池等の電気デバイスに用いられるセパレータにおいて、シャットダウン機能を確保しつつ、熱収縮の抑制効果をより一層向上させうる手段を提供することを目的とする。
【解決手段】樹脂多孔質基体層と、前記樹脂多孔質基体層の片面または両面に形成された無機粒子およびバインダを含む耐熱絶縁層と、を備える耐熱絶縁層付セパレータであって、前記樹脂多孔質基体層が、溶融温度が120〜200℃である樹脂を含み、耐熱絶縁層目付/樹脂多孔質基体層目付が0.5以上であることを特徴とする耐熱絶縁層付セパレータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱絶縁層付セパレータに関する。より詳しくは、本発明は、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタなどの電気デバイスに好適に用いられうる耐熱絶縁層付セパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッド自動車(HEV)、電気自動車(EV)、および燃料電池自動車の研究開発が進められており、その一部はすでに製造販売されている。これらの自動車は、電動車両とも呼ばれ、環境配慮への高まりやその燃費の高さから注目されている。電動車両では、充電および放電をすることができる電源装置が不可欠である。当該電源装置としては、リチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等の二次電池、または電気二重層キャパシタを含む電気デバイスが利用されている。特に、リチウムイオン二次電池については、そのエネルギー密度の高さおよび繰り返し充放電に対する耐久性の高さから、電動車両に好適に用いられている。
【0003】
例えば、リチウムイオン二次電池は、正極と負極とが電解質層を介して接続され、電池ケースに収納される構成を有している。電解質層は、電解液が保持されたセパレータから構成されうる。セパレータは、電解液を保持して正極と負極との間のリチウムイオン伝導性を確保する機能および隔壁としての機能を併せ持つことが求められる。このようなセパレータとして、通常、電気絶縁性材料から構成される微多孔膜が用いられる。
【0004】
従来、充放電反応中に電池が高温となった場合に充放電反応を停止する、シャットダウン機能を有するセパレータが開発されてきた。シャットダウン機能は、電極間のリチウムイオンの移動を遮断するものである。具体的には、電池が高温に達するとセパレータを構成する樹脂が溶融し、孔を塞ぐことによってシャットダウンがなされる。したがって、シャットダウン機能を有するセパレータの材料としては、通常、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などの熱可塑性樹脂が使用される。
【0005】
一方で、このような熱可塑性樹脂からなるセパレータは、その材質の柔軟性から機械的強度に問題があることが知られている。特に、高温条件下においては、セパレータが熱収縮し、セパレータを介して対向している正極と負極とが接触するなどして内部短絡が生じうる。よって、電池作製時の熱処理や、充放電反応時の反応熱などによる熱収縮を抑制するための技術が開発されている。
【0006】
例えば、特許文献1では、PE等の基体の少なくとも一方の面に、酸化アルミニウム等の無機粒子を含む表面保護層を形成してなる多孔質膜(セパレータ)が開示されている。さらに、当該文献の実施例には、当該セパレータを加熱処理した後の収縮率が小さいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−80395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されたセパレータは主に電子機器等を対象としたものであり、電動車両用のリチウムイオン二次電池に適用しようとすると、熱収縮の抑制効果が十分に得られないことが判明した。
【0009】
すなわち、リチウムイオン二次電池を電動車両に適用するためには、リチウムイオン二次電池を高出力化および高容量化させる必要がある。高出力化および高容量化を達成する方法としては、例えば、大型のリチウムイオン二次電池を用いることが挙げられる。リチウムイオン二次電池の大きさが大きくなると、セパレータもこれに伴い大きくなる。その結果、電池作製時の熱処理や、充放電反応時の反応熱によって生じる温度上昇の際に、セパレータの内部応力がより大きくなるため、セパレータがより熱収縮しやすくなる。よって、熱収縮の抑制効果をより向上させたセパレータの開発が望まれていた。
【0010】
そこで本発明は、シャットダウン機能を確保しつつ、熱収縮の抑制効果をより一層向上させうるセパレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、シャットダウン機能を有する樹脂基体に対する、無機粒子を含む層(耐熱絶縁層)の目付量を所定の値とすることにより、熱収縮性が著しく改善されることを見出した。すなわち、本発明は、樹脂多孔質基体層と、樹脂多孔質基体層の片面または両面に形成された無機粒子およびバインダを含む耐熱絶縁層(セラミック層)と、を備える耐熱絶縁層付セパレータに関する。そして、樹脂多孔質基体層が、溶融温度が120〜200℃である樹脂を含み、かつ、当該耐熱絶縁層付セパレータは、耐熱絶縁層と樹脂多孔質基体層との目付の比(耐熱絶縁層目付/樹脂多孔質基体層目付)の値が0.5以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、シャットダウン機能を確保しつつ、熱収縮が抑制された安全性の高いセパレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る耐熱絶縁層付セパレータを模式的に表した断面概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る双極型でない積層型のリチウムイオン二次電池の全体構造を模式的に表した断面概略図である。
【図3】実施例1〜17の耐熱絶縁層付セパレータにおいて、耐熱絶縁層目付/樹脂多孔質基体層目付と、熱収縮率との関係を表したグラフである。
【図4】実施例18〜27の耐熱絶縁層付セパレータにおいて、バインダの添加量と、剥離強度との関係を表したグラフである。
【図5】実施例18〜27の耐熱絶縁層付セパレータにおいて、剥離強度と、熱収縮率との関係を表したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態は、樹脂多孔質基体層と、樹脂多孔質基体層の片面または両面に形成された無機粒子およびバインダを含む耐熱絶縁層(セラミック層)と、を備える耐熱絶縁層付セパレータに関する。この際、当該耐熱絶縁層付セパレータは、樹脂多孔質基体層が、溶融温度が120〜200℃である樹脂を含み、かつ、耐熱絶縁層目付/樹脂多孔質基体層目付の比の値(以下、単に「目付比」とも称する)が0.5以上であることを特徴とする。
【0015】
以下、図面を参照しながら、本実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみに制限されない。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0016】
[耐熱絶縁層付セパレータ]
図1に、本発明の一実施形態に係る耐熱絶縁層付セパレータを模式的に表した断面概略図を示す。図1によると、本形態の耐熱絶縁層付セパレータ1は、ポリエチレン(溶融温度:130℃)からなる樹脂多孔質基体層3の上面および下面に、それぞれ耐熱絶縁層5aおよび5bが形成されてなる。樹脂多孔質基体層3は、空隙率65%の微多孔膜である。一方、耐熱絶縁層5aおよび5bには、アルミナからなる無機粒子7aおよび7b、並びにカルボキシメチルセルロースからなるバインダ9aおよび9bがそれぞれ含まれる。無機粒子は、バインダを介して樹脂多孔質基体層3や隣接する無機粒子と結合されている。図1に示すように、樹脂多孔質基体層3に空隙が存在し、無機粒子間に隙間が存在することにより、耐熱絶縁層付セパレータ1は、全体としてイオン伝導性を有するセパレータとして機能する。
【0017】
図1の耐熱絶縁層付セパレータ1において、樹脂多孔質基体層3の目付に対する耐熱絶縁層5aおよび5bの目付(両層の合計値として算出される)の目付比の値は3.06である。この際、目付とは1m当たりの重量(g)を意味し、目付の単位は[g/m]である。よって、耐熱絶縁層目付の値を樹脂多孔質基体層目付の値で除した目付比は単位を有さない。
【0018】
図1の耐熱絶縁層付セパレータ1は、シャットダウン機能を確保しつつも、目付比が所定の値を有することにより、従来のセパレータよりも熱収縮の抑制効果が著しく向上する。
【0019】
以下、本実施形態の耐熱絶縁層付セパレータの各構成について、詳細に説明する。
【0020】
[樹脂多孔質基体層]
樹脂多孔質基体層は、耐熱絶縁層付セパレータにシャットダウン機能を付与するものである。樹脂多孔質基体層は、溶融温度が120〜200℃である樹脂を含む。
【0021】
樹脂多孔質基体層の材料は、上記範囲の溶融温度を有するものであれば特に限定されない。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、またはモノマー単位としてエチレンおよびプロピレンを共重合して得られる共重合体(エチレン−プロピレン共重合体)が挙げられる。また、エチレンまたはプロピレンとエチレンおよびプロピレン以外の他のモノマーとを共重合してなる共重合体であってもよい。さらに、溶融温度が120〜200℃である樹脂を含む限りにおいて、溶融温度が200℃を超える樹脂または熱硬化性樹脂を含んでいてもよい。例えば、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリフッ化ビニリデン(PFDV)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(UF)、アルキド樹脂、ポリウレタン(PUR)が挙げられる。この際、樹脂多孔質基体層全体における溶融温度が120〜200℃である樹脂の割合が好ましくは50質量%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは100%である。また、上述の材料を積層して樹脂多孔質基体層を形成してもよい。例えば、積層した形態の例としては、PP/PE/PPの3層構造の樹脂多孔質基体層が挙げられる。前記樹脂多孔質基体層によれば、電池温度がPEの融点である130℃に達した場合にシャットダウンが起こる。そして、万が一、シャットダウンの後も電池温度が上昇し続けた場合であっても、PPの融点である170℃に達するまではメルトダウンが起こらないので、全面短絡にまで達するのを防ぐことができる。
【0022】
樹脂多孔質基体層の形状としては、特に限定されず、織布、不織布、または微多孔膜からなる群から選択される少なくとも1種でありうる。ここで、樹脂多孔質基体層が、高いイオン伝導性を確保するためには、樹脂多孔質基体層の形状は高多孔構造であることが好ましい。よって、電池性能の向上の観点から、樹脂多孔質基体層の形状は微多孔膜であることが好ましい。また、樹脂多孔質基体層の空隙率は、40〜85%であることが好ましい。空隙率が40%以上の場合、十分なイオン伝導性が得られうる。一方、空隙率が85%以下の場合、樹脂多孔質基体層の強度を維持しうる。
【0023】
上述の樹脂多孔質基体層は、公知の方法で製造されうる。例えば、微多孔膜を製造する延伸開孔法および相分離法、並びに不織布を製造する電界紡糸法等が挙げられる。
【0024】
[耐熱絶縁層]
耐熱絶縁層は、無機粒子およびバインダを含むセラミック層である。耐熱絶縁層を有することによって、温度上昇の際に増大するセパレータの内部応力が緩和されるため熱収縮抑制効果が得られうる。また、耐熱絶縁層を有することによって、耐熱絶縁層付セパレータの機械的強度が向上し、セパレータの破膜が起こりにくい。さらに、熱収縮抑制効果および機械的強度の高さから、電気デバイスの製造工程でセパレータがカールしにくくなる。
【0025】
(無機粒子)
無機粒子は、耐熱絶縁層の構成要素であり、耐熱絶縁層に機械的強度および熱収縮抑制効果を付与する。
【0026】
無機粒子としては、特に限定されず、公知のものが用いられうる。例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタンの酸化物、水酸化物、および窒化物、並びにこれらの複合体が挙げられる。例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、またはチタンの酸化物は、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、またはチタニア(TiO)でありうる。これらの無機粒子は単独で、または2種以上を組み合わせて用いられうる。これらのうち、コストの観点から、シリカまたはアルミナを用いることが好ましい。
【0027】
無機粒子はそれぞれ固有の密度を有する。例えば、ジルコニアの密度は約5.7g/cmであり、アルミナの密度は約4.0g/cmであり、チタニアの密度は約3.9〜4.3g/cmであり、シリカの密度は約2.2g/cmである。用いられる無機粒子の種類によって必要とする無機粒子の量は異なり、一定重量で比較すると無機粒子の密度が高いほど優れた熱収縮抑制効果を示す傾向にある。よって、他の一実施形態において、無機粒子は、好ましくはジルコニアである。なお、無機粒子の粒子径については、特に制限されず、適宜調節されうる。
【0028】
(バインダ)
バインダは、耐熱絶縁層の構成要素であり、隣接する無機粒子どうし、および無機粒子と樹脂多孔質基体層とを接着する機能を有する。当該バインダによって、耐熱絶縁層が安定に形成され、樹脂多孔質基体層および耐熱絶縁層の間の剥離強度が向上する。
【0029】
バインダとしては、特に限定されず、公知のものが用いられうる。例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリロニトリル、セルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、アクリル酸メチルが挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いられうる。これらのバインダのうち、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アクリル酸メチル、およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)が好ましい。
【0030】
バインダは、無機粒子間の接着および樹脂多孔質基体層と耐熱絶縁層との接着に寄与している。よって、バインダは耐熱絶縁層の構成要素として必須である。バインダの添加量は、耐熱絶縁層100質量%に対して2〜20質量%であることが好ましい。バインダの添加量が2質量%以上の場合、耐熱絶縁層付セパレータの剥離強度が高くなり、耐振動性が向上しうる。一方、バインダの添加量が20質量%以下の場合、接着性が適度に保たれ、イオン伝導性を阻害する可能性が低減されうる。
【0031】
耐熱絶縁層付セパレータは、正負極間の電子の伝導を絶縁する役割を有している。電池性能の向上の観点から、セパレータの総膜厚は薄いことが好ましい。具体的には、セパレータの総膜厚は10〜50μmであることが好ましく、15〜30μmであることがさらに好ましい。総膜厚が10μm以上の場合、セパレータの強度が確保されうる。一方、総膜厚が50μm以下の場合、コンパクトな電池が形成されうる。
【0032】
本形態の耐熱絶縁層付セパレータは、耐熱絶縁層目付/樹脂多孔質基体層目付の比が所定の範囲内であることを特徴の1つとしている。具体的には、当該目付比は、0.5以上であることを必須とし、好ましくは0.8以上であり、より好ましくは1.3以上である。目付比が上記範囲内であると、温度上昇の際に増大する樹脂多孔質基体層の内部応力が、耐熱絶縁層により十分に緩和されるため、セパレータの熱収縮が効果的に抑制されうる。一方、目付比の上限は特に制限は無いが、耐熱絶縁層付セパレータ全体の重量を勘案すると、目付比は2.0以下であることが好ましい。目付比が2.0以下の場合には、目付比が大きくなるにしたがってセパレータの熱収縮の抑制効果も増大するが、目付比が2.0を超えると、それ以上目付比を大きくしても熱収縮の抑制効果はほとんど増大しなくなるためである。
【0033】
電動車両にリチウムイオン二次電池を適用するためには、高出力化および高容量化する必要がある。これに伴いリチウムイオン二次電池自体も大型化および/または積層され、電池自体の重量が増大し、この結果として電動車両全体の重量が増大しうる。しかしながら、上述の耐熱絶縁層の重量を低減した耐熱絶縁層付セパレータによれば、軽量化された電動車両を提供することが可能となる。
【0034】
本形態の耐熱絶縁層付セパレータは、熱収縮抑制効果に優れており、熱収縮率によって評価されうる。耐熱絶縁層付セパレータの用途によっても異なるが、本形態の耐熱絶縁層付セパレータは、熱収縮率が35%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。なお、熱収縮率の測定については、実施例に記載の方法を採用するものとする。
【0035】
また、耐熱絶縁層付セパレータにおいて、樹脂多孔質基体層と耐熱絶縁層との剥離強度が高いことが好ましい。具体的には、剥離強度は0.1mN/mm以上であることが好ましく、2.0mN/mm以上であることがより好ましい。剥離強度を高めることによって、耐熱絶縁層付セパレータの耐振動性が向上するため、剥離強度を0.1mN/mm以上とすることにより電動車両用の電気デバイス等に好適に使用することができる。また、剥離強度を高めることにより、耐熱絶縁層の応力緩和作用を樹脂多孔質基体層に効果的に伝えることができるので、セパレータの熱収縮をより一層抑制することができる。言い換えると、剥離強度を高めることによって、所望の熱収縮抑制効果を発揮させるために必要な耐熱絶縁層の目付量を低減することができるため、耐熱絶縁層付セパレータの重量を抑えることが可能となる。一方、剥離強度の上限は特に制限は無いが、バインダの添加量を過度に多くしないためには、剥離強度は10mN/mm以下であることが好ましい。なお、剥離強度の測定については、実施例に記載の方法を採用するものとする。
【0036】
耐熱絶縁層付セパレータは、溶融温度および目付比が所定の値を満たすものであれば、特に制限はなく、公知の製造方法により製造される。この際、耐熱絶縁層は、樹脂多孔質基体層の片面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよい。両面に耐熱絶縁層を形成する場合には、両面に形成された耐熱絶縁層の目付の和を耐熱絶縁層目付として、目付比を0.5以上に設定すればよい。なお、樹脂多孔質基体層と耐熱絶縁層との間にその他の層が介在していてもよく、所望の熱収縮抑制効果が得られる限りにおいてかような形態もまた、本発明の技術的範囲に包含される。このような第3の層を含む場合、上記総膜厚は当該第3の層を含んだ厚さである。
【0037】
具体的な製造方法としては、例えば、樹脂多孔質基体層に、無機粒子およびバインダが溶剤に分散された溶液を塗工し、前記溶剤を除去することにより、耐熱絶縁層付セパレータが製造されうる。
【0038】
この際用いられる溶剤としては、特に制限されないが、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミド、シクロヘキサン、ヘキサン、水等が用いられる。バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を採用する場合には、NMPを溶媒として用いることが好ましい。溶剤を除去する温度は、特に制限はなく、用いられる溶剤によって適宜設定されうる。例えば、水を溶剤として用いた場合には、50〜70℃であり、NMPを溶剤として用いた場合には、70〜90℃でありうる。必要により減圧下で溶剤の除去を行ってもよい。また、溶剤を完全に除去せずに、一部残存させてもよい。
【0039】
なお、目付比は、用いる樹脂多孔質基体層および耐熱絶縁層の材料によって異なる値を示し、樹脂多孔質基体層の空隙率、無機粒子の密度および粒子径、耐熱絶縁層付セパレータの総膜厚、およびバインダの添加量等によって影響を受けうる。耐熱絶縁層付セパレータを製造する際には、上述の要因が考慮されうる。
【0040】
[電気デバイス(リチウムイオン二次電池)]
耐熱絶縁層付セパレータは、目付比が所定の値を有することにより、シャットダウン機能を確保しつつも、熱収縮を抑制する。好ましい一実施形態においては、耐熱絶縁層付セパレータは可能な限り重量を低減されたものでありうる。また、他の好ましい一実施形態においては、耐熱絶縁層付セパレータは耐振動性を備えたセパレータでありうる。このような性質を有することから、耐熱絶縁層付セパレータはリチウムイオン二次電池に好適に用いられうる。また、ニッケル水素二次電池等の他の二次電池、および電気二重層キャパシタを含む電気デバイスに用いてもよい。
【0041】
図2は、本発明の一実施形態に係る双極型でない積層型のリチウムイオン二次電池の全体構造を模式的に表した断面概略図である。
【0042】
図2に示すように、本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素17が、電池外装材であるラミネートフィルム22の内部に封止された構造を有する。詳しくは、高分子−金属複合ラミネートフィルムを電池外装材として用いて、その周辺部の全部を熱融着にて接合することにより、発電要素17を収納し密封した構成を有している。
【0043】
発電要素17は、負極集電体11の両面(発電要素の最下層用および最上層用は片面のみ)に負極活物質層12が配置された負極と、電解質層13と、正極集電体14の両面に正極活物質層15が配置された正極とを積層した構成を有している。具体的には、1つの負極活物質層12とこれに隣接する正極活物質層15とが、電解質層13を介して対向するようにして、負極、電解質層13、正極がこの順に積層されている。
【0044】
これにより、隣接する負極、電解質層13および正極は、1つの単電池層16を構成する。したがって、本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、単電池層16が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。また、単電池層16の外周には、隣接する負極集電体11と正極集電体14との間を絶縁するためのシール部(絶縁層)(図示せず)が設けられていてもよい。発電要素17の両最外層に位置する最外層負極集電体11aには、いずれも片面のみに負極活物質層12が配置されている。なお、図1とは負極および正極の配置を逆にすることで、発電要素17の両最外層に最外層正極集電体が位置するようにし、該最外層正極集電体の片面のみに正極活物質層が配置されているようにしてもよい。
【0045】
負極集電体11および正極集電体14には、各電極(負極および正極)と導通される負極集電板18および正極集電板19がそれぞれ取り付けられ、ラミネートフィルム22の端部に挟まれるようにラミネートフィルム22の外部に導出される構造を有している。負極集電板18および正極集電板19は、必要に応じて負極端子リード20および正極端子リード21を介して、各電極の負極集電体11および正極集電体14に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられていてもよい(図1にはこの形態を示す)。ただし、負極集電体11が延長されて負極集電板18とされ、ラミネートフィルム22から導出されていてもよい。同様に、正極集電体14が延長されて正極集電板19とされ、同様に電池外装材22から導出される構造としてもよい。
【0046】
図2において、耐熱絶縁層付セパレータは、電解液とともに電解質層13を構成する。図2に示される積層型のリチウムイオン二次電池は、耐熱絶縁層付セパレータを用いることにより、シャットダウン機能を確保しつつも熱収縮を抑制する、安全性の高いリチウムイオン二次電池でありうる。耐熱絶縁層付セパレータが、好適な剥離強度を有する場合には、耐振動性を備えたリチウムイオン二次電池でありうる。
【実施例】
【0047】
(実施例1)
ポリエチレン(PE)微多孔膜(膜厚:10μm、空隙率:65%)の両面に、アルミナ(Al)粒子95質量%およびカルボキシメチルセルロース(CMC)5質量%を水に均一に分散させた水溶液を、グラビアコーターを用いて塗工した。次に、60℃で水を除去することにより、PE微多孔膜の両面にそれぞれ膜厚7.0μmの耐熱絶縁層が形成された、総膜厚24μmの耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0048】
(実施例2)
PE微多孔膜として膜厚:12.5μmのものを、無機粒子としてチタニア(TiO)粒子を用いてPE微多孔膜の両面にそれぞれ6.0μmの耐熱絶縁層を形成し、総膜厚24.5μmとしたことを除いては、実施例1と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0049】
(実施例3)
無機粒子としてアルミナ粒子を用いたことを除いては、実施例2と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0050】
(実施例4)
無機粒子として水酸化マグネシウム(Mg(OH))粒子を用いたことを除いては、実施例2と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0051】
(実施例5)
無機粒子として水酸化アルミニウム(Al(OH))粒子を用いたことを除いては、実施例2と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0052】
(実施例6)
樹脂多孔質基体としてPE微多孔膜(膜厚:14μm、空隙率:60%)を用いてPE微多孔膜の両面にそれぞれ5.5μmの耐熱絶縁層を形成し、総膜厚を25μmとしたことを除いては、実施例1と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0053】
(実施例7)
PE微多孔膜として空隙率55%のものを用いたことを除いては、実施例6と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0054】
(実施例8)
PE微多孔膜として膜厚:16μmのものを、無機粒子としてジルコニア(ZrO)粒子を用いて、PE微多孔膜の両面にそれぞれ5.5μmの耐熱絶縁層を形成したことを除いては、実施例7と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0055】
(実施例9)
樹脂多孔質基体としてポリプロピレン(PP)微多孔膜(膜厚:14μm、空隙率:55%)を用いたことを除いては、実施例7と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0056】
(実施例10)
無機粒子としてシリカ(SiO)粒子を用いたことを除いては、実施例7と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0057】
(実施例11)
無機粒子としてチタニア粒子を用いたことを除いては、実施例7と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0058】
(実施例12)
無機粒子として水酸化マグネシウム粒子を用いたことを除いては、実施例8と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0059】
(実施例13)
無機粒子としてアルミナ粒子を用いたことを除いては、実施例8と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0060】
(実施例14)
PE微多孔膜として膜厚:15μmのものを用いて、PE微多孔膜の両面にそれぞれ5.0μmの耐熱絶縁層を形成したことを除いては、実施例7と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0061】
(実施例15)
PE微多孔膜として膜厚:16μmのものを、無機粒子として酸化亜鉛(ZnO)粒子を用い、PE微多孔膜の両面にそれぞれ4.0μmの耐熱絶縁層を形成し、総膜厚を24μmとしたことを除いては、実施例7と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0062】
(実施例16)
PE微多孔膜として膜厚:18mmのものを用いて、PE微多孔膜の両面にそれぞれ4.0μmの耐熱絶縁層を形成し、総膜厚を26μmとしたことを除いては、実施例7と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0063】
(実施例17)
無機粒子として酸化亜鉛を用いて、PE微多孔膜の両面にそれぞれ3.5μmの耐熱絶縁層を形成し、総膜厚を25μmとしたことを除いては、実施例15と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0064】
(比較例1)
樹脂多孔質基体としてポリエチレンテレフタラート(PET)不織布(膜厚:20mm、空隙率:85%)を用いて、総膜厚を34μmとしたことを除いては、実施例1と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0065】
(比較例2)
樹脂多孔質基体としてポリフッ化ビニリデン(PVFD)微多孔(膜厚:15mm、空隙率:55%)を用いたことを除いては、実施例14と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0066】
(比較例3)
PE微多孔膜として膜厚17mmのものを用いて、PE微多孔膜の両面にそれぞれ4.5μmの耐熱絶縁層を形成し、総膜厚を26μmとしたことを除いては、実施例15と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0067】
(比較例4)
PP微多孔膜(膜厚:25mm、空隙率:55%)のみからなる総膜厚25μmのセパレータを作製した。
【0068】
(比較例5)
PE微多孔膜(膜厚:25mm、空隙率:55%)のみからなる総膜厚25μmのセパレータを作製した。
【0069】
(実施例18)
実施例7の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0070】
(実施例19)
PE微多孔膜(膜厚:15μm、空隙率:55%)の両面に、アルミナ粒子95質量%およびアクリル酸メチル5質量%をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に均一に分散させた溶液を、それぞれグラビアコーターを用いて塗工した。次に、80℃でNMPを除去することにより、PE微多孔膜の両面にそれぞれ5.0μmの耐熱絶縁層が形成された、総膜厚25μmの耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0071】
(実施例20)
バインダとしてPVFDを用いたことを除いては、実施例19と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0072】
(実施例21)
PE微多孔膜として膜厚:15μmのものを用いて、PE微多孔膜の両面にそれぞれ5.0μmの耐熱絶縁層を形成し、CMCの添加量を3質量%とし、並びにアルミナの添加量を97質量%としたことを除いては、実施例18と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0073】
(実施例22)
バインダとしてアクリル酸メチルを用いたことを除いては、実施例21と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0074】
(実施例23)
バインダとしてPVDFを用いたことを除いては、実施例21と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0075】
(実施例24)
CMCの添加量を2.5質量%とし、アルミナの添加量を97.5質量%としたことを除いては、実施例21と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0076】
(実施例25)
CMCの添加量を2.0質量%とし、アルミナの添加量を98質量%としたことを除いては、実施例21と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0077】
(実施例26)
CMCの添加量を1.0質量%とし、アルミナの添加量を99質量%としたことを除いては、実施例21と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0078】
(実施例27)
CMCの添加量を0.5質量%とし、アルミナの添加量を99.5質量%としたことを除いては、実施例21と同様の方法で耐熱性絶縁層付セパレータを作製した。
【0079】
[セパレータの評価]
作製した各セパレータについて、以下の試験を行った。
【0080】
<昇温インピーダンス試験:シャットダウン機能の評価>
セパレータをφ30に切り取り、グローブボックス中でエチレンカーボネート(EC)およびジエチレンカーボネート(DEC)を体積比2:3で混合した溶媒にリチウム塩LiPFを溶解させた1Mの電解液に含浸させた。得られたセパレータを金属板(SUS社製)2枚に挟み込み、コイン型セルを作製した。前記コインセルを、1℃/minで室温から200℃まで昇温した。このときの内部インピーダンスを測定した。内部インピーダンスが昇温前後で10倍以上増加している場合、シャットダウン機能を有すると判断した。
【0081】
<熱収縮試験:熱収縮の抑制の評価>
セパレータを20cm×20cmで切り出し、MD方向の寸法を測定した(初期の寸法)。次に150℃の高温槽にセパレータを放置した。1時間後、再度MD方向の寸法を測定した(熱収縮後の寸法)。熱収縮率を下記の式により求めた。
【0082】
【数1】

【0083】
<180°剥離試験:剥離強度の評価>
耐熱絶縁層の片面をセロハンテープ(ニチバン社製)で補強した後、10mm幅に裁断して両面テープにより金属土台に貼り付けて固定した。セロハンテープを10mm剥がし、測定機(STA−1150;ORIENTEC社製)に取り付け、引張速度100mm/min、剥離距離80mmの条件で、剥離強度を測定した。
【0084】
[評価結果]
実施例および比較例で作製されたセパレータの組成および試験の結果を下記表1および表2に示す。
【0085】
【表1】

【0086】
上記表1の結果において、実施例1〜17の結果によると、目付比が0.5以上であり、樹脂多孔質基体層がPEまたはPPであると、シャットダウン機能を有し、かつ、優れた熱収縮抑制効果が得られた。一方、比較例1および2の結果によると、目付比が1.2であることから優れた熱収縮抑制効果を有しているものの、樹脂多孔質基体層にそれぞれPETおよびPVDFのみを用いていることからシャットダウンが起こらなかった。また、比較例3の結果によると、樹脂多孔質基体層にPEのみを用いていることからシャットダウン機能を有しているものの、目付比が0.5未満であることから熱収縮率が大きかった。
【0087】
また、図3の目付比と、MD熱収縮率との関係を表したグラフによれば、MD熱収縮率は、目付比が0.5のときは約35%であり、目付比が0.8のときは約10%であり、目付比が1.3のときは約5%である。つまり、目付比の上昇に応じてMD熱収縮率が小さくなっていることが理解される。この理由としては、目付比の上昇に伴って、温度上昇の際に増大するセパレータの内部応力の緩和効果が高まるためであると考えられる。一方、目付比が2.0を超える場合には、MD熱収縮率はほぼ一定の値となっており、必ずしも目付比の増加に見合った熱収縮の抑制効果が得られないことが分かる。したがって、耐熱絶縁層付セパレータの軽量化の観点からは、目付比を2.0以下とすることが好ましいことが理解される。
【0088】
さらに実施例8〜13の結果によれば、同じ目付比の値を有していても、用いる無機粒子の種類によって、MD熱収縮率の値が異なることが分かる。具体的には、密度が最も大きいジルコニアが最もセパレータの熱収縮を抑制した。この結果から、用いる無機粒子の密度が高いほど優れた熱収縮抑制効果を示す傾向にあることが分かる。
【0089】
【表2】

【0090】
表2の結果および図4のバインダの添加量と剥離強度との関係を表したグラフからも分かるように、添加するバインダの添加量の増加に伴い、剥離強度も比例して増加した。よって、剥離強度は、バインダの添加量を制御することによって適宜調節することができ、耐振動性を有する耐熱絶縁層付セパレータが得られうることが理解される。
【0091】
また、表2の結果および図5の剥離強度と、MD熱収縮率との関係を表したグラフからも理解されるように、剥離強度が大きくなるにつれて、熱収縮率が低下していることが分かる。この理由としては、剥離強度を高めることによって耐熱絶縁層の応力緩和作用を樹脂多孔質基体層に効果的に伝えることができることから、セパレータの熱収縮をより一層抑制することができるためであると考えられる。
【符号の説明】
【0092】
1 耐熱絶縁層付セパレータ、
3 樹脂多孔質基体層
5a、5b 耐熱絶縁層、
7a、7b 無機粒子、
9a、9b バインダ、
10 リチウムイオン二次電池、
11 負極集電体、
11a 最外層負極集電体、
12 負極活物質層、
13 電解質層、
14 正極集電体、
15 正極活物質層、
16 単電池層、
17 発電要素、
18 負極集電板、
19 正極集電板、
20 負極端子リード、
21 正極端子リード、
22 ラミネートフィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂多孔質基体層と、
前記樹脂多孔質基体層の片面または両面に形成された無機粒子およびバインダを含む耐熱絶縁層と、を備え、
前記樹脂多孔質基体層が、溶融温度が120〜200℃である樹脂を含み、
耐熱絶縁層目付/樹脂多孔質基体層目付が0.5以上である、耐熱絶縁層付セパレータ。
【請求項2】
前記耐熱絶縁層目付/樹脂多孔質基体層目付が0.8以上である、請求項1に記載の耐熱絶縁層付セパレータ。
【請求項3】
前記耐熱絶縁層目付/樹脂多孔質基体層目付が1.3以上である、請求項1に記載の耐熱絶縁層付セパレータ。
【請求項4】
前記耐熱絶縁層目付/樹脂多孔質基体層目付が2.0以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐熱絶縁層付セパレータ。
【請求項5】
前記樹脂多孔質基体層および前記耐熱絶縁層の間の剥離強度が、0.1mN/mm以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐熱絶縁層付セパレータ。
【請求項6】
前記剥離強度が、2.0mN/mm以上である、請求項5に記載の耐熱絶縁層付セパレータ。
【請求項7】
前記無機粒子が、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素、およびチタンの酸化物、水酸化物、および窒化物、並びにこれらの混合物または複合体からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の耐熱絶縁層付セパレータ。
【請求項8】
前記樹脂多孔質基体層を構成する材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはエチレン−プロピレン共重合体からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の耐熱絶縁層付セパレータ。
【請求項9】
前記樹脂多孔質基体層が、織布、不織布、または微多孔膜からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の耐熱絶縁層付セパレータ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の耐熱絶縁層付セパレータを含む、電気デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−12351(P2013−12351A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143348(P2011−143348)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】