耕耘ロータリの残耕処理爪
【課題】耕耘軸に取付けた複数の耕耘爪からなる耕耘ロータリにおいて、爪軸を駆動するミッション、或いはチェーンケース及び、爪軸を保持するサポートの直下を耕起出来る草、藁の巻き付きにくい残耕処理爪を提供する。
【解決手段】耕耘爪軸に複数の耕耘爪を取付けた耕耘ロータリを装着した乗用並びに歩行型のロータリ式耕耘機において、耕耘ロータリに従属し土中に食い込み、耕耘爪回転外周円より小さな直径の耕耘爪軸を中心とした弧を持ち、爪軸を持つドライブケースに固定された部材に、土を切り裂く刃を付けた突起を取り付けた残耕処理爪と、爪軸を有するドライブケースに最も近く、ドライブケースに向けて曲がった複数の耕耘爪を構成し、それらの耕耘爪とドライブケースの間に装着配置する。
【解決手段】耕耘爪軸に複数の耕耘爪を取付けた耕耘ロータリを装着した乗用並びに歩行型のロータリ式耕耘機において、耕耘ロータリに従属し土中に食い込み、耕耘爪回転外周円より小さな直径の耕耘爪軸を中心とした弧を持ち、爪軸を持つドライブケースに固定された部材に、土を切り裂く刃を付けた突起を取り付けた残耕処理爪と、爪軸を有するドライブケースに最も近く、ドライブケースに向けて曲がった複数の耕耘爪を構成し、それらの耕耘爪とドライブケースの間に装着配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、圃場作土の耕起作業や除草作業等が可能な耕耘ロータリを取り付けた乗用並びに歩行型のロータリ式耕耘機の耕耘ロータリの雑草巻き付き防止及び残耕処理の構造と方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、耕耘ロータリは、耕起作業や播種作業の他、除草作業や培土作業、畝立ての管理作業に幅広く利用されていて、例えば耕起作業においては、耕耘軸に取付けた複数の耕耘爪の回転により圃場作土を破砕して耕耘ロータリが沈下し耕耘が出来る。ところが、ドライブケースから左右に突き出た耕耘爪軸の根本は、複数の耕耘爪がすき込んだ雑草が巻き付くことにより残耕の拡大、出力の低下、オイル漏れ等の原因となっている。また、ドライブケース直下の作土を破砕するためには、機械的に耕耘爪が回り込む装置を付けた耕耘ロータリ
【特許文献１】特開２００３−１９９４０３
であったり、取り付けが真っ直ぐ下に伸び残耕を破砕するとした回転爪、固定爪、抵抗棒などの特殊な装置が考案されている。
【特許文献２】ＪＰ２００６−１２９７７１Ａ２００６．５．２５
【特許文献３】ＪＰ２００４−１３５６８５Ａ２００４．５．１３
【特許文献４】特開２００３−２７４７０３
【特許文献５】特開２００３−２１９７０１
【特許文献６】特開２０００−４１４０２
【０００３】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかし、雑草が生え硬い圃場では、残耕を破砕するとした固定爪、抵抗棒などが圃場に突入できない。繁茂した雑草が絡み付き潜り込まない。突入出来たとしても耕浅く絡み付いた草藁が土を絡め、押しのけ溝となる等作業のし辛いものとなる。あるいは、残耕処理機能のない場合、残耕にドライブケースが接触することによって、それ以上深く耕耘することが出来ない。特に畝間など同じ道程を耕耘しなければならない時などは、草に絡まり、いつまでも破砕出来ない残耕により除草や全面耕、深耕作業が良好に出来ないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
そこで、耕耘爪軸に複数の耕耘爪を取付けた耕耘ロータリを装着した乗用並びに歩行型のロータリ式耕耘機において、爪軸を保持するドライブケースの進行方向に対し左右両側、あるいは何れか一方に装着するためドライブケースの何れかの場所に固定された、耕耘爪回転外周円の直径より小さく、耕耘爪回転外周円の中心を中心とした円弧を持つアーチ型部材に、作土を切り裂く刃を有する突起を、爪軸真下の位置からドライブケース直下方向に向けて取り付けた。
【０００６】
また、ドライブケースの左右両側あるいは何れか一方に最も近くて、ドライブケースに向けて曲がった２本以上の複数の耕耘爪を配列する耕耘爪軸の構成と、それら複数の耕耘爪とドライブケースとの隙間に前項記載の円弧を持つアーチ型部材を配置し、複数の耕耘爪に接触しない程度の隙間を取ってその距離とし、作土を切り裂く刃を有する突起の長さは、両側に円弧を持つアーチ型部材を取り付けた場合は、ドライブケースに向けて曲がった耕耘爪の先端までの長さより長くドライブケースの中心線までの長さより短く、片側に円弧を持つアーチ型部材を取り付けた場合は、ドライブケースに向けてドライブケース中心線の長さより長い構造とした。
【０００７】
前項記載の円弧を持つアーチ型部材の形状と突起の取り付け位置は、前方に耕耘ロータリの取り付けられた歩行型のロータリ式耕耘機の場合、圃場に安置した状態において水平からやや前方に傾斜する取付とし、前方が下がるにつれ前方に傾斜し、また、後方に耕耘ロータリが取り付けられた乗用並びに歩行型のロータリ式耕耘機では圃場に深耕した状態において水平からやや前方に傾斜する取付とし、圃場に安置した状態では前方に傾斜し、作土を切り裂く刃を有する突起は、複数の耕耘爪が正回転の場合には、ドライブケースの進行方向に刃を有し、逆回転の場合には、ドライブケースの進行方向と後進方向共に刃を有する形状となる。
【０００８】
そして、前項記載の円弧を持つアーチ型部材の形状と突起の取り付け位置の関係において、草藁の巻き付き防止を主目的として利用する場合は、円弧を持つアーチ型部材の円弧上の前項記載以外の位置に作土を切り裂く刃を有する突起を取り付ける事によっても利用することが出来る。
【発明の効果】
【０００９】
本発明は、ロータリ耕耘時、複雑な機械構造を耕耘ロータリに付加することなく残耕を処理出来るばかりでなく、固定された残耕処理爪と回転する複数の耕耘爪の接近設置によって雑草の巻き付きが無く、高度な残耕処理が可能であり、耕耘ロータリの構造を簡単なものに出来る。本発明を使用する場合、圃場の条件やロータリ耕耘機の馬力、或いは機種等諸条件によって、突起の形状、長さを変更する必要が生じる。図９は、その試作の一部であるが、製品として形状を統一するのでなく突起の着脱による交換が有効である。
【００１０】
また使用面においては、残耕処理爪の付いていない耕耘ロータリに比較して中耕除草時に繁茂している雑草が、耕耘時爪軸のドライブケース付近に巻き付かない事で、雑草の排除が不要となり耕耘作業の中断が減少する。残耕無く作業が出来るので、耕耘幅が広くなり、残耕が解消される事は、ドライブケースが深く沈むことにより深耕が可能となる。また、ドライブケースに固定した残耕処理爪が土中で前後、上下動の抵抗となり、浮き沈みによる振動が小さく、ダッシング現象抑制に効果が得られることにより、操作ハンドルが安定しオペレータの作業負荷をより軽減させ、良好な耕耘作業が行えるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図１及び図２は、本発明に係るフロントロータリ耕耘機１ａの耕耘ロータリの正面図で、円弧を持つアーチ型部材の形状と突起の取り付け位置を正面から示すものである。図１は、ドライブケース１とドライブケース１の左右両側に最も近くて、ドライブケース１に向けて曲がった２本以上の複数の耕耘爪３、４が配列する隙間に装置された円弧を持つアーチ型部材５の形状と突起６の取り付け位置と方向を示し、図２は、ドライブケース１の一方に最も近くて、ドライブケース１に向けて曲がった２本以上の耕耘爪３、４が配列する隙間に装置された円弧を持つアーチ型部材５の形状と突起６の取り付け位置を示す。
【００１２】
図３は、本発明に係るフロントロータリ耕耘機１ａの耕耘ロータリの側面図で、ドライブケース１に取り付けた円弧を持つアーチ型部材５の形状と突起６の取り付け位置を側面から示すものである。本発明に係るフロントロータリ耕耘機１ａを作土面Ｔ１に安置した円弧を持つアーチ型部材５耕耘爪軸Ｋの垂線ｉ上に突起６を設置する。突起の先端は、耕耘爪回転外周円ｍに近く作土面Ｔ１に平行、又はやや突っ込む角度とする。
【００１３】
図４は、本発明に係るフロントロータリー耕耘機１ａの耕耘ロータリの側面図で、円弧を持つアーチ型部材５の形状と突起６の取り付け位置を側面から示すものである。本発明に係るフロントロータリ耕耘機１ａが、作土面Ｔ１から作土面Ｔ２まで沈下したところで、円弧を持つアーチ型部材５の耕耘爪軸２の垂線ｉが後方に角度ｒ１傾き突入している。フロントロータリ耕耘機１ａは、前方の重量が軽く浮き易いので突っ込み角度ｒ１が大きくなると作業が安定する。しかし、大きくなりすぎると走行抵抗となり不安定に陥る場合がある。
【００１４】
図５は、本発明に係る円弧を持つアーチ型部材５の突起６と、ドライブケース１に向けて曲がった耕耘爪４の平面図で、円弧を持つアーチ型部材５に接近しながら平行移動する耕耘爪４から、絡み付く雑草Ｂが排除される仕組みを示すものである。図５−ａでは、円弧を持つアーチ型部材５の突起６は、通過した耕耘爪４の軌跡ｌ２上を、一体となって作土Ｔ２を切り裂きながら軌跡Ｌを進行方向ｆに移動中である。図５−ｂに至ると絡み付く雑草ｅの一部が、突起６に接触し耕耘爪４から引き離され用とする。そして、図５−ｃに至って絡み付く雑草ｅは、突起６によって耕耘爪４から引き離される。この突起６によって引き裂かれた作土は、次々に突入し通過していく耕耘爪３、４により細かく破砕される。
【００１５】
図６ａ、ｂは、本発明に係る円弧を持つアーチ型部材５の突起６が、耕耘爪３、４の回転方向によって刃の取り付けが変更になる事を示す側面図である。図６−ａは、進行方向ｆに対して耕耘爪が正回転Ｆである場合を示し、前項図５に示した軌跡ｌ１をたどり作土を切り裂く刃ｃが作土中を進行方向ｆに移動し、残耕を作土から切り離すが、図６−ｂは、進行方向ｆに対して耕耘爪が逆回転Ｒである場合を示し、後方から通過する耕耘爪３、４によって雑草ｅは、作土を切り裂く刃ｄにより排除され、作土を切り裂く刃ｃが作土中を進行方向に移動し、残耕を作土から切り離す。
【００１６】
図７、８は、本発明に係る円弧を持つアーチ型部材５の突起６が、乗用並びに歩行型後付耕耘ロータリの保持位置により取付角度が変化する事を示す側面図である。図７において、後付耕耘ロータリは一般に沈下しやすいため、耕耘ロータリ最沈下時を突起６の水平位置として、突起６による沈み込みを抑える。ただし、図８のように耕耘開始より一定の深さまでは速やかに沈下することが必要であるため、作土面Ｔ１に安置した時には垂線ｉに対して角度ｒ２が必要となる。
【００１７】
本発明を装着し耕起作業を行う為、新規に装着するだけでなく、従来機種であっても円弧を持つアーチ型部材５や図９に示すような突起６の取付、また、耕耘爪３、４の交換や、増設が必要となるが、その費用は安価なものであり、その結果安定した高度な耕起作業が行えるようになり、オペレータの作業負荷を軽減させることが出来る。
【作用】
【００１８】
上記構造により、ドライブケース１より突き出た耕耘爪軸２から、ドライブケース１とその最も近くを回転する耕耘爪３、４の隙間において、耕耘爪３、４に追従して作土にすき込まれた雑草ｅを、円弧を持つアーチ型部材５によって耕耘爪３、４根元に引き込まないようにブロックし、次に、突起６に接触させることにより排除して追従を阻む事で、その後に雑草ｅが耕耘爪軸２に巻き付かなくする。この行程により草藁が巻き付かないので、草藁や作土がドライブケース１下部に大きく固着せず、ドライブケース１は、浮き上がる事なく良好な耕耘深さが得られることとなる。また同時に、複数の耕耘爪３、４が円孤を持つアーチ型部材５の廻りを回転し進行方向ｆ前方の雑草ｅを引き込みながら作土を破砕し速やかに排除するので、円弧を持つアーチ型部材５と突起６の一部は、前方、下方への移動空間が確保出来、作土からのさしたる抵抗を受けずに移動する事が出来る。それらの結果が残耕を極小に抑え、深耕能力を一層高め深耕作業を容易とする。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】本発明に係るフロントロータリ耕耘機１ａの耕耘ロータリの正面図である。
【図２】同上側面図である。
【図３】同上の突起が、耕耘ロータリ取付角度を示す側面図である。
【図４】同上側面図である。
【図５】円弧を持つアーチ型部材５と突起６と、耕耘爪４の平面図である。
【図６】円弧を持つアーチ型部材５と突起６、耕耘爪４の回転方向に関する平面図である。
【図７】突起と、耕耘ロータリ取付角度を示す側面図である。
【図８】同上側面図である。
【図９】突起６の変形例である。
【図１０】従来例の正面、断面図である。
【図１１】従来例の側面図である。
【図１２】従来例の側面図である。
【符号の説明】
１ ドライブケース
１ａ フロントロータリ耕耘機
２ 耕耘爪軸
３ 耕耘爪
４ 耕耘爪
５ 円弧を持つアーチ型部材
６ 作土を切り裂く刃を有する突起
Ｔ１ 作土面
Ｔ２ 作土面
ｍ 耕耘爪回転外周円
ｉ 垂線
ｒ１ 角度
ｒ２ 角度
ｌ１ 耕耘爪の軌跡
ｌ２ 耕耘爪の軌跡
Ｌ 突起の軌跡
ｅ 雑草
ｃ 作土を切り裂く刃
ｄ 作土を切り裂く刃
ｆ 進行方向
Ｆ 正回転
Ｒ 逆回転
【技術分野】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、圃場作土の耕起作業や除草作業等が可能な耕耘ロータリを取り付けた乗用並びに歩行型のロータリ式耕耘機の耕耘ロータリの雑草巻き付き防止及び残耕処理の構造と方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、耕耘ロータリは、耕起作業や播種作業の他、除草作業や培土作業、畝立ての管理作業に幅広く利用されていて、例えば耕起作業においては、耕耘軸に取付けた複数の耕耘爪の回転により圃場作土を破砕して耕耘ロータリが沈下し耕耘が出来る。ところが、ドライブケースから左右に突き出た耕耘爪軸の根本は、複数の耕耘爪がすき込んだ雑草が巻き付くことにより残耕の拡大、出力の低下、オイル漏れ等の原因となっている。また、ドライブケース直下の作土を破砕するためには、機械的に耕耘爪が回り込む装置を付けた耕耘ロータリ
【特許文献１】特開２００３−１９９４０３
であったり、取り付けが真っ直ぐ下に伸び残耕を破砕するとした回転爪、固定爪、抵抗棒などの特殊な装置が考案されている。
【特許文献２】ＪＰ２００６−１２９７７１Ａ２００６．５．２５
【特許文献３】ＪＰ２００４−１３５６８５Ａ２００４．５．１３
【特許文献４】特開２００３−２７４７０３
【特許文献５】特開２００３−２１９７０１
【特許文献６】特開２０００−４１４０２
【０００３】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかし、雑草が生え硬い圃場では、残耕を破砕するとした固定爪、抵抗棒などが圃場に突入できない。繁茂した雑草が絡み付き潜り込まない。突入出来たとしても耕浅く絡み付いた草藁が土を絡め、押しのけ溝となる等作業のし辛いものとなる。あるいは、残耕処理機能のない場合、残耕にドライブケースが接触することによって、それ以上深く耕耘することが出来ない。特に畝間など同じ道程を耕耘しなければならない時などは、草に絡まり、いつまでも破砕出来ない残耕により除草や全面耕、深耕作業が良好に出来ないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
そこで、耕耘爪軸に複数の耕耘爪を取付けた耕耘ロータリを装着した乗用並びに歩行型のロータリ式耕耘機において、爪軸を保持するドライブケースの進行方向に対し左右両側、あるいは何れか一方に装着するためドライブケースの何れかの場所に固定された、耕耘爪回転外周円の直径より小さく、耕耘爪回転外周円の中心を中心とした円弧を持つアーチ型部材に、作土を切り裂く刃を有する突起を、爪軸真下の位置からドライブケース直下方向に向けて取り付けた。
【０００６】
また、ドライブケースの左右両側あるいは何れか一方に最も近くて、ドライブケースに向けて曲がった２本以上の複数の耕耘爪を配列する耕耘爪軸の構成と、それら複数の耕耘爪とドライブケースとの隙間に前項記載の円弧を持つアーチ型部材を配置し、複数の耕耘爪に接触しない程度の隙間を取ってその距離とし、作土を切り裂く刃を有する突起の長さは、両側に円弧を持つアーチ型部材を取り付けた場合は、ドライブケースに向けて曲がった耕耘爪の先端までの長さより長くドライブケースの中心線までの長さより短く、片側に円弧を持つアーチ型部材を取り付けた場合は、ドライブケースに向けてドライブケース中心線の長さより長い構造とした。
【０００７】
前項記載の円弧を持つアーチ型部材の形状と突起の取り付け位置は、前方に耕耘ロータリの取り付けられた歩行型のロータリ式耕耘機の場合、圃場に安置した状態において水平からやや前方に傾斜する取付とし、前方が下がるにつれ前方に傾斜し、また、後方に耕耘ロータリが取り付けられた乗用並びに歩行型のロータリ式耕耘機では圃場に深耕した状態において水平からやや前方に傾斜する取付とし、圃場に安置した状態では前方に傾斜し、作土を切り裂く刃を有する突起は、複数の耕耘爪が正回転の場合には、ドライブケースの進行方向に刃を有し、逆回転の場合には、ドライブケースの進行方向と後進方向共に刃を有する形状となる。
【０００８】
そして、前項記載の円弧を持つアーチ型部材の形状と突起の取り付け位置の関係において、草藁の巻き付き防止を主目的として利用する場合は、円弧を持つアーチ型部材の円弧上の前項記載以外の位置に作土を切り裂く刃を有する突起を取り付ける事によっても利用することが出来る。
【発明の効果】
【０００９】
本発明は、ロータリ耕耘時、複雑な機械構造を耕耘ロータリに付加することなく残耕を処理出来るばかりでなく、固定された残耕処理爪と回転する複数の耕耘爪の接近設置によって雑草の巻き付きが無く、高度な残耕処理が可能であり、耕耘ロータリの構造を簡単なものに出来る。本発明を使用する場合、圃場の条件やロータリ耕耘機の馬力、或いは機種等諸条件によって、突起の形状、長さを変更する必要が生じる。図９は、その試作の一部であるが、製品として形状を統一するのでなく突起の着脱による交換が有効である。
【００１０】
また使用面においては、残耕処理爪の付いていない耕耘ロータリに比較して中耕除草時に繁茂している雑草が、耕耘時爪軸のドライブケース付近に巻き付かない事で、雑草の排除が不要となり耕耘作業の中断が減少する。残耕無く作業が出来るので、耕耘幅が広くなり、残耕が解消される事は、ドライブケースが深く沈むことにより深耕が可能となる。また、ドライブケースに固定した残耕処理爪が土中で前後、上下動の抵抗となり、浮き沈みによる振動が小さく、ダッシング現象抑制に効果が得られることにより、操作ハンドルが安定しオペレータの作業負荷をより軽減させ、良好な耕耘作業が行えるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図１及び図２は、本発明に係るフロントロータリ耕耘機１ａの耕耘ロータリの正面図で、円弧を持つアーチ型部材の形状と突起の取り付け位置を正面から示すものである。図１は、ドライブケース１とドライブケース１の左右両側に最も近くて、ドライブケース１に向けて曲がった２本以上の複数の耕耘爪３、４が配列する隙間に装置された円弧を持つアーチ型部材５の形状と突起６の取り付け位置と方向を示し、図２は、ドライブケース１の一方に最も近くて、ドライブケース１に向けて曲がった２本以上の耕耘爪３、４が配列する隙間に装置された円弧を持つアーチ型部材５の形状と突起６の取り付け位置を示す。
【００１２】
図３は、本発明に係るフロントロータリ耕耘機１ａの耕耘ロータリの側面図で、ドライブケース１に取り付けた円弧を持つアーチ型部材５の形状と突起６の取り付け位置を側面から示すものである。本発明に係るフロントロータリ耕耘機１ａを作土面Ｔ１に安置した円弧を持つアーチ型部材５耕耘爪軸Ｋの垂線ｉ上に突起６を設置する。突起の先端は、耕耘爪回転外周円ｍに近く作土面Ｔ１に平行、又はやや突っ込む角度とする。
【００１３】
図４は、本発明に係るフロントロータリー耕耘機１ａの耕耘ロータリの側面図で、円弧を持つアーチ型部材５の形状と突起６の取り付け位置を側面から示すものである。本発明に係るフロントロータリ耕耘機１ａが、作土面Ｔ１から作土面Ｔ２まで沈下したところで、円弧を持つアーチ型部材５の耕耘爪軸２の垂線ｉが後方に角度ｒ１傾き突入している。フロントロータリ耕耘機１ａは、前方の重量が軽く浮き易いので突っ込み角度ｒ１が大きくなると作業が安定する。しかし、大きくなりすぎると走行抵抗となり不安定に陥る場合がある。
【００１４】
図５は、本発明に係る円弧を持つアーチ型部材５の突起６と、ドライブケース１に向けて曲がった耕耘爪４の平面図で、円弧を持つアーチ型部材５に接近しながら平行移動する耕耘爪４から、絡み付く雑草Ｂが排除される仕組みを示すものである。図５−ａでは、円弧を持つアーチ型部材５の突起６は、通過した耕耘爪４の軌跡ｌ２上を、一体となって作土Ｔ２を切り裂きながら軌跡Ｌを進行方向ｆに移動中である。図５−ｂに至ると絡み付く雑草ｅの一部が、突起６に接触し耕耘爪４から引き離され用とする。そして、図５−ｃに至って絡み付く雑草ｅは、突起６によって耕耘爪４から引き離される。この突起６によって引き裂かれた作土は、次々に突入し通過していく耕耘爪３、４により細かく破砕される。
【００１５】
図６ａ、ｂは、本発明に係る円弧を持つアーチ型部材５の突起６が、耕耘爪３、４の回転方向によって刃の取り付けが変更になる事を示す側面図である。図６−ａは、進行方向ｆに対して耕耘爪が正回転Ｆである場合を示し、前項図５に示した軌跡ｌ１をたどり作土を切り裂く刃ｃが作土中を進行方向ｆに移動し、残耕を作土から切り離すが、図６−ｂは、進行方向ｆに対して耕耘爪が逆回転Ｒである場合を示し、後方から通過する耕耘爪３、４によって雑草ｅは、作土を切り裂く刃ｄにより排除され、作土を切り裂く刃ｃが作土中を進行方向に移動し、残耕を作土から切り離す。
【００１６】
図７、８は、本発明に係る円弧を持つアーチ型部材５の突起６が、乗用並びに歩行型後付耕耘ロータリの保持位置により取付角度が変化する事を示す側面図である。図７において、後付耕耘ロータリは一般に沈下しやすいため、耕耘ロータリ最沈下時を突起６の水平位置として、突起６による沈み込みを抑える。ただし、図８のように耕耘開始より一定の深さまでは速やかに沈下することが必要であるため、作土面Ｔ１に安置した時には垂線ｉに対して角度ｒ２が必要となる。
【００１７】
本発明を装着し耕起作業を行う為、新規に装着するだけでなく、従来機種であっても円弧を持つアーチ型部材５や図９に示すような突起６の取付、また、耕耘爪３、４の交換や、増設が必要となるが、その費用は安価なものであり、その結果安定した高度な耕起作業が行えるようになり、オペレータの作業負荷を軽減させることが出来る。
【作用】
【００１８】
上記構造により、ドライブケース１より突き出た耕耘爪軸２から、ドライブケース１とその最も近くを回転する耕耘爪３、４の隙間において、耕耘爪３、４に追従して作土にすき込まれた雑草ｅを、円弧を持つアーチ型部材５によって耕耘爪３、４根元に引き込まないようにブロックし、次に、突起６に接触させることにより排除して追従を阻む事で、その後に雑草ｅが耕耘爪軸２に巻き付かなくする。この行程により草藁が巻き付かないので、草藁や作土がドライブケース１下部に大きく固着せず、ドライブケース１は、浮き上がる事なく良好な耕耘深さが得られることとなる。また同時に、複数の耕耘爪３、４が円孤を持つアーチ型部材５の廻りを回転し進行方向ｆ前方の雑草ｅを引き込みながら作土を破砕し速やかに排除するので、円弧を持つアーチ型部材５と突起６の一部は、前方、下方への移動空間が確保出来、作土からのさしたる抵抗を受けずに移動する事が出来る。それらの結果が残耕を極小に抑え、深耕能力を一層高め深耕作業を容易とする。
【図面の簡単な説明】
【００１９】
【図１】本発明に係るフロントロータリ耕耘機１ａの耕耘ロータリの正面図である。
【図２】同上側面図である。
【図３】同上の突起が、耕耘ロータリ取付角度を示す側面図である。
【図４】同上側面図である。
【図５】円弧を持つアーチ型部材５と突起６と、耕耘爪４の平面図である。
【図６】円弧を持つアーチ型部材５と突起６、耕耘爪４の回転方向に関する平面図である。
【図７】突起と、耕耘ロータリ取付角度を示す側面図である。
【図８】同上側面図である。
【図９】突起６の変形例である。
【図１０】従来例の正面、断面図である。
【図１１】従来例の側面図である。
【図１２】従来例の側面図である。
【符号の説明】
１ ドライブケース
１ａ フロントロータリ耕耘機
２ 耕耘爪軸
３ 耕耘爪
４ 耕耘爪
５ 円弧を持つアーチ型部材
６ 作土を切り裂く刃を有する突起
Ｔ１ 作土面
Ｔ２ 作土面
ｍ 耕耘爪回転外周円
ｉ 垂線
ｒ１ 角度
ｒ２ 角度
ｌ１ 耕耘爪の軌跡
ｌ２ 耕耘爪の軌跡
Ｌ 突起の軌跡
ｅ 雑草
ｃ 作土を切り裂く刃
ｄ 作土を切り裂く刃
ｆ 進行方向
Ｆ 正回転
Ｒ 逆回転
【特許請求の範囲】
【請求項１】
爪軸を保持するドライブケースの進行方向に対し左右両側、あるいは何れか一方に装着するためドライブケースの何れかの場所に固定された、耕耘爪回転外周円の直径より小さく、耕耘爪回転外周円の中心を中心とした円弧を持つアーチ型部材に、作土を切り裂く刃を有する突起を、爪軸真下の位置からドライブケース直下方向に向けて取り付けたことを特徴とした耕耘爪軸に複数の耕耘爪を取付けた耕耘ロータリを装着した乗用並びに歩行型のロータリ式耕耘機の残耕処理爪。
【請求項２】
ドライブケースの左右両側あるいは何れか一方に最も近く、ドライブケースに向けて曲がった２本以上の複数の耕耘爪を構成する耕耘爪軸の配列と、それら複数の耕耘爪とドライブケースの隙間に請求項１記載の円弧を持つアーチ型部材を配置し、それら複数の耕耘爪に接触しない程度の隙間をその距離とし、作土を切り裂く刃を有する突起の長さは、両側に円弧を持つアーチ型部材を取り付けた場合は、ドライブケースに向けて曲がった耕耘爪の先端までの長さより長くドライブケースの中心線までの長さより短く、片側に円弧を持つアーチ型部材を取り付けた場合は、ドライブケースに向けてドライブケース中心線の長さより長く装着配置したことを特徴とする請求項１記載の残耕処理爪。
【請求項３】
前項記載の円弧を持つアーチ型部材の形状と突起の取り付け位置は、前方に耕耘ロータリの取り付けられた歩行型のロータリ式耕耘機の場合、圃場に安置した状態において水平からやや前方に傾斜する取付とし、前方が下がるにつれ前方に傾斜し、また、後方に耕耘ロータリが取り付けられた乗用並びに歩行型のロータリ式耕耘機では圃場に深耕した状態において水平からやや前方に傾斜する取付とし、圃場に安置した状態では前方に傾斜し、作土を切り裂く刃を有する突起は、複数の耕耘爪が正回転の場合には、ドライブケースの進行方向に刃を有し、逆回転の場合には、ドライブケースの進行方向と後進方向共に刃を有する形状となるとしたことを特徴とする請求項１及び請求項２記載の残耕処理爪。
【請求項４】
本発明が、草藁の巻き付き防止を主目的として使用された場合に、請求項３記載の円弧を持つアーチ型部材と作土を切り裂く刃を有する突起の取り付け位置を、請求項３以外の位置に配置することによっても目的が得られることを特徴とする残耕処理爪。
【請求項１】
爪軸を保持するドライブケースの進行方向に対し左右両側、あるいは何れか一方に装着するためドライブケースの何れかの場所に固定された、耕耘爪回転外周円の直径より小さく、耕耘爪回転外周円の中心を中心とした円弧を持つアーチ型部材に、作土を切り裂く刃を有する突起を、爪軸真下の位置からドライブケース直下方向に向けて取り付けたことを特徴とした耕耘爪軸に複数の耕耘爪を取付けた耕耘ロータリを装着した乗用並びに歩行型のロータリ式耕耘機の残耕処理爪。
【請求項２】
ドライブケースの左右両側あるいは何れか一方に最も近く、ドライブケースに向けて曲がった２本以上の複数の耕耘爪を構成する耕耘爪軸の配列と、それら複数の耕耘爪とドライブケースの隙間に請求項１記載の円弧を持つアーチ型部材を配置し、それら複数の耕耘爪に接触しない程度の隙間をその距離とし、作土を切り裂く刃を有する突起の長さは、両側に円弧を持つアーチ型部材を取り付けた場合は、ドライブケースに向けて曲がった耕耘爪の先端までの長さより長くドライブケースの中心線までの長さより短く、片側に円弧を持つアーチ型部材を取り付けた場合は、ドライブケースに向けてドライブケース中心線の長さより長く装着配置したことを特徴とする請求項１記載の残耕処理爪。
【請求項３】
前項記載の円弧を持つアーチ型部材の形状と突起の取り付け位置は、前方に耕耘ロータリの取り付けられた歩行型のロータリ式耕耘機の場合、圃場に安置した状態において水平からやや前方に傾斜する取付とし、前方が下がるにつれ前方に傾斜し、また、後方に耕耘ロータリが取り付けられた乗用並びに歩行型のロータリ式耕耘機では圃場に深耕した状態において水平からやや前方に傾斜する取付とし、圃場に安置した状態では前方に傾斜し、作土を切り裂く刃を有する突起は、複数の耕耘爪が正回転の場合には、ドライブケースの進行方向に刃を有し、逆回転の場合には、ドライブケースの進行方向と後進方向共に刃を有する形状となるとしたことを特徴とする請求項１及び請求項２記載の残耕処理爪。
【請求項４】
本発明が、草藁の巻き付き防止を主目的として使用された場合に、請求項３記載の円弧を持つアーチ型部材と作土を切り裂く刃を有する突起の取り付け位置を、請求項３以外の位置に配置することによっても目的が得られることを特徴とする残耕処理爪。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【公開番号】特開２０１０−２２２０２（Ｐ２０１０−２２２０２Ａ）
【公開日】平成２２年２月４日（２０１０．２．４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−６１８２５（Ｐ２００８−６１８２５）
【出願日】平成２０年２月１３日（２００８．２．１３）
【出願人】（５９６０４７７５７）
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年２月４日（２０１０．２．４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年２月１３日（２００８．２．１３）
【出願人】（５９６０４７７５７）
【Ｆターム（参考）】
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