説明

肌着

【課題】 マイナスイオンを発生させると共に遠赤外線を発生させ、しかも、人体のつぼを刺激することが可能であり、さらに安価で大量生産ができる肌着を提供する。
【解決手段】 繊維からなる肌着の所定個所には、多数個の小片膜を互いに離間させて所定の範囲に配列して構成した遠赤外線発生膜2と、マイナスイオンを発生する主成分がシリコンからなるマイナスイオン発生体10を複数個配列したマイナスイオン発生群11が肌着1の内面に設けられている。遠赤外線発生膜2からは遠赤外線と同時にマイナスイオンが放射され、身体を適度に暖めることにより保温性を高め、身体の皮膚から放出した汗は、遠赤外線発生膜2を構成する小片膜3の間から放出される。また、マイナスイオン発生群11は、突起部10aによって人体のつぼを刺激すると共につぼに対してマイナスイオンを発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に肌に接触する肌着に関し、詳しくは、身体の肌に接触した状態で身体に向けてマイナスイオンや遠赤外線を放射する遠赤外線発生膜およびマイナスイオン発生体を設けた肌着に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康維持に対する関心が高まり、薬等によらない自然な環境を人工的に作り出して身体にマイナスイオン等を吸収させることにより、身体を健康体に至らせる種々の健康手段が提案されている。
【0003】
その一つとして、マイナスイオンによる効果が確認され、衣料品、ヘアドライヤー、或いはエアコン等の各方面でマイナスイオンを発生させ、個々に実績を出している。マイナスイオンは、体内の主として血液のイオンに作用し、血液等をマイナスイオン化させて活性化することが知られている。その一方で、一般に人間の身体は、痛み等の病的な異常が生ずると、皮膚の表皮側にプラス電位が誘起されることに着目し、この電位を正常なマイナス電位に戻す作用を行うものとして、ゲルマニウムを使用することも提案されている。
【0004】
このような背景の中で、本出願人は特開2004−162223号公報(特許文献1)により、マイナスイオンを発生する主成分がシリコンからなる液状シリコンにゲルマニウムのパウダーを混合し、これら液体を繊維体或いは樹脂等の素材に塗布または含浸させて固化したマイナスイオン発生素材を提案し、実用に供されている。
【0005】
上記特許文献1に示されたマイナスイオン発生素材は、液状シリコンによって少なくとも50NS/ccのマイナスイオンが発生すると共に、ゲルマニウムのパウダーからマイナス電位を発生させ、さらに、ゲルマニウムのパウダーを摂氏32度以上に暖められることによって身体の不調個所を改善する効果を高めることによって、体内の主として血液のイオンに作用して血液等をマイナスイオン化させて活性化する等の効果を有している。ところが、特許文献1に開示したマイナスイオン発生素材は、液体シリコンにゲルマニウムのパウダーを撹拌混合して、素材にスプレーまたは印刷により塗布または含浸することから、素材の表面に一面にマイナスイオン発生体が形成されるために、特に繊維体に形成した場合には、繊維の目が封止される。この結果、例えば肌着にマイナスイオン発生体を形成したときには、身体の皮膚呼吸が阻害される恐れが生ずる。また、汗がマイナスイオン発生体に付着して蒸発が阻害されるためにかぶれが生ずる恐れがある等、本来の効果を打ち消すような問題が生じていた。さらに、ゲルマニウムパウダーを混合したマイナスイオン発生素材を繊維体等の素材に塗布または含浸させることで、マイナスイオンは増加するものの、肌着が身体に与える保温性は従来と同様であり、使用者が有していた保温性に対するニーズに応えることができなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2004−162223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、マイナスイオンを発生させると共に遠赤外線を発生させ、しかも、人体のつぼを刺激することが可能であり、さらに安価で大量生産ができる肌着を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明の請求項1に関わる肌着は、繊維からなる肌着には、多数個の小片膜を互いに離間させて所定の範囲に配列して構成した遠赤外線発生膜と、マイナスイオンを発生する主成分がシリコンからなるマイナスイオン発生体を複数個配列したマイナスイオン発生群とを上記肌着の内面に設けている。
【0009】
また、請求項2に関わる肌着は、請求項1において、遠赤外線発生膜を構成する小片膜は、セラミックパウダー、ブラックシリカ或いはジャモンストン、及びゲルマニウムパウダー等の鉱物の粉体を繊維に接着可能な液状接着剤に混合して上記肌着の内面にスプレーや印刷等により塗布または含浸して固化している。
【0010】
また、本発明の請求項3に関わる肌着は、請求項1において、マイナスイオン発生体は、主成分のシリコンにゲルマニウムやセラミック等のパウダーを混合して所定形状に成形している。
【0011】
さらにまた、本発明の請求項4に関わる肌着は、請求項1および3において、マイナスイオン発生体は、略半球状の突起部と、底面側からラジアル方向に延出した鍔部とを有し、上記突起部には複数の溝や凹所が形成され、上記鍔部は縫製可能に形成されている。
【0012】
また、本発明の請求項5に関わる肌着は、請求項1乃至4において、上記肌着の内面に設けられた遠赤外線発生膜およびマイナスイオン発生体は、身体の肌に接触するように構成している。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、繊維からなる肌着の所定個所に、セラミックパウダー及びゲルマニウムパウダー等の鉱物の粉体からなる遠赤外線発生膜が設けられているので、大きな放射強度の遠赤外線が放射され、身体を適度に暖めることにより保温性を高めることが可能となる。しかも、同時にマイナスイオンが発生することから、身体の不調個所を改善する効果を高めることを維持させることができる。さらに、遠赤外線発生膜が多数個の円形や多角形状に形成した小片膜を互いに離間させて所定の範囲に配列して構成しているので、上記小片膜の間から汗が放出されて通気性が良好となり、かぶれの発生を未然に防止することが可能となる。また、マイナスイオン発生体からはマイナスイオンを発生させると共に、ゲルマニウムのパウダーからマイナス電位を発生させるので、シリコンによるマイナスイオン効果と、ゲルマニウムパウダーによるマイナス電位効果の相乗効果を得ることができる。そのうえ、肌着を装着したときに、マイナスイオン発生体の突起部が人体のつぼを刺激すると共につぼに対してマイナスイオンを発生させるので、身体の不調個所の改善に対してさらに効果を発揮する。
【0014】
さらにまた、遠赤外線発生膜を、鉱物の粉体を混合した液状接着剤をスプレーや印刷等により肌着に塗布または含浸させて固化することによって形成されるので、大量生産が可能であり、安価に製造することが可能となる。
【0015】
一方、マイナスイオン発生体には鍔部が形成されているので、この鍔部を肌着に縫製することにより、強固に固定することが可能であり、しかも、人体表面からマイナスイオン発生体が陥没した場合であっても、鍔部により陥没が抑制されるので、適度な押圧力でつぼ等を刺激することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
繊維からなる肌着の所定個所には、多数個の小片膜を互いに離間させて所定の範囲に配列して構成した遠赤外線発生膜と、マイナスイオンを発生する主成分がシリコンからなるマイナスイオン発生体を複数個配列したマイナスイオン発生群が上記肌着の内面に設けられている。上記遠赤外線発生膜からは遠赤外線と同時にマイナスイオンが放射され、身体を適度に暖めることにより保温性を高め、身体の皮膚から放出した汗は、遠赤外線発生膜を構成する小片膜の間から放出される。また、マイナスイオン発生群は、突起部によって人体のつぼを刺激すると共につぼに対してマイナスイオンを発生させる。
【実施例1】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。図1は、本発明に関わる肌着の第1の実施例として、繊維体を織った腹巻き1に適用した例を示している。肌着としての腹巻き1は、木綿、羊毛などの動植物繊維、或いは、ナイロン、テトロン等の合成繊維等からなり、特に種類を問わない。このような腹巻き1の内面には、遠赤外線発生膜2とこの遠赤外線発生膜2の上に複数個のマイナスイオン発生体10からなるマイナスイオン発生群11が設けられている。遠赤外線発生膜2は、図示のように略ハート形に形成され、前方の腹側と後方の背側に各々形成されている。なお、遠赤外線発生膜2の形状はハート形に限らず、楕円形、長方形、或いは各種のイラストやキャラクター等の造形であっても良い。
【0018】
まず、上記遠赤外線発生膜2について説明する。遠赤外線発生膜2は、図1において拡大したように、多数個の六角形状に形成した小片膜3を互いに離間した状態で所定の範囲に配列することにより構成されている。小片膜3の寸法は、対向する辺の長さを約3mm乃至15mmに設定している。また、小片膜3を離間させる寸法は、約0.5mm乃至10mmに設定している。小片膜3の寸法が3mm以下のときは、後述する遠赤外線やマイナスイオンの放射量が小さくなり、所定の効果が得られず、15mm以上のときは、放射量が大きくなるものの小片膜3によって繊維表面が覆われるために肌触りが悪化すると共に、小片膜3に汗が付着して放出されなくなる恐れがある。一方、小片膜3の離間寸法が0.5mm以下のときは、汗を放出する面積が小さくなり放出効率が悪化し、10mm以上のときは、この部分に小片膜3が存在しないことから、身体に対する遠赤外線やマイナスイオンの放射量が小さくなる。
【0019】
上記遠赤外線発生膜2は、セラミックパウダー、ブラックシリカ或いはジャモンストンからなる第1の鉱物4の粉体、及びゲルマニウムパウダーからなる第2の鉱物5の粉体を繊維に接着可能な液状の原料接着剤6に混合した状態で塗布した後に固化させることにより、腹巻き1の内面に膜が形成されている。上記粉体は、セラミックパウダー、ブラックシリカ或いはジャモンストンのいずれか一種、または二種以上を適宜な分量で混合して使用しても良い。
【0020】
次に、上記遠赤外線発生膜2の形成方法について説明する。まず、繊維に接着可能な液状接着剤に対し、上記セラミックパウダー、ブラックシリカ或いはジャモンストンの少なくとも一種からなる第1の鉱物4の粉体を約3重量%乃至10重量%混合すると共に、上記ゲルマニウムパウダーからなる第2の鉱物5を約0.05重量%乃至2重量%を均一に分散するように混合すると共に撹拌して液状の原料接着液6を製作する。そして、原料接着液6は、図2に示すように、スクリーン印刷法によって腹巻き1に対して印刷塗布される。すなわち、スクリーン7には、多数配列された上記小片膜3と同じ形状の開口部7aと、これらの開口部7aに隣接させたマスク部7bが形成されている。
【0021】
そして、腹巻き1の内面にスクリーン7を載せた後に、スキージ8を移動することによって原料接着液6が開口部7aを通して腹巻き1に移行して塗布される。この結果、原料接着液6は、図3に示すように、腹巻き1の繊維内に一部が含浸すると共に繊維表面に小片膜3が形成される。その後、原料接着液6を固化させることによって約10乃至150ミクロンの厚さの上記遠赤外線発生膜2が形成される。この遠赤外線発生膜2内には、図示のように、セラミックパウダー、ブラックシリカ或いはジャモンストンの少なくとも一種からなる第1の鉱物4の粉体、および、ゲルマニウムパウダーからなる第2の鉱物5の粉体がほぼ均一に分散されている。
【0022】
このようなスクリーン印刷法は、腹巻き1に多数の小片膜3のみを印刷形成する場合に好適である。多数の小片膜3を形成することによって上記遠赤外線発生膜2の形成する方法としては、スクリーン印刷法の他に、多数の小片膜3の形状を有する透孔を穿設した適宜の型紙を腹巻き1に添設した後に、上方からスプレーによって原料接着液6を噴射させて多数の小片膜3からなる遠赤外線発生膜2を形成しても良い。その他、周知の印刷法によって遠赤外線発生膜2を形成するようにしても良い。
【0023】
このようにして、セラミックパウダー、ブラックシリカ或いはジャモンストンの少なくとも一種からなる第1の鉱物4の粉体、および、ゲルマニウムパウダーからなる第2の鉱物5の粉体を有する多数の小片膜3から構成された遠赤外線発生膜2からはマイナスイオンが放射される。このマイナスイオンの量は、温度が摂氏20度、湿度30%乃至50%の環境において測定したところ、少なくとも200NS/cc以上が発生している。この発生量は、温度と湿度によっても発生量が多少変化し、温度と湿度が高くなるに従って発生量が増加する傾向がある。また、腹巻き1を着用したときには、遠赤外線発生膜2が肌に直接接触すると共に、身体の動きによって皮膚との間で摩擦が生ずることから、マイナスイオンの量は200NS/cc以上に上昇する。このとき、遠赤外線発生膜2が肌に直接接触しているので、マイナスイオンが直接身体内に浸透することになる。因みに、比較的マイナスイオンが多いとされる森林におけるマイナスイオン量は、約250NS/ccであり、上記腹巻き1着用することは、例えば軽井沢において常に森林浴を行っている場合と等価な活性化効果が得られることを意味している。尚、マイナスイオン発生量の測定方式は東大NY方式であり、測定機器は、神戸電波製KST−900を使用した。
【0024】
また、遠赤外線発生膜2からは、遠赤外線発生膜2からは、マイナスイオンと共に遠赤外線が放出される。図7乃至図10は、遠赤外線発生膜2から放射される遠赤外線の放射率および放射強度の状態を示している。
【0025】
図7は、遠赤外線発生膜2から放射される遠赤外線の放射率の実測値を示している。遠赤外線は、4.0乃至1,000ミクロンの波長を有し、光子エネルギーの浸透力が強く、生体内部まで到達して加温する性質を有している。図7に示すグラフは、横軸目盛りが測定波長(単位はミクロン)、縦軸目盛りが放射エネルギーの強さ(1平方cmあたりのW数)であり、点線で表示した曲線は、黒体(入射する光を100%吸収し、エネルギー放射能力が最大の物体)の放射エネルギーを示し、これ以上大きな放射エネルギーを示すものはない。
【0026】
一方、実線で表示した曲線は、本発明による遠赤外線発生膜2から放射される遠赤外線の放射エネルギーを示し、上記点線で表示した黒体の曲線に近接しているほど放射能力が高いものとなる。この図7に示すグラフにおいて、黒体の放射エネルギーの最大値が波長10ミクロンにおいて約1.2Wに対し、遠赤外線発生膜2から放射される放射エネルギーの強度の最大値は、波長9ミクロンにおいて約0.9Wと黒体に近接した放射エネルギーの強度を示している。これは、黒体に匹敵する放射エネルギー遠赤外線を身体に放射して加温することを意味している。因みに、上述したデータは、遠赤外線応用研究所において、測定温度が摂氏35度の環境で熱輻射測定装置によって計測したものである。
【0027】
図8は、遠赤外線発生膜2内にセラミックパウダーからなる第1の鉱物4の粉体を約5重量%混合すると共に、ゲルマニウムパウダーからなる第2の鉱物5を約1.0重量%混合した場合の遠赤外線の放射率を示している。ここで放射率とは、上記黒体の放射エネルギー強度を100としたときに、遠赤外線発生膜2から放射される遠赤外線の放射エネルギー強度の比率であり、最大値は100%である。図8から明らかなように、セラミックパウダーを混合した遠赤外線発生膜2からは、約80%の放射率で遠赤外線が放射されていることがわかる。
【0028】
図9は、遠赤外線発生膜2内にジャモンストンからなる第1の鉱物4の粉体を約5重量%混合すると共に、ゲルマニウムパウダーからなる第2の鉱物5を約1.0重量%混合した場合の遠赤外線の放射率を示している。図9から明らかなように、ジャモンストンを混合した遠赤外線発生膜2からは、上記セラミックパウダーよりも10%以上も高い約90%以上の放射率で遠赤外線が放射される。
【0029】
図10は、遠赤外線発生膜2内にブラックシリカらなる第1の鉱物4の粉体を約5重量%混合すると共に、ゲルマニウムパウダーからなる第2の鉱物5を約1.0重量%混合した場合の遠赤外線の放射率を示している。図10に示すように、ブラックシリカを混合した遠赤外線発生膜2からは、上記ブラックシリカとほぼ同様に約90%の放射率で遠赤外線が放射される。
【0030】
上述したように、繊維からなる肌着の所定個所に、セラミックパウダー及びゲルマニウムパウダー等の鉱物3の粉体からなる遠赤外線発生膜2から、大きな放射エネルギー強度の遠赤外線が放射される。この遠赤外線が身体を適度に暖め、肌着としての保温性を高められる。しかも、同時にマイナスイオンが発生するので、身体の不調個所を改善する効果を高められる。さらに、遠赤外線発生膜2が多数個の円形や多角形状に形成した小片膜3を互いに離間させて所定の範囲に配列して構成しているので、小片膜3の間から汗が放出されて通気性が良好となる。
【0031】
さらにまた、遠赤外線発生膜2を、鉱物4および鉱物5の粉体を混合した液状の原料接着剤6をスクリーン印刷等の印刷手段により腹巻き1に塗布または含浸させて固化することによって形成されるので、大量生産によって安価に製造される。
【0032】
次に、マイナスイオン発生体10について説明する。マイナスイオン発生体10は、図4および図5に示すように、上面側には半球状の突起部10aが形成され、底面は平坦に形成されている。そして、底面側の周囲には、ラジアル方向に延出した肉薄の鍔部10bが形成されている。さらに、突起部10aには複数状の溝10cが形成されている。尚、突起部10aには、溝の他、凹所であっても良い。
【0033】
このマイナスイオン発生体10は、主成分のシリコンに対して例えば適量のゲルマニウムのパウダーを混合した成形体であり、その硬さは、およそ人の親指程度になっている。また、鍔部10bにはミシン等の針を通すことが可能であり、従って、前述した腹巻き1に縫製することができる。
【0034】
マイナスイオン発生体10は、次のように形成される。まず、主成分のシリコンに対して適量のシロキサンやジメチルシロキサン、及び、メチルアルコール等の溶剤を含有させた原料液を上記の形状となる所定の型に注入して固化させることによって製造することができる。上記溶剤は速乾性を有しているので、比較的短時間に固化させることができる。上記原料液には、ゲルマニウムのパウダー、および微量の不可避的添加材が含まれる。その他、シリコンに対して少量のシリカや、微量の抗菌材や香料を混合した素材を使用してもよい。
【0035】
ゲルマニウムのパウダーは、例えば、主成分のシリコンに対して0.3乃至1重量%を混合する。ゲルマニウムの混合比率は、身体に対して所定のゲルマニウムによる効果が得られるように設定される。即ち、ゲルマニウムパウダーを0.3重量%以下にした場合はゲルマニウムによる効果が希薄になり、身体の不調個所を改善できない。一方、ゲルマニウムパウダーを1重量%以上混合した場合は、粘度が高くなるために成形が困難になり、さらに、ゲルマニウムによる効果は混合比率を高めても比例的な上昇が得られないことが判明し、また、ゲルマニウムパウダー自体が高価であることから、ゲルマニウムによる効果が得られる必要最小限の比率としている。
【0036】
このマイナスイオンの量は、温度が摂氏20度、湿度30%乃至50%の環境において測定したところ、図11に示すように、少なくとも250NS/cc以上が発生している。この発生量は温度と湿度によっても発生量が多少変化し、温度と湿度が高くなるに従って発生量が増加する傾向がある。また、時間の経過によっても変化するが、これは被測定体の場所の環境変化によるものと推測される。尚、マイナスイオン発生量の測定方式は東大NY方式であり、測定機器は、神戸電波製KST−900を使用した。
【0037】
上記マイナスイオン発生体10には、ゲルマニウムパウダー以外にもセラミックパウダー、ブラックシリカ或いはジャモンストンの少なくとも一種からなる鉱物の粉体を混合して、前述した遠赤外線発生膜2と同等の効果が得られるようにしても良いが、指圧効果のみを得たい場合には、主成分のシリコンに成形に必要な不可避的添加材を混合するだけでも良い。
【0038】
以上のように構成したマイナスイオン発生体10は、図1に示すように、一列3個のマイナスイオン発生体10を左右2列配置し、合計6個からなるマイナスイオン発生群としている。この配置は、腹巻き1を装着したときに、人体のつぼに突起部10aが当接する位置が好ましい。また、個々のマイナスイオン発生体10は、図4に示すように、腹巻き1の内面に糸12によって縫製されている。尚、マイナスイオン発生体10の底面が平坦に形成されているので、接着によって固定しても良い。
【0039】
マイナスイオン発生群を腹巻き1の内面に配設することによって、マイナスイオン発生群は、突起部によって人体のつぼを刺激すると共につぼに対してマイナスイオンを発生させ、上記遠赤外線発生膜と協同して人体に対する改善効果が得られる。
【実施例2】
【0040】
図6は、本発明に関わる肌着の第2の実施例として、繊維体を織ったパンツ20に適用した例を示している。肌着としてのパンツ20は、木綿、羊毛、或いは、ナイロン、テトロン等の合成繊維等の繊維体を織られている。そして、パンツ20の内面には、前述した腹巻き1と同様に、遠赤外線発生膜2と、この遠赤外線発生膜2の上に複数個のマイナスイオン発生体10からなるマイナスイオン発生群11が設けられている。これら遠赤外線発生膜2とマイナスイオン発生群11は、後方の背側に形成されている。
【0041】
パンツ20の内面に設けた遠赤外線発生膜2も、多数個の六角形状に形成した小片膜3を互いに離間した状態で所定の範囲に配列することにより構成されている。小片膜3の寸法は、前述した例と同様に、対向する辺の長さを約3mm乃至15mmに設定している。
【0042】
この遠赤外線発生膜2は、セラミックパウダー、ブラックシリカ或いはジャモンストンからなる第1の鉱物4の粉体、及びゲルマニウムパウダーからなる第2の鉱物5の粉体を繊維に接着可能な液状接着剤に混合した状態でパンツ20の内面に塗布した後に固化させることによって形成されている。上記粉体は、セラミックパウダー、ブラックシリカ或いはジャモンストンのいずれか一種、または二種以上を適宜な分量で混合して使用しても良い。
【0043】
上述したパンツ20においても、内面にセラミックパウダー及びゲルマニウムパウダー等の鉱物4の粉体からなる遠赤外線発生膜2から大きな放射エネルギー強度の遠赤外線が放射され、この遠赤外線が特に腰を適度に暖め、腰痛等を改善する。さらに、マイナスイオンが発生するので、特に腰の不調個所が改善される。遠赤外線によって腰を適度に暖めたときに発汗することもあるが、遠赤外線発生膜2が多数個の円形や多角形状に形成した小片膜3を互いに離間させて所定の範囲に配列しているので、小片膜3の間から汗が放出することができる。
【0044】
また、マイナスイオン発生体10についても、前述した腹巻き1と同様に、主成分のシリコンに対して例えば適量のゲルマニウムのパウダーを混合した成形体であり、その硬さは、およそ人の親指程度になっている。また、鍔部10bを縫製することによってパンツ20の内面に固定されている。そして、マイナスイオン発生群をパンツ20の内面に配設することによって、マイナスイオン発生群は、突起部によって人体のつぼを刺激すると共につぼに対してマイナスイオンを発生させ、上記遠赤外線発生膜と協同して人体に対する改善効果が得られる。
【0045】
以上、本発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。前述した実施例においては、肌着として腹巻きおよびパンツを例示して説明したが、これらの形状や構成は適宜に変更可能である。また、遠赤外線発生膜を設ける位置や大きさについても適宜に変更可能である。さらに、肌着としては、その他、Tシャツ、ズボン下、靴下、ショーツ、等々に適用可能であり、この場合、遠赤外線発生膜は適宜の位置や大きさに設けることができる。さらにまた、上述した第1の鉱物として、セラミックパウダー、ブラックシリカ或いはジャモンストンを示したが、これらは主成分であって、肌着に接着する上で必要な粉体や素材を混合しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、腹巻きやパンツ等の肌着に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に関わる肌着の第1の実施例として腹巻きに適用した例を示す斜視図である。
【図2】肌着に対してスクリーン印刷法により塗布させる状態を示す説明図である。
【図3】肌着に遠赤外線発生膜を設けた状態を示す拡大説明図である。
【図4】肌着にマイナスイオン発生体を縫製した状態を示す断面図である。
【図5】肌着にマイナスイオン発生体を縫製した状態を示す要部平面図である。
【図6】本発明に関わる肌着の第2の実施例としてパンツに適用した例を示す斜視図である。
【図7】遠赤外線発生膜から放射される遠赤外線の放射強度を示す特性図である。
【図8】遠赤外線発生膜内にセラミックパウダーを混合した場合の遠赤外線の放射率を示す特性図である。
【図9】遠赤外線発生膜内にジャモンストンを混合した場合の遠赤外線の放射率を示す特性図である。
【図10】遠赤外線発生膜内にブラックシリカを混合した場合の遠赤外線の放射率を示す特性図である。
【図11】マイナスイオン発生体におけるマイナスイオンの発生量の推移を示す特性図である。
【符号の説明】
【0048】
1 腹巻き(肌着)
2 遠赤外線発生膜
3 小片膜
4 第1の鉱物
5 第2の鉱物
6 原料接着剤
7 スクリーン
10 マイナスイオン発生体
10a 突起部
10b 鍔部
10c 溝
11 マイナスイオン発生群
12 糸
20 パンツ(肌着)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維からなる肌着には、多数個の小片膜を互いに離間させて所定の範囲に配列して構成した遠赤外線発生膜と、マイナスイオンを発生する主成分がシリコンからなるマイナスイオン発生体を複数個配列したマイナスイオン発生群とを上記肌着の内面に設けたことを特徴とする肌着。
【請求項2】
遠赤外線発生膜を構成する小片膜は、セラミックパウダー、ブラックシリカ或いはジャモンストン、及びゲルマニウムパウダー等の鉱物の粉体を繊維に接着可能な液状接着剤に混合して上記肌着の内面にスプレーや印刷等により塗布または含浸して固化した請求項1に記載の肌着。
【請求項3】
マイナスイオン発生体は、主成分のシリコンにゲルマニウムやセラミック等のパウダーを混合して所定形状に成形した請求項1に記載の肌着。
【請求項4】
マイナスイオン発生体は、略半球状の突起部と、底面側からラジアル方向に延出した鍔部とを有し、上記突起部には複数の溝や凹所が形成され、上記鍔部は縫製可能に形成されている請求項1および3に記載の肌着。
【請求項5】
上記肌着の内面に設けられた遠赤外線発生膜およびマイナスイオン発生体は、身体の肌に接触するように構成した請求項1乃至4に記載の肌着。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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