説明

肝臓の健康状態を改善するための植物を主体とした製剤

本発明は、アルコールによる及び化学的な損傷から肝臓を保護することによって及び/又はフェーズII酵素を誘導することによって肝臓の健康状態を改善するための植物を主体とした製剤を指向する。本発明に係る製剤は、ワサビ根繊維粉末、チョウセンアザミ葉抽出物、乾燥アスパラガス、葛根抽出物、オレガノ抽出物、チョウセンゴミシ抽出物、サンシチニンジン(Panax notoginsengの根のエタノール抽出物)、サンチ(Panax notoginsengの根の水抽出物)、峨眉葛藤根抽出物(Pueraria omeiensis)、乾燥ホウレンソウ又はそれらの組み合わせを含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
本発明は、良好な肝臓の健康状態に役立つように相乗的に機能する植物を主体とする抽出物の独特の製剤を指向する。さらに具体的には、本発明は、アルコールによる及び化学的に誘発される損傷から肝臓を保護するのを助ける植物を主体とする抽出物の独特の製剤に関する。
【0002】
肝臓は、生体で最も激しく働く臓器の1つである。良好な肝臓の機能は、バランスの取れたホルモンのレベル、体重の制御と維持、コレステロールのレベル、皮膚の健康及び身体全体の健康にとって重要である。肝臓は、生体の情報センターとして作用し、アルコールを含む多数の物質の代謝に関与し、生体における毒素の解毒に重要な役割を担う。フェーズII酵素は、生体から発癌の可能性を除くのに役立つので、この解毒過程の一部である。生体におけるその機能の結果、肝臓は、環境の毒素、不純物、アルコール、処方薬及び市販薬からの絶え間ない攻撃のもとにあり、それらからの損傷を受ける傾向がある。たとえば、四塩化炭素、ニトロソアミン及び多環式芳香族炭化水素のような多数の肝毒性物質は、肝酵素によって代謝的に活性化されて、ヒトの肝臓に損傷を起こす反応性の毒性代謝産物を形成する。従って、アルコールや四塩化炭素による損傷から肝臓を保護するのに役立つ植物を主体とする抽出物の製剤は有用であろう。さらに、肝臓を解毒するのに関与するフェーズII酵素を誘導する植物主体の製剤も有用であろう。
【0003】
発明の要約
本発明は、四塩化炭素及びアルコールによる損傷から肝臓を保護するように機能することによって肝臓の健康状態を改善する独特の植物を主体とした製剤を指向する。本発明の製剤は、テトラゾリウム塩である臭化3−(4,5−ジメチルチアゾリル−2)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム(「MTT」)及び乳酸脱水素酵素(「LDH」)のような指標によって測定されるような、ヒト肝細胞に対する強力な保護能力を示している。さらに、これらの抽出物及びそれらの組み合わせは、強力なフェーズII酵素の誘導活性を示す。フェーズII酵素の誘導アッセイは、解毒事象を示すキノン還元酵素(フェーズII酵素)を誘導する試料の能力を測定する。
【0004】
従って、実施態様の1つでは、本発明は、ワサビの根の繊維粉末、チョウセンアザミの葉の抽出物、アスパラガス抽出物、葛根の抽出物、オレガノ抽出物、チョウセンゴミシ抽出物(schisandra berry extract)、サンシチニンジン(notoginseng)(Panax notoginsengの根のエタノール抽出物)、サンチ(sanchi)(Panax notoginsengの根の水抽出物)、峨眉葛藤根(Gegen)(Pueraris omeiensis)、乾燥させたホウレンソウ又はこれらの組み合わせを含む肝臓の健康状態を改善するための製剤を提供する。
【0005】
別の実施態様では、ワサビの根の繊維粉末、チョウセンアザミの葉の抽出物、アスパラガス抽出物、葛根の抽出物、オレガノ抽出物、チョウセンゴミシ抽出物、サンシチニンジン(Panax notoginsengの根のエタノール抽出物)、サンチ(Panax notoginsengの根の水抽出物)、峨眉葛藤根(Pueraris omeiensis)、乾燥させたホウレンソウ又はこれらの組み合わせを提供することによって、四塩化炭素(「CCl4」)による損傷から肝臓を保護する方法を提供する。
【0006】
さらに別の実施態様では、本発明は、ワサビの根の繊維粉末、チョウセンアザミの葉の抽出物、アスパラガス抽出物、葛根の抽出物、オレガノ抽出物、チョウセンゴミシ抽出物、サンシチニンジン(Panax notoginsengの根のエタノール抽出物)、サンチ(Panax notoginsengの根の水抽出物)、峨眉葛藤根(Pueraris omeiensis)、乾燥させたホウレンソウ又はこれらの組み合わせを提供することによって、アルコールによる損傷から肝臓を保護する方法を提供する。
【0007】
さらに別の実施態様では、本発明は、ワサビの根の繊維粉末、チョウセンアザミの葉の抽出物、アスパラガス抽出物、葛根の抽出物、オレガノ抽出物、チョウセンゴミシ抽出物、サンシチニンジン(Panax notoginsengの根のエタノール抽出物)、サンチ(Panax notoginsengの根の水抽出物)、峨眉葛藤根(Pueraris omeiensis)、乾燥させたホウレンソウ又はこれらの組み合わせを提供することによって、フェーズII酵素を誘導する方法を提供する。
【0008】
発明の詳細な説明
本発明は、本明細書に記載される特定の方法論又はプロトコールに限定されないことが理解されるべきである。さらに、特に限定しない限り、本明細書で使用される技術的用語及び科学的用語はすべて、本発明が属する技術の当業者に一般に理解されるのと同様の意味を有する。本明細書で使用される用語は、特定の実施態様のみを記載することを目的とし、クレームによってのみ限定されるであろう本発明の範囲を限定することを意図しないことも理解されるべきである。
【0009】
本発明の製剤で使用される成分
本発明は、表1でさらに完全に記載される以下の成分:ワサビ根の繊維粉末、チョウセンアザミの葉の抽出物、アスパラガス抽出物、葛根の抽出物、オレガノ抽出物、チョウセンゴミシ抽出物、サンシチニンジン(Panax notoginsengの根のエタノール抽出物)、サンチ(Panax notoginsengの根の水抽出物)、峨眉葛藤根(Pueraris omeiensis)、及び乾燥させたホウレンソウの独特の組み合わせが肝臓の健康状態を改善するという驚くべき発見に基づく。
【0010】
さらに具体的には、本発明の製剤は、アルコール及び四塩化炭素による損傷から肝臓を保護することによって肝臓の健康状態を改善する。さらに、製剤は、フェーズII酵素を誘導することによって肝臓の健康状態を改善する。フェーズII酵素は、生体からのそれらの除去に役立つことによって発癌の可能性を除くことに関与する。
【0011】
「アルコールによる損傷に対して肝臓を保護すること」及び「四塩化炭素による損傷に対して肝臓を保護すること」は、既存の肝機能を保存する又は改善するための本明細書で記載される製剤の能力を言う。
【0012】
【表1】





【0013】
本発明の製剤
表2は、栄養補助食品に含むことができる成分の代表的な1日の量を説明する。
【表2】

【0014】
実施例
以下は、本発明に従って錠剤化された製剤の説明的な実施例であり、それらは本発明の範囲を限定しないことが理解されるべきである。
【0015】
実施例1

【0016】
実施例2

【0017】
実施例3

【0018】
実施例4

【0019】
実施例5

【0020】
実施例6

【0021】
実施例7

【0022】
実施例8

【0023】
実施例9

【0024】
当該業界で知られる典型的な方法に従って、上記の例示となる錠剤化された製剤を製造することができる。たとえば、ワサビ根繊維粉末、チョウセンアザミの葉抽出物、チョウセンゴミシ抽出物、サンシチニンジン及び乾燥したホウレンソウを、20メッシュのふるいを備えたSWECOセパレータに通して100立方フィートのPK混合機に入れる。微小結晶セルロースを加えて、PK混合機にて混合する。成分を10分間混合する。セルロースゴム及び二酸化珪素を20メッシュのふるいを備えたSWECOセパレータに直接通して100立方フィートのPK混合機に入れる。成分を10分間混合する。次に、ステアリン酸を20メッシュのふるいを備えたSWECOセパレータに直接通して100立方フィートのPK混合機に入れる。混合物をさらに5分間混合する。混合物をトートバッグ又はスーパーサックに排出し、錠剤に圧縮する。
【0025】
投与方法
健康、肝機能を増進し、アルコール及び/又は化学物質による肝臓に対する損傷に対して保護し、及び/又はフェーズII酵素を誘導して健康な肝機能を促すために、本発明の製剤を許容可能なキャリア中で製剤化し、調製し、包装し、標識してもよい。本発明の製剤及びその許容可能なキャリアを、丸薬、錠剤、使用前に水又は好適なビヒクルによって再構成するための乾燥製品又は粉末製品、棒、食品、溶液、シロップ、懸濁液、飲料、トローチ剤などの形態で経口投与用に製剤化してもよい。本発明の製剤は、非経口的に投与されてもよく、又は吸入若しくは吹き入れ(口又は鼻のいずれかを介して)によって投与されてもよい。
【0026】
たとえば、懸濁剤(たとえば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は水素添加の食用脂肪)、乳化剤(たとえば、レシチン又はアカシア)、非水性ビヒクル(たとえば、アーモンド油、油性エステル又は分画された植物油)、及び保存剤(たとえば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル若しくはプロピル又はソルビン酸)のような薬学上許容可能な添加剤と共に、従来の手段によって液体製剤を調製してもよい。飲料の形態で投与する場合、本発明の製剤は、水を主体にしてもよく、ミルクを主体にしてもよく、茶を主体にしてもよく、果実ジュースを主体にしてもよく又はそれらの一部組み合わせであってもよい。
【0027】
たとえば、結合剤(たとえば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(たとえば、ラクトース、微小結晶セルロース又はリン酸水素カルシウム)、潤滑剤(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ)、崩壊剤(たとえば、セルロースゴム、ジャガイモデンプン又はデンプングリコール酸ナトリウム)、或いは湿潤剤(たとえば、ラウリル硫酸ナトリウム)のような薬学上許容可能な添加剤と共に、従来の手段によって調製される固形の形態で、本発明の製剤を経口投与してもよい。
【0028】
経口投与される本発明の製剤は、キサンタンゴム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、微小結晶セルロース、デンプン、デキストリン、発酵乳清、豆腐、マルトデキストリン、糖アルコール(たとえば、ソルビトール及びマンニトール)を含むポリオール、炭水化物(たとえば、ラクトース)、アルギン酸プロピレングリコール、ゲランゴム、グア、ペクチン、トラガントゴム、アカシアゴム、イナゴマメゴム、アラビアゴム、ゼラチンを含む濃厚剤、並びにこれら濃厚剤の混合物をさらに含むことができる。
【0029】
本発明の経口投与される製剤は、炭水化物甘味料並びに天然の及び/又は人工的な無カロリー/低カロリーの甘味料を含む有効量の1以上の甘味料を含有することができる。本発明の製剤における甘味料の量は変化するが、通常、使用される甘味料の種類及び所望の甘味強度に依存する。
【0030】
前に記載された製剤に加えて、持続性放出製剤及び/又は徐放性製剤としても化合物を製剤化してもよい。製剤は、有効である最低の治療用量を上回って維持されなければならない。一般的な徐放性送達システム及び/又は制御放出送達システムには、デンプン、浸透圧ポンプ、又はゼラチン微小カプセルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
所望であれば、製剤は、本発明の製剤を含む1以上の単位投与形態を含んでもよい梱包又は取り出し容器にて提示されてもよい。梱包は、たとえば、ブリスターパックのような金属又はプラスチックのホイルを含んでもよい。梱包又は取り出し容器には、投与のための指示書が伴ってもよい。
【0032】
当業者によく理解されている方法及び技法によってそのほかの有用な投与形態を調製することができ、投与形態は、錠剤、カプセル又は液体投与形態を製造することにおいて追加の成分の使用を含んでもよい。用量及び投与回数は、個々の消費者又は患者の年齢、体重、症状及び応答、並びに使用される本発明の製剤に従って変化する。
【0033】
前述の詳細な説明は、限定することではなく説明的であるとみなされることが意図される。限定すると解釈されるべきではない以下の実験的検討及び実施例によって本発明をさらに説明する。
【0034】
個々の成分に関するバイオアッセイ試験
幾つかの物質をバイオアッセイ試験に供して、アルコールにより及び化学的に誘発される肝臓の損傷に対するその保護能力を予測しようとした。これを評価するために、ヒト肝細胞を物質及び損傷の原因によって処理し、2つの異なるアッセイを用いて細胞の生存率を測定した。アルコールによる損傷は、損傷の原因として2.5%のエタノールを用いて模倣した。化学的な損傷の原因には0.2%CCl4を用いた。これらの濃度は、それらが、予備実験で20%の細胞死を生じた濃度なので、不可逆的な細胞死/損傷を細胞に受けさせることはないために選択された。
【0035】
物質は、3種の濃度(1、10及び100μg/mL)で調べ、EC−50の推定値を決定した(さらに詳細には以下の実験の区分を参照のこと)。細胞の生存率アッセイに加えて、フェーズII酵素の誘導試験を行って、物質が解毒特性を有するかどうか決定した。フェーズII酵素の誘導アッセイは、解毒事象を示すキノン還元酵素(フェーズII酵素)を誘導する試料の能力を測定する。フェーズII酵素は、生体からの除去に役立つことによって潜在的な発癌物質を除くことに関与する。ブロッコリーは、そのスルホラファン含量のために良好なフェーズII酵素の誘導物質として知られる。純粋なスルホラファンは、106U/gの活性を有するが、ブロッコリーは、4000〜74,000U/gの報告された活性を有する(品種、形態及び/又は抽出条件による)。30,000U/gを超える活性は優れているとみなされる。5000U/g未満の活性は最低であるとみなされる。良好なフェーズII酵素の誘導物質とみなされる物質はほとんど15,000〜30,000U/gの活性を有する。
【0036】
表3及び表4は、調べた物質すべてのEC−50値を要約する。表3は、具体的にはエタノールに対する保護の結果であり、表4は四塩化炭素に対する保護の結果である。表5は、フェーズII酵素の誘導アッセイの結果を提供する。
【0037】
【表3】



【0038】
【表4】



【0039】
【表5】



*材料の新鮮重量のグラム当たりの誘導物質単位。−=無視してよい活性、+=わずかな活性、++=良好な活性、+++=非常に良好な活性、++++=優秀な活性。**細胞に対する毒性のために報告不能。
【0040】
実験
エタノール保護及びCCl4の評価について、DMSOにてストック試料溶液を作製し、次いで試験のために細胞培養培地で希釈した。96穴マイクロタイタープレートの3つのウエルのそれぞれに100μLの試料を加えることによってHepG2(ヒト肝細胞株)の処理を行った。4時間のインキュベートの後、損傷の原因(2.5%エタノール又は0.2%四塩化炭素)を加え、さらに一晩のインキュベートを行った。翌日、2つの異なったアッセイを用いて細胞の生存率を測定した。第1に、プロメガのCytoTox−ONE均質膜整合性アッセイを用いて、培地に放出されるLDHを測定することによって非生存細胞の数を計数した。細胞膜が傷つけられると細胞からLDHが漏出する。第2のアッセイは、MTTアッセイであり、生存細胞のミトコンドリアによる黄色のテトラゾリウム塩から不溶性の紫色のホルマザン生成物への還元を測定する。MTT溶液とのインキュベートに続いて、イソプロパノールを加えて着色した結晶を可溶化する。生成された着色の量は、生存細胞の数に直接比例する。
【0041】
フェーズII酵素の誘導アッセイについては、ストック試料溶液をアセトニトリルで作製し、次いで試験のために細胞培養培地で希釈する。96穴マイクロタイタープレートの3つのウエルのそれぞれに150μLの試料を加えることによってHepa1c1c7細胞(マウスの肝臓癌細胞株)の処理を行った。48時間のインキュベートの後、MTTのNADPH依存性のメナジオール介在性の還元を測定することによってキノン還元酵素の誘導活性を立証する。活性は、材料の新鮮重量のグラム当たりの誘導物質単位として報告され、誘導物質活性の1単位は、Hepa1c1c7細胞のキノン還元酵素の比活性を二倍にするのに必要とされる誘導物質の量として定義される。
【0042】
成分の組み合わせに関するバイオアッセイ試験
肝臓解毒成分の幾つかの組み合わせをバイオアッセイ試験に供してアルコールによる及び化学的に誘導される肝臓の損傷に対するそれらの保護能力を予測しようとした。これらの混合物は、肝臓の健康状態に関する市場にすでにある2つの製品、ヌトリライト(登録商標)オオアザミとタンポポ及び中国のキングドリンクと平行して調べた。これを評価するために、ヒト肝細胞を物質及び損傷の原因によって処理し、2つの異なるアッセイを用いて細胞の生存率を測定した。アルコールによる損傷は、損傷の原因として2.5%のエタノールを用いて模倣した。化学的な損傷の原因には0.2%CCl4を用いた。これらの濃度は、それらが、予備実験で20%の細胞死を生じた濃度なので、不可逆的な細胞死/損傷を細胞に受けさせることはないために選択された。物質は、3種の濃度(1、10及び100μg/mL)で調べ、EC−50の推定値を決定した(さらに詳細には以下の実験の区分を参照のこと)。5Lの血液(ヒトでの平均容積)に物質が10%吸収されることを想定して、10μg/mL以下のEC−50値を持つ物質が最も有効であることを示す。
【0043】
CCl4による肝細胞の損傷に対して最大の有効性を示す混合物は、8523−25−CI(実施例1)、8523−27−CI(実施例8)、8523−28−CI(実施例2)及び8523−30−CI(実施例3)だった。良好に機能する(10μg/mL以下で40%保護を示す)そのほかの混合物は、8523−20−CI、8523−22−CI、8523−24−CI、8523−26−CI及び8523−31−CIだった。10μg/mL以下でエタノールによる肝細胞の損傷に対して有効性を示す混合物はなかった。対照製品(ヌトリライトオオアザミ及びキングドリンク)も10μg/mL以下のEC−50値を達成しなかった。100μg/mLを超えるEC−50値を有する混合物は、8523−28−CI(実施例2)、8523−30−CI(実施例30)、8523−31−CI(実施例4)及び8523−32−CI(実施例5)であった。表6〜9は、調べた試料すべての結果を要約する。これらの結果は図1〜4にも見られる。
【0044】
表6:エタノール保護の評価に関するMTTアッセイの結果
(*=1以上の濃度で達成されたEC−40)
【表6】

【0045】
表7:エタノール保護の評価に関するLDHアッセイのEC−50の結果
(*=1以上の濃度で達成されたEC−40)
【表7】

【0046】
表8:CCl4保護の評価に関するMTTアッセイのEC−50の結果
(*=1以上の濃度で達成されたEC−40)
【表8】

【0047】
表9:CCl4保護の評価に関するLDHアッセイのEC−50の結果
(*=1以上の濃度で達成されたEC−40)
【表9】

【0048】
細胞の生存率アッセイに加えて、フェーズII酵素の誘導試験も行って物質が解毒特性を有するかどうか決定した。フェーズII酵素の誘導アッセイは、解毒事象を示すキノン還元酵素(フェーズII酵素)を誘導する試料の能力を測定する。ブロッコリーは、そのスルホラファン含量のために良好なフェーズII酵素の誘導物質として知られる。純粋なスルホラファンは、106U/gの活性を有するが、ブロッコリーは、4000〜74,000U/gの報告された活性を有する(品種、形態及び/又は抽出条件による)。30,000U/gを超える活性は優れているとみなされる。5000U/g未満の活性は最低であるとみなされる。良好なフェーズII酵素の誘導物質とみなされる物質はほとんど15,000〜30,000U/gの活性を有する。
【0049】
調べた混合物はすべて、良好〜優秀なフェーズII酵素の誘導活性を有していた。最高の活性は8523−27(実施例8)で得られ、最低の活性は8523−31(実施例4)で得られた。優秀な活性は、8523−22、8523−23、8523−30(実施例30)、8523−32(実施例5)及び8523−33で得られた。表10は、調べた試料すべてに関するフェーズII酵素の誘導アッセイの結果を提供する。
【0050】
表10:フェーズII酵素(キノン還元酵素)の誘導アッセイの結果
【表10】

*材料の新鮮重量のグラム当たりの誘導物質単位。−=無視してよい活性、+=わずかな活性、++=良好な活性、+++=非常に良好な活性、++++=優秀な活性。**細胞に対する毒性のために報告不能。
【0051】
実験
DMSOにてストック試料溶液を作製し、次いで試験のために細胞培養培地で希釈した。96穴マイクロタイタープレートの3つのウエルのそれぞれに100μLの試料を加えることによってHepG2(ヒト肝細胞株)の処理を行った。4時間のインキュベートの後、損傷の原因(2.5%エタノール又は0.2%四塩化炭素)を加え、さらに一晩のインキュベートを行った。翌日、2つの異なったアッセイを用いて細胞の生存率を測定した。第1に、プロメガのCytoTox−ONE(商標)均質膜整合性アッセイを用いて、培地に放出されるLDHを測定することによって非生存細胞の数を計数した。細胞膜が傷つけられると細胞からLDHが漏出する。第2のアッセイは、MTTアッセイであり、生存細胞のミトコンドリアによる黄色のテトラゾリウム塩から不溶性の紫色のホルマザン生成物への還元を測定する。MTT溶液とのインキュベートに続いて、イソプロパノールを加えて着色した結晶を可溶化する。生成された着色の量は、生存細胞の数に直接比例する。
【0052】
先ず、3つの二つ組を平均した後、各ウエルの毒性比率(1−実験値/陰性対照)を算出することによって保護を決定する。次いで、以下(陽性対照の%毒性−試料の%毒性)/陽性対照の%毒性によって保護比率を算出するが、陽性対照は、2.5%エタノール又は0.2%四塩化炭素のいずれかである。次いで、50%の保護(EC−50)を示す濃度を評価することができる。この実験の目的では、これは、<1、1、1〜10、10、10〜100、100又は>100μg/mLのいずれかとして類別した。
【0053】
フェーズII酵素の誘導アッセイについては、ストック試料溶液をアセトニトリルで作製し、次いで試験のために細胞培養培地で希釈する。96穴マイクロタイタープレートの3つのウエルのそれぞれに150μLの試料を加えることによってHepa1c1c7細胞(マウスの肝臓癌細胞株)の処理を行った。48時間のインキュベートの後、MTTのNADPH依存性のメナジオール介在性の還元を測定することによってキノン還元酵素の誘導活性を立証する。活性は、物質の新鮮重量のグラム当たりの誘導物質単位として報告され、誘導物質活性の1単位は、Hepa1c1c7細胞のキノン還元酵素の比活性を二倍にするのに必要とされる誘導物質の量として定義される。
【0054】
哺乳類の試験
臨床試験を行って肝臓の健康状態に対する製剤の有効性を確認することができる。化学的な損傷及びアルコールによる損傷から肝臓を保護することによって製剤は肝臓の健康状態を改善するだろうことが期待される。そのような試験のプロトコールが以下に続く。
【0055】
プロトコール1:CCl4による肝臓損傷モデル
1.1 原理
CCl4がミクロソームの酵素によって活性化されると、トリクロロメタンの遊離ラジカル(CCl3)が形成される。この遊離ラジカルとタンパク質の共有結合によって、結果としてタンパク質合成の損傷及び脂質の異化作用の障害を生じ、肝細胞におけるトリグリセリド(TG)の蓄積を引き起こす。CCl3はまた、O2と迅速に結合して過酸化トリクロロメタン遊離ラジカル(CCl32-2を形成し、それが脂質の過酸化を招き、それが原因で細胞膜の分解損傷、酵素の漏出、種々の病態変化及び壊死を生じる。
【0056】
1.2 実験動物
単一性別の成熟ラット又はマウス。各群は、8〜12匹のラット(180〜220g)又は10〜15匹のマウス(18〜22g)から成る。
【0057】
1.3 実験方法及び手順
1.3.1 試験試料の投与量群及び投与持続期間
投与量群3つ、ブランク対照群1つ及びモデル対照群1つを設定する。投与量群の1つの投与量は、ヒトで推奨される投与量の10倍(マウス)又は5倍(ラット)である。CCl4(分析用純度)を用いて肝臓損傷モデルを形成する。モデルを形成する方法では、胃内投与又は腹腔内注射を用いることができる。マウスにおける胃内投与用のCCl4の濃度は1%である。食用植物油でCCl4を希釈し、胃内投与用の投与量は、5mL/kg体重(CCl4換算の投与量は、80mg/kg体重である)。ラットにおける胃内投与用のCCl4の濃度は2〜3%であり、投与量は、5mL/kg体重(CCl4換算の投与量は、160〜240mg/kg体重)である。必要に応じて陽性対照群及び溶媒対照群を設定してもよい。試験試料の投与持続期間は30日間であり、必要に応じて45日まで延長することができる。
【0058】
1.3.2 試験試料の投与経路
試験試料は、胃内に投与される。これが不可能な場合、試験試料を餌又は飲料水と混合し、餌の摂取及び飲水を記録する。
【0059】
1.3.3 実験手順
実験群の動物には試験試料を毎日胃内に投与する一方で、ブランク対照群及びモデル対照群の動物には蒸留水を与える。試験試料の投与量を調整するために動物は、週2回体重を測定する。実験の30日目の前夜、種々の群の動物を16時間絶食させる。モデル群及び種々の試験試料群の動物には胃内に単回用量のCCl4を投与し、ブランク対照群の動物には植物油を与える。実験群の動物は、実験の終了まで試験試料を服用し続ける(試験試料とCCl4の投与間隔は4時間を超える)。CCl4を与えた後、実際の条件に従って24時間後又は48時間後に動物を屠殺する。採血し、ALT及びASTを測定するために血清を分離する。組織病理学的検査用に肝臓を摘出する。
【0060】
1.3.4 測定のための指標
血清のグルタミン酸−ピルビン酸トランスアミナーゼ(ALT)、グルタミン酸−オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(AST)、肝臓の組織病理学的検査。
【0061】
1.4 ALT及びASTの測定
1.4.1 測定方法
完全自動化生化学分析機又はレイトマン−フランケル法(試薬キット)を選択することができる。
【0062】
1.4.1 データ処理及び結果の評価
分散分析を使用するが、先ず、分散分析の手順に従って等分散性検定を行うべきである。分散が均質であるならば、F値を算出する。F値が<F0.05であれば、結論は、異なった群の平均値の間の差異は有意ではないとなる。F値がF0.05以下及びPが0.05以下であれば、統計的分析には、幾つかの実験群と1つの対照群との間の平均値の一対比較の方法を使用する。異常な分布又は不等分散を持つデータについては、変数の適当な変換を行い、正常な分散又は等分散性の要件を満たした後、変換したデータを統計的分析に使用する。変数の変換の後、正常な分散又は等分散性の目的が依然として達成されなければ、順位検定を統計的分析に使用する。
【0063】
試験試料におけるALT及びASTがモデル対照群のそれらと有意に異なっていれば、ALT及びASTの結果はそれぞれ、陽性として評価することができる。
【0064】
1.5 肝臓の組織病理学的変化:診断基準及び結果の評価
1.5.1 実験材料
ラット肝臓の左葉を10%ホルマリンで固定する。病理切片(パラフィン包埋、HE染色)の日常的な調製のために肝臓の左葉の中央部の断面から肝臓組織を採取する。
1.5.2 顕微鏡検査
組織切片全体を連続して観察するために40倍の対物レンズを用いて、細胞の病理学的変化を肝臓の一方の端の視野から始めて記録する。葉の中央の肝細胞の変性的変化及び壊死を見ることができる。病理学的変化の主な種類は、肝細胞の気球状変性、脂肪変性、細胞質の濃縮、水症性変性及び壊死である。
【0065】
1.5.3 格付け基準
各視野における視野の領域の部分を説明する各病理学的変化をそれぞれ記録し、観察された視野における病理学的変化の全スコアを合算する。
肝細胞の気球状変性(細胞の膨潤、細胞質がほとんど残らない)

大雑把に正常 (0点)
全視野の1/4を占める気球状変性を持つ肝細胞 (1点)
全視野の1/2を占める気球状変性を持つ肝細胞 (2点)
全視野の3/4を占める気球状変性を持つ肝細胞 (3点)
全視野を占める気球状変性を持つ肝細胞 (4点)

肝細胞の脂肪変性(はっきりと境界の分かる脂質滴の液胞が肝細胞の細胞質に現れる)
大雑把に正常 (0点)
全視野の1/4を占める脂肪変性を持つ肝細胞 (1点)
全視野の1/2を占める脂肪変性を持つ肝細胞 (2点)
全視野の3/4を占める脂肪変性を持つ肝細胞 (3点)
全視野を占める脂肪変性を持つ肝細胞 (4点)

細胞質の濃縮(エオシン好性染色が高められる)
大雑把に正常 (0点)
全視野の1/4を占める細胞質の濃縮を持つ肝細胞 (1点)
全視野の2/4を占める細胞質の濃縮を持つ肝細胞 (2点)
全視野の3/4を占める細胞質の濃縮を持つ肝細胞 (3点)
全視野を占める細胞質の濃縮を持つ肝細胞 (4点)

水症性変性
水症性変性を持つ肝細胞は見られない (0点)
全視野の1/4を占める水症性変性を持つ肝細胞 (1点)
全視野の2/4を占める水症性変性を持つ肝細胞 (2点)
全視野の3/4を占める水症性変性を持つ肝細胞 (3点)
全視野を占める水症性変性を持つ肝細胞 (4点)

肝細胞の壊死(細胞質のエオシン好性変化、凝集性壊死)
壊死細胞は見られない (0点)
全視野の1/4を占める散在性壊死細胞 (1点)
全視野の2/4を占める壊死細胞 (2点)
全視野の3/4を占める壊死細胞 (3点)
全視野を占める広汎性壊死細胞 (4点)
【0066】
1.5.4 データ処理及び結果の評価
分散分析を使用するが、先ず、分散分析の手順に従って等分散性検定を行うべきである。分散が均質であるならば、F値を算出する。F値が<F0.05であれば、結論は、異なった群の平均値の間の差異は有意ではないとなる。F値がF0.05以下及びPが0.05以下であれば、統計的分析には、幾つかの実験群と1つの対照群との間の平均値の一対比較の方法を使用する。異常な分布又は不等分散を持つデータについては、変数の適当な変換を行い、正常な分散又は等分散性の要件を満たした後、変換したデータを統計的分析に使用する。変数の変換の後、正常な分散又は等分散性の目的が依然として達成されなければ、順位検定を統計的分析に使用する。
【0067】
肝細胞の気球状変性、脂肪変性、細胞質の濃縮、水症性変性及び壊死を含む肝細胞の病理学的変化の間で、試験試料の任意の投与量群における肝細胞の壊死が、モデル対照群のそれと比べて有意差を持って軽減されれば、又、そのほかの種類の病理学的変化がモデル対照群のそれと比べて有意に軽減されれば、又は有意差を有さなければ、動物の病理学的実験の結果は陽性として評価することができる。
【0068】
主として気球状変性、脂肪変性、細胞質の濃縮、水症性変性を含む肝細胞の4つの種類の病理学的変化の悪化及び軽減が、有意差を持って同時に存在し、肝細胞の壊死が、モデル対照群と比較して試験試料の任意の1投与量群で軽減するのであれば、種々の病理学的変化のスコア及び2倍の壊死スコアを一緒に加える。統計的分析には総スコアを使用する。総スコアが有意差を有するのであれば、動物の病理学的実験の結果は陽性として評価される。
【0069】
1.6 結果の評価
2つの血液生化学指標、ALT及びASTのいずれか1つ、並びに病理学的実験の結果が陽性であり、試験試料が、肝臓の化学的損傷に対する保護を助けるとして評価されることが期待される。
【0070】
プロトコール2.肝臓のアルコール性傷害のモデル
2.1 原理
大量のエチルアルコールを摂取した後、エタノール脱水素酵素が触媒する大規模な脱水酸化が原因となってトリカルボン酸回路に障害をもたらし、脂肪酸の酸化を弱化し、それによって肝細胞における脂肪の代謝及び脂肪の沈殿に影響を及ぼす。同時に、エチルアルコールは、酸素分子を活性化し、酸素の遊離ラジカルを産生することができ、それは、肝細胞膜の脂質の過酸化及び生体における還元グルタチオンの枯渇をもたらす。
【0071】
2.2 実験動物
単一性別の成熟ラット又はマウス。各群は、8〜12匹のラット(180〜220g)又は10〜15匹のマウス(18〜22g)から成る。
【0072】
2.3 実験方法及び手順
2.3.1 試験試料の投与量群及び投与持続期間
投与量群3つ、ブランク対照群1つ及びモデル対照群1つを設定する。投与量群の1つの投与量は、ヒトで推奨される投与量の10倍(マウス)又は5倍(ラット)である。必要に応じて陽性対照群を設定してもよい。無水エチルアルコールを用いて肝臓の損傷モデルを形成する。無水エチルアルコールの濃度は50%(蒸留水で希釈)とし、マウスに対する胃内投与の投与量は12〜14mL/kg体重(エチルアルコール6000〜7000mg/kg体重に相当)とする。試験試料の投与持続期間は30日間であり、必要に応じて45日まで延長することができる。
【0073】
2.3.2 試験試料の投与経路
試験試料は、胃内に投与される。胃内投与が不可能な場合、試験試料を餌又は飲料水と混合し、各動物の餌の摂取及び飲水を記録する。
【0074】
2.3.3 実験手順
実験群の動物には試験試料を毎日胃内に投与し、ブランク対照群及びモデル対照群の動物には蒸留水を与える。動物は、週2回体重を測定し、体重に従って試験試料の投与量を調整する。試験試料の投与の完了時点で、単回用量の50%エチルアルコール12mL/kg体重をモデル対照群及び3つの投与量群の動物に与える一方で、ブランク対照群の動物には蒸留水を与える。16時間の絶食の後、種々の指標及び組織病理学的検査のために動物を屠殺する。
【0075】
2.3.4 検査の指標
肝臓のマロンジアルデヒド(MDA)、還元グルタチオン(GSH)、トリグリセリド(TG)の含量。
【0076】
2.4 肝ホモジネート中における脂質過酸化物マロンジアルデヒド(MDA)の分解生成物の測定方法
2.4.1 原理
MDAは、細胞膜の脂質の過酸化の最終生成物の1つである。MDA含量を測定することは、脂質過酸化の程度を間接的に推定することができる。MDAとチオバルビタールを一緒に加熱すると、ピンク色の複合体が形成され、その吸収ピークは535nmであり、それからMDA含量を測定することができる。
【0077】
2.4.2 器具及び試薬
器具:721分光光度計、微量試料付与器、サーモスタット付き水槽、通常の遠心分離機、混合ロータ、止め具付き遠心管、組織ホモゲナイザー。
試薬:0.2M 酢酸緩衝液 pH3.5、0.2M 酢酸溶液、185mL;0.2M 酢酸ナトリウム溶液、15mL。
使用直前に水で40ナノモル/mLに希釈される1ミリモル/Lのテトラアセトキシプロパン(ストック溶液は4℃にて3ヵ月間保持)。
8.1% ドデシル硫酸ナトリウムSDS、0.8% チオバルビタール TBA、0.2M リン酸緩衝液pH7.4(0.2M リン酸水素二ナトリウム 1920mL、0.2Mリン酸二水素カリウム 480mL)
【0078】
2.4.3 実験手順
2.4.3.1 試料の調製
組織ホモジネート試料:必要とされる一定量の臓器を正常生理食塩水ですすぎ、ぬぐって乾かし、秤量し、細かく刻み、ホモゲナイザーに入れる。0.2Mのリン酸緩衝液を加え、混合物を2000r/分で10秒間ホモジネートする。30秒間隔で遠心分離を3回繰り返し、5%組織ホモジネート(w/v)を形成する。ホモジネートを3000r/分で5〜10分間遠心分離し、測定のために上清を取る。
【0079】
2.4.3.2 試料の測定

混合してホモジネートし、遮光して水槽で煮沸し、流水で冷却して532nmにて比色する。
【0080】
2.4.3.3 計算

【化1】


A.ブランクの試験管の吸収
B.試料の試験管の吸収
F.テトラアセトキシプロパンの吸収
C.テトラアセトキシプロパンの濃度(40ナノモル/mL)
K.希釈倍率
【0081】
2.4.3.4 データ処理及び結果の評価
分散分析を使用するが、先ず、分散分析の手順に従って等分散性検定を行うべきである。分散が均質であるならば、F値を算出する。F値が<F0.05であれば、結論は、異なった群の平均値の間の差異は有意ではないとなる。F値がF0.05以下及びPが0.05以下であれば、統計的分析には、幾つかの実験群と1つの対照群との間の平均値の一対比較の方法を使用する。異常な分布又は不等分散を持つデータについては、変数の適当な変換を行い、正常な分散又は等分散性の要件を満たした後、変換したデータを統計的分析に使用する。変数の変換の後、正常な分散又は等分散性の目的が依然として達成されなければ、順位検定を統計的分析に使用する。
【0082】
結果の評価
試験試料群のMDA含量がモデル対照群のそれと有意に異なり、そういうものとしてこの指標の結果は陽性と評価されることが期待される。
【0083】
2.5 肝ホモジネートにおける還元グルタチオン(GSH)の測定方法
2.5.1 原理
GSH−Pxに触媒されるGSHと5,5’−ジチオニトロ蟻酸(DTNB)の反応は、黄色い5−チオ−2−ニトロ−蟻酸アニオンを生じ、それは、423nmの波長にて最大吸収を有する。このイオンの濃度を測定することでGSHの含量を算出することができる。
【0084】
2.5.2 試薬
0.9%正常生理食塩水
4%スルホサリチル酸溶液
0.1モル/LのPBS溶液(pH=8.0)(Na2HPO4 13.452g、KH2PO4 0.722g、蒸留水で1000mLにする)
0.004%DTNB溶液:40mgのDTNBを1000mLの0.1モル/LのPBS溶液(pH=8.0)に溶解する。
アジ化ナトリウム緩衝液(NaN3 16.25mg、EDTA−Na2 7.44mg、Na2HPO4 1.732g、NaHPO4 1.076g、蒸留水で1000mLにする)。少量のHCl及びNaOHを用いてpH7.0に調節する。
溶液を4℃に保つ。
標準液:還元GSHを15.4mg秤量し、アジ化ナトリウム緩衝液を50mLに加えて最終濃度を1ミリモル/mLにする。使用直前に溶液を調製する。
【0085】
2.5.3 方法
2.5.3.1 試料の測定
正常生理食塩水5mLを肝臓0.5gに加える。混合物をよく粉砕し、上質の濃厚液(10%肝ホモジネート)を形成する。ホモジネートした後、4%スルホサリチル酸0.5mLをホモジネート0.5mLに加える。混合した後、混合物を室温にて3000rpmで10分間遠心分離し、上清を試料とする。

混合物を混合し、室温にてわきに10分間置き、その吸収を412nmで測定する。
【0086】
2.5.3.2 検量曲線

【0087】
2.5.3.3 計算
試料のGSH含量(マイクロモル/L肝臓組織)=相当する曲線の濃度値(マイクロモル/L)÷50g/L
【0088】
2.5.4 データ処理及び結果の評価
分散分析を使用するが、先ず、分散分析の手順に従って等分散性検定を行うべきである。分散が均質であるならば、F値を算出する。F値が<F0.05であれば、結論は、異なった群の平均値の間の差異は有意ではないとなる。F値がF0.05以下及びPが0.05以下であれば、統計的分析には、幾つかの実験群と1つの対照群との間の平均値の一対比較の方法を使用する。異常な分布又は不等分散を持つデータについては、変数の適当な変換を行い、正常な分散又は等分散性の要件を満たした後、変換したデータを統計的分析に使用する。変数の変換の後、正常な分散又は等分散性の目的が依然として達成されなければ、順位検定を統計的分析に使用する。
【0089】
結果の評価
試験試料群の還元GSH含量がモデル対照群のそれと有意に異なり、そういうものとしてこの指標の結果は陽性と評価されることが期待される。
【0090】
2.6 肝ホモジネート中のトリグリセリド(TG)の測定方法
2.6.1 測定方法
トリグリセリド測定試薬キット(グリセロリン酸オキシダーゼペルオキシダーゼ法)を用いて10%肝ホモジネート中のトリグリセリド含量を測定する。血清トリグリセリドを測定する方法と同様に、血清の代わりに等量の10%肝ホモジネートを用いて操作の記載に従って測定を行う。測定結果はミリモル/g肝重量で表される。
【0091】
2.6.2 データ処理及び結果の評価
分散分析を使用するが、先ず、分散分析の手順に従って等分散性検定を行うべきである。分散が均質であるならば、F値を算出する。F値が<F0.05であれば、結論は、異なった群の平均値の間の差異は有意ではないとなる。F値がF0.05以下及びPが0.05以下であれば、統計的分析には、幾つかの実験群と1つの対照群との間の平均値の一対比較の方法を使用する。異常な分布又は不等分散を持つデータについては、変数の適当な変換を行い、正常な分散又は等分散性の要件を満たした後、変換したデータを統計的分析に使用する。変数の変換の後、正常な分散又は等分散性の目的が依然として達成されなければ、順位検定を統計的分析に使用する。
【0092】
結果の評価
試験試料群のTG含量がモデル対照群のそれと有意に異なり、そういうものとしてこの指標の結果は陽性と評価されることが期待される。
【0093】
2.7 肝臓の組織病理学的変化、診断基準及び結果の評価
2.7.1 実験材料
実験材料に肝臓左葉中央部の断面を得、凍結切片を作製し、スダンIII染色で染色する。
【0094】
2.7.2 顕微鏡検査
細胞の病理学的変化を肝臓の一方の端の視野から始めて記録する。組織切片全体を連続して観察するために40倍の対物レンズを用いる。観察の主な目的は、肝臓における脂肪滴の分布、範囲及び領域である。
【0095】
2.7.3 格付け基準
肝細胞中の脂肪滴が散在性であり、少ない (0点)
脂肪滴を含有する肝細胞が1/4を超えない (1点)
脂肪滴を含有する肝細胞が1/2を超えない (2点)
脂肪滴を含有する肝細胞が3/4を超えない (3点)
肝組織がほとんど脂肪滴に置き換わっている (4点)
【0096】
2.7.4 データ処理及び結果の評価
分散分析を使用するが、先ず、分散分析の手順に従って等分散性検定を行うべきである。分散が均質であるならば、F値を算出する。F値が<F0.05であれば、結論は、異なった群の平均値の間の差異は有意ではないとなる。F値がF0.05以下及びPが0.05以下であれば、統計的分析には、幾つかの実験群と1つの対照群との間の平均値の一対比較の方法を使用する。異常な分布又は不等分散を持つデータについては、変数の適当な変換を行い、正常な分散又は等分散性の要件を満たした後、変換したデータを統計的分析に使用する。変数の変換の後、正常な分散又は等分散性の目的が依然として達成されなければ、順位検定を統計的分析に使用する。
【0097】
モデル対照群と比べて、試験試料の任意の投与量群における脂肪変性が有意差を持って軽減され、そのようなものとして結果は陽性として評価されることが期待される。
【0098】
2.8 結果の評価
以下の条件が満たされ、そのようなものとして、試験試料が、アルコール性の肝臓傷害に対する保護に役立つとして評価されることが期待される。
(a)3つの指標、すなわち、肝MDA、還元グルタチオン及びTGの実験結果が陽性である。
(b)3つの指標、すなわち、肝MDA、還元グルタチオン及びTGの任意の2つが陽性であり、組織病理学的実験の結果が陽性である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】MTTによって測定された、エタノールによる損傷から肝臓を保護することにおける種々の製剤の効果を示す棒グラフである。
【図2】LHDによって測定された、エタノールによる損傷から肝臓を保護することにおける種々の製剤の効果を示す棒グラフである。
【図3】MTTによって測定された、CCl4による損傷から肝臓を保護することにおける種々の製剤の効果を示す棒グラフである。
【図4】LDHによって測定された、CCl4による損傷から肝臓を保護することにおける種々の製剤の効果を示す棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製剤であって、チョウセンゴミシ抽出物、サンシチニンジン抽出物、葛根抽出物、乾燥ホウレンソウ、オレガノ抽出物、チョウセンアザミ葉抽出物、ワサビ根粉末、峨眉葛藤根抽出物、サンチ及び乾燥アスパラガスから成る群から選択される少なくとも2つの成分を含み、該製剤が肝臓の健康状態を改善するのに有効である製剤。
【請求項2】
チョウセンゴミシ抽出物が150mg〜1000mgの量で存在し、サンシチニンジンが100mg〜500mgの量で存在し、葛根抽出物が150mg〜1000mgの量で存在し、乾燥ホウレンソウが20mg〜500mgの量で存在し、オレガノ抽出物が20mg〜500mgの量で存在し、チョウセンアザミ葉抽出物が200mg〜1000mgの量で存在し、ワサビ根抽出物が200mg〜1000mgの量で存在し、峨眉葛藤根抽出物が150mg〜1000mgの量で存在し、サンチが100mg〜500mgの量で存在し、乾燥アスパラガスが100mg〜500mgの量で存在する請求項1の製剤。
【請求項3】
製剤が、150mg〜500mgのワサビ根粉末、200mg〜1000mgのチョウセンアザミ葉抽出物、150mg〜1000mgのチョウセンゴミシ抽出物、100mg〜500mgのサンシチニンジン及び20mg〜500mgの乾燥ホウレンソウを含む請求項1の製剤。
【請求項4】
製剤が、150mg〜500mgのワサビ、200mg〜1000mgのチョウセンアザミ葉抽出物、150mg〜1000mgの葛根抽出物、100mg〜500mgのサンシチニンジン及び20mg〜500mgのオレガノを含む請求項1の製剤。
【請求項5】
製剤が、200mg〜1000mgのチョウセンアザミ葉抽出物、150mg〜1000mgの葛根抽出物及び20mg〜500mgのオレガノ抽出物を含む請求項1の製剤。
【請求項6】
請求項1の製剤を提供することを含む、四塩化炭素による傷害から肝臓を保護する方法。
【請求項7】
製剤が、150mg〜500mgのワサビ根粉末、200mg〜1000mgのチョウセンアザミ葉抽出物、150mg〜1000mgのチョウセンゴミシ抽出物、100mg〜500mgのサンシチニンジン及び20mg〜500mgの乾燥ホウレンソウを含む請求項6の方法。
【請求項8】
少なくとも2つの成分が、サンシチニンジン、葛根抽出物、乾燥ホウレンソウ、オレガノ抽出物、ワサビ根粉末、峨眉葛藤根抽出物、サンチ及び乾燥アスパラガスから成る群から選択される請求項6の方法。
【請求項9】
製剤が、ワサビと、サンシチニンジン、サンチ、葛根抽出物、峨眉葛藤根抽出物、ホウレンソウ及びオレガノから成る群から選択される成分の1つとを含む請求項6の方法。
【請求項10】
製剤が経口投与される請求項6の方法。
【請求項11】
製剤が錠剤の形態である請求項6の方法。
【請求項12】
請求項1の製剤を提供することによってアルコールによる傷害から肝臓を保護する方法。
【請求項13】
製剤が、150mg〜500mgのワサビ根粉末、200mg〜1000mgのチョウセンアザミ葉抽出物、150mg〜1000mgのチョウセンゴミシ抽出物、100mg〜500mgのサンシチニンジン及び20mg〜500mgの乾燥ホウレンソウを含む請求項12の方法。
【請求項14】
製剤がチョウセンアザミ及びオレガノを含む請求項12の方法。
【請求項15】
製剤が錠剤の形態で経口投与される請求項12の方法。
【請求項16】
請求項1の製剤を提供することを含むフェーズII酵素を誘導する方法。
【請求項17】
製剤が、150mg〜500mgのワサビ根粉末、200mg〜1000mgのチョウセンアザミ葉抽出物、150mg〜1000mgのチョウセンゴミシ抽出物、100mg〜500mgのサンシチニンジン及び20mg〜500mgの乾燥ホウレンソウを含む請求項16の方法。
【請求項18】
製剤が、峨眉葛藤根抽出物と、チョウセンアザミ葉抽出物、ワサビ根粉末、オレガノ抽出物、サンシチニンジン、サンチ及び葛根抽出物から成る群から選択される成分の1つとを含む請求項15の方法。
【請求項19】
製剤が錠剤の形態で経口投与される請求項15の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−515987(P2009−515987A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541325(P2008−541325)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/044420
【国際公開番号】WO2007/059250
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(302070822)アクセス ビジネス グループ インターナショナル リミテッド ライアビリティ カンパニー (122)
【Fターム(参考)】