説明

肝障害抑制剤

【課題】 肝臓障害抑制を目的とした医薬品または食品を提供することにある。
【解決手段】ウナギの肝(きも)を有効成分とする肝臓障害抑制剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
肝臓障害抑制を目的とした医薬品または食品に関する。
【背景技術】
【0002】
肝疾患治療薬としてはグリチルリチン、マロチラ−トや、小柴胡湯等の漢方薬等数種の薬剤が用いられているが、その選択肢は少なく、新たな肝疾患治療薬の開発が望まれている。また肝臓障害予防改善食品としてウコン、オオアザミのエキスなどが用いられているがその選択肢は少なく、新たな肝臓障害予防改善食品の開発が望まれている。
【0003】
ウナギの肝(きも)は、ウナギの肉を蒲焼などに利用する際に取り除くウナギの内臓の総称である。通常、「きも吸い」(ウナギのきも入りのお吸い物)や「きも焼き」(ウナギのきもを串刺しにして焼いたもの)に利用される以外あまり利用されず、付加価値の低いものである。ウナギの肝(きも)が肝臓障害の予防、治療に有効であるという報告は全くない。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
肝臓障害抑制を目的とした医薬品または食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ウナギの肝(きも)に顕著な肝臓障害抑制作用があることを見出した。すなわち、本発明は、ウナギの肝(きも)を有効成分とする肝臓障害抑制剤を提供する。
【発明実施の形態】
【0006】
本発明に関わるウナギの肝(きも)は、ウナギの肉を蒲焼などに利用する際に取り除くウナギの内臓部分をさす。生のまま利用してもよく、乾燥した後用いてもよい。また必要に応じて粉砕、加熱、抽出などの操作を加えたものを用いることもできる。
【0007】
本発明に関わる肝臓障害抑制剤を製造するには、上記の方法で製造したウナギの肝(きも)またはその抽出物を用い、常法に従って公知の無毒性担体と組み合わせて製剤化すればよい。本発明に関わる肝臓障害抑制剤は、種々の剤型での投与が可能であり、例えば、経口投与剤としては錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤等の固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等が挙げられ、非経口投与剤としては、注射剤のほか、坐剤、噴霧剤、経皮吸収剤等が挙げられ、これらの製剤は製剤上の常套手段により調整することができる。上記の無毒性担体としては、例えば、グルコ−ス、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニト−ル、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコ−ル、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコ−ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、アルブミン、水、生理食塩水等が挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、滑剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤等の慣用の添加剤を適宜添加することができる。本発明に関わる肝臓障害抑制剤において、ウナギの肝(きも)の投与量は、患者の年齢、体重、症状、疾患の程度、投与スケジュ−ル、製剤形態などにより、適宜選択・決定されるが、例えば、一日あたり0.01−10g/kg体重程度とされ、一日数回に分けて投与してもよい。
【0008】
また、本発明に関わるウナギの肝(きも)は、食経験も豊富なことから安全性が高く、肝臓障害抑制を目的として、機能性食品として摂取することもできる。本発明に関わるウナギの肝(きも)を含有することを特徴とする機能性食品は、特定保健用食品、栄養機能性食品、又は健康食品として位置づけることができる。機能性食品としては、上記の方法で製造したウナギの肝(きも)または抽出物をそのまま用いる他、例えば、適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル剤、ペ−スト状等に形成したものを用いることができる。この機能性食品は、そのまま食用に供してもよく、また種々の食品(例えばハム、ソ−セ−ジ、かまぼこ、ちくわ、パン、バタ−、粉乳、菓子など)に添加して使用したり、水、酒類、果汁、牛乳、清涼飲料水等の飲物に添加して使用してもよい。かかる食品の形態における本発明のウナギの肝(きも)の摂取量は、対象の年齢、体重、症状、摂取スケジュ−ル、製剤形態などにより、適宜選択・決定されるが、例えば、一日あたり0.01−10g/kg体重程度とされる。
【実施例】
【0009】
以下に本発明をより詳細に説明するために実施例を挙げるが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0010】
実施例ウナギ肝(きも)粉末の肝臓障害抑制作用
ウナギの肝(きも)粉末は特開2004−173644に示した方法によって作製した。簡潔に記すと、ウナギの肝(きも)を取り出し胃内容物を除去した後、熱湯に五分間漬け、その後、氷冷水で冷却した。その後水とともに粉砕した。粉砕物を凍結乾燥し粉末を得た。8週齢雄ddYマウスを24時間絶食させた後、上記の方法で製造したウナギ肝(きも)粉末を蒸留水(0.6mL/mouse)に懸濁させたもの(0、250、500、1000、2000、4000mg/kg)を強制経口投与した。その60分後にオリ−ブオイルで希釈した四塩化炭素(0.031mL/kg、0.3mL/mouse)を強制経口投与した。ウナギ肝(きも)粉末投与前と投与25時間後に尾部から採血し、血清中GOTおよびGPT活性の測定を行った。その結果を表1に示す。なお、ウナギ肝(きも)粉末投与前の各群の測定値に有意差はなく、全体の平均値±標準偏差はGOTが34.1±38(IU/L)、GPTが6.7±1.2(IU/L)であった。各群は6匹づつ、測定値は平均値±標準偏差(IU/L)で示した。同時間のコントロ−ル(0mg/kg投与群)と比較して有意(p<0.05)に低下していたものに*印を付けた(Studentのt−test)。
【0011】
【表1】


【0012】
この結果より、ウナギ肝(きも)粉末の投与による用量依存的な肝臓障害の抑制効果が示された。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、うなぎの肝(きも)を有効成分とする肝臓障害抑制を目的とした医薬品または食品を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウナギの肝(きも)を有効成分とする肝臓障害抑制剤。

【公開番号】特開2007−186485(P2007−186485A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31623(P2006−31623)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(300076688)有限会社湘南予防医科学研究所 (54)
【出願人】(506045303)イトー商事株式会社 (2)
【Fターム(参考)】