説明

肩用補綴、およびかかる肩用補綴を装着するための外科手術用器具セット

【課題】外科手術用器具における肩用補綴の複雑な構成および既存の反転補綴に頼らずに、肩甲骨と解剖学的肩用補綴の上腕骨部分とが衝突する危険性を制限する。
【解決手段】肩用補綴は、肩甲骨(S)の関節表面(G)を移植するように構成され、この補綴は、関節面(11A)および対向面(11B)を有する関節構成要素(10)と、関節表面(G)と相補的な形状を有する内側面(2C)、および前記対向面の少なくとも一部と相補的な形状を有する遠心面(2B)を含む骨移植片(2)と、前記対向面から骨移植片を通り、関節表面内に延在するアンカー手段(12)とを備える。器具のセットは、この骨移植片を上腕骨(H)の上部骨端から取得することを可能にする。このため、このセットは、骨物質を賦形して、上腕骨の長手方向に対して傾斜する軸の周囲に長さに沿って延在する一体の体積状に骨端を形成するための少なくとも1つの補助手段と、骨端を横方向に切断して、上腕骨からこの骨物質の体積を取り外して移植片として使用するための別の補助手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肩用補綴、特に完全反転肩用補綴、およびかかる肩用補綴の関節構成要素を側方化するために骨移植片を作成して埋め込むための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
完全肩用補綴の分野では、補綴は、一方で患者の肩の肩甲骨の関節表面と一体で、凸状関節面を画定する関節部と、他方で肩の上腕骨と一体で、凹状関節面を画定する上腕骨部とを備え、これらの関節面の協働によって、関節接続を肩において再現することが可能である場合、一般に反転されると言われる。このタイプの補綴の場合、肩の内転運動時に、上腕骨補綴部の下部が肩甲骨の支柱、つまり、患者が直立した時に、関節窩補綴部の真下に位置する骨の関節表面の下部と衝突するのが普通である。上腕骨補綴部と肩甲骨との間の衝突は、内転運動の範囲を制限し、患者の疼痛の原因になるか、あるいは、補綴が、特に肩甲骨の骨溶解によって押しのけられる原因になる場合もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、肩用補綴、およびかかる肩用補綴を取り付けるための外科手術用器具の対応するセットを提案し、この補綴の複雑な構成に頼らず、また当然、既存の反転補綴の殆どの部分を代用することなく、肩甲骨と反転または解剖学的肩用補綴の上腕骨部分とが衝突する危険性を制限することを可能にすることである。肩用補綴に言及する時は常に、上腕骨構成要素および関節構成要素を有する完全肩用補綴、または解剖学的または植皮上腕骨頭部を含む関節構成要素を有する部分的な肩用補綴を含むと解釈するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため、本発明は、請求項1に定義される肩用補綴に関する。本発明は、請求項17に定義する外科手術用器具のセットにも関する。
【0005】
さらに、本明細書では、肩用補綴、特に反転肩用補綴を肩甲骨の関節表面に移植するための対応する外科的方法であって、
内側面および遠心面を有する骨移植片を作成するステップと、
骨移植片の内側面を関節表面と係合させるステップと、
関節構成要素の対向面を骨移植片の遠心面と係合させ、その結果、関節構成要素の関節面、特に凸状関節面が関節表面から側方に偏位するステップと、
骨移植片を通して、関節表面に関節構成要素をアンカーするステップと
を含む方法を提案する。
【0006】
したがって、本発明の基本的な概念は、患者の肩甲骨に対して関節構成要素を「側方化」することであり、つまり、骨移植片をこの関節構成要素と関節表面との間に挿置することにより、患者の前面において患者の肩甲骨から関節構成要素を引き抜くことである。すなわち、この骨移植片は、関節表面の外側側方延在部を形成して肩甲骨を延在させ、この移植片と補綴関節構成要素との組合せは、複合補綴ユニットを形成する。構造を試験済みの現在の補綴の関節構成要素は、関節表面に対向する移植片の側面を被覆するように移植することができることが分かり、この場合、確実に固定するために、この構成要素には、十分に細長く移植片をまっすぐに通過して、関節表面を画定する肩甲骨の骨内に固定される中心尾部などの骨アンカー要素がなければならないことが注目される。骨移植片が関節表面と融合すると、骨移植片の遠心面は効果的な関節表面になる。関節表面と言う場合、関節窩の処理済みまたは未処理表面を含むと考えるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
関節構成要素の関節面は、肩甲骨に対して、移植片が脱落した場合に、この面が占めると思われる位置より側方に離れた位置を占めるので、肩甲骨の支柱と、関節の関節面と協働する上腕骨補綴部の下部との間が衝突する危険性が著しく減少する。補綴の関節構成要素の側方化も、肩の回旋筋の張力を増加させ、三角筋の共適応ベクトルが増加する原因になる。その結果、補綴関節および上腕骨構成要素は安定し、肩が脱臼する危険を冒すことなく、相対的な回転の良好な可動性の利益が得られる。
【0008】
好ましい実施態様では、補綴の関節接合の幾何学的中心は、関節表面の骨面に位置する。関節構成要素の凸状関節面の曲率半径は、回転の中心が、骨移植片の遠心面を構成する平面内または平面の裏側に位置するように選択することが好ましい。
【0009】
さらに、先行技術の反転肩用補綴、したがって「内側化補綴」と記述することができる反転肩用補綴と比べて、本発明による「側方化」補綴は、患者の肩のある程度の曲面を復元し、内側化補綴によって与えられる「コートハンガー」状の外観より満足な外観を呈する。
【0010】
この外科的方法は、単純、迅速、容易で再現可能である。実際、患者の関節表面を完全には露出させる必要がないという利点があり、露出は、実際上、移植片の位置決めに限定することができる。好ましい実施態様では、同種移植片、異種移植片、天然または合成材料を使用することができるが、雑菌混入の危険性が最小限であるように、骨移植片は患者から取得する。
【0011】
本発明による補綴の有利な特徴は、請求項2〜16に記載されている。
【0012】
外科手術用器具のセットの有利な特徴は、請求項18〜28に記載されている。
【0013】
したがって、本発明の特に有利な実施では、骨移植片を提供するには、患者の肩の上腕骨の上部骨端から骨移植片を得ることが好ましい。このようにして、使用する移植片は患者に由来するため、拒絶反応、生物学的適合性、疾病の伝播、または感染の危険性が制限される。さらに、有利な用途は、上腕骨補綴部を移植するため、この骨端を形成する網状骨物質の実質的部分を引き抜くことによって患者の上腕骨の骨端を用意し、この骨端は、本発明のこの態様では移植片を提供するために使用することが可能だが、これまでは廃棄されていたという事実が考えられる。
【0014】
実際上、この方法は、上部上腕骨骨端を形成する骨物質が、上腕骨の長手方向に対して傾斜する軸の周囲の長さに延在する一体の体積状に賦形する賦形ステップと、この体積の軸に対して横方向に上腕骨骨端を切断することによって、骨物質の体積を上腕骨から除去し、除去された骨物質の体積が移植片を形成するステップとを含む。本発明による器具のセットは上記の取付け方法の実施を可能にし、この方法の賦形および切断ステップは、それぞれ補助器具の賦形および切断によって行われる。したがって、切断補助器具を使用して上腕骨から除去された骨物質の体積を骨移植片として使用して、この関節構成要素の移植時に、補綴の関節構成要素の関節面を患者の肩の肩甲骨に対して側方に偏位させるために、上記の一般的な取付け方法を行うことができる。
【0015】
この方法は、以下のステップの1つまたは複数を含む:
− 移植片の長さを骨物質の体積の軸に沿って調節する;
− 以前に作成された関節構成要素および関節表面の前記対向面に対して実質的に相補的であるように、移植片の長手方向端面をそれぞれ賦形する;
− 賦形ステップで、この体積の軸上の中心に位置する円筒、および円錐の錐台から、賦形された骨物質の体積を選択する;
− 賦形ステップの前または賦形ステップ時に、上部上腕骨骨端の端部を切除する;
− 上部上腕骨骨端を第1平面上で切除し、その際、切断ステップで、上腕骨骨端を第2平面上で切断し、前記第1および第2平面が前記骨物質の体積の軸を横断する;
− 前記第1および第2平面の相対的傾斜を調節する;
− 賦形ステップ時、または賦形ステップ後に、骨物質の体積の軸上の中心に位置する陥凹部を上腕骨骨端内に掘り、この賦形ステップ時に、この陥凹部を通して関節構成要素を関節表面に固定する;
− 賦形ステップを実施する前に、上腕骨骨端内にマーカーピンを挿入し、賦形ステップ時に、上腕骨に対する骨物質の体積の軸の位置決めを可能にする。
【0016】
本発明によるもう1つの可能性により、患者の上腕骨骨端から骨移植片を得るのではなく、ステップi)で提供された骨移植片は、上部上腕骨骨端以外の患者の骨領域、特に患者の腸骨、同種移植片、および合成起源の移植片から得られた移植片から選択される。
【0017】
上腕骨骨端もしくは他の場所から得られた移植片、および同種移植片、または合成起源の移植片と共に同様に使用可能な本発明による方法の選択肢によると、ステップii)で、関節表面と接触しない移植片の少なくとも一部に保護層を取り付け、ステップiii)で、関節構成要素の対向面の少なくとも一部を保護層上に支持する。
【0018】
一実施態様では、骨移植片に係合する関節構成要素の表面の一部または全部は、ヒドロキシアパタイト、または機能的に同様の表面状態、たとえばハニカム表面状態を有する材料で被覆し、骨の付着および回復を可能にする。関節構成要素の選択された表面は、米国特許第7,250,550号に開示されている材料など、骨との融合を促進する材料から構成される。
【0019】
本発明のさらにもう1つの可能性によると、ステップi)で提供された骨移植片は、骨物質のピューレから成り、この骨物質は、患者、特に患者の上腕骨の上部骨端に由来するか、または別の、おそらく合成のソースに由来することが可能であることが評価される。この骨物質のピューレは、ピューレを充填されたケージ状に賦形された格子を構成する上記の保護構造と共に有利に使用される。この格子ケージは、移植片を形成するピューレと肩の周囲組織との間の生物学的流れの良好な交換を可能にする。
【0020】
図1は、患者の肩の肩甲骨Sおよび上腕骨H内にそれぞれ移植された関節構成要素10および上腕骨構成要素20を含む肩用補綴1を示す。図示の関節構成要素は、概略的に示されている。本明細書に開示する様々な実施態様の方法および装置は、その他の多様な関節構成要素、たとえば米国特許第7,033,396号;第6,953,478号;第6,761,740号;第6,626,946号;第5,702,447号、および米国公開公報第2004/0220673号;第2005/0278030号;第2005/0278031号;第2005/0278032号;第2006/0020344号に開示されている関節構成要素と共に使用される。
【0021】
関節構成要素10は、肩甲骨Sの関節表面Gに対向する側にほぼ半球状の凸状関節表面11A、および関節表面方向に向いた側に対向面11Bを有する頭部11を含む。これらの図で考えられる実施例では、この面11Bはほぼ平面だが、図示されていない変形例では、面11Bは、より複雑な幾何学的形状、たとえば凹形または凸形を有することが可能である。
【0022】
関節構成要素10は横方向に延在するアンカー尾部12も備え、この尾部12は、面11Bから面11Aに対向する方向に突出し、その自由端は関節表面G内に確実にアンカーされ、その結果、関節構成要素を肩甲骨Sに連結する。実際上、図示されていない方法では、アンカー尾部12は、その端部を頭部11方向に曲げ、基部を頭部11内に収容して確実に結合した状態で形成することができる。つまり、より一般的には、尾部12と頭部11との間の接続は、材料の連続、個々の楔止め表面、付着された機械的組立て構造など、広範な形態を取ることができる。さらに、図示されていない変形例により、尾部12は、外側にねじを切るか、または、一般的に、尾部12を容易にアンカーする表面状態を有することができる。
【0023】
関節頭部11の面11Bと、肩甲骨Sの関節表面Gとの間には、実質的に円筒状の外形を有する骨移植片2が挿置されており、外径が頭部11の外径に実質的に等しい円形の基部を有する。したがって、移植片2の外側側面2Aは、半球面11Aの延在部内に実質的に延在する。移植片2は、関節表面Gに対向する側に、頭部11の面11Bによって被覆された長手方向端面または遠心面2B、および関節表面方向に向いた側に、関節表面Gに当たる長手方向端面または内側面2Cを有する。骨移植片2が関節表面Gと融合すると、効果的な関節表面は、側方に外側に、骨移植片2遠心面2Bまで変位する。
【0024】
これらの図で考察される実施例では、長手方向端面2Bおよび2Cは平面であり、これは、以下で説明するとおり、取り扱いが単純であり、容易に取得できる一実施態様であることが実証されている。しかし、実際上、これらの面2Bおよび2Cは、比較的複雑な幾何学的形状を有することができ、一方の側では、面2Bは、実質的に相補的な方法により、以下で述べるように、尾部12に接続するための領域または構造をこの面に備える頭部11の面11Bで被覆されるように設けられ、この面11Bは、ほぼ凹状、凸状、または平面で良く;対向する側では、面2Cは、この目的で以前に作製された関節表面Gの表面を取り囲むように設けられ、その結果、面2Cおよび関節表面は実質的に相補的であり、同様に適切に平面または曲線状で良い。
【0025】
骨移植片は、一体骨移植片、複数の無作為または予備成形骨片、1つまたは複数の骨材料の層、骨物質のピューレ、またはこれらの組合せで良い。骨移植片は、患者の骨、同種移植片、異種移植片、またはこれらの組合せから形成することができる。骨移植片は、任意に再吸収可能で良い。骨移植片は、単独で使用されるか、または骨置換物、骨充填物、骨セメント、および/または骨接着剤と組み合わせて使用される。様々な骨置換物、骨充填物、骨セメント、および骨接着剤は、米国特許第6,692,563号(Zimmerman)に開示されている。骨移植片には様々な添加剤、たとえば、骨成長剤または疼痛抑制剤を含むことができる。一実施態様では、強化ファイバを骨物質のピューレに添加することができる。
【0026】
別法によると、骨移植片は、固有の骨がその内部に増殖し、固有の骨に匹敵する特性、たとえば3次元多孔性マトリックスまたは骨格を有する構造を形成する材料で良い。多孔性マトリックスまたは骨格の実施例としては、網状バイオセラミック骨格、多孔性タンタル、合成ファイバメッシュなどが挙げられる。様々な多孔性マトリックスおよび足場材料は、米国特許第4,479,271号;第6,511,511号;第6,605,117号;第6,797,006号;第6,902,584号;および第7,250,550号に開示されている。
【0027】
骨移植片は、多様な合成複合材料から製造することができ、たとえば、ポリグリコリド、ポリアクチド、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシ吉草酸塩、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリカーボネート、ポリチロシンカーボネート、ポリオルトカーボネート、シュウ酸ポリアルキレン、コハク酸ポリアルキレン、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリペプチド、ポリデプシペプチド、ポリビニルアルコール、ポリエステルアミド、ポリアミド、ポリ無水物、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリシアノアクリレート、ポリフマル酸塩、ポリ(アミノ酸)、変性多糖類(たとえば、セルロース、澱粉、デキストラン、キチン、キトサンなど)、変性タンパク(たとえば、コラーゲン、カゼイン、フィブリンなど)およびこれらのコポリマー、またはこれらの組合せから製造することができる。その他のポリマーとしては、ポリグリコリド、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)、ポリカプロラクトン、ポリ(L−ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)ポリトリメチレンカーボネート、ポリ(L−ラクチド−コ−トリメチレンカーボネート)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−トリメチレン−エカーボネート)、ポリジオキサノンおよびコポリマー、並びにこれらのポリマーブレンドが挙げられる。合成化合物から骨移植片を製造する様々な方法は、米国特許第6,767,928号;第6,730,252号;第6,541,022号;第6,454,811号に記載されている。
【0028】
任意に、補綴を取り付ける前、または取り付ける際に、骨移植片2は、公知の追加の手段、たとえば外科医が2つの要素を一体として取り扱うことを可能にするだけの強度を有する生体適合性接着剤層により、関節構成要素に固定される。
【0029】
尾部12は、移植片2の長手方向にまっすぐ貫通する。つまり、尾部の長さは移植片2の長さより非常に大きく、この尾部の少なくとも実質的な部分が、関節表面Gの固有層に確実にアンカーされる。
【0030】
任意の実施態様(図示しない)では、関節表面に対する移植片の固定は、尾部12に追加される固締具、たとえばこの尾部の周囲に分配され、移植片の長さの少なくとも一部において移植片を貫通するねじによって強化することができる。
【0031】
上腕骨構成要素20は、上腕骨Hの髄腔M内にアンカーされる尾部21を備える。この尾部には、その上端に頭部22が設けられ、この頭部22は、尾部21に対向する側に、球の一部の形態で、半径が面11Aの半径に実質的に等しい凹状関節面22Aを有する。補綴1を移植する時、図1に示すように、面11Aおよび22Aは互いに表面接触し、その結果、所望の様々な肩関節運動を可能にする。
【0032】
移植片2の存在を仮定した場合、この移植片が除かれると、この面11Aは関節表面の切除表面と直接近接するという点で、面11Aは関節表面Gの切除表面から離れている。したがって、移植片2のために、関節の関節面11A、ひいては上腕骨の関節面22Aは、関節表面Gから側方に離れ、頭部22の下部が、関節表面Gの底部、つまり肩甲骨Sの支柱Pと衝突する危険性を制限する。さらに、本発明の範囲内で望ましいこの側方化による結果として、移植片2は、関節表面内の何らかの骨欠損を補填する骨物質として作用する。
【0033】
実際上、関節構成要素10は、移植片2が適合する広範なサイズで良い。一般に、頭部11は、少なくとも2種類のサイズ、つまり外径36mmまたは42mmのものが利用可能であり、他のサイズもあり得ると考えられる。同様に、移植片2の長さlは広範な値を有することが可能だが、実際上、患者の形態および/または病状に適合するように、均一な順序で分配される。したがって、移植片2は3、6、8または10mmの長さを有することが可能だが、尾部12は15〜25mm、おそらくこれ以上の長さを有する。
【0034】
図1の肩用補綴1を移植しようとする外科的方法を以下で説明するが、問題の補綴は、この補綴を移植するために使用される方法および外科手術用器具の単に非制限的な具体例であると考えられる。つまり、以下で指定する方法および器具は、広範な構造の肩用補綴を移植するために使用することができ、たとえば関節および/または上腕骨構成要素は、互いに結合された複数の金属、プラスチックおよび/またはセラミックタイプの部品から構成される。したがって、たとえば、アンカー尾部がなくても、上腕骨構成要素を使用することが可能である。
【0035】
図2〜12は、現場で骨移植片を形成するための様々な方法および器具を示す。手術の第1段階において肩の軟部が、三角胸筋または上部外側から接近する方法を使用して除去された場合、補助器具30のシャフト31は、図2に示す上腕骨Hの上部骨端Eをまっすぐ通過して、上腕骨Hの髄腔M内に導入される。このため、上腕骨骨端内の入口点は、上腕骨の面および側面をレントゲン写真分析することによって、事前に決定される。
【0036】
共通部分では、シャフト31は、上方に丸みのあるベル状の本体32に、特に取り外し可能に固定される。この本体32は、一般に、シャフト31に対して横方向に配列され、このシャフト31は、幾何学的中心軸33の周囲の長さに沿って延在する。軸33は、患者の中外側にあって、シャフト31の長手方向軸を含む平面内に突出し、図2に示すように、シャフトの長手方向軸に対して10〜70°の角度αで傾斜しており、空間的に、上記の2つの軸は必ずしも横断するのではなく、前後方向に多少相互に離れた状態で交差することが注目される。
【0037】
本体32は、その内部に凹状表面34を有し、その曲率の主中心および頂点は、実質的に軸33に関連する。この表面34は、正常な解剖学的上腕骨の上部骨端の表面の特徴をほぼ再現するように形成され、実際上、外科医は、本体32が、患者の骨のサイズおよび状態に対応して個々の寸法を有するある範囲の複数の相似補助器具30を有することが考えられる。本体32は、その外面に軸33の中心に配置された突出管35が設けられ、この管35は、本体32の内面34上で内側に開いている。
【0038】
シャフト31は、表面34と上腕骨骨端Eとが接触するまで上腕骨Hの髄腔M内に挿入され、本体32は、キャップ状に骨端を被覆する。次に、有利には、シャフト31は、短距離だけ駆動してシャフト31自体の周囲で回転するため、上腕骨Hの後方湾曲が可能である。本質的に公知の方法で、シャフト31は、その近位端部分に、直径貫通オリフィス36が設けられ、このオリフィス36は、シャフト31の長手方向軸の周囲で、外科医が決定する患者の後方湾曲の関数として互いに角度的に偏位し、長形ロッド(図示しない)は、後方湾曲の保持方向を効果的に表示するために、これらのオリフィスの1つの内部に導入され、その結果、シャフト31は、患者の前腕に対して傾斜するまでそれ自体で回転する。
【0039】
案内ピン40は、その鋭利な遠位の先端41が、管35の自由端から内部に導入され、図2に矢印42で示すように上腕骨骨端E内に相当深さまで挿入され、その先端は、上腕骨Hの外皮を穿孔して少なくとも部分的に貫通する。補助器具30は、ピンを上腕骨に対して適切な方向に挿入することを可能にし、管35は、ピンを導入および供給するための案内手段として作用することが注目される。このピンが、上腕骨の中心地帯を通過する時に、ピンとシャフト31との間の干渉を防止するため、シャフト31の対応する共通部分37は有利にはテーパを設ける:したがって、シャフトのこの部分37は、シャフトの他の部分を形成する近位端および遠位端より小さい断面を有する。
【0040】
案内ピン40が、上腕骨Hを確実に固定するのに十分なだけ上腕骨H内に、あるいは上腕骨Hを貫通して挿入深さに達すると、補助器具30は、ピンを取り外さずに引き抜かれる。上腕骨は、次に、図3に実線で示す状態になる。
【0041】
一変形例では、手術の第1段階を実施する時、案内ピン40は、案内されずに、つまり補助器具30を使用せずに上腕骨H内に挿入される。
【0042】
第2段階では、外科医は、図3に示す補助器具50を使用して上腕骨骨端Eの端部を切除する。この補助器具50は環状本体51を有し、その内部中心ボアは、案内ピン40の外径に等しい直径を有する。補助器具50は、この本体51の遠位端に、本体51の長手方向軸に実質的に垂直な平面に延在する平面状のカッター52を備える。カッター52の遠位の突出部では、本体51の長手方向軸上の中心に配置されるように、補助器具50は、本体51のボアと連通する中心ボアを内部で画定する終端ドリル53をさらに備える。ドリル53の外径は、以下で明らかになる理由から、移植される関節構成要素10のアンカー尾部12の外径と等しくなるように形成される。
【0043】
外科医は、図3に矢印54で示すように、補助器具50の終端ドリル53で補助器具50を導入することにより、案内ピン40の周囲に補助器具50を通す。このドリルは、骨端Eの端部に達した時に骨物質に孔あけして円筒状の陥凹部Eを形成し、この陥凹部Eは、案内ピン40の周囲の中心に配置され、図3に点線で示されている。同様に、補助器具50が、案内ピン40に沿って下方に移動すると、カッター52は、上腕骨骨端Eの端部を徐々に数mmの深さまで切除し、やはり図3に点線で示されるように、案内ピン40に垂直な切断平面Eが得られる。
【0044】
第3段階では、補助器具50が、案内ピン40から除去されると、外科医は、案内ピン40の中心になるように上腕骨骨端Eを切断し、つまり、外科医は、骨端を形成する骨物質を、図5に示すように軸33に対応する中心軸Ex−xを有する円筒E状に賦形する。このため、外科医は、図4に示す補助器具60を使用する。この補助器具60は、中心ロッド61を備え、この中心ロッド61は、案内ピン40と相補的に、ドリル53の外径に等しい外径を有するボアが内部に形成される。このロッド61は、その共通部分に、ロッド61上の中心に環状に配置されて、遠位端に歯63を有する冠状鋸62を支持する。
【0045】
補助器具60のロッド61は、案内ピン40の周囲に滑入し、遠位端が陥凹部E内に相補的に収容されるまで、上腕骨骨端E内の所定の位置に放置される。その際、鋸62は、骨物質を骨端から徐々に切断して骨の円筒Eを形成し、陥凹部Eの対応する部分が前記骨の円筒全体の長さを貫通することが注目される。このようにして、円筒Eの長さが得られ、つまり、軸Ex−xに沿った寸法は、鋸62の動作の深さによって決まり、この深さは、特に標識によってロッド61に沿って容易に標示することができる。
【0046】
補助器具60が取り外されると、上腕骨Hは、図5に示す状態になる。
【0047】
第4段階では、外科医は、図6および7に示す切断補助器具70を使用して、骨物質Eの円筒を上腕骨Hから取り外す。この補助器具は、内径が鋸62の内径に等しい管状ブロック71を備える。ブロック71は、その遠位端に、突出する外側縁部72が形成され、この縁部72の内部には、ブロックの内部堆積内に開放する横方向スロット73が画定されている。ブロック71は、その近位端が基部壁74によって閉鎖され、ブロック内部では、ブロックの中心地帯から、ドリル53の外径に等しい外径を有する中心スタッド75が突出している。
【0048】
補助器具70は、案内ピン40から取り外された後、図7に矢印76で示すように、上腕骨の円筒Eの周囲に滑入される。円筒Eは、縁部72が、円筒Eの基部を取り巻く骨の表面に当たるまで、ブロック71内に相補的に収容される。次に、平面状の鋸歯(図示しない)が外側からスロット73内に導入され、軸EX−Xに実質的に垂直で、図7に点線で示されている切断平面E上で、円筒Eの基部を切断する。鋸で切断する際、円筒Eの殆どはブロック71および基部壁74によって保護され、スタッド75は、中心陥凹部Eの上端部に相補的に収容されることが注目される。
【0049】
補助器具70が取り外された後、外科医は、骨物質Eの円筒を回収して上腕骨Hから分離する。
【0050】
図示されていない変形例では、スロット73は、ブロック71の長手方向に対して傾斜するように形成することができるため、上記の円筒Eと対照的に、このようにして得られた骨の円筒は、互いに対して傾斜する長手方向端面有する。したがって、移植片は、関節表面Gの末梢部の磨耗を補うことができ、スロット73の傾斜は、有利には、外科医が、手術時に気付いた磨耗の関数として調節可能であることが注目される。
【0051】
次に、手術の次の段階、つまり第5段階を説明する前に、上記の補助器具30、50、60および70を備えるユニットの変形例を形成する器具のセットを示す図8〜12について考察する。
【0052】
したがって、図8は、図2の補助器具30の変形例として補助器具130を示す。この補助器具130は、機能的に補助器具30の本体32に類似する遠位の本体132を備える。特に、本体132は、キャップのように上部上腕骨骨端Eを被覆するように設計されている。補助器具30の本体32と異なり、本体132は、特に、本体132を位置決めする時に、外科医に上腕骨骨端のより良好な視野を提供するように穿孔される。補助器具30の本体32と同様、本体132には、その外側の面から突出し、周囲に本体132が延在する軸133の中心に配置された近位の管135が設けられる。
【0053】
補助器具130は、図8に矢印142で示すように、案内ピン40を上腕骨骨端E内に挿入して上腕骨Hに密着させることを可能にする。
【0054】
図3および4の補助器具50および補助器具60の両方の変形例として、補助器具160を図9および10に示す。補助器具160は長形シャフト161を備え、シャフト161の中心には、遠位端に環状の冠状鋸162が設けられ、この遠位端の縁部は歯163を有する。シャフト161は、その長さ全体に内部ボアを有するため、図9に矢印164で示すように、案内ピン40の周囲に密着して同軸状に滑入でき、上腕骨骨端E内の所定の位置に放置される。補助器具60の鋸62と異なり、鋸162は、その側壁に穿孔を有し、基部壁165を備え、この基部壁165は、シャフト161の長手方向に垂直に延在し、遠位の面は平坦なリーマ166を形成する。
【0055】
したがって、補助器具160が案内ピン40の周囲に滑入されると、鋸162の歯163は、上腕骨骨端Eの骨物質を徐々に切除して、骨の円筒Eが得られる。鋸162の全体の高さが骨端内に導入されると、リーマ166は、この骨端の上端の切断を開始し、この端部を徐々に切除して切断面Eが得られる。
【0056】
補助器具160が解放された後、上腕骨Hは、図11に示す状態になる。
【0057】
外科医は次に、遠位端にドリル153が設けられたボア付きシャフト168を備える掘削補助器具167を使用する。図11に矢印169で示すように、シャフト168を案内ピン40の周囲に滑入することにより、外科医は、ドリル153の作用により、案内ピン40の周囲の骨物質Eの円筒の中心部分を掘削し、補助器具168が解放された状態の図12に点線で示すように、円筒Eの軸EX−X上の中心に配置された陥凹部Eが形成される。
【0058】
実際上、掘削補助器具167は、ドリル53の効果が劣化した補助器具50の変形例を使用した後、および/またはロッド61が、鋸62の基部壁の遠位の側に突出しない補助器具60の変形例を使用した後に使用しても良い。
【0059】
図12は、図6および7の補助器具70の変形例として、補助器具170を示す。この補助器具170は、その周囲のある位置に近位の取り扱いシャフト176が装備された環状本体171を備える。環状本体171は、骨端の全体部分を取り囲んで上腕骨骨端E上に実装されるように設計され、この全体部分の中には、補助器具160によって以前に切除された骨物質Eの円筒が確定されている。本体171は、その遠位の側に、鋸歯などの図示されていない骨切断器具を適用および案内するための表面173を画定する。
【0060】
したがって、外科医は、シャフト176を操作することによって、環状本体171を上腕骨骨端Eの周囲に配置し、骨物質Eの円筒に対して適切な方法で案内表面173を配置する。外科医は次に、案内されたとおりに切断器具をこの表面173に対して適用し、切断平面E上で円筒Eの基部を切断し、この円筒を上腕骨Hから解放する。
【0061】
有利には、案内表面173は、シャフト176の長手方向に対して約155°の角度を形成し、その結果、補助器具170も、シャフト176の長手方向が、図12に示すように、上腕骨Hの長手方向に実質的に整列するようにシャフト176を位置決めすることによって、後の段階で上腕骨構成要素20の移植を準備するために使用することができる。
【0062】
第5段階では、骨物質Eの円筒は、上記の骨移植片2を形成するために使用され、この円筒は関節表面C上に取り付けられる。関節表面は、この目的で事前に準備されて切開され、必要に応じて切除される。次に、関節構成要素10は、図1に関して上記で説明した構成で移植される。アンカー尾部12は、実質的に密着させて円筒Eの陥凹部E内に同軸状に導入される。
【0063】
骨の円筒の長手方向端面が、互いに対して傾斜するように形成されている場合、この円筒を移植片として、関節構成要素10と関節表面Gとの間に挿置することによって、関節の関節面11Aを特に下方に傾斜させることができることが分かるであろう。
【0064】
より一般的には、外科医が移植片2に、特に関節構成要素10のサイズの関数として望む寸法は、骨の円筒Eを上腕骨骨端Eから取得するために使用される補助器具50、60および70または補助器具160、168および170の寸法を決定することが分かるであろう。特に、鋸62または162の内径は、移植片2の外径を決定する。同様に、この鋸の動作の深さは、移植片の長さlを決定し、同時に、鋸引きスロット73または案内表面173の位置から生じる長さの何らかの調節を可能にする。
【0065】
さらに、移植片2の長手方向端面2Bおよび2Cに望ましい幾何学的形状は、骨の切開側面を決定する補助器具の部分が、上腕骨骨端内に適切な傾斜を形成するように賦形されるという点で、切除補助器具50および切断補助器具70または補助器具160および170の実施態様を直接的に条件付ける。任意に、これらの補助器具50および70は、除去した円筒Eの長手方向端面を植皮するための1つまたは複数の補助器具に関連させることができる。
【0066】
実際上、外科医は、必要に応じて、できるだけ健全な組織と共に移植片を除去するために、骨端Eを形成する網状骨物質の状態も考慮する。このため、移植片2を上腕骨Hから解放した後、移植片2を把握および保管するための補助器具は、移植片を損傷する危険性を制限するように、任意に設けることが可能である。
【0067】
さらに、図示されていない変形例では、移植片2は、図示の円筒以外の体積形状を有することができるが、移植片を形成する骨物質の体積が、軸EX−Xのタイプの長手方向軸の周囲のほぼ中心に配置された形状を有し、同時に、側面、並びに面2A、2Bおよび2Cのタイプの長手方向端面を画定することが条件である。たとえば、移植片は、長手方向軸EX−Xを有する切頭状で良く、この場合、冠状鋸62または162の内面は、たとえば切頭状になるように形成される。
【0068】
任意に、骨移植片2は、たとえば、図13に単に示されているリング80などの強化構造により、側面に沿って保護することができる。実際上、リング80は、移植片2の全長にわたって、この移植片の側面2Aを適切な方法で取り囲むように構成される。したがって、リング80は、移植片2に関連して、関節構成要素10と関節表面Gとの間に挿置される。このリングは、たとえば、移植片が、少なくともその長さの一部に、関節頭部11の外径より小さい外径を有し、その結果、リングが直径の差を補償する場合に使用することができる。
【0069】
リング80は、移植片2に関連して移植される場合、移植片の側面2Aを保護し、関節構成要素10の面11Bの少なくとも一部の支持手段を形成し、その結果、移植片に加わる応力を制限する。有利には、リング80は、ヒドロキシアパタイトで被覆され、より一般的には、多孔性またはハニカム表面状態を有するため、移植片、および移植片によって被覆されていない関節表面Gの切除された表面部分に対する骨の付着およびリングの回復を改善することが可能である。一実施態様では、リング80は、関節構成要素10に付着される。
【0070】
実際上、リング80の内面は、有利には移植片の面2Aと相補的であり、その外面は、有利な任意の構成を有することができることが分かるであろう。したがって、この外面は、切頭状に関節表面G方向に発散するように形成され、リング80の外面に実質的に垂直なそれぞれの方向にリングを通る孔は、関節表面に対する移植片の固定を強化するために、ねじなどを収容することができる。同様に、リング80の底部は、患者の部分の内転運動の際に、上腕骨構成要素20を実質的に妨げないために、リングの他の部分より厚くならないように形成することができる。
【0071】
この取付け方法の変形例では、円筒Eなどの一体の骨の体積を上部上腕骨骨端E内に提供するのではなく、移植片2は、骨物質のピューレから構成することができる。この物質は、特に、上腕骨移植物を取り付けるために上腕骨を準備する時に、上腕骨骨端の海綿状骨地帯から得られる。実際上、関節構成要素10の移植時に、この骨物質のピューレを含むために、たとえば、このピューレを収容するためのケージ92として賦形された格子90などの強化構造は、図14に示すように有利に使用される。ケージ92は、図1に示す一体移植片に類似する構成により、関節構成要素10と、以前に準備した関節表面Gとの間に挿置するように設計される。特に、ケージ92は、たとえば、外径が関節頭部11の外径に対応すると共に、長さが上記の長さlに対応するほぼ円筒形を有する。
【0072】
ケージ92を形成する格子90は、ケージに充填された骨物質のピューレと、患者の周囲組織との間の体液の交換を可能にする。したがって、ケージ92は、骨物質のピューレを機械的に保護して、骨物質のピューレが壊死するのを防止する。特に、ケージ92は、その側方端壁92Aおよび92Bの領域に、関節構成要素10の面11B、および関節表面Gの以前に準備された表面のための支持手段をそれぞれ形成することにより、骨物質のピューレから成る移植片2に加わる応力のある割合、または大部分でも吸収する。骨物質は、格子90を通して関節表面Gと化学的に結合することが好ましい。事実上、関節表面Gは、側方に外側に延在して、関節構成要素10の面11Bと係合する。
【0073】
もう1つの実施態様では、ケージ92は、骨物質のピューレを含まない多孔性マトリックスまたは骨格から構成される。ケージ92は、たとえば、網状バイオセラミック骨格、構造化多孔性タンタル、合成ファイバメッシュなどで良い。関節表面Gの固有の骨は、多孔性マトリックスまたは骨格内に成長して、固有の骨に匹敵する構造特性を有する骨移植片を形成する。
【0074】
関節構成要素10を移植する前または後、上腕骨構成要素20は、有利には補助器具(図示しない)を使用して上腕骨H内に移植され、この補助器具の取扱いは、円筒Eなどの骨の体積を除去した後、上腕骨骨端E内に残っている陥凹部Eの端部によって明らかになる。陥凹部Eを通して構成要素20を移植するために上腕骨に加えられる外科医の動作が省略され、その結果、これらの動作が、移植片2を取得するために上腕骨に加えられる動作に一般的に関係ない場合、補助器具30は単純化することができ、つまり、この場合、案内ピン40に挿入するために、患者の前腕の後方湾曲を考慮する必要がなくなるからである。シャフト31は、この場合、髄内上腕骨ロッド(intramedullary humeral rod)の形態を取る場合がある。
【0075】
この取付け方法の変形例によると、移植片2は、一体の骨体積の形態であるか、骨物質のピューレの形態であるかに関わらず、上腕骨骨端Eから取得されるのではなく、患者の骨の別の部分から、特に患者の腸骨から取得されるか、または合成起源の同種移植片もしくは移植片から成り、この合成移植片の寸法は、除去された円筒Eまたは円錐の錐台に関して上記で説明したとおり、移植される関節構成要素10に適する寸法であることが分かる。明らかに、上記の保護リング80およびケージ92は、このタイプの別の起源の移植片に関連して使用することができる。
【0076】
図15は、本発明の一実施態様による、関節表面Gに付着された反転肩用補綴の関節構成要素200の略図である。関節構成要素200は、実質的に骨移植片204を収容する陥凹部202を備える。陥凹部202は、図13の実施態様におけるリング80と同様、骨移植片204を側方に保護する強化構造として作用する。したがって、骨移植片204は、一体の骨体積または骨物質のピューレで良い。骨移植片204が骨物質のピューレである実施態様の場合、強化ファイバ279が任意に混合物に添加される。図示の実施態様では、凸状関節面208の下部206は、肩甲骨Sの支柱を越えて延在し、上腕骨補綴部分との干渉を最小限にする。凸状関節面208の曲率半径は、関節構成要素200の周囲の回転中心214が、好ましくは、骨移植片204の遠心面212を含む平面210内、または平面210と関節表面Gとの間に位置するように選択することが好ましい。骨移植片204が関節表面Gと融合すると、骨移植片204の遠心面212は効果的な関節表面になる。
【0077】
図16は、本発明の一実施態様により関節表面Gに付着された反転肩用補綴の関節構成要素220の略図である。強化構造222は、骨移植片224の少なくとも一部分上に延在する。強化構造は、剛性または可撓性で良い。一実施態様では、強化構造は、金属、合成繊維、セラミック、またはこれらの組合せから製造されたメッシュ材料から構成される。したがって、骨移植片224は、一体の骨体積または骨物質のピューレで良い。ねじ226は、強化構造222および/または骨移植片224を関節表面Gに任意に固定する。
【0078】
関節構成要素220は、強化構造222の遠心面232に係合する陥凹部230を含む。アンカー234は、強化構造222および骨移植片224を通って任意に延在し、関節構成要素220を肩甲骨Sにさらに固定する。図示の実施態様では、アンカー234は、関節表面G内への挿入を促進するため、鋭利な先端236を有する。凸状関節面235の曲率半径は、関節構成要素220の回転中心233が、好ましくは骨移植片224の遠心面239を含む平面237内、またはこの平面237の裏側に位置するように選択することが好ましい。骨移植片224が、関節表面Gと融合すると、骨移植片224の遠心面239は効果的な関節表面になる。
【0079】
図17は、本発明の一実施態様による、関節表面Gに付着された反転肩用補綴の関節構成要素240の略図である。骨移植片242には、陥凹部244が形成される。アンカー246は、骨移植片242を通って関節表面G内に延在し、その結果、基部プレート248は遠位の陥凹部244内に配置される。緊張部材250は、アンカー246の中心ボア252内に任意に配置され、基部プレート248を関節表面Gに対して保持する。次に、様々な関節構成要素240は、多様な付着機構を使用して、基部プレート248に付着させることができる。一実施態様では、骨移植片242は、たとえば金属または合成メッシュ材料などの強化構造257によって取り囲まれる。凸状関節面258の曲率半径は、関節構成要素240の回転中心259が、好ましくは骨移植片242の遠心面256を含む平面254内、またはこの平面254の裏側に位置するように選択することが好ましい。骨移植片242が関節表面Gと融合すると、骨移植片242の遠心面256は効果的な関節表面になる。
【0080】
図18は、本発明の一実施態様による、関節表面Gに付着された反転肩用補綴の関節構成要素260の略図である。骨移植片262は、基部プレート264およびアンカー266を使用して、関節表面Gに固定される。関節構成要素260は、基部プレート264に係合するサイズに形成された第1陥凹部268、および第2陥凹部270を含み、凸状関節面271の延在部272は、肩甲骨Sの一部分上に延在する。延在部272は、移植を促進するように、任意に可撓性であるかまたは半可撓性で良い。一実施態様では、延在部272は、接着剤、固締具などを使用して肩甲骨Sに付着される。骨移植片262は、一体の骨体積または骨物質のピューレで良い。凸状関節面271の曲率半径は、関節構成要素260の回転中心278が、好ましくは骨移植片262の遠心面276を含む平面274内、またはこの平面274の裏側に位置するように選択することが好ましい。
【0081】
図19は、本発明の一実施態様による、関節表面Gに付着された反転肩用補綴の関節構成要素280の略図である。骨移植片282は、関節表面Gと、関節構成要素280の対向面284との間に位置する。図示の実施態様では、骨移植片282は、2つ以上の層282a、282b、または骨移植片の材料である。緊張部材286は、関節表面Gに対して関節構成要素280を保持するための中心ボア288内に配置される。凸状関節面290の曲率半径は、回転中心296が、骨移植片282の遠心面294を含む平面292内、またはこの平面292の裏側に位置するように選択することが好ましい。
【0082】
図20は、本発明の一実施態様による、関節表面Gに付着された反転肩用補綴の関節構成要素300の略図である。強化構造302は、固締具304を使用して関節表面Gに付着される。強化構造302の側壁303は、骨移植片310の外側側面を支持する。強化構造302は、骨の内埴を促進するため、複数の孔または穿孔306を有することが好ましい。
【0083】
対向する強化構造308は、強化構造302および骨移植片310上に延在する。図示の実施態様では、対向する強化構造308は、強化構造302と伸縮自在に係合する。骨移植片310は、一体の骨体積または骨物質のピューレで良い。対向する強化構造308は、骨の内埴を促進するため、複数の孔307を任意に含む。
【0084】
関節構成要素300は、対向する強化構造308の遠心面312に任意に付着される。図示の実施態様では、関節構成要素は、対向する強化構造308に中心を外して実装される。対向する強化構造308は、外科医が、関節構成要素300を様々な位置に配置することを可能にする複数の実装機構を有することが好ましい。凸状関節面314の曲率半径は、回転中心319が、骨移植片310の遠心面318を含む平面316内、またはこの平面316の裏側に位置するように選択することが好ましい。もう1つの実施態様では、回転中心は、平面316に近接する。
【0085】
図21は、本発明の一実施態様による、関節表面Gに付着された反転肩用補綴の関節構成要素320の略図である。関節表面Gは、患者の中央線Mに対してある角度322で切除される。補償のため、骨移植片324には非平行面326、238が形成される。図示の実施態様では、骨移植片324は、固締具330を使用して関節表面Gに固定されるが、本明細書で開示するどの構造を使用しても良い。凸状関節面332の曲率半径は、回転中心338が、骨移植片324の遠心面336を含む平面334内、またはこの平面334の裏側に位置するように選択することが好ましい。
【0086】
図22は、本発明の一実施態様による、関節表面Gに付着された肩用補綴の関節構成要素340の略図である。関節表面Gの露出表面342は、非平面である。補償のため、骨移植片344には、相補的な形状の表面346を形成することが好ましい。図示の実施態様では、関節構成要素340の対向面348は非平面である。したがって、骨移植片344の遠心面350にも、相補的な形状を形成することが好ましい。非平面状の表面346、348は、用途によって構造上の利点を提供する。
【0087】
図示の実施態様では、関節構成要素340は、複数の固締具352を使用して関節表面Gに固定される。関節構成要素340の遠心面354は、平面として示されているが、用途に応じて凸状または凹状関節面を有するように構成することができる。
【0088】
図23は、本発明の一実施態様による、関節表面Gに付着された解剖学的肩用補綴の関節構成要素360の略図である。関節構成要素360の対向面362は、非平面である。補償のため、骨移植片366の遠心面364には、相補的な形状を形成することが好ましい。図示の実施態様では、関節構成要素360は、アンカー368を使用して関節表面Gに固定されるが、本明細書に開示されているどの固定構造を使用しても良い。関節構成要素360の遠心面370は凹状だが、用途に応じて凸状で良い。
【0089】
図24は、本発明の一実施態様による、関節表面Gに付着された解剖学的肩用補綴の関節構成要素380の略図である。関節構成要素380の対向面382は非平面状および竜骨384である。竜骨384は、骨の内埴を促進するための孔390を任意に含む。骨移植片388の遠心面386には、対向面382と相補的な形状を形成することが好ましい。骨移植片388は、一体の骨体積または骨物質のピューレで良い。一実施態様では、竜骨384を収容するため、骨移植片388内に切欠が形成される。もう1つの実施態様では、骨移植片388は環状リングであり、竜骨は、中心開口部内に位置し、骨物質のピューレ、骨セメント、または多様な接着剤を使用して固定される。
【0090】
図25は、本発明の一実施態様による、関節表面Gに付着された解剖学的肩用補綴の関節構成要素400の略図である。関節表面Gの露出表面402は、非平面である。図示の実施態様では、露出表面402は、関節構成要素400の対向面406上の竜骨404と相補的な形状を有する。
【0091】
図26は、本発明の一実施態様による、関節表面Gに付着された反転肩用補綴の関節構成要素420の略図である。関節表面Gの露出表面402は非平面である。一実施態様では、図26に示されている様々な形状424a、424b、424c、424d(「424」と総称する)は、たとえば、関節表面Gの表面内の欠点を除去するため、および関節構成要素420の安定性を高めるために関節表面G内に形成される。
【0092】
骨移植片426は、一体の体積、複数の部分、骨物質のピューレ、またはこれらの組合せで良い。一実施態様では、外科医は、手術の際に、公知の形状の複数の予備成形骨移植片を利用することができる。外科医は、予備成形骨移植片の1つの形状に対応する関節表面Gの露出表面422から材料を除去する。外科医は次に、予備成形骨移植片を、関節表面G内に形成された陥凹部内に配置する。
【0093】
図27は、本発明の一実施態様による、関節表面Gに付着された反転肩用補綴の関節構成要素440の略図である。関節構成要素440は、基部プレート444に係合する陥凹部442を含む。骨移植片458は、一体の骨体積または骨物質のピューレで良い。
【0094】
図示の実施態様では、基部プレート444および/または関節構成要素440のアンカー446は、関節表面Gの中心軸448から偏位するように配置される。凸状関節面452の下部450は、肩甲骨Sの支柱を越えて延在し、上腕骨補綴部分との干渉を最小限にする。凸状関節面452の曲率半径は、関節構成要素440の回転中心が、好ましくは、骨移植片458の遠心面456を含む平面454内、または平面454と関節表面Gとの間に位置するように選択することが好ましい。
【0095】
図示の実施態様では、関節表面Gの露出表面460は、1つまたは複数の欠損462を含む。これらの欠損462は、一体の骨移植片、複数の部分、骨物質のピューレ、またはこれらの組合せ464で修復することが好ましい。修復後、関節表面Gの露出表面460は、ほぼ平坦であり、骨移植片458の収容に十分に適することが好ましい。
【0096】
図28は、本発明の一実施態様による、関節表面Gに付着された反転肩用補綴の関節構成要素480の略図である。骨移植片486の端面482、484は平行ではない。図示の実施態様では、関節構成要素480のアンカー488は、関節表面Gの水平軸490に対してある角度である。その結果、骨移植片486の表面492は、凸状関節面494の下部の延在部として作用する。
【0097】
図29は、関節表面Gの水平軸490に対して異なる角度のアンカー488を有する図28の関節構成要素480の略図である。骨移植片486の表面496は、凸状関節面494の上部の延在部として作用する。
【0098】
図30A〜30Fは、本発明の一実施態様により、生体外で骨移植片500を形成するための別法による方法および装置を示す。上腕骨骨端Eは、上腕骨Hから切除される(たとえば、図7参照)。図示の実施態様では、切除された上腕骨骨端Eは、切除時に形成された平面P、および曲面Cを含む。
【0099】
上腕骨骨端Eの曲面Cは、図30Aに示すとおり、基部502上に位置する。図30Bに示すカバー504は、上腕骨骨端Eを基部502に固定する。図30Cに示すように、孔あけ器具506は、カバー504内の開口部508を通して挿入される。孔あけ器具506は、手または電動ドライバで操作される。別法による実施態様では、器具506は、歯510を備えない嵌入器具である。
【0100】
一実施態様では、結果として得られる骨移植片500は、図30Dに示す平面512および曲面514を有する環状リングである。別法による実施態様では、切断器具516は、カバー504内のスロット518を通して挿入され、骨移植片500は、図30Fに示すように対向平面を有する環状リングである。
【0101】
本発明の範囲を逸脱することなく、上記の例示的な実施態様に様々な修正および追加を加えることができる。たとえば、上記の実施態様は特定の特徴を指示しているが、本発明の範囲は、特徴の様々な組合せを有する実施態様、および上記の特徴のすべてを含むわけではない実施態様も含む。
【0102】
本発明は、単なる実施例として記載されている説明を読み、図面を参照するとより理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】患者の肩に移植される反転肩用補綴の基本的な略図である。
【図2】図1の補綴を固定するために使用される器具のセットの補助器具の略側面図である。
【図3】図2の補助器具を使用後、患者の上腕骨に適用される器具のセットに関連する別の補助器具を示す、図2に類似する図である。
【図4】器具のセットに関連するさらに他の補助器具の略斜視図である。
【図5】図3および4の補助器具を使用後の上腕骨を示す、図2に類似する図である。
【図6】器具のセットに関連する別の補助器具の略斜視図である。
【図7】図4の補助器具を使用後、図6の補助器具を上腕骨に適用した状態を示す、図2に類似する図である。
【図8】本発明による器具のセットの第2実施態様を示し、図1の補綴を取り付けるために、このセットに関連して連続的に使用される4つの補助器具の類似する個々の略側面図である。
【図9】本発明による器具のセットの第2実施態様を示し、図1の補綴を取り付けるために、このセットに関連して連続的に使用される4つの補助器具の類似する個々の略側面図である。
【図10】本発明による器具のセットの第2実施態様を示し、単独で示されている図9の補助器具の部分斜視図である。
【図11】本発明による器具のセットの第2実施態様を示し、図1の補綴を取り付けるために、このセットに関連して連続的に使用される4つの補助器具の類似する個々の略側面図である。
【図12】本発明による器具のセットの第2実施態様を示し、図1の補綴を取り付けるために、このセットに関連して連続的に使用される4つの補助器具の類似する個々の略側面図である。
【図13】本発明によるその他の反転肩用補綴の関節部の基本的な略図である。
【図14】本発明による補綴の変形例の図13に類似する図である。
【図15】異なる実施態様による反転肩用補綴の関節構成要素を側方化させるための骨移植片の様々な使用を示す。
【図16】異なる実施態様による反転肩用補綴の関節構成要素を側方化させるための骨移植片の様々な使用を示す。
【図17】異なる実施態様による反転肩用補綴の関節構成要素を側方化させるための骨移植片の様々な使用を示す。
【図18】異なる実施態様による反転肩用補綴の関節構成要素を側方化させるための骨移植片の様々な使用を示す。
【図19】異なる実施態様による反転肩用補綴の関節構成要素を側方化させるための骨移植片の様々な使用を示す。
【図20】異なる実施態様による反転肩用補綴の関節構成要素を側方化させるための骨移植片の様々な使用を示す。
【図21】異なる実施態様による反転肩用補綴の関節構成要素を側方化させるための骨移植片の様々な使用法示す。
【図22】異なる実施態様による解剖学的肩用補綴の関節構成要素を側方化させるための骨移植片の様々な使用法を示す。
【図23】異なる実施態様による解剖学的肩用補綴の関節構成要素を側方化させるための骨移植片の様々な使用法を示す。
【図24】異なる実施態様による解剖学的肩用補綴の関節構成要素を側方化させるための骨移植片の様々な使用法を示す。
【図25】異なる実施態様による解剖学的肩用補綴の関節構成要素を側方化させるための骨移植片の様々な使用法を示す。
【図26】異なる実施態様による解剖学的肩用補綴の関節構成要素を側方化させるための骨移植片の様々な使用法を示す。
【図27】異なる実施態様による反転肩用補綴の関節構成要素を側方化させるための骨移植片の様々な使用法を示す。
【図28】異なる実施態様による反転肩用補綴の関節構成要素を側方化させるための骨移植片の様々な使用法を示す。
【図29】異なる実施態様による反転肩用補綴の関節構成要素を側方化させるための骨移植片の様々な使用法を示す。
【図30A−30E】別の実施態様により骨移植片を作製するための方法およびツールセットを示す。
【符号の説明】
【0104】
1 肩用補綴、補綴
2 骨移植片、移植片
2A 外側側面、面、側面
2B 遠心面、長手方向端面、面
2C 内側面、面
10 関節構成要素
11 頭部、関節頭部
11A 表面、面、半球面
11B 対向面、面
12 アンカー尾部、尾部
17 本体
20 上腕骨構成要素、構成要素
21 尾部
22 頭部
22A 凹状関節面、関節面
30 補助器具
31 シャフト
32 本体
33 幾何学的中心軸
34 凹状表面
35 突出管
36 直径貫通オリフィス
37 共通部分
40 案内ピン
41 先端
50 切除補助器具
51 環状本体
52 カッター
53 終端ドリル、ドリル
60 補助器具
61 中心ロッド
62 冠状鋸
63 歯
70 切断補助器具
71 管状ブロック
72 外側縁部
73 横方向スロット
74 基部壁
75 中心スタッド
80 保護リング、リング
90 格子
92 ケージ
92A 側方端壁
130 補助器具
132 本体
133 軸
135 管
142 矢印
153 ドリル
160 補助器具
161 長形シャフト
162 冠状鋸
163 歯
165 基部壁
166 リーマ
167 掘削補助器具
168 シャフト
170 補助器具
171 環状本体
173 案内表面
176 シャフト
200 関節構成要素
202 陥凹部
204 骨移植片
206 下部
208 表面
210 平面
212 遠心面
214 回転中心
220 関節構成要素
222 強化構造
224 骨移植片
230 陥凹部
232 遠心面
233 回転中心
234 アンカー
235 表面
236 先端
237 平面
239 遠心面
240 関節構成要素
242 骨移植片
244 陥凹部
246 アンカー
248 基部プレート
250 緊張部材
252 中心ボア
254 平面
256 遠心面
257 強化構造
258 表面
259 回転中心
260 関節構成要素
262 骨移植片
264 基部プレート
266 アンカー
268 陥凹部
270 陥凹部
271 凸状関節面
272 延在部
274 平面
276 遠心面
278 回転中心
279 強化ファイバ
280 関節構成要素
282 骨移植片
282a層
284 対向面
286 緊張部材
288 中心ボア
290 凸状関節面
292 平面
294 遠心面
296 回転中心
300 関節構成要素
302 強化構造
303 側壁
304 固締具
306 穿孔
307 孔
308 強化構造
310 骨移植片
312 遠心面
314 凸状関節面
316 平面
318 遠心面
319 回転中心
320 関節構成要素
322 角度
324 骨移植片
326 非平行面
330 固締具
332 凸状関節面
334 平面
336 遠心面
338 回転中心
340 関節構成要素
342 露出表面
344 骨移植片
346 表面
348 対向面
350 遠心面
352 固締具
354 遠心面
360 関節構成要素
362 対向面
364 遠心面
366 骨移植片
368 アンカー
370 遠心面
380 関節構成要素
382 対向面
384 竜骨
386 遠心面
388 骨移植片
390 孔
400 関節構成要素
402 露出表面
404 竜骨
406 対向面
420 関節構成要素
422 露出表面
426 骨移植片
440 関節構成要素
442 陥凹部
444 基部プレート
446 アンカー
448 中心軸
450 下部
452 凸状関節面
454 平面
456 遠心面
458 骨移植片
460 露出表面
462 欠損
464 平面
480 関節構成要素
482 端面
486 骨移植片
488 アンカー
490 水平軸
492 表面
494 凸状関節面
496 表面
500 骨移植片
502 基部
504 カバー
506 器具
508 開口部
510 歯
512 平面
514 曲面
516 切断器具
518 スロット
P 支柱
P 平面
S 肩甲骨

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肩甲骨(S)の関節表面(G)の移植に適合する肩用補綴(1)であって、前記補綴が、
− 関節面(11A;208;235;258;271;290;314;332;354;370;452;494)および対向面(llB;202;230;270;284;348;362;382;406;442)を有する関節構成要素(10;200;220;240;260;280;300;320;340;360;380;400;420;440;480)と、
− 前記関節表面(G)と相補的な形状を有する内側面(2C;328;342;484)と、前記対向面の少なくとも一部と相補的な形状を有する遠心面(2B;212;239;256;276;294;318;326;350;364;386;456;482)とを有する骨移植片(2;204;224;242;262;282;310;324;344;388;426;458;486)と、
− 前記対向面から前記骨移植片を貫通するか、または前記骨移植片の周囲を通り、実質的に前記関節表面内に延在するアンカー手段(12;234;246;266;286;302,304,306;330;352;368;384;404;446;488)と
を含む肩用補綴。
【請求項2】
前記補綴が上腕骨構成要素(20)をさらに備え、したがって、前記肩用補綴が完全である、請求項1に記載の肩用補綴。
【請求項3】
前記関節面(11A;208;235;258;271;290;314;332;452;494)が凸状であり、前記肩用補綴が反転している、請求項1または請求項2に記載の肩用補綴。
【請求項4】
関節構成要素(10;200;220;240;260;280;300;320;440;480)の回転の中心(214;233;259;278;296;319;338)が、骨移植片(2;204;224;242;262;282;310;324;458;486)の遠心面(2B;212;239;256;276;294;318;326;456;482)上、または遠心面の内側上に位置する、請求項3に記載の反転肩用補綴。
【請求項5】
前記骨移植片(486)が、前記凸状関節面(494)の延在部として作用する外側側面(492;496)を有する、請求項3または請求項4に記載の反転肩用補綴。
【請求項6】
前記関節面(370)が凹状であり、前記肩用補綴が解剖学的であり、前記関節構成要素(360;380;400)の周囲の回転中心が、骨移植片(366;388)の遠心面(366;386)の側面上に位置する、請求項1または請求項2に記載の肩用補綴。
【請求項7】
前記補綴が、前記関節表面(G)に接触しない骨移植片(2;204;224;242;262;310)の外側側面(2A)を少なくとも部分的に取り囲む強化構造(80;90;202;222;230;257;270;272;302;308)をさらに備える、請求項1〜6の何れか1項に記載の肩用補綴。
【請求項8】
前記強化構造が、骨移植片(2;224;310)を保護するための保護手段(80;90;222;308)であって、前記対向面(11B;230)の少なくとも一部の支持手段を形成する保護手段を備える、請求項7に記載の肩用補綴。
【請求項9】
前記保護手段が、前記骨移植片(2)の前記外側側面(2A)に密着するように取り囲むのに適するリング(80)の形態を有する、請求項8に記載の肩用補綴。
【請求項10】
前記保護手段が、骨移植片(2)を形成する骨物質ピューレを充填するのに適するケージ(90)として賦形される格子(92)を備える、請求項8に記載の肩用補綴。
【請求項11】
前記強化構造が、前記関節構成要素(200;220;260)の前記対向面によって画定されると共に、前記骨移植片(204;224;262)が内部に収容される陥凹部(202;230;270)を含む、請求項6〜10の何れか1項に記載の肩用補綴。
【請求項12】
前記強化構造、特に前記保護手段(80;90;222;308)が、ヒドロキシアパタイトによって被覆されるか、または骨の付着および回復を可能にするハニカム表面状態など、機能的に類似する表面状態を有する、請求項7〜10の何れか1項に記載の肩用補綴。
【請求項13】
前記アンカー手段(12;234;246;266;286;330;352;368;446;488)が、前記移植片(2;204;224;242;262;282;324;344;366;458;486)をまっすぐ通過し、その結果、前記アンカー手段の自由端が、関節表面(G)の固有層内にアンカーするように構成される、請求項1〜12の何れか1項に記載の肩用補綴。
【請求項14】
前記骨移植片が、関節表面(G)のための上腕骨の上部骨端を含む、請求項1〜13の何れか1項に記載の肩用補綴。
【請求項15】
前記骨移植片が、前記上部上腕骨骨端以外の患者の骨から得られる、請求項1〜13の何れか1項に記載の肩用補綴。
【請求項16】
前記骨移植片が、同種移植片、異種移植片、天然または合成材料の1つまたは複数を含む、請求項1〜15の何れか1項に記載の肩用補綴。
【請求項17】
肩用補綴(1)を取り付けるための外科手術用器具のセットであって、前記セットが、
− 上腕骨(H)の上部上腕骨骨端(E)を形成する骨物質を、前記上腕骨(H)の長手方向に対して傾斜する軸(EX−X)の周囲の長さに延在する一体の体積(E)状に賦形するための賦形補助手段(60;160)と、
− 前記賦形補助手段(60;160)によって賦形された上腕骨骨端(E)を切断し、この体積の前記軸(EX−X)に対して横方向に骨物質の体積(E)を切断するための切断補助手段(70;170)であって、前記切断補助手段が、前記骨物質の体積を前記上腕骨(H)から除去することを可能にし、その結果、前記体積が移植片(2)を形成するセット。
【請求項18】
前記上腕骨骨端(52;166)の端部を切除するための切除手段(52;166)であって、前記セットの他の補助手段(60、70)とは別の特定の切除補助手段(50)により実施されるか、または賦形補助手段(160)内に組み込まれる切除手段(52;166)を備える、請求項17に記載のセット。
【請求項19】
前記切除手段が、前記骨物質の体積(E)の軸(EX−X)に対して横方向の第1平面(E)上で上腕骨骨端(E)を切除するための平面状カッター(52;166)を備える、請求項18に記載のセット。
【請求項20】
前記上腕骨骨端(E)に孔あけするための孔あけ手段(53;153)であって、前記孔あけ手段が、前記上腕骨骨端内に陥凹部(E)を形成して、骨物質の体積(E)の軸(EX−X)上の中心に配置するのに適し、前記賦形補助手段内、もしくは前記切除補助手段(50)内に組み込まれるか、または前記セットの他の補助手段(130、160、170)とは別の特定の掘削補助手段(167)によって実施される、請求項17〜19の何れか1項に記載のセット。
【請求項21】
前記上腕骨骨端(E)内に挿入することが可能であり、前記賦形補助手段(60;160)および任意に前記セットのその他の補助手段(50;167)の少なくとも一方を案内するのに適するマーカーピン(40)または類似のマーカー手段をさらに備える、請求項17〜20の何れか1項に記載のセット。
【請求項22】
前記マーカーピン(40)を前記上腕骨骨端(E)内に挿入するための挿入補助手段(30;130)であって、前記ピンを上腕骨(H)に対して挿入する方向を調節するのに適する挿入補助手段(30;130)をさらに備える、請求項21に記載のセット。
【請求項23】
前記挿入補助手段(30;130)が、一方では、キャップ状に前記上部上腕骨骨端(E)を被覆するように内部に構成された丸みのあるベル状本体(32;132)を備え、他方では、前記マーカーピンを適用するための案内手段(35)であって、前記本体内に開放している案内手段(35)を備える、請求項22に記載のセット。
【請求項24】
前記賦形補助手段(60;160)が、前記骨物質の体積(E)状に賦形することによって、上腕骨骨端(E)を形成する骨物質を切断するのに適するベル形の鋸(62;162)を備える、請求項17〜23の何れか1項に記載のセット。
【請求項25】
前記鋸(62;162)が、任意に穿孔された円筒または円錐台状の内面を有し、前記骨物質の体積に、前記体積の軸(EX−X)の中心に配置される円錐の円筒(E)または錐台の全体形状を与える、請求項24に記載のセット。
【請求項26】
前記切断補助手段(70)が、前記賦形補助手段(60)によって賦形される骨質量(E)の体積の周囲に滑入するのに適する管状ブロック(71)を備え、前記ブロックが、手術時に前記上腕骨(H)方向に向けられる長手方向端部において、前記骨物質の体積(E)の軸(EX−X)に対して横方向に前記上腕骨骨端(E)を切断するための切開地帯(73)を前記上腕骨骨端(E)内に画定する、請求項17〜25の何れか1項に記載のセット。
【請求項27】
前記切開地帯が、前記体積の軸(EX−X)に対して横方向に第2平面(E)上で前記骨物質の体積(E)を切断するように、鋸歯などを通すための横方向スロット(73)を形成する、請求項26に記載のセット。
【請求項28】
前記切断補助手段(170)が、前記賦形補助手段(160)によって賦形される少なくとも前記骨物質の体積(E)を取り囲む上腕骨骨端の周囲に実装するのに適する環状本体(171)を備え、前記本体が、前記軸(EX−X)に対して横方向に少なくとも前記骨物質の体積(E)を切断する骨切断ツールを案内するための表面(173)を画定する、請求項17〜25の何れか1項に記載のセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30A】
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【図30B】
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【図30C】
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【図30D】
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【図30E】
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【図30F】
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【公開番号】特開2008−183412(P2008−183412A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−46830(P2008−46830)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(503243922)
【Fターム(参考)】