説明

胎盤増殖因子の結合パートナー、特には胎盤増殖因子に対して向けられた抗体、それらの製造および使用

本発明は、胎盤増殖因子(PlGF)の結合パートナー、特に、胎盤増殖因子に向けられた抗体、加えて、それらの製造方法および使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胎盤増殖因子(または、placenta growth factor,PlGF)の結合パートナー、具体的には胎盤増殖因子に対して向けられた抗体、ならびにそれらの製造および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
PlGFは、生理学的および病理学的過程、具体的には血管新生に関与することがはっきりしている。PlGFは、腫瘍の進行、腎臓病(具体的には、糖尿病によって引き起こされる腎臓病)、乾癬、炎症性疾患、具体的には、リウマチ様関節炎、心臓血管疾患などにおいて重要な役割を果たす[Iyer,S.;Leonidas,D.D.;Swaminathan,G.J.;Maglione,D.;Battisti,M.;Tucci,M.;Persico,M.G.;Acharya,K.R.J Biol Chem 2001,276,(15),12153〜61./Iyer,S.;Acharya,K.R.Trends Cardiovasc Med 2002,12,(3),128〜34./Heeschen,C.;Dimmeler,S.;Fichtlscherer,S.;Hamm,C.W.;Berger,J.;Simoons,M.L.;Zeiher,A.M.JAMA 2004,291,(4),435〜41./Yang,W.;Ahn,H.;Hinrichs,M.;Torry,R.J.;Torry,D.S.J Reprod Immunol 2003,60,(1),53〜60]。
【0003】
PlGFは、主に胎盤で発現され、「システインノット(cysteine−knot)」タンパク質ファミリーに属する。PlGFは、様々な形態で発生する。PlGFの様々な形態としては、(I)一次アイソフォーム、および、(II)二次アイソフォームが挙げられる。さらに、(III)遊離PlGF(fPlGF)と、結合型PlGF(gPlGF)とを区別することができる。
【0004】
(I)一次PlGFアイソフォーム
一次PlGFアイソフォームは、一次配列、すなわちタンパク質におけるアミノ酸の順番が特徴的である。オルタナティブスプライシング、および、翻訳後修飾、例えば糖付加、リン酸化、分解(分解産物生成物,フラグメントなど)、アセチル化などにより、異なる一次PlGFアイソフォームが生じる。これまでに、ヒトPlGFにおいて4種の異なる一次アイソフォーム、PlGF−1(PlGF−131)、PlGF−2(PlGF152)、PlGF−3(PlGF−203)、および、PlGF−4が説明されている。
【0005】
PlGF−1前駆体の配列(配列番号(SN)1V)は、以下の通りである:
【化1】

【0006】
分泌型PlGF−1は、典型的にはPlGF−1前駆体(PlGF前駆体)のリーダー配列を有さないため、N末端においてアラニン(A)で始まる(PlGF−1前駆体の配列ではで始まる;上記参照)。これは、概して、その他の一次PlGFアイソフォームにも当てはまる。
【0007】
従って、一次PlGF−1アイソフォームの配列は、以下の通りである:
【化2】

【0008】
この一次配列において、翻訳後修飾の可能性のある部位を識別することができ、従って、翻訳後修飾で改変された一次アイソフォームの存在も識別することができる。例えば、一般的には、インビボにおいて、84位(アスパラギン,)でグリコシル化されたPlGF−1の翻訳後修飾で改変された一次PlGFアイソフォームが存在する。
【0009】
一次アイソフォームPlGF−1の最初のN末端アミノ酸は、アラニンの代わりにメチオニン(M)であることが多い。これは、一般的に、組換えによって例えばエシェリキア・コリ(Escherichia coli;E.coli)で発現されたPlGF−1(rPlGF−1)に関連し、具体的にはヒトrPlGF−1(rhPlGF−1)に関連する。本明細書において、メチオニンをコードするAUGは、開始コドンとして用いられる。このようなE.coliで発現されたPlGFは、翻訳後修飾されておらず、具体的には糖付加もされていない。
【0010】
組換えヒト一次PlGF−1アイソフォームの配列は、一般的に、以下のように記載される:
【化3】

【0011】
PlGF−2アイソフォームにおいて、オルタナティブスプライシングを介してアルギニン(R)124の代わりに配列:RRRPKGRGKRRREKQRPTDCHLが存在する。従って、一次PlGF−2アイソフォームの配列は、以下のように読み出しされる:
【化4】

【0012】
オルタナティブスプライシングによって挿入された72個のアミノ酸のインサート(HSPGRQSPDMPGDFRADAPSFLPPRRSLPMLFRMEWGCALTGSQS AVWPSSPVPEEIPRMHPGRNGKKQQRK)により、一次PlGF−3アイソフォームの配列が生じる:
【化5】

【0013】
一次PlGF−4アイソフォームは、PlGF−2アイソフォーム(イタリック)、さらにはPlGF−3アイソフォーム(下線)の両方の配列を含む:
【化6】

【0014】
(II)二次PlGFアイソフォーム
二次PlGFアイソフォームは、一次PlGFアイソフォームまたはその他の分子、具体的にはPlGFに相同な分子の組み合わせから生じる。一次PlGFアイソフォームまたはその他の分子は、二次PlGFアイソフォームのサブユニットである。一般的に、二次PlGFアイソフォームは、2つのサブユニットからなる。従ってPlGFは、一般的には二量体として、すなわちホモ二量体またはヘテロ二量体として存在する。ホモ二量体は、2つの同一な一次PlGFアイソフォーム(サブユニット)からなり、例えばPlGF−1×PlGF−1、PlGF−2×PlGF−2、PlGF−3×PlGF−3、および、PlGF−4×PlGF−4である。ヘテロ二量体は、2つの異なる一次PlGFアイソフォームからなるか、または、1つの一次PlGFアイソフォームと、1つのその他の分子、具体的にはPlGF同族体、例えば血管内皮増殖因子(VEGF)やそれらの一次アイソフォームからなる。ヘテロ二量体の可能性のある例は、PlGF−1×PlGF−2、PlGF−3×PlGF−4、PlGF−1×VEGFなどである。
【0015】
(III)遊離PlGF(fPlGF)および結合型PlGF(gPlGF)
PlGFは結合パートナーと複合体を形成するため、PlGFの複合体化した形態または結合した形態も同様に、アイソフォームとして考慮しなければならない。原則的には、遊離の一次PlGFアイソフォーム、ただし具体的には遊離の二次PlGFアイソフォーム(遊離PlGF、fPlGF)は、複合体化した形態または結合した形態(結合型PlGF、gPlGF)と区別すべきである。gPlGFは、例えば複合体化した形態で存在するホモ二量体のPlGF−1である。これらは単純な複合体の可能性があり、すなわちPlGF−1のホモ二量体は、受容体に結合しており、例えば膜結合型のfms様チロシンキナーゼ受容体−1(mFlt−1)である。その他の例は、可溶性Flt−1(sFlt−1)、ニューロピリン(neurophilin)(NP;具体的にはNP−1、および、NP−2)、キナーゼドメインを含む受容体/胎児肝臓キナーゼ受容体(KDR/Flk−1、VEGFR−2)、ヘパリン硫酸プロテオグリカン(HSPG)、ならびにそれらのアイソフォーム、相同体、フラグメントおよび分解産物生成物との複合体である。また、数個の、場合によっては異なるPlGFアイソフォーム、および、数個の、場合によっては異なる結合パートナー、具体的には受容体の複合体で構成される多層も可能性がある。
【0016】
PlGFの機能は、膜結合型または可溶性fms様チロシンキナーゼ受容体−1(fms様チロシンキナーゼ受容体−1(Flt−1)、または、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体−1(VEGFR−1))、および、キナーゼドメインを含む受容体/胎児肝臓キナーゼ受容体(KDR/Flk−1、または、VEGFR−2)に結合することによって、仲介、調節または阻害される。その他の可能性のあるPlGFの機能に加えて、PlGFの膜結合型のFlt−1(mFlt−1)への結合が特に重要である。これによりmFlt−1のリン酸転移反応が起こり、従って、シグナル伝達カスケードを活性化する[Iyer,S.;Acharya,K.R.Trends Cardiovasc Med 2002,12,(3),128〜34]。
【0017】
これに対して、PlGFのsFlt−1への結合は、PlGFの生理学的活性を減少させる作用があると推測される[Iyer,S.;Acharya,K.R.Trends Cardiovasc Med 2002,12,(3),128〜34]。さらに、PlGFアイソフォームが関与すると推測される。PlGF−2は、場合によっては膜に結合するが、カルボキシ末端に21個のアミノ酸のカチオン性インサートを有する。アニオン性、具体的にはポリアニオン系の物質、例えばヘパリン、ヘパリン硫酸プロテオグリカンなどの結合を介して、さらなる機能が介在する可能性がある。また、アスパラギン(Asn)84、および、PlGF−3に存在するアミノ酸配列のN−グリコシル化も、類似の作用を有する可能性がある。さらに、この場合、VEGF発現、従ってその活性は負の調節を受けるため、PlGFおよびVEGFの結合はさらにその他の作用を有すると推測される[Iyer,S.;Acharya,K.R.Trends Cardiovasc Med 2002,12,(3),128〜34]。要約すると、これは、PlGFの様々な形態が異なる機能を有するか、または、異なる作用を発揮することを意味する。
【0018】
従来技術
今のところ分析や診断目的に用いられる現行の検出方法および結合パートナー、具体的には抗体に関して、PlGFの異なる形態は、区別されないか、または、効率的な区別が不十分である(十分に特異的ではない)という問題がある。例えば、R&Dシステムズ社(R&D Systems Inc.)製の「抗ヒトPlGF抗体」は、所定のPlGF形態、具体的にはrhPlGF−1のホモ二量体を特異的に認識しないだけでなく、rhPlGF、および、VEGF、および、rhPlGF−2のヘテロ二量体(R&Dシステムズのカタログ番号:AF−264−PB、または、DPG00の製品説明)も特異的に認識しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
さらに、fPlGFまたはgPlGFは特異的に検出されず、すなわち現存する抗体では、fPlGFとgPlGFとを区別しないか、または、十分に効率的に区別しない。具体的には、fPlGFの特異的な検出が不十分である。これは、rhFlt−1/Fcの形態のrhFlt−1は、PlGF(R&Dシステムズのカタログ番号:DPG00)の決定に対して作用を有するという事実によって実証されている。この非特異性は文献で確認されている[Maynard,S.E.;Min,J.Y.;Merchan,J.;Lim,K.H.;Li,J.;Mondal,S.;Libermann,T.A.;Morgan,J.P.;Sellke,F.W.;Stillman,I.E.;Epstein,F.H.;Sukhatme,V.P.;Karumanchi,S.A.J Clin Invest 2003,111,(5),649〜58]。Maynard等によれば、関連するR&DシステムズのELISA(R&Dシステムズのカタログ番号:AF−264−PBまたはDPG00)はfPlGFに所定の特異性を示すことが示されているが、行われた研究によれば、この特異性は低いことがわかる。0.5ng/
mLのrhPlGF−1の決定において、0.5ng/mLのsFlt−1の存在下ではわずか約12%のシグナルの減少が観察される。10倍過量のsFlt−1(5ng/mL)を用いたとしても、シグナルの減少は2倍になった程度である。より顕著なシグナルの減少は、fPlGFに対してより高い特異性を有する抗体を用いれば起こると予想される。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係る問題とその解決方法
従って、本発明の目的は、具体的には特異的な結合パートナーによって、具体的には抗体によって特定のPlGFの形態の特異的な検出を可能にする方法または成分を提供することである。
【0021】
この問題の解決方法は、請求項で説明されている本発明に係る目的および方法を提供することからなる。
【0022】
具体的には、上記目的は、PlGFの一次アイソフォームに特異的に結合する結合パートナー、具体的には抗体を提供することによって達成される。これらの結合パートナー、具体的には抗体は、一次および二次アイソフォーム、および、遊離または結合型PlGFの形態の免疫学的な検出および定量化の基礎を構成する。これは、具体的には、診断用途のための生物学的材料、具体的には血漿サンプルに適用される。同様に治療用途も可能である。
【0023】
驚くべきことに、以下で説明されているように異なる形態のPlGFを検出することができる。以下、遊離PlGFを特異的に検出するための、結合パートナーの選択、および、特異的な結合パートナーを製造するための物質をより詳細に説明する:
本発明によれば、fPlGF、具体的には非m/sFlt−1結合型PlGFを検出するのに特に適しているのは、二次PlGFアイソフォームのポールにおける受容体結合ドメインの領域で結合する受容体チロシンキナーゼファミリー、具体的にはFlt−1、Flt−2、Flt−3、Flt−4、好ましくはFlt−1、相同体、フラグメントおよび分解産物生成物の特異的な結合パートナー、具体的には抗体およびタンパク質である。
【0024】
特に適切なのは、遊離の一次および二次PlGFアイソフォーム、具体的には二次PlGFアイソフォーム、好ましくはPlGFのホモ二量体、特に好ましくはPlGF−1のホモ二量体、具体的にはrhPlGF−1のホモ二量体、好ましくはN−グリコシル化rhPlGF−1のホモ二量体を使用して製造される特異的な結合パートナー、具体的には抗体であり、これらは例えば、免疫化によって製造され、特徴付けの際に、結合の際に受容体結合部位の領域における相互作用が起こるか、または必要であることが示されるものである。
【0025】
二量体(二次PlGFアイソフォーム)における単量体(一次PlGFアイソフォーム)の「頭一尾」配向は、それぞれ受容体結合ドメインをPlGF二量体のポールに位置付ける作用を有する。受容体結合は単量体と単量体との境界で起こり、1つの単量体のみで起こることはない。
【0026】
具体的には、驚くべきことに、fPlGFに特異的な抗体を生産するための免疫化抗原として特に適切なものは、1つの単量体の配列情報しか有さないペプチド、従って両方の単量体で構成される受容体結合ドメイン全体を含まないペプチドである。
【0027】
免疫化抗原として特に適切なものは、受容体の相互作用に重要なアミノ酸を含むペプチド、または、それらの周辺の配列領域を包含するペプチドである。以下のPlGF−1配列内で、具体的には、これに限定されないがFlt−1受容体の相互作用に重要なアミノ酸を下線で示す。説明のための一例として、PlGF−1配列を選択した。また、これらのアミノ酸は、その他のPlGFアイソフォームの場合における受容体の相互作用にも重要である。
【化7】

【0028】
E−112およびP−115、具体的にはP−1l5は、PlGF−3およびPlGF−4の場合、それに対応する受容体の相互作用において二次的な役割を果たすか、または実際には何の役割も果たさないと予想され、これらは、上述の72個のアミノ酸のインサート(SN3およびSN4)がこれらのアミノ酸の間に存在することから例外の一つである。
【0029】
以下のペプチドは、fPlGFに特異的な抗体を製造するための免疫化抗原として特に適切である(免疫化抗原番号(IAN)1−4):
【化8】

【0030】
また、免疫化抗原は、免疫化抗原番号IAN1−4を含む異なるペプチド由来の配列を含んでいてもよい。例えば、以下のペプチドを用いることができる:
【化9】

【0031】
以下で、特定の実施態様をより詳細に説明する:
本発明の目的は、4〜30個のアミノ酸、好ましくは5〜20個のアミノ酸、さらに特に好ましくは10〜15個のアミノ酸からなるペプチドであり、これらは、アミノ酸配列FQEVWGRSY(IAN:1−1)、SAGNGSSEVEVV(IAN:1−1−1)、VVPFQEVWGRSY(IAN:1−1−2)、GDENL(IAN:2−1)、GCCGDENLH(IAN:2−1−1)、QLLKIRSGDRPSY(IAN:3−1)、QLLKI(IAN:3−2)、RPSYV(IAN:3−3)、RSGDRPSYVELT(IAN:3−3−1)、および/または、ECRP(IAN:4−1)を含むことを特徴とする。
【0032】
また、特に好ましくは、既述の配列からの5個の連続したアミノ酸、すなわち例えばEVVPF(IAN:1−2)、VVPFQ(IAN:1−3)、VPFQE(IAN:1−4)、PFQEV(IAN:1−5)、FQEVW(IAN:1−6)、QEVWG(IAN:1−7)、EVWGR(IAN:1−8)、VWGRS(IAN:1−9)、WGRSY(IAN:1−10)、GRSYC(IAN:1−11)、RSYCR(IAN:1−12)、SYCRA(IAN:1−13)、YCRAL(IAN:1−14)、または、GCCGD(IAN:2−2)、CCGDE(IAN:2−3)、CGDEN(IAN:2−4)などから、PLREK(IAN:4−2)までを含むペプチドである。
【0033】
非結合型および/またはキャリアー結合型を免疫化するために、免疫化抗原を用いることができる。典型的なキャリアー、例えばオバルブミン、アルブミンまたはキーホールリンペットヘモシニアンのようなタンパク質へのカップリングを容易にするために、好ましくは、リシンを含むペプチドが合成される。そのためには、以下のペプチドが特に適している:SAGNGSSEVEVVK(IAN:1−1−1K)、SGDRPSYVELTK(IAN:3−3−1K)、VPVETANVTMQLK(IAN:2/3K)、VVPFQEVWGRSYK(IAN:1−1−2K)、および、GCCGDENLHK(IAN:2−1−1K)。
【0034】
また、「多重抗原ペプチド系」も免疫化抗原として用いることができる[Tam,J.P.Proc Natl Acad Sci USA 1988,85,5409〜5413]。具体的には、IAN1−1−1、IAN3−3−1、または、IAN2/3の8−merを用いることができる:
【化10】

【0035】
以下、gPlGFを特異的に検出する特異的な結合パートナーを製造するための物質の選択をより詳細に説明する:
gPlGFを使用して、特異的な結合パートナー、具体的には抗体を、例えば免疫化によって同定または製造する。これらの特異的な結合パートナーは、それらと結合する際に、PlGF、加えて結合した結合パートナーの両方と相互作用が起こるという特徴によって区別される。
【0036】
例えば、抗体PlGFを製造するために、結合パートナーと複合体を形成するものが免疫化に用いることができる。具体的には、これらは、sFlt−1と複合体化したPlGF−1のホモ二量体であってもよい。また、関連する相同体、フラグメントなどからなる対応する複合体も使用可能である。
【0037】
以下、翻訳後修飾によって改変された、具体的にはグリコシル化されたPlGFを特異的に検出する特異的な結合パートナーを製造するための物質の選択をより詳細に説明する。
【0038】
この目的のために、翻訳後修飾された、または翻訳後修飾されていないPlGFまたは対応するペプチドが、特異的な結合パートナー、具体的には抗体を製造するために用いられる。従って、このような特異的な結合パートナーは、翻訳後修飾の存在または非存在を特異的に検出することに適している。
【0039】
例えば、配列VETANVTMQ(IAN:3−4)またはそれらの部分、例えばVETAN(IAN:3−5)、TANVT(IAN:3−6)、または、NVTMQ(IAN:3−7)を含むN−グリコシル化ペプチドを、アスパラギン84(N84)におけるPlGFのグリコシル化を特異的に検出するのに使用可能な特異的な結合パートナー、具体的には抗体を製造するために用いることができる。これらのN−グリコシル化ペプチドと同様に、グリコシル化PlGFまたは対応するフラグメントを使用することも可能である。
【0040】
加えて、適切な相同な非グリコシル化ペプチド、PlGFおよび適切なフラグメントの使用によって、非グリコシル化PlGFの特異的な検出で使用可能な結合パートナーを製造することもできる。
【0041】
以下、PlGF−2を特異的に検出する特異的な結合パートナーを製造するための物質の選択をより詳細に説明する:
本発明において、一次または二次PlGF−2アイソフォーム、それらのフラグメントまたは対応するペプチドは、特異的な結合パートナー、具体的には抗体を製造するために用いられる。以下の配列またはそれらの部分を含むペプチドおよびそれらのフラグメントは、PlGF−2−特異的な抗体を製造するための免疫化抗原として特に適切である:
【化11】

【0042】
特に好ましくは、下線で示した配列またはそれらの部分を含むペプチドを使用すべきである。
【0043】
特に適切なのは、上記の配列(IAN5)の5個の連続したアミノ酸を含むペプチドであり、例えばMKPER(IAN:5−1)、KPERR(IAN:5−2)などからLCGDA(IAN:5−3)までである。
【0044】
上述のタンパク質やペプチドを用いた免疫化またはその他の手法によって製造されたPlGF−2に関する特異的な結合パートナー、具体的には抗体と同様に、特異的な結合パートナー、例えばアニオン性化合物、具体的にはポリアニオン系化合物、好ましくはヘパリン化合物、具体的にはヘパリン硫酸プロテオグリカンを使用することも可能である。さらなる実施態様において、セマフォリン受容体ファミリーに属するタンパク質、具体的にはニューロピリン、好ましくはニューロピリン−1(NP−1)、および、ニューロピリン−2(NP−2)が、特異的なPlGF−2結合パートナーとして用いられる。
【0045】
以下、PlGF−3を特異的に検出する特異的な結合パートナーを製造するための物質の選択をより詳細に説明する:
本明細書において、一次または二次PlGF−2アイソフォーム、それらのフラグメントまたは対応するペプチドは、特異的な結合パートナー、具体的には抗体を製造するために用いられる。以下の配列またはそれらの部分を含むペプチドおよびそれらのフラグメントは、PlGF−3−特異的な抗体を製造するための免疫化抗原として特に適切である:
【化12】

【0046】
特に好ましくは、 下線で示した配列またはそれらの部分を含むペプチドを使用すべきである。
【0047】
特に適切なのは、既述の配列IAN6の5個の連続したアミノ酸、すなわち 例えばCECRH(IAN:6−1)、ECRHS(IAN:6−2)などから、KPLRE(IAN:6−3)までを含むペプチドである。
【0048】
以下、PlGF−4を特異的に検出する特異的な結合パートナーの選択、および、このような結合パートナーを製造するための物質の選択をより詳細に説明する:
本明細書において、一次または二次PlGF−4アイソフォーム、それらのフラグメントまたは対応するペプチドは、特異的な結合パートナー、具体的には抗体を製造するために用いられる。以下の配列またはそれらの部分を含むペプチドおよびそれらのフラグメントは、PlGF−4−特異的な抗体を製造するための免疫化抗原として特に適切である:
【化13】

【0049】
特に好ましくは、下線で示したアミノ酸を含むペプチドが用いられるべきである。
【0050】
以下の配列を含むペプチドが、特に適切である:QQRKP(IAN:7−1)、QRKPL(IAN:7−2)、RKPLR(IAN:7−3)、KPLRE(IAN:6−3)、MKPER(IAN:5−1)、KPERR(IAN:5−2)、PERRR(IAN:7−4)、および、ERRRP(IAN:7−5)。
【0051】
PlGF−4は、特異的なPlGF−2配列と、さらに特異的なPlGF−3配列の両方を含むため、PlGF−4の検出は、本発明に係る特異的なPlGF−2結合パートナー、および、PlGF−3結合パートナー、具体的には本発明に係る抗原によって製造される抗体、具体的にはペプチドによって行うことができる。
【0052】
以下、PlGF/VEGFヘテロ二量体を特異的に検出する特異的な結合パートナーの選択、および、このような結合パートナーを製造するための物質の選択をより詳細に説明する:
PlGF/VEGFヘテロ二量体は、特異的なPlGF配列(PlGF1−4)、さらに特異的なVEGF配列(VEGFアイソフォーム)の両方を含むため、PlGF/VEGFヘテロ二量体の検出は、本発明に係る特異的なPlGF結合パートナー、具体的には本発明に係る抗原によって製造される抗体、具体的にはペプチド、および、VEGF抗体によって行うことができる。
【0053】
加えて、本発明によれば、VEGF/PlGFヘテロ二量体に特異的な結合パートナーKDR/Flk−1、ならびにそれらのアイソフォーム、相同体、フラグメントおよび分解産物生成物を用いてもよい。
【0054】
また、具体的には、VEGF/PlGFヘテロ二量体の使用によって、例えば免疫化によって同定または製造され、特徴付けの際に、結合の際にVEGF単量体との、加えてPlGF単量体との両方の相互作用が始まることが示される特異的な結合パートナー、特に抗体も使用可能である。
【0055】
特に免疫化抗原として用いられる本発明に係るペプチドの好ましい製造方法は、固相合成であり、ここにおいて、リシンコアで複数のペプチドのコピーが合成される[Tam J.P.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5409〜5413も参照]。好ましくは、このようなペプチド合成は、標準的なプロトコールに従って自動機械によって行われ、このような自動機械としては、例えば、例えばアプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems,米国)によって供給されている自動機械が挙げられる。このような多量体のペプチドをさらにキャリアータンパク質に結合させてもよい。
【0056】
本発明に係る特異的な結合パートナーは、エピトープに結合する。当然ながら、「特異的な結合パートナー」は、特異的な結合対の構成要素を意味するものと理解されるべきである。特異的な結合対の構成要素は2つの分子であって、ここにおいて、この分子の一方が、他方の分子の構造に相補的な構造を少なくとも1つを有するため、2つの分子は、相補的構造の結合を介して結合することができる。また、分子という用語は、例えば、アポおよび補酵素からなる酵素、数種のサブユニットからなるタンパク質、タンパク質や脂質などからなるリポタンパク質のような分子の複合体も含む。特異的な結合パートナーは天然に存在するものでもよいが、例えば化学合成、微生物学的な技術、および/または、遺伝子工学プロセスによって製造された物質でもよい。特異的な結合パートナーという用語の説明のために、以下の一覧を示すが、これらの物質に限定されない:チロキシン結合グロブリン、ステロイド結合タンパク質、抗体、抗体フラグメント、設計された反復タンパク質、タンパク質骨格、アンキリン、ロイシンリッチな反復、アンチカリン(anticalin)、デュオカリン(duocalin)、リポカリン、アフィボディ(Affi−bodies(R))、抗原、ハプテン、酵素、レクチン、核酸、具体的にはアプタマー、リプレッサー、オリゴおよびポリヌクレオチド、プロテインA、プロテインG、アビジン、ストレプトアビジン、ビオチン、補体成分Clq、核酸結合タンパク質など。特異的な結合対の例は、以下の通りである:抗体−抗原、抗体−ハプテン、オペレーター−リプレッサー、ヌクレアーゼ−ヌクレオチド、ビオチン−アビジン、レクチン−多糖類、ステロイド−ステロイド結合タンパク質、活性物質−活性物質受容体、ホルモン−ホルモン受容体、酵素−基質、IgG−タンパク質A、相補的なオリゴ−またはポリヌクレオチドなど。
【0057】
用語「ペプチド」は、本発明に関して、加水分解でアミノ酸に分解する酸アミド、例えばアミノ酸ポリマー、例えばポリペプチド、 オリゴペプチド、 タンパク質またはタンパク質フラグメントなどに分解する酸アミドを含む。
【0058】
本発明に係るペプチドは、本発明に係る抗体を製造するための免疫化抗原として、または、さらに本発明に係る抗体の親和性クロマトグラフィー精製のための免疫化抗原として用いることができる。さらに、本発明に係るペプチドは、分析物、好ましくは様々なPlGFの形態の定量または定性検出に関する工程でも使用可能である。また、本発明に係るペプチドは、例えばイムノアッセイにおいて、固相、および/または、シグナルを発生させる系の成分に結合させてもよい。
【0059】
用語「抗原」は、1価抗原および多価抗原を含む。多価抗原は、2種以上の免疫グロブリンが同時に結合できる分子または分子複合体であり、一方、一価抗原は、一種の抗体にしか同時に結合できない。それ自身単独では免疫原性ではないが、通常は免疫化のためにキャリアーに結合する分子は、一般的に、ハプテンと説明されている。
【0060】
用語「抗体」は、本発明に関して、免疫グロブリンを意味するものと理解するべきであり、例えばクラスまたはサブクラスIgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgG4、または、IgMの免疫グロブリンである。抗体は、抗原またはハプテンにおける1つのエピトープ(または、しばしば抗原決定基とも呼ばれる)に対して、少なくとも1つの結合部位(しばしばパラトープと呼ばれる)を有する。このようなエピトープは、例えば、その空間的な構造、および/または、極性および/または、無極性基の存在を特徴とする。抗体の結合部位は、エピトープに相補的である。抗原−抗体反応、または、ハプテン−抗体反応は、いわゆる「鍵と鍵穴」の原理に従って機能し、概して 高度に特異的であり、すなわち抗体は、一次構造、電荷、空間的な立体配置、および、抗原またはハプテンの立体配置におけるわずかな偏差を区別することができる。具体的には、いわゆる抗体の「相補性決定領域」が、抗体の抗原またはハプテンへの結合に寄与する。
【0061】
しかしながら、用語「抗体」は、本発明に関して、完全な抗体を意味するだけでなく、特に抗体フラグメント、例えばFab、Fv、F(ab’)2、Fab’;さらに、キメラ、ヒト化二重または多重特異性、または、「単鎖」抗体;さらに、免疫グロブリンおよび/またはそれらのフラグメントの集合体、ポリマーおよび結合体(ただし、抗原またはハプテンへの結合特性は保持されるというという条件で)も意味すると理解すべきである。抗体フラグメントは、例えば、ペプシンまたはパパインのような酵素を用いた抗体の酵素的な切断によって製造することができる。抗体の集合体、ポリマーおよび結合体は様々な方法によって製造することができ、例えば、熱処理、グルタルアルデヒドのような物質との反応、免疫グロブリン結合分子との反応、抗体のビオチン化、それに続くストレプトアビジンまたはアビジンとの反応などによって製造することができる。
【0062】
本発明に関する抗体は、モノクローナルであってもよいし、または、ポリクローナル抗体であってもよい。このような抗体は一般的な方法によって製造することができ、例えば、ヒト、または、例えばマウス、ラット、モルモット、ウサギ、ウマ、ロバ、ヒツジ、ヤギもしくはニワトリのような動物の免疫化[Messerschmid(1996)BIOforum 11:500〜502も参照]、それに続いて抗血清を単離すること;または、ハイブリドーマ細胞を確立し、続いて分泌された抗体を精製すること;または、天然の抗体の抗原および/またはハプテンへの結合に関与するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列またはそれらの改変型のクローニングおよび発現によって製造することができる。
【0063】
本発明に係る抗体は、具体的には、上述のタンパク質、タンパク質複合体またはペプチドに結合する抗体である。
【0064】
本発明に係る抗体を提供することによって、目下当業者は、例えば競合実験によって[Peters等(1985)Monoklonale Antikorper、Springer Verlag、章 12.2「Epitop−Analyse”も参照]、その他の特異的な結合パートナー、特に、それと共に含まれる本発明に係る抗体のエピトープに結合する抗体を同定することが可能である。従って、特異的な結合パートナーは、目下、合成ペプチドデータベースを用いたファージディスプレイライブラリー、または、「組換え抗体ライブラリー」によって選択することができる[Larrick&Fry(1991)Human Antibodies and Hybridomas 2:172〜189]。
【0065】
また本発明の目的は、固相、および/または、シグナルを発生させる系の成分に結合する本発明に係る抗体でもある。
【0066】
用語「固相」は、本発明に関して、多孔質および/または非多孔質の、一般的には水不溶性の材料からなる物体であって、例えば容器、チューブ、マイクロタイトレーションプレート、球体、微粒子、ロッド、ストリップ、フィルターまたはクロマトグラフィーペーパーなどのような多種多様の形態をとることができる物体を含む。一般的に、固相の表面は親水性であるか、または、親水性にすることができる。固相は、例えば無機および/または有機物質、合成、天然に存在する材料、および/または、改変された天然に存在する材料のような多種多様の材料からなるものでもよい。固相の材料の例は、ポリマー、例えばセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、塩化ビニル、ポリアクリルアミド、架橋されたデキストラン分子、アガロース、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−メタクリラート、または、ナイロン;セラミック、ガラス、金属、具体的には貴金属、例えば金、および、銀;磁鉄鉱;これらの混合物または組み合わせである。またこのような固相という用語には、細胞、リポソームまたはリン脂質小胞も包含される。
【0067】
固相は、例えばタンパク質、炭水化物、親油性物質、バイオポリマー、有機ポリマー、または、それらの混合物の1またはそれ以上の層からなるコーティングを有していてもよく、これらは、例えばサンプル成分の固相への非特異的結合を抑制したり、または、防いだりするために、または、例えば、微粒子の固相の懸濁液の安定性、貯蔵安定性、寸法の安定性、または、紫外光、微生物もしくはその他の有害な作用に対する耐性における改善を達成するためになされる。
【0068】
微粒子は、固相および/または標識として用いられることが多い。用語「微粒子」は、本発明に関して、およその直径が少なくとも20nmかつ20μm以下、一般的には40nm〜10μm、好ましくは0.1〜10μm、特に好ましくは0.1〜5μm、よりいっそう好ましくは0.15〜2μmの粒子を意味するものとして理解されるべきである。このような微粒子は、規則的な形状であってもよいし、または、不規則な形状であってもよい。このような微粒子は、球体、回転楕円体、または、様々なサイズの空孔を有する球体であってもよい。このような微粒子は、有機または無機物質、または、その両方の混合物またはの組み合わせからなっていてもよい。このような微粒子は、多孔質または非多孔質の、膨潤性、または、非膨潤性の材料からなっていてもよい。原則的に、このような微粒子はどのような密度を有していてもよいが、水の密度に近い密度を有する粒子、例えば約0.7〜約1.5g/mlの密度を有する粒子が好ましい。好ましい微粒子は、水溶液中で懸濁性であり、できる限り長期間、安定して懸濁されるものである。このような微粒子は、透明、部分的に透明でもよいし、または、不透明でもよい。このような微粒子は、例えば、いわゆる1つのコアと1またはそれ以上の外殻層とを含む「コア・シェル」粒子のような、数種の層からなっていてもよい。微粒子という用語は、例えば、染料の結晶、金属ゾル、シリカ粒子、ガラス粒子、磁気粒子、ポリマー粒子、油滴、脂質粒子、デキストラン、および、タンパク質凝集体を含む。好ましい微粒子は、水溶液中で懸濁性であり、水不溶性の高分子材料からなる粒子であり、具体的には置換されたポリエチレンの粒子である。よりいっそう好ましくは、ラテックス粒子であり、例えばポリスチレン、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー、アクリロニトリルポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリ酢酸ビニル−アクリラート、ポリビニルピリジン、または、塩化ビニル−アクリラートのラテックス粒子である。特に興味深いのは、それらの表面に、例えばカルボキシル、アミノまたはアルデヒド基のような例えば特異的な結合パートナーのラテックス粒子への共有結合を可能にする反応性基を有するラテックス粒子である。ラテックス粒子の製造は、例えば、EP0080614、EP0227054、および、EP0246446で説明されている。
【0069】
「シグナルを発生させる系」は、1種またはそれ以上の成分からなっていてもよく、ここにおいて、少なくとも1つの成分は検出可能な標識である。当然ながら、標識は、それ自身シグナルを生産する、または、シグナルの生産を誘導することができるあらゆる分子を意味するものと理解され、例えば、蛍光物質、放射活性物質、酵素または化学発光物質である。このようなシグナルは、例えば、酵素活性、発光、光吸収、光散乱、放出された電磁放射線もしくは放射線、または、化学反応に基づき検出または測定することができる。
【0070】
標識は、それ自身、検出可能なシグナルを発生させることができるため、その他の成分を必要とすることがない。多くの有機分子は、紫外線および可視光を吸収し、その結果として、これらの分子は励起されたエネルギー状態に到達して、吸収されたエネルギーを放射された光の波長以外の波長の光の形態で放出することができる。また、その他の標識も、例えば放射性同位体または色素のような検出可能なシグナルを直接生成することができる。
【0071】
また、その他の標識として、シグナル生成のためのその他の成分を必要とするものもあり、すなわちこのような場合、シグナルを発生させる系は、シグナル発生に必要な全ての成分、例えば基質、補酵素、消光剤、促進剤、追加の酵素、酵素産物と反応する物質、触媒、活性剤、補因子、阻害剤、イオンなどを含む。
【0072】
適切な標識の例は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコース−6−リン酸塩デヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、ウレアーゼ、および、アセチルコリンエステラーゼなどの酵素;色素;フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、エチジウムブロマイド、5−ジメチル−アミノナフタレン−1−スルホニル塩化物、および、希土類の蛍光性のキレートなどの蛍光物質;ルミノール、イソルミノール、アクリジニウム化合物、オレフィン、エノールエーテル、エナミン、アリールビニルエーテル、ジオキセン、アリールイミダゾール、ルシゲニン、ルシフェリン、および、エクオリンなどの化学発光物質;エオシン、9,10−ジブロモ−アントラセン、メチレンブルー、ポルフィリン、フタロシアニン、クロロフィル、ローズベンガルなどの増感剤;補酵素;酵素基質;125I、131I、14C、3H、32P、33P、35S、51Cr、59Fe、57Co、および、75Seなどの放射性同位体;磁気粒子などの粒子、または、好ましくはラテックス粒子などの粒子(これらは、それ自身、例えば色素、増感剤、蛍光物質、化学発光物質、同位体またはその他の検出可能な標識で標識することができる);金、または、銀ゾルなどのゾル粒子;リポソームまたは細胞(これらは、それ自身、検出可能な標識で標識することができる);などである。[EP−A2−0515194;US5,340,716;US5,545,834;Bailey等(1987)J.Pharmaceutical&Biomedical Analysis 5:649〜658も参照]。
【0073】
また、シグナルを発生させる系は、例えばエネルギードナーとエネルギーアクセプターの形態で、互いが空間的に近接した場合に、検出可能な相互作用に関与することができる成分を含んでいてもよく、このような形態としては、例えば、光増感剤と化学発光性物質(EP−A2−0515194)、光増感剤と発蛍光団(WO95/06877)、放射性ヨウ素125と蛍光団[Udenfriend等(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.82:8672〜8676]、発蛍光団と発蛍光団[Mathis(1993)Clin.Chem.39:1953〜1959]、または、発蛍光団と蛍光消光剤(US3,996,345)の形態が挙げられる。
【0074】
これらの成分間の相互作用としては、例えば光放射または電子線による、または、寿命の短い反応性の化学分子を介した、成分間の直接のエネルギー移動が挙げられる。また、1種の成分の活性が、1種またはそれ以上の他の成分によって阻害または強化されるプロセスも含まれ、例えば酵素活性の阻害もしくは強化、または、影響を受けた成分によって放出された電磁放射の阻害、強化もしくは改変(例えば波長シフト、極性化)である。また、成分間の相互作用は、酵素カスケードも含む。この場合において、成分は酵素であり、そのうち少なくとも1種は、カップリングされた基質変換の最大限または最小の反応速度が得られるような他方のための基質を提供する。
【0075】
成分間の有効な相互作用は、一般的には、これらが空間的に近接している場合、すなわち例えば数μmの程度の距離で近接している場合に起こり、具体的には、600nm未満、好ましくは400nm未満、よりいっそう好ましくは200nm未満の距離の範囲内で近接している場合である。
【0076】
用語「結合した(associated)」は、概して、例えば、共有結合および非共有結合、直接および間接結合、表面への吸着、ならびに、凹部または空隙への封入などと理解されることとし、この用語はこれらを包含する。共有結合の場合、抗体または結合パートナーは、化学結合を介して固相または標識に結合している。非共有結合の例は、表面への吸着、空孔への封入、または、2つの特異的な結合パートナーの結合である。固相または標識への直接結合と同様に、抗体または結合パートナーは、他方の特異的な結合パートナーとの特異的な相互作用を介して固相または標識に間接的に結合していてもよい(EP−A2〜0411945も参照)。この例は、以下の通りである:標識結合アビジンを介して標識に結合することができるビオチン化した抗体、または、固相に結合した抗フルオレセイン抗体を介して固相に結合することができるフルオレセイン−抗体結合体、または、免疫グロブリン結合タンパク質を介して固相または標識に結合することができる抗体。
【0077】
本発明のさらなる目的は、インビトロでの診断薬として、または、インビトロでの診断薬の成分として用いられる、本発明に係る抗体または特異的な結合パートナーである。
【0078】
インビトロでの診断薬の場合、生きているヒトまたは動物の体から採取されたサンプル中で、検出しようとする分析物、例えば特定のPlGFの形態が検出されるか、または、それらの濃度または含量が決定される。
【0079】
「サンプル」は、本発明に関して、検出しようとする物質を含むと予想される材料を意味すると理解されることとする(この例としては、EP−A2−0515194の「Analyt」を参照)。サンプルという用語は、例えば、具体的にはヒトおよび動物の生体液または組織を含み、例えば、血液、血漿、血清、痰、滲出液、気管支肺胞洗浄液、リンパ液、滑液、精液、膣粘液、便、尿、脳脊髄液、毛髪、皮膚、組織サンプルまたは切片である。また、細胞培養サンプル、植物の流体または組織、法医学的なサンプル、水および廃水サンプル、食材ならびに医薬品も含まれる。必要に応じて、分析物を上記検出方法で処理できるようにするために、または、干渉するサンプル成分を除去するために、このようなサンプルは前処理されていなければならない。このようなサンプルの前処理としては、細胞の分離および/または溶解、例えばタンパク質のようなサンプル成分の沈殿、加水分解または変性、サンプルの遠心分離、例えばアルコール、具体的にはメタノールのような有機溶媒でのサンプルの処理、または、界面活性剤でのサンプルの処理が挙げられる。このようなサンプルは、その他の媒体に移すことが一般的であり、このような溶媒は、検出工程に干渉する可能性がない限り、ほとんどの場合水性媒体である。
【0080】
本発明に係る抗体は、サンプル中の分析物、好ましくは特定のPlGFの形態、具体的にはfPlGFを定量的または定性的に決定する工程で用いることができる。
【0081】
定量的な決定の場合、サンプル中の分析物の含量、濃度または活性(例えば酵素活性)が測定される。また、用語「定量的な決定」は、サンプル中の分析物のおよその含量、濃度または活性を単に確認するだけの半定量的な方法、または、単に相対的な含量、濃度または活性の値を得るのに用いることができるような半定量的な方法も含む。定性的な決定は、何らかのサンプル中の分析物の存在を検出すること、または、サンプル中の分析物の濃度または活性が、既定された閾値、または、いくつかの既定された閾値より高いのか、または低いのかを示すことを意味すると理解されることとする。
【0082】
従って、本発明はまた、サンプル中の分析物の、好ましくは特定の PlGFの形態、具体的にはfPlGFの定量的または定性的な決定方法、および、それに適した試薬にも関する。
【0083】
分析物を決定するために、一般的には結合試験が使用されるが、ここにおいて決定しようとする分析物の分析物特異的な結合パートナーへの特異的な結合によって、サンプル中の分析物の存在、非存在または含量に関して結論を得ることができる。結合試験の例としては、イムノアッセイが挙げられ、または、オリゴまたはポリヌクレオチドがハイブリダイズされる方法も挙げられる。
【0084】
いわゆる「異種結合試験」は、1回またはそれ以上の分離工程および/または洗浄工程を特徴とする。分離は、例えば、免疫沈降反応、ポリエチレングリコールまたは硫酸アンモニウムのような物質を用いた沈殿、ろ過、磁気分離、または、固相への結合によって実行することができる。異種結合試験をサンドイッチ様式で用いた場合、概して、分析物に特異的な結合パートナーの一方が固相に結合しており、液相からの結合複合体「分析物/分析物に特異的な結合パートナー」の除去に役立ち、一方で、他方の分析物に特異的な結合パートナーは、結合した複合体を検出するための、例えば酵素、蛍光または化学発光標識などの検出可能な標識を有する。これらの試験方法はさらに、同時に2種の特異的な結合パートナーがサンプルとインキュベートされるいわゆる一工程サンドイッチ試験と、まずサンプルを固相試薬とインキュベートして、分離および洗浄工程の後、固相に結合した分析物および分析物に特異的な結合パートナーの結合複合体を、検出試薬とインキュベートする二工程サンドイッチ試験に細分される。
【0085】
「同種結合試験」において、シグナルを発生させる系の遊離の成分と、「分析物/分析物に特異的な結合パートナー」複合体に結合した成分との分離は実行されない。分析物に特異的な結合パートナー、シグナルを発生させる成分、および、サンプルを含む試験混合物は、さらなる分離および/または洗浄工程を行わないで結合反応の後に分析され、または、結合反応の最中にも分析され、それに対応する測定シグナルが決定される。同種のイムノアッセイの例[Boguslaski&Li(1982)Applied Biochemistry and Biotechnology 7:401〜414も参照]としては、混濁度測定または比濁分析が挙げられ、ここにおいて、決定に用いられる分析物に特異的な結合パートナーは、ラテックス粒子に結合させてもよく、例えばEMIT(R)試験;CEDIA(R)試験;蛍光偏光イムノアッセイ;発光 酸素チャネリングイムノアッセイ[LOCI(R)、EP−A2−0515194を参照;Ullman等(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.91:5426〜5430;Ullman等(1996)Clinical Chemistry 42:1518〜1526]なども挙げられる。例えばラテックスを用いた比濁試験のような同種のサンドイッチイムノアッセイにおいて、抗体試薬をサンプルと共にインキュベートして、測定の前に分離または洗浄工程を行わないで、インキュベート中に、および/または、インキュベート後にシグナルを測定する。言い換えれば:遊離の分析物、または、どの分析物にも結合しなかった抗体から、抗体が結合した分析物を分離することは行われない。
【0086】
また、同種および異種結合試験は、いわゆる「サンドイッチ分析」の形態で行うこともできる。この場合、例えば異種結合試験において、分析物は、1つの固相に連結された分析物に特異的な結合パートナーと、1つの分析物に特異的な結合パートナー(これは、シグナルを発生させる系の成分に連結している)とによって結合している。サンドイッチイムノアッセイにおいて、抗体、または、抗原、または、ハプテンが、分析物に特異的な結合パートナーを構成していてもよい。
【0087】
異種または同種結合試験のさらなる特定の実施態様は、「間接的なイムノアッセイ」である。この場合、分析物は抗体である。分析物に特異的な結合パートナーの1つは、抗原であるか、または、例えば本発明に係るペプチド、または、決定しようとする抗体(すなわち分析物)の改変された抗原であり、他方の分析物に特異的な結合パートナーは通常、免疫グロブリン結合タンパク質であり、例えば、決定しようとする抗体(すなわち分析物)に特異的に結合することができる抗体である。
【0088】
同種または異種の「競合結合試験」において、サンプル−分析物、および、試薬−分析物が、限られた数の分析物に特異的な結合パートナーへの結合に関して競合する。試薬−分析物は、例えば「改変された分析物」であり、例えば標識された、または、マーカーが付された分析物、分析物フラグメント、例えば本発明に係るペプチド、または、分析物の類似体である。原理を説明するための例は以下の通りである:(i)サンプル−分析物が、シグナルを発生させる系の成分に連結された試薬−分析物と、固相に連結された分析物に特異的な結合パートナーへの結合に関して競合するか、または、(ii)サンプル−分析物が、固相に連結された分析物(すなわち試薬−分析物)と、シグナルを発生させる系の成分に連結された分析物に特異的な結合パートナーへの結合に関して競合する。
【0089】
また、本発明に係る特異的な結合パートナー、具体的には抗体を用いた異なるPlGFの形態の検出は、例えばウェスタンブロット、ドットブロット、免疫電気泳動法、免疫固定電気泳動法、電気免疫拡散、免疫沈降、放射免疫拡散、免疫固定、イムノクロマトグラフィー、ラテックス凝集、混濁度測定または比濁試験、同種または異種異種結合試験、一工程または二工程試験、サンドイッチ試験、間接的な試験、競合試験、「ポイントオブケア」検定などの方法によっても実行することができる。これらのおよびその他の検出方法は、例えば、“Labor und Diagnose”,L.Thomas編集,TH−Books Verlagsgesellschaft mbH,フランクフルト,1998,第60章、または、“Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−An Introduction to Radioimmunoassay and Related Techniques”,T.Chard編集,エルゼビア(Elsevier),アムステルダム,1987で説明されている。
【0090】
用語「ポイントオブケア検査」または「POC検査」は、検査の実施または評価において別個の分析または測定機器を必要としない検査を含む。POC検査は、多くの場合において、免疫クロマトグラフィー法、ろ過および/または免疫固定技術による免疫複合体の分離に基づく。POC検査は、具体的には、大規模な研究所のためというよりはむしろ、緊急時の医師、および/または、かかりつけの医師のための、その場での測定、例えば病床または自宅での測定を目的とする。またPOC検査は、具体的には、実験医学分野における詳細な医学的で専門的な訓練や経験を受けていない人によっても行うことができる。また、用語「POC検査」はさらに、本発明に関して、いわゆる家庭用の検査、または、医療に関して専門家ではない人によって行うことができる OTC検査を意味することとし、例えば家庭で使用するために販売されている様々な妊娠検査である。その他のPOC検査は、例えば、心筋梗塞マーカー、薬物、医薬品、ならびに感染および炎症マーカーの検出に関する。多くのPOC検査において、特異的な結合パートナーは、フィルターまたはクロマトグラフィーのストリップに結合しているか、または、検査の過程で、フィルターまたはクロマトグラフィーのストリップに結合するようになる。陽性または陰性の検出反応は、例えば、既定された検査欄に色付きのバンドが出現するか、または出現しないか、および/または、所定の記号が出現するか、または出現しないか、例えば、「+」または「−」、および/または、特定の測定シグナルの強度が出現するか、または出現しないかと組み合わせることができる。
【0091】
特定のPlGFの形態、具体的にはfPlGFに関するPOC検査は、例えば以下のように構成することができる:サンプル、および、fPlGFの形態に結合することができるが、その他のPlGFの形態には結合できないか、または、ほとんど結合できない標識された特異的な抗体を、試験ストリップに塗布する。適切な標識の例は、染色したラテックス粒子、コロイド金、酵素などである。サンプル中にfPlGFの形態が含まれる場合、fPlGF/抗体複合体が形成されると予想される。これらの複合体は、その他の特異的な結合パートナー、具体的には抗体が、その他のfPlGFエピトープに結合して例えばバンドの形態で固定されたり、または検査手順の過程で(例えば、ビオチン−アビジン架橋を介して)固定されるようになる領域の方向に、例えば毛細管力によって移動する。標識されたfPlGF/抗体複合体はこの領域で結合し、固定された特異的な結合パートナー、具体的には抗体とサンドイッチ複合体を形成する。ここで標識シグナルの強度は、fPlGFサンプル濃度に比例する。競合的なPOC検査方法において、例えば抗体フラグメントは、試験ストリップの領域に固定されていてもよいし、または、検査手順の過程で固定されてもよい。この固定された抗体は、サンプルからのfPlGFの形態と、標識された抗fPlGF抗体への結合に関して競合すると予想される。あるいは、固定されたfPlGF抗体、および、標識されたfPlGFタンパク質、または、本発明に係るペプチドも、競合的なfPlGF試験を構築するために用いることができる。
【0092】
本発明に係る方法の特に好ましい実施態様は、比濁または混濁度測定試験であり、具体的には、本発明に係る抗体、好ましくは微粒子(具体的にはラテックス粒子)に連結させた抗体が用いられる試験である。
【0093】
本発明に係るその他の目的は、1種またはそれ以上の本発明に係る抗体および/またはペプチドを含む試験キットである。このようなキットは通常、パッケージ化された形態で、試験の成分全て、または、そのうち数種のみを含む。本発明に係る抗体および/またはペプチドは、例えば、1またはそれ以上の固相、および/または、1またはそれ以上のシグナルを発生させる系の成分に連結させることもできる。試験キットは、例えば、標準、コントロールおよびその他の試薬、例えば緩衝液、洗浄溶液、測定シグナル発生を開始させる溶液、および/または、酵素基質、キュベット、ピペット、および/または、試験の指標を含んでいてもよい。本発明に係る具体的に好ましい試験キットは、ラテックス粒子に連結させた本発明に係る抗体、および/または、本発明に係るペプチドを含む。
【0094】
また本発明に係る抗体およびペプチドは、アフィニティークロマトグラフィーにも使用可能である。用語「アフィニティークロマトグラフィー」は、物質、具体的にはバイオポリマーの精製および単離方法を意味すると理解されることとし、これは、多くの物質は、それらに特異的な結合パートナーと、選択的な非共有結合の可逆的な結合を起こすという事実に基づく。このような方法の原理は、特異的な結合パートナーを、一般的に、不溶性マトリックス(例えば、多孔質ガラス、または、アガロース、セルロース、デキストラン、ポリマー、および、シリカゲルベースのゲル)に共有結合させ、物質を含むサンプルと接触させて置くことからなる。試験物質はマトリックスに結合した特異的な結合パートナーと特異的に相互作用するために、試験物質は固定され、保持されるが、一方で、サンプル中に含まれるその他の物質は全て、溶出によって除去される。次に、物質と特異的な結合パートナーとの非共有結合を除去するような適切な溶出物質を用いて、試験物質はマトリックスから放出される(E.Buddecke,1989,Grundrisse der Biochemie,Walter de Gruyter,Chapter 7”Proteine”も参照)。
【0095】
本発明のさらなる目的は、治療剤として用いられる本発明に係る抗体または特異的な結合パートナーである。このような治療剤は、製薬的に相溶性の滅菌注射媒体中に、本発明に係る抗体、または、本発明に係るペプチドを含む。製薬的に相溶性の滅菌注射媒体は、例えば、無菌のパイロジェンフリー溶液、例えば食塩水、またはその他の電解質溶液を意味することとし、例えば、薬物、ワクチンまたは造影剤の、静脈内、筋肉内、腹膜内または皮下投与に一般的に用いられるものである。
【0096】
本発明のさらなる目的は、診断薬として、または、診断薬の成分としての本発明に係る抗体の使用である。
【0097】
本発明のさらなる目的は、上述のペプチドの1種またはそれ以上が免疫化に用いられることを特徴とする、本発明に係る抗体の製造方法である。
【0098】
また本発明に係る抗体は、天然に存在する、および/または、組換えPlGF、および、VEGFタンパク質、タンパク質アイソフォーム、または、それらのフラグメントの使用によっても生産することができる。
【0099】
本発明のさらなる目的は、参照物質、標準、較正物質およびコントロールとしての、本発明に係るタンパク質、タンパク質アイソフォーム、フラグメント、分解産物生成物、相同体およびペプチドの使用である。参照物質は、較正物質、標準およびコントロールとして参照物質が用いられるような方式において確立された特性を有する材料または物質である。加えて、参照物質は、測定方法の確認や、規定値、具体的には「一般的に正しい値」の割り当てのために用いることができる。較正物質、標準およびコントロールとしての参照物質の使用、または、参照物質、もしくは、そこで述べられる「一般的に正しい値」に関する較正物質、標準およびコントロールの使用は、品質管理および品質保証において重要である。
【0100】
非結合型および/またはキャリアー結合型を免疫化するために、免疫化抗原として用いられるペプチドを用いることができる。
【0101】
典型的なキャリアーとしては、例えば、タンパク質、例えばオバルブミン、アルブミン、もしくは、キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)、または、ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、もしくは、ポリ−d−グルタミン−d−リシンが挙げられる。これらのキャリアーに、例えば、カルボジイミドもしくはグルタルアルデヒドによって、または、ヘテロ二官能性試薬によっても、上記ペプチドを結合させることもでき、ヘテロ二官能性試薬はまたスペーサーとしても作用することができ、例えばN−マレイミド−ブチリルオキシスクシンイミドエステル(GBMS)である。その他の例およびカップリング方法に関しては、Wong,S.(1993)Chemistry of Protein Conjugation and Cross−Linking,CRC Press,Inc.,Boca Ratonも参照。
【0102】
免疫化抗原は、例えばリン酸緩衝食塩水に溶解させて、イミューン・イージー(Immun Easy)マウスアジュバントで処理することができる。次に、このエマルジョンは、例えばウサギ、マウス、ラット、モルモット、ウマ、ロバ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリなどの動物に、例えば皮内、腹腔内および/または皮下投与することができる。また、ブースター注射(ここにおいて、免疫化抗原が不完全フロイントアジュバントで乳化されていてもよい)によって、免疫反応の強化を促進することもできる。
【0103】
本発明に係るポリクローナル抗体は、免疫動物の抗血清から得ることができ、さらに、例えば関連するPlGFの形態、または、免疫化抗原として用いられるペプチドが結合することができるマトリックス上でのアフィニティークロマトグラフィーによって精製することができる。
【0104】
本発明に係るモノクローナル抗体を作製するために、免疫動物(例えばマウスまたはウサギ)の免疫細胞と、骨髄腫細胞とを融合させて、抗体産生ハイブリドーマ細胞を作製し、続いて一般的に既知の手法によって適切なクローンを単離する[Harlow&Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual,コールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory),コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor);Peters等(1985)Monoklonale Antikorper:Herstellung und Charakterisierung,Springer Verlagも参照]。望ましいモノクローナル抗体を生産するクローンの選択は、特異的なスクリーニング方法によって行われる。この場合、細胞培養上清に放出された、例えば免疫化抗原、または、免疫化抗原のいくつかのキャリアーに対する抗体の結合特異性は、酵素免疫検査法、ラジオイムノアッセイ、および/または、ウェスタンブロッティングによってチェックされる。本発明に係る抗体を生産するハイブリドーマは、クローニングによって再生産される。続いてこのようにして得られたハイブリドーマ細胞系は、永続的なモノクローナル抗体生産に利用することができる。例えば、細胞培養上清から比較的大量の抗体を得ることができ、具体的には発酵槽または回転培養物、および腹水から得ることができる。
【0105】
望ましい使用目的に応じて、例えばFab−、F(ab’)2-、または、Fab’−フラグメントのような、抗体の一部のみを使用することが有利である。これらは、例えば、当業者既知の酵素的な切断方法によって作製することができる[Harlow&Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual,コールドスプリングハーバーラボラトリー,コールドスプリングハーバーも参照]。
【0106】
抗体の抗原結合部位は、V遺伝子によってコードされているいわゆる可変ドメインに位置している。従って、既知の遺伝子工学的な方法を用いれば[例えば、Sambrook 等(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,コールドスプリングハーバーラボラトリー,コールドスプリングハーバー,第二版;McCafferty等(1990)Nature 348:552〜554]、本発明に係る抗体の対応する核酸の配列も決定することができ、さらにその配列によって、それに対応するアミノ酸配列がアミノ酸配列解析からわかっていない場合、そのアミノ酸配列も決定することができる。このような解析の出発原料として、免疫動物のハイブリドーマ細胞、または、抗体産生免疫細胞を用いることができる。
【0107】
核酸および/またはアミノ酸配列の知識を用いて、標準的な遺伝子工学や分子生物学的な方法によって[Johnson&Chiswell(1993)Current Opinion in Structural Biology 3:564〜571も参照]、ヒト化抗体、キメラ抗体、二重または多重特異性抗体を製造することができ、さらには「相補性決定領域」(「最小認識単位」)から誘導されたペプチド、単鎖フラグメント、および/または、機能的な融合生成物を製造することができ、例えば、PlGFの形態の特定の特異的なエピトープ、具体的には本発明に係るペプチドに結合する組換えによって生産された抗体−酵素コンストラクトを製造することができる[Larrick&Fry(1991)Human Antibodies and Hybridomas 2:172〜189;Kitano等(1986)Appl.Microbiol.Biotechno1.24:282〜286;Thompson等(1986)J.Immunol.Methods 94:7〜12も参照]。用語「抗体」に含まれるようなペプチドを用いて、例えば、医薬品として、または、インビボでの診断薬として投与する際の免疫原性の減少および/または活性の強化が達成でき、および/または、インビトロでの診断薬として使用するために、または、インビトロでの診断薬中で使用するための利点をもたらすことができる。また、このような抗体は、必要に応じて遺伝子工学的な方法を利用して、例えば、酵母細胞のような菌類[Fischer 等(1999)Biol.Chem.380:825〜839;Hiatt 等(1992)Genetic Engineering 14:49〜64]、植物、動物および原核細胞(WO95/25172も参照)、ならびに、単離したヒト細胞中で生産させることができる。
【0108】
また、本発明のさらなる目的は、本発明に係る抗体を生産する菌類、動物、植物または原核細胞、および、単離したヒト細胞である。本発明の好ましい実施態様は、本発明に係る抗体を生産するハイブリドーマ細胞系を含む。
【0109】
本発明のそれぞれの形態を説明するために、以下で説明する実施例を一例として示す。
【実施例】
【0110】
実施例1:fPlGFに特異的なモノクローナル抗体の製造
a)マウスの免疫化
BALB/cマウスにそれぞれ、イミューン・イージー・マウスアジュバント(キアゲン社(Qiagen GmbH),ドイツ)で腹腔内に免疫化抗原(KLHに結合したLRCTGCCGDENLHCVPVET(IAN2)を含むペプチド)20μgを投与することによって免疫化した。IAN2を、固相合成によって、一般的に既知の方法に従って合成した。4および8週間後に、それぞれの免疫化抗原20μgを含み、アジュバントを含まないブースター注射を行った。融合前の最後の3日間、これらのマウスに、各免疫化抗原10μgを静脈内にブースター投与した。
【0111】
b)融合
マウスをCO2吸入によって殺した後、脾臓を取り出して、無血清ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;PANバイオテク社(PAN Biotech GmbH),ドイツ)中で単一の細胞懸濁液を製造した。この細胞を遠心分離(652×g)し、DMEMで2回洗浄した。次に、トリパンブルー染色によってこの細胞の数を測定した。約108個の脾臓細胞に対して2×107個の骨髄腫細胞(Sp2/0)を添加した。遠心分離(360×g)の後、上清を捨て、細胞ペレットに、ポリエチレングリコール溶液(PEG 4000、メルク・ユーロラボ社(Merck Eurolab GmbH),ドイツ;DMEM中で約50%)1mlを添加して再懸濁した後、37℃で1分間インキュベートした。次に、DMEM約10mlを添加し、この混合物を室温で2〜4分間インキュベートした。融合した細胞を遠心分離(326×g)で沈殿させ、ペレットを、DMEM+10%ウシ胎児血清(バイオホイッタカー・ヨーロッパ(Bio Whittaker Europe),ベルギー)+HAT培地(CCプロ社(CC Pro GmbH),ドイツ)に再懸濁し、24ウェルの細胞培養プレート(コーニング・コースター社(Corning costar GmbH),ドイツ)に充填した。およその細胞濃度は、5×104-5×106細胞/ウェルであった。
2〜3週間後に、形成された細胞のコロニー(ハイブリッド)を取り出して、新しい培養プレートに移した。
【0112】
c)スクリーニング
第一の試験工程で、アミノ酸配列LRCTGCCGDENLHCVPVETを含むペプチドでコーティングされたマイクロタイタープレート(ヌンク社(Nunc GmbH&Co.)KG,ドイツ)によって細胞培養物に放出された抗体の特異性を試験した。
マイクロタイタープレートの各ウェルに、細胞培養上清(1:2に希釈)100μlをピペットで取って入れ、+15〜+25℃で1時間インキュベートした。プレートを、洗浄溶液POD(OSEW;デイド・ベーリング・マールブルグ社(Dade Behring Marburg GmbH),ドイツ)で2回洗浄し、次に、各ウェルに、抗マウスIgG/F(ab’)2POD結合体(デイド・ベーリング・マールブルグ社,ドイツ)100μlを充填し、+15〜+25℃で1時間インキュベートした。プレートをさらに2回洗浄した後、各ウェルに、クロモゲンTMB−溶液(デイド・ベーリング・マールブルグ社,ドイツ)100μlを充填し、+15〜+25℃でさらに30分間インキュベートした。インキュベートした後に、各ウェルに、停止溶液POD(デイド・ベーリング・マールブルグ社,ドイツ)100μlを充填し、BEPII(ベーリング−ELISAプロセッサーII(Behring−ELISA Processor II),デイド・ベーリング・マールブルグ社,ドイツ)で、450nmでマイクロタイタープレートを評価した。
第二の試験工程で、上述のように単離した後に、ハイブリッドを同じ試験様式で再度試験した。
【0113】
d)クローニング
fPlGFに特異的な抗体を生産するハイブリッドの個々の細胞を、マイクロマニピュレータ(ライツ・メステクニーク社(Leitz Messtechnik GmbH),ドイツ)を用いてクローニングした。これらのクローンの培養上清をg)で説明されているようにして精製し、e)、h)およびi)で説明されているようにしてより詳細に特徴付けた。
【0114】
e)抗体クラスの決定
ベーリンガー・マンハイム社(Boehringer Mannheim Co.,ドイツ)製のアイソストリップTM マウスモノクローナル抗体アイソタイプ分類キット(IsoStripTM Mouse Monoc1onal Antibody Isotyping Kit)を用いて、fPlGFに対する抗体のサブクラスを決定した。
【0115】
f)抗体の生産
大量の抗体を生産するために、関連する細胞クローンをローラーボトル(コーニング・コースター社,ドイツ)に移し、+37℃で望ましい最終容量に増量した。それに続いて、回転培養による懸濁液を、0.22μmでろ過して、細胞を除去した。この無細胞抗体溶液をウルトラフィルター(Ultrafilter;分離限界は30,000ダルトン)で濃縮し、次に精製した。
【0116】
g)抗体の精製
得られた抗体溶液を、0.14Mのリン酸緩衝液(pH8.6)で再度緩衝化し、rプロテインAセファロースTMファストフロー(rProtein A SepharoseTMFast Flow;アマシャム・バイオサイエンス・ヨーロッパ社(Amersham Biosciences Europe GmbH),ドイツ)で充填されたクロマトグラフィーカラムにアプライした(精製しようとする抗体10mgに対して、rプロテインAセファロースTMファストフローは、1ml用いられた)。カラムを0.14Mのリン酸緩衝液(pH8.6)で洗浄することによって、全ての結合していない成分を除去した。結合した抗体をカラムから0.1Mのクエン酸(pH3.0)で溶出させ、0.05M酢酸ナトリウム+0.5MのNaCl+0.05Mのトリス+0.01%アジ化ナトリウム(pH7.0)に対して透析した。
【0117】
h)fPlGFサンドイッチELISAに適切な抗体の選択
モノクローナル抗fPlGF抗体と、fPlGFに特異的な エピトープ(例えば、アミノ酸配列LRCTGCCGDENLHCVPVETを含むペプチド)との反応を調査した:
fPlGFとの反応:固相として、fPlGFでコーティングされたマイクロタイタープレートが用いられた。この上で、培養上清からの抗fPlGF抗体をインキュベートした。洗浄工程の後、ウサギ由来のポリクローナル抗マウス抗体と、酵素ペルオキシダーゼとからなる結合体を介して抗体のPlGFへの結合を検出し、続いて色素反応を行った。
【0118】
sFlt−1/PlGF複合体との反応
固相として、fPlGFでコーティングされたマイクロタイタープレートが用いられた。この中で、sFlt−1をインキュベートした。この反応に用いられたsFlt−1は、R&Dシステムズ製の「組換えヒトVEGFR1(Flt−1)/Fcキメラ」(カタログ番号:321−FLまたは321−FL/CF)であった。洗浄工程の後、培養上清からの抗fPlGF抗体をインキュベートした。洗浄工程の後、結合部位は主にsFlt−1で占められているため、特異的な抗fPlGF抗体の結合は、検出されないか、またはわずかであると予想される。また、fPlGFに非特異的な抗体も、sFlt−1/PlGF複合体、すなわちgPlGFにより多く結合した。洗浄工程の後、ウサギ由来のポリクローナル抗マウス抗体と、酵素ペルオキシダーゼとからなる結合体によって、この非特異的抗体の結合を検出し、続いて色素反応を行った。
【0119】
この試験系において、fPlGFに特異的な抗体は、sFlt−1/PlGF複合体との反応において色素反応を示さないか、または、fPlGFに特異的なペプチドとの反応の場合よりも著しく少ない色素反応を示す抗体である。
【0120】
このようにしてfPlGFに特異的な抗体が選択された。当業者既知の手法(例えばナカネ結合)でホースラディッシュペルオキシダーゼに結合させたfPlGFに特異的な結合体抗体を用いたサンドイッチELISAにおいて固相抗体として使用するための、これらの抗体の適性を調査した。
【0121】
実施例2a)で説明されているようにしてサンドイッチELISAで上記適性をチェックした。適性に関する必須の決定基準は、fPlGFと、sFlt−1/PlGF複合体との明確な識別である。さらなる基準は、より低い検出限界と、検量線の直線性である。
【0122】
実施例2:fPlGFに特異的なモノクローナル抗体の製造
a)マウスの免疫化
BALB/cマウスはそれぞれ、イミューン・イージー・マウスアジュバント(キアゲン社,ドイツ)で免疫化抗原(KLHに結合したGCCGDENLHKを含むペプチド(IAN2−1−1K))20μgを腹腔内投与して免疫化した。IAN2−1−1Kを、固相合成によって、一般的に既知の方法に従って合成した。カラムクロマトグラフィー(カラム:メルク(Merck)250×4mm)によってIAN2−1−1Kの純度をチェックした。この目的のために、緩衝液Aとして0.1%のTFA/水、および、緩衝液Bとして0.08% FFA/アセトニトリルを用いた。流速は0.8mlとした。220nmで検出を実行した。さらに、マトリックス支援レーザー脱離イオン化マススペクトロメトリー(MALDI−MS)を行った。1075m/zにおいて主要なピークがみられた。4および8週間後、それぞれの免疫化抗原20μgを含み、アジュバントを含まないブースター注射を行った。融合の前の最後の3日間、マウスに、それぞれの免疫化抗原10μgをブースター投与した。
実施例1と同様に、融合b)、クローニングd)、抗体クラスの決定e)、抗体の生産f)、抗体の精製g)、および、fPlGFサンドイッチELISAに適した抗体の選択h)を行った。スクリーニングc)に関しても、実施例1と同じ手法に従ったが、第一の試験工程で細胞培養に放出された抗体の特異性を、アミノ酸配列GCCGDENLHKを含むペプチド(IAN:2−1−1K)でコーティングされたマイクロタイタープレート(ヌンク社KG,ドイツ)によって試験したことを除く。
【0123】
実施例3:サンプル中でのfPlGFの検出
a)試験方法A
ペルオキシダーゼ接合抗PlGF抗体は、サンドイッチの原理に従って、酵素免疫検査法において本発明に係るモノクローナル抗fPlGF抗体と組み合わせて用いられた。
第一のインキュベートの際に、サンプル中に含まれるfPlGF(存在する場合)は、マイクロタイトレーションプレートのウェルの表面に固定された、本発明に係るfPlGFに対して向けられた抗体に結合する。ウェルを洗浄し、次に、第二の結合反応で、PIGFのあらゆるエピトープに対して向けられたペルオキシダーゼ接合抗PlGF抗体(ただしPlGFの受容体に結合するエピトープは除く)が用いられた。この試験方法では、特異的なペルオキシダーゼ接合抗PlGF抗体を用いて、原則的に特定のPlGFアイソフォームの存在も検出することができる。例えば、PlGF−1などを検出するために、PlGF−1に特異的な抗体を用いることができる。原則的に、異なるPlGFアイソフォームの存在の検出は、異なる特異的な抗体を用いる可能性がある。過量の酵素に結合した抗体を洗浄した。次に、ウェル中の結合した酵素の活性を決定した。希硫酸の添加によって、過酸化水素およびテトラメチルベンジジンの酵素反応を止めた。fPlGF抗原濃度に比例する色の強度を、光分析によって450nmの波長で測定し、カットオフによって定性的に評価するか、または、標準に基づく検量線に基づき定量した。
このような本発明に係るサンドイッチイムノアッセイは、たった1回の試験手順で特異的にfPlGFを検出する。
【0124】
b)試験方法B
本発明に係るペルオキシダーゼ接合されたモノクローナル抗fPlGF抗体は、酵素免疫検査法において、サンドイッチの原理に従って本発明に係るモノクローナル抗fPlGF抗体と組み合わせて用いられる。
試験方法Aと同様に、第一のインキュベートの際に、サンプル中に含まれるfPlGF(存在する場合)は、マイクロタイトレーションプレートのウェルの表面に固定された、本発明に係るfPlGFに対して向けられた抗体に結合する。ウェルを洗浄し、次に、第二の結合反応でペルオキシダーゼ接合抗fPlGF抗体を用いた。過量の酵素に結合した抗体を洗浄した。次に、ウェル中の結合した酵素の活性を決定した。希硫酸の添加によって、過酸化水素およびテトラメチルベンジジンの酵素反応を止めた。fPlGF抗原濃度に比例する色の強度を、光分析によって450nmの波長で測定し、カットオフによって定性的に評価するか、または、標準に基づく検量線に基づき定量した。
【0125】
このような本発明に係るサンドイッチイムノアッセイは、たった1回の試験手順で特異的にfPlGFを検出する。fPlGFは一般的にホモ二量体として(例えばfPlGF−1のホモ二量体として)存在し、受容体は、ホモ二量体の両方のポールで結合することができるため、試験方法Bが特に好ましい。試験方法Bにおいて、ポールのどちらにも結合パートナーを有さないfPlGFが、優勢に決定されるように、1種の固定された抗fPlGF抗体と、1種のペルオキシダーゼ接合抗fPlGF抗体とを利用したサンドイッチの原理による酵素免疫検査法が用いられた。
【0126】
説明した実施例および試験方法によれば、本発明に係るその他の結合パートナー(具体的には抗体)の特異性も、同じように決定され、診断で用いることができる。
【0127】
実施例4:その他のfPlGFに特異的なモノクローナル抗体の製造
実施例1に従って、以下のモノクローナル抗体を選択し、それらが遊離の、および、結合型PlGFの形態を認識するかどうかについて調査した。免疫化には、以下の表に示される免疫化抗原が用いられた。R&Dシステムズ製の抗体「MAB264」は最先端の抗体であり、本発明において製造されたものではない。
【0128】
【表1】

【0129】
表に記載の本発明に係るモノクローナル抗体を生産する細胞培養物、または、比較抗体を生産する細胞培養物を、ブダペスト条約に従って、DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH,マシェローダーヴェーク1b,38124ブラウンシュバイク,ドイツ連邦共和国)に、国際寄託当局によって割り当てられた以下の登録番号で寄託した:
細胞培養物2005−81−05=DSM ACC2764
細胞培養物2005−81−010=DSM ACC2765
細胞培養物2005−64/026=DSM ACC2766
細胞培養物2005−63/020=DSM ACC2767
細胞培養物2005−61/016=DSM ACC2768
細胞培養物2005−54/04=DSM ACC2769
細胞培養物2005−164/054=DSM ACC2770
細胞培養物2005−164/042=DSM ACC2771
細胞培養物2005−164/038=DSM ACC2772
細胞培養物2005−164/012=DSM ACC2773
細胞培養物2005−121/06=DSM ACC2774
細胞培養物2005−120/03=DSM ACC2775。
【0130】
前述の細胞培養物全てについて、寄託日は2006年3月23日である。
【0131】
実施例5:本発明に係る抗体および比較抗体と組換え(遊離の)PlGFとの反応性
マイクロタイトレーションプレート(ヌンク,タイプB)を、マウスIgG/F(ab)2(デイド・ベーリング・マールブルグ社,ドイツ)に対してポリクローナル抗体でコーティングした;コーティング濃度は、10μg/ml〜1.5μg/ウェルである。
【0132】
調査しようとするモノクローナル抗体100μlを、マイクロタイトレーションプレートのウェルに、a)1.0μg/ml、または、b)0.1μg/mlの濃度でピペットで取って入れ、+15〜+25℃で1時間インキュベートした。マイクロタイトレーションプレートを、洗浄溶液POD(製品番号:OSEW;デイド・ベーリング・マールブルグ,ドイツ)で3回洗浄した後、組換えPlGF(R&Dシステムズ、カタログ番号:264−PG/CF)の溶液100μlを、0.1μg/mlの濃度で各ウェルに添加し、+15〜+25℃で1時間インキュベートした。マイクロタイトレーションプレートを、洗浄溶液PODで3回洗浄した後、抗ヒト−PlGF−POD結合体(従来の結合方法によって「ヒトPlGFの親和性によって精製したポリクローナル抗体」から生産された,製品番号:AF−264−PB/R&Dシステムズ)100μlを各ウェルに充填し、+15〜+25℃で1時間インキュベートした。マイクロタイトレーションプレートをさらに3回洗浄した後、クロモゲンTMB溶液(製品番号:OUVF,デイド・ベーリング・マールブルグ社,ドイツ)100μlを各ウェルに充填し、+15〜+25℃でさらに30分間インキュベートした。インキュベートした後に、停止溶液POD(製品番号:OSFA,デイド・ベーリング・マールブルグ社,ドイツ)100μlを各ウェルに充填し、マイクロタイトレーションプレートを、BEPII(デイド・ベーリング・マールブルグ社,ドイツ)で450nmで評価した。表1に、その結果を示した。
【0133】
【表2】

【0134】
実施例6:本発明に係る抗体、比較抗体および最先端の抗体と、PlGF/sFlt−1複合体(gPlGF)との反応性
マイクロタイトレーションプレート(ヌンク(Nunc)、タイプB)を、ヒトIgG/Fcに対するポリクローナル抗体(デイド・ベーリング・マールブルグ社,ドイツ)でコーティングした。コーティング濃度は、2.5μl/ml〜0.376μg/ウェルである。
組換えヒトVEGFR1(Flt−1)/Fcキメラ:R&Dシステムズ,カタログ番号:321−FL/CF)の溶液100μlを、1μg/mlの濃度でマイクロタイトレーションプレートの各ウェルに入れ、+15〜+25℃で1時間インキュベートした。マイクロタイトレーションプレートを、洗浄溶液PODで3回洗浄した後(実施例5を参照)、PlGF/sFlt−1複合体を製造するために、組換えPlGF(実施例5を参照)の溶液100μlを、1μg/mlの濃度で各ウェルに添加し、+15〜+25℃で1時間インキュベートした。マイクロタイトレーションプレートを、洗浄溶液PODで3回洗浄した後、調査しようとするモノクローナル抗体100μlを、a)1μg/ml、または、b)0.1μg/mlの濃度で各ウェルにピペットで取って入れ、+15〜+25℃で1時間インキュベートした。マイクロタイトレーションプレートを、洗浄溶液PODで3回洗浄した後、抗マウスIgG/F(ab)2−POD結合体(デイド・ベーリング・マールブルグ社,ドイツ)100μlを各ウェルに充填し、+15〜+25℃で1時間インキュベートした。マイクロタイトレーションプレートをさらに3回洗浄した後、クロモゲンTMB溶液(実施例5を参照)100μgを各ウェルに充填し、+15〜+25℃でさらに30分間インキュベートした。インキュベートした後に、停止溶液POD(実施例5を参照)100μlを各ウェルに充填し、マイクロタイトレーションプレートを、BEPIIで450nmで評価した(実施例5を参照)。表2に、その結果を示した。
【0135】
【表3】

【0136】
本発明に係る抗体は、形成されたPlGF/sFlt−1複合体との反応性を示さなかったが、それに対して比較抗体および最先端の抗体は、明確な反応性を示した。
【0137】
実施例7:エピトープマッピング
ヒトPlGFの配列から誘導されたオーバーラップするペプチドのスキャン(13−merのペプチド、11個のアミノ酸のオーバーラップ)を、SPOT合成技術によって製造した。この方法は、Wenschuh,H.等(2000)“Coherent membrane supports for parallel microsynthesis and screening of bioactive peptides”,Biopolymers(Peptide Science),55:188〜206で説明されている。このようなペプチドを、セルロースメンブレン上に既定された順番で(「ペプチドアレイ」として)、セルロースメンブレンに共有結合するように段階的に合成した。ペプチドの免疫反応性をチェックするための結合試験を、アレイ上で直接行った。そのためのインキュベートプロトコールは以下の通りである:
・TBS緩衝液(pH8.0)中で平衡させ、
・ブロッキング緩衝液(pH8.0)中で2時間、
・ブロッキング緩衝液(pH8.0)中で2時間、抗体をインキュベートし(3μg/ml)、
・TBS(0.05%のトゥイーン20(Tween 20))で洗浄し、
・ブロッキング緩衝液(pH8.0)中で抗マウスIgG−PODと共に2時間インキュベートし、
・TBS(0.05%のトゥイーン20)で3×5分間洗浄し、
・化学発光(Lumi−Imager,ロシュ・ダイアグノスティックス(Roche Diagnostics))で検出する。
【0138】
結果
本発明に係るグループ1からの2種の抗体05−81−05および05−81−010は、以下の配列セグメントと反応した:
1.EKMKPERCGDAVP、
2.MKPERCGDAVPRR。
【0139】
認識された配列は、PlGF−1のC末端ドメインと同一である。
【0140】
固相上の試験用のモノクローナル抗体を用いた追加の試験
以下の実施例8および9では、グループ1のより高い親和性の抗体だけを、最先端の抗体および比較抗体と比較して試験した。
【0141】
実施例8:PlGFとの反応
マイクロタイトレーションプレート(実施例5を参照)を、本発明に係るモノクローナル抗体、比較抗体、および、最先端のモノクローナル抗体でコーティングした。コーティング濃度は、3μg/ml〜0.45μg/ウェルである。
50ng/m1の組換えPlGF(実施例5を参照)から開始した一連の幾何級数的な希釈液100μlを、マイクロタイトレーションプレートのウェルにピペットで取って入れ、+15〜+25℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄溶液POD(実施例5を参照)で3回洗浄した後に、抗ヒトPlGF−POD結合体(実施例5を参照)100μlを各ウェルに充填し、+15〜+25℃で1.5時間インキュベートした。プレートをさらに3回洗浄した後に、クロモゲンTMB−溶液(実施例5を参照)100μlを各ウェルに充填し、+15〜+25℃でさらに30分間インキュベートした。インキュベートした後に、停止溶液POD(実施例5を参照)100μlを各ウェルに充填し、マイクロタイトレーションプレートを、BEPIIで450nmで評価した(実施例5を参照)。表3に、その結果を示した。
【0142】
【表4】

【0143】
実施例9:本発明に係る抗体、比較抗体および最先端の抗体と、PlGF/sFlt−1複合体(gPlGF)との反応性
マイクロタイトレーションプレート(実施例5を参照)を、本発明に係るモノクローナル抗体、比較抗体および最先端のモノクローナル抗体でコーティングした。コーティング濃度は、3μg/ml〜0.45μg/ウェルである。
反応容器中で、25ng/mlの組換えPlGFから開始した一連の幾何級数的な希釈液を製造した。組換えヒトVEGFR1(Flt−1)/Fcキメラ(実施例6を参照)を、400ng/mlの濃度で、各希釈液に添加し、+15〜+25℃で1時間インキュベートした。次に、100μlを、それぞれのマイクロタイトレーションプレートのウェルにピペットで取って入れ、+15〜+25℃で1時間インキュベートした。マイクロタイトレーションプレートを洗浄溶液POD(実施例5を参照)で4回洗浄した後、抗ヒトVEGFR1−POD結合体(R&Dシステムズ,クアンティカイン(Quantikine)ヒトVEGFR1イムノアッセイからの一部891096;DVR100B)100μlを各ウェルに充填し、+15〜+25℃で1時間インキュベートした。マイクロタイトレーションプレートをさらに3回洗浄した後、クロモゲンTMB溶液(実施例5を参照)100μlを各ウェルに充填し、+15〜+25℃でさらに30分間インキュベートした。インキュベートした後に、停止溶液POD(実施例5を参照)100μlを各ウェルに充填し、マイクロタイトレーションプレートを、BEPIIで450nmで評価した(実施例5を参照)。表4に、その結果を示した。
【0144】
【表5】

【0145】
本発明に係る抗体は、PlGF/sFlt−1複合体を、極めて弱くしか認識しないか、または、全く認識しない。このような抗体は、遊離PlGFに特異的であるが、比較抗体および最先端の抗体は明確な反応を示し、すなわち遊離PlGFに特異的ではない。
【0146】
本発明はまた、以下の特許請求の範囲で、本発明を限定することなく明確に説明される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次PlGFアイソフォームの配列情報を有する免疫学的に活性なペプチド。
【請求項2】
以下のアミノ酸配列:
【化1】

の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
IAN1、IAN2、IAN3、IAN4、または、IAN2/3のうちの1つのペプチド由来の4〜30個の連続したアミノ酸を含む、請求項2に記載のペプチド。
【請求項4】
以下のアミノ酸配列:FQEVWGRSY(IAN:1−1)、SAGNGSSEVEVV(IAN:1−1−1)、VVPFQEVWGRSY(IAN:1−1−2)、GDENL(IAN:2−1)、GCCGDENLH(IAN:2−1−1)、QLLKIRSGDRPSY(IAN:3−1)、QLLKI(IAN:3−2)、RPSYV(IAN:3−3)、RSGDRPSYVELT(IAN:3−3−1)、および、ECRP(IAN:4−1)のうちの少なくとも1種由来の少なくとも4個の連続したアミノ酸を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項5】
以下のアミノ酸配列:EVVPF、VVPFQ、VPFQE、PFQEV、FQEVW、QEVWG、EVWGR、VWGRS、WGRSY、GRSYC、RSYCR、SYCRA、YCRAL、GCCGD、CCGDE、CGDEN、PLREK、SAGNGSSEVEVVK(IAN:1−1−1K)、SGDRPSYVELTK(IAN:3−3−1K)、VPVETANVTMQLK(IAN:2/3K)、VVPFQEVWGRSYK(IAN:1−1−2K)、または、GCCGDENLHK(IAN:2−1−1K)のうちの少なくとも1種を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項6】
以下のアミノ酸配列:VETANVTMQ由来の少なくとも4個の連続したアミノ酸を含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項7】
以下のアミノ酸配列:(IAN5)REKMKPERR RPKGRGKRRR EKQRPTDCHL CGDAVPR由来の少なくとも4個の連続したアミノ酸を含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項8】
以下のアミノ酸配列:(IAN6)HVRCECRHSP GRQSPDMPGD FRADAPSFLP PRRSLPMLFR MEWGCALTGS QSAVWPSSPV PEEIPRMHPGR NGKKQQRKP LREKMK由来の少なくとも4個の連続したアミノ酸を含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項9】
以下のアミノ酸配列:(IAN7)NGKKQQRKPL REKMKPERRR PKGRG由来の少なくとも4個の連続したアミノ酸を含む、請求項1に記載のペプチド。
【請求項10】
少なくとも5個の連続したアミノ酸を含むことを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項11】
二次PlGFアイソフォームのポールにおける受容体結合ドメインの領域で特異的に結合することを特徴とする、PlGFに関する特異的な結合パートナー。
【請求項12】
抗体であることを特徴とする、請求項11に記載の特異的な結合パートナー。
【請求項13】
モノクローナル抗体であることを特徴とする、請求項12に記載の特異的な結合パートナー。
【請求項14】
DSM ACC2764という受託番号でDSMZに寄託された、2005−81−05という名称を有する細胞系によって生産されるモノクローナル抗体05−81−05。
【請求項15】
DSM ACC2765という受託番号でDSMZに寄託された、2005−81−010という名称を有する細胞系によって生産されるモノクローナル抗体05−81−010。
【請求項16】
DSM ACC2766という受託番号でDSMZに寄託された、2005−64/026という名称を有する細胞系によって生産されるモノクローナル抗体05−64/026。
【請求項17】
DSM ACC2769という受託番号でDSMZに寄託された、2005−54/04という名称を有する細胞系によって生産されるモノクローナル抗体05−54/04。
【請求項18】
DSM ACC2770という受託番号でDSMZに寄託された、2005−164/054という名称を有する細胞系によって生産されるモノクローナル抗体05−164/054。
【請求項19】
DSM ACC2771という受託番号でDSMZに寄託された、2005−164/042という名称を有する細胞系によって生産されるモノクローナル抗体05−164/042。
【請求項20】
DSM ACC2772という受託番号でDSMZに寄託された、2005−164/038という名称を有する細胞系によって生産されるモノクローナル抗体05−164/038。
【請求項21】
DSM ACC2773という受託番号でDSMZに寄託された、2005−164/012という名称を有する細胞系によって生産されるモノクローナル抗体05−164/012。
【請求項22】
DSM ACC2774という受託番号でDSMZに寄託された、2005−121/06という名称を有する細胞系によって生産されるモノクローナル抗体05−121/06。
【請求項23】
DSM ACC2775という受託番号でDSMZに寄託された、2005−120/03という名称を有する細胞系によって生産されるモノクローナル抗体05−120/03。
【請求項24】
遊離PlGFへの結合に関して、請求項13〜23のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体の1種またはそれ以上と競合する、特異的な結合パートナー。
【請求項25】
請求項13〜23のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体が結合するエピトープの1種またはそれ以上に結合する特異的な結合パートナー。
【請求項26】
以下のアミノ酸配列:EKMKPERCGDAVP、および/または、MKPERCGDAVPRRに含まれるアミノ酸から形成されたエピトープに結合する特異的な結合パートナー。
【請求項27】
以下のアミノ酸配列:RSGDRPSYVELTに含まれるアミノ酸から形成されたエピトープに結合する特異的な結合パートナー。
【請求項28】
以下のアミノ酸配列:VVPFQEVWGRSYに含まれるアミノ酸から形成されたエピトープに結合する特異的な結合パートナー。
【請求項29】
二次PlGFアイソフォームが、PlGFのホモ二量体であることを特徴とする 、請求項11〜13のいずれか一項に記載の特異的な結合パートナー。
【請求項30】
PlGFのホモ二量体が、PlGF−1のホモ二量体であることを特徴とする、請求項29に記載の特異的な結合パートナー。
【請求項31】
PlGF−1のホモ二量体が、rhPlGF−1のホモ二量体であることを特徴とする、請求項30に記載の特異的な結合パートナー。
【請求項32】
rhPlGF−1のホモ二量体が、N−グリコシル化されたrhPlGF−1のホモ二量体であることを特徴とする、請求項31に記載の特異的な結合パートナー。
【請求項33】
請求項6〜13のいずれか一項に記載の特異的な結合パートナーから製造できる抗原結合フラグメント。
【請求項34】
適切な実験動物を、一次または二次の、結合型または非結合型(遊離)のPlGFアイソフォームで免疫化すること、この実験動物の脾臓細胞と骨髄腫細胞とを融合し、抗体産生ハイブリッド細胞を形成すること、該ハイブリッド細胞をクローニングすること、および、二次PlGFアイソフォームのポールにおける受容体結合ドメインの領域で選択的に結合する抗体を生産するハイブリッド細胞クローンを選択すること、および、このようにして選択されたハイブリッド細胞クローンから抗体を単離することによる、請求項11に記載の特異的な結合パートナーの製造方法。
【請求項35】
サンプル中でPlGFを検出するためのイムノアッセイであって、請求項11〜13および24〜32のいずれか一項に記載の特異的な結合パートナー、または、請求項14〜23のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体、または、請求項33に記載の抗原結合フラグメントと、サンプルとを接触させ、PlGFを含む免疫複合体の形成を、定性的または定量的に決定することを特徴とする、上記イムノアッセイ。
【請求項36】
請求項35に記載のイムノアッセイを実施するための試験キットであって、請求項11〜13および24〜32のいずれか一項に記載の特異的な結合パートナー、または、請求項14〜23のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体、または、請求項33に記載の抗原結合フラグメントを含む、上記試験キット。
【請求項37】
PlGFアイソフォームの結合に関する分析で用いるための、受容体チロシンキナーゼファミリー、またはそれらの相同体、フラグメントもしくは分解産物生成物の抗体およびタンパク質の使用。
【請求項38】
PlGFアイソフォームは、fPlGFであることを特徴とする、請求項22に記載の使用。
【請求項39】
受容体チロシンキナーゼファミリーの抗体またはタンパク質は、Flt−1、Flt−2、Flt−3、または、Flt−4であることを特徴とする、請求項37または38に記載の使用。
【請求項40】
PlGF−2アイソフォームの結合に関する分析に用いるための、ヘパリン硫酸プロテオグリカン、および、ニューロピリン、またはそれらの相同体、フラグメントもしくは分解産物生成物の使用。

【公表番号】特表2008−540477(P2008−540477A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510477(P2008−510477)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004278
【国際公開番号】WO2006/128553
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(398032751)デイド・ベーリング・マルブルク・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (36)
【Fターム(参考)】