説明

胎盤石灰化磁気共鳴イメージング

方法は、超短エコー時間(UTE)を使用して胎盤の少なくとも1つの磁気共鳴画像を取得するステップ;及びその少なくとも1つの磁気共鳴画像を、胎盤石灰化を示す情報を生成するように処理するステップ、を含む。装置実施形態において、磁気共鳴画像スキャナ(10、12、14、16)が、婦人科モジュール(20)が、胎盤の少なくとも1つの磁気共鳴画像を取得し、その少なくとも1つの磁気共鳴画像を、胎盤石灰化を示す情報を生成するように処理するようにさせるように構成されたデジタル・プロセッサを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、医療技術、産科及び婦人科の技術、医用イメージング技術、及び関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な婦人科のワークフローにおいて、患者は、妊娠中に生じる問題のリスク(risk)によって診断され、分類される。この処置によると、何人かの患者は、「ハイリスク」として分類され、それは、患者が妊娠中に問題が起こる平均のリスクよりも高いリスクを有することを意味する。患者がハイリスクであるとして分類される原因である指標は、年齢、体重、一般的な健康状態、過去の病歴などを含む。ハイリスクとして分類される患者は、通常、如何なる初期の問題も早期の段階で検出されることを保証するためにより厳密に監視される。このような目的で、超音波は、婦人科の監視に対して通常のイメージング・モダリティである。
【0003】
胎盤石灰化は、問題のある妊娠の指標又は予測因子として識別されている。石灰化した胎盤組織は、周りの石灰化していない組織よりも密度が高いことから、超音波画像において明るい特徴として現れる。従って、超音波は、一般的に、胎盤石灰化を検出及び監視するための効果的な技術と考えられている。
【0004】
しかし、超音波は、この点においていくつかの欠点を有する。超音波深針の配置によって、その胎盤の画像は、部分的に胎児又は他の介入している特徴によって遮蔽されるかもしれない。結果として、超音波は、遮蔽された石灰化した胎盤組織の検出を逃す。例えば、これは、微細な粒状構造を有する可能性がある初期の石灰化に対して問題になり得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“Three-Dimensional Radial Ultrashort Echo-Time Imaging with T2 Adapted Sampling” Magnetic Resonance in Medicine Vol.55, pp1075-82, 2006年
【非特許文献2】“Selective 3D ultrashort TE imaging:comparison of ‘dual echo’acquisition and magnetization preparation for improving short-T2 contrast”Magn.Reson.Mater.Phys.(Springer 2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下は、上記の問題及びその他を克服する、新規な改善された装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの開示される態様によると、1つの方法は:胎盤の少なくとも1つの磁気共鳴画像を取得するステップ;及びその少なくとも1つの磁気共鳴画像を、胎盤石灰化を示す情報を生成するように処理するステップ;を含む。
【0008】
開示されるもう1つの態様によると、記憶媒体が、直前の段落で説明されたような方法を実施するために、デジタル・プロセッサによって実行可能なインストラクションを保存する。
【0009】
開示されるもう1つの態様によると、婦人科モジュールは、磁気共鳴画像スキャナが、胎盤の少なくとも1つの磁気共鳴画像を取得し、その少なくとも1つの磁気共鳴画像を処理し、胎盤石灰化を示す情報を生成させるように構成されたデジタル・プロセッサを含む。
【0010】
1つの利点が、超音波によって入手可能な画像よりも高い解像度の胎盤石灰化の画像を供給することにおいて存在する。
【0011】
もう1つの利点は、いずれの医用深針の配置からも独立して遮蔽されていない胎盤石灰化の画像を供給することにおいて存在する。
【0012】
もう1つの利点は、磁気共鳴イメージングによって得られる胎盤石灰化の画像を供給することにおいて存在する。
【0013】
さらにもう1つの利点は、磁気共鳴イメージングによって得られる胎盤石灰化の画像の定量的解析を供給することにおいて存在する。
【0014】
追加の利点は、当業者が以下の詳細な記載を読み、理解した上で明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】胎盤石灰化イメージングを含む婦人科イメージングに対して構成された磁気共鳴イメージング・システムを示す概略図である。
【図2】図1のシステムを使用して適切に実施される磁気共鳴胎盤石灰化イメージング・プロセスを示す概略図である。
【図3】図1のシステムを使用して適切に実施される磁気共鳴胎盤石灰化イメージング・プロセスを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0016】
図1を参照すると、胎盤石灰化イメージングを含む婦人科イメージングに対して構成された磁気共鳴イメージング・システムは、示されているAchievaTM磁気共鳴スキャナ(オランダ、EindhovenのKoninklijke Philips Electronics N.V.から入手可能)、又はInteraTM又はPanoramaTM磁気共鳴スキャナ(両方ともKoninklijke Philips Electronics N.V.から入手可能)、又は他の市販の磁気共鳴スキャナ、又は非商用磁気共鳴スキャナなどの磁気共鳴イメージング・スキャナ10を含む。典型的な実施形態において、その磁気共鳴スキャナは、静的磁場(B0)を生成する超電導性又は抵抗性主要磁石、選択された傾斜磁場をその静的磁場に重ねるための傾斜磁場コイル巻きのセット、ラジオ周波数場(radio frequency field)を、もう1つの磁気共鳴(通常、1H磁気共鳴であるが、胎盤において含まれる他の磁気共鳴核も考慮される)を励起するために選択された周波数で生成するためのラジオ周波数励起システム、及び胎盤及び周りの組織からラジオ周波数励起に応答して発せられる磁気共鳴信号を検出するためのラジオ周波数受信システムなどの内部要素(示されていない)を含む。
【0017】
磁気共鳴イメージング・スキャナ10は、磁気共鳴励起、通常傾斜磁場によって生成される空間符号化、及び磁気共鳴信号読み出しを定義する磁気共鳴イメージング・スキャン・シーケンスを実行するために、磁気共鳴制御モジュール12によって制御される。再構築モジュール14は、取得された磁気共鳴信号を、磁気共鳴画像メモリ16に保存される磁気共鳴画像を生成するように再構築する。いくつかの実施形態において、構成要素12、14、16は、例えば、例示されるコンピュータ18のデジタル・プロセッサ(非表示)で実行されるソフトウェアとして具現化される、磁気共鳴イメージング・スキャナ10の製造者又は1つ又はそれ以上の第3者のベンダー(vendor)によって供給される汎用の市販の磁気共鳴イメージング製品である。その代わりに、1つ又はそれ以上又は全ての構成要素12、14、16が、特別注文の又は顧客によって変更された構成要素であってもよい。
【0018】
胎盤石灰化イメージングを含む婦人科イメージングを支持するために、婦人科モジュール20が供給され、それは、例えば、示されるコンピュータ18のデジタル・プロセッサにおいて実行されるソフトウェアとして具現化されてよい。その婦人科モジュール20は、1つ又はそれ以上の超短エコー時間(UTE)磁気共鳴イメージング・シーケンスを保存するメモリ22及び選択されたUTEイメージング・シーケンスを取り出し、その選択されたUTEイメージング・シーケンスが、磁気共鳴制御モジュール12の制御下において磁気共鳴イメージング・スキャナ10によって実行されるようにする取得サブモジュール24を含む。そのUTEイメージング・シーケンスは、石灰化した胎盤組織のイメージングを可能にするように短いエコー時間(TE)を使用する。その石灰化した胎盤組織は、通常、約10マイクロ秒から2ミリ秒までの横緩和時間(本文献では「T2」として示されるが、他の文献では「T2」としても時々示される)を有し、所定の石灰化した胎盤組織に対するT2値は、石灰化の程度などの因子に依存する。
【0019】
石灰化した胎盤組織の特徴である約10マイクロ秒から2ミリ秒までのT2時間は、一般的に、標準のエコー時間に対して石灰化した胎盤組織からの共鳴信号の実質的に完全な減衰をもたらす。それに応じて、2、3ミリ秒又はそれよりも長い単位のエコー時間を使用して取得された標準の磁気共鳴イメージング・シーケンスにおいて、石灰化した胎盤組織はいずれも画像において空隙(void)として現れる。そのような画像は、従って、石灰化した胎盤組織に関する情報を供給するとして解釈される。しかし、その画像における空隙は、エア・ポケット(air pocket)、ある一定の血管構造、あるいは骨又はその他などの他の原因によることもあることから、ミリ秒又はそれよりも長い単位のエコー時間を使用して取得された標準の磁気共鳴イメージング・シーケンスにおける空隙は、石灰化した胎盤組織と同一であるとはっきりと識別することはできない。
【0020】
対照的に、石灰化した胎盤組織のT2緩和時間と同程度又はそれよりも短いエコー時間(「タイム‐エコー(time-to-echo)」とも呼ばれ、「TE」とも示される)でメモリ22から取り出されたUTE磁気共鳴取得シーケンスを使用することによって、UTE磁気共鳴画像は、石灰化した胎盤組織を、低いが一般的に空隙ではない信号強度の領域として示す。いくつかの実施形態において、TEは、約250マイクロ秒よりも短いか又はそれにおよそ等しく選択され、それは、2、30マイクロ秒又はそれよりも長い単位のT2緩和時間で石灰化した胎盤組織を検出するのに充分である。いくつかの実施形態において、TEは、約100マイクロ秒よりも短いか又はそれにおよそ等しく選択され、あるいは、約70マイクロ秒よりも短いか又はそれにおよそ等しく選択され、TE値は、10マイクロ秒又はそれよりも長い程度のT2緩和時間で石灰化した胎盤組織を検出するのに充分である。いくつかの実施形態において、取得サブモジュール24は、選択されたUTEシーケンスのエコー時間を選択又は調整し、望まれる胎盤イメージング操作を調整する。
【0021】
実質的に、本文献において参考として全体的に取り入れられているRahmer et al.による非特許文献1において開示されたシーケンス又は本文献において参考として全体的に取り入れられているRahmer et al.による非特許文献2において開示されたシーケンスなどのUTE磁気共鳴イメージング・シーケンスは、いずれも利用することが出来る。そのUTEイメージング・シーケンスは、任意に、読み出しエコーがk空間(k space)のおよそ中心で開始して取得される、中心3次元読み出しを含む。例えば、その読み出しエコーは、k空間の中心で開始され、その中心から外側に延びる半径方向読み出しを使用して取得することができる。その取得された磁気共鳴画像は、石灰化した胎盤組織の如何なる領域も逃さないことを保証するように、胎盤全体に及ぶ体積測定磁気共鳴画像であるのが望ましい。その傾斜磁場のスルーレート(slew rate)は、妊婦又は胎児に末梢神経への刺激(PNS)を生じる可能性のあるレベルの下で維持し、その磁気共鳴イメージング・スキャナ10内のノイズ・レベルを低減するのが望ましい。比較的低いフリップ角および比較的長い反復時間(TR)(例えば、いくつかの実施形態において25ミリ秒程度)は、有利にも、その胎児又は妊婦を加熱するリスクを低減する。これらの取得パラメータを使用するいくつかの実施形態において、胎盤の完全な体積測定磁気共鳴画像が、約3‐5分で取得できる。
【0022】
胎盤が磁気共鳴イメージング・スキャナ10の視野において配置されている、スキャナ10による実行及び取得サブモジュール24によってメモリ22から取り出されるUTE磁気共鳴シーケンスの制御モジュール12は、再構築モジュール14によって再構築されるUTE磁気共鳴画像データをもたらし、その胎盤の1つ又はそれ以上のUTE磁気共鳴画像を生成する。その1つ又はそれ以上のUTE磁気共鳴画像は、画像メモリ16において適切に保存され、コンピュータ18の表示部26に表示され、あるいはそうでない場合は、保存及び/又は使用される。
【0023】
生成されたその胎盤の1つ又は複数のUTE磁気共鳴画像は、低い強度で石灰化した胎盤組織を示すが、空隙領域としては示さない。それに応じて、石灰化した胎盤組織は、結像されるが、通常の胎盤組織又はより長いT2緩和時間を持つ他の組織に対応する他の明るい領域によって隠されてもよい。短いエコー時間によって(例えば、いくつかの実施形態において約60−70マイクロ秒)、ほぼ全ての磁気共鳴信号劣化機構は、そのUTE磁気共鳴画像に影響を与えるのに充分な時間を有していない。しかし、その石灰化した胎盤組織の短いT2緩和時間は、石灰化した胎盤組織が、UTE磁気共鳴画像において低い(しかし、一般的に空隙ではない)磁気共鳴信号で現れることを保証する。これは、それらの画像の解釈を比較的容易にする。
【0024】
UTE磁気共鳴画像は、石灰化した胎盤組織の比較的明白な識別を提供し、そのような画像の臨床的価値、又は1つ又はそれ以上のそのような画像のセットは、任意的に、再構築後画像処理によって拡大される。このような目的で、説明された実施形態において、2つ又はそれ以上の異なるエコー時間で取得された複数の(すなわち、2つ又はそれ以上の)UTE磁気共鳴画像は、メモリ32に保存され、示されるコンピュータ18の表示部26又は他の表示装置に表示され、あるいはそうでない場合は使用される胎盤石灰化画像を生成するために、任意的に、婦人科モジュール20の胎盤石灰化画像生成サブモジュール30によって処理される。任意的に、その胎盤石灰化画像は、胎盤石灰化定量化サブモジュール34によってさらに処理され、胎盤石灰化測定を定義し、その胎盤石灰化測定の感知可能な表現が出力される。例えば、その胎盤石灰化測定の感知可能な表現は、コンピュータ18の表示部26又は他の表示装置において表示される数値であってもよく、又はその胎盤石灰化測定は、表示されたバーの長さ又は他のグラフィック表現によって表されてもよい。
【0025】
図2を参照すると、フローチャートが、婦人科モジュール20によって適切に実施されてよい磁気共鳴胎盤石灰化イメージング処理を示す。第1取得操作40において、第1UTE磁気共鳴画像が、その胎盤が結像されている場合、その胎盤において存在する石灰化した胎盤組織からの信号を含むように選択された第1エコー時間(TE)で取得される。その第1エコー時間は、如何なる石灰化した胎盤組織からの磁気共鳴信号も、磁気共鳴読み出しの前に短いT2によって実質的にゼロに減衰していないように充分に短いべきである。第2取得操作42において、第2UTE磁気共鳴画像が、第1エコー時間よりも長い第2エコー時間(TE)で取得される。その第2エコー時間は、任意的に、如何なる石灰化した胎盤組織からの磁気共鳴信号も実質的にゼロに減衰していないことを保証するように充分に長く、それによって、如何なる石灰化した胎盤組織も、その第2UTE磁気共鳴画像において空隙領域として現れる。実に、図2は、第2取得操作42を取得速度に関して利点を有するUTEイメージング操作として示すが、その第2取得操作42を、超短エコー時間を使用しない標準取得にすることが検討されている。その代わりに、その第2エコー時間は、任意的に第1エコー時間よりも長いものの、如何なる石灰化した胎盤組織からの磁気共鳴信号もまだ実質的にゼロには減衰していないためには充分に短く、それによって、石灰化した胎盤組織はいずれも、第2磁気共鳴画像において低い強度であるが、空隙ではない強度として現れる。
【0026】
続いて図2を参照すると、胎盤石灰化画像生成モジュール30は、サブトラクション操作44を適切に実施し、その操作において、第2磁気共鳴画像が、第1磁気共鳴画像から差し引かれ、胎盤石灰化画像を生成する。そのサブトラクションの効果は、第1及び第2画像におけるピクセル強度がおよそ同じである非石灰化組織からの磁気共鳴信号を抑えることであり、そうすることによって、石灰化した胎盤組織の如何なる領域も、その第1及び第2画像における石灰化した胎盤組織強度の差がより大きいことから、より明るい領域として現れる。この結果として生じる画像は、コンピュータ18の表示部26又は他の表示装置において表示することが出来る。識別操作50において、胎盤石灰化を示す胎盤石灰化画像のピクセル又はボクセルが識別される。この識別は、例えば、強度しきい値化を使用して実行することができる。定量化操作52は、次に、定量的な胎盤石灰化測定を、例えば、識別された胎盤石灰化ピクセル又はボクセルの数をカウントすることによって適切に計算する。そのカウントは、任意的に、その画像又はその胎盤におけるピクセル又はボクセルの合計カウントによって正規化され、定量的な胎盤石灰化測定を、部分体積又は単位毎体積測定として生成する。その定量的な胎盤石灰化測定は、示されるコンピュータ18の表示部26又は他の表示装置において、定量的数値又は定量的グラフィック表現として適切に表示される。
【0027】
いくつかの実施形態において、その定量化操作52は、定量的胎盤石灰化測定を、胎盤石灰化画像によって示される胎盤石灰化の程度を評価する単一の定量値として出力する。婦人科医、臨床医又は他の医療専門家は、この単一の定量値を、磁気共鳴に基づいた胎盤石灰化「試験」の定量的結果として呼び、その定量値を、1つの治療を他の治療に比較して選択することに関して境界線を引くために使用することができる。例証的な例として、その定量化操作52は、石灰化体積(例えば、操作50によって識別される胎盤石灰化ピクセル又はボクセルのカウントによって適切に表わされる)と合計の胎盤体積(例えば、手動又は自動のしきい値化操作によって適切に描写される、胎盤を表わすピクセルの合計数によって適切に表わされる)との比として計算される「石灰化した胎盤の合計体積」又は「石灰化胎盤割合(Calcified Placenta Percentage)」と呼ばれる単一の定量値を出すことが検討されている。その比は、任意的に、値をパーセントに変換するために、100の係数で乗じられる。
【0028】
図3を参照すると、フローチャートは、婦人科モジュール20によって適切に実施されてよいもう1つの磁気共鳴胎盤石灰化イメージング処理を示す。取得操作60において、複数のUTE磁気共鳴画像が、石灰化した胎盤組織(イメージングが行われている胎盤に存在している場合)からの信号を検出するために有効な範囲に及ぶ異なるエコー時間で取得される。言い換えれば、異なるエコー時間の範囲は、如何なる石灰化した胎盤組織からの磁気共鳴信号も、UTEイメージング・シーケンスの磁気共鳴信号読み出し段階の前に実質的にゼロに減衰してしまわないように、充分に短いエコー時間を含むべきである。その胎盤石灰化画像生成モジュール30は、次に、T2マッピング操作64を適切に実施し、その操作において、信号強度対TEの関係が、ピクセル毎又はボクセル毎に操作60において取得された画像から生成され、T2値が、スロープ又はその信号強度対TEの関係のT2を示す特徴に基づいてマッピングされる。このアプローチにおいて、石灰化した胎盤組織の領域は、それらの通常短いT2減衰時間である約10マイクロ秒から2ミリ秒によって明らかになることが予測される。その生成されたT2マップは、従って、胎盤石灰化画像としての役割を果たし、胎盤石灰化ピクセル又はボクセル識別操作50によってしきい値化されてよく、さらに図2を参照して既に記載された定量化操作52によって処理されてもよい。
【0029】
例えば胎盤石灰化画像及び/又は定量的胎盤石灰化測定の形における結果としてもたらされる情報は、婦人科医又は患者の状態及び妊娠の状態を評価する他の適切な医療スペシャリストによって適切に考慮される。例えば、石灰化した胎盤組織のある一定の密度又は量の識別は、ある一定の妊娠合併症の指標として取られてもよい。有利にも、そのUTE磁気共鳴画像又は画像から得られた胎盤石灰化画像は3次元であり、一般的に、隣の特徴による遮蔽によって悩まされないことから、その婦人科医又は他の適切な医療スペシャリストは、その胎盤石灰化画像を使用してその胎盤内の実質的に如何なる箇所における胎盤石灰化の領域も検出することができる。従って、臨床的優位性は、胎盤石灰化の如何なるそのような領域の胎盤内での位置に任意的に一致してよい。さらに、胎盤石灰化の比較的微粒状の領域の検出は、UTE磁気共鳴画像の比較的高い解像度によって促進される。
【0030】
図1に戻ると、当然のことながら、婦人科モジュール20及びその構成要素である処理サブモジュール30、34は、図2及び3において示されているような適切な方法を定義するようにプログラムされた実質的に如何なるデジタル・プロセッサ又はデジタル・プロセッサの組み合わせであってよい。いくつかの実施形態において、取得サブモジュール24及び付属のUTEシーケンス又は複数のシーケンス22は、第1デジタル・プロセッサ及びメモリ装置、選択された計算上集中的な作動を実施するための特定用途向け集積回路(ASIC)、又はその他などの任意の補助要素によって具現化されてもよい;一方、再構築後処理構成要素30、34は、第1デジタル・プロセッサとは異なるか又はそれと同一であってよい第2デジタル・プロセッサによって具現化される。
【0031】
さらに、開示された処理は、その開示された画像取得及び/又は処理操作を実施するためにデジタル・プロセッサによって実行可能である記憶媒体保存インストラクションとして具現化されてよい。そのような記憶媒体は、例えば:コンピュータ18のハードドライブ(非表示)などの磁気記憶媒体;コンピュータ18の光学ディスク及び対応する光学ディスクドライブ(非表示)などの光学メモリ;FLASH又は他の静電記憶装置;ランダムアクセスメモリ(RAM);読み込み専用メモリ(ROM);又はその他;のうち1つ又はそれ以上を含む。いくつかの実施形態において、その記憶媒体は、病院(又は他のローカル・エリア)ネットワーク又はインターネットを通して論理的に配置されアクセスされるサーバに付随していてよい。
【0032】
本発明は、望ましい実施形態を参照して説明されてきている。改良形及び変化形は、先の詳細な記載を読み、理解した上で第3者に明らかになるであろう。本発明は、添付の請求項又はそれらの均等物の範囲内にある全てのそのような改良形及び変化形を含むことを目的としている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胎盤の少なくとも1つの磁気共鳴画像を取得するステップ;及び
該少なくとも1つの磁気共鳴画像を、胎盤石灰化を示す情報を生成するように処理するステップ;
を含む方法。
【請求項2】
前記取得するステップが:
少なくとも1つの超短エコー時間(UTE)磁気共鳴画像を取得するステップ;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であり、前記取得するステップが:
約250マイクロ秒未満又は約250マイクロ秒のエコー時間を使用して少なくとも1つの磁気共鳴画像を取得するステップ;
を含む方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法であり、前記取得するステップが:
約100マイクロ秒未満又は約100マイクロ秒のエコー時間を使用して少なくとも1つの磁気共鳴画像を取得するステップ;
を含む方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法であり、前記取得するステップが:
約70マイクロ秒未満又は約70マイクロ秒のエコー時間を使用して少なくとも1つの磁気共鳴画像を取得するステップ;
を含む方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法であり、前記取得するステップが:
読み出しエコーがk空間のおよそ中心で取得される中心3次元読み出しを使用して、少なくとも1つの磁気共鳴画像を取得するステップ;
を含む方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法であり、前記取得するステップが:
k空間の中心で開始し、該k空間の中心から外側へ延びる半径方向読み出しを使用して、少なくとも1つの磁気共鳴画像を取得するステップ;
を含む方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法であり、前記取得するステップが:
少なくとも1つの体積測定磁気共鳴画像を取得するステップ;
を含む方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法であり、前記取得するステップが:
前記第1磁気共鳴画像が、石灰化した胎盤組織が該胎盤に存在する場合、該石灰化した胎盤組織からの信号を含むように選択された第1エコー時間で第1磁気共鳴画像を取得するステップ;及び
前記第1エコー時間よりも長い第2エコー時間で第2磁気共鳴画像を取得するステップ;
を含む方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であり、前記第2エコー時間は、前記第2磁気共鳴画像が、石灰化した胎盤組織が該胎盤に存在している場合でも、該石灰化した胎盤組織からの信号を含まないように選択されている、方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の方法であり、前記処理するステップが:
前記第2磁気共鳴画像を前記第1磁気共鳴画像から差し引き、胎盤石灰化画像を生成する、ステップ;
を含む方法。
【請求項12】
請求項9乃至11に記載の方法であり、前記処理するステップが:
前記第2磁気共鳴画像及び前記第1磁気共鳴画像を組み合わせて胎盤石灰化画像を生成する、ステップ;
を含む方法。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法であり、前記処理するステップが:
前記胎盤石灰化に対応する前記胎盤石灰化画像のピクセル又はボクセルを識別するステップ;及び
前記の識別されたピクセル又はボクセルに基づいて胎盤石灰化の定量的測定を計算するステップ;
をさらに含む方法。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法であり、前記取得するステップが、異なるエコー時間で複数の磁気共鳴画像を取得するステップを含み、前記処理するステップは:
前記複数の磁気共鳴画像に基づいてT2マップを生成するステップ;
を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であり、前記複数の異なるエコー時間で磁気共鳴画像を取得するステップは、前記T2マップが、前記胎盤の石灰化組織のT2時間又はT2時間の範囲を含むT2解像度を有するために有効なエコー時間を含む、方法。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法を実施するようにデジタル・プロセッサによって実行可能なインストラクションを保存する記憶媒体。
【請求項17】
磁気共鳴画像スキャナが、胎盤の少なくとも1つの磁気共鳴画像を取得し、且つ胎盤石灰化を示す情報を生成するように該少なくとも1つの磁気共鳴画像を処理するようにさせるように構成されたデジタル・プロセッサを含む、婦人科モジュール。
【請求項18】
請求項17に記載の婦人科モジュールであり:
磁気共鳴画像スキャナが胎盤の少なくとも1つの超短時間‐エコー(UTE)磁気共鳴画像を取得するようにさせるように構成された第1デジタル・プロセッサを含む第1サブモジュール;及び
胎盤石灰化を示す情報を生成するように前記少なくとも1つのUTE磁気共鳴画像を処理するように構成された、前記第1デジタル・プロセッサと同一又は異なる第2デジタル・プロセッサ;
を含む婦人科モジュール。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であり:
前記第1サブモジュールは、磁気共鳴画像スキャナが異なるエコー時間で胎盤の複数のUTE磁気共鳴画像を取得するようにさせるように構成され;且つ
前記第2サブモジュールは、胎盤石灰化画像を生成するように前記複数のUTE磁気共鳴画像を処理するように構成されている、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の婦人科モジュールであり、前記第2サブモジュールは、(i)胎盤石灰化測定を定義するように、胎盤石灰化に対応する胎盤石灰化画像のピクセル又はボクセルを識別し定量化し、且つ(ii)前記胎盤石灰化測定の感知可能な表現を出力するようにさらに構成されている、婦人科モジュール。
【請求項21】
請求項19又は20に記載の婦人科モジュールであり:
前記胎盤石灰化画像を表示するように構成された表示装置;
をさらに含む婦人科モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−517261(P2012−517261A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548810(P2011−548810)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050103
【国際公開番号】WO2010/092493
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】