胸腔内の電気インピーダンスの変化を検出する方法および装置
【課題】 生体内での、長期間の体液状態の変動を測定するために、患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイスおよび方法を提供する。
【解決手段】 患者のインピーダンスの変化を検出する方法および装置であって、本方法および装置は、測定されたインピーダンスを生成すること、第1時間期間に対応する測定されたインピーダンスの適応的ベースライントレンドを生成すること、第1時間期間より短い第2時間期間に対応する測定されたインピーダンスの短期間トレンドを生成すること、および、適応的ベースライントレンドと最も最近測定したインピーダンスと測定されたインピーダンスの短期間トレンドのうちの一方との間のインピーダンス変化のメトリックを生成することを含む。
【解決手段】 患者のインピーダンスの変化を検出する方法および装置であって、本方法および装置は、測定されたインピーダンスを生成すること、第1時間期間に対応する測定されたインピーダンスの適応的ベースライントレンドを生成すること、第1時間期間より短い第2時間期間に対応する測定されたインピーダンスの短期間トレンドを生成すること、および、適応的ベースライントレンドと最も最近測定したインピーダンスと測定されたインピーダンスの短期間トレンドのうちの一方との間のインピーダンス変化のメトリックを生成することを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その全体が参照により本明細書に援用される、「METHOD AND APPARATUS FOR DETECTING CHANGES IN INTRATHORACIC ELECTRICAL IMPEDANCE」という名称の、2002年12月4日に出願された、米国仮特許出願第60/430,983号から優先権および他の利益を主張する。
【0002】
本発明は、包括的に、埋め込み可能医療デバイスに関し、特に、本発明は、患者の生理的状態を判断するための、埋め込み可能医療デバイスにおけるインピーダンスの監視に関する。
【背景技術】
【0003】
インピーダンス監視は、埋め込み式デバイスによって体内のいくつかの生理的状態を判断するのに使用されており、外部監視デバイスにおいても使用されてきた。経胸腔的インピーダンス測定は、患者の体液の状態(status)に関する良好な指標を与え、インピーダンスの減少は体液含有量の増加を示すことが一般に理解されている。Berman他著「Transthoracic Electrical Impedance as a guide to Intravascular Overload」(Archives surgery, V102 P61-64 1971年1月)と題する論文では、電気インピーダンス法を使用して、生体組織内の体液貯留が実証された。患者の長期間にわたるインピーダンス測定値および測定値の変化を知ることは、患者の健康に関する有益な臨床指標となる。これまでは、医師が非常に有益な形態でこの指標を利用することはできなかった。
【0004】
他の状態の指標となる可能性があるが、体液貯留はまた、心臓循環の不調の指標となる可能性がある。体液貯留を生じるか、または、体液貯留に影響を与える可能性がある、いくつかのメカニズムまたは疾患が存在する。一般的に、体液貯留は、体内の恒常性プロセスの不調または過剰反応である。体は通常、食塩および蛋白質の適切な圧力と濃度を維持することによって、また、過剰な体液を積極的に取り除くことによって体液貯留を防止する。体液貯留は、たとえば、体液貯留を防止する体のメカニズムが、心不全、左側心筋梗塞、高血圧、高山病、気腫(これらは全て圧力に影響を与える)、リンパ系に影響を与えるがん、蛋白質濃度を乱す疾患などのような疾患によって影響を受ける時に起こる可能性がある。結果として、患者の体液の状態の適したモニタを提供することは、医師および患者に、より良い疾患管理ツールを提供できる可能性がある。
【0005】
たとえば、WuerzおよびMeadorによる論文「EFFECTS OF PREHOSPITAL MEDICATIONS ON MORTALITY AND LENGTH OF STAY IN CONGESTIVE HEART FAILURE」, ANNALS OF EMERGENCY MEDICINE, 21:6, pp669-74,1992年6月において、うっ血性心不全のための入院前の早期処置が生命を救う可能性があることが実証された。残念ながら、処置する医師が体液貯留の発生について通常得られる第1の指標は、疾患過程の非常に遅い時期に生じ、腫脹または呼吸困難という肉体的発現が非常に苦痛である(overwhelming)ために、患者が気付き、その後、患者は、多くの場合直接救急処置室に行き、体液過剰負荷のために入院することになる。一方、入院回数および期間を減らす努力に伴い、体液貯留についての患者の進行を監視するだけの積極的な入院は一般に望ましくない。
【0006】
入院を必要とすることなく、体液の状態についてのより頻繁な評価を改善することに対する最近の試みは、Baer, CA, DiSalvo TG, Cail MI, Noyes D,およびKvedar JCによる、論文「ELECTRONIC HOME MONITORING OF CONGESTIVE HEART FAILURE PATIENTS:DESIGN AND FEASIBILITY」, Congest Heart Fail. 1999; 5: 105-113およびdeLusignan S, Wells S, Johnson P, Meredith K,ならびにLeatham Eによる論文「COMPLIANCE AND EFFECTIVENESS OF 1 YEAR’S HOME TELEMONITORING」, Eur J Heart Fail. 2001; 3: 723-30に示されており、これらの論文において、毎日、患者の体重を測定し、患者にいくつかの質問に回答するように指示する心不全スケールを使用して、患者が家庭内で体液の状態を毎日評価することを提案している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この考えによれば、実際にCHFによる入院は減るが、患者は毎日きまりを守る必要があり、患者の家庭で評価が行われなければならないため、患者が移動するのが困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の他の利点および特徴は、添付図面と共に考えられると、以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるように、容易に理解されるであろう。図面では、同じ参照数字は、図面の図全体を通して同じ部品を指示する。
【0009】
本発明は、埋め込み可能デバイスに関し、当該デバイスは、インピーダンス測定値を求める測定能力を有する組織刺激器を含むが、それに限定はせず、生体内での、長期間の体液状態の変動を測定するのに特に良好に適している。
【0010】
埋め込み式デバイスを装着するかなりの割合の患者が、うっ血性心不全を有し、入院を必要とする体液過剰負荷を患う。胸腔内インピーダンスの減少を自動で検出することによって、うっ血性心不全を有する患者の体液過剰負荷を前もって警告することにつながる場合がある。
【0011】
生体内の体液の状態を表す信号を、決定し、生成し、監視し、かつ使用するシステムが本明細書で述べられる。本発明は、少なくとも2つの電気的に絶縁された電極を有し、生体に電気パルスを送出するエネルギーパルス送出機構をハウジング内に有する、生体の領域におけるインピーダンス測定値を生成する埋め込み可能装置、および、2つ以上の電極間で電気インパルスを受け取って、2つ以上の電極間の体のインピーダンスを求める手段を含む。
【0012】
エネルギーパルス送出機構は、有利には、患者のために出力をカスタマイズし、信号対雑音比(SNR)の最適化に役立ち、局所的な筋肉の刺激を回避するのに使用することができる調整制御部を備えることができる。しかしながら、自動フィードバック制御ループは、本発明の一実施形態では、この目的のために使用されることができ、好ましいパルス送出電極と、インピーダンスエネルギーパルスが測定を始動するのに使用される値を決めることは共に、工場で設定されるか、または、埋め込みまたは調整手技中に、埋め込み物に対してテレメトリリンクによって制御される。
【0013】
本発明は、従来のペースメーカシステムおよび埋め込み可能ディフィブリレータ、ならびに、他の埋め込み可能デバイスと共に使用することができるか、または、それらに組み込まれてもよい。たとえば、インピーダンス測定用の電極構成は、1つのインピーダンス測定手段の場合、心臓内に配置された心臓リング電極またはコイル電極、および、ペースメーカハウジングの表面上の電極を含んでもよい。共にハウジング上に位置する付加的な電極対の使用により、2つの異なるインピーダンス測定手段の使用が可能になり、信号を純化し、付加的な情報を提供するために、得られる信号間での比較の使用が容易になる。
【0014】
ペースメーカ、薬剤ポンプ、または他の埋め込み可能医療デバイス内に含まれると、本発明を使用して、体液貯留または脱水の開始または存在に応答して、薬剤および刺激パルスの送出を自動的に変えることができる。心不全(CHF)の患者では、体液貯留を管理するために、利尿薬の注入あるいは心臓再同期化または心臓増強作用(potentiation)治療の適用は、本発明が利用される方法の例である。本明細書で指示される「体液貯留」という用語は、過剰の体液が患者の体内に蓄積する例と、患者の体液レベルにおいて、脱水を示す欠乏が存在する例の両方を含むことが意図されることが理解される。
【0015】
さらに、本発明は、付加的な有益なデータを提供するために利用されてもよく、すなわち、有意事象に基づいて、データを記憶するか(ループメモリまたは非ループメモリで)、警報を生成するか、他の処置をとるための自動トリガ装置によって参照されるために、有利には、ECG信号読み取り、ペダル衝撃または他の活動センサ、および、温度、圧力、酸素飽和度などを測定するセンサが含まれてもよい。こうしたトリガーを使用する場合、デバイスは、事前に調整されたデバイスの挙動の範囲から適切なデバイスの挙動を実施するように構築される可能性がある。
【0016】
本発明は、患者固有のベースラインインピーダンス値を確立し、かつ維持するための手段に関する。ベースラインインピーダンス値は、アルゴリズムが開始すると早急に確立され、その後、ベースラインインピーダンス値は、現在測定されているインピーダンスに基づいて、上下にゆっくりと適応する。重要なことには、ベースラインインピーダンス値の増加レートおよび減少レートは異なる可能性がある。測定された胸部インピーダンスの乱れを指示する警報は、ベースラインインピーダンスと比較された測定されたインピーダンスの或るメトリックが、プログラムされた値を超える時に始動される。本発明は、胸腔内インピーダンスのベースライン値の早急な確立、医療介入後のアルゴリズムの即座の、または、遅延したリセット、胸部インピーダンスのベースライン値の種々の上昇レートおよび降下レート、ベースラインインピーダンスと比較される測定されたインピーダンスのメトリックからの体液の過剰負荷の証拠の蓄積、および測定されたインピーダンスの種々のタイプの乱れについての複数の警報を教示する。
【0017】
本発明は、最も多くの場合、心不全中の心臓代謝不全の結果として、胸部における、体液貯留または脱水化についての早期の警報を提供し、心不全患者において、利尿薬およびβ遮断薬のような薬物を滴定するための、医師または看護婦に対する手引きを提供する。心不全を有する患者は、微妙な均衡の中で生きている。体液が蓄積する結果、入院が頻繁になり、長くなる可能性がある。薬物は、体液貯留を減らすには効果的であるが、今までのところ、体液貯留の、正確で、侵襲性が最小のメトリックは存在しない。体液貯留の代理測定としての、胸腔内インピーダンスの測定値を取得する埋め込み式システムは、先に述べられた。本発明は、これらの測定値を処理して、胸腔内インピーダンスの変化について、患者または医師に警告するための意思決定を行う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による埋め込み可能医療デバイスの略図である。図1の発見的図では、体11の一部が、本発明の一実施形態による埋め込み可能医療デバイスの図示を可能にする、切り取り領域12がある状態で示される。図1に示すように、埋め込み可能医療デバイス10の例示的な一実施形態は、デバイス10のシェル14の表面上に2つの電極15aおよび15bを含む。電力は、電源18によって、シェル14の内部の回路部に提供され、電源18は、刺激回路16を駆動し、電子を、電極15aと15bの間で、種々の経路(こうした経路は、点線13で囲まれる領域に主にあるように発見的に示される)に沿って体内に送出する。インピーダンス測定デバイス17は、回路経路13のインピーダンスを求める。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、インピーダンス試験パルス信号を生成し、同じ電極から測定を行うために、同じ電極を使用して見出される場合がある、可能性のある低い信号特性のため、インピーダンス測定は、電磁界の均一部分(または、比較的ノイズのない領域)で行われる。インピーダンス測定を行う1つの方法は、試験パルスを送出するために、(ペースメーカ、デバイス10、または、他の埋め込み物のカン(can)またはハウジングのような)大きな表面不関電極から電気絶縁された1つの電極を使用すること、および、電気絶縁された第2電極を使用することであって、それによって、不関電極とこの第2電極間の組織の電圧差を測定する、使用することである。別の実施形態は、電磁界において、2つの完全に独立した電極を使用して、インピーダンスを測定し、したがって、4極システムを有する。本発明の種々の構成では、必要な場所での柔軟性のために、すなわち、試験すなわち励起パルスによって生成される電磁界内の特定の場所に配置可能なリード線上で電極を使用するために、付加的な電極を想像することができる。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態による埋め込み可能医療デバイスにおける例示的な電極構成の略図である。異なるインピーダンス測定信号の値を達成するための、この許容可能な種類の構成が、たとえば図2に示されており、埋め込み可能医療デバイスは、電極e1、e2、egおよびemを有し、電極e1またはe2を、試験パルスを生成するために使用することができる。測定される値(これらの電極対間の組織の電圧またはインピーダンス)は、別の電気絶縁した測定用電極emと不関または接地電極egの間、emとe1の間、あるいは、emとe2の間で取得される。あるいは、もちろん、測定は、2つの試験パルス送出電極e1とegの間、あるいは、別の実施形態ではe2とegの間で行われるであろう。
【0021】
以下の種々の図を参照して述べられるように、大幅な変形形態が、図1〜図3を参照して述べる要素のそれぞれについて使用されることができ、依然として本発明の範囲内にある。たとえば、本発明の一実施形態によれば、励起パルスは、電極e3とegの間で送出され、測定される値は、電極e2とegの間で取得される。例示的な4極構成では、励起パルスは、電極emとe3の間で送出され、測定される値は、電極e1とe2の間で取得される。
【0022】
図3は、本発明を有効に実施することができる例示的な埋め込み可能医療デバイスの略図である。図3では、本発明を収容する代替の装置が、心臓を有する体内に示される。ペースメーカ(IPG)は、示すように、左側か、または、右側に埋め込まれ、心臓の右心房(RA)を通って延びて右心室(RV)に入るリード線Lを有する。本発明の回路および教示を使用することによって、図3に示すような、生体内に埋め込まれたペースメーカなどの装置およびリード線の組み合わせを使用して、本発明を実施することができる。たとえば、ディフィブリレータ、薬剤注入デバイス、脊髄刺激器、または、最小の外部電極数を有し、インピーダンス刺激および測定回路を装備した任意の他の埋め込み可能デバイスを含む、代替のタイプの埋め込み可能医療デバイスを使用して、本発明を収容してもよい。
【0023】
図4は、本発明を有効に実施することができる例示的な埋め込み可能医療デバイスに含まれる監視回路の略図である。本発明の一実施形態は、ブロック図30を含む図4を参照して述べられ、インピーダンス監視回路が2腔2リード線ペースメーカシステムに付加されたものを示す。他のセンサは、付加的な有益なデータを生成するために埋め込み可能医療デバイスに含まれ、センサからのデータは、一時的に、インピーダンスデータと照合されて、さらに有益な診断データが提供される。それぞれのセンサは、その出力が、患者の状態を判断するために、単独で取得される時か、当業者に知られる方法で組み合わされる時のいずれかにおいて、患者の状態の指標を提供するシステムとして考えられることができる。こうして含まれるセンサシステムまたはサブシステムは、それぞれが、記憶されるか、または、埋め込み式デバイスの活動をトリガするのに使用される信号値を提供する、たとえば、日内周期インジケータ、位置または姿勢インジケータ、静止(resting)インジケータ、心拍動周期インジケータ、呼吸インジケータ、運動インジケータなどを含むであろう。
【0024】
ここで、図4を参照すると、心室リード線VLは、V先端電極(VTIP)およびVリング電極(VRING)を有し、心房リード線ALは、Aリング電極(ARING)およびA先端電極(ATIP)を有し、かつ、これらの電極が、患者の心室および心房内に挿入されるために採用されることが、当業者によって理解されるであろう。4個の電極のうちの任意の1つとケースの間(または、延長したリード線電極とケースの間のインピーダンスを測定することが望まれない場合、任意の2つの電極間)で測定が行われるように、回路にケース電極(CASEまたは、中性電極と呼ばれてもよい)も設けられる。心臓内の電極、および、本明細書ではペースメーカポケット内のケース電極の場合のような、心臓からかなり離れて配置される電極を有する任意のデバイスでは、得られることになる経胸腔的インピーダンス測定値の種類によって、本発明に従って胸部体液状態の評価が可能になる。
【0025】
デバイスのより高感度の電子部品を、患者の電気外科焼灼またはディフィブリレーションから保護するために、保護回路が、回路31aおよび31bなどの埋め込み式デバイス内に設けられることが多い。リード線インタフェース32(通常、ペースメーカシェル自体の内部にあって、コネクタブロック内にはない)は、電極と電気刺激源の間の接続ならびに測定用回路を提供する。(通常、電流基準回路35と連結する)励起回路34および制御論理回路36は、リード線インタフェース32への入力も供給する。種々の切り換え回路は、当業者にはよく知られており、全ての可能な接続を示す必要を回避するために、測定回路37への電気的接続を提供する大規模ライン33(制御バス)の使用がここで示される。測定回路37は、励起回路34によって提供される励起からの、得られる電圧を捕捉し、測定と測定の間のサンプルおよびホールド回路として機能する。このブロックの入力インピーダンスは、好ましくは、結果に影響を与えないように、励起パスおよび測定パスと比較して非常に大きい。コンデンサC1〜C4についての好ましい値は、励起周期における完全な充電および集積回路設計での実現を可能にする電流励起に基づいて、実質的に、2pF〜50pFの範囲内にある。
【0026】
図5は、本発明の一実施形態による、図4の監視回路で利用されるタイミングシーケンスのグラフィック表現である。測定回路37は、もちろん、本実施形態では、図4および図5に示すように、スイッチのタイミングをとるためのCLK1、CLK2、およびCLK3として、3つの信号を有するクロックによって実行される。CLK1の間、コンデンサC1の上部板はリングに接続され、下部板はケース(基準)に接続される。コンデンサC3の上部板は先端電極に接続され、下部板はケースに接続される。この配置構成およびタイミングは、コンデンサC1およびC3上に正のピーク電圧を格納する。
【0027】
CLK2の間、コンデンサC2の上部板はケース電極に接続され、下部板はリングに接続される。コンデンサC4の上部板はケース電極に接続され、下部板は先端電極に接続される。これによって、励起の負の位相中のピーク電圧がコンデンサC2およびC4上に格納される。
【0028】
クロック信号位相CLK3は、基準がグラウンドに接続された状態で、コンデンサC1の上部板をコンデンサC2の上部板に接続する。コンデンサC3の上部板もまた、コンデンサC4の上部板に接続される。これによって、コンデンサC1とC2上にピークツーピーク励起電圧ならびにコンデンサC3とC4上にピークツーピーク測定電圧が生じる。
【0029】
多くの代替の回路配置構成は、当業者の技量内にあり、ここで述べる回路に対する代替形態として採用され得るが、一定の制約を有する回路を設計することが有利であると信じられている。試験パルス送出が、インピーダンス測定のタイミングと同期して起こることが特に重要である。同様に、測定に使用される電極の場所に応じて、心拍動周期および呼吸周期に対する同期化を考慮することが有利である。さもないと、これらの周期内の一貫しない時刻で測定することから生じる測定値の変動によって、これらの周期によって生成されるインピーダンス変化から有用な信号を抽出することに克服しがたい困難が生じる場合がある。
【0030】
図5では、CLKスイッチ(CLK1〜3)を切り換えるタイミング図および刺激信号STIMに関連するそれらスイッチのタイミングが示される。電流(I)は、約1mAピークツーピーク〜10μAピークツーピークの範囲であり、インピーダンス測定に使用されるデバイスおよび当業者には明らかになるはずである他の要因に応じて選択されることができる。図4の都合のよい電流基準ブロック35が、この調整に使用されるであろう。
【0031】
図6は、本発明を本発明の一実施形態に従って有効に実施することができる埋め込み可能医療デバイスの略図である。図6に示すように、本発明の一実施形態による埋め込み可能医療デバイス100は、3本の互いに絶縁された導体を保持する細長い絶縁性リード線本体116を有する心室リード線105を含む。リング電極124、絶縁性電極ヘッド128内に伸縮自在に搭載される伸張可能ならせん電極126、および、細長いコイル電極120は、リード線105の遠位端に隣接して配置される。電極120、124、および126のそれぞれは、リード線本体116内で3本の導体のうちの1本に結合する。以下で述べるように、電極124および126は、心臓ペーシングのため、また、心室脱分極を検知するために使用され、電極120は、カーディオバージョンおよび/またはディフィブリレーションのために、また、脱分極を検知するために使用される。リード線105の近位端には、分岐コネクタ114があり、分岐コネクタ114は、それぞれがらせん状導体のうちの1つに結合する3つの電気コネクタを保持する。
【0032】
心房/SVCリード線107は、同様に、3本の互いに絶縁された導体を保持する細長い絶縁性リード線本体115を含む。リング電極121、絶縁性電極ヘッド119内に伸縮自在に搭載される伸張可能ならせん電極117は、リード線107のJ形状遠位端に隣接して配置される。電極117および121のそれぞれは、リード線本体115内の導体のうちの1本に結合する。電極117および121は、心房ペーシングのため、また、心房脱分極を検知するために使用される。細長いコイル電極123は、電極121に近接して設けられ、リード線本体115内の第3導体に結合する。リード線107の近位端には、分岐コネクタ113があり、分岐コネクタ113は、それぞれが、らせん状導体のうちの1つに結合する3つの電気コネクタを保持する。
【0033】
任意の他の知られているリード線構成が、図6のリード線構成に利用されてもよい。たとえば、コイル電極123は、心室リード線105上に配置され、心房リード線107によってではなく、心室リード線105によって、心房またはSVC内に位置決めされるであろう。
【0034】
冠状静脈洞/冠状静脈リード線109は、3つの導体を保持する細長い絶縁性リード線本体106を含み、3つの導体のうちの1つは、細長いらせん状ディフィブリレーション電極108に結合される。破線で示す電極108は、心臓の冠状静脈洞および大静脈内に配置される。リング電極125および先端電極127は、リード線109の遠位端に隣接して配置される。電極125〜127のそれぞれは、リード線本体106内に配置された3つの導体のうちの残りの2つのうちの一方に結合される。リード線109の近位端には、電気コネクタを保持し、らせん状導体に結合したコネクタプラグ104がある。
【0035】
埋め込み可能医療デバイス100は、カーディオバージョンおよびディフィブリレーションショックを送出するための心臓ペーシングパルスを生成し、患者の心調律を監視するのに使用される電子回路機構(図7)を収容する密閉した格納容器111を含む。埋め込み可能医療デバイス100は、リード線コネクタアセンブリ104、113、および114がコネクタブロック112内に挿入された状態で示され、コネクタブロック112は、コネクタ104、113、および114を受け入れ、格納容器111内でリード線を回路機構に相互接続するためのレセプタクルおよび電気コネクタの役割を果たす。
【0036】
埋め込み可能医療デバイス100のハウジング111の外側に面する部分の絶縁を設けてもよいし、代わりに、外側に面する部分のうちの部分130が絶縁されないままにされてもよいし、絶縁部分と非絶縁部分の間の或る他の分割を採用してもよい。ハウジング111の非絶縁部分130は、オプションで、心房か、心室のいずれかをディフィブリレーションするのに使用される皮下ディフィブリレーション電極、および、心臓の脱分極を検知する検知電極としての役割を果たす。他のリード線構成および電極配置は、もちろん、図示したリード線のセットと取り換えられてもよい。たとえば、心房ディフィブリレーションおよび検知電極は、個別の心房リード線上に配置される代わりに、冠状静脈洞リード線か、右心室リード線のいずれかに付加されてもよく、2リード線システムが可能になる。
【0037】
図7は、本発明を有効に実施することができる、図6に示すタイプの例示的な埋め込み可能医療デバイスの機能ブロック図である。デバイスは、図6に示すようなものであってもよい電極を含むリード線システムを装備する。もちろん、別のリード線システムを置き換えて用いてもよい。図6の電極構成が採用される場合、示される電極への対応は以下の通りである。電極311は、埋め込み可能医療デバイス100のハウジングの非絶縁部分130に沿って形成される電極に対応する。電極320は、電極120に対応し、右心室に配置されるディフィブリレーション電極である。電極310は、電極108に対応し、冠状静脈洞に配置されるディフィブリレーション電極である。電極318は、電極123に対応し、上大静脈に配置されるディフィブリレーション電極である。電極324および326は、電極124および126に対応し、心室における検知およびペーシングに使用される。電極317および321は、電極117および121に対応し、心房におけるペーシングおよび検知に使用される。
【0038】
電極310、311、318、および320は、高電圧出力回路234に結合される。電極324および326は、R波増幅器に結合し、R波増幅器は、センス増幅器回路200内に含まれ、好ましくは、調整可能な検知閾値を、測定されたR波振幅の関数として提供する自動利得制御式増幅器の形態をとる。電極324と326の間で検知された信号が、その時の検知閾値を越える時にはいつでも、R OUTライン202上に信号が生成される。
【0039】
電極317および321は、P波増幅器に結合し、P波増幅器は、センス増幅器回路200内に含まれ、好ましくは同様に、調整可能な検知閾値を、測定されたP波振幅の関数として提供する自動利得制御式増幅器の形態をとる。電極317と321の間で検知された信号が、その時の検知閾値を越える時にはいつでも、P OUTライン206上に信号が生成される。センス増幅器回路200のR波およびP波増幅器の一般的な動作は、その全体が参照により本明細書に援用される、「an Apparatus for Monitoring Electrical Physiologic Signals」について、1992年6月2日に発行された、Keimel他による米国特許第5,117,824号に開示される動作に対応する。しかしながら、埋め込み可能な心臓ペースメーカ、ディフィブリレータ、およびモニタで採用される、多くの従来技術のセンス増幅器の任意の増幅器はまた、本発明と共に有効に使用されてもよい。
【0040】
スイッチマトリクス208を使用して、デジタル信号解析で使用するために、利用可能な電極のうちのどれが広帯域増幅器210に連結されるかが選択される。電極の選択は、アドレス/データバス218を介してマイクロプロセッサ224によって制御され、電極の選択は、所望であれば変更されてもよい。帯域増幅器210に連結するために選択された電極からの信号は、マルチプレクサ220に供給され、その後、ダイレクトメモリアクセス回路(DMA)228の制御下でランダムアクセスメモリ(RAM)226に記憶するために、A/D変換器222によってマルチビットデジタル信号に変換される。マイクロプロセッサ224は、デジタル信号解析技法を使用して、ランダムアクセスメモリ226に記憶されたデジタル化信号を特徴付けし、当該技術分野で知られている多くの信号処理方法の任意の方法を使用して、患者の心調律を認識し分類する。
【0041】
テレメトリ回路330は、アンテナ332によって、患者アクチベータからダウンリンクテレメトリを受信し、患者アクチベータへアップリンクテレメトリを送出する。アクチベータへアップリンクされるべきデータおよびテレメトリ回路用の制御信号は、アドレス/データバス218を介してマイクロプロセッサ224によって供給される。受信されたテレメトリは、マルチプレクサ220を介してマイクロプロセッサ224に提供される。センス増幅器回路200の心房および心室センス増幅器回路は、心房および心室EGM信号を生成し、信号は、同様に、デジタル化され、適当な問い掛けコマンドを受信すると、関連するプログラマにアップリンクテレメトリされてもよい。デバイスは、デバイスが検出する異なる心臓事象を示す、いわゆる、マーカコードを生成することが可能であってもよい。マーカチャネル能力を有するペースメーカは、たとえば、その全体が参照により本明細書に援用される、Markowitzに対する米国特許第4,374,382号に記載される。採用される特定のテレメトリシステムは、本発明を実施するのに重要ではなく、埋め込み可能デバイスで使用するために知られている多くのタイプのテレメトリシステムの任意のシステムを使用してもよい。特に、Blanchette他に発行された米国特許第5,292,343号、Thompsonに発行された米国特許第5,314,450号、Wyborny他に発行された米国特許第5,354,319号、Keimelに発行された米国特許第5,383,909号、Greviousに発行された米国特許第5,168,871号、Barsnessに発行された米国特許第5,107,833号、または、Greviousに発行された米国特許第5,324,315号(全て、その全体が参照により本明細書に援用される)に開示されるテレメトリシステムは、本発明と共に使用するのに適している。しかしながら、プログラム可能な埋め込み式デバイスを対象とする、本明細書で引用される種々の他の特許に開示されるテレメトリシステム、または、同様なシステムを置き換えて用いてもよい。テレメトリ回路330は、もちろん、埋め込み可能な抗不整脈デバイスでは通例であるように、外部プログラマに対して通信するために同様に採用される。
【0042】
患者通知回路331によって、患者は、以下で詳細に述べるように、インピーダンスの有意の変化が起こったと判断される場合に通知されることが可能になる。
回路機構の残りは、心臓ペーシング、カーディオバージョンおよびディフィブリレーション治療を供給するのに専用であり、本発明のために、従来技術で知られている回路機構に対応してもよい。以下のように、ペーシング、カーディオバージョン、およびディフィブリレーション機能を達成するための例示的な装置が開示される。ペーサタイミングおよび制御回路部212は、プログラム可能デジタルカウンタを含み、プログラム可能デジタルカウンタは、当該技術分野で知られているDDD、VVI、DVI、VDD、AAI、DDI、DDDR、VVIR、DVIR、VDDR、AAIR、DDIR、ならびに単腔および2腔ペーシングの他のモードに関連する基本時間間隔を制御する。回路部212は、当該技術分野で知られている任意の抗頻脈性不整脈ペーシング治療を使用する、心房と心室の両方での抗頻脈性不整脈ペーシングと関連する補充間隔も制御する。
【0043】
ペーシング回路部(ペーサタイミングおよび制御回路部)212によって規定される間隔は、心房および心室ペーシング補充間隔、検知されたP波およびR波が、補充間隔のタイミングを再始動するのがその間無効である不応期間、およびペーシングパルスのパルス幅を含む。これらの間隔の持続時間は、メモリ226内の記憶されたデータに応答して、マイクロプロセッサ224によって確定され、アドレス/データバス218を介してペーシング回路部212に伝達される。ペーシング回路部212もまた、マイクロプロセッサ224の制御下で、心臓ペーシングパルスの振幅を確定する。
【0044】
ペーシングの間に、ペーサタイミングおよび制御回路部212内の補充間隔カウンタは、ライン202および206上の信号によって示されるR波およびP波を検知するとリセットされ、また、電極317、321、324、および326に結合する、ペーサ出力回路(Aペース、Vペース)214および216によってペーシングパルスのタイムアウトトリガが生成されると、選択されたペーシングモードに従ってリセットされる。補充間隔カウンタはまた、ペーシングパルスが生成されるとリセットされ、それによって、抗頻脈性不整脈ペーシングを含む心臓ペーシング機能の基本タイミングを制御する。
【0045】
補充間隔タイマによって規定される間隔の持続時間は、アドレス/データバス218を介してマイクロプロセッサ224によって確定される。検知されたR波およびP波によってリセットされた時の補充間隔カウンタに存在するカウント値を使用して、R−R間隔、P−P間隔、P−R間隔、およびR−P間隔の持続時間が測定され、その測定値は、メモリ226に記憶され、頻脈性不整脈検出機能と共に使用される。
【0046】
マイクロプロセッサ224は、割り込み駆動式デバイスとして動作し、検知されたP波およびR波の発生に対応し、心臓ペーシングパルスの生成に対応するペーサタイミングおよび制御回路部212からの割り込みに応答する。これらの割り込みは、アドレス/データバス218を介して提供される。マイクロプロセッサ224によって実施される任意の必要な数学的計算、および、ペーサタイミングおよび制御回路部212によって制御される値すなわち間隔の任意の更新は、こうした割り込みに続いて起こる。マイクロプロセッサ224は、以下で述べるように動作を制御する記憶されたプログラムが存在する、関連するROMを含む。メモリ226の一部は、一連の測定された間隔を保持することが可能な複数の再循環バッファとして構成されてもよく、測定された間隔は、ペースまたはセンス割り込みの発生に応答して解析されて、患者の心臓が、現在、心房頻脈性不整脈を示しているか、また心室頻脈性不整脈を示しているかが判断される。
【0047】
不整脈検出は、多くの利用可能な従来技術の頻脈性不整脈検出アルゴリズムのうちの任意のアルゴリズムを含んでもよい。1つの好ましい実施形態は、共にその全体が参照により本明細書に援用される、Olson他に発行された米国特許第5,545,186号またはGillberg他に発行された米国特許第5,755,736号に記載されるルールベース検出方法の全てまたはサブセットを採用してもよい。しかしながら、当該技術分野で知られている種々の不整脈検出方法のうちの任意の方法が、本発明の代替の実施形態において有効に採用されてもよい。
【0048】
心房または心室頻脈性不整脈が検出され、抗頻脈性不整脈ペーシング療法が望まれる場合、抗頻脈性不整脈ペーシング治療の生成を制御するタイミング間隔が、マイクロプロセッサ224からペーサタイミングおよび制御回路部212にロードされて、回路部212内の補充間隔カウンタの動作が制御され、P波およびR波の検出が、補充間隔カウンタを再始動するのがその間無効である不応期間が規定される。
【0049】
カーディオバージョンまたはディフィブリレーションパルスの生成が必要とされる場合、マイクロプロセッサ224は、補充間隔カウンタを使用して、こうしたカーディオバージョンおよびディフィブリレーションパルスのタイミングならびに関連する不応期間が制御される。カーディオバージョンパルスを必要とする、心房または心室細動あるいは頻脈性不整脈の検出に応答して、マイクロプロセッサ224は、カーディオバージョン/ディフィブリレーション(CV/DEFIB)制御回路部230を作動させ、制御回路部230は、高電圧充電制御ライン240の制御下で、充電回路236を介して、高電圧コンデンサ246、248の充電を始動する。高電圧コンデンサ上の電圧は、VCAPライン244を介して監視され、マルチプレクサ220を通過し、マイクロプロセッサ224によって設定された所定の値に達することに応答して、論理信号の生成をもたらし、充電を終了させる。その後、ディフィブリレーションパルスまたはカーディオバージョンパルスの送出のタイミングが、ペーサタイミングおよび制御回路部212によって制御される。細動または頻脈治療の送出に続いて、マイクロプロセッサは、その後、デバイスを心臓ペーシングに戻し、ペーシングあるいは検知された心房または心室脱分極の発生による、次の連続する割り込みを待つ。図示するデバイスでは、カーディオバージョンパルスまたはディフィブリレーションパルスの送出は、制御バス238を介して制御回路部230の制御下で、出力回路234によって達成される。出力回路234は、多相パルスが送出されるか、2相パルスが送出されるか、ハウジング311がカソードとして働くか、アノードとして働くか、どの電極がパルス送出に関係しているかを判断する。
【0050】
図4を参照して、先に述べた測定回路37および励起回路34と同様な測定回路203を利用して、励起パルスが送出され、スイッチマトリクス208において行われる接続を通して、電極310、311、317、318、320、321、324および326の中から選択される任意の電極対によって形成されるベクトル間の、結果として得られるインピーダンスが測定される。アドレス/データバス218に結合する測定回路203を、図示するように、センス増幅器回路200から分離することができ、または、センス増幅器回路200内に含んでもよい。
【0051】
本発明によれば、マイクロプロセッサ224によってインピーダンス測定が一旦始動すると、出力回路234によって励起パルスが生成され、上述したように、選択された電極によって形成されたベクトルに対応する励起パスにわたって印加される。励起パルスは、電流パルスか、電圧パルスのいずれかの形態であってもよく、いずれの場合も、異なる極性の1つまたは複数の位相からなるか、または、実施を単純化するために、単相の定電圧パルスに対応してもよい。本発明の一実施形態では、たとえば、励起パルスは、約1ボルトの振幅および約90マイクロ秒のパルス幅を有するが、任意の所望の振幅およびパルス幅が利用されてもよい。
【0052】
測定回路203は、選択された測定電極に対応する測定パスにわたって現れる電圧を測定し、測定回路203による測定タイミングは、励起パルスの送出と同期化されるように、タイミングおよび制御回路212によってタイミングを合わせられる。励起パスにわたって送出された電流および測定パスにわたって測定された電圧を使用して、マイクロプロセッサ224は、その後、オームの法則を使用して、見かけの胸部内インピーダンスを計算する。複数のインピーダンス測定値を生成するために、数日にわたって複数の励起パルスが送出されるように、プロセスが繰り返される。
【0053】
図7Aは、本発明の一実施形態に従って、インピーダンスを測定する方法の略図である。たとえば、本発明の一実施形態によれば、経胸腔内インピーダンスZm測定値を生成するために、ペーサタイミングおよび制御回路212は、制御回路部230を介して、電極120と130の間で、励起パス280に沿って出力回路234から所定の電圧パルスVOの送出を始動する。出力回路234に組み込まれる抵抗器ROは、既知の抵抗を有する励起パス280に沿って位置し、その結果、励起パス280に沿って送出される電流IOは、オームの法則を使用して、IO=VO/RO として計算されることができる。電圧Vmは、抵抗器ROの後のポイントと電極130の間の測定パス282の両端で測定され、測定パス282に送出される電流IOを知って、インピーダンスZmが、Zm=Vm/(VO/RO)として計算される。
【0054】
本発明によれば、得られるインピーダンス測定値を使用して、所定の時間期間にわたって取得される全てのインピーダンス測定値の平均が計算されて、期間平均インピーダンスが得られる。予想されるインピーダンスおよび短期間平均(STA)インピーダンス値は、期間平均インピーダンスから計算され、所定期間にわたる期間平均インピーダンス値の変化が、以下で述べるように、体液貯留の指標を求めて監視される。予想されるインピーダンスは、期間平均インピーダンスが著しくローパスフィルタリングされたものである、基礎になるベースライン(BL)インピーダンスであり、過剰の体液が存在しない時の患者の「ドライ状態の」インピーダンスを表すことが意図される。予想される、すなわち、ベースラインインピーダンス値は、患者ごとに変わり、一般に、約50オーム〜90オームの間にある。短期間平均(STA)インピーダンスは、期間平均インピーダンスがわずかにフィルタリングされたものであり、現在のインピーダンスの最良の推定値であることが意図される。
【0055】
図8は、本発明の一実施形態に従って生成されたインピーダンスデータのグラフィック表現である。図9は、本発明の一実施形態に従って、インピーダンスの変化を求める方法を示すフローチャートである。通常、デバイスが患者の中に埋め込まれた直後に起こる、インピーダンス測定における埋め込み後の低下および回復のために、本発明に従ってインピーダンスの変化を求める方法は、デバイス100が患者の中に埋め込まれた後に所定の時間期間が終了するまで始動されない。アルゴリズムが作動する前に、インピーダンス測定の術後の安定化を可能にするために、埋め込み後の例示的な期間は、たとえば、30日である場合がある。初期安定化時間期間が終了すると、アルゴリズムは、予想される、すなわち、ベースライン(BL)インピーダンス、および、短期間平均(STA)インピーダンスを確立し、図4の、リング(e3)−ケース(e2)および先端(e2)−ケース(eg)配置などの励起パスおよび測定パス、または、たとえば上述した、図6の励起パスと測定パスの両方に利用されるRVコイル電極120およびハウジング電極130について選択された事前にプログラムされたベクトルから得られるインピーダンス測定値の変化を探し始める。しかしながら、励起パスが電極123と電極130の間にあり、測定パスが電極117と電極130の間にある配置などの、他の配置を利用することもできることが理解される。
【0056】
図8に示すように、1日の所定期間の間に1日当たりに所定回数収集された個々の処理前のインピーダンス測定値の平均に対応する、計算された期間平均インピーダンス400、ならびに、細切れ線と実線でそれぞれ示す、ベースラインインピーダンス402と短期間平均(STA)インピーダンス404の計算された値のグラフィック表現は、以下で述べるように、測定されたインピーダンスからプロット406で生成される。さらに、ベースラインインピーダンス408のパーセンテージとしての、計算された短期間平均インピーダンスと計算されたベースラインインピーダンスとの差のグラフィック表現は、プロット410で生成され、ベースラインインピーダンス402と計算された期間平均インピーダンス400との差によって示される差の積分(Intdiff)412のグラフィック表現は、プロット414で生成される。差の積分(Intdiff)412は、以下で述べるように、ベースラインインピーダンス402と計算された期間平均インピーダンス400との差を蓄積する。
【0057】
図8に示す例では、計算された期間平均インピーダンス400は、たとえば12pm〜6am、6am〜12am、12am〜6pm、および6pm〜12pmの時間の間などの、1日当たり4回収集された個々の処理前のインピーダンス測定値から求められ、1日当たり4つの計算された期間平均インピーダンス400が得られるが、本発明は、このレートに限定されることを意図されず、したがって、本発明は、他の可能な取得レートを含むことになることが理解される。図8Aは、本発明の一実施形態に従って生成されたインピーダンスデータの例示的なグラフィック表現であり、計算された期間平均インピーダンス400は、12am〜5pmの時間の間など、1日当たり1回収集された個々の処理前のインピーダンス測定値から求められた。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、期間平均インピーダンス400は、それぞれの1日の間の所定の時間期間にわたって得られたインピーダンス測定値の平均を計算することによって求められる。たとえば、図8Aにグラフで表すように、期間平均インピーダンス400が1日当たり1回生成される、本発明の一実施形態によれば、期間平均インピーダンスは、12am(0pm)〜5pmの間の5時間の期間にわたって得られた512個のインピーダンス測定値を使用して求められるが、本発明から逸脱することなく、任意の数のインピーダンスを任意所望の時間期間にわたって得てもよい。特に、期間平均インピーダンスを求めるために、12am〜5pmの各1時間の期間は、3個の20分の時間期間に分割され、20分の時間期間の間に、32個のインピーダンス測定値が得られ、32個のインピーダンスの15回の測定値がもたらされる。さらに、32個のインピーダンス測定値が、同様に、5pmに得られ、その結果、12am〜5pmの期間の間に、全部で、32個のインピーダンスの16回の測定が行われ、毎日、5時間の期間にわたって総計512個のインピーダンス測定値(32×16=512)が得られることになる。期間平均インピーダンス値は、その後、所定の時間期間、すなわち、12am〜5pmの間に生成された512個のインピーダンスの平均を計算することによって求められる。
【0059】
図8にグラフで表すように、期間平均インピーダンス400が1日当たり4回生成される一実施形態において、4回の時間期間、すなわち、12pm〜6am、6〜12am、12am〜6pm、および6pm〜12pmの時間の間のそれぞれにわたって収集された所定数のインピーダンスに基づいて、同様なプロセスが利用されるであろう。たとえば、本発明の一実施形態では、4回の6時間期間の各1時間は、3個の20分の期間に分割され、その結果、4回の時間期間のそれぞれにおいて、全部で、32個のインピーダンスの20回の測定が行われ、4回の6時間の時間期間のそれぞれにおいて、総計640個のインピーダンス測定値(32×20=640)が得られ、1日で2,560個の処理前のインピーダンス値が必要とされる。
【0060】
どんな場合でも、期間平均インピーダンスを計算するインピーダンスサンプリング方式の設計目的は、心周期、呼吸周期、活動レベル、姿勢などのような、患者の基礎となる体液状態に関係しない全てのインピーダンス変化を含む、望ましくないインピーダンス修正因子の寄与を排除することである。望ましくないインピーダンス修正因子は、患者の体液状態の真の変化に比べてより短い時間スケールで作用し、したがって、先に提示した例などの適切なサンプリングおよび平均方式を使用して、これらの望ましくないインピーダンス修正因子の寄与を排除することができる。
【0061】
図10は、インピーダンスの日内変動対体液過剰負荷状態のインピーダンス変動についてのグラフィック表現である。図10に示すように、インピーダンスの日内変動は、患者が体液過剰負荷状態にある時に見られるインピーダンス変動に比較して、患者が健康である時により大きいため、本発明者等は、12am〜5pmの所定の時間期間の間にインピーダンス値を得ることが有利であると判断した。結果として、正常なインピーダンスの日内変動と患者が体液過剰負荷状態にある時に見られるインピーダンス変動との差は、ピークインピーダンス600でより大きく、12am〜5pmの日内周期で起こる。
【0062】
図9に示すように、インピーダンス測定機構(feature)がマイクロプロセッサ224によって始動されると、マイクロプロセッサ224は、ステップ500において、ベースラインBLインピーダンス、短期間平均STAインピーダンス、および、ベースラインBLインピーダンスと計算された期間平均インピーダンス400との差の積分(Intdiff)をゼロに等しくなるように設定し、インピーダンス測定カウンタをプリセットされた所定の測定回数に等しくなるように設定することによって、本発明に従ってインピーダンスの変化を求めるためのパラメータを初期化する。所定の測定回数は、ベースラインBLインピーダンスおよび短期間平均インピーダンスSTAパラメータを初期化するのに望まれる日数に従って選択される。たとえば、図8にグラフで表すように、期間平均インピーダンス400が1日当たり4回計算され、ベースラインBLインピーダンスおよび短期間平均STAインピーダンスパラメータが3日以内で初期化されることが望ましい一実施形態では、所定の測定回数は、12回の測定(3日の間での、1日当たり4回の測定=12回の測定)に等しいことになり、したがって、ステップ500において、インピーダンス測定カウンタは、12に等しくなるように設定されることによって初期化されることになる。一方、図8Aにグラフで表すように、期間平均インピーダンス400が1日当たり1回計算され、ベースラインBLインピーダンスおよび短期間平均STAインピーダンスパラメータが4日以内で初期化されることが望ましい一実施形態では、所定の測定回数は、4回の測定(4日の間での、1日当たり1回の測定=4回の測定)に等しいことになり、したがって、ステップ500において、インピーダンス測定カウンタは、4に等しくなるように設定されることによって初期化されることになる。
【0063】
ステップ500においてパラメータが初期化されると、ステップ502において、インピーダンス測定カウンタに関連する日数の期間にわたって所定回数生成される計算された期間平均インピーダンスに基づいて、ベースラインBLインピーダンスおよび短期間平均STAインピーダンスの初期値が求められる。
【0064】
図11は、本発明の一実施形態に従って、初期のベースラインインピーダンスおよび短期間平均インピーダンス値を得ることを示す例示的な略図である。特に、図9および図11に示すように、本発明の一実施形態では、ベースラインBLインピーダンスおよび短期間平均STAインピーダンスについての初期値は、たとえば、上述したように、所定の日数にわたって、また、それぞれの1日の間の所定の時間期間にわたって計算される期間平均インピーダンス測定値の平均を計算することによって求められる。結果として、ステップ506において、短期間平均インピーダンスSTA(i)は、前に計算した短期間平均インピーダンスSTA(i−1)と、測定カウンタに関連する所定の測定回数、すなわち、たとえば、12回の測定によって除算された、現在の計算された期間平均インピーダンス、すなわちインピーダンス(i)の和に等しい。短期間平均インピーダンスSTA(i)が求められると、ステップ508において、ベースラインインピーダンスBL(i)は、短期間平均インピーダンスSTA(i)に等しくなるように設定されることによって更新され、インピーダンス測定カウンタは、ステップ510においてデクリメントされる。ステップ511において、次の有効な期間平均インピーダンスが受け取られると、ステップ512においてインピーダンス測定カウンタがゼロより大きいかどうかを判断することによって、全ての期間平均インピーダンス測定が行われたかどうかについての判断が行われる。
【0065】
全ての期間平均インピーダンス測定が行われておらず、したがって、インピーダンス測定カウンタが、ゼロより大きいと判断される、すなわち、ステップ512においてYESの場合、ステップ502〜512において平均化プロセスが繰り返される。本発明は、ステップ502〜512に示す平均化方式に限定されることを意図されず、したがって、本発明は、図11に示す平均化方式を使用して期間平均インピーダンスの平均を求めることに限定されることを意図されないことが理解される。むしろ、期間平均インピーダンスの平均は、任意の他の知られている1つまたは複数の平均化方式を使用して計算されてもよい。
【0066】
全ての期間平均インピーダンス測定が行われており、したがって、ベースラインBLインピーダンスおよび短期間平均STAインピーダンスの初期値が求められる、すなわち、ステップ512においてNOの場合、ステップ514およびステップ516において、短期間平均STAインピーダンスおよびベースラインBLインピーダンスが更新される。
【0067】
図12は、本発明の一実施形態による短期間平均インピーダンス値の更新を示す例示的な略図である。図12に示すように、本発明の一実施形態によれば、短期間平均インピーダンスSTA(i)は、2次ローパスフィルタに従って更新される。特に、短期間平均インピーダンスSTA(i)は、前の2日間についての短期間平均(それぞれ、A*STA(i−1)およびB*STA(i−2))、当日について計算された期間平均インピーダンス(C*インピーダンス(i))、ならびに、前の2日間についての期間平均インピーダンス(それぞれ、D*インピーダンス(i−1)およびE*インピーダンス(i−2))の重み付き和をとることによって更新される。
【0068】
例によれば、図8Aに示すように、12am〜5pmに収集される処理前のインピーダンス測定値を使用して512、期間平均インピーダンス400が1日当たり1回計算され、インピーダンス測定カウンタが4回の測定で初期化される、本発明の一実施形態によれば、重み変数Aは77/256に等しく、重み変数Bは50/256に等しく、重み変数Cは60/256に等しく、重み変数Dは109/256に等しく、重み変数Eは60/256に等しい。一方、図8に示す、12pm〜6am、6am〜12am、12am〜6pm、および6pm〜12pmの時間の間に収集される512個の処理前のインピーダンス測定値を使用して、期間平均インピーダンス400が1日当たり4回計算され、インピーダンス測定カウンタが12回の測定で初期化される、本発明の一実施形態によれば、重み変数Aは76/64に等しく、重み変数Bは27/64に等しく、重み変数Cは8/64に等しく、重み変数Dはゼロに等しく、重み変数Eは8/64に等しい。しかしながら、本発明によれば、重み変数A〜Eは、これらの値に限定されることを意図されず、ローパスフィルタは、2次ローパスフィルタに限定されることを意図されないことが理解される。
【0069】
本発明によれば、ベースラインインピーダンスは、短期間平均インピーダンスよりずっと遅いレートで更新される。図13は、本発明の一実施形態に従って、ベースラインインピーダンス値を更新することを示す例示的な略図である。図9および図13に示すように、本発明の一実施形態によれば、短期間平均インピーダンスがステップ514において更新されると、ステップ516においてベースラインBLインピーダンス402の更新中に、マイクロプロセッサ224は、ステップ518において、ベースラインインピーダンス402が短期間平均インピーダンスSTA(i)より大きいかどうかを判断することによって現在のベースラインインピーダンスBL(i)に対する短期間平均インピーダンスSTA(i)の場所を求める。現在のベースラインインピーダンスBL(i)が、短期間平均インピーダンスSTA(i)より大きい、すなわち、ステップ518においてYESの場合、ステップ520において、現在のベースラインインピーダンスBL(i)は、所定の下方ドリフトだけ減少した、前のベースラインインピーダンスBL(i−1)に等しくなるように設定することによって更新される。一方、現在のベースラインインピーダンスBL(i)が、短期間平均インピーダンスSTA(i)より大きくない、すなわち、ステップ518においてNOの場合、ステップ522において、現在のベースラインインピーダンスBL(i)は、所定の上方ドリフトだけ増加した、前のベースラインインピーダンスBL(i−1)に等しくなるように設定することによって更新される。
【0070】
本発明によれば、インピーダンスの減少に対してデバイス100の感度を高くするために、ステップ520での下方ドリフトは、ステップ522での上方ドリフトより小さくなるように設定される。たとえば、本発明の一実施形態によれば、下方ドリフトは、1日当たり0.055オームにおよそ等しくなるように設定され、上方ドリフトは、1日当たり0.18オームにおよそ等しくなるように設定されるが、所望であれば、他の値が利用されてもよい。ベースラインBLインピーダンス値を更新する方法はまた、現在のベースラインBLインピーダンスか短期間平均STAインピーダンスのいずれかを入力とした、ローパスフィルタによるであろう。本発明者等は、誤った警報を回避しながら体液の過剰負荷に対して入院を予想するには、BLの減少レートより速い増加レートが非常に有利であると判断した。
【0071】
図9に戻ると、短期間平均インピーダンス404およびベースラインインピーダンス402が更新されると、マイクロプロセッサ224は、ステップ524において、短期間平均インピーダンスとベースラインインピーダンスの相対位置が変わったかどうかを判断する。この判断は、短期間平均インピーダンス404がベースラインインピーダンス402より小さかったが、いまやベースラインインピーダンス402以上である場合か、または、マイクロプロセッサ224は、短期間平均インピーダンス404がベースラインインピーダンス402より大きかったが、いまやベースラインインピーダンス402以下である場合に起こる。特に、たとえば、図8Aに示すように、前日に対応する計算された短期間平均インピーダンス403はベースラインインピーダンス402より小さく、当日に対応する計算された短期間平均インピーダンス405はベースラインインピーダンス402より大きいため、短期間平均インピーダンス404はベースラインインピーダンス402に交差する、すなわち、ステップ524においてYESである。一方、前日に対応する計算された短期間インピーダンス407はベースラインインピーダンス402より大きく、当日に対応する計算された短期間インピーダンス409はベースラインインピーダンス402より小さいため、短期間平均インピーダンス404はベースラインインピーダンス402に交差する、すなわち、ステップ524においてYESである。短期間平均インピーダンス404によるベースラインインピーダンス402のこうした交差は、体液貯留または脱水を示す異常インピーダンスの存在を推測する証拠がもはや存在しないという指標である。
【0072】
図9に示すように、短期間平均インピーダンス404がベースラインインピーダンス402に交差すると判断される、すなわち、ステップ524においてYESの場合、マイクロプロセッサ224は、ステップ526において、期間平均インピーダンスとベースラインインピーダンスの差の積分(Intdiff)412をゼロに等しくなるように設定する。一方、短期間平均インピーダンス404がベースラインインピーダンス402に交差しないと判断される、すなわち、ステップ524においてNOの場合、マイクロプロセッサ224は、ステップ528において、現在の計算された期間平均インピーダンス400とベースラインインピーダンス402の現在の差を加算することによって、期間平均インピーダンスとベースラインインピーダンスの差の積分(Intdiff)412を更新する。その後、ステップ530において、有意のインピーダンス変化が起こったかどうかについて判断が行われる。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、有意のインピーダンス変化が起こったかどうかについての、ステップ530での判断は、たとえば、期間平均インピーダンスとベースラインインピーダンスの差の更新された積分(Intdiff)412が所定のIntdiff閾値416より小さいどうかを判断することによって行われる。本発明の別の実施形態によれば、有意のインピーダンス変化が起こったかどうかについての、ステップ530での判断は、短期間平均インピーダンスとベースラインインピーダンスの差STA−BLが所定の閾値418より小さいかどうかを判断することによって、ベースラインインピーダンスが所定のベースラインインピーダンス閾値420より小さいかどうかを判断することによって、または、IntDiff412、STA−BL、およびベースラインインピーダンスの任意の組み合わせがそれぞれの閾値416〜420より小さいかどうかを判断することによって行われることができる。
【0074】
短期間平均インピーダンスとベースラインインピーダンスの差STA−BLに対応するパラメータは、その全体が参照により本明細書に援用される、Combs他に対する米国特許第5,957,861号に記載されるパラメータと同じであり、測定されたインピーダンスが入院前の数週間にわたってゆっくりと減少する時、有意のインピーダンス変化の存在についてのあまり役立たないインジケータである。しかしながら、STA−BLパラメータは、心不全の非常に急速な代償不全を有する患者において有益である場合がある。最後に、BLパラメータの直接閾値設定(thresholding)は、最も簡単にプログラムされる閾値であり、極端にゆっくりした疾病過程を検出するための値を有する場合がある。
【0075】
有意のインピーダンス変化が起こったと判断される、すなわち、ステップ530においてYESの場合、ステップ532において、患者に状態を知らせるために、患者通知回路331を介して警報または患者インジケータが作動される。たとえば、図8および図8Aのプロット410で生成される、ベースラインインピーダンス408のパーセンテージとしての、計算された短期間平均インピーダンスと計算されたベースラインインピーダンスの差が、閾値418より小さい時、または、プロット414で生成されるIntdiff412が閾値416より小さい時、または、ベースラインBLインピーダンスが所定のベースラインインピーダンス閾値より小さい時に警報が作動される。閾値416および閾値418は、それぞれ、−60オームおよび−10オームに等しいものとして示されるが、本発明は、これらの値に限定されることを意図されない。むしろ、本発明によれば、閾値416および閾値418は、臨床医によって任意所望の値としてプログラムされることができる。同様に、ベースラインインピーダンス閾値420は、患者固有であり、したがって、臨床医によって、特定の患者に適切であると思われる任意の値に再プログラムされてもよい。
【0076】
本発明によれば、ステップ532の警報は、たとえば、可聴警報、振動、刺激、外部データベースまたは通信ネットワークに送信するための、テレメトリ回路部330を介した外部デバイスへの通信を含むであろう。本発明の一実施形態によれば、インピーダンスの変化に基づいて体液貯留または脱水を検出したことを、患者および/または外部エンティティに単に報知することに加えて、ステップ533において、インピーダンスの変化に基づいた体液貯留または脱水の検出に応答して、治療が、始動されるか、または変更されてもよい。こうした治療は、たとえば、薬剤ポンプ、ペーシングモード、ペーシングレート、心臓再同期化治療(CRT)、心臓増強作用治療(CPT)などを含むであろう。さらに、本発明の一実施形態によれば、インピーダンスの変化を検出するアルゴリズムはまた、ステップ533において、インピーダンスの変化に基づいた体液貯留または脱水の検出に応答して変更されるであろう。たとえば、期間平均インピーダンス400が生成される回数は、初期レート、すなわち、1日当たり1回〜1時間当たり1回から、高速レートへと増加するであろう。
【0077】
インピーダンスの変化を判断することに応答して、治療が始動されるか否か、または、変更されるか否か、あるいは、インピーダンス変化を検出するアルゴリズムが変更されるか否かは、プログラム可能であり、したがって、オプションである。結果として、ステップ532において警報が作動すると、ステップ533において、治療またはインピーダンス変化を検出するアルゴリズムが、変更されるか、始動されるべきかどうかについての判断が行われる。変更され始動されるべきである場合、治療および/またはインピーダンス変化を検出するアルゴリズムは、ステップ535において、始動されるか、または変更される。ステップ532において、警報が作動し、治療/アルゴリズムの変更無し/始動無しが設定される、すなわち、ステップ533においてNOであるか、警報が作動し、治療/アルゴリズムが変更されるか、または始動された、すなわち、ステップ533およびステップ535においてYESであったか、あるいは、有意なインピーダンス変化が起こらなかったと判断される、すなわち、ステップ530においてNOであると、プロセスは、所定の時間期間の間で、1日当たり所定の回数収集される個々の処理前のインピーダンス測定値についての、次の有効な期間平均インピーダンス400が生成されるのを待ち、ステップ514〜532のプロセスが繰り返される。
【0078】
Intdiff412パラメータが、所定の閾値を超え、警報が発せられると、警報は、ステップ526において、Intdiff412パラメータがクリアされるまで毎日作動し続けるであろう。IntDiff412パラメータのクリアは、短期間平均STAインピーダンスがベースラインBLインピーダンスを交差する時に起こり、異常インピーダンスの証拠がもはや存在しないことを指示する。上述したように、警報状態の終了は、臨床医および患者にとって有利である。その理由は、警報状態の終了を使用して、警報状態の始動時にとられた補正動作(たとえば、利尿薬の投与量の増加)によって、状態を補正するのに成功したことが指示されるからである。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、ステップ534において、所定の時間期間の間で、1日当たり所定の回数収集される個々の処理前のインピーダンス測定値についての、次の有効な期間平均インピーダンス400が生成されると、ステップ536において、アルゴリズムをリセットするためのコマンドが、テレメトリ回路330を介して受信されたかどうかについての判断が行われる。この機構は、オプションであり、測定されたインピーダンスを急速に変える(経静脈的な利尿薬の投与などの)介入後に、BLおよびSTAの新しい初期値を確立するのに都合がよい。ユーザは、アルゴリズムが、即座にリセットするか、または、プログラム可能な遅延(たとえば、1週間)後にリセットするように指令することができる。遅延は、たとえば、患者が薬剤を摂取した後など、患者の状態が安定していると予想された後にだけリセットを強制するのに役立つ。アルゴリズムをリセットするためのコマンドは、たとえば、その全体が参照により本明細書に援用される、DeGroot他に対する、同一譲受人に譲渡された米国特許第5,836,975号に記載される作動(activation)を使用して受信されることができる。
【0080】
図14は、本発明の一実施形態による、インピーダンス変化を求める方法を示す方法のフローチャートである。図14に示す、インピーダンス変化を求める方法は、図9を参照して述べた方法と同じであるが、図14の実施形態のステップ600の初期化中に、ベースラインインピーダンスは、ステップ608において、デバイスの埋め込み中に医師によって入力される所定の値に等しくなるように設定される。ベースラインインピーダンスは、その後、計算された期間平均インピーダンスに応答して自動的に更新されるのではなく、インピーダンス変化を求めるプロセスの間中、この所定の値を維持する。結果として、図9の実施形態における、ベースラインインピーダンスを更新するステップ、すなわちステップ516は、図14の実施形態には含まれない。
【0081】
図15は、本発明の一実施形態に従って、初期の短期間平均インピーダンス値を得ることを示す例示的な略図である。図15に示すように、ベースラインインピーダンスは、ステップ600において、初期化中に得た所定の値を維持するため、図14の実施形態は、ステップ600においてパラメータが初期化されると、初期値が、ステップ606において、ベースラインインピーダンスについてではなく、短期間平均インピーダンスについてのみ求められる点で、図9の実施形態とは異なる。
【0082】
さらに、図14の実施形態では、有意のインピーダンス変化が起こったかどうかについての判断は、期間平均インピーダンスとベースラインインピーダンスの差の更新された積分(Intdiff)412が所定のIntdiff閾値416より小さいかどうかを判断することによって、ステップ630において行われる。本発明の別の実施形態によれば、有意のインピーダンス変化が起こったかどうかについての、ステップ630での判断は、短期間平均インピーダンスとベースラインインピーダンスの差STA−BLが所定の閾値418より小さいかどうかを判断することによって、また、さらに別の実施形態では、Intdiff412およびSTA−BLの任意の組み合わせがそれぞれの閾値416および418より小さいかどうかを判断することによって行われることができる。図14の実施形態に含まれるステップの残りは、図9の実施形態を参照して上述した対応するステップと同じであり、したがって、簡潔にするだけのために繰り返されない。
【0083】
プロセス中、ベースラインインピーダンスについての選択された所定の値を維持することによって、図14の実施形態は、臨床医が、患者の特定の生理的傾向を熟知し、その患者についてベースラインインピーダンスを特定の所定の値、たとえば、75オームに設定する能力を有することを望むことを可能にし、それによって、本発明に従ってインピーダンス変化を求めるプロセスを通してベースラインインピーダンスが所定の値を維持する。
【0084】
本発明による、経胸腔的インピーダンスの測定は、上述したように、肺のうっ血/浮腫の兆候の検出、ならびに、(インピーダンスの増加によって知らされる)患者の脱水、または、肺線維症、喘息、またはCOPDのような他の疾患プロセスの悪化の存在の検出に利用されることができる。
【0085】
上述した技法の一部は、図7に示す、マイクロプロセッサ224などのプログラム可能なプロセッサまたはペーサタイミングおよび制御回路部212のための命令を含むコンピュータ読み取り可能媒体として具体化されることができる。プログラム可能なプロセッサは、独立に、または、連携して動作し得る、1つまたは複数の個々のプロセッサを含むことができる。「コンピュータ読み取り可能媒体」は、フロッピィディスク、従来のハードディスク、CD−ROM、フラッシュROM、不揮発性ROM、RAM、および、磁気媒体または光記憶媒体などの、任意のタイプのコンピュータメモリを含むが、それに限定はしない。媒体は、プロセッサに、本発明に従って補充レート変動のセッションを始動するための、上述した任意の機構を実施させる命令を含むことができる。
【0086】
本発明の特定の実施形態が、示され述べられてきたが、変更を行ってもよい。したがって、添付の特許請求の範囲において、本発明の真の精神および範囲内に入る、全てのこうした変更および修正を包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態による埋め込み可能医療デバイスの略図である。
【図2】本発明の一実施形態による埋め込み可能医療デバイスの例示的な電極構成の略図である。
【図3】本発明を有効に実施することができる例示的な埋め込み可能医療デバイスの略図である。
【図4】本発明を有効に実施することができる例示的な埋め込み可能医療デバイスに備えられる監視回路の略図である。
【図5】本発明の一実施形態による、図4の監視回路で利用されるタイミングシーケンスのグラフィック表現である。
【図6】本発明を本発明の一実施形態に従って有効に実施することができる埋め込み可能医療デバイスの略図である。
【図7】本発明を有効に実施することができる図6に示すタイプの例示的な埋め込み可能医療デバイスの機能ブロック図である。
【図7A】本発明の一実施形態に従ってインピーダンスを測定する方法の略図である。
【図8】本発明の一実施形態に従って生成されたインピーダンスデータのグラフィック表現である。
【図8A】本発明の一実施形態に従って生成されたインピーダンスデータの例示的なグラフィック表現である。
【図9】本発明の一実施形態に従って、インピーダンスの変化を求める方法を示すフローチャートである。
【図10】インピーダンスの日内変動対体液過剰負荷状態のインピーダンス変動についてのグラフィック表現である。
【図11】本発明の一実施形態に従って、初期のベースラインインピーダンスおよび短期間平均インピーダンス値を得ることを示す例示的な略図である。
【図12】本発明の一実施形態による短期間平均インピーダンス値の更新を示す例示的な略図である。
【図13】本発明の一実施形態に従って、ベースラインインピーダンス値を更新することを示す例示的な略図である。
【図14】本発明の一実施形態による、インピーダンス変化を求める方法を示す方法のフローチャートである。
【図15】本発明の一実施形態に従って、初期の短期間平均インピーダンス値を得ることを示す例示的な略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、その全体が参照により本明細書に援用される、「METHOD AND APPARATUS FOR DETECTING CHANGES IN INTRATHORACIC ELECTRICAL IMPEDANCE」という名称の、2002年12月4日に出願された、米国仮特許出願第60/430,983号から優先権および他の利益を主張する。
【0002】
本発明は、包括的に、埋め込み可能医療デバイスに関し、特に、本発明は、患者の生理的状態を判断するための、埋め込み可能医療デバイスにおけるインピーダンスの監視に関する。
【背景技術】
【0003】
インピーダンス監視は、埋め込み式デバイスによって体内のいくつかの生理的状態を判断するのに使用されており、外部監視デバイスにおいても使用されてきた。経胸腔的インピーダンス測定は、患者の体液の状態(status)に関する良好な指標を与え、インピーダンスの減少は体液含有量の増加を示すことが一般に理解されている。Berman他著「Transthoracic Electrical Impedance as a guide to Intravascular Overload」(Archives surgery, V102 P61-64 1971年1月)と題する論文では、電気インピーダンス法を使用して、生体組織内の体液貯留が実証された。患者の長期間にわたるインピーダンス測定値および測定値の変化を知ることは、患者の健康に関する有益な臨床指標となる。これまでは、医師が非常に有益な形態でこの指標を利用することはできなかった。
【0004】
他の状態の指標となる可能性があるが、体液貯留はまた、心臓循環の不調の指標となる可能性がある。体液貯留を生じるか、または、体液貯留に影響を与える可能性がある、いくつかのメカニズムまたは疾患が存在する。一般的に、体液貯留は、体内の恒常性プロセスの不調または過剰反応である。体は通常、食塩および蛋白質の適切な圧力と濃度を維持することによって、また、過剰な体液を積極的に取り除くことによって体液貯留を防止する。体液貯留は、たとえば、体液貯留を防止する体のメカニズムが、心不全、左側心筋梗塞、高血圧、高山病、気腫(これらは全て圧力に影響を与える)、リンパ系に影響を与えるがん、蛋白質濃度を乱す疾患などのような疾患によって影響を受ける時に起こる可能性がある。結果として、患者の体液の状態の適したモニタを提供することは、医師および患者に、より良い疾患管理ツールを提供できる可能性がある。
【0005】
たとえば、WuerzおよびMeadorによる論文「EFFECTS OF PREHOSPITAL MEDICATIONS ON MORTALITY AND LENGTH OF STAY IN CONGESTIVE HEART FAILURE」, ANNALS OF EMERGENCY MEDICINE, 21:6, pp669-74,1992年6月において、うっ血性心不全のための入院前の早期処置が生命を救う可能性があることが実証された。残念ながら、処置する医師が体液貯留の発生について通常得られる第1の指標は、疾患過程の非常に遅い時期に生じ、腫脹または呼吸困難という肉体的発現が非常に苦痛である(overwhelming)ために、患者が気付き、その後、患者は、多くの場合直接救急処置室に行き、体液過剰負荷のために入院することになる。一方、入院回数および期間を減らす努力に伴い、体液貯留についての患者の進行を監視するだけの積極的な入院は一般に望ましくない。
【0006】
入院を必要とすることなく、体液の状態についてのより頻繁な評価を改善することに対する最近の試みは、Baer, CA, DiSalvo TG, Cail MI, Noyes D,およびKvedar JCによる、論文「ELECTRONIC HOME MONITORING OF CONGESTIVE HEART FAILURE PATIENTS:DESIGN AND FEASIBILITY」, Congest Heart Fail. 1999; 5: 105-113およびdeLusignan S, Wells S, Johnson P, Meredith K,ならびにLeatham Eによる論文「COMPLIANCE AND EFFECTIVENESS OF 1 YEAR’S HOME TELEMONITORING」, Eur J Heart Fail. 2001; 3: 723-30に示されており、これらの論文において、毎日、患者の体重を測定し、患者にいくつかの質問に回答するように指示する心不全スケールを使用して、患者が家庭内で体液の状態を毎日評価することを提案している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この考えによれば、実際にCHFによる入院は減るが、患者は毎日きまりを守る必要があり、患者の家庭で評価が行われなければならないため、患者が移動するのが困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の他の利点および特徴は、添付図面と共に考えられると、以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるように、容易に理解されるであろう。図面では、同じ参照数字は、図面の図全体を通して同じ部品を指示する。
【0009】
本発明は、埋め込み可能デバイスに関し、当該デバイスは、インピーダンス測定値を求める測定能力を有する組織刺激器を含むが、それに限定はせず、生体内での、長期間の体液状態の変動を測定するのに特に良好に適している。
【0010】
埋め込み式デバイスを装着するかなりの割合の患者が、うっ血性心不全を有し、入院を必要とする体液過剰負荷を患う。胸腔内インピーダンスの減少を自動で検出することによって、うっ血性心不全を有する患者の体液過剰負荷を前もって警告することにつながる場合がある。
【0011】
生体内の体液の状態を表す信号を、決定し、生成し、監視し、かつ使用するシステムが本明細書で述べられる。本発明は、少なくとも2つの電気的に絶縁された電極を有し、生体に電気パルスを送出するエネルギーパルス送出機構をハウジング内に有する、生体の領域におけるインピーダンス測定値を生成する埋め込み可能装置、および、2つ以上の電極間で電気インパルスを受け取って、2つ以上の電極間の体のインピーダンスを求める手段を含む。
【0012】
エネルギーパルス送出機構は、有利には、患者のために出力をカスタマイズし、信号対雑音比(SNR)の最適化に役立ち、局所的な筋肉の刺激を回避するのに使用することができる調整制御部を備えることができる。しかしながら、自動フィードバック制御ループは、本発明の一実施形態では、この目的のために使用されることができ、好ましいパルス送出電極と、インピーダンスエネルギーパルスが測定を始動するのに使用される値を決めることは共に、工場で設定されるか、または、埋め込みまたは調整手技中に、埋め込み物に対してテレメトリリンクによって制御される。
【0013】
本発明は、従来のペースメーカシステムおよび埋め込み可能ディフィブリレータ、ならびに、他の埋め込み可能デバイスと共に使用することができるか、または、それらに組み込まれてもよい。たとえば、インピーダンス測定用の電極構成は、1つのインピーダンス測定手段の場合、心臓内に配置された心臓リング電極またはコイル電極、および、ペースメーカハウジングの表面上の電極を含んでもよい。共にハウジング上に位置する付加的な電極対の使用により、2つの異なるインピーダンス測定手段の使用が可能になり、信号を純化し、付加的な情報を提供するために、得られる信号間での比較の使用が容易になる。
【0014】
ペースメーカ、薬剤ポンプ、または他の埋め込み可能医療デバイス内に含まれると、本発明を使用して、体液貯留または脱水の開始または存在に応答して、薬剤および刺激パルスの送出を自動的に変えることができる。心不全(CHF)の患者では、体液貯留を管理するために、利尿薬の注入あるいは心臓再同期化または心臓増強作用(potentiation)治療の適用は、本発明が利用される方法の例である。本明細書で指示される「体液貯留」という用語は、過剰の体液が患者の体内に蓄積する例と、患者の体液レベルにおいて、脱水を示す欠乏が存在する例の両方を含むことが意図されることが理解される。
【0015】
さらに、本発明は、付加的な有益なデータを提供するために利用されてもよく、すなわち、有意事象に基づいて、データを記憶するか(ループメモリまたは非ループメモリで)、警報を生成するか、他の処置をとるための自動トリガ装置によって参照されるために、有利には、ECG信号読み取り、ペダル衝撃または他の活動センサ、および、温度、圧力、酸素飽和度などを測定するセンサが含まれてもよい。こうしたトリガーを使用する場合、デバイスは、事前に調整されたデバイスの挙動の範囲から適切なデバイスの挙動を実施するように構築される可能性がある。
【0016】
本発明は、患者固有のベースラインインピーダンス値を確立し、かつ維持するための手段に関する。ベースラインインピーダンス値は、アルゴリズムが開始すると早急に確立され、その後、ベースラインインピーダンス値は、現在測定されているインピーダンスに基づいて、上下にゆっくりと適応する。重要なことには、ベースラインインピーダンス値の増加レートおよび減少レートは異なる可能性がある。測定された胸部インピーダンスの乱れを指示する警報は、ベースラインインピーダンスと比較された測定されたインピーダンスの或るメトリックが、プログラムされた値を超える時に始動される。本発明は、胸腔内インピーダンスのベースライン値の早急な確立、医療介入後のアルゴリズムの即座の、または、遅延したリセット、胸部インピーダンスのベースライン値の種々の上昇レートおよび降下レート、ベースラインインピーダンスと比較される測定されたインピーダンスのメトリックからの体液の過剰負荷の証拠の蓄積、および測定されたインピーダンスの種々のタイプの乱れについての複数の警報を教示する。
【0017】
本発明は、最も多くの場合、心不全中の心臓代謝不全の結果として、胸部における、体液貯留または脱水化についての早期の警報を提供し、心不全患者において、利尿薬およびβ遮断薬のような薬物を滴定するための、医師または看護婦に対する手引きを提供する。心不全を有する患者は、微妙な均衡の中で生きている。体液が蓄積する結果、入院が頻繁になり、長くなる可能性がある。薬物は、体液貯留を減らすには効果的であるが、今までのところ、体液貯留の、正確で、侵襲性が最小のメトリックは存在しない。体液貯留の代理測定としての、胸腔内インピーダンスの測定値を取得する埋め込み式システムは、先に述べられた。本発明は、これらの測定値を処理して、胸腔内インピーダンスの変化について、患者または医師に警告するための意思決定を行う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による埋め込み可能医療デバイスの略図である。図1の発見的図では、体11の一部が、本発明の一実施形態による埋め込み可能医療デバイスの図示を可能にする、切り取り領域12がある状態で示される。図1に示すように、埋め込み可能医療デバイス10の例示的な一実施形態は、デバイス10のシェル14の表面上に2つの電極15aおよび15bを含む。電力は、電源18によって、シェル14の内部の回路部に提供され、電源18は、刺激回路16を駆動し、電子を、電極15aと15bの間で、種々の経路(こうした経路は、点線13で囲まれる領域に主にあるように発見的に示される)に沿って体内に送出する。インピーダンス測定デバイス17は、回路経路13のインピーダンスを求める。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、インピーダンス試験パルス信号を生成し、同じ電極から測定を行うために、同じ電極を使用して見出される場合がある、可能性のある低い信号特性のため、インピーダンス測定は、電磁界の均一部分(または、比較的ノイズのない領域)で行われる。インピーダンス測定を行う1つの方法は、試験パルスを送出するために、(ペースメーカ、デバイス10、または、他の埋め込み物のカン(can)またはハウジングのような)大きな表面不関電極から電気絶縁された1つの電極を使用すること、および、電気絶縁された第2電極を使用することであって、それによって、不関電極とこの第2電極間の組織の電圧差を測定する、使用することである。別の実施形態は、電磁界において、2つの完全に独立した電極を使用して、インピーダンスを測定し、したがって、4極システムを有する。本発明の種々の構成では、必要な場所での柔軟性のために、すなわち、試験すなわち励起パルスによって生成される電磁界内の特定の場所に配置可能なリード線上で電極を使用するために、付加的な電極を想像することができる。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態による埋め込み可能医療デバイスにおける例示的な電極構成の略図である。異なるインピーダンス測定信号の値を達成するための、この許容可能な種類の構成が、たとえば図2に示されており、埋め込み可能医療デバイスは、電極e1、e2、egおよびemを有し、電極e1またはe2を、試験パルスを生成するために使用することができる。測定される値(これらの電極対間の組織の電圧またはインピーダンス)は、別の電気絶縁した測定用電極emと不関または接地電極egの間、emとe1の間、あるいは、emとe2の間で取得される。あるいは、もちろん、測定は、2つの試験パルス送出電極e1とegの間、あるいは、別の実施形態ではe2とegの間で行われるであろう。
【0021】
以下の種々の図を参照して述べられるように、大幅な変形形態が、図1〜図3を参照して述べる要素のそれぞれについて使用されることができ、依然として本発明の範囲内にある。たとえば、本発明の一実施形態によれば、励起パルスは、電極e3とegの間で送出され、測定される値は、電極e2とegの間で取得される。例示的な4極構成では、励起パルスは、電極emとe3の間で送出され、測定される値は、電極e1とe2の間で取得される。
【0022】
図3は、本発明を有効に実施することができる例示的な埋め込み可能医療デバイスの略図である。図3では、本発明を収容する代替の装置が、心臓を有する体内に示される。ペースメーカ(IPG)は、示すように、左側か、または、右側に埋め込まれ、心臓の右心房(RA)を通って延びて右心室(RV)に入るリード線Lを有する。本発明の回路および教示を使用することによって、図3に示すような、生体内に埋め込まれたペースメーカなどの装置およびリード線の組み合わせを使用して、本発明を実施することができる。たとえば、ディフィブリレータ、薬剤注入デバイス、脊髄刺激器、または、最小の外部電極数を有し、インピーダンス刺激および測定回路を装備した任意の他の埋め込み可能デバイスを含む、代替のタイプの埋め込み可能医療デバイスを使用して、本発明を収容してもよい。
【0023】
図4は、本発明を有効に実施することができる例示的な埋め込み可能医療デバイスに含まれる監視回路の略図である。本発明の一実施形態は、ブロック図30を含む図4を参照して述べられ、インピーダンス監視回路が2腔2リード線ペースメーカシステムに付加されたものを示す。他のセンサは、付加的な有益なデータを生成するために埋め込み可能医療デバイスに含まれ、センサからのデータは、一時的に、インピーダンスデータと照合されて、さらに有益な診断データが提供される。それぞれのセンサは、その出力が、患者の状態を判断するために、単独で取得される時か、当業者に知られる方法で組み合わされる時のいずれかにおいて、患者の状態の指標を提供するシステムとして考えられることができる。こうして含まれるセンサシステムまたはサブシステムは、それぞれが、記憶されるか、または、埋め込み式デバイスの活動をトリガするのに使用される信号値を提供する、たとえば、日内周期インジケータ、位置または姿勢インジケータ、静止(resting)インジケータ、心拍動周期インジケータ、呼吸インジケータ、運動インジケータなどを含むであろう。
【0024】
ここで、図4を参照すると、心室リード線VLは、V先端電極(VTIP)およびVリング電極(VRING)を有し、心房リード線ALは、Aリング電極(ARING)およびA先端電極(ATIP)を有し、かつ、これらの電極が、患者の心室および心房内に挿入されるために採用されることが、当業者によって理解されるであろう。4個の電極のうちの任意の1つとケースの間(または、延長したリード線電極とケースの間のインピーダンスを測定することが望まれない場合、任意の2つの電極間)で測定が行われるように、回路にケース電極(CASEまたは、中性電極と呼ばれてもよい)も設けられる。心臓内の電極、および、本明細書ではペースメーカポケット内のケース電極の場合のような、心臓からかなり離れて配置される電極を有する任意のデバイスでは、得られることになる経胸腔的インピーダンス測定値の種類によって、本発明に従って胸部体液状態の評価が可能になる。
【0025】
デバイスのより高感度の電子部品を、患者の電気外科焼灼またはディフィブリレーションから保護するために、保護回路が、回路31aおよび31bなどの埋め込み式デバイス内に設けられることが多い。リード線インタフェース32(通常、ペースメーカシェル自体の内部にあって、コネクタブロック内にはない)は、電極と電気刺激源の間の接続ならびに測定用回路を提供する。(通常、電流基準回路35と連結する)励起回路34および制御論理回路36は、リード線インタフェース32への入力も供給する。種々の切り換え回路は、当業者にはよく知られており、全ての可能な接続を示す必要を回避するために、測定回路37への電気的接続を提供する大規模ライン33(制御バス)の使用がここで示される。測定回路37は、励起回路34によって提供される励起からの、得られる電圧を捕捉し、測定と測定の間のサンプルおよびホールド回路として機能する。このブロックの入力インピーダンスは、好ましくは、結果に影響を与えないように、励起パスおよび測定パスと比較して非常に大きい。コンデンサC1〜C4についての好ましい値は、励起周期における完全な充電および集積回路設計での実現を可能にする電流励起に基づいて、実質的に、2pF〜50pFの範囲内にある。
【0026】
図5は、本発明の一実施形態による、図4の監視回路で利用されるタイミングシーケンスのグラフィック表現である。測定回路37は、もちろん、本実施形態では、図4および図5に示すように、スイッチのタイミングをとるためのCLK1、CLK2、およびCLK3として、3つの信号を有するクロックによって実行される。CLK1の間、コンデンサC1の上部板はリングに接続され、下部板はケース(基準)に接続される。コンデンサC3の上部板は先端電極に接続され、下部板はケースに接続される。この配置構成およびタイミングは、コンデンサC1およびC3上に正のピーク電圧を格納する。
【0027】
CLK2の間、コンデンサC2の上部板はケース電極に接続され、下部板はリングに接続される。コンデンサC4の上部板はケース電極に接続され、下部板は先端電極に接続される。これによって、励起の負の位相中のピーク電圧がコンデンサC2およびC4上に格納される。
【0028】
クロック信号位相CLK3は、基準がグラウンドに接続された状態で、コンデンサC1の上部板をコンデンサC2の上部板に接続する。コンデンサC3の上部板もまた、コンデンサC4の上部板に接続される。これによって、コンデンサC1とC2上にピークツーピーク励起電圧ならびにコンデンサC3とC4上にピークツーピーク測定電圧が生じる。
【0029】
多くの代替の回路配置構成は、当業者の技量内にあり、ここで述べる回路に対する代替形態として採用され得るが、一定の制約を有する回路を設計することが有利であると信じられている。試験パルス送出が、インピーダンス測定のタイミングと同期して起こることが特に重要である。同様に、測定に使用される電極の場所に応じて、心拍動周期および呼吸周期に対する同期化を考慮することが有利である。さもないと、これらの周期内の一貫しない時刻で測定することから生じる測定値の変動によって、これらの周期によって生成されるインピーダンス変化から有用な信号を抽出することに克服しがたい困難が生じる場合がある。
【0030】
図5では、CLKスイッチ(CLK1〜3)を切り換えるタイミング図および刺激信号STIMに関連するそれらスイッチのタイミングが示される。電流(I)は、約1mAピークツーピーク〜10μAピークツーピークの範囲であり、インピーダンス測定に使用されるデバイスおよび当業者には明らかになるはずである他の要因に応じて選択されることができる。図4の都合のよい電流基準ブロック35が、この調整に使用されるであろう。
【0031】
図6は、本発明を本発明の一実施形態に従って有効に実施することができる埋め込み可能医療デバイスの略図である。図6に示すように、本発明の一実施形態による埋め込み可能医療デバイス100は、3本の互いに絶縁された導体を保持する細長い絶縁性リード線本体116を有する心室リード線105を含む。リング電極124、絶縁性電極ヘッド128内に伸縮自在に搭載される伸張可能ならせん電極126、および、細長いコイル電極120は、リード線105の遠位端に隣接して配置される。電極120、124、および126のそれぞれは、リード線本体116内で3本の導体のうちの1本に結合する。以下で述べるように、電極124および126は、心臓ペーシングのため、また、心室脱分極を検知するために使用され、電極120は、カーディオバージョンおよび/またはディフィブリレーションのために、また、脱分極を検知するために使用される。リード線105の近位端には、分岐コネクタ114があり、分岐コネクタ114は、それぞれがらせん状導体のうちの1つに結合する3つの電気コネクタを保持する。
【0032】
心房/SVCリード線107は、同様に、3本の互いに絶縁された導体を保持する細長い絶縁性リード線本体115を含む。リング電極121、絶縁性電極ヘッド119内に伸縮自在に搭載される伸張可能ならせん電極117は、リード線107のJ形状遠位端に隣接して配置される。電極117および121のそれぞれは、リード線本体115内の導体のうちの1本に結合する。電極117および121は、心房ペーシングのため、また、心房脱分極を検知するために使用される。細長いコイル電極123は、電極121に近接して設けられ、リード線本体115内の第3導体に結合する。リード線107の近位端には、分岐コネクタ113があり、分岐コネクタ113は、それぞれが、らせん状導体のうちの1つに結合する3つの電気コネクタを保持する。
【0033】
任意の他の知られているリード線構成が、図6のリード線構成に利用されてもよい。たとえば、コイル電極123は、心室リード線105上に配置され、心房リード線107によってではなく、心室リード線105によって、心房またはSVC内に位置決めされるであろう。
【0034】
冠状静脈洞/冠状静脈リード線109は、3つの導体を保持する細長い絶縁性リード線本体106を含み、3つの導体のうちの1つは、細長いらせん状ディフィブリレーション電極108に結合される。破線で示す電極108は、心臓の冠状静脈洞および大静脈内に配置される。リング電極125および先端電極127は、リード線109の遠位端に隣接して配置される。電極125〜127のそれぞれは、リード線本体106内に配置された3つの導体のうちの残りの2つのうちの一方に結合される。リード線109の近位端には、電気コネクタを保持し、らせん状導体に結合したコネクタプラグ104がある。
【0035】
埋め込み可能医療デバイス100は、カーディオバージョンおよびディフィブリレーションショックを送出するための心臓ペーシングパルスを生成し、患者の心調律を監視するのに使用される電子回路機構(図7)を収容する密閉した格納容器111を含む。埋め込み可能医療デバイス100は、リード線コネクタアセンブリ104、113、および114がコネクタブロック112内に挿入された状態で示され、コネクタブロック112は、コネクタ104、113、および114を受け入れ、格納容器111内でリード線を回路機構に相互接続するためのレセプタクルおよび電気コネクタの役割を果たす。
【0036】
埋め込み可能医療デバイス100のハウジング111の外側に面する部分の絶縁を設けてもよいし、代わりに、外側に面する部分のうちの部分130が絶縁されないままにされてもよいし、絶縁部分と非絶縁部分の間の或る他の分割を採用してもよい。ハウジング111の非絶縁部分130は、オプションで、心房か、心室のいずれかをディフィブリレーションするのに使用される皮下ディフィブリレーション電極、および、心臓の脱分極を検知する検知電極としての役割を果たす。他のリード線構成および電極配置は、もちろん、図示したリード線のセットと取り換えられてもよい。たとえば、心房ディフィブリレーションおよび検知電極は、個別の心房リード線上に配置される代わりに、冠状静脈洞リード線か、右心室リード線のいずれかに付加されてもよく、2リード線システムが可能になる。
【0037】
図7は、本発明を有効に実施することができる、図6に示すタイプの例示的な埋め込み可能医療デバイスの機能ブロック図である。デバイスは、図6に示すようなものであってもよい電極を含むリード線システムを装備する。もちろん、別のリード線システムを置き換えて用いてもよい。図6の電極構成が採用される場合、示される電極への対応は以下の通りである。電極311は、埋め込み可能医療デバイス100のハウジングの非絶縁部分130に沿って形成される電極に対応する。電極320は、電極120に対応し、右心室に配置されるディフィブリレーション電極である。電極310は、電極108に対応し、冠状静脈洞に配置されるディフィブリレーション電極である。電極318は、電極123に対応し、上大静脈に配置されるディフィブリレーション電極である。電極324および326は、電極124および126に対応し、心室における検知およびペーシングに使用される。電極317および321は、電極117および121に対応し、心房におけるペーシングおよび検知に使用される。
【0038】
電極310、311、318、および320は、高電圧出力回路234に結合される。電極324および326は、R波増幅器に結合し、R波増幅器は、センス増幅器回路200内に含まれ、好ましくは、調整可能な検知閾値を、測定されたR波振幅の関数として提供する自動利得制御式増幅器の形態をとる。電極324と326の間で検知された信号が、その時の検知閾値を越える時にはいつでも、R OUTライン202上に信号が生成される。
【0039】
電極317および321は、P波増幅器に結合し、P波増幅器は、センス増幅器回路200内に含まれ、好ましくは同様に、調整可能な検知閾値を、測定されたP波振幅の関数として提供する自動利得制御式増幅器の形態をとる。電極317と321の間で検知された信号が、その時の検知閾値を越える時にはいつでも、P OUTライン206上に信号が生成される。センス増幅器回路200のR波およびP波増幅器の一般的な動作は、その全体が参照により本明細書に援用される、「an Apparatus for Monitoring Electrical Physiologic Signals」について、1992年6月2日に発行された、Keimel他による米国特許第5,117,824号に開示される動作に対応する。しかしながら、埋め込み可能な心臓ペースメーカ、ディフィブリレータ、およびモニタで採用される、多くの従来技術のセンス増幅器の任意の増幅器はまた、本発明と共に有効に使用されてもよい。
【0040】
スイッチマトリクス208を使用して、デジタル信号解析で使用するために、利用可能な電極のうちのどれが広帯域増幅器210に連結されるかが選択される。電極の選択は、アドレス/データバス218を介してマイクロプロセッサ224によって制御され、電極の選択は、所望であれば変更されてもよい。帯域増幅器210に連結するために選択された電極からの信号は、マルチプレクサ220に供給され、その後、ダイレクトメモリアクセス回路(DMA)228の制御下でランダムアクセスメモリ(RAM)226に記憶するために、A/D変換器222によってマルチビットデジタル信号に変換される。マイクロプロセッサ224は、デジタル信号解析技法を使用して、ランダムアクセスメモリ226に記憶されたデジタル化信号を特徴付けし、当該技術分野で知られている多くの信号処理方法の任意の方法を使用して、患者の心調律を認識し分類する。
【0041】
テレメトリ回路330は、アンテナ332によって、患者アクチベータからダウンリンクテレメトリを受信し、患者アクチベータへアップリンクテレメトリを送出する。アクチベータへアップリンクされるべきデータおよびテレメトリ回路用の制御信号は、アドレス/データバス218を介してマイクロプロセッサ224によって供給される。受信されたテレメトリは、マルチプレクサ220を介してマイクロプロセッサ224に提供される。センス増幅器回路200の心房および心室センス増幅器回路は、心房および心室EGM信号を生成し、信号は、同様に、デジタル化され、適当な問い掛けコマンドを受信すると、関連するプログラマにアップリンクテレメトリされてもよい。デバイスは、デバイスが検出する異なる心臓事象を示す、いわゆる、マーカコードを生成することが可能であってもよい。マーカチャネル能力を有するペースメーカは、たとえば、その全体が参照により本明細書に援用される、Markowitzに対する米国特許第4,374,382号に記載される。採用される特定のテレメトリシステムは、本発明を実施するのに重要ではなく、埋め込み可能デバイスで使用するために知られている多くのタイプのテレメトリシステムの任意のシステムを使用してもよい。特に、Blanchette他に発行された米国特許第5,292,343号、Thompsonに発行された米国特許第5,314,450号、Wyborny他に発行された米国特許第5,354,319号、Keimelに発行された米国特許第5,383,909号、Greviousに発行された米国特許第5,168,871号、Barsnessに発行された米国特許第5,107,833号、または、Greviousに発行された米国特許第5,324,315号(全て、その全体が参照により本明細書に援用される)に開示されるテレメトリシステムは、本発明と共に使用するのに適している。しかしながら、プログラム可能な埋め込み式デバイスを対象とする、本明細書で引用される種々の他の特許に開示されるテレメトリシステム、または、同様なシステムを置き換えて用いてもよい。テレメトリ回路330は、もちろん、埋め込み可能な抗不整脈デバイスでは通例であるように、外部プログラマに対して通信するために同様に採用される。
【0042】
患者通知回路331によって、患者は、以下で詳細に述べるように、インピーダンスの有意の変化が起こったと判断される場合に通知されることが可能になる。
回路機構の残りは、心臓ペーシング、カーディオバージョンおよびディフィブリレーション治療を供給するのに専用であり、本発明のために、従来技術で知られている回路機構に対応してもよい。以下のように、ペーシング、カーディオバージョン、およびディフィブリレーション機能を達成するための例示的な装置が開示される。ペーサタイミングおよび制御回路部212は、プログラム可能デジタルカウンタを含み、プログラム可能デジタルカウンタは、当該技術分野で知られているDDD、VVI、DVI、VDD、AAI、DDI、DDDR、VVIR、DVIR、VDDR、AAIR、DDIR、ならびに単腔および2腔ペーシングの他のモードに関連する基本時間間隔を制御する。回路部212は、当該技術分野で知られている任意の抗頻脈性不整脈ペーシング治療を使用する、心房と心室の両方での抗頻脈性不整脈ペーシングと関連する補充間隔も制御する。
【0043】
ペーシング回路部(ペーサタイミングおよび制御回路部)212によって規定される間隔は、心房および心室ペーシング補充間隔、検知されたP波およびR波が、補充間隔のタイミングを再始動するのがその間無効である不応期間、およびペーシングパルスのパルス幅を含む。これらの間隔の持続時間は、メモリ226内の記憶されたデータに応答して、マイクロプロセッサ224によって確定され、アドレス/データバス218を介してペーシング回路部212に伝達される。ペーシング回路部212もまた、マイクロプロセッサ224の制御下で、心臓ペーシングパルスの振幅を確定する。
【0044】
ペーシングの間に、ペーサタイミングおよび制御回路部212内の補充間隔カウンタは、ライン202および206上の信号によって示されるR波およびP波を検知するとリセットされ、また、電極317、321、324、および326に結合する、ペーサ出力回路(Aペース、Vペース)214および216によってペーシングパルスのタイムアウトトリガが生成されると、選択されたペーシングモードに従ってリセットされる。補充間隔カウンタはまた、ペーシングパルスが生成されるとリセットされ、それによって、抗頻脈性不整脈ペーシングを含む心臓ペーシング機能の基本タイミングを制御する。
【0045】
補充間隔タイマによって規定される間隔の持続時間は、アドレス/データバス218を介してマイクロプロセッサ224によって確定される。検知されたR波およびP波によってリセットされた時の補充間隔カウンタに存在するカウント値を使用して、R−R間隔、P−P間隔、P−R間隔、およびR−P間隔の持続時間が測定され、その測定値は、メモリ226に記憶され、頻脈性不整脈検出機能と共に使用される。
【0046】
マイクロプロセッサ224は、割り込み駆動式デバイスとして動作し、検知されたP波およびR波の発生に対応し、心臓ペーシングパルスの生成に対応するペーサタイミングおよび制御回路部212からの割り込みに応答する。これらの割り込みは、アドレス/データバス218を介して提供される。マイクロプロセッサ224によって実施される任意の必要な数学的計算、および、ペーサタイミングおよび制御回路部212によって制御される値すなわち間隔の任意の更新は、こうした割り込みに続いて起こる。マイクロプロセッサ224は、以下で述べるように動作を制御する記憶されたプログラムが存在する、関連するROMを含む。メモリ226の一部は、一連の測定された間隔を保持することが可能な複数の再循環バッファとして構成されてもよく、測定された間隔は、ペースまたはセンス割り込みの発生に応答して解析されて、患者の心臓が、現在、心房頻脈性不整脈を示しているか、また心室頻脈性不整脈を示しているかが判断される。
【0047】
不整脈検出は、多くの利用可能な従来技術の頻脈性不整脈検出アルゴリズムのうちの任意のアルゴリズムを含んでもよい。1つの好ましい実施形態は、共にその全体が参照により本明細書に援用される、Olson他に発行された米国特許第5,545,186号またはGillberg他に発行された米国特許第5,755,736号に記載されるルールベース検出方法の全てまたはサブセットを採用してもよい。しかしながら、当該技術分野で知られている種々の不整脈検出方法のうちの任意の方法が、本発明の代替の実施形態において有効に採用されてもよい。
【0048】
心房または心室頻脈性不整脈が検出され、抗頻脈性不整脈ペーシング療法が望まれる場合、抗頻脈性不整脈ペーシング治療の生成を制御するタイミング間隔が、マイクロプロセッサ224からペーサタイミングおよび制御回路部212にロードされて、回路部212内の補充間隔カウンタの動作が制御され、P波およびR波の検出が、補充間隔カウンタを再始動するのがその間無効である不応期間が規定される。
【0049】
カーディオバージョンまたはディフィブリレーションパルスの生成が必要とされる場合、マイクロプロセッサ224は、補充間隔カウンタを使用して、こうしたカーディオバージョンおよびディフィブリレーションパルスのタイミングならびに関連する不応期間が制御される。カーディオバージョンパルスを必要とする、心房または心室細動あるいは頻脈性不整脈の検出に応答して、マイクロプロセッサ224は、カーディオバージョン/ディフィブリレーション(CV/DEFIB)制御回路部230を作動させ、制御回路部230は、高電圧充電制御ライン240の制御下で、充電回路236を介して、高電圧コンデンサ246、248の充電を始動する。高電圧コンデンサ上の電圧は、VCAPライン244を介して監視され、マルチプレクサ220を通過し、マイクロプロセッサ224によって設定された所定の値に達することに応答して、論理信号の生成をもたらし、充電を終了させる。その後、ディフィブリレーションパルスまたはカーディオバージョンパルスの送出のタイミングが、ペーサタイミングおよび制御回路部212によって制御される。細動または頻脈治療の送出に続いて、マイクロプロセッサは、その後、デバイスを心臓ペーシングに戻し、ペーシングあるいは検知された心房または心室脱分極の発生による、次の連続する割り込みを待つ。図示するデバイスでは、カーディオバージョンパルスまたはディフィブリレーションパルスの送出は、制御バス238を介して制御回路部230の制御下で、出力回路234によって達成される。出力回路234は、多相パルスが送出されるか、2相パルスが送出されるか、ハウジング311がカソードとして働くか、アノードとして働くか、どの電極がパルス送出に関係しているかを判断する。
【0050】
図4を参照して、先に述べた測定回路37および励起回路34と同様な測定回路203を利用して、励起パルスが送出され、スイッチマトリクス208において行われる接続を通して、電極310、311、317、318、320、321、324および326の中から選択される任意の電極対によって形成されるベクトル間の、結果として得られるインピーダンスが測定される。アドレス/データバス218に結合する測定回路203を、図示するように、センス増幅器回路200から分離することができ、または、センス増幅器回路200内に含んでもよい。
【0051】
本発明によれば、マイクロプロセッサ224によってインピーダンス測定が一旦始動すると、出力回路234によって励起パルスが生成され、上述したように、選択された電極によって形成されたベクトルに対応する励起パスにわたって印加される。励起パルスは、電流パルスか、電圧パルスのいずれかの形態であってもよく、いずれの場合も、異なる極性の1つまたは複数の位相からなるか、または、実施を単純化するために、単相の定電圧パルスに対応してもよい。本発明の一実施形態では、たとえば、励起パルスは、約1ボルトの振幅および約90マイクロ秒のパルス幅を有するが、任意の所望の振幅およびパルス幅が利用されてもよい。
【0052】
測定回路203は、選択された測定電極に対応する測定パスにわたって現れる電圧を測定し、測定回路203による測定タイミングは、励起パルスの送出と同期化されるように、タイミングおよび制御回路212によってタイミングを合わせられる。励起パスにわたって送出された電流および測定パスにわたって測定された電圧を使用して、マイクロプロセッサ224は、その後、オームの法則を使用して、見かけの胸部内インピーダンスを計算する。複数のインピーダンス測定値を生成するために、数日にわたって複数の励起パルスが送出されるように、プロセスが繰り返される。
【0053】
図7Aは、本発明の一実施形態に従って、インピーダンスを測定する方法の略図である。たとえば、本発明の一実施形態によれば、経胸腔内インピーダンスZm測定値を生成するために、ペーサタイミングおよび制御回路212は、制御回路部230を介して、電極120と130の間で、励起パス280に沿って出力回路234から所定の電圧パルスVOの送出を始動する。出力回路234に組み込まれる抵抗器ROは、既知の抵抗を有する励起パス280に沿って位置し、その結果、励起パス280に沿って送出される電流IOは、オームの法則を使用して、IO=VO/RO として計算されることができる。電圧Vmは、抵抗器ROの後のポイントと電極130の間の測定パス282の両端で測定され、測定パス282に送出される電流IOを知って、インピーダンスZmが、Zm=Vm/(VO/RO)として計算される。
【0054】
本発明によれば、得られるインピーダンス測定値を使用して、所定の時間期間にわたって取得される全てのインピーダンス測定値の平均が計算されて、期間平均インピーダンスが得られる。予想されるインピーダンスおよび短期間平均(STA)インピーダンス値は、期間平均インピーダンスから計算され、所定期間にわたる期間平均インピーダンス値の変化が、以下で述べるように、体液貯留の指標を求めて監視される。予想されるインピーダンスは、期間平均インピーダンスが著しくローパスフィルタリングされたものである、基礎になるベースライン(BL)インピーダンスであり、過剰の体液が存在しない時の患者の「ドライ状態の」インピーダンスを表すことが意図される。予想される、すなわち、ベースラインインピーダンス値は、患者ごとに変わり、一般に、約50オーム〜90オームの間にある。短期間平均(STA)インピーダンスは、期間平均インピーダンスがわずかにフィルタリングされたものであり、現在のインピーダンスの最良の推定値であることが意図される。
【0055】
図8は、本発明の一実施形態に従って生成されたインピーダンスデータのグラフィック表現である。図9は、本発明の一実施形態に従って、インピーダンスの変化を求める方法を示すフローチャートである。通常、デバイスが患者の中に埋め込まれた直後に起こる、インピーダンス測定における埋め込み後の低下および回復のために、本発明に従ってインピーダンスの変化を求める方法は、デバイス100が患者の中に埋め込まれた後に所定の時間期間が終了するまで始動されない。アルゴリズムが作動する前に、インピーダンス測定の術後の安定化を可能にするために、埋め込み後の例示的な期間は、たとえば、30日である場合がある。初期安定化時間期間が終了すると、アルゴリズムは、予想される、すなわち、ベースライン(BL)インピーダンス、および、短期間平均(STA)インピーダンスを確立し、図4の、リング(e3)−ケース(e2)および先端(e2)−ケース(eg)配置などの励起パスおよび測定パス、または、たとえば上述した、図6の励起パスと測定パスの両方に利用されるRVコイル電極120およびハウジング電極130について選択された事前にプログラムされたベクトルから得られるインピーダンス測定値の変化を探し始める。しかしながら、励起パスが電極123と電極130の間にあり、測定パスが電極117と電極130の間にある配置などの、他の配置を利用することもできることが理解される。
【0056】
図8に示すように、1日の所定期間の間に1日当たりに所定回数収集された個々の処理前のインピーダンス測定値の平均に対応する、計算された期間平均インピーダンス400、ならびに、細切れ線と実線でそれぞれ示す、ベースラインインピーダンス402と短期間平均(STA)インピーダンス404の計算された値のグラフィック表現は、以下で述べるように、測定されたインピーダンスからプロット406で生成される。さらに、ベースラインインピーダンス408のパーセンテージとしての、計算された短期間平均インピーダンスと計算されたベースラインインピーダンスとの差のグラフィック表現は、プロット410で生成され、ベースラインインピーダンス402と計算された期間平均インピーダンス400との差によって示される差の積分(Intdiff)412のグラフィック表現は、プロット414で生成される。差の積分(Intdiff)412は、以下で述べるように、ベースラインインピーダンス402と計算された期間平均インピーダンス400との差を蓄積する。
【0057】
図8に示す例では、計算された期間平均インピーダンス400は、たとえば12pm〜6am、6am〜12am、12am〜6pm、および6pm〜12pmの時間の間などの、1日当たり4回収集された個々の処理前のインピーダンス測定値から求められ、1日当たり4つの計算された期間平均インピーダンス400が得られるが、本発明は、このレートに限定されることを意図されず、したがって、本発明は、他の可能な取得レートを含むことになることが理解される。図8Aは、本発明の一実施形態に従って生成されたインピーダンスデータの例示的なグラフィック表現であり、計算された期間平均インピーダンス400は、12am〜5pmの時間の間など、1日当たり1回収集された個々の処理前のインピーダンス測定値から求められた。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、期間平均インピーダンス400は、それぞれの1日の間の所定の時間期間にわたって得られたインピーダンス測定値の平均を計算することによって求められる。たとえば、図8Aにグラフで表すように、期間平均インピーダンス400が1日当たり1回生成される、本発明の一実施形態によれば、期間平均インピーダンスは、12am(0pm)〜5pmの間の5時間の期間にわたって得られた512個のインピーダンス測定値を使用して求められるが、本発明から逸脱することなく、任意の数のインピーダンスを任意所望の時間期間にわたって得てもよい。特に、期間平均インピーダンスを求めるために、12am〜5pmの各1時間の期間は、3個の20分の時間期間に分割され、20分の時間期間の間に、32個のインピーダンス測定値が得られ、32個のインピーダンスの15回の測定値がもたらされる。さらに、32個のインピーダンス測定値が、同様に、5pmに得られ、その結果、12am〜5pmの期間の間に、全部で、32個のインピーダンスの16回の測定が行われ、毎日、5時間の期間にわたって総計512個のインピーダンス測定値(32×16=512)が得られることになる。期間平均インピーダンス値は、その後、所定の時間期間、すなわち、12am〜5pmの間に生成された512個のインピーダンスの平均を計算することによって求められる。
【0059】
図8にグラフで表すように、期間平均インピーダンス400が1日当たり4回生成される一実施形態において、4回の時間期間、すなわち、12pm〜6am、6〜12am、12am〜6pm、および6pm〜12pmの時間の間のそれぞれにわたって収集された所定数のインピーダンスに基づいて、同様なプロセスが利用されるであろう。たとえば、本発明の一実施形態では、4回の6時間期間の各1時間は、3個の20分の期間に分割され、その結果、4回の時間期間のそれぞれにおいて、全部で、32個のインピーダンスの20回の測定が行われ、4回の6時間の時間期間のそれぞれにおいて、総計640個のインピーダンス測定値(32×20=640)が得られ、1日で2,560個の処理前のインピーダンス値が必要とされる。
【0060】
どんな場合でも、期間平均インピーダンスを計算するインピーダンスサンプリング方式の設計目的は、心周期、呼吸周期、活動レベル、姿勢などのような、患者の基礎となる体液状態に関係しない全てのインピーダンス変化を含む、望ましくないインピーダンス修正因子の寄与を排除することである。望ましくないインピーダンス修正因子は、患者の体液状態の真の変化に比べてより短い時間スケールで作用し、したがって、先に提示した例などの適切なサンプリングおよび平均方式を使用して、これらの望ましくないインピーダンス修正因子の寄与を排除することができる。
【0061】
図10は、インピーダンスの日内変動対体液過剰負荷状態のインピーダンス変動についてのグラフィック表現である。図10に示すように、インピーダンスの日内変動は、患者が体液過剰負荷状態にある時に見られるインピーダンス変動に比較して、患者が健康である時により大きいため、本発明者等は、12am〜5pmの所定の時間期間の間にインピーダンス値を得ることが有利であると判断した。結果として、正常なインピーダンスの日内変動と患者が体液過剰負荷状態にある時に見られるインピーダンス変動との差は、ピークインピーダンス600でより大きく、12am〜5pmの日内周期で起こる。
【0062】
図9に示すように、インピーダンス測定機構(feature)がマイクロプロセッサ224によって始動されると、マイクロプロセッサ224は、ステップ500において、ベースラインBLインピーダンス、短期間平均STAインピーダンス、および、ベースラインBLインピーダンスと計算された期間平均インピーダンス400との差の積分(Intdiff)をゼロに等しくなるように設定し、インピーダンス測定カウンタをプリセットされた所定の測定回数に等しくなるように設定することによって、本発明に従ってインピーダンスの変化を求めるためのパラメータを初期化する。所定の測定回数は、ベースラインBLインピーダンスおよび短期間平均インピーダンスSTAパラメータを初期化するのに望まれる日数に従って選択される。たとえば、図8にグラフで表すように、期間平均インピーダンス400が1日当たり4回計算され、ベースラインBLインピーダンスおよび短期間平均STAインピーダンスパラメータが3日以内で初期化されることが望ましい一実施形態では、所定の測定回数は、12回の測定(3日の間での、1日当たり4回の測定=12回の測定)に等しいことになり、したがって、ステップ500において、インピーダンス測定カウンタは、12に等しくなるように設定されることによって初期化されることになる。一方、図8Aにグラフで表すように、期間平均インピーダンス400が1日当たり1回計算され、ベースラインBLインピーダンスおよび短期間平均STAインピーダンスパラメータが4日以内で初期化されることが望ましい一実施形態では、所定の測定回数は、4回の測定(4日の間での、1日当たり1回の測定=4回の測定)に等しいことになり、したがって、ステップ500において、インピーダンス測定カウンタは、4に等しくなるように設定されることによって初期化されることになる。
【0063】
ステップ500においてパラメータが初期化されると、ステップ502において、インピーダンス測定カウンタに関連する日数の期間にわたって所定回数生成される計算された期間平均インピーダンスに基づいて、ベースラインBLインピーダンスおよび短期間平均STAインピーダンスの初期値が求められる。
【0064】
図11は、本発明の一実施形態に従って、初期のベースラインインピーダンスおよび短期間平均インピーダンス値を得ることを示す例示的な略図である。特に、図9および図11に示すように、本発明の一実施形態では、ベースラインBLインピーダンスおよび短期間平均STAインピーダンスについての初期値は、たとえば、上述したように、所定の日数にわたって、また、それぞれの1日の間の所定の時間期間にわたって計算される期間平均インピーダンス測定値の平均を計算することによって求められる。結果として、ステップ506において、短期間平均インピーダンスSTA(i)は、前に計算した短期間平均インピーダンスSTA(i−1)と、測定カウンタに関連する所定の測定回数、すなわち、たとえば、12回の測定によって除算された、現在の計算された期間平均インピーダンス、すなわちインピーダンス(i)の和に等しい。短期間平均インピーダンスSTA(i)が求められると、ステップ508において、ベースラインインピーダンスBL(i)は、短期間平均インピーダンスSTA(i)に等しくなるように設定されることによって更新され、インピーダンス測定カウンタは、ステップ510においてデクリメントされる。ステップ511において、次の有効な期間平均インピーダンスが受け取られると、ステップ512においてインピーダンス測定カウンタがゼロより大きいかどうかを判断することによって、全ての期間平均インピーダンス測定が行われたかどうかについての判断が行われる。
【0065】
全ての期間平均インピーダンス測定が行われておらず、したがって、インピーダンス測定カウンタが、ゼロより大きいと判断される、すなわち、ステップ512においてYESの場合、ステップ502〜512において平均化プロセスが繰り返される。本発明は、ステップ502〜512に示す平均化方式に限定されることを意図されず、したがって、本発明は、図11に示す平均化方式を使用して期間平均インピーダンスの平均を求めることに限定されることを意図されないことが理解される。むしろ、期間平均インピーダンスの平均は、任意の他の知られている1つまたは複数の平均化方式を使用して計算されてもよい。
【0066】
全ての期間平均インピーダンス測定が行われており、したがって、ベースラインBLインピーダンスおよび短期間平均STAインピーダンスの初期値が求められる、すなわち、ステップ512においてNOの場合、ステップ514およびステップ516において、短期間平均STAインピーダンスおよびベースラインBLインピーダンスが更新される。
【0067】
図12は、本発明の一実施形態による短期間平均インピーダンス値の更新を示す例示的な略図である。図12に示すように、本発明の一実施形態によれば、短期間平均インピーダンスSTA(i)は、2次ローパスフィルタに従って更新される。特に、短期間平均インピーダンスSTA(i)は、前の2日間についての短期間平均(それぞれ、A*STA(i−1)およびB*STA(i−2))、当日について計算された期間平均インピーダンス(C*インピーダンス(i))、ならびに、前の2日間についての期間平均インピーダンス(それぞれ、D*インピーダンス(i−1)およびE*インピーダンス(i−2))の重み付き和をとることによって更新される。
【0068】
例によれば、図8Aに示すように、12am〜5pmに収集される処理前のインピーダンス測定値を使用して512、期間平均インピーダンス400が1日当たり1回計算され、インピーダンス測定カウンタが4回の測定で初期化される、本発明の一実施形態によれば、重み変数Aは77/256に等しく、重み変数Bは50/256に等しく、重み変数Cは60/256に等しく、重み変数Dは109/256に等しく、重み変数Eは60/256に等しい。一方、図8に示す、12pm〜6am、6am〜12am、12am〜6pm、および6pm〜12pmの時間の間に収集される512個の処理前のインピーダンス測定値を使用して、期間平均インピーダンス400が1日当たり4回計算され、インピーダンス測定カウンタが12回の測定で初期化される、本発明の一実施形態によれば、重み変数Aは76/64に等しく、重み変数Bは27/64に等しく、重み変数Cは8/64に等しく、重み変数Dはゼロに等しく、重み変数Eは8/64に等しい。しかしながら、本発明によれば、重み変数A〜Eは、これらの値に限定されることを意図されず、ローパスフィルタは、2次ローパスフィルタに限定されることを意図されないことが理解される。
【0069】
本発明によれば、ベースラインインピーダンスは、短期間平均インピーダンスよりずっと遅いレートで更新される。図13は、本発明の一実施形態に従って、ベースラインインピーダンス値を更新することを示す例示的な略図である。図9および図13に示すように、本発明の一実施形態によれば、短期間平均インピーダンスがステップ514において更新されると、ステップ516においてベースラインBLインピーダンス402の更新中に、マイクロプロセッサ224は、ステップ518において、ベースラインインピーダンス402が短期間平均インピーダンスSTA(i)より大きいかどうかを判断することによって現在のベースラインインピーダンスBL(i)に対する短期間平均インピーダンスSTA(i)の場所を求める。現在のベースラインインピーダンスBL(i)が、短期間平均インピーダンスSTA(i)より大きい、すなわち、ステップ518においてYESの場合、ステップ520において、現在のベースラインインピーダンスBL(i)は、所定の下方ドリフトだけ減少した、前のベースラインインピーダンスBL(i−1)に等しくなるように設定することによって更新される。一方、現在のベースラインインピーダンスBL(i)が、短期間平均インピーダンスSTA(i)より大きくない、すなわち、ステップ518においてNOの場合、ステップ522において、現在のベースラインインピーダンスBL(i)は、所定の上方ドリフトだけ増加した、前のベースラインインピーダンスBL(i−1)に等しくなるように設定することによって更新される。
【0070】
本発明によれば、インピーダンスの減少に対してデバイス100の感度を高くするために、ステップ520での下方ドリフトは、ステップ522での上方ドリフトより小さくなるように設定される。たとえば、本発明の一実施形態によれば、下方ドリフトは、1日当たり0.055オームにおよそ等しくなるように設定され、上方ドリフトは、1日当たり0.18オームにおよそ等しくなるように設定されるが、所望であれば、他の値が利用されてもよい。ベースラインBLインピーダンス値を更新する方法はまた、現在のベースラインBLインピーダンスか短期間平均STAインピーダンスのいずれかを入力とした、ローパスフィルタによるであろう。本発明者等は、誤った警報を回避しながら体液の過剰負荷に対して入院を予想するには、BLの減少レートより速い増加レートが非常に有利であると判断した。
【0071】
図9に戻ると、短期間平均インピーダンス404およびベースラインインピーダンス402が更新されると、マイクロプロセッサ224は、ステップ524において、短期間平均インピーダンスとベースラインインピーダンスの相対位置が変わったかどうかを判断する。この判断は、短期間平均インピーダンス404がベースラインインピーダンス402より小さかったが、いまやベースラインインピーダンス402以上である場合か、または、マイクロプロセッサ224は、短期間平均インピーダンス404がベースラインインピーダンス402より大きかったが、いまやベースラインインピーダンス402以下である場合に起こる。特に、たとえば、図8Aに示すように、前日に対応する計算された短期間平均インピーダンス403はベースラインインピーダンス402より小さく、当日に対応する計算された短期間平均インピーダンス405はベースラインインピーダンス402より大きいため、短期間平均インピーダンス404はベースラインインピーダンス402に交差する、すなわち、ステップ524においてYESである。一方、前日に対応する計算された短期間インピーダンス407はベースラインインピーダンス402より大きく、当日に対応する計算された短期間インピーダンス409はベースラインインピーダンス402より小さいため、短期間平均インピーダンス404はベースラインインピーダンス402に交差する、すなわち、ステップ524においてYESである。短期間平均インピーダンス404によるベースラインインピーダンス402のこうした交差は、体液貯留または脱水を示す異常インピーダンスの存在を推測する証拠がもはや存在しないという指標である。
【0072】
図9に示すように、短期間平均インピーダンス404がベースラインインピーダンス402に交差すると判断される、すなわち、ステップ524においてYESの場合、マイクロプロセッサ224は、ステップ526において、期間平均インピーダンスとベースラインインピーダンスの差の積分(Intdiff)412をゼロに等しくなるように設定する。一方、短期間平均インピーダンス404がベースラインインピーダンス402に交差しないと判断される、すなわち、ステップ524においてNOの場合、マイクロプロセッサ224は、ステップ528において、現在の計算された期間平均インピーダンス400とベースラインインピーダンス402の現在の差を加算することによって、期間平均インピーダンスとベースラインインピーダンスの差の積分(Intdiff)412を更新する。その後、ステップ530において、有意のインピーダンス変化が起こったかどうかについて判断が行われる。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、有意のインピーダンス変化が起こったかどうかについての、ステップ530での判断は、たとえば、期間平均インピーダンスとベースラインインピーダンスの差の更新された積分(Intdiff)412が所定のIntdiff閾値416より小さいどうかを判断することによって行われる。本発明の別の実施形態によれば、有意のインピーダンス変化が起こったかどうかについての、ステップ530での判断は、短期間平均インピーダンスとベースラインインピーダンスの差STA−BLが所定の閾値418より小さいかどうかを判断することによって、ベースラインインピーダンスが所定のベースラインインピーダンス閾値420より小さいかどうかを判断することによって、または、IntDiff412、STA−BL、およびベースラインインピーダンスの任意の組み合わせがそれぞれの閾値416〜420より小さいかどうかを判断することによって行われることができる。
【0074】
短期間平均インピーダンスとベースラインインピーダンスの差STA−BLに対応するパラメータは、その全体が参照により本明細書に援用される、Combs他に対する米国特許第5,957,861号に記載されるパラメータと同じであり、測定されたインピーダンスが入院前の数週間にわたってゆっくりと減少する時、有意のインピーダンス変化の存在についてのあまり役立たないインジケータである。しかしながら、STA−BLパラメータは、心不全の非常に急速な代償不全を有する患者において有益である場合がある。最後に、BLパラメータの直接閾値設定(thresholding)は、最も簡単にプログラムされる閾値であり、極端にゆっくりした疾病過程を検出するための値を有する場合がある。
【0075】
有意のインピーダンス変化が起こったと判断される、すなわち、ステップ530においてYESの場合、ステップ532において、患者に状態を知らせるために、患者通知回路331を介して警報または患者インジケータが作動される。たとえば、図8および図8Aのプロット410で生成される、ベースラインインピーダンス408のパーセンテージとしての、計算された短期間平均インピーダンスと計算されたベースラインインピーダンスの差が、閾値418より小さい時、または、プロット414で生成されるIntdiff412が閾値416より小さい時、または、ベースラインBLインピーダンスが所定のベースラインインピーダンス閾値より小さい時に警報が作動される。閾値416および閾値418は、それぞれ、−60オームおよび−10オームに等しいものとして示されるが、本発明は、これらの値に限定されることを意図されない。むしろ、本発明によれば、閾値416および閾値418は、臨床医によって任意所望の値としてプログラムされることができる。同様に、ベースラインインピーダンス閾値420は、患者固有であり、したがって、臨床医によって、特定の患者に適切であると思われる任意の値に再プログラムされてもよい。
【0076】
本発明によれば、ステップ532の警報は、たとえば、可聴警報、振動、刺激、外部データベースまたは通信ネットワークに送信するための、テレメトリ回路部330を介した外部デバイスへの通信を含むであろう。本発明の一実施形態によれば、インピーダンスの変化に基づいて体液貯留または脱水を検出したことを、患者および/または外部エンティティに単に報知することに加えて、ステップ533において、インピーダンスの変化に基づいた体液貯留または脱水の検出に応答して、治療が、始動されるか、または変更されてもよい。こうした治療は、たとえば、薬剤ポンプ、ペーシングモード、ペーシングレート、心臓再同期化治療(CRT)、心臓増強作用治療(CPT)などを含むであろう。さらに、本発明の一実施形態によれば、インピーダンスの変化を検出するアルゴリズムはまた、ステップ533において、インピーダンスの変化に基づいた体液貯留または脱水の検出に応答して変更されるであろう。たとえば、期間平均インピーダンス400が生成される回数は、初期レート、すなわち、1日当たり1回〜1時間当たり1回から、高速レートへと増加するであろう。
【0077】
インピーダンスの変化を判断することに応答して、治療が始動されるか否か、または、変更されるか否か、あるいは、インピーダンス変化を検出するアルゴリズムが変更されるか否かは、プログラム可能であり、したがって、オプションである。結果として、ステップ532において警報が作動すると、ステップ533において、治療またはインピーダンス変化を検出するアルゴリズムが、変更されるか、始動されるべきかどうかについての判断が行われる。変更され始動されるべきである場合、治療および/またはインピーダンス変化を検出するアルゴリズムは、ステップ535において、始動されるか、または変更される。ステップ532において、警報が作動し、治療/アルゴリズムの変更無し/始動無しが設定される、すなわち、ステップ533においてNOであるか、警報が作動し、治療/アルゴリズムが変更されるか、または始動された、すなわち、ステップ533およびステップ535においてYESであったか、あるいは、有意なインピーダンス変化が起こらなかったと判断される、すなわち、ステップ530においてNOであると、プロセスは、所定の時間期間の間で、1日当たり所定の回数収集される個々の処理前のインピーダンス測定値についての、次の有効な期間平均インピーダンス400が生成されるのを待ち、ステップ514〜532のプロセスが繰り返される。
【0078】
Intdiff412パラメータが、所定の閾値を超え、警報が発せられると、警報は、ステップ526において、Intdiff412パラメータがクリアされるまで毎日作動し続けるであろう。IntDiff412パラメータのクリアは、短期間平均STAインピーダンスがベースラインBLインピーダンスを交差する時に起こり、異常インピーダンスの証拠がもはや存在しないことを指示する。上述したように、警報状態の終了は、臨床医および患者にとって有利である。その理由は、警報状態の終了を使用して、警報状態の始動時にとられた補正動作(たとえば、利尿薬の投与量の増加)によって、状態を補正するのに成功したことが指示されるからである。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、ステップ534において、所定の時間期間の間で、1日当たり所定の回数収集される個々の処理前のインピーダンス測定値についての、次の有効な期間平均インピーダンス400が生成されると、ステップ536において、アルゴリズムをリセットするためのコマンドが、テレメトリ回路330を介して受信されたかどうかについての判断が行われる。この機構は、オプションであり、測定されたインピーダンスを急速に変える(経静脈的な利尿薬の投与などの)介入後に、BLおよびSTAの新しい初期値を確立するのに都合がよい。ユーザは、アルゴリズムが、即座にリセットするか、または、プログラム可能な遅延(たとえば、1週間)後にリセットするように指令することができる。遅延は、たとえば、患者が薬剤を摂取した後など、患者の状態が安定していると予想された後にだけリセットを強制するのに役立つ。アルゴリズムをリセットするためのコマンドは、たとえば、その全体が参照により本明細書に援用される、DeGroot他に対する、同一譲受人に譲渡された米国特許第5,836,975号に記載される作動(activation)を使用して受信されることができる。
【0080】
図14は、本発明の一実施形態による、インピーダンス変化を求める方法を示す方法のフローチャートである。図14に示す、インピーダンス変化を求める方法は、図9を参照して述べた方法と同じであるが、図14の実施形態のステップ600の初期化中に、ベースラインインピーダンスは、ステップ608において、デバイスの埋め込み中に医師によって入力される所定の値に等しくなるように設定される。ベースラインインピーダンスは、その後、計算された期間平均インピーダンスに応答して自動的に更新されるのではなく、インピーダンス変化を求めるプロセスの間中、この所定の値を維持する。結果として、図9の実施形態における、ベースラインインピーダンスを更新するステップ、すなわちステップ516は、図14の実施形態には含まれない。
【0081】
図15は、本発明の一実施形態に従って、初期の短期間平均インピーダンス値を得ることを示す例示的な略図である。図15に示すように、ベースラインインピーダンスは、ステップ600において、初期化中に得た所定の値を維持するため、図14の実施形態は、ステップ600においてパラメータが初期化されると、初期値が、ステップ606において、ベースラインインピーダンスについてではなく、短期間平均インピーダンスについてのみ求められる点で、図9の実施形態とは異なる。
【0082】
さらに、図14の実施形態では、有意のインピーダンス変化が起こったかどうかについての判断は、期間平均インピーダンスとベースラインインピーダンスの差の更新された積分(Intdiff)412が所定のIntdiff閾値416より小さいかどうかを判断することによって、ステップ630において行われる。本発明の別の実施形態によれば、有意のインピーダンス変化が起こったかどうかについての、ステップ630での判断は、短期間平均インピーダンスとベースラインインピーダンスの差STA−BLが所定の閾値418より小さいかどうかを判断することによって、また、さらに別の実施形態では、Intdiff412およびSTA−BLの任意の組み合わせがそれぞれの閾値416および418より小さいかどうかを判断することによって行われることができる。図14の実施形態に含まれるステップの残りは、図9の実施形態を参照して上述した対応するステップと同じであり、したがって、簡潔にするだけのために繰り返されない。
【0083】
プロセス中、ベースラインインピーダンスについての選択された所定の値を維持することによって、図14の実施形態は、臨床医が、患者の特定の生理的傾向を熟知し、その患者についてベースラインインピーダンスを特定の所定の値、たとえば、75オームに設定する能力を有することを望むことを可能にし、それによって、本発明に従ってインピーダンス変化を求めるプロセスを通してベースラインインピーダンスが所定の値を維持する。
【0084】
本発明による、経胸腔的インピーダンスの測定は、上述したように、肺のうっ血/浮腫の兆候の検出、ならびに、(インピーダンスの増加によって知らされる)患者の脱水、または、肺線維症、喘息、またはCOPDのような他の疾患プロセスの悪化の存在の検出に利用されることができる。
【0085】
上述した技法の一部は、図7に示す、マイクロプロセッサ224などのプログラム可能なプロセッサまたはペーサタイミングおよび制御回路部212のための命令を含むコンピュータ読み取り可能媒体として具体化されることができる。プログラム可能なプロセッサは、独立に、または、連携して動作し得る、1つまたは複数の個々のプロセッサを含むことができる。「コンピュータ読み取り可能媒体」は、フロッピィディスク、従来のハードディスク、CD−ROM、フラッシュROM、不揮発性ROM、RAM、および、磁気媒体または光記憶媒体などの、任意のタイプのコンピュータメモリを含むが、それに限定はしない。媒体は、プロセッサに、本発明に従って補充レート変動のセッションを始動するための、上述した任意の機構を実施させる命令を含むことができる。
【0086】
本発明の特定の実施形態が、示され述べられてきたが、変更を行ってもよい。したがって、添付の特許請求の範囲において、本発明の真の精神および範囲内に入る、全てのこうした変更および修正を包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態による埋め込み可能医療デバイスの略図である。
【図2】本発明の一実施形態による埋め込み可能医療デバイスの例示的な電極構成の略図である。
【図3】本発明を有効に実施することができる例示的な埋め込み可能医療デバイスの略図である。
【図4】本発明を有効に実施することができる例示的な埋め込み可能医療デバイスに備えられる監視回路の略図である。
【図5】本発明の一実施形態による、図4の監視回路で利用されるタイミングシーケンスのグラフィック表現である。
【図6】本発明を本発明の一実施形態に従って有効に実施することができる埋め込み可能医療デバイスの略図である。
【図7】本発明を有効に実施することができる図6に示すタイプの例示的な埋め込み可能医療デバイスの機能ブロック図である。
【図7A】本発明の一実施形態に従ってインピーダンスを測定する方法の略図である。
【図8】本発明の一実施形態に従って生成されたインピーダンスデータのグラフィック表現である。
【図8A】本発明の一実施形態に従って生成されたインピーダンスデータの例示的なグラフィック表現である。
【図9】本発明の一実施形態に従って、インピーダンスの変化を求める方法を示すフローチャートである。
【図10】インピーダンスの日内変動対体液過剰負荷状態のインピーダンス変動についてのグラフィック表現である。
【図11】本発明の一実施形態に従って、初期のベースラインインピーダンスおよび短期間平均インピーダンス値を得ることを示す例示的な略図である。
【図12】本発明の一実施形態による短期間平均インピーダンス値の更新を示す例示的な略図である。
【図13】本発明の一実施形態に従って、ベースラインインピーダンス値を更新することを示す例示的な略図である。
【図14】本発明の一実施形態による、インピーダンス変化を求める方法を示す方法のフローチャートである。
【図15】本発明の一実施形態に従って、初期の短期間平均インピーダンス値を得ることを示す例示的な略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイスであって、
測定されたインピーダンスを生成する手段と、
第1時間期間に対応する前記測定されたインピーダンスの適応的ベースライントレンドを生成する手段と、
前記第1時間期間より短い第2時間期間に対応する前記測定されたインピーダンスの短期間トレンドを生成する手段と、
前記適応的ベースライントレンドと、最も最近測定したインピーダンスと前記測定されたインピーダンスの前記短期間トレンドのうちの一方との間のインピーダンス変化のメトリックを生成する手段と、
を備える、患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項2】
前記メトリックは、前記適応的ベースライントレンドと前記測定されたインピーダンスの前記短期間トレンドの間の差である請求項1に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項3】
前記メトリックは、前記適応的ベースライントレンドと前記最も最近測定したインピーダンスの間の蓄積した差である請求項1に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項4】
前記メトリックは、前記短期間トレンドが前記適応的ベースライントレンドを横切る時にゼロに設定される請求項3に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項5】
前記適応的ベースライントレンドは、最初に、第1計算方式を使用して生成され、その後、該第1計算方式とは異なる第2計算方式を使用して生成される請求項1に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項6】
前記第1計算方式は第1レートで実施され、前記第2計算方式は、前記第1レートより小さい第2レートで実施される請求項5に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項7】
前記第1レートは、前記生成された測定されたインピーダンスの所定数に応答して計算される請求項6に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項8】
前記所定数は4に等しい請求項7に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項9】
前記短期間トレンドは、最初に、第1計算方式を使用して生成され、その後、該第1計算方式とは異なる第2計算方式を使用して生成される請求項1に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項10】
前記第1計算方式は第1レートで実施され、前記第2計算方式は、前記第1レートより小さい第2レートで実施される請求項9に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項11】
前記第1レートは、前記生成された測定されたインピーダンスの所定数に応答して計算される請求項10に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項12】
前記所定数は4に等しい請求項11に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項13】
前記インピーダンス変化のメトリックを所定閾値と比較し、該比較に応答して対応する有意事象を判断する手段をさらに備える請求項1に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項14】
前記有意事象は、該埋め込み可能医療デバイス内にデータを記憶すること、送出される治療を適用するか、または、変更すること、前記患者に通知すること、医療要員に通知すること、およびインピーダンス測定の頻度を変更すること、のうちの1つを含む請求項13に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項15】
前記測定されたインピーダンスは、12pm〜5pmの間に生成される請求項1に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項16】
前の2日間についての前記短期間トレンドおよび、当日と前記前の2日間について生成された前記測定されたインピーダンスの重き付き和を生成することによって、前記短期間トレンドを更新する手段をさらに備える請求項1に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項17】
前記現在の適応的ベースライントレンドが前記現在の短期間トレンドより大きいことに応答して、前記適応的ベースライントレンドを、所定の下方ドリフトだけ減少した前の適応的ベースライントレンドに等しくなるように設定することによって、また、前記現在の適応的ベースライントレンドが前記現在の短期間トレンドより小さいことに応答して、前記適応的ベースライントレンドを、所定の上方ドリフトだけ増加した前記前の適応的ベースライントレンドに等しくなるように設定することによって、前記適応的ベースライントレンドを更新する手段をさらに備え、前記上方ドリフトは前記下方ドリフトより大きい請求項1に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項18】
前記下方ドリフトはおよそ0.055オームに等しく、前記上方ドリフトはおよそ0.18オームに等しい請求項17に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項19】
前記判断された有意事象は、その後、前記短期間トレンドが前記適応的ベースライントレンドに等しいことに応答して終了する請求項14に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項20】
前記測定されたインピーダンスは、前記適応的ベースライントレンドおよび前記短期間トレンドを生成するよりも所定の日数前に生成される請求項1に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項21】
患者のインピーダンスの変化を検出する方法であって、
測定されたインピーダンスを生成すること、
第1時間期間に対応する前記測定されたインピーダンスの適応的ベースライントレンドを生成すること、
前記第1時間期間より短い第2時間期間に対応する前記測定されたインピーダンスの短期間トレンドを生成すること、および
前記適応的ベースライントレンドと、最も最近測定したインピーダンスと前記測定されたインピーダンスの前記短期間トレンドのうちの一方との間のインピーダンス変化のメトリックを生成すること、
を含む、患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項22】
前記メトリックは、前記適応的ベースライントレンドと前記測定されたインピーダンスの前記トレンドとの間の差である請求項21に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項23】
前記メトリックは、前記適応的ベースライントレンドと前記最も最近測定したインピーダンスの間の蓄積された差である請求項21に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項24】
前記短期間トレンドが前記適応的ベースライントレンドを横切る時に前記メトリックをゼロに設定することをさらに含む請求項23に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項25】
前記適応的ベースライントレンドは、最初に、第1計算方式を使用して生成され、その後、該第1計算方式とは異なる第2計算方式を使用して生成される請求項21に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項26】
前記第1計算方式は第1レートで実施され、前記第2計算方式は、前記第1レートより小さい第2レートで実施される請求項25に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項27】
前記第1レートは、前記生成された測定されたインピーダンスの所定数に応答して計算される請求項26に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項28】
前記所定数は4に等しい請求項27に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項29】
前記短期間トレンドは、最初に、第1計算方式を使用して生成され、その後、該第1計算方式とは異なる第2計算方式を使用して生成される請求項21に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項30】
前記第1計算方式は第1レートで実施され、前記第2計算方式は、前記第1レートより小さい第2レートで実施される請求項29に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項31】
前記第1レートは、前記生成された測定されたインピーダンスの所定数に応答して計算される請求項30に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項32】
前記所定数は4に等しい請求項31に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項33】
前記インピーダンス変化のメトリックを所定閾値と比較すること、および、該比較に応答して対応する有意事象を判断することをさらに含む請求項21に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項34】
前記有意事象は、前記埋め込み可能医療デバイス内にデータを記憶すること、送出される治療を適用するか、または、変更すること、前記患者に通知すること、医療要員に通知すること、およびインピーダンス測定の頻度を変更することのうちの1つを含む請求項33に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項35】
前記測定されたインピーダンスは12pm〜5pmの間に生成される請求項21に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項36】
前の2日間についての前記短期間トレンドおよび、当日と前記前の2日間について生成された前記測定されたインピーダンスの重き付き和を生成することによって、前記短期間トレンドを更新することをさらに含む請求項21に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項37】
前記現在の適応的ベースライントレンドが前記現在の短期間トレンドより大きいことに応答して、前記適応的ベースライントレンドを、所定の下方ドリフトだけ減少した前の適応的ベースライントレンドに等しくなるように設定することによって、また、前記現在の適応的ベースライントレンドが前記現在の短期間トレンドより小さいことに応答して、前記適応的ベースライントレンドを、所定の上方ドリフトだけ増加した前記前の適応的ベースライントレンドに等しくなるように設定することによって、前記適応的ベースライントレンドを更新することをさらに含み、前記上方ドリフトは前記下方ドリフトより大きい請求項21に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項38】
前記下方ドリフトはおよそ0.055オームに等しく、前記上方ドリフトはおよそ0.18オームに等しい請求項37に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項39】
前記判断された有意事象は、その後、前記短期間トレンドが前記適応的ベースライントレンドに等しいことに応答して終了する請求項34に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項40】
前記測定されたインピーダンスは、前記適応的ベースライントレンドおよび前記短期間トレンドを生成するよりも所定の日数前に生成される請求項21に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項41】
複数の電極と、
該複数の電極の電極によって形成されるベクトルに沿って複数の出力パルス信号を出力する出力回路と、
前記複数の出力パルス信号に応答して、対応する複数の測定信号を生成する測定回路と、
前記複数の出力パルス信号および所定の時間期間に対応する前記複数の測定信号に応答して、複数の期間平均インピーダンスを求め、第1時間期間に対応する前記複数の期間平均インピーダンスの期間平均インピーダンスの適応的ベースライントレンド、および、前記第1時間期間より短い第2時間期間に対応する前記複数の期間平均インピーダンスの期間平均インピーダンスの短期間トレンドを生成するマイクロプロセッサであって、前記ベースライントレンドと、最も最近の期間平均インピーダンスと前記短期間トレンドのうちの一方との間のインピーダンス変化のメトリックを生成する前記マイクロプロセッサと、を備える埋め込み可能医療デバイス。
【請求項42】
前記メトリックは、前記適応的ベースライントレンドと前記測定されたインピーダンスの前記短期間トレンドとの間の差である請求項41に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項43】
前記メトリックは、前記適応的ベースライントレンドと前記最も最近測定したインピーダンスとの間の蓄積した差である請求項41に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項44】
前記メトリックは、前記短期間トレンドが前記適応的ベースライントレンドを横切る時にゼロに設定される請求項43に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項45】
前記適応的ベースライントレンドおよび前記短期間トレンドは、最初に、第1計算方式を使用して生成され、その後、該第1計算方式とは異なる第2計算方式を使用して生成される請求項41に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項46】
前記第1計算方式は第1レートで実施され、前記第2計算方式は、前記第1レートより小さい第2レートで実施される請求項45に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項47】
前記第1レートは、前記生成された測定されたインピーダンスの所定数に応答して計算される請求項46に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項48】
前記所定数は4に等しい請求項47に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項49】
前記マイクロプロセッサは、前記インピーダンス変化のメトリックを所定の閾値と比較し、該比較に応答して、対応する有意事象を判断する請求項41に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項50】
前記有意事象は、該埋め込み可能医療デバイス内にデータを記憶すること、送出される治療を適用するか、または、変更すること、患者に通知すること、医療要員に通知すること、およびインピーダンス測定の頻度を変更すること、のうちの1つを含む請求項49に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項51】
前記マイクロプロセッサは、12pm〜5pmの間に前記複数の期間平均インピーダンスの各期間平均インピーダンスを求める請求項41に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項52】
前記マイクロプロセッサは、前の2日間についての前記短期間トレンドおよび、当日と前記前の2日間について求められた前記期間平均インピーダンスの重き付き和を生成することによって、前記短期間トレンドを更新する請求項41に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項53】
前記マイクロプロセッサは、前記現在の適応的ベースライントレンドが前記現在の短期間トレンドより大きいことに応答して、前記適応的ベースライントレンドを、所定の下方ドリフトだけ減少した前の適応的ベースライントレンドに等しくなるように設定することによって、また、前記現在の適応的ベースライントレンドが前記現在の短期間トレンドより小さいことに応答して、前記適応的ベースライントレンドを、所定の上方ドリフトだけ増加した前記前の適応的ベースライントレンドに等しくなるように設定することによって、前記適応的ベースライントレンドを更新し、前記上方ドリフトは前記下方ドリフトより大きい請求項41に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項54】
前記下方ドリフトはおよそ0.055オームに等しく、前記上方ドリフトはおよそ0.18オームに等しい請求項54に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項55】
前記判断された有意事象は、その後、前記短期間トレンドが前記適応的ベースライントレンドに等しいことに応答して終了する請求項50に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項56】
前記複数の期間平均インピーダンスの期間平均インピーダンスは、前記適応的ベースライントレンドおよび前記短期間トレンドを生成するよりも所定の日数前に求められる請求項41に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項57】
コンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体であって、該コンピュータ実行可能命令は、
測定されたインピーダンスを生成すること、
第1時間期間に対応する前記測定されたインピーダンスの適応的ベースライントレンドを生成すること、
前記第1時間期間より短い第2時間期間に対応する前記測定されたインピーダンスの短期間トレンドを生成すること、および
前記適応的ベースライントレンドと、最も最近測定したインピーダンスと前記測定されたインピーダンスの前記短期間トレンドのうちの一方との間のインピーダンス変化のメトリックを生成することを含む方法を行うためのものである、コンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体。
【請求項1】
患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイスであって、
測定されたインピーダンスを生成する手段と、
第1時間期間に対応する前記測定されたインピーダンスの適応的ベースライントレンドを生成する手段と、
前記第1時間期間より短い第2時間期間に対応する前記測定されたインピーダンスの短期間トレンドを生成する手段と、
前記適応的ベースライントレンドと、最も最近測定したインピーダンスと前記測定されたインピーダンスの前記短期間トレンドのうちの一方との間のインピーダンス変化のメトリックを生成する手段と、
を備える、患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項2】
前記メトリックは、前記適応的ベースライントレンドと前記測定されたインピーダンスの前記短期間トレンドの間の差である請求項1に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項3】
前記メトリックは、前記適応的ベースライントレンドと前記最も最近測定したインピーダンスの間の蓄積した差である請求項1に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項4】
前記メトリックは、前記短期間トレンドが前記適応的ベースライントレンドを横切る時にゼロに設定される請求項3に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項5】
前記適応的ベースライントレンドは、最初に、第1計算方式を使用して生成され、その後、該第1計算方式とは異なる第2計算方式を使用して生成される請求項1に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項6】
前記第1計算方式は第1レートで実施され、前記第2計算方式は、前記第1レートより小さい第2レートで実施される請求項5に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項7】
前記第1レートは、前記生成された測定されたインピーダンスの所定数に応答して計算される請求項6に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項8】
前記所定数は4に等しい請求項7に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項9】
前記短期間トレンドは、最初に、第1計算方式を使用して生成され、その後、該第1計算方式とは異なる第2計算方式を使用して生成される請求項1に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項10】
前記第1計算方式は第1レートで実施され、前記第2計算方式は、前記第1レートより小さい第2レートで実施される請求項9に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項11】
前記第1レートは、前記生成された測定されたインピーダンスの所定数に応答して計算される請求項10に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項12】
前記所定数は4に等しい請求項11に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項13】
前記インピーダンス変化のメトリックを所定閾値と比較し、該比較に応答して対応する有意事象を判断する手段をさらに備える請求項1に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項14】
前記有意事象は、該埋め込み可能医療デバイス内にデータを記憶すること、送出される治療を適用するか、または、変更すること、前記患者に通知すること、医療要員に通知すること、およびインピーダンス測定の頻度を変更すること、のうちの1つを含む請求項13に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項15】
前記測定されたインピーダンスは、12pm〜5pmの間に生成される請求項1に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項16】
前の2日間についての前記短期間トレンドおよび、当日と前記前の2日間について生成された前記測定されたインピーダンスの重き付き和を生成することによって、前記短期間トレンドを更新する手段をさらに備える請求項1に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項17】
前記現在の適応的ベースライントレンドが前記現在の短期間トレンドより大きいことに応答して、前記適応的ベースライントレンドを、所定の下方ドリフトだけ減少した前の適応的ベースライントレンドに等しくなるように設定することによって、また、前記現在の適応的ベースライントレンドが前記現在の短期間トレンドより小さいことに応答して、前記適応的ベースライントレンドを、所定の上方ドリフトだけ増加した前記前の適応的ベースライントレンドに等しくなるように設定することによって、前記適応的ベースライントレンドを更新する手段をさらに備え、前記上方ドリフトは前記下方ドリフトより大きい請求項1に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項18】
前記下方ドリフトはおよそ0.055オームに等しく、前記上方ドリフトはおよそ0.18オームに等しい請求項17に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項19】
前記判断された有意事象は、その後、前記短期間トレンドが前記適応的ベースライントレンドに等しいことに応答して終了する請求項14に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項20】
前記測定されたインピーダンスは、前記適応的ベースライントレンドおよび前記短期間トレンドを生成するよりも所定の日数前に生成される請求項1に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する埋め込み可能医療デバイス。
【請求項21】
患者のインピーダンスの変化を検出する方法であって、
測定されたインピーダンスを生成すること、
第1時間期間に対応する前記測定されたインピーダンスの適応的ベースライントレンドを生成すること、
前記第1時間期間より短い第2時間期間に対応する前記測定されたインピーダンスの短期間トレンドを生成すること、および
前記適応的ベースライントレンドと、最も最近測定したインピーダンスと前記測定されたインピーダンスの前記短期間トレンドのうちの一方との間のインピーダンス変化のメトリックを生成すること、
を含む、患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項22】
前記メトリックは、前記適応的ベースライントレンドと前記測定されたインピーダンスの前記トレンドとの間の差である請求項21に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項23】
前記メトリックは、前記適応的ベースライントレンドと前記最も最近測定したインピーダンスの間の蓄積された差である請求項21に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項24】
前記短期間トレンドが前記適応的ベースライントレンドを横切る時に前記メトリックをゼロに設定することをさらに含む請求項23に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項25】
前記適応的ベースライントレンドは、最初に、第1計算方式を使用して生成され、その後、該第1計算方式とは異なる第2計算方式を使用して生成される請求項21に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項26】
前記第1計算方式は第1レートで実施され、前記第2計算方式は、前記第1レートより小さい第2レートで実施される請求項25に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項27】
前記第1レートは、前記生成された測定されたインピーダンスの所定数に応答して計算される請求項26に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項28】
前記所定数は4に等しい請求項27に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項29】
前記短期間トレンドは、最初に、第1計算方式を使用して生成され、その後、該第1計算方式とは異なる第2計算方式を使用して生成される請求項21に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項30】
前記第1計算方式は第1レートで実施され、前記第2計算方式は、前記第1レートより小さい第2レートで実施される請求項29に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項31】
前記第1レートは、前記生成された測定されたインピーダンスの所定数に応答して計算される請求項30に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項32】
前記所定数は4に等しい請求項31に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項33】
前記インピーダンス変化のメトリックを所定閾値と比較すること、および、該比較に応答して対応する有意事象を判断することをさらに含む請求項21に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項34】
前記有意事象は、前記埋め込み可能医療デバイス内にデータを記憶すること、送出される治療を適用するか、または、変更すること、前記患者に通知すること、医療要員に通知すること、およびインピーダンス測定の頻度を変更することのうちの1つを含む請求項33に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項35】
前記測定されたインピーダンスは12pm〜5pmの間に生成される請求項21に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項36】
前の2日間についての前記短期間トレンドおよび、当日と前記前の2日間について生成された前記測定されたインピーダンスの重き付き和を生成することによって、前記短期間トレンドを更新することをさらに含む請求項21に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項37】
前記現在の適応的ベースライントレンドが前記現在の短期間トレンドより大きいことに応答して、前記適応的ベースライントレンドを、所定の下方ドリフトだけ減少した前の適応的ベースライントレンドに等しくなるように設定することによって、また、前記現在の適応的ベースライントレンドが前記現在の短期間トレンドより小さいことに応答して、前記適応的ベースライントレンドを、所定の上方ドリフトだけ増加した前記前の適応的ベースライントレンドに等しくなるように設定することによって、前記適応的ベースライントレンドを更新することをさらに含み、前記上方ドリフトは前記下方ドリフトより大きい請求項21に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項38】
前記下方ドリフトはおよそ0.055オームに等しく、前記上方ドリフトはおよそ0.18オームに等しい請求項37に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項39】
前記判断された有意事象は、その後、前記短期間トレンドが前記適応的ベースライントレンドに等しいことに応答して終了する請求項34に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項40】
前記測定されたインピーダンスは、前記適応的ベースライントレンドおよび前記短期間トレンドを生成するよりも所定の日数前に生成される請求項21に記載の患者のインピーダンスの変化を検出する方法。
【請求項41】
複数の電極と、
該複数の電極の電極によって形成されるベクトルに沿って複数の出力パルス信号を出力する出力回路と、
前記複数の出力パルス信号に応答して、対応する複数の測定信号を生成する測定回路と、
前記複数の出力パルス信号および所定の時間期間に対応する前記複数の測定信号に応答して、複数の期間平均インピーダンスを求め、第1時間期間に対応する前記複数の期間平均インピーダンスの期間平均インピーダンスの適応的ベースライントレンド、および、前記第1時間期間より短い第2時間期間に対応する前記複数の期間平均インピーダンスの期間平均インピーダンスの短期間トレンドを生成するマイクロプロセッサであって、前記ベースライントレンドと、最も最近の期間平均インピーダンスと前記短期間トレンドのうちの一方との間のインピーダンス変化のメトリックを生成する前記マイクロプロセッサと、を備える埋め込み可能医療デバイス。
【請求項42】
前記メトリックは、前記適応的ベースライントレンドと前記測定されたインピーダンスの前記短期間トレンドとの間の差である請求項41に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項43】
前記メトリックは、前記適応的ベースライントレンドと前記最も最近測定したインピーダンスとの間の蓄積した差である請求項41に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項44】
前記メトリックは、前記短期間トレンドが前記適応的ベースライントレンドを横切る時にゼロに設定される請求項43に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項45】
前記適応的ベースライントレンドおよび前記短期間トレンドは、最初に、第1計算方式を使用して生成され、その後、該第1計算方式とは異なる第2計算方式を使用して生成される請求項41に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項46】
前記第1計算方式は第1レートで実施され、前記第2計算方式は、前記第1レートより小さい第2レートで実施される請求項45に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項47】
前記第1レートは、前記生成された測定されたインピーダンスの所定数に応答して計算される請求項46に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項48】
前記所定数は4に等しい請求項47に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項49】
前記マイクロプロセッサは、前記インピーダンス変化のメトリックを所定の閾値と比較し、該比較に応答して、対応する有意事象を判断する請求項41に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項50】
前記有意事象は、該埋め込み可能医療デバイス内にデータを記憶すること、送出される治療を適用するか、または、変更すること、患者に通知すること、医療要員に通知すること、およびインピーダンス測定の頻度を変更すること、のうちの1つを含む請求項49に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項51】
前記マイクロプロセッサは、12pm〜5pmの間に前記複数の期間平均インピーダンスの各期間平均インピーダンスを求める請求項41に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項52】
前記マイクロプロセッサは、前の2日間についての前記短期間トレンドおよび、当日と前記前の2日間について求められた前記期間平均インピーダンスの重き付き和を生成することによって、前記短期間トレンドを更新する請求項41に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項53】
前記マイクロプロセッサは、前記現在の適応的ベースライントレンドが前記現在の短期間トレンドより大きいことに応答して、前記適応的ベースライントレンドを、所定の下方ドリフトだけ減少した前の適応的ベースライントレンドに等しくなるように設定することによって、また、前記現在の適応的ベースライントレンドが前記現在の短期間トレンドより小さいことに応答して、前記適応的ベースライントレンドを、所定の上方ドリフトだけ増加した前記前の適応的ベースライントレンドに等しくなるように設定することによって、前記適応的ベースライントレンドを更新し、前記上方ドリフトは前記下方ドリフトより大きい請求項41に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項54】
前記下方ドリフトはおよそ0.055オームに等しく、前記上方ドリフトはおよそ0.18オームに等しい請求項54に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項55】
前記判断された有意事象は、その後、前記短期間トレンドが前記適応的ベースライントレンドに等しいことに応答して終了する請求項50に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項56】
前記複数の期間平均インピーダンスの期間平均インピーダンスは、前記適応的ベースライントレンドおよび前記短期間トレンドを生成するよりも所定の日数前に求められる請求項41に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項57】
コンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体であって、該コンピュータ実行可能命令は、
測定されたインピーダンスを生成すること、
第1時間期間に対応する前記測定されたインピーダンスの適応的ベースライントレンドを生成すること、
前記第1時間期間より短い第2時間期間に対応する前記測定されたインピーダンスの短期間トレンドを生成すること、および
前記適応的ベースライントレンドと、最も最近測定したインピーダンスと前記測定されたインピーダンスの前記短期間トレンドのうちの一方との間のインピーダンス変化のメトリックを生成することを含む方法を行うためのものである、コンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2006−508743(P2006−508743A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557546(P2004−557546)
【出願日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2003/038440
【国際公開番号】WO2004/050178
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(591007804)メドトロニック・インコーポレーテッド (243)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2003/038440
【国際公開番号】WO2004/050178
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(591007804)メドトロニック・インコーポレーテッド (243)
【Fターム(参考)】
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