説明

脂質低下特性を有する化合物

LDLコレステロール、トリグリセリド、総コレステロール及びそれらの混合物で構成される群から選択される脂質の血中濃度を低下させる治療法が提供され、この治療法は、1以上の電子伝達剤の有効量の1以上のリン酸エステル誘導体を投与する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、1以上の下記の脂質:LDLコレステロール、トリグリセリド及び総コレステロールの循環血液濃度を低下させるための修飾した電子伝達剤の能力を利用する治療法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本明細書において、知見に関する文献、論文又は記事が言及され又は検討される場合、この言及又は検討は、知見に関する文献、論文若しくは記事又はそれらの組み合わせは、優先日において公衆に利用可能であり、公知であり、一般的な技術常識の一部であり;あるいは、本明細書が関わる任意の課題を解決する試みに関係することが知られているという承認ではない。
【0003】
下記の説明は、心臓血管疾患に関するものであるが、これは単なる例証であり、本発明は心臓血管疾患に限定されないが、本発明はまた脂質濃度増加を伴う任意の状態に同様に関することが理解されるべきである。
【0004】
心疾患及び発作を含む心臓血管疾患(CVD)は、西洋社会における死因の第一位である。これは、血管平滑筋細胞(SMC)の過剰増殖、総コレステロール及び低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールの上昇を含む多数の因子によるものと信じられている。ダイエット及びエクササイズを含む生活習慣の変化が介入の推奨される第一線であるが、薬物療法は単にしばしば使用されるだけでなく、しばしば正当化されもする。
【0005】
同様のものとしてしばしば考えられるが、心疾患及び心臓血管疾患は異なり、身体の異なる部分に関与する。心疾患は、心臓内の心臓及び血管系の疾患にのみ言及する。心臓血管疾患は、心臓の疾患、及び個体の全身、例えば脳、脚及び肺内の血管系(動脈、毛細血管、静脈)の疾患を意味する。「心臓の(cardio)」は心臓を意味し、そして、「血管の(vasclar)」は血管系を意味する。
【0006】
心臓は、握りこぶしよりも僅かに大きい強靭な筋肉ポンプである。それは、循環系である血液が身体中を流れるのを可能にする弾性管のネットワークを通じて、連続的に血液をポンプで送る。循環系は、1つの主要な臓器、心臓及び肺、そして血管(動脈、毛細血管、及び静脈)を含む。動脈及び毛細血管は、心臓及び肺から身体の全部に酸素及び栄養素に富んだ血液を運搬する。静脈は、酸素及び栄養素を使い尽くした血液を心臓及び肺まで戻すように運搬する。心臓及び血管の問題は、急速には起こらない。時間とともに、血液を心臓及び脳にもたらす動脈は、細胞、脂肪及びコレステロールの積層(プラーク)から遮断されるようになり得る。動脈における遮断による心臓への血流の減少は、心臓発作を引き起こす。血液凝固による脳への血流の欠如、又は血管の破壊による脳内での出血は、脳梗塞をを引き起こす。
【0007】
心臓及び心臓血管疾患の多くの形態があり、下記のものはこれらの疾患の最も一般的なもののリストである。
・冠状動脈性心臓病(又は冠動脈疾患)
・狭心症
・発作
・高血圧(又は高血圧症)
・心不全
【0008】
多くのものが個体を心臓及び心臓血管疾患に対する危険に置くことができる。個体が危険な因子(又は危険を増加するもの)を有すれば有するほど、心臓及び心臓血管疾患が発症するであろう機会が大きくなる。
【0009】
因子は下記を含む。
・年齢
・喫煙(能動又は受動)
・高血圧
・高い血中コレステロール
・運動不足
・体重超過
・糖尿病
【0010】
歳を重ねること、家族の健康経歴、及び人種のような制御することができない一部の因子がある。しかしながら、心臓及び心臓血管疾患の3つの最大の危険因子−喫煙、高血圧、及び高い血中コレステロールを制御することが可能である。低飽和脂肪、コレステロールの低い食事を摂取すること、及び規則的にエクササイズを行うことは、優れた健康習慣である。これらの良好な健康習慣は、血圧を下げ、そして血糖及び血中コレステロール濃度を健全に保つであろう。
【0011】
コレステロールは、肝臓によって生産される脂肪物質であり、身体の至る所に見出される。身体は、細胞膜、ホルモン、ビタミンD、及び脂肪を消化するのを手助けする胆汁酸を生産するためにコレステロールを使用する。これらの必要性を満たすのは、血中のほんの少量のコレステロールを要し、そして、肝臓は、身体が必要とするコレステロールの全てを生産する。
【0012】
コレステロールはまた、食物から蓄積される。肉、全乳製品、卵黄、鶏肉及び魚のような動物食品中のコレステロールを過剰に摂取することは、コレステロール濃度を増加し得る。しかしながら、食事中の飽和脂肪は、コレステロール濃度の上昇を引き起こす主要な問題の原因である。
【0013】
コレステロールは、リポタンパク質と呼ばれるパッケージに血液を通じて移動する。低密度リポタンパク質(LDL)及び高密度リポタンパク質(HDL)は2種類のリポタンパク質である。LDLは、しばしば「悪玉」コレステロールと呼ばれ、これは、血液を心臓に運搬する動脈内に積層し遮断し得るためである。HDLは、「善玉」コレステロールとして知られ、これは、動脈内に積層及び遮断することを避けるように血液からコレステロールを除去するのを手助けするためである。
【0014】
必要に応じて、コレステロール濃度を低下させるために使用される薬剤は、生活習慣の変化に沿って使用される。コレステロールを低下する治療の主要な目的は、心臓疾患になるか又は心臓発作を有する危険を低減するのに十分なLDL(悪玉コレステロール)濃度を低下させることである。スタチン、胆汁酸金属イオン封鎖剤、ニコチン酸、及びフィブリン酸を含むコレステロール低下に利用可能な薬物には幾種かある。各クラスの薬物は、それ自身の利点、副作用及び注意点を有する。
【0015】
【表1】

【0016】
【表2】

【0017】
*全てのタイプのコレステロール低下剤−コレステロール吸収阻害剤の可能な例外を含む−は、肝機能の異常を引き起こすかもしれない。
【0018】
これらのコレステロール低下剤は、心臓疾患の危険を低減するのに非常に重要である一方で、ひとたび所望の濃度に達成した場合には、その濃度を維持するために薬物を無期限に摂取することを継続する必要があるというそれら全てにマイナス面がある。
【0019】
このように、現在の薬物よりも少ない副作用を有し、薬物投与の無期限的な必要性へと導かない脂質濃度を低下するために必要とされ得る製剤物質に対する必要性がある。
【0020】
トコフェロール
α−トコフェロール(ビタミンE)の低濃度は、冠状動脈性心臓病の発生率の増加と関連している。反対に、α−トコフェロールの摂取の増加は、心臓疾患に対して保護効果を有することが示されている。ビタミンEは抗酸化剤であるため、LDLの酸化を阻害することによってアテローム性動脈硬化症の原因を標的化すると考えられる。研究はまた、アテローム硬化性プラークの形成を阻害できるビタミンEの潜在的な非抗酸化的な機構の調査に取り掛かっている。このような応答は、平滑筋細胞の増殖の阻害、内皮機能の阻害、単球内皮接着の阻害、単球反応性酸素種及びサイトカイン放出の阻害、及び血小板接着及び凝集の阻害を含む。しかしながら、ビタミンEを用いた臨床試験は、アテローム性動脈硬化症の治療を示すことには疑わしかった。したがって、現在のビタミンEサプルメントは、アテローム性動脈硬化症に対抗するための有用な臨床的選択物ではない。
【0021】
国際特許出願WO03/026673において、リン酸トコフェリルを含むビタミンの増加した貯蔵濃度を有することは、冠状動脈性心臓病、アテローム性動脈硬化症及び糖尿病のような炎症性状態を緩和又は治療に有益であり得たことが開示される。しかしながら、コレステロールのような脂質の血中濃度の低下については開示されていない。炎症の過程は、一連の複雑な経路を伴う。これらの経路は、脂質代謝、コレステロール摂取等の経路に関与しない。
【0022】
リン酸トコフェリルはまた、国際特許出願WO2004/064831には、単球/マクロファージの増殖、平滑筋細胞の増殖、CD36受容体の発現及び酸化LDLの摂取の阻害に関連した特性を有するとして開示されている。しかしながら、コレステロールのような脂質の血中濃度の低下については開示がない。CD36がアルツハイマー病及びアテローム性動脈硬化症において蓄積するタンパク質に応答した変化を促進することを示した多くの研究がある。これらの過程は、脂質代謝を扱うことはない。例えば、マラリア治療及びアルツハイマー治療のような薬物は、CD36発現を目的とするが、脂質プロフィールを変更しない。
【発明の開示】
【0023】
発明の概要
電子伝達剤のリン酸エステル誘導体は、1以上の下記の脂質:
・LDLコレステロール
・トリグリセリド、及び
・総コレステロール
の血中濃度の低下では、非リン酸化電子伝達剤より効果的であることが驚くべきことに現在見出された。
【0024】
本発明の第一の側面によれば、LDLコレステロール、トリグリセリド、総コレステロール及びそれらの混合物で構成される群から選択される脂質の血中濃度を低下させるための治療法が提供され、その治療法は、1以上の電子伝達剤の有効量の1以上のリン酸誘導体を投与する工程を含む。
【0025】
当業者は、本発明の治療法が、1以上の下記の脂質:LDLコレステロール、トリグリセリド、及び総コレステロールの血中濃度の増加に関連した疾患の治療上の処置に関して有用であろうと理解するであろう。このような疾患の例には、限定されないが、心臓血管疾患、アテローム性動脈硬化症、真性糖尿病、慢性腎疾患、一次性及び二次性高脂血症及び異常脂質血症、網膜症、肝臓及び脾臓肥大、並びに黄色腫が含まれる。
【0026】
このように本発明は、心臓血管疾患、アテローム性動脈硬化症、真性糖尿病、慢性腎疾患、一次性及び二次性高脂血症及び異常脂質血症、網膜症、肝臓及び脾臓肥大、黄色腫及びそれらの組み合わせからなる群から選択される疾患の症状緩和、治療又は予防のための治療法を含み、その治療法は、1以上の電子伝達剤の有効量の1以上のリン酸エステル誘導体を含む医薬製剤を該疾患を有する又は発症する危険にある患者に投与することを含む。
【0027】
更なる側面において、本発明は、LDLコレステロール、トリグリセリド、総コレステロール及びそれらの混合物からなる群から選択される脂質の血中濃度を低下させるために使用される場合の医薬組成物を提供し、その組成物は、1以上の電子伝達剤の有効量の1以上のリン酸エステル誘導体を含む。
【0028】
更なる側面において、本発明は、LDLコレステロール、トリグリセリド、総コレステロール及びそれらの混合物からなる群から選択される脂質の血中濃度を低下させる薬剤の製造において、適切な担体又は希釈剤とともに、1以上の電子伝達剤の有効量の1以上のリン酸エステル誘導体の使用に関する。
【0029】
本発明の別の側面において、LDLコレステロール、トリグリセリド、総コレステロール及びそれらの混合物から選択される脂質の血中濃度を低下させる治療法が提供され、その治療法は、1以上の電子伝達剤の有効量の1以上のリン酸エステル誘導体を輸送する工程を含む。この側面の一態様において、1以上の電子伝達剤の有効量の1以上のリン酸エステル誘導体は、プロドラッグとして輸送される。
【0030】
好ましくは、患者は動物であり、より好ましくは、動物はヒトである。
用語「有効量」は、1以上の下記の脂質:LDLコレステロール、トリグリセリド、及び総コレステロールの循環血中濃度を低下させるのに十分な量を意味するものとして本明細書中では使用される。当業者は、この量は患者ごとに変化するであろうし、通常、特別な患者への臨床投与を伴う経験から決定されることを理解するであろう。
【0031】
用語「電子伝達剤」は、リン酸化されてもよく、そして、(非リン酸化形態で)相対的に安定な分子ラジカルを生じるような電子を受容し、又は化合物が可逆的な酸化還元系に参加するような2つの電子を受容することができる化学物質群を意味するもとして本明細書中では使用される。リン酸化されてもよい電子伝達剤化合物群の例には、鏡像異性形態のアルファ、ベータ、ガンマ及びデルタトコールを含むヒドロキシクロマン;ビタミンK1及びユビキノンの還元形態であるキノール;レチノールを含むヒドロキシカロテノイド;カルシフェロール及びアスコルビン酸が含まれる。好ましくは、電子伝達剤は、トコフェロール及び他のトコール、レチノール、ビタミンK1及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0032】
より好ましくは、電子伝達剤は、トコール及びその混合物からなる群から選択される。トコールは、6:ヒドロキシ 2:メチルクロマン(下記の構造を参照されたい)(ここで、R1、R2及びR3は、水素又はメチル基、即ち、α−5:7:8トリ−メチル;β−5:8ジ−メチル;γ−7:8ジ−メチル;及びδ8メチル誘導体であってもよい)の誘導体の全ての異性体を含む。トコフェロールにおいて、R4は、4:8:12トリ−メチルトリデシルによって置換され、種々の立体異性体及び光学異性体(キラル中心は*によって示される)を含む。トコトリエノールにおいて、R4は、4:8:12トリ−メチルトリデカ−3:7:11トリエンによって置換され、2位がR又はS立体異性体として立体活性であってもよい。最も好ましくは、電子伝達剤は、α−トコフェロール、δ−トコフェロール、γ−トコフェロール、α−トコトリエノール、δ−トコトリエノール、γ−トコトリエノール及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0033】
【化1】

【0034】
用語「リン酸エステル誘導体」は、リン酸基のリン原子に酸素を用いて共有結合した化合物、即ち、炭素−酸素−リン結合を形成した化合物を意味するものとして本明細書中において使用される。酸素原子は、典型的には、電子伝達剤上のヒドロキシル基から誘導される。この用語は、リン酸化した電子伝達剤の酸形態、ナトリウム、マグネシウム、カリウム及びカルシウムのような金属塩を含むリン酸エステルの塩、そして、リン酸エステルプロトンがエチル若しくはメチル基又はホスファチジル基のような他の置換基によって置換される任意の他の誘導体を含む。この用語は、リン酸エステル誘導体、特に、リン酸化反応に起因するもの、並びに各々のリン酸エステル誘導体単独を含む。例えば、この用語は、リン酸モノ−トコフェリル(TP)及びリン酸ジ−トコフェリル(T2P)の混合物、並びに各々のTP及びT2Pを含む。適切な混合物は、国際特許出願PCT/AU01/01475に記載される。
【0035】
好ましくは、1以上の電子伝達剤の1以上のリン酸エステル誘導体は、リン酸モノ−トコフェリル、リン酸ジ−トコフェリル、リン酸モノ−トコトリエニル、リン酸ジ−トコトリエニル及びそれらの混合物からなる群から選択される。1つの好ましい実施態様において、1以上の電子伝達剤の1以上のリン酸エステル誘導体は、1以上のリン酸モノ−トコフェリル、リン酸ジ−トコフェリル、リン酸モノ−トコトリエニル及びリン酸ジ−トコトリエニルの混合物である。
【0036】
ある状況では、水溶性の増加のような追加の特性が好ましい場合に、ホスファチドのようなリン酸エステル誘導体を使用することが必要であるかもしれない。ホスファチジル誘導体は有機リン酸エステルのアミノアルキル誘導体である。これらの誘導体は、R12N(CH2nOH(ここで、nは1〜6の間の整数であり、そして、R1及びR2はH又は3個若しくはそれより少ない数の炭素を含む短いアルキル鎖のいずれかであってもよい)の構造を有するアミンから調製されてもよい。R1及びR2は、同じか又は異なっていてもよい。ホスファチジル誘導体は、電子伝達剤のヒドロキシルプロトンをリン酸エステル実在物で置換し、次に、エタノールアミン又はN,N’ジメチルエタノールアミンのようなアミンと反応させて、電子伝達剤のホスファチジル誘導体を生じるように調製される。ホスファチジル誘導体の調製の1つの治療法は、オキシ塩化リンを含むピリジン又はトリエチルアミンのような塩基性溶媒を使用し、次にアミンのヒドロキシ基と反応させる中間体を調製し、PコリルPトコフェリル二水素リン酸エステルのような対応するホスファチジル誘導体を製造する。
【0037】
ある状況では、電子伝達剤のリン酸エステル誘導体の複合体はまた、改善された安定性又は輸送性のような追加の特性が有用であるかもしれない場合に利用されてもよい。用語「リン酸エステル誘導体の複合体」は、1以上の電子伝達剤のリン酸エステル誘導体と、国際特許出願PCT/AU01/01476(参照により本明細書中に援用される)に開示される両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、窒素原子官能基を有するアミノ酸及びこれらのアミノ酸に富んだタンパク質からなる群から選択される1以上の複合化剤との反応産物を意味する。これらのアミノ酸に富んだタンパク質の例には、タンパク質カゼイン種々の形態のように、少なくとも62分の1のアルギニンのようなアミノ酸、少なくとも83分の1のヒスチジン、又は少なくとも65分の1のリジンを有するタンパク質である。他の例には、インスリン、副甲状腺ホルモン(PTH)、グルカゴン、カルシトニン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、プロラクチン、インターフェロン−α及び−β及び−γ、ロイテニシング(leutenising)ホルモン(LH)(ゴナドトロピン放出ホルモンとしても知られる)、卵胞刺激ホルモン(FSH)及びコロニー刺激因子(CSF)が含まれる。これらの大部分の例のアミノ酸組成は、表に列挙される。
【0038】
【表3】

【0039】
【表4】

【0040】
好ましい複合化剤は、アルギニン、リジン及び3級置換アミン、例えば、下記の式:
NR123
(式中、
1は、C6〜C22の直鎖又は分岐鎖を混合したアルキルラジカル及びそのカルボニル誘導体で構成される群から選択され;
2及びR3は、H、CH2COOX、CH2CHOHCH2SO3X、CH2CHOHCH2OPO3X、CH2CH2COOX、CH2COOX、CH2CH2CHOHCH2SO3X又はCH2CH2CHOHCH2OPO3Xで構成される群から独立して選択され、及びXは、H、Na、K又はアルカノールアミンであり、ただし、R2及びR3は両方ともHではなく;そして
1がRCOである場合、R2はCH3であってもよく、及びR3は(CH2CH2)N(C24OH)−H2CHOPO3であってよく、あるいはR2及びR3は共にN(CH22N(C24OH)CH2COO−であってもよい)
によるものからなる群から選択される。
【0041】
複合化がアルカリ性窒素中心とリン酸エステルとの間に起こり、安定な複合体を形成する場合、好ましい複合化剤は、アルギニン、リジン又はラウリルイミノジプロピオン酸を含む。
【0042】
電子伝達剤のリン酸エステル誘導体は、様々な剤形、例えば、サプルメント、経腸栄養物、非経口剤形、坐剤、経口剤形、肺及び鼻輸送形態、パッチ及びクリームを含む皮膚輸送を通じてヒト又は動物に投与されてもよい。
【0043】
例えば、電子伝達剤のリン酸エステル誘導体は、経口又は非経口投与される剤形によって投与されてもよい。これらは、錠剤、粉末剤、チュアブル錠、カプセル錠、経口用懸濁液、懸濁液、乳化液又は流動物、小児用製剤、経腸栄養物、栄養補給食品、及び機能性食品を含む。
【0044】
剤形は、スターチ又は高分子性結合剤、甘味剤、着色剤、乳化剤、被覆剤等のような剤形の調製に日常的に調製される任意の添加剤をさらに含んでもよい。他の適した添加剤は、当業者に容易に明確となるであろう。
【0045】
一態様において、剤形は、国際特許出願PCT/AU01/01206に開示される腸溶被覆剤であり、本文献は参照により本明細書中に援用される。
一態様において、剤形は、国際特許出願PCT/AU02/01003に開示される局所製剤であり、本文献は参照により本明細書中に援用される。
【0046】
剤形は、電子伝達剤のリン酸エステル誘導体の活性を拮抗しない他の医薬化合物を含有してもよい。他の医薬化合物は、1以上の電子伝達剤の1以上のリン酸エステル誘導体の前、共に又は後に投与されてもよい。好ましくは、他の医薬化合物は、心臓及び心臓血管疾患用薬物、並びに高コレステロール血症用及び異常脂質血症用化合物である。より好ましくは、他の医薬化合物は、エゼチミブのようなコレステロール吸収阻害剤、トルセトラピブのようなコレステロールエステル輸送タンパク質、他のHDL増加医薬化合物、スタチン、スタチンのリン酸エステル誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択される。適切なスタチンの例には、プロバスタチン、ロバスタチン及びアトルバスタチン並びにそれらのリン酸エステルが含まれる。
【0047】
好ましくは、患者は動物である。より好ましくは、動物は哺乳動物である。最も好ましくは、動物はヒトである。
本発明の種々の実施態様/側面は、下記の図面を参照してここに説明されるであろう。
【実施例】
【0048】
実施例
本発明の種々の実施態様/側面は、下記の非制限的な実施例を参照してここに説明されるであろう。
【0049】
実施例1
本実施例は、十分に受容されたCVDマウスモデル、アポリポタンパク質E(APOE)マウスにおけるリン酸トコフェリル混合物の潜在的な抗CVD効果を評価する。抗CVD効果は、上昇した血漿中のコレステロール、トリグリセリド及びLDL濃度における減少によって評価される。
【0050】
APOEノックアウトマウスモデルは、ヒト疾患の一部として臨床的に観察される特性の多くを模倣するので、心臓血管研究に幅広く使用されてきた。APOEノックアウトマウスは、約6ヶ月齢から循環脂質濃度の上昇を示す。これらの動物を高脂肪、高コレステロール食餌(即ち、21%脂肪、0.15%コレステロール)に置き換えることは、CVDを悪化させ、したがって、これらの症状がより早く観察される。
【0051】
方法
動物:雄性APOEノックアウトマウス(15〜20g)をAnimal Resource Centre,Perth,Australiaから得た。それらにGlen Forrest Stockfeeders,W.A.,Australiaの21%脂肪及び0.15%コレステロールのローデントペレットを含有したビタミンEを除いた食餌を与えた。マウスは、採光を取り入れた標準的な実験室用ケージに収容し、使用前の少なくとも7日間は慣れさせた。
【0052】
現研究では、APOEマウスは、全8週間、高脂肪、高コレステロール食餌に置いた。この食餌中の4週間は、動物は、強制的な経口投与により、ベヒクル(1% CMC)、100mg/kgの酢酸トコフェロール(TA)、又は33.25、66.5若しくは133mg/kgのTP混合物(TPm)で毎日処置された。これらのマウスのCDVにおける任意の改善の評価は、処置中、規則的な間隔で採取される血液を必要とし、処置期間の最後にプラーク形成の評価のために、脂質濃度及び大動脈弓の切断を評価した。
【0053】
試薬:
酢酸トコフェロール(TA)(SigmaカタログNo.T−3001)
リン酸モノトコフェリルとリン酸ジトコフェリルを2:1の比で含有するリン酸トコフェリル混合物(TPm)(ハウスバッチNo.SGNaTPm/21−10−04で製造)
【0054】
カルボキシメチルセルロース(SigmaカタログNo.C−5678)
Milli Q水(自家供給)
【0055】
製剤調製:TPm及びTAの溶液は、下記の濃度で1% カルボキシメチルセルロース(CMC)で調製した:TAについては、15mg/ml;そして、TPmについては、TA 100mg/kgでマウスに投薬するための4.99、9.98及び19.95mg/ml、及びそれぞれTPm 33.25、66.5及び133mg/kg。これらの溶液の調製において、各化合物の適切な量は、1% CMCにおいて調製され、次に温水(約50℃)の水浴超音波に15分間置いた。(TPm投薬量133mg/kgは、TA100mg/kgに均等な投薬量として使用される。したがって、次の66.5及び33.25mg/kg投薬量は、それぞれTA100mg/kg投薬量に均等な50及び25%である。)
【0056】
投薬:マウスを毎週計量し、各化合物の投薬量は、投薬するその週のこの体重に基づいて計算した。動物は、ステンレススチールの強制投与針を用いて、処置期間の毎朝AM7:30〜AM11:00の間に投薬した。
【0057】
血液採取:3つの場合で、マウスをしっかりと固定し、尾を傷つけ、約50μlの血液をCapiject(商標)チューブに回収した。次に、脂質分析(即ち、総コレステロール、トリグリセリド、HDL及びLDL測定、Gribbles Pathologyによって実行される)については、チューブを8,000×gで遠心し、血漿を回収した。
【0058】
マウスは、試験の開始前(採取前)、それぞれの食餌の4週間の終わり(化合物処置の開始前)及び処置期間の2週間で採血した。処置期間の終わりに、CO2窒息によって屠殺した後、心臓から直接的に動物から血液を回収した。高脂肪及び高コレステロール食餌においたAPOEマウスは、この飼育期間中、血漿コレステロール、LDL及びトリグリセリド濃度が2〜3倍に増加した。これらのマウスは、すでにアテローム発生性の食餌に置くことなしに空腹時脂質濃度を非常に上昇させたので、この濃度は非常に高いと考えられた。これは、これらの上昇した脂質濃度を減少させるためのTPmの有効性を評価するのに良好な開始点であると考えられた。
【0059】
血漿トリグリセリドの分析:血漿トリグリセリドの測定は、トリグリセリド測定キット(Sigma、カタログNo.TR0100)を使用して行った。この手法は、グリセロール及び遊離脂肪酸に対するトリグリセリドのリパーゼによる酵素的加水分解を伴う。次に、産生したグリセロールは、下記に示される連動した酵素反応によって測定される:
【0060】
【表5】

【0061】
キットの試薬は、製造業者による取扱説明書により調製される。遊離グリセロール標準試薬及び試料は、室温まで暖めた。一連のキュベットは、ブランク、標準及び試料について調製した。0.8mlの遊離グリセロール試薬を各キューブに添加し、続いてそれぞれ10μlの水、グリセロール標準又は血漿を添加した。試料を倒置によって混合し、37℃で5分間インキュベートした。次に、吸光度を540nmで読み、初期吸光度(IA)として記録する。次いで、0.2mlのトリグリセリド試薬を各キュベットに添加し、倒置によって再度混合し、そして、さらに5分間37℃でインキュベートする。次に、最終吸光度(FA)を540nmで読み記録する。血漿中の全トリグリセリド濃度は、下記:
全トリグリセリド={(FA試料−FAブランク)/(FA標準−FAブランク)}*標準の濃度
のように計算される。
【0062】
血漿コレステロールの分析:血漿コレステロールの測定は、Infinity(商標)コレステロール試薬キット(Thermo Electron Corp.、カタログNo.TR13521)を使用して行った。試薬は、下記の反応に基づく:
【0063】
【表6】

【0064】
(1)コレステロールエステルは、コレステロールエステラーゼによって、コレステロールと遊離脂肪酸に酵素的に分解される。
(2)次に、遊離コレステロールは、元々存在するものを含み、コレステロールオキシダーゼによって、コレスト−4−エン−3−オンと過酸化水素に酸化される。
(3)過酸化水素をHBA及び4−アミノアンチピリンと一緒にし、500〜550nmで定量されてもよいクロモフォア(キノネイミン色素)を形成する。
【0065】
血漿をコレステロール試薬(商標)(1:100)とともにインキュベートする。例えば、3μlの試料体積は、マイクロタイタープレート中でコレステロール試薬(商標)の300μlとともにインキュベートし、37℃で5分間インキュベートする。これは、キットで同様に供給されるに較正物(calibrator)ついて行った。
【0066】
次に、総コレステロールは下記:
コレステロール=Δ{(未知のΔAbs/分)/(較正のAbs/分)}*較正物濃度
のように計算される。
【0067】
例:
較正物の吸光度=0.35
未知体の吸光度=0.25
較正物の値=7.0mmol/L
コレステロール=0.25/0.35×7.0=5.0mmol/L
【0068】
血漿HDLの分析:HDLの測定は、Infinity(商標)HDLコレステロール試薬キット(Thermo Electron Corp.、カタログNo.TR39601)を使用して行った。
【0069】
血漿(4μl)をマイクロタイタープレートに置き、300μlの試薬1と共に37℃で5分間インキュベートし、さらに、100μlの試薬2の添加後3分間インキュベートする。次に、吸光度を600nmで読む。コレステロールキットに関して、キットで同時に供給される較正物は較正に使用される。
【0070】
血漿LDLの分析:LDLの測定は、Infinity(商標)LDLコレステロールプラス試薬キット(Thermo Electron Corp.、カタログNo.3365−030)を使用して行った。
【0071】
血漿(4μl)をマイクロタイタープレートに置き、300μlの試薬1と共に37℃で5分間インキュベートし、100μlの試薬2の添加後さらに5分間インキュベートする。次に、吸光度を600nmで読む。コレステロールキットに関して、キットで同時に供給される較正物は較正に使用される。
【0072】
統計分析:結果を平均±SDとして表す。スチューデントt−試験を実行し、TA又はTPmで処置したマウスにおいて有意な差があるか(それはコレステロール、トリグリセリド、HDL、LDL又はプラークサイズであるか)を未処理又はベヒクル対照群と比較して測定した。この種の試験については、P<0.05、()は、有意であると考えられた。
【0073】
結果及び検討
図1は、処置2週間後に得られた結果を示す。
図2は、処置4週間後に得られた結果を示す。
【0074】
TPmの投与、特に33.25mg/kgは、処置2週間後に、未処置又はベヒクル単独で処置したマウスと比較して、血漿総コレステロール及びLDL濃度において有意な減少を与えた。処置4週間後、TPmの33.25mg/kg投薬は、やはり、未処置又はベヒクル単独の対照と比較して血漿トリグリセリド濃度において有意な減少を与えた。これらの結果は、TPm(特に33.25mg/kg)が血中を循環している上昇したコレステロール、トリグリセリド及びLDLを低下させる点において潜在的に有効である。
【0075】
実施例2
本実施例は、APOE欠損の雄性マウスにおけるアテローム硬化障害の発症におけるリン酸トコフェリル混合物(TPm)(リン酸モノ−トコフェリル及びリン酸ジ−トコフェリル)の効果を評価した。
【0076】
方法論
28匹のマウスを4群:2つの対照群、酢酸トコフェロール(TA)群(150mg TA/kg食餌)及びTPm群(200mg TPm/kg食物(7%脂肪含有))に分けた。
【0077】
食餌:
「誘導期」−誘導期は、処置期間の最初の16週間からなる。この期間中、動物は、ビタミンEが低い(20mg未満のビタミンE/kg食物を含有し、7%の全脂肪を含む;標準的なAIN93Gローデント食餌(SF05−040、特殊食餌、Glen Forrest,WA Australia))マウスペレット食餌を与えた。対照動物は、食餌のみを与え、一方、TA食餌は150mg TA/kg食物を含有し、TPm食餌は200mg TPm/kg食物を含有した。これらの食餌はそれぞれ21及び26mg/kg体重の平均投薬量で輸送された。26mg/kg TPm投薬量は、計算により、TA投薬量のトコフェロール均等量であった。
【0078】
「チャレンジ期」−この時期は、処置期間の最後の8週間からなる。この期間中、動物は、低いビタミンE、高脂肪(21%)、高コレステロール(0.15%)で特殊化したローデントペレット食餌(HFHC;SF04−055マウス食餌は、20mg未満のビタミンE/kgを含有する標準的なSF00−219食餌版である);特殊食餌、Glen Forrest、WA、Australia)。
【0079】
動物の4群は、下記の表に概要した食餌処方に置いた:
【表7】

【0080】
2つの対照の動物群のうち、1つだけはSF04−055、HFHC食餌に置き、一方、他の対照群は、全体の処置期間24週間の処置期間、SF05−040マウスペレット食餌(7%脂肪のみ)に維持した。これは、測定される種々のアテローム性パラメータにおけるHFHC食餌単独の効果を確立し、そして、種々の化合物を用いた処置が正常な食餌で維持した動物と同様に良好であるか否かを評価するようになされた。TA処置マウスは、150mg TA/kg食物を含むペレットを与え、TPm処置マウスは、200mg TPm/kg食物を含むペレットを与えた。これらの食物は、それぞれ平均して21及び26mg/kg体重の投薬量を輸送した。26mg/kg TPm投薬量は、計算により、TA投薬量に均等なトコフェロールであった。
【0081】
誘導期中、対照マウスは、軽度の高コレステロール血症及びアテローム硬化障害を発症した。TPmで処置して16週間後、これらマウスは、対照動物と比較して、総コレステロールで34%低減(11.44±1.37vs17.38±1.47mmol/L)、トリグリセリドで51%低減(0.99±0.14vs2.00±0.58mmol/L)及びLDL−Cで44%低減(4.67±0.70vs8.38±0.76mmol/L)した。これらの低減は、対照動物とは有意に異なっており、TA処置で見られるものよりもはるかに大きかった。
【0082】
チャレンジ期の後、対照マウスは、重篤な高コレステロール血症及び進行したアテローム硬化障害を発症した。TA処置したマウスは、血漿脂質濃度において有意な低減を示さず、又は障害退行の証拠を示さなかった;障害領域において平均12%の減少ではあった(これは有意ではない)。しかしながら、TPm処置は、総コレステロールで15%低減(43.8±4.38vs37.08±5.15mmol/L)、トリグリセリドで28%低減(1.63±0.22vs2.27±0.20mmol/L)、及びLDL−Cで16%低減(15.02±2.61vs17.95±1.51mmol/L)、並びに大動脈障害形成での有意な低減(58%)を与えた。
【0083】
表1.試験の誘導期及びチャレンジ期のマウスの総コレステロール濃度比較(平均±SD;mmol/L)
【表8】

【0084】
#は、HFHC食餌(処置の最後の8週間)で維持した対照マウスを示し、正常食餌の対照マウスと比較してより高い血漿コレステロール濃度を有意に示した(P<0.05)。は、対照動物からの有意差(P<0.05)を示す。
【0085】
表2.試験の誘導期及びチャレンジ期のマウスのトリグリセリド濃度比較(平均±SD;mmol/L)
【表9】

【0086】
#は、HFHC食餌(処置の最後の8週間)で維持した対照マウスを示し、正常食餌の対照マウスと比較してより高い血漿コレステロール濃度を有意に示した(P<0.05)。は、対照動物からの有意差(P<0.05)を示す。
【0087】
表3.試験の誘導期及びチャレンジ期のマウスのLDL−C濃度比較(平均±SD;mmol/L)
【表10】

【0088】
#は、HFHC食餌(処置の最後の8週間)で維持した対照マウスを示し、正常食餌の対照マウスと比較してより高い血漿コレステロール濃度を有意に示した(P<0.05)。は、対照動物からの有意差(P<0.05)を示す。
【0089】
表4.処置期間の最後でのアテローム硬化障害領域(平均±SD、%障害範囲)
【表11】

【0090】
は対照動物からの有意差(P<0.05)を示す。
図3は、オイルレッドO染色による大動脈の大動脈障害形成評価を示す。
大動脈起始部、胸部及び腹部大動脈をオイルレッドO(ORO)(脂質を赤色に染色する)で染色し、血管のアテローム硬化障害における実質的な脂質沈着を示した。表4は、各処置群の至るところで24週の処置期間の終わりでの障害サイズを示す。誘導期間の最後(16週目)で平均して、各マウスは、大動脈部位当り約5%のアテローム硬化障害を有した(データ示さず)。この障害領域は、誘導食餌単独(7%脂肪のみ)で維持した動物における24週間の終わりに8.9%に増加した。最後の8週間、アテローム誘発食餌に置いた動物は、TA処置したマウスでの9.4%及びTPmで処置したマウスでの4.5%と比較して、大動脈部位当り平均して10.7%のアテローム硬化障害を示した。TA処置は、アテローム硬化障害において12%の改善を示し(これは統計学的には有意でない)、一方、TPm処置は、同じ食餌処方で維持した対照マウスと比較して障害形成において有意な58%低減を示した。
【0091】
結論
所見は、TPmで処置した動物における脂質プロフィール(LDL、総コレステロール及びトリグリセリド)で有意な低減を示し、これは、TPm処置が高異常脂質血症及び関連した疾患を治療し得ることを示す。二次的結果として、所見は、TPm処置したAPOE欠損マウスにおけるアテローム硬化障害のサイズにおいて有意な低減を示し、これは、TPm処置が、このマウス株においてアテローム硬化障害の進行を治療又遅延し得ることを示す。
【0092】
本明細書及び請求の範囲で使用される用語「含むこと(comprising)」及び用語「含むこと(comprising)」の形態は、任意の変形体又は付加物を排除するように請求した発明を制限しない。
本発明に対する変更及び改良は、当業者に用意に明確になるであろう。このような変更及び改良は、本発明の範囲内であることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、2週間での実施例1の結果を示す。
【図2】図2は、4週間での実施例2の結果を示す。
【図3】図3は、実施例2による結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LDLコレステロール、トリグリセリド、総コレステロール及びそれらの混合物で構成される群から選択される脂質の血中濃度を低下させる治療法であって、1以上の電子伝達剤の有効量の1以上のリン酸エステル誘導体を投与する工程を含み、前記電子伝達剤のリン酸エステル誘導体がリン酸アスコルビル−トコフェリルではない、前記治療法。
【請求項2】
電子伝達剤が、トコール、レチノール、ビタミンK1及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の治療法。
【請求項3】
電子伝達剤が、トコール及びその混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の治療法。
【請求項4】
電子伝達剤が、α−トコフェロール、δ−トコフェロール、γ−トコフェロール、α−トコトリエノール、δ−トコトリエノール、γ−トコトリエノール及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項3に記載の治療法。
【請求項5】
電子伝達剤のリン酸エステル誘導体が、リン酸モノ−トコフェリル、リン酸ジ−トコフェリル、リン酸モノ−トコトリエニル、リン酸ジ−トコトリエニル及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の治療法。
【請求項6】
電子伝達剤のリン酸エステル誘導体が、リン酸モノ−トコフェリル及びリン酸ジ−トコフェリルの混合物である、請求項5に記載の治療法。
【請求項7】
電子伝達剤のリン酸エステル誘導体の活性を拮抗しない1以上の他の医薬化合物を投与する工程をさらに含む、請求項6に記載の治療法。
【請求項8】
他の医薬化合物が、コレステロール吸収阻害剤、コレステロールエステル転送タンパク質阻害剤、HDL増加医薬化合物、スタチン、それらのリン酸エステル誘導体及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の治療法。
【請求項9】
LDLコレステロール、トリグリセリド、総コレステロール及びそれらの混合物からなる群から選択される脂質の血中濃度を低下させる治療法であって、1以上の電子伝達剤の1以上のリン酸エステル誘導体の有効量の1以上のプロドラッグを投与する工程を含み、前記電子伝達剤のリン酸エステル誘導体がリン酸アスコルビル−トコフェリルではない、前記治療法。
【請求項10】
心臓血管疾患、アテローム性動脈硬化症、真性糖尿病、慢性腎疾患、一次性及び二次性高脂血症及び異常脂質血症、網膜症、肝臓及び脾臓肥大、黄色腫及びそれらの組み合わせからなる群から選択される疾患の症状緩和、治療又は予防のための治療法であって、1以上の電子伝達剤の有効量の1以上のリン酸エステル誘導体を含む医薬製剤を投与することを含み、前記電子伝達剤のリン酸エステル誘導体がリン酸アスコルビル−トコフェリルではない、前記治療法。
【請求項11】
LDLコレステロール、トリグリセリド、総コレステロール及びそれらの混合物からなる群から選択される脂質の血中濃度を低下させるための薬剤の製造における、適した担体又は希釈剤とともに1以上の電子伝達剤の有効量の1以上のリン酸エステル誘導体の使用であって、前記電子伝達剤のリン酸エステル誘導体がリン酸アスコルビル−トコフェリルではない、前記使用。
【請求項12】
LDLコレステロール、トリグリセリド、総コレステロール及びそれらの混合物からなる群から選択される脂質の血中濃度を低下させるために使用される医薬組成物であって、1以上の電子伝達剤の有効量の1以上のリン酸エステル誘導体を含み、前記電子伝達剤のリン酸エステル誘導体がリン酸アスコルビル−トコフェリルではない、前記医薬組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−531603(P2008−531603A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557287(P2007−557287)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【国際出願番号】PCT/AU2006/000281
【国際公開番号】WO2006/092025
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(503129590)バイタル ヘルス サイエンシズ プロプライアタリー リミティド (11)
【Fターム(参考)】