脈拍数及び血流の異常を非侵襲的に検出する装置の筐体
本発明は,対象となる血流を非侵襲的にモニタリングする装置の筐体を提供する。また,本発明は,磁場検出装置を提供する。さらに,本発明は,磁場発生源位置決め装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,概略的には,血流をモニタリングする装置に関し,特に,脈拍数及び血流の異常を非侵襲的に検出する装置の筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
生体電子機器の進歩にともなって,携帯型の健康モニタリング機器が普及してきている。というのも,これらの機器は,使い易さや心地良さをともなった状態で,個体の健康状態の継続的なモニタリングを可能にするからである。携帯型の健康モニタリング機器は,家庭,救急車,及び病院といった場所で,また,軍事訓練やスポーツを含む状況において使用されてきている。
【0003】
継続的なモニタリングの対象となるパラメータとしては,脈拍数特性や血流特性が重要である。その理由は,これらのパラメータが個体の健康状態を評価する際に重要であるからである。この情報は,病院や高齢者ケアセンターといったヘルスケア施設において使用される。その結果,施設の患者の健康状態のモニタリングが遠く離れた場所から可能となる。このことは,早期に検出する必要がある血流異常が認められる下半身不随患者にとって特に重要である。さらに,大きな手術を受けた後の患者に対する血流異常をモニタリングすることは,患者が速やかに回復することを確実にするために重要である。
【0004】
また,個体は,肉体的活動が制限された状態において窮屈で束縛された状態に置かれることがある。その場合,その個体の脈拍数や血流に関する情報を利用することで,血流異常(例えば,深部静脈血栓症)を検出したときに,応急手当を行うよう警告を促すようにしてもよい。同様のモニタリングと警告とを行うシステムは,最悪の事態が発生している間に配備してもよい。その場合,救急リスク管理のために,罹患者の生命状態の継続的な評価が可能となる。さらには,深海状態(ダイバー),高温(消防士),及び地下深部(炭鉱夫)といった,危険な環境で作業する人物の脈拍数や血流をモニタリングすることも重要である。
【0005】
現在では,脈拍数を非侵襲に測定する装置は,検出のために,電気的手段,機械的手段,及び光学的な手段を使用する。これらの装置は,胸ベルト式,靴下装着型,腕時計型,及び指装着型といった形態で提供されている。しかしながら,心拍数測定用の装置は,不具合を有する。胸ベルト式の心拍計や靴下装着型の心拍計は,通常,体内電気信号を測定して脈拍数を求める。この動作原理は単純であるが,この動作原理では,複雑なアルゴリズム及び/又は基準信号を使用してモーションアーチファクトに起因するノイズを減らす必要がある。機械的手段による脈拍数の測定では,皮膚に食い込む脈拍検出部が用いられるが,このようにすると,他のモーションアーチファクトの影響を非常に受けやすい。脈拍数測定用の光学手段は,通常,指装着型の機器として提供される。このような機器では,特殊な光源と特殊な光検出器とが使用される。このようにすると,通常,電力消費量が多くなる。種々の装置について上述したが,これらの装置のほとんどが血流に関する情報を取得することができないことに注目する必要がある。
【0006】
脈拍数及び血流を測定する別のタイプの装置は,非侵襲的な電磁的方法を用いている。例えば,米国特許第5,935,077号には,電磁式血流センサが開示されている。この電磁式血流センサは,皮膚に平行であり,かつ血管を通過する要素を持つ変化磁場を与える双極磁場発生源と,血管に隣接する皮膚の上に配置された単一の検出電極と,基準電極と,検出電極の信号を変化磁場と同期してサンプリングする検出器とを使用する。しかしながら,電極を使用して脈拍数及び血流を測定する非侵襲的な電磁装置では,システムのほとんどに電極が用いられているために,信号対ノイズ比が乏しい。これらの装置は,体内の電気的なノイズとモーションアーチファクトによる影響を非常に受けやすい。さらには,これらの装置のほとんどでは,磁場極性の反転を利用して,脈拍数情報及び血流情報の信号を取得している。この方法では,通常,電磁石を使用する必要があり,結果として,電力消費量が多くなる。したがって,現在の,脈拍数及び血流をモニタリングする電磁装置は,携帯型ではなく,また,持ち運びでの利用が意図されたものでもない。
【0007】
本発明の発明者らは,センサと皮膚とを直接接触させる必要を伴うことなく,脈拍数異常及び血流異常を非侵襲的に検出する磁気的方法を既に見出している。これについては,発明の名称が「脈拍数異常及び血流異常を非侵襲的に検出する装置及び方法」のシンガポール特許出願第200601301−5号を参照されたい。この特許文献を参照することにより,当該特許文献の記載内容全体が本明細書に組み込まれる。磁気的方法は,他の非侵襲的な方法に比べて,多くの優れた利点を有する。例えば,他の非侵襲的な方法では,血管を変形させることにより信号を取得する。血管の変形は,例えば,米国特許出願公開公報第2004/0010199号(A1)に開示されているようなガス式の機器を使用すること達成し得る。これとは異なり,磁気的方法では,信号を取得するために,血管を変形させる必要が全くない。
【発明の概要】
【0008】
本発明のある実施形態では,対象となる血流を非侵襲的にモニタリングする装置の筐体が提供される。この筐体は,局所的な単一方向の一定磁場を生成する磁場発生源と,磁場内に配置されて,血流に起因する磁場の変化を検出する磁気センサを含む信号取得モジュールと,ガス式の減衰型緩衝体であって,当該ガス式の減衰型緩衝体の内部に又は当該ガス式の減衰型緩衝体の表面上に磁場発生源を配置可能なガス式の減衰型緩衝体とを含む。これにより,ガス式の減衰型緩衝体が,磁場発生源の血流に起因する磁場の変化の増幅及び/又は伝播を可能とするとともに,磁場の変化に対する外部ノイズを遮断することが可能となる。
【0009】
筐体の別の実施形態では,筐体が,信号取得モジュールの出力を適切な増幅率で変換する信号調整モジュールと,信号調整モジュールからの出力信号を処理するディジタル信号処理モジュールとをさらに含む。これにより,脈拍数及び血流異常をモニタリングすることができる。
【0010】
筐体の別の実施形態では,筐体が,視覚通知又は音声通知をユーザに供給するディスプレイ/ユーザインターフェース/アラームモジュールをさらに含む。筐体の他の実施形態では,磁場発生源が永久磁石であるか,又は電磁石であるか,又は複数の電磁石である。さらに別の実施形態では,上記複数の電磁石によって生成された磁場強度が電子的に制御される。
【0011】
筐体の別の実施形態では,磁気センサが,磁場発生源からの磁場の変化を検出するのに必要な(適切な)感度を有する任意の磁気センサである。筐体のさらに別の実施形態では,磁気センサが,巨大磁気抵抗効果(GMR)磁気センサ,トンネル磁気抵抗効果(TMR)を利用した磁気センサ,又は異方性磁気抵抗効果(AMR)センサである。
【0012】
筐体の別の実施形態では,信号取得モジュールが,プリント回路基板と,2つの磁気センサとを含む。プリント回路基板は,2つの磁気センサによって挟まれている。2つの磁気センサは,直交配置されるように構成される。
【0013】
筐体の別の実施形態では,ガス式減衰型緩衝体が,円形チャンバを含むドーナツ構造を有している。円形チャンバは,当該円形チャンバに設けられた磁場発生源の移動を可能にする手段と,該磁場発生源を所定位置に保持することを可能にする手段とを含むように,配置される。別の実施形態では,円形チャンバが含む手段が,半可撓性を有する複数のフラップを含む。更に別の実施形態では,ガス式減衰型緩衝体が空気又は非磁性ガスを含む。
【0014】
本発明の別の実施形態では磁場検出装置が提供される。この磁場検出装置は,磁場を検出する2つの磁気センサと,プリント回路基板とを含む。プリント回路基板は,2つの磁気センサによって挟まれている。2つの磁気センサは,直交配置されるように構成されているとともに,プリント回路基板に電気的に結合されている。これにより,2つの磁気センサからの信号がプリント回路基板の内部に出力される。この磁場検出装置は,さらに,プリント回路基板からの信号が処理されるように当該信号のチャネリング(チャネル伝送)を行う手段を含む。
【0015】
磁場検出装置の別の実施形態では,磁気センサが,磁場発生源からの磁場の変化を検出するのに必要な(適切な)感度を有する任意の磁気センサである。別の実施形態では,磁気センサが,巨大磁気抵抗効果(GMR)磁気センサ,トンネル磁気抵抗効果(TMR)を利用した磁気センサ,又は異方性磁気抵抗効果(AMR)センサである。
【0016】
本発明の別の実施形態では,磁場発生源位置決め装置が提供される。磁場発生源位置決め装置は,少なくとも1つの磁場発生源と,円形チャンバを含むドーナツ構造を有するガス式減衰型緩衝体とを含む。少なくとも1つの磁場発生源が円形チャンバに設けられる場合(円形チャンバの内部に埋め込まれる場合),円形チャンバは,当該円形チャンバに設けられた(埋め込まれた)磁場発生源の移動を可能にする手段と,該磁場発生源を当該円形チャンバ内で位置決めする手段とを含むように配置される。
【0017】
磁場発生源位置決め装置の別の実施形態では,磁場発生源が永久磁石又は電磁石である。
【0018】
磁場発生源位置決め装置の別の実施形態では,円形チャンバが含む手段(円形チャンバ内の手段)は,半可撓性を有する複数のフラップを含む。磁場発生源位置決め装置のさらに別の実施形態では,ガス式減衰型緩衝体が空気又は非磁性ガスを含む。
【0019】
磁場発生源が設けられた(埋め込まれた)ガス式の減衰型緩衝体の特徴は,本発明の筐体にいくつかの利点を与える。例えば,ガス式の減衰型緩衝体によって磁場発生源を皮膚の身体的な特徴に対して忠実に適合した状態で位置決めすることができるだけでなく,測定部位の身体的な特徴が変形することもない。また,ガス式の減衰型緩衝体とすることで,当該ガス式の減衰型緩衝体や磁場発生源を収容するための剛性構造を必要とすることなく,周辺部分への取り付けが可能になる。また,原信号の増幅及び伝播によって,検出能を高めることができる。
【0020】
本発明の目的及び利点は,本発明を実施するための好ましい実施形態に関する,以下の詳細な説明とそれに関連する添付の図面とから明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
次に,本発明の好ましい実施形態について図を参照しながら説明する。図中,同様の符号は,同様の構成要素を指す。
【0022】
【図1】図1は,被験者の脈拍数及び血流を検出する公知の非侵襲的な磁気装置の機能ブロックを示すブロック図である。
【0023】
【図2】図2は,上記公知の非侵襲的な磁気装置が装着された手の上面図である。
【0024】
【図3】図3は,上記公知の非侵襲的な磁気装置が装着された手の断面図である。
【0025】
【図4】図4は,本発明のある実施形態に係る非侵襲的な磁気装置の筐体の断面図である。
【0026】
【図5】図5(図5(a)〜図5(d))は,磁場発生源及びガス式の減衰型緩衝体の構造の4つの例を示す図である。
【0027】
【図6】図6は,本発明の別の実施形態に係る非侵襲的な磁気装置の筐体の平面図である。
【0028】
【図7】図7は,本発明の別の実施形態に係る非侵襲的な磁気装置の筐体の平面図である。
【0029】
【図8】図8は,本発明のある実施形態に係るプリント回路基板と2つの磁気センサの側面図である。
【0030】
【図9】図9は,本発明の別の実施形態に係る非侵襲的な磁気装置の筐体の平面図である。
【0031】
【図10】図10(a)〜図10(c)は,本発明における伝播と増幅の定義を説明するための図である。
【0032】
【図11】図11は,ガス式の減衰型緩衝体を,自由に位置決めされた磁場発生源とともに示す図であって,増幅結果及び伝播結果を決定する変数を説明するための図である。
【0033】
【図12】図12は,ガス式の減衰型緩衝体のフォームファクタと,MMSB信号の値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は,本発明のある実施形態についての以下の詳細な説明を参照することにより,より容易に理解することができる。
【0035】
本出願を通じて,刊行物を参照したときは,それら刊行物の開示内容を本明細書において参照することにより,これらの開示内容の全体が本明細書に組み込まれ,本発明が属する技術分野の状態を一層完全な形で記述することができる。
【0036】
以下の詳細な記述では,特定の細部を示すことにより,本発明を完全に理解することができるようにしている。しかしながら,関連分野の当業者であれば,本発明をこれらの特定の細部を用いることなく実施することができることが理解できるであろう。他の例においては,公知の方法,手順,構成要素,及び材料については,詳細に説明していないが,本発明を曖昧にすることを目的としたものではない。
【0037】
上述したように,本発明の発明者らは,局所的な単一方向の一定磁場を血管に与えると,拍動流によって,与えた磁場を変化させることが可能となり,そして,磁気センサが磁場内の適切な位置に配置されている場合に,磁場の変化を直接的に検出することが可能となるということを既に見出している。既に出願されているシンガポール特許出願第200601301−5号には,ヒトを含む被験者の脈拍数及び血流を非侵襲的に検出する非侵襲的な磁気装置及び方法が開示されている。このシンガポール特許出願は,参照により,当該出願の内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0038】
本発明に対する理解を深めるために,シンガポール特許出願第200601301−5号に開示される非侵襲的な磁気装置の関連部分について以下に簡単に説明する。要約すると,非侵襲的な磁気装置は,磁場を発生させる磁場発生源と,変化信号を取得する磁気センサと,信号を処理するとともに処理済みの信号を出力する信号処理/表示サブユニットとを含んでいる。図1に示すように,非侵襲的な磁気装置10は,磁場発生源1と,信号取得モジュール2と,信号処理/表示サブユニット6とを備えている。そして,信号処理/表示サブユニット6は,信号調整モジュール3と,信号処理モジュール4と,そしてディスプレイ/ユーザインターフェース/アラームモジュール5とを含む。磁場発生源1は,主要血管に近い部位において,局所的な単一方向の一定磁場を発生させる。動脈における拍動流は,与えられている磁場を変化させ,その結果,血流の磁気特性図の変化(MMSB)が得られることとなる。このMMSBは,信号取得モジュール2によって電気信号に変換され,その後,信号処理として,電気信号が調整とディジタル化が行われる。そして,処理済みの信号(特には,脈拍及び血流のプロファイル)は,ディスプレイ/ユーザインターフェース/アラームモジュールに送信されることになる。
【0039】
信号取得モジュール2は,磁気センサを含んでいる。この磁気センサは,磁場変化を,磁場特性の変化に比例する電圧に変換することが可能である。磁気センサとしては,スピントロニクスを利用したセンサ(例えば,巨大磁気抵抗効果(GMR)センサや,トンネル磁気抵抗効果(TMR)センサ),異方性磁気抵抗効果(AMR)センサ,及び任意の磁気を利用したセンサが本発明に適しているが,これらに限定されるものではない。磁気センサの一例を挙げると,スピントロニクスを利用した磁気センサ(例えば,NVE社製のAAH002−02)である。なお,異なる感度を有する他の磁気センサを使用することで,血流の磁気特性図の変化(MMSB)を検出するようにしてもよい。ただし,関連するパラメータ(例えば,磁場発生源の強度,磁場発生源とセンサの間の距離,及び血管に対する磁場発生源とセンサの相対的な配置や向き)を,実験結果を適切に利用して変更する必要があることに留意されたい。
【0040】
図2及び3に示すように,非侵襲的な磁気装置は手首装着型の機器とすることができる。その場合,磁場発生源1と磁気センサ2は,血管に対して相対的に配置される。処理済みの信号は,血流の磁気特性図の変化(MMSB)とも称され,磁場発生源の強度,センサの感度,磁場発生源とセンサの間の距離,及び皮膚の表面近傍の主要血管に対する磁場発生源とセンサの相対的な配置や向きの関数である。どのような装置であっても,磁場発生源の強度や磁気センサの感度は予め定まっている。そのため,磁場発生源や磁気センサは,一旦作製されると,その後に操作されことはない。なお,磁場発生源として電磁石部品を使用する場合には,それら部品の磁気強度を操作可能に制御することができる。しかしながら,一方で,装置に自由度を与えることによってMMSBを大きくすることができる。その場合には,ユーザは,自由度に応じて,磁場発生源/センサを,それらの相対的な配置や向きに関して自由に調整することが可能となり,それにより,より望ましいMMSBを取得することができる。好ましくは,磁場発生源の強度や磁気センサの感度を変えずに,他の手段によって,MMSBを大きくする。さらには,非侵襲的な磁気装置は,長期モニタリング機器とした場合,着用者に心地よさ(装着感)をもたらすものであることが求められる。
【0041】
次に,図4を参照する。図4には,本発明のある実施形態に係る非侵襲的な磁気装置の筐体の断面図が示されている。非侵襲的な磁気装置の筐体20は,磁場発生源21と,磁気センサ22(図4には図示せず)と,ガス式の減衰型緩衝体23とを含んでいる。筐体20を保持する手段は,図4には示されていない。これは,本発明の本質的な部分が曖昧となることがないようにするためである。手首/四肢装着型の機器を保持するための公知の手段又は方法は,いずれも,本発明の筐体20に適したものであるといえる。図4における四肢の断面図には,身体的な特徴に対してガス式の緩衝体23が忠実に適合することが示されている。なお,本出願における筐体に関する説明では,筐体に含めることができる全ての構成要素を列挙しているわけではない。言い換えると,磁場発生源及びセンサだけを用いて本発明の原理を説明しているに過ぎない。他の構成要素を本発明の筐体に含めることが可能であることは,当業者にとって,過度の試行錯誤を要するまでもなく明らかである。
【0042】
磁場発生源は,一定磁場を発生させることが可能な,適切な手段であれば,いかなる手段であってもよい。一定磁場を発生させる磁場発生源は,永久磁石,巻線コイル,強磁性材料にワイヤを巻き付けた巻線コイル,又は,磁石にワイヤを巻き付けた巻線コイルとすることができる。磁気センサについては,上述した通りである。ガス式の減衰型緩衝体は,空気又は非磁性ガスを含んで構成されている。
【0043】
磁場発生源のガス式の減衰型緩衝体に対する取り付け位置は可変とすることができる。図5には,磁場発生源と,ガス式の減衰型緩衝体の構成について,4つの例が示めされている。図5(a)には,ガス式の減衰型緩衝体の上部(内側)に磁場発生源を取り付けた例が示されている。図5(b)には,ガス式の減衰型緩衝体の下部に磁場発生源を取り付けた例が示されている。図5(c)には,ガス式の減衰型緩衝体内で磁場発生源を自由に浮遊させた例が示されている。図5(d)には,ガス式の減衰型緩衝体の下部(外側)に取り付けた例が示されている。
【0044】
次に,図6を参照する。図6には,本発明の別の実施形態に係る非侵襲的な磁気装置の筐体の平面図が示されている。ガス式の減衰型緩衝体23は,ドーナツ形の構造を有している。さらに,ガス式の減衰型緩衝体23は,その円形チャンバに沿って,磁場発生源を移動可能に構成されている。ただし,ガス式の減衰型緩衝体23は,ユーザが磁場発生源をこれ以上動かさないと決定した後に,磁場発生源を所定位置に留めることが可能に構成されている。図6に示す実施形態において,円形チャンバ内で磁場発生源の移動や位置を制御する手段は,複数のフラップである。複数のフラップは,半可撓性を有するものであり,円形チャンバ内に分散配置されたものである。これらの半可撓性フラップによって,磁場発生源が円形チャンバ内で移動可能となるとともに,磁場発生源を対応位置に保持することが可能となる。筐体20は,さらに,プリント回路基板を含んでもよく(図6には図示せず),その場合,プリント回路基板は,少なくとも1つの磁気センサが取り付けられるように構成される。これにより,磁気センサは,いずれの方向であっても磁場を検出することが可能となる。
【0045】
ガス式の減衰型緩衝体によって磁場発生源が移動可能となるので,ユーザは,磁気センサの飽和を回避することができる。このことは,種々の脈拍信号取得部位に関して,個体の身体的特徴が異なっている場合に重要である。
【0046】
図7を参照する。図7には,本発明の別の実施形態に係る非侵襲的な磁気装置の筐体の平面図が示されている。図7に示す筐体が図6に示す筐体と異なる点は,図7に示す筐体がプリント回路基板と,2つの磁気センサとを含んでおり,その2つの磁気センサがプリント回路基板上で適宜接続された状態で直交するように取り付けられている点である。
【0047】
図8を参照する。図8には,本発明のある実施形態に係るプリント回路基板及び2つの磁気センサの側面図が示されている。図8に示すように,プリント回路基板は,2つの磁気センサによって挟まれている。ここで,2つのセンサの方向は直交配置されている。この直交配置によって,磁気センサの方向を調整することなく2つの磁気センサで磁場を検出することが可能となる。つまり,2つの磁気センサの直交配置によって無指向性磁気センサ素子が構成される。また,プリント回路基板は,磁気センサと電気的に結合されており,プリント回路基板は,磁気センサから磁場信号を取得するとともに,取得した信号を,プリント回路基板に電気的に結合されている信号処理部品に出力することが可能となっている。このような磁場検出素子について,MMSB信号の取得に関して説明してきたが,磁場検出素子は,磁場を検出するための用途であれば,いかなる用途にも使用され得る。
【0048】
次に,図9を参照する。図9には,本発明の別の実施形態に係る非侵襲的な磁気装置の筐体の平面図が示されている。この筐体は,ガス式の減衰型緩衝体の円形チャンバ内に埋め込まれた複数の電磁石アクチュエータと,ガス式の減衰型緩衝体の中央部に直交配置された2つの磁気センサと,磁気センサを作動させるプリント回路基板とを含んでいる。さらに,図9に示す筐体は,図示しない制御手段を含んでいる。この制御手段は,最適な信号を取得するのに最も適した磁石を血管に関連付けて決定して作動させるためのものである。複数の電磁石アクチュエータが設けられているので,ユーザは,磁石の磁場強度を個々に又は一括して制御して調整することが可能となる。これにより,最適化された信号を生成することができる。
【0049】
本発明によるガス式の減衰型緩衝体23を,MMSBの増幅と伝播が可能に構成してもよい。図10(a)〜図10(c)は,本発明における伝播及び増幅の定義を説明するための図である。ここで,図10(a)〜図10(c)における「a」は,磁場発生源の特性寸法を指す。また,増幅とは,血管に沿う長さ方向に配置されるガス式の減衰型緩衝体によって生じる可変量(例えば,MMSB信号)の絶対値の増加をいう。伝播とは,血管と交差して配置されるガス式の減衰型緩衝体によって生じる可変量(例えば,MMSB信号)の絶対値の増加をいう。そして,図10(a)には,ガス式の減衰型緩衝体を使用して,基準となるMMSB信号を取得することが表されている。ここで,図10(a)に示すガス式の減衰型緩衝体は,磁石と同等のサイズを有している。図10(b)には,MMSB信号取得用のガス式の減衰型緩衝体による伝播効果が表されている。図10(c)には,MMSB信号取得用のガス式の減衰型緩衝体による増幅効果が表されている。
【0050】
ガス式の減衰型緩衝体は,適切な弾性率(E)を持つ材料(例えば,PTFE)によって形成することが好ましい。ところで,緩衝体には,所定の大きさの圧力(P)及び十分な容積(V)が必要である。このようにすることで,MMSB信号が外部ノイズによって干渉を受けることを確実に回避(遮断)することができる。
【0051】
図11を参照する。図11には,ガス式の減衰型緩衝体が,自由に配置された磁場発生源とともに示されている。また,図11には,増幅結果及び伝播結果を決定する変数が示されている。増幅係数は,下記式(1)に従って算出可能である。
【数1】
【0052】
上記式(1)において,Afは,増幅係数であり,aは,磁場発生源の特性寸法であり,Yは,縦方向における長さであり,Eは,緩衝体の弾性率であり,Pは,緩衝体の圧力であり,Vは,緩衝体の容積であり,kは,緩衝体に関する定数である。
【0053】
伝播係数は,下記式(2)に従って算出可能である。
【数2】
【0054】
上記式(2)において,Pfは,伝播係数であり,aは,磁場発生源の特性寸法であり,Xは,横方向における長さであり,Eは,緩衝体の弾性率であり,Pは,緩衝体の圧力であり,Vは緩衝体の容積であり,mは,緩衝体に関する定数である。
【0055】
以下の表1には,取り付け構造を異ならせた場合に得られるMMSB信号強度が示されている。また,後述する表2には,センサの配置構造とMMSB信号強度との関係が示されている。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
図12を参照する。図12は,ガス式の減衰型緩衝体のフォームファクタと,MMSB信号値との関係を例示するグラフである。図12における横座標は,ガス式の減衰型緩衝体の合計容積を,mm3単位で表している。図12における縦座標は,MMSB信号値出力を,mV単位で表している。図12のグラフに表わした結果は,取得対象の最適なMMSB信号値を生成することになる,ガス式の減衰型緩衝体の容積の値の範囲を示しているといえる。図12の下部にある横座標について補足すると,横座標は,2つの追加的な横座標となっている。ここで,2つの横座標とは,具体的には,緩衝体の長さをmm単位で表した横座標(寸法通りには示していない)と,緩衝体の幅をmm単位で表わした横座標(寸法通りには示していない)である。これらの横座標によって,ガス式の減衰型緩衝体の長さと幅の代表的な特性寸法が表わされる。つまり,これらの寸法から,対応する容積が算出される。
【0059】
本発明の筐体は,適宜の方法で組み立てることが可能である。
【0060】
本発明について,特定の実施形態を参照しながら説明したが,これらの実施形態は例示に過ぎず,また,本発明の範囲がこれらの実施形態に限定されるものではないと理解すべきである。本発明の代替的な実施形態は,本発明の属する技術分野の当業者に明らかである。このような代替的な実施形態は,本発明の思想及び範囲に含まれる。以上のことから,本発明の範囲は,添付の請求項によって規定されるとともに,上述した説明によって裏付けられる。
【技術分野】
【0001】
本発明は,概略的には,血流をモニタリングする装置に関し,特に,脈拍数及び血流の異常を非侵襲的に検出する装置の筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
生体電子機器の進歩にともなって,携帯型の健康モニタリング機器が普及してきている。というのも,これらの機器は,使い易さや心地良さをともなった状態で,個体の健康状態の継続的なモニタリングを可能にするからである。携帯型の健康モニタリング機器は,家庭,救急車,及び病院といった場所で,また,軍事訓練やスポーツを含む状況において使用されてきている。
【0003】
継続的なモニタリングの対象となるパラメータとしては,脈拍数特性や血流特性が重要である。その理由は,これらのパラメータが個体の健康状態を評価する際に重要であるからである。この情報は,病院や高齢者ケアセンターといったヘルスケア施設において使用される。その結果,施設の患者の健康状態のモニタリングが遠く離れた場所から可能となる。このことは,早期に検出する必要がある血流異常が認められる下半身不随患者にとって特に重要である。さらに,大きな手術を受けた後の患者に対する血流異常をモニタリングすることは,患者が速やかに回復することを確実にするために重要である。
【0004】
また,個体は,肉体的活動が制限された状態において窮屈で束縛された状態に置かれることがある。その場合,その個体の脈拍数や血流に関する情報を利用することで,血流異常(例えば,深部静脈血栓症)を検出したときに,応急手当を行うよう警告を促すようにしてもよい。同様のモニタリングと警告とを行うシステムは,最悪の事態が発生している間に配備してもよい。その場合,救急リスク管理のために,罹患者の生命状態の継続的な評価が可能となる。さらには,深海状態(ダイバー),高温(消防士),及び地下深部(炭鉱夫)といった,危険な環境で作業する人物の脈拍数や血流をモニタリングすることも重要である。
【0005】
現在では,脈拍数を非侵襲に測定する装置は,検出のために,電気的手段,機械的手段,及び光学的な手段を使用する。これらの装置は,胸ベルト式,靴下装着型,腕時計型,及び指装着型といった形態で提供されている。しかしながら,心拍数測定用の装置は,不具合を有する。胸ベルト式の心拍計や靴下装着型の心拍計は,通常,体内電気信号を測定して脈拍数を求める。この動作原理は単純であるが,この動作原理では,複雑なアルゴリズム及び/又は基準信号を使用してモーションアーチファクトに起因するノイズを減らす必要がある。機械的手段による脈拍数の測定では,皮膚に食い込む脈拍検出部が用いられるが,このようにすると,他のモーションアーチファクトの影響を非常に受けやすい。脈拍数測定用の光学手段は,通常,指装着型の機器として提供される。このような機器では,特殊な光源と特殊な光検出器とが使用される。このようにすると,通常,電力消費量が多くなる。種々の装置について上述したが,これらの装置のほとんどが血流に関する情報を取得することができないことに注目する必要がある。
【0006】
脈拍数及び血流を測定する別のタイプの装置は,非侵襲的な電磁的方法を用いている。例えば,米国特許第5,935,077号には,電磁式血流センサが開示されている。この電磁式血流センサは,皮膚に平行であり,かつ血管を通過する要素を持つ変化磁場を与える双極磁場発生源と,血管に隣接する皮膚の上に配置された単一の検出電極と,基準電極と,検出電極の信号を変化磁場と同期してサンプリングする検出器とを使用する。しかしながら,電極を使用して脈拍数及び血流を測定する非侵襲的な電磁装置では,システムのほとんどに電極が用いられているために,信号対ノイズ比が乏しい。これらの装置は,体内の電気的なノイズとモーションアーチファクトによる影響を非常に受けやすい。さらには,これらの装置のほとんどでは,磁場極性の反転を利用して,脈拍数情報及び血流情報の信号を取得している。この方法では,通常,電磁石を使用する必要があり,結果として,電力消費量が多くなる。したがって,現在の,脈拍数及び血流をモニタリングする電磁装置は,携帯型ではなく,また,持ち運びでの利用が意図されたものでもない。
【0007】
本発明の発明者らは,センサと皮膚とを直接接触させる必要を伴うことなく,脈拍数異常及び血流異常を非侵襲的に検出する磁気的方法を既に見出している。これについては,発明の名称が「脈拍数異常及び血流異常を非侵襲的に検出する装置及び方法」のシンガポール特許出願第200601301−5号を参照されたい。この特許文献を参照することにより,当該特許文献の記載内容全体が本明細書に組み込まれる。磁気的方法は,他の非侵襲的な方法に比べて,多くの優れた利点を有する。例えば,他の非侵襲的な方法では,血管を変形させることにより信号を取得する。血管の変形は,例えば,米国特許出願公開公報第2004/0010199号(A1)に開示されているようなガス式の機器を使用すること達成し得る。これとは異なり,磁気的方法では,信号を取得するために,血管を変形させる必要が全くない。
【発明の概要】
【0008】
本発明のある実施形態では,対象となる血流を非侵襲的にモニタリングする装置の筐体が提供される。この筐体は,局所的な単一方向の一定磁場を生成する磁場発生源と,磁場内に配置されて,血流に起因する磁場の変化を検出する磁気センサを含む信号取得モジュールと,ガス式の減衰型緩衝体であって,当該ガス式の減衰型緩衝体の内部に又は当該ガス式の減衰型緩衝体の表面上に磁場発生源を配置可能なガス式の減衰型緩衝体とを含む。これにより,ガス式の減衰型緩衝体が,磁場発生源の血流に起因する磁場の変化の増幅及び/又は伝播を可能とするとともに,磁場の変化に対する外部ノイズを遮断することが可能となる。
【0009】
筐体の別の実施形態では,筐体が,信号取得モジュールの出力を適切な増幅率で変換する信号調整モジュールと,信号調整モジュールからの出力信号を処理するディジタル信号処理モジュールとをさらに含む。これにより,脈拍数及び血流異常をモニタリングすることができる。
【0010】
筐体の別の実施形態では,筐体が,視覚通知又は音声通知をユーザに供給するディスプレイ/ユーザインターフェース/アラームモジュールをさらに含む。筐体の他の実施形態では,磁場発生源が永久磁石であるか,又は電磁石であるか,又は複数の電磁石である。さらに別の実施形態では,上記複数の電磁石によって生成された磁場強度が電子的に制御される。
【0011】
筐体の別の実施形態では,磁気センサが,磁場発生源からの磁場の変化を検出するのに必要な(適切な)感度を有する任意の磁気センサである。筐体のさらに別の実施形態では,磁気センサが,巨大磁気抵抗効果(GMR)磁気センサ,トンネル磁気抵抗効果(TMR)を利用した磁気センサ,又は異方性磁気抵抗効果(AMR)センサである。
【0012】
筐体の別の実施形態では,信号取得モジュールが,プリント回路基板と,2つの磁気センサとを含む。プリント回路基板は,2つの磁気センサによって挟まれている。2つの磁気センサは,直交配置されるように構成される。
【0013】
筐体の別の実施形態では,ガス式減衰型緩衝体が,円形チャンバを含むドーナツ構造を有している。円形チャンバは,当該円形チャンバに設けられた磁場発生源の移動を可能にする手段と,該磁場発生源を所定位置に保持することを可能にする手段とを含むように,配置される。別の実施形態では,円形チャンバが含む手段が,半可撓性を有する複数のフラップを含む。更に別の実施形態では,ガス式減衰型緩衝体が空気又は非磁性ガスを含む。
【0014】
本発明の別の実施形態では磁場検出装置が提供される。この磁場検出装置は,磁場を検出する2つの磁気センサと,プリント回路基板とを含む。プリント回路基板は,2つの磁気センサによって挟まれている。2つの磁気センサは,直交配置されるように構成されているとともに,プリント回路基板に電気的に結合されている。これにより,2つの磁気センサからの信号がプリント回路基板の内部に出力される。この磁場検出装置は,さらに,プリント回路基板からの信号が処理されるように当該信号のチャネリング(チャネル伝送)を行う手段を含む。
【0015】
磁場検出装置の別の実施形態では,磁気センサが,磁場発生源からの磁場の変化を検出するのに必要な(適切な)感度を有する任意の磁気センサである。別の実施形態では,磁気センサが,巨大磁気抵抗効果(GMR)磁気センサ,トンネル磁気抵抗効果(TMR)を利用した磁気センサ,又は異方性磁気抵抗効果(AMR)センサである。
【0016】
本発明の別の実施形態では,磁場発生源位置決め装置が提供される。磁場発生源位置決め装置は,少なくとも1つの磁場発生源と,円形チャンバを含むドーナツ構造を有するガス式減衰型緩衝体とを含む。少なくとも1つの磁場発生源が円形チャンバに設けられる場合(円形チャンバの内部に埋め込まれる場合),円形チャンバは,当該円形チャンバに設けられた(埋め込まれた)磁場発生源の移動を可能にする手段と,該磁場発生源を当該円形チャンバ内で位置決めする手段とを含むように配置される。
【0017】
磁場発生源位置決め装置の別の実施形態では,磁場発生源が永久磁石又は電磁石である。
【0018】
磁場発生源位置決め装置の別の実施形態では,円形チャンバが含む手段(円形チャンバ内の手段)は,半可撓性を有する複数のフラップを含む。磁場発生源位置決め装置のさらに別の実施形態では,ガス式減衰型緩衝体が空気又は非磁性ガスを含む。
【0019】
磁場発生源が設けられた(埋め込まれた)ガス式の減衰型緩衝体の特徴は,本発明の筐体にいくつかの利点を与える。例えば,ガス式の減衰型緩衝体によって磁場発生源を皮膚の身体的な特徴に対して忠実に適合した状態で位置決めすることができるだけでなく,測定部位の身体的な特徴が変形することもない。また,ガス式の減衰型緩衝体とすることで,当該ガス式の減衰型緩衝体や磁場発生源を収容するための剛性構造を必要とすることなく,周辺部分への取り付けが可能になる。また,原信号の増幅及び伝播によって,検出能を高めることができる。
【0020】
本発明の目的及び利点は,本発明を実施するための好ましい実施形態に関する,以下の詳細な説明とそれに関連する添付の図面とから明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
次に,本発明の好ましい実施形態について図を参照しながら説明する。図中,同様の符号は,同様の構成要素を指す。
【0022】
【図1】図1は,被験者の脈拍数及び血流を検出する公知の非侵襲的な磁気装置の機能ブロックを示すブロック図である。
【0023】
【図2】図2は,上記公知の非侵襲的な磁気装置が装着された手の上面図である。
【0024】
【図3】図3は,上記公知の非侵襲的な磁気装置が装着された手の断面図である。
【0025】
【図4】図4は,本発明のある実施形態に係る非侵襲的な磁気装置の筐体の断面図である。
【0026】
【図5】図5(図5(a)〜図5(d))は,磁場発生源及びガス式の減衰型緩衝体の構造の4つの例を示す図である。
【0027】
【図6】図6は,本発明の別の実施形態に係る非侵襲的な磁気装置の筐体の平面図である。
【0028】
【図7】図7は,本発明の別の実施形態に係る非侵襲的な磁気装置の筐体の平面図である。
【0029】
【図8】図8は,本発明のある実施形態に係るプリント回路基板と2つの磁気センサの側面図である。
【0030】
【図9】図9は,本発明の別の実施形態に係る非侵襲的な磁気装置の筐体の平面図である。
【0031】
【図10】図10(a)〜図10(c)は,本発明における伝播と増幅の定義を説明するための図である。
【0032】
【図11】図11は,ガス式の減衰型緩衝体を,自由に位置決めされた磁場発生源とともに示す図であって,増幅結果及び伝播結果を決定する変数を説明するための図である。
【0033】
【図12】図12は,ガス式の減衰型緩衝体のフォームファクタと,MMSB信号の値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は,本発明のある実施形態についての以下の詳細な説明を参照することにより,より容易に理解することができる。
【0035】
本出願を通じて,刊行物を参照したときは,それら刊行物の開示内容を本明細書において参照することにより,これらの開示内容の全体が本明細書に組み込まれ,本発明が属する技術分野の状態を一層完全な形で記述することができる。
【0036】
以下の詳細な記述では,特定の細部を示すことにより,本発明を完全に理解することができるようにしている。しかしながら,関連分野の当業者であれば,本発明をこれらの特定の細部を用いることなく実施することができることが理解できるであろう。他の例においては,公知の方法,手順,構成要素,及び材料については,詳細に説明していないが,本発明を曖昧にすることを目的としたものではない。
【0037】
上述したように,本発明の発明者らは,局所的な単一方向の一定磁場を血管に与えると,拍動流によって,与えた磁場を変化させることが可能となり,そして,磁気センサが磁場内の適切な位置に配置されている場合に,磁場の変化を直接的に検出することが可能となるということを既に見出している。既に出願されているシンガポール特許出願第200601301−5号には,ヒトを含む被験者の脈拍数及び血流を非侵襲的に検出する非侵襲的な磁気装置及び方法が開示されている。このシンガポール特許出願は,参照により,当該出願の内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0038】
本発明に対する理解を深めるために,シンガポール特許出願第200601301−5号に開示される非侵襲的な磁気装置の関連部分について以下に簡単に説明する。要約すると,非侵襲的な磁気装置は,磁場を発生させる磁場発生源と,変化信号を取得する磁気センサと,信号を処理するとともに処理済みの信号を出力する信号処理/表示サブユニットとを含んでいる。図1に示すように,非侵襲的な磁気装置10は,磁場発生源1と,信号取得モジュール2と,信号処理/表示サブユニット6とを備えている。そして,信号処理/表示サブユニット6は,信号調整モジュール3と,信号処理モジュール4と,そしてディスプレイ/ユーザインターフェース/アラームモジュール5とを含む。磁場発生源1は,主要血管に近い部位において,局所的な単一方向の一定磁場を発生させる。動脈における拍動流は,与えられている磁場を変化させ,その結果,血流の磁気特性図の変化(MMSB)が得られることとなる。このMMSBは,信号取得モジュール2によって電気信号に変換され,その後,信号処理として,電気信号が調整とディジタル化が行われる。そして,処理済みの信号(特には,脈拍及び血流のプロファイル)は,ディスプレイ/ユーザインターフェース/アラームモジュールに送信されることになる。
【0039】
信号取得モジュール2は,磁気センサを含んでいる。この磁気センサは,磁場変化を,磁場特性の変化に比例する電圧に変換することが可能である。磁気センサとしては,スピントロニクスを利用したセンサ(例えば,巨大磁気抵抗効果(GMR)センサや,トンネル磁気抵抗効果(TMR)センサ),異方性磁気抵抗効果(AMR)センサ,及び任意の磁気を利用したセンサが本発明に適しているが,これらに限定されるものではない。磁気センサの一例を挙げると,スピントロニクスを利用した磁気センサ(例えば,NVE社製のAAH002−02)である。なお,異なる感度を有する他の磁気センサを使用することで,血流の磁気特性図の変化(MMSB)を検出するようにしてもよい。ただし,関連するパラメータ(例えば,磁場発生源の強度,磁場発生源とセンサの間の距離,及び血管に対する磁場発生源とセンサの相対的な配置や向き)を,実験結果を適切に利用して変更する必要があることに留意されたい。
【0040】
図2及び3に示すように,非侵襲的な磁気装置は手首装着型の機器とすることができる。その場合,磁場発生源1と磁気センサ2は,血管に対して相対的に配置される。処理済みの信号は,血流の磁気特性図の変化(MMSB)とも称され,磁場発生源の強度,センサの感度,磁場発生源とセンサの間の距離,及び皮膚の表面近傍の主要血管に対する磁場発生源とセンサの相対的な配置や向きの関数である。どのような装置であっても,磁場発生源の強度や磁気センサの感度は予め定まっている。そのため,磁場発生源や磁気センサは,一旦作製されると,その後に操作されことはない。なお,磁場発生源として電磁石部品を使用する場合には,それら部品の磁気強度を操作可能に制御することができる。しかしながら,一方で,装置に自由度を与えることによってMMSBを大きくすることができる。その場合には,ユーザは,自由度に応じて,磁場発生源/センサを,それらの相対的な配置や向きに関して自由に調整することが可能となり,それにより,より望ましいMMSBを取得することができる。好ましくは,磁場発生源の強度や磁気センサの感度を変えずに,他の手段によって,MMSBを大きくする。さらには,非侵襲的な磁気装置は,長期モニタリング機器とした場合,着用者に心地よさ(装着感)をもたらすものであることが求められる。
【0041】
次に,図4を参照する。図4には,本発明のある実施形態に係る非侵襲的な磁気装置の筐体の断面図が示されている。非侵襲的な磁気装置の筐体20は,磁場発生源21と,磁気センサ22(図4には図示せず)と,ガス式の減衰型緩衝体23とを含んでいる。筐体20を保持する手段は,図4には示されていない。これは,本発明の本質的な部分が曖昧となることがないようにするためである。手首/四肢装着型の機器を保持するための公知の手段又は方法は,いずれも,本発明の筐体20に適したものであるといえる。図4における四肢の断面図には,身体的な特徴に対してガス式の緩衝体23が忠実に適合することが示されている。なお,本出願における筐体に関する説明では,筐体に含めることができる全ての構成要素を列挙しているわけではない。言い換えると,磁場発生源及びセンサだけを用いて本発明の原理を説明しているに過ぎない。他の構成要素を本発明の筐体に含めることが可能であることは,当業者にとって,過度の試行錯誤を要するまでもなく明らかである。
【0042】
磁場発生源は,一定磁場を発生させることが可能な,適切な手段であれば,いかなる手段であってもよい。一定磁場を発生させる磁場発生源は,永久磁石,巻線コイル,強磁性材料にワイヤを巻き付けた巻線コイル,又は,磁石にワイヤを巻き付けた巻線コイルとすることができる。磁気センサについては,上述した通りである。ガス式の減衰型緩衝体は,空気又は非磁性ガスを含んで構成されている。
【0043】
磁場発生源のガス式の減衰型緩衝体に対する取り付け位置は可変とすることができる。図5には,磁場発生源と,ガス式の減衰型緩衝体の構成について,4つの例が示めされている。図5(a)には,ガス式の減衰型緩衝体の上部(内側)に磁場発生源を取り付けた例が示されている。図5(b)には,ガス式の減衰型緩衝体の下部に磁場発生源を取り付けた例が示されている。図5(c)には,ガス式の減衰型緩衝体内で磁場発生源を自由に浮遊させた例が示されている。図5(d)には,ガス式の減衰型緩衝体の下部(外側)に取り付けた例が示されている。
【0044】
次に,図6を参照する。図6には,本発明の別の実施形態に係る非侵襲的な磁気装置の筐体の平面図が示されている。ガス式の減衰型緩衝体23は,ドーナツ形の構造を有している。さらに,ガス式の減衰型緩衝体23は,その円形チャンバに沿って,磁場発生源を移動可能に構成されている。ただし,ガス式の減衰型緩衝体23は,ユーザが磁場発生源をこれ以上動かさないと決定した後に,磁場発生源を所定位置に留めることが可能に構成されている。図6に示す実施形態において,円形チャンバ内で磁場発生源の移動や位置を制御する手段は,複数のフラップである。複数のフラップは,半可撓性を有するものであり,円形チャンバ内に分散配置されたものである。これらの半可撓性フラップによって,磁場発生源が円形チャンバ内で移動可能となるとともに,磁場発生源を対応位置に保持することが可能となる。筐体20は,さらに,プリント回路基板を含んでもよく(図6には図示せず),その場合,プリント回路基板は,少なくとも1つの磁気センサが取り付けられるように構成される。これにより,磁気センサは,いずれの方向であっても磁場を検出することが可能となる。
【0045】
ガス式の減衰型緩衝体によって磁場発生源が移動可能となるので,ユーザは,磁気センサの飽和を回避することができる。このことは,種々の脈拍信号取得部位に関して,個体の身体的特徴が異なっている場合に重要である。
【0046】
図7を参照する。図7には,本発明の別の実施形態に係る非侵襲的な磁気装置の筐体の平面図が示されている。図7に示す筐体が図6に示す筐体と異なる点は,図7に示す筐体がプリント回路基板と,2つの磁気センサとを含んでおり,その2つの磁気センサがプリント回路基板上で適宜接続された状態で直交するように取り付けられている点である。
【0047】
図8を参照する。図8には,本発明のある実施形態に係るプリント回路基板及び2つの磁気センサの側面図が示されている。図8に示すように,プリント回路基板は,2つの磁気センサによって挟まれている。ここで,2つのセンサの方向は直交配置されている。この直交配置によって,磁気センサの方向を調整することなく2つの磁気センサで磁場を検出することが可能となる。つまり,2つの磁気センサの直交配置によって無指向性磁気センサ素子が構成される。また,プリント回路基板は,磁気センサと電気的に結合されており,プリント回路基板は,磁気センサから磁場信号を取得するとともに,取得した信号を,プリント回路基板に電気的に結合されている信号処理部品に出力することが可能となっている。このような磁場検出素子について,MMSB信号の取得に関して説明してきたが,磁場検出素子は,磁場を検出するための用途であれば,いかなる用途にも使用され得る。
【0048】
次に,図9を参照する。図9には,本発明の別の実施形態に係る非侵襲的な磁気装置の筐体の平面図が示されている。この筐体は,ガス式の減衰型緩衝体の円形チャンバ内に埋め込まれた複数の電磁石アクチュエータと,ガス式の減衰型緩衝体の中央部に直交配置された2つの磁気センサと,磁気センサを作動させるプリント回路基板とを含んでいる。さらに,図9に示す筐体は,図示しない制御手段を含んでいる。この制御手段は,最適な信号を取得するのに最も適した磁石を血管に関連付けて決定して作動させるためのものである。複数の電磁石アクチュエータが設けられているので,ユーザは,磁石の磁場強度を個々に又は一括して制御して調整することが可能となる。これにより,最適化された信号を生成することができる。
【0049】
本発明によるガス式の減衰型緩衝体23を,MMSBの増幅と伝播が可能に構成してもよい。図10(a)〜図10(c)は,本発明における伝播及び増幅の定義を説明するための図である。ここで,図10(a)〜図10(c)における「a」は,磁場発生源の特性寸法を指す。また,増幅とは,血管に沿う長さ方向に配置されるガス式の減衰型緩衝体によって生じる可変量(例えば,MMSB信号)の絶対値の増加をいう。伝播とは,血管と交差して配置されるガス式の減衰型緩衝体によって生じる可変量(例えば,MMSB信号)の絶対値の増加をいう。そして,図10(a)には,ガス式の減衰型緩衝体を使用して,基準となるMMSB信号を取得することが表されている。ここで,図10(a)に示すガス式の減衰型緩衝体は,磁石と同等のサイズを有している。図10(b)には,MMSB信号取得用のガス式の減衰型緩衝体による伝播効果が表されている。図10(c)には,MMSB信号取得用のガス式の減衰型緩衝体による増幅効果が表されている。
【0050】
ガス式の減衰型緩衝体は,適切な弾性率(E)を持つ材料(例えば,PTFE)によって形成することが好ましい。ところで,緩衝体には,所定の大きさの圧力(P)及び十分な容積(V)が必要である。このようにすることで,MMSB信号が外部ノイズによって干渉を受けることを確実に回避(遮断)することができる。
【0051】
図11を参照する。図11には,ガス式の減衰型緩衝体が,自由に配置された磁場発生源とともに示されている。また,図11には,増幅結果及び伝播結果を決定する変数が示されている。増幅係数は,下記式(1)に従って算出可能である。
【数1】
【0052】
上記式(1)において,Afは,増幅係数であり,aは,磁場発生源の特性寸法であり,Yは,縦方向における長さであり,Eは,緩衝体の弾性率であり,Pは,緩衝体の圧力であり,Vは,緩衝体の容積であり,kは,緩衝体に関する定数である。
【0053】
伝播係数は,下記式(2)に従って算出可能である。
【数2】
【0054】
上記式(2)において,Pfは,伝播係数であり,aは,磁場発生源の特性寸法であり,Xは,横方向における長さであり,Eは,緩衝体の弾性率であり,Pは,緩衝体の圧力であり,Vは緩衝体の容積であり,mは,緩衝体に関する定数である。
【0055】
以下の表1には,取り付け構造を異ならせた場合に得られるMMSB信号強度が示されている。また,後述する表2には,センサの配置構造とMMSB信号強度との関係が示されている。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
図12を参照する。図12は,ガス式の減衰型緩衝体のフォームファクタと,MMSB信号値との関係を例示するグラフである。図12における横座標は,ガス式の減衰型緩衝体の合計容積を,mm3単位で表している。図12における縦座標は,MMSB信号値出力を,mV単位で表している。図12のグラフに表わした結果は,取得対象の最適なMMSB信号値を生成することになる,ガス式の減衰型緩衝体の容積の値の範囲を示しているといえる。図12の下部にある横座標について補足すると,横座標は,2つの追加的な横座標となっている。ここで,2つの横座標とは,具体的には,緩衝体の長さをmm単位で表した横座標(寸法通りには示していない)と,緩衝体の幅をmm単位で表わした横座標(寸法通りには示していない)である。これらの横座標によって,ガス式の減衰型緩衝体の長さと幅の代表的な特性寸法が表わされる。つまり,これらの寸法から,対応する容積が算出される。
【0059】
本発明の筐体は,適宜の方法で組み立てることが可能である。
【0060】
本発明について,特定の実施形態を参照しながら説明したが,これらの実施形態は例示に過ぎず,また,本発明の範囲がこれらの実施形態に限定されるものではないと理解すべきである。本発明の代替的な実施形態は,本発明の属する技術分野の当業者に明らかである。このような代替的な実施形態は,本発明の思想及び範囲に含まれる。以上のことから,本発明の範囲は,添付の請求項によって規定されるとともに,上述した説明によって裏付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象となる血流を非侵襲的にモニタリングする装置の筐体であって,
局所的な単一方向の一定磁場を生成する磁場発生源と,
信号取得モジュールであって,前記磁場内に配置されて,血流に起因する磁場の変化を検出する磁気センサを含む,信号取得モジュールと,
ガス式の減衰型緩衝体であって,当該ガス式の減衰型緩衝体の内部に又は当該ガス式の減衰型緩衝体の表面上に前記磁場発生源を配置可能なガス式の減衰型緩衝体と
を含み,
これにより,前記ガス式の減衰型緩衝体が,前記磁場発生源の前記血流に起因する磁場の変化の増幅及び/又は伝播を可能とするとともに,前記磁場の変化に対する外部ノイズを遮断することが可能な,
筐体。
【請求項2】
前記筐体は,
前記信号取得モジュールの出力を適切な増幅率で変換する信号調整モジュールと,
前記信号調整モジュールからの出力信号を処理するディジタル信号処理モジュールと
をさらに含み,
これにより,脈拍数及び血流の異常をモニタリング可能な,
請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
視覚通知又は音声通知をユーザに供給するディスプレイ/ユーザインターフェース/アラームモジュールをさらに含む,請求項1に記載の筐体。
【請求項4】
前記磁場発生源が永久磁石である,請求項1に記載の筐体。
【請求項5】
前記磁場発生源が電磁石である,請求項1に記載の筐体。
【請求項6】
前記磁場発生源が複数の電磁石を含む,請求項1に記載の筐体。
【請求項7】
前記複数の電磁石によって生成された磁場の強度が電子的に制御される,請求項6記載の筐体。
【請求項8】
前記磁気センサは,前記磁場発生源からの磁場の変化を検出するのに必要な感度を有する磁気センサである,請求項1に記載の筐体。
【請求項9】
前記磁気センサが巨大磁気抵抗効果(GMR)磁気センサである,請求項8記載の筐体。
【請求項10】
前記磁気センサがトンネル磁気抵抗効果(TMR)磁気センサである,請求項8記載の筐体。
【請求項11】
前記磁気センサが異方性磁気抵抗効果(AMR)センサである,請求項8記載の筐体。
【請求項12】
前記信号取得モジュールは,プリント回路基板と,2つの磁気センサとを含み,
前記プリント回路基板は,前記2つの磁気センサによって挟まれ,
前記2つの磁気センサは,直交配置されるように構成されている,
請求項1に記載の筐体。
【請求項13】
前記ガス式の減衰型緩衝体は,円形チャンバを含むドーナツ構造を有し,
前記円形チャンバは,
当該円形チャンバに設けられた磁場発生源の移動を可能にする手段と,該磁場発生源を所定位置に保持することを可能にする手段とを含むように,
配置される,
請求項1に記載の筐体。
【請求項14】
前記円形チャンバが含む手段は,半可撓性を有する複数のフラップを含む,請求項13記載の筐体。
【請求項15】
前記ガス式の減衰型緩衝体は,空気又は非磁性ガスを含む,請求項1に記載の筐体。
【請求項16】
磁場を検出する2つの磁気センサと,
プリント回路基板と,
前記プリント回路基板からの信号が処理されるように当該信号のチャネリングを行う手段と
を含み,
前記プリント回路基板は,2つの磁気センサによって挟まれており,
当該2つの磁気センサは,直交配置されるように構成されているとともに,前記プリント回路基板に電気的に結合されており,これにより,前記2つの磁気センサからの信号が前記プリント回路基板に出力される,
磁場検出装置。
【請求項17】
前記磁気センサは,磁場発生源からの磁場の変化を検出するのに必要な感度を有する磁気センサである,請求項16記載の磁場検出装置。
【請求項18】
前記磁気センサが巨大磁気抵抗効果(GMR)磁気センサである,請求項16記載の磁場検出装置。
【請求項19】
前記磁気センサがトンネル磁気抵抗効果(TMR)磁気センサである,請求項16記載の磁場検出装置。
【請求項20】
前記磁気センサが異方性磁気抵抗効果(AMR)センサである,請求項16記載の磁場検出装置。
【請求項21】
少なくとも1つの磁場発生源と,円形チャンバを含むドーナツ構造を有するガス式の減衰型緩衝体とを含み,
前記少なくとも1つの磁場発生源は,前記円形チャンバに設けられ,
前記円形チャンバは,当該円形チャンバに設けられた磁場発生源の移動を可能にする手段と,該磁場発生源を当該円形チャンバ内で位置決めする手段とを含むように配置される,磁場発生源位置決め装置。
【請求項22】
前記磁場発生源が永久磁石である,請求項21記載の磁場発生源位置決め装置。
【請求項23】
前記磁場発生源が電磁石である,請求項21記載の磁場発生源位置決め装置。
【請求項24】
前記円形チャンバが含む手段は,半可撓性を有する複数のフラップを含む,請求項21記載の磁場発生源位置決め装置。
【請求項25】
前記ガス式の減衰型緩衝体は,空気又は非磁性ガスを含む,請求項21記載の磁場発生源位置決め装置。
【請求項1】
対象となる血流を非侵襲的にモニタリングする装置の筐体であって,
局所的な単一方向の一定磁場を生成する磁場発生源と,
信号取得モジュールであって,前記磁場内に配置されて,血流に起因する磁場の変化を検出する磁気センサを含む,信号取得モジュールと,
ガス式の減衰型緩衝体であって,当該ガス式の減衰型緩衝体の内部に又は当該ガス式の減衰型緩衝体の表面上に前記磁場発生源を配置可能なガス式の減衰型緩衝体と
を含み,
これにより,前記ガス式の減衰型緩衝体が,前記磁場発生源の前記血流に起因する磁場の変化の増幅及び/又は伝播を可能とするとともに,前記磁場の変化に対する外部ノイズを遮断することが可能な,
筐体。
【請求項2】
前記筐体は,
前記信号取得モジュールの出力を適切な増幅率で変換する信号調整モジュールと,
前記信号調整モジュールからの出力信号を処理するディジタル信号処理モジュールと
をさらに含み,
これにより,脈拍数及び血流の異常をモニタリング可能な,
請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
視覚通知又は音声通知をユーザに供給するディスプレイ/ユーザインターフェース/アラームモジュールをさらに含む,請求項1に記載の筐体。
【請求項4】
前記磁場発生源が永久磁石である,請求項1に記載の筐体。
【請求項5】
前記磁場発生源が電磁石である,請求項1に記載の筐体。
【請求項6】
前記磁場発生源が複数の電磁石を含む,請求項1に記載の筐体。
【請求項7】
前記複数の電磁石によって生成された磁場の強度が電子的に制御される,請求項6記載の筐体。
【請求項8】
前記磁気センサは,前記磁場発生源からの磁場の変化を検出するのに必要な感度を有する磁気センサである,請求項1に記載の筐体。
【請求項9】
前記磁気センサが巨大磁気抵抗効果(GMR)磁気センサである,請求項8記載の筐体。
【請求項10】
前記磁気センサがトンネル磁気抵抗効果(TMR)磁気センサである,請求項8記載の筐体。
【請求項11】
前記磁気センサが異方性磁気抵抗効果(AMR)センサである,請求項8記載の筐体。
【請求項12】
前記信号取得モジュールは,プリント回路基板と,2つの磁気センサとを含み,
前記プリント回路基板は,前記2つの磁気センサによって挟まれ,
前記2つの磁気センサは,直交配置されるように構成されている,
請求項1に記載の筐体。
【請求項13】
前記ガス式の減衰型緩衝体は,円形チャンバを含むドーナツ構造を有し,
前記円形チャンバは,
当該円形チャンバに設けられた磁場発生源の移動を可能にする手段と,該磁場発生源を所定位置に保持することを可能にする手段とを含むように,
配置される,
請求項1に記載の筐体。
【請求項14】
前記円形チャンバが含む手段は,半可撓性を有する複数のフラップを含む,請求項13記載の筐体。
【請求項15】
前記ガス式の減衰型緩衝体は,空気又は非磁性ガスを含む,請求項1に記載の筐体。
【請求項16】
磁場を検出する2つの磁気センサと,
プリント回路基板と,
前記プリント回路基板からの信号が処理されるように当該信号のチャネリングを行う手段と
を含み,
前記プリント回路基板は,2つの磁気センサによって挟まれており,
当該2つの磁気センサは,直交配置されるように構成されているとともに,前記プリント回路基板に電気的に結合されており,これにより,前記2つの磁気センサからの信号が前記プリント回路基板に出力される,
磁場検出装置。
【請求項17】
前記磁気センサは,磁場発生源からの磁場の変化を検出するのに必要な感度を有する磁気センサである,請求項16記載の磁場検出装置。
【請求項18】
前記磁気センサが巨大磁気抵抗効果(GMR)磁気センサである,請求項16記載の磁場検出装置。
【請求項19】
前記磁気センサがトンネル磁気抵抗効果(TMR)磁気センサである,請求項16記載の磁場検出装置。
【請求項20】
前記磁気センサが異方性磁気抵抗効果(AMR)センサである,請求項16記載の磁場検出装置。
【請求項21】
少なくとも1つの磁場発生源と,円形チャンバを含むドーナツ構造を有するガス式の減衰型緩衝体とを含み,
前記少なくとも1つの磁場発生源は,前記円形チャンバに設けられ,
前記円形チャンバは,当該円形チャンバに設けられた磁場発生源の移動を可能にする手段と,該磁場発生源を当該円形チャンバ内で位置決めする手段とを含むように配置される,磁場発生源位置決め装置。
【請求項22】
前記磁場発生源が永久磁石である,請求項21記載の磁場発生源位置決め装置。
【請求項23】
前記磁場発生源が電磁石である,請求項21記載の磁場発生源位置決め装置。
【請求項24】
前記円形チャンバが含む手段は,半可撓性を有する複数のフラップを含む,請求項21記載の磁場発生源位置決め装置。
【請求項25】
前記ガス式の減衰型緩衝体は,空気又は非磁性ガスを含む,請求項21記載の磁場発生源位置決め装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−503455(P2010−503455A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528209(P2009−528209)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【国際出願番号】PCT/SG2007/000180
【国際公開番号】WO2008/033099
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(509064783)ナンヤン ポリテクニック (2)
【氏名又は名称原語表記】NANYANG POLYTECHNIC
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【国際出願番号】PCT/SG2007/000180
【国際公開番号】WO2008/033099
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(509064783)ナンヤン ポリテクニック (2)
【氏名又は名称原語表記】NANYANG POLYTECHNIC
【Fターム(参考)】
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