脈波センサ
【課題】従来の脈波センサでは、短期間の脈波測定を行うことはできても、長期間に亘る継続的な脈波測定を行うことは困難であった。
【解決手段】脈波センサ100は、手首200に光を照射して生体内を透過した光の強度を検出する複数の光センサ部101−1〜101−nと、複数の光センサ部101−1〜101−n毎のオン/オフ制御を行う制御部102と、複数の光センサ部101−1〜101−nと制御部102を収納する腕輪型筐体107と、を有する。
【解決手段】脈波センサ100は、手首200に光を照射して生体内を透過した光の強度を検出する複数の光センサ部101−1〜101−nと、複数の光センサ部101−1〜101−n毎のオン/オフ制御を行う制御部102と、複数の光センサ部101−1〜101−nと制御部102を収納する腕輪型筐体107と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脈波センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来構成の脈波センサは、図15で示したように、被験者の指先で脈波の測定を行う構造(例えば指袋型)とされていた。また、従来の脈波センサは、測定データをメインCPU[Central Processing Unit]にリアルタイムで送信し、メインCPU側で測定データの解析や格納を行う構成とされていた。また、従来の脈波センサは、メインCPUとの接続を有線で行う構成とされていた。
【0003】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1や特許文献2を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−212016号公報
【特許文献2】国際公開第2002/062222号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、被験者の指先で脈波の測定を行う従来構造では、脈波の測定中に脈波センサが指先から脱落しないように、被験者の行動を制約する必要があった。そのため、従来の脈波センサでは、短期間(数分〜数時間)の脈波測定を行うことはできても、長期間(数日〜数ヶ月)に亘る継続的な脈波測定を行うことは困難であった。
【0006】
本発明は、本願の発明者らによって見い出された上記の問題点に鑑み、被験者の行動を制約せずに脈波の測定を行うことが可能な脈波センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る脈波センサは、手首に光を照射して生体内を透過した光の強度を検出する複数の光センサ部と、前記複数の光センサ部毎のオン/オフ制御を行う制御部と、前記複数の光センサ部と前記制御部を収納する腕輪型筐体と、を有する構成(第1の構成)とされている。
【0008】
なお、上記第1の構成から成る脈波センサにて、前記複数の光センサ部は、前記腕輪型筐体を等間隔で周回するように並べて配置されている構成(第2の構成)にするとよい。
【0009】
また、上記第1または第2の構成から成る脈波センサにおいて、前記制御部は、前記複数の光センサ部のうち、出力不足が生じているものをオフする構成(第3の構成)にするとよい。
【0010】
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記制御部は、前記複数の光センサ部のうち、周波数異常が生じているものをオフする構成(第4の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第1〜第4いずれかの構成から成る脈波センサは、加速度センサ部をさらに有し、前記制御部は、前記加速度センサ部の出力に応じて前記複数の光センサ部毎のオン/オフ制御を行う構成(第5の構成)にするとよい。
【0012】
また、本発明に係る脈波センサは、手首に光を照射して生体内を透過した光の強度を検出する複数の光センサ部と、前記複数の光センサ部の出力同士を加算または減算する制御部と、前記複数の光センサ部と前記制御部を収納する腕輪型筐体と、を有する構成(第6の構成)とされている。
【0013】
また、上記第1〜第6いずれかの構成から成る脈波センサは、前記複数の光センサ部や前記制御部への電力供給を行う電源部をさらに有する構成(第7の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第1〜第7いずれかの構成から成る脈波センサは、前記複数の光センサ部を用いて得られた測定データを外部に転送する通信部をさらに有する構成(第8の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第1〜第8いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記複数の光センサ部から出力される光の波長は、およそ600nm以下の可視光領域に属する構成(第9の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第1〜第9いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記腕輪型筐体は防水構造とされている構成(第10の構成)にするとよい。
【0017】
また、上記第1〜第10いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記腕輪型筐体は、可撓性素材で形成されている構成(第11の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る脈波センサであれば、被験者の行動を制約せずに脈波の測定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】脈波測定の原理を説明するための模式図
【図2】生体内における光の減衰量(吸光度)が時間的に変化する様子を示す波形図
【図3】本発明に係る脈波センサの第1実施形態を模式的に示す断面図
【図4】測定ユニット10の一構成例を模式的に示す断面図
【図5】電源ユニット20の一構成例を模式的に示す断面図
【図6】通信ユニット30の一構成例を模式的に示す断面図
【図7】本発明に係る脈波センサの第2実施形態を模式的に示す断面図
【図8】本発明に係る脈波センサの第3実施形態を模式的に示す断面図
【図9】脈波センサ1の第1装着状態を説明するための模式図
【図10】脈波センサ1の第2装着状態を説明するための模式図
【図11】本発明に係る脈波センサの第4実施形態を模式的に示す断面図
【図12】本発明に係る脈波センサの第5実施形態を模式的に示す断面図
【図13】本発明に係る脈波センサの第6実施形態を模式的に示す断面図
【図14】発光部と受光部のレイアウトパターンA〜Dを示す模式図
【図15】脈波センサの一従来例を示す模式図
【図16】本発明に係る脈波センサの第7実施形態を模式的に示すブロック図
【図17】脈波測定動作の一例を示すフローチャート
【図18】ステップS101での光センサ選別動作を説明するための模式図(水平)
【図19】ステップS101での光センサ選別動作を説明するための模式図(鉛直)
【図20】ステップS104及びS105での光センサ選別動作を説明するための図
【図21】ステップS108での演算動作を説明するための図(加算)
【図22】ステップS108での演算動作を説明するための図(減算)
【図23】第1状態〜第3状態の一定義例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<脈波測定の原理>
図1は、脈波測定の原理を説明するための模式図であり、図2は、生体内における光の減衰量(吸光度)が時間的に変化する様子を示す波形図である。
【0021】
容積脈波法による脈波測定では、例えば、図1に示したように、測定窓に押し当てられた生体の一部(図1では手首)に向けて発光部(LED[Light Emitting Diode]など)から光が照射され、体内を透過して体外に出てくる光の強度が受光部(フォトダイオードやフォトトランジスタなど)で検出される。ここで、図2に示したように、生体組織や静脈血(脱酸素化ヘモグロビンHb)による光の減衰量(吸光度)は一定であるが、動脈血(酸素化ヘモグロビンHbO2)による光の減衰量(吸光度)は拍動によって時間的に変動する。従って、可視領域から近赤外領域にある「生体の窓」(光が生体を透過しやすい波長領域)を利用して、末梢動脈の吸光度変化を測定することにより、容積脈波を測定することができる。
【0022】
<脈波から分かること>
なお、心臓及び自立神経の支配を受けている脈波は、常に一定の挙動を示すものではなく、被験者の状態によって様々な変化(揺らぎ)を生じるものである。従って、脈波の変化(揺らぎ)を解析することにより、被験者の様々な身体情報を得ることができる。例えば、心拍数からは、被験者の運動能力や緊張度などを知ることができ、心拍変動からは、被験者の疲労度、快眠度、及び、ストレスの大きさなどを知ることができる。また、脈波を時間軸で2回微分することにより得られる加速度脈波からは、被験者の血管年齢や動脈硬化度などを知ることができる。
【0023】
<第1実施形態>
図3は、本発明に係る脈波センサの第1実施形態を模式的に示す断面図である。第1実施形態の脈波センサ1は、手首2で脈波を測定するための構造、より具体的には、手首2に装着されて脈波を測定するための腕輪構造(第1実施形態では腕時計構造)を有する。なお、構成要素に着目すると、第1実施形態の脈波センサ1は、測定ユニット10と、電源ユニット20と、通信ユニット30と、ケーブル40と、腕輪型筐体50と、表示ユニット60と、を有する。
【0024】
測定ユニット10は、主として脈波の測定を行うユニットであり、表示ユニット60の裏側となるように腕輪型筐体50に収納されている。このような構成とすることにより、被験者が表示ユニット60に出力された表示情報(脈波の測定結果など)を見るために表示ユニット60を顔に向けた状態では、表示ユニット60の重みにより測定ユニット10が手首2に押し当てられる形となるので、脈波の測定を安定して行うことが可能となり、延いては、脈波の測定精度を高めることが可能となる。また、本願の発明者らは、手首での脈波測定について、指先での脈波測定に比べればやや感度は低いものの、十分に脈波の測定が可能であることを実際に実験で確認済みである。なお、測定ユニット10の内部構成や動作については、後ほど詳細に説明する。
【0025】
電源ユニット20は、主として測定ユニット10や通信ユニット30への電力供給を行うユニットであり、腕輪型筐体50が手首2に装着されたときに手首2の甲側となるように腕輪型筐体50に収納されている。このように、測定ユニット10にとってノイズ源となり得る電源ユニット20を測定ユニット10から独立した別ユニットとして配置することにより、脈波の測定精度を高めることが可能となる。なお、電源ユニット20の内部構成や動作については、後ほど詳細に説明する。
【0026】
通信ユニット30は、主として測定ユニット10で得られた測定データを外部に転送するユニットであり、腕輪型筐体50が手首2に装着されたときに手首2の甲側となるように腕輪型筐体50に収納されている。このように、測定ユニット10にとってノイズ源となり得る通信ユニット30を測定ユニット10から独立した別ユニットとして配置することにより、脈波の測定精度を高めることが可能となる。なお、通信ユニット30の内部構成や動作については、後ほど詳細に説明する。
【0027】
ケーブル40は、測定ユニット10、電源ユニット20、及び、通信ユニット30の相互間を電気的に接続するように腕輪型筐体50に収納されている。なお、ケーブル40としては、一般的な被覆電線のほか、FPC[Flexible Printed Circuits]などを好適に用いることができる。
【0028】
腕輪型筐体50は、測定ユニット10、電源ユニット20、通信ユニット30、及び、ケーブル40を収納しており、手首に装着される。
【0029】
表示ユニット60は、腕輪型筐体50に設けられて表示情報(日付や時間に関する情報のほか、脈波の測定結果なども含まれる)を出力するユニットであり、本体部61と表示部62を含む。本体部61は、表示部62を制御するためのマイコンや電池などを備えており、表示部62は、液晶表示パネルなどを備えている。すなわち、表示ユニット60は腕時計の文字盤面に相当する。
【0030】
上記のように、腕輪構造を有する脈波センサ1であれば、被験者が意図的に脈波センサ1を手首2から外さない限り、脈波の測定中に脈波センサ1が手首2から脱落してしまうおそれは殆どないので、被験者の行動を制約せずに脈波の測定を行うことが可能となる。
【0031】
また、腕輪構造を有する脈波センサ1であれば、被験者に対して脈波センサ1を装着していることをあまり意識させずに済むので、長期間(数日〜数ヶ月)に亘る継続的な脈波測定を行う場合であっても、被験者に過度のストレスを与えずに済む。
【0032】
特に、腕輪型筐体50に表示ユニット60を設けた第1実施形態であれば、脈波センサ1を腕時計として日常的に装着することができるので、脈波センサ1の装着に対する抵抗感をさらに払拭することが可能となり、延いては、新規ユーザ層の開拓に寄与することが可能となる。
【0033】
なお、腕輪型筐体50を可撓性素材(シリコンゴムなど)で形成すれば、脈波センサ1の装着可能サイズに大きな自由度を持たせることが可能となる。
【0034】
また、腕輪型筐体50及び表示ユニット60は、防水構造としておくことが望ましい。このような構成とすることにより、水(雨)や汗などに濡れても故障せずに脈波を測定することが可能となる。また、脈波センサ1を多人数で共用する場合(例えばスポーツジムでの貸し出し用として使用する場合)には、腕輪型筐体50を丸ごと水洗いすることにより、脈波センサ1を清潔に保つことが可能となる。
【0035】
また、第1実施形態では、測定ユニット10、電源ユニット20、通信ユニット30、及び、表示ユニット60をそれぞれ独立したユニットとした構成を例に挙げたが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、複数のユニットを一つにまとめても構わない。
【0036】
<測定ユニット>
図4は、測定ユニット10の一構成例を模式的に示す断面図である。本構成例の測定ユニット10は、基板11と、光センサ12と、測定窓13と、増幅回路14と、演算回路15と、を含む。
【0037】
基板11には、その表面に光センサ12が直接実装されており、その裏面に増幅回路14と演算回路15が直接実装されている。また、基板11には、電源ユニット20や通信ユニット30との電気的接続を確立するためのケーブル40も接続されている。なお、基板11の表面と裏面との間には、スルーホールやビアを介して電気的な接続が確立されている。このように、光センサ12、増幅回路14、及び、演算回路15をいずれも基板11に直接実装する構成であれば、測定ユニット10を薄型化することができるので、脈波センサ1の装着感を高めることが可能となる。また、基板11の表面に光センサ12のみを直接実装する構成であれば、光センサ12をできるだけ手首2に近接させることができるので、脈波の測定精度を高めることが可能となる。
【0038】
光センサ12は、発光部から手首2に光を照射して、生体内を透過した光の強度を受光部で検出することにより、脈波データを取得する。なお、本構成例の光センサ12は、発光部と受光部が手首2を挟んで互いに反対側に設けられた構成(いわゆる透過型、図1の破線矢印を参照)ではなく、発光部と受光部が手首2に対していずれも同じ側に設けられた構成(いわゆる反射型、図1の実線矢印を参照)とされている。
【0039】
測定窓13は、光センサ12の発光/受光面上に設けられた透光部材(ガラス板やアクリル板など)であり、光センサ12は、この測定窓13を介して脈波の測定(手首2への光照射、及び、手首2から戻ってくる反射光の検出)を行う。なお、測定窓13の厚さについては、光センサ12の焦点深度を鑑みて適切に設計することが望ましい。
【0040】
増幅回路14は、光センサ12の出力信号(受光部の検出信号)を増幅して演算回路15に出力する。このように、光センサ12の直近に増幅回路14を設けた構成であれば、ノイズが重畳する前に光センサ12の出力信号を増幅することができるので、信号のS/N[Signal/Noise Ratio]を高めることが可能となり、延いては、脈波の測定精度を高めることが可能となる。
【0041】
演算回路15は、脈波センサ1全体の動作を統括的に制御するほか、増幅回路14の出力信号に各種の信号処理を施すことにより、脈波に関する種々の情報(脈波の揺らぎ、心拍数、心拍変動、及び、加速度脈波など)を取得する。なお、演算回路15としては、CPU[Central Processing Unit]などを好適に用いることができる。このように、光センサ12及び増幅回路14の直近に演算回路15を設けた構成であれば、ノイズが重畳する前に増幅回路14の出力信号を処理することができるので、脈波の解析精度を高めることが可能となる。
【0042】
<電源ユニット>
図5は、電源ユニット20の一構成例を模式的に示す断面図である。本構成例の電源ユニット20は、基板21と、バッテリ22と、電源回路23と、充電回路24を含む。
【0043】
基板21には、その表面にバッテリ22が直接実装されており、その裏面に電源回路23と充電回路24が直接実装されている。また、基板21には、測定ユニット10との電気的接続を確立するためのケーブル40も接続されている。なお、基板21の表面と裏面との間には、スルーホールやビアを介して電気的な接続が確立されている。このように、基板21の両面を有効に活用することにより、基板21の面積を縮小することができるので、電源ユニット20を小型化することが可能となり、延いては、被験者に脈波センサ1の装着を意識させずに済む。
【0044】
バッテリ22は、脈波センサ1の駆動に必要な電力供給源であり、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタなどを好適に用いることができる。このように、バッテリ駆動方式の脈波センサ1であれば、脈波の測定時に外部からの給電ケーブルを接続する必要がないので、被験者の行動を制約せずに脈波の測定を行うことが可能となる。なお、本構成例では、平坦性の高いバッテリ22が手首2の直上に配置されているので、脈波センサ1を手首2に装着した際の親和性を高めることが可能となり、延いては、被験者に脈波センサ1の装着を意識させずに済む。
【0045】
電源回路23は、バッテリ22からの入力電圧を所望の出力電圧に変換して、脈波センサ1の各部に供給する。このように、測定ユニット10にとってノイズ源となり得る電源回路23を測定ユニット10から独立した電源ユニット20に組み込むことにより、脈波の測定精度を高めることが可能となる。
【0046】
充電回路24は、外部からの電力供給を受けてバッテリ22の充電制御を行う。なお、外部からの電力供給方式としては、USB[Universal Serial Bus]ケーブルなどを用いる接触方式であってもよいし、或いは、電磁誘導方式、電界結合方式、及び、磁界共鳴方式などの非接触方式であってもよい。このようなバッテリ22の充電手段を有する構成であれば、電池交換作業が不要となるので、脈波センサ1の利便性を高めることができる。なお、腕輪型筐体50を防水構造とする際には、外部端子を完全に排除するという観点から、充電回路24への電力供給方式として非接触方式を採用することが望ましい。
【0047】
<通信ユニット>
図6は、通信ユニット30の一構成例を模式的に示す断面図である。本構成例の通信ユニット30は、基板31と、メモリ32と、無線通信回路33と、を含む。
【0048】
基板31には、その表面にメモリ32と無線通信回路33が直接的に実装されている。また、基板31には、測定ユニット10との電気的接続を確立するためのケーブル40も接続されている。
【0049】
メモリ32は、測定ユニット10で得られた測定データ(増幅回路14から出力される生データであってもよいし、演算回路15で種々の処理が施された後の処理済みデータであってもよい)を揮発的ないしは不揮発的に格納する。なお、メモリ32としては、揮発性のRAM[Random Access Memory]や不揮発性のフラッシュメモリなどを好適に用いることができる。このような測定データの格納手段を有する構成であれば、所定期間毎にメモリ32の蓄積データを一括外部送信することができるので、無線通信回路33を間欠的に待機状態とすることが可能となり、延いては、脈波センサ1のバッテリ駆動時間を延ばすことが可能となる。
【0050】
無線通信回路33は、測定ユニット10で得られた測定データ(増幅回路14から出力される生データ、演算回路15から出力される処理済みデータ、及び、メモリ32から出力される格納データのいずれであってもよい)を外部のパーソナルコンピュータや携帯電話機に無線で送信する。無線通信回路33は、電源回路23と同様、測定ユニット10にとってノイズ源となり得るため、測定ユニット10から独立した通信ユニット30に組み込むことが望ましい。なお、無線通信回路33としては、例えばBluetooth(登録商標)モジュールICを好適に用いることができる。このような無線通信回路33を有する構成であれば、外部機器に測定データを送信する際に有線での接続を必要としないので、例えば、被験者の行動を制約せずに測定データのリアルタイム送信を行うことが可能となる。なお、腕輪型筐体50を防水構造とする際には、外部端子を完全に排除するという観点から、測定データの外部送信方式として無線送信方式を採用することが望ましい。
【0051】
<第2実施形態>
図7は、本発明に係る脈波センサの第2実施形態を模式的に示す断面図である。第2実施形態の脈波センサ1において、電源ユニット20と通信ユニット30は、いずれも、腕輪型筐体50が手首2に装着されたときに手首2の腹側となるように腕輪型筐体50に収納されている。このように、測定ユニット10にとってノイズ源となり得る電源ユニット20と通信ユニット30を測定ユニット10からできるだけ離して配置することにより、脈波の測定精度を高めることが可能となる。
【0052】
<第3実施形態>
図8は、本発明に係る脈波センサの第3実施形態を模式的に示す断面図である。第3実施形態の脈波センサ1では、3つの測定ユニット10a〜10cが表示ユニット60と向き合うように腕輪型筐体50の周方向に並べて配置されている。具体的に述べると、測定ユニット列の中央部に位置する測定ユニット10bは、腕輪型筐体50を軸心方向から見たときに、軸心Pに対して表示ユニット60と点対称となるように配置されており、測定ユニット列の両端部に位置する測定ユニット10a及び10cは、各々と腕輪型筐体50の軸心Pとを結ぶ2本の線分の成す角度が60度〜90度となるように配置されている。また、電源ユニット20と通信ユニット30はいずれも、表示ユニット60の裏側となるように腕輪型筐体50に収納されている。
【0053】
このような構成とすることにより、脈波センサ1の装着状態に依らず、測定ユニット10a〜10cの少なくとも一つで適切に脈波の測定を行うことが可能となる。その理由について、図9及び図10を参照しながら具体的に説明する。
【0054】
図9は、脈波センサ1の第1装着状態(表示ユニット60が手首2の甲側となるように脈波センサ1が装着された状態)を説明するための模式図であり、図10は、脈波センサ1の第2装着状態(表示ユニット60が手首2の腹側となるように脈波センサ1が装着された状態)を説明するための模式図である。
【0055】
手首2の腹側について見ると、中央部は皮膚の直下に腱があって脈波センサ1のフィット感に乏しいものの、両端部は肉厚で脈波センサ1のフィット感に優れている。従って、脈波センサ1の第1装着状態では、測定ユニット列の両端部に位置する測定ユニット10a及び10cで適切に脈波の測定を行うことが可能である。
【0056】
一方、手首2の甲側について見ると、両端部は皮膚の直下に骨があって脈波センサ1のフィット感に乏しいものの、中央部は肉厚で脈波センサ1のフィット感に優れている。従って、脈波センサ1の第2装着状態では、測定ユニット列の中央部に位置する測定ユニット10bで適切に脈波の測定を行うことが可能である。
【0057】
上記したように、脈波センサ1の第1装着状態では、測定ユニット列の中央部に位置する測定ユニット10bよりも、測定ユニット列の両端部に位置する測定ユニット10a及び10cの方が脈波を高精度に測定することができ、脈波センサ1の第2装着状態では、測定ユニット列の両端部に位置する測定ユニット10a及び10cよりも、測定ユニット列の中央部に位置する測定ユニット10bの方が脈波を高精度に測定することができる。
【0058】
逆に言えば、脈波センサ1の第1装着状態では、測定ユニット10bの動作必要性が乏しく、脈波センサ1の第2装着状態では、測定ユニット10a及び10cの動作必要性が乏しいと言える。
【0059】
そこで、第3実施形態の脈波センサ1は、測定ユニット10a〜10c毎にオン/オフ制御を行う制御部を有する構成とされている。より具体的に述べると、制御部は、被験者の動作モード切替操作に応じて、測定ユニット10bをオフとして測定ユニット10a及び10cをオンとする第1の動作モードと、測定ユニット10bをオンとして測定ユニット10a及び10cをオフとする第2の動作モードと、を切り替える構成とされている。
【0060】
なお、上記の制御部は、測定ユニット10a〜10cに各々組み込まれている演算回路の一機能として実現してもよいし、電源ユニット20や通信ユニット30、或いは、表示ユニット60にマイコンなどを組み込んでもよい。或いは、測定ユニット10a〜10cの統括制御を行うための独立ユニットとして腕輪型筐体50に別途収納しても構わない。
【0061】
このような構成であれば、測定ユニット10a〜10cを必要に応じてオン/オフすることができるので、電力の浪費を抑えてバッテリ駆動時間を延ばすことが可能となる。
【0062】
また、第3実施形態の脈波センサ1において、上記の制御部は、測定ユニット10a〜10c毎のオン/オフ制御と連動して、表示ユニット60の表示方向制御を行う構成とされている。より具体的に述べると、第1の動作モードでは、腕輪型筐体50の周回方向が表示部62に出力される表示情報の上下方向と一致するように、また、第2の動作モードでは、腕輪型筐体50の周回方向が表示部62に出力される表示情報の左右方向と一致するように、表示ユニット60の表示方向制御が行われる。このような構成とすることにより、脈波センサ1の装着状態に依らず、被験者による表示情報の読み取りが容易となる。
【0063】
<第4実施形態>
図11は、本発明に係る脈波センサの第4実施形態を模式的に示す断面図である。第4実施形態の脈波センサ1では、先出の表示ユニット60が除かれており、さらに、8つの測定ユニット10a〜10hが腕輪型筐体50を等間隔で周回するように並べて配置されている。このような構成であれば、腕輪型筐体50が手首2の周りを回転しても、測定ユニット10a〜10hの少なくとも一つで適切に脈波の測定を行うことが可能である。
【0064】
また、第4実施形態の脈波センサ1では、8つの測定ユニット10a〜10hに対して2つの電源ユニット20x及び20yが設けられており、一つの電源ユニットから複数の測定ユニットに電力供給が行われる。より具体的に述べると、電源ユニット20xは、ケーブル40xを介して測定ユニット10a〜10dと通信ユニット30に電力を供給し、電源ユニット20yは、ケーブル40yを介して測定ユニット10e〜10hに電力を供する。このような構成とすることにより、一つの電源ユニットに掛かる負荷を軽減することが可能となる。また、ケーブルを複数に分割することができるので、腕輪型筐体50の伸縮にも柔軟に対応することが可能となる。
【0065】
なお、第4実施形態の脈波センサ1では、電源ユニット20x及び20yと通信ユニット30が腕輪型筐体50内の一箇所に集約して収納されている。
【0066】
<第5実施形態>
図12は、本発明に係る脈波センサの第5実施形態を模式的に示す断面図である。第5実施形態の脈波センサ1では、測定ユニット10a〜10hよりも薄く小型に形成された電源ユニット20x及び20yが、それぞれ、測定ユニット10aと測定ユニット10eとの間、及び、測定ユニット10dと測定ユニット10hとの間に配置されている。このような構成とすることにより、先出の第4実施形態と同様、腕輪型筐体50が手首2の周りを回転しても、測定ユニット10a〜10hの少なくとも一つで適切に脈波の測定を行うことが可能である。
【0067】
<第6実施形態>
図13は、本発明に係る脈波センサの第6実施形態を模式的に示す断面図である。第6実施形態の脈波センサ1では、8つの測定ユニット10a〜10hに対して、8つの電源ユニット20a〜20h、8つの通信ユニット30a〜30h、及び、8本のケーブル40a〜40hが設けられており、一つの電源ユニットから一本のケーブルを介して一つの測定ユニットと一つの通信ユニットに各々電力供給が行われる。すなわち、第6実施形態の脈波センサ1は、各々独立に脈波を測定して測定データの外部送信を行うことが可能な自立ブロックが腕輪型筐体50の内部に8つ収納された構成であると言える。このような構成とすることにより、先出の第4実施形態や第5実施形態と同様、腕輪型筐体50が手首2の周りを回転しても、測定ユニット10a〜10hの少なくとも一つで適切に脈波の測定を行うことが可能である。
【0068】
<光センサ>
図14は、測定ユニット10の光センサ12を形成する発光部と受光部のレイアウトパターンA〜Dを示す模式図である。図14に示したように、発光部LEDと受光部PDとは、1対1(レイアウトパターンA)、2対1(レイアウトパターンB)、3対1(レイアウトパターンC)、及び、4対1(レイアウトパターンD)など、いずれのレイアウトパターンを採用しても構わない。なお、レイアウトパターンB〜Dを採用する場合には、複数の発光部LEDを正多角形の頂点位置に各々配置し、受光部を前記正多角形の重心位置に配置することが望ましい。
【0069】
<出力波長についての考察>
実験では、いわゆる反射型の脈波センサ1において、発光部の出力波長をλ1(赤外:940nm)、λ2(緑:630nm)、及び、λ3(青:468nm)とし、発光部の出力強度(駆動電流値)を1mA、5mA、10mAに変化させたときの挙動を各々調査した。その結果、およそ波長600nm以下の可視光領域において、酸素化ヘモグロビンHbO2の吸収係数が大きくなり、測定される脈波のピーク強度が大きくなるため、脈波の波形を比較的取得しやすいことが分かった。
【0070】
なお、動脈血の酸素飽和度を検出するパルスオキシメータでは、酸素化ヘモグロビンHbO2の吸収係数(実線)と脱酸素化ヘモグロビンHbの吸収係数(破線)との差違が最大となる近赤外領域の波長(700nm前後)が発光部の出力波長として広く一般的に用いられているが、脈波センサ(特に、いわゆる反射型の脈波センサ)としての利用を考えた場合には、上記の実験結果で示したように、波長600nm以下の可視光領域を発光部の出力波長として用いることが望ましいと言える。
【0071】
<第7実施形態>
図16は、本発明に係る脈波センサの第7実施形態を模式的に示すブロック図である。第7実施形態の脈波センサ100は、n個(ただしn≧2)の光センサ部101−1〜101−nと、制御部102と、加速度センサ部103と、記憶部104と、無線通信部105と、電源部106と、腕輪型筐体107と、を有する。
【0072】
光センサ部101−1〜101−nは、それぞれ、手首200に光を照射して生体内を透過した光の強度を検出する。光センサ部101−1〜101−nは、第4〜第6実施形態の測定ユニット10a〜10hと同様、腕輪型筐体107を等間隔で周回するように並べて配置されている。なお、光センサ部101−1〜101−nの構造や出力波長については、先述の光センサ12と同様であるため、重複した説明は割愛する。
【0073】
制御部102は、先述の演算回路15に相当し、脈波センサ100全体の動作を統括的に制御する。
【0074】
加速度センサ部103は、3軸の加速度を個別に検出して制御部102に伝達する。このような構成とすることにより、制御部102では、脈波センサ100の姿勢を認識することが可能となる。
【0075】
記憶部104は、先述のメモリ32に相当し、光センサ部101−1〜101−nで得られた測定データ(光センサ部101−1〜101−nから出力される生データであってもよいし、制御部102で種々の処理が施された後の処理済みデータであってもよい)を揮発的ないしは不揮発的に格納する。
【0076】
無線通信部105は、先述の無線通信回路33に相当し、光センサ部101−1〜101−nを用いて得られた測定データ(光センサ部101−1〜101−nから出力される生データ、制御部102から出力される処理済みデータ、及び、記憶部104から出力される格納データのいずれであってもよい)を外部のパーソナルコンピュータや携帯電話機に無線で送信する。
【0077】
電源部106は、先述の電源ユニット20に相当し、脈波センサ100各部への電力供給を行う。
【0078】
腕輪型筐体107は、先述の腕輪型筐体50に相当し、光センサ部101−1〜101−n、制御部102、加速度センサ部103、記憶部104、及び、無線通信部105を収納する。
【0079】
図17は、脈波センサ100による脈波測定動作の一例を示すフローチャートである。なお、本フローチャートの実行主体は、基本的に制御部102である。
【0080】
ステップS101では、加速度センサ部103の出力に応じて脈波センサ100の姿勢が認識され、その認識結果に基づいて光センサ部101−1〜101−n毎のオン/オフ制御が行われる。
【0081】
例えば、図18で示したように、腕輪型筐体107の軸心が水平方向または略水平方向に向いている場合、腕輪型筐体107の自重により、光センサ部101−1〜101−nのうち、軸心を通る水平線よりも上側の光センサ部は手首200と密着し、下側の光センサ部は手首200と離間する。そこで、正常な脈波の測定が期待できる上側の光センサ部をオンとし、正常な脈波の測定が期待できない下側の光センサ部を予めオフしておくことにより、脈波の測定精度を悪化させることなく、光センサ部101−1〜101−nを全てオンさせた場合と比べて、消費電力を1/2に削減することが可能となる。
【0082】
また、図19で示したように、腕輪型筐体107の軸心が鉛直方向または略鉛直方向を向いている場合、光センサ部101−1〜101−nのいずれと手首200が密着しているかは定かでない。そこで、光センサ部101−1〜101−nを腕輪型筐体107の周回方向に沿って交互にオン/オフさせることにより、脈波の測定精度を悪化させることなく、光センサ部101−1〜101−nを全てオンさせた場合と比べて、消費電力を1/2に削減することが可能となる。
【0083】
ステップS102では、光センサ部101−1〜101−nのうち、ステップS101でオンとされた光センサ部を用いて、出力ピークの強度と周波数を検出するための測定が行われる。本ステップでの脈波測定は、さらなる光センサ部の選別処理に必要な情報を取得するためだけに行われるものであって、測定データの外部送信は行われない。
【0084】
ステップS103では、ステップS102で脈波の測定が開始されてから所定時間Tが経過したか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合にはフローがステップS104に進められ、ノー判定が下された場合にはフローがステップS102に戻される。なお、上記の所定時間Tについては、出力ピークの強度と周波数を検出することが可能な長さに設定しておけばよい(図20を参照)。
【0085】
ステップS104では、光センサ部101−1〜101−nのうち、ステップS101でオンとされた光センサ部毎の測定データについて、各出力ピークの強度と所定の閾値とが比較され、その比較結果に基づいて光センサ部101−1〜101−n毎のオン/オフ制御が行われる。より具体的に述べると、出力ピークの強度が所定の閾値を下回っているものについては、出力不足が生じているものとしてオフされる。
【0086】
例えば、図20で示した光センサ部X〜Zのうち、光センサ部X及びZの測定データについては、出力ピークの強度PX及びPZが閾値Pthを上回っているが、光センサ部Yの測定データについては、出力ピークの強度PYが閾値Pthを下回っている。そこで、正常な脈波の測定が期待できない光センサ部Yを予めオフしておくことにより、脈波の測定精度を悪化させることなく、さらなる消費電力の削減を達成することが可能となる。
【0087】
ステップS105では、光センサ部101−1〜101−nのうち、ステップS101でオンとされた光センサ部毎の測定データについて、各出力ピークの周波数が所定の範囲内に収まっているか否かの判定が行われ、その判定結果に基づいて光センサ部101−1〜101−n毎のオン/オフ制御が行われる。より具体的に述べると、出力ピークの周波数が60〜200bpm[beats per minutes]の範囲内に収まっていないものについては、周波数異常(ノイズの重畳など)が生じているものとしてオフされる。
【0088】
例えば、図20で示した光センサ部X〜Zのうち、光センサ部X及びYの測定データについては、出力ピークの周波数FX及びFYが所定の範囲内に収まっているが、光センサ部Zの測定データについては、ノイズの重畳に起因して出力ピークの周波数FZが所定の範囲内に収まっていない。そこで、正常な脈波の測定が期待できない光センサ部Zを予めオフしておくことにより、脈波の測定精度を悪化させることなく、さらなる消費電力の削減を達成することが可能となる。
【0089】
なお、図20の例では、光センサ部X〜Zのうち、ステップS104で光センサ部Yがオフとされ、ステップS105で光センサ部Zがオフとされるので、最終的にオンされた状態で残るのは光センサ部Xのみとなる。
【0090】
ステップS106では、ステップS101〜S105における光センサ部の選別処理により、光センサ部101−1〜101−nが全てオフとされたか否かの判定が行われる。ここで、ノー判定が下された場合(すなわち光センサ部101−1〜101−nのうち少なくとも一つが最終的にオンされた状態で残っている場合)にはフローがステップS107に進められる。一方、イエス判定が下された場合にはフローがステップS114に進められる。
【0091】
ステップS107では、光センサ部101−1〜101−nのうち、ステップS101〜S105における光センサ部の選別処理を経て、最終的にオンされた状態で残っている光センサ部を用いて、脈波の測定が行われる。
【0092】
ステップS108では、ステップS107で得られた測定データに所定の演算処理が施される。例えば、図21で示したように、光センサ部Aの出力Aと光センサ部Bの出力Bとを足し合わせて加算出力(A+B)を生成することが考えられる。このような演算処理を行うことにより、出力ピークの強度を高めてS/Nを向上させることが可能となる。
【0093】
また、図22で示したように、ノイズ成分が重畳した光センサ部Aの出力Aからノイズ成分のみを含む出力B(例えば、暗電流検出専用に別途用意された光センサ部Bの出力)を差し引いて減算出力(A−B)を生成することも考えられる。このような演算処理を行うことにより、ノイズ成分を除去してS/Nを向上させることが可能となる。
【0094】
なお、ステップS108での演算処理には、上記のような加算処理や減算処理のほか、複数の測定データのうち、出力ピークの強度が最大であるものを選んで出力するといった測定データの選択処理も含まれる。
【0095】
ステップS109では、ステップS108の演算処理を経て生成された測定データが外部のパーソナルコンピュータや携帯電話機に転送される。なお、本フローチャートでは、一回の脈波測定毎に測定データを外部に転送する構成を例示したが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、ステップS109で測定データの一時格納処理を行い、所定期間毎(または脈波測定を終了する際)に、一時格納された測定データを一括して外部に転送する構成としても構わない。
【0096】
ステップS110では、ステップS107で脈波の測定が開始されてから所定時間Tが経過したか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合にはフローがステップS111に進められ、ノー判定が下された場合には所定時間Tのカウント結果がリセットされてフローがステップS107に戻される。なお、上記の所定時間Tについては、先述と同様、出力ピークの強度と周波数を検出することが可能な長さに設定しておけばよい(図20を参照)。
【0097】
ステップS111では、脈波センサ100が第1状態であるか否かの判定が行われる。上記の第1状態とは、正常に脈波が測定されている状態を言い、より具体的には、図23で示したように、出力ピークの強度(複数の光センサ部がオンされている場合には各々の合算値)が第1下側閾値TH1Lよりも大きく、第1上側閾値TH1Hよりも小さい状態を言う(ただしTH1L<TH1H)。ここで、イエス判定が下された場合にはフローがステップS112に進められ、ノー判定が下された場合にはフローがステップS113に進められる。
【0098】
ステップS112では、脈波測定終了が指示されたか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には上記一連のフローが終了され、ノー判定が下された場合にはフローがステップS107に戻される。
【0099】
ステップS112では、脈波センサ100が第2状態であるか否かの判定が行われる。上記の第2状態とは、光センサ部101−1〜101−nを全てオンさせなければ、正常に脈波を測定することができない状態を言い、より具体的には、図23で示したように、出力ピークの強度(複数の光センサ部がオンされている場合には各々の合算値)が第2閾値TH2よりも小さい状態を言う(ただしTH2<TH1L)。ここで、イエス判定が下された場合にはフローがステップS114に進められる。一方、ノー判定が下された場合にはフローがステップS101に進められて、光センサ部101−1〜101−nの選別処理が一からやり直される。
【0100】
ステップS106またはステップS113でイエス判定が下された場合、ステップS114では、ステップS101〜S105における光センサ部101−1〜101−nの選別処理結果に依らず、光センサ部101−1〜101−nが全てオンされる。このような構成とすることにより、消費電力の削減よりも脈波測定の高精度化(安定化)を優先することが可能となる。
【0101】
ステップS115では、全ての光センサ部101−1〜101−nを用いて、脈波の測定が行われる。
【0102】
ステップS116では、ステップS115で得られた測定データに所定の演算処理が施される。この演算処理については、先述のステップS108と同様であるため、重複した説明を割愛する。
【0103】
ステップS117では、ステップS116の演算処理を経て生成された測定データが外部のパーソナルコンピュータや携帯電話機に転送される。
【0104】
ステップS118では、ステップS115で脈波の測定が開始されてから所定時間Tが経過したか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合にはフローがステップS111に進められ、ノー判定が下された場合には所定時間Tのカウント結果がリセットされてフローがステップS115に戻される。
【0105】
ステップS119では、脈波センサ100が第3状態であるか否かの判定が行われる。上記の第3状態とは、光センサ部101−1〜101−nを全てオンさせなくても、正常に脈波を測定することができる状態を言い、より具体的には、図23で示したように、出力ピークの強度(複数の光センサ部がオンされている場合には各々の合算値)が第3閾値TH3よりも大きい状態を言う(ただしTH3>TH1H)。ここで、ノー判定が下された場合にはフローがステップS120に進められる。一方、イエス判定が下された場合にはフローがステップS101に進められて、光センサ部101−1〜101−nの選別処理が一からやり直される。
【0106】
ステップS120では、脈波センサ100が第2状態であるか否かの判定が行われる。上記の第2状態とは、先にも述べた通り、光センサ部101−1〜101−nを全てオンさせなければ、正常に脈波を測定することができない状態を言い、より具体的には、図23で示したように、出力ピークの強度(複数の光センサ部がオンされている場合には各々の合算値)が第2閾値TH2よりも小さい状態を言う(ただしTH2<TH1L)。ここで、ノー判定が下された場合にはフローがステップS121に進められる。一方、イエス判定が下された場合には、もはや脈波を正常に測定することは不可能であるという判断の下、一連のフローが終了される。
【0107】
ステップS121では、脈波測定終了が指示されたか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には上記一連のフローが終了され、ノー判定が下された場合にはフローがステップS115に戻される。
【0108】
<本明細書中に開示されている技術的特徴>
以下では、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴について総括する。
【0109】
本明細書中に開示されている脈波センサは、手首で脈波を測定するための構造を有する構成(第1−1の構成)とされている。
【0110】
なお、上記第1−1の構成から成る脈波センサは、手首に装着されて脈波を測定するための腕輪構造を有する構成(第1−2の構成)にするとよい。
【0111】
また、上記第1−2の構成から成る脈波センサは、脈波の測定を行う測定ユニットと、前記測定ユニットへの電力供給を行う電源ユニットと、前記測定ユニットと前記電源ユニットとの間を電気的に接続するケーブルと、前記測定ユニット、前記電源ユニット、及び前記ケーブルを収納する腕輪型筐体と、を有する構成(第1−3の構成)にするとよい。
【0112】
また、上記第1−3の構成から成る脈波センサにて、前記測定ユニットは、手首に光を照射して生体内を透過した光の強度を検出する光センサを含む構成(第1−4の構成)にするとよい。
【0113】
また、上記第1−4の構成から成る脈波センサにおいて、前記光センサの出力波長は、およそ600nm以下の可視光領域に属する構成(第1−5の構成)にするとよい。
【0114】
また、上記第1−4または第1−5の構成から成る脈波センサは、前記腕輪型筐体に設けられて表示情報を出力する表示ユニットをさらに有する構成(第1−6の構成)にするとよい。
【0115】
また、上記第1−6の構成から成る脈波センサにおいて、前記測定ユニットは、前記表示ユニットの裏側に設けられている構成(第1−7の構成)にするとよい。
【0116】
また、上記第1−6の構成から成る脈波センサにおいて、前記測定ユニットは、前記表示ユニットに向き合って前記腕輪型筐体の周方向に複数並べて配置されている構成(第1−8の構成)にするとよい。
【0117】
また、上記第1−8の構成から成る脈波センサにおいて、前記複数の測定ユニットは、測定ユニット列の両端部に位置する2つの測定ユニットと前記腕輪型筐体の軸心とを各々結ぶ2本の線分の成す角度が60度〜90度となるように配置されている構成(第1−9の構成)にするとよい。
【0118】
また、上記第1−9の構成から成る脈波センサは、前記複数の測定ユニット毎にオン/オフ制御を行う制御部を有する構成(第1−10の構成)にするとよい。
【0119】
また、上記第1−10の構成から成る脈波センサにて、前記制御部は、前記測定ユニット列の中央部付近に位置する測定ユニットをオフとして前記測定ユニット列の両端部付近に位置する測定ユニットをオンとする第1の動作モードと、前記測定ユニット列の中央部付近に位置する測定ユニットをオンとして前記測定ユニット列の両端部付近に位置する測定ユニットをオフとする第2の動作モードと、を切り替える構成(第1−11の構成)にするとよい。
【0120】
また、上記第1−11の構成から成る脈波センサにおいて、前記制御部は、前記測定ユニット毎のオン/オフ制御と連動して前記表示ユニットの表示方向制御を行う構成(第1−12の構成)にするとよい。
【0121】
また、上記第1−4または第1−5の構成から成る脈波センサにおいて、前記測定ユニットは、前記腕輪型筐体を等間隔で周回するように、複数並べて配置されている構成(第1−13の構成)にするとよい。
【0122】
また、上記第1−13の構成から成る脈波センサにおいて、前記電源ユニットは、前記複数の測定ユニットよりも少数であり、一つの電源ユニットから複数の測定ユニットに電力供給が行われる構成(第1−14の構成)にするとよい。
【0123】
また、上記第1−13の構成から成る脈波センサにおいて、前記電源ユニットは、前記複数の測定ユニットと同数だけ設けられており、一つの電源ユニットから一つの測定ユニットに電力供給が行われる構成(第1−15の構成)にするとよい。
【0124】
また、上記第1−4〜第1−15いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記測定ユニットは、前記光センサの出力信号を増幅する増幅回路と、前記増幅回路の出力信号に基づいて脈波に関する情報を取得する演算回路と、を含む構成(第1−16の構成)にするとよい。
【0125】
また、上記第1−16の構成から成る脈波センサにおいて、前記測定ユニットは、表面に前記光センサが実装されて裏面に前記増幅回路と前記演算回路が実装される基板を含む構成(第1−17の構成)にするとよい。
【0126】
また、上記第1−3〜第1−17いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記電源ユニットは、バッテリと、前記バッテリからの入力電圧を所望の出力電圧に変換する電源回路とを含む構成(第1−18の構成)にするとよい。
【0127】
また、上記第1−18の構成から成る脈波センサにおいて、前記電源ユニットは、前記バッテリの充電制御を行う充電回路を含む構成(第1−19の構成)にするとよい。
【0128】
また、上記第1−19の構成から成る脈波センサにおいて、前記充電回路は、接触方式で外部からの電力供給を受ける構成(第1−20の構成)にするとよい。
【0129】
また、上記第1−19の構成から成る脈波センサにおいて、前記充電回路は、非接触方式で外部からの電力供給を受ける構成(第1−21の構成)にするとよい。
【0130】
また、上記第1−3〜第1−21いずれかの構成から成る脈波センサは、前記測定ユニットで得られた測定データを外部に転送する通信ユニットをさらに有する構成(第1−22の構成)にするとよい。
【0131】
また、上記第1−22の構成から成る脈波センサにおいて、前記通信ユニットは、前記測定データを格納するメモリと、前記測定データを外部に無線送信する無線通信回路と、を含む構成(第1−23の構成)にするとよい。
【0132】
また、上記第1−3〜第1−23いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記腕輪型筐体は、防水構造とされている構成(第1−24の構成)にするとよい。
【0133】
また、上記第1−3〜第1−24いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記腕輪型筐体は、可撓性素材で形成されている構成(第1−25の構成)にするとよい。
【0134】
また、本明細書中に開示されている脈波センサは、手首に光を照射して生体内を透過した光の強度を検出する複数の光センサ部と、前記複数の光センサ部毎のオン/オフ制御を行う制御部と、前記複数の光センサ部と前記制御部を収納する腕輪型筐体と、を有する構成(第2−1の構成)とされている。
【0135】
なお、上記第2−1の構成から成る脈波センサにて、前記複数の光センサ部は、前記腕輪型筐体を等間隔で周回するように並べて配置されている構成(第2−2の構成)にするとよい。
【0136】
また、上記第2−1または第2−2の構成から成る脈波センサにて、前記制御部は、前記複数の光センサ部のうち、出力不足が生じているものをオフとする構成(第2−3の構成)にするとよい。
【0137】
また、上記第2−1〜第2−3いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記制御部は、前記複数の光センサ部のうち、周波数異常が生じているものをオフする構成(第2−4の構成)にするとよい。
【0138】
また、上記第2−1〜第2−4いずれかの構成から成る脈波センサは、加速度センサ部をさらに有し、前記制御部は、前記加速度センサ部の出力に応じて前記複数の光センサ部毎のオン/オフ制御を行う構成(第2−5の構成)にするとよい。
【0139】
また、本明細書中に開示されている脈波センサは、手首に光を照射して生体内を透過した光の強度を検出する複数の光センサ部と、前記複数の光センサ部の出力同士を加算または減算する制御部と、前記複数の光センサ部と前記制御部を収納する腕輪型筐体と、を有する構成(第2−6の構成)とされている。
【0140】
また、上記第2−1〜第2−6いずれかの構成から成る脈波センサは、前記複数の光センサ部や前記制御部への電力供給を行う電源部をさらに有する構成(第2−7の構成)にするとよい。
【0141】
また、上記第2−1〜第2−7いずれかの構成から成る脈波センサは、前記複数の光センサ部を用いて得られた測定データを外部に転送する通信部をさらに有する構成(第2−8の構成)にするとよい。
【0142】
また、上記第2−1〜第2−8いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記複数の光センサ部から出力される光の波長は、およそ600nm以下の可視光領域に属する構成(第2−9の構成)にするとよい。
【0143】
また、上記第2−1〜第2−9いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記腕輪型筐体は防水構造とされている構成(第2−10の構成)にするとよい。
【0144】
また、上記第2−1〜第2−10いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記腕輪型筐体は、可撓性素材で形成されている構成(第2−11の構成)にするとよい。
【0145】
<その他の変形例>
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明は、脈波センサの利便性を高めるための技術として利用することが可能であり、ヘルスケアサポート機器、ゲーム機器、音楽機器、ペットコミュニケーションツール、車両の運転手の居眠り防止機器など、様々な分野への応用が可能であると考えられる。
【符号の説明】
【0147】
1 脈波センサ
2 手首
10、10a〜10h 測定ユニット
11 基板
12 光センサ
13 測定窓(透光部材)
14 増幅回路
15 演算回路(CPU)
20、20x、20y、20a〜20h 電源ユニット
21 基板
22 バッテリ
23 電源回路(DC/DCコンバータ)
24 充電回路
30、30a〜30h 通信ユニット
31 基板
22 メモリ
33 無線通信回路
40、40x、40y、40a〜40h ケーブル
50 腕輪型筐体
60 表示ユニット
61 本体部
62 表示部
100 脈波センサ
101−1〜101−n 光センサ部
102 制御部
103 加速度センサ部
104 記憶部
105 無線通信部
106 電源部
107 腕輪型筐体
200 手首
【技術分野】
【0001】
本発明は、脈波センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来構成の脈波センサは、図15で示したように、被験者の指先で脈波の測定を行う構造(例えば指袋型)とされていた。また、従来の脈波センサは、測定データをメインCPU[Central Processing Unit]にリアルタイムで送信し、メインCPU側で測定データの解析や格納を行う構成とされていた。また、従来の脈波センサは、メインCPUとの接続を有線で行う構成とされていた。
【0003】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1や特許文献2を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−212016号公報
【特許文献2】国際公開第2002/062222号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、被験者の指先で脈波の測定を行う従来構造では、脈波の測定中に脈波センサが指先から脱落しないように、被験者の行動を制約する必要があった。そのため、従来の脈波センサでは、短期間(数分〜数時間)の脈波測定を行うことはできても、長期間(数日〜数ヶ月)に亘る継続的な脈波測定を行うことは困難であった。
【0006】
本発明は、本願の発明者らによって見い出された上記の問題点に鑑み、被験者の行動を制約せずに脈波の測定を行うことが可能な脈波センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る脈波センサは、手首に光を照射して生体内を透過した光の強度を検出する複数の光センサ部と、前記複数の光センサ部毎のオン/オフ制御を行う制御部と、前記複数の光センサ部と前記制御部を収納する腕輪型筐体と、を有する構成(第1の構成)とされている。
【0008】
なお、上記第1の構成から成る脈波センサにて、前記複数の光センサ部は、前記腕輪型筐体を等間隔で周回するように並べて配置されている構成(第2の構成)にするとよい。
【0009】
また、上記第1または第2の構成から成る脈波センサにおいて、前記制御部は、前記複数の光センサ部のうち、出力不足が生じているものをオフする構成(第3の構成)にするとよい。
【0010】
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記制御部は、前記複数の光センサ部のうち、周波数異常が生じているものをオフする構成(第4の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第1〜第4いずれかの構成から成る脈波センサは、加速度センサ部をさらに有し、前記制御部は、前記加速度センサ部の出力に応じて前記複数の光センサ部毎のオン/オフ制御を行う構成(第5の構成)にするとよい。
【0012】
また、本発明に係る脈波センサは、手首に光を照射して生体内を透過した光の強度を検出する複数の光センサ部と、前記複数の光センサ部の出力同士を加算または減算する制御部と、前記複数の光センサ部と前記制御部を収納する腕輪型筐体と、を有する構成(第6の構成)とされている。
【0013】
また、上記第1〜第6いずれかの構成から成る脈波センサは、前記複数の光センサ部や前記制御部への電力供給を行う電源部をさらに有する構成(第7の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第1〜第7いずれかの構成から成る脈波センサは、前記複数の光センサ部を用いて得られた測定データを外部に転送する通信部をさらに有する構成(第8の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第1〜第8いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記複数の光センサ部から出力される光の波長は、およそ600nm以下の可視光領域に属する構成(第9の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第1〜第9いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記腕輪型筐体は防水構造とされている構成(第10の構成)にするとよい。
【0017】
また、上記第1〜第10いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記腕輪型筐体は、可撓性素材で形成されている構成(第11の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る脈波センサであれば、被験者の行動を制約せずに脈波の測定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】脈波測定の原理を説明するための模式図
【図2】生体内における光の減衰量(吸光度)が時間的に変化する様子を示す波形図
【図3】本発明に係る脈波センサの第1実施形態を模式的に示す断面図
【図4】測定ユニット10の一構成例を模式的に示す断面図
【図5】電源ユニット20の一構成例を模式的に示す断面図
【図6】通信ユニット30の一構成例を模式的に示す断面図
【図7】本発明に係る脈波センサの第2実施形態を模式的に示す断面図
【図8】本発明に係る脈波センサの第3実施形態を模式的に示す断面図
【図9】脈波センサ1の第1装着状態を説明するための模式図
【図10】脈波センサ1の第2装着状態を説明するための模式図
【図11】本発明に係る脈波センサの第4実施形態を模式的に示す断面図
【図12】本発明に係る脈波センサの第5実施形態を模式的に示す断面図
【図13】本発明に係る脈波センサの第6実施形態を模式的に示す断面図
【図14】発光部と受光部のレイアウトパターンA〜Dを示す模式図
【図15】脈波センサの一従来例を示す模式図
【図16】本発明に係る脈波センサの第7実施形態を模式的に示すブロック図
【図17】脈波測定動作の一例を示すフローチャート
【図18】ステップS101での光センサ選別動作を説明するための模式図(水平)
【図19】ステップS101での光センサ選別動作を説明するための模式図(鉛直)
【図20】ステップS104及びS105での光センサ選別動作を説明するための図
【図21】ステップS108での演算動作を説明するための図(加算)
【図22】ステップS108での演算動作を説明するための図(減算)
【図23】第1状態〜第3状態の一定義例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<脈波測定の原理>
図1は、脈波測定の原理を説明するための模式図であり、図2は、生体内における光の減衰量(吸光度)が時間的に変化する様子を示す波形図である。
【0021】
容積脈波法による脈波測定では、例えば、図1に示したように、測定窓に押し当てられた生体の一部(図1では手首)に向けて発光部(LED[Light Emitting Diode]など)から光が照射され、体内を透過して体外に出てくる光の強度が受光部(フォトダイオードやフォトトランジスタなど)で検出される。ここで、図2に示したように、生体組織や静脈血(脱酸素化ヘモグロビンHb)による光の減衰量(吸光度)は一定であるが、動脈血(酸素化ヘモグロビンHbO2)による光の減衰量(吸光度)は拍動によって時間的に変動する。従って、可視領域から近赤外領域にある「生体の窓」(光が生体を透過しやすい波長領域)を利用して、末梢動脈の吸光度変化を測定することにより、容積脈波を測定することができる。
【0022】
<脈波から分かること>
なお、心臓及び自立神経の支配を受けている脈波は、常に一定の挙動を示すものではなく、被験者の状態によって様々な変化(揺らぎ)を生じるものである。従って、脈波の変化(揺らぎ)を解析することにより、被験者の様々な身体情報を得ることができる。例えば、心拍数からは、被験者の運動能力や緊張度などを知ることができ、心拍変動からは、被験者の疲労度、快眠度、及び、ストレスの大きさなどを知ることができる。また、脈波を時間軸で2回微分することにより得られる加速度脈波からは、被験者の血管年齢や動脈硬化度などを知ることができる。
【0023】
<第1実施形態>
図3は、本発明に係る脈波センサの第1実施形態を模式的に示す断面図である。第1実施形態の脈波センサ1は、手首2で脈波を測定するための構造、より具体的には、手首2に装着されて脈波を測定するための腕輪構造(第1実施形態では腕時計構造)を有する。なお、構成要素に着目すると、第1実施形態の脈波センサ1は、測定ユニット10と、電源ユニット20と、通信ユニット30と、ケーブル40と、腕輪型筐体50と、表示ユニット60と、を有する。
【0024】
測定ユニット10は、主として脈波の測定を行うユニットであり、表示ユニット60の裏側となるように腕輪型筐体50に収納されている。このような構成とすることにより、被験者が表示ユニット60に出力された表示情報(脈波の測定結果など)を見るために表示ユニット60を顔に向けた状態では、表示ユニット60の重みにより測定ユニット10が手首2に押し当てられる形となるので、脈波の測定を安定して行うことが可能となり、延いては、脈波の測定精度を高めることが可能となる。また、本願の発明者らは、手首での脈波測定について、指先での脈波測定に比べればやや感度は低いものの、十分に脈波の測定が可能であることを実際に実験で確認済みである。なお、測定ユニット10の内部構成や動作については、後ほど詳細に説明する。
【0025】
電源ユニット20は、主として測定ユニット10や通信ユニット30への電力供給を行うユニットであり、腕輪型筐体50が手首2に装着されたときに手首2の甲側となるように腕輪型筐体50に収納されている。このように、測定ユニット10にとってノイズ源となり得る電源ユニット20を測定ユニット10から独立した別ユニットとして配置することにより、脈波の測定精度を高めることが可能となる。なお、電源ユニット20の内部構成や動作については、後ほど詳細に説明する。
【0026】
通信ユニット30は、主として測定ユニット10で得られた測定データを外部に転送するユニットであり、腕輪型筐体50が手首2に装着されたときに手首2の甲側となるように腕輪型筐体50に収納されている。このように、測定ユニット10にとってノイズ源となり得る通信ユニット30を測定ユニット10から独立した別ユニットとして配置することにより、脈波の測定精度を高めることが可能となる。なお、通信ユニット30の内部構成や動作については、後ほど詳細に説明する。
【0027】
ケーブル40は、測定ユニット10、電源ユニット20、及び、通信ユニット30の相互間を電気的に接続するように腕輪型筐体50に収納されている。なお、ケーブル40としては、一般的な被覆電線のほか、FPC[Flexible Printed Circuits]などを好適に用いることができる。
【0028】
腕輪型筐体50は、測定ユニット10、電源ユニット20、通信ユニット30、及び、ケーブル40を収納しており、手首に装着される。
【0029】
表示ユニット60は、腕輪型筐体50に設けられて表示情報(日付や時間に関する情報のほか、脈波の測定結果なども含まれる)を出力するユニットであり、本体部61と表示部62を含む。本体部61は、表示部62を制御するためのマイコンや電池などを備えており、表示部62は、液晶表示パネルなどを備えている。すなわち、表示ユニット60は腕時計の文字盤面に相当する。
【0030】
上記のように、腕輪構造を有する脈波センサ1であれば、被験者が意図的に脈波センサ1を手首2から外さない限り、脈波の測定中に脈波センサ1が手首2から脱落してしまうおそれは殆どないので、被験者の行動を制約せずに脈波の測定を行うことが可能となる。
【0031】
また、腕輪構造を有する脈波センサ1であれば、被験者に対して脈波センサ1を装着していることをあまり意識させずに済むので、長期間(数日〜数ヶ月)に亘る継続的な脈波測定を行う場合であっても、被験者に過度のストレスを与えずに済む。
【0032】
特に、腕輪型筐体50に表示ユニット60を設けた第1実施形態であれば、脈波センサ1を腕時計として日常的に装着することができるので、脈波センサ1の装着に対する抵抗感をさらに払拭することが可能となり、延いては、新規ユーザ層の開拓に寄与することが可能となる。
【0033】
なお、腕輪型筐体50を可撓性素材(シリコンゴムなど)で形成すれば、脈波センサ1の装着可能サイズに大きな自由度を持たせることが可能となる。
【0034】
また、腕輪型筐体50及び表示ユニット60は、防水構造としておくことが望ましい。このような構成とすることにより、水(雨)や汗などに濡れても故障せずに脈波を測定することが可能となる。また、脈波センサ1を多人数で共用する場合(例えばスポーツジムでの貸し出し用として使用する場合)には、腕輪型筐体50を丸ごと水洗いすることにより、脈波センサ1を清潔に保つことが可能となる。
【0035】
また、第1実施形態では、測定ユニット10、電源ユニット20、通信ユニット30、及び、表示ユニット60をそれぞれ独立したユニットとした構成を例に挙げたが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、複数のユニットを一つにまとめても構わない。
【0036】
<測定ユニット>
図4は、測定ユニット10の一構成例を模式的に示す断面図である。本構成例の測定ユニット10は、基板11と、光センサ12と、測定窓13と、増幅回路14と、演算回路15と、を含む。
【0037】
基板11には、その表面に光センサ12が直接実装されており、その裏面に増幅回路14と演算回路15が直接実装されている。また、基板11には、電源ユニット20や通信ユニット30との電気的接続を確立するためのケーブル40も接続されている。なお、基板11の表面と裏面との間には、スルーホールやビアを介して電気的な接続が確立されている。このように、光センサ12、増幅回路14、及び、演算回路15をいずれも基板11に直接実装する構成であれば、測定ユニット10を薄型化することができるので、脈波センサ1の装着感を高めることが可能となる。また、基板11の表面に光センサ12のみを直接実装する構成であれば、光センサ12をできるだけ手首2に近接させることができるので、脈波の測定精度を高めることが可能となる。
【0038】
光センサ12は、発光部から手首2に光を照射して、生体内を透過した光の強度を受光部で検出することにより、脈波データを取得する。なお、本構成例の光センサ12は、発光部と受光部が手首2を挟んで互いに反対側に設けられた構成(いわゆる透過型、図1の破線矢印を参照)ではなく、発光部と受光部が手首2に対していずれも同じ側に設けられた構成(いわゆる反射型、図1の実線矢印を参照)とされている。
【0039】
測定窓13は、光センサ12の発光/受光面上に設けられた透光部材(ガラス板やアクリル板など)であり、光センサ12は、この測定窓13を介して脈波の測定(手首2への光照射、及び、手首2から戻ってくる反射光の検出)を行う。なお、測定窓13の厚さについては、光センサ12の焦点深度を鑑みて適切に設計することが望ましい。
【0040】
増幅回路14は、光センサ12の出力信号(受光部の検出信号)を増幅して演算回路15に出力する。このように、光センサ12の直近に増幅回路14を設けた構成であれば、ノイズが重畳する前に光センサ12の出力信号を増幅することができるので、信号のS/N[Signal/Noise Ratio]を高めることが可能となり、延いては、脈波の測定精度を高めることが可能となる。
【0041】
演算回路15は、脈波センサ1全体の動作を統括的に制御するほか、増幅回路14の出力信号に各種の信号処理を施すことにより、脈波に関する種々の情報(脈波の揺らぎ、心拍数、心拍変動、及び、加速度脈波など)を取得する。なお、演算回路15としては、CPU[Central Processing Unit]などを好適に用いることができる。このように、光センサ12及び増幅回路14の直近に演算回路15を設けた構成であれば、ノイズが重畳する前に増幅回路14の出力信号を処理することができるので、脈波の解析精度を高めることが可能となる。
【0042】
<電源ユニット>
図5は、電源ユニット20の一構成例を模式的に示す断面図である。本構成例の電源ユニット20は、基板21と、バッテリ22と、電源回路23と、充電回路24を含む。
【0043】
基板21には、その表面にバッテリ22が直接実装されており、その裏面に電源回路23と充電回路24が直接実装されている。また、基板21には、測定ユニット10との電気的接続を確立するためのケーブル40も接続されている。なお、基板21の表面と裏面との間には、スルーホールやビアを介して電気的な接続が確立されている。このように、基板21の両面を有効に活用することにより、基板21の面積を縮小することができるので、電源ユニット20を小型化することが可能となり、延いては、被験者に脈波センサ1の装着を意識させずに済む。
【0044】
バッテリ22は、脈波センサ1の駆動に必要な電力供給源であり、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタなどを好適に用いることができる。このように、バッテリ駆動方式の脈波センサ1であれば、脈波の測定時に外部からの給電ケーブルを接続する必要がないので、被験者の行動を制約せずに脈波の測定を行うことが可能となる。なお、本構成例では、平坦性の高いバッテリ22が手首2の直上に配置されているので、脈波センサ1を手首2に装着した際の親和性を高めることが可能となり、延いては、被験者に脈波センサ1の装着を意識させずに済む。
【0045】
電源回路23は、バッテリ22からの入力電圧を所望の出力電圧に変換して、脈波センサ1の各部に供給する。このように、測定ユニット10にとってノイズ源となり得る電源回路23を測定ユニット10から独立した電源ユニット20に組み込むことにより、脈波の測定精度を高めることが可能となる。
【0046】
充電回路24は、外部からの電力供給を受けてバッテリ22の充電制御を行う。なお、外部からの電力供給方式としては、USB[Universal Serial Bus]ケーブルなどを用いる接触方式であってもよいし、或いは、電磁誘導方式、電界結合方式、及び、磁界共鳴方式などの非接触方式であってもよい。このようなバッテリ22の充電手段を有する構成であれば、電池交換作業が不要となるので、脈波センサ1の利便性を高めることができる。なお、腕輪型筐体50を防水構造とする際には、外部端子を完全に排除するという観点から、充電回路24への電力供給方式として非接触方式を採用することが望ましい。
【0047】
<通信ユニット>
図6は、通信ユニット30の一構成例を模式的に示す断面図である。本構成例の通信ユニット30は、基板31と、メモリ32と、無線通信回路33と、を含む。
【0048】
基板31には、その表面にメモリ32と無線通信回路33が直接的に実装されている。また、基板31には、測定ユニット10との電気的接続を確立するためのケーブル40も接続されている。
【0049】
メモリ32は、測定ユニット10で得られた測定データ(増幅回路14から出力される生データであってもよいし、演算回路15で種々の処理が施された後の処理済みデータであってもよい)を揮発的ないしは不揮発的に格納する。なお、メモリ32としては、揮発性のRAM[Random Access Memory]や不揮発性のフラッシュメモリなどを好適に用いることができる。このような測定データの格納手段を有する構成であれば、所定期間毎にメモリ32の蓄積データを一括外部送信することができるので、無線通信回路33を間欠的に待機状態とすることが可能となり、延いては、脈波センサ1のバッテリ駆動時間を延ばすことが可能となる。
【0050】
無線通信回路33は、測定ユニット10で得られた測定データ(増幅回路14から出力される生データ、演算回路15から出力される処理済みデータ、及び、メモリ32から出力される格納データのいずれであってもよい)を外部のパーソナルコンピュータや携帯電話機に無線で送信する。無線通信回路33は、電源回路23と同様、測定ユニット10にとってノイズ源となり得るため、測定ユニット10から独立した通信ユニット30に組み込むことが望ましい。なお、無線通信回路33としては、例えばBluetooth(登録商標)モジュールICを好適に用いることができる。このような無線通信回路33を有する構成であれば、外部機器に測定データを送信する際に有線での接続を必要としないので、例えば、被験者の行動を制約せずに測定データのリアルタイム送信を行うことが可能となる。なお、腕輪型筐体50を防水構造とする際には、外部端子を完全に排除するという観点から、測定データの外部送信方式として無線送信方式を採用することが望ましい。
【0051】
<第2実施形態>
図7は、本発明に係る脈波センサの第2実施形態を模式的に示す断面図である。第2実施形態の脈波センサ1において、電源ユニット20と通信ユニット30は、いずれも、腕輪型筐体50が手首2に装着されたときに手首2の腹側となるように腕輪型筐体50に収納されている。このように、測定ユニット10にとってノイズ源となり得る電源ユニット20と通信ユニット30を測定ユニット10からできるだけ離して配置することにより、脈波の測定精度を高めることが可能となる。
【0052】
<第3実施形態>
図8は、本発明に係る脈波センサの第3実施形態を模式的に示す断面図である。第3実施形態の脈波センサ1では、3つの測定ユニット10a〜10cが表示ユニット60と向き合うように腕輪型筐体50の周方向に並べて配置されている。具体的に述べると、測定ユニット列の中央部に位置する測定ユニット10bは、腕輪型筐体50を軸心方向から見たときに、軸心Pに対して表示ユニット60と点対称となるように配置されており、測定ユニット列の両端部に位置する測定ユニット10a及び10cは、各々と腕輪型筐体50の軸心Pとを結ぶ2本の線分の成す角度が60度〜90度となるように配置されている。また、電源ユニット20と通信ユニット30はいずれも、表示ユニット60の裏側となるように腕輪型筐体50に収納されている。
【0053】
このような構成とすることにより、脈波センサ1の装着状態に依らず、測定ユニット10a〜10cの少なくとも一つで適切に脈波の測定を行うことが可能となる。その理由について、図9及び図10を参照しながら具体的に説明する。
【0054】
図9は、脈波センサ1の第1装着状態(表示ユニット60が手首2の甲側となるように脈波センサ1が装着された状態)を説明するための模式図であり、図10は、脈波センサ1の第2装着状態(表示ユニット60が手首2の腹側となるように脈波センサ1が装着された状態)を説明するための模式図である。
【0055】
手首2の腹側について見ると、中央部は皮膚の直下に腱があって脈波センサ1のフィット感に乏しいものの、両端部は肉厚で脈波センサ1のフィット感に優れている。従って、脈波センサ1の第1装着状態では、測定ユニット列の両端部に位置する測定ユニット10a及び10cで適切に脈波の測定を行うことが可能である。
【0056】
一方、手首2の甲側について見ると、両端部は皮膚の直下に骨があって脈波センサ1のフィット感に乏しいものの、中央部は肉厚で脈波センサ1のフィット感に優れている。従って、脈波センサ1の第2装着状態では、測定ユニット列の中央部に位置する測定ユニット10bで適切に脈波の測定を行うことが可能である。
【0057】
上記したように、脈波センサ1の第1装着状態では、測定ユニット列の中央部に位置する測定ユニット10bよりも、測定ユニット列の両端部に位置する測定ユニット10a及び10cの方が脈波を高精度に測定することができ、脈波センサ1の第2装着状態では、測定ユニット列の両端部に位置する測定ユニット10a及び10cよりも、測定ユニット列の中央部に位置する測定ユニット10bの方が脈波を高精度に測定することができる。
【0058】
逆に言えば、脈波センサ1の第1装着状態では、測定ユニット10bの動作必要性が乏しく、脈波センサ1の第2装着状態では、測定ユニット10a及び10cの動作必要性が乏しいと言える。
【0059】
そこで、第3実施形態の脈波センサ1は、測定ユニット10a〜10c毎にオン/オフ制御を行う制御部を有する構成とされている。より具体的に述べると、制御部は、被験者の動作モード切替操作に応じて、測定ユニット10bをオフとして測定ユニット10a及び10cをオンとする第1の動作モードと、測定ユニット10bをオンとして測定ユニット10a及び10cをオフとする第2の動作モードと、を切り替える構成とされている。
【0060】
なお、上記の制御部は、測定ユニット10a〜10cに各々組み込まれている演算回路の一機能として実現してもよいし、電源ユニット20や通信ユニット30、或いは、表示ユニット60にマイコンなどを組み込んでもよい。或いは、測定ユニット10a〜10cの統括制御を行うための独立ユニットとして腕輪型筐体50に別途収納しても構わない。
【0061】
このような構成であれば、測定ユニット10a〜10cを必要に応じてオン/オフすることができるので、電力の浪費を抑えてバッテリ駆動時間を延ばすことが可能となる。
【0062】
また、第3実施形態の脈波センサ1において、上記の制御部は、測定ユニット10a〜10c毎のオン/オフ制御と連動して、表示ユニット60の表示方向制御を行う構成とされている。より具体的に述べると、第1の動作モードでは、腕輪型筐体50の周回方向が表示部62に出力される表示情報の上下方向と一致するように、また、第2の動作モードでは、腕輪型筐体50の周回方向が表示部62に出力される表示情報の左右方向と一致するように、表示ユニット60の表示方向制御が行われる。このような構成とすることにより、脈波センサ1の装着状態に依らず、被験者による表示情報の読み取りが容易となる。
【0063】
<第4実施形態>
図11は、本発明に係る脈波センサの第4実施形態を模式的に示す断面図である。第4実施形態の脈波センサ1では、先出の表示ユニット60が除かれており、さらに、8つの測定ユニット10a〜10hが腕輪型筐体50を等間隔で周回するように並べて配置されている。このような構成であれば、腕輪型筐体50が手首2の周りを回転しても、測定ユニット10a〜10hの少なくとも一つで適切に脈波の測定を行うことが可能である。
【0064】
また、第4実施形態の脈波センサ1では、8つの測定ユニット10a〜10hに対して2つの電源ユニット20x及び20yが設けられており、一つの電源ユニットから複数の測定ユニットに電力供給が行われる。より具体的に述べると、電源ユニット20xは、ケーブル40xを介して測定ユニット10a〜10dと通信ユニット30に電力を供給し、電源ユニット20yは、ケーブル40yを介して測定ユニット10e〜10hに電力を供する。このような構成とすることにより、一つの電源ユニットに掛かる負荷を軽減することが可能となる。また、ケーブルを複数に分割することができるので、腕輪型筐体50の伸縮にも柔軟に対応することが可能となる。
【0065】
なお、第4実施形態の脈波センサ1では、電源ユニット20x及び20yと通信ユニット30が腕輪型筐体50内の一箇所に集約して収納されている。
【0066】
<第5実施形態>
図12は、本発明に係る脈波センサの第5実施形態を模式的に示す断面図である。第5実施形態の脈波センサ1では、測定ユニット10a〜10hよりも薄く小型に形成された電源ユニット20x及び20yが、それぞれ、測定ユニット10aと測定ユニット10eとの間、及び、測定ユニット10dと測定ユニット10hとの間に配置されている。このような構成とすることにより、先出の第4実施形態と同様、腕輪型筐体50が手首2の周りを回転しても、測定ユニット10a〜10hの少なくとも一つで適切に脈波の測定を行うことが可能である。
【0067】
<第6実施形態>
図13は、本発明に係る脈波センサの第6実施形態を模式的に示す断面図である。第6実施形態の脈波センサ1では、8つの測定ユニット10a〜10hに対して、8つの電源ユニット20a〜20h、8つの通信ユニット30a〜30h、及び、8本のケーブル40a〜40hが設けられており、一つの電源ユニットから一本のケーブルを介して一つの測定ユニットと一つの通信ユニットに各々電力供給が行われる。すなわち、第6実施形態の脈波センサ1は、各々独立に脈波を測定して測定データの外部送信を行うことが可能な自立ブロックが腕輪型筐体50の内部に8つ収納された構成であると言える。このような構成とすることにより、先出の第4実施形態や第5実施形態と同様、腕輪型筐体50が手首2の周りを回転しても、測定ユニット10a〜10hの少なくとも一つで適切に脈波の測定を行うことが可能である。
【0068】
<光センサ>
図14は、測定ユニット10の光センサ12を形成する発光部と受光部のレイアウトパターンA〜Dを示す模式図である。図14に示したように、発光部LEDと受光部PDとは、1対1(レイアウトパターンA)、2対1(レイアウトパターンB)、3対1(レイアウトパターンC)、及び、4対1(レイアウトパターンD)など、いずれのレイアウトパターンを採用しても構わない。なお、レイアウトパターンB〜Dを採用する場合には、複数の発光部LEDを正多角形の頂点位置に各々配置し、受光部を前記正多角形の重心位置に配置することが望ましい。
【0069】
<出力波長についての考察>
実験では、いわゆる反射型の脈波センサ1において、発光部の出力波長をλ1(赤外:940nm)、λ2(緑:630nm)、及び、λ3(青:468nm)とし、発光部の出力強度(駆動電流値)を1mA、5mA、10mAに変化させたときの挙動を各々調査した。その結果、およそ波長600nm以下の可視光領域において、酸素化ヘモグロビンHbO2の吸収係数が大きくなり、測定される脈波のピーク強度が大きくなるため、脈波の波形を比較的取得しやすいことが分かった。
【0070】
なお、動脈血の酸素飽和度を検出するパルスオキシメータでは、酸素化ヘモグロビンHbO2の吸収係数(実線)と脱酸素化ヘモグロビンHbの吸収係数(破線)との差違が最大となる近赤外領域の波長(700nm前後)が発光部の出力波長として広く一般的に用いられているが、脈波センサ(特に、いわゆる反射型の脈波センサ)としての利用を考えた場合には、上記の実験結果で示したように、波長600nm以下の可視光領域を発光部の出力波長として用いることが望ましいと言える。
【0071】
<第7実施形態>
図16は、本発明に係る脈波センサの第7実施形態を模式的に示すブロック図である。第7実施形態の脈波センサ100は、n個(ただしn≧2)の光センサ部101−1〜101−nと、制御部102と、加速度センサ部103と、記憶部104と、無線通信部105と、電源部106と、腕輪型筐体107と、を有する。
【0072】
光センサ部101−1〜101−nは、それぞれ、手首200に光を照射して生体内を透過した光の強度を検出する。光センサ部101−1〜101−nは、第4〜第6実施形態の測定ユニット10a〜10hと同様、腕輪型筐体107を等間隔で周回するように並べて配置されている。なお、光センサ部101−1〜101−nの構造や出力波長については、先述の光センサ12と同様であるため、重複した説明は割愛する。
【0073】
制御部102は、先述の演算回路15に相当し、脈波センサ100全体の動作を統括的に制御する。
【0074】
加速度センサ部103は、3軸の加速度を個別に検出して制御部102に伝達する。このような構成とすることにより、制御部102では、脈波センサ100の姿勢を認識することが可能となる。
【0075】
記憶部104は、先述のメモリ32に相当し、光センサ部101−1〜101−nで得られた測定データ(光センサ部101−1〜101−nから出力される生データであってもよいし、制御部102で種々の処理が施された後の処理済みデータであってもよい)を揮発的ないしは不揮発的に格納する。
【0076】
無線通信部105は、先述の無線通信回路33に相当し、光センサ部101−1〜101−nを用いて得られた測定データ(光センサ部101−1〜101−nから出力される生データ、制御部102から出力される処理済みデータ、及び、記憶部104から出力される格納データのいずれであってもよい)を外部のパーソナルコンピュータや携帯電話機に無線で送信する。
【0077】
電源部106は、先述の電源ユニット20に相当し、脈波センサ100各部への電力供給を行う。
【0078】
腕輪型筐体107は、先述の腕輪型筐体50に相当し、光センサ部101−1〜101−n、制御部102、加速度センサ部103、記憶部104、及び、無線通信部105を収納する。
【0079】
図17は、脈波センサ100による脈波測定動作の一例を示すフローチャートである。なお、本フローチャートの実行主体は、基本的に制御部102である。
【0080】
ステップS101では、加速度センサ部103の出力に応じて脈波センサ100の姿勢が認識され、その認識結果に基づいて光センサ部101−1〜101−n毎のオン/オフ制御が行われる。
【0081】
例えば、図18で示したように、腕輪型筐体107の軸心が水平方向または略水平方向に向いている場合、腕輪型筐体107の自重により、光センサ部101−1〜101−nのうち、軸心を通る水平線よりも上側の光センサ部は手首200と密着し、下側の光センサ部は手首200と離間する。そこで、正常な脈波の測定が期待できる上側の光センサ部をオンとし、正常な脈波の測定が期待できない下側の光センサ部を予めオフしておくことにより、脈波の測定精度を悪化させることなく、光センサ部101−1〜101−nを全てオンさせた場合と比べて、消費電力を1/2に削減することが可能となる。
【0082】
また、図19で示したように、腕輪型筐体107の軸心が鉛直方向または略鉛直方向を向いている場合、光センサ部101−1〜101−nのいずれと手首200が密着しているかは定かでない。そこで、光センサ部101−1〜101−nを腕輪型筐体107の周回方向に沿って交互にオン/オフさせることにより、脈波の測定精度を悪化させることなく、光センサ部101−1〜101−nを全てオンさせた場合と比べて、消費電力を1/2に削減することが可能となる。
【0083】
ステップS102では、光センサ部101−1〜101−nのうち、ステップS101でオンとされた光センサ部を用いて、出力ピークの強度と周波数を検出するための測定が行われる。本ステップでの脈波測定は、さらなる光センサ部の選別処理に必要な情報を取得するためだけに行われるものであって、測定データの外部送信は行われない。
【0084】
ステップS103では、ステップS102で脈波の測定が開始されてから所定時間Tが経過したか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合にはフローがステップS104に進められ、ノー判定が下された場合にはフローがステップS102に戻される。なお、上記の所定時間Tについては、出力ピークの強度と周波数を検出することが可能な長さに設定しておけばよい(図20を参照)。
【0085】
ステップS104では、光センサ部101−1〜101−nのうち、ステップS101でオンとされた光センサ部毎の測定データについて、各出力ピークの強度と所定の閾値とが比較され、その比較結果に基づいて光センサ部101−1〜101−n毎のオン/オフ制御が行われる。より具体的に述べると、出力ピークの強度が所定の閾値を下回っているものについては、出力不足が生じているものとしてオフされる。
【0086】
例えば、図20で示した光センサ部X〜Zのうち、光センサ部X及びZの測定データについては、出力ピークの強度PX及びPZが閾値Pthを上回っているが、光センサ部Yの測定データについては、出力ピークの強度PYが閾値Pthを下回っている。そこで、正常な脈波の測定が期待できない光センサ部Yを予めオフしておくことにより、脈波の測定精度を悪化させることなく、さらなる消費電力の削減を達成することが可能となる。
【0087】
ステップS105では、光センサ部101−1〜101−nのうち、ステップS101でオンとされた光センサ部毎の測定データについて、各出力ピークの周波数が所定の範囲内に収まっているか否かの判定が行われ、その判定結果に基づいて光センサ部101−1〜101−n毎のオン/オフ制御が行われる。より具体的に述べると、出力ピークの周波数が60〜200bpm[beats per minutes]の範囲内に収まっていないものについては、周波数異常(ノイズの重畳など)が生じているものとしてオフされる。
【0088】
例えば、図20で示した光センサ部X〜Zのうち、光センサ部X及びYの測定データについては、出力ピークの周波数FX及びFYが所定の範囲内に収まっているが、光センサ部Zの測定データについては、ノイズの重畳に起因して出力ピークの周波数FZが所定の範囲内に収まっていない。そこで、正常な脈波の測定が期待できない光センサ部Zを予めオフしておくことにより、脈波の測定精度を悪化させることなく、さらなる消費電力の削減を達成することが可能となる。
【0089】
なお、図20の例では、光センサ部X〜Zのうち、ステップS104で光センサ部Yがオフとされ、ステップS105で光センサ部Zがオフとされるので、最終的にオンされた状態で残るのは光センサ部Xのみとなる。
【0090】
ステップS106では、ステップS101〜S105における光センサ部の選別処理により、光センサ部101−1〜101−nが全てオフとされたか否かの判定が行われる。ここで、ノー判定が下された場合(すなわち光センサ部101−1〜101−nのうち少なくとも一つが最終的にオンされた状態で残っている場合)にはフローがステップS107に進められる。一方、イエス判定が下された場合にはフローがステップS114に進められる。
【0091】
ステップS107では、光センサ部101−1〜101−nのうち、ステップS101〜S105における光センサ部の選別処理を経て、最終的にオンされた状態で残っている光センサ部を用いて、脈波の測定が行われる。
【0092】
ステップS108では、ステップS107で得られた測定データに所定の演算処理が施される。例えば、図21で示したように、光センサ部Aの出力Aと光センサ部Bの出力Bとを足し合わせて加算出力(A+B)を生成することが考えられる。このような演算処理を行うことにより、出力ピークの強度を高めてS/Nを向上させることが可能となる。
【0093】
また、図22で示したように、ノイズ成分が重畳した光センサ部Aの出力Aからノイズ成分のみを含む出力B(例えば、暗電流検出専用に別途用意された光センサ部Bの出力)を差し引いて減算出力(A−B)を生成することも考えられる。このような演算処理を行うことにより、ノイズ成分を除去してS/Nを向上させることが可能となる。
【0094】
なお、ステップS108での演算処理には、上記のような加算処理や減算処理のほか、複数の測定データのうち、出力ピークの強度が最大であるものを選んで出力するといった測定データの選択処理も含まれる。
【0095】
ステップS109では、ステップS108の演算処理を経て生成された測定データが外部のパーソナルコンピュータや携帯電話機に転送される。なお、本フローチャートでは、一回の脈波測定毎に測定データを外部に転送する構成を例示したが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、ステップS109で測定データの一時格納処理を行い、所定期間毎(または脈波測定を終了する際)に、一時格納された測定データを一括して外部に転送する構成としても構わない。
【0096】
ステップS110では、ステップS107で脈波の測定が開始されてから所定時間Tが経過したか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合にはフローがステップS111に進められ、ノー判定が下された場合には所定時間Tのカウント結果がリセットされてフローがステップS107に戻される。なお、上記の所定時間Tについては、先述と同様、出力ピークの強度と周波数を検出することが可能な長さに設定しておけばよい(図20を参照)。
【0097】
ステップS111では、脈波センサ100が第1状態であるか否かの判定が行われる。上記の第1状態とは、正常に脈波が測定されている状態を言い、より具体的には、図23で示したように、出力ピークの強度(複数の光センサ部がオンされている場合には各々の合算値)が第1下側閾値TH1Lよりも大きく、第1上側閾値TH1Hよりも小さい状態を言う(ただしTH1L<TH1H)。ここで、イエス判定が下された場合にはフローがステップS112に進められ、ノー判定が下された場合にはフローがステップS113に進められる。
【0098】
ステップS112では、脈波測定終了が指示されたか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には上記一連のフローが終了され、ノー判定が下された場合にはフローがステップS107に戻される。
【0099】
ステップS112では、脈波センサ100が第2状態であるか否かの判定が行われる。上記の第2状態とは、光センサ部101−1〜101−nを全てオンさせなければ、正常に脈波を測定することができない状態を言い、より具体的には、図23で示したように、出力ピークの強度(複数の光センサ部がオンされている場合には各々の合算値)が第2閾値TH2よりも小さい状態を言う(ただしTH2<TH1L)。ここで、イエス判定が下された場合にはフローがステップS114に進められる。一方、ノー判定が下された場合にはフローがステップS101に進められて、光センサ部101−1〜101−nの選別処理が一からやり直される。
【0100】
ステップS106またはステップS113でイエス判定が下された場合、ステップS114では、ステップS101〜S105における光センサ部101−1〜101−nの選別処理結果に依らず、光センサ部101−1〜101−nが全てオンされる。このような構成とすることにより、消費電力の削減よりも脈波測定の高精度化(安定化)を優先することが可能となる。
【0101】
ステップS115では、全ての光センサ部101−1〜101−nを用いて、脈波の測定が行われる。
【0102】
ステップS116では、ステップS115で得られた測定データに所定の演算処理が施される。この演算処理については、先述のステップS108と同様であるため、重複した説明を割愛する。
【0103】
ステップS117では、ステップS116の演算処理を経て生成された測定データが外部のパーソナルコンピュータや携帯電話機に転送される。
【0104】
ステップS118では、ステップS115で脈波の測定が開始されてから所定時間Tが経過したか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合にはフローがステップS111に進められ、ノー判定が下された場合には所定時間Tのカウント結果がリセットされてフローがステップS115に戻される。
【0105】
ステップS119では、脈波センサ100が第3状態であるか否かの判定が行われる。上記の第3状態とは、光センサ部101−1〜101−nを全てオンさせなくても、正常に脈波を測定することができる状態を言い、より具体的には、図23で示したように、出力ピークの強度(複数の光センサ部がオンされている場合には各々の合算値)が第3閾値TH3よりも大きい状態を言う(ただしTH3>TH1H)。ここで、ノー判定が下された場合にはフローがステップS120に進められる。一方、イエス判定が下された場合にはフローがステップS101に進められて、光センサ部101−1〜101−nの選別処理が一からやり直される。
【0106】
ステップS120では、脈波センサ100が第2状態であるか否かの判定が行われる。上記の第2状態とは、先にも述べた通り、光センサ部101−1〜101−nを全てオンさせなければ、正常に脈波を測定することができない状態を言い、より具体的には、図23で示したように、出力ピークの強度(複数の光センサ部がオンされている場合には各々の合算値)が第2閾値TH2よりも小さい状態を言う(ただしTH2<TH1L)。ここで、ノー判定が下された場合にはフローがステップS121に進められる。一方、イエス判定が下された場合には、もはや脈波を正常に測定することは不可能であるという判断の下、一連のフローが終了される。
【0107】
ステップS121では、脈波測定終了が指示されたか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には上記一連のフローが終了され、ノー判定が下された場合にはフローがステップS115に戻される。
【0108】
<本明細書中に開示されている技術的特徴>
以下では、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴について総括する。
【0109】
本明細書中に開示されている脈波センサは、手首で脈波を測定するための構造を有する構成(第1−1の構成)とされている。
【0110】
なお、上記第1−1の構成から成る脈波センサは、手首に装着されて脈波を測定するための腕輪構造を有する構成(第1−2の構成)にするとよい。
【0111】
また、上記第1−2の構成から成る脈波センサは、脈波の測定を行う測定ユニットと、前記測定ユニットへの電力供給を行う電源ユニットと、前記測定ユニットと前記電源ユニットとの間を電気的に接続するケーブルと、前記測定ユニット、前記電源ユニット、及び前記ケーブルを収納する腕輪型筐体と、を有する構成(第1−3の構成)にするとよい。
【0112】
また、上記第1−3の構成から成る脈波センサにて、前記測定ユニットは、手首に光を照射して生体内を透過した光の強度を検出する光センサを含む構成(第1−4の構成)にするとよい。
【0113】
また、上記第1−4の構成から成る脈波センサにおいて、前記光センサの出力波長は、およそ600nm以下の可視光領域に属する構成(第1−5の構成)にするとよい。
【0114】
また、上記第1−4または第1−5の構成から成る脈波センサは、前記腕輪型筐体に設けられて表示情報を出力する表示ユニットをさらに有する構成(第1−6の構成)にするとよい。
【0115】
また、上記第1−6の構成から成る脈波センサにおいて、前記測定ユニットは、前記表示ユニットの裏側に設けられている構成(第1−7の構成)にするとよい。
【0116】
また、上記第1−6の構成から成る脈波センサにおいて、前記測定ユニットは、前記表示ユニットに向き合って前記腕輪型筐体の周方向に複数並べて配置されている構成(第1−8の構成)にするとよい。
【0117】
また、上記第1−8の構成から成る脈波センサにおいて、前記複数の測定ユニットは、測定ユニット列の両端部に位置する2つの測定ユニットと前記腕輪型筐体の軸心とを各々結ぶ2本の線分の成す角度が60度〜90度となるように配置されている構成(第1−9の構成)にするとよい。
【0118】
また、上記第1−9の構成から成る脈波センサは、前記複数の測定ユニット毎にオン/オフ制御を行う制御部を有する構成(第1−10の構成)にするとよい。
【0119】
また、上記第1−10の構成から成る脈波センサにて、前記制御部は、前記測定ユニット列の中央部付近に位置する測定ユニットをオフとして前記測定ユニット列の両端部付近に位置する測定ユニットをオンとする第1の動作モードと、前記測定ユニット列の中央部付近に位置する測定ユニットをオンとして前記測定ユニット列の両端部付近に位置する測定ユニットをオフとする第2の動作モードと、を切り替える構成(第1−11の構成)にするとよい。
【0120】
また、上記第1−11の構成から成る脈波センサにおいて、前記制御部は、前記測定ユニット毎のオン/オフ制御と連動して前記表示ユニットの表示方向制御を行う構成(第1−12の構成)にするとよい。
【0121】
また、上記第1−4または第1−5の構成から成る脈波センサにおいて、前記測定ユニットは、前記腕輪型筐体を等間隔で周回するように、複数並べて配置されている構成(第1−13の構成)にするとよい。
【0122】
また、上記第1−13の構成から成る脈波センサにおいて、前記電源ユニットは、前記複数の測定ユニットよりも少数であり、一つの電源ユニットから複数の測定ユニットに電力供給が行われる構成(第1−14の構成)にするとよい。
【0123】
また、上記第1−13の構成から成る脈波センサにおいて、前記電源ユニットは、前記複数の測定ユニットと同数だけ設けられており、一つの電源ユニットから一つの測定ユニットに電力供給が行われる構成(第1−15の構成)にするとよい。
【0124】
また、上記第1−4〜第1−15いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記測定ユニットは、前記光センサの出力信号を増幅する増幅回路と、前記増幅回路の出力信号に基づいて脈波に関する情報を取得する演算回路と、を含む構成(第1−16の構成)にするとよい。
【0125】
また、上記第1−16の構成から成る脈波センサにおいて、前記測定ユニットは、表面に前記光センサが実装されて裏面に前記増幅回路と前記演算回路が実装される基板を含む構成(第1−17の構成)にするとよい。
【0126】
また、上記第1−3〜第1−17いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記電源ユニットは、バッテリと、前記バッテリからの入力電圧を所望の出力電圧に変換する電源回路とを含む構成(第1−18の構成)にするとよい。
【0127】
また、上記第1−18の構成から成る脈波センサにおいて、前記電源ユニットは、前記バッテリの充電制御を行う充電回路を含む構成(第1−19の構成)にするとよい。
【0128】
また、上記第1−19の構成から成る脈波センサにおいて、前記充電回路は、接触方式で外部からの電力供給を受ける構成(第1−20の構成)にするとよい。
【0129】
また、上記第1−19の構成から成る脈波センサにおいて、前記充電回路は、非接触方式で外部からの電力供給を受ける構成(第1−21の構成)にするとよい。
【0130】
また、上記第1−3〜第1−21いずれかの構成から成る脈波センサは、前記測定ユニットで得られた測定データを外部に転送する通信ユニットをさらに有する構成(第1−22の構成)にするとよい。
【0131】
また、上記第1−22の構成から成る脈波センサにおいて、前記通信ユニットは、前記測定データを格納するメモリと、前記測定データを外部に無線送信する無線通信回路と、を含む構成(第1−23の構成)にするとよい。
【0132】
また、上記第1−3〜第1−23いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記腕輪型筐体は、防水構造とされている構成(第1−24の構成)にするとよい。
【0133】
また、上記第1−3〜第1−24いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記腕輪型筐体は、可撓性素材で形成されている構成(第1−25の構成)にするとよい。
【0134】
また、本明細書中に開示されている脈波センサは、手首に光を照射して生体内を透過した光の強度を検出する複数の光センサ部と、前記複数の光センサ部毎のオン/オフ制御を行う制御部と、前記複数の光センサ部と前記制御部を収納する腕輪型筐体と、を有する構成(第2−1の構成)とされている。
【0135】
なお、上記第2−1の構成から成る脈波センサにて、前記複数の光センサ部は、前記腕輪型筐体を等間隔で周回するように並べて配置されている構成(第2−2の構成)にするとよい。
【0136】
また、上記第2−1または第2−2の構成から成る脈波センサにて、前記制御部は、前記複数の光センサ部のうち、出力不足が生じているものをオフとする構成(第2−3の構成)にするとよい。
【0137】
また、上記第2−1〜第2−3いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記制御部は、前記複数の光センサ部のうち、周波数異常が生じているものをオフする構成(第2−4の構成)にするとよい。
【0138】
また、上記第2−1〜第2−4いずれかの構成から成る脈波センサは、加速度センサ部をさらに有し、前記制御部は、前記加速度センサ部の出力に応じて前記複数の光センサ部毎のオン/オフ制御を行う構成(第2−5の構成)にするとよい。
【0139】
また、本明細書中に開示されている脈波センサは、手首に光を照射して生体内を透過した光の強度を検出する複数の光センサ部と、前記複数の光センサ部の出力同士を加算または減算する制御部と、前記複数の光センサ部と前記制御部を収納する腕輪型筐体と、を有する構成(第2−6の構成)とされている。
【0140】
また、上記第2−1〜第2−6いずれかの構成から成る脈波センサは、前記複数の光センサ部や前記制御部への電力供給を行う電源部をさらに有する構成(第2−7の構成)にするとよい。
【0141】
また、上記第2−1〜第2−7いずれかの構成から成る脈波センサは、前記複数の光センサ部を用いて得られた測定データを外部に転送する通信部をさらに有する構成(第2−8の構成)にするとよい。
【0142】
また、上記第2−1〜第2−8いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記複数の光センサ部から出力される光の波長は、およそ600nm以下の可視光領域に属する構成(第2−9の構成)にするとよい。
【0143】
また、上記第2−1〜第2−9いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記腕輪型筐体は防水構造とされている構成(第2−10の構成)にするとよい。
【0144】
また、上記第2−1〜第2−10いずれかの構成から成る脈波センサにおいて、前記腕輪型筐体は、可撓性素材で形成されている構成(第2−11の構成)にするとよい。
【0145】
<その他の変形例>
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明は、脈波センサの利便性を高めるための技術として利用することが可能であり、ヘルスケアサポート機器、ゲーム機器、音楽機器、ペットコミュニケーションツール、車両の運転手の居眠り防止機器など、様々な分野への応用が可能であると考えられる。
【符号の説明】
【0147】
1 脈波センサ
2 手首
10、10a〜10h 測定ユニット
11 基板
12 光センサ
13 測定窓(透光部材)
14 増幅回路
15 演算回路(CPU)
20、20x、20y、20a〜20h 電源ユニット
21 基板
22 バッテリ
23 電源回路(DC/DCコンバータ)
24 充電回路
30、30a〜30h 通信ユニット
31 基板
22 メモリ
33 無線通信回路
40、40x、40y、40a〜40h ケーブル
50 腕輪型筐体
60 表示ユニット
61 本体部
62 表示部
100 脈波センサ
101−1〜101−n 光センサ部
102 制御部
103 加速度センサ部
104 記憶部
105 無線通信部
106 電源部
107 腕輪型筐体
200 手首
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手首に光を照射して生体内を透過した光の強度を検出する複数の光センサ部と、
前記複数の光センサ部毎のオン/オフ制御を行う制御部と、
前記複数の光センサ部と前記制御部を収納する腕輪型筐体と、
を有することを特徴とする脈波センサ。
【請求項2】
前記複数の光センサ部は、前記腕輪型筐体を等間隔で周回するように並べて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の脈波センサ。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の光センサ部のうち、出力不足が生じているものをオフすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の脈波センサ。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の光センサ部のうち、周波数異常が生じているものをオフすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の脈波センサ。
【請求項5】
加速度センサ部をさらに有し、
前記制御部は、前記加速度センサ部の出力に応じて前記複数の光センサ部毎のオン/オフ制御を行うことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の脈波センサ。
【請求項6】
手首に光を照射して生体内を透過した光の強度を検出する複数の光センサ部と、
前記複数の光センサ部の出力同士を加算または減算する制御部と、
前記複数の光センサ部と前記制御部を収納する腕輪型筐体と、
を有することを特徴とする脈波センサ。
【請求項7】
前記複数の光センサ部や前記制御部への電力供給を行う電源部をさらに有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の脈波センサ。
【請求項8】
前記複数の光センサ部を用いて得られた測定データを外部に転送する通信部をさらに有することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の脈波センサ。
【請求項9】
前記複数の光センサ部から出力される光の波長は、およそ600nm以下の可視光領域に属することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の脈波センサ。
【請求項10】
前記腕輪型筐体は、防水構造とされていることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の脈波センサ。
【請求項11】
前記腕輪型筐体は、可撓性素材で形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の脈波センサ。
【請求項1】
手首に光を照射して生体内を透過した光の強度を検出する複数の光センサ部と、
前記複数の光センサ部毎のオン/オフ制御を行う制御部と、
前記複数の光センサ部と前記制御部を収納する腕輪型筐体と、
を有することを特徴とする脈波センサ。
【請求項2】
前記複数の光センサ部は、前記腕輪型筐体を等間隔で周回するように並べて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の脈波センサ。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の光センサ部のうち、出力不足が生じているものをオフすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の脈波センサ。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の光センサ部のうち、周波数異常が生じているものをオフすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の脈波センサ。
【請求項5】
加速度センサ部をさらに有し、
前記制御部は、前記加速度センサ部の出力に応じて前記複数の光センサ部毎のオン/オフ制御を行うことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の脈波センサ。
【請求項6】
手首に光を照射して生体内を透過した光の強度を検出する複数の光センサ部と、
前記複数の光センサ部の出力同士を加算または減算する制御部と、
前記複数の光センサ部と前記制御部を収納する腕輪型筐体と、
を有することを特徴とする脈波センサ。
【請求項7】
前記複数の光センサ部や前記制御部への電力供給を行う電源部をさらに有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の脈波センサ。
【請求項8】
前記複数の光センサ部を用いて得られた測定データを外部に転送する通信部をさらに有することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の脈波センサ。
【請求項9】
前記複数の光センサ部から出力される光の波長は、およそ600nm以下の可視光領域に属することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の脈波センサ。
【請求項10】
前記腕輪型筐体は、防水構造とされていることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の脈波センサ。
【請求項11】
前記腕輪型筐体は、可撓性素材で形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の脈波センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−120772(P2012−120772A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275574(P2010−275574)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]