脊柱組織伸延装置
【課題】改良された脊柱組織伸延装置を提供する。
【解決手段】組織層の間への挿入のための展開前構成と、脊柱組織の層を分離し支持するために、細長い部材が構成の変化により支持構造141を形成する展開構成とを有する細長い部材を含む、脊柱組織伸延装置136である。伸延装置136はまた、流動性を有する材料の動きを制限し導いて、管外遊出を実質的に減少させ得る。展開構成において、細長い部材は、構成の変化により、組織層の間に内在容積を含む支持構造141を形成する。好ましくは、細長い部材は、支持構造141の形状を形成する本来の傾向を有する形状記憶材料から構成される。さらに、支持構造141は、組織の間の方向に、細長い部材が組織層の間に挿入されるにつれて増大する範囲を有する。
【解決手段】組織層の間への挿入のための展開前構成と、脊柱組織の層を分離し支持するために、細長い部材が構成の変化により支持構造141を形成する展開構成とを有する細長い部材を含む、脊柱組織伸延装置136である。伸延装置136はまた、流動性を有する材料の動きを制限し導いて、管外遊出を実質的に減少させ得る。展開構成において、細長い部材は、構成の変化により、組織層の間に内在容積を含む支持構造141を形成する。好ましくは、細長い部材は、支持構造141の形状を形成する本来の傾向を有する形状記憶材料から構成される。さらに、支持構造141は、組織の間の方向に、細長い部材が組織層の間に挿入されるにつれて増大する範囲を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年8月16日に出願された出願米国仮特許出願第60/708,691号、2005年11月21日に出願された出願米国仮特許出願第60/738,432号および2006年3月21日に出願された出願米国仮特許出願第60/784,185号の優先権の利益を主張するものであり、これらのすべては参考として本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して低侵襲外科的処置において用いられる器具および方法に関し、より具体的には、組織層を伸延し、または分離する、整形外科的処置におけるこのような器具および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多様な身体症状は、症状の診断または治療のために、相互から分離され、または伸延され、次いで間隙を介した関係で支持される必要のある、2つの組織表面を含む。このような分離または伸延は、選択された組織構造を露出し、選択された組織に治療圧をかけ、組織構造をより通常または元の解剖学的位置に戻しまたは再配置して形成し、薬物または成長因子を注入し、選択された組織のさらなる成長を修正し、影響し、阻止し、または他の診断または治療処置を行うためのものである。治療される症状に応じて、組織表面は対向し、または接触し、骨、皮膚、軟組織、またはこれらの組み合わせであろう。
【0004】
整形外科の分野で起こるこのような症状の1つは、脊椎圧迫骨折である。脊椎圧迫骨折は、人口のかなりの部分に影響し、医療制度に多大なコストを加える。脊椎圧迫骨折は、1以上の椎骨への粉砕性または崩壊性の創傷である。脊椎骨折は通常、しかし排他的にではなく、骨粗鬆症、転移、および/もしくは外傷と関連する。骨粗鬆症は、骨密度を減少させ、それによって骨をもろくし、骨折を生じやすくさせる。骨粗鬆症によってもろくなった椎骨は、通常の活動の間に崩壊する可能性があり、脊柱にかかる衝撃またはその他の力からの創傷に対してより脆弱である。重度の骨粗鬆症の場合には、前屈などの単純な動作が、脊椎圧迫骨折を引き起こすのに十分である。国立衛生研究所によれば、脊椎圧迫骨折は、最も一般的なタイプの骨粗鬆症性骨折である。
【0005】
このような脊椎骨折のメカニズムは、通常、軽微な事象であっても、もろくなった骨に損傷を生じさせ得る、軸圧縮を伴う屈曲の1つである。骨折は介入なしで治癒するが、粉砕された骨は適切に治癒できない。さらに、骨が自然に治癒させられる場合、椎骨が骨折によって圧縮された程度にまで、脊椎が変形するであろう。脊柱の変形は、呼吸および消化管の合併症、また隣接する椎骨の有害な荷重を引き起こすことがある。
【0006】
脊椎骨折は、胸腰部の関節において最もしばしば生じ、この周辺では骨折は比較的通常の分布である。脊椎骨折は、脊柱の形状または強度を恒久的に変えるかもしれない。一般的に、これらは高さの損失やこぶのある背中を生じる。この疾患(脊柱後湾症または「老人性円背」と称される)は、肩を前にうなだれさせ、背中の上部が膨張してこぶがあるように見せる、脊柱湾曲の誇張である。重度の場合において、体の重心は脊椎から遠くに移動し、脊柱上の増大した曲げモーメントと、個々の椎骨の増大した荷重をもたらす。
【0007】
脊椎骨折の他の要因は、転移性疾患である。がん細胞が脊柱に転移すると、がんは椎骨の部分の破壊を引き起こし、骨をもろくして骨折しやすくするであろう。
【0008】
骨粗鬆症と転移性疾患は、脊椎骨折を引き起こす共通の原因であるが、健康な椎骨への外傷もまた、軽微なものから重度のものまで骨折を引き起こし得る。このような外傷は、落下、力強いジャンプ、車の事故、または限界点を超えるまで脊柱を圧迫しまたはその他の方法で緊張させる任意の事象によって生じるであろう。もたらされた骨折は通常、圧迫骨折または破裂骨折である。
【0009】
脊椎骨折は痛みなしで起こり得る。しかしこれらはしばしば、脊柱から体の両側に放射状に広がる激しい「帯状の」痛みを引き起こす。圧迫骨折における鋭い痛みの源は、椎骨内およびその周辺の神経を刺激する動きを可能にする、骨折部位における不安定さの結果であると一般的に考えられている。
【0010】
最近まで、脊椎圧迫骨折の治療は、静養、鎮痛、食餌療法、骨密度を回復させまたはさらなる骨量の減少を防ぐ投薬、損傷の回避、およびギプスを含む、保守的な手段から成っていた。残念なことに、典型的な患者は高齢者である。患者の類として高齢者は通常、長時間のベッドでの療養に耐えられない。結果として、脊椎圧迫骨折を治療する低侵襲外科手技が最近導入され、一般的になってきた。
【0011】
脊椎圧迫骨折の治療に用いられる技術の1つは、骨充填剤を骨折した椎体に注入することである。この処置は通常、経皮的椎体形成術と称される。椎体形成術は、骨充填剤(たとえば、骨セメント、アログラフ材料またはオートグラフ材料)を崩壊した椎骨に注入して破砕された骨を固定させ強化することを含む。
【0012】
椎体形成術において、医師は一般的に、2つの外科的アプローチ:経椎弓根または茎外、のうちの1つを用いて、胸部および腰部の椎体にアクセスする。経椎弓根アプローチは、茎を通る椎体までの針またはワイヤの配置を含み、医師は片側アクセスまたは両側経椎弓根アプローチのいずれかを用いることを選ぶであろう。茎外技術は、椎体の後外側角を通る入口を含む。
【0013】
外科的アプローチに関わらず、医師は通常、小径の案内ワイヤまたは針を、骨充填剤注入針のための通路に沿って配置する。案内ワイヤは、透視誘導下で、椎骨内の注入ポイントまで椎体内に進められる。椎骨内へのアクセス通路は、注入管を収容するよう拡大されるであろう。場合によっては、注入管は、椎体内に直接配置され、それ自身の開口を形成する。他の場合では、アクセスカニューレが案内ワイヤの上に配置されて椎体内に進められる。配置の後、カニューレは、案内ワイヤまたはピンの上を通過した注入管と交換される。どちらの場合においても、中空の針または同様の管が注入管を通って椎体内に配置され、骨充填剤を椎骨内に注入するのに用いられる。
【0014】
この処置において、粘性の低い骨充填剤と高い注入圧力を用いることで、骨充填剤は椎体の至る所に分散される傾向がある。しかし、このような処置は、骨充填剤の椎体からの管外遊出のリスクを著しく増大させる。経椎弓根アプローチは、比較的小さな針(通常11ゲージ以下)の使用を必要とする。通常、経椎弓根アプローチに必要とされる小径の針は、骨充填剤をより液体(粘性の低い)状態で注入することを必要とする。さらに、骨充填剤を小さなゲージの針を通って流すのに必要とされる圧力は、比較的高い。骨充填剤が損傷を受けやすい領域に流入することを制御し、または停止することの困難さは、必要とされる圧力が増大するにつれて増大する。反対に、茎外アプローチは、より大きな針(腰部および胸部下部で約6mmの内径まで)を収容するのに十分な余地を提供する。茎外アプローチにおいて用いられるより大きな針は、より濃い、より制御可能な粘性状態での骨充填剤の注入を可能にする。したがって、多くの医師が現在、骨充填剤がより大きなカニューレを通じて低圧下で注入されるように、茎外アプローチを推奨する。しかし、経椎弓根アプローチはそれでも好適なアプローチである。しかし、後の管外遊出は脊髄の外傷を引き起こし得るため、これを防ぐよう最大限注意を払って、管外遊出を防ぐようやはり警戒しなければならない。医師は一般的に、透視画像化を繰り返し用いて骨充填剤の伝播を監視し、重大な関心領域への流入を防ぐ。裂穴漏れが生じた場合、患者は外科的減圧を必要とし、および/もしくは、麻痺を被るであろう。
【0015】
脊椎骨折の治療のその他のタイプは、圧迫骨折セメント固定術として知られる。圧迫骨折セメント固定術は、骨折を縮小させること、およびおそらく、骨充填剤を注入する前に椎骨高さをいくらか回復させることを意図して、血管形成用バルーンと同様の1または2のバルーンを用いる、修正された脊椎骨折治療である。1または2のバルーンは一般的に、両側経椎弓根カニューレを介して椎骨内に導入される。バルーンは膨張されて骨折を縮小させる。バルーンが収縮され、比較的空の空洞を残して除去された後、骨セメントが椎骨に注入される。理論上、バルーンの膨張は、椎骨高さをいくらか回復させるであろう。しかし実際は、有意義かつ予測可能な高さ回復に一貫して到達することは困難である。さらなる要因がまたあるが、一貫性のない結果は部分的に、バルーンが椎骨内の網状組織などの圧縮性の媒体において膨張する方法および椎骨内の骨梁の構造上の方向によるであろう。
【0016】
したがって、上述の疾患、とりわけ圧迫脊椎骨折を治療する装置および方法が必要とされる。
【0017】
組織層の伸延または分離によって治療されることができる他の症状は、椎間板の崩壊または変成である。椎間板は、1つの椎骨を隣に保持し椎骨間のクッションのように機能する強い結合組織から形成される。椎間板は、2つの異なる領域:髄核と線維輪、に分けられる。核は、椎間板の中心にあり、輪によって囲まれ、含まれる。輪は、核を囲む同心ラメラを形成するコラーゲン繊維を含む。コラーゲン繊維は、隣接する椎体の端板に挿入して強化構造を形成する。軟骨性の端板は、椎間板と隣接する椎体との間の接触面に配置される。
【0018】
適切な椎間板の高さが、椎間板と脊柱の適切な機能性を確保するために必要である。椎間板の主要な機能は脊柱の可動性を容易にすることであるが、これはいくつかの機能を果たす。さらに椎間板は、椎体の面の間の耐荷重性、荷重伝達、衝撃吸収を提供する。人の重みは、椎間板に圧縮荷重を生じるが、この荷重は一般的な曲げ動作の間均一ではない。前屈の間、前部の繊維は圧縮される一方、後部の環状の繊維は延伸される。さらに、核の重心が中心から延ばされる側へずれるにつれ、核の転位が生じる。
【0019】
椎間板の高さにおける変化は、局部的および広範囲の影響を有するであろう。局部的な(または細胞の)面では、椎間板の低下した高さは核における増大した圧力をもたらし、これは細胞基質合成における減少、および細胞の壊死およびアポトーシスの増大をもたらし得る。さらに、椎間板内圧力の増大は、椎間板への流体の転送に好ましくない環境を作り出し、椎間板の高さのさらなる低下をもたらし得る。
【0020】
椎間板の低下した高さはまた、脊柱の全体的な機械的安定性に著しい変化をもたらすであろう。椎間板の高さが低下すると、面関節は増大する荷重に耐え、肥大および変成を受け、いずれは痛みの源にさえなるであろう。椎間板の高さの損失からもたらされる脊柱の増大した剛性および減少した可動域は、背中の痛みと同様、脊柱のさらなる不安定さをもたらし得る。根部痛は、椎間板の低下した高さによってもたらされる裂穴の容積の低下からもたらされるであろう。具体的に、椎間板の高さが低下すると、脊髄神経根が通る裂穴管の容積が低下する。この低下は、関連する放射状の痛みと機能障害を伴う脊髄神経衝突をもたらすであろう。
【0021】
最後に、隣接する区分の荷重は、所与の面における椎間板の高さが低下するにつれて増大する。さらなる荷重に耐えなければならない椎間板は、最終的には不安定な脊柱に沿って伝播する、促進された変成および障害を起こしやすい。
【0022】
椎間板の高さの低下に付随するこれら全ての不利益にもかかわらず、椎間板の高さの変化が段階的である場合、病的影響の多くは脊柱にとって「耐えられる」ものであり、脊髄系が段階的な変化に適応する時間を与える。しかし、椎間板または椎間板核の外科的除去によって椎間板の容積が突然減少すると、上述の局部的および全体的問題が増すであろう。
【0023】
椎間板の崩壊または変成の多くの原因は、通常、機械的、遺伝的、生化学的なものに分類されることができる。機械的損傷は、線維輪の割れ目または裂け目を通って髄核の部分が突出するヘルニア形成を含むであろう。遺伝的および生化学的な原因は、椎間板の細胞外基質パターンにおける変化をもたらし、椎間板の細胞による細胞外基質成分の生合成を減少させるであろう。変成は、低下したプロテオグリカン含有量による、水を結合する中心髄核における細胞外基質の能力の低下から通常始まる、進行性のプロセスである。水含有量の損失に伴い、核は乾燥し始め、最終的に椎間板の高さの損失をもたらす内部椎間板水圧の低下をもたらす。この椎間板の高さの損失は、輪の非伸張の荷重および座屈を引き起こし得る。椎間板の高さの損失はまた、環状ラメラを剥離させ、環状の割れ目および輪の裂け目をもたらす。裂け目が核の突出をもたらすにつれ、そこでヘルニア形成が生じるであろう。
【0024】
多くの椎間板欠陥は、髄核物質が除去される椎間板切除術などの外科的処置を通じて治療される。全体的な椎間板切除術の間、髄核の容積の相当量(通常全て)が除去され、椎間板の高さおよび容積の即時の損失がもたらされ得る。部分的な椎間板切除術であっても、椎間板の高さの損失は結果として起き得る。
【0025】
椎間板切除術単独は、最も一般的な脊髄外科的治療である。処置はしばしば、椎間板の突出または椎間板の破片が脊髄神経構造に接触することによる神経の衝撃によりもたらされる根部の痛みを治療するのに用いられる。
【0026】
他の一般的な脊髄の処置において、椎間板切除術に続き、核物質が除去された後に椎間板空間に残された空洞に人工器官が導入されるインプラント処置がある。これまでは、最も有名な人工器官は、適切な椎間板の高さを回復させるサイズにされ、隣接する椎体間を固定するべく構成された、機械装置または「ケージ」である。これらの機械的解決法は、中空でない腎臓型のインプラントと、骨成長物質が充填された中空のブロックと、ネジ円筒ケージとを含む多様な形状を呈する。
【0027】
椎間板インプラントを後方に挿入することの難題は、端板に接触するのに十分なだけ大きく、端板間の椎間空間をわずかに拡大する装置が、限られた空間を通って挿入されなければならないことである。この難題はしばしば、椎間板への大変制限されたアクセスをもたらす後部端板の集束または「フィッシュマウス」を引き起こし得る後部骨棘の存在により、さらに高度になる。変成椎間板空間におけるさらなる難題は、神経根に外傷を与えることなく導入することがしばしば容易でない比較的大きなインプラントを必要とするレンズ形状を前提とする椎間板空間の傾向である。それにより、椎間板空間に安全に導入されるであろう剛性装置のサイズは制限される。
【0028】
従来技術のケージは、通常、固定を促進し、適切な椎間板の高さを予測することに成功してきた。しかし、後方アプローチから挿入されるケージは、神経根の間の間隔によってそのサイズが制限される。従来技術の装置のいくつかの例は、人工ネジ脊柱固定インプラントを説明するMichelsonの特許文献1;損傷した椎間板を補修する脊椎スペーサ装置を説明するFoley他の米国特許出願第10/999,727号;移動に抵抗し、椎骨を相互から離れるよう促す一連のバネを含むスパイクされた外表面を有する動作保存インプラントを説明するPatilの特許文献2;および最後に、拡張型椎間人工器官を説明するEnayatiの米国特許出願第10/968,425号に示される。上述の全ての特許および特許出願は、参照することにより本書に援用される。
【0029】
したがって、低侵襲処置で椎間板空間に挿入することができ、隣接する脊椎の端板に接触して分離するのに十分に大きな装置の必要性が残る。神経根への潜在的な外傷を縮小し、さらに椎間板空間の高さの回復を可能にする装置の必要性もまた残る。
【0030】
組織伸延が必要とされるであろう他の関連領域は、脊椎固定術である。固定術は、脊柱の1以上の椎骨の間で動きがもはや生じないようにこれらが結合される(「固定される」)外科技術である。脊椎固定手術において、骨移植片が脊椎の周囲に配置され、次いで体は数ヶ月にわたって移植片を治療し―骨折を治療するのと同様に―椎骨を共に接合し、または「固定」する。
【0031】
骨折した(損傷した)椎骨の治療、変形(脊椎湾曲またはすべり)の修正、痛みを伴う動きからの痛みの除去、不安定さの治療、および頸椎椎間板ヘルニアの治療など、医師が椎骨を固定することを考える多くの潜在的な理由がある。
【0032】
脊椎固定術を行うより一般的な理由の1つは、脊椎骨折を治療することである。全ての脊椎骨折が手術を必要とするわけではないが、骨折のうちのいくらか、とりわけ脊髄または神経損傷に関連するものは、通常、外科治療の一環として固定を必要とする。脊柱側湾症などの脊髄変形のいくつかのタイプはまた、一般的に脊椎固定術で治療される。脊柱側湾症は、子供と若者に時々生じる脊柱の「S」字形状の屈曲である。固定術は、大変大きな屈曲または進行的に悪化する小さな屈曲の治療の形状として用いられることができる。さらに固定術は、細いひびが椎骨を相互に前にすべらせる時に生じる症状である脊椎すべり症を治療するのに用いられることができる。
【0033】
固定手術によって治療される他の症状は、実際の、または潜在的な不安定さである。不安定さとは、2以上の椎骨の間の異常な、または過剰な動きに言及する。不安定さは、背中または首の痛みの源となるか、隣接する神経に潜在的な刺激または損傷を生じるかであると、一般的に考えられている。不安定さの正確な定義には意見の食い違いもあるが、多くの外科医は、脊椎の1以上の区分の明確な不安定さが固定術によって治療されることができることに賛同する。
【0034】
手術を必要とする頸椎椎間板ヘルニア症は、通常、ヘルニア状態の椎間板の除去(椎間板切除術)および固定術を必要とする。この処置を用いて、椎間板は首の前側の切開を通って(前方に)除去され、骨の小さな破片が椎間板の代わりに挿入される。椎間板の除去は通常、首における固定術と組み合わされるが、腰部(腰椎)については通常そうではない。
【0035】
脊椎固定術はまた、はっきりとした不安定さのない痛みを伴う脊髄症状の治療において、時として考えられる。固定術による脊柱の痛みの良好な治療の主要な障害は、患者の痛みを正確に識別することの困難さである。理論は、痛みは痛みを伴う脊柱の動きから生じ得て、椎骨を相互に固定して動きを除去することが、痛みを除去するということである。
【0036】
脊柱を固定する多くの外科的アプローチおよび方法があり、これらは全て、椎骨間への骨移植片の配置を含む。脊柱はアプローチされ、移植片は背中から(後方アプローチ)または前から(前方アプローチ)またはそれらの組み合わせによって配置される。首では、前方アプローチはより一般的であり、腰部および胸部では後方アプローチが通常用いられる。
【0037】
固定術の最終的な目標は、2以上の椎骨の間に頑丈な結合を得ることである。固定術は、板、棒、ネジ、ケージなどの補助的なハードウェア(器具類)の使用を含んでよく、または含んではならない。器具類は時として、変形を修正するのに用いられることができるが、通常は内側スプリントとして用いられて骨移植片が治療される間に椎骨を相互に保持するのみである。ハードウェアが用いられようと用いられまいと、骨または骨の代用品は一般的に用いられて椎骨を相互に固定させる。骨は患者の他の骨から取られる(オートグラフト)か、骨バンクから取られる(アログラフト)かである。
【0038】
組織伸延が必要とされるであろうさらに他の関連領域は、基本的に全体的または部分的に除去された椎骨の置換における。このような除去は通常、広範囲にわたる脊椎骨折または腫瘍によって必要とされ、通常は椎間板疾患の治療に関連しない。椎体には、疾患、欠陥、または損傷のために障害が起きる。いくつかの場合において、痛みを緩和し、脊椎の機能性を回復させるのに、1以上の椎体または椎間板を除去し、または置換することが必要となる。
【0039】
除去された椎骨の治療において、除去された椎骨を、治療を促進するリン酸カルシウムなどの骨充填剤に置換することを援助する、一時的な構造上の機械的支持を形成するために、装置が用いられる。従来技術において、疾患のある、または損傷した椎体を置換する多数の方法および装置が開示された。これらの従来技術の装置およびそれに関連付けられる処置では、骨セメントなどのキャスタブル材料が、除去された椎体によって残された空洞内で硬化される間に、適切な構造上の足場を保持することが困難である。適切な構造上の足場を保持することは、低侵襲後方外科的アプローチにおいて特に困難であった。
【0040】
脊椎固定術または腰部脊椎固定術は、不安定な破裂骨折、重度の圧迫骨折、腫瘍の減圧によって障害が起きた椎体を治療する1つの方法である。脊椎固定術の処置において、障害が起きた椎体の上と下の椎間板は除去され、次いで支柱移植片および板が用いられて、置換された椎体の上下の椎骨を共に成長させ1つの骨とする。
【0041】
従来技術の椎体置換システムのうちのいくつかは、チタンメッシュおよび端板によって作られる体内固定システムを説明するCamino他の特許文献3;単独または積み重ね可能なモジュラーインプラントの使用を説明するBrantiganの特許文献4;骨成長促進物質を受ける開口を有する中空体を説明するWhite他の米国特許第6,585,770号;脊椎置換体装置を説明するBerryの特許文献5を含む。上述の参考文献の全ては、参照することにより本書に援用される。
【0042】
したがって、1以上の除去された、または部分的に除去された椎体を、特に後方アプローチと最小侵襲の外科介入で置換する改良された装置に対するニーズが依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】米国特許第5,015,247号明細書
【特許文献2】米国特許第4,309,777号明細書
【特許文献3】米国特許第6,086,613号明細書
【特許文献4】米国特許第5,192,327号明細書
【特許文献5】米国特許第6,758,862号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0044】
本発明は、組織層を分離または伸延し、このような分離を保持する伸延装置を提供することで、従来の装置および方法における多くの欠点を扱う。
【課題を解決するための手段】
【0045】
本発明の第1の態様は、通常、ヒトの脊柱を治療する伸延装置に関する。伸延装置は、ヒトの脊柱の組織層の間での展開に適している展開前構成、例えば、概して線状の構成を有する少なくとも1つの概して細長い部材から構成されることが好ましい。細長い部材はまた、組織層を分離し、支持し、または分離および支持する、展開構成を有する。展開構成において、細長い部材は、構成の変化により、組織層の間に内在容積を含む支持構造を形成する。好ましくは、細長い部材は、支持構造の形状を形成する本来の傾向を有する形状記憶材料から構成される。さらに、支持構造は、組織の間の方向に、細長い部材が組織層の間に挿入されるにつれて増大する範囲を有する。
【0046】
本発明の他の態様は、ヒトの脊柱を治療する伸延システムに関する。一実施形態において、伸延システムは、近位端部分、遠位端部分、およびそれを通って延在する管腔を有するカニューレを含むことができる。カニューレの遠位端は、組織層に隣接して、またはその間に配置されるよう構成される。システムは、カニューレの管腔を通過し、カニューレの遠位端部分から組織層の間の位置に出るための展開前構成を有する少なくとも1つの概して細長い部材をさらに含む。細長い部材はまた、細長い部材がカニューレの遠位端部分から出る時に、細長い部材の少なくとも部分が構成の変化により内在容積を含む支持構造を規定する、分離し、支持し、または分離および支持する、展開構成を含む。支持構造は、組織の間の方向に、細長い部材がカニューレの遠位端から出るにつれて増大する広がりを有する。
【0047】
本発明の他の態様は、椎体の上側および下側端板の間に挿入可能である脊椎内伸延に関する。一実施形態において、伸延装置は、椎体内への挿入に適している、展開前構成を有する少なくとも1つの概して細長い部材を含むことができる。細長い部材はまた、細長い部材の少なくとも部分が、構成の変化により、細長い部材の部分が椎体内に配置される時に、上端板および下端板を分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を規定する、展開構成を有する。支持構造はまた、内在容積構造を含む。
【0048】
本発明のさらに他の態様は、上端板および下端板の間に配置される網状骨組織内に空洞を形成することなく椎体の上端板と下端板の間に挿入可能である脊椎内伸延装置に関する。一実施形態において、伸延装置は、椎体への挿入のために展開前構成を有する少なくとも1つの概して細長い部材から構成される。細長い部材は、網状骨組織を横切るよう、また構成の変化により網状骨組織に空洞を作成することなく、上端板および下端板を分離する支持構造を形成するよう構成される。
【0049】
本発明のさらなる態様は、上椎骨と下椎骨の間に挿入可能な椎間伸延装置に関する。一実施形態において、伸延装置は、上椎骨および下椎骨の間への挿入に適している展開前構成を有する少なくとも1つの概して細長い部材を含むことができる。細長い部材はまた、細長い部材の少なくとも部分が、構成の変化により、上椎骨および下椎骨を分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を規定する、展開構成を含む。さらに、支持構造は、分離された椎骨の方向に、細長い部材が上椎骨および下椎骨の間に挿入されるにつれて増大する範囲を有する。
【0050】
本発明の他の態様は、椎体へ挿入し、椎体の対向する端板を分離する、脊椎内伸延装置に関する。一実施形態において、伸延装置は、ヒトの椎体に、対向する端板の間に挿入するための、展開前構成を有する少なくとも1つの細長い部材から構成される。細長い部材はまた、細長い部材が端板の間に挿入されるにつれ端板の間の範囲が増大する、複数の積み重ねられた屈曲から構成される展開された形状を有する。細長い部材は、椎体へ挿入された際に、それ自体で展開構成を形成する傾向がある。好適な実施形態において、細長い部材は、支持構造を形成する本来の傾向を有する形状記憶材料から構成される。
【0051】
本発明のさらに他の態様は、小さなアクセス開口を有する、ヒトの脊柱内の密閉された空間内に形成されるよう構成された三次元支持構造に関する。支持構造は、アクセス開口を通っての密閉された空間への挿入に適した展開前構成を有する部材から構成される。部材は、密閉された空間への挿入の際に、三次元支持構造を形成するよう構成される。本発明の第1の態様は、通常、ヒトの脊柱を治療する伸延装置システムに関する。伸延装置システムは、概して細長い部材を脊柱の組織層の間の位置に案内する、少なくとも1つの案内部材から構成されることが好ましい。案内部材は、近位端部分と遠位端部分を有する。案内部材の遠位端部分は、組織層の間に挿入されて所望の多段支持構造の形状を規定するよう構成される。伸延装置は、伸延装置を案内部材に沿って遠位に進めて伸延部材を組織層の間に挿入する案内部材上に、スライド可能に取り付けられる。細長い部材は、案内部材の遠位端によって規定される形状に実質的に一致し、組織層を分離し、支持し、または分離および支持する多段支持構造を形成する。
【0052】
本発明の他の態様は、ヒトの脊柱を治療する伸延システムに関する。一実施形態において、伸延システムは、伸延装置を脊柱の組織層の間の位置に案内する、少なくとも1つの案内部材を含むであろう。案内部材は、近位端部分と遠位端部分を有する。案内部材の遠位端部分は、組織層の間に挿入され、多段支持構造の形状を規定するよう構成される。伸延装置は、案内部材に沿って伸延装置を遠位に進めて伸延装置を組織層の間に挿入する案内部材上に、スライド可能に取り付けられる。伸延装置は、案内部材の遠位端部分によって規定される形状に実質的に一致して、組織層を分離し、支持し、または分離および支持する多段支持構造を形成する。
【0053】
本発明の他の態様は、圧迫骨折などの椎骨の欠陥および損傷を治療する脊椎内伸延システムに関する。一実施形態において、伸延システムは通常、伸延装置を椎体内の位置に案内する、少なくとも1つの案内部材から構成される。案内部材は、近位端部分と遠位端部分とを有する。案内部材の遠位端部分は、椎体に挿入されるよう構成され、所望の支持構造の形状を規定する。伸延装置は、椎体への挿入のために伸延装置を案内部材に沿って遠位に進める案内部材上にスライド可能に取り付けられる。伸延装置は、案内部材の遠位端によって規定された形状に実質的に一致し、上端板および下端板を分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を形成する。
【0054】
本発明のさらに他の態様は、上椎骨と下椎骨の端板の間に挿入可能である椎間伸延システムに関する。一実施形態において、伸延システムは、伸延装置を上椎骨および下椎骨の間の位置へ案内する少なくとも1つの案内部材から構成される。案内部材は、近位端部分と遠位端部分を有する。案内部材の遠位端部分は、上椎骨および下椎骨の間に挿入されるよう構成され、多段支持構造の形状を規定する。伸延装置は、上椎骨および下椎骨の間への挿入のために伸延を案内部材に沿って遠位に進める案内部材上にスライド可能に取り付けられる。伸延装置は、案内部材の遠位端部分によって規定される形状に実質的に一致し、上椎骨および下椎骨を分離し、支持し、または分離および支持する多段支持構造を形成する。
【0055】
本発明の第1の態様は、通常、ヒトの脊柱を治療する伸延装置システムに関する。伸延装置システムは、概して細長い部材を脊柱の組織層の間の位置へ案内する、少なくとも1つの案内部材から構成されることが好ましい。案内部材は、近位端部分と遠位端部分を有する。案内部材の遠位端部分は、組織層の間に挿入されるよう構成され、所望の支持構造の形状を規定する。細長い部材は、細長い部材を案内部材に沿って遠位に進めて細長い部材を組織層の間に挿入する案内部材上に、スライド可能に取り付けられる。細長い部材は、案内部材の遠位端部分によって規定される形状に実質的に一致し、組織層を分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を形成する。
【0056】
本発明の他の態様は、ヒトの脊柱を治療する伸延システムに関する。一実施形態において、伸延システムは、伸延装置を脊柱の組織層の間の位置へ案内する少なくとも1つの案内部材を含んでよい。案内部材は、近位端部分と遠位端部分を有する。案内部材の遠位端部分は、組織層の間に挿入されるよう構成され、多段支持構造の形状を規定する。伸延装置は、伸延装置を案内部材に沿って遠位に進め、伸延装置を組織層の間に挿入する案内部材上に、スライド可能に取り付けられる。伸延装置は、案内部材の遠位端部分によって規定される形状に実質的に一致し、組織層を分離し、支持し、または分離および支持する多段支持構造を形成する。
【0057】
本発明の他の態様は、圧迫骨折などの椎骨の欠陥および損傷を治療する脊椎内伸延システムに関する。一実施形態において、伸延システムは、通常、伸延装置を椎体内の位置へ案内する、少なくとも1つの案内部材から構成される。案内部材は、近位端部分と遠位端部分を有する。案内部材の遠位端部分は、椎体内に挿入されるよう構成され、所望の支持構造の形状を規定する。伸延装置は、椎体内への挿入のために伸延装置を案内部材に沿って遠位に進める案内部材上にスライド可能に取り付けられる。伸延装置は、案内部材の遠位端によって規定された形状に実質的に一致し、上端板および下端板を分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を形成する。
【0058】
本発明のさらに他の態様は、上椎骨と下椎骨の端板の間に挿入可能である椎間伸延システムに関する。一実施形態において、伸延システムは、伸延装置を上椎骨と下椎骨の間の位置へ案内する、少なくとも1つの案内部材から構成される。案内部材は、近位端部分と遠位端部分を有する。案内部材の遠位端部分は、上椎骨および下椎骨の間に挿入されるよう構成され、多段支持構造の形状を規定する。伸延装置は、上椎骨および下椎骨の間への挿入のために伸延を案内部材に沿って遠位に進める案内部材上に、スライド可能に取り付けられる。伸延装置は、案内部材の遠位端部分によって規定される形状に実質的に一致し、上椎骨および下椎骨を分離し、支持し、または分離および支持する多段支持構造を形成する。
【0059】
本発明の第1の態様は通常、ヒトの脊柱の組織層の中または間に導入される流動性を有する材料の動きを制限する装置に関する。一実施形態において、装置は通常、ヒトの脊柱の組織層内またはその間への挿入のための展開前構成を有する、少なくとも1つの概して細長い部材から構成される。細長い部材はまた、細長い部材が、組織層の中または間に導入される、骨充填剤または治療薬物などの流動性を有する材料の動きを制限する障壁を形成する、展開構成を有する。
【0060】
本発明の他の態様は、ヒトの椎骨の椎体に導入される流動性を有する材料の動きを制限する装置に関する。一実施形態において、装置は、椎体内への挿入のための展開前構成を有する少なくとも1つの概して細長い部材を含む。細長い部材はまた、細長い部材が、椎体に導入される流動性を有する材料の動きを制限する障壁を形成する、展開構成も含む。
【0061】
本発明のさらに他の態様は、上椎骨と下椎骨の間に導入される流動性を有する材料の動きを制限する装置に関する。一実施形態において、装置は、上椎骨と下椎骨の間への挿入のために展開前構成を有する、少なくとも1つの概して細長い部材から構成される。細長い部材はまた、細長い部材が、上椎骨および下椎骨の間に導入される流動性を有する材料の動きを制限する障壁を形成する、展開構成も有する。
【0062】
本発明のさらなる態様は、ヒトの椎骨の椎体に導入された流動性を有する材料の動きを制限する装置に関する。一実施形態において、装置は、概して細長い部材を椎体へ案内する、少なくとも1つの案内部材から構成される。案内部材は、近位端および遠位端を有する。案内部材の遠位端部分は、椎体への挿入に適し、所望の障壁の形状をその中に規定する。細長い部材は、椎体への挿入のために細長い部材を案内部材に沿って遠位に進める案内部材の上に、スライド可能に取り付けられる。細長い部材は、案内部材の遠位端部分によって規定される形状に実質的に一致し、椎体内に導入される流動性を有する材料の動きを制限し、または導くよう構成された障壁を形成する。
【0063】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明において説明される。その点において、本発明は、単独および/または他の態様と組み合わせて有用であろう多数の異なる態様を含むことに留意されるべきである。したがって、上述の要約は、ここに、または以下の請求項に記載される、このような態様のそれぞれと完全と同一ではなく、本発明の概観を表し、以下のより詳細な説明を理解することを支援するものである。本発明の範囲は、ここにまたは今後提出される請求項に説明される通りである。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
ヒトの脊柱を治療する伸延装置であって、
組織層の間に挿入するように適合された展開前構成と、上記組織層を分離し、支持し、または分離および支持する展開構成であって、細長い部材の少なくとも部分が、構成の変化により、内在容積を含む支持構造を上記組織層の間に形成する、展開構成とを有する少なくとも1つの概して細長い部材を含み、上記支持構造は、上記細長い部材が上記組織層の間に挿入されるにつれて、上記組織の間の方向に増大する範囲を有する、伸延装置。
(項目2)
上記展開前構成は、概して線状である、項目1に記載の伸延装置。
(項目3)
上記細長い部材は、形状を変化させて、複数の屈曲を有する概してコイル形状の支持構造を規定する、項目1に記載の伸延装置。
(項目4)
各屈曲が、すぐ隣の屈曲に実質的に接触する、項目3に記載の伸延装置。
(項目5)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目1に記載の伸延装置。
(項目6)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目1に記載の伸延装置。
(項目7)
上記支持構造は、実質的に剛である、項目1に記載の伸延装置。
(項目8)
上記細長い部材は、上記支持構造を形成する本来の傾向を有する、項目1に記載の伸延装置。
(項目9)
上記細長い部材は、形状記憶材料を含む、項目8に記載の伸延装置。
(項目10)
上記支持構造は、上記内在容積に通じる通路を含む、項目1に記載の伸延装置。
(項目11)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材とを含み、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは、並んで配置される、項目1に記載の伸延装置。
(項目12)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材から構成されており、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは順に積み重ねられる、項目1に記載の伸延装置。
(項目13)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と、第2の細長い部材と、第3の細長い部材と、第4の細長い部材とを含み、上記細長い部材によって規定される上記支持構造は、並んで積み重ねられた配置に配置される、項目1に記載の伸延装置。
(項目14)
上記細長い部材に動作可能に接続されて、上記細長い部材を組織層の間に挿入することを支援する超音波振動を生じさせるエネルギー源をさらに含む、項目1に記載の伸延装置。
(項目15)
ヒトの脊柱を治療する伸延システムであって、
近位端部分と、遠位端部分と、その間に延在する管腔とを有するカニューレであって、上記遠位端部分は、組織の層に隣接してまたはその間に配置されるように構成されるカニューレと、
上記カニューレの上記管腔を通過し、上記カニューレの上記遠位端部分から組織層の間の位置に出るのに適している展開前構成と、上記組織層を分離し、支持し、または分離および支持する展開構成とを有する少なくとも1つの概して細長い部材であって、上記細長い部材の少なくとも部分は、上記部分が上記カニューレの上記遠位端部分から出る時に構成の変化によって内在容積を含む支持構造を規定し、上記支持構造は、上記組織の間の方向に、上記細長い部材が上記カニューレの上記遠位端部分から出るにつれて増大する範囲を有する、少なくとも1つの概して細長い部材と
を含む、伸延システム。
(項目16)
上記細長い部材は、形状を変化させて、複数の屈曲を有する概してコイル形状の支持構造を規定する、項目15に記載の伸延システム。
(項目17)
各屈曲が、すぐ隣の屈曲に実質的に接触する、項目16に記載の伸延システム。
(項目18)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目15に記載の伸延システム。
(項目19)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目15に記載の伸延システム。
(項目20)
上記支持構造は、実質的に剛である、項目15に記載の伸延システム。
(項目21)
上記細長い部材は、上記支持構造を形成する本来の傾向を有する、項目15に記載の伸延システム。
(項目22)
上記細長い部材は、形状記憶材料を含む、項目21に記載の伸延システム。
(項目23)
上記支持構造は、上記内在容積に通じる通路を含む、項目15に記載の伸延システム。
(項目24)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材とを含み、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは、並んで配置される、項目15に記載の伸延システム。
(項目25)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材とを含み、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは順に積み重ねられる、項目15に記載の伸延システム。
(項目26)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と、第2の細長い部材と、第3の細長い部材と、第4の細長い部材とを含み、上記細長い部材によって規定される上記支持構造は、並んで積み重ねられた配置に配置される、項目15に記載の伸延システム。
(項目27)
上記細長い部材に動作可能に接続されて、組織層の間に上記細長い部材を挿入することを支援する超音波振動を生じさせるエネルギー源をさらに含む、項目15に記載の伸延システム。
(項目28)
椎体の上端板と下端板との間に挿入可能である脊椎内伸延装置であって、
上記椎体内に挿入するように適合されている展開前構成を有する少なくとも1つの概して細長い部材と、上記細長い部材の少なくとも部分が構成の変化により、上記部分が上記椎体内に配置されるときに、上記上端板と上記下端板とを分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を規定する展開構成とを有し、上記支持構造は常在の容積を含む、伸延装置。
(項目29)
上記展開前構成は、概して線状である、項目28に記載の伸延装置。
(項目30)
上記細長い部材は、形状を変化させて、複数の屈曲を有する概してコイル形状の支持構造を規定する、項目28に記載の伸延装置。
(項目31)
各屈曲が、すぐ隣の屈曲に実質的に接触する、項目30に記載の伸延装置。
(項目32)
上記支持構造は、上記分離された上端板と下端板との方向に範囲を有し、上記範囲は、上記細長い部材が上記椎体内に挿入されるにつれて増大する、項目28に記載の伸延装置。
(項目33)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目28に記載の伸延装置。
(項目34)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目28に記載の伸延装置。
(項目35)
上記支持構造は実質的に剛である、項目28に記載の伸延装置。
(項目36)
上記細長い部材は、上記支持構造を形成する本来の傾向を有する、項目28に記載の伸延装置。
(項目37)
上記細長い部材は、形状記憶材料を含む、項目36に記載の伸延装置。
(項目38)
上記支持構造は、上記内在容積に通じる通路を含む、項目28に記載の伸延装置。
(項目39)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材とを含み、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは、並んで配置される、項目28に記載の伸延装置。
(項目40)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材とを含み、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは順に積み重ねられる、項目28に記載の伸延装置。
(項目41)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と、第2の細長い部材と、第3の細長い部材と、第4の細長い部材とを含み、上記細長い部材によって規定される上記支持構造は、並んで積み重ねられた配置に配置される、項目28に記載の伸延装置。
(項目42)
上記細長い部材に動作可能に接続されて、上記細長い部材を上記椎体内に挿入することを支援する超音波振動を生じさせるエネルギー源をさらに含む、項目28に記載の伸延装置。
(項目43)
椎体の上端板と下端板との間に、その間の網状骨組織内に空洞を形成することなく挿入可能である脊椎内伸延装置であって、
上記椎体内に挿入するように適合されている展開前構成を有する少なくとも1つの概して細長い部材を含み、上記細長い部材は、上記椎体内の網状骨組織を横切り、構成の変化によって、上端板と下端板とを上記端板間の網状骨組織に空洞を作ることなく、分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を形成するように適合されている、伸延装置。
(項目44)
上記展開前形構成は、概して線状である、項目43に記載の伸延装置。
(項目45)
上記細長い部材は、形状を変化させて、複数の屈曲を有する概してコイル形状の支持構造を規定する、項目43に記載の伸延装置。
(項目46)
各屈曲が、すぐ隣の屈曲に実質的に接触する、項目45に記載の伸延装置。
(項目47)
上記支持構造は、上記端板の分離の方向に測定される範囲を有し、上記範囲は、上記細長い部材が上記椎体内に挿入されるにつれて増大する、項目43に記載の伸延装置。
(項目48)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目43に記載の伸延装置。
(項目49)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目43に記載の伸延装置。
(項目50)
上記支持構造は、実質的に剛である、項目43に記載の伸延装置。
(項目51)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を形成する本来の傾向を有する、項目43に記載の伸延装置。
(項目52)
上記細長い部材は、形状記憶材料を含む、項目51に記載の伸延装置。
(項目53)
上記支持構造は、内在容積を含み、上記内在容積に通じる通路を含む、項目43に記載の伸延装置。
(項目54)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材とを含み、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは、並んで配置される、項目43に記載の伸延装置。
(項目55)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材とを含み、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは順に積み重ねられる、項目43に記載の伸延装置。
(項目56)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と、第2の細長い部材と、第3の細長い部材と、第4の細長い部材とを含み、上記細長い部材によって規定される支持構造は、並んで積み重ねられた配置に配置される、項目43に記載の伸延装置。
(項目57)
上記細長い部材に運転可能に接続されて、上記細長い部材を上記上椎骨と上記下椎骨との間に挿入することを支援する超音波振動を生じさせるエネルギー源をさらに含む、項目43に記載の伸延装置。
(項目58)
上椎骨と下椎骨との端板の間に挿入可能である椎間内伸延装置であって、
上椎骨と下椎骨との間に挿入されるように適合されている展開前構成と、細長い部材の少なくとも部分は構成の変化により、上記上椎骨と上記下椎骨とを分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を規定する展開構成とを有する、少なくとも1つの概して細長い部材であって、上記支持構造は、椎骨間の方向に、上記細長い部材が上記上椎骨と上記下椎骨との間に挿入されるにつれて増大する範囲を有する、少なくと1つの細長い部材を含む、伸延装置。
(項目59)
上記細長い部材は、形状を変化させて、複数の屈曲を有する概してコイル形状の支持構造を規定する、項目58に記載の伸延装置。
(項目60)
各屈曲が、すぐ隣の屈曲に実質的に接触する、項目59に記載の伸延装置。
(項目61)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目58に記載の伸延装置。
(項目62)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目58に記載の伸延装置。
(項目63)
上記支持構造は、実質的に剛である、項目58に記載の伸延装置。
(項目64)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を形成する本来の傾向を有する、項目58に記載の伸延装置。
(項目65)
上記細長い部材は、形状記憶材料を含む、項目64に記載の伸延装置。
(項目66)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材とを含み、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは、並んで配置される、項目58に記載の伸延装置。
(項目67)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材とを含み、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは、順に積み重ねられる、項目58に記載の伸延装置。
(項目68)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と、第2の細長い部材と、第3の細長い部材と、第4の細長い部材とを含み、上記細長い部材によって規定される上記支持構造は、並んで積み重ねられた配置に配置される、項目58に記載の伸延装置。
(項目69)
上記細長い部材に運転可能に接続されて、上記細長い部材を上記椎体に挿入することを支援する超音波振動を生じさせるエネルギー源をさらに含む、項目58に記載の伸延装置。
(項目70)
椎体内に挿入し、椎体の対向する端板を分離する脊椎内伸延装置であって、
ヒトの椎体の対向する端板の間の上記ヒトの椎体本体に挿入するように適合された展開前構成と、細長い部材がその間に挿入されるにつれて上記端板の間の範囲が増大する、積み重ねられた複数の屈曲を含む展開構成とを有する、少なくとも1つの概して細長い部材を含み、上記細長い部材は、上記椎体に挿入された際に上記展開構成を形成する傾向がある、伸延装置。
(項目71)
上記展開前構成は、概して線状である、項目70に記載の伸延装置。
(項目72)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目70に記載の伸延装置。
(項目73)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目70に記載の伸延装置。
(項目74)
上記細長い部材は、形状記憶材料を含む、項目70に記載の伸延装置。
(項目75)
ヒトの脊柱内の密閉された空間内に形成されるように適合された三次元支持構造であって、
上記三次元支持構造は、アクセス開口を通って密閉された空間内に挿入するのに適した展開前構成を有する部材を含む上記支持構造内に小さなアクセス開口を有し、上記部材は、上記密閉された空間内に挿入された際に上記三次元支持構造を形成するように適合されている、三次元支持構造。
(項目76)
ヒトの脊椎を治療する伸延システムであって、
概して細長い部材を、脊柱の組織層の間の位置に案内する少なくとも1つの案内部材であって、上記案内部材は近位端部分と遠位端部分とを有し、上記遠位端部分は上記組織層の間への挿入に適し、所望の支持構造の形状を規定する、案内部材と、
上記組織層の間への挿入のために上記細長い部材を上記案内部材に沿って遠位に進める上記案内部材上にスライド可能に取り付けられた上記細長い部材であって、上記案内部材の上記遠位端部分によって規定された形状に実質的に一致して、上記組織層を分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を形成する、上記細長い部材と
を含む、伸延システム。
(項目77)
上記案内部材は、上記遠位端部分を上記組織層の間に挿入するための展開前構成と、上記案内部材の上記遠位端部分が構成の変化により上記所望の維持構造の形状を形成する展開構成とを有する、項目76に記載の伸延システム。
(項目78)
上記案内部材の上記展開前構成は、概して線状である、項目77に記載の伸延装置。
(項目79)
上記案内部材の上記遠位端部分は、上記展開構成を自ら形成する、項目77に記載の伸延システム。
(項目80)
上記案内部材の少なくとも上記遠位端部分は、形状記憶材料を含む、項目79に記載の伸延システム。
(項目81)
上記案内部材の上記遠位端部分によって形成される上記所望の支持構造の形状は、複数の隣接する屈曲を含むコイル形状である、項目76に記載の伸延システム。
(項目82)
上記案内部材の上記遠位端部分によって形成される上記所望の構造の形状は、らせん形状である、項目76に記載の伸延システム。
(項目83)
上記案内部材の上記遠位端部分を組織層の間の位置に挿入することを支援するカニューレをさらに含む、項目76に記載の伸延システム。
(項目84)
上記案内部材に運転可能に接続され、上記案内部材の上記遠位端部分の組織層の間の位置への挿入を援助する超音波振動を生じさせるエネルギー源をさらに含む、項目76に記載の伸延システム。
(項目85)
上記案内部材は、上記支持構造が形成された後に上記細長い部材から除去されるよう構成された、項目76に記載の伸延システム。
(項目86)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目76に記載の伸延システム。
(項目87)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目76に記載の伸延システム。
(項目88)
ヒトの脊柱を治療する伸延システムであって、
伸延装置を脊柱の組織層の間の位置に案内する少なくとも1つの案内部材であって、上記案内部材は近位端部分と遠位端部分とを有し、上記遠位端部分は上記組織層の間への挿入に適しており、多段支持構造の形状を規定する、案内部材と、
上記組織層の間への挿入のために上記案内部材に沿って上記伸延装置を遠位に進める上記案内部材上にスライド可能に取り付けられる上記伸延装置であって、上記組織層を分離し、支持し、または分離および支持する、上記案内部材の上記遠位端部分によって規定されて多段支持構造を形成する形状に実質的に一致する、上記伸延装置と
を含む、伸延システム。
(項目89)
上記案内部材は、組織層の間への上記遠位端部分の挿入のための展開前構成と、上記案内部材の上記遠位端部分が構成の変化により所望の支持構造の形状を形成する展開構成とを有する、項目88に記載の伸延システム。
(項目90)
上記案内部材の上記展開前構成は、概して線状である、項目89に記載の伸延システム。
(項目91)
上記案内部材の上記遠位端部分が上記展開構成を自ら形成する、項目89に記載の伸延システム。
(項目92)
上記案内部材の少なくとも上記遠位端部分が、形状記憶材料を含む、項目91に記載の伸延システム。
(項目93)
上記案内部材の上記遠位端によって形成される所望の支持構造の形状は、複数の屈曲を含むコイル形状である、項目88に記載の伸延システム。
(項目94)
上記案内部材の上記遠位端を組織層の間の位置に挿入することを支援するカニューレをさらに含む、項目88に記載の伸延システム。
(項目95)
上記案内部材に運転可能に接続されて、上記案内部材の上記遠位端部分の組織層の間の位置への挿入を支援する超音波振動を生じさせるエネルギー源をさらに含む、項目88に記載の伸延システム。
(項目96)
上記案内部材は、上記支持構造が形成された後に上記伸延装置から除去されるよう構成される、項目88に記載の伸延システム。
(項目97)
上記伸延装置は、細長い部材を含む、項目88に記載の伸延システム。
(項目98)
上記伸延装置は、複数の伸延要素を含む、項目88に記載の伸延システム。
(項目99)
上記伸延装置は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目88に記載の伸延システム。
(項目100)
上記伸延装置は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目88に記載の伸延システム。
(項目101)
椎体の上端板と下端板との間に挿入可能である脊椎内伸延システムであって、
伸延装置を上記椎体内の位置に案内する少なくとも1つの案内部材であって、上記案内部材は近位端部分と遠位端部分とを有し、上記遠位端部分は上記椎体への挿入に適し、所望の支持構造の形状を規定する、案内部材と、
上記椎体内への挿入のために上記案内部材に沿って上記伸延装置を遠位に進める上記案内部材上にスライド可能に取り付けられる上記伸延装置であって、上記案内部材の上記遠位端部分によって規定される形状に実質的に一致して、上端板と下端板とを分離し、支持し、または分離および支持する支持構成を形成する、上記伸延装置と
を含む、伸延システム。
(項目102)
上記案内部材は、上記遠位端部分の上記椎体への挿入のための展開前構成と、上記案内部材の上記遠位端部分が構成の変化により上記所望の支持構造の形状を形成する展開構成とを有する、項目101に記載の伸延システム。
(項目103)
上記案内部材の上記展開前構成は、概して線状である、項目102に記載の伸延システム。
(項目104)
上記案内部材の上記遠位端部分は、上記展開構成を自ら形成する、項目102に記載の伸延システム。
(項目105)
上記案内部材の少なくとも上記遠位端部分は、形状記憶材料を含む、項目104に記載の伸延システム。
(項目106)
上記案内部材の上記遠位端部分によって形成される上記所望の支持構造の形状は、複数の隣接する屈曲を含むコイル形状である、項目101に記載の伸延システム。
(項目107)
上記案内部材の上記遠位端部分によって形成される上記所望の支持構造の形状は、らせん形状である、項目101に記載の伸延システム。
(項目108)
上記案内部材の上記遠位端部分の組織層の間の位置への挿入を支援するカニューレをさらに含む、項目101に記載の伸延システム。
(項目109)
上記案内部材に運転可能に接続されて、上記案内部材の上記遠位端部分の組織層の間の位置への挿入を援助する超音波振動を生じさせるエネルギー源をさらに含む、項目101に記載の伸延システム。
(項目110)
上記案内部材は、上記支持構造が形成された後に上記伸延装置から除去されるよう構成される、項目101に記載の伸延システム。
(項目111)
上記伸延装置は、細長い部材を含む、項目101に記載の伸延システム。
(項目112)
上記伸延装置は、複数の伸延要素を含む、項目101に記載の伸延システム。
(項目113)
上記伸延装置は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目101に記載の伸延システム。
(項目114)
上記伸延装置は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目101に記載の伸延システム。
(項目115)
上椎骨と下椎骨との端板の間に挿入可能である椎間内伸延システムであって、
伸延装置を上記上椎骨と上記下椎骨との間の位置に案内する少なくとも1つの案内部材であって、上記案内部材は近位端部分と遠位端部分とを有し、上記遠位端部分は上記上椎骨と上記下椎骨との間への挿入に適し、所望の多段支持構造の形状を規定する、少なくとも1つの案内部材と、
上記上椎骨と上記下椎骨との間への挿入のために、上記伸延装置を上記案内部材に沿って遠位に進める上記案内部材上にスライド可能に取り付けられる上記伸延装置であって、上記案内部材の上記遠位端部分によって規定される形状に実質的に一致して、上記上椎骨と上記下椎骨とを分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を形成する、上記伸延装置と
を含む、伸延システム。
(項目116)
上記案内部材は、上記上椎骨と上記下椎骨との間への上記遠位端部分の挿入のための展開前構成と、上記案内部材の上記遠位端部分が構成の変化により上記所望の支持構造の形状を形成する展開構成とを有する、項目115に記載の伸延システム。
(項目117)
上記案内部材の展開前構成は、概して線状である、項目116に記載の伸延システム。
(項目118)
上記案内部材の上記遠位端部分は、展開構成を自ら形成する、項目116に記載の伸延システム。
(項目119)
案内部材の少なくとも遠位端部分は、形状記憶材料を含む、項目119に記載の方法。
(項目120)
上記案内部材の上記遠位端部分によって形成される上記所望の支持構造の形状は、複数の屈曲を含むコイル形状である、項目115に記載の伸延システム。
(項目121)
上記案内部材の上記遠位端部分の上記上椎骨と上記下椎骨の間の位置への挿入を支援するカニューレをさらに含む、項目115に記載の伸延システム。
(項目122)
上記案内部材に運転可能に接続され、上記案内部材の上記遠位端部分の組織層の間の位置への挿入を支援する超音波振動を生じさせるエネルギー源をさらに含む、項目115に記載の伸延システム。
(項目123)
上記案内部材は、上記支持構造が形成された後に、上記伸延装置から除去されるように構成される、項目115に記載の伸延システム。
(項目124)
上記伸延装置は、細長い部材を含む、項目115に記載の伸延システム。
(項目125)
上記伸延装置は、複数の伸延要素を含む、項目115に記載の伸延システム。
(項目126)
上記伸延装置は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目115に記載の伸延システム。
(項目127)
上記伸延装置は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目115に記載の伸延システム。
(項目128)
ヒトの脊柱の組織層の中または間に導入される流動性を有する材料の動きを制限または誘導する装置であって、
上記ヒトの脊柱の組織層の中または間への挿入に適している展開前構成と、細長い部材が上記組織層の中または間に導入される流動性を有する材料の動きを制限または誘導する障壁を形成する第2の展開構成とを有する、少なくとも1つの概して細長い部材とを含む、装置。
(項目129)
上記障壁が、上記流動性を有する材料の、周囲の脊髄組織への所望でない管外遊出を減少させる、項目128に記載の装置。
(項目130)
上記障壁が、上記流動性を有する材料の動きを、上記組織層内または間の所望の位置だけに実質的に制限する、項目128に記載の装置。
(項目131)
上記細長い部材は、上記流動性を有する材料の動きを導くのに適している少なくとも1つの通路を含む、項目128に記載の装置。
(項目132)
上記障壁は、内在容積を含む、項目128に記載の装置。
(項目133)
上記障壁の上記内在容積に導入された流動性を有する材料は、上記内在容積に実質的に含まれる、項目132に記載の装置。
(項目134)
上記障壁の上記内在容積の外側に導入される流動性を有する材料は、上記内在容積に流入することを実質的に防止される、項目132に記載の装置。
(項目135)
上記障壁は、流動性を有する材料が導入されることができる少なくとも1つの通路を含み、上記通路は、上記流動性を有する材料を上記内在容積へ導くよう構成される、項目132に記載の装置。
(項目136)
上記障壁は、それを通る少なくとも1つの通路を有する壁を含み、上記通路は、上記流動性を有する材料の動きを導くよう構成される、項目128に記載の装置。
(項目137)
上記通路は、上記流動性を有する材料の動きを、上記組織層の中または間の所望の位置のみに制限する、項目136に記載の装置。
(項目138)
上記通路は、上記細長い部材に沿って配置される溝から形成される、項目136に記載の装置。
(項目139)
上記細長い部材の上記展開構成は、複数の積み重ねられた屈曲を有するらせん構成から構成される、項目128に記載の装置。
(項目140)
上記細長い部材は、上記障壁を形成する本来の傾向を有する、項目128に記載の装置。
(項目141)
細長い部材は、形状記憶物質から構成される、項目140に記載の装置。
(項目142)
上記展開前構成は、概して線状である、項目128に記載の装置。
(項目143)
ヒトの椎骨の椎体に導入される流動性を有する材料の動きを制限または誘導する装置であって、
椎体への挿入に適している展開前構成と、細長い部材が、上記椎体へ導入される流動性を有する材料の動きを制限または誘導する障壁を形成する展開構成とを有する、少なくとも1つの概して細長い部材を含む、装置。
(項目144)
上記障壁は、上記流動性を有する材料の、周囲の脊椎組織への所望でない管外遊出を縮小させる、項目143に記載の装置。
(項目145)
上記障壁は、上記流動性を有する材料の動きを、上記椎体内の所望の位置のみに実質的に制限する、項目143に記載の装置。
(項目146)
上記細長い部材は、上記流動性を有する材料の動きを導くのに適している、少なくとも1つの通路を含む、項目143に記載の装置。
(項目147)
上記障壁は、内在容積を含む、項目143に記載の装置。
(項目148)
上記障壁の上記内在容積内へ導入される流動性を有する材料は、上記内在容積に実質的に含まれる、項目147に記載の装置。
(項目149)
上記障壁の上記内在容積の外側に導入される流動性を有する材料は、上記内在容積へ流入することを実質的に防止される、項目147に記載の装置。
(項目150)
上記障壁は、流動性を有する材料が導入されることができる少なくとも1つの通路を含み、上記通路は、上記流動性のある材料を内在容積へ導くよう構成された、項目147に記載の装置。
(項目151)
上記障壁は、それを通る少なくとも1つの通路を有する壁を含み、上記通路は、上記流動性を有する材料の動きを導くよう構成される、項目143に記載の装置。
(項目152)
上記通路は、上記流動性を有する材料の動きを、上記椎体内の所望の位置のみに制限する、項目151に記載の装置。
(項目153)
上記通路は、上記細長い部材に沿って配置される溝から形成される、項目151に記載の装置。
(項目154)
上記細長い部材の上記展開構成は、複数の積み重ねられた屈曲を有するらせん構成から構成される、項目143に記載の装置。
(項目155)
上記展開前構成は、概して線状である、項目143に記載の装置。
(項目156)
上記細長い部材は、上記障壁を形成する本来の傾向を有する、項目143に記載の装置。
(項目157)
上記細長い部材は、形状記憶材料を含む、項目156に記載の装置。
(項目158)
上椎骨と下椎骨との間に導入される流動性を有する材料の動きを制限または誘導する装置であって、
上椎骨と下椎骨との間の挿入に適合されている展開前構成と、細長い部材が上記上椎骨と上記下椎骨との間に導入される流動性を有する材料の上記動きを制限または誘導する障壁を形成する展開構成とを有する、少なくとも1つの概して細長い部材を含む、装置。
(項目159)
上記障壁は、上記流動性を有する材料の、周囲の脊椎組織への所望でない管外遊出を減少させる、項目158に記載の装置。
(項目160)
上記障壁は、上記流動性を有する材料の動きを、上記上椎骨と上記下椎骨との間の所望の位置のみに実質的に制限する、項目158に記載の装置。
(項目161)
上記細長い部材は、上記流動性を有する材料の動きを導くよう構成された少なくとも1つの通路を含む、項目158に記載の装置。
(項目162)
上記障壁は、内在容積を含む、項目158に記載の装置。
(項目163)
上記障壁の上記内在容積へ導入される流動性を有する材料は、上記内在容積に実質的に含まれる、項目162に記載の装置。
(項目164)
上記障壁の上記内在容積の外側に導入される流動性を有する材料は、上記内在容積に流入することを実質的に防止される、項目162に記載の装置。
(項目165)
上記障壁は、流動性を有する材料がその中に導入されることができる少なくとも1つの通路を含み、上記通路は上記流動性を有する材料を上記内在容積に導くよう構成される、項目162に記載の装置。
(項目166)
上記障壁は、それを通る少なくとも1つの通路を有する壁を含み、上記通路は、上記流動性を有する材料の動きを導くよう構成される、項目158に記載の装置。
(項目167)
上記通路は、上記流動性を有する材料の動きを、上記上椎体と下椎体との間の所望の位置のみに制限する、項目166に記載の装置。
(項目168)
上記通路は、上記細長い部材に沿って配置される溝から形成される、項目166に記載の装置。
(項目169)
上記細長い部材の上記展開構成は、複数の積み重ねられた屈曲を有するらせん構成から構成される、項目158に記載の装置。
(項目170)
上記細長い部材は、上記障壁を形成する本来の傾向を有する、項目158に記載の装置。
(項目171)
上記細長い部材は、形状記憶材料を含む、項目170に記載の装置。
(項目172)
上記展開前構成は、概して線状である、項目158に記載の装置。
(項目173)
ヒトの椎骨の椎体に導入される流動性を有する材料の動きを制限または誘導する装置であって、
概して細長い部材を上記椎体に案内する少なくとも1つの案内部材であって、上記案内部材は近位端部分と遠位端部分とを有し、上記遠位端部分は上記椎体への挿入に適し、所望の障壁の形状をその中に規定する、案内部材と、
上記椎体への挿入のために上記細長い部材を上記案内部材に沿って遠位に進める上記案内部材上にスライド可能に取り付けられる上記細長い部材であって、上記案内部材の上記遠位端部分によって規定されて、上記椎体に導入される流動性を有する材料の動きを制限または誘導するように適合された障壁を形成する形状に実質的に一致する、上記細長い部材と
を含む、装置。
(項目174)
上記障壁は、上記流動性を有する材料の脊椎組織への所望でない管外遊出を減少させる、項目173に記載の装置。
(項目175)
上記障壁は、上記流動性を有する材料の動きを、上記椎体内の所望の位置のみに実質的に制限する、項目173に記載の装置。
(項目176)
上記細長い部材は、上記流動性を有する材料の動きを導くように適合された少なくとも1つの通路を含む、項目173に記載の装置。
(項目177)
上記障壁は、内在容積を有する、項目173に記載の装置。
(項目178)
上記障壁の上記内在容積に導入される流動性を有する材料は、上記内在容積に実質的に含まれる、項目177に記載の装置。
(項目179)
上記障壁の上記内在容積の外側に導入される流動性を有する材料は、上記内在容積に流入することを実質的に防止される、項目177に記載の装置。
(項目180)
上記障壁は、流動性を有する材料が導入されることができる少なくとも1つの通路を含み、上記通路は、上記流動性を有する材料を上記内在容積へ導くよう構成される、項目177に記載の装置。
(項目181)
上記障壁は、それを通る少なくとも1つの通路を有する壁を含み、上記通路は、上記流動性を有する材料の動きを導くよう構成される、項目173に記載の装置。
(項目182)
上記通路は、上記流動性を有する材料の動きを、上記椎体内の所望の位置のみに制限する、項目181に記載の装置。
(項目183)
上記通路は、上記細長い部材に沿って配置される溝から形成される、項目181に記載の装置。
(項目184)
案内部材は、上記遠位端部分の組織層の間への挿入のための展開前構成と、上記案内部材の上記遠位端部分が構成の変化により上記所望の障壁の形状を形成する展開構成とを有する、項目173に記載の装置。
(項目185)
上記展開前構成は、概して線状である、項目184に記載の装置。
(項目186)
上記案内部材の上記遠位端は、上記展開構成を自ら形成する、項目184に記載の装置。
(項目187)
上記案内部材の少なくとも上記遠位端部分は、形状記憶材料を含む、項目186に記載の装置。
【0064】
この説明の間に、添付の図面に言及されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、通常のヒトの脊柱の部分側面図である。
【図2】図2は、図1に相当するが、椎体の1つに脊椎圧迫骨折を示す。
【図3】図3は、端板が部分的に除去された、椎骨の上面図である。
【図4】図4は、図3の椎骨の側面図である。
【図5】図5は、コイルまたはバネの形状で示される、本発明の伸延装置の一実施形態の斜視図である。
【図6】図6は、図5の伸延装置の鉛直断面図である。
【図7】図7は、カニューレ、プッシャー、および展開前の伸延装置を示す、本発明の注入システムの一実施形態の斜視図である。
【図8】図8は、カニューレから部分的に押し出された伸延装置を示す、図7の注入システムの斜視図である。
【図9】図9〜図11は、伸延装置の展開順序を説明する、図7のシステムの部分側面図である。
【図10】図9〜図11は、伸延装置の展開順序を説明する、図7のシステムの部分側面図である。
【図11】図9〜図11は、伸延装置の展開順序を説明する、図7のシステムの部分側面図である。
【図12】図12は、椎体内での伸延装置の展開を示す、椎骨および図7の伸延システムの水平断面図である。
【図13】図13は、骨折した脊椎内での伸延装置の部分展開を説明する、図12の椎骨および伸延システムの側断面図である。
【図14】図14は、伸延装置は原則的に完全に展開されて椎体の高さを回復させる、図12の椎骨および伸延装置の側断面図である。
【図15−1】図15は、椎体内に配置された伸延装置を有する椎骨の水平断面図であり、骨充填剤(または「セメント」)が椎体に注入されている。
【図15−2】図15Aは、椎体内に配置された伸延装置を有する椎骨の水平断面図であり、伸延装置は注入された骨充填剤の流れを導く通路または溝を有する。
【図16】図16は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図17】図17は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図18】図18は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図19】図19は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図20】図20は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図21】図21は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図22】図22は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図23】図23は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図24】図24は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図25】図25は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図26−1】図26は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図26−2】図26Aは、「ケージ」が隣接する椎骨の間に挿入される、従来技術の装置の説明図である。図26Bは、椎間板髄核除去のための椎間板除去ツールが椎間板に挿入されて示される、椎間板の水平断面図である。図26Cは、上椎骨と下椎骨の間に示され、伸延装置はカニューレを介して椎間板内に注入されている、図26Bの椎間板の部分側断面図である。
【図26−3】図26Dは、上椎骨と下椎骨間に示され、伸延装置は椎間板内で完全に展開されている、図26Bの椎間板の部分断面正面図である。図26Eは、椎体置換に「ケージ」が用いられる、従来技術の装置の説明図である。図26Fは、椎体置換に用いられる、他の従来技術の装置の説明図である。図26Gは、椎体骨除去のために椎骨除去が椎骨に挿入されて示される、椎骨の水平断面図である。図26Hは、脊柱の区分内に示され、椎体骨の除去により作成された空間への伸延装置の注入を示す切り欠き部分を有する、図26Gの椎骨の側面図である。
【図26−4】図26Iは、脊柱の区分内に示され、椎体内で完全に展開された伸延装置を示す部分を有する、図26Gの椎骨の側面図である。図26Jは、椎骨の1つの椎体は隣接する椎間板と共に実質的に除去されて、このような除去により作成された空間内に伸延装置が展開される、脊柱の区分の側面図である。図26Kは、伸延装置が完全に展開されて示される、図26Jの脊柱の区分の側面図である。
【図27】図27は、伸延装置を案内ワイヤ上で進めるプッシャーを用いる伸延装置および注入システムの他の実施形態の部分側断面図である。
【図28】図28は、プッシャーは遠位に進められ、伸延装置は案内ワイヤのコイル状の区分の上を部分的に進められる、図27の伸延装置注入システムの部分側断面図である。
【図29】図29は、伸延装置は実質的に案内ワイヤのコイル状の区分の上を進められる、図27の伸延装置注入システムの部分側断面図である。
【図30】図30は、上端板が除去されて椎体への案内ワイヤの注入を示す、椎骨の斜視図である。
【図31】図31は、案内ワイヤが椎体内で部分的に展開されている、図30に示される椎骨の斜視図である。
【図32】図32は、カニューレおよびイントロデューサーシースが除去された後、伸延装置およびプッシャーが案内ワイヤ上に取り付けられて示される、図30の椎骨の斜視図である。
【図33】図33は、伸延装置が部分的に進められ、または椎体内で展開されて示される、図30の椎骨の斜視図である。
【図34】図34は、伸延装置が椎体内で実質的に完全に展開されて示される、図30の椎骨の斜視図である。
【図35】図35は、伸延装置は椎体内で完全に展開される、図30の椎骨の側断面図である。
【図36】図36は、椎体内で展開された伸延装置と、伸延装置内の患部に注入された骨充填剤を有する椎骨の水平断面図である。
【図37】図37は、展開された位置にある時に、概して中空の円筒状コイルまたはらせん形状の指示構造を椎骨内に規定する、伸延装置によって規定される内側空間に注入され含まれる骨充填剤を有する、図36に示される椎骨の水平断面図である。
【図38】図38は、伸延装置内の領域を実質的に占める骨充填剤を有する、図36に示される椎骨の斜視図である。
【図39】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図40】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図41】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図42】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図43】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図44】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図45】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図46】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図47】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図48−1】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図48−2】図48Aは、伸延装置要素の一実施形態である。図48Bは、案内ワイヤ上にスライド可能に取り付けられる複数の伸延装置要素を有する伸延装置の一実施形態の部分側断面図である。
【図49】図49は、伸延装置または案内ワイヤの並んだ配置で経椎弓根アプローチで用いられている2つの注入アクセス開口を有する椎体の水平部分断面図である。
【図50】図50は、2つの伸延装置または案内ワイヤを、相対上および下の位置に配置する、本発明の注入システムの一実施形態の斜視図である。
【図51】図51は、少なくとも部分的に展開された図50のシステムと組み合わされた椎体の側断面図である。
【図52】図52は、相対側面位置に二重伸延装置または案内ワイヤ構成を有する、本発明の注入システムの他の実施形態の斜視図である。
【図53】図53は、椎体および少なくとも部分的に展開された図52のシステムの水平部分断面図である。
【図54】図54は、相対上および下の側面位置に4つの伸延装置または案内ワイヤ構成を有する本発明のシステムのさらに他の実施形態斜視図である。
【図55】図55は、開始位置にある、輪で駆動される注入器具の側面図である。
【図56】図56は、伸延装置の展開の間の、図55の輪で駆動される注入器具の側面図である。
【図57】図57は、展開の間のスプールタイプの注入システムの斜視図である。
【図58−1】図58は、歯止め注入器具の側面図である。
【図58−2】図58Aは、伸延装置または案内ワイヤが注入器具の遠位端の側面から出る歯止め注入器具の側面図である。
【図59】図59は、椎間板核除去ツールが後方アプローチから椎間板の1つに入って示される脊柱の側面図である。
【図60】図60は、伸延装置の展開に用いられることができる前方アプローチの例において説明する脊髄領域の断面図である。
【図61】図61は、椎間板除去ツールが椎間板髄核除去のために椎間板に挿入されて示される椎間板の水平断面図である。
【図62】図62は、椎間板の髄核が除去された後が示される、図61の椎間板の水平断面図である。
【図63−1】図63は、カニューレが椎間板に挿入され、案内ワイヤが核空間内に部分的に展開されて示される、図61の椎間板の水平断面図である。
【図63−2】図63Aは、上椎骨と下椎骨の間に、案内ワイヤが部分的に展開されて示される、図61の椎間板の椎間板部分側断面図である。
【図64】図64は、案内ワイヤが核椎間板空間に展開され、カニューレは除去されて示される、図61の椎間板の水平断面図である。
【図65−1】図65は、伸延装置が核空間内で部分的に展開された案内ワイヤの上に配置されて示される、図61の椎間板の水平断面図である。
【図65−2】図65Aは、上椎骨と下椎骨の間に、伸延装置が案内ワイヤの上に取り付けられて椎間板内で部分的に展開されて示される、図61の椎間板の部分側断面図である。
【図66】図66は、伸延装置が核空間内に展開される支持構造を規定して示される、図61の椎間板の水平断面図である。
【図67】図67は、カニューレが核空間内に挿入され、案内ワイヤが核空間内で部分的に展開されて示される、椎間板の水平断面図である。
【図68】図68は、カニューレが除去された後に、伸延装置が核空間内で部分的に展開されて示される、図67の椎間板の水平断面図である。
【図69】図69は、第2のカニューレが核空間に挿入され、第2の案内ワイヤが核空間内に展開されて示される、図67の椎間板の水平断面図である。
【図70】図70は、第2の伸延装置が注入トラックの上に配置され、核空間内に部分的に展開されて示される、図67の椎間板の水平断面図である。
【図71】図71は、2つの伸延装置が核空間内で展開されて示される、図67の椎間板の水平断面図である。
【図72−1】図72は、隣接する椎骨が平行でない端板を有する、脊柱の側面図である。
【図72−2】図72Aは、後方アプローチを用いて椎間板に挿入される伸延装置の注入システムの概略図である。図72Bは、図73と図74に説明された伸延装置が脊柱の椎間板内で部分的に展開して示される、図72の脊柱の部分側面図である。
【図73】図73は、本発明の伸延装置の他の実施形態の斜視図である。
【図74】図74は、指示構造を規定するべくコイル状にされた時の、図73の伸延装置の側面図である。
【図75】図75は、らせん構成の案内ワイヤを注入するカニューレの上面図である。
【図76】図76は、案内ワイヤが核空間内に展開された椎間板の水平断面図である。
【図77】図77は、伸延装置が案内ワイヤ上に配置され、椎体内に部分的に展開された図76の椎間板の水平断面図である。
【図78】図78は、らせん形状の伸延装置が核空間内で展開されて示される、図78の椎間板の水平断面図である。
【図79】図79は、椎体の部分が切り欠かれてカニューレを介して椎体内に展開された案内ワイヤを示す、脊柱の区分の側面図である。
【図80】図80は、椎体の部分が切り欠かれて案内ワイヤを介して椎体内に展開された伸延装置を示す、図79の脊柱の区分の側面図である。
【図81】図81は、椎体の部分が切り欠かれて椎体内に展開された伸延装置を示す、図79の脊柱の区分の側面図である。
【図82】図82は、椎骨の1つの椎体が隣接する椎間板と共に実質的に除去され、このような除去によって作成された空間内に案内ワイヤが展開される、脊柱の区分の側面図である。
【図83】図83は、伸延装置が案内ワイヤに取り付けられ、椎体と隣接する椎間板の除去によって作成される空間内に部分的に展開されて示される、図82の脊柱の区分の側面図である。
【図84】図84は、椎体と椎間板の除去によって作成された空間に伸延装置が完全に展開されて示される、図82の脊柱の区分の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1は、通常100として示される、損傷のない、健康な脊柱の区分を図解する。脊柱100は、隣接する椎骨102、102a、102bと、隣接する椎骨を分離する椎間板104、104a、104b、104cとを含む。
【0067】
図3、4は、正常な椎骨およびその特性を、より詳細に図解する。通常102として示される椎骨は、およそ円筒状であり、皮質緻密骨の薄層から構成される皮質リム110によって囲まれた内側の網状骨108から構成される、椎体106を含む。皮質リム110は、骨粗鬆症によってもろくなる危険性があり、過度の運動および/もしくは荷重により折れることがある。椎体106は、上部で軟骨板からなる上端板112により、下部で下端板114により覆われる。椎体106の後部(後方)は、脊髄(図示されない)を含む椎孔116である。椎孔116の両側は、脊髄突起120に通じる茎118、118aである。椎骨の他の要素は、横突起122、上関節突起124、下関節突起126を含む。
【0068】
図2は、通常128として示される、損傷した脊柱を図解し、椎骨132の椎体130が圧迫骨折134を負っている。圧迫骨折134を負っている椎体130は、一般的にくさび形となり、前部(前方)側での椎骨132と脊柱128の両方の高さを低下させる。結果的に、高さにおけるこの低下が、脊柱128の通常の湾曲に影響を与え得る。圧迫脊椎骨折134によって引き起こされる痛みは、椎体形成術や圧迫骨折セメント固定などの処置(これらの処置は背景において説明された)によって取り除かれる場合があるということが理解されるが、このような処置には安全性に対する懸念があり、所望の、または予測される高さの回復が提供できない場合がある。
【0069】
ここで、本発明の図解される実施形態の詳細な説明を始める。通常、伸延装置として規定される、本発明の器具または装置は、組織層を係合させ、強制して離すことで、これらを積極的に分離する働きを、もしくは伸延装置そのものまたはその他の装置またはプロセスまたはこれらの組み合わせによって、分離された組織層の分離を支持する働きをすることができる。したがって、「伸延装置」の用語は、一般的な意味を有するよう意図され、組織層を分離するだけ、組織層を積極的に支持するだけ、組織層を積極的に分離および支持するだけの装置に限定されない。たとえば、伸延装置は通常、組織層を積極的に分離するのに用いられることができ、次いでこのような分離の後に除去されることができ、または伸延装置は、異なる装置によって前もって分離された組織層を支持するのに用いられることができるかも知れない。あるいは、伸延装置は、組織層を積極的に分離するのに用いられることができ、このような分離を保持するべくその場に留まって組織層を支持することができる。請求項において具体的に説明されない限り、本書では、「伸延装置」はこれらのうちの任意および全てを包含する。
【0070】
脊椎の圧迫骨折の治療、損傷した椎間板の高さの回復、脊椎固定術、および/もしくは、除去された椎間板または椎骨の置換において、説明の目的で、本発明の装置、システムおよび方法の多様な実施形態が図解されることが、また理解されるべきである。しかし、本発明の幅広い態様において、本発明は脊椎疾患の治療において特別な実用性および利点を有するが、これらの特定の用途に限定されず、軟組織層などの他の組織層に関連して用いられてよい。
【0071】
図5は、本発明にしたがって、通常136で示される伸延装置の一実施形態を図解する。本実施形態において、伸延装置136は、ニチノール(NiTi)やその他の適切な合金(Cu―Al―Ni、Ti―Nb―Al、Au―Cdなど)などの形状記憶材料、形状記憶ポリマーまたはその他の適切な材料で作られた糸やリボンなどの細長い部材から構成されることが好ましい。図解される本実施形態において、伸延装置の糸やリボンは、矩形断面を有する。しかし、以下により詳しく説明されるように、伸延装置は多様な形状および外形を有することができる。
【0072】
たとえば、図5、14、16から26、29、35、39から48、50から54、65、71、74、72、81、84に示されるように、組織層の間で展開される時、伸延装置136は、対向する組織層を積極的に分離し、または支持する(またはその両方)働きをする多段配置、足場またはプラットフォームなどの所定の構成の支持構造を規定する。図5において、伸延装置は展開されて、らせん状の、コイル状またはバネ状の構成を有する。図解されるように、伸延装置は、原則的に中空である円柱またはケージを形成するきついピッチを有する、らせん状の構成を規定する。図示されるように、それぞれの回旋または屈曲140は、前の屈曲140aの上部で巻かれて、それぞれの屈曲または段の間の空間がほとんどまたは全くない、複数の積み重なった屈曲または段を形成する。この構成において、伸延装置136は、図6に示されるように、コイルまたはバネの中心線の軸に沿って大変堅い柱または支持構造141を形成する。
【0073】
支持構造141が、内部空間または内在容積145を含み、または規定することが好ましい。本書において、「内在容積」とは通常、支持構造の構造的特性を指す。内在容積は、通常、伸延装置が展開構成にある時に、これによって規定される容積である。内在容積は必ずしも、伸延装置によって完全に囲まれた容積というわけではなく、伸延装置によって通常規定される任意の容積であることができる。本用語は必ずしも、内在容積が開いた、または中空の容積、または凹みであることを意味するものではなく、ある時点において、内在容積が骨充填剤、セメント、治療薬剤などの他の材料が充填される状況を排除しない。これはまた、以下により詳しく説明されるように、内在容積が、伸延装置の展開の間または後に、内在容積内に配置されまたは留まる、元のままのヒトの組織を含むことを排除しない。たとえば、伸延装置が、皮下脂肪とその下にある筋肉組織などの隣接する軟組織層を分離するのに用いられる場合、伸延装置の内在容積は、分離後の組織の凹みまたは空所であろう。一方、網状骨組織を中に有する椎骨に挿入される場合、内在容積は、元のままの骨組織を含み、伸延装置によって空所または空洞は形成されないであろう。
【0074】
コイルまたはバネのような伸延装置136を形成するために、形状記憶合金の特性を理解することが有用である。ニチノールなどのニッケルチタン合金は、熱形状記憶と超弾性の現象を示す。熱形状記憶の用語は、材料の温度の上昇があれば、塑性的に変形した形状から所定の形状に戻る材料の能力に言及する。超弾性の用語は、材料の弾性能力に言及する。超弾性特性を有する材料は、変形または拘束形状に材料を拘束する力を加えることにより、変形されることができる。力または拘束がひとたび取り除かれると、材料はその所定または初期形状に実質的に戻る。ニッケルチタン合金などの超弾性材料は、ステンレス鋼よりも相当に弾性的であることができる。所定または初期形状は自由状態と称されることができ、変形形状は拘束状態と称されることができる。
【0075】
形状記憶材料の初期または所定形状は通常、技術的に既知である熱処理プロセスによって定められる。本発明において、選択された材料は、熱処理されて所望の形状を定められるように、この場合はきついピッチのコイルまたはらせん形状のように形成されるように、マンドレルに巻かれ、しっかりと付着される。熱サイクルは一般的に500℃前後であり、必要とされる材料の強度、バネ定数および酸化膜に応じて、10分から60分の間である。マンドレルのサイズは0.125から2.0インチの間であるが、直径0.5インチ前後であるのが好ましい。巻き方向は、隣接するコイルまたは回旋の間に空間がほとんどまたは全くない、きついピッチの右方向または左方向であろう。しかし、用途によって必要とされる場合には他のピッチが用いられてもよく、材料が十分な強度を有する場合には、コイルの間隔があけられてもよい。
【0076】
伸延装置136の構築に用いられる材料の形状記憶特性のため、伸延装置は、所望の治療部位への注入に先立ち、またはその間に変形され、次いで治療部位内で元の形状に戻ることができる。すなわち、伸延装置は、それ自体が展開された形状に形成される本来の傾向を持ち、または性質がある。たとえば図5〜図8を参照すると、伸延装置136はまず、図5に示されるらせんまたはコイル形状に形成される。次いで、注入のためカニューレ142へ挿入されることにより、巻きが解かれ、または実質的に線状構成または展開前構成に変形されるであろう(図7を参照)。カニューレ142は、伸延装置がカニューレ内を通されるにつれ、伸延装置136(カニューレ内の透視によって示される)を変形(一直線の)形状に拘束する。カニューレ内に拘束されながら、細長い部材の変形形状または展開前形状は、形状が完全に一直線であることができ、または形状がわずかな屈曲またはジグザグを含むかもしれない点で、実質的に線状である。カニューレ142の遠位端部分146における開口144を出ると、伸延装置136は、構成の変化により、図8に図解されるように初期または自由状態に戻る。図示されるように、伸延装置136のコイル状部分は、自由状態でカニューレ142の外側にあり、伸延装置の残りの部分は拘束状態でカニューレの内側にある。伸延装置136がカニューレ142を出て、再度コイル形状を形成すると、これは、内在容積145を含む支持構造141を規定し、または提供する。支持構造141は、椎骨内で用いられ、端板を積極的に分離し、高さを回復させるであろうし、または支持構造は、異なる装置によって前もって分離された端板を支持するのに用いられるであろう。
【0077】
カニューレ142は、管腔143と、伸延装置136の断面を補完し、またはこれと同じである穴144を有することが好ましい。伸延装置136は、押し棒150またはその他の好適な前進装置を用いて、カニューレ142を通って押され、または引かれることができる。カニューレ142の近位端152は、使いやすさのために、ノブまたはハンドル154、またはその他の構造を有し、押し棒150の近位端156もまた同じく、ノブまたはハンドル158を有するであろう。
【0078】
図9、10、11は、伸延装置136がカニューレ142の遠位端146の外に進められた際に、初期または変形形状を再度形成する時に、伸延装置136の働きを描写する。以前に説明されたように、伸延装置136、すなわち細長い部材またはリボンは、カニューレ142に挿入され、または取り込まれ、そこで拘束状態、すなわち実質的に一直線または線状の状態に変形される。押し棒150(図示されない)またはその他の好適な前進機構が操作されて、伸延装置をカニューレ142の遠位端146の外へ進める。伸延装置136が矢印Aの方向にカニューレ142の遠位端部分146から出ると、装置は、もはやカニューレによって拘束されないので、巻いたまたはコイル形状に戻り始める。図解される実施形態において、伸延装置136は、矢印Bで示されるように時計回り方向に巻くにつれ、初期構成に戻る。
【0079】
図10に示されるように、伸延装置136は、矢印A方向にカニューレ142の遠位端146の外に進み続け、矢印B方向に巻き続ける。屈曲140の数が増加するにつれ、コイル状の支持構造141の高さまたは範囲もまた、矢印Cによって表されるように増大する。使用において、支持構造の範囲または高さが組織分離の方向に増大することが好ましい。プロセスは、支持構造141の所望の高さまたは範囲が得られるまで、および/もしくは、伸延構造136が完全にカニューレから離れるまで続くであろう。図11に図解されるように、伸延装置が完全にカニューレ142の外に押し出されると、コイル状の支持構造141は完全に展開された高さにあり、これは好適には、装置が圧迫された椎骨または罹患した椎間板の治療に用いられる時、これらの高さ回復に必要とされる距離である。
【0080】
脊椎の圧迫骨折の治療の一般的な処置において、椎骨へのアクセスは、上述の他の脊椎処置に用いられたのと同じ処置および技術を用いることによって、または当業者にとって一般的に既知である任意のその他の処置および技術によって、得ることができる。1つの潜在的な処置を図解する図12および13を参照すると、圧迫骨折134を負っている椎骨132の椎体130の皮質リム110に、アクセス開口160が開けられる。カニューレ142がアクセス穴160を通って椎体130に挿入される。あるいはカニューレ142は、アクセス穴を通って挿入される代わりに、アクセス穴160の隣に配置されてもよい。一般的に、アクセス開口160は、茎118を通って開けられ、経椎弓根アプローチと称されることもある。しかしアクセス穴160は、医師が選択するであろう皮質リム110の任意のその他の部分に作られるかもしれない。
【0081】
伸延装置136は、伸延装置を変形されたまたは展開前構成に拘束するカニューレ142内に、前もって配置されてよい。押し棒150が進められるにつれ、伸延装置136は、カニューレ142の遠位端部分146の外に、そして椎体130の網状骨108の中に進められる。カニューレ142を出ると、伸延装置136は、構成の変化により、初期のまたは展開されたコイル形状に戻り始め、支持構造141を規定するであろう。したがって、図13に示されるように、伸延装置136が、カニューレから進められるにつれ、伸延装置136は、椎体130の比較的海綿状の網状骨108内に巻く。好適には伸延装置が網状骨108を横切る、または通過するにつれ、網状骨の圧迫がない。さらに、好適な実施形態において、伸延装置は網状骨内に著しい空所または空洞を作らないが、元のままの網状骨108aが支持構造141によって規定される内在容積145内に配置されるように、網状骨を通って巻く。
【0082】
伸延装置136の展開が、端板112と114の間の網状骨108の中に進むにつれ、本実施形態において、バネ形状の伸延装置支持構造141は端板に接触し、支持構造の高さが増大するにつれ、端板を相互から伸延し(または積極的にそれらを分離し)始めるであろう。伸延装置136は、伸延装置が端板分離の方向に測定されて所望の高さまたは範囲に達するまで、または端板112と114が所望の距離だけ分離されるまで、カニューレ142の外に進められるであろう。一般的に伸延装置136は、伸延装置支持構造141の高さが、これが図14に図解されるように端板112と114を圧迫前の通常の位置、または医師が適当であると見なす他の間隔まで戻すようになるまで進められる。したがって脊柱後湾症により最終的にもたらされるであろう潜在的な変形を軽減する。伸延装置によって行われる働きが、部分的な高さ回復で十分であると見なされる場合もあるであろうが、椎骨の元の高さの全てまたは大部分を好適に回復するということが理解される。
【0083】
本発明の一実施形態において、処置に先立って、隣接する椎骨を測定することにより椎骨の高さが推定され、次いでカニューレから完全に出る時に所望の高さに達するであろう適切なサイズの伸延装置が選択される。あるいは、伸延装置の高さは処置の間観察され、所望の高さに達すると、伸延装置(「リボン」)はカニューレの遠位端の近くの場所で切断されるであろう。
【0084】
本発明の伸延装置の他の任意かつ有利な態様は、たとえば骨セメント、アログラフ、オートグラフ、または何らかのその他の生体適合性材料または治療薬物である骨充填剤などの流動性を有する材料の、治療部位への注入を制御する能力である。適当な骨充填剤の一例は、KyphonからKyphx HV―Rとして、StrykerからSpineplexとして、Stryker HowmedicaからSimplexとして、またArthocareからParallax Acrylic Resin with Tracers TAとして市販されているポリメチルメタクリレート(PMMA)である。伸延装置はまた、用途に応じて、薬物またはその他の薬剤または流体の注入を制御するのに用いられることができる。
【0085】
たとえば、ひとたび伸延装置によって規定された支持構造141が定位置にくると、骨充填剤162が治療部位に導入されて伸延装置の安定を支援し、端板112と114の分離を支持することを援助する。図15に図解されるように、骨充填剤162を治療部位に注入するのに注射器164が用いられることができる。注射器164の先端166が、コイル形状の伸延装置136の屈曲140、140a(図14に示される)の間に挿入されて、支持構造141によって規定される内在容積145(所望の用途に応じて、元のままの網状骨を含んでよく、または含んではならない)にアクセスする。内在容積145が網状骨で充填されると、内在容積への骨充填剤の導入は、先の椎体形成術の処置と同様に網状骨/骨充填剤アマルガムを作成し、支持構造141は実際に、特定された位置内に骨充填剤162を含み、神経繊維などのより傷つきやすい組織に骨充填剤が接触する可能性を防ぎ、または縮小する、骨充填剤の容器または障壁とのような働きをする。他の実施形態において、図15Aに図解され、以下により詳細に説明されるように、支持構造はまた、骨充填剤の流れを制限して伸延装置の外側の領域へ導くよう働きをするであろう。伸延装置の容器状効果は管外遊出の機会を大幅に減少させるため、容器効果は骨充填剤の注入と関係がある合併症を大幅に減少させる。
【0086】
伸延装置は、図16から26に示されるように、多様な断面外形構成を有することができる。しかし、本発明から逸脱することなく、必要とされる治療の適当なタイプに基づき他のデザインまたは外形が用いられるであろうことが理解されるであろう。次に図解される構成を見ると、伸延装置136の細長い部材またはリボンの断面外形は、用途および所望の特性に応じて多様な形状であろう。いくつかの用途において、他の用途よりも、機能にとって外形はより重要であろう。
【0087】
図16において、伸延装置の断面形状は通常、矩形である。伸延装置が上述のプロセスを用いて形状記憶材料から作成される時、マンドレルの屈曲表面は、椎骨に挿入された時のよりよい安定性と増大した表面接触のために、短軸であることが好ましい。言い換えれば、伸延装置は、伸延されようとする組織(たとえば椎骨の端板)に広い側が接触するように形成されて、低下された接触圧力を提供する。しかし、伸延装置はまた、用途に応じて長軸に巻かれるかもしれない。材料外形の範囲は、約0.005×0.010インチ(約0.127mm×0.254mm)(高さ×幅)から約0.10×0.50インチ(約2.54mm×12.7mm)であろうが、0.01×0.02インチ(約12.7mm×0.5mm)から0.05×0.25インチ(約1.27mm×6.35mm)の範囲であることが好ましい。
【0088】
所望であれば、伸延装置136aは、横方向の溝または細穴170またはその他の横方向の通路を、戦略上の位置に含むことができる。これらの溝170またはその他の通路は、伸延装置の材料に穴を開け、切断し、研磨し、または圧迫することによって形成されてよい。伸延装置が形状記憶材料で作成される場合、溝または通路は巻きおよび熱処理の前または後に形成されることができる。これらの溝170は、均一に、またはランダムに間隔を取られてよく、所望の治療に応じて、伸延装置によって規定される支持構造の片側だけに配置されてよい。溝170は、治療部位とその回りに注入された骨充填剤の流れを方向付け、制限するために用いられることができる。たとえば、図15Aに図解されるように、溝170は、これらが支持構造の前側172のみにあるように、伸延装置に配置されることができる。溝170がこのように配置される時、溝は、支持構造141aによって規定される中心領域145aに注入される骨充填剤が、椎体の前側部分174の方に流れ、骨充填剤162が、塞栓症を引き起こしまたは脊髄損傷を引き起こし得る静脈血還流系に浸透するかもしれない後方部分176から離れるよう導かれるように、骨充填剤162の方向を制御する。
【0089】
図17において、伸延装置136bの断面形状は、それを通って延在する通路178を有する概して矩形の管のものである。この外形構成は、先の実施形態において詳述された矩形の外側寸法と同様であり、約0.002から0.25インチ(約0.05mmから6.35mm)の範囲の、しかしより好ましくは約0.005から0.020インチ(約0.127mmから6.35mm)の範囲の壁180を有するであろう。
【0090】
伸延装置はまた、壁180内を通って延在し、内側穴または通路178に通じる、開口または穴182を含むかもしれない。開口182は、均一に、またはランダムに、間隔を取られ、同じサイズまたは異なるサイズであることができる。さらに、開口182は、伸延装置の内壁または伸延装置の外壁に制限されるかもしれず、または内壁と外壁の両方に配置されるかもしれない。さらに、開口182は、前側または後側などの伸延装置の一方の側に制限されるかもしれない。骨充填剤は、注射器の先端を通路178に挿入し、骨充填剤を通路内に注入することで、治療部位に注入されてよい。骨充填剤は、通路178に沿って流れ、開口182から所望の方向に治療部位内に抜ける。開口の位置および配置は、治療部位内に注入される骨充填剤の方向を決定するであろう。
【0091】
伸延装置はまた、注入に際して活性化され周囲の組織に拡散される骨充填剤材料に基づくポリマーでコーティングされるであろう。この潜在的な特性は、任意の断面形状の伸延装置に適用可能である。
【0092】
図18において、断面形状は円である。場合によっては屈曲が相互に対して滑る傾向があるかもしれないため、この外形は、一部の治療の間わずかに安定性に欠けるであろう。しかし、屈曲の中心への骨充填剤材料の導入は、硬化の後、図16から26に示される他と同様、この伸延装置の安定性に十分に追加する。図18の円形断面の伸延装置の直径は、約0.005から0.025インチ(約0.127mmから0.635mm)の範囲であることが好ましい。
【0093】
図19において、断面形状は正方形である。この外形は、矩形の外形と同様の利点を有し、矩形のものと同じ幅寸法でより堅いであろう。
【0094】
図20において、断面形状は二重の円である。この外形は、巻きやすい一方で、一重の円の外形よりも、改善された安定性を有する。二重の円の外形は、このように押し出され、または共に溶接され、またはその他の方法で、巻きおよび熱処理に先立って接合されるであろう。各円部分のサイズは円形の外形と同じ幅であることが好ましい。
【0095】
図21において、断面形状は、伸延装置を通って管腔を形成する通路または穴184を含む円形管のものである。この外形は、円形の外形と同様の寸法を有し、約0.002から0.05インチ(約0.05mmから1.27mm)の幅の厚さを有する壁186を有するであろう。伸延装置のこの実施形態はまた、骨充填剤またはその他の材料の治療部位への流れのために、図17を参照して上述された開口182と通常同様である開口を含むであろう。
【0096】
図22において、断面形状は楕円である。この外形は、円形の外形と同じ寸法を有する伸延装置を、装置が形状記憶材料で作られている場合に、好ましくは熱処理に先立って、取り、平坦化することで、得ることができる。平坦化プロセスは、伸延装置の直径よりも短い距離だけ離されたローラーの間で材料が押されるローラー技術を用いるであろう。必要とされる厚みに応じていくつかの通路が必要であろう。利点の1つは、潜在的に、通常干渉表面と関連付けられるとがった角または端を有することの、円形の外形に対する安定化増大であろう。
【0097】
図23において、断面形状は楕円管のものである。この外形は通常、楕円の外形と同様であるが、伸延装置を通る管腔を規定する中心の通路または穴188を含む。さらに、本実施形態はまた、図17を参照して上述されたものと通常同様である開口を含むであろう。
【0098】
図24において、断面形状は上述の形状の組み合わせである。この外形は前述の外形の2以上を組み合わせる。たとえば、図示されるように、装置は正方形および円形の外形を有するであろう。用途によって必要とされるであろう1以上の外形を用いて、外形の任意の組み合わせが得られるということが理解される。
【0099】
図25において、断面形状は特別な外形である。外形のこのタイプは、所望の外形を作成するのに、特別な押し出し金型または押し出し後の二次製造などの特別な製造プロセスを必要とするであろう。このような外形の利点は、垂直方向のみならず横方向の滑りまたは移動にもまた耐える、大変丈夫な列を形成する相互に重なる屈曲の固定特性であろう。
【0100】
図26において、断面形状は、図25を参照して上述された利点を有する他の特別な外形である。
【0101】
本発明の伸延装置はまた、全体的または部分的な椎体置換処置と同じく、椎間板の治療および椎間板固定処置に用いられるであろう。本発明の利点の1つは、執刀医が内視鏡的アプローチを用いて、外傷や腫瘍などの疾病によって損傷した脊髄組織を取り除き、このような除去によって作成された空間に装置を展開することを可能にする低侵襲手術セッティングにおいて装置を用いる能力である。
【0102】
図26Aは、椎間板の治療および椎間板固定処置に用いられる「ケージ」と称されることもある従来技術の装置を図解する。これらのケージタイプの装置は一般的に、移植の前、間、後で実質的に変化しない固定のサイズを有する。したがって、「ケージ」タイプの装置を移植するために、挿入される装置のサイズを収容するべく、患者の背中および脊髄組織に比較的大きな切開が作られる。さらに、装置を組織の間に挿入する前に、脊髄組織を分離し、または伸延するべく、別々のツールを用いることが必要とされるであろう。
【0103】
本発明にしたがった椎間板治療または椎間固定処置の1つの低侵襲法の1つにおいて、骨鉗子、キュレット、プローブまたは解剖用器具などの椎間板核除去ツール190が、図26Bに図解されるように、椎間板193の線維輪192の小さなアクセス穴191を通って挿入される。除去ツール190は、内視鏡技術および当業者にとって通常既知である処置によって椎間板髄核194の部分または全体を除去するために用いられる。
【0104】
図26Cを参照すると、注入カニューレ142がアクセス穴190を通って挿入され、伸延装置136が、髄核194の除去によって作成された空間195内に展開される。上述のように、伸延装置136は、カニューレ142を通った展開のため実質的に線状の展開前構成を有し、伸延装置が支持構造141を規定するカニューレから出ると、コイル状または展開構成を有することが好ましい。伸延装置136がカニューレから出ると、支持構造141は空間195内で高さ方向に範囲を増大させる。伸延装置136の展開が進むと、支持構造141は、隣接する椎骨102a、102bの端板196aと196bをそれぞれ伸延させ、または分離させる。伸延装置136は、伸延装置136がカニューレ142から完全に出るか、支持構造141が所望の高さに到達するまで、カニューレ142の外に進められるであろう。一般的に、伸延装置136は、支持構造141の高さが、これが図26Dに図解されるように端板196a、196bを通常の位置に戻すようになるまで、カニューレの外に進められる。
【0105】
伸延装置136が完全にカニューレ142の外に進められるよう設計される処置において、支持構造141の所望の高さはあらかじめ決定され、適当なサイズの伸延装置が、用いるために選択される。伸延装置136が支持構造141の所望の高さが実現されるまで展開される処置において、支持構造の高さは蛍光透視法で観察され、ひとたび支持構造が所望の高さに到達すると、伸延装置はカニューレの遠位端部分に近い位置で切断されるであろう。
【0106】
展開されると、伸延装置は椎間板の高さを回復させ、脊柱を安定させる。除去された髄核組織の量と支持構造の展開位置に応じて、支持構造の内在容積は実質的に空であるか、またはいくらかの髄核組織を含むであろう。任意で、骨セメント、アログラフ、オートグラフなどの骨充填剤、またはその他の治療薬剤が、支持構造によって規定された内在容積および/もしくは支持構造の周囲に挿入されて、装置の安定化を援助し、および/もしくは、隣接する椎骨間の骨固定を促進するであろう。
【0107】
図26Eと26Fは椎体置換(VBR)処置に用いられる、また「ケージ」と称されることもある、従来技術の装置を図解する。このようなケージタイプの装置を用いるVBR処置において、椎体の部分または全体が除去され、除去された椎体の空間にケージが挿入される。上述される従来技術のケージと同様に、図26Eに図解されるタイプのケージは、展開の前、間、後で実質的に変化しない固定されたサイズを有する。したがって、このような装置を移植するのに、患者の背中と脊髄組織に比較的大きな切開が作られる。さらに、処置は、装置の挿入に対応するべく組織を伸延するのに、別々の装置を用いることを必要とするであろう。
【0108】
図26Fに図解される従来技術の装置は、装置またはケージを作るために挿入される、個々の部分を有する点で、図26Eに示されるものとは多少異なるものである。さらに、これらの部分は比較的大きく、移植のために比較的大きな切開を必要とする。
【0109】
本発明の低侵襲部分VBR処置の1つにおいて、図26Gに図解されるように、椎骨除去ツール197が、椎体130cの小さなアクセス穴160cを通って挿入される。椎骨除去ツール197は、椎体の部分を除去するのに、または内視鏡技術および当業者にとって通常既知である処置を用いて椎体を完全に除去するのに用いられることができる。一般的に、この処置は、損傷した椎骨を除去するのに用いられる。
【0110】
図26Hを参照すると、損傷した網状骨108cが除去された後で、注入カニューレ142がアクセス穴160cを通って挿入され、上述と同様の手順および技術を用いて、伸延装置136がカニューレを通って椎体130c内で展開される。伸延装置136が展開されると、これは、図26Iに図解されるように、椎体130cの端板112c、114cを分離し、支持する支持構造141を規定する。伸延装置136が展開された後、支持構造の内在容積は実質的に空であり、または内在容積は、当初除去された網状骨の量および支持構造の展開位置に応じて、いくらかの網状骨を含むであろう。いずれにせよ、伸延装置そのものは、空洞または中空の容積を形成するのに網状組織を圧迫しない。任意に、骨充填剤または治療薬物が内在容積および/もしくは支持構造の周囲に挿入され、支持構造を安定させ、および/もしくは、骨固定を促進するであろう。
【0111】
全体VBR処置の低侵襲法の1つにおいて、上述された椎体除去ツールは、椎体の実質的に全てを動かすのに用いられ、任意に、椎間板除去ツールは隣接する椎間板を実質的に除去するのに用いられる。図26Jを参照すると、カニューレ142の遠位端部分146が、椎体および/もしくは隣接する椎間板の除去によって作成された空間198に挿入されることができ、伸延装置136が、同様の低侵襲処置および上述の技術を用いて空間内に展開されることができる。カニューレ142を出ると、伸延装置136は、伸延装置が展開されるにつれ高さにおいて増大する支持構造141を形成する。支持構造141の高さが増大すると、これは上椎骨130dの端板112dと下椎骨130eの端板114dに接触し、図26Kに図解されるように、間隙を有する関係に椎骨を伸延し、支持する。
【0112】
展開された支持構造141は、支持を提供し、脊柱を固定する。任意に、骨充填剤または治療薬物が内在容積および支持構造の周辺に挿入され、支持構造を固定し、および/もしくは骨固定を促進する。
【0113】
図27は、本発明の伸延装置および注入システムの他の実施形態を図解する。本実施形態において、伸延装置202は、案内ワイヤまたは注入トラック200を用いて展開される。展開に先立って、伸延装置202は細長い、通常線状の形状を有し、案内ワイヤにスライド可能に取り付ける中心の穴または通路(図39から図48に示される)を含むことが好ましい。伸延装置202は、たとえば案内ワイヤ200の輪郭に沿って従うのに十分なだけの柔軟性がある必要があり、伸延装置202は、治療部位における展開のために案内ワイヤ上に取り付けるために通常細長い形状を取り、治療部位内で通常コイル状またはバネ状の形状を取る必要があろう。
【0114】
伸延装置202は、変成組織、外傷、または転移状態の、または組織伸延装置が必要である治療における、ヒト組織内の長期間の移植に適した生体適合性材料から作成されることが好ましい。用いられる材料はまた、リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、または任意のその他の適切な生体材料などの生体材料であるだろう。生体適合性材料は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ナイロン、NiTi、または任意のその他の適切なものであろう。物質は中空でなく、または組織の内方成長のために多孔質であり、治療用または成長増強剤を溶出する。脊椎圧迫骨折の治療に生体材料または生体適合性材料を用いることの利点の1つは、これらの要素はより自然な物質を有するからである。しかし、他の材料が用いられてもよく、本発明の範囲内である。
【0115】
案内ワイヤ200は、近位端部分204および遠位端部分206を含む。展開状態において、遠位端部分は、図27に示されるような複数の積み重ねられた屈曲を有する図解されたコイルまたはらせん形状などの、多段配置、足場またはプラットフォームを規定することが好ましい。展開状態における案内ワイヤの遠位端部分の形状はあらかじめ決められてよい。好適には、案内ワイヤは、治療部位での案内ワイヤの展開の前と間に概して一直線の構成に変形されることができ、次いで治療部位内で当初のコイル形状を再度形成することができるように、案内ワイヤ200の少なくともコイル形状の遠位端部分206が、ニチノールまたは形状記憶特性を有するポリマーなどの形状記憶材料で作成される。この配置で、案内ワイヤそのものは、椎骨の端板に接触し、それらを強制して離す、初期の伸延装置として働くであろう。この目的のため、案内ワイヤはまた、端板との接触力を減少させ、接触力を容認できる範囲に保持する傾向がある断面形状(たとえば楕円)を有するであろう。案内ワイヤのコイル状の遠位端部分206が治療部位内の所望の位置に到達した後、伸延装置202は、案内ワイヤの近位端部分204に挿入され、プッシャー208が後に従う。任意には、伸延装置の遠位端部分210が細くされ、傾斜され、その他の方法で構成されることができ(図27と44に図解されるように)、骨を通っての、また伸延される組織の間の伸延装置の挿入と通過を容易にする。
【0116】
小さなノブ212が案内ワイヤ200の近位端部分204に取り付けられ、グリップ部分を提供することができる。プッシャー208が一方の手で図28の矢印Dに示されるように案内ワイヤ200に沿って遠位に進められるので、ノブ212はもう一方の手で保持されることができる。プッシャー208を遠位に進めることは、伸延装置202が案内ワイヤ200上をスライドして遠位に動くよう強制する。伸延装置202は案内ワイヤ200に沿って従って椎骨に入り、実質的に案内ワイヤの遠位端部分の形状を取り、多段配置または土台を有する支持構造を形成する。たとえば、図解された実施形態において、伸延装置202は、案内ワイヤのコイル形状部分206を通過するにつれコイル形状に巻く。伸延装置202は、案内ワイヤの屈曲214の数と同じ数だけそれ自身に巻きつき、コイルまたはらせん形状の支持構造216などの多段支持構造または土台を形成する。
【0117】
図29は、コイル状の伸延装置202によって規定される、完成した土台または支持構造216を図解する。支持構造216の範囲または高さH1は通常、回旋または屈曲の数を細長い伸延装置の高さH2(図27に示される)に乗じることで決定される。所望であれば、案内ワイヤ200はここで、展開された伸延装置202から除去されることができる。案内ワイヤ200の除去は、案内ワイヤ200の近位端204を近位方向に引く一方で、プッシャー208を定位置に保持することによりなされる。任意には、治療に応じて、案内ワイヤ200は伸延装置202と共に定位置に保持され、伸延装置202によって規定される支持構造216をさらに強化し固定することができる。この使用において、案内ワイヤ200の近位端204は、技術において既知である、切断し、ねじって外し、またはその他の手段によって案内ワイヤの残りから切られるかも知れない。
【0118】
したがって上述から、脊椎の治療の低侵襲外科処置に、本発明は特に有利であり助けとなることが明らかであろう。本発明のこの態様にしたがって、経皮的におよび適当な脊柱またはその他の組織を通って作られるであろう、単一のアクセス開口のみが必要とされる。この単一の開口を通って、比較的大きな三次元支持構造が、個々の椎骨の密閉された空間内または隣接する椎骨の間に築かれることができる。伸延装置の挿入は、導入カニューレまたはシースによって援助され、または伸延装置そのものが、アクセス開口を通ってカニューレまたはその他の前進補助を必要とすることなく直接進められるであろう。いずれにせよ、図解された実施形態において、比較的大きな支持構造が、比較的より小さなアクセス開口を通って現場で築かれ、または形成され、低侵襲技術の安全性と容易さを有する、より大幅かつ侵襲的な外科的アプローチの利点を提供する。
【0119】
図30から図35は、伸延装置202の椎体での展開を図解する。図30を参照すると、イントロデューサーシース218は、患者が伏臥位で横たわる間に患者の背中を通って挿入される。脊椎のより良い視覚化のために2方向画像システムを用いる透視が用いられて、所望の位置へ注入システムを案内することを助けるであろう。イントロデューサーシース218は、一般的に、椎体222の茎220を通じて骨格を貫通することを助ける(経椎弓根アプローチで)。ひとたびイントロデューサーシース218が茎220を通過し、またはその中に通路219を作り、画像化によって確認することができる所望の位置にくると、注入カニューレ224がイントロデューサーシース218に挿入され、案内ワイヤ200がカニューレを通って前に進められるであろう。あるいは、案内ワイヤはイントロデューサーシースなしでカニューレを通って挿入されるであろう。
【0120】
上記に説明されるように、案内ワイヤ200は、コイルまたはバネ形状の初期または自由状態を有する形状記憶材料で作成されることが好ましい。案内ワイヤ200がカニューレ224に挿入されると、カニューレは案内ワイヤを通常細長い線状構成に拘束し、治療部位での案内ワイヤの容易かつ低侵襲の展開を可能にする。形状記憶特性により、ひとたび拘束が除去されると、すなわち案内ワイヤはカニューレ224の遠位端部分225から出て椎体222に入ると、案内ワイヤ200はコイル形状の自由状態に戻る。案内ワイヤ200は、手動で、またはたとえば図58に示される歯止めガンなどの歯止め機構などの前進機構を用いて、カニューレ224を通って進められることができる。
【0121】
骨およびその他の組織を通る案内ワイヤ200の貫通の速度および容易さを改善するべく、ワイヤの先端が組織または骨に穴を開けて所望の部位にアクセスし、または所望の形状を得ることを可能にするエネルギーを送信するために、エネルギーシステムが案内ワイヤに動作可能に接続されることができる。図解される実施形態において、案内ワイヤ200の近位端部分204は、特定の周波数の超音波振動を作り出す圧電素子を有する変換器アセンブリ226などのエネルギーシステムに接続され、案内ワイヤが椎体の骨構造を貫通することを助けることができる。このようなエネルギーシステムは、骨などの密度の高い材料に通路を開けるのに適した周波数において超音波エネルギーを伝播させることができる変換機226に接続されたエネルギー源228を含むかもしれない。本発明で用いられるであろうこのようなエネルギーシステムの使用は、掘削を開示するOhの米国特許第6,498,421号、穿孔を開示するBeatyの米国特許第6,899,715号、超音波エネルギーを用いる切断を開示するParisiの米国特許第4,838,853号に説明される。このような装置はまた、Nitaの米国特許第6,929,632号に説明されるように、動脈血栓を貫通するのに脈管系に用いられてきた。上記の特許の全ては、参照することにより本書に援用される。
【0122】
本書に説明されるエネルギーシステムがまた、実質的に同様の方法で用いられることができ、上述された図12の伸延装置136を注入において援助するということが理解されるであろう。変換器アセンブリの使用が任意であること、またいくつかの処置において変換器アセンブリを用いずに案内ワイヤ200を展開することが有利であることがまた理解されるであろう。変換器アセンブリが用いられない場合には、案内ワイヤは、図12の伸延装置136の展開を参照して上記に先に説明されたものと概して同様の方法で展開されてよい。
【0123】
案内ワイヤ200がカニューレ224の遠位端部分225から出て、椎体222に入ると、案内ワイヤの遠位端部分206は拘束されない形状に戻り始める。すなわち、案内ワイヤの遠位端部分はコイル形状に巻き始める。図31を参照すると、案内ワイヤ200は進められ、コイル形状が所望の高さに達するまで、または所望の数のループまたは屈曲214を有するまで、椎体222の網状骨内に展開される。先に述べられたように、案内ワイヤそのものは、損傷した椎骨の端板を伸延させ、または分離する機能があるであろう。案内ワイヤ200は、案内ワイヤのコイル状の部分が上側端板と下側端板の間の空隙にまたがる高さに達するまで進められることが好ましい。さらに、特定の治療においては、上述のように、案内ワイヤ200そのものが椎体の端板に接触し、端板を伸延させ椎体の垂直方向の高さを増大させるよう機能し、椎骨の高さを回復させ、または部分的に回復させるであろう。あるいは、コイル形状の案内ワイヤは、端板の伸延または最小の伸延なしに椎体内で展開されるであろう。
【0124】
図32を参照すると、案内ワイヤ200が所望の展開構成に達した後、イントロデューサーシースおよびカニューレが縮められ、システムから除去されてよく、変換器アセンブリが切断されてよい。この段階において、案内ワイヤ200のコイル状の遠位端部分206は椎体222内で展開され、案内ワイヤの近位端部分204は椎体の通路219の外に延在する。案内ワイヤの近位端部分204は、伸延装置202のための挿入経路またはトラックを規定する。あるいは、所望であれば、イントロデューサーシースおよび/もしくはカニューレがその場に残されてよく、伸延装置は、イントロデューサーシース、カニューレまたはその両方を通って椎体内に展開されてよい。
【0125】
イントロデューサーシースおよびカニューレをシステムから除去することの利点の1つは、このような除去が、椎体へのより大きな通路を可能にすることである。より大きな通路は、より大きな寸法を有する伸延装置またはインプラントを用いることを可能にする。したがって、イントロデューサーシースおよびカニューレが除去されると、伸延装置のサイズはイントロデューサーシースまたはカニューレのサイズに拘束されず、また制限されないので、伸延装置の寸法は大きくなることができる。大きな伸延装置を用いることの利点の1つは、大きな伸延装置が、装置に働く負荷力を分散させて装置の任意の所与の部分または伸延装置が接する椎体の表面にかかるより小さな圧力をもたらす、大きな表面積を提供することである。
【0126】
図32に図解されるように、伸延装置202は案内ワイヤ200の近位端部分(図示されない)の上に挿入され、プッシャー部材208は、伸延装置の後ろまたは近位の案内ワイヤ上に配置される。プッシャー部材208が進められると、これは伸延装置202に接触し、これを案内ワイヤ200の上で前に、または遠位に進める。歯止め装置(図58に示される)またはその他の前進機構がまた用いられてプッシャー部材を増加的に前進させることを支援するであろう。
【0127】
図33を参照すると、伸延装置202が案内ワイヤ200の上を前に(遠位に)進められるにつれ、案内ワイヤは通路219を通って椎体222内に伸延装置を案内する。図27と44に図解され、上記に説明されるように、伸延装置の遠位端210は先細にされ、傾斜され、またはその他の方法で形成されて、組織を通って進むことを援助することができる。
【0128】
椎体において、伸延装置202は、案内ワイヤ200のコイル形状の部分206に沿って従い、図34と35に示されるように、コイル形状の支持構造216に巻く。伸延装置の側面の細穴は、これがより容易に曲がり、案内ワイヤの輪郭に従うことを可能とする。指示構造216のさらなるコイルまたは屈曲236のそれぞれの形成と共に、支持構造の高さは増大する。支持構造216の高さが増大するにつれ、これは椎骨の端板を伸延して支持し、脊椎の高さを回復させ、または部分的に回復させ、椎体222を固定する。骨折した椎体を治療する時、端板の伸延は、負荷がもはや骨折した部分、または椎体を囲む神経終末に圧力を与え得る崩壊した断片に圧力をかけないため、骨折を固定し、したがって背中の痛みは減少する。
【0129】
伸延装置の本実施形態の利点の1つは、上述のように、これが小さなアクセス穴を通って挿入され、多段配置または土台などのより大きな三次元支持構造が、組織層の間または中の、制限され、または密閉された空間内に築かれることができることである。たとえば、伸延装置202は、小さなアクセス穴を通って挿入されることができ、支持構造216はその時点で、伸延装置の厚みの1つを他の1つの上に加えることにより1つの輪を築くことができる。たとえば、平均的な椎体は高さが18mmである。図2に図解されるように、椎体圧迫骨折の後、椎体は通常の椎体の約半分の高さになるかもしれず、これは結果として約9mmの圧迫された椎体となるであろう。たとえば、ワイヤサイズの半分のピッチを有する直径1mmのワイヤ形状の案内ワイヤは、端板から端板にまたがるのに約5輪を必要とするであろう。伸延装置が案内部材の上に挿入される時、これは輪に沿って巻き始め、軸方向に伸延し、または押し上げて押し下げ、コイルの上を進めることの機構的利点を享受するであろう。骨折した体は抵抗力に欠けるため、これは、図35に図解されるように、2つの端板の間の距離を、これらが好ましくは骨折前の位置にくるまで、広げるであろう。
【0130】
伸延装置202が展開された後、案内ワイヤ200は伸延装置から縮められ、システムから除去されることができる。このことは、案内ワイヤ200を近位方向に引きながらプッシャー部材208を定位置に保持することで行われる。たとえば、案内ワイヤ200は、プッシャー部材を定位置に保持しながら、注入ガンの前進機構、すなわち歯止め機構を反転させることにより、近位に縮められることができる。
【0131】
本発明の伸延装置は、骨充填剤と共に、好適にしかし排他的にではなく用いられ、伸延装置に安定性を加え、伸延された組織、すなわち椎骨の端板の間を支持する。骨充填剤が多様な方法で導入されてよい。図36と図37に図解されるように、小さな管状要素または針238が、支持構造の屈曲236の間、または伸延装置202の中心穴内、たとえば図39の中心通路240に挿入されてよいので、骨充填剤242、好ましくは骨移植材料または骨セメントは、内側領域または支持構造216によって規定される内在容積244の中に注入されることができる。内在容積244は、網状骨を含んでよく、または含んではならない。針238は、注射器またはその他のタイプの注射器具に接続されるかもしれない。図解される実施形態において、伸延装置202は、中心通路に通じる細穴246を含む。細穴246は、細穴が、注入された骨充填材242を、支持構造216によって規定される内在容積244に導くように配置される。支持構造216は、骨充填剤242の動きを制限し、および/もしくは、導く障壁として機能し、骨充填剤が支持構造216の外側の領域に広がることを実質的に防ぐ。すなわち、支持構造216は、骨充填剤242を囲み、これを、支持構造216によって規定された内在容積244内に収容する抑制装置として機能することができる。支持構造/抑制装置216は、望まない漏れまたは管外遊出を防ぐ。骨充填剤242は、これが図38に図解されるように、支持構造216によって規定された内在容積244を完全に充填するまで注入されることが好ましい。
【0132】
伸延装置は、本開示から逸脱することなく、多様な形状を有するであろう。異なる構成は、伸延装置の多様な有利な特性を提供する。移植された伸延装置に関して考慮されるべき1つの態様は、圧縮力や軸方向の力などの異なる力に抵抗する装置の能力である。装置が圧縮荷重に抵抗でき、伸延装置にかかる力は軸方向であることは、容易に理解される。しかし、さらなる横方向の、または変換力がまた、体が動く時に装置にかかるであろう。
【0133】
図39から48は、このような伸延装置によって形成されることができる、伸延装置および多段支持構造の可能な外形の例を図解する。多様な外形は、他の有利な特性の中で、伸延装置を展開された支持構造の形状に保持し、実質的に抵抗を圧縮および横方向の力の両方に適応させるように、形状保持において援助する。これらの図面における全ての実施形態は、伸延装置を案内ワイヤ上に取り付ける、通常240から240iで示される通路を含むことが好ましい。実施形態のいくつかにおける中央通路はまた、骨充填剤の流れを導くために、また薬物またはその他の流体材料の注入に用いられることができる。
【0134】
図39において、断面外形は概して正方形であり、図40において、断面外形は概して長方形である。これらの実施形態のどちらも、隣接する屈曲の平坦な表面に接触する実質的に平坦な表面を有する屈曲236aと236bを提供する。各屈曲の表面間の接触は、圧縮力に抵抗するのに大変優れた支持構造を提供する。さらに、図39に図解されるように、伸延装置は、治療される組織へのより良い統合のために、伸延装置を通して、または少なくとも伸延装置の側面に、多孔質コーティング247を有することができる。
【0135】
図41において、断面形状は、複数の山頂248と谷250を有する波形形状を有する特別なさねはぎ外形である。各屈曲の山頂248と谷250は、次の隣接する屈曲のこれらを係合し、安定性を加え、横方向の滑りに抵抗する干渉表面を提供する。
【0136】
図42において、断面形状は、単一のさねはぎ構成を有する特別な外形である。伸延装置は、共に巻かれた時に、凸部が隣接する屈曲の溝に延在し溝が隣接する屈曲の凸部を受けるように、1つの表面上に形成された溝254に対向する表面上に形成された隆起したリブまたは凸部252を有する。さらに、凸部252と溝254は相互に係合して、安定性を加え、横方向の力による滑りおよび移動に抵抗する干渉表面を提供する。
【0137】
図43において、断面形状は、対向する凹面256と凸面258を有する特別な外形である。伸延装置が支持構造を形成する時、凸面256と凹面258は、隣接する屈曲のはめあう凸面または凹面を係合させ、安定性を加え、横方向の力による滑りと移動を減少させる。
【0138】
図44から48は、治療部位に注入された骨充填剤の方向を導き、制限することを支援する特性を含む伸延装置の実施形態を図解する。図解された実施形態において、骨充填剤または薬剤などの材料は通路240eから240iのうちの1つに注入されることができる。材料は、通路を通って、伸延装置内に配置される細穴に流れるであろう。細穴は、材料の流れを、治療部位内の特定の領域に案内し、および/もしくは制限する。図解される実施形態はまた、伸延装置の挿入を援助し、伸延装置が案内ワイヤの上を案内されるにつれてこれの回転を支援する特徴を含む。たとえば、伸延装置に配置される細穴は、伸延装置の柔軟性を強化し、伸延装置が案内ワイヤの輪郭に従うことを容易にする。
【0139】
図44は、伸延装置を図解し、伸延装置は上向き細穴260を含む。骨充填剤が通路240eに注入されると、骨充填剤は細穴260から、伸延装置支持構造の内側と外側の両方の領域に流れ出る。
【0140】
図45において、伸延装置は外側を向いた細穴260aを含む。骨充填剤が通路240fに注入される時、骨充填剤は、細穴260aから、伸延装置支持構造の外側領域に流れ出る。したがって、細穴260aは骨充填剤の流れを伸延装置の外側に向け、伸延装置支持構造は障壁として機能し、伸延装置によって規定される内側領域が、骨充填剤を実質的に含まないようにする。
【0141】
図46において、伸延装置は内側に向いた細穴260bを含む。骨充填剤が通路240gに注入されると、骨充填剤は細穴260bから、伸延装置によって規定される内側空間244bに流れ出る。したがって、細穴260bは、骨充填剤の流れを伸延装置内部へ導き、制限し、伸延装置は、骨充填剤を伸延装置内に含む容器のように機能し、伸延装置の外側領域に実質的に骨充填材物質がないようにする。
【0142】
図47において、伸延装置は、骨充填剤が伸延装置の内側および外側の領域に流れ込むことを可能にする、上向きおよび下向きの細穴260c、260dを有する。
【0143】
図48において、伸延装置は内側および外側に向いた細穴260e、260fを有する。本実施形態において、内側および外側を向いた細穴260e、260fは、骨充填剤を、伸延装置によって規定された内側空間と伸延装置の外側の領域の両方に導く。
【0144】
椎骨圧迫骨折の治療に用いられる時の伸延装置のサイズおよび寸法は、伸延装置が約0.118インチ×0.118インチ(約3mm×3mm)の概して正方形の外形を有することを可能にするであろう、約6ゲージサイズ(約0.173インチ(約4.39mm)の作業直径)を超えない大きさのカニューレを通って挿入されることのできるサイズであることが好ましい。他のサイズおよび寸法が用途に応じて用いられるかもしれない。伸延装置の長さはあらかじめ決められ、または治療の間に適合するように切断されるかもしれない。
【0145】
伸延装置の構成は、成形、機械加工、または押し出しを含むがこれに限定されない、技術的に既知であるいくつかの技術を用いて行われるかもしれない。注入コイルまたは案内部材が、用途要求にしたがって異なる外形および異なる形状を有するかもしれないことがまた理解される。
【0146】
一実施形態において、図48aを参照すると、伸延装置は、それぞれ椎体への挿入のために案内ワイヤ200a上に取り付けるための穴240jを含む、複数の個々の伸延装置要素251から構成されるかもしれない。個々の伸延装置要素48aは、立方体状の構成を有するかもしれず、または所望される使用に応じて、長さおよび幅において長くまたは短いかも知れない。個々の伸延装置要素251が用いられる時、伸延装置は、案内ワイヤ200を伸延装置内に移植されたままにすることによって、または伸延装置によって規定された内側領域に導入された、または少なくともらせんに接触する、またはその両方である、セメントを用いて、固定されることが好ましい。
【0147】
伸延装置はまた、複数の個々の伸延装置要素を結びつけてチェーン状の構造を形成することで構成されることができる。たとえば、材料の薄い部分は複数の立方体状の伸延装置要素に接続されて、全ての要素を一緒に保持し、線または変形可能な線状構造を形成することができるかもしれない。個々の伸延装置要素は、同様のサイズおよび形状であることができ、あるいは、個々の要素のそれぞれは異なるサイズおよび形状であることができる。
【0148】
あるいは、伸延装置は、多数の細穴が均一またはランダム間隔の始動バーまたはロッドに機械加工されることができるバーまたはロッド形状から形成されることができる。通路は、案内ワイヤ上に取り付け、スライドするため、伸延装置の真ん中を通って開けられる。
【0149】
本発明の伸延装置および案内ワイヤは、多様な異なる方法によって、また多様な器具を用いて展開されることができる。図49から58に開示される展開方法および器具は、図12に通常開示されるタイプの伸延装置または図27に通常開示されるタイプの案内ワイヤを注入するのに用いられるかもしれないものの例であることが理解されるであろう。便宜上、上述の展開方法および器具は、伸延装置の展開に関して説明されるであろう。
【0150】
伸延装置は、いくつかの処置について、処置の速度を上げ、また椎骨を治療する場合に組織または端板と接触する表面積を増大させるために、複数のコイルまたはバネ形状の伸延装置を用いることで、より効果的にされるであろう。小さな伸延装置が用いられるが、椎骨の2つの端板を支持するための最大表面積を有することを執刀医が望む場合、外科医はたとえば図49に示される両側経椎弓根アプローチを用いることができる。椎体262内に2つの穴が開けられ、2本のカニューレ264a、264bが穴を通って挿入されて各伸延装置266a、266bを注入する。容易に使用するため、また安全性を考慮して、執刀医は一方の装置を他方の装置の後に挿入することが好ましいであろう。しかし、執刀医の判断で、両方が同時に挿入されるかもしれない。したがって、本発明は挿入の順序には限定されない。
【0151】
二重コイルまたは上装置268と下装置270を有する伸延装置がまた、図50、51に示される。各装置は、反対方向に巻き、したがって装置268は上方向に巻き、装置270は下方向に巻く。装置は同時に注入されることが好ましいが、一度に一方が注入されるかもしれない。両方の装置268と270は、これらを導入する執刀医に対して右側に巻く。しかし、他の装置が必要に応じて左側に巻く装置を有するかもしれない。注入カニューレ272はまた、その遠位端に2つの通路274、274aを有して各装置を適切な方向に適切に案内するかもしれない。所与の高さ寸法について同じ数の巻きが必要とされるであろうため、同時に展開された2つの装置を有することは、唯一のコイルが用いられる場合の特定の装置を注入することに必要とされる時間を半分にするであろう。本実施形態は、伸延装置が両方向に広がるため、椎体の中心(高さに関して)アクセスすることが可能である時に用いられることが好ましい。
【0152】
二重コイルのその他の構成または装置設計が図52に示され、伸延装置は前方にある第1の装置275と、後方にある第2の装置276とを有する。第1の装置275は展開された時に右側に巻き、他方の装置276は展開された時に左側に巻く。本実施形態において、両方の装置275,276は下方向に巻く。しかし、他の実施形態において、両方の装置は上方向に巻くかもしれない。カニューレ278の遠位端277は、並んで配置される2つの通路を有し、装置を適切に案内する。この場合、表面積接触は倍になり、場合によっては組織または端板への圧力が減少される。しかし、展開時間は単一のコイル装置を展開するのとほぼ同じである。図53に示されるように、医学的または物理的理由により、唯一の茎279または一方の側のみがアクセス可能である時に、本実施形態を用いることはより有利であろう。この方法で、表面接触領域は著しく増大する。
【0153】
運搬時間を減少させ、表面接触領域を倍増させるべく、図54に4つの伸延装置を有する他の伸延装置構成が図解される。基本的に、これは2つの先に説明された装置の組み合わせである。2つの装置280と281は、上位置に並んで配置され、装置280は右側に巻き、装置281は左側に巻く。両方の装置はまた上方向に巻く。他の2つの装置282と283は、下位置に配置され、両方とも下側に巻き、装置282は左側に巻き、装置283は右側に巻く。この設計はもちろん、伸延装置のそれぞれについて4つの異なる材料を収容するのに大きなカニューレ284を潜在的に必要とする。
【0154】
伸延装置の手動の押し棒による前進に加え、利用の容易さのため、半自動または自動の器具が提供されるであろう。図55は、体内の治療部位への伸延装置の注入のためにカニューレ285を用いる自動設計の略図を示す。器具は一連の電動ローラー286を有して、保持カートリッジ288から変形しない構成の伸延装置287を押し出す。このような器具の制御は、停止および開始コマンド、および伸延装置が回収されることができるように潜在的に逆進コマンドを含むであろう。これはまた、注入速度と目的と摺る組織へ進む伸延装置が遭遇する力抵抗の指示を含むかもしれない。このような器具に、技術的に既知であるようにさらなる特性が加えられるかもしれない。
【0155】
図56は、注入されるコイル伸延装置287を示し、ローラー286が矢印EとFで表される方向に回転するにつれ、伸延装置上の抵抗の働きが、これを矢印Gで示される方向に動かす。
【0156】
伸延装置を注入するその他の装置および方法が、注入動作の手動制御を有する半自動タイプの装置として図57に図解される。伸延装置288は、ハンドル289に接続されてハウジング290と運ばれる、回転するスプールに取り付けられる。伸延装置は固定されたカニューレ291を通って延在する。ハンドル289を矢印で示される方向に回すことで、伸延装置は、これが遠位端において出て治療部位において変形されない状態を取るまで、カニューレ291に沿って供給される。
【0157】
図58は、前進モードと後退モードを有することが好ましい歯止め供給装置292を図解する。前進モードにおいて、トリガ293を起動させると、伸延装置294はカニューレ295を通って増加的に前進する。図解された実施形態において、トリガ293は、トリガを繰り返し圧迫し、解放することで、起動される。
【0158】
図58Aは、伸延装置または案内トラックがカニューレ295aの遠位端297aの側から出る、歯止め供給装置292aの他の実施形態を図解する。
【0159】
上述のように、本発明は、相互に伸延されて、恒久的または一時的に相互から離されて支持される、皮膚、組織、臓器、骨、またはこれらの組み合わせを必要とする状態を治療する装置および方法に関する。これはまた、脊椎圧迫骨折の治療にさらに具体的に適用可能である。伸延装置はまた椎間板治療および脊髄融合の治療に特に良く適する。
【0160】
図59は、隣接する椎骨301と301aおよび椎骨301、301aの間に配置される椎間板302を有する脊柱300の部分を図解する。骨鉗子、キュレット、プローブ、解剖用器具などの椎間板核除去ツール304が、後方アプローチを介して椎間板302にアクセスして示される。図61に図解されるように、除去ツール304は、線維輪312の小さなアクセス穴310を通って挿入されて、当業者にとって通常既知である技術および処置を用いて椎間板髄核306を除去することができる。
【0161】
図62を参照すると、椎間板核306を除去することにより、空間または椎間板核空間308が作成される。さらに、核除去の間に椎間板輪部312に作られた小さなアクセス穴310が椎間板核空間にアクセスするのに用いられることができる。
【0162】
本発明にしたがって伸延装置を注入する1つの好適な方法において、図63と63Aを参照して、注入カニューレ314がアクセス穴310を通って挿入され、案内ワイヤ316が、上述されたのと同様の処置および技術を用いて、カニューレ314を通って核空間308内に展開される。上述の実施形態と同様に、案内ワイヤ316は、カニューレを通っての注入のために細長い線状構成を有し、カニューレから出るとコイル状または展開構成を有する。案内ワイヤ316が展開された後、注入カニューレ314が縮められて注入システムから除去されることができる。案内ワイヤ316のコイル状の部分317は、図64に示されるように核空間308の少なくとも部分を占めて残され、案内ワイヤの近位端318は椎間板302から延在して伸延装置の展開のために挿入路を規定する。
【0163】
図65と65Aに図解されるように、インプラントまたは伸延装置320は案内ワイヤ316の上を遠位に進められる。伸延装置320は、プッシャー319または図58の注入歯止めガン292などの前進機構の助けを借りて、または任意のその他の適切な方法によって、案内ワイヤ316の上を進められることができる。伸延装置320が案内ワイヤ316上を進むにつれ、案内ワイヤは伸延装置を核空間308内に案内する。伸延装置320は、案内ワイヤ316に沿って従い、コイル状に巻いて、先の実施形態の支持構造と実質的に同様である支持構造313を形成する。
【0164】
ひとたび伸延装置が所望の展開に達すると、注入ワイヤ316は、図66に示されるように支持構造313をその場に残して除去されることができる。あるいは、注入ワイヤ316は切断されて伸延装置320内に残されるであろう。伸延装置320に加え、骨セメントや網状骨移植材料などの骨充填剤が伸延装置の周囲に挿入されて骨固定を促進するであろう。完全な固定プロセスは、完全に治癒するまでに約6ヶ月を要すると予期される。所望であれば、補助的な固定が脊柱に加えられて治癒プロセス中の不安定さを防止する。
【0165】
本発明にしたがった代替的な展開方法が図67から71に図解される。図67は、核が既に除去された椎間板を図解する。上述の案内ワイヤと同様の案内ワイヤ322aが、上述されたものと概して同様の方法で、カニューレ314aを通って核空間308aに展開される。案内ワイヤ322aが展開された後、所望であれば、カニューレ314aがシステムから除去されてよい。案内ワイヤの本実施形態のコイル状の構成は、きつい巻きを有し(小径コイル)、したがって核空間308aの部分のみを占める。
【0166】
図68に図解されるように、伸延装置324aは案内ワイヤ322aの上に配置されて、先に開示されたのと同様の方法で、核空間308a内に展開される。伸延装置324aはコイル状の案内ワイヤ322aに沿って従い、コイル状に巻いて図69に示されるように支持構造313aを形成する。コイル状の案内ワイヤの巻きがきついため、支持構造313aの断面幅「J」は先に説明された実施形態のものよりも小さく、したがって支持構造は核空間308の部分のみを占める。伸延装置324aが展開された後、案内ワイヤ322dは除去されることができる。あるいは、案内ワイヤ322aは切断されて伸延装置324a内に残されることができる。
【0167】
伸延装置324aが支持構造313aを形成した後、伸延装置の余剰の部分がある場合、余剰の部分は切断されて除去されるであろう。すなわち、伸延装置は展開の後に所定の長さに切断されることができる。伸延装置を所定の長さに切断できることの利点の1つは、単一の伸延装置が異なる半径、長さ、およびコイルまたは展開構成の案内ワイヤの上に展開されることができることである。
【0168】
図69に示されるように、第2の案内ワイヤ322bがカニューレ314bを通って、支持構造313aに隣接する核空間308a内に展開される。第2の伸延装置324bはそこで、図70に示されるように案内ワイヤ322bの上に展開される。
【0169】
図71は、2つの伸延装置支持構造313a、313bが核空間308a内で展開された後の椎間板を図解する。2つの伸延装置を用いることの利点の1つは、援助される支持および力の分配を提供する、伸延装置によって占められる増大した表面積である。
【0170】
先の方法は、脊椎への後方アクセスについて説明された。しかし、いくつかの状況において、とりわけ腰部において、前方アプローチが望まれる。図60は、前方アプローチの例を図解する。このようなアプローチにおいて、患者の腹部に切開部が作られ、下行結腸330、大動脈332および下大静脈334などの主器官が解離され、側面に押され、次いで開創器336で保持されて脊柱300へのアクセスを提供する。このアプローチの利点の1つは、前方から椎間板空間へアクセスし、図72に示されるように隣接する椎骨の端板338、340が平行でなく、後方アプローチから伸延装置を挿入することが困難であるくさび状の形状を有する時に、固定を完成させる能力である。
【0171】
隣接する椎骨の端板が平行でない場合、楕円端を有する支持構造を形成する伸延装置を用いることが好ましいであろう。図74は、伸延装置によって形成される支持構造341の一実施形態を示す。支持構造341は、通常相互に対して角度をなす上部342および下部344を有する。支持構造は、前方部分346と後方部分348を有する。前方部分346は後方部分348よりも高く、図72Bに示されるように、支持構造を平行でない椎骨板338,340の間のくさび状の形状に一致させることが好ましい。
【0172】
楕円構成の利点の1つは、これが図72Aに図解されるように、説明されたばかりの前方アプローチよりも侵襲のより小さな後方アプローチに用いられることができることである。後方アプローチは、これらの特別な場合に所望されるくさび形インプラントを断念することなく、より早い回復を可能にする。
【0173】
楕円構成を有する伸延装置は、図73に図解されるように、伸延装置リボン349から形成されることができる。伸延装置リボン349は、隆起350と谷351を有する展開前状態を有する。各隆起350は、規定されたピッチ「P」で間隔を取られる。伸延装置349の隆起350および谷351は、適切な案内ワイヤが用いられる時に、伸延装置が長い前方寸法を有する図73の支持構造341を形成するように、間隔を取られる。このような支持構造は、伸延装置349を、適切なピッチの間隔に適合する半径を有するコイル構成を有する対応する案内ワイヤ上で展開することにより達成されることができる。
【0174】
図75と76は、本発明の他の実施形態を図解し、案内ワイヤ352の展開構成は、単一層らせん部分353を有するであろう。図76に図解されるように、案内ワイヤ352は、カニューレ355を通って、椎間板核の除去によって作成された開いた空間308b内に展開される。案内ワイヤ352がカニューレ355から出るにつれ、案内ワイヤのらせん部分353は核空間308b内で形成する。図77を参照すると、伸延装置354は、先に説明されたのと概して同様の方法と技術を用いて案内ワイヤ352の上に挿入され、核空間308内に進められる。伸延装置354は、案内ワイヤ352に沿って従い、単一層の概してらせん形の支持構造356を作成する。任意に、注入トラック352は除去されて、後に大変コンパクトな伸延装置を残すことができる。図78は、らせん構成に展開される伸延装置支持装置356を図解する。本実施形態の利点は、広い面積を占める伸延装置の単一層を提供することと、固定について良好な支持と安定性とを提供することとである。
【0175】
本発明の伸延装置はまた、全体的または部分的な椎体置換(VBR)に用いられることができる。本発明の低侵襲部分的VBR術の1つにおいて、図26Gを参照して上述した処置と概して同様である内視鏡的処置が、損傷した椎体組織を除去するのに用いられてよい。この処置は、椎体の小さなアクセス穴を通って椎骨除去ツールを挿入して椎骨の損傷部分を除去することを含むことができる。損傷した骨が除去された後、注入カニューレ400が、骨除去のために作成されたものと通常同じアクセス穴であるアクセス穴402を通って、椎骨403に挿入されてよく、図79に図解されるように、案内ワイヤ404がカニューレを通って椎体406内に展開される。
【0176】
案内ワイヤ404がカニューレ400の遠位端部分408から出て、椎体406に入るにつれ、案内ワイヤの遠位端部分410は拘束されないコイル形状に戻り始める。案内ワイヤ404は、進められ、コイル形状が所望の高さに達するまで、または所望の数の屈曲412を有するようになるまで、椎体内で展開される。
【0177】
案内ワイヤ404が所望の展開構成に達すると、任意に、カニューレ400が縮められて、システムから除去されることができる。この段階において、案内ワイヤ404のコイル状の遠位端部分410は椎体406内で展開され、案内ワイヤの近位端部分414は通路408の外に延在する。案内ワイヤの近位端部分414は、図80に図解されるように、伸延装置416のための挿入通路を規定する。
【0178】
伸延装置416は、案内ワイヤ404の近位端部分414の上に挿入され、プッシャー部材418は案内ワイヤの上に、伸延装置の後ろまたは近位に配置される。プッシャー部材418が進められるにつれ、これは伸延装置416に接触し、これを、案内ワイヤ404の上に前または遠位に進める。
【0179】
椎体において、伸延装置416は、案内ワイヤ404のコイル形状の部分410に沿って従い、コイル形状の支持構造420に巻く。支持構造420のさらなるコイルまたは巻き422のそれぞれの形成により、支持構造は高さまたは範囲において増大する。支持構造420が高さにおいて増大するにつれ、これは椎骨の端板424、426を伸延して支持し、椎骨の高さを回復させ、または部分的に回復させ、椎体406を固定する。
【0180】
伸延装置416が展開された後、案内ワイヤ404は伸延装置から縮められてシステムから除去されることができる。あるいは、案内ワイヤ404は切断されて伸延装置416内に残されるかもしれない。装置を固定し、および/または骨固定を促進するべく、任意に、上述されたものと同様の方法によって、骨セメント、アログラフ、またはオートグラフなどの骨充填剤または治療薬物が装置内またはその周辺に挿入されるであろう。
【0181】
全体的VBR術の低侵襲方法の1つにおいて、上述された椎体除去ツールが用いられて、椎骨401の椎体の実質的に全てを除去することができ、椎間板除去ツールが用いられて、隣接する椎間板を実質的に除去することができる。図82を参照すると、カニューレ400aの遠位端部分408aが、椎体および隣接する椎間板の除去によって作成された空間430に挿入されることができ、案内ワイヤ404aが、上述されたのと同様の処置および技術を用いて、この空間内に展開されることができる。案内ワイヤ404aがカニューレ400aの遠位端部分408aから出るにつれ、案内ワイヤ404aの遠位端部分410aが、拘束されないコイル形状に戻り始める。案内ワイヤ404aは進められ、椎体および椎間板の除去によって作成された空間430内に、コイル形状が所望の高さに達するまで、または所望の数の輪または屈曲412aを有するようになるまで展開される。
【0182】
案内ワイヤ404aが所望の展開構成に達した後、カニューレ400aは縮められてシステムから除去されることができる。図83を参照すると、伸延装置416aが案内ワイヤ404aの近位端部分414aの上に挿入され、プッシャー部材418aが案内ワイヤの上に、伸延装置の近位端の後ろに配置される。プッシャー部材418aが進められるにつれ、これは伸延装置416aに接触し、これを案内ワイヤ404aの上を、前または遠位に進める。伸延装置416aが案内ワイヤ404aの上を進められるにつれ、案内ワイヤは、伸延装置を、椎体および隣接する椎間板の除去によって作成された空間430内へ案内する。伸延装置416aが案内ワイヤ404aのコイル形状の部分410aに沿って従うにつれ、これはコイル形状の支持構造420aに巻く。支持構造420aのさらなるコイルまたは屈曲422aの形成のそれぞれによって、支持構造は高さにおいて増大する。支持構造420aが高さにおいて増大するにつれ、これは、図84に示されるように、上椎骨434の端板432と下椎骨438の端板436を伸延し、支持する。
【0183】
伸延装置が展開された後、任意に、骨セメント、アログラフまたはオートグラフなどの骨充填剤または治療薬物が、支持構造内またはその周辺に挿入されて、支持構造を固定し、および/もしくは骨固定を促進するであろう。
【0184】
本発明は、図解された実施形態を踏まえて説明されたが、これは図解の目的のためであり、限定ではないことが理解される。支持または伸延装置のその他の適用、修正、または使用が、ここにまたは後に提出される請求項に説明される本発明の範囲から逸脱することなく行われるであろう。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年8月16日に出願された出願米国仮特許出願第60/708,691号、2005年11月21日に出願された出願米国仮特許出願第60/738,432号および2006年3月21日に出願された出願米国仮特許出願第60/784,185号の優先権の利益を主張するものであり、これらのすべては参考として本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して低侵襲外科的処置において用いられる器具および方法に関し、より具体的には、組織層を伸延し、または分離する、整形外科的処置におけるこのような器具および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多様な身体症状は、症状の診断または治療のために、相互から分離され、または伸延され、次いで間隙を介した関係で支持される必要のある、2つの組織表面を含む。このような分離または伸延は、選択された組織構造を露出し、選択された組織に治療圧をかけ、組織構造をより通常または元の解剖学的位置に戻しまたは再配置して形成し、薬物または成長因子を注入し、選択された組織のさらなる成長を修正し、影響し、阻止し、または他の診断または治療処置を行うためのものである。治療される症状に応じて、組織表面は対向し、または接触し、骨、皮膚、軟組織、またはこれらの組み合わせであろう。
【0004】
整形外科の分野で起こるこのような症状の1つは、脊椎圧迫骨折である。脊椎圧迫骨折は、人口のかなりの部分に影響し、医療制度に多大なコストを加える。脊椎圧迫骨折は、1以上の椎骨への粉砕性または崩壊性の創傷である。脊椎骨折は通常、しかし排他的にではなく、骨粗鬆症、転移、および/もしくは外傷と関連する。骨粗鬆症は、骨密度を減少させ、それによって骨をもろくし、骨折を生じやすくさせる。骨粗鬆症によってもろくなった椎骨は、通常の活動の間に崩壊する可能性があり、脊柱にかかる衝撃またはその他の力からの創傷に対してより脆弱である。重度の骨粗鬆症の場合には、前屈などの単純な動作が、脊椎圧迫骨折を引き起こすのに十分である。国立衛生研究所によれば、脊椎圧迫骨折は、最も一般的なタイプの骨粗鬆症性骨折である。
【0005】
このような脊椎骨折のメカニズムは、通常、軽微な事象であっても、もろくなった骨に損傷を生じさせ得る、軸圧縮を伴う屈曲の1つである。骨折は介入なしで治癒するが、粉砕された骨は適切に治癒できない。さらに、骨が自然に治癒させられる場合、椎骨が骨折によって圧縮された程度にまで、脊椎が変形するであろう。脊柱の変形は、呼吸および消化管の合併症、また隣接する椎骨の有害な荷重を引き起こすことがある。
【0006】
脊椎骨折は、胸腰部の関節において最もしばしば生じ、この周辺では骨折は比較的通常の分布である。脊椎骨折は、脊柱の形状または強度を恒久的に変えるかもしれない。一般的に、これらは高さの損失やこぶのある背中を生じる。この疾患(脊柱後湾症または「老人性円背」と称される)は、肩を前にうなだれさせ、背中の上部が膨張してこぶがあるように見せる、脊柱湾曲の誇張である。重度の場合において、体の重心は脊椎から遠くに移動し、脊柱上の増大した曲げモーメントと、個々の椎骨の増大した荷重をもたらす。
【0007】
脊椎骨折の他の要因は、転移性疾患である。がん細胞が脊柱に転移すると、がんは椎骨の部分の破壊を引き起こし、骨をもろくして骨折しやすくするであろう。
【0008】
骨粗鬆症と転移性疾患は、脊椎骨折を引き起こす共通の原因であるが、健康な椎骨への外傷もまた、軽微なものから重度のものまで骨折を引き起こし得る。このような外傷は、落下、力強いジャンプ、車の事故、または限界点を超えるまで脊柱を圧迫しまたはその他の方法で緊張させる任意の事象によって生じるであろう。もたらされた骨折は通常、圧迫骨折または破裂骨折である。
【0009】
脊椎骨折は痛みなしで起こり得る。しかしこれらはしばしば、脊柱から体の両側に放射状に広がる激しい「帯状の」痛みを引き起こす。圧迫骨折における鋭い痛みの源は、椎骨内およびその周辺の神経を刺激する動きを可能にする、骨折部位における不安定さの結果であると一般的に考えられている。
【0010】
最近まで、脊椎圧迫骨折の治療は、静養、鎮痛、食餌療法、骨密度を回復させまたはさらなる骨量の減少を防ぐ投薬、損傷の回避、およびギプスを含む、保守的な手段から成っていた。残念なことに、典型的な患者は高齢者である。患者の類として高齢者は通常、長時間のベッドでの療養に耐えられない。結果として、脊椎圧迫骨折を治療する低侵襲外科手技が最近導入され、一般的になってきた。
【0011】
脊椎圧迫骨折の治療に用いられる技術の1つは、骨充填剤を骨折した椎体に注入することである。この処置は通常、経皮的椎体形成術と称される。椎体形成術は、骨充填剤(たとえば、骨セメント、アログラフ材料またはオートグラフ材料)を崩壊した椎骨に注入して破砕された骨を固定させ強化することを含む。
【0012】
椎体形成術において、医師は一般的に、2つの外科的アプローチ:経椎弓根または茎外、のうちの1つを用いて、胸部および腰部の椎体にアクセスする。経椎弓根アプローチは、茎を通る椎体までの針またはワイヤの配置を含み、医師は片側アクセスまたは両側経椎弓根アプローチのいずれかを用いることを選ぶであろう。茎外技術は、椎体の後外側角を通る入口を含む。
【0013】
外科的アプローチに関わらず、医師は通常、小径の案内ワイヤまたは針を、骨充填剤注入針のための通路に沿って配置する。案内ワイヤは、透視誘導下で、椎骨内の注入ポイントまで椎体内に進められる。椎骨内へのアクセス通路は、注入管を収容するよう拡大されるであろう。場合によっては、注入管は、椎体内に直接配置され、それ自身の開口を形成する。他の場合では、アクセスカニューレが案内ワイヤの上に配置されて椎体内に進められる。配置の後、カニューレは、案内ワイヤまたはピンの上を通過した注入管と交換される。どちらの場合においても、中空の針または同様の管が注入管を通って椎体内に配置され、骨充填剤を椎骨内に注入するのに用いられる。
【0014】
この処置において、粘性の低い骨充填剤と高い注入圧力を用いることで、骨充填剤は椎体の至る所に分散される傾向がある。しかし、このような処置は、骨充填剤の椎体からの管外遊出のリスクを著しく増大させる。経椎弓根アプローチは、比較的小さな針(通常11ゲージ以下)の使用を必要とする。通常、経椎弓根アプローチに必要とされる小径の針は、骨充填剤をより液体(粘性の低い)状態で注入することを必要とする。さらに、骨充填剤を小さなゲージの針を通って流すのに必要とされる圧力は、比較的高い。骨充填剤が損傷を受けやすい領域に流入することを制御し、または停止することの困難さは、必要とされる圧力が増大するにつれて増大する。反対に、茎外アプローチは、より大きな針(腰部および胸部下部で約6mmの内径まで)を収容するのに十分な余地を提供する。茎外アプローチにおいて用いられるより大きな針は、より濃い、より制御可能な粘性状態での骨充填剤の注入を可能にする。したがって、多くの医師が現在、骨充填剤がより大きなカニューレを通じて低圧下で注入されるように、茎外アプローチを推奨する。しかし、経椎弓根アプローチはそれでも好適なアプローチである。しかし、後の管外遊出は脊髄の外傷を引き起こし得るため、これを防ぐよう最大限注意を払って、管外遊出を防ぐようやはり警戒しなければならない。医師は一般的に、透視画像化を繰り返し用いて骨充填剤の伝播を監視し、重大な関心領域への流入を防ぐ。裂穴漏れが生じた場合、患者は外科的減圧を必要とし、および/もしくは、麻痺を被るであろう。
【0015】
脊椎骨折の治療のその他のタイプは、圧迫骨折セメント固定術として知られる。圧迫骨折セメント固定術は、骨折を縮小させること、およびおそらく、骨充填剤を注入する前に椎骨高さをいくらか回復させることを意図して、血管形成用バルーンと同様の1または2のバルーンを用いる、修正された脊椎骨折治療である。1または2のバルーンは一般的に、両側経椎弓根カニューレを介して椎骨内に導入される。バルーンは膨張されて骨折を縮小させる。バルーンが収縮され、比較的空の空洞を残して除去された後、骨セメントが椎骨に注入される。理論上、バルーンの膨張は、椎骨高さをいくらか回復させるであろう。しかし実際は、有意義かつ予測可能な高さ回復に一貫して到達することは困難である。さらなる要因がまたあるが、一貫性のない結果は部分的に、バルーンが椎骨内の網状組織などの圧縮性の媒体において膨張する方法および椎骨内の骨梁の構造上の方向によるであろう。
【0016】
したがって、上述の疾患、とりわけ圧迫脊椎骨折を治療する装置および方法が必要とされる。
【0017】
組織層の伸延または分離によって治療されることができる他の症状は、椎間板の崩壊または変成である。椎間板は、1つの椎骨を隣に保持し椎骨間のクッションのように機能する強い結合組織から形成される。椎間板は、2つの異なる領域:髄核と線維輪、に分けられる。核は、椎間板の中心にあり、輪によって囲まれ、含まれる。輪は、核を囲む同心ラメラを形成するコラーゲン繊維を含む。コラーゲン繊維は、隣接する椎体の端板に挿入して強化構造を形成する。軟骨性の端板は、椎間板と隣接する椎体との間の接触面に配置される。
【0018】
適切な椎間板の高さが、椎間板と脊柱の適切な機能性を確保するために必要である。椎間板の主要な機能は脊柱の可動性を容易にすることであるが、これはいくつかの機能を果たす。さらに椎間板は、椎体の面の間の耐荷重性、荷重伝達、衝撃吸収を提供する。人の重みは、椎間板に圧縮荷重を生じるが、この荷重は一般的な曲げ動作の間均一ではない。前屈の間、前部の繊維は圧縮される一方、後部の環状の繊維は延伸される。さらに、核の重心が中心から延ばされる側へずれるにつれ、核の転位が生じる。
【0019】
椎間板の高さにおける変化は、局部的および広範囲の影響を有するであろう。局部的な(または細胞の)面では、椎間板の低下した高さは核における増大した圧力をもたらし、これは細胞基質合成における減少、および細胞の壊死およびアポトーシスの増大をもたらし得る。さらに、椎間板内圧力の増大は、椎間板への流体の転送に好ましくない環境を作り出し、椎間板の高さのさらなる低下をもたらし得る。
【0020】
椎間板の低下した高さはまた、脊柱の全体的な機械的安定性に著しい変化をもたらすであろう。椎間板の高さが低下すると、面関節は増大する荷重に耐え、肥大および変成を受け、いずれは痛みの源にさえなるであろう。椎間板の高さの損失からもたらされる脊柱の増大した剛性および減少した可動域は、背中の痛みと同様、脊柱のさらなる不安定さをもたらし得る。根部痛は、椎間板の低下した高さによってもたらされる裂穴の容積の低下からもたらされるであろう。具体的に、椎間板の高さが低下すると、脊髄神経根が通る裂穴管の容積が低下する。この低下は、関連する放射状の痛みと機能障害を伴う脊髄神経衝突をもたらすであろう。
【0021】
最後に、隣接する区分の荷重は、所与の面における椎間板の高さが低下するにつれて増大する。さらなる荷重に耐えなければならない椎間板は、最終的には不安定な脊柱に沿って伝播する、促進された変成および障害を起こしやすい。
【0022】
椎間板の高さの低下に付随するこれら全ての不利益にもかかわらず、椎間板の高さの変化が段階的である場合、病的影響の多くは脊柱にとって「耐えられる」ものであり、脊髄系が段階的な変化に適応する時間を与える。しかし、椎間板または椎間板核の外科的除去によって椎間板の容積が突然減少すると、上述の局部的および全体的問題が増すであろう。
【0023】
椎間板の崩壊または変成の多くの原因は、通常、機械的、遺伝的、生化学的なものに分類されることができる。機械的損傷は、線維輪の割れ目または裂け目を通って髄核の部分が突出するヘルニア形成を含むであろう。遺伝的および生化学的な原因は、椎間板の細胞外基質パターンにおける変化をもたらし、椎間板の細胞による細胞外基質成分の生合成を減少させるであろう。変成は、低下したプロテオグリカン含有量による、水を結合する中心髄核における細胞外基質の能力の低下から通常始まる、進行性のプロセスである。水含有量の損失に伴い、核は乾燥し始め、最終的に椎間板の高さの損失をもたらす内部椎間板水圧の低下をもたらす。この椎間板の高さの損失は、輪の非伸張の荷重および座屈を引き起こし得る。椎間板の高さの損失はまた、環状ラメラを剥離させ、環状の割れ目および輪の裂け目をもたらす。裂け目が核の突出をもたらすにつれ、そこでヘルニア形成が生じるであろう。
【0024】
多くの椎間板欠陥は、髄核物質が除去される椎間板切除術などの外科的処置を通じて治療される。全体的な椎間板切除術の間、髄核の容積の相当量(通常全て)が除去され、椎間板の高さおよび容積の即時の損失がもたらされ得る。部分的な椎間板切除術であっても、椎間板の高さの損失は結果として起き得る。
【0025】
椎間板切除術単独は、最も一般的な脊髄外科的治療である。処置はしばしば、椎間板の突出または椎間板の破片が脊髄神経構造に接触することによる神経の衝撃によりもたらされる根部の痛みを治療するのに用いられる。
【0026】
他の一般的な脊髄の処置において、椎間板切除術に続き、核物質が除去された後に椎間板空間に残された空洞に人工器官が導入されるインプラント処置がある。これまでは、最も有名な人工器官は、適切な椎間板の高さを回復させるサイズにされ、隣接する椎体間を固定するべく構成された、機械装置または「ケージ」である。これらの機械的解決法は、中空でない腎臓型のインプラントと、骨成長物質が充填された中空のブロックと、ネジ円筒ケージとを含む多様な形状を呈する。
【0027】
椎間板インプラントを後方に挿入することの難題は、端板に接触するのに十分なだけ大きく、端板間の椎間空間をわずかに拡大する装置が、限られた空間を通って挿入されなければならないことである。この難題はしばしば、椎間板への大変制限されたアクセスをもたらす後部端板の集束または「フィッシュマウス」を引き起こし得る後部骨棘の存在により、さらに高度になる。変成椎間板空間におけるさらなる難題は、神経根に外傷を与えることなく導入することがしばしば容易でない比較的大きなインプラントを必要とするレンズ形状を前提とする椎間板空間の傾向である。それにより、椎間板空間に安全に導入されるであろう剛性装置のサイズは制限される。
【0028】
従来技術のケージは、通常、固定を促進し、適切な椎間板の高さを予測することに成功してきた。しかし、後方アプローチから挿入されるケージは、神経根の間の間隔によってそのサイズが制限される。従来技術の装置のいくつかの例は、人工ネジ脊柱固定インプラントを説明するMichelsonの特許文献1;損傷した椎間板を補修する脊椎スペーサ装置を説明するFoley他の米国特許出願第10/999,727号;移動に抵抗し、椎骨を相互から離れるよう促す一連のバネを含むスパイクされた外表面を有する動作保存インプラントを説明するPatilの特許文献2;および最後に、拡張型椎間人工器官を説明するEnayatiの米国特許出願第10/968,425号に示される。上述の全ての特許および特許出願は、参照することにより本書に援用される。
【0029】
したがって、低侵襲処置で椎間板空間に挿入することができ、隣接する脊椎の端板に接触して分離するのに十分に大きな装置の必要性が残る。神経根への潜在的な外傷を縮小し、さらに椎間板空間の高さの回復を可能にする装置の必要性もまた残る。
【0030】
組織伸延が必要とされるであろう他の関連領域は、脊椎固定術である。固定術は、脊柱の1以上の椎骨の間で動きがもはや生じないようにこれらが結合される(「固定される」)外科技術である。脊椎固定手術において、骨移植片が脊椎の周囲に配置され、次いで体は数ヶ月にわたって移植片を治療し―骨折を治療するのと同様に―椎骨を共に接合し、または「固定」する。
【0031】
骨折した(損傷した)椎骨の治療、変形(脊椎湾曲またはすべり)の修正、痛みを伴う動きからの痛みの除去、不安定さの治療、および頸椎椎間板ヘルニアの治療など、医師が椎骨を固定することを考える多くの潜在的な理由がある。
【0032】
脊椎固定術を行うより一般的な理由の1つは、脊椎骨折を治療することである。全ての脊椎骨折が手術を必要とするわけではないが、骨折のうちのいくらか、とりわけ脊髄または神経損傷に関連するものは、通常、外科治療の一環として固定を必要とする。脊柱側湾症などの脊髄変形のいくつかのタイプはまた、一般的に脊椎固定術で治療される。脊柱側湾症は、子供と若者に時々生じる脊柱の「S」字形状の屈曲である。固定術は、大変大きな屈曲または進行的に悪化する小さな屈曲の治療の形状として用いられることができる。さらに固定術は、細いひびが椎骨を相互に前にすべらせる時に生じる症状である脊椎すべり症を治療するのに用いられることができる。
【0033】
固定手術によって治療される他の症状は、実際の、または潜在的な不安定さである。不安定さとは、2以上の椎骨の間の異常な、または過剰な動きに言及する。不安定さは、背中または首の痛みの源となるか、隣接する神経に潜在的な刺激または損傷を生じるかであると、一般的に考えられている。不安定さの正確な定義には意見の食い違いもあるが、多くの外科医は、脊椎の1以上の区分の明確な不安定さが固定術によって治療されることができることに賛同する。
【0034】
手術を必要とする頸椎椎間板ヘルニア症は、通常、ヘルニア状態の椎間板の除去(椎間板切除術)および固定術を必要とする。この処置を用いて、椎間板は首の前側の切開を通って(前方に)除去され、骨の小さな破片が椎間板の代わりに挿入される。椎間板の除去は通常、首における固定術と組み合わされるが、腰部(腰椎)については通常そうではない。
【0035】
脊椎固定術はまた、はっきりとした不安定さのない痛みを伴う脊髄症状の治療において、時として考えられる。固定術による脊柱の痛みの良好な治療の主要な障害は、患者の痛みを正確に識別することの困難さである。理論は、痛みは痛みを伴う脊柱の動きから生じ得て、椎骨を相互に固定して動きを除去することが、痛みを除去するということである。
【0036】
脊柱を固定する多くの外科的アプローチおよび方法があり、これらは全て、椎骨間への骨移植片の配置を含む。脊柱はアプローチされ、移植片は背中から(後方アプローチ)または前から(前方アプローチ)またはそれらの組み合わせによって配置される。首では、前方アプローチはより一般的であり、腰部および胸部では後方アプローチが通常用いられる。
【0037】
固定術の最終的な目標は、2以上の椎骨の間に頑丈な結合を得ることである。固定術は、板、棒、ネジ、ケージなどの補助的なハードウェア(器具類)の使用を含んでよく、または含んではならない。器具類は時として、変形を修正するのに用いられることができるが、通常は内側スプリントとして用いられて骨移植片が治療される間に椎骨を相互に保持するのみである。ハードウェアが用いられようと用いられまいと、骨または骨の代用品は一般的に用いられて椎骨を相互に固定させる。骨は患者の他の骨から取られる(オートグラフト)か、骨バンクから取られる(アログラフト)かである。
【0038】
組織伸延が必要とされるであろうさらに他の関連領域は、基本的に全体的または部分的に除去された椎骨の置換における。このような除去は通常、広範囲にわたる脊椎骨折または腫瘍によって必要とされ、通常は椎間板疾患の治療に関連しない。椎体には、疾患、欠陥、または損傷のために障害が起きる。いくつかの場合において、痛みを緩和し、脊椎の機能性を回復させるのに、1以上の椎体または椎間板を除去し、または置換することが必要となる。
【0039】
除去された椎骨の治療において、除去された椎骨を、治療を促進するリン酸カルシウムなどの骨充填剤に置換することを援助する、一時的な構造上の機械的支持を形成するために、装置が用いられる。従来技術において、疾患のある、または損傷した椎体を置換する多数の方法および装置が開示された。これらの従来技術の装置およびそれに関連付けられる処置では、骨セメントなどのキャスタブル材料が、除去された椎体によって残された空洞内で硬化される間に、適切な構造上の足場を保持することが困難である。適切な構造上の足場を保持することは、低侵襲後方外科的アプローチにおいて特に困難であった。
【0040】
脊椎固定術または腰部脊椎固定術は、不安定な破裂骨折、重度の圧迫骨折、腫瘍の減圧によって障害が起きた椎体を治療する1つの方法である。脊椎固定術の処置において、障害が起きた椎体の上と下の椎間板は除去され、次いで支柱移植片および板が用いられて、置換された椎体の上下の椎骨を共に成長させ1つの骨とする。
【0041】
従来技術の椎体置換システムのうちのいくつかは、チタンメッシュおよび端板によって作られる体内固定システムを説明するCamino他の特許文献3;単独または積み重ね可能なモジュラーインプラントの使用を説明するBrantiganの特許文献4;骨成長促進物質を受ける開口を有する中空体を説明するWhite他の米国特許第6,585,770号;脊椎置換体装置を説明するBerryの特許文献5を含む。上述の参考文献の全ては、参照することにより本書に援用される。
【0042】
したがって、1以上の除去された、または部分的に除去された椎体を、特に後方アプローチと最小侵襲の外科介入で置換する改良された装置に対するニーズが依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】米国特許第5,015,247号明細書
【特許文献2】米国特許第4,309,777号明細書
【特許文献3】米国特許第6,086,613号明細書
【特許文献4】米国特許第5,192,327号明細書
【特許文献5】米国特許第6,758,862号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0044】
本発明は、組織層を分離または伸延し、このような分離を保持する伸延装置を提供することで、従来の装置および方法における多くの欠点を扱う。
【課題を解決するための手段】
【0045】
本発明の第1の態様は、通常、ヒトの脊柱を治療する伸延装置に関する。伸延装置は、ヒトの脊柱の組織層の間での展開に適している展開前構成、例えば、概して線状の構成を有する少なくとも1つの概して細長い部材から構成されることが好ましい。細長い部材はまた、組織層を分離し、支持し、または分離および支持する、展開構成を有する。展開構成において、細長い部材は、構成の変化により、組織層の間に内在容積を含む支持構造を形成する。好ましくは、細長い部材は、支持構造の形状を形成する本来の傾向を有する形状記憶材料から構成される。さらに、支持構造は、組織の間の方向に、細長い部材が組織層の間に挿入されるにつれて増大する範囲を有する。
【0046】
本発明の他の態様は、ヒトの脊柱を治療する伸延システムに関する。一実施形態において、伸延システムは、近位端部分、遠位端部分、およびそれを通って延在する管腔を有するカニューレを含むことができる。カニューレの遠位端は、組織層に隣接して、またはその間に配置されるよう構成される。システムは、カニューレの管腔を通過し、カニューレの遠位端部分から組織層の間の位置に出るための展開前構成を有する少なくとも1つの概して細長い部材をさらに含む。細長い部材はまた、細長い部材がカニューレの遠位端部分から出る時に、細長い部材の少なくとも部分が構成の変化により内在容積を含む支持構造を規定する、分離し、支持し、または分離および支持する、展開構成を含む。支持構造は、組織の間の方向に、細長い部材がカニューレの遠位端から出るにつれて増大する広がりを有する。
【0047】
本発明の他の態様は、椎体の上側および下側端板の間に挿入可能である脊椎内伸延に関する。一実施形態において、伸延装置は、椎体内への挿入に適している、展開前構成を有する少なくとも1つの概して細長い部材を含むことができる。細長い部材はまた、細長い部材の少なくとも部分が、構成の変化により、細長い部材の部分が椎体内に配置される時に、上端板および下端板を分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を規定する、展開構成を有する。支持構造はまた、内在容積構造を含む。
【0048】
本発明のさらに他の態様は、上端板および下端板の間に配置される網状骨組織内に空洞を形成することなく椎体の上端板と下端板の間に挿入可能である脊椎内伸延装置に関する。一実施形態において、伸延装置は、椎体への挿入のために展開前構成を有する少なくとも1つの概して細長い部材から構成される。細長い部材は、網状骨組織を横切るよう、また構成の変化により網状骨組織に空洞を作成することなく、上端板および下端板を分離する支持構造を形成するよう構成される。
【0049】
本発明のさらなる態様は、上椎骨と下椎骨の間に挿入可能な椎間伸延装置に関する。一実施形態において、伸延装置は、上椎骨および下椎骨の間への挿入に適している展開前構成を有する少なくとも1つの概して細長い部材を含むことができる。細長い部材はまた、細長い部材の少なくとも部分が、構成の変化により、上椎骨および下椎骨を分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を規定する、展開構成を含む。さらに、支持構造は、分離された椎骨の方向に、細長い部材が上椎骨および下椎骨の間に挿入されるにつれて増大する範囲を有する。
【0050】
本発明の他の態様は、椎体へ挿入し、椎体の対向する端板を分離する、脊椎内伸延装置に関する。一実施形態において、伸延装置は、ヒトの椎体に、対向する端板の間に挿入するための、展開前構成を有する少なくとも1つの細長い部材から構成される。細長い部材はまた、細長い部材が端板の間に挿入されるにつれ端板の間の範囲が増大する、複数の積み重ねられた屈曲から構成される展開された形状を有する。細長い部材は、椎体へ挿入された際に、それ自体で展開構成を形成する傾向がある。好適な実施形態において、細長い部材は、支持構造を形成する本来の傾向を有する形状記憶材料から構成される。
【0051】
本発明のさらに他の態様は、小さなアクセス開口を有する、ヒトの脊柱内の密閉された空間内に形成されるよう構成された三次元支持構造に関する。支持構造は、アクセス開口を通っての密閉された空間への挿入に適した展開前構成を有する部材から構成される。部材は、密閉された空間への挿入の際に、三次元支持構造を形成するよう構成される。本発明の第1の態様は、通常、ヒトの脊柱を治療する伸延装置システムに関する。伸延装置システムは、概して細長い部材を脊柱の組織層の間の位置に案内する、少なくとも1つの案内部材から構成されることが好ましい。案内部材は、近位端部分と遠位端部分を有する。案内部材の遠位端部分は、組織層の間に挿入されて所望の多段支持構造の形状を規定するよう構成される。伸延装置は、伸延装置を案内部材に沿って遠位に進めて伸延部材を組織層の間に挿入する案内部材上に、スライド可能に取り付けられる。細長い部材は、案内部材の遠位端によって規定される形状に実質的に一致し、組織層を分離し、支持し、または分離および支持する多段支持構造を形成する。
【0052】
本発明の他の態様は、ヒトの脊柱を治療する伸延システムに関する。一実施形態において、伸延システムは、伸延装置を脊柱の組織層の間の位置に案内する、少なくとも1つの案内部材を含むであろう。案内部材は、近位端部分と遠位端部分を有する。案内部材の遠位端部分は、組織層の間に挿入され、多段支持構造の形状を規定するよう構成される。伸延装置は、案内部材に沿って伸延装置を遠位に進めて伸延装置を組織層の間に挿入する案内部材上に、スライド可能に取り付けられる。伸延装置は、案内部材の遠位端部分によって規定される形状に実質的に一致して、組織層を分離し、支持し、または分離および支持する多段支持構造を形成する。
【0053】
本発明の他の態様は、圧迫骨折などの椎骨の欠陥および損傷を治療する脊椎内伸延システムに関する。一実施形態において、伸延システムは通常、伸延装置を椎体内の位置に案内する、少なくとも1つの案内部材から構成される。案内部材は、近位端部分と遠位端部分とを有する。案内部材の遠位端部分は、椎体に挿入されるよう構成され、所望の支持構造の形状を規定する。伸延装置は、椎体への挿入のために伸延装置を案内部材に沿って遠位に進める案内部材上にスライド可能に取り付けられる。伸延装置は、案内部材の遠位端によって規定された形状に実質的に一致し、上端板および下端板を分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を形成する。
【0054】
本発明のさらに他の態様は、上椎骨と下椎骨の端板の間に挿入可能である椎間伸延システムに関する。一実施形態において、伸延システムは、伸延装置を上椎骨および下椎骨の間の位置へ案内する少なくとも1つの案内部材から構成される。案内部材は、近位端部分と遠位端部分を有する。案内部材の遠位端部分は、上椎骨および下椎骨の間に挿入されるよう構成され、多段支持構造の形状を規定する。伸延装置は、上椎骨および下椎骨の間への挿入のために伸延を案内部材に沿って遠位に進める案内部材上にスライド可能に取り付けられる。伸延装置は、案内部材の遠位端部分によって規定される形状に実質的に一致し、上椎骨および下椎骨を分離し、支持し、または分離および支持する多段支持構造を形成する。
【0055】
本発明の第1の態様は、通常、ヒトの脊柱を治療する伸延装置システムに関する。伸延装置システムは、概して細長い部材を脊柱の組織層の間の位置へ案内する、少なくとも1つの案内部材から構成されることが好ましい。案内部材は、近位端部分と遠位端部分を有する。案内部材の遠位端部分は、組織層の間に挿入されるよう構成され、所望の支持構造の形状を規定する。細長い部材は、細長い部材を案内部材に沿って遠位に進めて細長い部材を組織層の間に挿入する案内部材上に、スライド可能に取り付けられる。細長い部材は、案内部材の遠位端部分によって規定される形状に実質的に一致し、組織層を分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を形成する。
【0056】
本発明の他の態様は、ヒトの脊柱を治療する伸延システムに関する。一実施形態において、伸延システムは、伸延装置を脊柱の組織層の間の位置へ案内する少なくとも1つの案内部材を含んでよい。案内部材は、近位端部分と遠位端部分を有する。案内部材の遠位端部分は、組織層の間に挿入されるよう構成され、多段支持構造の形状を規定する。伸延装置は、伸延装置を案内部材に沿って遠位に進め、伸延装置を組織層の間に挿入する案内部材上に、スライド可能に取り付けられる。伸延装置は、案内部材の遠位端部分によって規定される形状に実質的に一致し、組織層を分離し、支持し、または分離および支持する多段支持構造を形成する。
【0057】
本発明の他の態様は、圧迫骨折などの椎骨の欠陥および損傷を治療する脊椎内伸延システムに関する。一実施形態において、伸延システムは、通常、伸延装置を椎体内の位置へ案内する、少なくとも1つの案内部材から構成される。案内部材は、近位端部分と遠位端部分を有する。案内部材の遠位端部分は、椎体内に挿入されるよう構成され、所望の支持構造の形状を規定する。伸延装置は、椎体内への挿入のために伸延装置を案内部材に沿って遠位に進める案内部材上にスライド可能に取り付けられる。伸延装置は、案内部材の遠位端によって規定された形状に実質的に一致し、上端板および下端板を分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を形成する。
【0058】
本発明のさらに他の態様は、上椎骨と下椎骨の端板の間に挿入可能である椎間伸延システムに関する。一実施形態において、伸延システムは、伸延装置を上椎骨と下椎骨の間の位置へ案内する、少なくとも1つの案内部材から構成される。案内部材は、近位端部分と遠位端部分を有する。案内部材の遠位端部分は、上椎骨および下椎骨の間に挿入されるよう構成され、多段支持構造の形状を規定する。伸延装置は、上椎骨および下椎骨の間への挿入のために伸延を案内部材に沿って遠位に進める案内部材上に、スライド可能に取り付けられる。伸延装置は、案内部材の遠位端部分によって規定される形状に実質的に一致し、上椎骨および下椎骨を分離し、支持し、または分離および支持する多段支持構造を形成する。
【0059】
本発明の第1の態様は通常、ヒトの脊柱の組織層の中または間に導入される流動性を有する材料の動きを制限する装置に関する。一実施形態において、装置は通常、ヒトの脊柱の組織層内またはその間への挿入のための展開前構成を有する、少なくとも1つの概して細長い部材から構成される。細長い部材はまた、細長い部材が、組織層の中または間に導入される、骨充填剤または治療薬物などの流動性を有する材料の動きを制限する障壁を形成する、展開構成を有する。
【0060】
本発明の他の態様は、ヒトの椎骨の椎体に導入される流動性を有する材料の動きを制限する装置に関する。一実施形態において、装置は、椎体内への挿入のための展開前構成を有する少なくとも1つの概して細長い部材を含む。細長い部材はまた、細長い部材が、椎体に導入される流動性を有する材料の動きを制限する障壁を形成する、展開構成も含む。
【0061】
本発明のさらに他の態様は、上椎骨と下椎骨の間に導入される流動性を有する材料の動きを制限する装置に関する。一実施形態において、装置は、上椎骨と下椎骨の間への挿入のために展開前構成を有する、少なくとも1つの概して細長い部材から構成される。細長い部材はまた、細長い部材が、上椎骨および下椎骨の間に導入される流動性を有する材料の動きを制限する障壁を形成する、展開構成も有する。
【0062】
本発明のさらなる態様は、ヒトの椎骨の椎体に導入された流動性を有する材料の動きを制限する装置に関する。一実施形態において、装置は、概して細長い部材を椎体へ案内する、少なくとも1つの案内部材から構成される。案内部材は、近位端および遠位端を有する。案内部材の遠位端部分は、椎体への挿入に適し、所望の障壁の形状をその中に規定する。細長い部材は、椎体への挿入のために細長い部材を案内部材に沿って遠位に進める案内部材の上に、スライド可能に取り付けられる。細長い部材は、案内部材の遠位端部分によって規定される形状に実質的に一致し、椎体内に導入される流動性を有する材料の動きを制限し、または導くよう構成された障壁を形成する。
【0063】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明において説明される。その点において、本発明は、単独および/または他の態様と組み合わせて有用であろう多数の異なる態様を含むことに留意されるべきである。したがって、上述の要約は、ここに、または以下の請求項に記載される、このような態様のそれぞれと完全と同一ではなく、本発明の概観を表し、以下のより詳細な説明を理解することを支援するものである。本発明の範囲は、ここにまたは今後提出される請求項に説明される通りである。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
ヒトの脊柱を治療する伸延装置であって、
組織層の間に挿入するように適合された展開前構成と、上記組織層を分離し、支持し、または分離および支持する展開構成であって、細長い部材の少なくとも部分が、構成の変化により、内在容積を含む支持構造を上記組織層の間に形成する、展開構成とを有する少なくとも1つの概して細長い部材を含み、上記支持構造は、上記細長い部材が上記組織層の間に挿入されるにつれて、上記組織の間の方向に増大する範囲を有する、伸延装置。
(項目2)
上記展開前構成は、概して線状である、項目1に記載の伸延装置。
(項目3)
上記細長い部材は、形状を変化させて、複数の屈曲を有する概してコイル形状の支持構造を規定する、項目1に記載の伸延装置。
(項目4)
各屈曲が、すぐ隣の屈曲に実質的に接触する、項目3に記載の伸延装置。
(項目5)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目1に記載の伸延装置。
(項目6)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目1に記載の伸延装置。
(項目7)
上記支持構造は、実質的に剛である、項目1に記載の伸延装置。
(項目8)
上記細長い部材は、上記支持構造を形成する本来の傾向を有する、項目1に記載の伸延装置。
(項目9)
上記細長い部材は、形状記憶材料を含む、項目8に記載の伸延装置。
(項目10)
上記支持構造は、上記内在容積に通じる通路を含む、項目1に記載の伸延装置。
(項目11)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材とを含み、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは、並んで配置される、項目1に記載の伸延装置。
(項目12)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材から構成されており、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは順に積み重ねられる、項目1に記載の伸延装置。
(項目13)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と、第2の細長い部材と、第3の細長い部材と、第4の細長い部材とを含み、上記細長い部材によって規定される上記支持構造は、並んで積み重ねられた配置に配置される、項目1に記載の伸延装置。
(項目14)
上記細長い部材に動作可能に接続されて、上記細長い部材を組織層の間に挿入することを支援する超音波振動を生じさせるエネルギー源をさらに含む、項目1に記載の伸延装置。
(項目15)
ヒトの脊柱を治療する伸延システムであって、
近位端部分と、遠位端部分と、その間に延在する管腔とを有するカニューレであって、上記遠位端部分は、組織の層に隣接してまたはその間に配置されるように構成されるカニューレと、
上記カニューレの上記管腔を通過し、上記カニューレの上記遠位端部分から組織層の間の位置に出るのに適している展開前構成と、上記組織層を分離し、支持し、または分離および支持する展開構成とを有する少なくとも1つの概して細長い部材であって、上記細長い部材の少なくとも部分は、上記部分が上記カニューレの上記遠位端部分から出る時に構成の変化によって内在容積を含む支持構造を規定し、上記支持構造は、上記組織の間の方向に、上記細長い部材が上記カニューレの上記遠位端部分から出るにつれて増大する範囲を有する、少なくとも1つの概して細長い部材と
を含む、伸延システム。
(項目16)
上記細長い部材は、形状を変化させて、複数の屈曲を有する概してコイル形状の支持構造を規定する、項目15に記載の伸延システム。
(項目17)
各屈曲が、すぐ隣の屈曲に実質的に接触する、項目16に記載の伸延システム。
(項目18)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目15に記載の伸延システム。
(項目19)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目15に記載の伸延システム。
(項目20)
上記支持構造は、実質的に剛である、項目15に記載の伸延システム。
(項目21)
上記細長い部材は、上記支持構造を形成する本来の傾向を有する、項目15に記載の伸延システム。
(項目22)
上記細長い部材は、形状記憶材料を含む、項目21に記載の伸延システム。
(項目23)
上記支持構造は、上記内在容積に通じる通路を含む、項目15に記載の伸延システム。
(項目24)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材とを含み、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは、並んで配置される、項目15に記載の伸延システム。
(項目25)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材とを含み、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは順に積み重ねられる、項目15に記載の伸延システム。
(項目26)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と、第2の細長い部材と、第3の細長い部材と、第4の細長い部材とを含み、上記細長い部材によって規定される上記支持構造は、並んで積み重ねられた配置に配置される、項目15に記載の伸延システム。
(項目27)
上記細長い部材に動作可能に接続されて、組織層の間に上記細長い部材を挿入することを支援する超音波振動を生じさせるエネルギー源をさらに含む、項目15に記載の伸延システム。
(項目28)
椎体の上端板と下端板との間に挿入可能である脊椎内伸延装置であって、
上記椎体内に挿入するように適合されている展開前構成を有する少なくとも1つの概して細長い部材と、上記細長い部材の少なくとも部分が構成の変化により、上記部分が上記椎体内に配置されるときに、上記上端板と上記下端板とを分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を規定する展開構成とを有し、上記支持構造は常在の容積を含む、伸延装置。
(項目29)
上記展開前構成は、概して線状である、項目28に記載の伸延装置。
(項目30)
上記細長い部材は、形状を変化させて、複数の屈曲を有する概してコイル形状の支持構造を規定する、項目28に記載の伸延装置。
(項目31)
各屈曲が、すぐ隣の屈曲に実質的に接触する、項目30に記載の伸延装置。
(項目32)
上記支持構造は、上記分離された上端板と下端板との方向に範囲を有し、上記範囲は、上記細長い部材が上記椎体内に挿入されるにつれて増大する、項目28に記載の伸延装置。
(項目33)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目28に記載の伸延装置。
(項目34)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目28に記載の伸延装置。
(項目35)
上記支持構造は実質的に剛である、項目28に記載の伸延装置。
(項目36)
上記細長い部材は、上記支持構造を形成する本来の傾向を有する、項目28に記載の伸延装置。
(項目37)
上記細長い部材は、形状記憶材料を含む、項目36に記載の伸延装置。
(項目38)
上記支持構造は、上記内在容積に通じる通路を含む、項目28に記載の伸延装置。
(項目39)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材とを含み、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは、並んで配置される、項目28に記載の伸延装置。
(項目40)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材とを含み、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは順に積み重ねられる、項目28に記載の伸延装置。
(項目41)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と、第2の細長い部材と、第3の細長い部材と、第4の細長い部材とを含み、上記細長い部材によって規定される上記支持構造は、並んで積み重ねられた配置に配置される、項目28に記載の伸延装置。
(項目42)
上記細長い部材に動作可能に接続されて、上記細長い部材を上記椎体内に挿入することを支援する超音波振動を生じさせるエネルギー源をさらに含む、項目28に記載の伸延装置。
(項目43)
椎体の上端板と下端板との間に、その間の網状骨組織内に空洞を形成することなく挿入可能である脊椎内伸延装置であって、
上記椎体内に挿入するように適合されている展開前構成を有する少なくとも1つの概して細長い部材を含み、上記細長い部材は、上記椎体内の網状骨組織を横切り、構成の変化によって、上端板と下端板とを上記端板間の網状骨組織に空洞を作ることなく、分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を形成するように適合されている、伸延装置。
(項目44)
上記展開前形構成は、概して線状である、項目43に記載の伸延装置。
(項目45)
上記細長い部材は、形状を変化させて、複数の屈曲を有する概してコイル形状の支持構造を規定する、項目43に記載の伸延装置。
(項目46)
各屈曲が、すぐ隣の屈曲に実質的に接触する、項目45に記載の伸延装置。
(項目47)
上記支持構造は、上記端板の分離の方向に測定される範囲を有し、上記範囲は、上記細長い部材が上記椎体内に挿入されるにつれて増大する、項目43に記載の伸延装置。
(項目48)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目43に記載の伸延装置。
(項目49)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目43に記載の伸延装置。
(項目50)
上記支持構造は、実質的に剛である、項目43に記載の伸延装置。
(項目51)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を形成する本来の傾向を有する、項目43に記載の伸延装置。
(項目52)
上記細長い部材は、形状記憶材料を含む、項目51に記載の伸延装置。
(項目53)
上記支持構造は、内在容積を含み、上記内在容積に通じる通路を含む、項目43に記載の伸延装置。
(項目54)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材とを含み、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは、並んで配置される、項目43に記載の伸延装置。
(項目55)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材とを含み、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは順に積み重ねられる、項目43に記載の伸延装置。
(項目56)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と、第2の細長い部材と、第3の細長い部材と、第4の細長い部材とを含み、上記細長い部材によって規定される支持構造は、並んで積み重ねられた配置に配置される、項目43に記載の伸延装置。
(項目57)
上記細長い部材に運転可能に接続されて、上記細長い部材を上記上椎骨と上記下椎骨との間に挿入することを支援する超音波振動を生じさせるエネルギー源をさらに含む、項目43に記載の伸延装置。
(項目58)
上椎骨と下椎骨との端板の間に挿入可能である椎間内伸延装置であって、
上椎骨と下椎骨との間に挿入されるように適合されている展開前構成と、細長い部材の少なくとも部分は構成の変化により、上記上椎骨と上記下椎骨とを分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を規定する展開構成とを有する、少なくとも1つの概して細長い部材であって、上記支持構造は、椎骨間の方向に、上記細長い部材が上記上椎骨と上記下椎骨との間に挿入されるにつれて増大する範囲を有する、少なくと1つの細長い部材を含む、伸延装置。
(項目59)
上記細長い部材は、形状を変化させて、複数の屈曲を有する概してコイル形状の支持構造を規定する、項目58に記載の伸延装置。
(項目60)
各屈曲が、すぐ隣の屈曲に実質的に接触する、項目59に記載の伸延装置。
(項目61)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目58に記載の伸延装置。
(項目62)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目58に記載の伸延装置。
(項目63)
上記支持構造は、実質的に剛である、項目58に記載の伸延装置。
(項目64)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を形成する本来の傾向を有する、項目58に記載の伸延装置。
(項目65)
上記細長い部材は、形状記憶材料を含む、項目64に記載の伸延装置。
(項目66)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材とを含み、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは、並んで配置される、項目58に記載の伸延装置。
(項目67)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と第2の細長い部材とを含み、上記第1の細長い部材によって規定される上記支持構造と上記第2の細長い部材によって規定される上記支持構造とは、順に積み重ねられる、項目58に記載の伸延装置。
(項目68)
上記少なくとも1つの細長い部材は、第1の細長い部材と、第2の細長い部材と、第3の細長い部材と、第4の細長い部材とを含み、上記細長い部材によって規定される上記支持構造は、並んで積み重ねられた配置に配置される、項目58に記載の伸延装置。
(項目69)
上記細長い部材に運転可能に接続されて、上記細長い部材を上記椎体に挿入することを支援する超音波振動を生じさせるエネルギー源をさらに含む、項目58に記載の伸延装置。
(項目70)
椎体内に挿入し、椎体の対向する端板を分離する脊椎内伸延装置であって、
ヒトの椎体の対向する端板の間の上記ヒトの椎体本体に挿入するように適合された展開前構成と、細長い部材がその間に挿入されるにつれて上記端板の間の範囲が増大する、積み重ねられた複数の屈曲を含む展開構成とを有する、少なくとも1つの概して細長い部材を含み、上記細長い部材は、上記椎体に挿入された際に上記展開構成を形成する傾向がある、伸延装置。
(項目71)
上記展開前構成は、概して線状である、項目70に記載の伸延装置。
(項目72)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目70に記載の伸延装置。
(項目73)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目70に記載の伸延装置。
(項目74)
上記細長い部材は、形状記憶材料を含む、項目70に記載の伸延装置。
(項目75)
ヒトの脊柱内の密閉された空間内に形成されるように適合された三次元支持構造であって、
上記三次元支持構造は、アクセス開口を通って密閉された空間内に挿入するのに適した展開前構成を有する部材を含む上記支持構造内に小さなアクセス開口を有し、上記部材は、上記密閉された空間内に挿入された際に上記三次元支持構造を形成するように適合されている、三次元支持構造。
(項目76)
ヒトの脊椎を治療する伸延システムであって、
概して細長い部材を、脊柱の組織層の間の位置に案内する少なくとも1つの案内部材であって、上記案内部材は近位端部分と遠位端部分とを有し、上記遠位端部分は上記組織層の間への挿入に適し、所望の支持構造の形状を規定する、案内部材と、
上記組織層の間への挿入のために上記細長い部材を上記案内部材に沿って遠位に進める上記案内部材上にスライド可能に取り付けられた上記細長い部材であって、上記案内部材の上記遠位端部分によって規定された形状に実質的に一致して、上記組織層を分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を形成する、上記細長い部材と
を含む、伸延システム。
(項目77)
上記案内部材は、上記遠位端部分を上記組織層の間に挿入するための展開前構成と、上記案内部材の上記遠位端部分が構成の変化により上記所望の維持構造の形状を形成する展開構成とを有する、項目76に記載の伸延システム。
(項目78)
上記案内部材の上記展開前構成は、概して線状である、項目77に記載の伸延装置。
(項目79)
上記案内部材の上記遠位端部分は、上記展開構成を自ら形成する、項目77に記載の伸延システム。
(項目80)
上記案内部材の少なくとも上記遠位端部分は、形状記憶材料を含む、項目79に記載の伸延システム。
(項目81)
上記案内部材の上記遠位端部分によって形成される上記所望の支持構造の形状は、複数の隣接する屈曲を含むコイル形状である、項目76に記載の伸延システム。
(項目82)
上記案内部材の上記遠位端部分によって形成される上記所望の構造の形状は、らせん形状である、項目76に記載の伸延システム。
(項目83)
上記案内部材の上記遠位端部分を組織層の間の位置に挿入することを支援するカニューレをさらに含む、項目76に記載の伸延システム。
(項目84)
上記案内部材に運転可能に接続され、上記案内部材の上記遠位端部分の組織層の間の位置への挿入を援助する超音波振動を生じさせるエネルギー源をさらに含む、項目76に記載の伸延システム。
(項目85)
上記案内部材は、上記支持構造が形成された後に上記細長い部材から除去されるよう構成された、項目76に記載の伸延システム。
(項目86)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目76に記載の伸延システム。
(項目87)
上記細長い部材は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目76に記載の伸延システム。
(項目88)
ヒトの脊柱を治療する伸延システムであって、
伸延装置を脊柱の組織層の間の位置に案内する少なくとも1つの案内部材であって、上記案内部材は近位端部分と遠位端部分とを有し、上記遠位端部分は上記組織層の間への挿入に適しており、多段支持構造の形状を規定する、案内部材と、
上記組織層の間への挿入のために上記案内部材に沿って上記伸延装置を遠位に進める上記案内部材上にスライド可能に取り付けられる上記伸延装置であって、上記組織層を分離し、支持し、または分離および支持する、上記案内部材の上記遠位端部分によって規定されて多段支持構造を形成する形状に実質的に一致する、上記伸延装置と
を含む、伸延システム。
(項目89)
上記案内部材は、組織層の間への上記遠位端部分の挿入のための展開前構成と、上記案内部材の上記遠位端部分が構成の変化により所望の支持構造の形状を形成する展開構成とを有する、項目88に記載の伸延システム。
(項目90)
上記案内部材の上記展開前構成は、概して線状である、項目89に記載の伸延システム。
(項目91)
上記案内部材の上記遠位端部分が上記展開構成を自ら形成する、項目89に記載の伸延システム。
(項目92)
上記案内部材の少なくとも上記遠位端部分が、形状記憶材料を含む、項目91に記載の伸延システム。
(項目93)
上記案内部材の上記遠位端によって形成される所望の支持構造の形状は、複数の屈曲を含むコイル形状である、項目88に記載の伸延システム。
(項目94)
上記案内部材の上記遠位端を組織層の間の位置に挿入することを支援するカニューレをさらに含む、項目88に記載の伸延システム。
(項目95)
上記案内部材に運転可能に接続されて、上記案内部材の上記遠位端部分の組織層の間の位置への挿入を支援する超音波振動を生じさせるエネルギー源をさらに含む、項目88に記載の伸延システム。
(項目96)
上記案内部材は、上記支持構造が形成された後に上記伸延装置から除去されるよう構成される、項目88に記載の伸延システム。
(項目97)
上記伸延装置は、細長い部材を含む、項目88に記載の伸延システム。
(項目98)
上記伸延装置は、複数の伸延要素を含む、項目88に記載の伸延システム。
(項目99)
上記伸延装置は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目88に記載の伸延システム。
(項目100)
上記伸延装置は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目88に記載の伸延システム。
(項目101)
椎体の上端板と下端板との間に挿入可能である脊椎内伸延システムであって、
伸延装置を上記椎体内の位置に案内する少なくとも1つの案内部材であって、上記案内部材は近位端部分と遠位端部分とを有し、上記遠位端部分は上記椎体への挿入に適し、所望の支持構造の形状を規定する、案内部材と、
上記椎体内への挿入のために上記案内部材に沿って上記伸延装置を遠位に進める上記案内部材上にスライド可能に取り付けられる上記伸延装置であって、上記案内部材の上記遠位端部分によって規定される形状に実質的に一致して、上端板と下端板とを分離し、支持し、または分離および支持する支持構成を形成する、上記伸延装置と
を含む、伸延システム。
(項目102)
上記案内部材は、上記遠位端部分の上記椎体への挿入のための展開前構成と、上記案内部材の上記遠位端部分が構成の変化により上記所望の支持構造の形状を形成する展開構成とを有する、項目101に記載の伸延システム。
(項目103)
上記案内部材の上記展開前構成は、概して線状である、項目102に記載の伸延システム。
(項目104)
上記案内部材の上記遠位端部分は、上記展開構成を自ら形成する、項目102に記載の伸延システム。
(項目105)
上記案内部材の少なくとも上記遠位端部分は、形状記憶材料を含む、項目104に記載の伸延システム。
(項目106)
上記案内部材の上記遠位端部分によって形成される上記所望の支持構造の形状は、複数の隣接する屈曲を含むコイル形状である、項目101に記載の伸延システム。
(項目107)
上記案内部材の上記遠位端部分によって形成される上記所望の支持構造の形状は、らせん形状である、項目101に記載の伸延システム。
(項目108)
上記案内部材の上記遠位端部分の組織層の間の位置への挿入を支援するカニューレをさらに含む、項目101に記載の伸延システム。
(項目109)
上記案内部材に運転可能に接続されて、上記案内部材の上記遠位端部分の組織層の間の位置への挿入を援助する超音波振動を生じさせるエネルギー源をさらに含む、項目101に記載の伸延システム。
(項目110)
上記案内部材は、上記支持構造が形成された後に上記伸延装置から除去されるよう構成される、項目101に記載の伸延システム。
(項目111)
上記伸延装置は、細長い部材を含む、項目101に記載の伸延システム。
(項目112)
上記伸延装置は、複数の伸延要素を含む、項目101に記載の伸延システム。
(項目113)
上記伸延装置は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目101に記載の伸延システム。
(項目114)
上記伸延装置は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目101に記載の伸延システム。
(項目115)
上椎骨と下椎骨との端板の間に挿入可能である椎間内伸延システムであって、
伸延装置を上記上椎骨と上記下椎骨との間の位置に案内する少なくとも1つの案内部材であって、上記案内部材は近位端部分と遠位端部分とを有し、上記遠位端部分は上記上椎骨と上記下椎骨との間への挿入に適し、所望の多段支持構造の形状を規定する、少なくとも1つの案内部材と、
上記上椎骨と上記下椎骨との間への挿入のために、上記伸延装置を上記案内部材に沿って遠位に進める上記案内部材上にスライド可能に取り付けられる上記伸延装置であって、上記案内部材の上記遠位端部分によって規定される形状に実質的に一致して、上記上椎骨と上記下椎骨とを分離し、支持し、または分離および支持する支持構造を形成する、上記伸延装置と
を含む、伸延システム。
(項目116)
上記案内部材は、上記上椎骨と上記下椎骨との間への上記遠位端部分の挿入のための展開前構成と、上記案内部材の上記遠位端部分が構成の変化により上記所望の支持構造の形状を形成する展開構成とを有する、項目115に記載の伸延システム。
(項目117)
上記案内部材の展開前構成は、概して線状である、項目116に記載の伸延システム。
(項目118)
上記案内部材の上記遠位端部分は、展開構成を自ら形成する、項目116に記載の伸延システム。
(項目119)
案内部材の少なくとも遠位端部分は、形状記憶材料を含む、項目119に記載の方法。
(項目120)
上記案内部材の上記遠位端部分によって形成される上記所望の支持構造の形状は、複数の屈曲を含むコイル形状である、項目115に記載の伸延システム。
(項目121)
上記案内部材の上記遠位端部分の上記上椎骨と上記下椎骨の間の位置への挿入を支援するカニューレをさらに含む、項目115に記載の伸延システム。
(項目122)
上記案内部材に運転可能に接続され、上記案内部材の上記遠位端部分の組織層の間の位置への挿入を支援する超音波振動を生じさせるエネルギー源をさらに含む、項目115に記載の伸延システム。
(項目123)
上記案内部材は、上記支持構造が形成された後に、上記伸延装置から除去されるように構成される、項目115に記載の伸延システム。
(項目124)
上記伸延装置は、細長い部材を含む、項目115に記載の伸延システム。
(項目125)
上記伸延装置は、複数の伸延要素を含む、項目115に記載の伸延システム。
(項目126)
上記伸延装置は、上記支持構造の形状を保持することを支援する断面形状を有する、項目115に記載の伸延システム。
(項目127)
上記伸延装置は、上記支持構造の形状を保持することを支援する干渉表面を含む、項目115に記載の伸延システム。
(項目128)
ヒトの脊柱の組織層の中または間に導入される流動性を有する材料の動きを制限または誘導する装置であって、
上記ヒトの脊柱の組織層の中または間への挿入に適している展開前構成と、細長い部材が上記組織層の中または間に導入される流動性を有する材料の動きを制限または誘導する障壁を形成する第2の展開構成とを有する、少なくとも1つの概して細長い部材とを含む、装置。
(項目129)
上記障壁が、上記流動性を有する材料の、周囲の脊髄組織への所望でない管外遊出を減少させる、項目128に記載の装置。
(項目130)
上記障壁が、上記流動性を有する材料の動きを、上記組織層内または間の所望の位置だけに実質的に制限する、項目128に記載の装置。
(項目131)
上記細長い部材は、上記流動性を有する材料の動きを導くのに適している少なくとも1つの通路を含む、項目128に記載の装置。
(項目132)
上記障壁は、内在容積を含む、項目128に記載の装置。
(項目133)
上記障壁の上記内在容積に導入された流動性を有する材料は、上記内在容積に実質的に含まれる、項目132に記載の装置。
(項目134)
上記障壁の上記内在容積の外側に導入される流動性を有する材料は、上記内在容積に流入することを実質的に防止される、項目132に記載の装置。
(項目135)
上記障壁は、流動性を有する材料が導入されることができる少なくとも1つの通路を含み、上記通路は、上記流動性を有する材料を上記内在容積へ導くよう構成される、項目132に記載の装置。
(項目136)
上記障壁は、それを通る少なくとも1つの通路を有する壁を含み、上記通路は、上記流動性を有する材料の動きを導くよう構成される、項目128に記載の装置。
(項目137)
上記通路は、上記流動性を有する材料の動きを、上記組織層の中または間の所望の位置のみに制限する、項目136に記載の装置。
(項目138)
上記通路は、上記細長い部材に沿って配置される溝から形成される、項目136に記載の装置。
(項目139)
上記細長い部材の上記展開構成は、複数の積み重ねられた屈曲を有するらせん構成から構成される、項目128に記載の装置。
(項目140)
上記細長い部材は、上記障壁を形成する本来の傾向を有する、項目128に記載の装置。
(項目141)
細長い部材は、形状記憶物質から構成される、項目140に記載の装置。
(項目142)
上記展開前構成は、概して線状である、項目128に記載の装置。
(項目143)
ヒトの椎骨の椎体に導入される流動性を有する材料の動きを制限または誘導する装置であって、
椎体への挿入に適している展開前構成と、細長い部材が、上記椎体へ導入される流動性を有する材料の動きを制限または誘導する障壁を形成する展開構成とを有する、少なくとも1つの概して細長い部材を含む、装置。
(項目144)
上記障壁は、上記流動性を有する材料の、周囲の脊椎組織への所望でない管外遊出を縮小させる、項目143に記載の装置。
(項目145)
上記障壁は、上記流動性を有する材料の動きを、上記椎体内の所望の位置のみに実質的に制限する、項目143に記載の装置。
(項目146)
上記細長い部材は、上記流動性を有する材料の動きを導くのに適している、少なくとも1つの通路を含む、項目143に記載の装置。
(項目147)
上記障壁は、内在容積を含む、項目143に記載の装置。
(項目148)
上記障壁の上記内在容積内へ導入される流動性を有する材料は、上記内在容積に実質的に含まれる、項目147に記載の装置。
(項目149)
上記障壁の上記内在容積の外側に導入される流動性を有する材料は、上記内在容積へ流入することを実質的に防止される、項目147に記載の装置。
(項目150)
上記障壁は、流動性を有する材料が導入されることができる少なくとも1つの通路を含み、上記通路は、上記流動性のある材料を内在容積へ導くよう構成された、項目147に記載の装置。
(項目151)
上記障壁は、それを通る少なくとも1つの通路を有する壁を含み、上記通路は、上記流動性を有する材料の動きを導くよう構成される、項目143に記載の装置。
(項目152)
上記通路は、上記流動性を有する材料の動きを、上記椎体内の所望の位置のみに制限する、項目151に記載の装置。
(項目153)
上記通路は、上記細長い部材に沿って配置される溝から形成される、項目151に記載の装置。
(項目154)
上記細長い部材の上記展開構成は、複数の積み重ねられた屈曲を有するらせん構成から構成される、項目143に記載の装置。
(項目155)
上記展開前構成は、概して線状である、項目143に記載の装置。
(項目156)
上記細長い部材は、上記障壁を形成する本来の傾向を有する、項目143に記載の装置。
(項目157)
上記細長い部材は、形状記憶材料を含む、項目156に記載の装置。
(項目158)
上椎骨と下椎骨との間に導入される流動性を有する材料の動きを制限または誘導する装置であって、
上椎骨と下椎骨との間の挿入に適合されている展開前構成と、細長い部材が上記上椎骨と上記下椎骨との間に導入される流動性を有する材料の上記動きを制限または誘導する障壁を形成する展開構成とを有する、少なくとも1つの概して細長い部材を含む、装置。
(項目159)
上記障壁は、上記流動性を有する材料の、周囲の脊椎組織への所望でない管外遊出を減少させる、項目158に記載の装置。
(項目160)
上記障壁は、上記流動性を有する材料の動きを、上記上椎骨と上記下椎骨との間の所望の位置のみに実質的に制限する、項目158に記載の装置。
(項目161)
上記細長い部材は、上記流動性を有する材料の動きを導くよう構成された少なくとも1つの通路を含む、項目158に記載の装置。
(項目162)
上記障壁は、内在容積を含む、項目158に記載の装置。
(項目163)
上記障壁の上記内在容積へ導入される流動性を有する材料は、上記内在容積に実質的に含まれる、項目162に記載の装置。
(項目164)
上記障壁の上記内在容積の外側に導入される流動性を有する材料は、上記内在容積に流入することを実質的に防止される、項目162に記載の装置。
(項目165)
上記障壁は、流動性を有する材料がその中に導入されることができる少なくとも1つの通路を含み、上記通路は上記流動性を有する材料を上記内在容積に導くよう構成される、項目162に記載の装置。
(項目166)
上記障壁は、それを通る少なくとも1つの通路を有する壁を含み、上記通路は、上記流動性を有する材料の動きを導くよう構成される、項目158に記載の装置。
(項目167)
上記通路は、上記流動性を有する材料の動きを、上記上椎体と下椎体との間の所望の位置のみに制限する、項目166に記載の装置。
(項目168)
上記通路は、上記細長い部材に沿って配置される溝から形成される、項目166に記載の装置。
(項目169)
上記細長い部材の上記展開構成は、複数の積み重ねられた屈曲を有するらせん構成から構成される、項目158に記載の装置。
(項目170)
上記細長い部材は、上記障壁を形成する本来の傾向を有する、項目158に記載の装置。
(項目171)
上記細長い部材は、形状記憶材料を含む、項目170に記載の装置。
(項目172)
上記展開前構成は、概して線状である、項目158に記載の装置。
(項目173)
ヒトの椎骨の椎体に導入される流動性を有する材料の動きを制限または誘導する装置であって、
概して細長い部材を上記椎体に案内する少なくとも1つの案内部材であって、上記案内部材は近位端部分と遠位端部分とを有し、上記遠位端部分は上記椎体への挿入に適し、所望の障壁の形状をその中に規定する、案内部材と、
上記椎体への挿入のために上記細長い部材を上記案内部材に沿って遠位に進める上記案内部材上にスライド可能に取り付けられる上記細長い部材であって、上記案内部材の上記遠位端部分によって規定されて、上記椎体に導入される流動性を有する材料の動きを制限または誘導するように適合された障壁を形成する形状に実質的に一致する、上記細長い部材と
を含む、装置。
(項目174)
上記障壁は、上記流動性を有する材料の脊椎組織への所望でない管外遊出を減少させる、項目173に記載の装置。
(項目175)
上記障壁は、上記流動性を有する材料の動きを、上記椎体内の所望の位置のみに実質的に制限する、項目173に記載の装置。
(項目176)
上記細長い部材は、上記流動性を有する材料の動きを導くように適合された少なくとも1つの通路を含む、項目173に記載の装置。
(項目177)
上記障壁は、内在容積を有する、項目173に記載の装置。
(項目178)
上記障壁の上記内在容積に導入される流動性を有する材料は、上記内在容積に実質的に含まれる、項目177に記載の装置。
(項目179)
上記障壁の上記内在容積の外側に導入される流動性を有する材料は、上記内在容積に流入することを実質的に防止される、項目177に記載の装置。
(項目180)
上記障壁は、流動性を有する材料が導入されることができる少なくとも1つの通路を含み、上記通路は、上記流動性を有する材料を上記内在容積へ導くよう構成される、項目177に記載の装置。
(項目181)
上記障壁は、それを通る少なくとも1つの通路を有する壁を含み、上記通路は、上記流動性を有する材料の動きを導くよう構成される、項目173に記載の装置。
(項目182)
上記通路は、上記流動性を有する材料の動きを、上記椎体内の所望の位置のみに制限する、項目181に記載の装置。
(項目183)
上記通路は、上記細長い部材に沿って配置される溝から形成される、項目181に記載の装置。
(項目184)
案内部材は、上記遠位端部分の組織層の間への挿入のための展開前構成と、上記案内部材の上記遠位端部分が構成の変化により上記所望の障壁の形状を形成する展開構成とを有する、項目173に記載の装置。
(項目185)
上記展開前構成は、概して線状である、項目184に記載の装置。
(項目186)
上記案内部材の上記遠位端は、上記展開構成を自ら形成する、項目184に記載の装置。
(項目187)
上記案内部材の少なくとも上記遠位端部分は、形状記憶材料を含む、項目186に記載の装置。
【0064】
この説明の間に、添付の図面に言及されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、通常のヒトの脊柱の部分側面図である。
【図2】図2は、図1に相当するが、椎体の1つに脊椎圧迫骨折を示す。
【図3】図3は、端板が部分的に除去された、椎骨の上面図である。
【図4】図4は、図3の椎骨の側面図である。
【図5】図5は、コイルまたはバネの形状で示される、本発明の伸延装置の一実施形態の斜視図である。
【図6】図6は、図5の伸延装置の鉛直断面図である。
【図7】図7は、カニューレ、プッシャー、および展開前の伸延装置を示す、本発明の注入システムの一実施形態の斜視図である。
【図8】図8は、カニューレから部分的に押し出された伸延装置を示す、図7の注入システムの斜視図である。
【図9】図9〜図11は、伸延装置の展開順序を説明する、図7のシステムの部分側面図である。
【図10】図9〜図11は、伸延装置の展開順序を説明する、図7のシステムの部分側面図である。
【図11】図9〜図11は、伸延装置の展開順序を説明する、図7のシステムの部分側面図である。
【図12】図12は、椎体内での伸延装置の展開を示す、椎骨および図7の伸延システムの水平断面図である。
【図13】図13は、骨折した脊椎内での伸延装置の部分展開を説明する、図12の椎骨および伸延システムの側断面図である。
【図14】図14は、伸延装置は原則的に完全に展開されて椎体の高さを回復させる、図12の椎骨および伸延装置の側断面図である。
【図15−1】図15は、椎体内に配置された伸延装置を有する椎骨の水平断面図であり、骨充填剤(または「セメント」)が椎体に注入されている。
【図15−2】図15Aは、椎体内に配置された伸延装置を有する椎骨の水平断面図であり、伸延装置は注入された骨充填剤の流れを導く通路または溝を有する。
【図16】図16は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図17】図17は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図18】図18は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図19】図19は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図20】図20は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図21】図21は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図22】図22は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図23】図23は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図24】図24は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図25】図25は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図26−1】図26は、異なる断面外形を有する伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図26−2】図26Aは、「ケージ」が隣接する椎骨の間に挿入される、従来技術の装置の説明図である。図26Bは、椎間板髄核除去のための椎間板除去ツールが椎間板に挿入されて示される、椎間板の水平断面図である。図26Cは、上椎骨と下椎骨の間に示され、伸延装置はカニューレを介して椎間板内に注入されている、図26Bの椎間板の部分側断面図である。
【図26−3】図26Dは、上椎骨と下椎骨間に示され、伸延装置は椎間板内で完全に展開されている、図26Bの椎間板の部分断面正面図である。図26Eは、椎体置換に「ケージ」が用いられる、従来技術の装置の説明図である。図26Fは、椎体置換に用いられる、他の従来技術の装置の説明図である。図26Gは、椎体骨除去のために椎骨除去が椎骨に挿入されて示される、椎骨の水平断面図である。図26Hは、脊柱の区分内に示され、椎体骨の除去により作成された空間への伸延装置の注入を示す切り欠き部分を有する、図26Gの椎骨の側面図である。
【図26−4】図26Iは、脊柱の区分内に示され、椎体内で完全に展開された伸延装置を示す部分を有する、図26Gの椎骨の側面図である。図26Jは、椎骨の1つの椎体は隣接する椎間板と共に実質的に除去されて、このような除去により作成された空間内に伸延装置が展開される、脊柱の区分の側面図である。図26Kは、伸延装置が完全に展開されて示される、図26Jの脊柱の区分の側面図である。
【図27】図27は、伸延装置を案内ワイヤ上で進めるプッシャーを用いる伸延装置および注入システムの他の実施形態の部分側断面図である。
【図28】図28は、プッシャーは遠位に進められ、伸延装置は案内ワイヤのコイル状の区分の上を部分的に進められる、図27の伸延装置注入システムの部分側断面図である。
【図29】図29は、伸延装置は実質的に案内ワイヤのコイル状の区分の上を進められる、図27の伸延装置注入システムの部分側断面図である。
【図30】図30は、上端板が除去されて椎体への案内ワイヤの注入を示す、椎骨の斜視図である。
【図31】図31は、案内ワイヤが椎体内で部分的に展開されている、図30に示される椎骨の斜視図である。
【図32】図32は、カニューレおよびイントロデューサーシースが除去された後、伸延装置およびプッシャーが案内ワイヤ上に取り付けられて示される、図30の椎骨の斜視図である。
【図33】図33は、伸延装置が部分的に進められ、または椎体内で展開されて示される、図30の椎骨の斜視図である。
【図34】図34は、伸延装置が椎体内で実質的に完全に展開されて示される、図30の椎骨の斜視図である。
【図35】図35は、伸延装置は椎体内で完全に展開される、図30の椎骨の側断面図である。
【図36】図36は、椎体内で展開された伸延装置と、伸延装置内の患部に注入された骨充填剤を有する椎骨の水平断面図である。
【図37】図37は、展開された位置にある時に、概して中空の円筒状コイルまたはらせん形状の指示構造を椎骨内に規定する、伸延装置によって規定される内側空間に注入され含まれる骨充填剤を有する、図36に示される椎骨の水平断面図である。
【図38】図38は、伸延装置内の領域を実質的に占める骨充填剤を有する、図36に示される椎骨の斜視図である。
【図39】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図40】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図41】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図42】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図43】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図44】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図45】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図46】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図47】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図48−1】図39〜図48は、全て、伸延装置が曲がり、カーブすることを可能にする外形を含む、多様な形状と断面外形を示す、伸延装置の異なる実施形態の斜視図である。
【図48−2】図48Aは、伸延装置要素の一実施形態である。図48Bは、案内ワイヤ上にスライド可能に取り付けられる複数の伸延装置要素を有する伸延装置の一実施形態の部分側断面図である。
【図49】図49は、伸延装置または案内ワイヤの並んだ配置で経椎弓根アプローチで用いられている2つの注入アクセス開口を有する椎体の水平部分断面図である。
【図50】図50は、2つの伸延装置または案内ワイヤを、相対上および下の位置に配置する、本発明の注入システムの一実施形態の斜視図である。
【図51】図51は、少なくとも部分的に展開された図50のシステムと組み合わされた椎体の側断面図である。
【図52】図52は、相対側面位置に二重伸延装置または案内ワイヤ構成を有する、本発明の注入システムの他の実施形態の斜視図である。
【図53】図53は、椎体および少なくとも部分的に展開された図52のシステムの水平部分断面図である。
【図54】図54は、相対上および下の側面位置に4つの伸延装置または案内ワイヤ構成を有する本発明のシステムのさらに他の実施形態斜視図である。
【図55】図55は、開始位置にある、輪で駆動される注入器具の側面図である。
【図56】図56は、伸延装置の展開の間の、図55の輪で駆動される注入器具の側面図である。
【図57】図57は、展開の間のスプールタイプの注入システムの斜視図である。
【図58−1】図58は、歯止め注入器具の側面図である。
【図58−2】図58Aは、伸延装置または案内ワイヤが注入器具の遠位端の側面から出る歯止め注入器具の側面図である。
【図59】図59は、椎間板核除去ツールが後方アプローチから椎間板の1つに入って示される脊柱の側面図である。
【図60】図60は、伸延装置の展開に用いられることができる前方アプローチの例において説明する脊髄領域の断面図である。
【図61】図61は、椎間板除去ツールが椎間板髄核除去のために椎間板に挿入されて示される椎間板の水平断面図である。
【図62】図62は、椎間板の髄核が除去された後が示される、図61の椎間板の水平断面図である。
【図63−1】図63は、カニューレが椎間板に挿入され、案内ワイヤが核空間内に部分的に展開されて示される、図61の椎間板の水平断面図である。
【図63−2】図63Aは、上椎骨と下椎骨の間に、案内ワイヤが部分的に展開されて示される、図61の椎間板の椎間板部分側断面図である。
【図64】図64は、案内ワイヤが核椎間板空間に展開され、カニューレは除去されて示される、図61の椎間板の水平断面図である。
【図65−1】図65は、伸延装置が核空間内で部分的に展開された案内ワイヤの上に配置されて示される、図61の椎間板の水平断面図である。
【図65−2】図65Aは、上椎骨と下椎骨の間に、伸延装置が案内ワイヤの上に取り付けられて椎間板内で部分的に展開されて示される、図61の椎間板の部分側断面図である。
【図66】図66は、伸延装置が核空間内に展開される支持構造を規定して示される、図61の椎間板の水平断面図である。
【図67】図67は、カニューレが核空間内に挿入され、案内ワイヤが核空間内で部分的に展開されて示される、椎間板の水平断面図である。
【図68】図68は、カニューレが除去された後に、伸延装置が核空間内で部分的に展開されて示される、図67の椎間板の水平断面図である。
【図69】図69は、第2のカニューレが核空間に挿入され、第2の案内ワイヤが核空間内に展開されて示される、図67の椎間板の水平断面図である。
【図70】図70は、第2の伸延装置が注入トラックの上に配置され、核空間内に部分的に展開されて示される、図67の椎間板の水平断面図である。
【図71】図71は、2つの伸延装置が核空間内で展開されて示される、図67の椎間板の水平断面図である。
【図72−1】図72は、隣接する椎骨が平行でない端板を有する、脊柱の側面図である。
【図72−2】図72Aは、後方アプローチを用いて椎間板に挿入される伸延装置の注入システムの概略図である。図72Bは、図73と図74に説明された伸延装置が脊柱の椎間板内で部分的に展開して示される、図72の脊柱の部分側面図である。
【図73】図73は、本発明の伸延装置の他の実施形態の斜視図である。
【図74】図74は、指示構造を規定するべくコイル状にされた時の、図73の伸延装置の側面図である。
【図75】図75は、らせん構成の案内ワイヤを注入するカニューレの上面図である。
【図76】図76は、案内ワイヤが核空間内に展開された椎間板の水平断面図である。
【図77】図77は、伸延装置が案内ワイヤ上に配置され、椎体内に部分的に展開された図76の椎間板の水平断面図である。
【図78】図78は、らせん形状の伸延装置が核空間内で展開されて示される、図78の椎間板の水平断面図である。
【図79】図79は、椎体の部分が切り欠かれてカニューレを介して椎体内に展開された案内ワイヤを示す、脊柱の区分の側面図である。
【図80】図80は、椎体の部分が切り欠かれて案内ワイヤを介して椎体内に展開された伸延装置を示す、図79の脊柱の区分の側面図である。
【図81】図81は、椎体の部分が切り欠かれて椎体内に展開された伸延装置を示す、図79の脊柱の区分の側面図である。
【図82】図82は、椎骨の1つの椎体が隣接する椎間板と共に実質的に除去され、このような除去によって作成された空間内に案内ワイヤが展開される、脊柱の区分の側面図である。
【図83】図83は、伸延装置が案内ワイヤに取り付けられ、椎体と隣接する椎間板の除去によって作成される空間内に部分的に展開されて示される、図82の脊柱の区分の側面図である。
【図84】図84は、椎体と椎間板の除去によって作成された空間に伸延装置が完全に展開されて示される、図82の脊柱の区分の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1は、通常100として示される、損傷のない、健康な脊柱の区分を図解する。脊柱100は、隣接する椎骨102、102a、102bと、隣接する椎骨を分離する椎間板104、104a、104b、104cとを含む。
【0067】
図3、4は、正常な椎骨およびその特性を、より詳細に図解する。通常102として示される椎骨は、およそ円筒状であり、皮質緻密骨の薄層から構成される皮質リム110によって囲まれた内側の網状骨108から構成される、椎体106を含む。皮質リム110は、骨粗鬆症によってもろくなる危険性があり、過度の運動および/もしくは荷重により折れることがある。椎体106は、上部で軟骨板からなる上端板112により、下部で下端板114により覆われる。椎体106の後部(後方)は、脊髄(図示されない)を含む椎孔116である。椎孔116の両側は、脊髄突起120に通じる茎118、118aである。椎骨の他の要素は、横突起122、上関節突起124、下関節突起126を含む。
【0068】
図2は、通常128として示される、損傷した脊柱を図解し、椎骨132の椎体130が圧迫骨折134を負っている。圧迫骨折134を負っている椎体130は、一般的にくさび形となり、前部(前方)側での椎骨132と脊柱128の両方の高さを低下させる。結果的に、高さにおけるこの低下が、脊柱128の通常の湾曲に影響を与え得る。圧迫脊椎骨折134によって引き起こされる痛みは、椎体形成術や圧迫骨折セメント固定などの処置(これらの処置は背景において説明された)によって取り除かれる場合があるということが理解されるが、このような処置には安全性に対する懸念があり、所望の、または予測される高さの回復が提供できない場合がある。
【0069】
ここで、本発明の図解される実施形態の詳細な説明を始める。通常、伸延装置として規定される、本発明の器具または装置は、組織層を係合させ、強制して離すことで、これらを積極的に分離する働きを、もしくは伸延装置そのものまたはその他の装置またはプロセスまたはこれらの組み合わせによって、分離された組織層の分離を支持する働きをすることができる。したがって、「伸延装置」の用語は、一般的な意味を有するよう意図され、組織層を分離するだけ、組織層を積極的に支持するだけ、組織層を積極的に分離および支持するだけの装置に限定されない。たとえば、伸延装置は通常、組織層を積極的に分離するのに用いられることができ、次いでこのような分離の後に除去されることができ、または伸延装置は、異なる装置によって前もって分離された組織層を支持するのに用いられることができるかも知れない。あるいは、伸延装置は、組織層を積極的に分離するのに用いられることができ、このような分離を保持するべくその場に留まって組織層を支持することができる。請求項において具体的に説明されない限り、本書では、「伸延装置」はこれらのうちの任意および全てを包含する。
【0070】
脊椎の圧迫骨折の治療、損傷した椎間板の高さの回復、脊椎固定術、および/もしくは、除去された椎間板または椎骨の置換において、説明の目的で、本発明の装置、システムおよび方法の多様な実施形態が図解されることが、また理解されるべきである。しかし、本発明の幅広い態様において、本発明は脊椎疾患の治療において特別な実用性および利点を有するが、これらの特定の用途に限定されず、軟組織層などの他の組織層に関連して用いられてよい。
【0071】
図5は、本発明にしたがって、通常136で示される伸延装置の一実施形態を図解する。本実施形態において、伸延装置136は、ニチノール(NiTi)やその他の適切な合金(Cu―Al―Ni、Ti―Nb―Al、Au―Cdなど)などの形状記憶材料、形状記憶ポリマーまたはその他の適切な材料で作られた糸やリボンなどの細長い部材から構成されることが好ましい。図解される本実施形態において、伸延装置の糸やリボンは、矩形断面を有する。しかし、以下により詳しく説明されるように、伸延装置は多様な形状および外形を有することができる。
【0072】
たとえば、図5、14、16から26、29、35、39から48、50から54、65、71、74、72、81、84に示されるように、組織層の間で展開される時、伸延装置136は、対向する組織層を積極的に分離し、または支持する(またはその両方)働きをする多段配置、足場またはプラットフォームなどの所定の構成の支持構造を規定する。図5において、伸延装置は展開されて、らせん状の、コイル状またはバネ状の構成を有する。図解されるように、伸延装置は、原則的に中空である円柱またはケージを形成するきついピッチを有する、らせん状の構成を規定する。図示されるように、それぞれの回旋または屈曲140は、前の屈曲140aの上部で巻かれて、それぞれの屈曲または段の間の空間がほとんどまたは全くない、複数の積み重なった屈曲または段を形成する。この構成において、伸延装置136は、図6に示されるように、コイルまたはバネの中心線の軸に沿って大変堅い柱または支持構造141を形成する。
【0073】
支持構造141が、内部空間または内在容積145を含み、または規定することが好ましい。本書において、「内在容積」とは通常、支持構造の構造的特性を指す。内在容積は、通常、伸延装置が展開構成にある時に、これによって規定される容積である。内在容積は必ずしも、伸延装置によって完全に囲まれた容積というわけではなく、伸延装置によって通常規定される任意の容積であることができる。本用語は必ずしも、内在容積が開いた、または中空の容積、または凹みであることを意味するものではなく、ある時点において、内在容積が骨充填剤、セメント、治療薬剤などの他の材料が充填される状況を排除しない。これはまた、以下により詳しく説明されるように、内在容積が、伸延装置の展開の間または後に、内在容積内に配置されまたは留まる、元のままのヒトの組織を含むことを排除しない。たとえば、伸延装置が、皮下脂肪とその下にある筋肉組織などの隣接する軟組織層を分離するのに用いられる場合、伸延装置の内在容積は、分離後の組織の凹みまたは空所であろう。一方、網状骨組織を中に有する椎骨に挿入される場合、内在容積は、元のままの骨組織を含み、伸延装置によって空所または空洞は形成されないであろう。
【0074】
コイルまたはバネのような伸延装置136を形成するために、形状記憶合金の特性を理解することが有用である。ニチノールなどのニッケルチタン合金は、熱形状記憶と超弾性の現象を示す。熱形状記憶の用語は、材料の温度の上昇があれば、塑性的に変形した形状から所定の形状に戻る材料の能力に言及する。超弾性の用語は、材料の弾性能力に言及する。超弾性特性を有する材料は、変形または拘束形状に材料を拘束する力を加えることにより、変形されることができる。力または拘束がひとたび取り除かれると、材料はその所定または初期形状に実質的に戻る。ニッケルチタン合金などの超弾性材料は、ステンレス鋼よりも相当に弾性的であることができる。所定または初期形状は自由状態と称されることができ、変形形状は拘束状態と称されることができる。
【0075】
形状記憶材料の初期または所定形状は通常、技術的に既知である熱処理プロセスによって定められる。本発明において、選択された材料は、熱処理されて所望の形状を定められるように、この場合はきついピッチのコイルまたはらせん形状のように形成されるように、マンドレルに巻かれ、しっかりと付着される。熱サイクルは一般的に500℃前後であり、必要とされる材料の強度、バネ定数および酸化膜に応じて、10分から60分の間である。マンドレルのサイズは0.125から2.0インチの間であるが、直径0.5インチ前後であるのが好ましい。巻き方向は、隣接するコイルまたは回旋の間に空間がほとんどまたは全くない、きついピッチの右方向または左方向であろう。しかし、用途によって必要とされる場合には他のピッチが用いられてもよく、材料が十分な強度を有する場合には、コイルの間隔があけられてもよい。
【0076】
伸延装置136の構築に用いられる材料の形状記憶特性のため、伸延装置は、所望の治療部位への注入に先立ち、またはその間に変形され、次いで治療部位内で元の形状に戻ることができる。すなわち、伸延装置は、それ自体が展開された形状に形成される本来の傾向を持ち、または性質がある。たとえば図5〜図8を参照すると、伸延装置136はまず、図5に示されるらせんまたはコイル形状に形成される。次いで、注入のためカニューレ142へ挿入されることにより、巻きが解かれ、または実質的に線状構成または展開前構成に変形されるであろう(図7を参照)。カニューレ142は、伸延装置がカニューレ内を通されるにつれ、伸延装置136(カニューレ内の透視によって示される)を変形(一直線の)形状に拘束する。カニューレ内に拘束されながら、細長い部材の変形形状または展開前形状は、形状が完全に一直線であることができ、または形状がわずかな屈曲またはジグザグを含むかもしれない点で、実質的に線状である。カニューレ142の遠位端部分146における開口144を出ると、伸延装置136は、構成の変化により、図8に図解されるように初期または自由状態に戻る。図示されるように、伸延装置136のコイル状部分は、自由状態でカニューレ142の外側にあり、伸延装置の残りの部分は拘束状態でカニューレの内側にある。伸延装置136がカニューレ142を出て、再度コイル形状を形成すると、これは、内在容積145を含む支持構造141を規定し、または提供する。支持構造141は、椎骨内で用いられ、端板を積極的に分離し、高さを回復させるであろうし、または支持構造は、異なる装置によって前もって分離された端板を支持するのに用いられるであろう。
【0077】
カニューレ142は、管腔143と、伸延装置136の断面を補完し、またはこれと同じである穴144を有することが好ましい。伸延装置136は、押し棒150またはその他の好適な前進装置を用いて、カニューレ142を通って押され、または引かれることができる。カニューレ142の近位端152は、使いやすさのために、ノブまたはハンドル154、またはその他の構造を有し、押し棒150の近位端156もまた同じく、ノブまたはハンドル158を有するであろう。
【0078】
図9、10、11は、伸延装置136がカニューレ142の遠位端146の外に進められた際に、初期または変形形状を再度形成する時に、伸延装置136の働きを描写する。以前に説明されたように、伸延装置136、すなわち細長い部材またはリボンは、カニューレ142に挿入され、または取り込まれ、そこで拘束状態、すなわち実質的に一直線または線状の状態に変形される。押し棒150(図示されない)またはその他の好適な前進機構が操作されて、伸延装置をカニューレ142の遠位端146の外へ進める。伸延装置136が矢印Aの方向にカニューレ142の遠位端部分146から出ると、装置は、もはやカニューレによって拘束されないので、巻いたまたはコイル形状に戻り始める。図解される実施形態において、伸延装置136は、矢印Bで示されるように時計回り方向に巻くにつれ、初期構成に戻る。
【0079】
図10に示されるように、伸延装置136は、矢印A方向にカニューレ142の遠位端146の外に進み続け、矢印B方向に巻き続ける。屈曲140の数が増加するにつれ、コイル状の支持構造141の高さまたは範囲もまた、矢印Cによって表されるように増大する。使用において、支持構造の範囲または高さが組織分離の方向に増大することが好ましい。プロセスは、支持構造141の所望の高さまたは範囲が得られるまで、および/もしくは、伸延構造136が完全にカニューレから離れるまで続くであろう。図11に図解されるように、伸延装置が完全にカニューレ142の外に押し出されると、コイル状の支持構造141は完全に展開された高さにあり、これは好適には、装置が圧迫された椎骨または罹患した椎間板の治療に用いられる時、これらの高さ回復に必要とされる距離である。
【0080】
脊椎の圧迫骨折の治療の一般的な処置において、椎骨へのアクセスは、上述の他の脊椎処置に用いられたのと同じ処置および技術を用いることによって、または当業者にとって一般的に既知である任意のその他の処置および技術によって、得ることができる。1つの潜在的な処置を図解する図12および13を参照すると、圧迫骨折134を負っている椎骨132の椎体130の皮質リム110に、アクセス開口160が開けられる。カニューレ142がアクセス穴160を通って椎体130に挿入される。あるいはカニューレ142は、アクセス穴を通って挿入される代わりに、アクセス穴160の隣に配置されてもよい。一般的に、アクセス開口160は、茎118を通って開けられ、経椎弓根アプローチと称されることもある。しかしアクセス穴160は、医師が選択するであろう皮質リム110の任意のその他の部分に作られるかもしれない。
【0081】
伸延装置136は、伸延装置を変形されたまたは展開前構成に拘束するカニューレ142内に、前もって配置されてよい。押し棒150が進められるにつれ、伸延装置136は、カニューレ142の遠位端部分146の外に、そして椎体130の網状骨108の中に進められる。カニューレ142を出ると、伸延装置136は、構成の変化により、初期のまたは展開されたコイル形状に戻り始め、支持構造141を規定するであろう。したがって、図13に示されるように、伸延装置136が、カニューレから進められるにつれ、伸延装置136は、椎体130の比較的海綿状の網状骨108内に巻く。好適には伸延装置が網状骨108を横切る、または通過するにつれ、網状骨の圧迫がない。さらに、好適な実施形態において、伸延装置は網状骨内に著しい空所または空洞を作らないが、元のままの網状骨108aが支持構造141によって規定される内在容積145内に配置されるように、網状骨を通って巻く。
【0082】
伸延装置136の展開が、端板112と114の間の網状骨108の中に進むにつれ、本実施形態において、バネ形状の伸延装置支持構造141は端板に接触し、支持構造の高さが増大するにつれ、端板を相互から伸延し(または積極的にそれらを分離し)始めるであろう。伸延装置136は、伸延装置が端板分離の方向に測定されて所望の高さまたは範囲に達するまで、または端板112と114が所望の距離だけ分離されるまで、カニューレ142の外に進められるであろう。一般的に伸延装置136は、伸延装置支持構造141の高さが、これが図14に図解されるように端板112と114を圧迫前の通常の位置、または医師が適当であると見なす他の間隔まで戻すようになるまで進められる。したがって脊柱後湾症により最終的にもたらされるであろう潜在的な変形を軽減する。伸延装置によって行われる働きが、部分的な高さ回復で十分であると見なされる場合もあるであろうが、椎骨の元の高さの全てまたは大部分を好適に回復するということが理解される。
【0083】
本発明の一実施形態において、処置に先立って、隣接する椎骨を測定することにより椎骨の高さが推定され、次いでカニューレから完全に出る時に所望の高さに達するであろう適切なサイズの伸延装置が選択される。あるいは、伸延装置の高さは処置の間観察され、所望の高さに達すると、伸延装置(「リボン」)はカニューレの遠位端の近くの場所で切断されるであろう。
【0084】
本発明の伸延装置の他の任意かつ有利な態様は、たとえば骨セメント、アログラフ、オートグラフ、または何らかのその他の生体適合性材料または治療薬物である骨充填剤などの流動性を有する材料の、治療部位への注入を制御する能力である。適当な骨充填剤の一例は、KyphonからKyphx HV―Rとして、StrykerからSpineplexとして、Stryker HowmedicaからSimplexとして、またArthocareからParallax Acrylic Resin with Tracers TAとして市販されているポリメチルメタクリレート(PMMA)である。伸延装置はまた、用途に応じて、薬物またはその他の薬剤または流体の注入を制御するのに用いられることができる。
【0085】
たとえば、ひとたび伸延装置によって規定された支持構造141が定位置にくると、骨充填剤162が治療部位に導入されて伸延装置の安定を支援し、端板112と114の分離を支持することを援助する。図15に図解されるように、骨充填剤162を治療部位に注入するのに注射器164が用いられることができる。注射器164の先端166が、コイル形状の伸延装置136の屈曲140、140a(図14に示される)の間に挿入されて、支持構造141によって規定される内在容積145(所望の用途に応じて、元のままの網状骨を含んでよく、または含んではならない)にアクセスする。内在容積145が網状骨で充填されると、内在容積への骨充填剤の導入は、先の椎体形成術の処置と同様に網状骨/骨充填剤アマルガムを作成し、支持構造141は実際に、特定された位置内に骨充填剤162を含み、神経繊維などのより傷つきやすい組織に骨充填剤が接触する可能性を防ぎ、または縮小する、骨充填剤の容器または障壁とのような働きをする。他の実施形態において、図15Aに図解され、以下により詳細に説明されるように、支持構造はまた、骨充填剤の流れを制限して伸延装置の外側の領域へ導くよう働きをするであろう。伸延装置の容器状効果は管外遊出の機会を大幅に減少させるため、容器効果は骨充填剤の注入と関係がある合併症を大幅に減少させる。
【0086】
伸延装置は、図16から26に示されるように、多様な断面外形構成を有することができる。しかし、本発明から逸脱することなく、必要とされる治療の適当なタイプに基づき他のデザインまたは外形が用いられるであろうことが理解されるであろう。次に図解される構成を見ると、伸延装置136の細長い部材またはリボンの断面外形は、用途および所望の特性に応じて多様な形状であろう。いくつかの用途において、他の用途よりも、機能にとって外形はより重要であろう。
【0087】
図16において、伸延装置の断面形状は通常、矩形である。伸延装置が上述のプロセスを用いて形状記憶材料から作成される時、マンドレルの屈曲表面は、椎骨に挿入された時のよりよい安定性と増大した表面接触のために、短軸であることが好ましい。言い換えれば、伸延装置は、伸延されようとする組織(たとえば椎骨の端板)に広い側が接触するように形成されて、低下された接触圧力を提供する。しかし、伸延装置はまた、用途に応じて長軸に巻かれるかもしれない。材料外形の範囲は、約0.005×0.010インチ(約0.127mm×0.254mm)(高さ×幅)から約0.10×0.50インチ(約2.54mm×12.7mm)であろうが、0.01×0.02インチ(約12.7mm×0.5mm)から0.05×0.25インチ(約1.27mm×6.35mm)の範囲であることが好ましい。
【0088】
所望であれば、伸延装置136aは、横方向の溝または細穴170またはその他の横方向の通路を、戦略上の位置に含むことができる。これらの溝170またはその他の通路は、伸延装置の材料に穴を開け、切断し、研磨し、または圧迫することによって形成されてよい。伸延装置が形状記憶材料で作成される場合、溝または通路は巻きおよび熱処理の前または後に形成されることができる。これらの溝170は、均一に、またはランダムに間隔を取られてよく、所望の治療に応じて、伸延装置によって規定される支持構造の片側だけに配置されてよい。溝170は、治療部位とその回りに注入された骨充填剤の流れを方向付け、制限するために用いられることができる。たとえば、図15Aに図解されるように、溝170は、これらが支持構造の前側172のみにあるように、伸延装置に配置されることができる。溝170がこのように配置される時、溝は、支持構造141aによって規定される中心領域145aに注入される骨充填剤が、椎体の前側部分174の方に流れ、骨充填剤162が、塞栓症を引き起こしまたは脊髄損傷を引き起こし得る静脈血還流系に浸透するかもしれない後方部分176から離れるよう導かれるように、骨充填剤162の方向を制御する。
【0089】
図17において、伸延装置136bの断面形状は、それを通って延在する通路178を有する概して矩形の管のものである。この外形構成は、先の実施形態において詳述された矩形の外側寸法と同様であり、約0.002から0.25インチ(約0.05mmから6.35mm)の範囲の、しかしより好ましくは約0.005から0.020インチ(約0.127mmから6.35mm)の範囲の壁180を有するであろう。
【0090】
伸延装置はまた、壁180内を通って延在し、内側穴または通路178に通じる、開口または穴182を含むかもしれない。開口182は、均一に、またはランダムに、間隔を取られ、同じサイズまたは異なるサイズであることができる。さらに、開口182は、伸延装置の内壁または伸延装置の外壁に制限されるかもしれず、または内壁と外壁の両方に配置されるかもしれない。さらに、開口182は、前側または後側などの伸延装置の一方の側に制限されるかもしれない。骨充填剤は、注射器の先端を通路178に挿入し、骨充填剤を通路内に注入することで、治療部位に注入されてよい。骨充填剤は、通路178に沿って流れ、開口182から所望の方向に治療部位内に抜ける。開口の位置および配置は、治療部位内に注入される骨充填剤の方向を決定するであろう。
【0091】
伸延装置はまた、注入に際して活性化され周囲の組織に拡散される骨充填剤材料に基づくポリマーでコーティングされるであろう。この潜在的な特性は、任意の断面形状の伸延装置に適用可能である。
【0092】
図18において、断面形状は円である。場合によっては屈曲が相互に対して滑る傾向があるかもしれないため、この外形は、一部の治療の間わずかに安定性に欠けるであろう。しかし、屈曲の中心への骨充填剤材料の導入は、硬化の後、図16から26に示される他と同様、この伸延装置の安定性に十分に追加する。図18の円形断面の伸延装置の直径は、約0.005から0.025インチ(約0.127mmから0.635mm)の範囲であることが好ましい。
【0093】
図19において、断面形状は正方形である。この外形は、矩形の外形と同様の利点を有し、矩形のものと同じ幅寸法でより堅いであろう。
【0094】
図20において、断面形状は二重の円である。この外形は、巻きやすい一方で、一重の円の外形よりも、改善された安定性を有する。二重の円の外形は、このように押し出され、または共に溶接され、またはその他の方法で、巻きおよび熱処理に先立って接合されるであろう。各円部分のサイズは円形の外形と同じ幅であることが好ましい。
【0095】
図21において、断面形状は、伸延装置を通って管腔を形成する通路または穴184を含む円形管のものである。この外形は、円形の外形と同様の寸法を有し、約0.002から0.05インチ(約0.05mmから1.27mm)の幅の厚さを有する壁186を有するであろう。伸延装置のこの実施形態はまた、骨充填剤またはその他の材料の治療部位への流れのために、図17を参照して上述された開口182と通常同様である開口を含むであろう。
【0096】
図22において、断面形状は楕円である。この外形は、円形の外形と同じ寸法を有する伸延装置を、装置が形状記憶材料で作られている場合に、好ましくは熱処理に先立って、取り、平坦化することで、得ることができる。平坦化プロセスは、伸延装置の直径よりも短い距離だけ離されたローラーの間で材料が押されるローラー技術を用いるであろう。必要とされる厚みに応じていくつかの通路が必要であろう。利点の1つは、潜在的に、通常干渉表面と関連付けられるとがった角または端を有することの、円形の外形に対する安定化増大であろう。
【0097】
図23において、断面形状は楕円管のものである。この外形は通常、楕円の外形と同様であるが、伸延装置を通る管腔を規定する中心の通路または穴188を含む。さらに、本実施形態はまた、図17を参照して上述されたものと通常同様である開口を含むであろう。
【0098】
図24において、断面形状は上述の形状の組み合わせである。この外形は前述の外形の2以上を組み合わせる。たとえば、図示されるように、装置は正方形および円形の外形を有するであろう。用途によって必要とされるであろう1以上の外形を用いて、外形の任意の組み合わせが得られるということが理解される。
【0099】
図25において、断面形状は特別な外形である。外形のこのタイプは、所望の外形を作成するのに、特別な押し出し金型または押し出し後の二次製造などの特別な製造プロセスを必要とするであろう。このような外形の利点は、垂直方向のみならず横方向の滑りまたは移動にもまた耐える、大変丈夫な列を形成する相互に重なる屈曲の固定特性であろう。
【0100】
図26において、断面形状は、図25を参照して上述された利点を有する他の特別な外形である。
【0101】
本発明の伸延装置はまた、全体的または部分的な椎体置換処置と同じく、椎間板の治療および椎間板固定処置に用いられるであろう。本発明の利点の1つは、執刀医が内視鏡的アプローチを用いて、外傷や腫瘍などの疾病によって損傷した脊髄組織を取り除き、このような除去によって作成された空間に装置を展開することを可能にする低侵襲手術セッティングにおいて装置を用いる能力である。
【0102】
図26Aは、椎間板の治療および椎間板固定処置に用いられる「ケージ」と称されることもある従来技術の装置を図解する。これらのケージタイプの装置は一般的に、移植の前、間、後で実質的に変化しない固定のサイズを有する。したがって、「ケージ」タイプの装置を移植するために、挿入される装置のサイズを収容するべく、患者の背中および脊髄組織に比較的大きな切開が作られる。さらに、装置を組織の間に挿入する前に、脊髄組織を分離し、または伸延するべく、別々のツールを用いることが必要とされるであろう。
【0103】
本発明にしたがった椎間板治療または椎間固定処置の1つの低侵襲法の1つにおいて、骨鉗子、キュレット、プローブまたは解剖用器具などの椎間板核除去ツール190が、図26Bに図解されるように、椎間板193の線維輪192の小さなアクセス穴191を通って挿入される。除去ツール190は、内視鏡技術および当業者にとって通常既知である処置によって椎間板髄核194の部分または全体を除去するために用いられる。
【0104】
図26Cを参照すると、注入カニューレ142がアクセス穴190を通って挿入され、伸延装置136が、髄核194の除去によって作成された空間195内に展開される。上述のように、伸延装置136は、カニューレ142を通った展開のため実質的に線状の展開前構成を有し、伸延装置が支持構造141を規定するカニューレから出ると、コイル状または展開構成を有することが好ましい。伸延装置136がカニューレから出ると、支持構造141は空間195内で高さ方向に範囲を増大させる。伸延装置136の展開が進むと、支持構造141は、隣接する椎骨102a、102bの端板196aと196bをそれぞれ伸延させ、または分離させる。伸延装置136は、伸延装置136がカニューレ142から完全に出るか、支持構造141が所望の高さに到達するまで、カニューレ142の外に進められるであろう。一般的に、伸延装置136は、支持構造141の高さが、これが図26Dに図解されるように端板196a、196bを通常の位置に戻すようになるまで、カニューレの外に進められる。
【0105】
伸延装置136が完全にカニューレ142の外に進められるよう設計される処置において、支持構造141の所望の高さはあらかじめ決定され、適当なサイズの伸延装置が、用いるために選択される。伸延装置136が支持構造141の所望の高さが実現されるまで展開される処置において、支持構造の高さは蛍光透視法で観察され、ひとたび支持構造が所望の高さに到達すると、伸延装置はカニューレの遠位端部分に近い位置で切断されるであろう。
【0106】
展開されると、伸延装置は椎間板の高さを回復させ、脊柱を安定させる。除去された髄核組織の量と支持構造の展開位置に応じて、支持構造の内在容積は実質的に空であるか、またはいくらかの髄核組織を含むであろう。任意で、骨セメント、アログラフ、オートグラフなどの骨充填剤、またはその他の治療薬剤が、支持構造によって規定された内在容積および/もしくは支持構造の周囲に挿入されて、装置の安定化を援助し、および/もしくは、隣接する椎骨間の骨固定を促進するであろう。
【0107】
図26Eと26Fは椎体置換(VBR)処置に用いられる、また「ケージ」と称されることもある、従来技術の装置を図解する。このようなケージタイプの装置を用いるVBR処置において、椎体の部分または全体が除去され、除去された椎体の空間にケージが挿入される。上述される従来技術のケージと同様に、図26Eに図解されるタイプのケージは、展開の前、間、後で実質的に変化しない固定されたサイズを有する。したがって、このような装置を移植するのに、患者の背中と脊髄組織に比較的大きな切開が作られる。さらに、処置は、装置の挿入に対応するべく組織を伸延するのに、別々の装置を用いることを必要とするであろう。
【0108】
図26Fに図解される従来技術の装置は、装置またはケージを作るために挿入される、個々の部分を有する点で、図26Eに示されるものとは多少異なるものである。さらに、これらの部分は比較的大きく、移植のために比較的大きな切開を必要とする。
【0109】
本発明の低侵襲部分VBR処置の1つにおいて、図26Gに図解されるように、椎骨除去ツール197が、椎体130cの小さなアクセス穴160cを通って挿入される。椎骨除去ツール197は、椎体の部分を除去するのに、または内視鏡技術および当業者にとって通常既知である処置を用いて椎体を完全に除去するのに用いられることができる。一般的に、この処置は、損傷した椎骨を除去するのに用いられる。
【0110】
図26Hを参照すると、損傷した網状骨108cが除去された後で、注入カニューレ142がアクセス穴160cを通って挿入され、上述と同様の手順および技術を用いて、伸延装置136がカニューレを通って椎体130c内で展開される。伸延装置136が展開されると、これは、図26Iに図解されるように、椎体130cの端板112c、114cを分離し、支持する支持構造141を規定する。伸延装置136が展開された後、支持構造の内在容積は実質的に空であり、または内在容積は、当初除去された網状骨の量および支持構造の展開位置に応じて、いくらかの網状骨を含むであろう。いずれにせよ、伸延装置そのものは、空洞または中空の容積を形成するのに網状組織を圧迫しない。任意に、骨充填剤または治療薬物が内在容積および/もしくは支持構造の周囲に挿入され、支持構造を安定させ、および/もしくは、骨固定を促進するであろう。
【0111】
全体VBR処置の低侵襲法の1つにおいて、上述された椎体除去ツールは、椎体の実質的に全てを動かすのに用いられ、任意に、椎間板除去ツールは隣接する椎間板を実質的に除去するのに用いられる。図26Jを参照すると、カニューレ142の遠位端部分146が、椎体および/もしくは隣接する椎間板の除去によって作成された空間198に挿入されることができ、伸延装置136が、同様の低侵襲処置および上述の技術を用いて空間内に展開されることができる。カニューレ142を出ると、伸延装置136は、伸延装置が展開されるにつれ高さにおいて増大する支持構造141を形成する。支持構造141の高さが増大すると、これは上椎骨130dの端板112dと下椎骨130eの端板114dに接触し、図26Kに図解されるように、間隙を有する関係に椎骨を伸延し、支持する。
【0112】
展開された支持構造141は、支持を提供し、脊柱を固定する。任意に、骨充填剤または治療薬物が内在容積および支持構造の周辺に挿入され、支持構造を固定し、および/もしくは骨固定を促進する。
【0113】
図27は、本発明の伸延装置および注入システムの他の実施形態を図解する。本実施形態において、伸延装置202は、案内ワイヤまたは注入トラック200を用いて展開される。展開に先立って、伸延装置202は細長い、通常線状の形状を有し、案内ワイヤにスライド可能に取り付ける中心の穴または通路(図39から図48に示される)を含むことが好ましい。伸延装置202は、たとえば案内ワイヤ200の輪郭に沿って従うのに十分なだけの柔軟性がある必要があり、伸延装置202は、治療部位における展開のために案内ワイヤ上に取り付けるために通常細長い形状を取り、治療部位内で通常コイル状またはバネ状の形状を取る必要があろう。
【0114】
伸延装置202は、変成組織、外傷、または転移状態の、または組織伸延装置が必要である治療における、ヒト組織内の長期間の移植に適した生体適合性材料から作成されることが好ましい。用いられる材料はまた、リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ハイドロキシアパタイト、または任意のその他の適切な生体材料などの生体材料であるだろう。生体適合性材料は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、ナイロン、NiTi、または任意のその他の適切なものであろう。物質は中空でなく、または組織の内方成長のために多孔質であり、治療用または成長増強剤を溶出する。脊椎圧迫骨折の治療に生体材料または生体適合性材料を用いることの利点の1つは、これらの要素はより自然な物質を有するからである。しかし、他の材料が用いられてもよく、本発明の範囲内である。
【0115】
案内ワイヤ200は、近位端部分204および遠位端部分206を含む。展開状態において、遠位端部分は、図27に示されるような複数の積み重ねられた屈曲を有する図解されたコイルまたはらせん形状などの、多段配置、足場またはプラットフォームを規定することが好ましい。展開状態における案内ワイヤの遠位端部分の形状はあらかじめ決められてよい。好適には、案内ワイヤは、治療部位での案内ワイヤの展開の前と間に概して一直線の構成に変形されることができ、次いで治療部位内で当初のコイル形状を再度形成することができるように、案内ワイヤ200の少なくともコイル形状の遠位端部分206が、ニチノールまたは形状記憶特性を有するポリマーなどの形状記憶材料で作成される。この配置で、案内ワイヤそのものは、椎骨の端板に接触し、それらを強制して離す、初期の伸延装置として働くであろう。この目的のため、案内ワイヤはまた、端板との接触力を減少させ、接触力を容認できる範囲に保持する傾向がある断面形状(たとえば楕円)を有するであろう。案内ワイヤのコイル状の遠位端部分206が治療部位内の所望の位置に到達した後、伸延装置202は、案内ワイヤの近位端部分204に挿入され、プッシャー208が後に従う。任意には、伸延装置の遠位端部分210が細くされ、傾斜され、その他の方法で構成されることができ(図27と44に図解されるように)、骨を通っての、また伸延される組織の間の伸延装置の挿入と通過を容易にする。
【0116】
小さなノブ212が案内ワイヤ200の近位端部分204に取り付けられ、グリップ部分を提供することができる。プッシャー208が一方の手で図28の矢印Dに示されるように案内ワイヤ200に沿って遠位に進められるので、ノブ212はもう一方の手で保持されることができる。プッシャー208を遠位に進めることは、伸延装置202が案内ワイヤ200上をスライドして遠位に動くよう強制する。伸延装置202は案内ワイヤ200に沿って従って椎骨に入り、実質的に案内ワイヤの遠位端部分の形状を取り、多段配置または土台を有する支持構造を形成する。たとえば、図解された実施形態において、伸延装置202は、案内ワイヤのコイル形状部分206を通過するにつれコイル形状に巻く。伸延装置202は、案内ワイヤの屈曲214の数と同じ数だけそれ自身に巻きつき、コイルまたはらせん形状の支持構造216などの多段支持構造または土台を形成する。
【0117】
図29は、コイル状の伸延装置202によって規定される、完成した土台または支持構造216を図解する。支持構造216の範囲または高さH1は通常、回旋または屈曲の数を細長い伸延装置の高さH2(図27に示される)に乗じることで決定される。所望であれば、案内ワイヤ200はここで、展開された伸延装置202から除去されることができる。案内ワイヤ200の除去は、案内ワイヤ200の近位端204を近位方向に引く一方で、プッシャー208を定位置に保持することによりなされる。任意には、治療に応じて、案内ワイヤ200は伸延装置202と共に定位置に保持され、伸延装置202によって規定される支持構造216をさらに強化し固定することができる。この使用において、案内ワイヤ200の近位端204は、技術において既知である、切断し、ねじって外し、またはその他の手段によって案内ワイヤの残りから切られるかも知れない。
【0118】
したがって上述から、脊椎の治療の低侵襲外科処置に、本発明は特に有利であり助けとなることが明らかであろう。本発明のこの態様にしたがって、経皮的におよび適当な脊柱またはその他の組織を通って作られるであろう、単一のアクセス開口のみが必要とされる。この単一の開口を通って、比較的大きな三次元支持構造が、個々の椎骨の密閉された空間内または隣接する椎骨の間に築かれることができる。伸延装置の挿入は、導入カニューレまたはシースによって援助され、または伸延装置そのものが、アクセス開口を通ってカニューレまたはその他の前進補助を必要とすることなく直接進められるであろう。いずれにせよ、図解された実施形態において、比較的大きな支持構造が、比較的より小さなアクセス開口を通って現場で築かれ、または形成され、低侵襲技術の安全性と容易さを有する、より大幅かつ侵襲的な外科的アプローチの利点を提供する。
【0119】
図30から図35は、伸延装置202の椎体での展開を図解する。図30を参照すると、イントロデューサーシース218は、患者が伏臥位で横たわる間に患者の背中を通って挿入される。脊椎のより良い視覚化のために2方向画像システムを用いる透視が用いられて、所望の位置へ注入システムを案内することを助けるであろう。イントロデューサーシース218は、一般的に、椎体222の茎220を通じて骨格を貫通することを助ける(経椎弓根アプローチで)。ひとたびイントロデューサーシース218が茎220を通過し、またはその中に通路219を作り、画像化によって確認することができる所望の位置にくると、注入カニューレ224がイントロデューサーシース218に挿入され、案内ワイヤ200がカニューレを通って前に進められるであろう。あるいは、案内ワイヤはイントロデューサーシースなしでカニューレを通って挿入されるであろう。
【0120】
上記に説明されるように、案内ワイヤ200は、コイルまたはバネ形状の初期または自由状態を有する形状記憶材料で作成されることが好ましい。案内ワイヤ200がカニューレ224に挿入されると、カニューレは案内ワイヤを通常細長い線状構成に拘束し、治療部位での案内ワイヤの容易かつ低侵襲の展開を可能にする。形状記憶特性により、ひとたび拘束が除去されると、すなわち案内ワイヤはカニューレ224の遠位端部分225から出て椎体222に入ると、案内ワイヤ200はコイル形状の自由状態に戻る。案内ワイヤ200は、手動で、またはたとえば図58に示される歯止めガンなどの歯止め機構などの前進機構を用いて、カニューレ224を通って進められることができる。
【0121】
骨およびその他の組織を通る案内ワイヤ200の貫通の速度および容易さを改善するべく、ワイヤの先端が組織または骨に穴を開けて所望の部位にアクセスし、または所望の形状を得ることを可能にするエネルギーを送信するために、エネルギーシステムが案内ワイヤに動作可能に接続されることができる。図解される実施形態において、案内ワイヤ200の近位端部分204は、特定の周波数の超音波振動を作り出す圧電素子を有する変換器アセンブリ226などのエネルギーシステムに接続され、案内ワイヤが椎体の骨構造を貫通することを助けることができる。このようなエネルギーシステムは、骨などの密度の高い材料に通路を開けるのに適した周波数において超音波エネルギーを伝播させることができる変換機226に接続されたエネルギー源228を含むかもしれない。本発明で用いられるであろうこのようなエネルギーシステムの使用は、掘削を開示するOhの米国特許第6,498,421号、穿孔を開示するBeatyの米国特許第6,899,715号、超音波エネルギーを用いる切断を開示するParisiの米国特許第4,838,853号に説明される。このような装置はまた、Nitaの米国特許第6,929,632号に説明されるように、動脈血栓を貫通するのに脈管系に用いられてきた。上記の特許の全ては、参照することにより本書に援用される。
【0122】
本書に説明されるエネルギーシステムがまた、実質的に同様の方法で用いられることができ、上述された図12の伸延装置136を注入において援助するということが理解されるであろう。変換器アセンブリの使用が任意であること、またいくつかの処置において変換器アセンブリを用いずに案内ワイヤ200を展開することが有利であることがまた理解されるであろう。変換器アセンブリが用いられない場合には、案内ワイヤは、図12の伸延装置136の展開を参照して上記に先に説明されたものと概して同様の方法で展開されてよい。
【0123】
案内ワイヤ200がカニューレ224の遠位端部分225から出て、椎体222に入ると、案内ワイヤの遠位端部分206は拘束されない形状に戻り始める。すなわち、案内ワイヤの遠位端部分はコイル形状に巻き始める。図31を参照すると、案内ワイヤ200は進められ、コイル形状が所望の高さに達するまで、または所望の数のループまたは屈曲214を有するまで、椎体222の網状骨内に展開される。先に述べられたように、案内ワイヤそのものは、損傷した椎骨の端板を伸延させ、または分離する機能があるであろう。案内ワイヤ200は、案内ワイヤのコイル状の部分が上側端板と下側端板の間の空隙にまたがる高さに達するまで進められることが好ましい。さらに、特定の治療においては、上述のように、案内ワイヤ200そのものが椎体の端板に接触し、端板を伸延させ椎体の垂直方向の高さを増大させるよう機能し、椎骨の高さを回復させ、または部分的に回復させるであろう。あるいは、コイル形状の案内ワイヤは、端板の伸延または最小の伸延なしに椎体内で展開されるであろう。
【0124】
図32を参照すると、案内ワイヤ200が所望の展開構成に達した後、イントロデューサーシースおよびカニューレが縮められ、システムから除去されてよく、変換器アセンブリが切断されてよい。この段階において、案内ワイヤ200のコイル状の遠位端部分206は椎体222内で展開され、案内ワイヤの近位端部分204は椎体の通路219の外に延在する。案内ワイヤの近位端部分204は、伸延装置202のための挿入経路またはトラックを規定する。あるいは、所望であれば、イントロデューサーシースおよび/もしくはカニューレがその場に残されてよく、伸延装置は、イントロデューサーシース、カニューレまたはその両方を通って椎体内に展開されてよい。
【0125】
イントロデューサーシースおよびカニューレをシステムから除去することの利点の1つは、このような除去が、椎体へのより大きな通路を可能にすることである。より大きな通路は、より大きな寸法を有する伸延装置またはインプラントを用いることを可能にする。したがって、イントロデューサーシースおよびカニューレが除去されると、伸延装置のサイズはイントロデューサーシースまたはカニューレのサイズに拘束されず、また制限されないので、伸延装置の寸法は大きくなることができる。大きな伸延装置を用いることの利点の1つは、大きな伸延装置が、装置に働く負荷力を分散させて装置の任意の所与の部分または伸延装置が接する椎体の表面にかかるより小さな圧力をもたらす、大きな表面積を提供することである。
【0126】
図32に図解されるように、伸延装置202は案内ワイヤ200の近位端部分(図示されない)の上に挿入され、プッシャー部材208は、伸延装置の後ろまたは近位の案内ワイヤ上に配置される。プッシャー部材208が進められると、これは伸延装置202に接触し、これを案内ワイヤ200の上で前に、または遠位に進める。歯止め装置(図58に示される)またはその他の前進機構がまた用いられてプッシャー部材を増加的に前進させることを支援するであろう。
【0127】
図33を参照すると、伸延装置202が案内ワイヤ200の上を前に(遠位に)進められるにつれ、案内ワイヤは通路219を通って椎体222内に伸延装置を案内する。図27と44に図解され、上記に説明されるように、伸延装置の遠位端210は先細にされ、傾斜され、またはその他の方法で形成されて、組織を通って進むことを援助することができる。
【0128】
椎体において、伸延装置202は、案内ワイヤ200のコイル形状の部分206に沿って従い、図34と35に示されるように、コイル形状の支持構造216に巻く。伸延装置の側面の細穴は、これがより容易に曲がり、案内ワイヤの輪郭に従うことを可能とする。指示構造216のさらなるコイルまたは屈曲236のそれぞれの形成と共に、支持構造の高さは増大する。支持構造216の高さが増大するにつれ、これは椎骨の端板を伸延して支持し、脊椎の高さを回復させ、または部分的に回復させ、椎体222を固定する。骨折した椎体を治療する時、端板の伸延は、負荷がもはや骨折した部分、または椎体を囲む神経終末に圧力を与え得る崩壊した断片に圧力をかけないため、骨折を固定し、したがって背中の痛みは減少する。
【0129】
伸延装置の本実施形態の利点の1つは、上述のように、これが小さなアクセス穴を通って挿入され、多段配置または土台などのより大きな三次元支持構造が、組織層の間または中の、制限され、または密閉された空間内に築かれることができることである。たとえば、伸延装置202は、小さなアクセス穴を通って挿入されることができ、支持構造216はその時点で、伸延装置の厚みの1つを他の1つの上に加えることにより1つの輪を築くことができる。たとえば、平均的な椎体は高さが18mmである。図2に図解されるように、椎体圧迫骨折の後、椎体は通常の椎体の約半分の高さになるかもしれず、これは結果として約9mmの圧迫された椎体となるであろう。たとえば、ワイヤサイズの半分のピッチを有する直径1mmのワイヤ形状の案内ワイヤは、端板から端板にまたがるのに約5輪を必要とするであろう。伸延装置が案内部材の上に挿入される時、これは輪に沿って巻き始め、軸方向に伸延し、または押し上げて押し下げ、コイルの上を進めることの機構的利点を享受するであろう。骨折した体は抵抗力に欠けるため、これは、図35に図解されるように、2つの端板の間の距離を、これらが好ましくは骨折前の位置にくるまで、広げるであろう。
【0130】
伸延装置202が展開された後、案内ワイヤ200は伸延装置から縮められ、システムから除去されることができる。このことは、案内ワイヤ200を近位方向に引きながらプッシャー部材208を定位置に保持することで行われる。たとえば、案内ワイヤ200は、プッシャー部材を定位置に保持しながら、注入ガンの前進機構、すなわち歯止め機構を反転させることにより、近位に縮められることができる。
【0131】
本発明の伸延装置は、骨充填剤と共に、好適にしかし排他的にではなく用いられ、伸延装置に安定性を加え、伸延された組織、すなわち椎骨の端板の間を支持する。骨充填剤が多様な方法で導入されてよい。図36と図37に図解されるように、小さな管状要素または針238が、支持構造の屈曲236の間、または伸延装置202の中心穴内、たとえば図39の中心通路240に挿入されてよいので、骨充填剤242、好ましくは骨移植材料または骨セメントは、内側領域または支持構造216によって規定される内在容積244の中に注入されることができる。内在容積244は、網状骨を含んでよく、または含んではならない。針238は、注射器またはその他のタイプの注射器具に接続されるかもしれない。図解される実施形態において、伸延装置202は、中心通路に通じる細穴246を含む。細穴246は、細穴が、注入された骨充填材242を、支持構造216によって規定される内在容積244に導くように配置される。支持構造216は、骨充填剤242の動きを制限し、および/もしくは、導く障壁として機能し、骨充填剤が支持構造216の外側の領域に広がることを実質的に防ぐ。すなわち、支持構造216は、骨充填剤242を囲み、これを、支持構造216によって規定された内在容積244内に収容する抑制装置として機能することができる。支持構造/抑制装置216は、望まない漏れまたは管外遊出を防ぐ。骨充填剤242は、これが図38に図解されるように、支持構造216によって規定された内在容積244を完全に充填するまで注入されることが好ましい。
【0132】
伸延装置は、本開示から逸脱することなく、多様な形状を有するであろう。異なる構成は、伸延装置の多様な有利な特性を提供する。移植された伸延装置に関して考慮されるべき1つの態様は、圧縮力や軸方向の力などの異なる力に抵抗する装置の能力である。装置が圧縮荷重に抵抗でき、伸延装置にかかる力は軸方向であることは、容易に理解される。しかし、さらなる横方向の、または変換力がまた、体が動く時に装置にかかるであろう。
【0133】
図39から48は、このような伸延装置によって形成されることができる、伸延装置および多段支持構造の可能な外形の例を図解する。多様な外形は、他の有利な特性の中で、伸延装置を展開された支持構造の形状に保持し、実質的に抵抗を圧縮および横方向の力の両方に適応させるように、形状保持において援助する。これらの図面における全ての実施形態は、伸延装置を案内ワイヤ上に取り付ける、通常240から240iで示される通路を含むことが好ましい。実施形態のいくつかにおける中央通路はまた、骨充填剤の流れを導くために、また薬物またはその他の流体材料の注入に用いられることができる。
【0134】
図39において、断面外形は概して正方形であり、図40において、断面外形は概して長方形である。これらの実施形態のどちらも、隣接する屈曲の平坦な表面に接触する実質的に平坦な表面を有する屈曲236aと236bを提供する。各屈曲の表面間の接触は、圧縮力に抵抗するのに大変優れた支持構造を提供する。さらに、図39に図解されるように、伸延装置は、治療される組織へのより良い統合のために、伸延装置を通して、または少なくとも伸延装置の側面に、多孔質コーティング247を有することができる。
【0135】
図41において、断面形状は、複数の山頂248と谷250を有する波形形状を有する特別なさねはぎ外形である。各屈曲の山頂248と谷250は、次の隣接する屈曲のこれらを係合し、安定性を加え、横方向の滑りに抵抗する干渉表面を提供する。
【0136】
図42において、断面形状は、単一のさねはぎ構成を有する特別な外形である。伸延装置は、共に巻かれた時に、凸部が隣接する屈曲の溝に延在し溝が隣接する屈曲の凸部を受けるように、1つの表面上に形成された溝254に対向する表面上に形成された隆起したリブまたは凸部252を有する。さらに、凸部252と溝254は相互に係合して、安定性を加え、横方向の力による滑りおよび移動に抵抗する干渉表面を提供する。
【0137】
図43において、断面形状は、対向する凹面256と凸面258を有する特別な外形である。伸延装置が支持構造を形成する時、凸面256と凹面258は、隣接する屈曲のはめあう凸面または凹面を係合させ、安定性を加え、横方向の力による滑りと移動を減少させる。
【0138】
図44から48は、治療部位に注入された骨充填剤の方向を導き、制限することを支援する特性を含む伸延装置の実施形態を図解する。図解された実施形態において、骨充填剤または薬剤などの材料は通路240eから240iのうちの1つに注入されることができる。材料は、通路を通って、伸延装置内に配置される細穴に流れるであろう。細穴は、材料の流れを、治療部位内の特定の領域に案内し、および/もしくは制限する。図解される実施形態はまた、伸延装置の挿入を援助し、伸延装置が案内ワイヤの上を案内されるにつれてこれの回転を支援する特徴を含む。たとえば、伸延装置に配置される細穴は、伸延装置の柔軟性を強化し、伸延装置が案内ワイヤの輪郭に従うことを容易にする。
【0139】
図44は、伸延装置を図解し、伸延装置は上向き細穴260を含む。骨充填剤が通路240eに注入されると、骨充填剤は細穴260から、伸延装置支持構造の内側と外側の両方の領域に流れ出る。
【0140】
図45において、伸延装置は外側を向いた細穴260aを含む。骨充填剤が通路240fに注入される時、骨充填剤は、細穴260aから、伸延装置支持構造の外側領域に流れ出る。したがって、細穴260aは骨充填剤の流れを伸延装置の外側に向け、伸延装置支持構造は障壁として機能し、伸延装置によって規定される内側領域が、骨充填剤を実質的に含まないようにする。
【0141】
図46において、伸延装置は内側に向いた細穴260bを含む。骨充填剤が通路240gに注入されると、骨充填剤は細穴260bから、伸延装置によって規定される内側空間244bに流れ出る。したがって、細穴260bは、骨充填剤の流れを伸延装置内部へ導き、制限し、伸延装置は、骨充填剤を伸延装置内に含む容器のように機能し、伸延装置の外側領域に実質的に骨充填材物質がないようにする。
【0142】
図47において、伸延装置は、骨充填剤が伸延装置の内側および外側の領域に流れ込むことを可能にする、上向きおよび下向きの細穴260c、260dを有する。
【0143】
図48において、伸延装置は内側および外側に向いた細穴260e、260fを有する。本実施形態において、内側および外側を向いた細穴260e、260fは、骨充填剤を、伸延装置によって規定された内側空間と伸延装置の外側の領域の両方に導く。
【0144】
椎骨圧迫骨折の治療に用いられる時の伸延装置のサイズおよび寸法は、伸延装置が約0.118インチ×0.118インチ(約3mm×3mm)の概して正方形の外形を有することを可能にするであろう、約6ゲージサイズ(約0.173インチ(約4.39mm)の作業直径)を超えない大きさのカニューレを通って挿入されることのできるサイズであることが好ましい。他のサイズおよび寸法が用途に応じて用いられるかもしれない。伸延装置の長さはあらかじめ決められ、または治療の間に適合するように切断されるかもしれない。
【0145】
伸延装置の構成は、成形、機械加工、または押し出しを含むがこれに限定されない、技術的に既知であるいくつかの技術を用いて行われるかもしれない。注入コイルまたは案内部材が、用途要求にしたがって異なる外形および異なる形状を有するかもしれないことがまた理解される。
【0146】
一実施形態において、図48aを参照すると、伸延装置は、それぞれ椎体への挿入のために案内ワイヤ200a上に取り付けるための穴240jを含む、複数の個々の伸延装置要素251から構成されるかもしれない。個々の伸延装置要素48aは、立方体状の構成を有するかもしれず、または所望される使用に応じて、長さおよび幅において長くまたは短いかも知れない。個々の伸延装置要素251が用いられる時、伸延装置は、案内ワイヤ200を伸延装置内に移植されたままにすることによって、または伸延装置によって規定された内側領域に導入された、または少なくともらせんに接触する、またはその両方である、セメントを用いて、固定されることが好ましい。
【0147】
伸延装置はまた、複数の個々の伸延装置要素を結びつけてチェーン状の構造を形成することで構成されることができる。たとえば、材料の薄い部分は複数の立方体状の伸延装置要素に接続されて、全ての要素を一緒に保持し、線または変形可能な線状構造を形成することができるかもしれない。個々の伸延装置要素は、同様のサイズおよび形状であることができ、あるいは、個々の要素のそれぞれは異なるサイズおよび形状であることができる。
【0148】
あるいは、伸延装置は、多数の細穴が均一またはランダム間隔の始動バーまたはロッドに機械加工されることができるバーまたはロッド形状から形成されることができる。通路は、案内ワイヤ上に取り付け、スライドするため、伸延装置の真ん中を通って開けられる。
【0149】
本発明の伸延装置および案内ワイヤは、多様な異なる方法によって、また多様な器具を用いて展開されることができる。図49から58に開示される展開方法および器具は、図12に通常開示されるタイプの伸延装置または図27に通常開示されるタイプの案内ワイヤを注入するのに用いられるかもしれないものの例であることが理解されるであろう。便宜上、上述の展開方法および器具は、伸延装置の展開に関して説明されるであろう。
【0150】
伸延装置は、いくつかの処置について、処置の速度を上げ、また椎骨を治療する場合に組織または端板と接触する表面積を増大させるために、複数のコイルまたはバネ形状の伸延装置を用いることで、より効果的にされるであろう。小さな伸延装置が用いられるが、椎骨の2つの端板を支持するための最大表面積を有することを執刀医が望む場合、外科医はたとえば図49に示される両側経椎弓根アプローチを用いることができる。椎体262内に2つの穴が開けられ、2本のカニューレ264a、264bが穴を通って挿入されて各伸延装置266a、266bを注入する。容易に使用するため、また安全性を考慮して、執刀医は一方の装置を他方の装置の後に挿入することが好ましいであろう。しかし、執刀医の判断で、両方が同時に挿入されるかもしれない。したがって、本発明は挿入の順序には限定されない。
【0151】
二重コイルまたは上装置268と下装置270を有する伸延装置がまた、図50、51に示される。各装置は、反対方向に巻き、したがって装置268は上方向に巻き、装置270は下方向に巻く。装置は同時に注入されることが好ましいが、一度に一方が注入されるかもしれない。両方の装置268と270は、これらを導入する執刀医に対して右側に巻く。しかし、他の装置が必要に応じて左側に巻く装置を有するかもしれない。注入カニューレ272はまた、その遠位端に2つの通路274、274aを有して各装置を適切な方向に適切に案内するかもしれない。所与の高さ寸法について同じ数の巻きが必要とされるであろうため、同時に展開された2つの装置を有することは、唯一のコイルが用いられる場合の特定の装置を注入することに必要とされる時間を半分にするであろう。本実施形態は、伸延装置が両方向に広がるため、椎体の中心(高さに関して)アクセスすることが可能である時に用いられることが好ましい。
【0152】
二重コイルのその他の構成または装置設計が図52に示され、伸延装置は前方にある第1の装置275と、後方にある第2の装置276とを有する。第1の装置275は展開された時に右側に巻き、他方の装置276は展開された時に左側に巻く。本実施形態において、両方の装置275,276は下方向に巻く。しかし、他の実施形態において、両方の装置は上方向に巻くかもしれない。カニューレ278の遠位端277は、並んで配置される2つの通路を有し、装置を適切に案内する。この場合、表面積接触は倍になり、場合によっては組織または端板への圧力が減少される。しかし、展開時間は単一のコイル装置を展開するのとほぼ同じである。図53に示されるように、医学的または物理的理由により、唯一の茎279または一方の側のみがアクセス可能である時に、本実施形態を用いることはより有利であろう。この方法で、表面接触領域は著しく増大する。
【0153】
運搬時間を減少させ、表面接触領域を倍増させるべく、図54に4つの伸延装置を有する他の伸延装置構成が図解される。基本的に、これは2つの先に説明された装置の組み合わせである。2つの装置280と281は、上位置に並んで配置され、装置280は右側に巻き、装置281は左側に巻く。両方の装置はまた上方向に巻く。他の2つの装置282と283は、下位置に配置され、両方とも下側に巻き、装置282は左側に巻き、装置283は右側に巻く。この設計はもちろん、伸延装置のそれぞれについて4つの異なる材料を収容するのに大きなカニューレ284を潜在的に必要とする。
【0154】
伸延装置の手動の押し棒による前進に加え、利用の容易さのため、半自動または自動の器具が提供されるであろう。図55は、体内の治療部位への伸延装置の注入のためにカニューレ285を用いる自動設計の略図を示す。器具は一連の電動ローラー286を有して、保持カートリッジ288から変形しない構成の伸延装置287を押し出す。このような器具の制御は、停止および開始コマンド、および伸延装置が回収されることができるように潜在的に逆進コマンドを含むであろう。これはまた、注入速度と目的と摺る組織へ進む伸延装置が遭遇する力抵抗の指示を含むかもしれない。このような器具に、技術的に既知であるようにさらなる特性が加えられるかもしれない。
【0155】
図56は、注入されるコイル伸延装置287を示し、ローラー286が矢印EとFで表される方向に回転するにつれ、伸延装置上の抵抗の働きが、これを矢印Gで示される方向に動かす。
【0156】
伸延装置を注入するその他の装置および方法が、注入動作の手動制御を有する半自動タイプの装置として図57に図解される。伸延装置288は、ハンドル289に接続されてハウジング290と運ばれる、回転するスプールに取り付けられる。伸延装置は固定されたカニューレ291を通って延在する。ハンドル289を矢印で示される方向に回すことで、伸延装置は、これが遠位端において出て治療部位において変形されない状態を取るまで、カニューレ291に沿って供給される。
【0157】
図58は、前進モードと後退モードを有することが好ましい歯止め供給装置292を図解する。前進モードにおいて、トリガ293を起動させると、伸延装置294はカニューレ295を通って増加的に前進する。図解された実施形態において、トリガ293は、トリガを繰り返し圧迫し、解放することで、起動される。
【0158】
図58Aは、伸延装置または案内トラックがカニューレ295aの遠位端297aの側から出る、歯止め供給装置292aの他の実施形態を図解する。
【0159】
上述のように、本発明は、相互に伸延されて、恒久的または一時的に相互から離されて支持される、皮膚、組織、臓器、骨、またはこれらの組み合わせを必要とする状態を治療する装置および方法に関する。これはまた、脊椎圧迫骨折の治療にさらに具体的に適用可能である。伸延装置はまた椎間板治療および脊髄融合の治療に特に良く適する。
【0160】
図59は、隣接する椎骨301と301aおよび椎骨301、301aの間に配置される椎間板302を有する脊柱300の部分を図解する。骨鉗子、キュレット、プローブ、解剖用器具などの椎間板核除去ツール304が、後方アプローチを介して椎間板302にアクセスして示される。図61に図解されるように、除去ツール304は、線維輪312の小さなアクセス穴310を通って挿入されて、当業者にとって通常既知である技術および処置を用いて椎間板髄核306を除去することができる。
【0161】
図62を参照すると、椎間板核306を除去することにより、空間または椎間板核空間308が作成される。さらに、核除去の間に椎間板輪部312に作られた小さなアクセス穴310が椎間板核空間にアクセスするのに用いられることができる。
【0162】
本発明にしたがって伸延装置を注入する1つの好適な方法において、図63と63Aを参照して、注入カニューレ314がアクセス穴310を通って挿入され、案内ワイヤ316が、上述されたのと同様の処置および技術を用いて、カニューレ314を通って核空間308内に展開される。上述の実施形態と同様に、案内ワイヤ316は、カニューレを通っての注入のために細長い線状構成を有し、カニューレから出るとコイル状または展開構成を有する。案内ワイヤ316が展開された後、注入カニューレ314が縮められて注入システムから除去されることができる。案内ワイヤ316のコイル状の部分317は、図64に示されるように核空間308の少なくとも部分を占めて残され、案内ワイヤの近位端318は椎間板302から延在して伸延装置の展開のために挿入路を規定する。
【0163】
図65と65Aに図解されるように、インプラントまたは伸延装置320は案内ワイヤ316の上を遠位に進められる。伸延装置320は、プッシャー319または図58の注入歯止めガン292などの前進機構の助けを借りて、または任意のその他の適切な方法によって、案内ワイヤ316の上を進められることができる。伸延装置320が案内ワイヤ316上を進むにつれ、案内ワイヤは伸延装置を核空間308内に案内する。伸延装置320は、案内ワイヤ316に沿って従い、コイル状に巻いて、先の実施形態の支持構造と実質的に同様である支持構造313を形成する。
【0164】
ひとたび伸延装置が所望の展開に達すると、注入ワイヤ316は、図66に示されるように支持構造313をその場に残して除去されることができる。あるいは、注入ワイヤ316は切断されて伸延装置320内に残されるであろう。伸延装置320に加え、骨セメントや網状骨移植材料などの骨充填剤が伸延装置の周囲に挿入されて骨固定を促進するであろう。完全な固定プロセスは、完全に治癒するまでに約6ヶ月を要すると予期される。所望であれば、補助的な固定が脊柱に加えられて治癒プロセス中の不安定さを防止する。
【0165】
本発明にしたがった代替的な展開方法が図67から71に図解される。図67は、核が既に除去された椎間板を図解する。上述の案内ワイヤと同様の案内ワイヤ322aが、上述されたものと概して同様の方法で、カニューレ314aを通って核空間308aに展開される。案内ワイヤ322aが展開された後、所望であれば、カニューレ314aがシステムから除去されてよい。案内ワイヤの本実施形態のコイル状の構成は、きつい巻きを有し(小径コイル)、したがって核空間308aの部分のみを占める。
【0166】
図68に図解されるように、伸延装置324aは案内ワイヤ322aの上に配置されて、先に開示されたのと同様の方法で、核空間308a内に展開される。伸延装置324aはコイル状の案内ワイヤ322aに沿って従い、コイル状に巻いて図69に示されるように支持構造313aを形成する。コイル状の案内ワイヤの巻きがきついため、支持構造313aの断面幅「J」は先に説明された実施形態のものよりも小さく、したがって支持構造は核空間308の部分のみを占める。伸延装置324aが展開された後、案内ワイヤ322dは除去されることができる。あるいは、案内ワイヤ322aは切断されて伸延装置324a内に残されることができる。
【0167】
伸延装置324aが支持構造313aを形成した後、伸延装置の余剰の部分がある場合、余剰の部分は切断されて除去されるであろう。すなわち、伸延装置は展開の後に所定の長さに切断されることができる。伸延装置を所定の長さに切断できることの利点の1つは、単一の伸延装置が異なる半径、長さ、およびコイルまたは展開構成の案内ワイヤの上に展開されることができることである。
【0168】
図69に示されるように、第2の案内ワイヤ322bがカニューレ314bを通って、支持構造313aに隣接する核空間308a内に展開される。第2の伸延装置324bはそこで、図70に示されるように案内ワイヤ322bの上に展開される。
【0169】
図71は、2つの伸延装置支持構造313a、313bが核空間308a内で展開された後の椎間板を図解する。2つの伸延装置を用いることの利点の1つは、援助される支持および力の分配を提供する、伸延装置によって占められる増大した表面積である。
【0170】
先の方法は、脊椎への後方アクセスについて説明された。しかし、いくつかの状況において、とりわけ腰部において、前方アプローチが望まれる。図60は、前方アプローチの例を図解する。このようなアプローチにおいて、患者の腹部に切開部が作られ、下行結腸330、大動脈332および下大静脈334などの主器官が解離され、側面に押され、次いで開創器336で保持されて脊柱300へのアクセスを提供する。このアプローチの利点の1つは、前方から椎間板空間へアクセスし、図72に示されるように隣接する椎骨の端板338、340が平行でなく、後方アプローチから伸延装置を挿入することが困難であるくさび状の形状を有する時に、固定を完成させる能力である。
【0171】
隣接する椎骨の端板が平行でない場合、楕円端を有する支持構造を形成する伸延装置を用いることが好ましいであろう。図74は、伸延装置によって形成される支持構造341の一実施形態を示す。支持構造341は、通常相互に対して角度をなす上部342および下部344を有する。支持構造は、前方部分346と後方部分348を有する。前方部分346は後方部分348よりも高く、図72Bに示されるように、支持構造を平行でない椎骨板338,340の間のくさび状の形状に一致させることが好ましい。
【0172】
楕円構成の利点の1つは、これが図72Aに図解されるように、説明されたばかりの前方アプローチよりも侵襲のより小さな後方アプローチに用いられることができることである。後方アプローチは、これらの特別な場合に所望されるくさび形インプラントを断念することなく、より早い回復を可能にする。
【0173】
楕円構成を有する伸延装置は、図73に図解されるように、伸延装置リボン349から形成されることができる。伸延装置リボン349は、隆起350と谷351を有する展開前状態を有する。各隆起350は、規定されたピッチ「P」で間隔を取られる。伸延装置349の隆起350および谷351は、適切な案内ワイヤが用いられる時に、伸延装置が長い前方寸法を有する図73の支持構造341を形成するように、間隔を取られる。このような支持構造は、伸延装置349を、適切なピッチの間隔に適合する半径を有するコイル構成を有する対応する案内ワイヤ上で展開することにより達成されることができる。
【0174】
図75と76は、本発明の他の実施形態を図解し、案内ワイヤ352の展開構成は、単一層らせん部分353を有するであろう。図76に図解されるように、案内ワイヤ352は、カニューレ355を通って、椎間板核の除去によって作成された開いた空間308b内に展開される。案内ワイヤ352がカニューレ355から出るにつれ、案内ワイヤのらせん部分353は核空間308b内で形成する。図77を参照すると、伸延装置354は、先に説明されたのと概して同様の方法と技術を用いて案内ワイヤ352の上に挿入され、核空間308内に進められる。伸延装置354は、案内ワイヤ352に沿って従い、単一層の概してらせん形の支持構造356を作成する。任意に、注入トラック352は除去されて、後に大変コンパクトな伸延装置を残すことができる。図78は、らせん構成に展開される伸延装置支持装置356を図解する。本実施形態の利点は、広い面積を占める伸延装置の単一層を提供することと、固定について良好な支持と安定性とを提供することとである。
【0175】
本発明の伸延装置はまた、全体的または部分的な椎体置換(VBR)に用いられることができる。本発明の低侵襲部分的VBR術の1つにおいて、図26Gを参照して上述した処置と概して同様である内視鏡的処置が、損傷した椎体組織を除去するのに用いられてよい。この処置は、椎体の小さなアクセス穴を通って椎骨除去ツールを挿入して椎骨の損傷部分を除去することを含むことができる。損傷した骨が除去された後、注入カニューレ400が、骨除去のために作成されたものと通常同じアクセス穴であるアクセス穴402を通って、椎骨403に挿入されてよく、図79に図解されるように、案内ワイヤ404がカニューレを通って椎体406内に展開される。
【0176】
案内ワイヤ404がカニューレ400の遠位端部分408から出て、椎体406に入るにつれ、案内ワイヤの遠位端部分410は拘束されないコイル形状に戻り始める。案内ワイヤ404は、進められ、コイル形状が所望の高さに達するまで、または所望の数の屈曲412を有するようになるまで、椎体内で展開される。
【0177】
案内ワイヤ404が所望の展開構成に達すると、任意に、カニューレ400が縮められて、システムから除去されることができる。この段階において、案内ワイヤ404のコイル状の遠位端部分410は椎体406内で展開され、案内ワイヤの近位端部分414は通路408の外に延在する。案内ワイヤの近位端部分414は、図80に図解されるように、伸延装置416のための挿入通路を規定する。
【0178】
伸延装置416は、案内ワイヤ404の近位端部分414の上に挿入され、プッシャー部材418は案内ワイヤの上に、伸延装置の後ろまたは近位に配置される。プッシャー部材418が進められるにつれ、これは伸延装置416に接触し、これを、案内ワイヤ404の上に前または遠位に進める。
【0179】
椎体において、伸延装置416は、案内ワイヤ404のコイル形状の部分410に沿って従い、コイル形状の支持構造420に巻く。支持構造420のさらなるコイルまたは巻き422のそれぞれの形成により、支持構造は高さまたは範囲において増大する。支持構造420が高さにおいて増大するにつれ、これは椎骨の端板424、426を伸延して支持し、椎骨の高さを回復させ、または部分的に回復させ、椎体406を固定する。
【0180】
伸延装置416が展開された後、案内ワイヤ404は伸延装置から縮められてシステムから除去されることができる。あるいは、案内ワイヤ404は切断されて伸延装置416内に残されるかもしれない。装置を固定し、および/または骨固定を促進するべく、任意に、上述されたものと同様の方法によって、骨セメント、アログラフ、またはオートグラフなどの骨充填剤または治療薬物が装置内またはその周辺に挿入されるであろう。
【0181】
全体的VBR術の低侵襲方法の1つにおいて、上述された椎体除去ツールが用いられて、椎骨401の椎体の実質的に全てを除去することができ、椎間板除去ツールが用いられて、隣接する椎間板を実質的に除去することができる。図82を参照すると、カニューレ400aの遠位端部分408aが、椎体および隣接する椎間板の除去によって作成された空間430に挿入されることができ、案内ワイヤ404aが、上述されたのと同様の処置および技術を用いて、この空間内に展開されることができる。案内ワイヤ404aがカニューレ400aの遠位端部分408aから出るにつれ、案内ワイヤ404aの遠位端部分410aが、拘束されないコイル形状に戻り始める。案内ワイヤ404aは進められ、椎体および椎間板の除去によって作成された空間430内に、コイル形状が所望の高さに達するまで、または所望の数の輪または屈曲412aを有するようになるまで展開される。
【0182】
案内ワイヤ404aが所望の展開構成に達した後、カニューレ400aは縮められてシステムから除去されることができる。図83を参照すると、伸延装置416aが案内ワイヤ404aの近位端部分414aの上に挿入され、プッシャー部材418aが案内ワイヤの上に、伸延装置の近位端の後ろに配置される。プッシャー部材418aが進められるにつれ、これは伸延装置416aに接触し、これを案内ワイヤ404aの上を、前または遠位に進める。伸延装置416aが案内ワイヤ404aの上を進められるにつれ、案内ワイヤは、伸延装置を、椎体および隣接する椎間板の除去によって作成された空間430内へ案内する。伸延装置416aが案内ワイヤ404aのコイル形状の部分410aに沿って従うにつれ、これはコイル形状の支持構造420aに巻く。支持構造420aのさらなるコイルまたは屈曲422aの形成のそれぞれによって、支持構造は高さにおいて増大する。支持構造420aが高さにおいて増大するにつれ、これは、図84に示されるように、上椎骨434の端板432と下椎骨438の端板436を伸延し、支持する。
【0183】
伸延装置が展開された後、任意に、骨セメント、アログラフまたはオートグラフなどの骨充填剤または治療薬物が、支持構造内またはその周辺に挿入されて、支持構造を固定し、および/もしくは骨固定を促進するであろう。
【0184】
本発明は、図解された実施形態を踏まえて説明されたが、これは図解の目的のためであり、限定ではないことが理解される。支持または伸延装置のその他の適用、修正、または使用が、ここにまたは後に提出される請求項に説明される本発明の範囲から逸脱することなく行われるであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト脊椎を処置するための伸延システムであって:
ほぼ細長い部材を該脊椎の組織層間の位置に案内するための少なくとも1つの案内部材であって、近位端部分および遠位端部分を有し、該遠位端部分が該組織間の挿入に適し、そして所望の支持構造の形状を規定する、案内部材を備え;そして
該細長い部材は、該組織層間の挿入のために該案内部材に沿って遠位方向に進行するために該案内部材上にスライド可能に置かれ、該細長い部材が、該案内部材の遠位端部分によって規定される形状に実質的に一致し、該組織層を分離し、支持し、または分離および支持の両方を行う支持構造を形成する、伸延システム。
【請求項2】
前記案内部材が、組織層間への該案内部材の遠位端部分の挿入のための実質的に直線状の展開前形態、および該案内部材の遠位端部分、形態の変化により、所望の支持構造の形状を形成する展開形態を有する、請求項1に記載の伸延システム。
【請求項3】
前記案内部材の遠位端部分が、前記展開形態に自己形成する、請求項2に記載の伸延システム。
【請求項4】
前記案内部材の遠位端部分によって形成される所望の支持構造の形状が、複数の隣接する屈曲を含むらせん形状である、請求項1に記載の伸延システム。
【請求項5】
前記細長い部材が、伸延装置を前記案内部材に沿って遠位方向に進行するために該案内部材をスライド可能に受容する管腔を含む、請求項1に記載の伸延システム。
【請求項6】
前記細長い部材によって形成される支持構造が、内部の内在容積を規定する、請求項1に記載の伸延システム。
【請求項7】
前記細長い部材が、その中に管腔を含み、該管腔が前記内部の内在容積と連通し、そして流動可能な材料を該内部の内在容積中に移動するように適合されている、請求項6に記載の伸延システム。
【請求項8】
前記支持構造が前記内部の内在容積からの流動可能な材料の移動を制限または防ぐ、請求項7に記載の伸延システム。
【請求項9】
前記内部の内在容積が、乱されない組織を含むように適合されている、請求項6に記載の伸延システム。
【請求項10】
前記案内部材が、前記支持構造が形成された後に前記細長い部材から取り除かれるよう適合されている、請求項1に記載の伸延システム。
【請求項11】
明細書に記載の発明。
【請求項1】
ヒト脊椎を処置するための伸延システムであって:
ほぼ細長い部材を該脊椎の組織層間の位置に案内するための少なくとも1つの案内部材であって、近位端部分および遠位端部分を有し、該遠位端部分が該組織間の挿入に適し、そして所望の支持構造の形状を規定する、案内部材を備え;そして
該細長い部材は、該組織層間の挿入のために該案内部材に沿って遠位方向に進行するために該案内部材上にスライド可能に置かれ、該細長い部材が、該案内部材の遠位端部分によって規定される形状に実質的に一致し、該組織層を分離し、支持し、または分離および支持の両方を行う支持構造を形成する、伸延システム。
【請求項2】
前記案内部材が、組織層間への該案内部材の遠位端部分の挿入のための実質的に直線状の展開前形態、および該案内部材の遠位端部分、形態の変化により、所望の支持構造の形状を形成する展開形態を有する、請求項1に記載の伸延システム。
【請求項3】
前記案内部材の遠位端部分が、前記展開形態に自己形成する、請求項2に記載の伸延システム。
【請求項4】
前記案内部材の遠位端部分によって形成される所望の支持構造の形状が、複数の隣接する屈曲を含むらせん形状である、請求項1に記載の伸延システム。
【請求項5】
前記細長い部材が、伸延装置を前記案内部材に沿って遠位方向に進行するために該案内部材をスライド可能に受容する管腔を含む、請求項1に記載の伸延システム。
【請求項6】
前記細長い部材によって形成される支持構造が、内部の内在容積を規定する、請求項1に記載の伸延システム。
【請求項7】
前記細長い部材が、その中に管腔を含み、該管腔が前記内部の内在容積と連通し、そして流動可能な材料を該内部の内在容積中に移動するように適合されている、請求項6に記載の伸延システム。
【請求項8】
前記支持構造が前記内部の内在容積からの流動可能な材料の移動を制限または防ぐ、請求項7に記載の伸延システム。
【請求項9】
前記内部の内在容積が、乱されない組織を含むように適合されている、請求項6に記載の伸延システム。
【請求項10】
前記案内部材が、前記支持構造が形成された後に前記細長い部材から取り除かれるよう適合されている、請求項1に記載の伸延システム。
【請求項11】
明細書に記載の発明。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15−1】
【図15−2】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26−1】
【図26−2】
【図26−3】
【図26−4】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48−1】
【図48−2】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58−1】
【図58−2】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63−1】
【図63−2】
【図64】
【図65−1】
【図65−2】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72−1】
【図72−2】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79】
【図80】
【図81】
【図82】
【図83】
【図84】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15−1】
【図15−2】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26−1】
【図26−2】
【図26−3】
【図26−4】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48−1】
【図48−2】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58−1】
【図58−2】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63−1】
【図63−2】
【図64】
【図65−1】
【図65−2】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72−1】
【図72−2】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79】
【図80】
【図81】
【図82】
【図83】
【図84】
【公開番号】特開2012−20153(P2012−20153A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−201882(P2011−201882)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【分割の表示】特願2008−527067(P2008−527067)の分割
【原出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【出願人】(508047945)ベンベニュー メディカル, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201882(P2011−201882)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【分割の表示】特願2008−527067(P2008−527067)の分割
【原出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【出願人】(508047945)ベンベニュー メディカル, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
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