説明

脊椎安定化システム

【課題】デスタビライジング手術後の椎骨、椎間円板および小関節の少なくとも幾つかの生理学的運動性を維持できる脊椎安定化システムを提供することにある。
【解決手段】円板プロテーゼまたは円板核置換体と組合わされる脊椎安定化要素を有する脊椎安定化要素および脊椎安定化システムを提供する。安定化要素および安定化システムは、小関節疾患をもつ患者または脊椎関節突起切除術のような従来のデスタビライジング手術を受けた患者の椎間円板および小関節の生体の運動性を維持できるように設計される。安定化要素は、枢動要素または動的要素で構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
変形性椎間円板疾患、脊椎損傷および腫瘍は、多くの人々が被るありふれた激痛状態である。或る場合には、これらの状態により引起こされる痛みおよび合併症が悪化すると、1つ以上の椎骨、小関節(facet joints)および/または椎骨間円板(intervertebral discs)を脊柱から除去する必要がある。これらの場合に、関節フュージョン術(arthrodesis fusion)または骨フュージョン術が、脊椎要素の再整合および/または固定を行うのに使用される一般的な治療法である。一般に、関節フュージョンまたは骨フュージョンを行うため1つ以上の椎骨を固定する2形式のアセンブリが知られている。第一形式のアセンブリは、棘突起(spinous processes)の両側で長手方向に配置される2つの後側椎骨プレート(posterior vertebral plates)を有している。各プレートは、骨ねじ等の骨アンカーリング要素を用いて隣接椎骨間に取付けられる。第二形式の安定化アセンブリは、一般に、棘突起の両側で長手方向に配置される2つの後側椎骨ロッドを有している。後側椎骨プレートと同様に、これらのロッドは、剛性椎骨固定を行う適当な骨アンカーリング要素を使用して隣接椎骨間に取付けられる。
【背景技術】
【0002】
剛性固定術(rigid fixation)の1つの欠点は、安定化アセンブリ、特に該アセンブリのアンカーリング部位に大きい荷重が作用するという事実から生じる。これらの荷重によって椎骨からアセンブリが緩められ、またはアセンブリが破壊されることもある。安定化アセンブリには、しばしば、移植された骨組織から形成された骨移植片および/または隣接椎骨をフュージングするための人工フュージョンケージが補足される。残念なことに、このような移植片およびフュージョンは、患者の生涯を通して重大な合併症を引起こす。なぜならば、椎骨のフュージングにより、残りの脊椎要素が高い応力および変形を受けるからである。これは、残りの隣接椎骨および椎間円板(vertebral disc)にとって特に当てはまることである。なぜならば、これらの要素はかなり大きい度合いの運動に適合しなければならないからである。また、脊椎フュージングは、撓み、伸び、回転および横方向曲げ時に患者の運動範囲を制限する。
【0003】
同様なアセンブリは、脊柱側弯、脊椎損傷および腫瘍に付随する脊椎奇形の矯正にも使用できる。これらの矯正システムでは、一般に、2つ以上の椎骨をスパンする矯正ロッドが棘突起の両側に移植される。
剛性脊椎安定化アセンブリに加えて、幾つかの半剛性デバイスが提案されている。このような幾つかのデバイスは、後の骨フュージングを補助しかつ応力を低下させるため、少量の椎骨間弾性を維持することを目的としている。他のこのようなデバイスは、脊柱の成長に適合するように、椎骨に対して垂直方向に摺動できる安定化ロッドを提供する。
【0004】
剛性椎骨固定に付随する問題のため、人工円板プロテーゼを使用することが、多くの患者にとって魅力的なものとなっている。これらの円板プロテーゼは、少なくとも幾つかの生体椎骨間運動をシミュレート(模擬化)しかつ適正な円板高を復元するため、生体の椎間円板に代えて挿入される。理想的には、円板プロテーゼは、脊椎の全運動範囲を復元するため、小関節に関連して作動する。小関節は、脊柱に作用する軸線方向荷重、捩り荷重および剪断荷重の支持を補助する後側椎骨要素である。小関節が罹病しまたは変形(例えば拡大)した場合には、しばしば、全脊椎関節突起切除術または部分脊椎関節突起切除術において小関節の全部または一部を除去する必要がある。残念なことに、小関節の除去は、撓み、伸び、横方向曲げおよび回転時のスチフネスが低減するため脊柱の安定性が低下する。適度のまたは進歩した小関節疾患および脊椎関節突起切除術または従来の他のデスタビライジング手術(destabilizing procedures)は、プロテーゼ円板では禁忌となることがある。
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,554,831号明細書
【特許文献2】米国特許第4,743,260号明細書
【特許文献3】公開米国特許出願第2001/0037111号明細書
【特許文献4】米国特許第5,352,224号明細書
【特許文献5】米国特許第6,241,730号明細書
【特許文献6】米国特許第5,591,166号明細書
【特許文献7】米国特許第5,628,740号明細書
【特許文献8】米国特許第6,626,908号明細書
【特許文献9】米国特許第5,556,431号明細書
【特許文献10】米国特許第5,401,269号明細書
【特許文献11】米国特許第5,314,477号明細書
【特許文献12】米国特許第6,368,350号明細書
【特許文献13】米国特許第6,146,421号明細書
【特許文献14】米国特許第6,139,579号明細書
【特許文献15】米国特許第5,562,738号明細書
【特許文献16】2003年9月30日付米国特許出願第10/675,573号明細書
【特許文献17】米国特許第4,932,975号明細書
【特許文献18】米国特許第5,306,310号明細書
【特許文献19】米国特許第5,147,404号明細書
【特許文献20】米国特許第5,989,290号明細書
【特許文献21】米国特許第6,001,130号明細書
【特許文献22】米国特許第5,672,175号明細書
【特許文献23】米国特許第6,402,750号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かくして、脊椎関節突起切除術または椎弓切除術等の従来のデスタビライジング手術後の椎骨、椎間円板および小関節の少なくとも幾つかの生理学的運動性を維持できる脊椎安定化システムが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、脊椎安定化要素および脊椎安定化システムが提供される。安定化システムは、少なくとも1つの円板プロテーゼおよび/または少なくとも1つの円板核置換体(disc nucleus replacement)と1つ以上の安定化要素とを組合せて、円板プロテーゼまたは円板核置換体と安定化要素との間に応力および運動性機能を分散させることにより、脊椎の生理学的椎骨間運動性の少なくとも幾分かを維持しまたはシミュレートする。より詳しくは、脊椎安定化システムは、生体の椎間円板の少なくとも1つの運動を維持しまたはシミュレートできると同時に、生体小関節の少なくとも1つの運動を維持しまたはシミュレートできる椎骨間安定化要素を形成する円板プロテーゼまたは円板核置換体を提供する。或る実施形態では、安定化要素は、脊椎の撓み、伸び、横方向曲げ、圧縮および回転を維持しまたはシミュレートできる。
安定化システムは、脊椎の隣接椎骨間のスペースの外側に配置されて椎骨間支持を行う椎骨間安定化要素を有している。この安定化要素は、脊柱に作用する荷重の一部を支持すると同時に、隣接椎骨間に或る度合いの運動性を維持する。
【0008】
本発明の一態様は、安定化要素が、第一コネクタにより第一椎骨にアンカーリングされる第一セグメントと、第二コネクタにより他の椎骨にアンカーリングされる第二セグメントとを有する構成の脊椎安定化システムを提供する。2つのセグメントは、回転、圧縮、伸び、撓みおよび/または曲げ運動等の少なくとも1つの運動自由度を安定化要素に付与する継手により連結される。適当な安定化要素としてロッドおよびプレートがあるが、これらに限定されるものではない。
安定化要素のセグメントを連結するのに使用される継手は、安定化要素の2つのセグメント間に或る度合いの運動を付与できる任意の継手でよい。或る場合には、継手は枢動継手であり、他の場合には継手は圧縮可能継手である。
【0009】
或る場合には、椎骨間安定化システムは、棘突起の一側で長手方向に配置される単一の安定化要素のみで形成される。しかしながら、他の実施形態では、椎骨間安定化システムは、棘突起の両側で実質的に平行関係をなして長手方向に配置される2つの安定化要素で形成するのが好ましい。この後者の実施形態では、2つの安定化要素は、必ずしも必要という訳ではないが、好ましくは枢動継手を備えた横方向連結ロッドにより連結される。
安定化要素は、脊柱の隣接椎骨間に配置される円板プロテーゼまたは円板核置換体と組合せて使用される。円板プロテーゼは、少なくとも1つの生体椎骨間運動を維持しまたはシミュレートできる任意の適当なプロテーゼで構成できる。安定化要素と組合せて使用される円板プロテーゼは、文献に提案されている種々の設計にすることができる。適当な円板プロテーゼとして、ボール−ソケット機構を備えたもの、機械的減衰機構を備えたもの、および可撓性インサートまたは弾性ポリマーインサートを備えたものがあるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
一実施形態では、脊椎安定化システムは、枢動継手により連結された第一および第二セグメントを備えた安定化要素を有している。第一セグメントは第一コネクタにより第一椎骨に取付けられ、かつ第二セグメントは第二コネクタにより第二椎骨に取付けられ、これにより、安定化要素は脊柱の長手方向軸線に対して実質的に平行な整合を採用する。枢動継手は、安定化要素が継手で曲げ運動または撓み/伸び運動を受けることを可能にする種々の形態にすることができる。一例示実施形態では、安定化要素は2つのセグメントからなり、この実施形態では、第一セグメントの近位端はボールを形成し、第二セグメントの近位端は補完形状をもつソケットを形成している。この構造では、ボールおよびソケットが一体に嵌合して、枢動継手を形成する。
他の例示実施形態では、安定化要素が2つのセグメントからなり、ギャップにより分離された2つの対向凹状面により形成されたソケットが、第一セグメントの近位端へと延びている。2つの対向凸状面に特徴をもつインサートは、第二セグメントの近位端から外方に延びている。インサートはソケット内に嵌合されて、ボール−ソケット型機構に基いた枢動継手を形成する。
【0011】
本発明の他の態様は、円板プロテーゼと組合される少なくとも1つの動的安定化要素を備えた脊椎安定化システムを提供する。本明細書で使用する用語「動的」安定化要素とは、脊柱に沿って配置されたときに少なくとも1つの生体椎骨間運動を可能にする要素をいう。本発明により提供される継手型安定化要素と同様に、動的安定化要素は、脊柱を安定化させると同時に、脊椎関節突起切除術のような従来のデスタビライジング手術後に、小関節の少なくとも幾つかの生体運動を維持しまたは適合させるのに使用される。継手型安定化要素とは異なり、これらの動的安定化要素は、運動を与える継手を必要としない。脊柱側弯症のような脊椎の変形を矯正しまたは損傷を受けた円板に作用する圧力を緩和すべく、適当な動的安定化要素が提案されている。しかしながら、生体椎骨間運動および小関節運動を部分的または全体的に犠牲にすることなく脊椎を安定化させるには、このような動的安定化要素は、1つ以上の円板プロテーゼまたは円板核置換体と組合せて使用するのが有利であることがこれまでに認識されている。
【0012】
継手型安定化要素のように、動的安定化要素は、一般に、脊椎の後側に配置されるが、他の配置すなわち側方配置および前側配置も可能である。動的安定化要素は、椎骨の主本体、棘突起および小関節を含む脊椎の種々の領域に取付けることができ、また、切開手術によりまたは内視鏡または腹腔鏡を用いて移植できる。
本発明のこの態様の一実施形態では、動的安定化要素は、第一コネクタにより第一椎骨に取付けられかつ第二コネクタにより第二椎骨に取付けられる湾曲ロッドを有している。コネクタは、脊椎の湾曲軸線に沿うロッドの直線運動を可能にする態様で湾曲ロッドに連結される。動的安定化要素はまた、動的安定化要素と組合されて作動し、軸線方向荷重を減衰しまたは椎骨間でのロッドの運動を制限するスプリングのような減衰要素で形成できる。
本発明のこの態様の或る実施形態では、脊椎安定化システムは、円板プロテーゼと組合される2つ以上の動的安定化要素を有している。この実施形態では、動的安定化要素は、第一および第二コネクタにより第一および第二椎骨間に連結されたスプリングのような減衰要素を有している。コネクタには、茎ねじ、ラテラル・マスねじ(lateral mass screw)、多軸茎ねじ、多軸フック等を使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、円板プロテーゼまたは円板核置換体により脊椎安定化要素を結合する非剛性脊椎安定化要素および脊椎安定化システムを提供する。脊椎安定化システムは、応力および運動機能を1つ以上の円板プロテーゼまたは円板核置換体と1つ以上の安定化要素との間に分散させることにより、脊椎の少なくとも幾分かの生理学的運動性を保持しまたはシミュレートするように設計されている。本発明により提供される安定化要素および安定化システムは、脊椎の頸部領域、胸部領域および腰部領域を安定化させるのに有効であり、1つ以上のプロテーゼ椎骨体(prosthetic vertebral bodies)と組合せることができ、かつ小関節疾患をもつ患者または脊椎関節突起切除術または椎弓切除術等の従来のデスタビライジング手術を受けた患者の小関節の生体運動性を維持するのに使用できる。
本発明の第一態様は、次のような基本的要素を含む脊椎安定化システムを提供する。これらの基本的要素とは、1)少なくとも2つのセグメントからなるセグメント化された安定化要素、2)安定化要素の少なくとも2つのセグメントを連結する継手、3)安定化要素と脊柱の第一椎骨とを連結できる第一コネクタ、4)安定化要素を脊柱の第二椎骨に連結できる第二コネクタ、および5)脊柱の隣接する2つの椎骨間のスペース内に挿入できる円板プロテーゼまたは円板核置換体である。これらの各基本的要素については、以下により詳細に説明する。
【0014】
脊椎安定化システムの安定化要素は、椎骨間円板プロテーゼに作用する幾分かの応力を緩和することにより脊椎を安定化させ、かつ1つ以上の小関節の少なくとも幾分かの生体運動を維持するように設計されている。安定化要素は、椎骨間安定化要素である。安定化要素は、脊椎の2つ以上の椎骨にスパンしておりかつ脊柱の椎骨間スペースの外側に配置される。安定化要素は、一般に脊椎の後側に配置されるが、横方向置換体および前側置換体も後側に配置できる。安定化要素は、切開手術、内視鏡手術または腹腔鏡手術により移植される。脊椎安定化システムには、単一の安定化要素または2つ以上の安定化要素を設けることができる。単一の安定化要素のみを設ける場合には、安定化要素は、一般に、棘突起の一側で後側に配置される。システムに2つの安定化要素を設ける場合には、安定化要素は、一般に、互いに間隔を隔てて実質的に平行に配置され、一方の安定化要素は棘突起の両側に配置される。2つ以上の安定化要素を含む脊椎安定化システムでは、安定化要素は、任意であるが、横方向コネクタを介して一体に連結できる。安定化要素と同様に、横方向コネクタは、継手、一般に枢動継手により一体に連結される2つ以上のセグメントで構成できる。
【0015】
安定化要素は、該安定化要素が患者に移植される場合、一般に、脊椎の長い寸法に沿う長い寸法のロッドまたはプレートである。脊椎安定化ロッドおよび脊椎安定化プレートは文献に開示されており、上記特許文献1および2に開示されたロッドがあるが、これらに限定されるものではない。尚、これらの特許文献1および2の開示は本願に援用する。また、上記特許文献3および4に開示されたプレートもある。尚、これらの特許文献3および4の開示は本願に援用する。これらのロッドおよびプレートは、これらの長さに沿って1つ以上の連結継手を挿入することにより、本発明の安定化要素として使用できる。
安定化要素の各セグメントは、一体に形成された単一ユニットで構成できる。或いは、1つ以上のセグメントをセクション化すること、すなわち複数のインターロッキングセクションで構成することもできる。例えば、安定化ロッドのセグメントは、端と端とを突合せてねじで一体化されるセクションに分割できる。この設計により、適合させるべきセグメントの長さを、特定患者または脊椎に沿う安定化要素の特定配置に適合させることができる。また、この設計により、剛性セクションの継手を形成するセクションを容易に交換できる。これは、例えば、円板プロテーゼをフュージョン(fusion)に交換または変換するときに、望ましいオプションである。また、セグメントは、既存の安定化デバイスに挿入できるようになっている。
【0016】
安定化要素の少なくとも2つのセグメントは継手により連結される。この形態では、継手は少なくとも2つの目的で機能する。第一に、継手は、安定化要素の2つのセグメントを一体に緊締する機能を有し、第二に、継手は、2つのセグメント間に少なくとも1つの運動自由度を与える。例えば、継手は、脊椎の撓み、伸びおよび/または横方向曲げ運動を与えるすなわち適合するように設計される。本発明の開示目的から、撓み、伸びおよび/または横方向曲げ運動を与えるすなわち適合する継手は、枢動継手と呼ぶことにする。或いは、継手は、脊椎の圧縮/拡大型運動を与え、適合しまたは減衰させることができる。本発明の開示目的から、脊椎の圧縮/拡大運動を与え、適合しまたは減衰させる継手を圧縮可能継手と呼ぶことにする。或る実施形態では、継手は、上記運動を組合せた運動を与えまたは適合する。或る場合には、脊椎の生体運動をより正確にシミュレートするため、継手により与えられる運動の度合いを制限する制限要素を設けることも望まれる。
【0017】
適当な枢動継手は、ボール−ソケット型継手およびボール−ソケット型機構に基いた継手(すなわち、補完凹凸面を備えた継手)を有している。骨フュージョンと組合せて使用する枢動継手を備えた脊椎安定化要素が提案されている。これらの脊椎安定化要素は、本発明による脊椎安定化システムを形成するため、1つ以上の椎骨間円板プロテーゼまたは1つ以上の円板核置換体と組合せることができる。本発明の脊椎安定化システムの安定化要素として使用できる継手型椎骨間リンクデバイスが、上記特許文献5に開示されている。尚、該特許文献5の全開示は本願に援用する。簡単にいえば、特許文献5に開示の枢動継手は、第一セグメントの近位端内に延びているソケットと、第二セグメントの近位端から外方に延びているピンとを有し、ピンは、遠位端と外方に延びている半径方向カラーとを有している。カラーの上方でピンの周囲には第一減衰要素が配置されており、カラーの下でピンの周囲には第二減衰要素が配置されている。ピン、第一および第二減衰要素はソケット内に延びていて、ソケット内でのピンの多方向枢動を可能にしている。
【0018】
特許文献1には、移植可能な脊椎装置用の継手型クロスリンクに関連する他の適当なボール−ソケット継手の設計が開示されている。この継手は、第一セグメントが第二セグメントの近位端で一体に形成されたボールを受入れるソケットを形成する近位端を備えた構成のボール−ソケット機構に基いている。同時に、このボール−ソケットは、2つのセグメントを連結する枢動継手を形成する。この形式の継手は、横方向コネクタの枢動継手として使用できる。他の例示継手設計が図2〜図13に示されており、以下により詳細に説明する。
コネクタは、脊柱に沿って安定化要素を取付けるのに使用される。コネクタには、安定化要素を椎骨に固定できる任意の適当な連結手段を設けることができる。適当なコネクタとして、茎ねじ、フックおよびラテラル・マスねじがあるが、これらに限定されるものではない。一般にコネクタは、骨に穿刺またはアンカーリングできるロッド、フック、爪または螺条付ねじシャフトのようなシャフトと、安定化要素を固定できる固定部分とを有している。例えば、コネクタは、その一端に、骨内にねじ込む粗い螺条を備えた骨ねじを有し、反対側の端部に、安定化要素のマッチング・タップド・ボア(matching tapped bore)内にねじ込むための機械ねじを有している。コネクタ自体には多くの要素を設けることができる。例えば、コネクタには、安定化ロッドを骨に連結するためのロッドクランプに固定されるねじまたはフックを設けることができる。
【0019】
或る実施形態では、コネクタは、多軸ねじまたはフックを有している。このようなねじまたはフックは、直列に移植されるねじ間の方向および位置を変えることに適合でき、かつコネクタと、該コネクタが取付けられる安定化要素との間に1つ以上の運動自由度を与えることができる。本発明の脊椎安定化システムのコネクタとして使用するのに適した多軸茎ねじおよびフックは、上記特許文献6〜8に開示されている。尚、これらの特許文献6〜8の全開示は本願に援用する。関節連結が行えるようにするため、特許文献6および7に開示された多軸茎ねじは、固定方向内にロックされることなく使用でき、このため、安定化要素は、コネクタのシャフトに対する相対運動を保持できる。
必ずしも必要とする訳ではないが、コネクタは、安定化要素に対して回転的に調節可能であるのが望ましい。本明細書で使用するとき、回転的に調節可能な連結とは、外科医が患者の脊椎に対する継手の方向を最適化できるようにするため、脊椎安定化システムの移植前、移植中または移植後に、安定化要素または該安定化要素の個々のセグメントをこれらの長手方向軸線の回りで回転できるようにする連結をいうものとする。コネクタには、安定化要素の方向がひとたび最適化されたならば更に回転することを防止する、方向ロック可能なロッキング機構を設けることができる。特許文献6および7に開示の茎ねじは、この機能を果たすことができる。このような1つの実施形態では、安定化要素はロッドであり、コネクタは、螺条付シャフトと、該シャフトを貫通して延びる横方向(すなわち、シャフトの長手方向軸線に対して垂直)のボアを備えたヘッドとを有するねじである。ロッドの直径は、該ロッドが前記ボアに挿通されかつ該ボア内で回転できるのに充分なほど小さい。ロッドの回転方向がひとたび最適化されたならば、ロッドをクランプしまたはロッドにねじ込まれる留めねじその他のロッキング機構が設けられている。
【0020】
コネクタは、安定化要素を、脊柱の隣接するまたは隣接しない椎骨に連結するのに使用できる。コネクタは、円板プロテーゼまたは円板核置換体が間に配置される同じ椎骨に取付けられるか、プロテーゼ椎骨本体(単一または複数)に取付けられるのが望ましいが、必ずしもそうする必要はない。或る場合には、本発明の安定化要素を既存の安定化デバイスに組み込むか、該デバイスのコンポーネンツと交換できるように、既存の安定化デバイスに関連させることができる。
脊椎安定化システムでは、安定化要素は、少なくとも1つの円板プロテーゼまたは少なくとも1つの円板核置換体に関連して使用される。これらのシステムでは、プロテーゼまたは置換体は、1つ以上の安定化要素によりスパンされた椎骨間スペース内に収容される。本発明の脊椎安定化要素に関連して、種々の椎骨間円板プロテーゼを使用できる。このような多くの円板プロテーゼが提案されている。例えば、円板プロテーゼには、下の椎骨に取付けることができる下のベースプレートと、上の椎骨に取付けることができる上のベースプレートとの間に配置されるスプリングのような機械的減衰要素で形成できる。或いは、円板プロテーゼは、上下のベースプレート間に配置されるゴム、ゲルまたはポリマーインサートで形成できる。円板プロテーゼは、1つ以上の対をなす補完凹凸面が協働して継手を形成するボール−ソケット機構に基いて形成できる。本発明により提供される椎骨安定化システムに使用できる適当な円板プロテーゼとして、上記特許文献9〜15に開示されたものがあるが、これらに限定されるものではない。尚、これらの特許文献9〜15の全開示は本願に援用する。他の適当な円板プロテーゼとして、上記特許文献16に開示されたものがある。尚、該特許文献16の全開示は本願に援用する。安定化要素は、ヒドロゲルベース核置換体のような人工円板核に使用することもできる。
【0021】
本発明による脊椎安定化要素および脊椎安定化システムは、2つの隣接椎骨間の単一椎骨間スペースをスパンするものでも、または患者の脊椎に沿う多数の椎骨間スペースおよび多数の円板プロテーゼおよび/または円板核置換体をスパンするものでもよい。
本発明により提供される脊椎安定化システムには、任意であるが、1つ以上の安定化要素によりスパンされた1つ以上のプロテーゼ椎骨本体を設けることができる。本発明により提供される脊椎安定化システムに組み込まれる適当なプロテーゼ椎骨本体は、種々の文献に開示されており、例えば上記特許文献17〜21に開示されたものがあるが、これらに限定されるものではない。尚、該特許文献17〜21の全開示は本願に援用する。また、本発明により提供される脊椎安定化システムに使用できる他の適当な椎骨プロテーゼとして、特許文献16に開示されたものがある。プロテーゼ椎骨本体が含まれる実施形態では、コネクタは、安定化要素を、プロテーゼ椎骨本体または椎骨に連結する。かくして、本明細書で使用するとき、フレーズ「椎骨に連結される」または「椎骨に連結できる」は、生体椎骨および人工椎骨への連結をいうものとする。
【0022】
図1〜図13には、本発明により提供される椎骨安定化システムの安定化要素の第一および第二セグメントを連結するのに使用できる枢動継手の例が示されている。図1〜図10および図13では、例示の安定化要素としてロッドが使用されている。図11および図12では、例示の安定化要素としてプレートが使用されている。
明細書の全体に亘るこれらの図面の説明において、用語「長手方向」および「近位側」は、相対的な用語である。用語「長手方向」は、安定化要素の長さ寸法に沿う方向をいうのに使用される。用語「近位側」は、継手に近い方の位置をいうのに使用される。
図示の実施形態は本発明の例示のみを意図するものであり、本発明をいずれかの特定実施形態に限定すると解釈すべきではない。図面は必ずしも縮尺通りではなく、安定化要素および安定化システムのコンポーネンツの相対寸法は、図示の相対寸法とは異なっている。
【0023】
図1にはボール−ソケット型継手100が示されている。図1に示す継手100は第一セグメント102を有し、該第一セグメント102は、この近位端へと延びている全体として球状のソケット106を有している。また、安定化要素100は第二セグメント104を有し、該第二セグメント104は、この近位端に配置されたボール108を有している。第二セグメント104およびボール108は、必ずしもそうする必要はないが、ネック110を境目としたワンピースとして形成するのが好ましい。図1に示すように、ボール108およびソケット106は一体に嵌合され、回転継手を形成する。
【0024】
この継手が連結されたとき、球状ソケット106の側壁はボール108の最大直径部分を越えて上方に延び、ボールがソケットから外れないようにしている。図1の拡大図(図1A)に最も良く示すように、ソケット106は、その中央部で周方向に延びている平ストリップ109に特徴を有し、ボールが長手方向に直線運動できるようになっている。第二セグメント104には、任意であるが、そのネックの周囲に配置されるスプリングを設けて、直線運動、撓み運動、伸び運動または横方向曲げ運動の減衰または制限を行うように構成できる。枢動継手は、ボールをソケット内に圧嵌めすることにより形成される。或いは、直径方向に対向する長手方向スリット(図示せず)をソケットの壁に形成してソケットに或る度合いの可撓性をもたせ、ボールがより容易にソケット内に滑り込むことができるようにすることもできる。図1に示す実施形態では、第二セグメント104のネック110は、安定化要素の第一セグメントと第二セグメントとの間に或る大きさのクリアランスを形成する。ネック110により付与されるクリアランスの大きさは、両セグメントが互いに当接して更なる枢動を防止するまでに枢動できる大きさに影響を与える。ネック100により付与されるクリアランスは、安定化要素100の全周において均一である必要はない。例えば、ネック110の周囲の形状または第二セグメント102の上面111の形状は、或る方向への枢動を許容する(但し、他の方向には許容しない)ように設計できる。かくして、安定化要素は、撓みおよび伸びには或る度合いで適合するが、横方向曲げにはより小さい度合いで適合するように設計できる。
【0025】
図2〜図6には、脊椎安定化システムの安定化要素の2つのセグメントを連結するのに使用できる枢動継手の他の実施形態が示されている。図3は、安定化要素を正面から見た断面図である。「正面」から見た図面とは、患者の脊椎での安定化要素の意図した方向に基いて、前方から見た図面、側方から見た図面または後方から見た図面に一致するものと理解すべきである。図示のみを目的として、図3の正面図は後方から見た図面であると考えることができ、従って、図面(紙面)に対して垂直に延びかつ安定化要素と交差する平面は「サジタル(sagittal)」平面と呼ぶことができ、紙面の平面内にあって安定化要素を二分する平面は「横方向(lateral)」平面と呼ぶことができる。この実施形態では、安定化要素は第一セグメント202を有し、該第一セグメント202は、この近位端へと延びているソケット205を備えている。このソケット205は、ギャップ210により分離された2つの対向凹状面206、208により形成されている。図2の拡大図(図2A)に最も良く示すように、対向凹状面は、凹部の頂点を通って横方向に延びているストリップ221を有するのが好ましい。図2に示すソケットは更に、安定化要素の長手方向軸線214上に中心を有しかつギャップ210内に開口を有する下方ハウジング212により形成されている。安定化要素は更に第二セグメント204を有し、該第二セグメント204の近位端にはインサート215が配置されている。インサート215は2つの対向凸状面216、218に特徴を有し、また、必ずしも必要という訳ではないが、インサート215は第二セグメント204の近位端に一体に形成するのが好ましい。図3および図5の対比図面に示すように、インサートは円板状、すなわち、一方向の幅の方が他方向の幅より幅広になっている。この設計は、継手の長手方向軸線214回りでの継手の回転を制限するため有利である。インサート215の最外端部には平延長部220を設けるのが好ましく、一方、反対側端部には第二セグメント204のネック222が形成されている。
【0026】
図3には、インサート215をソケット205内に嵌合することにより、安定化要素の第一セグメント202と第二セグメント204とを連結して形成された枢動継手が示されている。この設計は、継手が、横方向平面内での枢動度合いよりもサジタル平面内での枢動度合いを大きくすることができる。継手がサジタル平面内で枢動できる度合いは、少なくとも一部が、第一セグメント202の上面211と、第二セグメントのネック222により形成される第二セグメント204のシャフト213との間のクリアランスにより決定される。一方のセグメントの他方のセグメントに対する長手方向直線運動に適合するように、ソケット205の最外端部の平延長部220は、ソケットハウジング212内に入ることができる。任意であるが、継手に作用する軸線方向荷重を減衰させるため、ソケット215のハウジング212内にスプリング300を挿入することができる。図5には、図3の安定化要素の側面図が示されている。
【0027】
両セグメントの近位端に延びているソケットは、セグメントの最外端部でソケットの開口の中心を通って延びている中心軸線に特徴を有している。図2〜図5に示す実施形態では、枢動継手は、安定化要素の長手方向軸線214に一致する中心軸線の回りで枢動する。しかしながら、或る用途では、枢動継手が、安定化要素の長手方向軸線に一致しない中心軸線の回りで枢動することが望まれる場合がある。このような一実施形態が図6に示されている。この実施形態では、安定化要素600は第一セグメント602を有し、該第一セグメント602はこの近位端へと延びているソケットを有している。このソケットは、ギャップにより分離された2つの対向凹状面606、608により一部が形成されている。安定化要素600はまた第二セグメント604を有し、該第二セグメント604の近位端にはインサート615が設けられている。このインサートは、2つの対向凹状面616、618に特徴を有している。図2〜図5に示した継手とは異なり、図6の継手は、安定化要素の長手方向軸線626とは一致せずかつ平行でもない中心軸線622の回りで枢動する。すなわち、図6の継手は、安定化要素の長手方向軸線626に対して角度624を形成する軸線622の回りで枢動する。この設計は、外科医が、安定化要素の第一および第二セグメントを回転させることにより、脊柱に対する継手の方向を最適化できるため有利である。この態様により、枢動継手は、個々の患者の生体小関節平面に適正に整合できる。
【0028】
図7は、椎骨間円板プロテーゼと組合せられた図2〜図5の脊椎安定化要素を有する脊椎安定化システムを示す側断面図である。脊椎安定化要素は、脊椎の後側で、第一椎骨702と第二椎骨704とに跨って、棘突起(破線で示す)の一側に連結されている。図7に例示する実施形態では、安定化要素は、茎ねじ706、708を用いて椎骨に連結される。各茎ねじはねじヘッド710、712を有し、該ねじヘッドには貫通する横孔が設けられている。安定化要素の第一および第二セグメントは、それぞれ、第一および第二茎ねじヘッドの横孔を通って延びている。図示のように、第一および第二セグメントは、ねじヘッド710、712にねじ込まれて安定化要素の第一および第二セグメントを押付けるかこれらのセグメント内にねじ込まれる留めねじ714、716により、茎ねじに固定される。もちろん、他の多くのコネクタおよびコネクタ構造を用いてセグメントを椎骨に取り付けることができる。
図7の脊椎安定化システムの椎骨間円板プロテーゼは、下の椎骨704に連結できる下のベースプレート722と、上の椎骨702に連結できる上のベースプレート720とを有している。下のベースプレート722は、対向して配置される上のベースプレート720の凹状面に対面する上向き凹状面に特徴を有している。円板プロテーゼは更に、上下のベースプレート720、722の間にサンドイッチされる円板インサート724を有している。円板インサート724は、上下の椎骨702、704の間に1つ以上の運動自由度を付与すべく、上下のベースプレート720、722の凹状面を補完する2つの対向凸状面に特徴を有している。特許文献16には、円板インサートについてのより詳細な説明がなされている。
【0029】
図8は、図7の脊椎安定化システムを後方から見た図面である。この図面に示すように、脊椎安定化システムは、棘突起の両側に配置される2つの脊椎安定化要素を有している。図8に示す実施形態では、第一安定化要素の第二セグメント204と、第二安定化要素の第二セグメント804とは横方向コネクタ806により連結されており、横方向コネクタ806は2つの安定化要素が互いに独立的に移動する能力を制限する。図示のように、横方向コネクタ806自体は、図1に示したボール−ソケット型継手のような継手812により連結される第一および第二セグメント808、810を有している。
【0030】
図9および図10には、安定化要素の他の実施形態が示されている。図示のように、安定化要素は第一セグメント902を有し、該第一セグメント902は、この近位端から上方かつ外方に延びている1つ以上のタブ906、908を備えている。各タブには、内部窓907が形成されている。これらの図面には明示されていないが、第一セグメントはまた、その近位端へと延びている、図2に示す形式のソケットを有している。安定化要素は更に第二セグメント904を有し、該第二セグメント904は、この近位端から下方かつ外方に延びている1つ以上のアーム910、912を備えている。図面には明示されていないが、第二セグメントはまた、その近位端に配置された、図2に示す形式のインサートを有している。第一および第二セグメント902、904が連結されて継手が形成されるとき、第二セグメントのアーム910、912が第一セグメント902のタブ906、908の窓907に挿通される。第二セグメントのネックの周囲には、継手に作用する軸線方向荷重を減衰するための第一スプリング914が配置される。継手の撓みおよび伸びまたは横方向運動の減衰または制限を行うため、第二セグメント904のアーム910、912の周囲には第二スプリング915および第三スプリング918が配置される。図10に最も良く示すように、窓907の寸法はアーム910の寸法よりかなり大きく、窓907内でのアーム910の直線運動および回転が或る度合いで行えるようになっている。
【0031】
図11および図12には、脊椎安定化システムの安定化要素(ここでは、安定化要素は安定化プレートである)の2つのセグメントを連結するのに使用される枢動継手の一実施形態が示されている。図11は、安定化要素を前方から見た断面図である。この実施形態では、プレートは第一セグメント1102を有し、該第一セグメント1102は、この近位端へと延びているソケット1105を備えている。図12に最も良く示すように、プレートの近位端は、ソケット1105に適合するように拡大されている。このソケット1105は、ギャップ1110により分離された2つの対向凹状面1106、1108により形成されている。ソケット1105には下方ハウジング1112が形成されており、該下方ハウジング1112は安定化プレートの長手方向軸線上に中心を有しかつギャップ1110内に開口している。安定化プレートはまた第二セグメント1104を有し、該第二セグメント1104はその近位端にインサート1115を備えている。インサート1115は2つの対向凸状面1116、1118に特徴を有し、必ずしも必要とする訳ではないが第二セグメント1104の近位端に一体に形成するのが好ましい。図11および図12の対比図面に示すように、インサートは円板状、すなわち1つの幅寸法が他の幅寸法より大きい。この設計は、継手の長手方向軸線の回りでの継手の回転を制限するため有利である。インサート1115の最外端部には平延長部1120を設け、一方、反対側端部には、第二セグメント1104のネック1122を形成するのが好ましい。第一セグメント1102の対向凹状面1106、1108には、その凹状面の頂部を通って横方向に延びる平ストリップを設けるのが好ましい。この平ストリップは、継手が連結されるときに、ソケットとインサートとの間に或る度合いの長手方向直線運動を許容する。図11および図12に示すように、安定化要素の2つのセグメント1102、1104の各々は、該セグメントを貫通して延びているスロット1122、1124を有している。安定化要素を椎骨に取付けるための骨ねじ、フックまたは爪等のコネクタを受入れることができる。
【0032】
図13には、図3の安定化要素の一実施形態が示されており、この実施形態では、第一および第二セグメント202、204の各々が、複数の相互連結セクション1326、1327、1328、1329、1330を有している。図13に示す実施形態では、セグメントは、一連のねじ型連結部1332、1333、1334を介して端と端とを突合せて連結される。図示のように、各セグメント202、204の1つのセクション1326、1328には、安定化要素を椎骨に取付けるための骨ねじ、フックまたは爪等のコネクタを受入れることができる貫通スロット1336、1337を有している。この実施形態は、安定化要素の長さを調節すること、および枢動安定化要素を剛性安定化要素に変換すべく、継手セクション1327、1330を剛性ロッドセクションに置換することを容易にする。
【0033】
図14は、枢動継手ではなく圧縮可能継手を備えた安定化要素の一部を示す断面図である。この実施形態では、安定化要素は、第一セグメント1402および第二セグメント1404を有している。第一セグメント1402は、この近位端から外方に延びているピストン1406を有している。第二セグメント1404の近位端には、ハウジング1408が形成されている。両セグメントが連結されて継手が形成されるとき、ピストン1406がハウジング1408内に入り、かつピストンの遠位端1412とハウジングの天井1414との間に減衰要素1410が配置される。図14に示す減衰要素はスプリングである。しかしながら、継手の軸線方向荷重を減衰できる任意の適当な減衰要素を使用できる。他の適当な減衰要素として、ポリマーバンパーまたはゲルベースエラストマバンパーがある。第二セグメント1404のハウジング1408内の減衰要素を使用すれば、減衰流体を不要にできる。減衰流体を用いる圧縮可能継手は、漏洩、患者の痛み、感染または毒性を引起こす危険があるため、この構成は有利である。
【0034】
図15には、本発明による脊椎安定化システムのコネクタとして使用される、特許文献8に開示された形式の多軸茎ねじ1560の一実施形態が示されている。多軸茎ねじ1560は、茎ねじ1562と、ハウジング1564と、サドル型要素1566と、留めねじ1568と、留めねじ孔1570と、ロッド1572とを有している。茎ねじは、ねじステム1574およびねじヘッド1576を有している。ハウジング1564は、茎ねじ1562のねじステム1574およびねじヘッド1576が通ってハウジング内に入ることを可能にする充分な大きさの頂部直径をもつ貫通孔を有している。貫通孔の直径は、ねじステム1574のみがハウジング1564の底部を通り得るように、ハウジング1564の底部で小さくなっている。サドル型要素1566はハウジング1564の幅を横切って延び、ハウジング1564に対して角度的に変位することはできない。サドル型要素1566は、ロッド1572と係合できる円筒状上面を有している。サドル型要素1566はまた球状下部を有し、該下部は、補完球状凹部を備えたねじヘッド1576と係合する。留めねじ孔1570内には留めねじ1568がねじ込まれ、ロッド1572をハウジング1564に対して所定位置にクランプする。サドル型要素1566とねじヘッド1576との係合は、ハウジング1564が固定の茎ねじ1562に対して枢動することを可能にし、従って、ロッド1572が取付け位置に対して枢動することを可能にする。
【0035】
図16は、茎ねじ1562が椎骨に取付けるためのフック1680に置換されている点を除き図15の多軸茎ねじ1560と同様である。フック1680は、フックステム1682およびフックヘッド1684を有している。フックヘッド1684も同様に補完球状凹部を有し、該凹部は、サドル型要素1566と係合しかつハウジング1564がフック1680に対して枢動できるようにする。
本発明の第二態様は、次のような基本的要素を有する脊椎安定化システムを提供する。これらの基本的要素とは、1)少なくとも1つの動的安定化要素、2)少なくとも1つの動的安定化要素を脊柱の第一椎骨に連結できる第一コネクタ、3)少なくとも1つの動的安定化要素を脊柱の第二椎骨に連結できる第二コネクタと、4)脊柱の2つの連結椎骨間の椎骨間スペース内に挿入できる円板プロテーゼまたは円板核置換体である。これらの核基本的要素について、以下により詳細に説明する。
【0036】
本発明のこの態様の脊椎安定化システムに使用するための適当な円板プロテーゼ、円板核置換体およびコネクタについては、本明細書で既に説明した。コネクタは、安定化要素を、同じ椎骨(該椎骨間に、円板プロテーゼまたは円板核置換体が配置される)、または脊柱の他の椎骨に取付けることができる。
第一実施形態では、本発明のこの態様により、動的安定化要素は、上記特許文献22に開示された動的脊椎整形術である。なお、該特許文献22の全開示は本願に援用する。図17および図18には、‘174特許に開示されたものと同様な2つの脊椎安定化要素使用した脊椎安定化システムが示されている。この実施形態では、脊椎安定化システムは2つの動的安定化要素を有し、各動的安定化要素は可撓性ロッド1702、1704を備えている。各可撓性ロッドは、該ロッドが椎骨に対して長手方向に直線運動できる態様で1つの椎骨に取付けられる。ここで、「長手方向」直線運動とは、脊椎の長手方向軸に沿う直線運動をいう。各可撓性ロッドはまた、該ロッドが椎骨に対して長手方向に直線運動できないようにする態様で他の椎骨に取付けられる。図17に示す実施形態では、第一コネクタ1706、1708により第一椎骨1710に取付けられ、かつ第二コネクタ1712、1714により第二椎骨1716に取付けられる。各コネクタは、骨またはプロテーゼ椎骨本体への連結を行うシャフト1718、1720(例えば、爪、ピン、フックまたはねじシャフト)と、可撓性ロッドへの連結を行う固定部分1722、1723、1724、1725を有している。第一コネクタ1706、1708は、可撓性ロッド1702、1704への剛性取付け(すなわち、可撓性ロッドとコネクタのシャフトとの間の相対運動を防止する取付け)を行う。この実施形態の簡単な1つの変更形態では、第一コネクタのシャフト1718は骨1710内にねじ込むことができるねじシャフトであり、ロッド固定部分は、貫通孔1726が形成されたねじヘッド1722、1724(または爪ヘッドまたはフックヘッド)である。この実施形態では、可撓性ロッド1702、1704は、孔1726に挿通されかつ挿通後にロッド1702、1704に対してねじ込まれる1つ以上の留めねじ1728、1729により固定位置にロックされる。この実施形態では、第二コネクタのシャフトも、骨1716内にねじ込まれるねじシャフトであり、ロッド固定部分は、カップリング部材を包囲するハウジング1730を有している。カップリング部材は、可撓性ロッド1702、1704と係合する円筒状ボア1734を備えた球体1732を有している。カップリング部材は、骨の軸線に沿う可撓性ロッド1702、1704の直線運動を可能にする。任意であるが、カップリング部材は、湾曲軸線の回り、前方平面に対して垂直な軸線の回り、またはサジタル平面に対して垂直な軸線の回りで可撓性ロッドの回転を許容できるように構成できる。図17および図18の実施形態では、脊椎安定化システムは更に、軸線方向減衰ができるように各可撓性ロッド1702、1704の回りに配置されたスプリング1740、1742を有している。図18は、脊椎安定化システムの取付け平面を通る側断面図である。図示されていないが、スプリングは、組織の成長によってスプリングの作動が妨げられないようにするため、耐組織成長材料からなるハウジングまたはシース内に封入することができる。この図面に示すように、システムはまた、円板プロテーゼ1750を有している。図示の円板プロテーゼは、上方のベースプレート1752と、下方のベースプレート1754と、中央のエラストマインサート1756とを有している。
【0037】
第二実施形態では、本発明のこの態様に従って、脊椎安定化システムは2つの動的安定化要素を有している。この実施形態では、各動的安定化要素が減衰要素からなり、かつ各減衰要素は上記特許文献23に開示されているような動的バイアスデバイスである。尚、特許文献23の全開示は本願に援用する。本発明のこの実施形態では、2つの安定化要素は、互いに間隔を隔てて、実質的に平行関係をなして、一般に脊椎の後側かつ棘突起の両側に配置される。特許文献23に説明されているように、減衰要素は、コイルスプリング、リーフスプリング、関節型リーフスプリング、トーションスプリング、トーションリーフスプリングまたは関節型トーションリーフスプリングを含むスプリングで構成できる。各減衰デバイスは、それぞれ第一および第二コネクタにより第一および第二椎骨に跨って連結される。適当なコネクタとして、ねじまたはフック等がある。図19には、脊椎安定化要素として使用される、特許文献23に開示された形式の簡単な減衰要素が示されている。この安定化要素は、2つのワイヤ1904、1906に連結されたコイルスプリング1902を有し、これらのワイヤ自体は第一および第二骨ねじ1908、1910に連結されている。スプリング1902は、組織の成長がスプリング1902に干渉しないように、ハウジング1912内に収容される。
【0038】
図20〜図22には、図19の安定化要素を取付けることができる取付け位置の例が示されている。図20には、第一椎骨2004と第二椎骨2006とに跨って脊柱前側に取付けられた第一安定化要素2002および第二安定化要素2003が示されている。第一安定化要素2002は第一コネクタ2010を用いて第一椎骨2004に取付けられ、かつ第二コネクタ2012を用いて第二椎骨2004に取付けられる。第二安定化要素2003は、第三コネクタ2014を用いて第一椎骨2004に取付けられ、かつ第四コネクタ2016を用いて第二椎骨2006に取付けられる。
図21および図22には、図20の第一および第二安定化要素2002、2003の可能な2つの付加取付け形態が示されている。図21では、安定化要素2002、2003が、サジタル平面の回りで対称的にかつ湾曲軸線に対して平行に、2つの隣接椎骨2106、2108の棘突起2100に取付けられている。図22には、2つの隣接椎骨2206、2208の小関節2202、2204に跨って取付けられた2つの安定化要素2002、2003が示されている。
組織の成長が、本発明により提供される安定化要素および安定化システムの継手またはスプリング等の可動部品に干渉しないようにするため、これらの部品を、耐組織成長材料で包むのが有利である。
【0039】
本発明により提供される種々の安定化要素および安定化システムのコンポーネンツは、生体適合性材料で構成され、このような多くの材料が知られている。これらの材料として、例えばチタン、チタン合金、クロムコバルトまたはステンレス鋼があるが、これらに限定されるものではない。他の生体適合性材料として、ヒドロキサパテイテイス(hydroxapatites)」等のグラファイトおよびセラミックがある。プラスチックを使用することもでき、適当なプラスチックとして、ポリエチレン(例えば、超高分子量ポリエチレン)およびポリエーテルエステルケトンがある。
以上、本発明を非常に特殊な例示実施形態に関連して説明したが、本発明の精神および範囲内に留まりながら種々の変更をなし得ることは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ボール−ソケット型継手を備えた安定化要素を示す断面図である。
【図1A】図1に「A」で示す部分の拡大図である。
【図2】枢動継手を形成すべく一体化される安定化要素(この場合、安定化要素は安定化ロッドである)の2つのセグメントを後方から見た断面図である。
【図2A】図2に「A」で示す部分の拡大図である。
【図3】枢動継手を形成すべく連結された図2の2つのセグメントを後方から見た断面図である。
【図4】図3の安定化要素を示す後面図である。
【図5】図3の安定化要素を示す側断面図である。
【図6】傾斜した枢動継手を備えた安定化要素を示す図面である。
【図7】図2〜図5の安定化要素および円板プロテーゼを含む、脊椎に移植された安定化システムを示す図面である。
【図8】図2〜図5に示した形式の2つの安定化要素および関節運動する横方向コネクタを含む、脊椎に移植された脊椎安定化システムを示す後面図である。
【図9】減衰撓み運動、減衰伸び運動および減衰横方向運動を行う安定化要素を示す側面図である。
【図10】図9の安定化要素を示す後面図である。
【図11】枢動継手を形成すべく一体化される安定化要素(この場合、安定化要素は安定化プレートである)の2つのセグメントを後方から見た断面図である。
【図12】図11の安定化要素を後方から見た側断面図である。
【図13】安定化要素を後方から見た断面図であり、枢動継手を形成する2つのセグメントの各々が多くのセクションからなるところを示すものである。
【図14】圧縮可能継手により一体連結される2つのセグメントからなる安定化要素(この場合、安定化要素は安定化ロッドである)を示す図面である。
【図15】コネクタとして使用される多軸茎ねじを示す断面図である。
【図16】コネクタとして使用される多軸フックを示す断面図である。
【図17】2つの動的安定化要素を含む脊椎安定化システムを示す後面図である。
【図18】円板プロテーゼを含む図17の脊椎安定化システムを示す側断面図である。
【図19】ハウジングにより保護されたスプリングを備えた動的安定化要素を示す図面である。
【図20】脊柱の前側に取付けられた、円板プロテーゼおよび図19に示した形式の2つの脊椎安定化要素を含む脊椎安定化システムを示す図面である。
【図21】棘突起の両側に取付けられた、円板プロテーゼおよび図19に示した形式の2つの脊椎安定化要素を含む脊椎安定化システムを示す図面である。
【図22】1対の小関節に跨って取付けられた、円板プロテーゼおよび図19に示した形式の2つの脊椎安定化要素を含む脊椎安定化システムを示す図面である。
【符号の説明】
【0041】
100 ボール−ソケット型継手(安定化要素)
102 第一セグメント
104 第二セグメント
106 ソケット
108 ボール
109 平ストリップ
110 ネック
220 平延長部
212 下方ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第一セグメントおよび第二セグメントを備えた安定化要素を有し、第一および第二セグメントは枢動継手を介して連結され、
(b)安定化要素を脊柱の第一椎骨に連結できる第一コネクタと、
(c)安定化要素を脊柱の第二椎骨に連結できる第二コネクタと、
(d)脊柱の2つの隣接椎骨間に配置される円板プロテーゼまたは円板核置換体とを更に有することを特徴とする脊椎安定化システム。
【請求項2】
前記安定化要素はロッドであることを特徴とする請求項1記載の脊椎安定化システム。
【請求項3】
前記安定化要素はプレートであることを特徴とする請求項1記載の脊椎安定化システム。
【請求項4】
前記第一および第二コネクタは、茎ねじ、ラテラル・マスねじまたはフックからなることを特徴とする請求項1記載の脊椎安定化システム。
【請求項5】
第一セグメントはほぼ球状のソケットを形成する近位端を備え、第二セグメントは、ボール−ソケット型継手を形成すべくソケット内に嵌合できる球状ボールを備えた近位端を有することを特徴とする請求項1記載の脊椎安定化システム。
【請求項6】
前記ほぼ球形のソケットは、その中央部の周囲で横方向に延びている第一ストリップを有していることを特徴とする請求項1記載の脊椎安定化システム。
【請求項7】
(a)前記第一セグメントはその近位端へと延びているソケットを有し、該ソケットは少なくとも一部が、ギャップにより分離された2つの対向凹状面により形成され、
(b)前記第二セグメントは、その近位端でネックに形成されたインサートを有し、該インサートは2つの対向凸状面を備え、
インサートはソケット内に嵌合されて枢動継手を形成することを特徴とする請求項1記載の脊椎安定化システム。
【請求項8】
前記2つの対向凹状面の各々が、凹状面の頂部の少なくとも一部に沿って横方向に延びている第一ストリップを有していることを特徴とする請求項7記載の脊椎安定化システム。
【請求項9】
前記ネックの周囲に配置される減衰要素を更に有することを特徴とする請求項7記載の脊椎安定化システム。
【請求項10】
前記ソケットは中心軸線に特徴を有し、前記ソケットは、その中心軸線上に中心をもつハウジングにより形成されかつ前記ギャップ内に開口しており、前記ハウジング内に配置された減衰要素を更に有することを特徴とする請求項7記載の脊椎安定化システム。
【請求項11】
前記ソケットの中心軸線は、安定化要素の長手方向軸線に対して平行ではないことを特徴とする請求項7記載の脊椎安定化システム。
【請求項12】
(a)第三セグメントおよび第四セグメントを備えた第二安定化要素を有し、第三および第四セグメントは枢動継手を介して連結され、
(b)第二安定化要素を第一椎骨に連結できる第三コネクタと、
(c)第二安定化要素を第二椎骨に連結できる第四コネクタとを更に有することを特徴とする請求項1記載の脊椎安定化システム。
【請求項13】
前記第一安定化要素を第二安定化要素に連結する横方向コネクタを更に有することを特徴とする請求項12記載の脊椎安定化システム。
【請求項14】
前記横方向コネクタは第一セグメントおよび第二セグメントを有し、該第一および第二セグメントが枢動継手により連結されることを特徴とする請求項13記載の脊椎安定化システム。
【請求項15】
前記枢動継手の周囲に配置される耐組織成長材料を更に有することを特徴とする請求項1記載の脊椎安定化システム。
【請求項16】
前記第一および第二セグメントは複数の相互連結セクションからなることを特徴とする請求項1記載の脊椎安定化システム。
【請求項17】
前記脊柱に配置される1つ以上のプロテーゼ椎骨本体を更に有することを特徴とする請求項1記載の脊椎安定化システム。
【請求項18】
(a)前記第一セグメントの近位端内に入るソケットと、
(b)第二セグメントの近位端から外方に延びるピンとを更に有し、該ピンは、遠位端と、ピンから半径方向外方に延びているカラーとを備え、
(c)該カラーの上方でピンの周囲に配置される第一減衰要素およびカラーの下方でピンの周囲に配置される減衰要素を更に有し、
ピンおよび第一および第二減衰要素は、ソケット内に入って、ソケット内でピンを多方向に枢動可能にする継手を形成することを特徴とする請求項1記載の脊椎安定化システム。
【請求項19】
第一および第二セグメントの一方が、近位端から外方に延びる少なくとも1つのタブを有し、少なくとも1つのタブが窓を形成し、第一および第二セグメントの他方が、その近位端から外方に延びかつ少なくとも1つのタブの窓に挿通される少なくとも1つのアームを有することを特徴とする請求項7記載の脊椎安定化システム。
【請求項20】
少なくとも1つのアームの周囲に配置される少なくとも1つの減衰要素を更に有することを特徴とする請求項19記載の脊椎安定化システム。
【請求項21】
(a)第一セグメントを有し、該第一セグメントはその近位端へと延びているソケットを備え、該ソケットは少なくとも一部が、ギャップにより分離された2つの対向凹状面により形成され、
(b)第二セグメントを有し、該第二セグメントはその近位端でネックに形成されたインサートを備え、該インサートは2つの対向凸状面を備え、
(c)安定化要素を脊柱の第一椎骨に連結できる第一コネクタと、
(d)安定化要素を脊柱の第二椎骨に連結できる第二コネクタとを更に有し、
インサートはソケット内に嵌合されて枢動継手を形成することを特徴とする脊椎安定化要素。
【請求項22】
前記2つの対向凹状面の各々が、凹状面の頂部の少なくとも一部に沿って横方向に延びている平ストリップを有していることを特徴とする請求項21記載の脊椎安定化システム。
【請求項23】
前記ネックの周囲に配置された減衰要素を更に有することを特徴とする請求項21記載の脊椎安定化システム。
【請求項24】
前記ソケットは中心軸線に特徴を有し、前記ソケットは、その中心軸線上に中心をもつハウジングにより形成されかつ前記ギャップ内に開口しており、前記ハウジング内に配置された減衰要素を更に有することを特徴とする請求項21記載の脊椎安定化システム。
【請求項25】
前記ソケットの中心軸線は、安定化要素の長手方向軸線に対して平行ではないことを特徴とする請求項21記載の脊椎安定化システム。
【請求項26】
(a)安定化要素を有し、該安定化要素が、
(i)第一セグメントを備え、該第一セグメントがその近位端にハウジングを形成し、該ハウジングが天井を備え、
(ii)第二セグメントを備え、該第二セグメントがその近位端から外方に延びているピストンを備え、該ピストンはハウジング内に入り、
(b)ピストンとハウジングの天井との間でハウジング内に配置される減衰要素を有し、ハウジングには減衰流体が存在せず、
(c)第一セグメントを脊柱の第一椎骨に連結できる第一コネクタと、
(d)第二セグメントを脊柱の第二椎骨に連結できる第二コネクタと、
(e)脊柱の隣接する椎骨間に配置される円板プロテーゼまたは円板核置換体とを更に有することを特徴とする脊椎安定化システム。
【請求項27】
前記減衰要素はスプリングであることを特徴とする請求項26記載の脊椎安定化システム。
【請求項28】
前記減衰要素はエラストマバンパーであることを特徴とする請求項26記載の脊椎安定化システム。
【請求項29】
(a)第一可撓性ロッドと、
(b)該ロッドを第一椎骨に対して長手方向に直線運動させることができる態様で、第一可撓性ロッドを第一椎骨に連結できる第一コネクタと、
(c)ロッドが第二椎骨に対して長手方向に直線運動することを防止する態様で、第一可撓性ロッドを第二椎骨に連結できる第二コネクタと、
(d)脊柱の2つの隣接椎骨間に配置される円板プロテーゼまたは円板核置換体とを有することを特徴とする脊椎安定化システム。
【請求項30】
前記第一可撓性ロッドは、第一コネクタで少なくとも1つの方向に回転できることを特徴とする請求項29記載の脊椎安定化システム。
【請求項31】
前記第一可撓性ロッドは、第一コネクタであらゆる方向に回転できることを特徴とする請求項29記載の脊椎安定化システム。
【請求項32】
前記第一可撓性ロッドは、第一コネクタで回転および直線運動のいずれもロックされることを特徴とする請求項29記載の脊椎安定化システム。
【請求項33】
前記第一コネクタは、骨にねじ込むことができるねじシャフトと、横方向の貫通孔を備えたヘッドとを有し、前記貫通孔は、第一ロッドが該孔を通って充分に直線運動できる大きさの直径を有していることを特徴とする請求項29記載の脊椎安定化システム。
【請求項34】
前記第二コネクタは、茎ねじ、多軸茎ねじ、ラテラル・マスねじ、フックまたは多軸フックからなることを特徴とする請求項29記載の脊椎安定化システム。
【請求項35】
前記第一コネクタと第二コネクタとの間で第一可撓性ロッドの周囲に配置される減衰要素を更に有することを特徴とする請求項29記載の脊椎安定化システム。
【請求項36】
前記減衰要素はスプリングであることを特徴とする請求項35記載の脊椎安定化システム。
【請求項37】
第二バイアスデバイスを更に有し、該第二バイアスデバイスは、
(a)第二可撓性ロッドと、
(b)該ロッドを第一椎骨に対して長手方向に直線運動させることができる態様で、第二可撓性ロッドを第一椎骨に連結できる第三コネクタと、
(c)ロッドが第二椎骨に対して長手方向に直線運動することを防止する態様で、第二可撓性ロッドを第二椎骨に連結できる第四コネクタとを有していることを特徴とする請求項29記載の脊椎安定化システム。
【請求項38】
(a)脊柱の第一椎骨と第二椎骨との間に連結できる第一減衰要素と、
(b)第一椎骨と第二椎骨との間に連結できる第二減衰要素と、
(c)脊柱の2つの隣接椎骨間に配置される円板プロテーゼまたは円板核置換体とからなることを特徴とする脊椎安定化システム。
【請求項39】
前記第一および第二減衰要素はスプリングであることを特徴とする請求項38記載の脊椎安定化システム。
【請求項40】
前記スプリングは、コイルスプリング、リーフスプリング、関節型リーフスプリング、トーションスプリング、トーションリーフスプリングまたは関節型トーションリーフスプリングからなる群から選択されることを特徴とする請求項39記載の脊椎安定化システム。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2007−537772(P2007−537772A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541692(P2006−541692)
【出願日】平成16年11月23日(2004.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/039494
【国際公開番号】WO2005/053572
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506177936)
【Fターム(参考)】