説明

脊髄中線指示器

本発明の1つの局面は、脊髄中線指示器(10)に関し、これは、隣接する椎骨(18、20)間に挿入するための放射線透過性材料の本体(14)、および上記本体が椎骨間の中心にあるとき、この本体と中心で随伴し、A−P放射線撮影で上記脊髄中線(22)の位置を示す放射線撮影マーカー(12)を備える。この放射線撮影マーカー(12)は、代表的には、上記本体に接続される細長いハンドルであって、椎骨間への上記本体の配置を容易にし、そして放射線撮影材料から作製される。好ましい実施形態では、上記本体はまた、上記ハンドルの反対側上に、それから等距離にあるさらなる放射線撮影マーカー(16)を、上記本体が椎骨とこの第2のマーカーが椎骨の側方エッジから等距離であると放射線撮影で観察されるとき、上記ハンドルが上記脊髄中線を示すように保持する。本発明の別の局面は、脊髄中線を識別するためのこの中線指示器の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、脊髄中線指示器に関する。
【背景技術】
【0002】
外科医が、脊椎の中央線または正中線を確立することが正確であり得る、ALIF(前方腰椎椎体癒合)またはACIF(前方頸椎癒合)のケージまたは脊髄ディクス補充手順を実施することが重要である。外科医が脊椎正中線の位置を正確に確立し、その正中線上にケージまたは脊椎ディスクを正確に配置し得るのはたった一度だけである。中心をずれた配置は、偏心負荷、および起こり得る初期の機能不全を生じ、またはその磨耗を加速する。
【0003】
現在、外科医は、A−P(前方−後方)イメージの視覚検査により脊椎正中線を確立することを試みている。しかし、これは、しばしば不正確であり、そして上記のような起こり得る欠点とともに引き続くケージまたはディスクの中心をずれた配置に至り得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記脊椎正中線の正確な確立を容易にする器具を提供することを求める。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明によれば、脊髄中線指示器であって、隣接する椎骨間への挿入のための放射線透過性材料の本体、およびこの本体の中央に随伴する放射線撮影マーカーであって、A−P放射線撮影において、この本体が椎骨間にほぼ位置決めされるとき、脊髄中線の位置を示すマーカーを備える。簡便には、上記放射線撮影マーカーは、細長いハンドルである。この細長いハンドルは、上記本体に接続されて上記椎骨間の本体の配置を容易にする。この細長いハンドルは、放射線撮影材料から作製される。
【0006】
好ましい実施形態では、上記本体は、第1の放射線撮影マーカーとして供される上記ハンドルに加え、上記第1のマーカーの反対側にありかつこの第1のマーカーから等距離にある第2のマーカーを保持し、それによって、この第1のマーカーが、上記本体が上記椎骨間の中央に配置されるとき上記脊髄中線の位置を示し、そしてこの第2のマーカーは、放射線撮影において上記椎骨の側方エッジから等距離であるように観察される。
【0007】
さらに、本発明によれば、脊髄正中線を識別する方法が提供され、この方法は、上記で要約された脊髄中線指示器の本体を、隣接する椎骨の間に挿入する工程、この本体を、放射線撮影マーカーが放射線撮影で脊髄正中線上に観察されるように操作する工程、およびこの放射線撮影マーカーの位置をガイドとして用い、椎骨のマーキング(例えば、ピン)を付与し、該正中線を示す工程、を包含する方法である。
【0008】
本発明のその他の特徴は、添付の特許請求の範囲に提示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、添付の図面を参照して、例示のみによってより詳細に記載される。
(好ましい実施形態の説明)
図1〜4に見られる正中線指示器10は、細長いハンドル12、およびこのハンドルの1つの端部で中心が保持される本体14を含む。このハンドルは、放射線撮影材料、すなわち、X線放射を含むスペクトルの電波部分中の照射に対して不透過性である材料から作製される。このハンドルは、例えば、ステンレス鋼またはチタンから作製され得る。上記本体14は、放射線透過性材料、すなわち、上記照射に対して少なくともある程度は透明である材料から作製される。この本体は、例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)またはUHMWPE(超高分子量ポリエチレン)から作製され得る。
【0010】
この本体14内に包埋されて、これもまたステンレス鋼またはチタンのような材料である、2つの細長いマーカー16がある。これらマーカー16は、上記ハンドル12とは平行に配列され、そしてこのハンドルの反対側に、かつ等距離に位置決めされる。
【0011】
図5は、隣接する上部椎骨および下部椎骨18および20それぞれを前方図で示す。上記で説明したように、前方で実施されるALIFまたはACIFケージまたは脊椎ディスク補充手順の間に、外科医が、直線22によって示されような、脊椎正中線を正確に確立し得ることは重要である。なぜなら、補充ディスクまたはケージが配置されなければならないのは、この直線上の中心であるからである。この手順は、代表的には、患者を仰向けにして横たえ、かつ背中を平坦にして、正面切開により実施されるからである。
【0012】
正中線22を確立するために、外科医は、ハンドル12を垂直配向で整列し、そしてそれを用いて椎骨18と20との間に本体14を挿入する。この挿入が起こるために、別個の器具(図示せず)を用いて椎骨を離して保持することが理解される。この本体を中心でハンドル12と垂直に配向させる試みがなされ、それによって、ハンドルが正中線22を正確に示すことを確実にする。
【0013】
X線写真または放射線撮影が、垂直のA−P方向でとられる。この放射線撮影では、ハンドル12、マーカー16および椎骨18、20が、視認され得る。マーカー16がこれら椎骨の骨エッジ23から等距離に側方に間隔を置かれること、すなわち、距離25が、両側で同じであることを確実にすることにより、外科医は、本体14およびハンドル12が中心に配置されることを確実にし得る。この手順の間に、ハンドル12自体が、中央位置を示す放射線撮影マーカーとして作用することが理解され得る。
【0014】
ハンドル12およびマーカー16が、放射線撮影が行われるA−P方向と整列される場合、それらは、小さな側方寸法の単なる点として放射線撮影で出現することがまた理解される。しかし、このハンドルが、A−P、すなわち、垂直方向に完全に整列しないとき、視差効果が生じ、ハンドルとマーカーは、点よりむしろ直線として観察される。
【0015】
これは、図6に示され、そこでは、実線は、正確なA−Pまたは垂直配向にあるハンドル10を示し、そして点線は、ハンドルを、角度θだけ誤整列されている配向を示す。矢印24よって示されるA−P方向における放射線撮影では、ハンドル12およびマーカー16は、実線の配向では点として見えるが、点線の配向では短い直線として見えることが理解される。
【0016】
放射線撮影を考慮し、かつそれに由来する情報に応答して指示器10を操作することにより、外科医は、上記指示器が正確な位置および配向にあることを確実にし得る。その指示器が、正確な位置かつ正確な配向にあると、そのハンドル12は、正中線22を含む垂直平面中に見出される。ここで、外科医は、その正中線のポジティブ指示器としてこのハンドルを用い得る。外科医は、例えば、椎骨の1つにピン26を叩くことによりこの正中線を正確にマークし得る。
【0017】
一旦、この正中線が椎骨の1つまたは両方にマークされると、指示器10はもはや必要ではなく、そして後の再使用のために除去され得る。マーカー(単数または複数)は、正中線22を示すために供され、引き続く、関係ある補綴の正確な位置決めが起こることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明による脊椎正中線指示器の斜視図である。
【図2】図2は、図1の矢印2の方向の上記指示器の側面図である。
【図3】図3は、図1の矢印3の方向の上記指示器の側面図である。
【図4】図4は、図1の矢印4の方向の上記指示器の端面図である。
【図5】図5は、使用における上記指示器を概略的に示す。
【図6】図6は、図5の直線6−6における略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊髄中線指示器であって、隣接する椎骨間への挿入のための放射線透過性材料の本体、および該本体の中央に随伴する放射線撮影マーカーであって、A−P放射線撮影において、該本体が椎骨間にほぼ位置決めされるとき、脊髄中線の位置を示すマーカーを備える、脊髄中線指示器。
【請求項2】
前記放射線撮影マーカーが、前記本体に接続され、前記椎骨間の該本体の配置を容易にし、そして放射線撮影材料から作製される細長いハンドルである、請求項1に記載の脊髄中線指示器。
【請求項3】
前記ハンドルが、ステンレス鋼またはチタンから作製される、請求項2に記載の脊髄中線指示器。
【請求項4】
前記本体が、第1の放射線撮影マーカー、および該第1の放射線撮影マーカーの反対側に、かつ該第1の放射線撮影マーカーから等距離にある第2のマーカーを保持し、それによって、該第1のマーカーが、該本体が前記椎骨間の中央に配置されるとき前記脊髄中線の位置を示し、そして該第2のマーカーが、放射線撮影において該椎骨の側方エッジから等距離であるように観察される、請求項1に記載の脊髄中線指示器。
【請求項5】
前記第1の放射線撮影マーカーが、前記本体に接続されている細長いハンドルであって、前記椎骨間の該本体の配置を容易にし、かつ放射線撮影材から作製されている、請求項4に記載の脊髄中線指示器。
【請求項6】
前記ハンドルが、ステンレス鋼またはチタンから作製される、請求項5に記載の脊髄中線指示器。
【請求項7】
前記ハンドルが、前記本体中に包埋される、請求項5または請求項6に記載の脊髄中線指示器。
【請求項8】
前記ハンドルが、前記本体を通じて延びる、請求項7に記載の脊髄中線指示器。
【請求項9】
前記第2の放射線撮影マーカーが細長い形状であって、かつ前記ハンドルに平行であり、前記A−Pの方向に対するマーカーの配列が放射線撮影で評価され得る、請求項5〜8のいずれか1項記載の脊髄中線指示器。
【請求項10】
前記第2のマーカーが、ステンレス鋼またはチタンから作製される、請求項9に記載の脊髄中線指示器。
【請求項11】
前記第2のマーカーが、前記本体中に包埋される、請求項10に記載の脊髄中線指示器。
【請求項12】
前記第2のマーカーが、前記本体を通じて延びる、請求項11に記載の脊髄中線指示器。
【請求項13】
前記本体が、PEEKまたはUHMWPEから作製される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の脊髄中線指示器。
【請求項14】
前記本体が、楕円形形状を有し、そして均一の比率である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の脊髄中線指示器。
【請求項16】
脊髄正中線を識別する方法であって、
請求項1に記載の脊髄正中線指示器の本体を、隣接する椎骨の間に挿入する工程、
該本体を、放射線撮影マーカーが放射線撮影で脊髄中線上に観察されるように操作する工程、および
該放射線撮影マーカーの位置をガイドとして用い、椎骨のマーキングを付与し、該中線を示す工程、を包含する、方法。
【請求項17】
前記椎骨が、ピンによってマークされる、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−516437(P2006−516437A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502359(P2006−502359)
【出願日】平成16年1月26日(2004.1.26)
【国際出願番号】PCT/IB2004/000170
【国際公開番号】WO2004/066865
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(505284817)スピナルモーション, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】