説明

脚装具

【課題】煩わしいスイッチ操作を要することなく立ち上がり支援を開始したり中断したりできる脚装具を提供する。
【解決手段】脚装具は、大腿リンク、下腿リンク、荷重センサ、及び、コントローラを備えている。大腿リンクと下腿リンクは夫々ユーザの大腿と下腿に装着される。下腿リンクは大腿リンクと回転可能に連結されている。下腿リンクは、アクチュエータによって回転する。荷重センサは、脚装具を装着した脚の足に加わる床反力を計測する。コントローラは、荷重センサの計測値が予め定められた荷重閾値よりも大きい場合は膝伸展方向に下腿リンクを回転させ、荷重センサの計測値が荷重閾値よりも小さい場合は膝屈曲方向に下腿リンクを回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの脚に装着し、脚の動きを補助する脚装具に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの脚の動きをサポートする装具として近年、これまでの長下肢装具に加えてアクチュエータによって積極的にユーザの脚の動きを補助する脚装具が研究されている。そのような動力付き脚装具の典型例は、ユーザの大腿と下腿の夫々に装着される大腿リンクと下腿リンクを備えているとともに、大腿リンクに対して下腿リンクを回転させるアクチュエータを備えている。そのような脚装具の使い方として、ユーザの歩行動作の補助のほか、立ち上がり動作や着座動作を補助することも提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−253048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
脚が不自由なユーザは、立ち上がろうとして腰を浮かせるが、途中で立ち上がるのを止めて座り直すことがある。立ち上がり動作を補助する場合、脚装具は、座位(座った状態)から立位(立った状態)まで一気に膝伸展方向に下腿リンクを回転させるのではなく、ユーザの意図に応じて途中で立ち上がり補助を中断できることが望ましい。しかしながら、ユーザが手でスイッチを操作して立ち上がり動作の開始や中断を装具に指示するのは煩わしい。本明細書は、煩わしいスイッチ操作を要することなく立ち上がり補助を開始したり中断したりできる脚装具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する新たな脚装具は、一方の脚は自由に動かすことはできないが他方の脚は健常であるユーザを対象とする。本明細書が開示する脚装具は、そのようなユーザを対象とし、脚装具を装着した患脚と健脚の間の体重移動を、ユーザによる操作指示として受け付ける。
【0006】
本明細書が開示する脚装具の一態様は、大腿リンク、下腿リンク、荷重センサ、及び、コントローラを備えている。大腿リンクと下腿リンクは夫々ユーザの大腿と下腿に装着される。下腿リンクは大腿リンクと回転可能に連結されており、その回転軸線は脚装具をユーザが装着したときに膝関節回転軸線とほぼ同軸に位置する。下腿リンクは、アクチュエータによって回転する。荷重センサは、脚装具を装着した脚の足に加わる床反力を計測する。コントローラは、荷重センサの計測値が予め定められた荷重閾値よりも大きい場合はユーザが立位になるまで膝伸展方向に下腿リンクを回転させ、荷重センサの計測値が荷重閾値よりも小さい場合はユーザが座位になるまで膝屈曲方向に下腿リンクを回転させる。
【0007】
上記の脚装具を装着したユーザは、立ち上がり始めるときには腰を浮かし、装具を装着した脚(装着脚)に体重を乗せればよい。コントローラは、装着脚に加わる床反力が荷重閾値を超えたことを検知したら下腿リンクを膝伸展方向に回転させ始める。すなわち、立ち上がり補助を開始する。立ち上がり動作の途中で元に戻りたい(座り直したい)場合には、ユーザは体重を装着脚から健脚(脚装具を装着していない脚)へ移せばよい。装着脚に加わる床反力が荷重閾値を下回るとコントローラは下腿リンクの回転方向を逆転させ、膝屈曲方向に回転させ始める。
【0008】
上記の脚装具の荷重センサとコントローラは、左右の脚の間の体重移動を装置への操作指示として受け付ける新たなヒューマンマシンインタフェイスを構成する。そのようなヒューマンマシンインタフェイスを採用することによって、ユーザは、体重移動という直感的な動作で立ち上がり支援とその中断(座位への戻り動作)を装置へ指示することができる。ユーザはこの新しいヒューマンマシンインタフェイスの操作方法(体重移動)を覚えなければならないが、立ち上がる→装着脚に体重を乗せる/座位へ戻る→健脚へ体重を移す、というように、装置への指示と動作が直感的に関連付くので比較的簡単に覚えられるであろう。
【0009】
本明細書が開示する脚装具のコントローラは、好ましくは、荷重センサの計測値が荷重閾値よりも大きい場合、計測値が大きくなるにつれて下腿リンクの膝伸展方向の回転角速度を減少させるとよい。荷重センサの計測値は、立ち上がり開始から腰が浮くのにつれて増大する。従って上記の回転角速度制御アルゴリズムを備えた脚装具は、立ち上がりの初期には下腿リンクがすみやかに回転し、立ち上がるにつれて回転速度がゆっくりとなる。そのような角速度の変化は、自然な立ち上がり動作を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】脚装具の斜視図である。
【図2】コントローラが実行する立ち上がり補助処理のフローチャート図である。
【図3】下腿リンクの回転角速度指令値のグラフである。
【図4】下腿リンクの回転角速度指令値のグラフである(変形例1)。
【図5】下腿リンクの回転角速度指令値のグラフである(変形例2)。
【図6】下腿リンクの回転角速度指令値のグラフである(変形例3)。
【図7】立ち上がり補助処理を実現する別のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に、脚装具100の外観を示す。この実施例では、右脚は健常であるが左脚(特に膝関節)を自由に動かすことができないユーザが対象であると仮定する。すなわち、脚装具100は、ユーザの左脚に装着される。以下、脚装具100を装着した左脚を「装着脚」、あるいは「患脚」と称することがある。
【0012】
図面で用いる座標系について説明する。X軸はユーザの前後方向を示しており、X軸の正方向が「前方」に相当し、負方向が「後方」に相当する。Y軸はユーザの左右方向(側方)を示している。Z軸は鉛直方向を示している。X軸、Y軸、及び、Z軸はそれぞれ、ロール軸、ピッチ軸、及び、ヨー軸と呼ばれることもある。これらの座標系のとり方は、ロボットの技術分野において一般的に使われている手法である。
【0013】
脚装具100の構造を説明する。脚装具100は、大腿リンク12、下腿リンク22、及び、足リンク32が連結されたいわゆる多関節多リンク構造を有している。大腿リンク12、下腿リンク22、及び、足リンク32は、夫々ユーザの患脚の大腿、下腿、及び、足に固定される。大腿リンク12と下腿リンク22は一対のジョイント4で連結されている。一対のジョイント4のそれぞれは、ユーザの膝関節の両側に位置する。ジョイント4の回転軸線は、脚装具100をユーザが装着したときにユーザの膝関節回転軸線とほぼ同軸となる。ユーザの膝外側のジョイント4にはモータ2が備えられている。モータ2は、大腿リンク12に対して下腿リンク22を膝ピッチ軸回りに回転させる。モータ2のケースには、モータ2を制御するコントローラ3が内蔵されている。また、ジョイント4には、大腿リンク12に対する下腿リンク22のピッチ軸回りの回転角を計測する角度センサ(不図示)が組み込まれている。この角度センサが計測する角度は、ユーザの大腿と下腿がなす角度に相当する。以下、角度センサが計測する角度を「膝角度」と称し、大腿と下腿が膝の後ろ側でなす角度を膝角度と定義する。すなわち、ユーザが立位姿勢のとき、膝角度はほぼ180度であり、椅子に座った座位姿勢のとき膝角度は概ね90度となる。
【0014】
足リンク32と下腿リンク22は一対のジョイント6で連結されている。一対のジョイント6のそれぞれはユーザの足首関節の両側に位置する。ジョイント6の回転軸線は、脚装具100をユーザが装着したときに足首関節のピッチ軸回りの回転軸線とほぼ同軸となる。
【0015】
図示を省略しているが、足リンク32はユーザが履く靴を備えている。靴は、靴底33の上に固定される。ユーザが靴を履くことによって、足リンク32がユーザに固定される。靴底33には荷重センサ34が埋め込まれており、装着脚の足裏に加わる荷重(床反力)を計測する。荷重センサ34は具体的にはロードセルである。
【0016】
コントローラ3は、角度センサや荷重センサ34のセンサデータに基づいてモータ2を制御する。具体的には、コントローラ3には、ユーザの歩行動作に応じて下腿リンクを回転させる歩行支援のほか、ユーザが椅子に座った状態から立ち上がる動作を補助する立ち上がり補助を行うことができる。歩行支援の制御アルゴリズムについては説明を省略する。
【0017】
コントローラ3が行う立ち上がり補助制御を説明する。図2に、立ち上がり補助制御のフローチャートを示す。図中、「座位」、「立位」とは、ユーザが座っていること、及び、ユーザがまっすぐ立っていることを表す。「座位」であるか、「立位」であるかは、膝と同軸に位置するジョイント4が備える角度センサの計測値で判断する。膝角度が180度の場合(あるいは180度よりわずかに小さい所定角度以上の場合)、コントローラ3は、立位であると判断する。またコントローラ3は、膝角度が90度の場合(あるいは90度よりわずかに小さい所定角度以下の場合)に、座位であると判断する。コントローラ3は、脚装具が備えるスイッチをユーザが押すと図2のフローチャートの処理を開始する。
【0018】
立ち上がり補助制御開始の最初にコントローラ3は、ユーザが座位にあるか否かをチェックする(S2)。立ち上がり補助制御の開始直後にユーザが座位になければ、何らかの誤りでスイッチが操作された可能性が高いので、コントローラ3は立ち上がり補助制御を終了する(S2:NO)。
【0019】
ユーザが座った状態であることが確認されたら(S2:YES)、コントローラ3は、荷重センサ34が計測した値(床反力)が、予め定められた荷重閾値より大きいか否かをチェックする(S4)。荷重閾値には、例えばユーザの体重の20%程度に相当する値が予め設定されている。通常、座った状態では、座面が体重を支えているので足に加わる床反力は極めて小さい。ユーザは椅子から立ち上がろうとする際、上半身を前傾させ、装着脚(患脚)に体重を乗せる。そうすると装着脚の足に加わる荷重(床反力)が増加する。コントローラ3は、荷重センサ34の計測値が荷重閾値を超えたら、下腿リンク22が膝伸展方向に回転するようにモータ2を駆動する(S6)。下腿リンク22を膝伸展方向に回転させることは、ユーザの立ち上がりを補助することに相当する。
【0020】
下腿リンク22を膝伸展方向に回転させている間もコントローラ3は荷重センサ34の計測値をチェックする(S8)。下腿リンク22を膝伸展方向に回転させている間、計測値が荷重閾値を下回らないかぎり、コントローラ3はユーザが立位姿勢となるまで下腿リンク22を膝伸展方向に回転し続ける(S8:NO、S16:NO、S6)。ユーザの姿勢が立位になったか否かは、前述したように角度センサの計測値によって判断する。ユーザが立位姿勢となったところで、コントローラ3は下腿リンクの回転を停止し、立ち上がり補助を終了する(S16:YES、S14)。
【0021】
ユーザは、立ち上がろうしている間に立ち上がり動作を中断したいと考えたときは、体重を装着脚から健脚へ移す。そうすると、荷重センサ34の計測値が下がり、ステップS8の判断がYESとなる。コントローラ3は、座位姿勢となるまで、下腿リンク22の回転方向を逆転させる(S10、S12:NO)。すなわちコントローラ3は、下腿リンク22を膝屈曲方向へ回転させる。ユーザが座位姿勢まで戻ると(S12:YES)、コントローラ3は下腿リンク22の回転を停止し、処理を終了する(S14)。
【0022】
脚装具100は、立ち上がり補助の途中で立ち上がり動作を中断したい場合、装着脚から健脚への体重移動をユーザに要求する。装着脚(患脚)から体重を抜くということは、患脚から力を抜きたい場合であり、立ち上がり動作を中断したいという意思によく合致する動作である。すなわち、装着脚から体重を抜くという動作は、立ち上がり動作を中断したいという意思と直感的に結びつきやすい。ユーザは、直感的な動作で立ち上がり補助の中断(座位へ戻ること)を脚装具100へ指示することができる。別言すれば、脚装具100は、体重の移動を装置への操作指示として受け付けるヒューマンマシンインタフェイスを備えている。
【0023】
下腿リンク22を膝伸展方向あるいは屈曲方向に回転させる際の、角速度指令値について説明を加える。最も単純には、図3に示すように、伸展方向、屈曲方向とも、床反力(荷重センサ34が計測する荷重値)の大きさに係わらずに一定の角速度で下腿リンク22を回転させればよい。なお、図のグラフにおいて、横軸より上は膝伸展方向の回転を意味しい、横軸より下は膝屈曲方向の回転を意味する。以降の図でも同様である。
【0024】
角速度指令値の第1の変形例を図4に示す。図4の指令値は、床反力が荷重閾値よりも大きい場合、コントローラ3は、床反力が増大するにつれて下腿リンク22の回転角速度(膝伸展方向を正としたときの回転角速度)を増加させる。また、床反力が荷重閾値よりも小さい場合は、コントローラ3は、床反力が減少するにつれて下腿リンク22の回転角速度を、膝屈曲方向に増大させる。図4の角速度指令値を採用すると、荷重の大きさに比例して下腿リンクの回転速度が増大するため、ユーザは直感的に下腿リンクの回転速度を制御し易いという利点がある。
【0025】
角速度指令値の第2の変形例を図5に示す。図5の指令値は、床反力が荷重閾値よりも大きい場合、コントローラ3は、床反力が増大するのに伴って下腿リンク22の回転角速度(膝伸展方向を正としたときの回転角速度)を減少させる。また、床反力が荷重閾値よりも小さい場合、コントローラ3は、床反力が減少するにつれて下腿リンク22の膝屈曲方向の回転角速度を低下させる。図5の角速度指令値を採用すると、立ち上がり開始時は比較的早い角速度で下腿リンクが回転し、スムーズに立ち上がることができる。また、装着脚に完全に体重が乗ると回転角速度が低くなり、ゆっくりと立位姿勢に到達する。
【0026】
角速度指令値の第3の変形例を図6に示す。図6の指令値は、荷重閾値付近に制御の不感帯を設けた例である。床反力(荷重センサ34の計測値)が不感帯の範囲にあるときには、コントローラ3は下腿リンク22をそれまでの角度に保持する。すなわちコントローラ3は下腿リンクをロックする。不感帯を設けると、いわゆるチャタリングを防止することができる。
【0027】
コントローラ3が実現する立ち上がり補助制御は、図2のフローチャートに限られない。次に、立ち上がり補助を実現する別のフローチャートの例を、図7を参照して説明する。図7は、図6の不感帯を設けた場合のフローチャートに相当する。図7の処理では、不感帯の範囲は、荷重閾値±DBに設定されている。
【0028】
ユーザが立ち上がり補助開始の指示を入力すると、コントローラ3は、図7のフローチャートの処理を制御周期毎に繰り返し実行する。まず、コントローラ3は、荷重センサ34によって計測された荷重値(床反力)と荷重閾値を比較する(S22)。計測された荷重値が「荷重閾値+DB」よりも大きい場合はステップS30に処理が移り、計測された荷重値が「荷重閾値−DB」よりも小さい場合はステップS24に処理が移る。また、計測された荷重値が「荷重閾値−DB」と「荷重閾値+DB」の間の範囲の場合は、ステップS34に処理が移る。
【0029】
計測された荷重値が「荷重閾値+DB」よりも大きい場合、コントローラ3は、ユーザが立位姿勢に達しているか否かをチェックし、立位姿勢に達していなければ下腿リンク22を膝伸展方向に回転させる(S30:NO、S32)。図7の処理が繰り返される毎にステップS30の処理に到達する。ユーザが立位姿勢に達すれば、コントローラ3は、そのときの下腿リンクの角度を保持する(S30:YES、S34)。別言すれば、計測された荷重値が「荷重閾値+DB」よりも大きい場合、コントローラ3は、立位姿勢に達するまで下腿リンク22を膝伸展方向に回転させる。
【0030】
計測された荷重値が「荷重閾値−DB」よりも小さい場合、コントローラ3は、ユーザが座位姿勢に達しているか否かをチェックし、座位姿勢に達していなければ下腿リンク22を膝屈曲方向に回転させる(S24:NO、S26)。図7の処理が繰り返される毎にステップS24の処理に到達する。ユーザが座位姿勢に達すれば、コントローラ3は、そのときの下腿リンクの角度を保持する(S24:YES、S34)。別言すれば、計測された荷重値が「荷重閾値−DB」よりも小さい場合、コントローラ3は、座位姿勢に達するまで下腿リンク22を膝屈曲方向に回転させる。
【0031】
計測された荷重値が「荷重閾値−DB」と「荷重閾値+DB」の間の場合は(S22:「その他」)、コントローラ3は、そのときの下腿リンク回転角を保持する(S34)。
【0032】
図7のフローチャートを採用すると、立ち上がり動作の補助中に(下腿リンクが膝伸展方向に回転中に)、計測された荷重が「荷重閾値−DB」よりも小さくなれば、S22の分岐後のルートが変わり、座位へ戻る方向に下腿リンクが逆転する。ユーザが再び立ち上がろうとする場合にはいつでも装着脚に体重を乗せれば、下腿リンクが座位へ戻る方向に回転中であっても下腿リンク22は再び逆転し、立ち上がり動作の補助が再開される。図7のフローチャートを採用すると、ユーザは、体重移動を繰り返すことによって、下腿リンク22をいつでも任意の方向(膝伸展方向又は膝屈曲方向)に回転させることができる。
【0033】
図7では不感帯(±DB)を設けているが、「荷重閾値+DB」を膝伸展方向の閾値とし、「荷重閾値−DB」を膝屈曲方向の閾値としてみれば、荷重センサの計測値が予め定められた第1荷重閾値(「荷重閾値+DB」に相当)よりも大きい場合は膝伸展方向に下腿リンクを回転させ、荷重センサの計測値が第2荷重閾値(「荷重閾値−DB」に相当)よりも小さい場合は膝屈曲方向に下腿リンクを回転させることに他ならないことに留意されたい。
【0034】
実施例の脚装具についての留意点を述べる。上記のヒューマンマシンインタフェイスは、立ち上がり動作の途中でストンと腰が椅子に落ち、装着脚の足先を前へ投げ出すような状態になった場合でも、装着脚の床反力がゼロとなるので下腿リンクが膝屈曲方向へ回転し、座位に相当する膝角度(約90度)で下腿リンクの回転が停止する。すなわち、上記の脚装具は、立ち上がり動作の途中でストンと腰が椅子に落ちた場合であっても自動的に膝を約90度曲げた状態へ戻るという利点がある。
【0035】
本明細書が開示する技術は、実施例に挙げた機械的構造の脚装具に限定されない。例えば、アクチュエータはモータのほか、空気圧や水圧を利用するものであってもよい。また、下腿リンクを回転させるアクチュエータだけでなく、大腿を股関節ピッチ軸回りに回転させるアクチュエータを備えていてもよい。
【0036】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0037】
2:モータ
3:コントローラ
4、6:ジョイント
12:大腿リンク
22:下腿リンク
32:足リンク
33:靴底
34:荷重センサ
100:脚装具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの一方の脚に装着し、ユーザの立ち上がり動作を補助する脚装具であり、
大腿に装着される大腿リンクと、
下腿に装着される下腿リンクであり、大腿リンクに回転可能に連結されているとともに、アクチュエータによって大腿リンクに対して回転する下腿リンクと、
脚装具を装着した脚の足に加わる床反力を計測する荷重センサと、
荷重センサの計測値が予め定められた荷重閾値よりも大きい場合は膝伸展方向に下腿リンクを回転させ、荷重センサの計測値が荷重閾値よりも小さい場合は膝屈曲方向に下腿リンクを回転させるコントローラと、
を備えることを特徴とする脚装具。
【請求項2】
コントローラは、荷重センサの計測値が荷重閾値よりも大きい場合、計測値が大きくなるにつれて下腿リンクの回転角速度を減少させることを特徴とする請求項1に記載の脚装具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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