説明

脱ぷ機における摺り出し米の均分装置

【課題】
装置の運転中であっても、簡単な操作で原料の品種や流量を個別に変更させることができ、なおかつ、原料の性状が異なっていても均一な分散を可能とする均分装置30を備えた脱ぷ機1を提供する。
【解決手段】
本発明は、脱ぷ機1の均分装置30において、均分樋35の側縁47を山型となして、落下米規制板34を備えることにより、原料米を長粒種及び短粒種等、品種を切り替えた場合でも容易に均分調整することができる。また、溢流米規制板33を備えることにより、原料米の流量増減の変化に対して容易に均分調整することができる。また、落下米規制板34及び溢流米規制板33を同心の軸によって回動可能に支えることにより省スペースで効率よく構成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料である籾米を脱ぷ部で脱ぷ処理された摺り出し米に、風選部にて選別風を送風することにより、該摺り出し米から籾殻を選別する脱ぷ機における摺り出し米の均分装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の脱ぷ機における摺り出し米の均分装置には、摺り出し米を落下させる複数の孔を有する均分樋と、摺り出し米を軸方向に均分搬送するスクリューを該均分樋の内側に備えている。均分を調整する機構には、該均分樋の外側から複数の孔を規制して、通過する摺り出し米の流量のみを調整するものがあった。
【0003】
また、均分を調整する機構としては、前記均分スクリューに摺り出し米を掻(か)き出す掻出手段が一体化されるとともに、溢(いつ)流する摺り出し米の量を調整すべく前記均分樋における長手方向の他方の側縁に、溢(あふ)れ落ちる摺り出し米を堰(せ)き止める方向へ進退可能に調節部材を取り付けた技術が知られている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−219082
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記手法においては、長粒種や短粒種など性状の異なる原料を処理する場合、前記均分樋の複数の孔から落下する摺り出し米の落下量が大きく変化して、均分を調整する機構だけでは調整しきれないという問題があった。また、流量を変更する場合、いったん、原料の供給を止めて装置の停止後に調節部材に変更を加えなければならず、多くの手間がかかっていた。
【0006】
本発明は、上記問題点に考慮し、装置の運転中であっても、簡単な操作で原料の品種や流量を個別に変更させることができ、なおかつ、原料の性状が異なっていても均一な分散を可能とする均分装置を備えた脱ぷ機を提供することが技術的課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1の脱ぷ機における摺り出し米の均分装置は、原料である籾を脱ぷする脱ぷ部と、前記脱ぷ部の下方に配置された風選部と、の間に構成され、
該均分装置は前記風選部の幅方向に摺り出し米を落下させる複数の孔を有する均分樋と、該均分樋の内側には摺り出し米を軸方向へ均分搬送するスクリューと、を備え、前記均分樋における長手方向の片側側縁を摺り出し米の流下樋に接続する一方、均分樋の複数の孔より落下しきれない摺り出し米は前記均分樋における長手方向の他方の側縁より溢流させるようにするとともに、均分樋における複数の孔から風選部への摺り出し米落下量を調整するべく、均分樋の外側から一部又は全ての孔へ当接・離反可能にした落下米規制板を有する、という技術的手段を講じた。これにより、粒長が長く、均分樋の複数の孔から落下しにくい長粒種の場合には該落下米規制板を均分樋から離反させて多くの孔から落下させる。一方、粒長が短く、均分樋の複数の孔から落下しやすい中・短粒種の場合には落下米規制板を当接させて落下させる孔を減らす調整をする。
【0008】
また、請求項2では、前記均分樋における長手方向の他方の側縁は、風選部の幅方向において脱ぷ部のほぼ真下部を頂部とする山型となすという技術的手段を講じた。これにより、脱ぷ部のほぼ真下部を頂部とする山型の米溜まりを形成するので、風選部の幅方向にわたり均一な量を溢流する。
【0009】
さらに、請求項3では、前記均分装置の風選部の幅方向において脱ぷ部のほぼ真下部に、均分装置より溢流する摺り出し米の流量を調整するべく溢流米規制板を設けるという技術的手段を講じた。これにより、流量が増加した場合は溢流米規制板を開放する位置とし、流量が減少した場合は規制する位置にして均分を調整する。
【0010】
また、請求項4では、前記落下米規制板および溢流米規制板は同心の軸(以下、同軸という)によって回動可能に設けられ、該同軸には落下米規制板および溢流米規制板を外部から操作できる機構を接続したという技術的手段を講じた。これにより、脱ぷ機の外部より落下米規制板および溢流米規制板を個別に回動調節する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1によれば、原料である籾の品種が長粒種と中粒種・短粒種で切り換わる場合、落下米規制板を当接もしくは離反することのみで、容易に均分を維持することができる。請求項2によれば、脱ぷ部からの摺り出し米が山型に米溜まりを形成するのに合わせて、前記均分樋における長手方向の他方の側縁を山型となすことにより、摺り出し米を風選部の幅方向にわたり均一な量で溢流することができる。請求項3によれば、摺り出し米の流量が増加して、均分樋の複数の孔からの落下では均分が十分でなくなって偏った分散となる場合、溢流米規制板を開放することにより摺り出し米を溢流させて分散を補い、摺り出し米が減少した場合は、溢流米規制板により溢流を規制して均分することができる。請求項4によれば、落下米規制板および溢流米規制板を限られたスペースに効率よく構成することができるとともに、装置の運転中に落下米規制板および溢流米規制板をそれぞれ個別に操作することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図7を参照しながら説明する。図1には、本実施形態に係る脱ぷ機1の全体構成の概略が縦断面図にて示されている。該脱ぷ機1は上方の脱ぷ部10と、下方の風選部60と、脱ぷ部10と風選部60との間に設けられた摺り出し米の均分装置30と、を備え一体となしている。脱ぷ部10には、一方を遠近調節可能にした一対のゴムロール17,18が中間機枠12内に回転可能に軸支されて図示しないベルトおよび電動機により駆動され、該一対のゴムロール17,18は、互いに内回り方向に回転し、かつ、周速度に差をもって回転駆動されるように構成されている。また、脱ぷ部10は風選部60と均分装置30に対して幅寸法(以下、図1の紙面鉛直方向を幅という)が短く、風選部60の幅方向のほぼ中央部に位置している(図4参照)。
【0013】
中間機枠12に載置した上部機枠11には、原料である籾米を本装置へ供給する原料供給口13が上部に設けられ、その下方には、後述する案内シュート15へ原料を任意の流量で、かつ、流れの層厚を均一にして搬送すべく振動数可変とした振動移送板14が設けられている。振動移送板14下方には、表面を平滑にしたゴムロール17,18の幅とほぼ同一な幅の案内シュート15が、下端をゴムロール17,18の接点19に向くように案内シュート固定具16で固設されている。ゴムロール17,18の下方には均分装置30へ向けて傾斜された上部流下樋21が中間機枠12の一側壁に内接して配設されている。案内シュート15の下端からゴムロール17,18の接点19を通る線の延長線と上部流下樋21との交わるところには、脱ぷ部10の幅寸法に摺り出し米を溜めることによって、米が直接上部流下樋21に衝突して衝撃を受けないようにする緩衝用の米受樋20を設ける。
【0014】
次に、摺り出し米を、脱ぷ部10の幅から風選部の全幅へ均一に分散させるための均分装置30について説明する。下部流下樋31は脱ぷ部10の上部流下樋21の傾斜に連続して設けられ、かつ均分樋35の側縁55(均分樋における長手方向の片側側縁)に接しており、上部流下樋21及び下部流下樋31を流れ落ちる摺り出し米が連続して均分樋35に流れ込むようにしてある。均分樋35の内側にはスクリュー32が軸支されていて、スクリュー32の形態は均分装置30の幅方向中央から風選部60の幅方向の両端側にそれぞれ搬送するようになっており、図示しないベルトおよび電動機により回転駆動する。
【0015】
また、該均分樋35は多角形状に側縁55より側縁47(均分樋における長手方向の他方の側縁)まで計4面(均分樋流入側傾斜面37乃至均分樋垂直面40)で構成されている。均分樋流入側傾斜面37は側縁55にて下部流下樋31に接している。均分樋底面38は摺り出し米を落下させる複数の円形孔50と、幅方向の両端部に円形の孔より大きな長方形孔51と、で構成された孔群41が設けられている。均分樋底面38より側縁47に向けて約45度立ち上がった均分樋溢流側傾斜面39には複数の円形孔50で構成された孔群42が設けられている。そして、均分樋垂直面40には同様に孔群43が設けられている。孔群41、42及び43の円形孔寸法は直径を長粒種籾の長さの2倍程度にする。均分樋35の側縁47は摺り出し米が落下してくる中央部が山型に高くなっている。また、山型の中央部には、後述する溢流米規制板33の形状に合わせて切り欠き部54を設けてもよい。
【0016】
均分樋35の側縁47近傍には、溢流米規制板33と落下米規制板34が規制板同軸36により回動可能に軸支されている。規制板同軸36は中心軸52と、該中心軸52の一部を覆う中空軸53の二重構造となっており、いわゆる同軸である。すなわち、溢流米規制板33は平滑な板で構成されて規制板同軸36の中心軸52に取り付けられており、該溢流米規制板33を最も均分樋35側に閉じた場合には、前記均分樋35の切り欠き部54を覆い補うような幅と高さに形成してあり、これにより摺り出し米が均分樋35の切り欠き部54から溢流するのを規制する。
【0017】
前記中心軸52の一端には下部機枠61の外側に突出して溢流米調整ハンドル44が取り付けられ、該溢流米調整ハンドル44は中心軸52を介して溢流米規制板33と接続されており、前記規制板同軸36を支点に所定範囲の角度で溢流米規制板33の位置を設定する。落下米規制板34も平滑な板で構成され、規制板同軸36の中空軸53に取り付けられており、幅寸法は前記均分樋35の均分樋溢流側傾斜面39にある孔群42及び均分樋垂直面40にある孔群43をすべて覆う長さになり、その断面は“く”の字状で均分樋35の均分樋溢流側傾斜面39及び均分樋垂直面40に密着・接合できる形状とする。
【0018】
前記中空軸53の一端には下部機枠61の外側に突出して落下米調整ハンドル45が取り付けられ、該落下米調整ハンドル45は中空軸53を介して落下米規制板34と接続されており、前記規制板同軸36を支点に落下米規制板34の位置を設定する。なお、本実施形態では、溢流米調整ハンドル44及び落下米調整ハンドル45は規制板同軸36の一端にそれぞれ配設している(図3,5,6参照)が、一端にまとめて配設してもよい。
【0019】
均分装置30の下方には、摺り出し米を、玄米、脱ぷできなかった籾及び籾殻に選別する風選部60が設けられている。風選部60は下部機枠61で覆われた構造で、下部機枠61内底部に送風機68を備え、風選部60と同幅の送風ダクト69へ向け送風する。
【0020】
送風ダクト69終端部では、ダクトが上方へ屈曲しており、該屈曲部に続いて、送風が下部機枠61の上方へ向くよう傾斜した棚板62乃至64が配設され、均分装置30から落下する摺り出し米に選別風が吹き付けられるようになっている。棚板65は均分装置30の直下にあり、吹き付ける送風を整流している。同じく傾斜した棚板65の下方には、籾殻に対し比重の重い玄米と脱ぷしきれていない籾とを脱ぷ機1外へ搬送する精品搬送スクリュー70が配される。
【0021】
棚板62乃至65により吹き上げられた送風は、下方へ向けて湾曲した棚板66及びこれと対向する湾曲板67により下方へと流れの向きを変える。湾曲板67の下端には、比重が軽く送風によって吹き飛ばされた籾殻を脱ぷ機1外へ搬送される籾殻搬送スクリュー71が配される。送風機68の上側には前記湾曲板67から回り込んできた送風を吸い込むように送風機68の吸引口72が備えられている。
【0022】
以下に、上記構成の具体的作用を説明する。電源を入れ、図示されない電動機を駆動すると、一対のゴムロール17,18が互いに内回り方向に、かつ周速度差をもって回転する。続いて振動移送板14が振動を開始して、原料供給口13より供給される原料(籾)を薄い帯状にして案内シュート15へ落下させる。
【0023】
案内シュート15上へ落下した籾は該案内シュート15上を滑り落ち、その間に籾の長手方向が滑り落ちる方向と平行になるようにその姿勢が修正され、一対のゴムロール17,18間に落下する時点では、ほとんどの籾が長手方向に整列し、帯状の状態でゴムロール17,18間に供給されることになる。供給された籾は一対のゴムロール17,18間で両ゴムロールに挟まれるように接するが、ゴムロール17,18は周速度差をもっているので籾は摺られる作用を受けながら、ゴムロール17,18の接点19を通過する。
【0024】
その結果、籾は脱ぷされて、玄米、脱ぷしきれなかった籾及び籾殻とで構成される摺り出し米となる。摺り出し米は、ゴムロール17,18の接点19から投げ出され、案内シュート15からゴムロール17,18の接点19を通る線の延長線上を、米受樋20へと向かう。米受樋20では摺り出し米が溜まっていて、高速で投げ出された摺り出し米が溜まっている摺り出し米に衝突することで衝撃が緩和され、摺り出し米が損傷することを防ぐ。米受樋20には連続で摺り出し米が投げ出されてきて溢れ、上部流下樋21及び下部流下樋31上を滑落し、均分装置30の均分樋35へと流入する。
【0025】
図4は脱ぷ機1を横方向から見た模式図であるが、風選部60の幅寸法に対して短い脱ぷ部10が風選部60の幅方向中間に位置し、脱ぷ部10から均分装置30に流入する摺り出し米(流れ90)は、均分樋35の中央近辺へ滑落する。均分装置30は、風選部60中央近辺に偏る摺り出し米を、幅方向の両端側にそれぞれ搬送(流れ91,92)しながら落下もしくは溢流させて、風選部60の幅方向へ均一な帯状の流れ93にさせるものである。
【0026】
均分装置30について図5及び図6を用いて更に詳しく説明する。脱ぷ部10より摺り出し米が均分装置30中央付近へ下部流下樋31上を滑落しながら流入する。均分装置30中央付近に流入した摺り出し米は、スクリュー32により均分装置30の幅方向の両端側に向けてそれぞれ搬送され、搬送される過程で均分樋35の均分樋底面38乃至均分樋垂直面40に構成された孔群41乃至43より徐々に落下して風選部60に均一な帯状となって供給する。また、摺り出し米の流量が多く、孔群41乃至43の落下量では処理しきれない場合は、スクリュー32につけた掻き出し板46により均分樋35から掻き出されて、側縁47より溢流する(図5参照)。
【0027】
この場合、均分装置30には連続して摺り出し米が流入して、その多くが山状に滞っているが、均分樋35の側縁47は中央付近から幅方向の両端に向けて一様な傾斜(側縁傾斜部48及び49)で高さを下げているので、溢流する摺り出し米の量も、幅方向の両端に向けて均一となる。落下米規制板34及び溢流米規制板33の作用については、原料の品種と流量との組み合わせにより以下の(A)乃至(D)のケースに分けて説明する(図7参照)。
【0028】
(A)原料品種:短粒種・中粒種、原料流量:少量(毎時4〜6トン)の場合
原料の品種が短粒種及び中粒種の場合、米粒の長さが長粒種に対して短いことが特徴である。孔群41乃至43の上を摺り出し米が折り重なった状態で通過するとき、長粒種よりは短粒種及び中粒種のほうが孔群41乃至43から落下しやすい。そのため、落下米調整ハンドル45を操作し、落下米規制板34を均分樋35の均分樋溢流側傾斜面39及び均分樋垂直面40に当接させて孔群42及び43を塞いで孔の数を減らす。摺り出し米の均分は、スクリュー32が摺り出し米を均分樋35の幅方向の両端に向けて搬送する過程で、孔群41上を通過する摺り出し米が風選部60幅方向の両端側に向けて中央から徐々に孔群41から落下することで行われる。孔群41からの落下のみで均分されるので、溢流米規制板33は均分樋35の側縁47山形部の切り欠き部54を塞ぐ位置(以後、この状態を「閉位置」という)にして、切り欠き部54からの溢流をさせないようにする(図7の(A)参照)。
【0029】
(B)原料品種:短粒種・中粒種、原料流量:多量(毎時6〜8トン)の場合
上記(A)の場合と同じく原料は短粒種及び中粒種であるため、落下米規制板34を均分樋35の均分樋溢流側傾斜面39及び均分樋垂直面40に当接させて孔群42及び43を塞いで使用する。ただし、(A)の場合より流量が多いので、円形孔50部分での落下量は摺り出し米の流入してくる量を下回り、円形孔50部分で落下しきれなかった摺り出し米は孔群41の幅方向の両端までスクリュー32により搬送され、長方形孔51から残りの摺り出し米が落下することになる。同時に、均分樋35の幅方向の両端部まで搬送された摺り出し米の一部はスクリュー32の掻き出し板46により掻き出され、側縁傾斜部48,49より溢流する。つまり、均分樋35中央部より幅方向の両端部へ向かって摺り出し米の落下量が増加して、均一な分散にならない。そのため、溢流米調整ハンドル44を操作して溢流米規制板33を均分樋35から離した状態にすることで、均分樋35中央部で摺り出し米を溢流させて、幅方向の両端部の溢流する摺り出し米は減少させることによって、均一な分散となる(図7の(B)参照)。
【0030】
(C)原料品種:長粒種、原料流量:少量(毎時4〜6トン)の場合
原料の品種が長粒種の場合は、米粒の長さが短粒種に対して長いことが特徴である。したがって、孔群41乃至43に長粒種が落下し難い。そのため、(A)の短粒種及び中粒種の場合のように孔群41のみでは落下量が減少する。そこで、減少した孔群41からの落下量を補うため均分樋35の均分樋溢流側傾斜面38乃至均分樋垂直面40の孔群42乃至43に当接された落下米規制板34を開放するべく、落下米調整ハンドル45を操作して落下米規制板34を均分樋35の均分樋溢流側傾斜面39及び均分樋垂直面40から離反させる。これにより、開放された孔群41乃至43からの落下量が増えたために均分されるようになる。そこで、溢流米規制板33は閉位置にして、切り欠き部54からの溢流をさせないようにする(図7の(C)参照)。
【0031】
(D)原料品種:長粒種、原料流量:多量(毎時6〜8トン)の場合
上記(C)と同じく原料は長粒種であるため、落下米規制板34を均分樋35の均分樋溢流側傾斜面39及び均分樋垂直面40から離反させて孔群42及び43を開放して使用するが、(C)の場合より流量が多いので、円形孔50部分での落下量は摺り出し米の流入してくる量を下回り、円形孔50部分で落下しきれなかった摺り出し米は孔群41の両端までスクリュー32により搬送され、長方形孔51から残りの摺り出し米が落下することになる。同時に、均分樋35の幅方向の両端部まで搬送中の摺り出し米はスクリュー32の掻き出し板46により掻き出され、側縁傾斜部48,49より溢流する。つまり、この場合は、均分樋35中央部より幅方向の両端部へ向かって摺り出し米の落下量が増加して均一な分散にならない。そのため、均分樋35中央部で摺り出し米を溢流させて、幅方向の両端部との溢流する摺り出し米は減少させるように溢流米調整ハンドル44を操作して溢流米規制板33を均分樋35から離した状態にすると、均分樋35中央部で摺り出し米を溢流させて、幅方向の両端部の溢流する摺り出し米は減少させることにより、均一な分散となる(図7の(D)参照)。
【0032】
上記(A)乃至(D)のケースについて落下米規制板34及び溢流米規制板33を設定するにあたり、落下米調整ハンドル45及び溢粒米調整ハンドル44を操作するわけであるが、該落下米調整ハンドル45及び溢粒米調整ハンドル44は下部機枠61外にあるので、装置の運転を停止させる必要がない。
【0033】
また、原料品種に合わせて落下米規制板34をあらかじめ設定しておくと、流量の調整に関しては選別状態を確認しながら溢流米規制板33を設定するのみとなり操作が簡易となる。
【0034】
均分装置30によって幅方向に均一に分散された摺り出し米は、風選部60内へと落下しながら供給される。風選部60内では、送風機68により風選部60の全幅にわたって起こされた一様な風の流れは送風ダクト69へ向けられる。送風ダクト69では風の流れを約90度向きを変えて上方への流れにする。上方へ向かった風は、棚板63及び64の下端による選別風82及び83と、棚板62及び63による選別風80及び81へと分岐される。
【0035】
均分装置30から供給されてきた摺り出し米は、まず選別風80及び81に衝突し、いわゆる風選が行われる。すなわち、比重の軽い籾殻は送風に乗って選別風80及び81とともに搬送され、籾殻より比重の重い玄米及び籾と、送風に搬送されなかった一部の籾殻は送風を受けながらも下方へ落下する。それらの落下を続ける摺り出し米は、棚板63と棚板64の間を通過し、続いて、選別風82及び83と衝突する。選別風80及び81の送風と同様に風選が行われるが、既に摺り出し米中の籾殻の割合が減っており2度目となる風選作用により精度良く選別される。風選が終了した摺り出し米中の玄米及び籾は精品搬送スクリュー70へ落下していき、脱ぷ機1外へと搬送される。
【0036】
風選を終えた籾殻を含む選別風84は、同じく風選を終えた選別風85と合流して1つの流れとなり、棚板66に沿って上方へと向かう流れとなる。続いて、選別風86は湾曲板67に沿って下方への流れ87に向きを変えられる。このとき、選別風86中の、空気より比重の重い籾殻には遠心力が働いて湾曲板67に衝突し、湾曲板67面を滑りながら落下して、籾殻搬送スクリュー71に流れ込んだ末、脱ぷ機1外へと搬送される。籾殻と分離した流れ87は送風機68の吸引口72が吸い込む選別風88となり、吸い込まれた送風は送風機68で加速されて再び風選を行うべく利用される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態を示す脱ぷ機の縦断面図である。
【図2】同上の要部を示す一部拡大図である。
【図3】同上の要部を示す一部拡大図である。
【図4】本発明の実施形態に係る均分装置の作用を説明するための模式図である。
【図5】本発明の実施形態を示す脱ぷ機における摺り出し米の均分装置の要部を示す一部拡大斜視図である。
【図6】同上の要部を示す一部拡大斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る落下米規制板及び溢流米規制板の作用を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0038】
1 脱ぷ機
10 脱ぷ部
11 上部機枠
12 中間機枠
13 原料供給口
14 振動移送板
15 案内シュート
16 案内シュート固定具
17 ゴムロール
18 ゴムロール
19 接点
20 米受樋
21 上部流下樋
30 均分装置
31 下部流下樋
32 スクリュー
33 溢流米規制板
34 落下米規制板
35 均分樋
36 規制板同軸
37 均分樋流入側傾斜面
38 均分樋底面
39 均分樋溢流側傾斜面
40 均分樋垂直面
41〜43 孔群
44 溢流米調整ハンドル
45 落下米調整ハンドル
46 掻き出し板
47 側縁
48 側縁傾斜部
49 側縁傾斜部
50 円形孔
51 長方形孔
52 中心軸
53 中空軸
54 切り欠き部
55 側縁
60 風選部
61 下部機枠
62〜66 棚板
67 湾曲板
68 送風機
69 送風ダクト
70 精品搬送スクリュー
71 籾殻搬送スクリュー
72 吸引口
80〜88 選別風
90〜93 流れ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料である籾を脱ぷする脱ぷ部と、前記脱ぷ部の下方に配置された風選部と、
前記脱ぷ部と風選部との間に設けられた摺り出し米の均分装置と、を備える脱ぷ機の均分装置であって、該均分装置は前記風選部の幅方向に摺り出し米を落下させる複数の孔を有する均分樋と、該均分樋の内側には摺り出し米を軸方向へ均分搬送するスクリューと、を備え、前記均分樋における長手方向の片側側縁を摺り出し米の流下樋に接続する一方、均分樋の複数の孔より落下しきれない摺り出し米は前記均分樋における長手方向の他方の側縁より溢流させるようにするとともに、風選部への摺り出し米落下量を調整するべく、該均分樋の外側から一部又は全ての孔へ当接・離反可能にした落下米規制板を有することを特徴とする脱ぷ機における摺り出し米の均分装置。
【請求項2】
前記均分樋における長手方向の他方の側縁は、風選部の幅方向において脱ぷ部のほぼ真下部を頂部とする山型となした請求項1に記載の脱ぷ機における摺り出し米の均分装置。
【請求項3】
均分装置より溢流する摺り出し米の流量を調整するべく溢流米規制板を風選部の幅方向における脱ぷ部のほぼ真下部に設けた請求項1または請求項2のいずれかに記載の脱ぷ機における摺り出し米の均分装置。
【請求項4】
前記落下米規制板および溢流米規制板は同心の軸によってそれぞれ回動可能に設けられ、該同心の軸には落下米規制板および溢流米規制板を外部から操作できる機構を接続した請求項3に記載の脱ぷ機における摺り出し米の均分装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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