説明

脱ぷ装置

【課題】一対の脱ぷロール上において被処理物を滞留させることなく当該一対の脱ぷロールへの搬送を可及的に高速に行うことにより脱ぷ能力を向上させることができるコンパクトな脱ぷ装置を提供する。
【解決手段】受入口31からケーシング3内に供給された被処理物が無端状のベルト41を有するベルト搬送機構40を介して一対の脱ぷロール20へ向けて搬送され、一対の脱ぷロール20間を通過することにより脱ぷ処理される。このとき、ベルト搬送機構40のベルト41は、一対の脱ぷロール20のうち低速回転側の副脱ぷロール24の周速度と同等の速度で回転されることにより、ベルト41上の被処理物も前記副脱ぷロール24の周速度と同等の速度で一対の脱ぷロール20に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀した穀物を籾摺りするための脱ぷ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、互いに圧接された一対の脱ぷロールの上方に原料タンク及びホッパを設け、原料タンクに収容された被処理物(籾原料)をホッパによって一対の脱ぷロール間に供給し、ロールの回転によって脱ぷロール間に挟まれた穀物の籾摺りを行う脱ぷ装置が公知である。
【0003】
このような脱ぷ装置においては、前記一対の脱ぷロールに被処理物を供給する際、被処理物を薄い層厚で、一対の脱ぷロールの圧接領域に向け滞留なく供給することにより脱ぷ率が高くなる。このような被処理物の供給状態を保ったまま被処理物の供給速度を速くすることにより脱ぷ能力がより高められる。
一対の脱ぷロールに被処理物を高速で供給する方法としては、被処理物の受入口から一対の脱ぷロールに向けて設けられた流下板の高さを高くすることにより、一対の脱ぷロール近傍における被処理物の落下速度を高める構成が公知である。
しかしながら、このような構成においては、被処理物が自由落下するため、速度を高めようとすると、前記流下板の長さ(高さ)が長くなり、脱ぷ装置が大型化してしまう。
【0004】
これに対し、回転軸回りに回転するブレードが収容されたブレード室内に被処理物を導入した状態で前記ブレードを所定速度で回転させることにより、被処理物を加速させて、加速した被処理物をガイド部材により一対の脱ぷロール間に案内する構成が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
また、前記流下板の代わりに上面が断面波型又は山型状の無端ベルトを配置して、籾の姿勢を整えることにより脱ぷ率の向上を図る構成も公知となっている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のような構成においては、ブレードの回転速度が速くなればなるほど搬送速度を高くすることが可能である一方で、被処理物がブレードにより損傷してしまう問題がある。
また、上記特許文献1及び2のような構成においては、搬送速度を高くし過ぎると、一対の脱ぷロール上で被処理物が滞留してしまい、前記搬送速度を維持した状態で一対の脱ぷロール間を通過させることができず、脱ぷ率が改善されない場合がある。
【特許文献1】特開平10−313661号公報
【特許文献2】特開昭49−30138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、一対の脱ぷロール上において被処理物を滞留させることなく当該一対の脱ぷロールへの搬送を可及的に高速に行うことにより脱ぷ能力を向上させることができるコンパクトな脱ぷ装置の提供を、一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る脱ぷ装置は、受入口が設けられたケーシングと前記ケーシング内に配設された一対の脱ぷロールとを備えた脱ぷ装置であって、前記受入口から供給された被処理物を前記一対の脱ぷロールへ向けて搬送する無端状のベルトを有するベルト搬送機構を備え、前記ベルト搬送機構は、前記ベルトが前記一対の脱ぷロールのうち低速回転側の副脱ぷロールの周速度と同等の速度で回転されることを特徴とするものである。
【0008】
上記構成の脱ぷ装置によれば、受入口からケーシング内に供給された被処理物が無端状のベルトを有するベルト搬送機構を介して一対の脱ぷロールへ向けて搬送され、一対の脱ぷロール間を通過することにより脱ぷ処理される。
このとき、ベルト搬送機構のベルトは、一対の脱ぷロールのうち低速回転側の副脱ぷロールの周速度と同等の速度で回転されることにより、ベルト上の被処理物も前記副脱ぷロールの周速度と同等の速度で一対の脱ぷロールに供給される。
【0009】
このように、一対の脱ぷロールへの被処理物の搬送手段としてベルト搬送機構を用いることにより、受入口から一対の脱ぷロールまでの距離を可及的に短縮化することができるとともに、ベルトの回転速度を副脱ぷロールの周速度と同等の速度にすることにより、被処理物を一対の脱ぷロールの処理能力に合致した速度で供給することができる。従って、脱ぷ装置全体のコンパクト化を図りつつ高い脱ぷ率を保持し且つ可及的に高速な脱ぷ処理を行うことができる。
【0010】
好ましくは、前記ベルトには、被処理物の長手方向を該ベルトの搬送方向に沿って整列させる溝又はスリットが該ベルトの幅方向に複数列設けられており、前記複数列の溝又はスリットの位置が、前記ベルトの長手方向に関する第1領域及び第2領域において相違している。
【0011】
この場合、第1領域において搬送される被処理物と第2領域において搬送される被処理物とが一対の脱ぷロールの駆動軸方向に関し異なる位置で該一対の脱ぷロールに供給される。従って、前記一対の脱ぷロールの特定箇所だけが過摩耗するという不都合を有効に防止することができる。
【0012】
好ましくは、前記ベルト搬送機構は、前記受入口側の搬送始端部から前記一対の脱ぷロール側の搬送終端部へ至る搬送領域以外の非搬送領域において前記ベルトの表面に付着した異物を除去する異物除去機構を有している。
【0013】
この場合、ベルトの表面に付着した異物は、異物除去機構により、被処理物の搬送領域以外の非搬送領域において除去される。
従って、前記ベルトに付着し得る籾カス等の不純物が前記一対の脱ぷロールへ供給されることを有効に防止することができる。
【0014】
好ましくは、前記ベルト搬送機構は、前記受入口側の搬送始端部近傍において前記ベルトの搬送面と対向配置された飛散防止ロールを有している。
【0015】
この場合、ベルトの搬送面に供給された被処理物は、前記搬送面と対向配置された飛散防止ロールにより整列され、一対の脱ぷロールへ搬送される。
従って、前記ベルトの搬送面における被処理物の姿勢を迅速に安定化させることができ、搬送領域の搬送方向長さの短縮化を図ることができる。
【0016】
好ましくは、前記ベルト搬送機構は、駆動源に作動連結された駆動ローラであって、前記ベルトの搬送始端部を画する駆動ローラと、前記ベルトの搬送終端部を画する従動ローラと、前記駆動ローラ及び従動ローラに巻き回された前記ベルトとを備え、前記駆動ローラの軸線回りに位置変更可能とされている。
【0017】
この場合、一対の脱ぷロールが磨耗によりすり減った場合等において、いずれか一方のロールの駆動軸を可動させてロール軸間距離を調整することにより、一対の脱ぷロール間の間隙の位置がロールの駆動軸に直交する方向に移動した場合であっても、駆動ローラの軸線回りにベルト搬送を回動させることにより、ベルトの搬送終端部を前記一対の脱ぷロール間の間隙を向くように調整可能となる。
このように、駆動源から駆動ローラへの伝動機構を固定させたままで、前記一対の脱ぷロールの摩耗に応じて変化する該一対の脱ぷロールの圧接領域に、前記搬送終端部を容易に追従させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る脱ぷ装置によれば、ベルト搬送機構を用いることにより、受入口から一対の脱ぷロールまでの距離を可及的に短縮化することができ、ベルトの回転速度を副脱ぷロールの周速度と同等の速度にすることにより、被処理物を一対の脱ぷロールの処理能力に合致した速度で供給することができる。従って、装置全体のコンパクト化を図りつつ高い脱ぷ率を保持し且つ可及的に高速な脱ぷ処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る脱ぷ装置の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。図1及び図2は、本発明の一実施形態における脱ぷ装置の斜視断面図及び正面断面図である。
本発明の一実施形態における脱ぷ装置1は、図1及び図2に示すように、受入口31が設けられたケーシング3と、前記ケーシング3内に配設された一対の脱ぷロール20と、前記受入口31の上方に配置され、穀物等の被処理物を貯留する原料タンク4とを備え、前記原料タンク4から受入口31を介してケーシング3内に供給される被処理物を前記一対の脱ぷロール20によって籾摺り処理するものである。
【0020】
前記脱ぷ装置1には、前記原料タンク4から前記一対の脱ぷロール20への被処理物の移動経路を選択的に開放又は遮断するシャッタ機構50と、前記シャッタ機構50の下方且つ受入口31の直下のケーシング3内に配設された定量供給機構30とを備えている。
【0021】
前記シャッタ機構50は、前記受入口31に設けられた開閉弁32と、前記開閉弁32を開閉駆動させる開閉駆動部33とを有している。
本実施形態においては、開閉駆動部33の駆動源として電動モータを用い、開閉駆動部33と前記開閉弁32とを作動連結するシャフトをモータ軸回転により水平移動させて、開閉弁31を水平移動させることにより、受入口31が開放される開放状態と受入口31が遮断される遮断状態とが切り替えられる。
なお、シャッタ機構50は、ケーシング3に設けられてもよいし、原料タンク4に設けられてもよい。
【0022】
また、前記定量供給機構30は、前記ケーシング3の内部且つ前記受入口31の下方に配設され、前記受入口31から供給される被処理物を水平方向に搬送可能なトラフ34と、前記トラフ34を板ばね等の振動部材を介して支持する電磁フィーダ35とを有している。前記電磁フィーダ35は、例えば、前記トラフ34側に設けられた磁性体に間欠的に電磁力を作用させることにより前記トラフ34を前記水平方向に振動させる電磁コイルを有するものである。
【0023】
また、前記一対の脱ぷロール20は、固定軸21がケーシング3に軸支されることにより、固定軸21回りに回転可能に支持された固定ロール22と、固定軸21と略平行な可動軸23がケーシング3に軸支されることにより、可動軸23回りに回転可能に支持され、前記可動軸23を移動させて当該可動軸23及び固定軸21間の距離を調整可能な可動ロール24とを有する。
前記一対の脱ぷロール20は、前記定量供給機構30の前記トラフ34の放出部34aより下方且つ水平方向第1側方(前記トラフ34の放出部34a側方向)に傾斜配置される。即ち、前記固定軸21は、前記可動軸23より上方且つ水平方向第1側方において前記ケーシング3に軸支される。
【0024】
前記固定ロール22及び可動ロール24は、ケーシング3外に設けられた駆動源(図示せず)の駆動力が駆動源との間で掛け回された駆動ベルト(図示せず)を介して伝達されることにより、互いに逆方向に異なる周速度で回転される。
本実施形態においては、前記可動ロール24が固定ロール22より低速回転する副脱ぷロールとして構成されている。
【0025】
前記ケーシング3には、前記受入口31から供給された被処理物を前記一対の脱ぷロール20へ向けて搬送する無端状のベルト41を有するベルト搬送機構40が設けられている。
本実施形態において、前記ベルト搬送機構40は、駆動源(図示せず)に作動連結された駆動ローラ42と、第1及び第2従動ローラ43a,43bを含む従動ローラと、前記駆動ローラ42及び従動ローラ43a,43bに巻き回された前記ベルト41とを備えている。前記駆動ローラ42並びに第1及び第2従動ローラ43a,43bは、前記一対の脱ぷロール20の駆動軸(固定軸21及び可動軸23)に略平行に配置されている。
なお、前記ベルト搬送機構40は、駆動源を前記一対の脱ぷロール20と共用することとしてもよい。
【0026】
前記駆動ローラ42は、前記受入口31側の搬送始端部40aを画し、前記第1従動ローラ43aは、前記一対の脱ぷロール20側の搬送終端部40bを画するように配設されている。
前記搬送始端部40aから前記搬送終端部40bに至る搬送領域40cは、搬送方向下流側へ行くに従って下方に位置するように配置されている。つまり、前記第1従動ローラ43aは、前記トラフ34の放出口34aの下方に位置する駆動軸42に対して、下方且つ水平方向第1側方に配設されている。このようなベルト搬送機構40は、可動ロール24が固定ロール22に圧接した状態で、前記搬送領域40cの前記搬送終端部40bが両ロール22,24の圧接領域に向かうように位置されている。
従って、前記電磁フィーダ35によって前記トラフ34上を搬送される被処理物は、前記ベルト41の前記受入口31側の搬送始端部40aから前記一対の脱ぷロール20側の搬送終端部40bへ至る搬送領域40c上に供給され、前記一対の脱ぷロール20へと搬送される。
前記第2従動ローラ43bは、前記搬送領域40c以外の非搬送領域が前記搬送領域40cの搬送終端部40bから略水平方向に延びる水平領域40dと前記水平領域40dの終端部から略垂直上方へ延びて前記搬送領域40cの搬送始端部40aに繋がる垂直領域40eとを含むように、配置されている。
【0027】
ここで、上記構成の脱ぷ装置1における籾摺り作業の流れを説明する。
まず、駆動部を作動させて固定ロール22、可動ロール24及びベルト搬送機構40(駆動ローラ42)を回転させた状態で、開閉駆動部33により開閉弁32を開放することにより、原料タンク4に貯留されている被処理物が受入口31から下方へ落下する。落下した被処理物は、その下方にある前記定量供給機構30のトラフ34上に供給され、電磁フィーダ35によりトラフ34を振動させることにより、トラフ34上の被処理物が順次トラフ34の放出口34aから前記ベルト搬送機構40の無端状のベルト41へと定量搬送される。定量供給機構30として、電磁フィーダ35を用いることにより、受入口31から供給された被処理物を前記ベルト41上に、より均一に供給することができる。
【0028】
前記定量供給機構30から前記ベルト搬送機構40のベルト41における前記搬送始端部40a上に供給された被処理物は、前記駆動ローラ42の駆動に伴って前記ベルト41が搬送領域40cにおいて搬送方向下流側へ移動することにより、前記搬送領域40c上を搬送され、搬送終端部40bが向けられた一対の脱ぷロール20の間の圧接領域に供給される。そして、供給された被処理物は、前記一対の脱ぷロール20間の圧接領域において籾摺り処理され、前記ケーシング3の前記一対の脱ぷロール20の圧接領域排出側に設けられた排出口36から排出される。排出口36には、風選別装置等(図示せず)が配置され、籾摺りされた穀粒と籾殻とが選別される。
【0029】
ここで、本実施形態における前記ベルト搬送機構40は、前記ベルト41が前記一対の脱ぷロール20のうち低速回転側の副脱ぷロール(ここでは、可動ロール24)の周速度と同等の速度で回転される。
従って、前記ベルト41が一対の脱ぷロール20のうち低速回転側の副脱ぷロール24の周速度と同等の速度で回転されることにより、ベルト41上の被処理物も前記副脱ぷロール24の周速度と同等の速度で一対の脱ぷロール20に供給される。
【0030】
以上のように、一対の脱ぷロール20への被処理物の搬送手段としてベルト搬送機構40を用いることにより、受入口31から一対の脱ぷロール20までの距離を可及的に短縮化することができるとともに、ベルト41の回転速度を副脱ぷロール24の周速度と同等の速度にすることにより、被処理物を一対の脱ぷロール20の処理能力に合致した速度で供給することができる。
即ち、前記一対の脱ぷロール20の周速度以下の速度で搬送すれば、一対の脱ぷロール20において被処理物が滞留することを防止することができ、前記周速度の範囲内で最も周速度を速くする(低速回転側の副脱ぷロールの周速度と同等の速度で搬送する)ことにより、搬送速度を可及的に速くすることができる。従って、脱ぷ装置1全体のコンパクト化を図りつつ高い脱ぷ率を保持し且つ可及的に高速な脱ぷ処理を行うことができる。
【0031】
本実施形態において、前記ベルト搬送機構40は、前記搬送領域40c以外の非搬送領域40d,40eにおいて前記ベルト41の表面に付着した異物を除去する異物除去機構44を有している。
本実施形態において、前記異物除去機構44は、エア吐出機構により構成されており、前記エア吐出機構は、前記水平領域40dから前記垂直領域40eへの移行部分(即ち、前記第2従動ローラ43bの近傍)において前記ベルト41の搬送面に対してベルト搬送方向とは逆向きにエアを噴射し得るように配置されている。
【0032】
この場合、ベルト41の表面に付着した異物は、異物除去機構44により、被処理物の搬送領域40c以外の非搬送領域40d,40eにおいて除去される。
従って、前記ベルト41に付着し得る籾カス等の不純物が前記一対の脱ぷロール20へ供給されることを有効に防止することができる。
【0033】
なお、前記エア吐出機構は、前記ベルト41の搬送面が下方を向く前記水平領域40d又は側方を向く前記垂直領域40eにおいてエアを前記ベルト41の搬送面に向けて吐出するように配置してもよい。
また、前記異物除去機構44は、エア吐出機構に代えて、エア吸引機構により構成してもよい。
【0034】
また、本実施形態において、前記ベルト搬送機構40は、前記受入口31側の搬送始端部40a近傍において前記ベルト41の搬送面と対向配置された飛散防止ロール45を有している。前記飛散防止ロール45は、前記ベルト搬送機構40の駆動ローラ42に略平行に配設されている。
【0035】
この場合、ベルト41の搬送面に供給された被処理物は、前記搬送面と対向配置された飛散防止ロール45により整列され、一対の脱ぷロール20へ搬送される。
従って、前記ベルト41の搬送面における被処理物の姿勢を迅速に安定化させることができ、搬送領域40cの搬送方向長さの短縮化を図ることができる。
【0036】
さらに、本実施形態において、前記ベルト搬送機構40は、図2に示すように、前記駆動ローラ42の軸線回りに位置変更可能とされている。
より具体的には、前記ベルト搬送機構40は、前記駆動ローラ42、第1及び第2従動ローラ43a,43b、異物除去機構44及び飛散防止ロール45を前記ケーシング3内に一体的に支持する可動プレート部材(図示せず)を有しており、前記可動プレート部材が前記駆動ローラ42の軸線回りに回動可能に構成されている。これにより、前記ベルト搬送機構40は、前期可動プレート部材の回動に伴って前記駆動ローラ42回りに一体的に回動可能とされている。
【0037】
この場合、一対の脱ぷロール20が磨耗によりすり減った場合等において、いずれか一方のロールの駆動軸(本実施形態においては可動ロール24の可動軸23)を可動させてロール軸間距離を調整することにより、一対の脱ぷロール20間の間隙の位置がロール22,24の駆動軸21,23に直交する方向に移動した場合であっても、駆動ローラ42の軸線回りにベルト搬送機構40を回動させることにより、ベルト41の搬送終端部40bを前記一対の脱ぷロール20間の間隙を向くように調整可能となる(図2の破線部参照)。
なお、このような調整は、自動制御されることとしてもよいし、適宜手動で調整することとしてもよい。
このように、前記ベルト搬送機構40を前記可動ローラ42回りに回動させることにより、駆動源から駆動ローラ42への伝動機構を固定させたままで、前記一対の脱ぷロール20の摩耗に応じて変化する該一対の脱ぷロール20の圧接領域に、前記搬送終端部40bを容易に追従させることができる。
【0038】
ここで、本実施形態における前記ベルト41の構成について説明する。
図3に、図1の脱ぷ装置1におけるベルト1の部分上面図を示す。
本実施形態における前記ベルト41には、図3に示すように、被処理物Cの長手方向を該ベルト41の搬送方向に沿って整列させる溝41a(スリットでもよい)が該ベルト41の幅方向に複数列設けられており、前記複数列の溝41aの位置が、前記ベルト41の長手方向に関する第1領域41b1及び第2領域41b2において相違している。
【0039】
この場合、第1領域41b1において搬送される被処理物Cと第2領域41b2において搬送される被処理物Cとが一対の脱ぷロール20の駆動軸21,23方向に関し異なる位置で該一対の脱ぷロール20に供給される。従って、前記一対の脱ぷロール20の特定箇所だけが過摩耗する(前記一対の脱ぷロール20に磨耗スジが生じる)という不都合を有効に防止することができる。
【0040】
なお、上記のような第1領域41b1及び第2領域41b2の形成においては、前記ベルト41を長手方向に関し2つの領域に分け、一方を前記第1領域41b1とし且つ他方を前記第2領域41b2とすることも可能であるし、これに代えて、前記ベルト41を長手方向に関し4つ以上の領域に分けて、前記第1領域41b1及び第2領域41b2が前記ベルト41の長手方向に関し交互に存在するように構成することも可能である。
また、本実施形態においては、ベルト41の溝41aと溝非形成部(凸部)との幅が等しい構成について説明しているが、これに限られず、溝41aより幅広又は幅狭の凸部とを有し、当該溝41aの位置が前記ベルト41の長手方向に関する前記第1領域41b1及び第2領域41b2において相違していることとしてもよい。即ち、溝41aと凸部とが第1領域41b1と第2領域41b2とでベルト41の長手方向に関して完全に入れ替わらなくてもよい。
【0041】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【0042】
例えば、本実施形態においては、低速回転側の副脱ぷロールとして一対の脱ぷロール20のうちより下方に位置する可動ロール24を適用した構成について説明したが、これに限られず、一対の脱ぷロール20のうちより上方に位置するロール(固定ロールでもよいし、可動ロールでもよい)を低速回転側の副脱ぷロールとして適用してもよい。
【0043】
また、本実施形態においては、前記定量供給機構30として電磁フィーダ35を適用した構成について説明したが、これに限られず、例えば、繰り込みロールを用いた構成も採用可能である。この場合、前記ケーシング3の内部且つ前記受入口31の下方に傾斜して配設された案内板と、当該案内板の傾斜に沿った方向に回転可能に支持され、前記ベルト搬送機構40に被処理物を順次定量的に導入する羽根車状の繰り込みロールと、前記案内板に前記繰り込みロールを挟んで漏斗状に対向配置された状態で上端が回動支点回り回動可能に支持され、当該回動支点回りに回動させることにより繰り込みロールとの間隙を調整可能な調整板とが設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、本発明の一実施形態における脱ぷ装置の斜視断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態における脱ぷ装置の正面断面図である。
【図3】図3は、図1の脱ぷ装置1におけるベルト1の部分上面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 脱ぷ装置
3 ケーシング
20 一対の脱ぷロール
24 可動ロール(副脱ぷロール)
40 ベルト搬送機構
40a 搬送始端部
40b 搬送終端部
40c 搬送領域
40d 水平領域(非搬送領域)
40e 垂直領域(非搬送領域)
41 ベルト
41a 溝
41b1 第1領域
41b2 第2領域
42 駆動ローラ
43a,43b 従動ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受入口が設けられたケーシングと前記ケーシング内に配設された一対の脱ぷロールとを備えた脱ぷ装置であって、
前記受入口から供給された被処理物を前記一対の脱ぷロールへ向けて搬送する無端状のベルトを有するベルト搬送機構を備え、
前記ベルト搬送機構は、前記ベルトが前記一対の脱ぷロールのうち低速回転側の副脱ぷロールの周速度と同等の速度で回転されることを特徴とする脱ぷ装置。
【請求項2】
前記ベルトには、被処理物の長手方向を該ベルトの搬送方向に沿って整列させる溝又はスリットが該ベルトの幅方向に複数列設けられており、
前記複数列の溝又はスリットの位置が、前記ベルトの長手方向に関する第1領域及び第2領域において相違していることを特徴とする請求項1に記載の脱ぷ装置。
【請求項3】
前記ベルト搬送機構は、前記受入口側の搬送始端部から前記一対の脱ぷロール側の搬送終端部へ至る搬送領域以外の非搬送領域において前記ベルトの表面に付着した異物を除去する異物除去機構を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の脱ぷ装置。
【請求項4】
前記ベルト搬送機構は、前記受入口側の搬送始端部近傍において前記ベルトの搬送面と対向配置された飛散防止ロールを有していることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の脱ぷ装置。
【請求項5】
前記ベルト搬送機構は、駆動源に作動連結された駆動ローラであって、前記ベルトの搬送始端部を画する駆動ローラと、前記ベルトの搬送終端部を画する従動ローラと、前記駆動ローラ及び従動ローラに巻き回された前記ベルトとを備え、前記駆動ローラの軸線回りに位置変更可能とされていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の脱ぷ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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